アメリカからは大不評

 フランスのエマニュエル・マクロン大統領が「台湾問題で米国と中国に追随するのは最悪」などと発言した。同盟国の間では「マクロンの裏切り」という批判が広がっているが、私は「これこそがフランスの本音」とみる。西側のひび割れは、今後も広がる可能性が大きい。


 マクロン大統領は4月5日から7日まで、中国を訪問し、習近平総書記(国家主席)と会談した。6日に北京から広州に移動する機内で、米メディア、ポリティコと仏紙レゼコーのインタビューに応じ、そこで今回の発言が飛び出した。同氏は、なんと言ったのか。

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〈欧州が直面している最大のリスクは、自分たちのものではない危機に巻き込まれて、戦略的自律性を発揮できなくなってしまう事態だ。困ったことに、パニックに陥って、欧州自身が「我々は単なる米国の追随者」と信じてしまっている。台湾危機の加速は我々の利益になるのか。その答えはノーだ。最悪なのは、台湾問題で米国の課題や中国の過剰反応に合わせて、欧州が追随しなければならない、と考えてしまうことだ〉
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 この発言が報じられると、米国では反発する声が渦巻いた。4月10日付のポリティコは「共和党議員たちは、台湾に関する『マクロンの裏切り』を非難している」という見出しで、次のように報じた。

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〈共和党の上院外交員会のメンバーであるトッド・ヤング議員は「中国共産党は西側社会と我々の経済的安全、さらに我々の生き方に対する最大の挑戦だ。フランスは、この脅威に目を開かねばならない」と語った。下院の「中国に関する特別委員会」のマイク・ギャラハー委員長は、FOXニュースに「(マクロン発言は)困ったものだ。不名誉で、地政学的にナイーブすぎる」と述べた。下院外交委員会のマイケル・マコール委員長も「大統領の意見には、失望した。中国共産党の台湾に対する脅しは、世界のバランス・オブ・パワーに対するリスクなのだ」と語った〉
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 米ウォール・ストリート・ジャーナルは10日付の社説で、マクロン発言を、こう痛烈に批判した。

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〈彼は習近平氏との会談後という最悪のタイミングで、ド・ゴール主義的なひらめきを示してしまった。…台湾をめぐる危機は誰も望んでいない。加速させるのは、なおさらだ。だが、それを防ぐためには、信頼できる抑止力が必要だ。…マクロン氏が対ロシア戦争で米国民の支持を減らしたい、と思っているなら、これ以上うまい発言はなかっただろう〉

〈マクロン氏は米国の兵器やエネルギーに対する欧州の依存度を減らしたい。と述べている。それは結構だ。しかしそれなら、そのための資金を出し、政策を変更してはどうか。…バイデン大統領は眠っていないなら、マクロン氏に電話して「ドナルド・トランプ氏を再選させようとしているのか」と尋ねるべきだ〉
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 欧州からも批判が出た。たとえば、欧州メディアのユーロニュースは「完全な分析の間違い。発言のタイミングも破局的だ」とフランスの専門家の言葉を伝えている。マクロン発言と同じタイミングで、中国は台湾付近で実弾を使った軍事演習を始めたからだ。

 中国は大喜びした。中国共産党系の環球時報の英語版、グローバル・タイムズは10日付の記事で「マクロン氏の戦略的自律に関する発言は、米国の覇権維持能力の低下を示している」と書いた。次のようだ。

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〈欧州が米国依存を減らし、米国と中国の抗争に引きずり込まれないよう注意を促したマクロン発言は、台湾問題をめぐって、欧州が深く関わらないよう欧州にブレーキをかけたと見られている。この合理的で実用的な警告は、フランス大統領を直ちに批判した米国の政治家やメディアを驚かせたようだ。かれらの不満は、米国が同盟国を制御する能力の低下と、覇権維持に対する懸念を反映している〉
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中国とヨーロッパの蜜月ぶり

はたして、マクロン発言はロシアの侵攻に抵抗するウクライナを支援し、中国の台湾侵攻を阻止しようとしている米国や欧州に対する「裏切り」なのか。ウクライナで米国に頼りながら、台湾は知らんぷりするなら「もちろん、そうだ」と言わざるをえない、と私は思う。

 米国のウクライナ支援は1月時点で、軍事、金融、人道分野を合わせて769億ドルに及んだ。フランスの17.6億ドルの実に44倍だ。この実績をみれば、フランスは米国の支援に、ほとんど「ただ乗りしている」と言ってもいい。米欧の関係者が怒るのも当然だ。

