【REUTERS】 Yawen Chen 2021年3月7日8:16 午前

[香港 5日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国のエコノミストが書いたリポートが、政府の神経を逆なでしている。「スタグフレーションがやって来る」と題する著名エコノミストRen Zeping氏のリポートは、1日に公表されるやいなや同国のソーシャルメディア上で爆発的に拡散した。5日に開幕した中国全国人民代表大会(全人代=国会)では経済計画が打ち出される予定だが、リポートへの反応からは経済政策が直面する難題が見えてくる。
 
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3月5日、中国のエコノミストが書いたリポートが、政府の神経を逆なでしている。北京で撮影(2021年 ロイター/Tingshu Wang)

Ren氏は政府の調査部門でエコノミストを務めた経歴の持ち主。2014―15年の中国株の強気相場を正確に予想し、その後の暴落も事前に示唆したことから信奉者が増えた。今回のリポートを読んだ人々の一部は2010年のことを思い起こした。当時は消費者物価インフレが起こる一方で国内総生産(GDP)成長率は減速するという明確なかい離が生じ、一般市民の不満を買った。

中国の人々が現時点でスタグフレーションを心配するのは奇妙に映るかもしれない。スタグフレーションとは、1970年代に米国を悩ませたような低成長と高い物価上昇率の組み合わせだ。中国政府は5日、成長率の目標を「6%以上」に設定したと発表した。昨年はコロナ禍で目標設定を見合わせていた。現在、消費者物価のインフレは無きに等しく、食品を除く消費者物価指数(CPI)は1月に1%近く低下している。政府の今年の目標は3%の上昇だ。

もっとも民間調査によると、1、2月に製造業の景況感は弱まり、サービス業も落ち込んだ。同時に、ゴールドマン・サックスの推計によると世界のコモディティー価格は今年に入って20%前後も上昇している。いずれは世界最大の原油、鉄鋼、銅輸入国である中国にも打撃が及ぶだろう。景気刺激策が世界的なインフレを引き起こすとの懸念から、米国債利回りは既に上昇している。

中国人民銀行(中央銀行)共産党委員会書記である郭樹清氏にとって、これらはすべて頭痛の種だ。郭氏は、景気回復を損なわずに過度なレバレッジを抑制することに努めてきた。中国は新型コロナウイルス大流行に伴うロックダウン(都市封鎖)と景気後退からいち早く抜け出し、国民の間には浮かれムードが広がったが、最近はそれが衰えてきたことを郭氏は重々承知しているはずだ。今週行った講演では、コロナ禍対応の刺激策と補助金が徐々に終了する中で、金利の上昇は避けられないと発言。これを嫌気して株価は下落し、銀行当局が、郭氏は正式な利上げを示唆したわけではないと釈明する事態となった。

政策が正常化すればインフレ圧力は低下し、通貨が上昇すれば輸入エネルギー価格の上昇も和らぐかもしれない。しかしそうなれば、未だ不均衡かつ不完全な景気回復はとん挫するリスクがある。他方、インフレ圧力を放置すれば、郭氏が抑制に努める一級都市の不動産価格など、資産価格に波及しかねない。中国きっての敏腕政策責任者らが、厳しいジレンマに陥るかもしれない。

●背景となるニュース

*全人代が5日開幕し、李克強首相は2021年の成長率目標を6%以上に設定する政府活動報告を発表。昨年は目標設定を見合わせていた。

*政府の調査部門に勤めた経歴を持つRen Zeping氏は1日、対話アプリ「微信(ウィーチャット)」の自身の公式アカウントで「スタグフレーションがやって来る」と題したリポートを公表した。中国の景気サイクルは回復期からスタグフレーション期に移行中だと唱えている。

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*中国人民銀行(中央銀行)共産党委員会書記である中国銀行保険監督管理委員会(銀保監会)の郭樹清主席は2日の記者会見で、今年は市場金利の上昇に伴って貸出金利も上昇するとの見方を示した。この報道を受けて株価は下落した。

*郭氏は、政府は国内市場の波乱を避けるため資本流入を管理する方法を検討中だと説明。当局は、外国市場でのバブル崩壊リスクを「非常に懸念している」と述べた。バブルのリスクは、中国の不動産セクターが直面する最大の課題だとも指摘した。
20年待った、いよいよその時がやってくる。その時とは、先送りに先送りを重ね、膨らみ切った中国経済の歪が、一気に崩壊するときである。

今年1月1日より膨らみ過ぎた不動産バブルを放置できなくなった当局は2020年12月中央経済工作会議において、日本のバブル崩壊の引き金を引いた、土地の総量規制を密かに決定していたのだ!

GDPの世界ランキングで1位は米国、2位は中国、3位が日本ですが、世界第2位の中国が、もし本当に6%もの高成長を実現しているならば、社債市場ではデフォルト(債務不履行)が多発しているニュースが流れるでしょうか?

中共ウイルスにもかかわらず20年10~12月の実質GDPは前年同期比6.5%高成長はありえない、普通は人口増加が著しい新興国でしか実現できません。経済規模が大きくなるにつれ、成長率は徐々に低下していくのが自然です。

中国政府の発表をそのまま信じるアナリストや、エコノミストは、中国は世界2位の経済大国になってなお6%もの高成長を持続していることに疑問を感じないのであろうか?

中国政府の発表ベースでは、2007年以降、中国のGDP成長率は6%を下回ったことがありません。世界景気の影響を受けやすい中国のGDPがこんなに安定しているはずがありません。

中国は、1980年代に社会主義国の体制を維持したまま、資本主義革命を実施しました。その結果、中国は、極端な資本主義と、社会主義が共存する異形の大国となりました。

中国は、経済を力ずくで思い通りに動かそうとします。今にも崩壊しそうな計画経済バブルと、計画経済で膨らませた非効率な投資、ゾンビ企業の延命だけ見ていると、今にも中国バブルが崩壊しそうに見え20年持ちこたえてきました。

中国経済が危機的であった1998年にも、高成長に入ったあとの2004年にも2008年にも2015年も、本来ならばバブル崩壊していたはずですが、当局の指導で持ちこたえさせてしまいました。

「いつか中国バブルが崩壊する」という論調が多いが、実際には、そうなってきませんでした。私は、これからも当分、いわゆるバブル崩壊はないと思っています。景気後退はあり得るが、日本が1990年代に経験したようなバブル崩壊は免れてきました。

計画経済で膨らんだ非効率な投資は、付けをまわしただけで清算されていません。地方に林立した誰も住まない高層マンションがゴーストタウン化している問題、非効率な鉄鋼業のゾンビ企業が延命している問題など、資本主義ならとっくに清算している付けを貯めに貯めている。バブルの一部は、すでに崩壊しているが、社会主義のドラえもんのポケットは無限ではないのだ。