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カテゴリ: 政治経済


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【航空万能論】興味津々の海外メディア、日本が誤って極超音速ミサイルの画像を漏洩?

【産経ニュース】2020.8.9 22:0 

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政府が保有を目指す敵基地攻撃能力について、島嶼(とうしょ)防衛用に計画している長射程ミサイルなどで敵ミサイルや施設を攻撃する案を軸に検討を進めていることが9日、分かった。衛星などで標的を特定し、敵レーダーを無力化して航空優勢を築いた上で戦闘機が爆撃する完結型の「ストライク・パッケージ」を独自保有する案も検討したが、費用対効果などに難点があり見送る。複数の政府関係者が明らかにした。

 政府は北朝鮮などを念頭に置いた敵基地攻撃能力として、標的から離れた位置から敵の拠点を打撃する長射程ミサイルを中心に検討を進める。「JASSM(ジャズム)」、極超音速誘導弾などの候補から絞り込む。長射程巡航ミサイル「トマホーク」を米国から購入する案もある。

 JASSMなどは平成30年に改定した「防衛計画の大綱」や「中期防衛力整備計画」で調達・研究するとしていた。敵基地攻撃能力ではなく、敵が日本の離島を占拠した場合に奪還するような島嶼防衛用と位置付けていた。

 河野太郎防衛相は敵基地攻撃能力について、(1)移動式ミサイル発射装置や地下基地の位置特定(2)敵レーダーや防空システム無力化による航空優勢確保(3)ミサイル発射基地の破壊(4)攻撃効果の評価-などで構成されると説明していた。これらは総体として「ストライク・パッケージ」と呼ばれる。

 ただ、移動式発射装置に搭載したミサイルの位置をリアルタイムで特定することは難しいとされる。ストライク・パッケージには戦闘機の大量な追加配備が必要で、敵レーダーを無力化するための電子攻撃機や対レーダー・ミサイルなどの装備取得には多額の予算を要する。

 これに対し、長射程ミサイルは比較的低コストで調達可能で、運用次第で期待する抑止効果が確保できる。敵基地攻撃能力の保有に慎重な公明党にとっても、すでに調達・研究が決まっている装備であれば受け入れやすいとみられる。

 自民党ミサイル防衛検討チームは「相手領域内でも阻止する能力」の保有検討を政府に求めている。政府は敵基地攻撃能力とは別に、配備計画を断念した地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の代替策も検討しており、これも含めた方向性を9月末までにまとめ、年末までに国家安全保障戦略の改定を目指
突如2018年度予算案に滑空弾が予算計上され、早期装備型Block1と性能向上型Block2に分けられている段階で、早期装備型Block1が沖縄本島から尖閣に届く500km以上の射程があり、性能向上型Block2は、尖閣だけでなく、半島や大陸奥地の敵基地攻撃用に用いられることは、規定路線であったと思う。

突如島嶼防衛用ミサイルを敵基地攻撃に転用したわけではなく、予め練られた計画なのだ。
また、多種多様なCM(C
ruise Missile:巡航ミサイル)も導入するが、その役割を解説する。

Joint Strike Missile(JSM)
F-35A/B専用巡航ミサイル ノルウェーの対艦ミサイルNSMを元に現在開発中だが2025年から運用が始まる。対艦・対基地ミサイル
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JSMはノルウェーのコングスベルグ・ディフェンス&エアロスペースがNSMを元にF-35向けに開発中の高亜音速対艦/対地/巡航ミサイルである。

F-35の胴体内武器槽に収納できるサイズで設計され、ステルス性の高い形状の長射程対艦ミサイルで艦艇発射、陸上発射用のNSMミサイルの空中発射派生型と言える。ノルウェー空軍のF-35Aはもとより、米軍のF-35への装備も進められている。防衛省も相手の脅威圏外(スタンド・オフ)から対処できるスタンド・オフ・ミサイル導入の一環として、2018年度から導入を決めていたもの。敵艦艇の侵攻阻止、上陸部隊の排除、BMD対応中のイージス艦の防護などの任務にあたり、在来の空対艦誘導弾では射程が短く、隊員の安全が確保できないことも導入の理由とされている。

 Joint Air-to-Surface Standoff Missile(JASSM-ER)
F-15JSIとF-2、F-3用対基地用(対艦も可)亜音速ステルス巡航ミサイル(相対的安価)
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2017年に編成された平成30年度防衛予算においてスタンド・オフ・ミサイルの導入が着手されたが、その一環として、F-15Jなど航空自衛隊の戦闘機にJASSMやLRASMを搭載することを想定した適合性調査が盛り込まれた。日本が導入する「JASSM」はJASSM-ERであり、射程926km以上

JASSMは、1986年に陸海空の3軍共同開発に取り組んだ「AGM-137“TSSAM”」を元に開発された世界初のステルス巡航ミサイルである。

当初、1発あたりの価格を約72万ドルに設定していましたが、1994年には200万ドルまで価格が上昇することが確実になったため開発中止。1995年、米空軍単独で再度開発が始まり、「低価格」と「ステルス」です。1発の価格は、85万ドル(約9,500万円)と、高いと批判されたトマホークよりも更に低価格で収まった。

JASSMの射程370kmを、925kmに延長したのが、「JASSM-ER」ですが、1発の価格は135万ドル(約1.5億円)。

 Long Range Anti-Ship Missile (LRASM)
F-15JSIとF-2、F-3用対艦(基地用も可)亜音速ステルス巡航ミサイル
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空軍の「AGM-158B JASSM-ER」を、元にして作られた海軍バージョン。ステルス対艦ミサイル射程は800kmとJASSM-ERに比べ少し短くなっています。

トマホーク 地上発射、水上艦、潜水艦より発射可能 対基地用
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【産経ニュース】2020.7.27 17:45 

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自民党・ミサイル防衛のあり方を検討するPTの会合に臨む(右手前から)中谷元氏、石破茂氏、小野寺五典氏、浜田靖一氏、岩屋毅氏、林芳正氏ら歴代防衛相=6月30日、東京・永田町の自民党本部(春名中撮影)

「敵基地攻撃能力」の保有に向けて議論を進めている政府・自民党内で、米国製で英国にしか売却されていない長射程巡航ミサイル「トマホーク」の配備論が出ている。通常弾頭型で約1300キロ以上飛び、北朝鮮や中国を射程に収める。両国は日本を狙えるミサイルを多数保有しており、「撃ったら撃たれる」と発射を思いとどまらせる抑止力向上への期待がある。

 地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の計画断念を機に、自民党は先月末からミサイル防衛のあり方に関する検討チーム(座長=小野寺五典元防衛相)を開いている。その非公開会合では、敵のミサイル攻撃に対して「迎撃だけでは対応しきれない」と敵基地攻撃能力保有を求める意見が相次いでいる。複数の防衛相経験者や国防族の有力議員は「手段の一つ」(中谷元・元防衛相)などとトマホーク導入を主張した。

 防衛省関係者は「海上自衛隊の護衛艦のキャニスター(格納容器)を少し改修すればトマホークを搭載できる」と語る。日本海上のイージス艦や護衛艦からなら北朝鮮のほぼ全域、東シナ海上からは一定の中国領土を射程に収める。

 防衛省関係者は、どの海自艦が搭載しているのか敵は判別できないという戦略上の利点もあるとし、「『能力保有』を宣言しなくても、攻撃されたら反撃できるトマホークを持つことが抑止力になる」と説明する。

 防衛省は、射程約500~900キロの外国製巡航ミサイルの導入も決めている。主に戦闘機搭載用だが、敵領空への接近はリスクもあり、佐藤正久前外務副大臣は9日の参院外交防衛委員会で「イージス艦だと(敵基地から)遠くの安全な場所から撃てる」と主張。敵ミサイル発射の探知・追尾段階で米海軍との連携も「容易」とトマホークの利点を強調した。

 日本を取り巻く周辺国の脅威は高まっている。北朝鮮は日本を射程に収める弾道ミサイルを数百発保有。相手の迎撃能力を超えるほどの連続発射を行う飽和攻撃の技術を高めている。中国は約2000発の弾道・巡航ミサイルを配備。その多くが日本を射程に収めるとされる。

 同性能の巡航ミサイルの国内開発には数年以上を要する。政府関係者によれば、平成25年ごろの日米の非公式協議で「トマホークは売却しない」との方針を米側から伝えられたことがある。ただ、「トランプ大統領と安倍晋三首相の信頼関係があれば米政府は売却を認める」との見方も強い。調達価格はイージス艦が搭載している弾道ミサイル迎撃用の「SM3」の10分の1程度で済む可能性があるという。(田中一世)

島嶼防衛用高速滑空弾の現状と今後の展望
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この図から推測すると、亜音速CMがトマホーク射程1300kmだと仮定すると、超音速CMはい単純に7割900km台 亜音速CMが1000kmだったとしても700kmということは、
まのところ超音速CMはASM-3改しかない。ASM-3改の射程は400km+で、500km弱であると予想されているが、ひょっとすると驚きの1000km弱の可能性がある。

高速滑空弾の射程だが、前期型・後期型の区別がわからないが、あくまでもこの図から判断し、亜音速CM射程が1000km~1300kmだとしたならばおおよそ射程は1400km~2000kmと推定される。
極超音速ミサイルSCRAM推進CMの射程は1500km~2000km超ではないか?





http://blog.livedoor.jp/nonreal-pompandcircumstance/202003archives/50830086.html

NationalInterest誌 日本語(超)訳
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日本の新しいマッハ5の空母キラーミサイルは、中国への返答だ 
対空母ミサイルは中国の専売特許ではない
【NationalInterest】デビッド・アックス2020年3月19日 

キーポイント:  日本の極超音速ミサイルは、南シナ海および東シナ海での中国の長年にわたる環礁を浚渫しで建設した要塞への直接的な返答です。

日本の自衛隊は、中国空母の甲板を貫通するための特別な弾頭を備えた極超音速対艦ミサイルの開発を検討しています。

日本の防衛省は、2026年から島嶼基地に配備するために、HVGP「超高速滑空発射体」と呼ばれるものを開発しています。

日本の武器の呼称方法は時に不適切です。米国の用語では、音速の5倍より速く移動する誘導ミサイルは「極超音速」兵器です。アメリカ人は、高速で誘導のない大砲の砲弾に対して「超高速」の指定を保留しています。

いずれにせよ、東京は新しいHVGPで中国軍を敗北に導こうとしています。2026年に配備される島嶼防衛用高速滑空弾は毎日新聞によると、ブロック1早期配備型は「日本の離島に侵入可能性の敵をターゲット」にしていると報告されました。

2028年度以降に設置可能なブロック2能力向上型」が開発され、爪型のペイロード、強化された速度と射程距離、複雑な軌道を飛行することができる。

2026年以降「航空母艦のデッキを貫通することが可能な弾頭」に改良できる。

HVGPはブーストグライドシステムです。ロケットの上で打ち上げられ、ブースターから分離し、GPSに導かれて、極小音速で目標に向かって滑走しながら、小さなコースの修正を行います。

日本人が中国の航空母艦をターゲットにするために特に考慮している特別な「ペイロード」は不明です。極超音速ミサイルの運動エネルギーだけで、ほとんどのターゲットを無効にしたり破壊したりできます。

数十年に及ぶ開発の後、極超音速兵器がついに最前線に登場し始めています。2019年後半のロシア国防省は、アバンガードの地対地極超音速ミサイルを配備したと主張しており、ロシアが運用可能な極超音速兵器を投入した最初の国の1つになった可能性があります。

中国のメディアは、中国が2つの極超音速地対地ミサイルをテストしていると主張した。DF-17は、中華人民共和国の創立70周年を記念した2019年10月のお祝いの一環として初めて公開されました。2番目のミサイルであるXingkong-2は、DF-17と比較して詳細が異なると伝えられています。

アメリカ空軍は、2019年6月に独自の極超音速空中発射ラピッドレスポンスウェポンの飛行テストを成功裏に実施しました。ALRRW は、早くも2023年に就航することができました。B-1およびB-52爆撃機は両方とも新しい武器。

一方、米海軍と米軍は、マッハ5プラスミサイルのブースターと極超音速兵器の第2ステージの一般的な滑走体の共同開発に取り組んでいます。海軍は、バージニア級攻撃潜水艦の新しいブロックVバージョンを高速ミサイルの初期発射プラットフォームとして特定しました。

日本の極超音速ミサイルは、南シナ海と東シナ海での長年にわたる環礁を浚渫しで建設した要塞への直接的な返答です。「中国政府の船舶は、尖閣諸島の近くの隣接地帯を航行し、日本の領海に侵入していることが頻繁に発見されています」と毎日では述べています。

陸上自衛隊の既存の兵器は、日本から最も外側の中国の前哨基地を攻撃する範囲に到達していません。「沖縄本島と尖閣諸島は約420キロメートル(261マイル)離れていますが、[陸自の]現在のミサイルの射程距離は100キロメートル(62マイル)をわずかに超えています」と毎日新聞は書いています。

「南西諸島を保護するための長距離滑空ミサイルの導入により、日本は海上自衛隊の船舶や航空機を配備することなく中国の活動に対応することが可能になるでしょう。」

防衛省は、2018年および2019年度の離島の防衛のためのHVGPの研究予算に合計185億円[1億7000万ドル]を割り当て、2020年度予算にさらに250億円[2億3000万ドル]を追加する予定です。 」論文は続きました。

新しいミサイルは最前線から何年も離れているが、すでに論争を引き起こしている、と毎日新聞は報道している。国会の議員の中には、新しい能力を獲得することで、自衛隊、つまり日本の軍隊が他の国の領土を直接攻撃することを可能にし、「日本の専守防衛の政策から逸脱する」 と騒ぐ輩がいる。

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シーバスター弾は空母の甲板を貫通するために特別に設計された装甲貫通弾頭だが、極超音速の対艦ミサイルが、中国の空母、たとえ米軍の原子力空母でもマッハ3で突入すれば、通常弾で十分に有効で、むしろ突き抜けてしまうのでおかしいと思っていた。

中国の空母には、自由落下爆弾やJDAM(誘導滑空爆弾)にシーバスター弾が向いている。
もしかしたら、シーバスター弾は空母は空母でも、南沙諸島の不沈空母、環礁の滑走路へ打ち込む為ではないか?常に浚渫し、島に砂を積み上げていないと沈没浸水しているという。そんな脆い滑走路にはシーバスター弾は有効かもしれない。

陸上攻撃版は高密度で爆発的に形成された発射体、またはEFP弾はエリア抑制に利用するので、超高速滑空発射体:HVGPの弾頭向きである。

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高密度EFP弾は上陸部隊上空に鉄の破片を降らせるもので弾頭があるとクラスター爆弾禁止条約違反となってしまいます。また、シーバスター弾はHEAT弾(成形炸薬弾)ですからEFP弾の技術を応用して上陸部隊にばら撒ければかなり効果的だと思う。

超高速滑空発射体:HVGPは、慣性航法システム(INS)で衛星航法を介して航行することを期待しています。

日本は、自衛隊の継続的な測位を可能にするために独自の7つの衛星のネットワークを確立しようとしています。これにより、外国の衛星に依存することなく継続的な航法データを提供できます。

弾頭誘導は、ドップラーシフトデータから変換された無線周波数イメージングまたは赤外線シーカーのいずれかだ。

しかし、日本が実行可能なスタンドオフ極超音速兵器能力を発揮できるようにするために、極超音速誘導システム、弾頭およびミサイル体の熱遮蔽、極超音速推進システムなどの分野で多くの作業が残っています。


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島嶼防衛用高速滑空弾の研究
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島嶼間に対する火力発揮が可能な島嶼防衛用高速滑空弾を島嶼部に配置して、抑止態勢を確立するとともに、万が一敵の上陸を許した場合、早期から火力により対応するため、対空火器による迎撃が困難な高高度の超音速滑空技術等を確立し、島嶼間射撃により火力を発揮する島嶼防衛用高速滑空弾の早期装備化に必要な技術及びより長距離を滑空する要素技術を確立します。
 なお、本事業は、「島嶼防衛用高速滑空弾の要素技術の研究」として平成30年度から実施する事業の研究成果を部分的に活用しつつ、早期装備化を図るため、当該研究事業を拡充するものです。

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中国は既に軍事パレードに極超音速兵器を展示するなどし、米露も実験を繰り返すなどしており、日本の極超音速兵器開発の現状は、露・中・米に遅れをとっている印象であるが、JAXAが長年基礎研究を地道に行ってきていたため、極超音速兵器の実用化競争においては、実は先頭争いを行っている。

中国やロシアは、過去の例からして実用化には程遠い実験段階で、実用化したと主張しているに過ぎないと思う。信頼できる実用兵器に仕上げるのは日米が先であると思う。

超高速滑空弾 (HVGP) 

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防衛省は沖縄県・尖閣諸島などの離島防衛を強化するため、「島嶼防衛用高速滑空弾」の開発を2018年度から予算化され、防衛省は2020年度予算の概算要求では島嶼防衛用高速滑空弾の研究(250億円)億円を計上した。

高々度に打ち上げたミサイルから分離させた弾頭を、超音速で地上の目標に落下させるもので、陸上自衛隊による離島奪還戦力の一つと位置付け開発に注力しているが、当初の計画より開発を約7年早め、Block Ⅰ: 令和 8年度(2026年度)、早期配備型の実用化を目指すと、2018年10月に報道があった。
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発射装置は88式/12式地対艦ミサイルと同じく移動式であると予想され、射程は、沖縄本島から尖閣諸島を狙うのであれば早期装備で300~500km、防衛省が航空自衛隊に導入する対地攻撃型の長距離巡航ミサイルと同程度の敵基地攻撃能力があると思われます。

防衛省は、東シナ海で活動を活発化させる中国軍の脅威に対処するため、沖縄県の宮古島や石垣島に陸自の地対艦誘導弾のミサイル部隊などを配置する計画を進めており、早期配備型はこれらの陸自部隊に配備される可能性がある。

問題は、Block Ⅱ: 令和15年度(2028年)以降装備の性能向上型で、滑空弾はロケットモーターで推進。高度数十キロで弾頭が切り離され、大気圏内を超音速で地上の目標に向け滑空、着弾する。図を見比べて見れば一目瞭然だが1段式ロケットの早期装備型と違い、ブロック2性能向上型は2段式で大型化し飛行特性から考えて、射程が1000km以下であるわけがない、中国の.RecordChina情報によれば、ブロック2性能向上型の射程は1300km前後との情報である。
    
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ブロック2性能向上型は滑空弾は超高速で対空火器に迎撃されにくい。仮に尖閣に侵攻した中国軍を宮古島や石垣島周辺から発射するのであれば、ブロック2性能向上型は不要だが、
1300kmの射程であれば、北部九州や瀬戸内海から発射した弾頭が先島諸島や尖閣諸島に到達する性能があると思う。また、中国地方や丹後半島付近に配備されれば朝鮮半島を射程に収めることも可能となる。与那国島や石垣島・宮古島に配備した場合、中国沿岸地方の中距離弾道弾基地や、台湾海峡が射程圏に入れる可能性があある。

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仮に、宮古島や石垣島に侵攻された場合には、機動団の上陸・奪還作戦を効果的に実施する為、陸自の水陸機動団が投入される前に、本土からの対地攻撃能力が必要である。沖縄本島や九州から宮古島や石垣島の中国上陸部隊を遠距離攻撃をする必要があり、性能向上型は本土より島嶼防衛することが可能である。北部九州例えば大村基地から半径1300kmは紫色、丹後半島に置いた場合青色の輪になり、ブロック2性能向上型の、抑止力効果は大きい。
 
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また、与那国島から中国の海南島の潜水艦基地も1300kmの射程圏にある。
本気でターゲットにするならば僅かに能力向上すれば、潜水艦基地も攻撃可能となる。

実用化には、超音速で滑空できるようにする姿勢制御システムや、滑空する際に大気との摩擦で生じる高熱に弾頭が耐えられる技術を確立する必要がある。防衛省は、早期装備型とその性能向上型を順次開発し、25年度に試験を完了させる計画だ。

防衛装備庁技術シンポジウム2019発表要旨
島嶼防衛用高速滑空弾の現状と今後の展望  ○福田浩一*

1.背景

島嶼部を含む我が国への侵攻を試みる艦艇や上陸部隊等に対して、自衛隊員の安全を確保しつつ、侵攻を効果的に阻止するため、相手の脅威圏の外からの対処と高い残存性を両立するスタンド・オフ防衛能力が求められている。島嶼防衛用高速滑空弾(以下、「高速滑空弾」という。)はこの能力を有する国産最初の装備として研究開発を推進している。

2.研究の目的および概要

対空火器による迎撃が困難な高高度の超音速滑空技術や、高精度に目標に到達する技術等の要素技術を確立し、島嶼間の対地攻撃等により火力を発揮する高速滑空弾の早期装備化に必要な技術の研究を目的としている。内容は、スタンド・オフ防衛能力の早期実現を目指した早期装備型(Block.1)の研究と、ゲームチェンジャーとなり得る最新技術を反映した性能向上型(Block.2)の技術実証を行う要素研究から構成している。

図に高速滑空弾の発射指令系及び飛しょうパターンを示す。発射指令は上級部隊(方面隊等)から FCCS(火力戦闘指揮統制システム)を経て高速滑空弾の指揮装置に指示され、発射機から目標に向かって発射される。高速滑空弾は“みちびき”などの測位衛星と慣性誘導装置から自己位置を正確に求め目標に向かう。飛しょうパターンは地上から発射された高速滑空弾が、滑空体とロケットモータに分離し、滑空体は高高度・極超音速で大気圏内を飛しょうする。その後、所定の高度まで降下した後に、高度変動しながら飛しょうして、目標上空で急降下をして目標を破壊する。
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Block.1 はスタンド・オフ防衛能力を早期に実現する初めての装備品であるため、設計当初から運用者となる自衛隊等の意見を反映し、かつ試作品を運用者の評価に供することができる運用実証型研究とすることで、装備化までの期間短縮を図る。一方 Block.2 は、機体先端から発生する衝撃波を活用して飛しょう性能を向上する Waverider という特異な形状であることから、防衛装備庁だけでなく他機関の超音速風洞や最新の数値計算手法を駆使して滑空体の形状を決定する。

これら Block.1 と 2 は、技術課題の共通化や構成品(ロケットモータ等)の共用化が図られており、その結果、効率良い研究ができる。高速滑空弾の能力を発揮するためには脅威対象が装備する地(艦)対空ミサイルシステム(以下SAM という)などの対空火器からの残存性の向上が必須である。特に近年の SAM は弾道ミサイル対応能力などの高性能化がなされているものも多いが、高速滑空弾は高高度を飛しょうするため、被発見性が高くなる。そこで、高速滑空弾では撃墜率を極小化するため以下の努力をしている。

レーダ反射断面積(以下、「RCS」という。)の低減は脅威対象の対空レーダからの捕捉可能性を減少させることから、発射後にロケットモータを分離して全長を極減し、RCS を低減する。また、滑空飛しょう時の高度変化は SAM による予想会合点の計算を困難とさせて撃墜確率を低減させる。さらに高度 20km 以上を滑空し、終末時は目標に向かって高俯角で突入することにより多くの SAM による迎撃が困難となる。

また、さらなる能力向上として滑空弾に適したシーカ機能を付与することで、移動目標対処能力を付加することも検討中である。

高速滑空弾は防衛計画の大綱(30大綱)別表においても2個高速滑空弾大隊部隊の編成が示されているが、研究開発する装備が部隊を編成した初めての事業であることから、実施に当たっては必然と偶然のいずれにも目を向け、困難を乗り越えてプロジェクトを成功に導く所存である。

*長官官房装備開発官(統合装備担当)付 高高度超音速飛しょう体システム研究室


米中露が競争する極超音速兵器の世界では、マッハ5を超える極超音速下で、飛翔体を飛行させることで、それらの速度で飛行するシステムは2つの方式、極超高速滑空弾/極超音速滑空ミサイルと、超高速(CM )/スクラムジェット極超音速巡航ミサイル(HCM)の2つである。

極超音速滑空ミサイルとは発射・加速をロケット(弾道ミサイル)で行います、その後弾頭はロケットから離れ、動力を与えられずに目的地まで弾頭部分が滑空する攻撃兵器である。

極超音速ブーストグライド兵器、あるいは極超音速グライダー”滑空弾”とも言います。滑空弾は、大気圏と宇宙空間の間を弾道ミサイル並みのマッハ20で滑空する弾頭です。空気の摩擦熱で超高温となる時間は弾道ミサイルよりも長くなる上に、高温でプラズマ化した空気に包まれると、外部との通信が遮断されるために、外部からの誘導は困難な為に、搭載したAIで自力飛行を行う。滑空弾開発には弾道ミサイルとは別次元の高い技術力が必要と成ります。

極超音速巡航ミサイルは、「スクラムジェットエンジン」で自力でマッハ5以上の極超音速で飛行します。従来型のジェットエンジンでは達成は困難な速度であり、新しい設計のスクラムジェットエンジンが必要になります。速度が上がるにつれ極超音速滑空ミサイルと同じく熱の問題も出てきます。ロシアの極超音速巡航ミサイル「3M22 ツィルコン」はマッハ5~8、1000km以上の射程を持つ対艦攻撃用とされています。

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超高速CM (HCM)
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スクラムジェットテクノロジーは、ブースターを使用して巡航速度に到達します。スクラムジェットエンジンは、燃焼前に高速の流入空気を圧縮するように設計されています。「エアーブリージング」とも呼ばれるこの技術は、極超音速で非常に効率的なエンジンが作製可能です。

日本でもスクラムジェットエンジン方式の極超音速巡航ミサイルも開発を行っている。

○中山久広*、橋野世紀*、海老根巧* 
1.緒論

スクラムジェットエンジンとは、空気取入口で生じた斜め衝撃波により圧縮した超音速の気流に燃料を噴射し、燃焼させて推力を得るエンジンである(図1参照)。スクラムジェットエンジンは、そのシンプルな構造と極超音速飛しょうにおける最も高い比推力から、極超音速誘導弾用推進装置に適しており、各国において盛んに研究されている。

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図1 スクラムジェットエンジンの概略図

幅広いマッハ数域で飛しょう可能な極超音速誘導弾の実現には、飛しょう条件によりラムジェットエンジン(RJ)及びスクラムジェットエンジン(SJ)として作動可能なデュアルモード・スクラムジェットエンジン(DMSJ)が必要である。また、機体の小型化のため、単位体積あたりのエネルギー密度が高いジェット燃料の採用も必須である。しかしながら、スクラムジェットエンジンの滞留時間は極めて短く、ジェット燃料を採用しつつ安定に作動する DMSJを実現する技術的ハードルは高い。

同形式のエンジンの宇宙輸送機への適用を目指す宇宙航空研究開発機構(JAXA)との研究協力の下、航空装備研究所(ASRC)は平成29年度と30年度にジェット燃料を採用した DMSJ 燃焼器の燃焼試験を実施し、基本的な性能を確認した。本発表では、これまでの成果とともに ASRCの DMSJ 研究の展望を紹介する。

2.技術課題克服のアプローチ

DMSJ では、滞留時間が短い燃焼器でジェット燃料を高効率かつ安定に燃焼させることが重要な技術課題である。この課題を克服するため、本研究では超臨界圧力下で加熱されたジェット燃料を燃焼器内に噴射する方式を採用した。実機では、ジェット燃料でエンジンを冷却する工夫(再生冷却)により、ジェット燃料の加熱も可能である。噴射されたジェット燃料は速やかに気化し、気流と混合し、燃焼する。混合を促進するため、噴射器近傍に混合促進器を設けた。また、循環流による保炎効果を得るため、流路途中にキャビティを設けた。技術課題克服のアプローチを図2に示す。

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図2 技術課題克服のアプローチ

3.燃焼試験結果

燃焼器の燃焼試験は、JAXA 角田宇宙センターの基礎燃焼風洞を用い、直結方式により行った。ジェット燃料には Jet A-1 を用いた。結果の一例として、燃焼器内の燃焼反応により発生した OHラジカル自発光の一例を図3に示す。Jet A-1 は気流中で良好に燃焼し、RJ モード・SJ モードともに燃焼器が安定作動することを実証した。取得した燃焼器壁面静圧分布を用いてエンジン内部流れの解析を行い、実機相当のエンジンでは所望の飛しょうに必要な推力が得られる見込みも得た。
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図3 燃焼器内の OH ラジカル自発光の一例

4.今後の展望

ASRC では、DMSJ を搭載した極超音速飛しょう体の早期の飛行実証を目指している。これまでの研究成果を活用し、ASRC は今年度からDMSJ の試作に着手したところであり、今後地上試験装置を用いて再生冷却も含めたエンジンシステムレベルでの実証を行う計画である。

*航空装備研究所エンジン技術研究部 ロケットエンジン研究室


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将来の誘導弾への適用を目指し、従来のエンジン技術では実現できなかった高高度極超音速(マッハ5以上)巡航を可能とする「スクラムジェットエンジンの研究」を実施しています。
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超音速飛翔体(イメージ図)

本研究では、装備品としての実現に留意し、従来までの研究の主流であった水素燃料に比べ、機体規模の小型化、入手性・貯蔵・取扱の容易さに大幅に優れる炭化水素燃料(ジェット燃料)を採用するとともに、超音速から極超音速までの幅広い速度域での作動を実現する、ラムモードとスクラムモードの2つのモードによるデュアルモード・スクラムジェットエンジンの実現を目指しています。

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極超音速飛しょう体の飛しょう経路(例)

炭化水素燃料を用いたスクラムジェットエンジンの成立性の検証のため、JAXAとの研究協力の下、燃焼試験を行い、ジェット燃料によるスクラム燃焼に成功するとともに、冷却系検討に資する基礎データを取得しました。
 これらの研究成果に基づき、実飛しょうを想定したスクラムジェットエンジンシステムの研究に取り組んでいます。

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注)スクラムジェット燃焼器は上図赤線部分を模擬
燃焼試験結果の例

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超音速~極超音速への加速時の燃焼状況   極超音速巡航時の燃焼状況
(ラムモード)              (スクラムモード)


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防衛装備庁技術シンポジウム2019において展示された
極超音速飛翔体(極超音速巡航ミサイル)模型
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ATLA説明員に聞くとあくまでもイメージ模型でX-51をイメージしたものだとのことだが・・・X-51にはちょっと似ていない。

ATLAでは研究を開始したばかりだが、JAXAでは1980年代航空宇宙技術研究所(NAL)時代からスクラムジェットエンジンによる極超音速飛行の研究を行っている。その基礎研究データ資料がある為、容易に極超音速飛翔体(極超音速巡航ミサイル)を製作することができる。

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極超音速旅客機技術

JAXA方式とATLA方式の違いはJAXAが液体水素燃料を使用するのに対し、ATLAはジェット燃料を使用する。ジェット燃料は液体水素よりコストが安い。

滑空弾もJAXAでの基礎データの蓄積があり、比較的容易に実現できる。

基礎データは宇宙往還技術試験機(HOPE-X)プロジェクト等の基礎データが蓄積されていた。

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ホープ-X 強度試験用供試体

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http://zbtousiro.blog47.fc2.com/blog-date-200011.html



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JAXAが研究してきた成果をATLAが利用して日本は極超音速兵器開発競争のダークホースとなることでしょう。



 執筆中
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60億キロメートル離れた位置から見ると、地球は青白い小さな点にしか見えない(右側の茶色の帯の真ん中より下の辺り)
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【米国大使館】リー・ハートマン Feb 18, 2020 ★★★

米国、オーストラリア、日本が主導する新たな「ブルー・ドット・ネットワーク」は、主要なインフラ開発プロジェクトを世界レベルで認可する役目を果たし、そのプロジェクトは持続可能で、途上国の搾取を意図するものではないと関係者に示すことになるでしょう。

このネットワークがフル稼働すれば、質の高いグローバルなインフラ開発規準の下、政府、民間部門、その他の機関が一体となります。

米国は「関係者全員の相互利益となる、透明性の高い、競争力のある市場主導型の制度を望んでいる」。2019年10月、マイケル・R・ポンぺオ国務長官はこのように述べています。これに対し国家主導型の経済モデルは、賄賂を伴った取り決めが密室で行われ、地域社会のニーズを考慮しないという点で対照的です。

そこにブルー・ドット・ネットワーク誕生の意義があります。

ブルー・ドット・ネットワークは、以下のように機能します。品質促進と民間部門主導の投資という同ネットワークの高い基準の順守に合意すれば、あらゆる国や企業が参加可能です。ブルー・ドット・ネットワークの認証を求めるプロジェクトの申請は、オンラインで完了できます。

国、企業、そして地域社会の全てが、ブルー・ドット・ネットワークの恩恵を受けることができます。プロジェクトが同ネットワークに認定されると、地域社会と投資家には高い水準のインフラと持続可能性が保証されます。

米日豪の3カ国は2019年11月4日、バンコクで行われたインド太平洋ビジネスフォーラムでブルー・ドット・ネットワーク計画を発表しました。この取り組みは、「質の高いインフラ投資に関するG20原則」と連携するもので、特に統治・環境基準・透明性を重視します。

グローバルインフラの透明性

米国でブルー・ドット・ネットワークを主導するのは、米国国際開発金融公社(DFC)です。2019年に設立されたDFCは、600億ドルの資本が利用可能で、企業による新興市場への投資を支援する金融ツールを近代化しました。

ブルー・ドット・ネットワークの他にも、高水準の投資と民間部門主導の経済開発を促進するため、米国政府は以下の取り組みを実施しています。

米国輸出入銀行は、公正で透明性のある持続可能な経済成長の保証と、融資を確保し世界中で資本を提供するため、1350億ドルの資金を活用しています。
ミレニアム・チャレンジ・コーポレーションは、持続可能な成長と貧困削減を達成するプロジェクトを共同で実施する国の選択に当たり、競争プロセスを採用しています。
ブルー・ドット・ネットワークは、米国投資の高い水準と質の高いインフラを世界に示すことでしょう。2019年3月、ポンぺオ国務長官はこう述べています。「我々の取り決めには隠れた付帯条件はありません。ブルー・ドット・ネットワークの契約は明確で、動機に曖昧な点はありません」。

 【国家の流儀】

 中国主導の「一帯一路」を阻止せよ-。米国のドナルド・トランプ政権は5月下旬、対中総合戦略報告書「中国に対する米国の戦略的アプローチ」において、こう強調している。

 「一帯一路」構想は、中国からヨーロッパにつながる陸路(一帯)と、中国沿岸部から東南アジア、南アジア、アフリカ東岸を結ぶ海路(一路)で、インフラ整備、貿易促進などを推進する計画だ。

 当初は世界各国でも、中国による投資を歓迎する声があふれたが、投資が進むにつれて、「経済を餌にして相手国をコントロールしようとしているのではないか」という疑念がささやかれるようになっている。

 トランプ政権のこの報告書でも、「一帯一路」について厳しく批判している。

 ●一帯一路と名づけたプロジェクトには、交通、情報通信技術、エネルギー・インフラ、メディア、文化と宗教に関するプログラム、さらには軍事と安全保障の協力までもが含まれる。だが、その実態は、質が低く、汚職、環境悪化を生み出し、不透明な融資はホスト国の統治や財政を悪化させている。

 ●中国は他国から政治的譲歩を引き出したり、他国への報復を行ったりするために経済的テコを使うことが増えている。相手国の政府、エリート、企業、シンクタンクなどに対して、しばしば不透明な方法で、中国共産党の路線に沿うように圧力をかけている。

 こうした中国による「一帯一路」構想に対抗するために、米国とともに立ち上がったのが、なんと日本とオーストラリアなのだ。

 トランプ政権の対中戦略報告書にはこう記されている。

 《2019年11月、米国、日本、オーストラリアは、民間部門主導の開発を通じた透明性の高い資金調達と質の高いインフラを世界中で推進するための「ブルードット・ネットワーク」を立ち上げ、米国はインド太平洋地域だけで約1兆ドル(約105兆8800億円)にのぼる直接投資を追加した

 この「ブルードット・ネットワーク」を具体化すべく今年2月4日、日本政府は米国との間で、インド太平洋におけるエネルギー・インフラ金融および市場形成の協力強化のための協力覚書に署名している。

 そして、4月17日、日本政府はASEAN(東南アジア諸国連合)議長国であるベトナムと電話会談を行い、「経済強靱(きょうじん)性に関する日ASEAN共同イニシアティブ」を公表した。

 なぜ、こうした大事なことが大々的に報道されないのか。

 国際政治は、大局が重要だ。そして、アジア太平洋のインフラ投資などをめぐって「日米豪」対「中国」という構図になっていることは理解しておきたいものだ。
 ■江崎道朗(えざき・みちお) 評論家。1962年、東京都生まれ。九州大学卒業後、月刊誌編集や、団体職員、国会議員政策スタッフを務め、現職。安全保障や、インテリジェンス、近現代史研究などに幅広い知見を有する。著書『日本は誰と戦ったのか』(KKベストセラーズ)で2018年、アパ日本再興大賞を受賞した。自著・共著に『危うい国・日本』(ワック)、『インテリジェンスと保守自由主義-新型コロナに見る日本の動向』(青林堂)など多数。
江崎氏が指摘しなければ皆気が付かなかったのか!
わたしは、大紀元の記事も読んでいたが・・・チャンネルくららの江崎氏の動画をチェックするまでは、このニュースの重大さに気が付いていなかった。

【大紀元】2019年11月07日 21時12分 

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ロス米商務長官は5日、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」に対抗する代替案を公表した(Win McNamee/Getty Images)

米政府はこのほど、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」に対抗する代替案を発表した。日本の国際協力銀行(JBIC)が参加することが分かった。

米AP通信社によると、ロス米商務長官は5日、タイ・バンコクで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議で、グローバルインフラ開発の国際基準を促進する「ブルー・ドット・ネットワーク(Blue Dot Network)」計画を発表した。米国の海外民間投資公社(Overseas Private Investment Corporation、OPIC)とオーストラリア外務貿易省(DFAT)が、JBICとともに同計画を主導するという。

OPICが同ウェブサイトで掲載した声明では、ブルー・ドット・ネットワークの目標について、「公共部門と民間部門を結び付け、オープンかつ包括的な枠組みで、グローバルインフラ開発のために、高品質で信頼できる標準を促進する」と示した。

また声明は、「ブルー・ドット・ネットワークは、インド太平洋地域および世界中の市場主導型で透明性があり、財政的に持続可能なインフラ開発を促進するために、普遍的に受け入れられている原則と基準に基づき、指名されたインフラプロジェクトを評価、または認定する」とした。

長官とともに、ASEAN首脳会議に出席したロバート・オブライエン大統領補佐官(国家安全保障担当)は、同計画に関して、「道路や港やエネルギーシステムなどのインフラ開発投資プロジェクトを評価するミシュランガイドのようなものだ」と述べた。

オブライエン氏は、ブルー・ドット・ネットワークは中国の「一帯一路」に対抗するものだと明言した。同氏は、中国当局の「一帯一路」政策の下で、「低品質のプロジェクトによって多くの国が債務トラップに陥り」、「主権が弱まった」国もあると批判した。

中国の国営銀行や国有企業が「一帯一路」の参加国に融資を行い、建設工事を担うことに対して、ブルー・ドット・ネットワークは、インフラ開発を必要とする国への資金供給を促すことに取り組むという。

AP通信によれば、ロス長官は同首脳会議において、トランプ米政権は依然としてインド太平洋地域を重視していると強調した。2017年、トランプ大統領が環太平洋パートナーシップ協定(TPP)から離脱すると発表した。長官は「多くの人は、米国の同地域への関心が薄れたと誤解している。われわれはここに常駐し、より多くの投資を続け、二国間貿易を増やしていく」と話した。

同計画の名称は、米天文学者でSF作家であるカール・セーガン氏の著書『惑星へ』と、1990年に米無人宇宙探査機のボイジャー1号が撮影した地球の写真「ペイル・ブルー・ドット(Pale Blue Dot)」に由来する。

(翻訳編集・張哲)
一帯一路とは2013年習近平が提唱したシルクロード経済圏構想。かつて中国と欧州を結んだシルクロードを模し、中央アジア経由の陸路「シルクロード経済ベルト」(一帯)とインド洋経由の海路「21世紀海上シルクロード」(一路)で、途上国のインフラ投資を名目に途上国に金を貸し、資材から労働者まで中国が用意して、高速道路・港湾や鉄道を整備、その使用権利は中国が持つという新植民地主義的な中国の開発手法に途上国各国が怒りの声が上がっている。当初先進国は自国企業のプロジェクト参入を目論んでいましたが、結局は中国の為だけの事業で、覇権主義的だと当初好意的だった欧州各国も批判的になっています。

経済発展したい途上国にとって、ADB融資と先進国ODAプロジェクトだけでは旺盛な開発ニーズを満たすことができなかった。
中国の一帯一路構想は融資により略奪を狙うプロジェクトばかりである。多くの場合、一帯一路政策の名の下、中国はインフラプロジェクトを行う金銭的余裕のない国々に融資を持ちかける。締結される契約は最終的には中国にのみ利益をもたらし、主催国の主権が危険に曝されるという構図となる。我々は一帯一路に途上国をなびかせてしまったことに問題があった。

そこで、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」の対抗軸として、米日豪でインフラ支援に関する基準を策定し、投資規模を拡大させながらインド太平洋地域での途上国支援を強化していくプロジェクトが「ブルー・ドット・ネットワーク」である。

2019年11月米日豪でインフラ支援に関する基準を設け、友好国などと質の高い支援を促進させる取り組み「ブルー・ドット・ネットワーク」を立ち上げ、米日豪を核にして参加国の拡大を図る動きだ。

ブルー・ドット・ネットワークは「自由で開かれたインド太平洋地域」という米国の外交構想を補完するものである。既に2019年11月にバンコクで開催されたビジネスフォーラムでいくつかの計画と契約が締結されている。日米間では日本が液化天然ガスプロジェクトに1兆円相当(100億米ドル)を投資する誓約書に署名がなされた。AP通信によると、他の計画として、追加のインド太平洋エネルギープロジェクトに対する最大7,000億円相当(70億米ドル)の資金調達などが挙げられる。


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https://www.meti.go.jp/press/2020/04/20200422005/20200422005-3.pdf
2020年4月には梶山経済産業大臣とASEAN議長国であるベトナム社会主義共和国のチャン・トゥアン・アイン商工大臣との電話会談において合意した「経済強靱性に関する日ASEAN共同イニシアティブ」を公表した。

1.半世紀にわたって経済関係を強化し、アジア通貨危機や自然災害などで連携してきた日ASEANが、より緊密に連携して経済面での課題を乗り越えていくことを確認

2.感染防止を最優先としつつ、物資の円滑な流通の確保や、ヒトの移動の制約を解消するデジタル技術の最大限の活用等により、経済活動を極力止めない方針に合意し、グローバルサプライチェーンの枢要な供給者として、必要な物資を世界に届ける責任を果たす。

3.デジタル技術を活用した高度化や生産拠点の多元化等を推進し、リスク対応力とコスト競争力が両立する強靱なサプライチェーンの構築を目指す

支援基準では「途上国の主権を守り、過剰債務に陥らないように、地域の労働者に仕事を提供する」ことなど、過剰な投融資で返済に窮した国がインフラを奪われる「債務のわな」が問題となっている中国の「一帯一路」に加担させない日米豪の国家戦略である。

中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の製品導入で情報漏洩が懸念される第5世代(5G)移動通信システムの構築も積極的に支援していく予定だ。

【中央日報:Yahooニュース】8/9(日) 13:22配信

「代価を払うことになるだろう」。

7月30日の劉暁明駐英中国大使の話だ。劉大使はツイッター動画記者会見で「中国をパートナーや友人扱いしなければ英国は代価を払うことになるだろう」と述べた。脅迫ではなく「結果を教えるもの」ともした。5G通信網構築事業から英国がファーウェイを排除したことを受けた話だ。駐英大使が脅すほど英国の反ファーウェイ戦線合流はそれだけ中国には衝撃だ。

「よろしい、金は返さない!」。

5月にタンザニアのマグフリ大統領がした爆弾宣言だ。中国から借りた100億ドルを返さないということだ。前任の大統領が結んだ契約が話にならない条件だった。借りた資金でタンザニアに港を作るが、使用権は中国が99年間持つ。中国の港内活動に何の条件もつけていない。マグフリ大統領は「酒に酔ってなければできない契約」と話した。

両国とも中国と敵対すれば損害が大きい。英国は既に設置されたファーウェイの装備を取り壊し別の設備に交換する。これにより5Gサービス開始が2~3年遅れる。総額25億ポンド(約3454億円)の資金がさらにかかることになった。タンザニアも契約破棄から生じる外交的問題は少なくない。それでも両国は中国に背を向けた。

両国だけがそうなのではない。欧州ではフランスも、中国に友好的だったイタリアもファーウェイ排除に出ている。他のアフリカ諸国も中国との建設プロジェクト中止に乗り出している。習近平主席が6月の中国・アフリカ特別首脳会議で債務償還期限を延期することにしたが不満は相変わらずだ。習主席の一帯一路外交の野望に亀裂が入っているという評価が出ている理由だ。

中国はなぜこうした扱いを受けるのだろうか。

これまで中国が国際社会で影響力を広げた秘訣は2つだ。▽安価な技術力・労働力▽莫大な資金力。英国がファーウェイに友好的だった理由が前者だ。アフリカが中国と緊密な理由は後者だ。だがそれだけだ。

英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)のエリザベス・ブラウ専任研究員の分析を見よう。ブラウ氏は米フォーリン・ポリシー誌への寄稿で「中国は米国が数十年にわたりさまざまな国に作ったソフトパワーが皆無だ」と批判する。「率直に中国は米国ほど魅力的ではない。世界でだれが自発的に中国の歌、中国のテレビ番組、中国のファッションを見てまねるだろうか」ということだ。

中国の影響力の「元手」は今年明らかになった。新型コロナウイルスで多く国の経済が冷え込んだ。ここに米国の反中戦線参加の圧力はますます大きくなる。中国が掲げた利点だけでは中国と一緒にやる理由が足りなくなった。むしろ中国に対し抱えていた不満が水面上に出てきた。英国とタンザニアの反中行動はこうした背景で出た。

「金で影響力は買えても、心は得られなかった」。

ブラウ研究員の一喝だ。彼女は「中国の国際地位急落はこれまで中国がグローバル商業ネットワークだけ構築し友情を育まなかったため」とみる。

彼女は中国が旧東ドイツに学ばなければならないと主張する。中国と同じ社会主義国だ。だが中国のように資金は多くなかった。結局経済的に没落し西ドイツに吸収された。だが「東ドイツの遺産はいまも多くの国に続いている」と分析する。

東ドイツ外交の核心は「教育」だ。1951年から89年まで125カ国、7万8400人の外国人学生が東ドイツで大学学位を取得した。多くは東ドイツと同じ社会主義国だったが、そうではない開発途上国の出身者も多かった。

国連人権高等弁韓事務所代表のミシェル・バチェレ元チリ大統領が代表的だ。医大生だった1970年代にピノチェト独裁政権を避けて東ドイツに亡命した。東ドイツ政府の支援で医学の勉強を終え結婚もした。現在のモザンビーク、アンゴラ、南アフリカの執権勢力の相当数も過去に東ドイツで教育の機会を得た。バチェレ氏ら多くの人が「東ドイツでの生活はとても幸せだった」と記憶する理由だ。

教育を通じて「親東独派」を作ったという話だ。ブラウ研究員は「東ドイツの教育支援は、理念は違うが米国の海外外交官奨学制度と似ている」と評価した。

これに対し中国は違う。

親中派育成は疎かだ。代わりにブラウ研究員は「外国の華僑が本国(中国)と密接になるよう『圧力』をかけようとした」とみた。国営メディアは中国関連ニュースを海外に送出することに集中する。外交官は相手国を脅す「戦狼外交」ばかりする。2015年に中国でヒットした映画『戦狼』に出てくる戦士のように、ことあるごとに戦うという意味が内包されている。

もちろんブラウ研究員の話がすべて正しいのではない。だが存在しない過去の社会主義国。 これに劣るという評価を受けている中国の外交戦略。明らかに修正が必要にみえる。中国が本当に米国に代わるG1の夢を持っているならばの話だ。
しかし、借りた金を返さない韓国には、中国を批判する資格などないのだが・・・

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金を借りるのは当然の権利……韓国に蔓延する「ウリ意識」の底にあるものとは?
『なぜ韓国人は借りたお金を返さないのか 韓国人による日韓比較論』より 
【文春オンライン】2020/05/13 シンシアリー

たとえ国家間で結んだ条約だろうと、それに優先されうる「正義」があるというのが韓国側の心理だという。

 日本人にしてみれば国家との約束=法律を守ることは、日本という国に住む以上当たり前のことである。しかし韓国人にとっては時に個人の「正義」が法律より優先されることもあるらしい。そこには「借りた金を返さない」こととよく似たロジックが働いている。