 だが、これが「マクロンの本音」でもある。

 この発言が飛び出した中国訪問で、マクロン大統領は習近平総書記(国家主席)に対して、まるで媚を売るかのように「親中姿勢」を強調した。

 4月5日に開かれた在中国フランス人向けの講演では、ウクライナ戦争をめぐって、中国の和平提案について、こう語った。

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〈フランスは中国の和平提案を歓迎する。フランスは提案のすべてに同意するわけではないが、それは紛争解決への意欲を示している。したがって、これが和平提案とは言えないとしても、少なくとも、平和への道を達成する試みであり、責任感を示すものだ〉
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 翌6日に北京で開かれた首脳会談では、習氏に「ロシアを理性的にして、すべての関係者を交渉のテーブルに戻すには、あなたを頼りにしている」とまで言い切った。

 習氏は、そんなマクロン氏を異例の大厚遇で迎えた。6日の会談に続いて、7日には広州に移動したマクロン氏の後を追って、自分も現地を訪れ、ネクタイを外した非公式会談と晩餐会を催したほどだ。

 7日に発表された中仏共同声明は「多極世界で国連を中心とする多国間国際体制を強化する」と記し、中国が最大の戦略目標に据えている「米国の1極支配打破=多極化実現」にも調子を合わせた。マクロン政権の親中路線は「本物」である。

 だが、欧州が中国に傾斜したのは、マクロン氏が初めてではない。

 ドイツのアンゲラ・メルケル前首相は経済的利益を重視して、中国に非常に友好的だった。英国のデイビッド・キャメロン元首相も「黄金時代」と呼ばれるほどの親密な中英関係を築いた。なぜ、そうなるか、といえば「欧州は中国から遠い」という実に分かりやすい地政学上の理由からだ。欧州は中国に侵略される心配がないので、経済重視で中国に傾斜するのである。


米国も一枚岩ではない
 米国がマクロン発言に怒るのは当然だが、では「米国はウクライナ支援で一枚岩なのか」と言えば、そうでもない。マクロン氏の逆をいく形のロジックで「ウクライナよりも台湾支援に全力を挙げるべきだ」という意見が共和党を中心に強まっている。

 3月17日公開コラムで紹介したように、たとえば、共和党のジョシュ・ホーリー上院議員は2月の講演で「我々は欧州全部を合計したよりも多くの武器をウクライナに送った。台湾を奪取しようとする中国の抑止こそが米国の最優先事項だ」と強調した。

 同じく下院議長のケビン・マッカーシー氏は昨年10月、「ウクライナに白紙の小切手を切れない」と語り、トム・コットン上院議員もワシントン・ポストの取材に「いまやロシアは行き詰まり、北大西洋条約機構(NATO)にとって差し迫った脅威とは言えない」という見解を示している。

 共和党に限れば、安全保障上の優先順位はあきらかに、ウクライナから台湾問題に移りつつある。具体的な脅威をもたらす国との力関係で安全保障を考える「リアリズムの立場」に立てば、当然である。

 米国にとって、ウクライナを脅かすロシアと台湾を脅かす中国のどちらが、より大きな脅威なのか。台湾であるのは明白だろう。ロシアは核保有国とはいえ、戦場で敗北しつつある。人口も経済規模も中国の10分の1にすぎない(デタラメ統計だが)。一方、台湾が中国に奪われれば、米国は太平洋で確保している覇権が危うくなる。

 一言で言えば、マクロン氏が「台湾は欧州に関係ない」と思っているように、米国の共和党も「ウクライナよりも台湾が大事」と思っているのだ。

米国のリアリズムの論理

米国のリアリズムは意外な形でも表面化した。

 米国やNATOの機密文書が漏洩した事件だ。文書はウクライナの戦争関連情報だけでなく、米国が韓国政府内の議論も把握していたことを暴露した。「米国に弾薬の提供を求められたら、どうするか」を議論していた韓国高官の会話を盗聴していたのだ。慌てた米国は韓国への釈明に追われた。

米国のリアリズムは意外な形でも表面化した。

 米国やNATOの機密文書が漏洩した事件だ。文書はウクライナの戦争関連情報だけでなく、米国が韓国政府内の議論も把握していたことを暴露した。「米国に弾薬の提供を求められたら、どうするか」を議論していた韓国高官の会話を盗聴していたのだ。慌てた米国は韓国への釈明に追われた。

