猛威振るうエボラ出血熱、729人が死亡 史上最悪
【msn産経】2014.8.1
【ブリュッセル=内藤泰朗、ニューヨーク=黒沢潤】西アフリカでエボラ出血熱が猛威を振るっている。3月から始まった感染拡大は史上最悪の規模となり、世界保健機関(WHO)は7月31日、729人が死亡したと発表した。関係各国は非常事態を宣言するなどして封じ込めに全力を挙げており、欧米諸国も感染の連鎖を防ごうと対策に乗り出した。
感染が広がっているのはギニア(死者339人)、シエラレオネ(同233人)、リベリア(同156人)の3カ国。国境を接していないナイジェリアでも1人が死亡し、空路による感染拡大の懸念が欧米に広がった。
WHOによると、感染が確認、または疑われる例は計1323人に上る。チャン事務局長は31日、「新たな段階」に対応すべきだと述べ、対策費として1億ドル(約103億円)を拠出する考えを表明した。
ロイター通信によると、シエラレオネのコロマ大統領は30日、緊急事態を宣言し、エボラ熱の感染が拡大する地域に治安部隊を派遣し、人の出入りを制限する方針を示した。
隣国リベリアの政府も同日、国内すべての学校を一時閉鎖し、基幹業務以外に従事する政府職員に対して30日間の出勤停止を命じる緊急対策を発表した。
米メディアは、「最もよい条件の下でも、封じ込めには3~6カ月かかるのではないか」という米疾病対策センター(CDC)のフリーデン所長の見通しを伝えた。国際医療支援団体「国境なき医師団」(MSF)も、「状況は悪化し続けている」と警鐘を鳴らしている。
CDCは31日、感染が広がる3カ国への不要不急な渡航を控えるよう求める米国居住者向けの勧告を出した。勧告は3段階のうち最も高い「レベル3」で、2003年の新型肺炎(SARS)の際にも出された。健康上の高いリスクがある場合に限られている。
AP通信などによると、米国人医師らが現地で活動中にエボラ熱に感染し、本国に搬送され治療を受ける予定だ。感染拡大を受け、米政府が組織するボランティア支援団体「平和部隊」は、3カ国に展開する340人を順次撤退させている。西アフリカからの移民が多い英国でも、緊急閣議を開催するなどして状況を注視している。
WHOは1日、ギニアの首都コナクリで感染者が出た国々の首脳らと対策会議を開く。米ワシントンで6日に開かれる米アフリカ首脳会議でも、この問題が議題となる見通しだ。
●エボラウイルス
アフリカのザイール(現在のコンゴ民主共和国)のヤンブク周辺、エボラ川流域の村で初めて感染が確認されたため、この名がついた。
RNAウイルス(RNAという核酸を含んだウイルス粒子をタンパク質の殻が包んでいる形のウイルス。
モノネガウイルス目フィロウイルス科に属する。
モノネガウイルス目には狂犬病ウイルスや麻疹ウイルス(はしかを起こす)が含まれる。詳しく言うと、「非分節マイナス鎖RNAをゲノムに持つウイルス」のことである。
フィロウイルス科にはエボラウイルス属とマールブルグウイルス属が含まれる(現在、「クエバウイルス属」がフィロウイルス科に提唱されているが、正式には属していない)。マールブルグウイルスはエボラウイルスと同じような感染症(マールブルグ出血熱、マールブルグ病と呼ばれる)を引き起こす。
フィロとは「繊維」という意味で、ウイルスが細く糸のような繊維状の形をしていることからこのような名がついている。
●エボラ出血熱
エボラウイルスが原因で起こる感染症。「エボラ熱」「エボラウイルス感染症(AVD)」とも呼ばれる。インフルエンザ様の症状から全身からの出血まで、その激しい症状と高い病原性(後述)から、最も恐れられている感染症の一つである。致死率はおよそ50%~90%。
マールブルグ病、クリミア・コンゴ出血熱、南米出血熱と共に、ウイルスが原因の視覚的な出血症状の見られる「ウイルス性出血熱」として知られている。
