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将来中距離空対空誘導弾(JNAAM)
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【WING】2021.04.14

従来型ロケットモーターと違う推進方式を検討

 防衛装備庁は4月13日、将来の空対空誘導弾に関して技術的方策を検討するため、情報提供企業を募集すると公表した。今回の募集した理由について装備庁は、従来型のロケットモーター方式とは異なる推進方式を有する将来の空対空誘導弾に関する検討を効果的かつ円滑に行うためとしている。

 装備庁は募集に当たっての条件として、第1要項と第2要項を満たす企業としている。第1要項としては、防衛省の文書開示などについて適当であると認める企業である企業であることを求めている。第2要項としては、空対空誘導弾に関する研究、開発、製造などの実績を有する企業(下請けあるいは協力企業を含めることも可能)、空対空誘導弾の開発または製造などに関する知識および技術を有することを証明出来る企業、このいずれかを満たす日本法人であることを求めている。

 情報提供意思のある企業は、4月26日17時までに情報提供意思表明書と上記要項を確認出来る書類を添付した上で、担当窓口に提出する必要がある。


情報提供企業の募集

防衛装備庁は、将来の空対空誘導弾に関して、その技術的方策を検討するにあたり、 以下のとおり、情報提供する意思のある企業を募集しますので、ご協力をお願いしま す。

令和3年4月13日 防 衛 装 備 庁

1 募集の目的
本募集は、従来型ロケットモーター方式とは異なる推進方式を有する将来の空対空 誘導弾(以下、「将来装備」という。)に関する検討を効果的かつ円滑に実施するため、 係る将来装備に関連する実績、知見、能力を有する民間企業のうち、将来装備に関し て情報を提案する意思のある企業を募集し、これと適切な意見交換をすることによ り、技術的方策を検討することを目的とするものです。なお、本検討は、あくまでも ライフサイクル全般を通じて最も費用対効果に優れた装備品の取得を実現していく 情報収集の一環として、従来型ロケットモーター方式とは異なる推進方式について情 報収集するものであり、将来の空対空誘導弾の推進方式、将来の新たな事業開始の決 定又は契約業者を選定するための手続きに一切の影響を与えるものではありません。
 
昨日の記事にあるように防衛装備庁、将来空対空誘導弾で情報提供企業募集しているなかでまずは、将来空対空誘導弾について少ない情報から妄想をからめて現時点でどのようなものになるか考えてみました。

将来空対空誘導弾については、AAM-5の後継短射程AAMか中長距離AAMか現在不明だが、私の勝手な予想だが将来中距離空対空誘導弾(JNAAM)の次の将来長射程空対空誘導弾の開発が検討されだしたと思う。
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将来中距離空対空誘導弾(JNAAM)

2017年10月29日

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現在英国のミーティアAAMに日本のAAM-4Bのシーカーを搭載したJNAAM(Joint New Air to Air Missile)新ミサイルの開発が最終段階になり、研究試作から2021年度はいよいよ所内試験にうつり、2023年には開発が終了する。

今回の防衛装備庁による提案企業の募集の将来空対空誘導弾はJNAAMの次世代空対空誘導弾と言うことになると思います。



JNAAMの想定スペック

 ・分類:有視界外空対空ミサイ 
 ・実戦配備:2024年(新元号6年)開発終了予定
 ・製造:MBDA/BAE+三菱電機 
 ・弾頭:HE破片効果爆発型
 ・誘導方式 中途航程:INS+COLOS( 慣性・指令誘導 )                  終末航程: アクティブ・レーダー・ホーミング(Active Rader Homing, ARH)
 ・ミサイル直径 17.8cm
 ・ミサイル全長 365cm
 ・ミサイル全幅 48cm(ミーティア推定全幅55cmの制御翼を20%短くした場合の推定)
 ・ミサイル重量 185kg?
 ・推進方式:ダクテッドロケット
 ・射程:公式100km+、非公式推定射程300km~400km
 ・速度:マッハ4~5

JANAAMの射程は非公式で300km台あるが、
中国のASMがYJ-83J型のASM型が250kmYJ-62が400km、YJ-18は500km台の射程距離がある。その為、その母機を撃墜するには1000kmはないかないとは思うが、極超音速で500km超~600kmの射程が求められるだろう。

また、JANAAMにはAAM-4Bのガリウムナイトライド素子を組み込んだシーカーをベースに高性能シーカーを搭載しているが、将来空対空誘導弾には更に高性能なシーカーが開発されると予想します。

現在
次期戦闘機に搭載する予定の高出力のAESA(アクティブ電子走査アレイ式)レーダーには、高出力の窒化ガリウム(GaN)素子を用いていますが、将来空対空誘導弾にも高出力の窒化ガリウム(GaN)素子や炭化ケイ素(SiC)を用いた超高性能新シーカーが開発されることが予想されます。