 韓国に育ちながら日本文化にも触れることで「韓国がヘイトを向ける日本」はどこにも存在しないことを知ったというシンシアリー氏。その著書『なぜ韓国人は借りたお金を返さないのか 韓国人による日韓比較論』(扶桑社)から抜粋し、韓国人特有の正義を読み解く。

◇◇◇

日韓関係と「借りたお金を返さない」ことの類似性

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©iStock.com

「借りたお金を返さない」といっても、人それぞれ様々な事情があるでしょうけど、私が韓国で数十年間生きた「肌の感覚」だと、これは個人の問題ではありません。もはや社会レベルの問題です。

 経済的に余裕があるのかどうかを離れ、「お金を貸したのに返してもらえなかった」経験がある韓国人は、成人ならほぼ全員ではないだろうか、と私は感じています。データはありません。ただの邪推かもしれません。でも、率直に、そう感じています。某有名アニメの台詞を借りますと、「私のゴーストがそう囁いて」います。

 最近の日韓関係を見ると、日本(安倍総理)と韓国(文大統領)の間で、いつもいつも、ほぼ決まったパターンで応酬が行われます。日本は韓国にこう言います。「国際法という約束を守れ」。私的な正義は国内で勝手にやればいい、国家間の約束を守れ、というのです。すると、韓国はこう言います。「条約や合意では解決できない」。

 文在寅大統領は2020年1月14日の新年記者会見でも、「被害者の同意なしに韓日政府がいくら合意しても、問題解決の役には立たないことを、慰安婦合意で、切実に経験した」「日本政府が被害者たちが収容できる法案を用意すれば、両国間で解決策を用意することもさほど難しくない」と話しました。合意をしても役に立たないというのです。

 同じく、元朝鮮半島出身労働者(いわゆる元徴用工)問題においては、「請求権協定(基本条約)では解決されていない」と主張しています。条約締結から五十年以上も経った時点で。

 韓国の弁は、国家間の約束である国際法よりもっと重要な「正義」があるというのです。日本と韓国は過去を克服して未来志向で共に発展しなければならない関係だから、日本が負けろ、日本が折れろ、そうしないと大事な両国関係が破壊されてしまう、というのです。

 少し書き換えてみると、「韓国が国際法を守るのではなく、日本が韓国の正義を守れ」です。どことなく、今の日韓関係は、「借りたお金を返さない」ことと非常に似ているようにも見えます。いや、「今の」でもありません。ずっと前からそうでした。

「約束を破るわけには行かない」――法律的な側面を重視する日本

 2019年12月のことです。ブログに、神田外語大学のキム・ギョンファ准教授が『韓国日報』に連載している「同じ日本、違う日本」というタイトルのコラムを部分引用し、その内容について考察したことがあります。

 まことに残念なことですが、私が「シンシアリーのブログ」で紹介する「日本駐在韓国人教授の日本関連発言」は、悪い意味でとんでもない反日発言ばかりで、いつもブログのコメント欄が「こんな人が日本の大学で教授やっているのか」という意見で溢れかえったりします。そもそも親日だろうが反日だろうが、意見表明の場は保障されるべきでしょうけど、読んでいて不愉快になるのもまた、仕方ないことです。

でも、キム准教授のコラムは、明らかに日本を貶めるために書かれた「いわゆる知識人」のコラムが多い中、反日さは目立たない内容です。もちろん、日本に対する感謝や愛などはさほど感じとることができませんでしたが、それは個人差の問題でありましょう。

共通の不満を通じた「共感」は難しい

 私がブログで紹介した2019年12月18日のコラムのテーマは、「男女平等ができていない日本と韓国だけあって、日本と韓国の若い人たちが『抑圧されている』という側面で、共感できるのではないか」というものでした。男女だろうがなんだろうが、「人が不当な扱いにより言いたいことが言えず、抑圧されている」とする問題を論ずるなら、それは国家というより現代社会の問題です。性別、年齢、国家などに関係なく、どこの社会にも一定数は存在すると言えるでしょう。

 それに、コラムを読んでみて、私は、同じ不満を持っていることを「共感」と呼ぶのは、デモが多い韓国ならともかく、日本ではニュアンス的に違和感があると思いました。でも、人の立場や経験はそれぞれ違うものだし、キム准教授は女性だから、私とは観点が違うだろう、こういう考え方もあるものだな、と最後まで読んでみました。私がブログで取り上げたのは、この部分です。


〈……数年前、日本で地方議会の女性議員が、育児スペースがないことに対する抗議の意味で、乳児の赤ちゃんを抱いて、議会本会議場に入ろうとして、出入り禁止されたことが話題になった。授業でこのことについて議論したことがあるが、女子学生を含めて、学生の70%以上が、「会議に出席する資格があるのは議員だけという法を破った以上、禁止は妥当である」とする保守的な意見であり、落胆したこともある……〉

日本人学生の意見に「落胆」する韓国人准教授

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たぶん、キム准教授は、「育児問題を放置する日本が悪い」「そんな点は韓国と同じだ」「日韓の若者が共感した!」という流れを期待していたのかもしれません。実際、日本で育児に関する問題がまったく話題にならないとか、そんなことはありません。日本社会そのものが、そういう問題があるとちゃんと認識していますし、ニュースでも報道されています。

 ただ、「物の見方においての優先順位」、普通にその社会の価値観と呼ばれるものが、日本と韓国とでは、違います。日本の大学生たちは、「会議に出席する資格があるのは議員だけという法を破った以上、禁止は妥当である」を守ることを優先します。韓国なら、法より自分が抑圧されている、実際に抑圧されているかどうかより「自分でそう思っている」ことを優先するでしょう。すなわち、自分の正義を万人の法より上に置くはずです。

 この考え方があるかぎり、両国の若い人たちに「共感」はありません。なにより、日本の大学生たちのこのような意見に対し、講義している准教授が「保守的だ」とし「落胆」するようでは、共感は無理でしょう。このような考えの差があるから、日韓の真の共感はありえません。たとえ、問題そのものを「あ、これは問題だな」と感じることは同じでも。

「そうあるべき」に囚われる韓国人
 
私は、こう思っています。キム准教授と韓国側は、「育児問題に対する解決策」においてその結果を重要とし、それを邪魔する全てによって「私は『拘束』されている」と感じています。そして、他の人たちもそう感じるべきだ、いわゆる「当為さ」(「そうであるべきだ」とする概念)を重要視します。だから、逆に、自分でその邪魔な存在を拘束しないと、問題が解決しないと信じ込んでいます。「やられる前にやってしまえ」とまではいかないにせよ、「やられているからやってしまえ」です。困ったものです。

 日本側は、結果だけでなく、結果(解決策)に至るまでの過程や手続きを、万人との「約束」として認識し、重要視します。だから、「約束を破るわけには行かない」と判断し、法律的な側面を重視します。なにせ、「安保など様々な側面で周辺情勢が変わったので、憲法の一部を変え、国民投票したいと思います」という当たり前のことが、ここまで長引く国、日本ですから。

日本社会では「約束」、韓国社会では「拘束」が物を言う

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©iStock.com
 
皆さんは、「約束」と「拘束」の差をどう思われますか。漠然とした書き方ですが、約束は何か良いイメージがあるし、拘束は悪いイメージがあります。「約束をちゃんと守る人」といえば社会的に大変良いイメージがありますが、拘束はそうではありません。たまにテレビニュースに出てくる、人を部屋に拘束する凶悪犯罪のイメージもあり、とても気軽に口にする言葉ではありません。でも、実は約束が拘束になってしまうことだってありますし、その逆もまた然り、です。


 友だちとユビキッタ! した約束ならそれは普通に約束でいいでしょうし、犯人が被害者を物理的に拘束したならそれは犯罪で間違いありませんが、そこまで明確でない場合は、約束と拘束の境界はどうなるのでしょうか。約束でも、気にしすぎると拘束になってしまうことはないのでしょうか。逆に、拘束されているのに、その状況を「約束を守っているだけ」と勘違いしている人は、いないのでしょうか。

 そもそも、社会に存在する約束は実に様々な形で存在し、人と人が約束を交わす「一対一」のものだけではありません。「一対多(個人と大勢の人の間)」のものも無数に存在します。でも、妙なことに、少なくとも現状、すなわち、今の社会風潮を見てみると、日本社会では「約束」が、韓国社会では「拘束」が物を言います。

 韓国は、教育をはじめ、全ての分野において日本の法律をほぼそのまま真似してスタートした国であり、日本をロールモデルにして成長しました。「約束は守らないといけない」「法律を守ろう」などの教育も、ちゃんとあります。しかし、その結果は、日韓とでまったく別のものになります。

韓国では恥は「かかされるもの」と考える

 両国の社会風潮の「一見同じに見えるけど、実は結構違う」を論ずるため、あえてよく使う慣用表現を一つ用いるなら、「世間様を気にする」をある種の約束事として考えた場合はどうでしょうか。

 世間を気にしすぎるのはよくないという話も聞きますが、それはあくまで「気にしすぎた」場合のこと。日本で住むようになってから、さらに強く感じるようになりましたが、世間様を気にするのはとても良いことです。韓国にも「町の恥(ドンネチャンピへ、町中で恥ずかしい)」といって、何か社会通念上ありえないことをやった場合、世間の笑いものにされることを大いに恐れる表現があります。

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※写真はイメージです ©iStock.com
 
ただ、もともと「恥」という概念が、韓国では「かかされる」、日本では「かく」ものであるため、その意味合いは日本とは似て非なるものです。日本で言う「世間」という言葉は、「相手」に気を遣う日本の「建前」の表れです。韓国で言う「町」は、自分で「自分」に気を遣う「体面(チェミョン、韓国人特有のプライド意識)」の表れです。

自分が自分にかかせる「恥」
 
韓国社会の「(町の恥という表現の)町」という考えを、本書のテーマ「なぜ韓国人は借りたお金を返さないのか」と繫げてみると、こうなります。

 お金を借りたことで、人(貸してくれた人)に対して「悪いことをした」や「恩を受けた」と考えるならば、視野を広くするとそれは恥の概念になります。常識的に考えて、お金を借りるのは愉快なことではありません。「急に必要だったから、なんとかなってよかった」と思うことはあっても、所詮は借金です。人生設計またはビジネスのために銀行から借りたものならそうでもありませんが、私的な、例えば友だちから借りたものなら、良かったよりは「悪いな」と先に思うでしょう。

 ある意味では、それは自分自身による自分自身への恥であり、それをちゃんと返すことで、その恥を取り除く、いわば浄化することができます。浅い知識の日本語で恐縮ですが、「払う(返す)」ことで「祓う(恥を取り除く)」を得る、とも言えるでしょう。

借りたのは当然だから、返すのは損
 
もし、ある人が、お金を借りたことで、相手(貸してくれた人)に対して「当然のことだ」としか思わないなら、恥の居場所がおかしくなります。借りたのが「当然」なら、返すのは自分にとって損でしかありません。借りた時点でプラスマイナスゼロ、すなわち当然だから、返す分、マイナスになるわけです。

 この理屈だと、貸してくれた人は、それを返せと言わないのが、両者(借りた人と貸した人)の関係を維持するもっとも「公正」な方法になります。ここでいう「関係」という言葉、後で繰り返して出てきますので、ぜひ覚えておいてください。

 韓国社会では、この関係を「情が多い(情に厚い)」関係、言わば「恥の無い」関係だと信じる人が、大勢います。このゆがんだ「当然」と「公正」の同一視は、韓国社会で蔓延しています。俗に言う裏の世界の人、法の死角で生きる人、そういう人たちだけの話ではありません。

 実は、普通に金銭的に余裕がある人でも、なぜか借りたお金を返さない人は大勢います。それを「悪いこと」と考えず、「当然のこと(関係として公正なこと)」と考えているからです。「情」など人間関係に関わる感情を持ち出し、相手の権利をねじ伏せることが多いのは、その行為に一切の罪悪感を持っていない、すなわちそういうことを当然で公正だと思う人が多いわけです。社会がそういう人たちを増やしたのか、そういう人たちが増えたからそういう社会になったのか、それともその両方か、どちらにせよ、実に気まずい話です。

「ウリ意識」の根幹になにがあるのか

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©iStock.com
 
だから、韓国社会では、「貸したお金を返せ」と言ったせいで、相手(借りた人)が信じていた「公正(対等)な関係」が壊れてしまうという、笑うに笑えないシチュエーションも多発します。お金を借りて返さないでいる関係が公正(対等)な関係だったのに、相手から「返せ!」と言われたから、急に上下関係になり、自分(借りた人)が「下」になってしまうわけです。

 そして、それは情のない、とても恥ずかしいことであり、その恥は借りた人が自分の中から見いだすのではなく、返せと主張した人によって「かかされた」ものになります。すなわち公正で対等な関係は、自分のミスで壊れたのではなく、薄情な他人によって壊されたことになるわけです。

 ここでいう「公正な関係」または「当為さ」とやらが、韓国人の信じる「ウリ(私たち)」たる共同体意識の根幹です。私は、こう思っています。そうした世界でいう「公正」など、もはやお金の借り貸しという約束ではありません。ある種の拘束です。

 なぜ「絆」の韓国語が存在しないのか、少し分かる気もします。絆と約束は、平等や対等の関係でこそ自然に存在できます。拘束や情は、上下の関係でこそ自然に存在できます。


執筆中







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読み終わった。初版は1953年であるが、本書は1985年版である。この表紙に見覚えがあるので、学生時代この本を手に取ったことがあったかもしれない。ところでインテリ気取りの工作員君は本当にこの本を読んだのか?もしかして、ジョージ・F・ケナンが何者なのかすらまったく理解していないで、投稿してきたような気がしてならない。

読んだとしても、読んだ気になっているだけじゃあないか?読みながらそう思った。

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ジョージ・F・ケナン氏はフォーリン・アフェアーズ(Foreign Affairs)誌(1947年7月号)に寄稿した論文「X論文」によって、米ソ冷戦政策を決定つけた外交官だ。1946年「長文電報 (Long Telegram)」をモスクワから国務省へ打電する。今後の対ソ関係に関して詳細に分析、封じ込め政策を提言している。この電報は国務省内で回覧され、トルーマン政権に大きな影響を与えたことは知っていたが、本書を含め、彼の本として著書は読んでいなかった。

沖縄米軍駐留に反対の人々が、終戦後米軍駐留に反対したケナンのことを「常に世界の平和を考え、バランス感覚に秀でている」と評価しているが、本書を読む限り、本当にそうだろうか?という考えに到った。ケナンは日本を当初非武装緩衝国にする封じ込め論を展開した為、左翼には受けがいいようだが、ケナンはリアリストであり、朝鮮戦争が勃発し、戦前の日本の半島統治理由をマッカーサーとともに理解した人物である。

本書を読むきっかけとなった、中国工作員と思われる投稿者が
に下記投稿をしてきた。

市民の目180.197.143.211
2020-08-06 08:31:39 
ジョージ・F・ケナンの著作『アメリカ外交50年』を思い起こします。
ケナンはアメリカ外交の中でも良識派と認められる逸材と言えます。彼が強調するのは、軍事、外交を含めた対外政策における国益をしっかりと定義すること(=見定める)です。それは、相手国を蔑む(例えばヒトラーの語を安易に用いる馬鹿!etc)情緒論や相手国を徹底的に叩き潰す「無条件降伏」主義を戒めるものです。
相手国を変えられるのは、他国(外国)ではなく、その国自身に他ならないとのケナンの言は、外交における箴言であると評価してもよいぐらいです。

翻って、対中外交を考えるときに、好戦的レトリックや排外主義、ステレオタイプの正義論を振りかざす者はアホを通り越して売国奴であると言えます。真摯な日中友好関係を考えないといけない。特に今日8月6日は。日本軍国主義によって受けた広島の犠牲者に合掌。

折角なので、前々からケナンについて興味があったので読んでみることにした。

封じ込め戦略を考え、米ソ冷戦をトルーマンに提言した外交官のジョージ・ケナンの名前と、有名な「X論文」
「長文電報 (Long Telegram)」の存在は、鉄のカーテン~冷戦に到ったのはそういった経緯であることを知っていた。

だが、「アメリカ外交50年」や彼の回顧録は読んだとがなく、興味がある人物ではあった。

しかし読んでみると「アメリカ外交50年」は実にNHK的な表面的なアメリカの立場を擁護する歴史観で埋め尽くされていた。当然といえば当然だが、ただその中に彼なりの政府への批判も散りばめられていたが、民主党の立場なのか共和党の立場ででのポジショントークの匂いが感じられた。

本書では、米国が常に善意の国であると書いてある。スペインとの戦争(米西戦争)は今日米国の帝国主義的野望から、米国の自作自演説が有力視されている装甲巡洋艦メイン号の爆沈事件につをきっかけに始まったのだが、戦争原因をぐだぐだ書いて曖昧にして、米国の野心も間接的に認めているが、スペインも悪いと主張している。

p23-26

「メイン」号事件については、スペイン政府がこの軍艦の沈没についてなんらかの関係をもっていたという証拠は何もなかったし、またかかる関係が存在するはずだと示唆することはとんでもないことであったろう。スペイン官意のみならずハバナ駐在の米国総領事もまた、当時「メイン」号の派遣が紛議を醸すかも知れないという危倶に基づいて、その中止方をワシントンに懇請したのである。スペイン政府はこの惨事の及ぼす影響を緩和すべくあらゆる手段を尽くした。現にスペイン政府は事件の調査を歓迎し、最後には責任問題のすべてを国際仲裁裁判に付託することを捏案した。 - この程案をアメリカは遂に受諾しなかった。

 しかしながら、この二つの事件はアメリカの世論をあまりにも刺戟したので、戦争は「メイン」号の沈没によって不可避となったのだというのが、歴史の判定であるようである。事実右の事件以後、アメリカ政府によって事態の平和的解決が真面目に考慮されなかった。このことは特に重要なことであり、また不幸なことであった。というのは、「メイン」号沈没と戦闘行為の開始との間の九週間の間に、スペイン政府はわれわれの要求と要望に応ずぺく非常な譲歩をしたからである。四月一〇日(戦闘開始一一日前)、マドリッド駐在米国公使-戦争勃発を防止するため真剣な努力をした賢明かつ慎重な人物であった1は、もし大統領が自己の裁量通りに時局収拾を図る権限を議会から得ることが出来るならば、叛乱軍が受諾し得るような自治供与、完全独立あるいは合衆国への割譲など、いずれかの基礎的条件に基づいて最終的解決を八月一日までに遂げることが可能であると報告して来たほど、スペイン政府は折れて来ていたのである。この報告がなされた同じ日に、スペイン女王はキューバでの完全休戦を命令し、ワシントン駐在スペイン公使は、「それ以上の措置を要求すべきいかなる動機も口実も残さないような」自治制度の早期実施を、アメリカ政府に約束している。

 これらは勿論、両国政府間の長期にわ洩りかつ錯雑した通信の中から取り出された個々の一節にすぎない。私がこれらを引用したの軽少くとも文書の上では、一八九八年四月の上旬頃スペイン政府は、われわれが要求していたような種類の態度と措置に非常に急速に接近して来ていたことを示すためである。けれど、それにもかかわらず、合衆国政府はこの最後の瞬間の譲歩によって少しも影響されなかった。そればかりか、議会における感情と行動を抑制して、明らかに戦闘行為の早期開始へと進んでいた方向を転換させるような措置をなんらとらなかった。

さて.当時の人びとが考えたように、スペイン側の譲歩の多くはあまりに遅すぎ、また充分に信頼出来なかったということは事実であり、また、この頃の叛乱軍には、スペイン官憲と少しでも協力するというような気構えもなく、またこれを可能ならしめるような規律を欠いていたのもまた事実である。だが、これらの事情が、アメリカ政府の戦争決意を決定したものであるとは考えられない。むしろこの決定は、アメリカの国論の状態、議会選挙の年であったという事実、一部のアメリカの新聞による臆面もない全く狂信的な戦争挑発行為、および政界各方面からほしいままにまた露骨に大統領に加えられた政治的圧力などに帰せらるべきものである。

(ついでながら戦争の挑発者とみなされることがある財界・実業界方面は、この決定になんら関与せず、一般的に戦闘への介入を嫌っていたということは興味ある事実である。)
御存知のように、このすべての結末が四月二〇日のアメリカ議会の決議なのである。右決議は、「スペイン政府がキューバにおける権限と行政権を即時放棄し、かつキューバおよびその水域から地上および海上兵力を撤退することを要求することは、アメリカ合衆国の義務であり、よってアメリカ合衆国政府はここにその要求を行うものである」というのである。さらに右決議は、大統領に対しかかる要求を貫徹するために「必要と思われる限度において……合衆国の地上および海上の全兵力を行使する」ことを命令し、かつその権限を与えたのである。われわれはスペイン側に対して、この決議の要求に応ずるか否かについて三日間の期限付き最後通をつきつけた。われわれは、スペインがこれを受諾しないであろうし、また受諾することが出来ないことを知っていた。次の日の早朝スペイン側は、最後通牒の通告を待たずに、この決議は「宣戦布告にも等しい」ものであると声明し、アメリカとの外交関係を断絶した。その同じ日に戦闘行為がアメリカ政府によって開始された。かくして、アメリカ政府は、戦争に至らざる手段ばよる解決の可能性が全然消滅しをといい得ないような状況の下において、議会および国民の強力な要求に屈従して、他国への戦闘行為を開始したわけである。

まるで、教科書さえ買えば「優」をくれる凡庸な大学教授の本の文章であり、彼の裏の顔「インテリジェント・オフィサー」としての裏話はほとんどなかった。

だが、ケナンの考え方はインテリジェント・オフィサーである。そうと思わせる箇所がある。

この間の事情についてさらに説明を加えよう。大戦の開始前、世界の陸軍力と空軍力の圧倒的部分が、ナチス・ドイツ、ソヴィエト・ロシアおよび日本帝国という三つの政治勢力の手に集中されていた。これらの勢力はどれも、西側民主主義に対して深刻な危険な敵意を抱いていた。

一九三〇年の後半の情勢では、もし、右三国がその勢力を結集し、緊密な軍事的計画をもつならば、残された西側諸国は、その現有ないしは将来持つべき武力によって、ヨーロッパおよびアジア大陸においてかれらを撃破する希望を全くもてなかった。
ヨーロッパおよびアジアにおいて西側民主主義は軍事的劣勢に立つこととなり、世界の勢力均衡は決定的に不利となったであろう。
 私は、このことが、西側の政治家によって看取されていたとか、また、容易に看取されたであろうとか主張しているのでない。しかし、私は、それが一つの現実であったと信じている。

そして、それが現実であったがゆえに、戦争が起った場合、それは、西側の勝利の程度に制約を課すことになったのである。この三つの全体主義国のうち日本のみが、他の全体主義国のいずれかの援助を借りずに、民主主義陣営によって撃破し得た国であったろう。ドイツとロシアの場合、事態はもっと重大であった。両国が一緒になれば、これを撃破することは不可能であったし、民主主義陣営がそのいずれかと協力する場合にのみ、これを個別的に撃破することが可能であった。

 しかしながら、かかる協力は、それが全面勝利の段階まで推し進められるならば、協力する相手国の力を相対的に強化し、結局平和会議に貪欲な冷酷な債権者として出現させるであろうということである。そればかりでなく、これら二国のいずれかが民主主義陣営に立って参戦する場合、その協力する全体主義国をして、軍事行動の展開の当然の結果として東ヨーロッパの大部分を占領せしめることなくして、その戦争を完全にまた成功裡に終らせることは出来ないということである。

 それ故に、一九三九年当時の情勢下において、西側民主主義諸国は、既に軍事的には劣勢であるというハンディキャップを負っていたのであり、かれらがこれがため代価を支払わないですますことはほとんど期待出来ないことであった。それはもはや選択の自由が残されているようなものでなく、いわばトランプのカードが民主主義陣営にとって不利なように配られていたので、新しい世界大戦でかれらの完全かつ見事な勝利などほとんど予見出来なかったのである。

 そこで、後から考えてみて、こういうことが問われるかもしれない。すなわち、もしそのよぅな実情であったとしたら、西側の政治家たちは、全体主義国が自ら消耗し尽すように、かれらを互いに戦わせ、西側民主主義諸国の安全を毀損しないでおくような政策を、開戦する前に仕組んだ方が賢明ではなかったかということである。

ソヴエトの宣伝が三〇年代に西側の政治家を攻撃したのは、正にこの点に外ならなかった。そして事実、西側の行動のあるものは、あまりにも漠然としており、下手だったので、かかる非難をもっともらしくみせたということはある。一九三〇年代後半における西側の政策をもって、このような死物狂いのマキァヴュリ的計画を行う能力をもっていたと借ずるならば、それは、西側の政策のもつ見透しと力とを、あまりに買いかぶっているといえよう。私個人としでは、西側のどの国の責任ある有力な意見も、実際、戦争を――独ソ間の戦争すらも――少しでも欲していたという証拠を見つけ出すことは出来ない。ナチスとロシア共産主義との間の戦争は、束ヨーロッパの小国の疲弊した身体をかこんで、争われることは明らかであった。そして、ミュンヘンの悲劇にもかかわらず、これら東欧諸国の独立の消滅は、誰も希望しないところであった。他に証拠がないかぎり、われわれは、フランスとイギリスが遂に一九三九年に戦争に訴えたのは、ポーランド独立問題に外
らないとの明白な事実を否定出来ない。

 全体主義国間の相剋を意識的に狙った政策というものは、主観的理由から、民主主義諸国の政治家にとり、実行可能な代案と全く考えられなかったというのが事実である民主主義思想を支持する人びとは、それぞれの見方によって、この事実に対して希望を、あるいは失望を感じるであろう。そして、一九三九年夏、ヨーロッパに戦争の暗影が拡がったとき、われわれが現在後から考えても分かるように、西側の政治家の当面したディレンマは、明白かつ不可避のものであった。ロシアの援助がないかぎり、ドイツに対する勝利の見込みは存在しなかった。

だが、かかる援助に対して、かりにそれがいずれは得られるにしても、西側民主主義諸国は戦争の軍事的帰結において、また平和会議で捷起されるべき要求において、重大な代価を支払わねぼならなかったろう。換言するならば、西側の軍事的目的は、始めから抵当に入れられていたようなものである。ドイツにかんするかぎり、その目的は達成されたかも知れないが、それには高価な政治的代償が請求されるであろう。ところで、これは、ソヴュト・ロシアとの協力だけのことでなかった。民主主義陣営がヴィシー政府やフランコのスペインその他との間に結ぶことを余儀なくされた不本意な妥協も、みな同じ問題の一部を成していた。つまり、それらは西側の軍事的劣勢の代価をなすものであった。

やむをえず、不本意なららソ連を抱き込んだこと、可能であれば、第二次大戦は日独ソを戦わせるべきであったこと。ただの外交官であれば、そのような発想はしない。

彼の評価できる点は、冷徹にソ連・ロシアを研究し、戦後米ソが安易な同盟関係を続けることなく、早々に新たな敵国であるとトルーマンに認識させたことである。米国内には、多くのコミュニストが入り込んでいたことを察知していたからこそ、ソ連に漏れる意図をもって長文電報(Long telegram)を打ったと私は思う。

1946年時点でソ連は核兵器を保有していなかったが、1943年からスターリンが開発を命じており、ソ連が核保有国になる寸前であることは、ソ連大使館員であり、インテリジェンスオフィサーであったならば、ケナンは把握していたはずである。唯一の核保有国であった米国がそのまま、ソ連と戦うことは現実的ではなかった。ソ連が核保有国になるであろうことを予想し、ソ連を封じ込め戦略をトルーマンに提言し、結果的に米国とソ連とは冷戦となり、悲劇的な核戦争をせずに済んだともいえる。


ただし、キューバ危機の相手がフルフチョフではなくスターリンであったならば、ケナン氏は歴史から忘れ去られてたかもしれない。あくまでも、米ソが核戦争に到らず冷戦で留まったのは歴史的偶然にすぎず、その後の冷戦という平和は、ケナン氏の封じ込め戦略が齎したものではなく、米ソの核のバランスによって成り立っただけにすぎない。

ロシア人を徹底的冷徹に評価したからこそ、ソ連はヤバイ国だから、安易に同盟国として気を許すなと、トルーマンだけでなくソ連にも米国からの警告を行ったことが、ケナンの評価されるべ評価である。また、ロシアの思想・歴史・精神性を調べ上げたからこそ将来ソ連が核を持つであろう前提で、封じ込め戦略をトルーマンに提言し評価されたのだ。

戦前はドイツ、戦時中~戦後すぐにソ連大使館員だったということは、ただの外交官ではなく、有能なインテリジェントオフィサーであったと思われる。その証拠に国務省退官後にケナンはNstionalWarColledge(国立国防大学)で、副校長になった。良識派の外交官であったならば、国家安全保障の上級レベルの人員を教育するNWCの副校長になれるわけがない。反戦的外交官・良識派などと評価するのは、世の中の仕組みをまったく理解することができない、お花畑のバカが下す評価だ。ケナンは冷徹なリアリストであった。

話を、現代に置き換えると、わかりやすい。現在ケナンが北京大使館員だったとしよう。
現代のケナン氏は中国の政治システムがいかにヤバイ国であるかを調べあげた、そして電文を中国にもわかるよう警告で打った。前大統領だったオバマは無能すぎて何もできなかったかもしれないが、トランプ大統領は中国は警戒すべき国であると認識し、議会の方も同じく中国を敵として対峙するようになったのではないか?

ケナンが分析したソ連だが、ソビエトを中国共産党に置き換えると驚くほど共通している。

P167-168

さてソヴュト政権の環境についてとくに注目すべきこととは、今日までのところこぬ政権強化の過程が完成しておらず、クレムリンの人々は一九一七年一一月獲得した権力を確立し、これを絶対化する闘争に専心しっづけてきているということである。

かれらはその権力を、主として国内における、ソヴエト社会内部における諸勢力に対して確立しようと努めてきた。

しかし外部世界にたいしてもまた確立し、ようとしてきた。なぜならわれわれのすで暗にみたように、イデオロギーは外部世界がかれらに敵意をもっていること、究極的には国境外の政治勢力を打倒するのがかれらの任務であることを、かれらに教えたからである。

このような感情をかれらがもちつづけるように、ロシアの歴史と伝統がその手を齎したのであった。かくて外界にたいするかれらの侵略的非妥協性は、ついにその反動作用を起しはじめた。再びギボン流の言葉を用いるならば、かれらは間もなく自分自身がよび起した「頑迷の報いを受け」ざるをえなくなった。世界が自分の敵であるという命題について自分の正しさを証明してみせることは、たしかに誰でもがもっている特権である。なぜならかれが何回となしにそれを繰り返し、これを自分の行動の背景とするならば、結局は世界を敵に廻してしまい、かれが正しいことになるからである。 
                  
ソヴュトの指導者にたいする一切の反対は、それが何であろうと、なんらかの価値または妥当性をもつと公式にみとめることのできないのは、かれらのイデオロギーの性格によるばかりでなく、かれらの心境の性質にもよるものである。

(略)

かくてソヴュト政権を動かすもっとも基本的な衝動のひとつが、この事実のために生れることになったのである。いまやロシアにはもはや資本主義が存在しないのであり、クレムリンにたいする重大なまたは広汎な反対がクレムリンの権威のもとに解放された大衆から自然に流出し得ると認められなくな言のであるから、独裁の存続を理由づけるためには、外国の資本主義がおよぽす脅威を強調することが必要になったのである。
p174-175

すなわちクレムリンは絶対誤謬を犯さないという観念である。ソヴュトが権力についていだいている考えは、党以外には、組織といういかなる焦点の存在をも許さないということであるが、この考え方によれば党の指導部は理論上腑二の真理の貯蔵所でなければならない。なぜなら真理が党の指導部以外のところにも見出されるものならば、その真理が組織活動となって表現されるための根拠があることになる頂りである。しかしその。と。そクレムリンの許す。とのできないところであり、また許しもしないところである。

したがって共産党の指導はつねに正しいのであり、一九二九年スターリンが政治部の決議は満場一致をもって採択されるものである上声明してかれ自身の権力をつくりあげて以来、つねに正しかったのである。 

 共産党の鉄の規律は、この絶対誤らずという原則に基礎をおいている。二つの考えは事実上お互いに支持し合っている。規律が完全であるためには、絶対誤りを犯さないということをみとめる必要がある。絶対誤りを犯さないということが成立するためには、規律の遵守を必要とする。そしてこの二つが一緒になってソヴュトの全権力装置の働き方を決定してゆく。

しかしその効果は、さらに第三の要因が考慮のなかに入れられるまでは理解できない。この第三の要因というのは、指導部は特定のいかなるときでも、自分の目的に役立つと思ういかなる時定のテーゼでも、戦術上の目的のために自由に提示でき、そのテーゼが運動に参加している全員によって忠実に、なんの疑いもなしに承認されるのを要求できるということである。この結果、真理は恒久的なものではなく、あらゆる意図と目的とのために、ソヴエトの指導者自身によって、現実につくりだされるものだということになる。それは毎週にも、毎月にも変化できる。

それは絶対的な、不変なものではなく客観的現実から生起するいかなるものでもない。それはただ歴史の論理を代表しているが故に、究極の叡知が宿っていると想像されている人々の叡知がその都度新た爬表明されるにすぎない。これらの要因の効果が累積すると、ソヴエト権力の全下部機構が権力の向かう方向につねに揺ぎない頑なさと確固不動さで追従することになる。

かれらが向かうべき方向は、クレムリンによって自由に変更されるのであって、それ以外のいかなる力もこれを変更すること叫できない。その時々の政策にかんする一定の争点について、党の一定の方針が定められると、外交機関をもふくめた全ソヴュト政府機関は、ねじを巻かれ、一定の方向に向けられた永続的な玩具の自動車のように、定められた通路をとおって情容赦なく進んでゆき、なにかどうしようもないような力に遭遇して初めて停止する。

この機関を構成している個人は、外部からかれらにあたえられる議論や理由を一切受けつけない。かれらに与えられたあらゆる訓練は、外界の滑らかな説得力を借ぜず、これを無視するように教えてきたのである。写真の前の白い犬のように、かれらはただ「主人の言葉」だけに耳を傾ける。


アメリカ外交50年史を読み解くと、もし彼が駐北京米国大使館員であれったとしたならばそうしたであろうと読み取ることができる。彼はリアリストだ。

リアリストとは、イデオロギーとか宗教に関係なく、
米国が置かれた状況を的確に判断し、国益を考え、正しい行動をとろうと考え、過去の過ちも過ちとして修正できる人物である。

さて、本書が書かれた1953年とは朝鮮戦争(1950年6月25日 - 1953年7月27日;休戦中)が一旦停戦となった年であり、帝国日本陸海軍が朝鮮半島から消え、朝鮮人同士の内乱に中ソ、米英が巻き込まれた米国にとって悪夢の日々であった。米軍は半島は日本軍に任せていればよかったと後悔し、日本の立場をようやく理解していた時期だった。

p81-83

第二次大戦のずっと以前から、権威ある観察者で、中国大陸における日本の利益を零し、また中国における外国政府の地位を毀損する傾向をますます強めていた政策の妥当性を疑問視していたものがいたからである。

われわれの最も消息通の職業外交官の一人であったジョン・Ⅴ・A・マックマレー氏は、引退されてから数年になるが、1935年に極めて思索的で予言的な覚書を書いた。その中で、もしわれわれが現にとりつつある方向にこのまま進んで行くならば、日本と戦争が起るであろうと指摘した後、彼は、かかる戦争においてわれわれの目的を徹底的に貫徹したにしても、それはロシアにうまい汁を吸われるだけであり、山ほどの新しい問題をつくるだけであると述べた。

 日本を敗北させたからといって極東問題から日本を排除したことにならないだろう。
……活力のある国民は……敗戦や国家的恥辱によっておとなしくなるものではない。むし ろかれらは、自尊心という激情的衝動にかられて、かれらの帝国的権力の全盛期に揮った実力とほとんど少しも劣らぬばどの「厄介者の価値」を発揮するような諸手段を用いて自己の存在を再び主張するに至る。しかしながら、日本を抹殺することが可能であるにしても、それすら極東ないしは世界にとて祝福すべきこととはならないであろう。それは単に新たな一連の緊張状態をつくり出立だけであり、日本に代ってロシア帝国の後継者としてのソヴェト連邦が、東アジア制覇の競争者として(そして少くとも日本と同じくらいに無法なかつ危険な競争者として)立ち現れるだけであろう。

かかる戦争におけるわれわれの勝利から利益をうるものは、恐らくロシアの外にないであろう。

……かりにわれわれが中国を日本から「助け」てやらねばならないにして、……われわれが中国人に感謝を請求する権利があることを認めないことは、中国人にとってなんら不面目なことでない。国家や民族というものは、集団的にこのような感情に動かされないのがあたりまえのように思われる。……かれらはわれわれに対してなんら感謝することもないし、また利他的な意図についてわれわれを賞揚することもないであろう。却って、かれらは、われわれが引き 受けた責任を果たそうとする場合、これに抗争しょうと試みるであろう。

今日われわれが当面している朝鮮の情勢をみるならば、これらの言葉につけ加えて論評する必要はない。アジアにおけるわれわれの過去の目標は、今日表面的にははとんど達成されたということは皮肉な事実である。遂に日本は中国本土からも、満州および朝鮮からもまた駆逐された。これらの地域から日本を駆逐した要は、まさに賢明にして現実的な人びとが、終始われわれに警告したとおりのこととなった。

今日われわれは、ほとんど半世紀にわたって朝鮮および満州方面で日本が直面しかつ担ってきた問題と責任とを引き継いだのである。もしそれが他国によって引き受けられたならば、われわれとして軽蔑したような重荷を負って、現にわれわれが苦痛を感じているのは、たしかに意地悪い天の配剤である。とりわけ最も残念なのは、ほんのわずかの人びとにしか、過去と現在との間の関係が目に見えないように思われることである。もし、われわれが自らの過誤から教訓を学ばないとしたならば、一体何からわれわれはそれを学びとることが出来ようか。

p235-237

第三回の講演では、一九〇〇年から一九五〇年まで半世紀に及ぶ、われわれの中国および日本との関係について述べた。この講演の結論として私は、それら両国との関係が、中国に対するわれわれの奇妙ではあるが深く根ざした感傷を反映してきたことを指摘した。

この感傷が、自分たちほど恵まれず、より後進的と思われる他の国民に対する慈悲深い後援者、慈善家または教師をもって自任することによって得られる喜びから生じているのは明らかであった。

またこの自己満足の中に、私はアメリカ人が陥りやすいものであるように思われた国民的なナルシシズムー集団的自己賛美-を見ないわけにはいかなかった。この自己讃美の傾向は、われわれの大げさな対外的行動と著しい対照をなす、深い潜在意識的な不安感-自分たち自身にっいての確認の必要-を隠すことができただけであると思われた。

同じ講演において、次に私は、アメリカ人の日本に対する否定的で批判的な態度を取りあげた。それはもちろんわれわれが中国に対してとった後援者的・保護者的な態度の裏返しであった。

われわれの日本に対する不満は、日本が当時東北アジアで占めていた地位1-朝鮮と満州で支配的な地位-に主として圃わっていたように思われる。それらの地域は正式には日本の領土ではなかったから、日本による支配は法的にも道徳的にも不当であるとわれわれは考えたのである。

私はこのような態度に異議を唱え、それはわれわれ自身の法律家的・道徳家的な思考基準を、それらの基準とは実際には怯アーんど全く関係のない状況打当てはめようとするものであったと批判した。そして私は、この甜域における活動的な力であるロシア、中国および日本という三つの国は、道徳的資質という点ではそう違わなかったのだから、われわれは他国の道義性を審判する代りに、それら三者み間に安定した力の均衡が成り立つよう試みるべきであったと論じたのである。

日本をアジア大陸で占めていた地位から排除しょうとしながら、もしわれわれがそれに成功した場合そこに生ずる空白を埋めるものは、われわれが排除した日本よりもさらに好みに合わない権力形態であるかもしれないという大きな可能性について、われわれはなんら考慮しなかったのだと私には思われた。そしてこれは実際に起こったことなのである。

 このことに関連して、私がいま言及している講演が、朝鮮戦争中に行なわれたものであることを指摘したい。私は当時、朝鮮半島においてわれわれが陥っていた不幸な状態の中に、われわれが以前、日本の国益について理解を欠いていたことへの、また日本に代る望ましい勢力があるかを考えもせずに、日本をその地位から排除することにのみ固執したことへの、皮肉な罰ともいうぺきものを認めないわけにはいかなかった。この例によって、私は、外交政策におけるわれわれの選択が必ずしも善と悪の間で行なわれるわけではなく、むしろより大きい悪とより小さい悪との間で行なわれる場合が多いことを指摘しようとしたのである。
つまり、マッカーサーと同じく日本の立場を理解し、日本を追いやり朝鮮半島を抱え込んだことを後悔しているのである。

ジョージ・F・ケナンは、封じ込め作戦において日本を非武装地帯としようと目論んでいたが政府の方針変換で米国政府は日本に基地を恒久的に基地を置き、共産圏への攻撃基地とし、日本に武装させると1949-1950年に方針が変わった。

P240-243

しかし一九四九年の終りまでには、ワシントンで何かが起こっていたのであり、それはアメリカの戦後政策全体に深刻な影響を及ぼすことになったのである。

「封じ込め」の概念は、私が一九四七年に誠に大胆に捷喝したもので有るが、それは私や他の人々がスターリン的共産主義の政治的拡大の危険と信じていたもの、ぞしてとくにモスクワによって指導され操作される共産主義者たちが、ドイツおよび日本という敗北した大工業国で支配的地位を築く危険に対処するものであった。

私にしてもソ連をよく知っている他の人々にしても、ソ連が西側主要国あるいは日本に軍事的攻撃を加える危険があるとは、いささかも信じてはいなかった。

ソ連からの危険は、いわば政治的危険であって軍事的なものではなかった。そして歴史の記録もそのような見方が正しかったことを示している。しかし私がいまだに十分理解できないでいる理由によって、一九四九年までにワシントンーすなわち国防省、ホワイト・ハウスおよび国務省-の大多数の人々は、ソ連がかなり近い将来、第三次大戦となるかもしれをい戦争を始める危険が現実に存在するという結論に達したように思われる。

 なぜあの時期のワシントンでそのような結論がそれほど支配的になったのかという問題は、今日においてもなお、歴史的研究にとってもっとも興味深い問題の一つである。

私はそのような見方に反対であったし、私の同僚のチャールズ・ボーレンも同じであったが、二人とも説得に成功しなかった。

私はただその原因を、多くの.アメリカ人にとって、強力な軍事力をもつ国の場合でも、その国がも齎す政治的脅威がつねに軍事的脅威と結びついているわけではなく、一義的に軍事的な脅威ではない場合もあるという考えかたは受け入れ難いものにみえたことに、求めることができるのみである。

とくに軍関係者の間では、スターリン時代のソ連指導者がアメリカに敵意を抱いていたために、彼らが強大な軍備を持っていたために、そしてまた彼らがアメリカの世界における指導力に激しく挑戦していたために、ソ連の指導者は記憶も生ま生ましいナチのような連中であり、アメリカに対する戦争を欲し企んでいるのだと考える傾向があり、またそれゆえにソ連に対する政策は、一九三九年に戦争が勃発する以前にナチに対してとるべきであった政策のモデルと一致しなければならないという結論に飛躍する誘惑が強かったように思われる。その考え方はどちらも誤っていた。

 いずれにせよ、アメリカの指導層の意見にあらわれたこの変化は、私が述べた時期-一九四九年終りから一九五〇年初めにかけて起こった。そしてそこから生じた最初の結果は、アメリカの軍部および政府の上層部に、日本を非武装のままにしておくことはできない-むしろアメリカは、たとえそれがソ連の賛成しない講和を日本との間で結ぶことを意味するとしても、無期限に日本に軍事力を配置しておかねばならない--という強い感情がたかまったことであった。

この見解は一九五〇年初めにさまざまな方法で公的に表明されたが、その時期はちょうどアメリカが在韓米軍を大幅に削減した時期であった。これらすべてに対するソ連の直接の反応は何であったかと言えば、それは北朝鮮に対して、共産主義の支度を全朝鮮半島に拡大しようという意図をもって韓国尊攻撃することを、奨励はしないにせよ、許容する姿勢をとることだったのである。

もし日本が無期限にアメリカの軍事力の根拠地であり続けるとすれば、もし対日全面講和が結ばれないとすれば、またもしモスクワは日本の情勢を左右できる見込みが全くないのであれば、モスクワは、その見返りとして、アメリカがとにかくさほど関心を示しているように見えなかった朝鮮において、その軍事的・政治的地位を強化しようという気になったのである。

 これが、私の見るかぎりでの朝鮮戦争砂の起源であり、その後のことはあなた方も知っている通りである。三年をかけ、五万四千のアメリカ軍死傷者を出したあとで、この戦争は終結したが、その結果は、戦争前にあった状況と非常によく似た朝鮮半島における手詰り状態を再現したにすぎず ー そしてアメリカの介入の度合がさらに深まったのみであった。その状態は現在も続いている。

 さて、この出来事について、注意しなければならないと私が思うのは、次の諸点である。第一に、われわれがその地域の問題、とくに日本における米軍駐留に終止符を打ったであろうような、この地域の問題の政治的解決についてソ連と交渉することに何の関心ももっていなかったことである。それでは、われわれはなぜこの間題にこれほど関心がなかったのであろうか。

思うに、主としてわれわれはソ連が新たな世界大戦に突入する決意を抱いていると信じて疑わなかったからであろう。これに対抗するためにわれわれは、軍事的前進基地として日本を必要としていた。しかし同時にソ連はすでに悪の体現者と同義されていたために、国内政治の観点からすれぼ、悪と交渉し妥協することが尊いこととは思われなかったのであろう。

私が指摘したい第二の点は、ソ連が次に北朝鮮の攻撃行動を承認-あるいは黙認-するという形で、アメリカの対日政策への反応を示した時、われわれは、アメリカが日本でとった政策と北朝鮮の共産主義者が朝鮮でとりつつあった行動との間の関連を決して認めようとせず、あるいはそれを考えることさえできなかったということである。

反対に、北朝鮮の侵略が行なわれたとき、ワシントンがただちに下した結論は、この行動はナチがヨーロッパ制覇の目的で行なった最初の行動であるとしばしば考えられていた、1928年のミュンヘン危機に比すべきもので、ソ連の軍事力による世界征服の第毒手なのだというものであった。

ボーレンと私とは、再びこの解釈に反対した。しかし二人ともそうした考えを改めさせることはほとんどできなかった。軍部の解釈が支配したのである。
ジョージ・F・ケナンは、いったい何を隠したいのか?
アメリカの指導層の意見にあらわれたこの変化は、私が述べた時期-一九四九年終りから一九五〇年初めにかけて起こった。
1949年から1950年にかけて起きた重大事件とは、1949年8月ソ連は原子力爆弾の開発に成功したのである。

唯一の核保有国ではなくなった米国が、方針転換するのは当たり前である。

以上が「アメリカ外交50年」の気になる点であった。

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工作員の「市民の目」君、討論時間だ。

>相手国を変えられるのは、他国(外国)ではなく、その国自身に他ならないとのケナンの言は、外交における箴言であると評価してもよいぐらいです。

たしかに、いい外交における教訓だね、それに近いことは書いてありましたが、いったいこの本のどこに書いてある?見逃したかもしれないんで、教えてくれないかな?

何ページの何行目?もしかしたら版が違うかもしれないから、何部の何章のどのあたりかでもいいけど(笑)

>それは、相手国を蔑む(例えばヒトラーの語を安易に用いる馬鹿!etc)情緒論や相手国を徹底的に叩き潰す「無条件降伏」主義を戒めるものです。

この本を読んで、それに近い表現がまったく見当たりませんが?

解釈の違いかもしれませんので、何ページのあたりでそのようなことを書いてますか?
討論しましょう!どこ?

この記事読んでるよね、もちろんこの本も読んでいるよね・・教えてくれないかなぁ?
 


σ(´┰`)


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「正直で賢い人は絶対に左派になれない。
正直な左派は賢くなく、賢い左派は正直ではない。
矛盾だらけの社会主義の本質を知らねば明晰ではなく、
知っていながら追従するなら嘘つき(偽善者)だ」
レイモン・アロン

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Did the Pentagon just admit that stealth technology may not work anymore?
【NationalInterest】2020.08.01Michael Peck 

国防高等研究計画局(DARPA)曰く、アメリカのジェット機はステルスのピークに達した。で、次は?
国防総省は、ステルス技術はもう機能しないかもしれないと認めたのでしょうか?

