Ddogのプログレッシブな日々@ライブドアブログ

政治経済軍事外交、書評に自然科学・哲学・聖地巡礼・田園都市ライフ、脳の外部記憶媒体としてこのブログを利用しています。2020/11/30以前はGoogle検索でキーワードを入れると常に上位にありましたが、日本のトランプ大統領デモを紹介した記事が米国でバズって以降検索アルゴリズムから排除され検索ヒットされにくい状態です。是非ブックマークをお願いします。このブログをご訪問していただいた方の知識や感性として共有できれば幸せに思います。

タグ:その他金融と投資

ようやく目先下押しして反発したが、下値は非常にわかり易い位置だった。日経平均にとって回帰トレンドは相性がいい。ドンぴしゃである。回帰トレンドの日足は52日

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週足は144週である。週足の回帰トレンドを大きく破られたのは少々意外だった。1/2押しの水準まで下がるとは思わなかった。
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週足の回帰トレンドを一般的な144週では依然上昇しているのだがを52週で計算し描くと・・・ 当然ながら下向きになっている。
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これでは戻りもセルインメイの5月頃には2万円届かずか・・・・

だが、相場は終わったわけではないと思っている。長期的にはむしろチャンス・・・・
かも?
ただし、今後中国の経済崩壊が進み習近平が暗殺され内戦でも勃発したり、サウジが崩壊しそこにイランが付込みホルムズ海峡が封鎖されるようなことが起きれば14000円、1万円が次の節となっても文句は言えない。

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一見長期波動の月足チャートも、長期上昇トレンドでは終わっていません。
エリオット波動を楽観的に見れば
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5つの“推進波”(1波、2波、3波、4波、5波)と
  3つの“修正波”(A波、B波、C波)から構成させる8つの波
で1つのサイクルとなる。
この1サイクルが終了すると、続いて類似するサイクルが現れ、もう1つの推進波が繰り返される。これを繰り返し相場が進んでいくと、それぞれのサイクルが波動として構成され、さらに一回り大きな推進波となる波動パターンが形成される。

C波が終わったと解釈できなくもないが期間が短すぎるので断言できないのが悲しい。

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回帰トレンドのスタートをリーマンショックから引くと、まだ相場は終わっていない、ほんとに長期波動の入り口なのかもとと希望が持てる

アベノミクススタートの長期上昇波動をエリオット波動に当てはめると第一波が終わって第二波も終わったとも解釈できる。終わったかどうかはまだ断言できないが・・・
出来たら私は億万長者だ!

干支の話からすれば申年は実は長期上昇相場の入り口となるかもしれない。
相場の格言
「子は繁栄、丑つまづき、寅千里を走り、卯は跳ねる。辰巳天井、午しり下がり、未辛抱、申酉騒ぐ、戌笑い、亥固まる」

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例年木野内栄治氏のこの資料を年末に紹介するのだが、今年は年末とても皆さんに紹介する気がなかった。下がりそうなところでこんな楽観的な資料を出せなかった。
一つ好転する材料がある。
サマーズ元財務長官がFRBの利上げを失敗だと声をあげていることだ。

FRBによる利上げの決定は早すぎた? 米市場関係の間では批判論
【BusinessNewsline】2016.1.12 by Harry Martinhttp://www.businessnewsline.com/biztech/images2/201601120327130000w.jpgStanley Fischer, Vice Chair of the Board of Governors of the Federal Reserve System. Credit: IMF

