【朝日新聞】編集委員・土居貴輝 2021年4月7日 5時00分

image039
航空自衛隊のF15戦闘機(航空自衛隊ホームページから)

 航空自衛隊のF15戦闘機に対地攻撃用巡航ミサイルなどを搭載する改修をめぐり、防衛省が現計画の全面的な見直しを決めたことが分かった。2027年度までに20機を改修する計画だったが、改修に先立つ初期経費が高騰するなど、費用をめぐって日米間の協議が難航。岸信夫防衛相が改修計画の精査を指示した。

F15改修、米の言い値にNO 画期的だが…代替策は

 複数の同省関係者への取材で分かった。21年度予算への関連経費の計上を見送っていたが、20年度予算などで米国政府や日本のメーカーと予定していた390億円分の改修契約も取りやめた。

 中国が沖縄・尖閣諸島周辺に進出を強め、射程千キロ超のミサイルを搭載できるとされる海軍の艦艇をたびたび展開させる中、同省は長射程ミサイルの搭載や電子戦の能力を高める今回のF15の改修を「南西諸島の防衛力強化の柱」と位置づけていた。国会で成立した20年度予算を執行できない「異例の事態」(政府関係者)で、こうした能力をどのように代替するのか早急な検討が迫られている。

 敵の上陸部隊に離島が占拠された状況などを想定し、同省は17年12月、F15に巡航ミサイル「JASSM―ER」(射程約900キロ)などを搭載することを決めた。中期防衛力整備計画(中期防、19~23年度の5年間)に改修機数を20機と明記。予算の計上から納入までに約5年間かかる想定で、27年度までに順次改修を終える計画だった。

 改修に先立って必要となる設計費や作業用の施設などを整備するための初期経費「初度費」として、同省は19~20年度に計802億円(契約ベース)を計上した。だが、米側からさらに初度費を求められ、21年度概算要求にも213億円を追加した。その後、米側からは22年度以降も初度費を上積みする方針を伝えられ、「コストの全体像を把握できていない」との指摘があがっていた。

 F15の改修をめぐっては、米政府が窓口となって見積価格と納期を決め、日本政府と取引する対外有償軍事援助(FMS)の枠組みが採用されている。FMSを通じた改修は、民間商社を経由するより割高になる傾向があり、岸防衛相は「現在のF15の改修計画に基づいて、日本が予算を執行したり新たな予算をつけたりするのは難しい」との方針を省内に提示した。防衛省は現在の計画を全面的に見直す方針を固めた。

 同省関係者は「改修計画では長射程ミサイル搭載や電子戦能力の向上など複数の項目が一括のパッケージになっている。このうち、日本が出せる予算の範囲内でできる改修項目を個別に検討している」と話す。

 政府関係者によると、岸防衛相は3月16日の日米防衛相会談で、来日したオースティン米国防長官とF15の改修についても協議。改修に絡んで20年度中に米空軍省などと予定していた390億円分の契約を締結しない方針を伝え、今後も米側の協力を求めた。この関係者は「中国の対空兵器の射程は格段に延びており、自衛隊が長い射程のミサイルを保有する必要性はさらに高まっている。次の中期防に向けて、他の機種を含めた空自の戦闘機全体の武装のあり方の議論を進めている」と話す。(編集委員・土居貴輝)

    ◇

 〈F15戦闘機〉 航空自衛隊の主力戦闘機。1977年の国防会議で導入が決まった。米国マクドネル・ダグラス(現・ボーイング)が開発、三菱重工業がライセンス生産している。

 1人乗りと2人乗りがあり、最大速度はマッハ2・5、航続距離は約4600キロ。20ミリ機関砲のほか、空対空レーダーミサイル、空対空赤外線ミサイルを備え、防空能力に優れている。全長19・4メートル、幅13・1メートル、高さ5・6メートル。現在、空自には約200機が配備されている。このうち、調達時期が比較的新しい約100機のうち約70機について、政府は長射程の巡航ミサイルを搭載するなどの改修を行う予定。調達時期が古い残りの約100機は、レーダーに映りにくく敵に気づかれにくいステルス戦闘機F35AとF35Bに更新する予定。

