本書第四章 増税への洗脳は、まさに私がこのブログでも度々指摘していることが私が感じているだけのことではないと思った。
新聞もテレビでも財務省の増税シフト。メディアは増税を正当化する財務省の洗脳情報を垂れ流す道具となっている。
特にNHKのクローズアップゲンダイが1/10に放映したクローズアップ現代「2012年 岐路に立つ世界経済」の日本の国債について言及した部分は日本の国債暴落を防ぐ為に増税が必要なんだという洗脳番組になっていた。私は怒りすら感じた・・・
地銀あたりから国債の引き受けを止める動きがある、国債は暴落の危機にある。それを防ぐ為の財政再建は待った無しだとの屁理屈だ。国債の日銀引き受けをすればいいだけのこと・・・
増税なき財政再建を果した土光敏夫は地獄の釜の底で嘆いておられるに違いない。
事ある毎に財政再建に結びつけ増税しようと企む。
財務省は菅直人が財務大臣の時に菅直人のあまりの無知に付け込んだ。
乗数効果も知らず消費性向と混同した菅直人・・・
p80-83
本来、官僚機構は政治が決めた政策を実行するための実務集団に過ぎないが、この国では長らく官僚主導の政治加続いてきた。政策を行うには、それを裏付ける法案を通さなければならない。政策には多くの場合、予算が必要なので、政策も法案も予算も同義語だ。
たとえ法案や予算案を実際に書くのは官僚でも、成立させるのは国会議員なので、政は官の上位である。また、役人の人事権も各省庁の大臣に委ねられているので、制度的には政は官に強い。
ところが実際は、法律案や予算案を作成する官僚のほうが実権を握っている。法案には内閣が提出する開法と国会議員が提出する議員立法がある。日本では圧倒的に前者が多く、法案の九割を占めている。
閣法を作成するのは官僚で、国会議員には中身がよくわからない。対して官僚はいくらでも自分たちの都合のよいよう法案や予算案を作成する技術を身につけている。こうなると、官僚が国会議員を編すのはいとも簡単だ。指示に従っているふりをして、予算案や法案の中身には触れさせなければいいのだから。
要するに、法案や予算案を作成する官僚が事実上、政治の実権を持ってしまう構造になっているのだ。裏を返すと、閣法が法案の大半を占めていること自体が、官僚政治になっている証拠でもある。
さらに、役人の人事権も大臣の権限だとはいえ、自民党時代から人臣は事務次官が推薦するリストを承認するだけで、実質的な人事権はないに等しかった。気骨のある大臣が役所の推薦を拒否し、自分の思い通りの人事をしようとすると、役人は反発し、サボタージュで抵抗する。
役人は働かなくても、身分保障に守られているのでクビになることはないが、大臣はそうはいかない。部下がサボつて仕事が滞ると、大臣の失点になり、ド千をすると罷免されかねない。しかも、大臣の座に居られるのは、せいぜい二年ぐらいなので、初めのうちは、役人に対抗するぞと威勢が良くても、つい妥協して任期をまっとうしたいと考えるようになる。
大臣が役人の意に添わない政策をやろうとしたときも、同様に官僚はサボタージュで徹底抗戦するので、思い通りにならない。
民主党政権は、この官僚主導を政治主導に変えると公約し、国民の支持を受けたが、結局、看板倒れに終わったばかりか、自民党時代よりもむしろ、官僚に収り込まれている。万年野党だった民主党には、政権を担当できるだけの人材が育っていない。勢い官僚に頼らざるを得なかった。
脱官僚依存から親官僚へ
民主党政権が一八〇度方向転換したのは、菅政権に代わって増税の人合唱が始まったことで明らかになった。鳩山由紀夫総理は、就任記者会見で「脱官僚依存」といった。対して鳩山氏から政権をバトンタッチされた菅総理は、記者会見で「官僚は
政策のプロ」と持ち上げ、脱官僚は一切口にしなかった。
そして鳩山政権は増税を封印したが、菅総理は一転して、就任早々から消費税一〇パーセントに触れた。
実は「脱官僚」は小さな政府を目指すということなので、増税の話はしにくくなるのに対して、「親官僚」は大きな政府志向なので増税と結びつきやすい。
普天間問題との関係でいえば、鳩山政権のときには沖縄の負担軽減を打ち出したが、これは外務・防衛両省の官僚には好ましく思われていなかった。
対して菅政権は一転して対米追随路線。これは親官僚路線でもある。つまり鳩山政権から菅政権への交代は、内政では「増税しない」から「増税する」へ、外交では「沖縄負担軽減」から「対米追随」へと路線転換した瞬間だった。