昨年末に実施されたFRBによる利上げの決定について、FRBの副議長のスタンリー・フィッシャーが6日、CNBCのインタビューに応えて年内に複数回の再利上げを示唆する発言を行ったことに対して市場関係者の間から批判が生じている。
フィッシャー副議長は、雇用情勢の改善を背景に、追加利上げの実施によりインフレの改善を図ることを見込んだものとなる。
しかし、この発言に対して、真向から反旗を立ち上げたのが、ラリー・サマーズ元財務長官となる。サマーズ元財務長官は、中国などの新興国の景気後退懸念が高まるなかで、FRBは最悪の状況に備える必要があると述べ、追加利上げの実施には反対の意見を示した。
実際のところ、FRBは12月16日に利上げを決定したが、利上げ実施前のダウ平均株価が17245.24だったのに対して、最新の株価は16398.57で、約4.9%の下落となっている。
ダウの下落は、中国の景気後退局面の増大、欧州におけるテロ懸念の増大、北朝鮮による水爆実験の実施、原油価格の下落などの要因によるものが大きく、利上げ批判論者はこうした外部要因の悪化は今後の米国経済の成長にも大きな悪影響を及ぼすと論じている。
フィッシャー副議長は、追加利上げの実施の可能性を示唆する発言を行ったが、サマーズ元財務長官の読みから解釈するなら、FRBが追加利上げに踏み切る可能性は低く、むしろ、今後の世界経済の情勢が悪化した場合、逆に、再び金融緩和に動く可能性もあるかもしれない。
日本がITバブルの好景気で無謀にもゼロ金利を解除したのっが2000年8月、ITバブルが弾け景気が失速している中で決定した時には、日銀は国を滅ぼすのかと怒り心頭にきました。結果バブル崩壊から失われた10年が20年へと延びた最大の理由が日銀のゼロ金利解除が早急過ぎた大失敗が原因だった。

それをFRBが繰り返そうとしているように見える。だがその実、米国は国益をかけ中国・ロシア・ISIS、もしかしたらユーロをぶっ潰しにかかっている可能性も疑われる。
だが、結果として日本と米国経済が世界デフレを生き残る可能性が高い。

原油、サウジアラビアと中国の動向には要注意だ!

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欧米諸国による対イラン経済制裁が16日、解除された。ウィーンの国際原子力機関(IAEA)本部で共同記者会見に臨む、イランのモハマドジャバド・ザリフ外相(右)と欧州連合(EU)のフェデリカ・モゲリーニ外交安全保障上級代表(2016年1月16日撮影)。(c)AFP/JOE KLAMAR〔AFPBB News〕
 1月18日の取引で米WTI原油先物価格は1バレル=28.36ドル、北海ブレント先物価格は同27.67ドルと、ともに2003年以来の安値を更新した(20日のWTI原油先物価格の終値は同26.55ドルとなった)。経済制裁の解除を受けたイランの増産により供給過剰が一段と進むとの懸念からである。

 イランは制裁前、日量約400万バレルの原油生産量を誇っていたが、現在は同290万バレル程度に落ち込んでいる。イランのジャバデイ石油次官は価格破壊を招く恐れがあることを承知の上で日量50万バレルの原油増産を指示したことを明らかにした。増産しなければ、近隣諸国が生産を拡大するとの懸念のほうが強かったようだ。

 イランは半年で生産量を制裁前の水準まで引き上げ、輸出量を2倍にする(現在は同約200万バレル)と意気込んでいる。ザンギャネ石油相は、制裁解除後から数週間以内に同50万バレル、半年以内にさらに同50万バレル増産するとしていた。

 だが、遊休状態となっていた油田の生産再開が困難な状況に陥っているため、増産のペースに対しては懐疑的な見方が出ている(1月14日付ブルームバーグ)。制裁解除後の1カ月後に日量10万バレル、半年以内に40万バレルの増加というところだろうというのが現実的な見方である。

 増産ペースは遅れるかもしれないが、イランが制裁解除によって利用可能となる自己資金は500~1000億ドルと推定されている。2月末の国会議員選挙を控えるロウハニ政権にとっては選挙戦を有利に展開する材料になるだろう。

サウジは「原油相場は上昇する」と相変わらず楽観的

 対イラン制裁解除のとばっちりを受けたのが他の湾岸産油国である。1月18日の湾岸産油国の株式市場はサウジアラビアで6.5%下落したのを筆頭に、軒並み大幅下落した。

 OPECの2015年12月の原油生産量は、日量3218万バレル(前月比0.7%減)と高水準が続いている(サウジアラビアはわずかに減り、同1008万バレル)。イランが増産態勢に入り、他国が減産しなければ、OPECの生産量は一段と拡大する可能性がある。

 それに対して、オマーンの石油・ガス相は1月18日、「原油価格を押し上げるために同国は5~10%の減産を行う用意がある。他の産油国も足並みを揃えて実施すべきだ」と訴えた。日量生産量約100万バレルの小国の悲痛な叫びだった。

 しかしOPECの実質的な盟主であるサウジアラビアは、相変わらず原油相場は上昇するとの楽観的な見方を崩していないようだ。

 サウジアラビアの予測の根拠は、1月18日に公表されたOPECの月次報告に示されている。それによれば、「2016年の非OPEC加盟国の供給量が従来の見込みよりも大きく減少し、原油市場は再均衡に向かい出す」という。