 この巡航ミサイルは、自衛隊がこれまで保有してこなかった長い射程(約900キロ)のため、「敵基地攻撃にも使える装備では」との指摘もあった。導入決定当時の小野寺五典・防衛相は「あくまで我が国防衛のために導入する。専守防衛の考え方にはいささかも変更はない」と説明した。

 米空軍および航空自衛隊では別名イーグルと呼ばれ、F15のパイロットは「イーグルドライバー」と呼ばれている。

↑の報道とほぼ同時にこのニュース ↓

 F-15EX「イーグルII」命名 最大144機調達
【aviationwire】 Tadayuki YOSHIKAWA 2021年4月8日 21:26 JST

 米空軍は現地時間4月7日、最新複座戦闘機F-15EXを「イーグルII」と命名した。F-15C/D「イーグル」の後継機で、計画ではボーイングから最大144機調達する。

image043
イーグルIIと命名されたF-15EX(エグリン空軍基地提供)

 F-15EXは、米国専用の双発複座戦闘機。パイロット1人でも運用でき、フライ・バイ・ワイヤ方式の飛行制御や新たな電子戦システム、最新のコックピットやミッションコンピューターなどを採用している。2020年4月に初飛行したカタール空軍向けF-15QAがもっとも近い機体で、フライ・バイ・ワイヤやデジタルコックピットなどを採用している。

 アドバンスト・ディスプレー・コア・プロセッサーIIやオペレーション・フライト・プログラム・スイート9.1Xなどで構成するアドバンスト・ミッション・システム、1秒間に870億回の命令処理能力を持つミッションコンピューター、AESA(アクティブ・フェーズド・アレイ)レーダー、デジタル電子戦システム、12カ所の空対空兵器用ハードポイント、9Gでも戦闘能力を発揮できる機体の耐久性、メンテナンス性の向上などを特徴としている。

 F-15EXは今年2月2日に初飛行。初号機は3月10日に引き渡され、翌11日にフロリダ州のエグリン空軍基地へ到着し、7日に除幕式と命名式が開かれた。今後は同基地の第96試験航空団の第40飛行試験飛行隊と第53航空団の第85試験評価飛行隊が試験や評価を開始する見込み。

 2024年に最初の正式な訓練部隊となるのは、オレゴン州キングスリーフィールド空軍国家警備隊基地所属の第173戦闘航空団となる。

 F-15の更新については、日本の航空自衛隊もF-15Jの近代化改修を計画しており、防衛省が2020年度予算で390億円を計上していた。しかし、設計などの初期費用が膨らんだことから、防衛省は契約を取りやめている。
image045

イーグルIIと命名されたF-15EXの除幕式(エグリン空軍基地提供)
奇しくも日本のF-15J改修計画が頓挫との報道が流れたと同時に、米軍のF-15EXお愛称が「イーグルⅡ」と決まったというニュースが流れた。

このことはただの偶然でしょうか?当然偶然のわけがない。こういったリーク合戦は戦闘機など大型案件の利権が絡む場合当たり前であって、当ブログを読むような国防に関心があるコアなミリオタの方であれば、「またリーク合戦」だなと気が付くはずです。このリークとも言えるニュースの裏ではどすぐろい外交・利権の思惑や駆け引きが隠されていることが伺える、わかり易い事例である。


日本は今まで米国にとっていいお客様であり続け、宗主国様の言い値で買い続けてきたのだが・・・日本もようやく「NO」と言えるようになったのか?

しかし、
「改修計画では長射程ミサイル搭載や電子戦能力の向上など複数の項目が一括のパッケージになっている。このうち、日本が出せる予算の範囲内でできる改修項目を個別に検討している」と、など手の内をばらしたらまったく子供の言い訳だ。

ハッタリで、「こうなったら全部国産を検討します!」ぐらい言えないものか?こんなことを言うようでは米国にますます足元を見られる。

安倍首相・トランプ大統領時代の良好な日米関係下でF-15の近代化とF-3日本主導での国産化決定したが、その引き換えに2018年2018年F-35A/Bの追加で105機、計147機のF-35で妥協したはずであった。

ところが、安倍首相が体調不良で辞任し代わった菅内閣は愚かにも親中派の国賊2Fが内閣を支配し、良好な日米関係があっという間に崩壊してしまった。
日本の外務省は親中に舵を切り未だウイグルのジェノサイトを政府が認定していない。