従来型ロケットモーターと違う推進方式とはミーティアやJANAAMのようにダクテッドロケットエンジンのことかもしれませんが、防衛装備庁技術シンポジウム2018会場の片隅において展示されていたローテティング・デトネーションエンジンを用いる可能性があると私は思います。


ローテティング・デトネーションエンジンの研究
○安藤友香*1、山田誠一*1、山根喜三郎*1、及部朋紀*1

1.背景及び目的

現在、航空機や誘導武器の推進システムはガスタービンエンジンが主流ではあるが、近年、新たなエンジン形式が注目されており、ローテティング・デトネーションエンジン(以下「RDE」という。)(図 1)はその一つである。

デトネーションとは、衝撃波と火炎が相互干渉しながら超音速で伝播する燃焼のことである。RDE は、それらを円周方向に伝播させることで連続燃焼を可能としたエンジンを指し、ガスタービンエンジンよりも高い熱効率とエンジンの小型化が期待される。未だ十分に作動特性が解明されていないが、推進システムとして適用することができれば、ゲームチェンジャーとなり得る技術である。

本研究は、科学技術者交流計画(ESEP)において、米空軍研究所で RDE の研究を行っていた米軍技術者とともに RDE を仮作し、それを用いて燃焼試験を実施することで、将来の推進システムとして、RDE の実現性の評価を行うものである。

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2.研究の進捗

本研究で仮作した RDE は、米空軍研究所にて実績のある RDE をベースに設計し、現在、水素燃料を使用して、約1秒間の作動確認まで完了している。

作動確認の際は、RDE 内の圧力変動の計測と、燃焼反応によって発生する OH ラジカルの発光を対象とした OH 自発光高速度撮影を実施した。その結果から、図 2 に示すとおり、RDE 内の圧力変動と燃焼反応域の相関及び燃焼現象の超音速伝播が発生していることを確認した。計測した変動は約 3 kHz の周期性をもっており、衝撃波と火炎は、径 147 mm の円周を約 1400 m/s で伝播していることがわかった。また、燃料流量の違いにより、燃焼現象の挙動が変わることがわかった。

今後は、RDE の実用化のための技術課題である冷却機構を備えた RDE を仮作し、長秒時の作動におけるデータを取得することで、作動状態を確認し、RDE の実現性の評価を行う計画である。

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参考文献
1) Scott Theuerkauf, et al., “Experimental
Characterization of High-Frequency
Heat Flux in a Rotating Detonation
Engine”, 53rd AIAA Aerospace Sciences
Meeting, AIAA-2015-1603, 8 January
2015
*1航空装備研究所エンジン技術研究部 エンジンシステム研究室

ローテティング・デトネーションエンジンとは、(回転デトネーションエンジン:Rotating Detonation Engine:RDE)、ロケットの軽量化と高速化、簡略化を可能にする新技術で、液体ロケットで用いる水素と酸素による従来型の液体ロケットではなく固体ロケットのような単純で安価な夢のエンジンであり60年前より構想されていたものです。




エンジンが
ローテティング・デトネーションエンジンというのは、私個人の勝手な予想なのでなんの根拠もありませんが、固体ロケットを用いた従来のAAMの限界を大幅に超える技術として有力候補としてあげておきたいと思います。

射程600kmAAMだととてつもなく巨大化してしまってはステルス機の弾庫に収まらず、重ければ実用性に欠けてしまいますし、亜音速であればお話になりません。マッハ5~7の極超音速であれば600km先の標的も5分で到達します。

ローテティング・デトネーションエンジン説とするのは、成層圏を飛行する極超音速ミサイル/滑空弾もしくは中/短距離弾道ミサイル、低軌道衛星も撃墜可能な
新型短距離弾道ミサイル対処能力を有する地対空誘導弾システム実現のための技術的方策に関する情報提供企業の募集について
と将来空対空誘導弾は共有部分をもたせるような気がしてならないのです。

まあ、現時点では私の妄想にすぎませんが、かつてP-1とC-2が多くの共有部を有し同時開発をすると考えると、対ASBNミサイルと将来空対空誘導弾は姉妹兄弟として開発される可能性があるような気がします。

低軌道衛星付近まで到達する
対ASBNミサイルにはダクテッドロケットでは無理ですので、ローテティング・デトネーションエンジンを開発するかもしれませんので、その可能性をこの記事に書き残しておきたいと思います。

募集の主目的の
従来型ロケットモーター方式とは異なる推進方式がダクテッドロケットになるかローテティング・デトネーションエンジンになるか、それとも別の方式になるのか、今のところわからないが、何を採用しても遥か遠方の標的を数分以内に撃墜するサジタリウスの矢の開発が始まると思う。