 非OPEC加盟国の減少幅が日量38万から66万バレルに拡大(そのうちシェールオイルは同38万バレル減少)したとしても、イランの増産で、その減少分は帳消しになってしまう。だが、2015年に日量154万バレル増加した世界全体の原油需要が、2016年も同126万バレル増と引き続き堅調に推移するから大丈夫だ、というわけだ。「原油安による需要増が原油市場の再均衡をもたらす」というサウジアラビアの主張が色濃く反映された形となっている。

「悪材料は出尽くした」という見方

 イランへの制裁解除で原油価格は1バレル=20ドル台となったが、「原油市場はそろそろ悪材料が出尽くしたのではないか」との声も出始めている。

 その代表格は米ゴールドマン・サックスだ。ゴールドマン・サックスと言えばリーマン・ショック前に「1バレル=200ドル」という強気予想で鳴らしていたが、2015年秋に姿勢を一転させ「1バレル=20ドルの時代が到来する」との大胆な予想を披露していた。当時多くの関係者は半信半疑だったが、今は現実味を増している。

 そのゴールドマン・サックスが1月15日、「原油価格急落で生産が落ち込み世界的な供給過剰状態が解消されれば、2016年の内に原油市場は新たな強気相場に向かう」という新しい見方を示した。

 価格急落を受けて米国のシェールオイルの生産が今年後半に日量57.5万バレル減少すれば、世界の原油市場は供給過剰から供給不足に転じるというのがその理由である。

 一方、1月12日に米エネルギー省は、「世界的な原油の供給過剰は2017年第3四半期あたりまで継続するだろう」との予測を示している。シェール企業の生産量の減少幅がOPECの予測よりも小さいと見ている点が特徴的である。ゴールドマン・サックスは、シェールオイルの減産について米エネルギー省よりもOPECの見方に軍配を上げた格好だ。

原油輸入以上に「石油製品」を輸出する中国

 悪材料は供給サイドにあるという点で、OPEC、米エネルギー省、ゴールドマン・サックスの見解は一致している。だが、意外な伏兵が隠れているのではないだろうか。それは中国である。2015年12月18日付ロイターは「中国の石油製品輸出の急増が原油相場にネガテイブな影響を与え始めている」ことを伝えている。

 中国は、経済の減速が鮮明になった2015年下期から「石油製品」の輸出を急増させている。中国の2015年の原油輸入量は前年比8.8%増の3億3400万トン(日量約670万バレル)となり前年に引き続き堅調な伸びを示したが、石油製品輸出量は前年比21.8%増の約3615万トン(日量約79万バレル)となり、原油輸入量の伸びを上回った。

原油輸入が増加しても、それが中国国内で精製され燃料として輸出されれば、中国の原油の最終需要とはカウントできない。そればかりか、世界の石油製品市場の需給バランスを悪化させることになる。当然、原油市場にも悪影響を与える。

 石油製品の輸出は12月には日量約111万バレルを超えており、2016年以降も増加傾向が続く可能性が高い。中国の原油処理能力が既に供給過剰状態にあるからだ。

 2014年12月時点の中国の原油処理能力は約754万バレルと、米国(約1802万バレル)に次いで世界2位である(日本は約447万バレル)。2015年以降も中国では大型製油所の増産が相次いだため、国内の供給過剰状態が深刻化した。需給バランスを図るために中国政府は石油製品の輸出を認め、輸出枠は拡大を続けている。

 石油製品輸出や戦略備蓄等に回った分を差し引くと、2015年の原油輸入量は日量約13万バレルに過ぎない。中国の原油輸入量の堅調な伸びは見かけほど強くないことが分かる。

人民元に迫る危機

 石油製品の輸出分を差し引かなくても、中国の原油輸入量自体が今後マイナスに転じる可能性も高まっている。

 1月19日に発表された中国の2015年通年のGDP成長率は前年比6.9%増と、25年ぶりの低水準になり、発電量も47年ぶりの減少となった。経済のテコ入れに向けて追加刺激策が必要となる可能性が示唆されたが、28兆ドルの規模まで急膨張した信用バブルが中国政府の手足を縛っている(1月18日付ブルームバーグ)。