また、米国も明らかに不正な選挙によって、愚かにもバイデンを大統領としてしまった。これで米国の覇権が潰えてしまう可能性が高くなったが、中国の習近平政権は長年の社会主義体制の矛盾が蓄積しており経済が崩壊し始めた。このままでは、共産党王朝が潰えてしまう可能性が高いので、対外戦争に打って出る可能性が非常に高くなってきている。

昔は米国を動かしているのは、やれユダヤだ産軍複合体だと言われてきましたが、今の時代はディープステート通称DSが米国を蝕んでいるという見方が一般的である。もっともDSの中には政府高官職員、ウォール街とともにIT産業・軍需産業(そのままIT産業)にも蔓延っている。

トランプ時代日本経済を活性化して日本を対中国の防塁としようという国益的観点から日米同盟が良好な関係であったのだが・・・・日本も親中的な動きをする菅政権も大問題だが、DSは中国を暴走させそのまんま中国政府や政府高官が蓄積した富をかすめ取る為、日本を再び弱体化させ中国を暴走させる餌にするのではないかと私は疑念を抱いている。


2019年11月03日


2020年07月19日

【Aviationwire】 Tadayuki YOSHIKAWA 2020年7月29日 11:24 JST 

 ボーイングと三菱重工業(7011)は7月29日、航空自衛隊が運用するF-15J戦闘機の近代化改修に向けた契約をこのほど結んだと発表した。防衛省が2020年度予算で2機分の費用390億円を計上しており、スタンド・オフ・ミサイルの搭載や搭載弾薬数の増加、電子戦の能力向上などの改修を行う。
image055
近代化改修したF-15Jのイメージイラスト(ボーイング提供)

米国政府が2019年10月に発表したF-15の近代化改修プログラムに基づくもので、兵装強化に加えて最新鋭のミッションコンピューターを採用したコックピットへの改修なども行う。ボーイングは米空軍と老朽化したF-15C/Dの後継機として、最新複座戦闘機のF-15EXを納入する契約を結んでおり、F-15JのコックピットはF-15EXと同じデジタルコックピットに改修される(関連記事)。

 ボーイングは2機のF-15Jを改修する上で必要な図面や地上支援機器、技術資料などを三菱重工に提供する。三菱重工は、1980年から2000年まで200機以上のF-15Jをライセンス生産しており、今回の改修の主契約者となる。
 ボーイングによると、2022年から最大98機を改修するという。
F-15EXの詳細はこちら
image046
大型ディスプレイを採用したF-15EXがAdvanced F-15と呼ばれていたころのシミュレーター(ボーイング提供)
重工とボーイングはF-15近代化で契約したはずであった・・・・

わずか数カ月であっという間に良好な日米関係と言う砂のお城は崩壊してしまったようだ。
米国の国益など考えず甘いお客さんから取れるだけ取ろうという人達がF-15近代化改修を今度は潰しにかかってきている・・・

【東京新聞】2021年3月13日 17時59分 (共同通信)

image050
 
離陸するF15戦闘機=2015年4月、航空自衛隊那覇基地

 岸信夫防衛相は16日にオースティン国防長官と東京都内で会談し、航空自衛隊のF15戦闘機に長距離巡航ミサイルを搭載する近代化改修を巡り減額要求する方向で調整に入った。改修の初期費用に関し当初想定の約800億円から3倍の2400億円近い額が米側から提示されていたことが判明。事態を問題視し、閣僚間での直接協議が必要だと判断した。複数の防衛省関係者が13日、明らかにした。
 政府はF15改修の初期費用の大幅増を受け、2021年度予算案への経費計上を見送った。今夏の22年度予算案概算要求に向け、日米間の事務方による協議が続けられているが、妥結には至っていない。


【ロイター】共同通信,2021年4月7日6:59 午後

防衛省が、航空自衛隊のF15戦闘機に長距離巡航ミサイルを搭載する改修の経費として、2020年度予算に計上した390億円の執行を見送ったことが分かった。米側が示す改修費用が大幅に膨らんだため、執行せず減額交渉を優先させる必要があると判断した。政府関係者が7日、明らかにした。21年度も同様の理由で予算計上しておらず、27年度までに20機を改修する目標達成は一層困難になった。

