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防衛省】平成30年1月12日
 
本日午後、尖閣諸島北西の東シナ海海上において、第15護衛隊所属護衛艦「おおよど」(大湊)及び第6護衛隊所属護衛艦「おおなみ」(横須賀)が、同諸島大正島の接続水域を昨日航行した潜没潜水艦が浮上、中国国旗を掲揚して航行しているところを確認しました。
防衛省としては、これらも踏まえ、当該潜水艦が中国潜水艦であることを確認しました。


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中国国旗を掲揚して航行する当該潜水艦


政府は12日、10~11日に尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の接続水域を潜没航行した潜水艦について、中国海軍所属であることを確認したと発表した。海上自衛隊の護衛艦が追尾していた潜水艦が12日、東シナ海の公海上で海面に浮上した際に中国国旗を掲げた。潜水艦が護衛艦を挑発する意図があった可能性もある。

これを受け、外務省の杉山晋輔事務次官は12日、程永華駐日大使に電話で「新たな形での一方的な現状変更で、事態の重大なエスカレーションだ」と抗議した。杉山氏は11日も程氏を外務省に呼んで抗議しており、2日連続の抗議は異例だ。

政府は11日の時点で潜水艦の国籍を公表していなかった。自衛隊は通常、潜水艦のスクリュー音などで国籍を特定するが、防衛省は「情報収集能力が特定される」として公表を見送っていた。

しかし、海上自衛隊の護衛艦「おおなみ」と「おおよど」は、潜水艦が11日に接続水域を出た後も追跡。12日午後になって尖閣諸島北西の公海上で潜水艦が浮上した際に公然と国旗を掲げたため、防衛省は公表に踏み切った。


【NHK政治マガジン】2020年6月21日 

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鹿児島県の奄美大島の周辺で確認された中国海軍のものとみられる潜水艦は、幅10キロほどの狭い海域を縫うように航行していたということで、政府は、海洋進出を強める中国が潜水艦の能力などを誇示した可能性もあるとして、警戒を強めています。

今月18日から20日にかけて、海上自衛隊は、鹿児島県の奄美大島の周辺で、外国の潜水艦が、浮上しないまま、日本の領海のすぐ外側にある接続水域を航行したのを確認しました。

政府関係者によりますと、この潜水艦は中国海軍のものとみられ、領海への侵入はなかったということです。

また、奄美大島とトカラ列島の間の狭い海域で、幅10キロほどの領海と領海の間を縫うように進んでいたということです。

このため政府は、海洋進出を強める中国が潜水艦の能力や、海底の地形に関する情報を収集していることなどを誇示するため、あえて狭い海域を通過した可能性もあると分析していて、警戒を強めています。
NHKの平和ボケは病膏肓に入る ほどの勘違いだ。潜水艦は見つからなくてなんぼの兵器、 中国が潜水艦の能力 誇示ではなく、接続水域を先行したまま通過したので、防衛省が公表し、中国海軍は世界に対し赤っ恥を晒したというニュースだ。

2004年11月に「漢」型原子力潜水艦(091型)が潜航しながら領海を侵犯したので海自は大音響のアクティブソナ/ピンガー(Ping)を撃ち警告を行っい上海沖まで追尾し、中国海軍に手違いでしたと陳謝させた。



まあ、「銅鑼を鳴らしながら潜航していると揶揄されていた」中国第一世代の原子力潜水艦なので、中共もこれでは開戦と同時に撃沈されてしまうと、静粛化に努め最新鋭原子力潜水艦「商」型原子力潜水艦(93型)を2006年12月に就役させた。そして2018年1月再び日本の領海侵入を試みた。領海に侵入しなければ監視するだけで終わるが、出航から終始海自は監視しており、接続水域に入った途端、大音響のアクティブソナ/ピンガー(Ping)を撃ちまくられ、「これが戦争だったら撃沈するよ」と浮上するまでピンガー(Ping)を撃たれた。

そこで、「商」型原子力潜水艦(93型)をの船体を若干延長し水中放射雑音も抑えた改良型の093A型を2020年奄美大島沖投入したものの、これもあっさり海自に発見されてしまったのである。

早い話が「恥の上塗り」をしてしまったのである。

中国海軍の潜水艦は、日米露のレベルから見ればオンボロだが、確実に静粛化はしているとのことだが、海自のASW能力の前ではただの標的である。

では、潜水艦は容易く発見できるのであろうか?実は「否」であり、中国潜水艦は発見されたことでもう負けなのである。

現代の対潜戦(ASW)は潜水艦騒音を利用し潜水艦から出る音の聴取分析とされ、対潜戦(ASW)はソナーの戦いであり、パッシブソナーは序盤の捜索手段を独占していた。

潜水艦の存在を察知する。その位層の概略を把擁する。進路や速力といった動向の大概を掴む。その手段としてパッシブ探知、つまりはパッシブ・ソーナーによる潜水艦騒音の聴取が利用されている。