リベラリズムだけで動くはずがない

日本はかつて、自動車摩擦をめぐって当時の通産省と自動車メーカーなどの会話が、米中央情報局(CIA)に盗聴されていた。今回の例をみれば「日本が盗聴対象になっていない」と考えるほうがナイーブすぎる。

 米国は同盟国といえども、いつも紳士的にふるまって、付き合っているわけではない。シャンペン・グラスを合わせていても、舞台裏では法もルールもお構いなしに、相手の腹を探っている。「英国には永遠の友人も永遠の敵もいない。あるのは永遠の国益のみ」と語った、かつての英首相パーマストンの言葉通りである。

 機密文書漏洩問題が、水面下でこっそりと続いていたリアリズムの発露とすれば、マクロン発言は国益に対する考え方を堂々と表面化させた事件と言える。緊張が高まる世界で、なりふり構わず、本音で動く国家の本質を示している。

 米国のジョー・バイデン政権は自由と民主主義、法の支配といった理想を掲げ、ロシアや中国との戦いを「独裁・専制主義陣営vs自由・民主主義陣営」と定義してきた。だが、そんな美しいリベラリズムだけで、国家が動くわけではない。

 マクロン氏や米国の言動にいきり立っても、仕方がない。本来、国家はそういうものなのだ。岸田文雄政権や一部の日本のマスコミ、専門家のように「リベラリズムで世界が動く」とみているほうが、よほどおめでたいのである。

 2つの事件は、自由・民主主義陣営の内側でも、国益をめぐる本気のせめぎ合いが始まった現実を示している。

長谷川 幸洋(ジャーナリスト)
復職して、ちょいと忙しくなり完全に更新がペースダウンしてしまいましたが毎日JRに片道約50分毎日往復2時間読書タイムが確保できたのは大きいのですが、日々の雑務のライン/メール連絡に費やしてしまっています。しかし読書は自分の為の充電になりますね。

今週は例の陸自ヘリ墜落の件で自衛隊内部に巣食う中国側工作員が整備に何かしらの工作をしかけたりしたのではないかという私の推理をうらずけるような情報がを検索できなかったので追加更新もできませんでした。

今週私が関心を持ったニュースがフランスのエマニュエル・マクロン大統領が「台湾問題で米国と中国に追随するのは最悪」などと発言した。自由主義陣営世論では「マクロンの裏切り」という批判が広がり私も個人的にマクロンの何も考えていないよな「米同盟国は下僕ではない」という国にすり寄っている発言には強く憤りを感ぜられざるをえない。

フランス革命以来のフランス国旗(トリコロール)の意味は「自由・平等・博愛」だろう!フランス大統領とは後からできたアメリカ合衆国を含め近代国家の基本的理念「自由・平等・博愛」の盟主のはずであるそれがウイグル人やチベット人の自由と平等を抑圧する中国共産党、それも中国共産党内のルールすら曲げてしまう中国の独裁者習近平と手を結ぶとは地に堕ちたものだ。

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習近平氏「ブロックで対抗、長期的な脅威」…マクロン大統領との電話会談で主張

かつて絶対王政を憎み立ち上がりバスチュー監獄を襲撃に参加したかつてのパリ市民たちはマクロンをいったいどう思うだろうか?あまりの恥知らずに怒り狂うのではないか?と私は思います。

マクロンが中国訪問して中国側のあからさまな猿芝居的歓迎政治ショウに乗っかり対してマクロンが
「欧州はアメリカの追随者になるべきではないと発言」今このタイミングでそんな発言はマクロンの政治生命を奪いかねない愚かな発言であると思う。