 1月7日付ロイターは、中国株が世界市場の異変を伝える「炭鉱のカナリア」になりつつあると報じていた。

 1月14日付の中国メデイアによれば、「今年最大の市場リスクは株ではなく為替だ」と噂が広がっており、手持ちの元を米ドルに替える中国市民も急増しているという。市場関係者の間では、現在、管理変動相場制を開始する直前の1ドル=6.83元が「危機レート」と認識され始めているが、ゴールドマン・サックスは1月8日「2016年末までに1ドル=7元にまで下落する可能性がある」との予測を示した。

中国の外貨準備は2015年に5130億ドル減少して約3.3兆ドルとなったが、依然として巨額である。しかし、「中国の外貨準備のうち約2.8兆ドルが既に何らかの支払いのために充当されている可能性があり、安心していられるのは3兆ドル前後までだ(1月8日付ブルームバーグ)」という厳しい見方が表れている。中国政府が人民元を買い支えることができなくなれば、中国から史上最大規模の資本流出が起きるだろう。

 1月8日、英RBSは「現在の株式市場は2008年のリーマン・ショックを彷彿させる。今回のショックは中国から生じる」と警告した。中国の金融関係者の間からも同様の発言が相次いでいることが気にかかる。

 不良債権が急増している中国の金融機関は満身創痍の状態にある。一方で、習近平指導部は、金融機関をさらに苦境に追い込む「供給側の構造改革」に大きく舵を切ろうとしている。中国は、バブル崩壊の後遺症を長引かせた日本の失敗を繰りかえそうとしているようだ。

米国利上げがもたらす悪影響

 悪材料は「中国」だけではない。2015年12月に実施された「米FRBの利上げ」も原油市場に深刻な悪影響をもたらしつつある。

 そもそもリーマン・ショック後の原油価格高騰は、米FRBが2009年に量的緩和政策を実施し、米国の金利が低下したため原油先物という金融商品の魅力が高まり、巨額の投資資金が原油先物市場に流入したことが主要因の1つである。

 ニューヨークの原油先物市場の規模は株式市場の半分にまで急拡大し、FRBが量的緩和政策を停止した後も、投資家は株式・債券などの伝統的金融資産の下落リスクを分散させる効果があるとして原油先物を購入し続けてきた。

 だが、FRBの2015年12月の利上げで、原油先物は一気に魅力を失ってしまった。FRBの利上げにより、投資家は米ドルを保有していればある程度の利息を得ることができるようになった。そのため、金利が付かない原油先物を保有するインセンテイブがなくなってしまったのである。湾岸産油国の政府系ファンドも原油先物を売却している可能性が高いが、政府系ファンドの運用成績を上げる懸命の努力が肝心要の原油価格の下落を招いているとしたら、これほどの皮肉はないだろう。

 英スタンチャードチャタード銀行は、原油先物市場に流入していたマネーが猛烈な勢いで逆回転を始めたことを踏まえ、「原油価格が1バレル=10ドルまで下落する」と大胆な予測を行った。

シェール企業の大量倒産で何が起きるのか

 中国株が問題視される以前から「炭鉱のカナリア」であったジャンク債市場もますます危なくなっている。

 先述したように世界の原油市場の需給バランスの鍵を握るシェール企業はジャンク債市場の命運も握っているが、原油価格が同40ドル台を割った2015年下期から破綻が相次いでおり、ウオール街は損失引当金を積み増している(1月14日付ブルームバーグ)。

 米バンク・オブ・アメリカ(BOA)の昨年第4四半期決算は増益だったにもかかわらず、213億ドルの融資残高の2%に過ぎないエネルギー関連融資に対する引当金が少ないことが問題視されて株価が下落した。

 シェール企業の最大手である米チェサピーク・エナジーの株価も、「原油安で同社の債務返済能力に支障が生じるとの懸念が広がった(1月20日付ブルームバーグ)」ため、15年ぶりの安値を付けた。

 金融機関の与信枠の見直しは通常4月に行われる。しかし、FRBの利上げで正常化が進む米金融市場にあって、売上高債務比率が6倍に達しているシェール企業の多くは4月の期限を待たずに資金繰りに窮することになるのではないだろうか。

 シェール企業の大量倒産が起きれば、サブプライムローンの残高(約1.4兆ドル)を超えるジャンク債市場(約1.7兆ドル)の崩壊が及ぼす世界金融市場への悪影響は避けられない。原油価格下落のダメ押し圧力になることは確実だろう。