 20年度予算に盛り込んだのは、機体を改修するための準備に必要な初期費用。19年度から2年間で計802億円を充てたものの、米側は部品の枯渇などを理由に、3倍近い約2400億円を提示した。

【共同通信】

F-15近代化改修=F-15JSIは、F-15preMSIP機102機をF-35で置き換える代償を払ったにもかかわらず、今度は一転潰しにかかってきている。

そのこころは!日本にF-15EXイーグルⅡを100機買わせることではないか?
日本の航空機産業維持という国益を考えれば私は
F-15EXイーグルⅡ導入は反対の立場だが、「おきゃくさん~老朽化したF-15をレストアするより、新車のF-15EXイーグルⅡを導入した方がコスパいいでっせ」という悪徳ディーラーの甘言にも一理ある。

日本は2020年度の改修経費は見送ったがF-15MSIP機の近代化を根本的に放棄したわけではないので今後の展開が注目されるが・・・米国は日本にF-15EXイーグルⅡを買わせ、あわよくばこれで日本の戦闘機産業を潰し、次期戦闘機計画まで葬り去ろうとしているのではないだろうか?・・・・

日本はどうすべきか?

F-35の追加分はF-35Bのみとし、60機
F-15EXイーグルⅡを購入、近代改修機であるF-15JSI機は、次期戦闘機で早期に置き換える。つなぎ的にF-15MSIP機もF-15EXイーグルⅡ導入まで繋ぎで40機は最低限長距離巡航ミサイルが発射可能な改造を施すが基本次期戦闘機で置き換えていく。

これにより日本は、F-35A42機 F-35B42機 
F-15EXイーグルⅡ60機、次期戦闘機を200機体制にしようじゃないか!

まあ、日本は強気に米国と交渉すべきじゃないか!その為にも日本は早期に中国共産党によるウイグル人ジェノサイトを認定し、北京冬季オリンピックボイコットを打ち出す必要がある。

もっとも北京冬季五輪を言い出せないのはその前に東京大会を今年開催する為であり、来年に持ち越さなかったのは、東京大会を開いた後北京冬季をボイコットするためではなかろうか?

スクランブル大減少!空自が「もう限界」の危機状況 
東シナ海上空は中国の空になってしまうのか 
【JBpress】数多 久遠 2021.4.10(土)

image053
防衛省の東京・市ヶ谷庁舎

(数多 久遠:小説家・軍事評論家、元幹部自衛官)

4月9日、統幕(統合幕僚監部)が2020年度の航空自衛隊スクランブル実績を公開しました。2020年度は725回で、一昨年(2019年)の947回から大きく減少し、4分の3ほどになっています。ここ7年ほどは900を超えることが多かったことを考えれば、かなり特異な変化です。

件数としては冷戦末期をも下回る件数となりましたが、冷戦時は北方でのスクランブルが多かったので、南西方面が多い現在とは状況が異なります。そして、それ以上に注目すべきなのは、このスクランブル減少の理由が、脅威が減少したからではなく、実は自衛隊の対応能力が限界に達したから、言い方を変えれば、航空自衛隊が音(ね)を上げたからだという点です。

スクランブルはもう限界
 
今回の資料が公表される1カ月ほど前、2020年度はスクランブルの総量を抑えていることが一部政府関係者からリークされ、時事通信が報じていました。スクランブルを行う対象を、日本領空に侵入される恐れがより高い機体に絞った、ということです。

スクランブル件数の四半期ごとの実績を見ると、大きく減少しているのは第2四半期、第3四半期です。第1四半期と第4四半期は同等ですが、対中国最前線となる南西航空方面隊に限れば、第1四半期のほうが第4四半期より少ないため、おそらく2020年度当初から総量規制が行われていたものと思われます。

南西航空方面隊でスクランブルを担う第9航空団は、2016年に1個飛行隊から2個飛行隊に増強されています。しかし、対ロシアスクランブルの中核である北部航空方面隊は、第2航空団と第3航空団を擁しながら、スクランブル件数が南西航空方面隊の半数でしかありません。

2020年は世界がコロナの直撃を受けましたが、中国軍の航空活動に大きな変化はありませんでした。むしろ活発化していると言ってもよいくらいでした。中国の軍事力増大の前に、空自が従来と同じことを続けるのは限界だったのです。