日本の経団連の腐った経営者達が国防安全保障を無視して、間違った中国市場の幻想にとらわれた中国市場重視発言を繰り返すのとほとんど差がない。救いはフランスの中からマクロン発言が「おかしいんじゃないか」と言う声が上がっている。かつて親中的メルケル首相が率いたドイツからは、レオパルド戦車提供問題でのお返しとばかりマクロン発言を裏切りとの非難の声が轟々とあがっているのは、痛快である。
マクロンはメルケルに代わってEUの中国窓口となりたい野望でもあるような嫌らしさが垣間見え、非常に不愉快だ。フランスだけの問題ではなく、現在どこの国にも親中的な、自分が甘い汁さえ吸えれば国益や人権問題など知ったことじやないと、中国から差し出された阿片を好吸い、自国を中国からの借金漬けにしてしまう新興国の政治家が多数存在している。
中国との付き合いで金儲けしたいっていう人たちがだいぶ世界中にあふれてきてしまい、今までのように中国共産党をのさばらせてると取り返しつがつかなくなるからそろそろ中国共産党を排除すべきだと言う考え方をする人達が確実に増えている。10年20年前、我々保守派は中国共産党の危険性を投稿するとネトウヨだの右翼だのと烙印を押され言われなき非難中傷を受けてきた。
いまや、世界中で中国共産党を排除するトレンドが出来つつある中でのマクロン発言である。
アメリカにせよフランスにせよ中国との関係で何考えてるのかよくわからないとを言ったり、うまいことやりたいって思ってる人たちも依然存在する。フランスにも多数存在するものだから国内で年金問題で窮地に立ったマクロンはエアバスを160機の契約を取ったと成果を強調するあまりに不用意な発言はマクロンの政治生命を窮地にたたせかねないものとなってしまい、その後撤回したのだ。




今回のマクロンの中国訪問でもらったとされるお土産をエアバス160機受注自体猿芝居の政治ショウであったことまで暴露されてしまい。マクロンは恥の上塗りをしてしまった。DeepMax妙法氏の情報によればこれが首脳訪問中にエアバス160機受訪中で注合意ってことでしたが、エアバスの受注っていうのはマクロンが訪中前に決まったっていたとのこと。以前からエアバスがすでに受注していた案件だった。それを中国側がマクロン正式に承認しただけのこと。
非常に大きな注文を暫定的に発注してマクロン訪中して尻尾を振れば注文を確定させるというような
条件をつけてた可能性が高い。結局中国共産党の手口というかうまく言えば交渉術とも言える。要するに中国と付き合うと経済的な利益が得られますよというプロパガンダである。マクロンはお先棒を担がされたのだ。

中国と付き合うと大きな注文を取れる。「中国とはうまく付き合った方がいいんだよ」っていうプロパガンダにマクロンはのってしまったのだ。

中国共産党は貿易で稼いだ金使って立場の弱い国の債務で縛ってその国の資源を支配してしま
っているいうようなことをやってきたなのでアフリカ諸国に莫大な投資をしているが現地の人たち
からは嫌われてるアフリカだけではなくて例えばアフガニスタンなんかでももはや中国共産
党はテロのターゲットになってる。結局チャイナマネーは別の国を支配する道具になっている。
現地の人達はそれを実感しており一般の中国人もテロや強盗の標的となっている。






大歓待受け「台湾問題とは距離を置く」、マクロンは習近平に篭絡されたのか?
JBpress4/13(木)7:00
大歓待受け「台湾問題とは距離を置く」、マクロンは習近平に篭絡されたのか?
JBpress4/13(木)7:00

(福島 香織:ジャーナリスト)
「最悪なのは、台湾の問題について、アメリカの歩調や中国の過剰な反応に合わせてヨーロッパの国々が追随しなければいけないと考えることだ」

 訪中から帰国したばかりのマクロン・仏大統領は仏メディアのインタビューにそう答えた。これは、台湾問題に関してフランスは距離を置くという宣言であり、EUを含め一部国際社会で強い反発を呼び起こした。

 マクロンは習近平に篭絡(ろうらく)されたのだろうか。習近平のEU分断戦略が功を成した、ということなのか。

マクロン訪中に最高の待遇を準備
 フランスのマクロン大統領は4月6日、中国を訪問し、北京で習近平国家主席と会談、ロシア・ウクライナ戦争についてのコンセンサスを探った。

 同じタイミングでEU委員長のウルズラ・フォン・デア・ライエンも訪中。それぞれ習近平と個別会談を行い、また三者会談も行った
最大のテーマは、ロシア・ウクライナ戦争における中国の仲介の役割についてである。中国がプーチンの味方になるのではなく、プーチンを牽制しブレーキを踏ませるように求める、ということだ。マクロンとフォン・デア・ライエンは、EU勢として共闘するつもりで同時訪問したようだ。これに対し、習近平はEUの分断を図った。

 マクロンの訪中に対して習近平は最高の待遇を準備した。降機時の紅絨毯と秦剛外相の出迎え、天安門広場での解放軍の礼砲、両国元首による儀仗隊閲兵式典、正式の晩餐会は、国家元首の国事訪問としては当然としても、習近平が2日にわたり異なる土地で2回も会談を行い、2回も食事につきあったのは異例であり、やはりマクロンを篭絡してやるという気合を感じさせた。

