【日経ビジネス】2021.3.10 鷲尾 龍一

 三井物産が2025年以降に「引退」が検討されている国際宇宙ステーション(ISS)の民間主導の後継計画に名乗りを上げる方針であることが、日経ビジネスの取材で分かった。国際協調のもとで運用してきた宇宙での実験施設が将来、民間主導になった場合、日本企業が参画する足場を確保する狙いがある。

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ISSは老朽化が課題になっている。日本は実験棟「きぼう」を持っている(写真:NASA提供)

 ISSは日本や米国、カナダ、欧州宇宙機関加盟各国、ロシアの15カ国が協力して運用している有人の宇宙ステーション。地上から約400kmの軌道で地球や天体を観測し、宇宙環境を利用した研究や実験を行っている。

 1998年に建設が始まり、運用期限は2020年から24年への延長が合意されているが、30年代に「寿命」を迎えるという見方がある。月面有人探査を優先するトランプ米前政権が25年以降のISSへの資金拠出を打ち切り、民間に移転する方針を示していたが、米議会には28~30年まで運用を延長する法案が提出された。欧州は30年まで延長する方針を示しており、しばらくは各国による運用が続く可能性がある。

 ISSの一部である日本の実験棟「きぼう」は09年に完成しており、比較的新しい。文部科学省は「ISS を含む地球低軌道における 2025 年以降の活動については、各国の検討状況も注視しつつ、検討を進め、必要な措置を講じる」としている。

 関係者によると、三井物産はISSの建設、運用が民間主導になった場合に備え、米企業との提携を視野に入れて協議を始めた。宇宙航空研究開発機構(JAXA)にも意欲を伝えている。宇宙ステーション全体の建設費用は数千億円規模になるとみられるが、きぼうのような1つのモジュールは「数百億円で済む」という。JAXAの支援を受けつつ、企業コンソーシアムを形成し、この部分に資⾦を拠出することを想定している。

 実際に日本の民間企業が宇宙ステーションに参画する場合、①現在のきぼうを改修して、米国企業が建設するであろう新たな宇宙ステーションとつなぐ②新たなステーションに接続できるモジュールを新造する③米国企業が建設したステーションの一部を買う・借りる──などの手法が考えられる。

宇宙で商社が生きる道

 米国主導の有人月探査計画「アルテミス計画」へ日本も参加を表明するなど、主要国の政府の関心は月など「深宇宙」へ向き始めている。しかし、ISSがある地球の低軌道の重要性は変わらないと三井物産はみている。「地上400kmまでは重力を突破するのに苦労するが、それ以降の推進は比較的難しくない。今後も地球低軌道は宇宙の入り口として重要になる」(同社関係者)ためだ。

 一方、米国と宇宙での覇を競う中国は22年ごろまでに独自の宇宙ステーション完成を目指している。今後激しくなる宇宙競争において、日本がどういったポジションを取るべきかが重要になる。

 宇宙で人が暮らすには、医療や細胞培養、家電が使えるかどうかといった様々な実験も必要だ。地上の人々の暮らしを支える日本企業が、宇宙に進出するためのイノベーションの場を確保しなければ宇宙ビジネスで後れを取る恐れがある。

 ISSの維持費は年間数千億円とされ、日本だけで2010年代以降、毎年度200億~400億円ほどを予算に計上しており、費用対効果も注目されてきた。三井物産が民間事業者として宇宙ステーションの後継計画に参画するには、宇宙に関心が低かった企業の進出意欲をかきたて、宇宙ステーションを使う需要を広げられるかが鍵になる。

 JAXAは衣食住やエンターテインメント、教育など科学的な研究分野以外での民間利用を広げたい考えで、「総合商社としてのネットワークを活用して、需要を集めてくる」(三井物産関係者)ことが期待されているようだ。既に三井物産は他社と共同で、人工衛星の打ち上げを仲介する米スペースフライトを買収するなど、宇宙と地上の企業をつなぐ事業へ乗り出している。

 旅行などで宇宙ステーションの商業活用を狙う米ベンチャーAxiom SpaceはNASAからISS に接続するための新たな居住モジュールの建設を20年に受注した。米国では民間主導の後継計画を見据えた動きが本格化している。