 このように原油市場の悪材料が尽きるまでには、まだ「一山」も「二山」もある。巨大に膨らんだ原油バブル崩壊の後遺症を甘く見てはならないのである。

 1月11日のニューヨーク商業取引所のWTI原油先物価格は、中国経済の先行き不安を背景にした売りに歯止めがかからず、一時1バレル=30ドル台を付けた。終値も同31.41ドルと2003年5月以来の安値となった(12日には一時、同30ドル割れとなった)。

 中国上海株式市場の下落につられる形で暴落した原油相場だが、2016年に入り需要減退が材料視される傾向が強くなってきた。市場関係者は「中国経済の減速がガソリンやデイーゼル油の需要減少につながるかどうか」に注目している(2016年1月8日付ブルームバーグ)。

 中国政府は、年末の原油価格の値下がりにもかかわらず、大気汚染防止の観点から国内の石油製品価格を据え置いており、景気全般の冷え込みが強まる中で中国の原油需要は今後先細りしていくだろう。

 北朝鮮が1月6日に実施した核実験も中国経済に暗い影を投げかけている。中国政府は「事前通告はなかった」としているが、1月10日付大紀元によれば、「中国は2015年12月に派遣団を北朝鮮に送り核実験の中止を求めていた」という。「1月4日の上海株式市場の暴落は、『金正恩第1書記が前日に核実験実施に関する最終指令を出した』との情報が流れたためだ」との憶測もある。1月11日に米ムーデイーズが「北朝鮮の崩壊は核実験よりも深刻な脅威となる」と警告したように、朝鮮半島の地政学的リスクの高まりが、中国をはじめ東アジア全体の金融市場に悪影響を及ぼすことは間違いない。

 OPECの原油バスケット価格は既に1バレル30ドルを割り込んでおり、原油市場は底値が見えない状況にある。米バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチは「同20ドル割れの下向きリスクが高まっている」との見方を示したが、英スタンダード・チャータード銀行はさらに悲観的で「同10ドルまで下落する可能性がある」とした。

「戦争を望んでいない」とムハンマド副皇太子

 このような状況にあって唯一の買い材料は、中東地域の地政学的リスクの上昇である。

 サウジアラビアが年初にシーア派指導者を処刑したことをきっかけに、サウジアラビアとイランの関係が緊迫化している。このことは、「OPEC内の協調行動がより一層困難になる」との理由でこれまでのところ原油価格の押し下げ要因にしかなっていない。しかし、今後の展開次第では急騰要因になる可能性がある。

 サウジアラビアとイランの軍事衝突への懸念が高まっている矢先の1月4日、サウジアラビアのムハンマド副皇太子は英エコノミスト誌のインタビューに応じて「イランとの緊張激化を望んでおらず、戦争を望んでいない」との考えを示し、注目を集めた。

 王位継承順位第2位であるムハンマド・ビン・サルマン副皇太子は1985年生まれの30歳。大学卒業後、数年間民間企業で働き、2009年12月にリヤード州知事を務めていた父(サルマン国王)の特別顧問として政界入りしたと言われる。

 国防大臣(2010年10月)、皇太子(2012年6月)に昇進する父を、ムハンマド氏は側近として支え続け、2014年4月には自らも国務大臣の要職についた。

 2015年1月に父サルマンが第7代国王に就任すると、ムハンマド氏は国防大臣・王宮府長官・国王特別顧問・経済開発評議会議長に任命され、4月には副皇太子となった。

 サルマン国王には3人の王妃がおり、12人の息子がいると言われている。ムハンマド副皇太子の母親は3番目の王妃だが、先妻の息子たちで要職に就いているのは4男のアブドラアジズ石油鉱物資源副大臣のみである。

 ムハンマド副皇太子はサルマン国王が50歳の時に生まれた息子だ。それだけにサルマン国王は偏愛の気持ちを抱いているのだろうか。ムハンマド副皇太子の学生時代の成績は極めて優秀だったとされているが、権力者が自分の息子を高い地位に引き上げる時に「神童だった」と“神話”を広めることが多い。そのため慎重な評価が必要である。

 ムハンマド副皇太子の初仕事は、2015年3月から現在まで続くイエメンへの軍事介入である。夏以降は健康問題を抱えるサルマン国王(80歳)の代理として、米国に加えてロシアやフランスに接近する外交政策を展開する。その様子を見て9月8日付ワシントンポスト紙は「ムハンマド副皇太子が現在の皇太子を飛び越えて第8代国王に就任する可能性がある」と指摘したほどである。