台湾はスクランブルを中止
 
その状況は、日本以上に中国軍の侵攻危機に晒されている台湾も同様です。航空自衛隊と同様に、スクランブルは限界に達しています。

その結果、3月29日、立法院(国会)において台湾国防部の張哲平副部長がスクランブルを中止したことを公表しました。代替措置として、陸上に配備された地対空ミサイル部隊が中国機に対処する態勢をとっているとのことです。

台湾は、新鋭機でのスクランブルが能力の限界となったことから、旧式機でのスクランブルに切り替えていました。しかし、それでも労力がかかりすぎることから、今回の地対空ミサイルでの対処としたようです。

なお日本でも、航空自衛隊の地対空ミサイルであるパトリオットが警戒待機を行っている他、陸自の地対空ミサイル部隊も必要に応じて対処する準備を行っています。

今まではスクランブルのやり過ぎだった?
 
では、対処能力が限界だからといって、スクランブルを行わなくていいのでしょうか? それで、日本の安全は保たれるのでしょうか?

元航空自衛官である筆者がこう言うと意外に思われるかもしれませんが、筆者としてはこれでいいと思っています。というより、従来がやり過ぎだと思っていました。

もう10年以上も前の2009年、筆者はブログに書いたことがあります。真面目過ぎるスクランブルは、空自の能力を敵に知らせる結果ともなるため、守るべきものが守れる範囲で、もっと適当にやった方が良いのではないか、という趣旨でした。

筆者の意見に対して「ADIZ(防空識別圏)に入られているのに、何を言っているんだ!」と批判する人は多いことでしょう。しかし、そういう人たちはそもそもADIZを誤解しています。

ADIZについて詳細に書くとそれだけで長大な記事になってしまうので、ここでは簡単に書くにとどめますが、ADIZは、各国がそれぞれの領空に不法に侵入されることがないように「この範囲(圏)に入った航空機を確実に識別する」というエリアです。

ADIZは、国際法的にも国内法的にも、なんら権利がある範囲ではなく、防衛大臣が航空自衛隊に対して「この範囲はしっかり識別しなさい」と言っているに過ぎません。

なお、ADIZについて詳しく知りたい方は、参議院議員であり、元航空自衛官、しかも実質的にスクランブルの発令を判断する立場であった宇都隆史議員のブログ記事を読むことをお勧めします(ウィキペディアは記述に誤りがありますのでお勧めしません)。

本来、スクランブルは、領空侵犯を防止するために実施するものです。空においては、排他的経済水域などがある海上と異なり、基線から12マイルと設定されている領空の外側には何ら主権、国際法上日本の権利が及ぶエリアはありません。この領空にさえ入られなければよいのです。ADIZに入っただけであれば、家の前の公道を知らない人が通っている状態と同じと言えます。

つまり、2020年度は、ただ公道を通り過ぎようとしている不審者に対してはスクランブルをしなくなったということです。より怪しい不審者(日本領空に侵入される恐れがより高い機体)だけを警戒するようになった結果、スクランブルの回数が減ったのです。逆に言うと、今までは、そこまで警戒しなくてよいと思われる不審者に対しても警戒の目を向けていたということです。

より警戒すべきは中露の連携
 
しかし、その一方で、最近の周辺国の航空活動は、より実際の戦闘が発生する可能性を想起させるものとなっており、危険度は増大しています。

今回統幕が発表した2020年度スクランブル実績資料で注目すべき点は、中国とロシアの連携です。12月22日に発生した中国のH-6爆撃機4機とロシアのTu-95爆撃機2機の共同飛行は、防衛省も連携した行動だとして注目し、特異ケースとして公表しています。

image055
2020年12月22日に発生した、中国の「H-6爆撃機」4機とロシアの「Tu-95爆撃機」2機の共同飛行の経路

また、防衛省は「連携した行動」と公表してはいませんが、3月29日に発生した中国のY-9情報収集機1機、哨戒機1機の飛行、ロシアのIL-38哨戒機2機の飛行も連携したものであった可能性があります。

3月9日、米インド太平洋軍のデービッドソン司令官は米上院軍事委員会の公聴会において、「6年以内に中国が台湾を侵攻する可能性がある」と証言しています。そして、3月24日にはジョン・アキリーノ太平洋艦隊司令官がデービッドソン司令官に異を唱える形で、中国による台湾進攻はもっと早く、多くの人が理解しているよりも差し迫っている、との認識を示しています。