国防総省配下の研究機関は、F-35ステルス戦闘機やB-2ステルス爆撃機のような高価な航空機の数が少ないという概念を、"ますます複雑になっている画一的なプラットフォームへの依存度の低下 "を求めるときに痛いところを痛打していると覚えておく必要がある。

国防総省は、ステルス技術はもう機能しないかもしれないと認めたのでしょうか?あるいは、アメリカは、その航空力が空をコントロールできない未来に直面する準備をしなければならないのだろうか?

国防総省の最先端の研究機関であるDARPAは、次の戦争と戦うための将来の技術を模索する中で、これらの可能性を静かに提起してきた。そして、ステルス技術はその答えではないかもしれない。

"プラットフォームステルスは物理的な限界に近づいているかもしれない "とDARPAは言う。

また、「我々の取得するシステムは、敵の進展に関連したタイムスケールで対応することが困難であり、次世代能力の探索をより緊急かつ無駄なものにしている」とも認めている。

もしそうだとすれば、次世代の航空機(最終的にはF-22、F-35、B-2ステルス機に取って代わる設計)は、前任者よりもステルス性が高くないかもしれません。あるいは、ステルス技術とそのベールを突き破ろうとするセンサーとの果てしない競争の中で、ステルスはレンガの壁にぶち当たっているかもしれない。

このように、国防高等研究計画局(DARPA)は、アメリカがこれまで一度も熟考したことのない質問をしなければならない。"空の支配に代わる許容可能な選択肢はあるのか?" DARPAは問いかけています。"敵の戦闘機や爆撃機を排除し、地上からの脅威をすべて排除することなく、統合軍の目標を達成することは可能なのか?高価値で洗練されたプラットフォームと乗組員をリスクにさらすことなく、潜在的な敵対者が現在米国に対して保持しているレバレッジを低下させることなく、これを達成することは可能でしょうか?

DARPAは、「ステルス技術の進化的進歩を超えて、航空優勢/航空至上主義の伝統的な教義を破壊する」ことが可能かどうかを見たいと言っています。

1941年の太平洋戦争や1943-44年のドイツへの爆撃機攻勢のような荒れた局面はあったが、アメリカは敵機を排除して自軍機で空を埋め尽くすことに大部分成功してきた。現在生きているアメリカ人の中で、航空機による爆撃を受けたことがある人は、アメリカの敵が言う以上にほとんどいません。

しかし、ロシアや現在の中国がステルス機や致死的な対空ミサイルを開発しているように、その時代は終わりました。

今、国防総省は、米国の航空戦力が航空優位性がなくても目的を達成できる他の方法を模索している。例えば、"圧倒的な性能(例:超音速)圧倒的な数(例:低コスト兵器の群集)の組み合わせによる致死性 "などだ。

実際、国防総省配下研究機関は、"ますます複雑化する単一的プラットフォームへの依存度の低下 "を求めるときに、F-35ステルス戦闘機やB-2ステルス爆撃機のような高価な航空機の数が少ないという概念を非難しているように見える。

同様に、"大型で高価で、ますます脆弱になる空母打撃群プラットフォームへの依存度を減らすにはどうすればいいのか?" とDARPAは問いかけています。

その解決策の一つとして、「商業的な設計から生まれた、小型で安価、大量のネットワークを持つ船舶」が考えられるという。米国が「一枚岩のような高価値の宇宙資産や機器」から、より小さくシンプルで安価な人工衛星やロケットに取って代わろうとしているのと同じアプローチが宇宙にも適用されている。

DARPA は、将来の戦争では、前方の作戦基地や長い補給線のような巨大なインフラを必要とせず、より小型で致死性の高い地上部隊が活動するようになるだろうと提案している。国防総省は自律的な「テラネット」(おそらくAI制御)を想定しており、有人および無人のユニットからなる旅団サイズの隊列の活動を調整し、地下戦争という新たな領域の暗闇の中で戦うことになるだろう。

興味深いことに、DARPAが引用している未来の地上戦の例は、パワードアーマーを着た部隊の伝説的なSF小説や映画である「スターシップ・トゥルーパーズ」である。しかし、ロバート・ハインラインの小説は、実際には宇宙の硫黄島と沖縄を舞台にしたものだった。

DARPAのビジョンが予言的なものなのか、それとも時期尚早なのかはまだわからない。

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 Starship Troopers

高価で稀少な兵器はダメだとDARPAは主張している。
私がこのブログでF-35駄作機論を展開し、F-35支持派から非難を受けたが、有る意味通じるものがある。

ステルス技術はやがて限界がきて、レーダーで探知されられるようになる時がくる。
そうすると、ステルス以外の性能がその戦闘機の価値として左右することになる。
ゆえに、低速でパワーが無いF-35は戦闘機として
駄作機であるというのが私の結論である。
ただし、F-35は早期警戒機のカバーがないエリアでの戦闘では高い探知通信能力を生かすことができる。戦闘することが可能な早期警戒機と考えると、高性能早期警戒機だともいえる。

ステルスの次にくるものは、無人機/無人機編隊を誘導運用技術(AI技術)、極超音速長距離移動
、新世代兵器(レーザー砲/高出力マイクロ波兵器HPM)、自衛アンチ対空ミサイルシステム、光学迷彩といったアイデアではなかろうか?

DARPAが推薦するステルスの次に来る兵器の方向性として、圧倒的な数(例:低コスト兵器の群集)、 商業的な設計から生まれた、小型で安価、大量のネットワークを持つコンセプトが考えられるようだが、我々日本人には具体的イメージが有る。

そう、例のあれである(笑)

安価で大量の商業ベースで生産可能な兵器って、かつてタツノコプロのアニメ ヤッターマンに登場するヤッターワンから子機が大量に出てくる「ビックリドッキリメカ(または今週のビックリドッキリメカ)」のことではないか(笑)。

http://feynmanino.watson.jp/6845_bikkuri.html

ヤッターマンの犬型ロボット「ヤッターワン」は、ドロンボー一味に追い詰められた際、ヤッターマンから与えられるメカの素を貰うと、ヤッターワンの機内で瞬時に大量に小型メカが製造された。量産された小型メカがヤッターワンの口から発進して形勢が逆転し、ドロンボー一味は、毎回お仕置きを受けるというのが、毎回のお約束でした。

ドロンボー一味の天才エンジニア ボヤッキーのハンドメイドの大型高性能戦闘有人搭乗型ロボットより、無数の無人小型戦闘メカの方が勝るという兵器思想の寓話である。

第二次世界大戦ナチスドイツの高性能Ⅵ号ティーガー戦車やⅤ号パンツァ戦車を急遽量産した大量のT-34で蹴散らした戦訓、無敵で強兵であった帝国陸海軍を物量で圧倒し勝利した太平洋戦線の米陸海軍にも通じる話である。
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http://www.funlifee.com/shopdetail/000000000494/

ヤッターマン(1977~1979年放映)は未来を四十数年先取りしていた(笑)!



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尖閣諸島周辺の接続水域を航行する中国の公船や漁船に対応する海上保安庁の巡視船(左端)=平成28年8月(海上保安庁提供)

【産経ニュース】2020.8.2 19:22 

中国政府が日本政府に対し、尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺での多数の漁船による領海侵入を予告するような主張とともに、日本側に航行制止を「要求する資格はない」と伝えてきていたことが2日、分かった。16日に尖閣周辺で中国が設定する休漁期間が終わり、漁船と公船が領海に大挙して侵入する恐れがある。日本の実効支配の切り崩しに向け、挑発をエスカレートさせる可能性もあるとみて日本政府内では危機感が高まっている。(半沢尚久)

 大挙侵入予告といえる主張を伝えてきたのは、7月2~5日に中国公船2隻が尖閣周辺の領海に侵入して操業中の日本漁船1隻に接近し、平成24年の尖閣諸島国有化以降で最長の39時間以上も領海にとどまった時期だ。

 中国政府当局は「日本の海上保安庁は(尖閣周辺で)1隻の日本漁船すら航行するのを止められなかった」と批判。「数百隻もの中国漁船の(尖閣周辺での)航行を制止するよう(日本が)要求する資格はない」と述べた。

 日本政府高官はこの主張を「意趣返しの意思表示で休漁明けの挑発を正当化する布石だ」と指摘する。

 尖閣周辺では28年の休漁明けに4日間で延べ72隻の漁船と延べ28隻の公船が領海侵入した。30年以降は中国当局が尖閣周辺に漁船が近づかないよう指示していたとされる。

 今年は、4月に予定していた中国の習近平国家主席の来日の延期が3月に決まると、4月14日から尖閣周辺で公船が確認され続け、今月2日も接続水域を航行。111日連続の確認で、国有化以降で最長の連続日数を更新している。

中国政府は、5月8~10日に公船が領海に侵入して日本漁船を追尾した際には「『中国の領海』で違法操業」している日本漁船を「法に基づき追尾・監視」したとの見解を示した。法執行を強調することで尖閣に対する日本の実効支配を弱め、中国の領有権主張を強める狙いがあった。

 漁船の大挙侵入予告にも同じ意図がある。尖閣をめぐり日本政府が「存在しない」とする領有権問題が存在し、日中が対等な立場にあると喧伝(けんでん)するため、意趣返しとして漁民に領海侵入を促し、公船も随伴させる可能性があり、休漁明けを前に海保と国境離島警備隊を4月に新設した沖縄県警は警戒感を強めている。

 挑発の新たな形態も懸念される。漁民らで組織される海上民兵の投入で、昨年7月にベトナムの排他的経済水域で公船とともに海上民兵船が活動した前例がある。今年6月の法改正で公船が所属する海警局と海軍が同じ指揮系統で運用可能になり、尖閣周辺で軍艦艇と公船、民兵船を試験的に一体運用する機会をうかがっているとの見方もある。

 日本政府高官は、公船の背後に控える中国海軍艦艇をマークしている海上自衛隊艦艇に加え、海自の哨戒機と空自の早期警戒機の飛行頻度を増やし、「中国側が認識できるレベルまで警戒態勢を引き上げるべきだ」と指摘している。

戦狼外交を繰り返す中共習近平政権は、遂に宣戦布告ともとれる「中国漁船群の尖閣領海侵入予告」を行った。しかも、漁船の尖閣海域侵入時にはミサイル艇も同行させると宣言している。


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【産経ニュース】2020.8.2 06:00 
 
中国海警局の巡視船が尖閣諸島(沖縄県石垣市)の領海に侵入する際、中国海軍のミサイル艇が巡視船に連動して台湾付近に展開していることが1日、分かった。4月14日から今月1日まで110日連続で巡視船が尖閣周辺を航行した期間にも同様の動きがあり、中国本土ではミサイル部隊が展開していることも判明。不測の事態に備え、周辺海域を警戒する海上自衛隊の護衛艦を牽制(けんせい)する狙いがあるとみられる。複数の政府関係者が明らかにした。

 政府関係者によると、ミサイル艇は中国海軍の東海艦隊(司令部・浙江省寧波市)所属とみられ、海警局の巡視船が領海侵入するのに合わせて航行。通常の軍艦に記されている艦番号がなく、小型で海洋迷彩の塗装が施されている。

 これと同時に中国本土では移動式発射台に搭載された地対艦ミサイルが展開している。政府関係者は「領海侵入時になると、普段はいないところに地対艦ミサイルがいる」と説明する。

 一連の動きは2018年ごろから顕著になったという。中国政府は同年7月、海警局を軍の指導機関に当たる中央軍事委員会傘下の人民武装警察部隊に編入した。ミサイル艇や地対艦ミサイルの展開は、複数の軍種と海警局が一体的な指揮のもとで統合運用されている可能性を示すものだ。

 海警局は巡視船の大型化を進めており、軍艦並みの機関砲を搭載した1万2千トン級も配備。防衛省は中国海軍の艦艇を改修した巡視船も配備されていると分析している。

 ミサイル艇が展開するようになる以前から中国軍艦艇の動きはあった。海警局の巡視船が尖閣諸島周辺を航行する際は海軍のフリゲート艦や駆逐艦が周辺海域に展開している。

 ただ、フリゲート艦などは尖閣諸島から約90キロ北東の北緯27度線以北を航行しており、27度線を越えて南下するのは例外的な動きにとどまっている。海自護衛艦は27度線以南の海域に展開しており、日本側の動きを観察するためとみられている。これに対し、ミサイル艇は基本的に27度線以南の海域を航行している。

 尖閣諸島をめぐっては昨年7月23日、中国、ロシア両軍の爆撃機が編隊飛行で27度線の上空まで尖閣諸島に迫る動きを見せている。同日も海上では中国公船4隻が尖閣諸島周辺の接続水域を航行していた。

中国が軍艦であるミサイル艇を入れると宣言してのであるから、これに対し、我らが河野防衛大臣は、「必要な場合、自衛隊として海上保安庁と連携し、しっかり行動したい」、正論を発言し返した。

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河野太郎防衛相(田中一世撮影)

【産経ニュース】2020.8.4 12:45 

河野太郎防衛相は4日午前の記者会見で沖縄県・尖閣諸島周辺海域で中国公船が平成24年9月の尖閣国有化以降、最長の111日間、連続航行したことに関し「必要な場合、自衛隊として海上保安庁と連携し、しっかり行動したい」と述べた。一義的には海保が対処するとの考えも示した。

 どういう事態が発生すれば自衛隊が行動するのかなどの問いには「手の内は明かさない」として回答を避けた。

 尖閣の接続水域では30年1月、潜った状態の外国の潜水艦1隻と中国海軍のフリゲート艦1隻が航行。海上自衛隊が情報収集と警戒監視に当たった。防衛省は潜水艦も中国海軍のものと判断している。

 海保によると、中国公船は4月14日から尖閣周辺で航行し、8月2日まで連続で確認された。
あくまでも、「必要な場合」つまり海軍の軍船で侵入した場合は、日本も海自の護衛艦を出動すると正しい返答を返しただけである。

河野太郎は実に正しい、外交とは国家と国家の真剣勝負であって、外交の延長に戦争がある。戦争をしてはいけないとただ逃げていたのでは、外交交渉すらできない。

私の心の師小室直樹氏先生はこのブログで何度もとりあげているが、名著『新戦争論』(1981年カッパブックス)において、「平和主義者が戦争を招く」と力説されていた。

「戦争は絶対イヤ!」「戦争反対」これは単なる念仏でしかなく、アホだラ九条経だ。いわゆる平和主義者が第一次世界大戦後、ヒトラーを増長させ、第二次世界大戦を招いたことを理解していない。

生物の本能として誰もが命は惜しいものである。だから、「戦争は絶対イヤ!」などという気持ちは、私ですら、誰もが当たり前に持っている普通の感覚なのである。

小室直樹先生は『新戦争論』において、「ひとりひとりが平和を願えば世界に平和がもたらされる」という平和主義者のことを「神州不滅の念力主義者」と称して厳しく批判した。
戦争が起きたらどうするかという軍事研究すら言霊の国日本ではタブーであり、誰も戦争のことなど少しも考えずに、また口に出さなければ、けっして戦争が起こるはずはないと堅く思いこんでいる馬鹿達がいる。これが一つの憲法九条信仰にまでたかめられている。

本当の平和主義者であれば、まずは戦争の本格的研究から始めなければならないはずである。戦争が起きれば平和ではないから、戦争が起きるための条件、不幸にして起きてしまったらどうするか、これらについての十分な研究なくして、平和主義者たる資格はない。

今の日本では、軍事研究は私のブログを読むような一部の人だけで、軍事の研究をする人間は、右翼ネトウヨとレッテルを貼られる愚かな社会だ。

2010年尖閣沖で中国漁船の体当たり事件の甘い対応が、中国を増長させたのは9条教信者で市民運動家だった管直人の対応が原因である。

ゆえに、河野大臣の対応は正しいのである。

中共はもは国家ではない、ヤクザ以下のチンピラ集団である。チンピラ集団は北朝鮮であるから、もとも性質の悪い広域指定暴力団である。

脅しに屈したら負けである。目には目を歯には歯を、武力には武力で立ち向かうしかないのである。屈っしたら負けである。目を覚ませ日本!立て!立ち上がるんだニッポン!



中国政府が異常な通告をしてきた。日本固有の領土である沖縄県・尖閣諸島周辺の領海に、16日の休漁期間終了後、多数の漁船による領海侵入を予告するような主張をしてきたのだ。海上民兵を含む中国漁船団と、中国海警局の武装公船が領海に大挙して押し寄せる危険性がある。世界全体で68万人以上の死者を出す、新型コロナウイルスの大流行を引き起こしながら、日本の主権を強引に侵害するつもりなのか。日本国内の「親中派」の蠢動と、在日米軍の協力姿勢とは。世界が新型コロナで混乱するなか、自国の領土・領海を守る日本政府の対応と、日本国民の覚悟が求められそうだ。


 「尖閣諸島に、中国漁船が大量にやってくる危険性はゼロではない。海上保安庁の守りに加え、警察や法務省の入国管理担当官を事前に尖閣諸島で待機させて、不法上陸などがあれば、迷わず国内法を適用する。日本は『領土・領海を守り抜く』という覚悟を示し、具体的に対処すべきだ」

 「ヒゲの隊長」こと佐藤正久元外務副大臣は開口一番、こう語った。

 発言の詳細は後述するとして、衝撃のニュースは、産経新聞が3日朝刊の1面トップで、「中国、尖閣に漁船団予告」「大挙侵入『日本に止める資格ない』」との見出しで伝えた。

 同紙によると、中国政府が「大挙侵入予告」といえる主張を伝えてきたのは、7月2~5日に尖閣周辺の領海に侵入した中国公船2隻が日本漁船1隻に接近し、2012年の尖閣諸島国有化以降最長の39時間以上も領海にとどまった時期だという。

中国政府当局は「日本の海上保安庁は(尖閣周辺で)1隻の日本漁船すら航行するのを止められなかった」と批判し、「数百隻もの中国漁船の(尖閣周辺での)航行を制止するよう(日本が)要求する資格はない」と述べた。

 日本政府高官は、この主張を「休漁明けの挑発を正当化する布石」と分析しているという。

 尖閣周辺では、16年の休漁明けに4日間で延べ72隻の漁船が領海侵入し、公船15隻も領海侵入したり領海外側の接続水域を航行した。当時、「漁船には、軍で訓練を受けて武装した100人以上の海上民兵が乗り込んでいる」との報道もあった。18年以降は中国当局が尖閣周辺に漁船が近づかないよう指示していたとされる。

 今年は、4月に予定していた中国の習近平国家主席の「国賓」来日の延期が3月に決まると、尖閣周辺で公船が確認され続け、今月2日時点でも接続水域を航行していた。「111日連続」の確認で、国有化以降最長を更新している。

 中国政府は、5月8~10日に公船が領海に侵入して日本漁船を追尾した際、「『中国の領海』で違法操業」している日本漁船を「法に基づき追尾・監視」したとの見解を表明。法執行を強調することで、中国の領有権主張を強める狙いがあったとみられる。

沖縄県警は休漁明けに備え、海保と国境離島警備隊を4月に新設し警戒感を強めているが、それで対応できるのか。昨年7月には、ベトナムの排他的経済水域で、中国公船とともに海上民兵船が活動した前例もある。

 海洋防衛の専門家、東海大学海洋学部の山田吉彦教授(海洋政策)は「日本への挑発だ。世界から注目を集めることで『尖閣周辺は中国の海だ』とアピールする目的もあるのだろう。海上保安庁や警察は、日本の国内法に従って、中国漁船団に違法行為があれば拿捕(だほ)するなど、粛々と法執行すべきだ。ただ、中国漁船には、海上保安庁の巡視船に接触(衝突)させる狙いも感じられる。対応には制約が求められる可能性もある」と語った。

 米国の有力シンクタンクが調査報告書で、日本国内の「親中派」の存在に注目するなか、在日米軍のケビン・シュナイダー司令官は7月29日、オンラインでの記者会見で、中国漁船団の尖閣諸島周辺への大挙侵入の可能性を指摘して、日本の対応を「同盟国として支援する」「100%忠実に守る」と表明した。

 前出の佐藤氏は「中国側に付け入るスキを与えぬよう、『海上自衛隊と米海軍が尖閣対応の会議を開いた』『久場島と大正島の米軍射爆撃場のあり方について日米で議論を始めた』などと、日米で強力に対処している姿勢を見せるのも一策だ。上空でも、海上自衛隊の哨戒機と航空自衛隊の早期警戒機をどんどん飛ばして、警戒監視を行う。対中国との『宣伝戦』にあたるのも、わが国の備えとして不可欠だ」と語っている。

習近平は、父親は文革で粛清され自身もその悲哀を受け大人になっていったが、所詮二代目の共産党員である。だが、共産党というものが、どのようなものであるか、一番理解している人物であるから、知能指数は低くとも、猜疑心がつよく臆病な性格ではあるが、まがいなりも共産党のトップとなった。

中国人民解放軍という暴力装置を手中に収めることがどれだけ大事かも知っていた。軍の規律を引き締め、軍備を最新かつ最強レベルに増強し、総力戦が遂行できる経済や産業を育てた。

「中国夢」とは「世界の悪夢」だが、「戦争による世界秩序の変更」の実現に踏み出すことによってのみ、中華皇帝になれることも理解している。
終身国家主席の地位を確保するには、戦争に勝利しなければならない。

習近平は若くは無い。67歳という年齢は、中途半端だ。ここで権力を手放すと粛清が怖い年齢であり、中華皇帝を目指さなくてはならない。だが皇帝になるには、年をとりすぎ焦りが生まれる年齢である。

自らの失政で、米国を筆頭に世界中を敵に回し、同盟国はロシアを含め皆無だ。世界中にウィルスをばらまき、中国経済を支えた外国企業が次々と中国から撤退中である。三峡ダムに洪水、中共ウィルス禍に襲われた中国経済は厳しい。企業負債の膨張や大量失業など、国内問題のプレッシャーは高まるばかりである。

何よりも、貧困を2020年までに無くすと「中国夢」がいつまでも実体のない画餅のままで、習近平のメンツがたたない。国民の手前もはやメンツを保つ選択肢は、対外戦争の勝利以外選択肢がない状態である。

メンツを保つには台湾か、中国共産党の主張する「日本に不法占拠される中国固有の領土」である尖閣諸島を「解放」する実績を作ることは、習近平が名実ともに「皇帝」の地位を得るための最短チケットだ。米国は口先で中国を非難するものの、日本の為に核戦争に巻き込まれることは避けると中国は考えている。ここに、中国による尖閣先制攻撃の蓋然性が満ちるのである。

だが習近平の中国共産党を隣町のツッパリ番長だと思えばいい。

まだ、言葉で威嚇しているだけだ。戦狼外交は心の弱さの現われで、内心ビビッているのだ。

いままで大人しい小日本とバカにしてくれてありがとう。我が国は強きに屈するどこかのキムチ臭い事大の国ではない。世界に冠たる戦闘民族、サムライの国だ。もはや弱兵シナ人に日本は武士(もののふ)の国であることを思い知らせてもいいのではないか!

かつて我が国は、唐であろうと、モンゴル(元)にも清にも、ロシアにも大英帝国にも、ドイツ、フランスにも自国より強大な国に屈したことなどない。米帝以外負けたことがない神国である。中共がどんな強大な軍備を揃えたところで 大和魂搖るぎなき、國のかために人の和に、正義の軍(いくさ)行くところ、
誰(たれ)か阻まんこの歩武(ほぶ)を、いざ征けつはもの日本男児である。

我が大君(おほきみ)に召されたる♪ 命榮(は)えある朝ぼらけ♪




 愛国歌は、街宣車の為にあるのではなく、眠れし、我が日本人の自尊心を覚醒させる効果がある。今が戦前であると自覚した人間は、おそらくこの歌が、街宣車の騒音ではなく、聞こえてくるだろう。歌詞に込められた魂と、その心を理解することができれば、伝わり共感すると思います。











執筆中
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PACIFIC 2019に出展された三菱重工の30FFM発展型新型ミサイル護衛艦 FMF-AAW


2021.04.24

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高出力マイクロ波のポンチ画に載った大型艦をDdogが背景等加工 2021.04.24追記

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Twitter上でヒットした画像 2021.04.24追記

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上のTwitterから拾った画像をDdogが通常艦型に加工 2021.04.24追記

海自の自衛艦隊は51防衛大綱で計画された通称”新88艦隊”は、DDH×1(艦載ヘリ3機)DDG×2隻 DD×5隻艦載ヘリ各1機)で構成された。

最初のDD×5隻×4艦隊20隻は、画期的な多機能護衛艦”はつゆき型×12隻”あさぎり型”8隻で完結した。逐次はつゆき型あさぎり型は自衛艦隊から転進して、現在、03中期防以降に建造された‘‘むらさめ型’’9隻、“たかなみ型’’5隻および‘‘あきづき型’’4隻、‘‘あさひ型’’2隻の計20隻によりDDの定数は満たされ、このたび2019年2月に平成26年度計画護衛艦"あさひ型””しらぬい”が就役し完結した。

護衛隊群の基本構成艦である汎用護衛艦(DD)については、31大綱・31中期防において、新たな整備構想についてあさひ型後継 次期汎用型DDX計画は言及されていない。

現在は3900トン型FFMを量産しているため、当初計画22隻の同型艦を年2隻で建造すると、令和10年(2028年)度予算までいまのところ新たに汎用護衛艦(DD)の建造計画は、ない


1996年(平成7年)に就役した‘‘むらさめ型’’については、列国の第一線艦と比較すれば、将来船体の老齢化および装備の能力・性能の陳腐化により任務を完遂するのが困難になることが危倶される。2026年に1番艦むらさめが艦齢30年を越える。途中前倒しで先に新型DDXが予算化される可能性もあるが、令和2年度予算でむらさめ型はFRAM艦齢延長で艦齢40年2030年台後半まで艦齢が延びたが、2030年代には第一線級とは言い難くなる。予算がついて設計1年建造引渡しするのに3年計4年2029年度予算で建造が認可されれば2033年就役が予想される。

当面新型DDであるあさひ型後継DDXは、次期DD型シリーズの起点となるのだが、3900トン
型FFMは思いのほか高性能艦となっている為、3900トン型FFMを大型化する案と、あさひ型を踏襲した新型の艦とするのか、意見が分かれるところだと思う。

一番大きな違いは3900トン型FFMには船首底にバウソナーがなく、従来型DDにはバウソナーが標準装備されている点ではないかと思う。

3900トン型FFMを大型化した際に船首底にバウソナーをつければいいといえばそれまでだが、3900トン型FFMを大型化する案が合理的と考える。だが、ミリオタの悲しい性で、米海軍のズムウォルト級だったり、ロシア将来駆逐艦プロジェクト23560「リデル」、英国で構想されている、Dreadnought 2050、仏伊の最新鋭艦のような、もっと違った軍艦を見てみたいという欲望もあり、ああでもないこうでもないと私的に次期DDXを妄想してみます。

まず、まず、大きさを示す排水量だが、基準排水量/満載排水量は大型化するという前提で前型と比べ考えると基準排水量6000t/満載排水量8000tとなる。なお、はつゆき型の前型はやまぐも型として計算した。

基準排水量                 満載排水量
はつゆき型
2,950 t / 3,050 t(37%+)  4,000 t / 4,200 t(47%+)
あさぎり型
3,500 t / 3,550 t(20%+)  4,900 t / 5,200 t(30%+)
むらさめ型/たかなみ型
4,550 t/4,650 t  (32%+)   6,100 t/ 6,300 t(29%+)
あきづき型/あさひ型      
5,050 t / 5,100 t(12%+)6,800 t    (11%+) 
DDX
6000t (18%+)     8000t   (18%+)





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FMF-AAWミサイル護衛艦

基準排水量7,000~8,500t 満載排水量 10,000t
全長145〜160m、前幅18m、速力 最大30kt+α       
Mark45 62口径5インチ単装砲 1基 
RWS 2基
Mk.41 VLS (64セル) 1基(最大2基80セル)
17式SSM 4連装発射筒 2基
Sea RAM 1基 / DEW(指向性エネルギー兵器)1基
HOS-303 水上魚雷発射管 2基
艦載機 SH-60K哨戒ヘリコプター 1機

30FFM整備も重要だが、わが国の海上防衛力の基幹をなす護衛隊群の基本構成艦である汎用護衛艦(DD)の維持向上させるためには、‘‘むらさめ型’’汎用護衛艦(DD)の代替艦となる新型護衛艦(DDX)の建造計画も極めて重要である。

FFMは基準排水量3900トン満載排水量5500トンであり、すでに第二次世界大戦時の大型駆逐艦島風や軽巡洋艦夕張ほどの排水量である。DDあさひ型に到っては基準:5,100t 満載:6,800tで、もはや堂々軽巡洋艦クラスである。

新DDXは‘‘むらさめ型’’汎用護衛艦(DD)の代替艦となる。2030年代初頭に就役するとなると、新造時からレーザー砲やレールガンが装備された次世代護衛艦となるか微妙であるが、対ドローン用に100kw級レーザー砲やEMC電磁照射器の搭載は可能性があるが、レールガンも微妙な感じであるが、実用化の目処がたてば後日装備となると予想する。

新たな戦術概念である、電磁機動戦(サイバー・電子戦)技術の適用、スパイラル方式による新技術の導入、省力化の推進などを行なうものである。

現在、中国、ロシアにおける対艦ミサイルの性能向上、射程の延伸が著しい。


2020年06月04日記事中国海軍は日本を越えたか?でもとりあげたが、対艦ミサイルのカタログスペックの射程だけなら、圧倒的に中国海軍が優位だ。1994年から2006年にかけてロシアからキロKilo型在来型潜水艦を12隻輸入したが、そのうち8隻はロシア製超音速・長射程対艦巡航ミサイル(シズラー/クラブ/カリブル=SS-N-27)を搭載している。

また、1999年から2006年にかけて4隻輸入したソプレメンヌイSovremenny級駆逐艦も、ロシア製超音速・長射程対艦巡航ミサイル(P-270モスキート/SS-N-22サンバーン)を搭載する。その後、中国は2015年からさらに射程が長い自国開発の射程540km対艦巡航ミサイル(YJ-18)、を艦艇・潜水艦に搭載するなど、対艦ミサイルの高性能化・長射程化のスピードが著しい。

カタログスペック上の対艦ミサイルの到達範囲は、米海軍や海上自衛隊の同種のミサイルの射程をはるかに上回っている。航空機搭載の対艦ミサイルについても同様である。

しかしながら、いくら射程が長くとも、米海軍のようなCEC共同交戦能力があるという情報はなく、どうやって水平線を越える目標を捉え、中間最終誘導するのかと考えると、現在のところは焦ることもない。だが、次期汎用型DDXは、NCO(NetworkCentricOperations)を備え、このような脅威下で作戦を実施することを考慮すると、対応方法を研究し用意しておかなくてはならない。

米海軍は2004年から、NIFC-CA(NavalIntegratedFire Control-CounterAir=ニフカ)コンセプトに基づき、2014年時点において広域戦闘区域で使用するミサイル(ERAM:SM-6)の本格的開発を進めた。これは、新型長射程(対空・対艦)ミサイルSM-6、イージス艦、E-2D、CEC(Cooperative Engagement Capability=共同交戦能力)およびリンク16を基本要素とし、NCO(NetworkCentricOperations)の究極を追及した最新コンセプトである。

■■主要装備
 
○砲煩・ミサイル DDXの対空ミサイルは国産のA-SAMで、VLSセル数は基本的に24セル以上は必要。VLSセルの総数は48セルとする。これは、イギリスなどヨーロッパ諸国の駆逐艦およぴフリゲイトの標準的セル数である(VLSの全セルは、各種ミサイルの発射が可能である)。
長射程対艦ミサイルは、別途発射装置を設ける。

対空戦(AAW)
 現在防衛省では、イージス艦のSM-2対空ミサイルの射程(166.7km)を上回る、SM-6(射程240km)に相当する高性能長射程ミサイル新中SAM改の国内開発が行われておりA-SAMと呼ばれる新艦隊空誘導弾が開発されているが、僚艦防衛用にDDXの対空能力としてDDXへの搭載が期待される。

イージス艦については、新型ミサイルSM-6の導入により、攻勢的防御、すなわち爆撃横等のヴイークルを遠距離で直接攻撃する目的を達することができる。DDXについては、海上自衛隊の要求により装備庁で平成29年度以降研究開発中の打ちっぱなし型「発展型ミサイル(A-SAM)」の搭載により、これが可能となる。

海上自衛隊は、従来の守勢防御から敵基地攻撃も可能な攻勢的防御(0ffensiveDefense)へ戦略変換が行われている。ネットワークおよび長射程ミサイルを使用することによる遠距離攻撃能力の保持すなわち「防御区域の延伸」が可能な装備を備えると考えられる。

遠距離から対艦ミサイルを発射する敵爆撃機等のヴイークルに対し長射程対空ミサイルにより攻撃する能力を有することにより、敵のミサイル攻撃を抑止または阻止することが「攻勢的防御」の狙いである。

護衛艦用長射程化、2次契約で100億4400万円

 防衛装備庁は先頃、対艦ミサイル装備の航空機に対処するため長射程化を図って国内開発している護衛艦搭載向けの「新艦対空誘導弾」(その2)を三菱電機と100億4400万円で契約した。これは2017年度予算による約88億円の「新艦対空誘導弾」(その1)契約に続く第2次契約で、開発総額は224億円とされる。開発計画は2017年度から2023年度まで試作、2017年度から2024年度まで試験の計画となっている。
 新空対艦誘導弾は海上自衛隊の護衛艦に搭載するもので、陸上自衛隊が装備している03式地対空誘導弾(改)と共通のミサイルを使用して、動揺の大きな艦上からの発射や、長射程化のための中間誘導などが技術開発目標となっている。海自の護衛艦は現在、米国から導入したESSM艦対空ミサイルを装備しているが、防衛省ではより遠方から敵航空機に対処できる能力を持つ長射程の艦対空ミサイルを国産開発することにした。周辺諸国で長射程の空対艦ミサイルの装備化が進展している情勢に対処するもので、航空機のほか、対艦ミサイルそのものの迎撃破壊も行う構想で開発を進めている。装備化により護衛艦の防空能力の強化、海上優勢の獲得を図る。 

※画像=新艦対空誘導弾の構想図(提供:防衛省)

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新艦対空誘導弾(A-SAM)は2024年に試験終了を予定。陸上自衛隊が装備している03式地対空誘導弾(改)と共通のミサイルを使用して、動揺の大きな艦上からの発射や、長射程化のための中間誘導などが技術開発目標となっている。

周辺諸国で長射程の空対艦ミサイルの装備化が進展している情勢に対処するもので、航空機のほか、対艦ミサイルそのものの迎撃破壊も行う構想で開発を進めている。射程については推定の域ではあるが、ESSMの50kmを大幅に上回ること、母体のAAM-4Bが150kmと推定されている為、少なくとも新空対艦誘導弾の射程は150km超級と思われますが、最新の米軍のAMRAAM-Dの射程は180kmに伸長されているので、直巻マルチセグメントモーターなどの技術革新で、新空対艦誘導弾の射程は確実に180kmを上回ると思う。

中国のYJ-83J型のASM型が250kmYJ-62が400km、YJ-18は500km台の射程距離がある為、射程320km級の日英共同開発中のJNAAMの艦隊空ミサイル化を行い射程500km超級のJNSAMの登場が待たれます。

※一説には新艦対空誘導弾(A-SAM)の射程は、長距離艦対空誘導弾「SM-2」やその後継の「SM-6」並みの長射程を目指している情報もある。英語版WikiによればSM-6の射程は、公式130 nmi(150マイル; 240 km)ですが、実際には200 nmi(230マイル; 370 km)から250 nmi(290マイル; 460 km)説あり、A-SAMも弾道弾迎撃の終末段階(ターミナル・フェイズ)も可能な400km~500km台後半の射程の高性能ミサイルとして誕生する可能性があるが、とりあえずは200~240kmあたりではないだろうか?


超高性能な新艦対空誘導弾(A-SAM)の誕生は、研究試作中の次世代データリンクと組み合わされ、弾道ミサイルや巡航ミサイルの飽和攻撃に対応可能となる。


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その、新艦対空誘導弾(A-SAM)は、共同交戦能力(CEC)を有し、アクティブ、セミアクティブ双方のモードを利用することができる。優れたシグナル・プロセッシングと誘導制御の能力を得て、高速の目標や艦のイルミネーターの範囲外にいる目標の捕捉も可能となった。これによりイージスシステムのイルミネーターへの負担が軽減され、同時交戦目標数の飛躍的な増加が期待できる。

また、極超音速ミサイル迎撃ミサイルについても開発に着手している。


2019年12月28日

2020年01月12日

DDXにはイージス・システムを装備しないので、イージス・ソフトウェアとの連接を必要とするSM-6ミサイルや、極超音速ミサイルを迎撃する新型ミサイルの運用は行わないだろうが、新型艦隊空誘導弾 A-SAMは搭載される可能性は高い。

遠距離捜索・精密追尾のためには、E-2DやP-1派生機の空中巡洋艦/国産共同交戦能力(CEC:Cooperative Engagement Capability)機/FOS(Flight Operation System)機(P-1に固定大型レーダーを搭載し長時間の捜索専門とする支援機)の整備案も提唱されている。


2014年09月23日
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P1派生FOS(Flight Operation System)機 画像元CHFの部屋さん

2020年5月31日

射撃ネットワーク形成のためには、CEC(国産共同交戦能力:Cooperative Engagement Capability)機能が不可欠である。海自DDGおよび空自E-2Dには米海軍CECが装備されるが、DDXおよびFOS(Flight Operation System)機については国産長射程ミサイルを管制できる廉価な国産CEC(J-CEC)の開発・装備が必要となる。

多機能レーダー

多機能レーダーは、30FFMにも採用されたXバンド多機能レーダー(OPY2)かそれを発展させた、OPY1を基にした多機能レーダーと潜望鏡探知用レーダーであるOPS48を合体統合したイメージものが使われると思いますが、F-3戦闘機用に開発している新AESAレーダー開発にあたり、2018年8月富士通が従来比3倍となる300w級の窒化ガリウムトランジスタの高出力化に成功している。その成果をふまえ、イージスシステムに頼らない高性能多機能レーダーが開発されると思われます。

電磁戦機能の一部として、電子戦装置(ESM/ECM/ECCM)を装備する。
また、将来のCMS(ComputerManagementSystem)を考慮した、新情報処理装置を装備する。

個艦防御用兵器
SeaRAM
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SeaRAMBlockⅡ近接防御SAM

SeaRAM BlockⅡの射程は400m~15kmである。飛翔速度はマッハ2.5
ちなみに海自初のDDGあまつかぜの搭載したターター対空ミサイルの初期型の射程は16kmである。(後期型は30km)

DDXには個艦防御用にCIWS/SeaRAMの搭載されるが、100kw級のレーザー砲は後日装備であろう。

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対潜戦(ASW)

対潜戦(アクティブ)
DDXにも艦首底にソナーを有していると思われる。これによりアクティブ対潜戦術が行なわれる。

水上艦艇が音を発振すると潜水艦は、その艦艇が当該潜水艦を探知する倍以上の距離において当該艦艇を探知することとなる。すなわちこのアクティブ戦術では、艦艇は潜水艦に対して自らの位置を暴露しつつ捜索を行なうこととなる。しかしながら最近の潜水艦は静粛化が進んでおり、パッシブで探知することが困難であるため、このアクティブ戦術は重要な探知手段である。アクティブ戦術は、潜水艦を探知することも重要であるが、潜水艦を排除して確実にクリアな海面を確保するためにも行なわれる。

SH-60K発展型哨戒ヘリコブター(HS)1ないし2機搭載もしくは無人対潜ヘリ2-3機の搭載もしくは有人ヘリ1機+、無人ヘリ2-3機の混載も考えられる。このHSは吊下して使用するデイツビング・ソナーを装備しており、これもアクティブ戦術では威力を発揮する。HSはそもそも潜水艦から攻撃を受けることはないため、アクティブ戦術に制約はない。HSに哨区を与えて護衛艦同様哨戒することも可能であるが、HSは持久力に限界があるため、通常では護衛艦が潜水艦を探知した後の再探知攻撃兵力となる。 

DDは、アクティブ戦で潜水艦を探知したならば、速やかにVLA(Ⅴer ticalLaunchASROC‥垂直発射型アスロをク)や短魚雷で攻撃を行なう。

水 雷
 長射程アスロックのVLSセル数は16セルである。これは、将来ASWの遠距離咄嗟攻撃武器とする。

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このほかに短魚雷発射管(ATTモードに簡易的に改修可能なもの)および魚雷防御システム(ATTを含む)を装備する。

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左右舷の小さな開口部は、短魚雷発射管(HOS303用のものである。



搭載魚雷は12式短魚雷である。性能については極秘で一切公表されていない。
先代の97式短魚雷は、米軍の短魚雷Mk50と同様に600mの深度を40ノット以上で移動するソ連のアルファ型潜水艦を攻撃可能な性能を目標にG-RX4として開発された。同様に開発された米軍のMk-50を上回る性能を有するとされている。
Mk-50は
配備年1992年/諸元/重量 363キログラム (800 lb)/全長 2.9メートル (9.5 ft)/直径 324ミリメートル (1.063 ft)/射程 20キロメートル (11 nmi)/弾頭速度 55ノット (102 km/h)-60ノット (110 km/h)/弾頭 高性能爆薬/炸薬量 44.5キログラム (98 lb)/信管 磁気信管/エンジン 閉サイクル蒸気タービン/(保管化学エネルギー推進システム:SCEPS)/深度 580メートル (1,900 ft)/誘導方式 音響ホーミング・アクティブ(探信音発射)・パッシブ(音響受信専用)/操舵方式 螺旋または蛇行パターンによって探索/発射プラットフォーム/対潜哨戒機、戦闘艦

Mk50を上回る97式短魚雷の性能に、特に大陸沿岸黄海などの浅海水域での性能をアップし、欺瞞に関して対応性能を増したのが12式魚雷G-RX5である。

97式の特徴として、欺瞞能力がある敵魚雷を迎撃する能力があるらしいのだが、12式はそれを上回るということだが・・・12式に狙われる仮想目標の中国潜水艦にとってはオーバースペックな能力らしい。

対潜戦(パッシブ)

DDの行なうパッシブ戦術では、DDからは音を発振することなく、対象潜水艦が発生するさまざまな音をDDが曳航するTASSにより探知する。このパッシブ戦術は、通常は収束帯(CZ:ConvergenceZone)が発生する水深の深い海域で潜水艦の発生する音の遠距離探知を期して行なわれる。TASSにより潜水艦を探知した場合には、TASSから潜水艦の相対方位は分かるものの左右の判別ほできない。そのため、艦艇の針路を変更することによりTASSの曳航針路を変え、当該探知の左右舷の判定を行なう。このCZは、1CZが32浬前後、2CZがその倍の64浬前後の距離において音の探知が得られる。
DDがこのTASSで潜水艦を探知したならば、そこにHSを投し、再探知・攻撃に移る。


マルチスタティック・オペレーション
対潜戦においても、「攻撃的防御」概念に基づく広域捜索・探知・追尾および攻撃能力を保有することが必要である。DDXの運用時点では、従来の音響センサー(ハル・ソナー、VDS、TASS、ソノブイ等)と対潜戦ネットワークの併用が基幹となる。

従来は、各艦のソナーによる潜水艦探知を基本とする対潜戦術を適用してきたが、今後は部隊内で1艦のみがソナー(ハル・ソーナーまたはVDS)を発振し、その反射音を他のすべての艦(ヘリコプターを含む)のセンサー(ソナー、TASS、ソノブイ等)が受信し、部隊として潜水艦の位置を特定する戦術、すなわち「マルチスタティック対潜戦術」が適用される。

このオペレーションにおいては、部隊内でソナー管制情報の緊密な交換が必要になり、広域展開しても情報交換可能なマルチスタティック・オペレーション用衛星通信回線を設置する必要がある。

DDXには
マルチスタティック・オペレーションを効率的に行えるよう無人水上艦艇USVと、無人潜水艇UUVを搭載し、広範囲で同時にマルチスタティック・オペレーションの実施が可能となるのではないか?