1970年代以前はパッシブ戦が主流ではなく、潜水艦は水中騒音抑制にはそれほど熱心ではなかったため、ソノブイによるパッシブ戦が得意なP-3C導入時、潜水艦は圧倒的不利に陥った。

ASWは騒音探知を基盤に据えたパッシブ戦主体となったが今でも続いている状態である。P-3Cを日本が導入した1980年前後は、対潜水艦戦は、圧倒的に航空機や水上艦による探知側が優勢であった。

一説には米ソ冷戦に米国が勝利できたのは海自P-3Cによるソ連潜水艦隊の封じ込めに依るところが大きかったとの分析もある。

ところが近年潜水艦が格段に静粛化したことにより、パッシブソナーによる航空機やヘリによる航空優位の時代は終焉し、潜水艦優位の時代だと言う。

日本の通常動力潜水艦はほぼ無音、演習において海自潜水艦が発見されることは極めて稀なこととなっているとのこと。

CS放送の番組で視たのだが、海自の潜水艦乗り達は、演習において発見されることは「恥」だとインタビューに応じていました。演習において海自潜水艦が発見されることは稀で、現代ASW戦においては、海自の実力は圧倒的だそうです。

海自潜水艦の
有名すぎる最強エピソードは皆さん知っていると思いますがご参考。




ちなみに最強伝説の該当潜水艦はそうりゅう型の一つ前のおやしお型だと記憶しています。

対潜部隊は発生騒音を頼りとして潜水艦を探すことが困難となりつつある状況であり、海自による潜水艦発見追尾能力は、世界的に突出しているのであって、未だ中国潜水艦を容易に把握しているが、パッシブソナーだけによる潜水艦捜索はそろそろ困難となってきているのも事実である。

つい10年数年ほどまでは、パッシブソナー以外の索敵手段は磁気探知MAD等は補助手段であった。アクティブソナーは潜水艦を探し出す手段としては使わず、攻撃直前に最終確認のためにピンガー(Ping)を打つに過ぎなかった。

磁気探知MAD探知も現代ASWでも今では最終段階でしか使わない。戦時なら短魚雷で攻撃する直前に攻撃範囲にあるかを判断する手段である。哨戒機や艦載ヘリが使用する磁気探知機MADは、それを確認する程度の手段だった。

令和3年5月10日防衛装備庁の提案企業の募集のページが更新され

回転翼哨戒機用磁気探知装置に関する情報提供企業の募集についてと、新たな磁気探査装置の募集が公募された。

米国の新型対潜哨戒機P-8ポセイドンは、MADを廃止したが、日本は第二次世界大戦時の日本初の対潜哨戒機「東海」に搭載された磁気探知機KMX以来重要な索敵手段としP-1にも搭載され、そしてヘリ用に新たに開発するということは、潜水艦の静粛化に関係していると思われる。


5月10日に初飛行したSH-60L (SH-60K 能力向上型)にはMADは既に取り付けられている為新規開発をすると思われる。

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まったくの個人的見解だが、従来型のMADと違いSH-60L (SH-60K 能力向上型)に搭載されたマルチタックス戦術対応可能なアクティブソナーと、適応制御ミリ波ネットワ-クシステムとも連携したハイブリッド型のMADとなるのではないかと予想(妄想)しています。


近年のネットワーク中心の戦いにおいて、増大する通信所要に対応するため、ミリ波帯において、高速大容量移動通信を実現するための通信システムです。

GaN(ガリウムナイトライド)増幅器を用いたアクティブ・フェーズド・アレイ空中線と通信制御技術を組み合わせることにより、マルチアクセス、マルチホップ可能なミリ波高速ネットワークの構築を実現します。

アクティブ・ソーナーに関してはマルチスタック戦術により、静粛化した潜水艦を索敵するメインの索敵手段としてパッシブソナーからメインの索敵戦術方法として今後主流となっていくことが予想される。

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マルチスタック戦術とはアクティブソーナーからピンガー(Ping)を打ち、水中目標からの反射波を複数のソナーで受信し、ミリ波ネットワークでで共有し潜水艦を探す手法である。