日本では、マールブルグ病、ラッサ熱と共に、国際伝染病として、感染確認時の隔離など、厳しい処置がとられる感染症の一つとなっている。
致死率
エボラウイルスの致死率は、型にもよるが、人が感染した場合はおよそ25%からおよそ90%にも上る。大体のケースは50%からおよそ90%となっている。エボラ出血熱流行時の史上最高致死率は88%。
エボラウイルスの特徴は、インフルエンザウイルスなどの他のウイルスと違って、人から人へ感染していくたびに致死性が低くなることが分かっている。(自然界から感染した第1号患者の致死率が最も高くなり、人から人への感染が繰り返された際の感染者の致死率が低くなる傾向にある。)
ザイールエボラウイルスの人に対する致死率は最高88%と、エボラウイルス属の中で最も高い。
サル(ここでは「カニクイザル」と「アフリカミドリザル」での臨床的特徴の結果を表す)の場合は約1週間で100%の致死率を示した。
その次にスーダンエボラウイルスの致死率が高く、人への致死率は約50%。
サルの場合は約1週間での致死率は30%から50%。
3番目にアイボリーコーストエボラウイルスが人への致死性が高い。
レストンエボラウイルスは人への致死性は示さない。人に対してはほぼ無害である。サルの場合、アフリカミドリザルは耐えることができ、カニクイザルは、約2週間で致死率は約50%。
エボラウイルスの電子顕微鏡写真
エボラウイルスは成長段階や個々によって大きさは異なっているが、大体の場合は、幅は80nm程度(およそ0.00008mm)、長さは大体974nmから1086nm(およそ0.001mm)。
(インフルエンザウイルスの直径は約0.0001mm)。
※ウイルスはとても小さいため、レンズを組み合わせて拡大する「光学顕微鏡」では見ることができない。そのため、電子(素粒子の一種)を当てたものを分析して映す「電子顕微鏡」を使う。電子顕微鏡では色は分からないため、白黒になる。
症状・検査
感染
ウイルスは細胞を持たず(遺伝子などのウイルス粒子を数種類のタンパク質でできた殻が包んでいるだけという、非常に単純な作りになっている。殻を「エンベロープ」と呼ぶ。ウイルスが感染に必要な突起部は、エンベロープにある)、宿主(ウイルスが入った生物)の細胞を借りて増殖する必要がある。細胞内に侵入した状態が「感染」である(細胞に触れた状態を感染とする場合もある)。増殖に使った細胞は死んでしまう。
●感染(侵入するまで)
[感染しやすさ]
エボラウイルスは感染力が大変強く、インフルエンザウイルスは体内に数百個~数万個のウイルスが入らないと感染しないのに対し、エボラウイルスは数個のウイルスが体内に入っただけでも感染する。ただ、拡散する能力はインフルエンザ以下です。
[感染する方法]
主な感染経路としては、患者の血液などの体液に触れることが挙げられる。また、飛沫感染(※)もある。基本的には、ちょっと近寄っただけでは感染しない。長い時間関わっていれば感染する可能性もある。ウイルス粒子の混ざった飛沫を吸い込んでしまえばそれで最後。
(しかし、2012年にウガンダで流行したスーダンエボラウイルスは、感染拡大の様子などから、空気感染(※)が疑われているが、詳しいことは分かっていない。)
サルでのエボラウイルス(レストンエボラウイルス)では、離れたゲージ同士のサルが一斉にエボラウイルスに感染し、感染サルの体液や排泄物に触れることができない状況下での出来事だった、という事件があったため、空気感染が疑われている。
そのほかの感染方法は、患者の排泄物や汗、遺体に無防備で触れたり、性交渉・性行為で感染する。つまり、感染者の体液・排出物でうつるのだ。感染後7週間たっても、精液で伝播する場合がある。