対水上戦/敵基地攻撃

レールガン

レールガンが2030年代には実用化はするだろうが、実戦に耐えられるかいまひとつ大きなリスクであるそこで、通常の単装砲の装備となると思う。


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Mk45Mod4(127ミリ単装砲)
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備砲は、日本製鋼所がライセンス生産したMk45Mod4(127ミリ単装砲)2口径5インチ砲1基を前甲板に装備すると思われる。


日本もレールガンを開発中で将来実用化が可能と思われますが、現状は、Mk45 5インチ砲からHVP極超音速砲弾を採用するほうが、低コストで賢い。日本がHVPを導入するか否か、30FFMに装備するかは別として、Mk45からもHVPは発射可能である。


このMk45 5インチ砲は70ポンド(約32kg)の通常弾を約マッハ2.2の速度で21km飛ばすことが可能であるが、28ポンド(約13kg)のHVP(超高速弾丸)を発射することが可能で、マッハ7.3で約80kmも飛ばすことが可能です。HVP極超音速砲弾は対地、対水上、対空のいずれにも有効な攻撃手段となり、もちろん対極超音速巡航ミサイル、大気圏内に突入したターミナル段階の弾道弾も迎撃可能。ちなみに1発9万ドル約1000万円で非常に高額ではあるが、1発20~25億円のSM-3BlockⅡよりは格安である。

艦載砲用長射程弾について  2017/6/14(水) 午後 11:58

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 防衛省が研究している艦載砲用長射程弾が、どの程度の射程を目指しているものなのかは不明だが、このOTOメララのブルカノ砲弾の射程を手掛かりに想像すると、現実的には50~60km、希望的観測で100km級の射程を目指すものになるのではないだろうか。

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M982 エクスカリバー精密誘導砲弾

GPS誘導を備え約40kmから57kmの射程を持ち、半数必中界(CEP)はおよそ5mから20m

 また誘導方式が今のところセミ・アクティブ・レーザー誘導と考えられるので、おそらくは対水上戦での移動目標への射撃には用いられず、島嶼奪還の際に遠距離から敵の陣地や施設など、固定された目標に対する砲撃に用いられるのだろう。射撃に当たっては、目標にレーザー照射を行なって、砲蝉を誘導することが必要になるが、それをどのように行なうのかは現時点では不明である。


LRLAPは、厳密にはGPSによる精密誘導+ロケット推進器を備えたミサイルといった性格のものとなっており、砲身から発射されると誘導用の翼を展開し、ロケットの補助推力で精密誘導飛行を行うことによって100キロの射程を数メートルの精度で着弾させる能力をもったものとなるが、コストを下げない限り日本でも導入は厳しい。

対艦ミサイル

最新式の17式地対艦誘導弾SSM を積みそうだが、ASM-3改極超音速ミサイルを艦載化したものを載せたい。

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試験艦あすかに搭載された試験艦あすか艦上の12式地対艦誘導弾(改)=17式地対艦誘導弾

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17式地対艦誘導弾SSM-2は陸上自衛隊の12式地対艦誘導弾をベースとして開発された。ミサイルの誘導方式として、90式では中間航程に慣性誘導、終末航程にアクティブ・レーダー・ホーミング(ARH)誘導を採用しているのに対し、17式では中間誘導にGPSを加えており、航法精度の向上につながっている。発射後に目標に関する情報を更新する機能も付与された。また射程の延伸や同時弾着といった機能も実現される。

射程は300km超と推定されています。

トマホーク巡航ミサイル

敵基地攻撃は「自衛の範囲内」河野防衛相との見解がでて、もしかしたら、護衛艦に対基地攻撃任務が出た場合、1発1億円の格安トマホーク巡航ミサイルを装備する可能性がある。

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トマホーク桜花ペイントbyDdog



超高速滑空発射体:HVGPと極超音速巡航ミサイル:HCM

将来的には艦載化した超高速滑空発射体:HVGPと極超音速巡航ミサイル:HCMも搭載される可能性がある。



艦載機/ドローン

SH-60K能力向上型多機能艦載ヘリコプターに加え無人UAV/無人ヘリ2-3機搭載することが予想され、
いずもが空母化し、F-35Bを搭載した場合の対潜作戦は、再びDD汎用護衛艦のヘリ部隊が担うことになる。そこで、あさひ型よりも大型のハンガーが用意され、SH-60K能力向上型多機能艦載ヘリコプター(MP-HS)2機か、無人ヘリ3機もしくは有人ヘリと無人ヘリの混載することも考えられる。

有人ヘリ SH-60K能力向上型

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SH-60K能力向上型多機能艦載ヘリコプター(MP-HS)1~2機を搭載する。

機体については現有のSH-60K哨戒ヘリの機体を使用し音響センサの能力向上を中心に改造構想で、これにより、機体や非開発装備品の開発費を抑え開発費の低減を図る。なお、新哨戒ヘリが目指すマルチスタティック能力のある対潜ヘリは欧米にも存在していない。

無人UAV

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有人機であるベル 407の機体にMQ-8Bの遠隔操縦システムを搭載し無人機とした最新型(2014年)。昼夜(day/night)両用センサーおよびレーザー目標指示装置、TSARおよび移動目標インジケーター(MTI)、SIGINTモジュール、地雷検出システム(ASTAMIDS)、共通戦術データ・リンク(TCDL)などを搭載するうえに、貨物を搭載するスペースを備え、輸送任務ものなす。

● 水上無人機(USV:Unmanned Surface vehicle)
 USVは、自律航走が可能でかつUUVと並走航走が可能な無人水上航走体であり、UUVから機雷等の画像情報を水中音響通信により取得し、これを新艦艇に衛星通信等によりリアルタイムに情報の伝送を行なう機能を確保することが予想される。
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● 水中無人機(UUV:Unmannedunderwatervehicle)
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 UUV、USVともに投入、揚収の作業が必要である。米海軍のLCSにおいては、海水面近くに後部ランプを設け、3軸のクレーンにより、安全かつ迅速にボートの発艦・揚収が実施できる設計となっている。スムーズな運用作業のため、これからの設計で細部が詰められるのであろう。UUV(自律型水中航走式機雷探知機 OZZ-5)との情報もあるが不明。

将来装備水中無人機

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将来的に対潜バリアーを構築するLDUUV(大型水中無人ヴィークル)を搭載する可能性がある


2021.04.18

2021.04.24
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【産経新聞】2020.6.25 17:30 

防衛省が日米両国による「自由で開かれたインド太平洋」構想を推進するため、7月にも専門部署を新設して態勢を強化することが25日、分かった。防衛分野の国際交流を担当する国際政策課を実質的な2課態勢に改編し、課長級職員を新たに置き、インド太平洋構想に関する業務に特化させる。巨大経済圏構想「一帯一路」を掲げる中国に対抗する狙いがある。

 国際政策課は日米防衛協力課が扱う米国以外の国との防衛交流や防衛当局との調整を担っている。オーストラリアや英国など準同盟と位置付けられる国や友好国だけでなく、中国やロシアとの窓口でもある。

 各国との防衛協力は急拡大しており、自衛官らが他国軍の能力を向上させるため平成24年に始めた能力構築支援(キャパシティ・ビルディング)の対象は東南アジアを中心に昨年時点で15カ国・1機関に上る。自衛隊と他国軍が物資を融通し合う物品役務相互提供協定(ACSA)の締結など制度面の交渉も多い。

 国際政策課の業務は「爆発的に増えている」(防衛省幹部)との認識は省内で一致している。一方、政府が一昨年に策定した「防衛計画の大綱」は「自由で開かれたインド太平洋というビジョンを踏まえ、多角的・多層的な安全保障協力を戦略的に推進」と掲げ、国際政策課の態勢強化が急務となっていた。

 国際政策課でインド太平洋構想の取り組みを統括する課長級職員のポストを7月1日付で設けた後、2課態勢への移行に入る。

 防衛協力は共同訓練や防衛装備・技術協力、安全保障対話もあり、多岐にわたる。防衛省としては、中国が一帯一路に基づき関係を強めたり、経済支援をてこに軍事的な影響力を高めたりしようとしている東南アジア各国や太平洋島嶼(とうしょ)国の動向を見極めつつ、適切な国と時期に有効な防衛協力を打ち出していく構えだ。


 そうした総合調整でインド太平洋構想の専門部署は司令塔の役割も期待され、「態勢強化の成否はコロナ後の世界の米中の主導権争いにも影響を与える」(政府高官)と指摘される。
日本の国家安全保障戦略としてのインド・太平洋戦略が動き出した。

防衛省に、外交セクションに新たな部署が設けられた。防衛省には国際政策課が2課体制となった。防衛省の外交セクション=インテリジェンス部門が強化されたのである。

従来日本にも各国大使館に駐在武官が置かれていたが、防衛省から外務省への出向という形となり、情報は外務省経由となり、駐在武官制度の機能が働かず、インテリジェンスの人間関係インナーサークルとも呼ばれる仲間内に入ることすらできなかった。

近年、日米安保が強化され、日米が緊密に連携しているのは、安倍政権になって、従来の駐在武官制度が改められ、各国の国防省/司令部に連絡員と呼ばれる外務省を経由しない防衛省直下の人員が配置されるようになったからだ。

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防衛白書より

戦前陸海軍と外務省はそれぞれ独自に外交を行い、満州事変の発生などマイナス面があったことを反省し、戦後は外務省に一元化されていた。だが、今度は外務省による一元化がインテリジェンス面でマイナスとなり、戦後日本は大きく国益を失っていた。

日本が対中国家戦略であるインド・太平洋戦略を国家戦略を実行するため近年ASEAN諸国、インド、オーストラリアとの共同演習も頻繁に行われるようになった。


これまで防衛省・自衛隊は、二国間の対話や交流を通じて、いわば顔が見える関係を構築することにより、対立感や警戒感を緩和し、協調的・協力的な雰囲気を醸成する努力が行われてきた。これに加え、近年では、国際協力の必要性の高まりに応じて、共同訓練・演習や能力構築支援、防衛装備・技術協力、さらには物品役務相互提供協定などの制度的な枠組みの整備など、多様な手段を適切に組み合わせ、二国間の防衛関係を従来の交流から協力へと段階的に向上させてきている。

また、域内の多国間安全保障協力・対話も、従来の対話を中心とするものから域内秩序の構築に向けた協力へと発展しつつある。こうした二国間・多国間の防衛協力・交流を多層的かつ実質的に推進し、望ましい安全保障環境の創出につなげていくことが重要となっている。



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防衛白書より

さらに、近年は一歩踏み込み、ASEAN諸国などに対してPKOの枠組みではなく、日本独自の判断で、能力構築支援(軍事顧問団の派遣)を行うようになってきた。



能力構築支援は、①インド太平洋地域の各国などに対して、その能力向上に向けた自律的・主体的な取組が着実に進展するよう協力することにより、相手国軍隊などが国際の平和及び地域の安定のための役割を適切に果たすことを促進し、わが国にとって望ましい安全保障環境を創出するものである。また、これらの活動により、②支援対象国との二国間関係の強化が図られる、③米国やオーストラリアなどのほかの支援国との関係強化につながる、④地域の平和と安定に積極的・主体的に取り組むわが国の姿勢が内外に認識されることにより、防衛省・自衛隊を含むわが国全体への信頼が向上する、といった意義がある。

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防衛白書より

上の図を見ると露骨なのだが、中国を包囲する形で行われている。
反中国同盟・中国包囲網=インド・太平洋戦略の国家戦略が機能しはじめたと考えてよい。

防衛省が各国の国防省と直接やり取りすることにより、国益を守れる可能性が高まった。

防衛省内に、対外外交を行う部門=インテリジェンス部門が出来たことにより、外務省による亡国外交を歯止めをかけることができるようになった。

安倍政権になって以降、連絡員・駐在武官制度の改革により、インテリジェンスにおける個人的人間関係の構築インナーサークルに入った自衛官が数多く輩出された。ことにより、
日米間、日米安保体制が強固になってきた。

日米安保体制が強固になればこそ、日本が独自に、ASEAN各国や、インド太平洋諸国と緊密な関係を構築することが可能となってくる。

日米安保体制が強固であるからこそ、日本が独自に諸外国と緊密になっても、21世紀の大東亜共栄圏だと勘違いされずに済む。

バブル時代の30年前、もし、日米安保が強固で、日米間にインテリジェンス交流があったのなら、国益を害せず、日本は衰退とは言わないが、今日のような相対的国際的地位の低下は招かなかったであろう。





 
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陸上自衛隊開発実験団・装備実験隊で試験中の装軌式装甲車輌の試作車

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89式装甲戦闘車@富士演習場 

89式装甲戦闘車(ライトタイガー)は、戦闘重量26tと比較的強力な防御力を有し、90式戦車に随伴可能という機動力を有していました。しかし生産数が限られ、製造された車両も老朽化が進んでおり、このまま装軌道歩兵戦闘車は絶滅へと進んでいくものと達観しておりました。

しかし、装備実験隊の新型車両の存在は、 一条の光明です。89式装甲戦闘車の特色であった車体側面のガンポートは廃止されるようだ。1970年代ベトナムのジャングルで効果的であった乗車戦闘よりも、世界の時流は30年ほど前から機動打撃力を重視した設計となってガンポートは廃止されていました。ガンポートは重機関銃の大口径銃弾が被弾した際には貫通する恐れががあり、世界の装甲戦闘車では一部を除きガンポートは増加装甲で覆われるようになった。



73式装甲車が正式化してあと3年で50年となり、もはやクラシックカーと言っても過言でないビンテージ装甲車となってしまった。あの89式装甲戦闘車が正式化してからも31年、同じ頃に大卒でに入社した社員もそろそろ定年まぎわである。

少なくとも10年前には89式の後継装軌式の装甲車輌が登場してもおかしくはなかったが、装輪式装甲車輌の開発も頓挫し、再始動するなどし、公式には防衛大綱や中期防衛力整備計画に
軌式の装甲車輌開発計画など存在していません。

日本の防衛を考えた際、宇宙、サイバー、電磁波が最優先され、スタンドオフミサイル、F-3新戦闘機、いずも空母化、新型護衛艦・潜水艦増強など、海自・空自の新兵器開発も手を抜くことは出来ず、絶滅危惧種の陸自戦闘/攻撃ヘリコプター部隊とともに、次期装軌車(将来装輪戦闘車両)の開発など夢のまた夢かと思っていました。

しかし、2019年12月頃に知らなかったのだがツイッター上で、私は気が付かなかったのですが、陸上自衛隊開発実験団・装備実験隊の試作車がスクープされ、3月になって航空新聞社WINGの記事をきっかけに「軍@ふたば」掲示板に、非公式で陸上自衛隊開発実験団・装備実験隊で装軌式装甲車輌の試作車が試験されていることを知った時には、衝撃を覚えた。

そこで起こした記事が↓

もう少し丹念に防衛装備庁の一般競争入札、随意契約状況をチェックすべきだったと、反省した次第です。しかしながら、今回情報を入手したのは、軍事ミリタリー情報に掲載された
「軍@ふたば」掲示板のスレッド「次期装軌の装備化は令和7年度頃らしい」に「諸外国の装軌式装甲車に係る調査」の入札公告である。これは、防衛装備庁サイトでは検索できなかったので、直接別ルートで入手された情報ではなかろうか?

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1/15~3/15

これをただ棒読みすれば、諸外国の装軌式装甲車を調べる報告書を調査機関に下請けを出した広告であります。

実際は、すでにプロトタイプが実験されている次期装軌車(将来装輪戦闘車両)を正式予算化する為の 茶番 失礼手続き/儀式ではなかろうか?

写真がフェイクやCGでなければ第7師団と富士教導団だけ配備されている、89式装甲戦闘車と73式装甲車の後継車両はもはや待ったなしの状態で、密かに開発が進んでいる。

北大路機関きりしま氏の2020年1月21日号の情報によれば、89式装甲戦闘車の砲塔を継承する新型装甲車の設計が2014年から進んでいるようです。

きりしま氏のツイッターでも東富士演習場にて陸上自衛隊装備実験隊の新型装甲車両が目撃され89式装甲戦闘車試作車を流用し後継車輌を開発中であるという情報が流れたが、どうせ89式装甲戦闘車のガンポートを塞ぎ追加装甲を施した改造車輌程度の認識だった。

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https://twitter.com/kusurou_/status/1148219680340844544

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富士装備実験隊の新型装甲車両は、2019年富士学校創設記念富士駐屯地祭の式典会場に隣接する装備実験隊地区、立ち入り禁止地区の一番手前にカバーと共に並んでいたとのことです。
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4/15~6/15
「諸外国の装軌式装甲車に係る調査」の候補だが、主に米国、英国、ドイツ、トルコ、スウェーデン、スペイン、イタリアより選定とあり、ファミリー化した装軌式装甲車を取得する場合89式装甲戦闘車の砲塔を搭載できる装軌式装甲車とあるが、だが、さすがに40年前の骨董品のような79式対舟艇対戦車誘導弾はそのまま新装甲戦闘車の砲塔に採用されないだろう。

砲塔のミサイルは
中距離多目的誘導弾 MMPMか、
その改良型多目的誘導弾システム(改)と思われる。

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共通車両の試作は2014年に三菱重工がシステム設計を二年間で3億円にて受注し、共通車体は2016年から二年間で14億円にて受注、装甲戦闘車の砲塔再利用に関する技術開発は日本製鋼所と三菱重工が2016年から2018年にかけ、3億円で受注しています。

こういった情報に対して地獄耳の清谷本人や彼主催の東京防衛航空宇宙時評からは、まだ何も聞こえてこないが、だいたい予想がつく。もし、陸上自衛隊開発実験団・装備実験隊で試験中の装軌式装甲車輌の試作車を採用したらしたで、「配備数が少ないなら無駄、輸入で済ませ」だろう。輸入IFV車輌を採用したならば、だいたい予想がつく、試験中の装軌式装甲車輌なんて無駄なことをしておいて、採用の目処がたたないから輸入はけしからんと書くに決まっている。
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12/15

12/15には「主火器として、25mm以上の機関砲を搭載していること」とある。
また、契約が令和4年(2022年)、導入時期が令和7年(2025年)とある。


CV90 歩兵戦闘車 (IFV : Infantry Fighting Vehicle) スウェーデン

GDLS Ajax  英国
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画像 CTA International CT40 40 mm(1.6 in)砲


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画像 MK30-2/ABM 30mm機関砲

KF41Lynx ドイツ

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画像元 30 mm Rheinmetall MK30-2 / ABMまたは35 mm Rheinmetall Wotan 35オートキャノン

FNSS カプラン トルコ


ASCOD歩兵戦闘車 スペイン

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http://combat1.sakura.ne.jp/ASCOD.htm

VCC-80 ダルド イタリア

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http://combat1.sakura.ne.jp/VCC-80.htm

米陸軍において、M2ブラッドレーの後継の次期IFVの開発計画はOptionally Manned Fighting Vehicle計画が存在する。2020年度には2社から計14両のプロトタイプを受領し、運用試験を経て、2026年度には部隊配備し、3,590両程度の数を導入するという予定らしい。
その候補車輌が以下3種類

BAE Prototype CV-90 
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Source: https://www.baesystems.com/en-us/product/cv90, accessed January 31, 2019. 

 GDLS Griffin III Prototype
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Source: Sydney J. Freedberg, “General Dynamics Land Systems Griffin III for U.S. Army’s Next Generation Combat Vehicle (NGCV),” October 8, 2018.  50 mm cannon 

Raytheon/Rheinmetall Lynx Prototype
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Source: https://www.rheinmetall-defence.com/en/rheinmetall_defence/systems_and_products/vehicle_systems/ armoured_tracked_vehicles/lynx/index.php, accessed January 31, 2019.

時代の潮流からすれば、40mm機関砲かもしれない。日本ではテレスコープ弾による40mmCTA機関砲の近接戦闘車用機関砲システムを研究していた。

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次期装軌車(将来装輪戦闘車両)は、
89式装甲戦闘車の砲塔をそのまま利用するとあるが、



独自設計の40mmCTA砲は確かに対空用途など優れた性能を示すが、購入・維持コストはエリコン35mmに及ばないだろう

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40mm機関砲は装軌式になるか装輪式になるかは不明だが、87式自走対空機関砲後継車輌へと搭載されるだろう。



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ハイブリッド動力システム
はファミリー化を検討していたが、次期装軌車(将来装輪戦闘車両)がハイブリッド動力になる可能性がるが、次期装軌車(将来装輪戦闘車両)が始動した。



「諸外国の装軌式装甲車に係る調査」入札においては装軌式装甲車の調査は2種類

装甲戦闘車型
装軌式装甲車のうち中口径機関砲等の火力性能を有し、人員輸送するとともに、戦車等と教導して運用される車輌をいう。

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人員輸送型
装軌式装甲車のうち、装甲戦闘車型以外の車輌であり、人員等を輸送することを目的として運用される車輌をいう。


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かつて73式装甲車を改造し普通科隊員による戦闘室内からの射撃姿勢を研究する為に改造された試験車輌が存在した。戦闘室上面に板金製の箱が付けられ天井高が傘増しされ、側面にはガンポートとペリスコープが3箇所設けられた試験改造車輌が製作されたが、装備実験隊の新型車両のうち人員輸送型には、しっかり73式の遺伝子が残っている。

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画像元

出所不明の「軍@ふたば」掲示板の陸自の装備実験隊の新型車両と思われる試作企画書は興味深い。

結局、各国のIFV調査だけして、陸自の装備実験隊の新型車両を採用する小細工をするような気がしてならない。イージス・アショアの二の舞にならなければいいのだが・・・

いや、イージス・アショアをキャンセルしたぶん、陸自予算が浮き実現性がでてきたかもしれません。

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【日経新聞】2020/6/23 0:00 (2020/6/23 5:32更新) 


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計算速度で世界一になった日本のスパコン「富岳」

スーパーコンピューターの計算速度を競う最新の世界ランキングが22日公表され、理化学研究所と富士通が開発した「富岳(ふがく)」が首位を獲得した。世界一は日本として8年半ぶりで、高速コンピューター開発を主導する米国と中国の2強体制に風穴を開けた。デジタル社会が到来し、高速計算機の進化は新しい薬や素材の探索、人工知能(AI)の活用などに革新をもたらす。富岳で新たに手にした計算力を企業や大学が優れた成果につなげていけるかが問われる。

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世界ランキングは専門家による国際会議で、毎年6月と11月に公表される。22日の最新版で富岳は1秒間に41.5京(京は1兆の1万倍)回の計算性能を示し、2位の米「サミット」(同14.8京回)に大差をつけて首位に立った。3位は米国、4位と5位は中国のスパコンだった。

スパコンは半導体の進化とともに性能を高めてきた。富岳は、富士通が設計・開発した高性能のCPU(中央演算処理装置)を約15万個そろえた。効率よく通信するネットワークで結んで最適に制御。大量の計算を瞬時にできるようにした。

各国が国を挙げてスパコンを開発するのは、現代社会に欠かせない研究インフラだからだ。新薬の開発は一般に、膨大な数の物質から病原体に効く候補を探す。

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4月に始まった富岳を活用した新型コロナウイルス感染症対策では、高度な計算により、約2千種の既存薬から治療薬候補を選ぶ研究が進む。

富岳では、2011年に計算速度で世界一になった国産スパコン「京(けい)」が1年かかるほどの実験を数日でこなせる。1週間で数万個の物質を試せる。

防災への応用でも、数十平方キロメートルの都市を対象に、地震と津波の複合災害が起きた際の避難経路などを予測できる。

官民合わせて約1300億円を投じた富岳は、応用をにらんだシミュレーションを高速でこなし、そこで生まれるデータはイノベーションの鍵になる。21年から始まる本格運用では、日本の研究開発力や産業競争力の強化をもくろむ。

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神戸市の理化学研究所計算科学研究センター(22日)=共同

ただ、日本の首位奪還は、かつてない計算速度を目指す新たな国際競争の幕開けでもある。

スパコンは核実験のシミュレーションなどにも使われ、国の科学技術力や安全保障に影響を及ぼす。先端技術を巡って覇権争いを演じる米中は1~2年以内に毎秒100京回の計算をこなす次世代のスパコンを投入してくる見通しだ。今回の首位を日本が獲得したのは、スパコンが世代交代の時期を迎えるなかで、米中より早く次世代機を投入できた面もある。

資金力で劣る日本が米中と同じ土俵で闘い続けるのは難しい。世界最速の称号は、むしろ富岳を活用してどう成果を生み出すかといった課題を日本に突きつける。

世界では次世代の高速計算機である量子コンピューターの開発も進む。デジタル技術が社会を変えるなか、日本として高速コンピューターの技術をどう開発し、活用していくか、中長期の戦略を描くことも必要になる。(AI量子エディター 生川暁、三隅勇気)

 ▼富岳 2011年に世界最速になった「京(けい)」の後継機として、14年から開発が始まった。名称は富士山にちなみ、性能の高さと利用の裾野の広がりを示す。今回のランキングでは、実際の産業利用や人工知能(AI)の計算性能を測る指標でも首位になった。21年から本格運用を始める計画。

日本のスパコン「富岳」9年ぶり世界一 2011年「京」以来 •2020/06/22 

富岳といえば、民主党政権下2010年10月事業仕分けの蓮舫の「2位じゃダメなんですか?発言」が、きっかけとなり誕生したようなものである。蓮舫よ「ありがとう!」蓮舫がディすったせいなのか?蓮舫発言は、日本の常識人の世論を沸騰させた!蓮舫発言で奮起したのだろうか?理研・富士通を中心とした AllJapanチームは、すばらしいスパコンを作りあげた。「2位じゃなくて本当~に良かった!」


海外「やはり日本は大国だ」 日本のスパコン『富岳』が圧倒的性能で世界一を奪還 2020/06/23 23:00  

PC Watch】大河原 克行2020年6月23日 17:35


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理化学研究所(理研)のスーパーコンピュータ「富岳」が、世界ランキングで首位になったことを受けて、理研および開発、製造を行なった富士通が23日、オンラインで会見を行なった。

 富岳は「International Supercomputing Conference (ISC 2020)」で発表されたスーパーコンピュータの世界ランキングにおいて、LINPACKの実行性能を指標とした「TOP500」のほか、実際のアプリでよく使われるCG法のプログラムで性能を評価する「HPCG(High Performance Conjugate Gradient)」、低精度演算での演算能力を評価し、AI処理能力評価を行なう「HPL-AI」、超大規模グラフの探索能力で計算機を評価し、ビッグデータ分析などでの性能を示す「Graph500」の4部門において、いずれも2位に大差をつけて、世界1位を獲得した。

 4部門で同時に1位を獲得したのは、富岳がはじめてとなる。また、理化学研究所 計算科学研究センターの松岡聡センター長は、「富岳が世界のトップレベルでいる期間は相当長いと考えている」と、長期的に1位に君臨することにも自信を見せた。

会見の様子
理化学研究所 計算科学研究センター フラグシップ2020プロジェクトの石川裕プロジェクトリーダー










 

理化学研究所 計算科学研究センター フラグシップ2020プロジェクトの石川裕プロジェクトリーダーは、「Graph500での計測値は、6割程度のリソースを動かした段階のものである」とし、「富士山で言えば、8合目を過ぎたところ。まだ、振り返る段階ではない。8合目以降は、道がないところを歩くこともある。厳しい登山になることを想定しながら、気を引き締めて、2021年度からの共用開始につなげたい」と、今後の性能向上に向けて取り組む姿勢を示した。

 さらに、松岡センター長は、「市販のCPUを購入し、スーパーコンピュータを作っていたら、この成果は達成できなかった。京の40倍の性能を発揮しながら、電力増加はわずか2.2倍。従来の米国製CPUの3倍の性能を発揮する。

 スマートフォンに用いられる汎用Arm CPUの上位互換CPUを、ゼロから開発したことで実現したものである。圧倒的に性能が高く、圧倒的に消費電力が低く、そして汎用性があるCPUを開発したことで、日本の技術力を示すことができた。CPU開発で後塵を拝してきた日本の半導体産業の復興と言える」と宣言した。

理化学研究所の松本紘理事長

 会見で理化学研究所の松本紘理事長は、「四冠馬ならぬ、四冠機となった」と表現。「輝かしい成果が出たことにホッとすると同時に、うれしく思う。富岳は、名前のとおり、富士山のような高い性能と裾野の広い能力を目指したものである。言い換えれば、単にスピードが速いだけでなく、Society5.0に役立つようなインフラとして、AIやビッグデータ解析の分野でも優秀な性能を示すことを狙っている。

 速さを競う演算能力で1位になったのは、京が1位になって以来、8年半ぶりである。ビッグデータ解析に関する性能でも1位になり、また、京が1位を取り続けたGraphでも1位となり、世界でもっとも探索に優れたコンピュータとなった。さらに、AIで力を発揮する面でも、ダントツの1位になった。

 Society5.0を目指すということは、さまざまなアプリが動作することが求められる。多彩で、多種多様なアプリに対応するために、ソフトウェア開発とハードウェア開発を並行して行ない、ベストな性能を出すという努力をしてきた。これは、コデザインという手法であり、今回の栄冠を得たのはそのおかげである」とコメント。

 さらに、「新型コロナウイルスの感染拡大のなか、予定どおり、5月に搬入が完了した。富岳が最初に取り組んだテーマが、新型コロナウイルス対策であり、どうやったら感染が防げるかといったシミュレーションを行ない、その成果が出ている。まだ性能を上げる余地があり、最大限の性能を引き出すことに取り組みたい。世界のトップに立ったことに慢心することなく、富岳の力を引き出す努力をしていく」と述べた。

富士通の時田隆仁社長

 富士通の時田隆仁社長は、「この結果をうれしく思う。富士通は、テクノロジを通じて価値を届けることを使命としてきた企業であり、富岳は自信を持って提供できる世界に誇れるスーパーコンピュータを作るという決意のもと、高性能と省電力を同時に達成し、高い信頼性と使いやすさを実現することに強いこだわりを持って、開発に取り組んできた。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響により、部材の調達や工場の稼働への影響が危ぶまれるなかでの作業ではあったが、当初のスケジュールどおりに製造、設置することができた。今回の開発を通じて、改めて日本の技術力の強さ、モノづくりの強さを世界に示すことができた。

 富岳には社会課題の解決に貢献するという重要な使命がある。新型コロナウイルスの対策に向けた研究開発は、富岳が目指す取り組みそのものである。

 一方で、Hewlett Packard(Cray)とのパートナーシップにより、富岳に搭載しているA64FXを同社に販売している。富岳の開発目的の1つである、成果をグローバルに展開することも達成している。富士通のパーパス(存在意義)は、イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくことである。

 富岳で培った技術やノウハウは、富士通のパーパスを実現する重要な基盤である。富岳の1日も早い本格運用に向けた整備に全力を尽くし、世界一を記録したスーパーコンピュータによって、持続可能な世界の実現に貢献する」と語った。

 富岳は、石川県かほく市の富士通ITプロダクツで筐体の生産が行なわれ、2019年12月2日から理研の計算科学研究センターに搬入を開始。2020年5月13日に設置が完了。現在、ソフトウェアの整備や試験運用を実施しており、2021年度の共用開始を目指している。

 ものづくり、ゲノム医療、創薬、災害予測、気象・環境、新エネルギー、エネルギーの創出・貯蔵、宇宙科学、新素材の9つの分野を重点領域として、コンピュータシミュレーションなどに活用されるほか、ビッグデータ解析やAIの領域でも積極的な活用が期待される。

 今回の4分野における世界1位の獲得は、コンピュータシミュレーションだけでなく、ビッグデータ解析やAIにおいても、世界最高性能であることを示したものになる。

理化学研究所 計算科学研究センターの松岡聡センター長

 理化学研究所 計算科学研究センターの松岡聡センター長は、「国民が高い関心を持つさまざまな社会問題を解決していくことを目的に開発されたものである。そこで利用されるアプリは多岐多様にわたる。

 Society5.0時代には、単なるシミュレーションだけでなく、ビッグデータ、AI、エッジコンピューティングなどもカバーしてなくてはならない。富岳はそれに応えるために、あらゆるアプリで最高の性能を発揮することを目的に開発したマシンである。

 実質的にすべてのベンチマークで世界一になれたが、これはアプリで最高性能を出すために開発した結果であって、ベンチマークでトップを取るために作ったマシンではない」と富岳の基本方針について説明。

 「2位に比べて、2.58倍から4.57倍の差をつけて圧倒的な性能を記録。しかも、現時点では、100%の性能をまだ発揮していない。富岳全体で15万8,976ノードの計算機が集約されているが、これはスマートフォン換算で2,000万台分に匹敵する。日本で年間に出荷されるスマートフォンの台数に匹敵する。また、サーバー換算では30万台に匹敵し、これもサーバーの年間出荷台数に匹敵する。富岳が2~3台あれば、日本のITをすべてカバーできる計算パワーを持っている」とした。

富士通の新庄直樹理事

 富士通の新庄直樹理事は、「4分野のベンチマークで圧倒的な差をつけて1位になったのは、富岳の高い性能を実証したものだと言える。最先端技術の採用により、アプリの高速化を実現したほか、ハードウェアからソフトウェアまでを自社開発することで省電力性と高信頼性を実現した。

 また、ガラパゴス化しないためにスマートフォンやIoT機器で広く使われている業界標準のArmアーキテクチャを採用し、OSにはサーバーなどで広く利用されているRedhat Enterprise Linux 8.1を利用している。ここに富岳の特徴がある。

 シミュレーションとデータ解析の両輪で社会課題の解決や、デジタルトランスフォーメーションを支えるインフラとしても利用できる。デジタル時代を迎えて、高いシミュレーション・AI処理能力を有する富岳は、さまざまな分野での活用ができる。

 富岳は、搬入・設置にあたっては新型コロナウイルスの影響を大きく受けた。世界各地でのロックダウンの影響もあり、サプライチェーンの見直しや、代替品の国内製造などを検討した一方、設置時には、ハードウェア保守を除いて、リモート作業を行ない、複数の班に分けたり、動線を分けたりといったことも行ない、感染予防や影響の最小化を図った。通常、短期間でベンチマークを行なうためには、缶詰になって一カ所で作業するが、今回はすべてリモートで密接な連携を行なった」とした。

 一方で、2019年11月の発表では、富岳のプロトタイプが、消費電力性能を実証するGreen500でトップとなったが、今回の発表では4位となった。

 それに関して、理研の松岡センター長は、「汎用性を高めるほど、消費電力では不利になる。マシンが大きいほど不利になる。クルマにたとえれば、ピュアなレーシングカーは装備を省けるが、高級車は安全装置や快適装置がついて重くなり、燃費が悪くなるのと同じだ。

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 だが、性能ランキングでは2位以下に数倍の差をつけているが、Green500では、上位の特殊なマシンと比べても同じ水準にある。2割ぐらいの差しかない。実質的な運用面では差がない。富岳は、もっとも汎用性が高いものであり、そこで世界最高クラスの消費電力性能を持ったものを作れたと自負している。われわれの設計は正しかった」とした。

 まだ本格稼働をしていない富岳だが、新型コロナウイルス対策の研究などに、すでに利用されている。4月から全体の6分の1の計算リソースを使って、先行的に利用できるようにし、その後、少しずつ利用できる性能を拡張しているという。

 ここでは、創薬支援やウイルス解析などに利用する「医学的側面からの研究」と、電車内や室内、レストラン内での飛沫拡散のシミュレーションに使用するなど、感染拡大防止のための「社会的側面からの研究」に取り組んでいるという。

 「京に対して100倍の性能向上を果たしたことで、数週間かかった成果を数時間で導き出せたという例もある。ここにも、さまざまなアプリを利用できるという富岳の特徴が発揮されている。大切なのは、こうした機会を損失しないで利用すること。待つことなく、機敏に利用し、それが国民の利便性につながることが大切である。新型コロナウイルス感染防止に向けて、今後も活用を増やしていきたい」(松岡センター長)とした。

ビデオメッセージを送った文部科学省の萩生田光一大臣

 ビデオメッセージを送った文部科学省の萩生田光一大臣は、「現在はまだ開発途中だが、こうした結果を獲得したことに、単純な計算性能だけでなく、多様なアプリに対応した富岳の総合力の高さが評価されたものだと考えている。全世界で新型コロナウイルス感染症への対応が迫られるなか、さまざまな苦労のなかで、開発に尽力したことに敬意を表する。

 全面的な共用開始に向けた開発を着実に進めるとともに、世界トップの性能を社会で役立つ成果に結びつけることが重要となる。一部を利用して、新型コロナウイルス感染症対策に役立つ研究課題を推進しており、飛沫飛散シミュレーションなどの成果が創出されている。Society5.0を支えるイノベーション創出の基盤として、富岳の開発、運用を進め、社会に貢献する成果の創出に努める」とした。

ビデオメッセージを送ったArmのIP Products Group担当プレジデントのRene Haas氏

 ArmのIP Products Group担当プレジデントのRene Haas氏もビデオメッセージを送った。同氏は、「今回の世界最速のコンピュータの発表は、将来のハイパフォーマンスコンピュータ(HPC)を動作させるCPUを変えることを意味する。今後、Armが培ってきた電力効率の高いマイクロプロセッサと、HPCのインフラストラクチャーに必要とされる高いコンピュート要件を組み合わせて、継続的に提供することになる。これは偉大なエンジニアリングによる成果であり、世界最速のスーパーコンピュータとなったことを祝福したい」と述べた。

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新型コロナウイルスが世界で猛威を振るう中、ワクチンや治療薬の開発にスーパーコンピューターや量子コンピューターを提供する動きが広がっている。日本では「富岳」が稼働を1年前倒しし運用を開始。思いがけない初舞台を迎えた。富士通は「デジタルアニーラ」を6月にも無償提供を始める。米国では米IBMが中心となって産官学共同のコンソーシアムが発足した。

 超高性能コンピューターを活用してワクチンや治療薬の開発、せきによる飛沫の動きのシミュレーションなどを支援する狙いだ。高い演算性能を生かして世界的な危機の克服を目指す。

 「自然災害などの緊急事態への対処は、富岳の開発時点からの狙い。世界的な困難の解決へ実際に貢献できる機会を得られて光栄だ」。理研の松岡聡計算科学研究センター長はこう意気込みを話す。理研はコロナ禍の早期収束への貢献を目指し、富岳の運用を1年前倒しして始めると2020年4月7日に発表した。6月中にも最初の成果を発表する方針だ。

 前倒しで運用するのは富岳の一部だけだ。とはいえ、その性能だけでも文部科学省が「HPCI第2階層」と位置づけている国立大学法人や国立研究開発法人所有のスパコン全体の計算能力を上回る。富岳の計算能力は「(前世代機)京の約50~100倍を有している」(松岡センター長)。

 進行中のプロジェクトの一つがシミュレーションによる治療候補薬のスクリーニング(探索)だ。抗ウイルス薬を含めた約2000種の既存薬のウイルスへの結合を網羅的に試験している。今までの富岳以外のスパコンの性能では「箸にも棒にも掛からない」(松岡センター長)ほどの作業だ。

 狙いはウイルスに作用する化学的な構造を明らかにした上で治療薬を見つけ出すことだ。従来も既存薬から治療薬を見つける動きは進んでいたが、治療効果の確認作業は臨床試験が主体。いわば後付けだった。スパコンの力で治療効果をあらかじめ確かめて治療薬を見つけ出そうというわけだ。
富岳はデジタルアーニラではないが、富士通のこの技術は富岳の次の日本のスパコン開発にも応用されるのであろうか?

スパコンが8億年かかる計算を1秒で解く国産チップの驚異的潜在力
「新型コンピューター『デジタルアニーラ』」東 圭三/富士通AIサービス事業本部長
【週刊ダイヤモンド】週刊ダイヤモンド編集部 2018.10.26


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富士通の異才研究者がそのチップを作ったとき、誰もその潜在力を理解していなかった。2016年に試作品ができたそのチップの名は「デジタルアニーラ」。スーパーコンピューターを凌駕する処理能力を持つ量子コンピューターの動作原理を、既存技術のデジタル回路で実現したものだった。

 米グーグルや中国アリババなど名だたる企業が開発競争を繰り広げる量子コンピューターに近い処理能力を、富士通は既存技術の延長線上で可能にした。その計算速度は、富士通などが開発したスーパーコンピューター「京」が8億年かかる計算を、1秒で処理できるという驚異的なものだ。

 だがチップができた当初、その事業化を任された東圭三も、「魔法の箱みたいだ」とぴんときていなかった。京の開発に携わった東ですら、デジタルアニーラの可能性を理解するのは難しかったのだ。


 翌17年4月、東はデジタルアニーラの潜在力を出張先のカナダで知ることになる。

「すぐにでも事業化できる」。現地のソフトウエア会社、1QBitの幹部がデジタルアニーラの性能に舌を巻いた。

 1QBitは量子コンピューター向けのソフトを開発していたが、現状の量子コンピューターは発展途上で、実社会の課題を解決するには限界があると感じていた

競合は着々キャッチアップ 収益化へスピード維持が課題

 それに対し、デジタルアニーラのチップは複雑な問題に適用しやすい構造になっていた。

 その特長を示すキーワードが“全結合”だ。例えば、複数の都市を回る営業担当者が、どの順番で巡回するのが効率的かを算出する問題で、全都市の経路がつながる前提で計算できる。これはデジタルアニーラ内の全メモリー同士が自由に信号をやりとりできる全結合型だからだ。

 ところが、競合するコンピューターは、東京は横浜とつながっていても、大阪とはつながっていないといった制約があり、一口で言えば使いづらいのだ。


 人工知能(AI)に匹敵する柱に育つかもしれない──。1QBitから想定外の評価をもらい、東は技術者としての興奮を覚えていた。と同時に、焦燥感もあった。

 ハードウエアはできたが、顧客に使ってもらうためのソフトの開発は東の双肩にかかっていた。「本物の量子コンピューターの産業界への適用には10~20年かかる」とみていたが、競合他社は日本の金融機関と実証を始めるなど着々と歩を進めていた。デジタルアニーラの成功にはスピードが不可欠だった。

 富士通にとってもデジタルアニーラの事業化は急務だった。長らく海外事業が低迷していた同社は世界に打って出るための目玉技術を喉から手が出るほど欲していた。

 役員からねじを巻かれた東は、1QBitとソフトウエアの共同開発に向けた覚書の締結を実質2週間でやってのけた。相手先から「大企業にあるまじきスピードだ」と驚かれるほどだった。

 東の部下は、1QBitから出された合意文の修正案を検討する会議に、東が難解な英文を全て理解して臨んできたことに驚いた。「指揮官は部下から報告を受けて理解するのが通常のやり方。この人のスピード感は他とは違う」と息をのんだ。

 東は覚書の締結から4カ月後には一部顧客へのサービス開始にこぎ着けた。顧客がネット上でプログラムを書き、デジタルアニーラを動かせるクラウドサービスを始動させたのだ。

こてこての“スーパーマン”がチーム力で顧客を開拓する

 そもそも東は“スーパーマン”と呼ばれた天才肌の技術者だ。

 サーバー用のOSを開発していたころは、トラブル対応の“最後のとりで”だった。顧客対応の現場技術者が匙を投げたトラブルでも諦めなかった。同様に、「部下に対しても突き放さず、他人のレベルまで下りて指導する」(富士通社員)ことで人望を得てきた。

 東には意外な側面もある。実は、たこ焼き屋が夢で、ビジネスプランまで持っている“こてこて”の大阪人なのだ。さらに世話好きの大阪人らしさも備える。元部下の男性社員は10年前に風邪で会社を休んだ際、東から電話で「食料を買っていくぞ」と言われ、そのウエットな一面に驚いたという。


 現在、東が指揮するAIサービス事業本部は社の未来を左右するデジタルアニーラやAIなどを統括する。精鋭の技術者ら240人から成る同本部は競争が激しく、さぞ潤いのない職場かと思いきや、そうでもないらしい。

 その要因として、東が気遣い屋だからということもあるようだ。毎朝、オフィスの自席に行く道順を変え、できるだけ多くの社員にあいさつしたり、飲み会で全席を回って話を聞いたりする。そのためか「東のチームはベクトルが合えばとてつもない力を出す」といわれる。

 目下のところ、最重要のミッションはデジタルアニーラの活用事例を増やすことだ。

 富士通グループの工場でデジタルアニーラを使い、倉庫で部品を集める手順などを最適化したところ、作業員の移動距離を45%短縮できた。こうした事例を武器に他社に売り込みを掛ける。

 顧客となる金融機関は分散投資における最適な銘柄の組み合わせを知るために、製薬会社は創薬のヒントとなる医薬品と似た分子構造を持つ物質を探すために、デジタルアニーラに期待する。

 顧客と話していると、金融工学などの専門知識を求められ四苦八苦することも多いが、東は「他分野の知見がある人も加えて、事業化をやり遂げられるチームをつくる」と自信を見せる。

 事業拡大フェーズで失速すれば努力が水泡に帰す。たこ焼き屋の夢がかなうことは当分なさそうだ。(敬称略)

(「週刊ダイヤモンド」編集部 千本木啓文)

スパコン「京」の後継機として、理化学研究所は2021年の次世代スパコン導入を目指して準備を進めている。演算速度を「京」の約100倍にする計画。現在の世界最速のスパコンの10倍に相当する。 


富士通は8月22日、日本の次世代国産スーパーコンピュータに搭載する新型CPUを発表した。富士通の新型CPUが実用化すれば、日本の次世代スパコンは計画通り2021年に導入される。

富士通はスパコンを新たな成長の「切り札」と考え、人工知能(AI)、量子コンピュータ関連技術の「デジタルアニーラ」とともに重要な位置に置いている。 
富士通はスパコンをAIと組み合わせるほか、産業分野に応用したいとも考えている。各種事物を巨大データに高速かつ正確にまとめるには計算能力の高い設備が必要となり、スパコンは演算を支える技術の1つである。

【世界のニューストトメス5世】2019年02月19日17:00

中国のスパコン神威太湖之光、ドアを開けた人はいない

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引用:http://img01.ibnlive.in/ibnlive/uploads/2016/06/Jack-Dongara-750x500.jpg

中国製「段ボールスパコン」

国産のスーパーコンピューター「京」は2019年8月に稼働停止し、解体されるのが決まった。

同じ場所に新型国産スパコンを設置するためで、性能世界一を目指すことになる。

そのスパコン性能世界ランキングでは最近中国のスパコンが上位を独占しています。
 
スパコンランキングでメディアが大きく取り上げるTOP500では、米国製が1位と2位、中国製が3位と4位につけています。

日本からは産業技術総合研究所製が7位に入ったのが最上位で、例によって「日本は遅れている」と決めつけている。

スパコンランキングにはもうひとつGraph500があり、日本の「京」は8期連続世界一で米中を寄せ付けない強さを見せている。

違いはTOP500は簡単な計算を繰り返す理論上の最大能力、Graph500は複雑な計算をさせることで、TOP500のほうは低性能機材でも高い数値が出る。

TOP500はスパコンを構成するユニット1個の理論上の性能から全体の数値を推測し、100倍だなとか1万倍だななどと計算しています。

たとえ本物のコンピュータは1個だけで他は段ボールを並べただけであっても、TOP500では世界一を取れます。

本物スパコンでは日本が上位独占

果たして中国のスパコンは段ボール製なのか、「神威太湖之光」や「天河2号」は一度も全体を稼働させたことがありません。

一つ一つのユニットが低性能でも数をたくさん並べれば数字が大きくなるのがTOP500で、しかも実際にユニットが存在するか誰も確かめていないのです。

TOP500は好意的に解釈しても無意味で、悪く受け取ればでっち上げと言えます。

Graph500はTOP500より高度な計算をするので、単純計算に特化してTOP500の1位を狙うようなスパコンは順位が下がる。

もうひとつのGreen500はユニット単位の省エネや計算速度を競うもので、実はこれが本当のスパコンの性能です。

中国スパコンがやっているのは「市販のパソコンでも数多く並べれば合計で世界一」のような手法で、だから段ボールコンピューターになります。

日本がやっているのはユニット単位の性能を向上させて少ないユニット数にする手法で、このほうが実用的です。

Green500は日本製のスパコンが上位を独占していて、すべてが実際に稼働し利用されています。

中国の「神威太湖之光」や「天河2号」は先ほど書いたように製造以来現在まで、一回もユニット全体を稼働した事がありません。


中国のスパコンは「神威太湖之光」という名前で、日本製「京」の10倍もの計算速度を誇ると言います。
 
中国は、インテルのCPUを生産してきましたから、基本技術自体は中国にパクられていた。日本の新幹線をパクって高速鉄道を「発明」を謳うようになったのと同じだということです。

中華的思考では研究開発はバカがすることで、軍のサイバー部隊は他国の産業と軍事技術ハッキングをその目的としています。技術をパクることで技術開発費を抑え、安価で売るというのが中国の手法なのです。論文が増えたというのは、パクった論文をパクったにすぎません。

中国のスパコンは、CPUを並列に並べて計算能力を高めたもので、多く並べれば並べるだけ性能が上がります。

中国におけるスパコンは「運用コストが高く、使えるソフトが少ない」ということで、あまり実用性が高くないという評判です。

中国の技術力を過小評価する必要はありませんが、過大評価するのも禁物です。「世界一」といっても、すでに世界的に評価されなくなりつつある分野で1位になっても、あまり意味が無い。

日本は江戸時代から高度なリサイクル社会でした。資源に乏しいこともあり、長持ちする優れた製品づくりをしてきたのでしょう。一方、中国人はその土地の資源を食い尽くせば、他の土地へ移動して資源を奪うということを繰り返してきました。中華思想の中国人にはエコや環境保全という概念はほとんどありません。

ですから「中国が独自開発のスパコンで速度世界一となった」といったところで、それほど脅威視する必要はないのです。
中国は単にスパコンの速度競争をしているにすぎないが、富岳は「性能競争が目的ではない」とし、使い勝手のよい真のスーパーコンピューターを作った。

OSには一般的な米Redhat Linuxを採用。さらに低消費電力で運用できる。

2019年富岳のプロトタイプはスーパーコンピューターの消費電力性能を競うGreen500で、世界1位を獲得しています。


スーパーコンピューターの本当の目的は、世界1位を取る為ではない。富岳は、コンピューターシミュレーションで創薬や災害予想など、研究開発や製造する、実用スーパーコンピューターである。よく、スパコンは実際の需要があるのか?などとの意見があるが、そもそもスーパーコンピュータは、とてつもなく速いスピードで計算を行う超高性能のコンピュータである。

車で言えばF-1であるが、F-1は速いが公道では走れないので実用的じゃないと言っているのに等しい。

家庭用のコンピュータと比べると数百万倍も速い。だから大量のデータを使った計算を必要とする企業や研究機関で使われている。

2019年10月20日

2019年02月23日

2017年09月22日 

2017年04月09日

【7/5追記】


日本のスパコン「富岳」が世界一、中国スパコンとの違い
カテゴリIT商品・ネットサービステクノロジー、自然、科学
中国のスパコン神威太湖之光、ドアの中はおそらく空っぽ
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引用:http://img01.ibnlive.in/ibnlive/uploads/2016/06/Jack-Dongara-750x500.jpg



現実に使用しているのは日米のスパコンだけ

理化学研究所が富士通と共同で開発したスーパーコンピュータ「富岳」が8年ぶりに性能世界1位になった。

日本のスパコン予算はほとんどゼロと言える状況で、助成金詐欺で逮捕されたスパコン開発会社「PEZY(ペジー) Computingの助成金はたった6億円だった。

欧米では設計や人件費の一部で消える金額で、エンジニアの報酬が100億円という場合もあり比較にもならない。

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そんな悲惨な状況で開発している日本のスパコンは「京」で計算速度世界一を達成し、消費電力でも世界一になった。

実用スパコンでは計算速度より消費電力の方が重要で、例えば10分の1の速度でも100個並べれば10倍の性能になる。

これで世界一になっているのが中国のスパコンで、ユニット単位では低性能だが数多く並べることで世界一にしている。


ゼロから新技術を開発するより旧型のを100台作る方が遥かに簡単で確実に世界一を取れるのでそうしています。

いわばスパコンの性能試験は「エンジンを何機並べても良い自動車の性能試験」のようで、軽トラのエンジンでも20台並べればフェラーリより高出力になる。

スパコンランキングでメディアが大きく取り上げるTOP500では、米国製と中国製が近年上位を独占している。


このうちアメリカは大学や研究機関がスパコン開発をしていて、当たり前だが現実に存在し何かの目的で使用している。

スパコンランキングにはTOP500とGraph500があり、Green500というのもありそれぞれ測定方法が違う。

TOP500はユニットの単純な演算をするだけなので最も難易度が低く、低性能なコンピュータを数多く設置すると必ず勝つ。


【世界のニュース・トトメスⅤ】2020年07月04日11:30 


中国のスパコン神威太湖之光、ドアの中はおそらく空っぽ
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引用:http://img01.ibnlive.in/ibnlive/uploads/2016/06/Jack-Dongara-750x500.jpg

現実に使用しているのは日米のスパコンだけ

理化学研究所が富士通と共同で開発したスーパーコンピュータ「富岳」が8年ぶりに性能世界1位になった。

日本のスパコン予算はほとんどゼロと言える状況で、助成金詐欺で逮捕されたスパコン開発会社「PEZY(ペジー) Computingの助成金はたった6億円だった。

欧米では設計や人件費の一部で消える金額で、エンジニアの報酬が100億円という場合もあり比較にもならない。

そんな悲惨な状況で開発している日本のスパコンは「京」で計算速度世界一を達成し、消費電力でも世界一になった。

実用スパコンでは計算速度より消費電力の方が重要で、例えば10分の1の速度でも100個並べれば10倍の性能になる。

これで世界一になっているのが中国のスパコンで、ユニット単位では低性能だが数多く並べることで世界一にしている。

ゼロから新技術を開発するより旧型のを100台作る方が遥かに簡単で確実に世界一を取れるのでそうしています。

いわばスパコンの性能試験は「エンジンを何機並べても良い自動車の性能試験」のようで、軽トラのエンジンでも20台並べればフェラーリより高出力になる。

スパコンランキングでメディアが大きく取り上げるTOP500では、米国製と中国製が近年上位を独占している。

このうちアメリカは大学や研究機関がスパコン開発をしていて、当たり前だが現実に存在し何かの目的で使用している。

スパコンランキングにはTOP500とGraph500があり、Green500というのもありそれぞれ測定方法が違う。

TOP500はユニットの単純な演算をするだけなので最も難易度が低く、低性能なコンピュータを数多く設置すると必ず勝つ。

中国のスパコンは一度も稼働したことが無い

Graph500はTOP500より高度な計算をするので、単純計算に特化してTOP500の1位を狙うようなスパコンは順位が下がる。

中国製スパコンはTOP500では強いがGraph500では日米のほうが強く、日本の京などが何度も1位になっている。

最も重要なのはGreen500でエネルギー消費を競うものだが、事実上実用スパコン世界一はこのGreen500で決まる。

Graph500やTOP500は電力制限がなく全体の一部のユニットだけ稼働させて性能試験をしていて、スパコン全体を稼働させなくて良い。

何度も世界一を取った中国の「神威太湖之光」や「天河2号」は一度も全体を稼働させたことがありません。

神威太湖之光を稼働させるには原発1基分以上の電力が必要で、実際にはすべてのユニットを稼働できないのです。

日米のスパコンは現実に使用しているのに対し中国のスパコンは一度も稼働したことがなく、それでいて連続して世界一となっている。

スパコンコンテストが八百長と言われる理由がここにあり、多少でも信頼性があるのはGreen500だけです。

Green500は計算速度と省エネ性能を競うので、電力消費が大きい中国製バーチャルスパコンは1位になれません。

だが日本の左翼マスコミは「中国はTOP500という最高峰で1位になっているのに、日本は電力性能と言う姑息な手段で1位になろうとする」とこき下ろします。

存在すらしない中国のスパコンを褒め称え、現実に使用している日米のスパコンをこき下ろす事で「祖国」に忠誠心を示しているのでしょう。

私は、中国のスパコンは、記録用のデモ計算ぐらいはやったかと思っていたが、そうか~全部稼動したことがないのか・・・

>いわばスパコンの性能試験は「エンジンを何機並べても良い自動車の性能試験」のようで、軽トラのエンジンでも20台並べればフェラーリより高出力になる。

ものすごくナイスな例え!