ご存じのように、日本近海は米軍のSOSUSと海上自衛隊が水中固定聴音装置を設置・運用していることは公然の秘密となっている。公式情報は少なく、設置箇所や運用方法は公表されていないが、国会にて存在を認める答弁をしてきている。

現在でも水中固定聴音装置は中国潜水艦に対しては機能しているが、ロシア原潜の静粛化は著しいらしい。特に最新のヤーセン型は騒音原因の循環冷却システムのメインの循環ポンプを常には動かさず、自然の水の循環を利用する方式に改良した為、通常動力型並に静粛化した。


いずれ中国も静粛化していであろうから、水中固定聴音装置とマルチタックス戦術をハイブリットすることも検討すべきと思う。

また、日本はマラッカ海峡から太平洋一帯の水中監視を海底ケーブル網を使って行っている。

2012年3月に「NHKの「サイエンスゼロ津波地震計」という番組が放映された。3.11東日本大震災の際ある極秘の秘密が図らずも暴露されてしまったのだ。もしかしたら意図的だったかもしれない。

テーマは海底津波地震ケーブルセンサーというもので何ということもない科学テーマだったのだが、海底ケーブルにはセンサーが無数に取り付けられており、番組では「太平洋東北ケーブルセンサー網」が照会され、東南海、九州沖縄、東シナ海、尖閣周辺および海峡島嶼周辺もケーブルセンサー網で覆い尽くされていた。

海底ケーブルのセンサーで津波も感知するが潜水艦も感知できるという驚くべきことが暴露されていた。

サイエンスZERO「津波の真の姿をとらえろ 世界最大!海底地震津波観測網」



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海底ケーブルには各種センサーが取り付けられており、このセンサーは微弱な地震や津波でも水流・水圧。傾斜・磁気・音響で津波や地震の振動を即時に感知できる。もちろん、潜水艦のスクリュー音もこのケーブルの上を通過すれば即座に探知できてしまう

センサーは
微弱な電流を感知する水中電場センサー、UEPと呼ばれる微弱電圧またはELFEと呼ばれる脈動の周波数成分を測定する。後者はスクリュー回転に伴う腐蝕/防食電流の電圧変動や漏電電流への交流成分影響により生じる。日本は1970年代から30年かけて網をかぶせたのである。そのほかに、旧海軍時代から使用されているガードループと呼ばれる水中電場センサーも併せて利用されていると考えられている。ソース1.ソース2

中国側の資料では海自が磁気センサーを80年代津軽海峡と対馬海峡に磁気センサーを設置したとの情報もある。中国原潜は、音だけではなく、磁気や水中電場UEP(利微弱電流)で、日本近海は監視されている。



軍事研究 2021年2月号文谷数重氏の中国潜水艦を捕まえろ「水中電場センサ」より抜粋

(略)
水中電場UEPによる探知

 水中電場とは何者であるか?
 水中に生じる電位勾配である。水中で電流が流れる際に比較的広範囲で生じる。通常は水中電位の英略称であるUEPと呼ばれる。以前にはELPFI Effctともいわれていた。

 この水中電場も騒音探知に代わり得る手法である。 潜水艦は周囲に水中電場を伴う。その主要因は防蝕電流である。 艦船には亜鉛ブロックによる船体腐蝕措置が施されている。鋼製船体が銅系合金スクリューとの組み合わせで電気腐食を起こさないようにする。そのために船体外に別に亜鉛製ブロックを取り付けている。そうすれば亜鉛が犠牲となり、先に電気腐蝕を受けるようになる。これを犠牲電極と言う。

 この亜鉛は銅製部品と電池を構成し船体内に電流を流す。スクリューほかの鋼製部品から推進軸、軸受、軸受支持構造あるいほ減速機・機関から船殻を通じて犠牲電極の亜鉛に至るかたちである。そのよう回路で電流が流れる。

 その際には海中でも電流が流れる。船体内で電流が流れた結果、船外の銅製部品の表面では電子が過剰となる。亜鉛ブロック表面では電子が不足する。この電位差を打ち消すため鋼表面から亜鉛表面に向けて海水中を電子が移動する。電流で示すなら逆方向の亜鉛から鋼の向きに流れる。

 この電流は水中の広い範囲に影響を及ぼす。多くは亜鉛と銅の最短経路を通るが、一酔は外側に膨らんで通る。さらにその一部は海底面近くまで遠回りをする。
 それにより海中に測定可能な電位差が発生する。これを水中電場またはUEPと呼ぶ。

 細かく言えば、発生原因は他にもある〈例えば船内電源の漏電や地磁気内での船体移動に伴う起電力発生である。また気泡の静電気もUEPを作る。水上艦船ではウエーキ(航跡波)も発生源となるとされている。