また、注射器の使いまわしによって感染者の血液が他者へと移って感染することもあり、流行時にこのことが問題となったこともあった。
エボラウイルスは宿主が死亡してからもしばらくの間は体に残る。感染者の遺体に触れた際、体液や血液を介して感染する恐れがある。流行する地域では「魔女の呪い」とされる場合があり、埋葬されずにそのまま祀られたりするため、遺体に触れて感染が広がる場合がある。西アフリカの一部の地域では、離れていても村人の葬儀に出席する風習があるため、広範囲に感染が広がる場合もある。くれぐれも現地で悪い噂を聞いた場合は近寄らないでほしい。
※飛沫感染とは、せきやくしゃみなどによって飛び散る飛沫に含まれる病原体が、口や鼻などの粘膜に吸い込んだりして直接触れて感染すること。1メートルから3メートルの範囲の人への感染が起こる。感染者がマスクを着用することでで感染拡大を防ぐことができます。
※空気感染とは、浮遊する病原体を吸い込むことによって感染すること。2つのタイプがあり、病原体が空気中を漂うタイプは飛沫核感染という。もう一つは、砂などに含まれる病原体が、浮遊した微粒子に付着して浮遊するタイプ。空気感染では、数十メートル離れていても感染する場合がある。飛沫感染などの直接的感染とは違い、感染の拡大が容易で、封じ込めが困難なため、爆発的流行につながる可能性がある。インフルエンザは空気感染を起こす有名な感染症。
●感染方法(侵入から感染まで)
ウイルスが体内の感染できる細胞へとたどり着くと、ウイルスの表面の突起(スパイク)が細胞表面へ吸着、スパイクを使って表面を破壊して侵入します。
侵入時、ウイルスのエンベロープ(前述、「構造」を参照)が細胞表面のタンパク質に結合する膜融合を行い、それによる脱殻(ウイルスの遺伝子を包むタンパク質の殻を取る)を行って細胞中にウイルス核酸(前述、「構造」を参照)を放出し、ウイルス核酸は自己複製を行い、同時に細胞内のタンパク質などの成分からカプシドやエンベロープを作り出し、完全な形となってから細胞外へ放出される。
感染された細胞は死滅する。
エボラウイルスの細胞への侵入の様子
出典
www.ims.u-tokyo.ac.jp
エボラウイルスの細胞への侵入の様子
ウイルスの感染初期過程として、細胞への吸着・細胞内への侵入・膜融合による脱殻(ウイルスの遺伝子を包むタンパク質の殻を取る)というステップがある。
エボラウイルスが細胞から出芽する様子
出典
www.ims.u-tokyo.ac.jp
エボラウイルスが細胞から出芽する様子
ウイルスが細胞内で増殖すると、細胞内からウイルスが出てくる(これを出芽という)。このウイルスが成熟すると、他のウイルスと同じように活動する。そして増殖を繰り返し、同時に細胞を破壊していき、悪化させていく。
●流行について
前述した「流行」に関して、流行と言っても、数百人のみの流行にとどまっている。
これは、エボラウイルスがいくら感染力が強いからと言っても、毒性が強すぎるため、感染者がすぐ死んでしまい、感染拡大につながりにくいためだ。また、発生する地域が人口が少なく人口密度が低い村がほとんどだということも、感染拡大につながりにくい原因の一つになる。
ただ、先進国の国際空港などに不顕性感染者(感染したものの、症状が出ずにいる人)がいれば一瞬にして広がるだろう。なかでも、スーパー・スプレッダーの存在は重大である。
※スーパー・スプレッダーとは、病原体をうつしやすい体質の人のことで、通常の人は、感染症を1人から2人にうつすが、スーパー・スプレッダーは10倍ほどの人(20人前後)にうつすこともある。SARS(重症急性呼吸器症候群、別名「新型肺炎」。2002年から2003年にかけて、中国を中心に8000人以上の感染者と700人以上の死者を出した感染症。肺炎が主な症状で、新種のコロナウイルスの仲間が発生したことが原因だった。現在は終息宣言が出されている。)の際に、感染を拡大させたのはこのスーパー・スプレッダーの存在だったと言われている。航空機内や空港などでは、感染拡大の大きな要因となる。