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N401XP Son Of Ares

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NASAのF-15にエスコートされ極秘ジェット実験機”Son Of Ares(軍神アレスの息子)”が変わったマーキングをつけ登場
興味深い試験飛行は、モハベ砂漠の上空でスケールドコンポジット社の3種の航空機に新型航空機が加わった

【WARZONE】TYLER ROGOWAY 2020年6月18日



先週、The War Zoneは、Scaled Composites社の高空飛行テストプラットフォーム「Proteus」と、同社の2機のモデル401「Son Of Aresステルスジェットデモンストレーターを使った興味深いテストについて報告しましたが、未だにほとんど謎に包まれています。これらのミッションは継続されているだけでなく、新しいタイプの航空機も含めて拡大されていると言えるでしょう。

これらの奇妙な作戦については、ここリンクされている前回の記事を必ずお読みください。

著者更新: 我々は、モデル401の1つの新しい画像を持っており、控えめに言っても、それらは奇妙なものです。この1つを終えた後、ここで私たちの新しいストリーをチェックしてください。

その週、非常に実験的な3機の航空機は、モハーベ砂漠にある海軍の巨大な海軍航空基地チャイナレイク射爆場の複合施設の上空とその近くを再び飛行しました。プロテウスとモデル401の1機はモハーベ航空宇宙港にあるスケールドコンポジット社の本拠地から離陸し、もう1機のモデル401は前回と同様にチャイナレイクから飛び立ちました。しかし、今回は別の実験機である、大きなポッドを積んだNASAのF-15Dイーグルが参加していました。

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テスト用のNASAのF-15の登場は興味深い。近くのアームストロング飛行研究センターは、民間と軍事の両方のアプリケーションを持つ開発と飛行試験作業をサポートしています。プロテウスは、NASAの科学機器から高度な軍事用センサーまで、風変わりななポッドを搭載したペイロードをよく搭載していることを考えると、その関与はそれほど不可解ではありません。私たちの写真投稿者であるChristopher McGreevy氏は、F-15Dと401型の飛行経路の下にいることを発見し、フォーメーションの写真をいくつか撮影しました。

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The NASA F-15D had a unique pod under its right wing.

地元の観測者や飛行機の追跡者によると、401型機はある時は一緒に飛び、ある時は別々に飛んでいたそうで、テストが進むにつれてNASAのF-15Dに燃料を供給するためにKC-10が存在していました。プロテウスもまた、モデル401と同じような高度、約25,000フィート(7600m)で、近くにいました。

この写真は今回のミッションで撮影されたものではありませんが、NASAのF-15のエキゾチックなテストポッドの一例となっています。


HansFriedel氏はモハーベの近くにいて、モハーベ航空宇宙港で回収された401型機とプロテウスの写真を撮っていました。これは、これらのテストのためにN401XPを構成している様子を初めてよく見ることができます。機体は全体的に新しいグレーの塗装をしており、コックピットの下と尾翼下部に大きな変色したダイヤモンドのような形をしていることに注意してください。これらのパッチが何のためのものなのかは不明ですが、モデル401は少なくともレーダー、電子、赤外線、視覚を含むシグネチャーと関係のあるテストに参加しているように思えます。

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また、プロテウスが搭載しているポッドの反対側には、電気光学システムのようなものが取り付けられているようです。レーダーやエミッターが間にあるかどうかは不明。もしそうだとしたら、これは確かに光学システムをターゲットにスリープさせるのに役立つだろう。2つの開口部を見て、2つのモデル401がテストに参加している理由がわかるかもしれません。この構成はまた、なぜ飛行機がカメラと同じ平面上を主に飛行しているのかを指し示しているでしょう。それでも、ペイロードが何であるか、あるいはその有用性が何であるかは確かにはわかりませんので、割り引いて受け止めてください。

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HANZ FRIEDEL
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HANZ FRIEDEL

モデル401の奇妙な表面処理はまた、ある種のコーティングテストを示唆しているかもしれません、多分、航空機の赤外線信号を減らすために働くものです。さらに、空対空ミサイル能力のかなりの部分は、画像化された赤外線ホーミングにも依存しています。しかし、赤外線シグネチャの低減だけでは、今回のテストの範囲ではないかもしれません。ペンタゴンは、長い間、視覚的シグネチャの低減に関心を持っています。あなたは、空中の '隠蔽'技術の長い開発の過去についてのすべてを読むことができますし、どこでそのような能力は、私たちのこの過去の機能で今日であるかもしれません。また、ボーイング社のバード・オブ・プレイ(Bird Of Prey)のような過去の技術実証機が、部分的には視覚的シグネチャ低減策をテストするために存在していたことも注目に値します。

繰り返しになりますが、これらは手元にある情報に基づいたいくつかの考えに過ぎません。モデル401の外板上のこれらの領域は、コンフォーマルアンテナである可能性もありますし、テストされている光学追跡システムを支援するための較正および追跡マークである可能性さえあります。このように、401型はシステムに挑戦するために 観測可能なターゲットを提供しているのかもしれません それ以上ではありません それ以上のことは何もありません。

これらの航空機が有人であるか、あるいはオプションで有人デモ機になるのではないかとの憶測が多く寄せられていますが、これはロイヤルウィングマンの運用コンセプトなどの無人技術を証明するためのものです。他の多くのScaled Composites社の他のデザインと同様に、実際の存在理由は多面的なものかもしれないし、時間の経過とともに変化していくだろう。

Hanz氏はまた、モデル401の着陸時の音が非常に奇妙であることを指摘し、過去にここThe War Zoneで議論したRQ-170センチネルのクリーチ空軍基地への着陸のビデオと関連づけています。以下の2つのビデオをチェックしてみてください。



似ているのが共通のパワープラントによるものなのか、それとも両機の奇妙な吸気口のデザインによるものなのか、あるいは両方の組み合わせによるものなのかは定かではありませんが、いずれにしても興味深いものがあります。

というわけで、現在のところはこのような状況です。レイセオンの'Voodoo 1' 727センサーテストジェットが昨日のプロテウスと同じエリアを飛行していますが、今日は401型には何の動きもありませんでした。これが現在進行中のテストに関係しているかどうかは不明です。いずれにしても、これらの小さなステルスジェットを含むどんなプログラムが進行中であるにせよ、それが多種多様な資産と複数のテスト飛行を必要とする複雑なものであることは明らかのようです。

それを念頭に置いて、私たちはおそらく、来るべき日にモデル401sと彼らの友人の多くを見ることになるでしょう。

Contact the author: Tyler@thedrive.com

 

モハーベ砂漠の上空で行われている数々の奇妙なテストについての最新記事の続きで、スケールド・コンポジット社の実験機3機と米軍やNASAの関係者が関与していますが、謎の401型「軍神アレスの息子」ジェット機の1機が鏡のようなコーティングで覆われて飛行している様子を撮影した新しい画像を独占公開しました。これらの画像は6月13日に撮影されたもので、テストに関する最新レポートの数日後に撮影されたものです。

適切な文脈と背景情報については、ここと下にリンクされているこれらの奇妙なテスト飛行についての最新の記事を必ずお読みください。

画像は、N401XDとして登録された401型と思われるものの大部分を示しており、双子の僚機はN401XPとして登録されています。キャノピーの弓状構造部と背側ジェットエアインテークの前縁部にはプライマー塗料か別のコーティングが施されているように見えます。この機体が両面に同じ塗料が塗られているかどうかは不明です。これは間違いなく、すでにエイリアンのように見える機体に、信じられないほど奇抜な処理が施されていることは間違いない。写真を撮影したカメラマンによると、機体の胴体から出ている非常に明るい光りが、この機体を非常に目立たせているという。

では、なぜテストのためにジェット機の大部分を鏡で覆ったのか?はっきりとは答えられませんが、いくつかの仮説があります。

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第一はレーザー実験を支援することであろう。国防総省は、空対空の領域を含む、現在進行中の指向性エネルギーの取り組みを多数進行している。処置が航空機のどこにあるかを考慮すると、後者が最も可能性の高いアプリケーションのように見えるだろう。テストのためにプロテウスの下に吊るされたポッドは、レーザーテストを記録するために必要なカメラを示す可能性がある2つの大きな暗いレンズと1つの小さなレンズを持っているように見える。それらは固定されていて、航空機の側面に直接向いているので、別の航空機を記録することは、特に401型ジェット機とプロテウスが同じ高度で飛行していたことを考慮すると、ここでは理にかなっていますが、異なる距離に横方向にオフセットされています。

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HANZ FRIEDEL

ポッドの底には大きなスライドドアがあり、通常は電気光学システムに関連した特徴である。有向エネルギータレットを搭載しているかどうかは不明だが、最近NASAのF-15Dでデモ隊が飛行していて、レーザーシステムを搭載していると思われる珍しいポッドを搭載していたことが分かっている(以下を参照)。


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どんな航空機がレーザーを搭載していたかに関わらず、現実世界の状況下で、異なる航空機のコーティングでどれだけのレーザーエネルギーが反射されるかを知ることは、非常に有益なことかもしれない。レーザーは、それが発射されているターゲットにダメージを与えることができるいくつかの非常に高出力のシステムである必要はありません、どちらにせよ、それは逆効果になるでしょう。

防衛目的、そして最終的には攻撃目的のためにレーザーを装備した戦術機の時代は地平線上にあります。空軍には、現在進行中のSelf-Protect High Energy Laser Demonstrator(SHiELD)プログラムがありますし、他にも確かにあります。敵はこの点でもじっとしているわけではありません。新しい破壊的な手段を開発する際には、その背後にある戦術だけでなく、自分の持っているシステムを洗練させるために、その対策を探ることにも投資するのは理にかなっています。そうすることで、より有能で弾力性のある兵器が生まれ、同様の能力に対してどのように防御するかについての重要なデータを提供することにもなります。

レーザーエネルギーを反射するコーティングや表面処理を施すことで、レーザーシステムが航空機にダメージを与えるのに必要な射程距離を減らし、滞留時間を長くすることは、完全に必要な努力ではないにしても、価値のあることである。将来的に指向性エネルギーの脅威に直面する可能性のある有人機や無人機にとっての潜在的な利益は明らかであるが、これは、そのような能力にもっと早く直面する可能性のある巡航ミサイルや低空飛行のドローンにとっては、さらに重要になるだろう。

これは、私たちが他の401型実証機で見た、機体のさまざまな部分に反射コーティングが施された奇妙なマーキングにも当てはまるだろう。

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The other Model 401 now wears a new gray coating with strange patches applied below the cockpit and on its tail. These patches reflected light in odd ways in the photos we have seen of them.

では、飛行物体をミラーリングしたり、他のエキゾチックな反射表面処理を施したりすれば、指向性エネルギー攻撃からそれらを守るのに役立つのでしょうか?おそらく、それはプロテウスや401型デモンストレーター、そしてこの2週間でこの地域で活発に活動してきた他のプレイヤーたちと一緒にテストに取り組んでいることでしょう。

もう一つ思ったのは、これは現在進行中の赤外線センサーのテストの一部である可能性があり、おそらく、空軍海軍の中ですぐに使用されるであろう赤外線探索追跡システム(IRST)の可能性があります。目に見えないほど効果的なコーティングを含めて異なるコーティングを使用することで、センサーを限界まで押し上げることができ、システムの実環境で発生する可能性のあるハードウェアの欠陥やソフトウェアの問題を発見するのに役立つ可能性があります。

特にミラーリングされた航空機は、これらのシステムにとって独特の課題となる可能性があり、処理を行わずに航空機の正確なコピーと並べて飛行させることで、テストのための制御変数を提供することができます。飛行追跡ソフトウェアによると、2機の401型機は、これまでのテストのほとんどの間、一緒に飛行してきました。これはまた、赤外線センサーを格納する暗い光学窓を持つプロテウスのポッドや、戦闘機では一般的に見られない赤外線信号が低減されたF-117を含む他の航空機がこれらのテストに参加した理由を説明するのにも役立つでしょう。

繰り返しになりますが、これらの可能性はいくつかの可能性に過ぎません。これらの航空機で鏡のようなカバーを含むこれらの奇妙な反射コーティングをテストすることは、全く別の理由である可能性があります。はっきりしているのは、チャコールと鏡張りの「アレスの息子」ジェット機は、近くで見るととんでもない光景になるということだ。もしかしたら、いつかこの飛行機がこのような異国情緒あふれる皮膚を使ってどのように見えたかの写真を手に入れる日が来るかもしれない。

また、モハーベ航空宇宙港ではなく、海軍航空基地チャイナレイクからデモ機が飛来している理由も説明がつくだろう。

最後に、この航空機は有人機なのかという疑問も出てくるだろう。401型が最初に登場して以来、オプションで有人飛行が可能なのではないかという憶測が流れています。これらのテストがどれだけ侵襲的で危険なものであるかによって、パイロットを保護するためにどのような措置が取られるか、あるいは、航空機が本当に無人操縦が可能である場合には、パイロットが全く存在しないようにするためにどのような措置が取られるかが決まりますが、現時点では証拠がありません。それでも、スケールドコンポジット社はそのような能力実現する能力が非常に高いので、それは可能です。現時点では有人機であると考えるのが安全ですが、より多くの情報が得られれば変更される可能性があります。

より多くの情報が入手可能になれば、この記事を24時間かけて更新していく。

Author's note: A huge thanks to @Wamoyanu for the photos. 

Contact the author: Tyler@thedrive.com

漢熟語の「矛盾」つまり矛と楯の語源は有名である。紀元前シナの春秋戦国時代 の国で、矛 (ほこ) と盾 (たて) とを売っていた者が、「この矛はどんなかたい盾をも突き通すことができ、この盾はどんな矛でも突き通すことができない」と誇ったが、「それではお前の矛でお前の盾を突けばどうなるか」と尋ねられて答えることができなかったという「韓非子」難一の故事から、二つの物事がくいちがっていて、つじつまが合わないことを表して「矛盾」と言う。この「矛」と「盾」は、およそ人類が戦争を始めて以降永遠の問題である。

H.G.ウェルズの小説に光線銃が登場しておよそ百数十年、遂に実用化に漕ぎ付けた「矛」レーザー兵器であるが、その「楯」の研究も当然始まっているのだ。

SFでは透明なバリヤーが有名だが、プラズマを利用した電磁バリアは既にボーイングが特許を取得している。


電磁波は、波長によって性質が違う。例えば可視光線は、物体に当たると、吸収もされるが、反射もされる。吸収された光のエネルギーは熱に変わる。

吸収と反射の割合は、物体の色によって決まる。白や銀色の物体は可視光線のほとんどを反射し、黒い物体はほとんどを吸収する。他の色は、自分と同じ色の光を跳ね返す。だから赤いものは、赤く見える。

可視光レーザーを発射しても、レーザーと同じ色の標的には効き目が弱いことになる。白や銀色も可視光線のほとんどを跳ね返すので、標的が白や銀色だったら効果はイマイチだろう。

一方、赤外線は色に関係なく、いろいろな物質によく吸収される。実際に金属の切断に使われるのも赤外線レーザーだし、米軍が開発中のレーザー兵器も赤外線レーザーである。

赤外線は鏡よりも研磨されたアルミの方が反射率は高い。表面が十分平滑であれば(アルミ箔ツヤ面程度)95% から 97%程度、10μm 以上の赤外線に対しては反射率が 99% にもなり得ます。ソースアルミ箔の反射率について

UFOの表面がアルミのような質感で、キラキラ光っている理由が納得できる合理的説明である。



余談だが、ギリシャ神話の軍神アレスはギリシア神話に登場する神で、戦を司る。ゼウスとヘーラーの息子。オリュンポス十二神の一柱。ローマ神話の軍神マルスと同一とされている。
アプロディーテーを恋人とし、ポボス(フォボス、敗走)とデイモス(恐慌)の兄弟、娘ハルモニアー(調和)エロース(性愛)ぼ父である。
アレスもまた火星と同一視される。このため黄道上に位置し火星とよく似た赤い輝きを放つ天体であるさそり座のα星はアンタレスと呼ばれる。火星の衛星フォボス( Phobos)とダイモス( Deimos)はアレースの二人の息子の名から採られている。
”Son Of Ares”とは、フォボス( Phobos)とダイモス( Deimos)ということになる。

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【産経ニュース】2020.5.30 11:51 

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対中国の制裁措置を発表するトランプ米大統領=29日(ロイター)

 【ワシントン=黒瀬悦成】トランプ米大統領は29日、ホワイトハウスで記者会見し、中国が香港に国家安全法の導入を決めたことに関し「香港の高度な自治は保証されなくなった」と述べ、米国が香港に対し認めている優遇措置を見直す手続きに着手すると表明した。トランプ氏はまた、世界保健機関(WHO)について、新型コロナウイルスをめぐって中国寄りの対応をとったとして「関係を断絶する」と述べ、脱退を表明した。

 新型コロナ危機に乗じて香港などに対する強権姿勢や南シナ海などで覇権的行動を打ち出す中国に、米国が正面から対決していく立場を鮮明にしたもので、米中の対立が一層激化していくのは確実だ。
 トランプ氏は、中国の全国人民代表大会(全人代)が香港に国家安全法を導入する「決定」を採択したことに関し、「中国は香港に約束していた『一国二制度』を『一国一制度』に変えた」と非難した。優遇措置の見直しの対象は、関税や査証(ビザ)発給など「ごく一部を除き全面的なものになる」としている。
 トランプ氏はまた、「香港の自由の圧殺」に関与した中国や香港の当局者に制裁を科すと表明した。
 米国務省の香港に対する渡航勧告も中国と同等とし、滞在中に「監視を受ける危険が増大する」との文言を明記するとした。
 新型コロナへの中国の対応に関しても、中国が忌避する「武漢ウイルス」の用語をあえて使用し、「中国がウイルスを隠蔽(いんぺい)したせいで感染が世界に拡大し、米国でも10万人以上が死亡した」と訴えた。
 WHOに関しては「中国に牛耳られている」「米国の組織改革の要求に応えていない」などと批判。年間4億5千万ドル(約480億円)規模とされるWHOに対する米国の拠出金については「他の保健衛生関連の国際組織に振り向ける」とした。トランプ氏は今月18日、WHO事務局長に「30日以内に組織を改革しなければ米国は資金拠出を恒久停止する」と警告していた。
 またトランプ氏は会見で、米株式市場に上場している中国企業の透明性向上に向け「特異な行為」をしていないか作業部会で検証すると語った。
 さらに、中国人の学生らが米国内の大学や研究機関で技術窃取を繰り返してきたと非難。記者会見後は、中国人民解放軍に連なる研究機関に所属する大学院生の米国への入国を禁じる大統領布告に署名した。

トランプ米大統領は5月29日、米国が香港に認めている優遇措置の廃止に向けた手続きに入ると発表した。

米国が香港に認めている優遇措置とは、1992年制定の「米国・香港政策法」で香港を中国本土とは異なる地域とみなし、関税やビザ発給などで香港を優遇している。中国と世界の窓口として、ビザの発給などの渡航優遇措置、関税措置の優遇、投資等資本取引の優遇など多岐にわたり、毎年の検証に基づき、この優遇措置が妥当かどうか判断するという。

その優遇措置があるからこそ、世界の金融センターとしての香港の地位を支えてきた。その米国による優遇措置を全部剥奪される見通しとなれば、香港の存在意義が根本からなくなり、香港の存立すら危ぶまれる。

トランプ大統領の優遇措置廃止に先立つ5月27日ポンペイオ国務長官は中国が全国人民代表大会(全人代)で香港市民の基本的人権を制限する「国家安全法」を香港に導入する議案を翌5月28日に採択する予定であるのを受け、香港では「高度の自治」が維持されておらず、米国が香港に認めてきた優遇措置を続けるに値しないと議会に報告した。

その問題の国家安全法とは・・・

【SankeiBiz】2020.5.28 14:03 

【香港=藤本欣也】中国の全国人民代表大会(全人代)は28日、「香港が国家安全を守るための法制度と執行メカニズムに関する決定」を採択する。この決定によると、全人代常務委員会が制定する香港の国家安全法では、国家分裂、政権転覆、組織的なテロ活動など国家の安全に重大な危害を与える行為・活動や、外国勢力による香港への干渉が禁止される。

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27日、香港のデモで、取っ組み合いになる警官隊とデモ支援者(ゲッティ=共同)

 具体的には、(1)反中国共産党デモを行う(2)香港独立や英領香港時代の旗を掲げる(3)新聞や出版、ネットを通じて「共産党独裁反対」「中国の民主化要求」「天安門事件の真相究明」などを主張する(4)外国の議員との面会や、海外で香港問題への支援を求める講演を行う-ことなどが罪に問われる可能性がある。

 このほか、(1)中国の国家安全当局は香港に出先機関を設置可能(2)香港行政長官は国家安全教育を推進することになる。香港の外国人裁判官が国家の安全や治安に関する審理を担当できなくなる-との報道もある。

 全人代常務委が制定した後、香港政府が公布する。9月6日に予定される香港の立法会(議会)議員選挙前に施行されるのは確実だ。

 香港の学生ら市民の間では、「表現・集会の自由」が制限され、秘密警察が香港に設置されることへの不安のほかに、「国家安全教育」の名の下で愛国教育が進められることへの懸念も広がっている。

 全人代常務委が香港に国家安全法を導入することについて、中国側は香港基本法(ミニ憲法)に基づいた合法的措置と主張する。

 基本法18条には「中国の全国レベルの法律は、基本法付属文書3に列挙されたものを除き、香港で施行されない」とある。つまり、付属文書3に追加すれば、香港で施行できることになる。そして、追加を決定できるのは全人代常務委と明記されている。

 また、「付属文書3に列挙された法律は香港が公布して施行、あるいは香港が立法化して施行する」と規定されており、今回は「付属文書3に追加→香港が公布」の方式で香港での施行を図るとの立場だ。

 付属文書3に列挙された法律には、国旗、国章、祝日、国籍に関するものなどがある。現在、香港の立法会で国歌条例案が審議されているが、これは「付属文書3に追加→香港が立法化」の方式による。

 一方、香港の民主派は、全人代常務委が国家安全法を香港に導入することについて、基本法違反であると主張する。

 基本法の起草委員も務めた民主派の重鎮、李柱銘氏は今回の国家安全法に関し、「全人代常務委が香港のために制定する香港の法律であり、中国の全国レベルの法律ではない」と指摘。全人代常務委が「香港の法律」を制定できるとの規定は基本法のどこにもないと強調する。

 このほか、18条では「香港の自治の範囲に属する事項の法律」については付属文書3に追加できないと定めている。そもそも23条に「国家分裂行為などを禁止する法律を香港が自ら制定しなければならない」と明記されており、「国家安全法は香港の自治の範囲内の法律であり、付属文書3に追加できない」と今回の違法性を指摘する法律家もいる。(香港 藤本欣也)

ポンペオ国務長官は声明の中で、中国政府による国家安全法制導入は「香港の自治と自由を根本的に損なう」と批判した。香港の現状については「理性ある者であれば、香港が高度の自治と維持しているとは誰も主張できないだろう」と指摘した。国家安全法が導入されれば米国が香港への優遇措置を撤廃する用意があると中国に警告を発する意図があり、中国に土壇場での翻意を迫るものだった。

ポンペイオ国務長官による議会への報告は、2019年11月に制定された香港人権民主法に基づく措置である。その通称香港人権法案は、香港の自治を保証する「一国二制度」が守られているか米国務省に毎年の検証を義務付け、香港での人権侵害に関与した政府関係者らに制裁を科す内容となっている。その香港の高度な自治を認めた「一国二制度」を中国が順守しているか毎年検証するよう義務付けている国務省が、検証した結果を議会に報告したものだ。

ポンペイオ国務長官は、一国二制度を遵守せず「中国政府は香港に中国の規範を当てはめようとしている」と非難した。だが、中国は一国二制度の内だと反論をする。

かつての大英帝国が地球上に近代化の種とともに振り撒いた、英国の国益そった妥協的国境という災いが未だに世界中に陰を落としてしまった例の一つかもしれない。英国や国際社会と中共との妥協の産物一国二制度という玉虫色の妥協がやはり災いの種となった。

米国や香港民主派にとって一国二制度は、「一国二制度」であり中国にとっては「一国二制度」なのだ。約束を守らないシナ人は、50年も後生大事に約束を守るはずがないのは当然だ。

【日経ビジネス】白壁 達久 日経ビジネス記者 2020年5月29日

(写真:AFP/アフロ)

 中国の北京で開いた全国人民代表大会(全人代、国会に相当)は28日、香港への統制を強める「香港国家安全法」の制定方針を採択して閉会した。1997年に英国から返還された香港は、50年間は一国二制度として「高度な自治」が保障される約束だが、形骸化が進んでいる。コロナ禍で大規模なデモや集会ができないドサクサにまぎれて、中国本土は香港への統制をじわじわと強めつつある。
 香港の今とこれからをどう見るのか。民主派議員として19年末まで香港の立法会(国会に相当)議員だった区諾軒(オーノクヒン)氏に聞いた。

区諾軒
32歳、2015年香港中文大学政治公共行政学科研究修士修了。12~19年に香港の区議会議員。民主派議員として18年の立法会補欠選挙に立候補し当選(区議と兼任)。19年12月、議員資格をはく奪される。19年から今年4月にかけて3回逮捕される。

ー全人代が香港国家安全法の制定方針を採択しました。

区諾軒氏(以下、区):具体的な中身はまだ分かりません。中央政府の機関が香港政府に組織を設置して国家安全に関する職責を果たすという点で、香港の言論はますます制限され、自由が奪われていくでしょう。今回の制定方針が香港の議会を経ずに採択されたことにも脅威を感じます。

ー香港では抗議活動が起こっています。

区:既に600人以上が逮捕されています。一昨日は、デモに参加していない人まで逮捕されました。制服を着た中学生も数人逮捕されています。正確な情報は得ていませんが、学校から帰宅途中、たまたまデモの現場を通りかかったところを逮捕され、まだ釈放されていないとか。無理やり誰でも逮捕する今の香港警察は常軌を逸しています。

ー区さんも昨年から今年にかけて3回逮捕されました。

区:いずれも、かつての香港なら逮捕されるような事案ではないと考えます。最初の逮捕容疑は警官襲撃罪です。昨年6月の反政府デモに際し、デモ隊と警察の衝突を解消しようとしたのですが、うまくいかず。拡声器での声が「警官の聴覚に影響を与えた」と。声を出すだけで襲撃したと認定されたわけです。

 逃亡犯条例改正を巡り、昨年5月に行われた立法会の審議を妨害した容疑で11月にも逮捕、起訴されました。立法会の委員会で親中派議員の発言を妨げようとしたことが、立法会議員の権利を定めた条例に違反したというのです。3時間の取り調べの後に帰宅を許されましたが、その後起訴されました。逮捕された時期は区議会選挙の直前のタイミングでした。(逮捕される)半年前のことを突然持ち出しての逮捕は、政治的な意図があると考えざるを得ません。

 そして今年4月18日。平和な朝が一変しました。私の家に突然、警察官が5~6人訪れて「出頭せよ」というのです。昨年8月に実施した集会で、許可していないデモを率いたという容疑です。逮捕されたのは私だけでありません。「香港民主派の父」と呼ばれる弁護士の李柱銘(マーティン・リー)ら合計15人の民主派リーダーが一斉に逮捕されました。6月に裁判が始まりますが、長期戦になりそうです。

ー今年9月には立法会選挙が実施される予定ですが、選挙で民主派を立候補させないための逮捕にも感じます。

区:個人的に選挙への立候補とかとは直接関係ないと思います。リーダーだろうが一般人だろうが、誰でも逮捕するぞというメッセージでしょう。

 立法会の定数70のうち、半数の35を民主派が取れるかが焦点です。そもそもの選挙制度が親中派に有利に作られていますが、たとえ当選しても、その後議員資格を奪われかねません。香港では民主派議員が相次いで「資格停止」などで議員資格を奪われているからです。私もその一人です。

 16年の立法会選挙で当選した民主派議員4人が、就任宣誓で民主化への決意を付け加えるなどして、法定通りに宣誓文を読まなかったとして議員資格をはく奪されました。当選議員の資格はく奪に伴って18年に実施された補欠選挙で私は当選しました。ですが、香港の香港終審法院(最高裁)は昨年12月、「選挙管理委員会の手続きが不当」として私ともう1人の民主派議員の資格をはく奪するとした高裁判決を相当と判断し、私たちの上訴を棄却。私は議員資格を失いました。

 民意によって選ばれた議員をも、あらゆる手段を使って資格を奪う。それが今の香港です。

ー立候補は自由にできる環境でしょうか。

区:それもだんだん難しくなってきています。議員に立候補する際は、声明書にサインしないといけません。その文面がどうなるか。今回の香港国家安全法など、中国政府の意向を尊重するという文面が入る可能性もあります。そうなると、民主派としては立候補すらできなくなってしまいかねません。

ー昨年には犯罪容疑者の中国本土引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」の改定案が出たものの、大規模な反政府デモが続いて撤回に至りました。

区:逃亡犯条例の撤回で、「自分たちのチカラで運命を変えることができる」と民主派や支持者は希望を抱きました。ところが、今回は香港政府ではなく中国本土の決定です。私たちが香港政府に訴えたところで、覆りません。

 昨年はデモをする空間がありました。今年は新型コロナウイルスの感染防止の観点もあり、それがなかなかできない。

ー6月4日は天安門事件で亡くなった学生を追悼する大規模集会やデモが毎年開かれています。そうした集会も今年は難しいのでしょうか。

区:今年は難しいでしょう。民主派が6月1日にデモをやりたいと警察に届け出ましたが、許可されなかったと聞きます。昨年の100万人デモから1年となる6月9日など、節目でまたデモをしたいと思っていますが、コロナを理由に許可を出さないのではないかと思います。

ー台湾などに移住する香港人も多いと聞きます。

区:「今日の香港、明日の台湾」と私たちは言っています。香港の次は台湾。そのためにも、私たちは香港の民主主義を守らないといけません。

 世論調査を見ると、民主派の支持率が昨年に比べて上昇傾向にあります。民主派には「未来を開く可能性を探る責任」があると思っています。香港を取り戻せるか。これからもその道を探していきます。

香港民主派市民にとって中国の国家安全法の成立は、香港の命脈を絶つ決定だが、ほんの一握りの親中派市民からすれば、戦争をするくらいなら「優遇措置撤廃を中止せよ」といいたいだろう。あれ、隣のどこかの国も似たようなことを言っていた。

ある意味米国の香港人権法のその本質は香港市民への蜂起を促すものである。蜂起しないと優遇できなくなってしまうぞと・・・

だが、香港民主派市民にとって米国は、最後の砦なのだ。「かつて約束された自治を否定する中国共産党体制と戦う香港の人々を支持する」と発言するポンペイオ国務長官の言葉が頼りとなる援軍なのだ。

米国は、2019年香港政府が進める「逃亡犯条例」改正案に対する反対運動が激化し2019年6月に共和・民主両党の議員が超党派で提出、香港人権法案」を2019年11月19、20日に上下院で賛成が圧倒的多数で可決された。

米国が香港に認めている優遇措置とは、1992年制定の米国の国内法「米国・香港政策法」によって、香港を中国本土とは異なる地域とみなし、関税やビザ発給などで香港を優遇している措置である。中国と世界の窓口として、ビザの発給などの渡航優遇措置、関税措置の優遇、投資等資本取引の優遇など多岐にわたり、毎年の検証に基づき、この優遇措置が妥当かどうか判断するという。

その優遇措置があるからこそ、世界の金融センターとしての香港の地位を支えてきた。その米国による優遇措置を全部剥奪される見通しとなれば、香港の存立すら危ぶまれる。

その優遇措置によって、いままで香港および中国にとって、どのようなメリットがあったか説明した記事が以下の記事である。↓
【日経新聞】2020/5/29 19:10 (2020/5/30 0:44更新)

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トランプ米大統領がどこまで踏み込むのかが焦点だ(28日、ワシントン)=ロイター

【ワシントン=永沢毅、香港=木原雄士】トランプ米大統領は29日、中国への米国の対応措置について発表する。中国が香港への統制強化を決めたのを受け、制裁を含めた対応を明らかにする可能性がある。米国が一国二制度に基づく「高度な自治」を前提に香港に認めてきた優遇措置の見直しに踏み込むかどうかが焦点だ。ただ優遇措置の見直しは、香港や米国企業にも打撃を与えかねない難しさをはらむ。

中国が香港国家安全法の制定を決めたのを受け、トランプ政権は香港が「高度な自治」を維持できていないと判断。香港の優遇措置は継続困難との見解を米議会に伝達した。


想定のひとつが2019年11月に成立した「香港人権・民主主義法」にもとづく制裁措置だ。中国共産党関係者らの資産凍結・査証(ビザ)の発給停止措置のほか、香港向けの関税とビザ発給の優遇措置見直しが主な内容だ。ただ共産党関係者向け制裁は実効性に乏しく、優遇措置の見直しは米国や香港に打撃になりかねない問題を抱える。

香港から米国への渡航者は2019年に15万人に上った。中国本土と比べて香港在住者は簡単に米国ビザを取得できる。こうした往来が止まって困るのは中国よりも香港や米国だ。香港には米国企業約1300社が拠点を構え、アジア全域を統括する機能を持つケースも少なくない。

関税優遇撤廃も一筋縄ではいかない。米国は「香港政策法」で香港を「経済・貿易面で(中国本土とは)別の地域として扱う」と明記し、対中制裁関税を適用していない。

ただ、香港政府によると香港から米国への輸出額3040億香港ドル(約4兆2千億円、19年)のうち77%は中国本土から香港を経由して米国に向かう再輸出だ。大半は原産地が中国だとして、すでに制裁関税の対象になっているとみられる。また香港の輸出に占める米国向けのシェアは約8%で、米国が関税を上げたとしても「マクロ経済への影響は大きくない」(英調査会社オックスフォード・エコノミクス)。

一方、米国から香港への輸入額は2129億香港ドルで、電子機器などが多い。軍事技術に転用可能な半導体などを香港経由で仕入れる中国企業が多い。米国が香港への輸出管理を厳しくすれば、中国企業にとって打撃となる。

香港人権・民主主義法に基づく制裁措置が抱える難しさから、米国では様々な制裁手段を想定しているもようだ。スティルウェル米国務次官補は「対応措置には長大なリストがある」と述べ、経済制裁や中国当局者へのビザ停止などを具体例に挙げる。

米紙ニューヨーク・タイムズによると、トランプ政権は米国に滞在する中国人の留学生や研究者のビザの効力の停止を検討している。大学院生ら約3千人が対象になるという。

「香港と中国を決済ネットワークから締め出すべきだ」(中国に関する現在の危機委員会)。米国の保守派の民間団体には、国際的な資金決済のネットワークである国際銀行間通信協会(SWIFT)の利用停止などを求める声もある。金融制裁に踏み込めば、アジアの金融センターである香港への影響は甚大だ。

香港は金融市場に強みを持つ。新規株式公開(IPO)を通じた企業の資金調達額は18、19年に世界1位だった。仏ナティクシスによると、10~18年の中国企業のオフショア市場での資金調達のうち株式は73%、債券は60%が香港市場だ。香港の金融機能を止めれば世界の金融市場は混乱が必至だ。市場で存在感を高める中国企業への打撃にとどまらず、米金融機関のビジネスにも大きな影響が及ぶ。

香港は北朝鮮やイランと違って、世界経済と密接につながる。香港への制裁は、香港企業や香港で活動する米企業にも影響が及ぶため、トランプ政権は慎重に検討するとみられる。


貿易においても、今まで米国が課してきた対中関税も香港に課されていなかったが、一国一制度であれば、当然優遇措置はなくなり、中国と同じ課税が適応される。

日経記事では、「共産党関係者向け制裁は実効性に乏しく、優遇措置の見直しは米国や香港に打撃になりかねない問題を抱える。」と、あるが本当だろうか?

中国が香港への統制を強化する「香港国家安全法」の導入を決め、香港の自治や人権を侵害した政治家共産党幹部個人へも米国への入国禁止、個人資産凍結、没収等の措置が行われる見通しである。

これは、中国国内で掠め取ってきた巨額の賄賂を、米国にセッセと送金し蓄財してきた中国共産党幹部にとって、許されざる驚天動地の制裁措置である。

中国共産党は、第二次世界大戦日本軍とは戦わず逃げ回り、ソ連と米国双方から援助を受けつつ戦力を温存、国共内戦~朝鮮戦争においてはソ連の援助を受けていた。米ソ冷戦においてスターリンの死後ソ連と対立し、ソ連を裏切り、米国陣営にはしり、米国の真の恐ろしさをあまり自覚することなかった。中国共産党は、米ソ冷戦の崩壊後、WTOに加入を許すなど、対中国弱腰外交を続けてきた歴代大統領、クリントン~ブッシュJr~オバマまで、ある意味米国を舐めきっていたと思える。

米国は、「豊かになればいずれ中国は民主化が進むだろう」という、科学的根拠に乏しい幻想をシナや中国共産党に対して抱いていた。米ソ冷戦に勝利する戦略として、敵の敵は見方という戦略理論で、自国の価値観と相容れない、非民主的な中国共産党を抱き込む際、人権を弾圧する中国と妥協する
自己欺瞞が、いつのまにか、そう信じ込んでしまった結果なのだ。

また、戦前あれほど敵対していた大日本帝国が、戦後米国に隷属し、経済的繁栄を謳歌し、米国に敵対する心配がなくなった成功体験が悪かったのかもしれない。米国人からすれば、日本人とシナが見た目が似ているからそう思えたのだろう。

だが、日本と中国の文明は似て非なるものであり、日本は「實るほど頭を垂れる稲穂かな」だが、中国は真逆であり富めば富むほど傲慢さを増すのが中国人である。また、非キリスト教徒である中国人は聖書を読まない。聖書のソロモンによる箴言「傲慢は破滅に先立ち、謙遜は栄誉に先立つ」という金言を知らないようだ。

トランプ大統領は、歴代大統領や多くの米国人が持っていた、対中国幻想を捨て去り、覚醒した。歴代大統領のなかで、やっと中国の本質を見抜いた傑出した米国の指導者である。

日本も1970年代、周恩来や鄧小平といった傑出した指導者によって、私を含め中国を見誤っていた。ところが、江沢民による反日政策と、中国政府による尖閣に対する侵略行為で、米国より若干速く覚醒したが、天安門事件でも中国に対しいち早く手を差し伸べ、中共の国際世界復帰を手助けしてしまい、米国ばかりを非難できない。

それどころか日本においては、未だに、官僚、マスコミ、財界、アカデミズム関係者を中心にサイレントインベイジョンが浸透しているのかもしれないが、親中国の幻想を抱く非国民が多数存在する。そういった連中には、中共がナチスがユダヤ人に対して行った犯罪行為がまるで気にならないようだ。
そうだよな・・・工作員のハンドルネーム「市民の目」

中共、特に頭の悪い習近平は、米国を舐めきり米国の警告を無視して、「国家安全法」を制定してしまった。米国はそうは言っても大統領選挙を控え最終的には「軍事的オプションを嫌う」というこのに賭けている。これは人類の未来をなくすかもしれない危険なチキンゲームになってしまった。

【ZAKZAK】2020.5.30 

中国が、香港への締め付けを一段と強化している。中国共産党は全国人民代表大会(全人代)で、反体制派を取り締まる「国家安全法」を、香港で新たに導入する決定を採択した。

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 全人代に出席した習主席(中央)。トランプ氏率いる米国との激突を決意したのか(AP)

 これが実現すれば、デモや集会はもちろん、ネットでの中国批判も摘発され「一国二制度」は崩壊したも同然になるだろう。香港では抗議のデモも起きたが、米国や台湾などへ移住を目指す市民が急増している、という。

 なぜ、習近平政権は、ここで強硬策に出たのか。

 香港は9月に議会に相当する立法会選挙を控えている。2019年11月の区議会選挙でボロ負けした習政権が「悪夢の再来」を恐れた点が1つ。再び負けるようなことがあれば、政権が決定的打撃を被るのは避けられない。

 それ以上に重要なのは、習政権が「米国との激突は不可避」とみて、力でねじ伏せる方針に転換した可能性だ。

 これまでは曲がりなりにも、民主派勢力の取り締まりは香港の特別行政府に任せてきた。北京政府が直接、弾圧に乗り出せば「米国が黙っていない」とみたからだ。

 昨年は米国との貿易交渉も進行中で、米国を必要以上に刺激するのは避けたかった。だが、新型コロナウイルス問題で事態は変わった。

 交渉が終わったわけではないが、「世界が大恐慌以来の不況に突入する」とみられるなか、貿易交渉の重要度は下がっている。「街中が大火事になっているなら、小屋が燃えても大した意味はない」のと同じだ。

 中国共産党の重要文書が相次いで欧米メディアに流出し、政権基盤も揺らいでいる。そうであれば、「この際、強硬策で求心力を回復しよう」と考えたとしても、おかしくない。

ドナルド・トランプ米政権はどうするのか。

 手綱を緩めるどころか、さらに習政権を追撃するだろう。そのサインもある。米国防総省が5月20日、新たな対中政策文書を発表し、習政権を厳しく批判したのだ。

 「中国に対する米国の戦略的アプローチ」という表題が付けられた16ページの報告書は「1979年の国交樹立以来、米国は中国が経済的、政治的、社会的に開かれ、国際社会で責任ある国になるという前提で政策を展開してきた」と書き出している。

 そんなアプローチは、「経済的かつ政治的改革を圧殺する中国共産党の意思を過小評価していた」と反省したうえで、「トランプ政権は中共の意図を目を見開いて分析し、摩擦の激化も覚悟しつつ『競争的アプローチ』を採用する」と宣言した。

 見逃せないのは、「静かな外交が成果を出せないなら、米国は自国の利益を守るために、適切なコストも費やして、対中圧力を強め、必要な行動をとる」と断言した部分だ。言い換えれば、「軍事的オプションも辞さない」とも読み取れる異例の表現だった。

 トランプ政権がここまで腹を固めたとなると、習政権も後には引けないだろう。香港問題は新型コロナと同じく、米中関係最大のホットゾーンになってきた。

■長谷川幸洋(はせがわ・ゆきひろ) ジャーナリスト。1953年、千葉県生まれ。慶大経済卒、ジョンズホプキンス大学大学院(SAIS)修了。政治や経済、外交・安全保障の問題について、独自情報に基づく解説に定評がある。政府の規制改革会議委員などの公職も務めた。著書『日本国の正体 政治家・官僚・メディア-本当の権力者は誰か』(講談社)で山本七平賞受賞。ユーチューブで「長谷川幸洋と高橋洋一のNEWSチャンネル」配信中。


私は、米国に対して一つ懸念がある。前回の危険なチキンゲームであるキューバ危機とは、役者が違う。

習近平は聡明なフルフチョフとは違う、引く事を知らない臆病な独裁者だ。仮に引いたら、自分の命はおろか、中国共産党政権の命脈は終わる。そして、奴らは自国民の命など歯牙にかけず、政権維持に固執する中国共産党だ・・・・これはやばい!