それからすれば、キャビテーション発生状態の潜水艦も同じである。
いずれにせよ潜水艦探知ではこのUEPを監視する。センサで水中二点間にある電位差を精密測定する。これは電圧と言ってもよい。それでUEP発生を感知し、その変動を掴む。(略)

海底配置センサとして利用

 このUEP、ELFEは将来の潜水艦探知方法となる。 
(略)
 なぜUEP、ELFEは将来の潜水艦探知手法となるか?
 第一の理由は、無音潜水艦も探知できる利点である。
問題は潜水艦の静粛化である。現用の騒音探知手法はそれで威力を失いつつある。いずれは通用しなくなるおそれがある。
 
UEPはこの問題を解決できる。 非音響方式だからだ。探知においては潜水艦の騒音や雑音の大きさは関係しない。その点で進行中の静粛化や将来あり得る事実上の無音化にも対処でき、現用手法に変わる潜水艦探知手段となり得るのである。

 探知状況も安定している。原理的に目標潜水艦の近接を探知できない状況はあまり考えられない。水中電場の環境が静謐であれば、目標潜水艦は安定して探知できるからだ。

(略)

■広域探知が可能である

 第二は、広域探知できる利点である。UEPセンサの探知距離は比較的長い。そのため広い面積を監視できる。
 このため騒音探知の更新代替に向く。これまでパッシブ探知が果たしてきた役割を引き継げるのである。
 実際の探知距離は今でも10kmは超えている。1970年代の米国製センサでは、沿岸でも五kmの探知が可能であった。
そして80年代初頭には10kmの探知が目標とされた。また以降のセンサ能力向上もある。それからすれば、今では同条件で10kmを超える探知範囲を持つだろう。

 そして将来の実用段階ではさらに延伸する。まずセンサ感度は今以上に向上する。また以前よりも外洋に設置される。
(略)

海底設置に適する

 第三は、海底への固定設置に適する性質だ。 UEPセンサはこの条件を満たす数少ない探知手法である。 まずは海底に配置できる利点がある。
海水中での設置が可能であり、その状態でも動作する。 これはほかの非音響手法では実現できない。潜望鏡探知も熱尾流探知も電磁波手法である。そのため水中では利用できない。

 また省電力で動作する利点もある。探知にはさほどの電力を必要としない。センサは電位を計測するだけ。後段も増幅と信号処理により周波数ほかを解析するだけだ。

 つまりは大がかりな電力供給網はいらない。その分、海底警戒線の構成重荷は容易となる。
 (略)

航空機や水上艦用と併用される

 UEPセンサは騒音探知に代わる手段となる。その理由は以上のとおりである。 ただ、止用途は海底設置センサに限定される。既存の水中ハイドロフォンを置き換える。そのような機材にとどまる。航空機や水上艦での利用はない。現段階では哨戒機、艦載ヘリ、水上艦が利用するUEPセンサはない。仮に作っても、まず水上艦には向かない。自艦や僚艦の防蝕機構で生じるUEP・ELFEの影響を受けるからだ。

 また、その場合には大出カアクティブや熱尾流探知が有利となる。これらは既存機材の延長である。航空機や水上艦への搭載は極端な困難は伴わない。

 特に前者はおそらく探知距離でも優れる。条件が許せば、コンバージェンス・ゾーンやボトム・バウンズによる大遠距離探知も期待できる。

 だから、UEP探知は騒音探知をすべて置き換えるかたちとはならない。航空機や水上艦用の新探知手段と併用される。
潜水艦の存在察知や対潜戦序盤での探知も双方が果たすかたちとなる。

■日本はすでに利用している?

 なおUEP、ELFEはすでに配備されている可能性がある。 まず実用を妨げる要素はない。技術面での問題はない。実物センサも存在している。海底への設置も極端な困難はない。既知のUEPセンサはいずれも軽量である。 また配備の必要性もある。潜水艦の静粛化は三〇年以上前から始まっている。そしてl一〇年前から対潜側は潜水艦に対して不利な状況に陥っている。その後も潜水艦側は自艦雑音の縮減を進め続けている。

 だから実利用はあっても不思議はない。海峡防備や港湾防備用として使われる。その程度の蓋然性は存在している。 特に日本にはその雰囲気がある。状況からすれば、すでに設置しているようにも見受けられる。
 それを疑う材料は多い。

 一つ目は、動機付けとなる要素の存在だ。 もともと海自は対潜戦に熱心である。太平洋戦争では米潜水艦によって敗北に
追い込まれた。冷戦期ソ連海軍の脅威も潜水艦であった。また米国には西太平洋での潜水艦防過が期待されていた。そのような経験から海自は潜水艦対策に力を注ぐ対潜海軍となった。