台湾有事が発生すれば、日本は南西方面に戦力を集中させ事態に対処しなければなりません。しかしその際、中露が連携し、ロシアが日本の安全を脅かす行動をとれば、日本は機動により南西方面に戦力を集中させることが困難になります。

それだけではありません。日本のマスコミはあまり報じていませんが、現在、ロシアは、ウクライナから奪ったクリミアと東部ウクライナで戦力を増強させ、挑発行動を繰り返しています。さらにウクライナ領内に進攻する可能性は低いと思われますが、ロシアの行動は、中国と連携し世界規模で機動する米軍の極東集中を阻害するための助攻である可能性があります。

中露の連携は、日本にとっては北部方面と南西方面の2正面作戦を強いるものであり、アメリカにとっては東欧と極東の2正面作戦を強いるものなのです。

米軍高官の発言とともに、2020年度のスクランブル実績の内容からは、極めて危険な兆候を読むことができます。注意が必要でしょう。

日本以上にスクランブルを控えざるを得なくなった台湾国防部の張哲平副部長は、「消耗戦の問題を考えている」と述べています。スクランブルを強いる中国軍による挑発飛行は、上陸前支援のための艦砲射撃のようなものである可能性があるのです。
スクランブルという観点から言うと、F-15Jはいかに最高のメインテナンスを施し続けたといっても酷使され続けられているので、改修機よりも新型機が望ましいところだが、F-15はかなり頑丈な機体であるから、改修機でも問題ないが要はコストの問題である。

元々F-15Aを設計した際の飛行限界寿命が4,000時間であったが、強度試験と実際の運用通じた見積もり見直しA~Dまでは想定設計飛行寿命8,000時間まで延長可能とのことだった。
 
ところが、現在米空軍の平均使用年数は37年、飛行時間はすでに1万時間弱にも達しています。ソース1.ソース2

F-15Cの寿命は16000飛行時間まで拡張できるとアメリカ空軍は見込んでおり、また、ボーイングの疲労試験だとC/Dが18,000時間、E型系は32,000時間。18000飛行時間の耐久試験も実施されたが致命的な破壊は生じないことが実証されています。したがってF-15Jも16000飛行時間程度、まだまだ現役を続けられる計算となります。

 

2007年10月ミズーリ州で起きた飛行訓練中のF-15C型機の墜落事故の事故原因は、機体を支える構造材となる縦通材が飛行中に破断したことが、墜落につながったとの調査結果が、2008年1月10日の米空軍の事故調査委員会より発表された。

image062
https://combatace.com/forums/topic/27216-f-15-mid-air-breakup/

この事故をうけ日本のF-15Jも含めF-15が全面飛行禁止となる事態となり、日本でもF-2が一時飛行禁止状態と重なり、一時日本の空を守るのが老兵F-4EJ改のみとなる事件が起きた。

墜落の原因となった機体の分断は、機体を支える縦通材が設計通りの部品ではなく経年の金属疲労によってひび割れが生じ、機体の重量を支えきれずに破断を起こしたために生じたとの結論に達した。

この縦通材は不良品らしく、保有機の40%が使われていたとのことだった。

しかし、伝説の片翼帰還を果たしたネゲヴ空中衝突事故 (1983年)からわかるように
F-15ほど頑丈な機体は無い。

image068


F15片翼で帰還

F-15はその後機体構造の頑丈さから最新鋭の戦闘能力を強化し2040年まで機体の寿命を延ばすAdvanced F-15 2040C計画が提案された。



結局この計画が、どうせコストが掛かるのであるならば、思い切って新造するF-15X構想が持ち上がり、F-15EXで結実した経緯がある。

日本も同じ流れであるならば・・・F-15改修にコストをかけるのであればF-15EXを導入し「F-15EJ」?の可能性がある。

あくまでもF-15でなければ日本が2008年に陥ったF-2とF-15の飛行停止による防空戦闘機はF-4EJ改のみといった危機を乗り越えることができない。

F-15J /EJ、F-35A/B、F-3の3機種体制は必須である。

このF-15改修問題そう簡単に決着をしないと思うが、どう展開するか?引き続きウォッチしていきたいと思います。