【JBpress】渡部 悦和 2020/05/12 07:00 (gooニュース) 

中国初の国産空母「山東」(中国軍のサイトより)

新型コロナウイルスの感染拡大が米中関係に大きな影響を与え、米中は全面的な競争から全面的な対決に向かっている。

 歴史上最悪の米中関係の中で、中国共産党が行っている情報戦は、独善的で火に油を注ぐ結果となっている。

 一方で、1999年に出版され世界的なベストセラーになった『超限戦』の著者である喬良少将は、台湾武力侵攻を叫ぶ中国人タカ派とは一線を画し、「今は台湾を攻撃する時ではない」と非常に冷静な態度をとっている。

冷静な喬良少将は手強い。

 喬良少将は『超限戦』で、「目的のためには手段を選ばない。制限を加えず、あらゆる可能な手段を採用して目的を達成する」と主張する一方で、「今日または明日の戦争に勝ち、勝利を手にしたいならば、把握しているすべての戦争資源、すなわち戦争を行う手段を組み合わせなければならない。(中略)すべての限界を超え、かつ勝利の法則の要求に合わせて戦争を組み合わせることである」と説いている。

 つまり、共産党の単純で露骨な宣伝戦ではなく、喬良少将はあらゆる要素を考慮に入れた冷静で実行可能な選択をすべきだと説いている。

 我が国にとっては、単純で粗野な共産党は扱い易いが、冷静に策を練る喬良は手強い相手だ。

歴史上最悪の米中関係

 北京大学国際関係学院の王緝思教授の「新型コロナウイルス流行下の米中関係*1」は、現在の米中関係における注目の論考である。

 そこには歴史上最悪の状況にある米中関係において、「中米両国は全面的な競争から全面的な対立に向かう可能性」について率直に記述されている。以下はこの論考の注目点だ。

*1
https://www.spf.org/china/news/20200430.html

●総体的に言って、41年の中米両国国交の歴史の中で私たちの米国に対する不信と反感は既に過去に例がないほど高まっている。

●今後、中米関係における矛盾は続き、日増しに緊張が高まるだろう。妥協する余地と引き返す可能性はますます少なくなる。中米両国は全面的な競争から全面的な対立に向かい、いわゆる「トゥキディデスの罠」に陥る可能性を排除することができない。

●この趨勢がこのまま続く場合、主要になる戦略は「新冷戦」を避けることではない。

●新型コロナウイルスの流行は中米関係に大きな打撃を与えた。両国関係の悪化のスピードは加速し、政府間交渉はほとんど凍結されている状態である。戦略の相互不信は日増しに深刻になり、国内における互いの国に対する反感は前例がないほど強い。

●長期間にわたって、中国では中米関係は最も重要な関係であると見なされ、米国に対しては爪を隠して対応をすべきだとする考え方が浸透していた。現在、この考え方はもう世論の主流から外れ、その代わりに中国は米国と真っ向から対峙し、恐れずに力を見せつけるべきだという意見が主流になっている。極端な例ではもう二度と米国には期待しないとするものまである。

●ある時期から、米国による反中言動に対する中国政府と国民の容認度は著しく低下した。米国による攻撃を中国が容認することはもうない。中米間の情報戦争、世論における論争、外交戦争はますます激しさを増し、今や後戻りすることが難しくなっている。

●米国が対中政策を大きく転換し、中国がそれを認識して戦略、考え方、具体策を変更し、競争、闘争の方向へ断固として舵を切ったことをこれらすべてが明らかにしている。米国に対する幻想を捨て去り、非常に危険な挑戦に対する備えを行い、恐れず、巧みに戦い、競争意識を高めなければならないと中国は総じて強調している。

 ここには鄧小平の韜光養晦を完全に捨てて、米国と本格的に対決するという中国の決意が満ち満ちている。

中国共産党の愚かな宣伝戦

 王緝思教授の論考を読んで思うことは、片手落ちだということ。

 中国からみた米国に対する怒りの原因は書いているが、米国の中国に対する怒りの原因を全く書いていない。

 米国の怒りは中国の所業の悪さに起因する。サイバー攻撃や人によるスパイ活動などあらゆる手段を使い米国の知的財産を窃取する。

 米国の開放的な市場を利用して経済活動を行うが、中国の市場は米国の資本に対して閉鎖的で、中国市場に進出する外国企業に知的財産の提供を強要するなどだ。

 米国の怒りに対して、その原因を真剣に解消しないで、米国との対立を強調する姿勢が根本的な問題なのだ。

 習近平氏が中国のトップについてから、「中華民族の偉大なる復興」で2049年までに世界一の国家になると宣言し、「海洋強国、宇宙強国、航空強国、科学技術強国、2030年までにAI強国になる」、「中国製造2025」など矢継ぎ早に発表したスローガンが覇権国である米国を刺激したのは事実であろう。

 習近平氏のやり方はスマートではない、あまりにもガサツな宣伝と言わざるを得ない。

 中国のプロパガンダ戦の特質を端的に表現すると「言っていることと、やっていることが違う」ということだ。

 習近平国家主席が常用するプロパガンダは、「我々は平和発展の道を堅持し、ウィン・ウィンの開放戦略を実施する。引き続き、世界各国の、人民と共に人類運命共同体を打ち建てることを推進していく」「世界の平和を断固として守らなければならない」というもの。

 中国の非常にアグレッシブな姿勢とこの演説の中身との乖離はあまりにも大きい。この点に世界の人々は不信感を持つ。

さらに酷かったのは新型コロナウイルス発生後の宣伝戦は愚かと言われても仕方のないものであった。

 中国は、新型ウイルスの世界的なパンデミックに際して、世界の人たちに対する謝罪をしていない。謝罪するどころか、ウイルスの由来は中国ではなく、米国であると主張した。

 そして、「ウイルスの拡散を防ぐため、中国政府は多くの国民を閉じ込める都市封鎖をやった。世界を救うために巨大な犠牲に耐えた。だから世界は中国に感謝すべきだ」と主張している。

 さらに中国当局は、習近平主席がいかに新型コロナウイルスを鎮圧するために活躍したかを宣伝する書籍を出版したが、あまりにも不評で数日で書店から回収された。

 これら一連の事実は、中国共産党の宣伝戦があまりにも独善的であることを示している。この宣伝が逆効果であることさえ分からないのか。

 王緝思論文では以下のように記述されているが、共産党の宣伝は失敗と言わざるを得ない。

「広報活動においては、中華文化を発揚し、中国式管理や統治による成功経験を発信し、世界の潮流を中国のやり方でリードできるという自信を向上させ、それらが中国にとってプラスのエネルギーとなり、その流れが主流になった」

「例えば今回の新型コロナウイルスへの対応が全体として非常に成功しているという評価を発信し、中国が世界の対応基準を打ち立てたと発表した」


『超限戦』の著者が台湾攻撃批判 

 上記のような中国の状況において、中国国内のタカ派の「米軍が新型コロナウイルスで弱体化している間に台湾を攻撃して、統一を実現するべきだ」という主張が勢いを得ている。

 一方で、異彩を放っているのが『超限戦』の著者の一人である喬良少将である。

 彼は、「台湾統一を焦るべきではない。中国の復興(いわゆる中華民族の偉大なる復興)が最優先であり、14億国民の幸福な生活が大切である。台湾統一は最優先事項ではない」と主張している。

 喬良少将はなぜ現時点における台湾統一に反対するのか、彼の主張を箇条書きにする*2

●米中間で貿易戦争が起こった場合、「戦わなければ、傷つくだけだ」と主張するが、どのように戦うのか、何を使って戦うのか、戦いの結果は何か?

 それに答えた人はほとんどいない。

 台湾問題でも同様で、タカ派は「虎穴に入らずんば虎子を得ず」と主張するが、 虎の穴に深く入り込む具体的な方法は何かが不明確だ。虎穴に入ることの問題を考慮せずに、愛国心だけで行動するのは国にとって有害だ。

●中国は、20年以上の軍事力増強の結果、いつでも台湾統一を力で達成する用意がある。米国や世界は、このことを疑ってはいけない。

 しかし、台湾統一は、費用対効果を計算し、タイミングを選ぶ必要がある。確かに、ウイルス感染で米軍の軍事力は弱体化しているが、今は行動を起こす時ではない。

●タイミングを選ぶためには、全般状況を見なければいけない。中国は、世界最大の製造大国だが、自らの市場が製造した製品を完全には消化できない国である。現時点では、外部の制約が中国の台頭を大きく制限している。

 また、中国経済および世界経済は依然としてドル基軸通貨体制のもとにある。中国が行うすべての決定(政治、経済、軍事など)ではこれを考慮する必要がある。

●台湾問題は両国間の内政問題だけではなく、米国は明らかに介入する力を持っている。台湾海峡で戦争が発生したならば、米軍は直接中国と戦うのではなく、西側諸国と共同して中国のシーレーンを遮断するであろう。

 その場合、中国は生産した製品を輸出することはできない。同時に、ニューヨークとロンドンの2つの主要な金融センターで、中国の資本を遮断する可能性がある。

●結論として、中国の復興が最優先であり、14億国民の幸福な生活が大切である。台湾統一は最優先事項ではない。単に自信だけに頼った主張は、愛国に見えて実は「害国」となる。

 以上のように喬良少将は、タカ派の論客とは一線を画する考えを持っている。

 この考え方は、彼が『超限戦』で強調している、軍事のみならず、あらゆる要素を組み合わせて戦い方を構築すべきであるという主張に符合する。

 喬良少将は特に、政治、経済、外交、内政を重視する理性派であり、単純な主張をごり押ししてくる共産党よりもずっと手強い存在である。

 喬良の主張は少数派であり、当局の100%の同意を得ているとはとても思えないが、どの程度の広がりを見せていくか注目したい。

*2=Too costly’: Chinese military strategist warns now is not the time to take back Taiwan by force, South China Morning Post

(渡部 悦和)

いまは、あの憎憎しい「超限戦」の著者 喬良 空軍少将 中国人民解放軍国防大学教授、空軍少将。魯迅文学院、北京大学卒業。文学作品や軍事・経済理論の著作は600万字を超え、代表作は長編小説『末日の門』、中編小説『霊旗』、理論書『帝国のカーブ』など。)の主張が正しいと言わざるを得ない。

彼は、単なるタカ派の誇大妄想アジテーターではなく、孫子の兵法を熟知する、知性派の軍師リアリストであることが、改めて理解できた。たぶん、ここで米国と軍事的オプションを使えば、本来の目的である米国からの覇権奪取は永遠にできなくなる、もっと長期的視野で考えろと言っている。

喬良 空軍少将は南シナ海についても棚上げを主張している。

これは、推測だが、香港についても、これ以上の強攻策は止めろと、習近平政権に強く諫言していると思われるが、習近平は残念ながら賢くない。賢ければ、
喬良空軍少将 の意見を聞きいれるだろうが、国家安全法をやってしまった!

あとは、軍師喬良空軍少将の意見を習近平の脳みそにキチンと届けられるだけの人物が居るかいないかということになる。

本来なら盟友で副首相の王岐山の役割なのだが、習近平から現在遠ざけられているという説が有力だ。

ところが、、最近王岐山が復活したとの情報もある。王岐山は、SARSが発生した際は北京市長として、対策の陣頭指揮をとった豊富な経験があり、中共ウィルスの患禍で、復活したかもしれない・・・だが、今のところ少なくとも完全復活までは至ってなさそうだ。


【日本経済新聞】編集委員 中沢克二 2020/2/12 0:00  

新型コロナウイルスの死者が2003年に大流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)を大幅に上回る千人以上に達した中国。流行抑え込みの山を迎えた今、時ならぬ政局が裏で動き出そうとしている。それは2年後の共産党大会の最高指導部人事まで見据える前哨戦にも見える。

大災害による国家的危機のさなか、為政者の不手際で政権交代の芽が育まれた例は多い。東日本大震災に見舞われた日本では翌年、盤石に見えた民主党が政権の座から滑り落ち、自民・公明両党の連立政権が誕生した。

当の中国では建国の父、毛沢東が「人災」の責任をとって異例の自己批判を行い、共和国主席(国家主席)の地位を劉少奇に譲った例がある。毛沢東の指示で1958年に始まった農工業の無謀な大増産運動「大躍進」が失敗し、おびただしい数の餓死者が出たのだ。

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李克強首相の視察にマスク姿で付き従う習主席の側近、劉鶴副首相(9日)=ロイター

現在の中国政局の見どころは、国家主席の習近平(シー・ジンピン)と、序列2位の首相、李克強(リー・クォーチャン)の微妙な役割分担。キーワードは万一に備えたリスクヘッジである。1月末以降、習近平が防疫対策の前線に立つ場面が減り、代わりに李克強がトップの共産党小組、国務院=政府の役割が目立ち始めた。

最近はウイルス対策の視察をする李克強に、対米交渉やマクロ経済を担当する副首相、劉鶴(リュウ・ハァ)がマスク姿で同行する珍しい風景さえ見られた。習近平の視察にだけ付き従ってきた印象が強い側近、劉鶴だけに違和感がある。習の意味深な特別指示だろう。

カンボジア首相のフン・センとの会談、米大統領のトランプとの電話協議、軍に絡む仕事などをこなしていた習近平は10日午後、久々に動き出した。北京市朝陽区で住宅地の防疫対策、疾病対策センターを視察。地壇医院では湖北省武漢の病院と中継でつないだテレビ会議で指示を伝えた。

「疫病を抑え込む人民戦争、総動員戦、阻撃戦で絶対に勝利しよう」。マスク姿の習は北京でそう訴え、国営メディアも長々と報じた。しかし、あまり迫力はない。中国で最も死者の多い武漢の現地視察を避け、自身が執務する北京の中心、中南海からそう遠くない北京を選んだからである。

盟友、王岐山副主席らの心配事

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習近平主席(左)の背中に手をかけて呼び止める王岐山氏(2016年3月、北京の人民大会堂)=小高顕撮影

とはいえ習近平の行動の裏には別の深謀遠慮がある。「そこには内部での長い闘いを見据えた盟友からの助言が生かされている」。北京の政界事情に通じる関係者の解説だ。盟友とは誰か。国家副主席の王岐山を指す。王岐山は2003年、北京のSARS対策で名をあげた英雄。当時、海南省トップだった王岐山は、不手際を叱責されて解任された北京市長の代理として首都に入り、辣腕を振るった。

王岐山のトップへの助言の中身は何か。「自ら指揮し、自ら手配している」。ウイルスとの戦いに関して、こう口にした習近平をやんわりいさめたのだ。これは1月28日、訪中した世界保健機関(WHO)事務局長、テドロスと北京で会談した際の発言だった。

トップが「自らの指揮」を明言してしまった以上、もし感染抑え込みがうまくいかなかった場合、自ら何らかの責任をとる必要が出てくる。そういう理屈になりかねない。最悪の場合、2年後の最高指導部人事にまで響く。政治面から見れば、まさに「勇み足」だった。

せっかく憲法改正までして国家主席の任期制限を撤廃し、トップの地位維持に向けた権力固めを終えたのに、ここでつまずくわけにはいかない。王岐山はそれを心配したのだ。直言できるのは、十代の頃の習近平も知る兄貴分である彼しかいなかった。

王岐山はかつて請け負った広東国際信託投資公司(GITIC)債務処理と並ぶSARS対策の功績で、燃え盛る火を消す「消防隊長」の名声を不動のものにする。それは副首相や共産党最高指導部メンバーへの道を切り開いた。

習近平政権1期目の最大の成果となった「反腐敗」運動の司令塔として活躍。2期目には共産党の年齢に関する内規を破る形で国家副主席に就いた。正式メンバーは7人しかいない共産党最高指導部の会議にいつでも出席できる「第八の男」でもある。

王岐山にはSARS対策での豊富な経験がある。その王岐山から見ても現在の未知のウイルス対策では確固たる自信が持てないのが実情のようだ。しかも習近平と李克強の関係は冷めている。SARSとの戦いの際のトップ、胡錦濤と、首相だった温家宝のむつまじい間柄とは異なる。習近平の権力がいかに強くても今後2年間、油断はできない。仮に李克強に野心がなくても、習近平に不満を持つ勢力は多い。

王岐山と似た考えなのは、もう一人の習近平の側近で全国人民代表大会(全人代)常務委員長の栗戦書。こちらも習近平が20代から知る良き話し相手で「習近平派」に欠かせない年長の番頭役だ。

処分された告発医師の死

案の定、王岐山らの心配は半分、的中してしまった。直後に大問題が起きたのだ。武漢の深刻な事態を初期段階で伝えようとした若き医師が自らも新型コロナウイルスに感染。7日未明、肺炎でこの世を去った33歳の眼科医、李文亮である。

「華南海鮮市場で7例がSARSと確認された」「我々の病院に隔離されている」「最新情報でコロナウイルスと確定し、現在、分類中だ」。彼は医療関係者ら多数が参加するグループチャットで危険性を訴えた。華南海鮮市場は新型ウイルス発生源の一つとされる。19年12月30日の出来事だった。

だが、この真実の発信が問題視され、処分対象になってしまった。1月3日には武漢市公安局(警察)から連絡があり、派出所に出向く。そこで行動を悔い改め、二度とやらないと誓う訓戒書に署名・なつ印させられている。正式逮捕を避けるには致し方なかった。

早い段階での真実の告発者は、李文亮以外に8人ほどいたことが明らかになっている。今回の感染拡大が当局の真実隠蔽による「人災」といわれる由縁である。もし昨年12月時点で真実が公になり、効果的な対策につながっていれば、国内外でのここまでの感染拡大はなかっただろう。

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感染拡大の危険性を指摘していた武漢の若き眼科医、李文亮氏は自身が新型コロナウイルスに感染し、肺炎のため亡くなった=AP

感染拡大の危険性を指摘していた武漢の若き眼科医、李文亮氏は自身が新型コロナウイルスに感染し、肺炎のため亡くなった=AP

李文亮が逝った日の夜、武漢は異様な雰囲気に包まれた。アパート内にとどまっている市民らはひそかに交流サイトで連絡を取り合い、現地時間午後9時、様々な形式で一斉に追悼の意を表明した。スマートフォンのライトや懐中電灯の点灯、窓を開けて口々に哀悼の言葉を叫ぶといった行動だった。

李文亮は武漢大学を卒業した眼科医だが、出身地は中国東北部の遼寧省錦州。出身地の錦州からも彼をたたえる文章が数多く交流サイト上に発せられた。行間には「人災」への批判も込められていた。

習近平体制下で格段に厳しくなった言論統制が、国民の健康にかかわる重大な真実に蓋をし、あろうことか告発者自身に跳ね返って李文亮を殺してしまった。医師ですら正確な情報がなければ死に至る。政府批判を警戒する当局は監視を強め、問題ある発信を交流サイト上から次々削った。しかし、李文亮を取り締まった現地警察官らさえ病に倒れているのは想像に難くない。

ひとまず武漢を避けた習主席

不満の高まりに危機感を抱く中央は、国家監察委員会のチームを急きょ、武漢入りさせ、李文亮の告発を闇に葬った責任を追及するという。一転、李文亮の英雄扱いを制御できる範囲で認める構えだ。

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会議場に並べられた新型コロナウイルス患者のための多数のベッド(4日)=AP

これはもろ刃の剣でもある。遡って議論を蒸し返せば北京も責任から逃れられない。複雑な情勢にある武漢を今、習近平が視察するのは危険が伴う。武漢視察の回避、そして李克強主導の国務院=政府も使い始めた変化はリスクヘッジを意味する。

中国各地では年に1度の人民代表大会の開催が遅れている。3月初めから北京で予定通り全人代を開くには湖北省を含めた全国でウイルス制圧のメドが立つ必要がある。既にぎりぎりだ。

もし全人代の日程が狂えば、すべての政治日程に狂いが生じる。10日の習近平による北京視察は首都だけは自らの手で安全を確保したいという強い意志の表れでもある。習近平はウイルスとの戦いとともに、先が見えない政治的な戦いにも直面している。(敬称略)


王岐山は、喬良空軍少将と同じ意見と思われるが、推測でもあり、希望的観測でもあり、また、逆にここで習近平が失脚すると、中国の国力は復活してしまう恐れもある。
軍事的オプションが行使され、核戦争に発展することだけは避けてほしいものだ。



そうそう、陰謀論者さん、地震兵器って、もし存在するのなら中国を脅す手段として昨年当たりとっくに使用していてもおかしくないんじゃないですかね?
 
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【産経新聞】2020.5.19 00:11 

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WHO年次総会で発言するテドロス事務局長=18日(WHOホームページより)

【台北=矢板明夫】2017年以降、WHOの年次総会へのオブザーバー参加が認められいない台湾は今回、参加の議論が棚上げとなった。台湾当局は18日、招待状が届いていないことに「WHOが中国政府の干渉と圧力に屈服した」と強い不満を示した。

 台湾の総会参加には米国を中心にカナダ、日本、ドイツなどが賛成する姿勢を表明。支持する国も増えたことから、台湾当局の関係者は「台湾に関心を持ってもらったことが大きな成果」とも話す。

 しかし「台湾は中国の一部であり、WHOに加盟する資格がない」と主張する中国の激しい外交工作により、アジア、アフリカ、中南米の多くの国が反対の姿勢で、「中国の圧力で反対せざるを得ない」と台湾側に説明する国もあったという。WHO総会問題で「中国が台湾をいじめている」という構図が改めて浮き彫りとなっている。

 台湾では感染の早期封じ込めに成功したことで、WHOへの加盟は不要だとの論調もみられるようになった。だが、長年台湾のWHO加盟を推進してきた台湾医界連盟基金会の林世嘉事務局長は「世の中にはインフルエンザなど多くの感染症があり、台湾の2300万人の生命と健康を守るためWHOに参加すべきだ」と話している。

 台湾当局はWHO総会前の15日、日米、カナダなど台湾を支持する13カ国の衛生防疫部門関係者とテレビ会議形式で国際フォーラムを開き、台湾の防疫経験を紹介するなどした。医療関係者は「台湾版WHO総会」と称し、今後は定期的に開催するとしている。

WHOを解体し、新たな組織を作るとの意見もあるが、世界のウィルスの発生源である中国を外しては、意味がなくなってしまう。そもそもWHOに政治を持ち込んだ中国が間違っているのだが、発生源としての中国は世界中で監視する必要がある。中国をWHOから追い出したり、シナの地に中国と言う国がある限り、中国抜きの疾病対策の国際的組織は残念ながら成立できない。

しかしながら、世界が団結して中国にWHOに政治的圧力をかけさせない施策をとることは可能で、WHOを正常化することは可能かもしれないと思います。別組織を作るのではなく、WHOの大枠は残しつつ、解体ではなくG7主導の解体的大改革をするべきだと思います。具体的には現時点では書きませんが、もう少し勉強してから別記事に書きたいと思います。

もはや、国際機関は中国と言う悪性のウィルスに侵食されてしまっている。また、世界各国の政府中枢にもウィルスは侵食しており、日本も例外ではない。

今回の中共ウィルスの患禍でわかったことだが、中国が政治家やキーマンに金や女をあてがって、中国の思い通りにさせてきたことが、どれだけ人類にとって危険なことか思い知ったはずである。

国際世論を盛り上げ、なおかつ、この30年間中国に好き勝手させてきた国際社会が反省し、中国に好き勝手をさせない仕組みを作らなくてはならない。

中国から金や女を宛がわれた人物は国だろうと、国際機関だろうと、一切の表舞台からの退場を余儀なくさせる瀬策の一つとして、中国による不当な買収工作を監視する国際的監視機関が必要なのではないか?さらに国連の常任理事国から中共を排除することも必要だと私は思う。

これまで中国に甘い顔をしていた、欧米諸国やユダヤ人が、中国を敵だと認識し報復を開始したと考えていいだろう。


モサドは仕事が速い!

台湾、トランプ大統領、ポンペオ国務長官は中国報復に動き出した。

共通の敵は中国、米国と台湾が組む本気のタッグ 
蔡英文総統2期目就任式に米国務長官が異例の祝賀メッセージ
【JBpress】福島 香織 2020.5.21(木)

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2期目の就任式で演説をする台湾の蔡英文総統(2020年5月20日、提供:Taiwan Presidential Office/AP/アフロ)
(福島 香織:ジャーナリスト)

 台湾総統に再選した蔡英文の就任式が5月20日に行われ、正式に2期目政権がスタートした。

 就任演説はインターネットでもライブで配信された。注目の中国との関係については「和平、対等、民主、対話」の8文字を改めて強調し、「北京当局が一国二制度によって台湾を矮小化し、台湾海峡の現状を破壊することは受け入れらない。これは我々が断固として変わらずに堅持する原則である」と、中国の一部になることを完全に拒否。憲法改正や国名変更という、中国が台湾武力統一に動くとされる「最後の一線」はさすがに超えなかったが、かなり強気の内容だ。

 中華民国憲法については引き続き順守し、「両岸人民関係条例をもって両岸事務(中台関係)を処理する」として、中台関係の現状維持を望む姿勢を示した。経済については、米、日、欧州との貿易、投資保障協定を努力目標に挙げ、中国依存脱却の方向性を打ち出した。

ポンぺオ国務長官が異例の祝賀メッセージ

 今回の蔡英文政権2期目就任式で、最大の注目点は米国のポンペオ国務長官が祝辞を送ったことだろう。5月19日、米国在台湾協会(AIT)を通じて発表され、ほぼ同時にポンペオ長官自身のツイッターの公式アカウントでも発表された。

 米政府高官が台湾総統の就任式に公式のメッセージを送ったのは初めて。しかもその内容が興味深い。メッセージを訳してみよう。

「蔡英文博士が2期目の台湾総統任期を開始するにあたりお祝い申し上げます。彼女の大差をつけての再選は、彼女が台湾人民の尊重と敬服と信任を得ていることを示しています。台湾の活気ある民主主義を導く彼女の勇気とビジョンは、地域と世界にとっての励みです。

 米国は長きにわたって台湾を、世界の幸福のための力であり頼りになるパートナーだと認めてきました。米国が台湾を支持することは両党の一致するところであり、最近“台北法”が可決されたことでも、この一点が証明されました。この法案は我々全体の関係を強化し、同時にさらに緊密な経済パートナーシップの建設を支えることでしょう。私たちは、法の支配、透明性、繁栄、すべての人のための安全保障を含む地域のためのビジョンを共有しています。最近の新型コロナウイルスの感染爆発は、台湾の感染への対応モデルが模範に値するものだということを国際社会に知らしめる良い機会を提供しました」

「舵をとるプレジデント蔡とともに、台湾とのパートナーシップは繁栄し続けていくだろう」という一文もあり、呼びかけの敬称こそDr.(博士)ではあるが、蔡英文をプレジデント扱いし、はっきりと台湾を米国の頼りになるパートナーと言及した。米国の台湾に対する関係の踏み込み方は、星島日報など香港メディアも「尋常ではない」と報じている。

 だが、決して意外なことではない。なぜなら、米国と中国の対立が先鋭化する中、台湾を米国のパートナーとしてしっかりつかんでおくことが、この先、大統領選を目前とした米国の内政にとっても、世界の5G覇権競争の雌雄を決するという意味でも、鍵となるからだ。

台湾をWHOから弾き出した中国
 
トランプ大統領が秋の大統領選挙で苦戦を強いられる要因となるのは、新型コロナウイルスへの対応に対する世論の判断だ。新型コロナウイルスはベトナム戦争を超える死者を出し、リーマンショックをはるかに超える大不況をもたらすとの予測が流れている。その責任をトランプ政権が負うのか、それとも「ウイルス発生源」であり、初期に重大な隠蔽をした中国、その中国のいいなりになって隠蔽に加担したWHOに負わせることができるのかが、1つのポイントになる。

 トランプとしては、中国政府の隠蔽とWHOの機能不全がパンデミックの最大の責任を負うことになるという国際世論を形成したい。だからこそ、WHOから弾き出されながらも、その政治的リーダーシップで感染を最短最低限の流行で抑え込んだ台湾蔡英文政権を強く支持する意味がある、というわけだ。

 台湾はたとえ国家として国際機関に承認されていなくとも、人道的な観点からはWHOへの参加は当然認められてしかるべき話だ。実際、2016年までは認められてきた。今、中国がかたくなに台湾のオブザーバー参加に反対しているのは、蔡英文政権だからだ。だが、蔡英文政権は公平公正な民主選挙で選ばれた政権である。それを理由に拒否するとしたら、WHOは政治的理由で2300万人の健康と安全を見捨てる、ということである。

 5月18日に開幕した世界保健機関(WHO)の最高議決機構(WHA)の年次総会(オンライン会議)で、米保険福祉省長官のアザールは2分の持ち時間の意見表明のなかで25秒を使って、こうしたWHOの台湾排除の問題点を訴えた。

 結果的には総会で、台湾のオブザーバー参加への審議は中国の強い意向によって延期された。同時に、総会の開幕式のとき、習近平がオンラインで短い演説を行い「今後2年にわたり、WHOを通じて世界の貿易努力をサポートするために20億ドルを支援する」と表明したことはあまりにあからさまだった。結局、WHOはチャイナマネーに手懐けられ中国の宣伝機関に成り下がっているということが露呈した。

ちなみにこの夜、トランプがテドロス事務局長に送った書簡の中身をぶちまけていた。「もし、WHOが30日以内に実質的に改善できないのであれば、米国はWHOに対する拠出金を恒久的に停止、米国もWHO脱退も考えている」。

 台湾は2019年12月末の段階で、中国でSARSのように人-人感染を伴う感染症が起きている可能性について警告の書簡をWHOに送っていた。だが、WHOはこれをまともに受け取らず、中国の報告を鵜呑みにして1月19日まで人-人感染の証拠はないという立場を維持していた。このことが、その後のパンデミックにつながったのではないか、という疑いは各国の専門家たちも持っている。

 中国の政治的立場を忖度するあまりに台湾を排除し続け、結果的に世界中の人々の健康と生命を危険にさらしたとしたら、WHO自身がWHO憲章を裏切ったことになり、その存在意義はなくなってしまう。そしてWHOと関係ない台湾が、世界に先駆けて感染を鎮静化させたのだったら、台湾の予見と判断はWHOより正しかったのだ。台湾の知見が共有できる新しい保健衛生機関があれば、そちらの方が世界に貢献できそうだ。

半導体が左右する5G覇権競争の行方
 
台湾が米国にとって鍵となるもう1つのテーマは、5G覇権競争だ。

 中国はポストコロナの経済復興シナリオの中心に、通称「新基建」と呼ぶデジタルインフラ建設投資を中心に置いている。すでに本コラム(「『新基建』政策でコロナ後の世界を牛耳る中国の野望」)で説明したが、5G基地局建設を中心にした壮大な産業構造変化を見込んだシナリオだ。だが、このシナリオを遂行する最大の難関は半導体の国産化だ。中国の半導体国産化は2018年半ばで15%程度、目標値としては今年中に自給率40%達成、2025年までに70%を達成するとしている。だが、中国の国産チップメーカーで一番期待されている長江ストレージ(YMTC)が執念を燃やすも、目標到達はかなり困難な道のりだ。

 その間、ファーウェイはじめ5G基地局建設を支える中国IT企業の生命線は、世界最大の半導体ファウンドリ、TSMC(台湾積体電路製造有限公司)に握られることになる。だが米国は5月15日、米国製の製造装置や技術を使って海外で生産・開発された半導体製品を、ファーウェイに販売することを規制する決定を発表。昨年5月の規制では、米国部品の使用料が25%以下であれば、輸出できたが、それもできなくなった。TSMCもやむなくファーウェイからの新規受注を停止せざるを得なくなった。

 その代わり、なのか、米政府の120億ドルの支援で、アリゾナへのTSMC工場誘致が発表されている。これは米政府のファーウェイ潰しとして、大きく報道されているが、同時に台湾経済の中国依存を米国依存に替えていこうという蔡英文政権の意向に沿ったものでもあるだろう。

 台湾の企業も有権者も、米中新冷戦構造の中でどちらかを選ばねばならない時代の転換期にきているという意識をもっている。その問いかけで出した答えが、蔡英文の再選であり、TSMCの決断だということだ。

 実際、TSMC関係者が、今回の米国での工場建設について、「米国で生産する場合人件費は割高で、コストも高くなるし市場競争力も落ちるだろうし、けっして良いビジネスではない」と台湾メディアにコメントしている。だが、いかなる企業も「政治的要素を考慮しない決策はありえない」という。

噂によると、TSMCの内部では、中国のサプライチェーンから脱却して米国に乗り換えるのは投資効率が悪いため抵抗があったが、蔡英文がTSMC幹部らと密会し頼み込んだことで最終的に決断した、という。もちろん蔡英文サイドはこの噂を完全否認している。だが、蔡英文とTSMCの創始者・張忠謀の仲がいいことは周知の事実であり、多くの人々がまんざらフェイクニュースでもないと見ている。

米国と台湾、本気のタッグで中国に対抗

 蔡英文は就任演説で、経済戦略として六大核心戦略をあげ、その筆頭に「半導体と通信産業の優勢を利用して、世界サプライチェーンの核心的地位を築く」ことを掲げた。また「5Gと結びついた発展」と「国家安全、サイバーセキュリティ」を挙げ、「自らを守り、世界に信頼される、セキュリティシステムと産業チェーン」を発展させる、としている。

 さらに「誰が依存から脱却できるか、誰が国家の製造発展のチャンスを先につかむか。すべての産業界の友人に安心してほしい。政府は産業を孤立させない。この先数年、私には戦略がある」と述べている。どんな戦略かは後々にわかるだろうが、全体のニュアンスとしては、半導体産業を最大の武器にして、「国家安全、セキュリティ」を重視したサプライチェーンの再構築を見越しているようでもある。わざわざ国家安全に言及しているということは、そのサプライチェーンの中心に中国はいない、と推察される。

 5G覇権戦争の行方は正直まだ不明だ。個人的には米国サイドの勝利を祈っているが、中国も米国からの半導体部品供給が絶たれることは昨年から覚悟して、かなり半導体の在庫を積み上げているともいわれる。必要は発明の母ともいわれる通り、米国からの兵糧攻めで、むしろYMTCの半導体国産化スピードは加速している。

 だがここで注目したいのは、米国と台湾が本気でタッグを組んで、中国に相対する姿勢をみせたということだろう。

 米国はWHOからの離脱までほのめかせて台湾を擁護し、台湾を含めた新たな国際社会の枠組みを構想し始めているようだ。台湾も経済界を含めて中国依存からの脱却を選択し始めている。トランプが11月の大統領選に負ければ、台湾の未来も道連れになるやもしれない。それでも、台湾の有権者が選んだ政権は、米中が対立した場合、自由と民主を共通の価値観として持つ米国を選択するという意思表示を見せた。

 習近平政権の恫喝に追い詰められた結果とはいえ、この台湾の潔さと勇気は、日本の政治家や財界人もちょっとよく見てほしい。

トランプ政権は、から次々に対中制裁が打ち出しています。

たてつづけに、対中制裁のジェットストリームアタック攻撃

米連邦職員の年金基金による中国株投資の禁止

②ウィルス発生の徹底的検証と制裁法案
中国に対し、ウィスルの発生に関し米国とその同盟国、または世界保健機関(WHO)をはじめとする国連(UN)機関が主導して、検証を行わせること、中国が新型コロナウイルス感染症の発生に関する完全な説明を提供しない場合は、米大統領権限で、米国の中国関連の資産凍結(共産党幹部の個人資産を含む)、中国への渡航禁止、ビザ取り消し、さらに中国企業による米国の銀行融資や資本市場へのアクセス制限といった制裁措置を科す権限を与えられる法案がまもなく可決される。

ファーウェイ締め出し法案
 
中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)への輸出禁止措置を強化すると発表した。米国の半導体製造装置を利用していれば、外国企業の半導体製品であってもファーウェイとその子会社に出荷する場合は、米政府の許可が必要になる。




米国は、関税だけでなく、いよいよ資本規制を含む、金融制裁に踏み込みだしてきた。
更にトランプ大統領は、中国との断交を示唆する発言をした。

【ロイター】Reuters Staff2020年5月14日  20:14 

[ワシントン 14日 ロイター] - トランプ米大統領は14日、新型コロナウイルスを巡る中国の対応に非常に失望したと述べるとともに、現時点で習近平国家主席との対話は望んでいないとし、中国と関係を断つ可能性も示唆した。
トランプ大統領はFOXビジネス・ネットワークとのインタビューで「中国には非常に失望した。中国は(新型コロナの流行を)なすがままに任せるべきではなかった」と言明。「せっかく素晴らしい通商合意を結んだのに、今はそう感じられない。協定署名のインクが乾かないうちに新型コロナの感染が広がったからだ」とし、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)が米中通商合意に暗い影を落としているという認識を示した。
米中は今年1月に「第1段階」の通商協定で署名したが、その直後に新型コロナの感染が拡大した。
習近平国家主席との関係は良好だが「今は彼と話したくない」とし、通商協定の再交渉には関心がないと強調した。
さらに、中国に対し「われわれには多くの措置を講じることが可能だ。関係を完全に断ち切ることもできる」と発言。中国から年間輸入額に言及し、「関係を断絶すれば、5000億ドルを節約できる」とも言明した。
また、トランプ大統領は新型コロナについて、発生源よりも中国の対応を重視するとし「ウイルスの発生源が研究所だろうがコウモリだろうが、中国であることに間違いはない。中国はそれを阻止すべきだったし、できたはずだ」とした。
ムニューシン米財務長官はフォックス・ビジネス・ネットワークとのインタビューで「大統領は非常に懸念しており、全ての選択肢を検討している。ウイルスが米国の経済や雇用、国民の健康にもたらす影響をわれわれは心配している。大統領は米国の雇用と労働者を守るため全てのことを行う」と強調した。
さらに「非常に難しく複雑な問題で、より多くの情報が必要であることを大統領は明確にしている」とし、何が起こっているかを中国側はわれわれに理解させなかったが、米国民には全ての事実を知って理解する権利があると指摘した。
すべての関係を断ち切ることもあり得るとこれまでで最も厳しい発言を行っております。
中国との断交宣言の事実自上の予告かともれるような爆弾発言だった。

中国企業は米国企業に比べて情報開示が甘く、財務諸表であるとか、株主関係だとか、中国共産党との結びつきが明らかになるのが嫌なのか、時に国家機密と主張し、これまで米会計基準に従わないこともあった。すべての中国企業が米国の会計基準の採用を義務付け、米国市場からの締め出しも示唆した。米会計基準に従えないなら外国の市場に行けということである。

世界保健機関(WHO)参加問題と同様に、半導体産業に関しても米国と台湾が連携を強め、中国と対立する構図が鮮明になった。

米中覇権戦争の鍵となる5Gハイテク分野でついに、ファーウェイの生命線を断つという動きとして、米商務省がアメリカの技術を活用して、海外で半導体を開発することを制限するということを発表している。

米国企業あるいは海外企業でも米国の製品が25%含まれた製品をファーウェイに対し輸出することを禁止した。2019年5月、米国はファーウェイと子会社を禁輸対象の輸出禁止企業としてブラックリスト「エンティティーリスト」に加えたが、ファーウェイはその後も米国の技術やソフトウエアを使って半導体の設計を続けているなどと指摘、米国の技術を組み込んだ外国製品にも対象を広げた形だ。

現在、CPU(中央演算装置)の最先端の委託製造ラインを持つファウンドリ(受託製造会社)はTSMCと韓国のサムスン電子の2社で、中国国内には3~4世代遅れた製造ラインがあるだけで、ファーウェイは独自に高度な半導体を生産することは出来ない。

ファーウェイは台湾の半導体受託製造会社であるTSMC社に生産を委託して台湾で製造した半導体を自社製品としてスマホやタブレットその他で使うことは、黙認してきたが、それも禁止とする措置に踏み出した。

台湾の TSMC社は、米国の技術やソフトを利用して製造された半導体製造装置を使っているので、米国の措置に従わなければ、全ての半導体を製造できなくなってしまう。

新しいルールの導入でファーウェイに半導体を供給するためには米商務省の事前の許可が必要になるということでTSMC社はついにファーウェイからの受託を停止した。

TSMC社は米国寄りの姿勢を明確にしている。米政府支援の下、米国のアリゾナに建設費120億ドル約1兆3000億円で、最新半導体工場を建設すると発表している。米国は中国の技術流出を防ぐとともに米国内に経済と安全保障の鍵となる分野の供給網を確保し、TSMC社も安定的収益が確保可能となった。

TSMC社レベルで最先端の半導体を製造できるのは現在韓国サムスン社だが、今後中国がサムスンを取り込むのか韓国の動向も注目されているが、スマートフォンなどでファーウェイと競合するサムスンが容易に応じるとは限らないという。米国は韓国自体をを切り離す考えのようであり、サムソンは韓国企業として韓国につくのか、米国につくのか次に選択を迫られることになるであろう。

ファーウェイは5G(第5世代移動通信システム)をいち早く世界に展開して覇権を握ろうとしているが、仮にTSMCもサムスンも半導体製造を引き受けなかった場合、「中国のIT産業の命脈が絶たれる可能性がある。中国が台湾に対して軍事的圧力をかけてもおかしくないレベルの事態だ。

ちなみに、日本は米国の理不尽な規制によって日本の半導体産業は不当に潰された過去がある。TSMC社やサムソンは、そのおかげで、企業として生き残り、今日があることを忘れてはいないはずで、米国の一存であっという間に壊滅する姿を見てきたはずである。

話は、逸れるが、この記事の最後に、不死鳥のように蘇る日本の半導体産業のリンク記事も書き加えてしておきます。

【日経新聞】2020/5/16 18:45 
 
米国と中国の対立が新型コロナウイルスの感染拡大で再び深まってきた。大統領選を控えるトランプ米大統領はウイルスの発生源とみる対中批判を強め、火種は従来の貿易や安全保障から広がりをみせる。報復措置の連鎖を招けば、新型コロナの打撃で痛む世界経済の回復をさらに遅らせることになりかねない。

「あの合意からまもなくウイルスが中国から入ってきた。心躍るわけがない」。トランプ氏は15日、2月に発効した米中貿易の「第1段階合意」の履行が進んでいないと改めて不満をあらわにした。ホワイトハウスで記者団に語った。

貿易戦争は第1段階合意でいったん収束したはずだった。ただ、新型コロナが世界に広がると状況は一変した。米国では発生源とされる中国への反感が高まり、世論調査では過去最悪の水準となった。

トランプ政権と共和党は「中国たたき」が得票につながるとみて強硬姿勢に傾斜する。米国内での感染拡大への責任を回避する思惑もあり、中国政府に損害賠償を求める訴訟の提起や対中関税の引き上げなど複数のメニューを検討してきた。

15日には米中対立の主戦場であるハイテク分野で華為技術(ファーウェイ)への事実上の禁輸措置を強めた。制裁逃れのために半導体の内製化を進めてきたファーウェイの戦略をくじく狙いがある。

「規制の抜け穴を防ぐために綿密に編み出した措置だ」。ロス商務長官は15日、米メディアに狙いを語った。外国製で米国由来の技術やソフトウエアが25%以下であれば規制の対象外とのルールが「抜け穴」となっていた。今回は25%以下でも米国の製造装置を使っていればファーウェイに輸出できないようにした。中国側が報復措置に動く可能性も覚悟した上で実施に踏み切ったが、中国が報復に動けば打撃は大きい。

ファーウェイは中国の習近平(シー・ジンピン)指導部が重視する次世代通信規格「5G」を担う中核企業だ。米国が制裁を強めたときの米中関係に及ぼす影響力は大きいだけに、省庁横断で議論を重ねてきた。

制裁強化の背景には、中国への不信感がある。商務省が15日開いた電話記者会見に同席した国務省高官は、知的財産の窃取、人権侵害など問題点を並べた上で「中国共産党の政策やアプローチがもたらす一連の挑戦に取り組んでいるだけだ」と正当性を主張した。

米国側はハイテク分野で依然として多くのカードを持つ。ファーウェイを巡っては、通信網の保守に必要な場合に一部取引を認める例外措置を設けてきたが、15日には「8月にも打ち切る可能性がある」と同時に発表した。例外措置をなくせばファーウェイの製品調達経路はさらに断たれる。これまで監視カメラやスーパーコンピューター、原発など中国の基幹技術を担う企業を禁輸対象にしており、対象をさらに広げる可能性もある。

ファーウェイのサプライチェーンは世界にまたがる。18年末に公表した主要な部品調達先92社のうち、米国が33社と最多で、中国(25社)、日本(11社)、台湾(10社)が続く。ただ米商務省の新たな規制は「ファーウェイや関連会社が設計に関与している半導体」という条件を付けた。汎用品は対象外の可能性があり、ファーウェイ関係者は「日本企業などからの半導体の購入は今後も継続できるだろう」と話す。日本からの調達額は19年で計1兆円超という。

金融・資本市場分野では米連邦職員向け年金基金による中国株投資の阻止が明らかになった。トランプ政権は米国市場に上場している中国企業の監視も強めようとしている。

中国の報復措置として想定されるのは許認可の遅れだ。中国を成長市場と位置づける米国の銀行や資産運用会社は対中進出を加速しており、JPモルガン・チェースは4月上旬、当局の承認を前提に資産運用の現地合弁の完全子会社化を公表した。ゴールドマン・サックスなども100%子会社の設立をめざす。ただ、米中対立で当局の審査や手続きが滞る可能性がある。

米中の第1段階合意には中国での証券や先物取引、資産運用分野の外資規制撤廃が盛り込まれた。従来は外資系による100%子会社設立は認められず、現地企業との合弁を強いられていた。外資開放を機に成長戦略に弾みをつける算段だったが、米中対立の再燃で修正を迫られる可能性が出てきた。

焦点は中国の対米姿勢だ。「報復する準備がある」。ファーウェイへの制裁強化に対して中国共産党系メディアの環球時報(英語版)は15日、アップルとクアルコム、シスコシステムズとボーイングを名指しして社説で警告を発した。

中国外務省の趙立堅副報道局長は16日、「中国政府は断固として中国企業の権益を守る」とコメントした。ファーウェイは16日、従業員向けSNS(交流サイト)に「英雄は昔から多くの困難にもまれる」と配信した。18日にはアナリストなど向けに禁輸措置強化の影響などを説明する見通しだ。

(ワシントン=永沢毅、鳳山太成、広州=川上尚志)


日本は、天安門事件直後のように、中国に懐柔され、取り崩されてはならない。

自民党よ、次の選挙で勝ちたかったら、直ちに二階俊博を切れ!熊野大社のお膝元の和歌山三区の愛国者達よ、次の選挙では絶対に二階に投票してはならない!