 2回目の会談は非公式であったが、習近平の父親・習仲勲が広東省書記時代に官邸として利用した思い出の場所、松園賓館を会場に選んで食事をしたあとに、中国の伝統的な茶芸で入れた茶を飲みながら語り合ったという。

 さらに、4月6日にはマクロンが引き連れてきた企業代表団50人との間で、エアバス160機200億ドル相当の受注を含む宇宙、航空、原子力、農業分野での経済協力協定が調印された。

「陣営に分かれて対抗することに反対」とマクロン
 新華社によれば、習近平は公式会談で「今や世界はまさに深刻な歴史の変化にあり、中仏はともに国連安保理常任理事国として、また独立自主の伝統ある大国として、世界の多極化、国際関係の民主化の推進者として、対立と束縛を超えて、安定、互恵、開拓を堅持し、中仏の全面的戦略的パートナーシップ関係の構築に向けて、真の多極主義を実践し、世界平和、安定、繁栄を擁護していく能力と責任がある」と語った。

また、「欧州は多極化する世界の独立した一極であり、中欧関係は第三者をターゲットにせず、依存せず、干渉も受けないことを堅持しよう」と、中国とEUの付き合いは米国の影響を受けるべきではないとの考えを示した。

 マクロンは「フランスは『一つの中国』政策を尊重し遂行する。今回、大規模な訪中団を率いてきたのは、中国側との協力を強化し、人文交流を促進したいからだ」「中国の第3回一帯一路国際協力サミットフォーラムの開催については、フランスも協力したい。・・・中国と緊密に連携をとって、世界の持久的な平和安定の実現に努力したい」と答えていた。

 マクロンは、フランスが独立自主外交を堅持すること、欧州戦略の自主性を主張し、対立分裂を画策することに反対し、陣営に分かれて対抗することにも反対するとして、「フランスはどちらかの側に立つことを選ばないし、団結協力、大国関係の安定維持を主張する」との立場を表明した。

 ウクライナ問題については、習近平は「ウクライナ危機の政治的解決に欧州が影響力を発揮することを支持する。フランスと一緒に国際社会の理性的抑制を呼び掛け、危機をエスカレートさせるような、ひいてはコントロールを失うような行動をとらないように呼びかけたい」とし、核兵器、核戦争、生物化学兵器、民用原発への攻撃への反対を強調。

 マクロンは、ウクライナ危機の政治的解決に中国が重要な影響力を発揮できると評価したようだ。ただしフランスメディア側の報道を参考にすれば、マクロンは「(中国の提示する)和平協議の条件を変更しないと、侵略占領された国家の立場としては、実質的な協議に参加できない」「世界のその他の影響力ある国家はみなそのような認識だ」と主張。国連の安保理メンバー国でも、この問題を解決するための協議の条件に満足できない、とも指摘したという。

つまり、ウクライナの立場(侵略地域からのロシア軍全面撤退を和平協議の絶対条件とする)を中国側に伝え、立場の違いははっきりさせた模様。この立場の違いが埋まった様子はない。

冷遇された、中国に手厳しいEU委員長
 台湾問題については、公式発表を見る限りマクロンが「『一つの中国』政策を尊重し推進する」と言ったぐらいしか発言は見当たらないが、米国の対中制裁に足並みを揃えたくない意志ははっきりさせたといえる。

 一方、同時期に訪中したフォン・デア・ライエンは習近平との会談で、以下のように習近平の嫌がりそうなことをはっきりと述べたようだ。フォン・デア・ライエン自身が記者会見で明らかにした。

「台湾海峡の安定、平和、現状維持は我々の利益に合致する。このことから、いかなる者も一方的に武力でこの地域の現状を変えてはならない。威嚇、武力使用によって現状を変えることは受け入れられない。重要なのは対話で発生しうる緊張情勢を解決するべきだということだ」

「私は中国人権状況の悪化に深い関心を寄せている。新疆の状況は特に心配だ。我々はこれら問題を継続して話し合うことが非常に需要だと考える。だから、中欧人権対話が復活していることに歓迎の意を示す」

 中国メディアによれば、彼女には7人の子供がいて、全員が米国パスポート保持者の親米派で、次期NATO事務局長を狙う「米国の犬」らしい。だから、習近平はフォン・デア・ライエンに対しては、マクロンとは対照的に露骨に冷遇した。特に、降機後の入国手続きで一般降機客と同じルートで案内したことが、欧州メディアで批判的に報じられていた。