2021年01月14日

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【マイナビニュース】鳥嶋真也 2020/01/31 08:00

目次
アクシアム・スペース

米国航空宇宙局(NASA)は2020年1月28日、国際宇宙ステーション(ISS)に民間企業の商業モジュールを構築する計画に、米企業「アクシアム・スペース(Axiom Space)」を選んだと発表した。

最初のモジュールの打ち上げは2024年の予定で、その後も複数のモジュールを結合させ、ISSの運用終了後は独立したステーションとしての運用を目指す。

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アクシアム・スペースがISSに構築を予定している「アクシアム・セグメント」の想像図 (C) Axiom Space

アクシアム・スペース

アクシアム・スペースは2016年に設立された企業で、テキサス州ヒューストンに拠点を置き、民間による宇宙ステーションの開発や運用をビジネス化することを目指している。

同社を設立したのは、宇宙産業の起業家であるKam Ghaffarian氏と、2005年から2015年までNASAでISSのプログラム・マネージャーを務めていたMichael Suffredini氏。現在の従業員数は60人ほどだという。

NASAはかねてより、地球低軌道における活動を民間に開放し、NASAは月や火星の探査に注力するという方針のもと、さまざまなプログラムを進めている。ISSについても、現時点でNASAは2024年まで運用を主導するものの、その後は民間に移管することで、NASAは月や火星探査に資金を集中させることを考えている。さらに、そもそもの問題として、ISSの各モジュールは2030年ごろまでに徐々に寿命を迎える。

こうしたことを背景に、アクシアム・スペースはISSに、自社で開発したモジュールを追加して運用し、さらにISSの運用終了後はモジュールを切り離して、独立した宇宙ステーションとして運用することを目指している。

NASAは昨年5月、「NextSTEP-2 Appendix I solicitation (付録I募集)」というプログラムで、ISSにモジュールを追加したい業者を募集。12社が応募し、その中から審査の結果選ばれたのが、アクシアム・スペースだった。

計画では、アクシアム・スペースはまず2024年後半に最初のモジュールを打ち上げ、ISSの「ハーモニー(ノード2)」モジュールにある、ISSの進行方向に面したフォワード・ポートに結合する。その後、2基のモジュールを追加で打ち上げ、最初に打ち上げたモジュールに結合。最大3基で運用することがNASAより認められている。

この3基のモジュールは「アクシアム・セグメント」と呼ばれ、宇宙飛行士の居住施設や、さまざまな宇宙実験が行える研究施設、宇宙船のドッキング・ポート、そして現在のISSにある「キューポラ」に似た、大きな窓ももった展望室などをもつ。電力や冷却系は、ISS側から提供を受ける。

当初はISSの構成要素のひとつとして運用されるものの、ISSの運用が終わる前には、電力などを作り出す新たなモジュールを打ち上げ、3基のモジュールにドッキング。そしてISSの運用が終わると、独立した宇宙ステーションとして新たな運用を始める計画だという。

この「アクシアム・ステーション」は、ISSで行っていたさまざまな実験や研究を受け継ぎ、ISSの運用終了によってギャップが生まれないようにするとともに、民間の宇宙飛行士や宇宙旅行者も受け入れるなど、国際的に利用可能な商業宇宙ステーションとして運用される。その建設費や運用費は、現在のISSの数分の1になるという。

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アクシアム・セグメントの想像図 (C) Axiom Space

同社はまた、モジュールの構築に加え、ISSと、アクシアム・モジュールへの、民間の宇宙飛行士の有人飛行を、年間約2~3便の割合で提供するとしている。

アクシアム・スペースのパートナー企業には、ボーイングをはじめ、イタリアのタレス・アレニア・スペースなどが参画。とくにボーイングが開発している「スターライナー」宇宙船は、ISSやアクシアム・ステーションへ民間の宇宙飛行士を飛行させる手段となることが期待されている。