以下の記事はテドロス賞賛記事だが、よく読むとそのの中に、WHO内でのテドロスへの不審が高まっていることが読み取れる。

【ロイター】Kate Kelland and Stephanie Nebehay 2020年5月19日 

[15日 ロイター] - 1月末、慌ただしい北京訪問からスイスのジュネーブに戻った世界保健機構(WHO)のテドロス事務局長は、中国指導部による新型コロナウイルスへの初期対応をはっきり称賛したいと考えていた。だが、当時の状況を知る関係者によると、テドロス氏は複数の側近からトーンを落とすべきだと進言された。

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1月に中国の習主席らと会談したテドロス氏は、インフルエンザに似た感染症に関する彼らの知識や、封じ込めに向けた取り組みに感銘を受けた。だがこの時点で、すでに中国では新型コロナウイルスで多数の死者が発生し、国外へも拡散し始めていた。写真は1月、ジュネーブで会見するテドロス氏(2020年 ロイター/Denis Balibouse)

習近平国家主席らと会談したテドロス氏は、インフルエンザに似た感染症に関する彼らの知識や、封じ込めに向けた取り組みに感銘を受けた。だがこの時点で、すでに中国では新型コロナウイルスで多数の死者が発生し、国外へも拡散し始めていた。
関係者によると、側近らはテドロス事務局長に対し、対外的な印象を考慮して、あまり大仰でない文言を使うほうがいいとアドバイスしたという。しかし、事務局長は譲らなかった。1つには、感染拡大への対処において中国側の協力を確保したいとの思惑があった。
「メッセージがどのように受け取られるかは分かっていた。テドロス氏はそうした面でやや脇の甘いときがある」と、この関係者は語る。「その一方で、彼は頑固でもある」
結局、テドロス事務局長は中国指導部の対応を公の場で大げさに称賛した。その一方で、中国当局者が内部告発を握りつぶし、感染症発生の情報を隠蔽していたとする証拠が次々と出て、一部のWHO加盟国から、テドロス氏の中国寄りの姿勢は「過剰だ」との批判を招いた。その先頭に立ったのがトランプ米大統領だった。トランプ氏は米国からの資金拠出を一時停止した。
ロイターは複数のWHO当局者、外交関係者に取材した。そこから見えてきたのは、創立72年を迎えたこの国連機関とそのトップが直面する苦悩だった。WHOとテドロス氏は、殺人的な感染症の流行を抑えることと、最大の資金拠出国である米国からの批判への対処という、2つの難題に同時に取り組まなくてはならない事態に陥っていた。
<中国の対応を支持した理由>
WHO内部の議論に詳しい関係者はテドロス事務局長について、トランプ氏の動きに「明らかに苛立っている」と打ち明ける。テドロス氏は、WHOが「政治的なサッカーボール」として利用されていると感じているという。
テドロス事務局長はこれまで、中国政府を称賛したのは軽率だったとする批判に強く反論してきた。中国の思い切った措置がウイルスの拡散を減速させ、他国は検査キットや緊急医療体制の準備を進める余裕ができた、というのがその理由だ。また、トランプ政権が資金拠出凍結を考え直すことを望む一方、主要な関心はパンデミックから命を救うことだと表明してきた。
関係者によれば、テドロス氏は訪中して習指導部への支持を公然と表明すれば、中国をライバル視する国を怒らせるリスクがあることを承知していた。と同時に、新型コロナウイルスが世界に広がっていく中で、中国政府の協力を失うリスクの方が大きいと考えていたという。
北京に2日間滞在したテドロス氏は、感染源の調査、ウイルスとそれを原因とする感染症のさらなる解明に向け、WHOの専門家と各国の科学者から成るチームが訪中する合意を中国指導部から取り付けた。この調査団には2人の米国人も含まれていた。
アイルランド出身の疫学者で、WHOで緊急事態対応を統括するマイケル・ライアン氏は、テドロス事務局長の訪中に同行した。ライアン氏もテドロス氏も、中国の新型コロナ封じ込め計画を確認し、それがしっかりしたものであることが分かった以上、中国を支持することが重要であると考えたという。
WHOが目指していたのは、「できるだけ積極的かつ迅速な対応が行われ、成果を収める」ようにすることだったと、ライアン氏は言う。「そうした対応を行うというコミットメントを揺るぎないものにしておくこと、対応の実施に問題が生じた場合にコミュニケーション経路をオープンにしておくことを求めていた。

新型コロナウイスへの対応を巡る不手際を批判されているのは、トランプ政権も同じだ。そのトランプ大統領は、WHOと中国への攻撃を緩めようとしない。
米国政府のある高官はロイターに対し、WHOは「新型コロナウイルスの脅威を高め、ウイルス拡散につながった中国の責任を何度も見逃してきた」と説明する。この高官は、WHOへの拠出金は中国より米国のほうが多いと指摘、WHOの行動は「危険かつ無責任」であり、公衆衛生上の危機に「積極的に取り組むというよりも」むしろ深刻化させていると語った。
さらに「調整の拙劣さ、透明性の欠如、リーダーシップの機能不全」が新型コロナウイルスへの対応を損なっていると主張。「世界の公衆衛生を良くするのではなく、阻害するような機関に何百万ドルも供与するのは止めるべきときだ」と述べた。
ロイターはWHOに対する認識を中国外務省に問い合わせたところ、「新型コロナウイルスの感染拡大以来、WHOはテドロス事務局長のリーダーシップのもと、積極的にその責任を果たし、客観的・科学的で公正な立場を維持してきた」との回答を得た。「私たちはWHOのプロフェッショナリズムと精神に敬意を表し、パンデミックに対するグローバルな協力におけるWHOの中心的役割をしっかりと支持し続ける」とした。
<中国称賛への「歯ぎしり」>
大きな疾病が発生すると、テドロス事務局長はすぐその中心地に自ら足を運ぶことが多い。2018年8月に発生したエボラ出血熱。テドロス氏は2年間で少なくとも10回、コンゴ民主共和国を訪れた。ほぼ終息に近づいていたエボラの流行は、今年4月に再燃している。
2019年4月、コンゴのエボラ専門病院でWHOのために働いていたカメルーン人医師が銃撃で死亡したことがあった。ある西側外交官はこのとき、テドロス氏が声を出して泣いているのを目撃した。「それくらい、彼の仕事のスタイルは情熱的だ。我がこととして取り組んでいる」と、この外交官は話す。

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中国は肺炎が集団発生したことを、2019年12月31日にWHOに報告している。WHOは年明け1月14日、中国当局による予備調査では「人から人に感染するという明白な証拠は見つかっていない」とツイッターに投稿した。後日、WHOが中国に対して十分に懐疑的でなかった事例としてトランプ大統領から指摘されることになる。
もっとも、WHOの専門家は同日、(人から人への)限定的な感染が起きている可能性があると述べている。1月22日、訪中したWHO調査団は、武漢において人から人に感染したという証拠はあるが、完全に解明するにはさらなる調査が必要との見解を示した。
1月末、テドロス事務局長と幹部3人が北京に飛んだ。ライアン氏によれば、「公式の招待を受けたのは午前7時半。その日の午後8時には飛行機に乗っていた」という。
テドロス氏は1月28日に習国家主席と会談。データと生物学的資料を共有することを特に協議したという。テドロス氏は習氏と握手する写真をツイッターに投稿し、「率直に協議した」、「(習氏は)歴史に残る国家的対応を担った」と書き込んだ。

翌日にジュネーブで行われた記者会見で、テドロス氏は習氏のリーダーシップを称賛し、「習主席が感染拡大を詳細に把握していることに非常に勇気づけられ、感銘を受けた」と述べた。さらに、中国は「国内的にも対外的にも、透明性の確保に完全にコミットしている」と語った。
感染症が発生した当事国の政府を公然と批判すると、情報共有をはじめ協力に消極的になる恐れがある、とベテランのWHO職員は言う。WHOでアフリカ地域の緊急事態対応を統括するマイケル・ヤオ氏は、プレッシャーを感じてWHOとの連絡を絶ってしまう国をいくつか見てきたと話す。アフリカでコレラが発生したことを公表した際、そうしたことが何度か起きたという。
「データにアクセスできなくなり、最低でも特定の疾病のリスクを評価するだけの能力さえ利用できなくなってしまう」と、ヤオ氏は言う。
一方で、テドロス氏が中国政府の対応を高く評価することを、快く思わない向きもある。テドロス氏は毎週、WHO加盟国の外交官向けにブリーフィングを行っている。欧州から参加している特使の1人は、「テドロス氏が中国を称賛すると、歯ぎしりして悔しがる者が必ずいる」とロイターに語った。
<殺害予告も>
加盟国に対するWHOの影響力は限られている。加盟国の許可なしに入国する法的な権限はないし、強制力もない。したがって、テドロス氏が行使できる主な手段は、2005年に合意した国際保健規則の枠組みを順守するよう、加盟194カ国を政治的に説得することとなる。
テドロス氏は、韓国、イタリア、イラン、日本など、新型コロナウイルスと闘う複数の国の政府を称賛。3月30日には、トランプ氏の娘で大統領補佐官のイバンカ氏が米国の緊急対策法案について書いた記事を評価し、「非常に良い記事だ」とツイートした。
トランプ氏は当初、中国と習国家主席の危機対応を繰り返し褒めたたえてきた。しかし、3月中旬ごろになると、北京のウイルス対応への批判を強めるようになり、中国政府は世界に警告するためにもっと早く行動すべきだったと指摘した。
当時、新型コロナウイルス検査の対象拡大の遅れを含め、トランプ政権のパンデミック対応は広く批判されていた。新型ウイルスが何万人ものアメリカ人の命を奪い、米国経済に打撃を与える中、今年の大統領選で再選を目指すトランプ氏は、自身の対応を断固として擁護している。
一方で、米国などは加盟各国が適切なタイミングで正確な情報共有するよう、強力な声明を出すべきだとWHO指導部に圧力をかけてきた。「WHOはそうした懸念に対応しなかった」と、西側外交筋は話す。
米国のジュネーブ国連大使で元ホワイトハウス高官でもあるアンドリュー・ブレンバーグ氏がテドロス氏と定期的に会談し、WHOの対応について議論し、懸念を伝えていたと、欧州の外交官2人は証言する。
WHOは声明の中で、テドロス氏は加盟国間の国際規則に基づき情報を共有するよう、すべての国に求めているとしている。
4月7日、トランプ大統領はWHOが中国寄りで、新型ウイルスに関する世界への注意喚起が遅すぎたとして、資金拠出を停止すると警告した。
 1月に中国の習主席(右)らと会談したテドロス氏(左)は、インフルエンザに似た感染症に関する彼らの知識や、封じ込めに向けた取り組みに感銘を受けた。だがこの時点で、すでに中国では新型コロナウイルスで多数の死者が発生し、国外へも拡散し始めていた。写真は北京で代表撮影(2020年 ロイター)米国はWHOの最大の資金拠出国であり、この脅しは「手痛い」ものだ。WHOによると、米国は2021年12月までの2年間で、義務的拠出金と任意拠出金を合わせて5億5300万ドル(約592億円)を拠出することになっている。すでに承認済みのWHOの予算58億ドルの9%に相当する。中国の拠出額1億8750万ドルの3倍近くに相当する。
テドロス氏は翌日の定例記者会見で動揺した様子を見せ、「人種差別的」な発言や殺害予告まで受けていたことを明かし、記者からの質問に長々と熱心に答えた。

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1月に中国の習主席(右)らと会談したテドロス氏(左)は、インフルエンザに似た感染症に関する彼らの知識や、封じ込めに向けた取り組みに感銘を受けた。だがこの時点で、すでに中国では新型コロナウイルスで多数の死者が発生し、国外へも拡散し始めていた。写真は北京で代表撮影(2020年 ロイター)

1週間後、トランプ大統領は資金拠出の凍結を発表した。
加盟国は通常、義務的拠出金と任意の拠出金を通じてWHOに貢献している。別の米政府高官によると、米政府は20年の義務的拠出金1億2200万ドルのうち、すでに半分近くを支払い済みという。同高官によると、今回のトランプ氏の凍結措置により、米政府は残りの6500万ドルの義務的拠出金と3億ドル以上の任意拠出金を、他の国際機関に振り向ける可能性が高いという。
米国の資金拠出停止によってWHOが受ける打撃は、政治的なものの方が大きいと、2人の欧州外交官は指摘する。現行動いているプログラムは、資金の手当てが当面できているためだ。しかし、長期的にはポリオやエイズ対策、予防接種など、米政府の拠出金で支えられているプログラムに影響が及ぶ可能性があるという。
「WHOとテドロス氏にとっては大きなダメージだ」と、WHO関係者は語った。
<各国からの援護射撃>
これまでのところ、ほとんどの主要国がWHOを支持している。フランスとドイツ、イギリスはWHO支持を表明し、今は非難するよりも、感染拡大との戦いに集中するべきとしている。ドイツ政府関係者は、感染拡大の脅威に共に立ち向かうよりも、過去の出来事にこだわる米国の姿勢は「非合理的」だと話す。
中国外務省は、「パンデミックが終息した後の適切な時期」に、WHO事務局長が新型コロナウイルスに対する世界の対応を検証する委員会を設置することを支持するとの声明を出した。一部の国がWHOの検証やウイルスの起源追跡に力を入れようとしていることに反対すると表明し、こうした動きは「伝染病を政治化」し、WHOの仕事を妨害しようとする試みだと批判した。
WHOの関係者は、4月24日に行われたビデオ会議で、各国首脳がWHOとテドロス氏支持を公に表明したことを、ある種の「勝利」と受け止めている。
この会議では、新型コロナウイルスの検査や治療薬、ワクチンの開発を加速させる協力体制の構築が話し合われ、各国首脳がテドロス氏やWHOに謝意や賞賛を伝えた。
マクロン仏大統領は、テドロス氏を「私の友人」と呼び、米国と中国を含め、主要国が一丸となって支援するよう促した。「新型コロナウイルスとの闘いは人類共通の利益で、この戦いに勝利するためには分断があってはならない」と、マクロン大統領は訴えた。
「非常に心強く感じた」と、前出のWHO高官は打ち明ける。「一緒に戦ってくれる仲間がいるのだと感じた」
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(翻訳:エァクレーレン、山口香子)
酷い↑記事だ!


世界を一変させる日本発、画期的半導体
京都大学初のベンチャー、酸化ガリウムの新技術
【JBpress】渡邊 光太郎2019.2.18(月)



酸化ガリウムを用いたダイオード(出所:フロスフィア)。外から見たら普通の半導体に見えるが、圧倒的な高パフォーマンスを低コストで実現する画期的なものだ。

 現在、電力制御を行うパワー半導体の世界では、シリコンより半導体物質としてのパフォーマンスが高い炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)を活用する開発が進み、成果を出している。

 例えば、鉄道車両ではシリコンのパワー半導体用いたインバーターを、炭化ケイ素を用いたインバーターに交換することで、最大40%という画期的な省エネ効果を生む。

 半導体関連の展示会に行けば、炭化ケイ素の半導体のための技術や炭化ケイ素のパワー半導体による実用例が並ぶ。

 業界では、最新の技術である炭化ケイ素や窒化ガリウムの半導体の開発に必死になっている様子がうかがえるし、山手線の新型電車で採用されるなど、身近なところでも増えつつある。


 将来的には、EVや家電などにこうした新型半導体が普及し、異次元の省エネや家電などの小型化を進めていくことが予想される。非常に夢がある。

 しかし、炭化ケイ素や窒化ガリウムによって実現される新型半導体の開発成果を無にしかねない恐るべき技術を開発した企業が現れた。

 京大初のベンチャー企業、フロスフィアだ。

 これまで炭化ケイ素や窒化ガリウムの素子を作る開発をしてきた人たちが、本気で困ってしまうのではないかと心配になるほどだ。

 フロスフィアは、廉価に酸化ガリウムの結晶を作る方法を開発した。この技術が、なぜ炭化ケイ素や窒化ガリウムの最新の成果を無にし得るほど、すごいのだろうか。

酸化ガリウムは圧倒的高性能

 まず、酸化ガリウムは半導体としての性質が極めて良い。

 炭化ケイ素や窒化ガリウムは、シリコンよりも半導体として優れているがゆえに画期的な省エネを実現している。しかし、酸化ガリウムの物性は、炭化ケイ素や窒化ガリウムを圧倒する。

 シリコンに対する半導体物質の性能を現す数値として、バリガ性能指数がよく用いられている。この数値、シリコンが1、シリコンをしのぐ省エネを実現する炭化ケイ素が340、窒化ガリウムが870である。


 それに対し、酸化ガリウムのバリガ性能指数は何と3444である。


 シリコンの約3400倍、素晴らしい省エネ効果を実現している炭化ケイ素と比べても約10倍である。酸化ガリウムの性能は文句なしに圧倒的なのだ。

 同じ性能の素子であれば、損失が少なく圧倒的省エネを実現でき、サイズも文字通り桁違いに小さく作ることができる。

 例えば、フロスフィアは既に炭化ケイ素に比べ電気抵抗が86%減となるダイオードの開発に成功しているし、同社のウエブサイトにあるサイズ比較では100分の1近い面積になっている。

欠点克服で酸化ガリウム半導体に目処

 しかし、これまで酸化ガリウムにも欠点があった。酸化ガリウムではP型半導体が作れなかったのだ。

 半導体には、電子をわざと足りなくしたP型半導体と、電子をわざと余らせたN型半導体が存在する。

 パワー半導体を用いたインバーターなどのパワーエレクトロニクス機器は、トランジスタとダイオードによって成り立つ。

 ダイオードはN型半導体のみでも製造できるショットキーバリアダイオードがある一方、トランジスタにはどうしてもP型とN型の双方が必要である。

 このため、酸化ガリウムではショットキーバリアダイオードしか作れないとされてきた。

もちろんそれだけでも省エネ効果は発揮できるが、これでは実力のすべてを出し切れない。

 ところが、フロスフィアは酸化イリジウムを使ってP型層を作ることにも成功したのである。酸化ガリウムのトランジスタを作れるようになったのだ。

 これで、酸化ガリウムを使ったパワーエレクトロニクス機器実現に向け、技術的な準備は整った。

本当にすごいのは低コスト
 炭化ケイ素でも窒化ガリウムでも技術的課題はあるにしても、もっと問題なのはコストである。



 両者とも、鉄道車両、高級サーバーの電源、人工衛星などコストが高くても採用可能な用途ではすでに大活躍している。

 しかし、コストの厳しいハイブリッド車や低価格化が進む家電やデジタル機器では、炭化ケイ素や窒化ガリウムがいかに高パフォーマンスでも受け入れにくい。

 コストは、新技術の前にいつも立ちはだかる壁、いや、新技術でなくてもものづくりに関わる人々全員が、日々、頭を悩ませ、胃を痛くするものづくり最大最強の敵である。

 フロスフィアのすごいところは、新技術の多くが敗退する難敵、高コストをすでに克服してしまっていることである。

 炭化ケイ素と窒化ガリウムのコストが高い理由は、密度の小さい気体から結晶を作っていることにある。

 密度の小さいものからできてくるものは、当然、少ないので、時間がかかる。

シリコンが比較的安いのはシリコンを溶かした液体からそのまま結晶を作ることができるからだ。

 しかし、シリコンの結晶でも、炭化ケイ素や窒化ガリウムに比べれば安いものの、普通の工業材料に比べれば高価である。

 その理由は、シリコンは融点が高いため溶かすのに摂氏1500度もの高温が必要であることや、純度管理が非常に厳しいため、厳密に管理された清潔な環境が必要であることである。

 液体からでき、温度が高くなく、超清潔な環境も不要であれば、安くできる。


 フロスフィアのミストドライ法はまさにそうした製法である。

サファイア基板上に酸化ガリウムを成長させたもの(出所:フロスフィア)

すでに業界で高い評価

 高価な炭化ケイ素や窒化ガリウムを上回るパフォーマンスの半導体を、酸化ガリウムでは安価なシリコンと同じコストで作れそうだ。

 現在、炭化ケイ素や窒化ガリウムの半導体が開発競争の最中にあるが、こうした技術の登場で一気に陳腐化する可能性が出てきた。技術の競争は恐ろしい。

 もちろん、酸化ガリウムの半導体は開発が始まってそう時間が経っているわけではなく、実際に製品化するための開発作業は今後も必要であろう。

 炭化ケイ素や窒化ガリウムをすぐに世界から駆逐することはないので、炭化ケイ素や窒化ガリウムの関係者もしばらくは安心できる。


 しかし、これまで言われていたように大電流のパワー半導体を炭化ケイ素、家電程度のパワー半導体は窒化ガリウムという住み分けで、将来のパワー半導体の世界が安定することはなさそうだ。

 いずれかの時点で酸化ガリウムの半導体が普及することになるのではないか。

 フロスフィアは小さい企業だが、すでにその将来性は高く評価されている。

 圧倒的パフォーマンスの酸化ガリウム半導体を安く作れるフロスフィアの技術は、業界や技術の動向に通じていれば、容易にその価値を直感できるものだ。

 この可能性は放置されるはずもなく、三菱重工やデンソーなどの大手企業も出資者に名を連ねる。デンソーとは車に搭載することを目指す共同開発も始めている。

 こうした出資者の顔ぶれから酸化ガリウム半導体の将来性がうかがえるが、将来的にはハイブリッド車や鉄道車両の駆動に使われるだろうし、家庭内の家電やデジタル機器も動かしていくだろう。

 電気のある場所に酸化ガリウム半導体ありという時代がそう遠くない将来実現しそうだ。

 日本発のベンチャー企業が、その最先端を走っているということは、興奮させられることではないか。
 ミストドライ法は秘密の溶媒に酸化ガリウムを溶かし、酸化ガリウムと結晶構造が似たサファイア基板に霧状にして吹きつけて結晶を作る。

 サファイア基板に降着する寸前に溶媒を乾燥させることで、基板の上に酸化ガリウムの結晶が成長する。

 この溶液、常温で液体なもので、蒸発する温度も1500度どころか数百度にもならないものだという。さらに、結晶を作る環境は普通の空気中である。

 いかにもコストが高そうな部分は何もないのである。結果として、面積を小さくできることも考慮すれば、シリコンと同等の価格で同じパフォーマンスの半導体を作れる見通しだそうだ。






 
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画像元

IMFは中共ウィルウスの患禍による大規模ロックダウン(都市封鎖)を受けて約100年で最も深刻なリセッションに陥ると予想した。感染が長引いたり再来したりすれば景気回復は予想を下回る恐れがあるとの認識を示し、今年の世界GDPを3%減と予測し、「大恐慌」以来最大の落ち込みとなる。



現在、世界中の国境は閉鎖され、人の行き来がなくなり、コロナ危機の後はグローバル経済は終焉しよくてブロック経済、下手をすれば国単位の鎖国経済となる。

世界中は国単位で大サバイバル合戦となるであろう。そうなると、いま世界最大の債権国である日本は、政策さえ間違えなければ、チャンスにもなる可能性はあるのだが、米中が冷戦ではなくHOTな戦争を起こす可能性が、高まってきている。



中共ウイルスの患禍の影響で、グローバルなマーケットは現在喪失してしまった。物流が止まり、物が不足し、国の経済が完全に回らない国が続出している。困窮しているという日本や米国は、まだましなほうで、本当に困窮しているデフォルト寸前の新興国を助けなくてはならない状態だ。皆分かっていても時間的にも、自国を立て直すのにマンパワーを注いでいる間は、助ける余裕は今のところ残念ながら先進国にはない。

日本の国内を見ていても、レナウンが倒産し、大企業も次々に倒産する可能性がでてきています。私もこうやって脳天気にいつまで金にならないブログを書き続けることができることやら?


1930年代と2020年代は相似している。気がつけば、世界は1930年代の悪夢に突入してしまっていると認識すべきであろう。TVのワイドショーは中共ウイルスの患禍によるこの困難な状況を、安倍政権を倒す政治目的の為に利用している。

私も、当ブログで安倍政権の経済政策や、防禍対策を批判してるが、TVのワイドショーや大手マスコミと違って、安倍政権打倒が目的ではなく、日本がどう生き残るかが目的で批判しているのであって、同列ではない。

2020年代1930年代説に話を元に戻すが、1930年代とは、1929年に発生した世界大恐慌によって失業率が高止まりし、通貨供給、為替、財政政策上の選択肢が失敗するか、国は貿易障壁を作り出し、ファシスト国家が台頭し力を持ち始め、そのファシスト国家が、既存秩序を侵食し、他国の国境を侵食していた時代だった。

ファシスト国家とはナチスドイツであり、そのまま現代の中国の姿と被る。ちなみに、ナチスドイツの友好国はムッソリーニのイタリアであり、現代のイタリアは欧州における中国の橋頭堡となっている。



20世紀の初頭同様に、いまや世界はグローバル経済のリーダーシップをめぐる大きな移行期にある。オバマ大統領時代アメリカのパワーは大きく弱体化し、ワシントンには、もはや単独でグローバル経済のリーダーシップを担う力をなくしかけていた。

G20もまとまりを欠いている。1930年代と現在の類似性が表面化しつつある。中共ウィルスの患禍のせいとは言え、1930年代のような深刻で大規模な経済停滞に陥ってしまい、貧しい国々を救う余力を無くしている。

日本経済もインバウンド産業が壊滅し深刻だが、GDPに占める割合は経済成長は寄与しているもののわずか0.6%(2016年)タイは12% 観光に頼るエジプトとかモロッコのような国はなんと25%に達する。世界経済は一旦破壊されつつある。

中共ウィルスのせいで、国境は閉じられた影響は、観光だけに留まらない。

日本は食料の自給率が低いと言われているが、自給率が高いはずの欧州の農業は、東欧からの季節労働者によって支えられていた。

ルーマニアやポーランド・ブルガリアから、ドイツに入ってアスパラガスを収穫し、次はフランスへ入ってイチゴの収穫、そして次はベルギーで・・・といった流れがストップしている。欧州に限らない、米国でも農業はメキシコ人による季節労働者がなくてはならない、オーストラリアでも食肉加工の労働者が不足し、ニュージーランドでもキウイが収穫できずに腐ってしまっているという。


食料を輸入に頼る日本はも他人事ではない、今年から来年にかけ、世界的食料の逼迫は避けられない。


また、石油を生産しているサウジアラビア、ロシア経済も、世界的原油需要の喪失で、原油価格が暴落し、国の経済が破綻寸前だ。特にサウジは、今まで石油に代わる産業の育成を模索していたが、遂にできないままに、この危機に突入してしまっているのである。


中国が覇権を考えにくい。輸出ばかりを重視する重商主義的な貿易アプローチをとっている限り、北京が困難な状況にある諸国からの輸出を受け入れる開放的市場の役目を果たすことはないだろう。そして、中国経済も世界中からこの先締め出され、破綻するのが目に見えている。




人口こそ15億人いるが、金を貯めたのは一部の中国共産党の幹部達だけで、その金ももはや国内には無く、幹部達が海外に持ち出している。国民の多くは依然貧乏だ。金持ちもいるが、その殆どは、そのうち価値がなくなる不動産のオーナーで、庶民は暴落間近の物件をローンを抱え身動きが取れない。企業の倒産も増えお先真っ暗なうえに、
社会福祉制度がまったくといっていいほどの状態で、一人っ子政策の結果として、日本の比ではない超高齢化社会に突入する。そのうえ、GDPの25%は輸出に依存、残りのGDPも不動産開発や、赤字の光速鉄道建設など世界経済から締め出されれば中国は、国として立ち行かなくなるだろう。

中国共産党は、この先起こるであろう国内の大混乱を、回避する目的で、台湾と尖閣諸島に侵攻作戦を行う可能性は、日々高まってきている。


【ロイター】2018年4月20日 / 11:15 

中国、日本から尖閣奪取に「短期戦争」計画 2020年からの10年の間に=米シンクタンク

アジア安全保障などに関する研究を行う米シンクタンクが発表した新報告書によると、中国共産党政権が日本の尖閣諸島に軍事侵攻するのは、もはや「時間の問題」だという。報告書は中国軍や政府高官らの声明に基づいて、軍事侵攻が2020年から2030年の間に行われ、「懸念される10年」であると警告した。

ワシントン拠点のシンクタンク「プロジェクト2049」研究所がこのたび発表した報告書『白い艦隊と小さな青い男たち(WhiteWarshipsandLittleBlueMen=軍艦でない海警船と、兵士ではない民兵となった漁船員)』は、中国公安の辺防海警部(海洋警備隊)と中国海軍の動きについて分析した。

報告書の著者は、退役米軍将校で、かつて米太平洋艦隊の情報戦部門を統括していたジェームス・ファネル(JamesE.Fanell)氏と東南アジア情勢に詳しい米政策研究機関「戦略国際問題研究所」(CSIS)のケリー・ガーシャネック(KerryK.Gershaneck)上級参与。

両氏は、中国政府が2020年から2030年の間に尖閣を侵攻するとの証拠に、軍部や政府の高官による声明や、海軍の大規模編成を挙げた。「共産党政権取得100周年の2049年は一つの節目。2030年からは約20年の時間がある。20年間も経てば、国際社会からの非難が弱まるだろう」と報告書は尖閣侵攻のタイミングを分析する。

中国海軍の尹卓・少将は2013年1月、北京テレビの番組に出演した際、中国海軍が日本の尖閣諸島を奪取するため「短期戦争」を計画していることを明らかにした。また、実際の戦闘は非常に短く、数時間で終了する可能性もある、と少将は述べた。

尖閣諸島「領土の放棄」か「防衛」選択迫られる日本

報告によると、スカボロー礁と同じように、中国当局は尖閣諸島の実効支配を計画している。中国国家海洋局は2012年9月3日、中国の漁師たちを「守る」ために、スカボロー礁・西沙諸島・尖閣諸島の周辺海域を「海域動態監視観測管理システム」の範囲内に組み込み、人工衛星や航空機で遠隔監視している。事実上、スカボロー礁を支配下に置いた。

スカボロー礁は、フィリピンの排他的経済水域(EEZ)内に位置するが、戦略的要所として中国も主権を主張している。フィリピン当局は1998年、領海侵犯したとして中国漁船を拿捕したり、拘束するなど、両国では対立感情が高まっていた。

尖閣侵攻は同じシナリオで実行されると報告書は分析した。作戦は「白い艦隊」と「小さな青い男たち」によって実施される。「白い艦隊」とは正規の軍艦ではない海警船、「青い男」とは海上民兵と認識されている漁師のこと。報告書は中国海警船が近年、尖閣諸島付近で頻繁に活動しているため、「漁師が先行し、海警が護衛する」作戦で尖閣諸島を支配下に置く可能性が高いと指摘した。

この際の日本政府の対応は、尖閣の領土を放棄するか、侵攻に対抗して防衛するかの二択だとした。

日本の尖閣と台湾 同時侵攻の可能性も

プロジェクト2049研究所は昨年、中国当局が2020年までに台湾侵略計画の準備を完了させる、との元米国防総省高官イアン・イーストン研究員によるショッキングな研究報告を発表した。

おすすめ:中共2020年台湾侵攻準備を完了か「政権崩壊につながる自殺行為」=専門家 
www.epochtimes.jp/2017/10/28770.html 

このたびの報告書の分析によると、中国当局による日本の尖閣諸島と台湾の侵攻は同時に行われる可能性があるという。もし台湾戦になれば、中国軍が想定する「100時間攻略」よりも、長期で広範囲に及ぶ戦争になるだろうと、同シンクタンクは予測する。

台湾侵攻について、最近、人民解放軍の王洪光・中将は政府メディアに「中国軍は、米国と日本からの援軍が到着する前に、100時間以内で台湾を攻略できる」と豪語した。これについて、台湾軍の陳宝余上将は「不可能だ」「一笑に付する」と一蹴した。

イーストン研究員は、もし中国が台湾侵攻するならば、米国と、日本や英国、豪州など米国同盟国が軍事行動を起こすことが考えられ、中国共産党は政権崩壊の危機に陥いり、「自殺行為」とみている。

最近、尖閣諸島および台湾の周辺海域では、中国空軍、海軍、海洋警備隊など空と海の活動が活発化している。

「これは『孫子兵法』を基にした中国海軍による多面的な台湾戦略だ」。退役した防衛庁情報本部長・太田文雄氏は、大紀元英語版の取材に対して答えた。

太田氏によると、まず、漁船の航行と政府の海洋警備隊による行動拡大、地域の圧力強化を常態化させ、続いて軍による侵略というのは、よくある筋書きだという。

「中国は(欲しい島嶼の)実行支配の必要性を作り出す」とした。また、「米国が他地域での紛争に係わっていて、日本を支援する余力がない時期に、中国は尖閣侵攻するだろう」とも付け加えた。

プロジェクト2049は、一部の対中融和派専門家が言う「中国のレッドラインを超えない」「対立をあおらない」といった、日本の軍事行動を抑制するべきだとの主張を、否定している。

同シンクタンクは、日本への尖閣政策のとして、尖閣を含む周辺海域で米国や同盟国との軍事演習を行うなど、中国に対して抑止力をかけ続けることを推している。また、施設の建設など物理的な実効支配を行うことも案の一つに挙げた。

(文・ポール=ファン/翻訳編集・佐渡道世)


中国軍、台湾・東沙諸島の奪取演習を計画
追いつめられた習近平主席、台湾侵略の可能性も
【JBpress】樋口 譲次2020.5.16(土)

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中国南東部・三亜市を母港とする中国初の国産空母「山東」(中国軍のサイトより)

中国軍が台湾・東沙諸島の奪取演習
 
日本のみならず世界中が新型コロナウイルスに釘づけになり、マスメディアもこぞってコロナ話題一辺倒になっている。

 その最中の5月12日、北京共同は「中国人民解放軍が8月に中国南部・海南島沖の南シナ海で、台湾が実効支配する東沙諸島の奪取を想定した大規模な上陸演習を計画していることが分かった。中国筋が11日までに明らかにした」と伝えた。

 見逃してしまいそうな小さな記事であり、中国一流の恫喝行為に過ぎないとの見方がある。

 しかし、もしこれが本当に実行されるならば、中国と米国・台湾との間で緊張が一挙に高まり、大きな紛争に発展しかねない危険性が潜んでいる。


 東沙諸島(プラタス諸島)は、第2次世界大戦終結までは台湾の一部として日本が支配していたが、敗戦後の1947年から中華民国(台湾)が管轄するようになり、現在、台湾が実効支配している。

 東沙諸島は、台湾から南西に飛行機で1時間ほどの南シナ海にあり、円形の典型的な環礁である。

 主に東沙島と東沙環礁、南衛灘、北衛灘からなり、東沙島は約2800×860メートル(陸地部約1.74平方キロ)、環礁水域の面積は約300平方キロであり、環礁の北面外縁は広く、干潮時には水面に露出する。

 東沙諸島は行政上、高雄市に属している。東沙島には淡水があり、樹木に覆われている。東沙空港(滑走路は全長1550メートル)や道路が整備され、高雄市の市営バスも運行されている。高雄市や行政院海岸巡防署(沿岸警備隊)などの職員が駐留している。

 台湾政府は2007年に、東沙諸島を東沙環礁国家公園に指定した。

 台湾は、南沙諸島の太平島(イツ・アバ島)も実効支配しているが、同諸島は中国、ベトナム、フィリピン、マレーシアなどの領有権争いの中心となっており、軍事的緊張も高い。

他方、東沙諸島は、緊張した南シナ海にあって、情勢も比較的安定していると見られており、台湾および高雄市政府も、この美しい南の島を守り、いずれ国内外の人々が観光として訪れる日が来るとの期待感があった。

 その矢先、中国軍の東沙諸島奪取演習の計画発表であり、ここに来て、一気に危機の予感が高まりつつあるのだ。

東沙諸島は台湾侵攻・太平洋侵出の要衝

 下記要図を参照しつつ、東沙諸島の戦略的価値について概観してみたい。

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 東沙諸島は、広い意味で台湾海峡の南の出入り口、あるいは南シナ海の北端の中央部に位置していると言えよう。


 東シナ海から台湾海峡を経て南シナ海に至るシーレーンは、東沙諸島の東西両側を通過する。

 また、太平洋からバシー海峡ないしはルソン海峡を経て南シナ海に至るシーレーンは、東沙諸島の東側を通過しており、東沙諸島は両シーレーンを扼する要衝を占めている。

 中国海軍は、三大艦隊の一つである南海艦隊司令部を広東省の堪江に置き、空母やSSBN(SLBM搭載原子力潜水艦)などの大規模な海軍戦力を海南島南部の三亜基地に配備している。

 三亜基地の空母埠頭は、長さ700メートル、幅120メートルで、世界最大級の空母埠頭と言われ、「遼寧」など2隻の空母が同時に停泊できる。また、同島には、地下洞窟に潜水艦基地があり、2つの空軍基地もある。

東沙諸島は、堪江や三亜基地に配備されている中国軍戦力が台湾や台湾南方のバシー海峡を経て太平洋へ向かうルート上にある。

 そのため、同諸島は、中国軍が台湾侵攻や太平洋に進出し、また、西沙諸島の軍事基地および南沙諸島の軍事拠点群と相まって南シナ海(のシーレーン)を支配するため戦略的に極めて重要であり、同軍にとって東沙諸島を奪取する必要性が益々高まっているのだ。

 東沙諸島は、香港から約325キロ、台湾南部の高雄から約420キロの距離にある。

 もし、中台両国間で同島を巡る武力紛争が生起した場合、「戦力集中競争」を左右する距離的な面、また、攻撃を仕かける側の主導性の面から見て、戦況は明らかに中国側に有利に傾くことになろう。


 また、前述の通り、東沙諸島は、東沙島が約2800×860メートル(陸地部約1.74平方キロ)、環礁水域の面積が約300平方キロである。

 もし、中国軍が東沙島を占領すれば、南沙諸島で行ったように、環礁水域を一挙に埋め立てて基地を造成することは目に見えている。

 その広さは、約302平方キロ、東京ドームの約650倍となり、陸海空すべての部隊が展開できる一大軍事基地として重大な脅威源となる。

 なお、本稿のテーマ上、特段に触れなかったが、中国軍が台湾に侵攻する場合、台湾の西約50キロの台湾海峡上に浮かぶ澎湖列島(面積126平方キロ)を奪取し、そこに侵攻基盤を設定して空軍などを展開することも付言しておきたい。

追い詰められ台湾侵攻の暴挙も
 
中国共産党は、国内で党の執政に対する不満が高まれば高まるほど、それを抑え込むために、不満の理由を外国に転嫁し、外敵の存在を強調する手法を採ることを常套手段としている。

 新型コロナウイルスによるパンデミックの責任を米国に押しつけようとしたように、である。

 また、共産党一党独裁の中国では、党中央が決定し指示するトップダウンの意思決定しかあり得ない。

 習近平国家主席は、毛沢東、鄧小平に匹敵する「核心的リーダー」、言い換えれば「皇帝」の地位を獲得し、自らの神格化と権力集中に成功した。


 習近平主席は、前任の胡錦涛国家主席までのいわゆる集団指導体制を反故にし、毛沢東時代の永世党主席制の復活を目指していると言われており、その独裁的な権限行使は歴代政権の中でも際立っていると見ることができよう。

 そうであるならば、パンデミックの責任を米国へ転嫁するような見え透いた、悪質な意思決定を行ったのは、ほかならぬ習近平主席本人に違いないとの憶測を生むのもやむを得ない。

 その習近平国家主席は今、国内外で浮上する多くの難題にぶつかり、窮地に立たされている。

 国内では、自ら引き起こしたコロナ禍によって2020年第1四半期の中国GDP(国内総生産)は公式にマイナス6.8%となった。

 初めてのマイナス成長で、何百万とも言われる会社が倒産し、失業者は2億人とも見積もられ、体制維持、権力維持の頼みの綱である経済成長に急ブレーキがかかっている。

 中国は、いくら締めつけを強めても香港人の民主化要求の決意を変えることができずにいる。

また、新疆ウイグル人に対する情け容赦のない弾圧をひた隠しにしてきたが、その恐ろしい実態が国際社会に暴かれつつある。

 国外では、新型コロナウイルスがパンデミックとなって膨大な人的損害と世界同時不況という世界的悲劇をもたらしたことから、その原因と責任を追及する動きが強まっている。

 また、世界のサプライチェーンから中国を排除する経済的分離(デカップリング)の取り組みが加速されようとしている。

 さらに、中国外務省・外交官の「助けてやっている」との横柄で攻撃的なスタンスや民主主義より中国共産党(全体主義、強権主義)が優れていると主張する「強硬な政治宣伝(プロパガンダ)」などの「マスク外交」「コロナ外交」は逆効果となり、先進的な欧米諸国を遠ざけている。


 特に、貿易戦争によって激化しつつあった米中の覇権争いを、コロナ禍が増幅させたため、米国では、国民や政治家の間にも中国に対する否定的な意見が拡大し、米中関係は決定的な対立局面に入ったと見られている。

 世界的な危機の高まりである。

 まさに、今回のコロナ危機を巡って露呈した「中国の真実」は、米国の有力上院議員から「中国はパリア国家(除け者国家=pariah state)として扱うべきだ」との意見まで噴出する有様である。

 歴史的なターニングポイントといっても過言でない厳しい反応が世界中で巻き起こっている。

 軍事面で中国は、世界が新型コロナウイルスへの対応に追われる危機的状況を利用して、中国の戦略的拡大に繋がるような行動を積極化している。

 新型コロナウイルス後も、中国公船などによる我が国の尖閣諸島周辺海域への侵入は減少していない。

むしろ、日本の領海内に侵入して操業中の日本漁船に接近・追尾したり、空母「遼寧」や爆撃機が宮古水道を往復するなど、挑発的な行動を活発化させている。

 南シナ海では、領有権を巡り係争中の島々に一方的に新たな行政区を設定し、違法な領土権の拡張を強行している。

 また、フィリピンの軍艦を脅したり、ベトナムの漁船を沈めたり、他国に海洋石油・ガス探査をさせないように脅している。

 他方、中国が「核心的利益」として武力統一も辞さない構えの台湾問題は、頓挫しているというより、むしろ急速な台湾の「中国離れ」を招いている。


 香港デモの影響が中国への反感を強め、2020年1月の台湾総統選挙では、与党・民進党現職の蔡英文総統が過去最多得票で圧勝した。

 蔡総統の再選阻止を狙って軍事的威嚇や大々的な選挙介入工作を行った習近平主席にとっては大きな痛手であった。

 蔡蔡英文総統は、「一つの中国」原則を認めない一方、党が持つ独立志向を封印する注意深い立場をとる現実路線で米の信頼を得る戦略を進めている。

 それに業を煮やした習近平主席は、コロナ危機の中にあっても、中国の戦闘機が台湾海峡の中台中間線を越えて台湾側への侵入を繰り返し、バシー海峡を通過した空母「遼寧」や爆撃機などの軍事演習の頻度を増すなど、台湾への威嚇や軍事的圧力を強めている。

 以上のように、習近平国家主席は、国内外の難題にぶつかり、窮地に立たされ、いよいよ追い詰められている。

 このため、危機を最も愛国的なテーマ、すなわち台湾統一にすり替え、国民の不満を逸らし、難局を打開するシナリオを描くことは十分にあり得ることだ。

 そして、前述の通り中国にとって戦略的重要性を増す東沙諸島の奪取演習に、その矛先を向けようとしていると見ることも可能である。

 それは、中国の台湾武力侵攻の予兆であり、前哨戦となるかもしれず、中国と米国・台湾との間で緊張が一挙に高まり、大きな紛争に発展しかねない危険性が潜んでいるのである。

台湾侵攻、そのとき日本はどうする

 マイケル・ピルズベリーが『百年マラソン』(野中香方子訳、日経BP社、2015年)で指摘したように、中国の夢としての「中華民族の偉大な復興」には、中国共産党創設100周年にあたる2021年と中華人民共和国建国100周年にあたる2049年の2つの時期的目標がある。

 その中間目標とされる2021年を来年に控えている。

 2020年の一人当たり国民所得を2010年比で倍増させ、最初の百年(2021年)までに経済力で米国に追いつき、軍事力などを加味した総合国力でも米国に対抗できる実力を養うという目標は、コロナ禍の影響で達成が危ぶまれる。

 米国のプロジェクト2049研究所は、報告書『白い艦隊と小さな青い男たち』(White Warships and Little Blue Men)において、2020年から2030年の間に、中国が尖閣諸島と台湾を同時に軍事侵攻する可能性が高まっていると指摘している。


 つまり、国内外で追い詰められた習近平主席が、国民の愛国心に火をつけ、中国に対する遠心力を強める台湾を、「中華民族の偉大な復興」の中間目標に掲げる2021年前後に、武力をもって統一したいと言う衝動に駆られる可能性は大いにあり得ると見なければならない。

 そのため、ドナルド・トランプ政権下の米国は、「台湾関係法」を基本に、「台湾旅行法」(2018年3月)や「台北法」(2020年4月)などを制定し、新型「F16」戦闘機、フリゲート艦、M1A2エイブラムス主力戦車、携帯式地対空ミサイルなどの主要武器の売却や共同軍事演習への招待などを進めるとともに、米台政府関係者の交流などを積極的に行っている。

 また、米海軍艦艇は、「自由で開かれたインド太平洋」戦略の一環として、毎月、台湾海峡を通過するなど、台湾の安全保障・防衛強化のための措置を強化している。

 一方、日本では、安倍晋三政権下で平和安全法制が整備されたものの、日台関係の強化について具体的かつ目に見える形での政策的な進展が何ら見られない。

 そのため、台湾では「日本に対する期待外れ」や「日本に対する失望」の感情が広がっているが、日本は、中国に過剰に配慮して、あえてそのことを見過ごしており、日台関係に重大な問題を投げかけている。

 台湾の李登輝元総統は、産経新聞(平成31年1月4日付)のインタビューで「仮に台湾が中国の手に落ちれば、日米にとっては喉元にナイフを突きつけられる状態になる」と日米に対し警告を発している。

 その言葉通り、台湾有事は、決して他人事ではない。台湾への威嚇や軍事的圧力と併行して、尖閣諸島に対する中国の侵略的行動が活発化していることを考えればなおさらである。

 そして、プロジェクト2049研究所も指摘しているように、台湾有事と南西諸島・沖縄から九州を焦点とした日本有事は、同時に生起すると考えておかなければならない。

 つまり、我が国としては、自主防衛を一段と強化すると同時に、日本防衛と台湾防衛の「連結性」を強化することが喫緊の課題なのである。

 それを目標に、台湾との安全保障・防衛協力を具体的かつ目に見える形で推進できるよう、真の「台湾加油」政策に、直ちに踏み出さなければならない。




 
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宇宙船艦ヤマト 第7話 ヤマト沈没!!運命の要塞攻略戦!! 第8話 決死のヤマト!!反射衛星砲撃破せよ! より

特許情報プラットフォーム 特開2019-219143

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ネットで拾った情報だが、IHIグループの宇宙機器、防衛機器等の設計、製造、販売及び航空部品の製造、販売会社 株式会社IHIエアロスペース社が宇宙戦艦ヤマトを視た人間なら誰でも知っているあの反射衛星砲の特許を取得したというニュースだ。

特許名は「迎撃システムと観測装置」だ。

宇宙戦艦ヤマトが放映されたのは、昭和49年(1974年)に放映され、米国でも1979年~1980年、映画スターウォーズが上映されたのは1977年、レーガン大統領が SDI(戦略防衛構想:Strategic Defense Initiative)本土防衛(ミサイル防衛)のための戦略構想
をぶちあげったのは1983年の演説だ。

そのSDI計画は通称スターウォーズ計画と言われ、有事の際、アメリカ本土へ向けて飛来する仮想敵国の弾道ミサイルを、ミサイルやレールガン、レーザーなどを搭載した人工衛星(攻撃衛星)の攻撃によって迎撃・破壊することを目的としていた。

この構想の下、いくつかの兵器が試作され、レーザー砲、レールガン、荷電粒子砲などで ICBMを迎撃するというものだった。レールガンやレーザー砲は2020年ようやく試作から、配備され始めたばかりの兵器であり、宇宙に配備するのはまだ先のことである。



SDIでぶち上げられたSFチックな兵器は、80年代の技術ではとても実現性があるものではなく、予算的にもアポロ計画的なほどの膨大なものではなかった。一部有識者からすればとても現実的ではないことはわかっていた。だが、ソ連は開発競争に乗ってしまい、それが元で国家が崩壊し、最終的にはそれら兵器群は何一つ実用化されないまま、ソ連が崩壊し、SDI計画は霧散した。

当時、大軍拡を進めていたソ連への対抗上なされたプロパガンダであったとも、あるいは国内の景気対策や技術振興のためのテコ入れ策であったとも言われているが、カーター民主党政権で地に落ちた米国の威信を取り戻す、レーガン大統領の大芝居だったのだ。

当時ソ連は軍事力以外米国を凌駕するカードががなく、米国への対抗上SDI研究を始めざるを得なかったが為、多額の資金を研究投資に充て、たちまち国家としての資金がショートして、表向き強大さを誇ってはいたが、実はガタガタだったソ連経済が崩壊してしまったのだ。冷戦は米国のハッタリ勝ちとなった。さすがレーガン大統領は政治史に残る千両役者であった。「ヨッ大統領!」の大統領は、レーガン大統領のような大統領こそ相応しい。

おそらく今思えばハッタリだったのだろうが、華々しいSF的な計画の中で、なんとあの反射衛星砲構想までぶち上げていたことは、あまり知られていない。

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YouTube動画SDI戦略防衛構想より

SDI 戦略防衛構想 (反射衛星砲にそっくり) 2013/05/05

当時米国では映画スターウォーズの大ヒットで空前のSFブームであった。
海外反応の外国人たちが語る子供の頃見た宇宙戦艦ヤマトの反応を見て驚いたのだが、当時SFブームに乗り、宇宙戦艦ヤマトは、米国ではスターブレイザーと名を改め、米国の子供たち世代にはスターウォーズにも劣らないほどの人気があったそうだ。

もしかしたら、SF好きの若い科学者も見ていた可能性が高いと思う。
これは、私のフザケた見解で、まったくの暴論だが、SDI版反射衛星砲は、実現は不可能だとわかっていたけれど補助金目当てで、適当にぶち上げたハッタリだったかもしれない。

あれから約40年弱レールガンやレーザー砲は、もう秒読みであるが、米国において反射衛星砲の開発構想の話は今のところ皆無だ。

だが、ヤマト世代にとって、脳裏に反射衛星砲は波動砲や拡散波動砲とともに刷り込まれている。もう一つ蛇足だが、ヤマト世代~ガンダム世代(私も入る)にとっては、ジオン軍のソーラーレイと
連邦軍のソーラーシステムも脳裏に焼きついている。

IHIエアロスペース社の技術者達は刷り込まれてたのでしょうね・・・
特許申請して特許を取得したというのだ、頼もしいではないか!