 また中国潜水艦の監視にも力を注いでいる。冷戟終結以降、中国海軍力の成長が脅威祝されるに至った。特に中国艦艇、中でも潜水艦の活動を監視している。

 そして、その監視正面は海底センサ配置に向いている。南西列島線は中国潜水艦にとって迂回困難な航路収束部である。
太平洋への出入では通らざるを得ない。そこに海底センサを配置すれば二四時間・三六五日を連続して警戒できるのだ。 つまりはUEPセンサを置く理由には事欠かないのである。

 二つ目は、配備済みを窺わせる状況である。 日本は着実な潜水艦探知を重ねている。 海自は中国潜水艦の接続水域通過を発表している。その頻度は一~二年に一回にのぼる。いずれも潜航状態での接続海域通過である。

 背後には多数の接続水域に入らない潜航通過がある。中国海軍の活動や中国潜水艦の敷からすれば、太平洋への出入は盛んと判断できる。

 おそらくはその通過数の相当を日本は発見・監視している。そのうち接続水域以上の海面に入り込んだときだけ、通過を公表しているかたちなのだろう。

 これはUEPセンサの配置を窺わせる。 もちろん海底ハイドロフォンで探知している可能性もある。 その音響探知能力も高い。艦艇や航空機のソーナーとほ比較にならない。大型高感度であり、雑音が極めて少ない環境に据えられている。また当然ながら搭載艦の都合によるサイズの制限や航走雑音の影響も受けない。

 ただ、中国潜水艦も静粛化が進んでいる。キロ級以降の在来潜が電池航行する場合はまずは雑音も出さない。特に南西諸島線を通過する際は可能な限りに無音状態をとる。

 おそらく日本はそれら潜水艦も探知している。それからすれば、やはりUEPセンサほかの非音響センサの利用も考えられる。特に種子島と奄美、沖縄本島と宮古島の空隙でみる。これらは比較的広いため、もう一つの選択肢である磁気センサには向かない。

 三つ目は、あるべきものがない不自然である。 繰り返すが、日本は対潜戦を重視している。そのために必要な対潜戦力の整備に力を注いでいる。 さらに以前から海峡での敵性潜水艦の捕捉阻止を公言している。冷戦期の三海峡封鎖はそれである。
 しかもそのための水中監視網整備にも力を注いでいる。機材には相当の投資がなされている。この50年でハイドロフォンだけでも5種類を用意している。LOQ・3・3A・4・5・6である。また海底磁気センサも配置している。古い海図にはそのための海底電線が記されている。おそらくは原始的なガード・ループと呼ばれる機材だ。ただ、それを新型機材で更新している可能性は高い。

 組織も用意している。真贋不明だが、海洋観測所や警備所がそれだ。水中監視機材を運用するための部隊と言われている。特に前者の所長は用兵幹部の1佐である。単に観測をしているとは考え難い。
 それからすれば、UEPセンサも当然存在す損はずの機材である。もしくは導入が目指されている機材である。だが、それがない。本来あるべき機材が存在しない。そして、それについて全く言及されていない。あたかもUEP探知が存在しないかのように振る舞っている。それが不自然である。

 四つ目は、防衛省の秘密主義である。防衛省は、重要と判断する事項を過度に秘匿する。また公然の秘密となっても、それを押し通す習性がある。
 かつてのU・2偵察機が好例である。日本国内への展開や藤沢での不時着では「米軍の気象観測機」の説明で徹底した。これはソ連での撃墜以降も変えなかった。偵察機である旨は否定しなくなった。だが、気象観測機であるといった説明も撤回しなかった。

 この傾向は特に水中武器では強い。潜水艦、魚雷、機雷、そして水中センサの仔細は海自部内にも教えない。また部外に公表するのは存在だけだ。

 関連部隊や機関も実際の仕事は隠す。海自の海洋観測所が詳細を示さないのは、おそらくそれである。また防衛装備庁の
川崎支所もそうだ。かつては第5研究所、今では艦艇装備研究所に属しており、水中センシング担当部署である。ここは研究内容を徹底秘匿している。研究内容を餞舌に説明する他の研究所とは好対照をなしている。
 これらの四つの要素から何が推測できるか?

 南西諸島への設置である。ハイドロフォン探知網に加えて、UEPセンサも配備されている。それにより静粛化を進めた中国潜水艦の探知に備えている。または無音化した潜水艦を探知している。そう考えられるのである。


執筆中