またNASAでは、ISSに結合しない形での商業宇宙ステーションの実現を支援する計画も進めており、近いうちに提案が出される予定だという。

アクシアム・スペースのSuffredini CEOは「私たちは、さまざまなユーザーが、研究したり、新たな技術を発見したり、月や火星を探査する技術を試験したり、そして宇宙や地上で使うための優れた新製品を製造し、私たちの生活を改善したりするための、宇宙のインフラを提供するために存在します」と語った。

「人類の夢である、誰もが宇宙で生活したり、仕事をしたりできる未来に、一歩近づきました」。

また、NASAのジム・ブライデンスタイン長官は「アクシアム・スペースによる商業宇宙ステーションの開発は、NASAの宇宙飛行士の活動や、科学研究、地球低軌道での技術実証など、長期的なニーズを満たすための重要なステップです。NASAは産業界と協力し、世界経済に利益をもたらし、宇宙探査を推進する方法に変革をもたらします」とコメントした。

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ISSの運用終了後、独立して運用されるアクシアム・ステーションの想像図。アクシアム・セグメントに、電力生成などを行うモジュールを取り付ける (C) Axiom Space

出典
NASA Selects First Commercial Destination Module for Space Station | NASA
Axiom selected by NASA for access to International Space Station port
Axiom Space - Axiom Commercial Space Station
Assembly Sequence: Watch the Axiom Space Segment of the ISS constructed module-by-module

鳥嶋真也 とりしましんや
著者 プロフィール
宇宙開発評論家、宇宙開発史家。宇宙作家クラブ会員。
宇宙開発や天文学における最新ニュースから歴史まで、宇宙にまつわる様々な物事を対象に、取材や研究、記事や論考の執筆などを行っている。新聞やテレビ、ラジオでの解説も多数。
著書に『イーロン・マスク』(共著、洋泉社)があるほか、月刊『軍事研究』誌などでも記事を執筆。
Webサイトhttp://kosmograd.info/ Twitter: @Kosmograd_Info
おそらく三井物産は、ISSの後継計画のアクシアム・宇宙ステーション計画に参加するものと思われます。

アクシアム・宇宙ステーションは初めはISSにドッキングして運用を開始するのだそうだ。ISSの運用が終了後、日本の宇宙開発はどうなるのかと少しだけ心配しておりましたが、日本の民間企業も米国のベンチャー企業に負けず頑張っているのでほっとしたニュースでした。

私が小学1年生だった1969年に公開された映画「2001年宇宙の旅」に登場する漆黒の宇宙空間に回転しながら輝き浮かぶ巨大な二重リングの宇宙ステーション。宇宙ステーションといえば、この巨大なスタンリーキューブリック監督の宇宙ステーションが長らく定番となっていた。

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大きさは直径300mのリングが二つ組み合わさった形状をしており、軸部分にドッキング・アームを有する開口部を有している。リング部は一分間に一回転し、遠心力による人工重力を生み出している。

遠心力で人工重力を発生させるアイデア宇宙開発の初期段階よりあり、1966年9月 14日、アメリカのジェミニ 11号は、無人のアジェナを長さ 30mのロープで結んでぐるぐる回転させ、初めて人工重力をつくり出した。回転によって生じた遠心力が人工重力となって働くからである。機動戦士ガンダムに登場するスペースコロニーも遠心力で人工重力を発生させている。

しかしながら現実は、旧ソ連の人類初の宇宙ステーションサルート1号からISSに至るまで、宇宙ステーション内は無重力である。

当初計画では2017年に人工的に重力を発生させるセントリフュージ(生命科学実験施設)という大型の研究モジュールが設置される予定で期待されていました。
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直径は2.5mの装置を回転させ、遠心力を発生させることにより疑似人工重力を発生させるもので、人工重力環境が生物に与える影響について研究を行う予定でしたが、 2005年に中止となってしまいました。勿論装置内に人間が乗る予定はありませんでした。

なお、日本の実験棟きぼう内に設置されている細胞培養装置(CBEF)には小型のセントリフュージが装備されており、軌道上で0Gと1G環境の同時比較実験ができるようになっています。