●日本での感染例
日本での感染(日本国内で生活している状態で感染した場合)は確認されていない。ただ、アフリカへ渡航した旅行者が感染した例が数十年前に一度あったが、重症には至らずに、以後良好で退院した。アフリカなどへの渡航の際は警戒してください。
そのほかの先進国では、アメリカなどでも輸入猿からの感染例などがある。
●感染に関する研究
エボラウイルスの感染の仕組みが判明できるように、研究が進められている。
2011年、米ホワイトヘッド研究所などのチームは、エボラ出血熱を引き起こすエボラウイルスの感染経路の一端を解明した。人間のゲノム解析で細胞へのウイルスの侵入に関わるタンパク質を特定したのだ。
研究チームはウイルスの侵入に関わるタンパク質を網羅的に調べた。その結果、コレステロールの輸送に関わる「NPC1」というタンパク質がエボラウイルスと結合し、細胞への侵入を手助けしていることを突き止めた。NPS1に変異を起こした細胞を作り確認した。このような、感染の手助けを行う(ウイルスと同定する)タンパク質(このようなタンパク質のことを宿主因子と呼ぶ場合もある)の解明は、多くの研究者の夢でもあった。
感染の仕組みが詳細に判明すれば、それを阻害できるような新たな治療薬の開発に繋げることができる。
症状
潜伏期間(ウイルスが体内に入ってから、症状が出るまでの、病原体が増える期間)は2日~21日程度で、通常7日程度。
発病は突発的で、突然の40度を超える発熱、悪寒、全身倦怠感・激しい衰弱、頭痛、筋肉痛、咽頭痛、胸の痛み、食欲不振を起こし、嘔吐、下痢、腹痛などを起こす。これはインフルエンザに近い症状であるため、エボラ出血熱に特徴的な症状(出血等)が出ない限りはこの時点での判別は難しい。
進行すると口腔、歯肉、結膜、鼻腔、皮膚、消化管など、全身で出血、吐血、下血がみられ、死亡する。この際、排泄物や吐しゃ物には血が多く含まれることが多い。死亡者のほとんどに消化管出血が見られる。
死亡原因としては、深刻な量の血液の損失により、酸素が欠乏し、出血性ショックを起こすことが多い。また、消化管出血による多臓器不全も多い。腎機能・肝機能障害も呈す。
出血は骨と骨格筋以外のほとんどから起こるという。主に内出血が中心で、血液が体外へ出る場合は、歯肉や鼻からの出血が多くみられるという。そのほか、血液の塊が皮膚表面にでき、それが破裂したり、毛細血管等からの出血など、出血が激しくなった場合は毛穴などからの出血も発生する。眼球裏の毛細血管等、全身体内から出血するため、目や耳・歯肉からの出血も見られる。
そして、血小板が著しく減少する(播種性血管内凝固症候群、DIC)ため、出血はなかなか止まらない。
死亡は発症から2週間以内、通常は発症から約1週間で死亡する。
また、エボラウイルスはコラーゲンを分解する働きを持ち、内臓などが溶け、壊死を起こす。これが、出血や細胞の破壊と同じく多臓器不全の原因ともなる。皮膚も溶けたように垂れ下がる場合もある。
約3週間持ちこたえれば、予後は回復へと向かう。
しかし、治癒した場合も、全身は重いダメージを受けており、失明などの重篤な後遺症が遺る場合もある。
また、不顕性感染者(感染したものの、症状が出ずにいる人。本人は自覚なしに生活するため、ウイルスの拡散の原因になる)が男女とも数%いる。
エボラ出血熱はインフルエンザのようなパンデミックにはならなかった。
なぜなら、宿主の人間を死に至らしめた後、ウイルスも死体と共に死滅するからだ。エボラは死亡した遺体であっても他者に感染する力を持つが、一帯全員の命を奪った後はウイルス自体も行き場を失ってしまう。