これは単に習近平個人の好悪の差ではなく、EU分断戦略、米国との離間工作という狙いがある。わかりきった手ではあるが、効果的だ。実際に、マクロンは上機嫌で帰国し、台湾問題について冒頭のような発言をし、EU内でもハレーションを起こした。

台湾危機は遠いアジアの出来事
 中国から大歓待を受け、160機エアバスをお買い上げいただき、マクロンとしては大収穫の訪中であったろう。だが、これはマクロンが習近平の手管に篭絡された、というだけの問題ではない。

 現実的に、EUにとってロシア・ウクライナ戦争は切実に自国経済、国民の暮し、社会の安定に直結する問題であり、台湾危機は遠いアジアの出来事だ。最優先すべきはロシア・ウクライナ戦争を早急に終わらせることだ。

 そのキーマンは言わずもがな習近平で、最低限、中国がロシアに軍事的支援、武器供与などを行わないこと、一番良いのは、習近平がプーチンを説得ないしは圧力をかけて、占領地からのロシア軍全面撤退という和平協議開始の環境を整えてもらうことだ。

 一方、習近平が和平協議仲介の名乗りを上げた狙いは、プーチン体制を守ることだ。習近平はプーチンが戦争責任を問われない形での和平協議を模索している。だが、たぶん戦争が終結することをEUほど切実に望んでいるわけではないだろう。この戦争によってロシアが弱体化したり、米軍備がユーラシアに分散することは中国にとってそう悪い話ではない。

 となると、ディールはやはり習近平有利になってくる。習近平がEUの求めるように影響力を発揮するとしたら、EU側は何を対価とするのか、それが問われることになる。

中国朋友圏にEUも取り込みたい
 習近平は第3期目の総書記任期を決めたのち、長期独裁体制の最終目的として、国際社会に中国朋友圏を確立し、中国共産党の価値観、ルールによる国際秩序を打ち建てる考えを明確にしている。これは戦後長らく不動のルールメーカーだった米国に代わる地位に立ち、毛沢東もなし得なかった「世界の領袖」を目指すものと考えていいだろう。そうすることによって、米国主導で目下進められている対中デカップリング、対中包囲網に対抗していく考えだ。

中国が、この中国朋友圏に取り込もうとしているのは、アフリカや中南米や東南アジアの途上国やBRICsら新興国、中東や中央アジアの資源国。そして、実はEUだ。NATOという軍事同盟の絆で結ばれた西側陣営だが、EU内にも対米不信感はあり、そこから崩してゆきたい、という思惑がある。

 折しも米国ではその直前のタイミングで、台湾の蔡英文総統が米国トランジット外交を展開し、マッカーシー下院議長ら超党派の議員団と会談し、米台の軍事的協力方向を強く打ち出していた。

 中国が「利益核心中の核心問題」という台湾問題は、地理的に遠く離れたウクライナ問題と、ともに米中のパワーゲームであるという側面が共通している。1つの碁盤の上で同時並行で進行する、対極の角で行われている競り合いに似ており、ウクライナ情勢の決着の仕方は、そのまま台湾情勢に影響してくる。そうしたことを見越せば、習近平がウクライナ問題と台湾問題をバーターできるカードと考えてもおかしくはなかった。

 習近平が任期中に台湾を統一したいと考えていることは、今や秘密でもなんでもない。その選択肢に武力統一が入っていることも。その時、EUは、米国と足並みをそろえて対中制裁を行うのか。そのテーマに対して、フォン・デア・ライエンは中国に厳しく釘を刺し、マクロンは中国に譲歩した、ということになる。

EU内に浸透してきた対米不信感
 ただ、これをマクロンがまんまと中国に篭絡されたと見ていいかというと、そう単純ではないかもしれない。

 そこには、EU内にじわじわ浸透してきた「疑米論」がある。いわずもがな、「ノルドストリーム2」を破壊したのは米軍ではないか、という疑いだ。ロシア・ウクライナ戦争は米国が望んだ戦争ではなかったか、という疑いだ。こうした疑惑の隙間に中国が楔を打ち、ロシア・ウクライナ戦争後に起き得る台湾有事のための国際環境を自国有利に持っていこうとしていると言える。

 この構造は、実は日本や台湾にも起きつつある。ロシア・ウクライナ戦争の始まり方と推移と決着のあり方と、そこに中国が打ってくる離間工作は、明日の私たちの問題だと考えていい。

(福島 香織)







(福島 香織:ジャーナリスト)