月面到達を米国に先を越され
月面着陸を断念たソ連が、地球低軌道での宇宙ステーションサリュート1号(1971年)~7号(1982年)、ミール(1986~2001年)を軌道上に送り込み、米国も宇宙実験室スカイラブ(1973~1979年)を打上げて暫く運用するも、スペースシャトル計画に移行した。

1980年代に入ってソ連のアフガン侵攻で、再び米ソの政治緊張が高まってきたソ連へ の対抗から国際宇宙ステーション(ISS)計画が浮上した。米国と欧州、日本、カナダが参加することと なった。1988年の旧ソ連の崩壊後、 1994年ロシアはISSに参加することとなり1998年組み立てが開始された。2011年7月に完成し、当初の運用期間は2016年までの予定であったが、現在のところ2024年までは運用の継続を予定している。

2004年1月に米国は新宇宙政策を発表し、有人月面探査の再開と将来的な火星への有人飛行実現を目指すこととなり、NASAは日本のJAXA、欧州宇宙機関 (ESA) 、カナダ宇宙庁 (CSA) 、オーストラリア宇宙庁と協力してアルテミス計画を推進中である。2024年に再度の有人月面着陸を目指し、2028年までに月面基地の建設を開始するプロジェクトです。月軌道プラットフォームゲートウェイを2026年までに完成させ、月と地球を往復させ、月面基地建設を支援するものです。




日本は、米国に次いで二番目に月面に立つ可能性があります。






アルテミス計画から排除されてしまったロシアは、中国と共同で月面基地開発を目指すこととなってしまいました。中国は、軍が軍事目的で宇宙開発を行っており、宇宙の平和利用を考えていない為国際社会から元々排除されていた。

【ZAKZAK】2021年03月11日

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海外メディアによると日本で言うJAXAにあたるロシアのロスコスモスは中国の中国国立宇宙局と共同で月軌道上もしくは月面に宇宙ステーションを建設する覚書を交わしたと報じました。

 ロスコスモスのプレスリリースとして、今月9日『ロシアと中国は、月面基地の創設に関する覚書に署名した』という内容を発表しました。


これによると、建設されるのは国際科学ステーション(MNLS)というもので、月の探査と利用、月の観測、基礎研究、または多目的研究などを行う目的に建設されるというもので、現時点で月面上に建設するのかもしくは軌道上に建設される実験研究施設複合体とし、月に人間が滞在する可能性を秘めたもので運用としては長期間の無人による実験とその技術検証を行うとしています。

双方は今後MNLSの作成のためのロードマップを共同で作成するとしており、プロジェクトの計画、正当化、設計、開発、実装、運用において緊密な関係を築くとのことです。

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中国の宇宙開発

中国の宇宙開発はアメリカとソ連の有人月面着陸レース以降、月面に探査車を送り込むなど将来の有人月面着陸に向けた技術の獲得を進めています。一方で、アメリカを中心とした日本や西側各国はゲートウェイという月軌道上に宇宙ステーションを建設することで合意。有人月面着陸、そして将来の有人火星探査を行うとしています。

この計画について欧米各国とは距離を置くことになったのはロシアです。これは欧米とロシアの政治的な問題もあり、特にアメリカではロシアがウクライナのクリミア半島を強制的に併合したことを受け関係が悪化。アメリカで運用されているロケットでロシア製エンジンを使用しないなど、国際宇宙ステーション以外の協力は事実上行っていないとされています。

また中国についても中国国立宇宙局の組織自体が人民解放軍と分離できておらず、宇宙開発に携わる人間がそもそも人民解放軍と強い関係性をもっています。そのため、宇宙の平和利用という点で問題があるとされており、これまでロシアを含め欧米各国は中国とは協力をしないという態度を取り続けていました。

しかし、事実上欧米のゲートウェイにも参加することができず、ロシアは単独で月を目指すこともできないため結果として中国とタッグを組むという道を選んだということになります。
経済崩壊中の中国がこのまま莫大な資金がかかる宇宙計画の資金を捻出できるとは思いません。やがてロシアもアルテミス計画に招かれるものと、私は予想しています。


中国?そのうち統一国家ではなくなるのでしょう。習近平の「中国の夢」は夢でしかなくやがて更なる悪夢が待ち構えているでしょう。