細菌との大きな違いは、ウイルスは必ず宿主に取りつくということだ。細菌のように2倍、4倍、8倍と自ら増殖する能力はない。
ウイルスは生命体と無生物の中間であるため生物のように種の保存や自己増殖する意志が無くはないが弱い。エボラウイルスは過去の流行が散発的だったのはそうした理由からだろう。散発的にしか発生してこなかったのは人類にしてみると幸いだった。その致死性の高さゆえ、エボラウイルスが長期的に蔓延することはないと思われる。
コラム:エボラ熱、過去最悪の感染はなぜ起きたのか
【ロイター】2014年 08月 1日 10:02 JST
Celine Gounder
[30日 ロイター] - アフリカ西部のギニア、リベリア、シエラレオネ、そしてナイジェリアへと拡大するエボラ出血熱の感染。「制御不能」となっている今回の流行ではすでに約700人が死亡、米国人医師2人を含む医療従事者も犠牲となった。
感染拡大の根底には、医療従事者に対する信頼の欠如があると言えるかもしれない。
エボラ出血熱は、感染者に接触したり、感染者の体液に直接触れたりして感染する。エボラウイルスは感染者の汗や血液、排泄物、吐しゃ物を介しても広がるため、適切な医療施設以外での封じ込めは困難だ。
エボラ出血熱の治療法は今のところなく、合併症の治療に効く可能性のある静脈内輸液や抗生物質といった対症療法しかない。ウイルスの感染拡大を止めるワクチンは存在しない。流行を防ぐ唯一の方法は、感染者を特定し、隔離することだ。
だが、医療従事者への信頼がなければ、感染者は病院にやって来ないだろう。
現在エボラ出血熱が流行しているアフリカ諸国では、患者は、地元の医療制度を信頼していない。それには相応の理由がある。クリニックや病院は職員が不足しており、医薬品や治療設備も不十分だからだ。困難な労働条件下では医療従事者の士気も低い。そうした状況にあるため、人々は伝統的治療法に頼っている。伝統療法はウイルスを退治することはできないかもしれないが、現代医療が見落としがちな気遣いと共感を与えてくれる。
エボラ出血熱の流行に見舞われた地域社会は、外国人医師も信頼していない。場合によっては、彼らが病気を持ち込んだと考えられている。
感染の結末が過酷であることも、医療従事者への信頼醸成を妨げている。患者が病院に運ばれてくるときは末期症状であることも多く、その場合の死亡率は90%にも上るため、入院すると遺体となって帰ってくることの方が多いからだ。
患者の家族は感染拡大を防ぐため、看病や伝統的埋葬をしないよう言われているが、医療機関への信頼の欠如は結果として、地域社会が感染を隠すことにつながっている。「国境なき医師団」や赤十字の関係者が支援に訪れても、彼らの活動に懐疑的な現地の人たちから脅迫されたり攻撃を受けたりしている。
言うまでもなく、人々が信頼していないのは医療制度だけではない。エボラ出血熱が流行している国々は政情不安や内戦に苦しみ、国民は役人のことも信頼していない。それが混乱に拍車をかけている。
問題は、どうやって信頼を築くかだ。
エイズウイルス(HIV)や結核のような他の感染症への取り組みは、感染地域からの声が重要な役割を果たすことを教えてくれた。公衆衛生当局者は、回復した患者や家族に協力してもらい、自分たちの経験ついて語ってもらう必要がある。宗教指導者や伝統的な治療家にも協力を仰ぎ、エボラ出血熱の知識を広めることも大切だ。
信頼できる声が届かなければ、エボラ出血熱の流行は拡大し続けるだろう。感染を食い止めるには患者の隔離が必要となる。しかし、外国人の救援者がウイルスを拡散させていると思い込み、家族から離されてベッドで孤独に死ぬのだと信じているなら、誰も隔離には応じないだろう。
*筆者は内科医で、感染症と公衆衛生の専門家。医療ジャーナリストでもある。