とくに消費税一〇パーセント発言は、政権が「財務省の代弁者」になったことを意味していた。(略)
財務省以外は地盤沈下の霞が関
ただし、政権が親官僚に舵を切ったことで、霞が関の全体の力がアップしたというわけではない。財務省を除く省庁は、相対的に地盤沈下している。
皮肉なことに、財務省の一極支配に大きく貢献したのは、民主党政権がいまも建て前とする「脱官僚依存」である。脱官僚依存を実現するためには、財務省に頼らざるを得ないからだ。
財務省は「脱官僚依存」を楯にとって、容赦なく他の省庁を叩ける。とくに国土交通省、厚生労働省といった金食い虫は徹底的にやられた。文部科学省も、対立する日教組が民主党の支援団体だけに、辛い立場に追い込まれている。
しかも、自民党時代のように強力な応援団だった族議員の援護はもう受けられない。どの省庁も、防戦一方を強いられている。
財務官僚にとってはありとあらゆることを増税の理由づけとしてしまう。未曾有の東日本大震災など国民が悲しみに沈んでいる傍で財務官僚は欣喜雀躍して財政再建をの格好の材料にしてしまった。
ギリシャ危機も財務官僚にとっては消費税引き上げの格好の理由としてしまう。
ギリシャと日本では根本的に財政危機の質が根本的に違うなど一般国民には理解できていない。
2011年6月にIMFが日本に消費税を段階的に15%へ引き上げるよう要請したのは財務省のIMF出向者によるマッチポンプ詐欺である。
これは、財務省による洗脳以外なにものではない。消費税の段階的引き上げなど財務省の主張そのものなのだ!p156
p164-165
赤字はなるべく早期に解消し、財政再建をすべきだ。ただ、増税の前に金融政策、政府資産の売却など、踏むべき手順かおる。それを抜きにして、いきなり消費税をアツプし、国民に負担を強いるのはおかしい。(略)
財務省は財政再建、社会保障維持のためには増税しかないという。だが、財務省がひたすら増税に向けて邁進する理由は他にある。消費税率アップによって、財務省が自由に使えるカネを増やし、権限強化をすることだ。
さらにいえば、税率アップが財務省利権にとって重要だ。というのは、消費税率がアップすると、必ず軽減税率やゼロ税率の話が出てくるからだ。典型的な例が新聞業界だ。社会的使命を主張し、消費税の軽減税率を財務省に働きかけている。これはもちろん新聞では報道されない事実だ。
どの業界に軽減税率を適用するかどうかは財務省の胸先三寸だ。これが財務省利権になる。
前述した丹呉氏が読売新聞に天下りしたのは、消費税率引き上げと新聞業界の軽減税率・ゼロ税率の願望と無縁とはいえない。新聞業界だけが軽減税率の恩恵を受け、ネットの報道機関は恩恵を受けない。そのため新聞業界では消費税増税に賛成なのだ。
ちなみに、日本新聞協会は二〇一一年七月一二日、経済産業省が募集していた二〇〇 一年度の税制改正要望に対して要望書を提出し、消費税については軽減税率の適用を求めている。
税率を高くして、その例外措置で財務省の権限を高める--。これが財務省が狙う増税の真の目的だ。だから、政府資産の売却も、金融政策も選択肢には入らない。ましてや特殊法人などの民営化け、天下り先がなくなるので、絶対に行いたくない話だ。
税の増収は財務官僚のボーナス
財務省が腹のなかでは財政再建など二の次だと考えているのは、その矛盾している行動からも明らかだ。
民主党政権は、いわゆる4K(子ども手当、高校授業料無償化、農家戸別油償、高速道路無料化)という野党が非難するバラマキ政策を掲げた。財務省が財政再姓を願っているようなら、このような政策をやろうとしている民主党政権に対して、公務員改革のときのように激しく抵抗してもよさそうだが、文句もいわず協力した。
p166
財務省主計局が望んでいるのは、自分たちの財布をパンパンにしてくれる恒久的なシステム、すなわち消費税率アップである。それで、消費税率の軽減税率を求める業界が増えて、あわよくば天下りができれば万々歳だ。
彼らにとって税の自然増収は臨時ボーナスでしかない。景気は、どう動くかわからない。来年も同じ額が入ってくるという保証はない。そんなものは自分たちの権力強化に使ってしまえというのが、主計局の考え方だ。
この主計局の思考回路からすると、消費税率を上げたところで、財政再建は後回しにされる可能性が高い。そして、まだ足りないからと再び増税を国民に求めてくる。財務省の権限維持のために国民に負担を強いるのは、到底許されない。