IHIエアロスペース社は、おそらく反射衛星砲で終わらないだろう。さすがに波動砲はないだろうが、間違いなくソーラーレイとソーラーシステムを目指すのではないかと思っています。

ジオン軍 ソーラーレイ 
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連邦軍 ソーラーシステム

IHIエアロスペース社 ←の会社案内リンクを開いてください現在研究中であったり、実用化し、日本の誇りとなっている、H2ロケットブースター、イプシロンロケット、こうのとり(HTV)、国際宇宙ステーション実験棟「きぼう」などなど・・・。
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そして、JAXAも手がけるが、民間企業として宇宙太陽光発電を研究しているのだ。


宇宙太陽光発電システム(SSPS:Space Solar Power System)は、宇宙空間の太陽光発電所からその発電電力をマイクロ波(電波)で地上へ送電する発電システム構想で、日本がその研究をリードしています。

当社は 20 年以上にわたる各種研究開発により、SSPS 研究に貢献してきました。近年では、経済産業省の委託を請けて一般財団法人宇宙システム開発利用推進機構が実施した、太陽光発電無線送受電技術の研究開発事業に参画し、受電装置の設計、製作、試験を担当しました。

本開発では世界トップレベルの高効率かつ安定動作性を公開実験全般にわたり実証しました。SSPS の実現には、低価格な輸送系、宇宙大型構造物の構築、さらなる電力伝送効率の向上など多くのハードルがありますが、着実に研究を進め、これからも SSPS の実現に向けて貢献していきます。
このIHIエアロスペース社が数十年後、会社案内に太陽光発電にて発電したエネルギーを宇宙ソーラーレイシステムにて弾道弾を迎撃可能と書いてあっても何等不思議ではない。

当面の目標としては、反射衛星砲の方がより実現可能であるため、JAXAやATLAといった政府機関と協力して反射衛星砲を開発を手がける可能性があってもおかしくはない。

そして次の段階としては、将来の航空宇宙自衛隊の主要兵器である、弾道弾迎撃衛星SBLの開発を目指すかもしれない。妄想ですが・・・

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SBL(SpeceBaseLaser)

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荷電粒子砲搭載衛星 画像元

2019年03月26日

2010年02月21日
2015年04月25日

2015年04月25日

仮に日本版SDIにより鉄壁の防御体制が構築できたならば、数十年後、日本は、核を持たなくとも、核保有国に対抗できる唯一の国になることができるかもしれません。


以下は、本特許の詳細になります。かなり長いです。



(
57)【要約】
【課題】低いエネルギー密度のレーザ光によりミサイルを迎撃できる技術を提供する。
【解決手段】防衛対象地域へ飛翔して来るミサイル1をレーザ光により破壊する迎撃システム100は、ミサイル1に照射するレーザ光を射出する複数のレーザ装置3と、ミラー衛星5と、観測装置を備える。ミラー衛星5は、複数のレーザ装置3から射出されたレーザ光をミサイル1へ反射するためのミラー5aを備える。観測装置は、防衛対象地域へのミサイル1を観測し、観測結果に基づいてミラー5aを介してミサイル1にレーザ光を照射するための制御データを生成し、制御データを複数のレーザ装置3に送信する。複数のレーザ装置3は、制御データに基づいてレーザ光を射出する。
【選択図】図1

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【特許請求の範囲】
【請求項1】
  防衛対象地域へ飛翔して来るミサイルをレーザ光により破壊する迎撃システムであって、
  前記ミサイルに照射するレーザ光を射出する複数のレーザ装置と、
  前記複数のレーザ装置から射出されたレーザ光をミサイルへ反射するためのミラーを備えるミラー衛星と、
  防衛対象地域へのミサイルを観測し、観測結果に基づいて、前記ミラーを介して前記ミサイルにレーザ光を照射するための制御データを生成し、当該制御データを前記複数のレーザ装置に送信する観測装置と、備え、
  前記複数のレーザ装置は、前記制御データに基づいてレーザ光を射出する、迎撃システム。
【請求項2】
  前記ミラーは凸面鏡である、請求項1に記載の迎撃システム。
【請求項3】
  前記観測装置は、
  ミサイルの位置を電波により各時刻で測定し、各時刻での当該位置を観測データとして取得するレーダと、
  レーザ光の射出指令を発する未来時刻を指令時刻として設定し、前記指令時刻と前記観測データと前記ミラー衛星の軌道データと前記複数のレーザ装置のレーザ射出部の位置とに基づいて、各レーザ装置がレーザ光を射出する方向を目標射出方向として求める演算装置と、
  前記指令時刻と前記目標射出方向を前記制御データとして前記複数のレーザ装置に送信する通信部とを備える、請求項1又は2に記載の迎撃システム。
【請求項4】
  前記レーダは、防衛対象地域へのミサイルを観測可能な軌道上を飛翔する観測衛星に設けられる、請求項3に記載の迎撃システム。
【請求項5】
  前記ミラーは、前記ミラー衛星の本体に対して姿勢が調整可能に該本体に取り付けられており、
  前記演算装置は、前記指令時刻と前記観測データと前記ミラー衛星の軌道データと前記複数のレーザ装置のレーザ射出部の代表位置とに基づいて、レーザ光を前記ミサイルへ反射させる前記ミラーの姿勢を目標姿勢として求め、
  前記観測装置の前記通信部は、前記目標姿勢を前記ミラー衛星へ送信する、請求項3又は4に記載の迎撃システム。
【請求項6】
  防衛対象地域へ飛翔して来るミサイルをレーザ光により破壊する迎撃システムに用いられる観測装置であって、
  前記迎撃システムは、前記ミサイルに照射するレーザ光を射出する複数のレーザ装置と、ミラー衛星を備え、該ミラー衛星は、前記複数のレーザ装置から射出されたレーザ光をミサイルへ反射するためのミラーを備え、
  前記観測装置は、防衛対象地域へのミサイルを観測し、観測結果に基づいて、前記ミラーを介して前記ミサイルにレーザ光を照射するための制御データを生成し、当該制御データを前記複数のレーザ装置に送信する、観測装置。

【選択図】図2.3.4.
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【0007】
  そこで、本発明の目的は、レーザ装置の設置や維持等に制約の少ない低高度地から、より低いエネルギー密度のレーザ光を射出してミサイルを迎撃できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
  上述の目的を達成するため、本発明による迎撃システムは、防衛対象地域へ飛翔して来るミサイルをレーザ光により破壊するシステムであって、
  ミサイルに照射するレーザ光を射出する複数のレーザ装置と、
  複数のレーザ装置から射出されたレーザ光をミサイルへ反射するためのミラーを備えるミラー衛星と、
  防衛対象地域へのミサイルを観測し、観測結果に基づいて、ミラーを介してミサイルにレーザ光を照射するための制御データを生成し、制御データを複数のレーザ装置に送信する観測装置と、備え、
  複数のレーザ装置は、制御データに基づいてレーザ光を射出する。
【0009】
  また、本発明による観測装置は、防衛対象地域へ飛翔して来るミサイルをレーザ光により破壊する迎撃システムに用いられる装置であって、
  迎撃システムは、ミサイルに照射するレーザ光を射出する複数のレーザ装置と、ミラー衛星を備え、ミラー衛星は、複数のレーザ装置から射出されたレーザ光をミサイルへ反射するためのミラーを備え、
  観測装置は、防衛対象地域へのミサイルを観測し、観測結果に基づいて、ミラーを介してミサイルにレーザ光を照射するための制御データを生成し、制御データを複数のレーザ装置に送信する。
【発明の効果】
【0010】
  本発明によると、複数のレーザ装置からの複数のレーザ光を、1つのミサイルに同時に照射することにより、ミサイルを破壊できる。したがって、1つのレーザ装置でミサイルを迎撃する場合と比べて、より低いエネルギー密度のレーザ光を各レーザ装置が低高度地から射出することにより、ミサイルを破壊することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態による迎撃システムを示す。
【図2】本発明の実施形態による迎撃システムの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態による迎撃方法を示すフローチャートである。
【図4】図3の続きを示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態による迎撃方法の説明図である。
【図6】衛星軌道の一例を説明するための図である。
【図7】本発明の別の構成例による迎撃システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
  本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0013】
(迎撃システム100の構成)
  図1は、本発明の実施形態による迎撃システム100を示す。図2は、迎撃システム100の構成を示すブロック図である。迎撃システム100は、防衛対象地域へ飛翔して来るミサイル1をレーザ光により破壊するシステムである。迎撃システム100は、複数のレーザ装置3と、ミラー衛星5と、観測装置10とを備える。なお、複数のレーザ装置3(後述のレーザ射出部3a)は、防衛対象地域に配置されていてよい。防衛対象地域は、特定の国であってもよいし、当該国内の特定の地域であってもよい。
【0014】
  複数のレーザ装置3は、ミサイル1に照射するレーザ光を射出する。ミラー衛星5は、ミラー5aを備える人工衛星である。ミラー5aは、複数のレーザ装置3から射出されたレーザ光をミサイル1へ反射するためのものである。観測装置10は、防衛対象地域へのミサイル1を観測し、観測結果に基づいて、ミラー5aを介してミサイル1にレーザ光を照射するための制御データを生成し、当該制御データを複数のレーザ装置3に送信する。複数のレーザ装置3の各々は、制御データに基づいて、1つ又は複数のレーザ光を射出することにより、これら全てのレーザ光がミラー5aを経由してミサイル1に、所要時間の間、同時に照射される。なお、図1では、4つのレーザ装置3を図示しているが、レーザ装置3の数は4つに限定されない。図2では、図示を簡略化するために、図1の4つのレーザ装置3のうち、2つのレーザ装置3を図示している。
【0015】
  複数のレーザ装置3は、地表側に配置される。観測装置10は、防衛対象地域へのミサイル1を観測可能な軌道上を飛翔する図1の人工衛星6(以下で観測衛星という)に搭載される。ミラー衛星5は、各レーザ装置3からのレーザ光をミラー5aで反射して防衛対象地域へ飛翔して来るミサイル1に照射できる軌道上を飛翔する。なお、以下において述べる各「位置」は、特に言及されていない場合には、地表に固定された座標系(以下で単に地表座標系ともいう)で表わされる位置を意味する。
【0016】
<観測衛星における構成>
  図1と図2に示すように、観測衛星6に搭載された観測装置10は、レーダ7と、演算装置9と、通信部11とを備える。
【0017】
  レーダ7は、ミサイル1の位置を電波により各時刻で測定し、各時刻での当該位置を観測データ(以下で単に観測データともいう)として取得する。観測データは、複数の時刻
と、これらの時刻でそれぞれ測定したミサイル1の複数の位置とを互いに対応付けたデータである。レーダ7は、繰り返し、新たな時刻を含む観測データを取得する。なお、レーダ7が測定するミサイル1の位置は、ミサイル1における特定の局所位置であってよい。
【0018】
  演算装置9は、レーザ光の射出指令を発する時刻を指令時刻Tc(以下で単に指令時刻Tcともいう)として設定する。また、演算装置9は、指令時刻Tcと観測データとミラー衛星5の軌道データと複数のレーザ装置3のレーザ射出部3aの位置とに基づいて、各レーザ装置3がレーザ光を射出する方向を目標射出方向(以下で単に目標射出方向ともいう)として求める。
【0019】
  また、演算装置9は、指令時刻Tcと観測データとミラー衛星5の軌道データと複数のレーザ射出部3aの代表位置Pとに基づいて、レーザ光をミサイル1へ反射させるミラー5aの姿勢を目標姿勢(以下で単に目標姿勢ともいう)として求める。
【0020】
  通信部11は、指令時刻Tcと目標射出方向を制御データとして複数のレーザ装置3に無線で送信する。また、通信部11は、目標姿勢をミラー衛星5へ無線で送信する。なお、通信部11は、複数のレーザ装置3との通信(例えば複数のレーザ装置3への制御データの送信)を行う第1通信機と、ミラー衛星5との通信(例えばミラー衛星5への目標姿勢の送信)を行う第2通信機とから構成されてよい。あるいは、通信部11を構成する1つの通信機が、複数のレーザ装置3との通信と、ミラー衛星5との通信の両方を行ってもよい。
【0021】
  演算装置9は、位置推定部9aと、誤差判定部9bと、指令時刻設定部9cと、命中時刻算出部9dと、反射時刻算出部9eと、記憶部9fと、ミラー位置算出部9gと、ミラー姿勢算出部9hと、目標姿勢算出部9iと、目標方向算出部9jを備える。
【0022】
  位置推定部9aは、観測データに基づいて、未来時刻におけるミサイル1の位置を推定する。当該未来時刻は、現時刻から、予め設定された時間が経過した時刻であってよい。
  誤差判定部9bは、位置推定部9aにより推定された、未来時刻でのミサイル1の位置と、当該未来時刻になった時刻でレーダ7が測定したミサイル1の位置との差の大きさが、設定値(絶対値)よりも小さいかどうかを判定する。
【0023】
  指令時刻設定部9cは、誤差判定部9bによる判定の結果が肯定である場合に、レーザ光の射出指令を発する未来時刻を指令時刻Tcとして設定する。指令時刻Tcは、例えば、現時刻から、予め設定された時間が経過した時刻であってよい。設定された指令時刻Tcは、通信部11から無線で地表側の各レーザ装置3に送信される。
【0024】
  命中時刻算出部9dは、指令時刻Tcにおいてレーザ射出部3aに射出指令が発せられた場合に、レーザ射出部3aからのレーザ光がミサイル1に当たる命中時刻Ts(以下で単に命中時刻Tsともいう)を算出する。ここで、レーザ射出部3aからのレーザ光は、ミラー5aで反射された後にミサイル1に当たることを前提としている。命中時刻Tsの算出方法は後述する。
【0025】
  位置推定部9aは、命中時刻Tsと最新の観測データとに基づいて、命中時刻Tsでのミサイル1の位置を推定する。
【0026】
  反射時刻算出部9eは、指令時刻Tcにおいてレーザ射出部3aに射出指令が発せられた場合に、レーザ光がミラー5aで反射される反射時刻Tr(以下で単に反射時刻Trともいう)を算出する。反射時刻Trの算出方法は後述する。
【0027】
  記憶部9fは、適宜の方法で取得されたミラー衛星5の軌道データ及び姿勢データを予め記憶している。ミラー衛星5の軌道データは、未来の各時刻におけるミラー衛星5の位置を表わしたデータである。ミラー衛星5の姿勢データは、未来の各時刻におけるミラー衛星5(ミラー衛星5の本体)の姿勢を表わしたデータである。当該姿勢は、地表座標系で表わされた姿勢であってよい。
【0028】
  ミラー位置算出部9gは、反射時刻Trと、記憶部9fのミラー衛星5の軌道データとに基づいて、反射時刻Trにおけるミラー衛星5(ミラー衛星5の本体)の位置を求める。
【0029】
  ミラー姿勢算出部9hは、反射時刻Trと、記憶部9fのミラー衛星5の姿勢データとに基づいて、反射時刻Trにおけるミラー衛星5の姿勢を求める。ミラー姿勢算出部9hが求める姿勢は、地表座標系で表わされた姿勢であってよい。

【選択図】図5
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【0030】
  目標姿勢算出部9iは、ミラー位置算出部9gが求めた反射時刻Trでのミラー衛星5の位置と、ミラー位置算出部9gとミラー姿勢算出部9hが求めた反射時刻Trでのミラー衛星5の位置及び姿勢と、位置推定部9aが推定した命中時刻Tsでのミサイル1の位置と、複数のレーザ装置3のレーザ射出部3aの代表位置P(後述する図5を参照)に基づいて、反射時刻Trにおけるミラー5aの目標姿勢を求める。この目標姿勢は、上述したようにレーザ光をミサイル1へ反射させる姿勢であって、ミラー衛星5の本体に対して表わされる姿勢である。ミラー5aは、ミラー衛星5の本体に対して姿勢が変更可能に設けられている。
【0031】
  目標方向算出部9jは、各レーザ装置3について、ミラー5aを介してレーザ光をミサイル1に当てるためのレーザ光射出方向を目標射出方向として求める。詳しくは、目標方向算出部9jは、各レーザ装置3について、ミラー位置算出部9gとミラー姿勢算出部9hが求めた反射時刻Trでのミラー衛星5の位置及び姿勢と、目標姿勢と、既知のミラー5aの形状データと、位置推定部9aが推定した命中時刻Tsでのミサイル1の位置と、当該レーザ装置3のレーザ射出部3aの既知の位置と、既知の制御遅延時間とに基づいて、目標射出方向を求める。ここで用いる既知の各データは、記憶部9fに記憶されていてよい。各レーザ装置3についての目標射出方向は、通信部11から無線で対応するレーザ装置3に送信される。なお、目標射出方向は、地表座標系で表わされた方向であってよい。
【0032】
<ミラー衛星5における構成>
  ミラー衛星5は、ミラー5aと、通信部5bと、ミラー制御部5cとを備える。ミラー5aは、本実施形態では凸面鏡である。通信部5bは、観測装置10から送信された目標姿勢を受ける。ミラー制御部5cは、ミラー衛星5の本体に対するミラー5aの姿勢が目標姿勢になるように、ミラー5aの姿勢を調整する。ミラー5aは、図示しない駆動機構を介してミラー衛星5の本体に取り付けられている。ミラー制御部5cは、この駆動機構を制御することにより、駆動機構が動作し、その結果、ミラー衛星5の本体に対するミラー5aの姿勢が調整される。なお、ミラー衛星5には、その本体に対して向きや位置が変更可能な物体(カウンターマス)が設けられていてもよい。この場合、ミラー制御部5cは、当該物体の向きや姿勢を変化させ、これによるミラー衛星5の本体の向きの変化を考慮して、ミラー5aの姿勢が目標姿勢になるように上記駆動機構を制御してもよい。また、ミラー制御部5cは、ミラー5aの姿勢変化が上述の所要時間の間において最小となるようにミラー5aの姿勢を制御してよい。
【0033】
<地表側の構成>
  各レーザ装置3は、レーザ射出部3aと通信部3bとレーザ制御部3cを備える。複数
のレーザ装置3のそれぞれのレーザ射出部3aは、地表において互いに離間した複数の位置にそれぞれ配置され、レーザ光を射出する。各レーザ装置3において、通信部3bは、対応する目標射出方向を観測装置10から受け、レーザ制御部3cは、当該目標射出方向に基づいて、レーザ射出部3aのレーザ光射出向きを当該目標射出方向に調整する。その後、各レーザ装置3において、通信部3bが観測装置10から受けた指令時刻Tcになったら、レーザ制御部3cは、レーザ射出部3aに対し射出指令を発する。これにより、複数のレーザ射出部3aは、それぞれの目標射出方向にレーザ光を射出する。これらのレーザ光は、ミラー5aで反射されてミサイル1(ミサイル1における同一箇所)に、所要時間の間、同時に照射される。
【0034】
(迎撃方法)
  図3と図4は、本発明の実施形態による迎撃方法を示すフローチャートである。この方法は、上述の迎撃システム100を用いて行われる。図5は、迎撃方法の説明図である。また、この迎撃方法では、複数の観測衛星6と複数のミラー衛星5が、互いに異なる位相で、防衛対象地域の上空を通過する軌道上を飛翔している。ただし、図5では、1対の観測衛星6とミラー衛星5を図示している。迎撃方法は、ステップS1~S14を有する。
【0035】
  ステップS1において、観測衛星6に搭載された通信部11は、防衛対象地域へ向かって飛翔してきたミサイル1の位置を示す位置データを、図示しない監視装置(例えば地表面又は船に設置されたレーダ)から受ける。この場合、監視装置は、各観測衛星6の軌道データに基づいて、複数の観測衛星6のうち、上記位置データが示す位置から所定距離内にある(例えば当該位置に最も近い)観測衛星6を選択する。次いで、監視装置は、選択した観測衛星6に位置データを送信する。
【0036】
  ステップS1で位置データを取得した観測装置10は、ステップS1以降の処理において用いられてよい。
【0037】
  ステップS2において、レーダ7は、上記位置データが示す位置のミサイル1に対して、より精密な位置測定を行う。すなわち、レーダ7は、当該ミサイル1の位置を各時刻で測定し、各時刻の当該位置を観測データとして取得する。次いで、ステップS3へ進むが、以降においても、ステップS2は繰り返される。すなわち、レーダ7は、観測データを繰り返し取得する。
【0038】
  ステップS3において、演算装置9は、未来時刻におけるミサイル1の位置を推定し、その推定値の誤差の大きさが、設定値(絶対値)よりも小さいかどうかを判断する。ステップS3は、ステップS31~S33を有する。
【0039】
  ステップS31では、観測装置10の位置推定部9aは、ステップS2で得られた観測データに基づいて、未来時刻におけるミサイル1の位置を推定する。
  ステップS32では、当該未来時刻になった時にレーダ7によりミサイル1の位置を測定する。
  ステップS33では、誤差判定部9bは、ステップS31で推定した位置と、ステップS32で測定した位置との差(誤差)の大きさが、設定値よりも小さいかどうかを判定する。この判定の結果が肯定である場合には、ステップS4へ進む。そうでない場合には、新たに得た最新の観測データに基づいてステップS3を再び行う。
【0040】
  ステップS4において、指令時刻設定部9cは、現時刻に対する未来時刻を指令時刻Tcとして設定する。指令時刻Tcは、通信部11から無線で地表側の各レーザ装置3に送信される。
【0041】
  ステップS5において、最新の観測データに基づいて、指令時刻Tcにおけるミサイル1の位置を位置推定部9aにより推定する。
【0042】
  ステップS6において、命中時刻算出部9dは、指令時刻Tc、ミラー衛星5の軌道データなどに基づいて、ミサイル1にレーザ光が当たる未来の予測時刻を命中時刻Tsとして求める。ステップS6は、一例では、ステップS61~S63を有するが、この例に限定されない。
【0043】
  ステップS61では、命中時刻算出部9dは、ミラー衛星5の軌道データに基づいて、指令時刻Tcでのミラー衛星5の位置を求める。この時、命中時刻算出部9dは、記憶部9fにおける、各ミラー衛星5の軌道データに基づいて、ステップS1で得た位置データが示す位置から所定距離内にある(例えば当該位置に最も近い)ミラー衛星5を選択する。次いで、命中時刻算出部9dは、選択したミラー衛星5の軌道データに基づいて、指令時刻Tcでの当該ミラー衛星5の位置を求める。
【0044】
  ステップS62では、命中時刻算出部9dは、レーザ光の伝播時間ΔTmを求める。ΔTmは、ΔTm=(L1+L2)/cにより求められてよい。ここで、cは光速であり、L1は、ステップS5で推定したミサイル1の位置とステップS61で求めたミラー衛星5の位置との距離であり、L2は、ステップS61で求めたミラー衛星5の位置と複数のレーザ装置3のレーザ射出部3aの代表位置Pとの距離である。この代表位置Pは、図5に示すように、複数のレーザ射出部3aの位置に関する中央位置であり、例えば、複数のレーザ射出部3aの位置との距離の合計が最小になる位置であってよい。
【0045】
  ステップS63では、命中時刻算出部9dは、Ts=Tc+ΔTm+ΔTdにより命中時刻Tsを求める。ここで、ΔTdは、既知の制御遅延時間である。すなわち、指令時刻Tcで射出指令がレーザ射出部3aに発せられた場合に、指令時刻Tcから制御遅延時間が経過した時刻で、レーザ射出部3aはレーザ光を射出する。
【0046】
  ステップS7において、反射時刻算出部9eは、指令時刻Tcで射出指令が発せられた場合にレーザ光がミラー5aで反射される反射時刻Trを求める。Trは、例えば、Tr=(Tc+Ts)/2により求められてよい。すなわち、Trは、TcとTsの真ん中の時刻であってよい。ただし、反射時刻算出部9eは、Trを他の方法で求めてもよい。
【0047】
  ステップS8において、ミラー位置算出部9gは、反射時刻Trと、記憶部9fにおけるミラー衛星5(ステップS61で選択したミラー衛星5)の軌道データとに基づいて、反射時刻Trにおけるミラー衛星5の位置を求める。また、ステップS8において、ミラー姿勢算出部9hは、反射時刻Trと、記憶部9fにおける同じミラー衛星5の姿勢データとに基づいて、反射時刻Trにおけるミラー衛星5の本体の姿勢を求める。
【0048】
  ステップS9において、位置推定部9aは、レーダ7が測定した最新の観測データに基づいて命中時刻Tsでのミサイル1の位置を推定する。
【0049】
  ステップS10において、目標姿勢算出部9iは、ステップS8で求めたミラー衛星5(ミラー衛星5の本体)の位置及び姿勢と、ステップS9で推定した命中時刻Tsでのミサイル1の位置と、複数のレーザ射出部3aの代表位置Pとに基づいて、ミラー衛星5の本体に対するミラー5aの目標姿勢を求める。ステップS10は、S101~S103を有する。
【0050】
  ステップS101では、目標姿勢算出部9iは、ステップS8で求めた反射時刻Trでのミラー衛星5の本体の位置から、ステップS9で推定した命中時刻Tsでのミサイル1
の位置へ向かう単位ベクトルV1(図5)を求める。
  ステップS102では、目標姿勢算出部9iは、ステップS8で求めた反射時刻Trでのミラー衛星5の本体の位置から、代表位置Pへ向かう単位ベクトルV2を求める。
  ステップS103では、目標姿勢算出部9iは、ステップS101、S102でそれぞれ求めた2つの単位ベクトルV1,V2を合成した合成ベクトルV3を求める。次いで、目標姿勢算出部9iは、ステップS8で求めたミラー衛星5の本体の姿勢に基づいて、この合成ベクトルV3を、ミラー衛星5の本体に固定された本体座標系で表わした本体ベクトルを求める。また、ステップS103では、通信部11は、この本体ベクトルを目標姿勢として無線でミラー衛星5へ送信し、その通信部5bは目標姿勢を受ける。
【0051】
  ステップS11において、ミラー衛星5のミラー制御部5cは、ステップS103で通信部5bが受けたミラー5aの目標姿勢に基づいて、ミラー5aの姿勢を、当該目標姿勢になるように調整する。すなわち、ミラー制御部5cは、ミラー5aの反射表面(例えば当該表面の中央位置での当該表面)の法線が、目標姿勢である上記本体ベクトルの方向を向くようにミラー5aの姿勢をミラー衛星5の本体に対して調整する。この時、ミラー制御部5cは、適宜の駆動機構を駆動させることによりミラー5aの姿勢を調整してよい。このような調整に使用する他のデータ(例えばミラー5aが基準姿勢にある時の上記法線の向き)は、ミラー制御部5cに予め記憶されていてよい。
【0052】
  一方、ステップS12において、各レーザ装置3について、ステップS7で求めた反射時刻Trでのミラー衛星5の位置及び姿勢と、ステップS10で求められたミラー5aの目標姿勢と、既知のミラー5aの形状データと、ステップS9で推定した命中時刻Tsでのミサイル1の位置と、当該レーザ装置3のレーザ射出部3aの既知の位置とに基づいて、目標方向算出部9jは、当該レーザ射出部3aの目標射出方向を求める。すなわち、各レーザ装置3について、レーザ射出部3aから目標射出方向に射出されたレーザ光が、ステップS7で求めた反射時刻Trでの位置及び姿勢にあるミラー衛星5における目標姿勢のミラー5aの特定位置で反射されて、ステップS9で推定した命中時刻Tsでのミサイル1の位置に当たると仮定し、当該仮定の下で、目標射出方向が目標方向算出部9jにより求められる。ここで、ミラー5aの上記特定位置は既知のミラー5aの形状データに基づく位置である。また、ステップS12において、通信部11は、各レーザ装置3について求められた目標射出方向を、対応するレーザ装置3へ送信し、その通信部3bは対応する目標射出方向を受ける。
【0053】
  ステップS13において、各レーザ装置3において、レーザ制御部3cは、ステップS12で通信部3bが受けた目標射出方向に、レーザ射出部3aのレーザ光射出向きを調整する。
【0054】
  ステップS14において、各レーザ装置3において、レーザ制御部3cは、指令時刻Tcに、各レーザ射出部3aに射出指令を発する。これにより、各レーザ射出部3aは、指令時刻Tcから制御遅延時間が経過した時刻で、調整された目標射出方向にレーザ光を射出する。その結果、各レーザ装置3からのレーザ光をミラー5aで反射させてミサイル1に、所要時間の間、同時に照射することができる。
【0055】
  なお、ステップS14は、次のように行われてもよい。複数のレーザ装置3のうちいずれか1つのレーザ装置3(以下で先行レーザ装置3という)において、レーザ制御部3cは、指令時刻Tcに、レーザ射出部3aに射出指令を発する。これにより、先行レーザ装置3は、指令時刻Tcから制御遅延時間が経過した時刻で、調整された目標射出方向にレーザ光を射出する。
  この時、先行レーザ装置3以外の各レーザ装置3(以下で後行レーザ装置3という)は、照準装置3dを用いて以下のようにレーザ光を射出する。照準装置3dは、例えば、レ
ーザ射出部3aのレーザ光射出向きと平行な光軸を持つようにレーザ射出部3aに取り付けられた望遠レンズと、この望遠レンズを介してミサイル1の画像データを生成するカメラと、照準点表示部とを備える。照準点表示部は、レーザ射出部3aからミラー5aを介したミサイル1までの目標距離と、上記望遠レンズとレーザ射出部3aとの位置関係(パララックス)とに基づいて、上記カメラが生成した画像データにおいて照準点を表わす。レーザ制御部3cは、当該画像データにおいてミサイル1でのレーザ光スポット(すなわち、先行レーザ装置3からのレーザ光のスポット)に照準点が一致するように、レーザ射出部3aのレーザ光射出向きを目標射出方向から微調整し、次いで、レーザ射出部3aに射出指令を発する。
【0056】
  照準装置3dが用いる上記目標距離は、演算装置9により求められ、通信部11,3bを介して照準装置3dに入力されてよい。例えば、演算装置9は、上述の距離L1と、ステップS61で求めたミラー衛星5の位置とレーザ射出部3aの既知の位置との距離との合計を、上記目標距離として求めてよい。
【0057】
  また、ミサイル1を破壊するために、複数のレーザ光がミサイル1に同時に照射されている時間が所要時間以上となる必要がある場合に、次の(A)又は(B)の制御を行う。この場合、以下で説明しない点は上述と同じであってよい。
【0058】
(A)各後行レーザ装置3において、レーザ光の射出開始タイミングを調整する。各後行レーザ装置3からのレーザ光がミサイル1に到達するのに要する時間は、レーザ光の伝播距離や、レーザ光の伝播経路における大気層厚さなどにより、後行レーザ装置3毎に異なる。そのため、演算装置9は、各後行レーザ装置3からのレーザ光が、ミサイル1に照射され始める時点(以下で照射開始時点という)が同じになるように、後行レーザ装置3毎に調整指令時刻Tcを求める(この場合、上述のステップS4では、先行レーザ装置3のみの指令時刻Tcが設定される)。調整指令時刻Tcは、後行レーザ装置3毎に異なっている。求められた各後行レーザ装置3の調整指令時刻Tcは、通信部11,3bを介して、対応する後行レーザ装置3のレーザ制御部3cに入力される。したがって、各後行レーザ装置3において、レーザ制御部3cは、対応する調整指令時刻Tcにレーザ射出部3aに射出指令を発する。これにより、各後行レーザ装置3は、互いに異なる時点で、レーザ光を射出する。その結果、各後行レーザ装置3からのレーザ光は、同じ照射開始時点からミサイル1に照射される。この場合、各後行レーザ装置3は、少なくとも上記所要時間の間、連続してレーサ光を射出し続ける。
【0059】
(B)上記(A)と違って各後行レーザ装置3のレーザ光の射出開始タイミングを調整しない場合には、各後行レーザ装置3は、ミサイル1にレーザ光を同時に照射させる時間が上記所要時間を超えるように、上記所要時間に十分な余裕時間を加えた時間の間、連続してレーサ光を射出し続けるように構成される。
【0060】
  なお、上記(A)又は(B)の制御の場合、先行レーザ装置3は、各後行レーザ装置3よりも十分に長い射出継続時間の間、連続してレーザ光を射出し続けるように構成されている。この射出継続時間は、予測値であってよく、先行レーザ装置3に予め設定されていてよい。
【0061】
(衛星の軌道)
  上述した迎撃システム100と迎撃方法では、複数対の観測衛星6とミラー衛星5が用いられてよい。以下で1つの観測衛星6の軌道について説明するが、他の各衛星(観測衛星6とミラー衛星5)の軌道も同じである。

【選択図】図6
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【0062】
  図6は、メルカトル図法で描いた世界地図上に観測衛星6の軌道の一例を示している。
図6において、横方向の目盛の数字は、経度を表わし、縦方向の目盛の数字は緯度を表わす。
【0063】
  図6において、防衛対象地域は、一点鎖線で囲まれた領域(この例では日本近傍)又は当該領域内の局所範囲であり、北半球に位置する。これに合わせて、北半球側に遠地点を持ち地球を1つの焦点とする楕円の衛星軌道を、図6におけるメルカトル図法の地図に軌道Sとして表わしている。
【0064】
  このような軌道Sでは、観測衛星6は、北半球に位置する時には、南半球に位置する時よりも角速度が小さくなるので、北半球に滞在している時間が長くなる。その結果、観測衛星6のレーダ7は、北半球側の防衛対象地域へ向かうミサイル1を、長い時間、観測できる。図6において軌道Sの太線部分は、レーダ7がミサイル1を観測できる観測可能部分を示す。
【0065】
  図6では、地球3周分の軌道Sを示している。観測衛星6は例えば24時間で地球を2周する速度で移動してよい。この場合、図6の軌道Sにおける太線の観測可能部分を考慮すると、例えば、2対又は3対以上の観測衛星6とミラー衛星5が、互いにずれた位相で軌道S上を移動することで、常に、いずれかの対の観測衛星6とミラー衛星5により、防衛対象地域に対して上述の迎撃方法を実施できる。
【0066】
  なお、図6の軌道Sは一例であり、上述の迎撃方法を実施できれば、観測衛星6とミラー衛星5の軌道は、他の軌道であってもよい。また、観測衛星6とミラー衛星5の数は、常に、いずれかの対の観測衛星6とミラー衛星5が、防衛対象地域に対して上述の迎撃方法を実施できるように設定されてよい。
【選択図】図7
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【0067】
(実施形態による効果)
  上述した迎撃システム100及び迎撃方法によると、複数のレーザ装置3は、1つのミサイル1にレーザ光を、所要時間の間、同時に照射することにより、ミサイル1を破壊する。したがって、1つのレーザ装置3でミサイル1を迎撃する場合と比べて、より低いエネルギー密度のレーザ光を各レーザ装置3が射出することにより、ミサイル1を破壊することができる。
【0068】
  低高度地は雲等の影響を受けるため、低高度地において、複数のレーザ射出部3aを、広範囲に分散して(例えば互いに5km以上離間して)配置することが望ましい。この場合、互いに離間して配置するレーザ装置3の数を、ミサイル1を破壊するのに必要な数より多くすることで、一部のレーザ装置3(レーザ射出部3a)の上空に雲が多い場合でも、他の複数のレーザ装置3を用いて、ミサイル1を破壊することができる。
【0069】
  このように広範囲に分散して配置されたレーザ装置3からのレーザ光を1つのミラー衛星5のミラー5aでミサイル1へ反射させるために、凸面鏡であるミラー5aを使用する。ミラー5aが凸面鏡であるので、ミラー5aの寸法を、ミラー衛星5に搭載可能な寸法にすることができる。これに対し、複数のレーザ射出部3aを半径10kmの円形領域内に分散して配置した場合に、ミサイルの高度が150km程度であり、ミラー衛星5の高度が1000km程度であり、ミラー5aが平面鏡であると、5km程度の寸法のミラー5aが必要となる。
【0070】
  本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、次のように別の構成例が採用されてもよい。
【0071】
  図7は、本発明の別の構成例による迎撃システムの構成を示すブロック図である。図7
のように、観測装置10の各構成要素は、観測衛星6と地上側の管制装置13とに分散して設けられてよい。図7の例では、観測装置10における上述した各構成要素のうち、レーダ7と通信部11は観測衛星6に設けられるが、他の各構成要素は、地表に配置された管制装置13に設けられる。
【0072】
  この場合、レーダ7が取得した観測データは、観測衛星6の通信部11から管制装置13の通信部15へ送信される。これにより、観測データは、通信部15を介して演算装置9(位置推定部9aや誤差判定部9bなど)に入力される。観測装置10からミラー衛星5への各データ(目標姿勢など)の送信や、観測装置10から各レーザ装置3への各データ(指令時刻Tcや目標射出方向など)の送信は、管制装置13の通信部15により行われてよい。図7のような構成における他の点は、上述と同じであってよい。
【符号の説明】
【0073】
1  ミサイル、3  レーザ装置、3a  レーザ射出部、3b  通信部、3c  レーザ制御部、3d  照準装置、5  ミラー衛星、5a  ミラー、5b  通信部、5c  ミラー制御部、6  観測衛星、7  レーダ、9  演算装置、9a  位置推定部、9b  誤差判定部、9c  指令時刻設定部、9d  命中時刻算出部、9e  反射時刻算出部、9f  記憶部、9g  ミラー位置算出部、9h  ミラー姿勢算出部、9i  目標姿勢算出部、9j  目標方向算出部、10  観測装置、11  通信部、13  管制装置、15  通信部、100  迎撃システム、Tc  指令時刻、Tr  反射時刻、Ts  命中時刻、P  代表位置


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2019年防衛技術シンポジウム会場にてDdog撮影

1979年に『機動戦士ガンダム』が放映され、早40年が過ぎた、人が搭乗する軍用巨大ロボットは未だ具現化していないが、SFだと思われていた技術は若干形を変え現実になりつつある。

アニメやSFの世界では、人が搭乗する2脚歩行の人型巨大ロボット兵器は一般的です。ですが、リアルな現実においてはその巨大ロボットの戦術的効果は、まったく認めらず、実用化する見込みはいまのところありません。仮にあるとすれば、兵員募集の宣伝効果と、基地祭等で、国民を喜ばせる玩具にはなります。戦国武将の兜の鍬形や前立てのように、戦場で目立ち、威厳や地位を誇示し、自らの矜持や信念を表す効果はあるでしょうが、費用対効果はちょと合わないと思います。

『機動戦士ガンダム』におけるモビルスーツは企画段階において、当初その後に放映された装甲騎兵ボトムズ(1983年)のような歩兵の戦闘力を強化するために着る装甲スーツとして設定されていましたので、「モビルスーツ」という名称が残ったとのことです。
※当時高校生であった私は、巨大ロボットアニメなど子供向けだと卒業していましたが、後輩がとてもリアルなアニメだと言うので見てみたら、たちまち嵌りました。

第一次世界大戦時実用化した戦車は、年々主砲が大きくなり、その威力に耐えられるように装甲も厚くなり、重くなった車体を無理やり動かすために大馬力エンジンを詰め込んで、地面で動かすには限界点に近い重さ60tを超えるようになってしまい。進化が足踏みしています。恐竜と同じように静かに絶滅への向かっています。

そして現在、リアルの世界では、無人戦闘車輌と、強化戦闘歩兵用パワードスーツが新たな新兵器として、実用化し、進化への競争が始まったと認識していいかもしれません。

米国  TALOS

アフガニスタンやイラクの戦場で、多くの人命を失い、軍への志願者が減少し、米軍は深刻かつ慢性的な兵員志願者不足に陥ってしまった。徴兵制を復活させるわけにもいかず、その解決策として、少ない人員を、人工的テクノロジーで一騎当千の兵士に変え、かつ、貴重な兵員の命を守ることが課題となった。

米国では、90年代からDARPA(国防高等研究計画局)を中心に、兵士とロボットを融合させる軍用パワードスーツ技術開発がはじまり、DARPAが推し進めるウォリアー・ウェブ・プロジェクト」(Warrior Web Project)の目的は、「ウェアラブル・ロボット」技術によって兵士のパフォーマンスを高めることにある。


2000年代初頭の頃はまだ、電源コードを引きずった実験室レベルの試作品が、近年一気に実用レベルに達し、アメリカ特殊作戦軍(US SOCOM)の主導の下でTALOS(タロス)「Tactical Assault Light Operator Suit」という軍用パワードスーツ(強化外骨格)が2019年配備目標で、研究されていた。
2013年10月12日


ところが、2019年2月最新版プロトとなる『Mk.5 戦闘スーツ』の開発目途が立たず、「近接戦闘環境での運用には適していない」「スーツ全体の相互接続性がうまく機能しない」として終焉が報じられている。

だが、2019年5月のフロリダ州タンパで開催された『特殊作戦部隊産業会議(SOFIC: Special Operations Forces Industry Conference)2019』において、米軍特殊作戦司令部(USSOCOM)取得部門の幹部Scott Gourley氏が、『統合戦術強襲用軽量オペレータースーツ『TALOS(Tactical Assault Light Operator Suit)プロトタイプ』のパネルを紹介した。


また、計画の総括責任者であるジェームス・ミラー大佐によれば、「コンセプト通りに計画は進行しており、2019年にはMark-5という外骨格のプロトタイプを公開できる」と回答しています。


2021年の米国国防省予算のページで検索をかけたが、TAROSを見つけることはできなかった。だが、国防省米陸軍のページでは関連研究をしているようなことはでていたが、最新ニュースが不明だ。
TAROSは特殊部隊用であり、ビンラディンを急襲した特殊部隊用ステルスヘリは、未だに表にでてこない。予算削減の影響で、計画に遅延は発生しているものの、中露に遅れをとることはできないはずであり、何らかの形で現在もTALOS計画は進行中の可能性は高い。

米国 Lockheed Martin ONYX

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アメリカ陸軍のナティック研究開発技術センター(NSRDEC)は、ロッキード・マーティンと外骨格型パワードスーツ「オニキス(ONYX)」をデモンストレーション用に機能拡張を図る総額690万ドルの契約に合意したと発表しました。AIを利用したこのパワードスーツのデモンストレーションは、2019年に予定されています


タンパ、フロリダ州、2017年5月16日 / PRNewswire / -

兵士らのの過酷な任務は、多くの場合、重い装備を背負い起伏の多い地形、または坂道や階段や都市の地下トンネルなど長い距離を運ぶことである。これらの困難な運用シナリオの結果疲労や怪我は日常茶飯事である。Lockheed Martin社の新しいパワードスーツがその解決策を提供します。

Dermoskeleton TMバイオニックオーグメンテーションテクノロジーを使用したFORTIS膝ストレスリリースデバイス(K-SRD)TMは、腰と脚の過度の負荷を軽減し、可動性と耐荷重性を高めるコンピューター制御のパワードスーツ(外骨格)です。それは、反復的または継続的なひざまずくまたはしゃがむ、または重い荷物で持ち上げたり、引きずったり、運んだり、登ったりすることを必要とする肉体的に厳しいタスクの脚の能力を高めます。

「FORTIS K-SRDは、歩兵用に承認された軍事仕様のバッテリー、改良された制御ボックスの人間工学、およびより多くのトルクを生成するより高速なアクチュエーターを特徴としています」とLockheed Martin MissilesおよびFire ControlのFORTISプログラムマネージャー、Keith Maxwellは述べました。「これらのシステムのアップグレードは、初期の設計に関する兵士のフィードバックを元に設計しています。」


 
FORTIS K-SRD Lockheed Martin

外骨格のセンサーは、兵士の速度、動きの方向、および角度を、膝の電気機械式アクチュエーターを駆動する搭載コンピューターに報告します。外骨格は、適切なタイミングで適切なトルクを提供し、膝の屈曲と伸展を支援します。FORTIS K-SRDは最終的に、地形を横断したり、しゃがんだり、ひざまずいたりするのに必要なエネルギーを減らします。これらの利点は、階段を上り下りするとき、または傾斜した表面を移動するときに最も顕著になります。

外骨格のバージョンは、困難な環境で激しい作業を行わなければならない産業労働者や初動対応者にも利用できます。

Maxwell氏によると「人が持ち運べる重いギアとクライミングを組み合わせたミッションでは、FORTIS K-SRDは強度と耐久性を高めることができます」とのことです。

米国は高価なTALOSは、特殊部隊用とし、普通部隊用には、このロッキード・マーチン社のONYXを配備していくものと思われます。

ロシア

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© 写真 : Press service of Rostec

ロシア国営「ロステック」の一部門が、炭素繊維強化プラスチック製のパワードスーツを開発した。兵士が最大で重さ50キロの荷物を持って移動するのを楽にし、すでに実際の戦闘行動でテストされている。「ロステック」の広報部が発表した。

同パワードスーツは、21日に開幕した軍事技術フォーラム「アールミヤ2018」で初めてお披露目された。
プレスリリースによると「『ロステック』のデモンストレーションセンターで『未来の兵士』の装備用の外骨格構造が紹介されている。同開発は、実際の戦闘行動条件下で既にロシア軍のテストを受けており、高い効果が確認されている」。

また「軽量の炭素繊維強化プラスチックでつくられているパワードスーツは、最大50キロの重さの荷物(レイドパック、特殊装備品、武器、弾薬)を運ぶ際に、筋骨格系の負担を軽減する」という。


中国は、アイアンマン映画より中国製パワードスーツの方がうまく機能するかもしれないことを忘れてはなりません。十分なバッテリー電力の確保などのハードルにより、現在の外骨格デザインの有用性は制限されます。米特殊作戦司令部は、2013年に戦術的な突撃灯のオペレータースーツ(TALOS)外骨格を発表し、鎧の保護とセンサー、およびそのオペレーターの強化された強度と耐久性を発表して、大きな話題を呼んだ。しかし、2019年にSOCOMは、TALOSプロトタイプが作成されたが、プロジェクトが目標を達成できなかったことを認めました。

中国もパワードスーツ(外骨格武器)コンテストを開催

アメリカとロシアが外骨格を開発しているので、本質的には、サイエンスフィクションに描かれているパワードアーマースーツや、Starship TroopersやIron Manなどのスーパーヒーロー映画ですが、中国がそれに続くことは避けられませんでした。

2019年10月、人民解放軍の陸軍装備部門は、最高の外骨格デザインを求めるコンテストを開催しました。コンテストでは、29チームが50のプロトタイプを提出しました。

「ご存じのように、大砲の争点作業は大変な作業です」と中国のソーシャルメディアプラットフォームWeChatに関する記事は述べています。「これは特に砲弾の重量が数十キロである大口径榴弾砲に当てはまり、装填砲の繰り返しの動きは疲れ果てており、多くの人が若い頃から背中の悪化の問題を抱えており、砲術の効果に影響を与えています。」


競争には外骨格が含まれていました。機械式パワーアシスト外骨格を装着したローダーは、40キロから50キロ[88から110ポンド]の重量の155 mm砲弾を楽々と持ち上げる「ヘラクレス」に変形しました。その他のテストには、軽量の移動性、行進中に体重を支える能力、および材料の取り扱いが含まれていました。

WeChatの記事は、軍の外骨格の美徳を称賛した。「敵陣の背後での作戦、山岳戦争、国境警備隊、または救助および災害救援などの戦闘状況では、モバイルプラットフォームは通常ミッションエリアに到達できないか、燃料供給が非常に長い間運営するには不十分です。外骨格は、重い荷物を運ぶ際の機動性を高めたり、長期的な行進の肉体的疲労を軽減しながら複雑な地形への適応性を高めたりすることができます。」

特に興味深いのは、中国が軍事外骨格の開発において他の国に遅れをとることはできず、後れもしないという記事の主張です。「多くの人々は外骨格がSFの領域に残っていると信じていますが、この見解は反証されており、技術の進歩により外骨格は実用的になっています。ロシアはシリアの戦場で、地雷除去作業にK-2外骨格を採用した兵士のビデオを公開し、いくつかの米国外骨格システムが中東の戦場で使用されています。

「もちろん、中国は遅れをとっていない」と記事は警告した。「そして、この「スーパーパワーウォリアー-2019」の競争は、中国の外骨格システムも徐々に実用性に向かっていることを示しています。」

米陸軍の外国軍事研究局は、国営の武器メーカーNorincoが民間用の外骨格プログラムを持っているという中国のWebフォーラム上の指摘に言及しました。「ノリンコのノースウェスト電気機械工学研究所(202研究所)は、2013年4月に外骨格研究プログラムを設立しました」とFMSOは述べています。「研究所は外骨格のデジタル設計、モデリング、物理プロトタイピングを2年で完了したようで、2015年に環境試験に参加しました。多くの民間大学が民間アプリケーションの関連作業に関与しているようです。中国では高齢者人口が急増しているため、特に高齢者向けの歩行補助外骨格は関心のある分野のようです。」

残念なことに、中国はアイアンマンのスーツが映画よりもうまく機能することを発見するかもしれません。そこでは、十分なバッテリー電力の確保などのハードルが現在の外骨格デザインの有用性を制限しています。米特殊作戦司令部は、2013年に戦術的な突撃灯のオペレータースーツ(TALOS)外骨格を発表し、鎧の保護とセンサー、およびそのオペレーターの強化された強度と耐久性を発表して、大きな話題を呼んだ。しかし、2019年にSOCOMは、TALOSプロトタイプが構築されている一方で、プロジェクトが目標を達成できなかったことを認めました。

元々の目標は、「人質救出でドアを通り抜けて、彼の防護プレートが彼を救うことができない場所で撃たれたオペレーターに基づいていた」ということでした。 USSOCOMの関係者は、2019年の会議で、彼らが漏斗の火に直面することを彼らが知っているときのドアはどうだろう」と述べた。

「近接戦闘環境でのプライムタイムの準備ができていません」と彼は認めた。当面は、中国がこれ以上の成功を収めることはなさそうです。



日本

もしかしたら、令和3年(2021年)までに試験評価が終わるため、日本が世界ではじめて、パワードスーツを部隊配備する可能性がある。
ただし、他国と違い日本の場合は、主目的が災害救助用である。元祖ガンダム国家の面目躍如である。
 防衛装備庁技術シンポジウム2019

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自衛隊の高機動パワードスーツの目的は主目的が災害復旧・救助に主眼が置かれているため、予算等がつきやすく、他国以上に早く普及する可能性がある。

高機動パワードスーツの研究試作(先進技術推進センター) 2019/11/28



高機動パワードスーツの性能確認試験(平成30年度)2019/11/28


高機動パワードスーツの研究
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高機動パワードスーツはもはや改良型が出ている。
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更に、将来デザイン案が公表されている。また(災害対応型)とあるので、(災害対応型)で、部隊配備・整備インフラを整えた上で、(戦闘型)もいずれ開発されるのであろうと、期待できます。
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戦闘型ではパワードスーツの両脇にそれぞれライフルと軍刀をなんとなく差せさそうな感じがしますよね・・・気のせいでしょうか?

武器の特性として、次第に大型化高機能化していくと思います。

次の段階では、パワードスーツに搭載できる対空対戦車ミサイルを数発ほど積んで、高速機動車輌で戦場を移動し、物陰から対空対戦車ミサイルを打ち合うことをするかもしれません。しかも、クラウドシューティングなので、攻撃指示だけだして、機動車輌から発射したり、ドローンや衛星から攻撃を行うこともありえます。

また、人間は隊長だけで、兵員は全て人型や車輌型ロボットで構成し、暗殺や人質奪回作戦は、ドローンや人型ロボットということも考えられます。もちろん、突撃していくのは無人機もしくはロボットです。なにやら昔話のモモタロウの鬼が島突撃隊の構成に似ています(笑)。

■Pigg Rooms Japan■-momo 01

隊長の桃太郎(人間)、犬(無人車輌もしくは四足歩行ロボット)、猿(人型ロボット)雉(ドローン)。

となると・・・武器はすべて大型化・高性能化していく特性から、このまま進化しあと100年から150年後、無人MBTやVLSに対空・対戦車ミサイル詰めた戦闘車両に、巨大化した人型ロボット、更に無人機・ドローンが入り乱れて戦う戦場もじつげんするかもしれません。

もしかしたら、巨大ロボット同士が戦う戦場が出現する可能性はゼロではありません。ただし、その場合、人が搭乗はない無人機としてだと思います。もしかしたら空も飛んでいるかも知れません(笑)人の想像するものは、すべて実現化は可能なのです。



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