 米国のケリー国務長官も、1月3日のイランとの国交断絶をムハンマド副皇太子が決定したと判断して、電話でイランとの関係を修復するように要請したと言われている。

今後5年で財政赤字解消が目標

 このようにサウジアラビアの軍事・外交面を牛耳るムハンマド副皇太子だが、彼が思い描く経済政策について欧米ではあまり知られることはなかった。その内容が初めて明らかになったのが、1月4日の英エコノミスト誌とのインタビューだったのである。

 インタビュー内容の目玉は、国営石油会社「サウジアラムコ」の株式公開(IPO)についてだった。

 サウジアラコムは、欧米企業から接収した石油権益をベースに1980年に完全国営化された。今や国内に100カ所以上の油田を有し、約6万人の従業員を擁する巨大企業である。

 サウジアラムコは元々、石油鉱物資源省の管轄下にあったが、現在は経済開発評議会の管轄下にある。経済開発評議会の管轄下に移行させたのが、評議会の議長を務めるムハンマド副皇太子だった。

 ムハンマド副皇太子はインタビューの中で、サウジアラムコのIPOについて「今後数カ月以内に決定される可能性が高い」と述べた。

 サウジアラムコの原油生産量のシェアは世界全体の12%を占め、確認済みの埋蔵量でも世界全体の約15%にあたる約2610億バレルを保有している(米エクソンモービルの約10倍)。株式上場した場合の時価総額は数兆ドルに達し、米アップルをも凌ぐ可能性がある(最初に公開される株式の割合は5%以下になるとされている)。

 財源の7割以上を石油関連収入に頼るサウジアラビアの2015年の財政赤字は1000億ドルを超え、国防費や補助金の支給を統御できない状況にある。そのため、サウジアラムコのIPOは手持ち資金の確保に躍起となるサウジアラビア政府の表れであるとみられている。

 要職に就任してから精力的に改革に取り組むムハンマド副皇太子にとって、サウジアラムコのIPOは改革の一環にすぎない。「透明性の向上と汚職撲滅に役立つという意味で、サウジ市場とサウジアラムコにとって利益になる」と強調するが、彼が目指している広範な経済改革プランは「サウジアラビア版サッチャー革命」(英エコノミスト誌)だという。

 ムハンマド副皇太子は「今後5年間で財政赤字を解消する」ことを目標に掲げている。国民の約7割が30歳未満で、2030年までに労働人口が2倍に増加すると予測されるサウジアラビアの現実を前に、「国家が統制する経済の仕組みを一新し、産業の多角化や民間企業の振興によりマーケット主導の効率性を導入しない限り繁栄はなく、強いサウジアラビアを実現できない」とムハンマド副皇太子の決意は固い。

サウジアラビア王国崩壊の危険性も

 だが、ムハンマド副皇太子の改革によって、「税金を取らず、オイルマネーによって教育や医療の無償提供に加え電力・水道・住宅料金などを手厚く賄ってきた」国のシステムは解体することになりかねない。

 英エコノミスト誌との5時間以上にわたるインタビューで、ムハンマド副皇太子が国王に言及したのは1回だけ、皇太子については一度も言及しなかった。数千人と言われるサウジの王族内では、彼の独断専行ぶりに対する不満が高まっている。

 2015年秋、サルマン国王を打倒する宮廷革命を呼びかける文書が王族の間で出回った。その中でムハンマド副皇太子は「サウジアラビアを政治的にも経済的にも軍事的にも破局に導いている」と強く非難されていたという。文書の作成者は不明だが、専門家は「こうした亀裂が表面化するのは異例であり、何かが起こっている」と見ている。

 ムハンマド副皇太子に対して不満を抱いているのは王族ばかりではない。サウジアラビアではシーア派だけでなくスンニ派の若者の間にも政府批判のデモが発生しており(2016年1月9日付ニューズウイーク)、国民の間にも反発の声が聞かれる。1月2日に「現体制を拒否し、ジハードを訴える」スンニ派の宗教指導者ザハラーニ師が処刑されたことが大きなきっかけだ。

「アラブの春」を「札束」の力で封じ込んだサウジアラビア政府に対し、「イスラム国(IS)の脅威が高まっている」との指摘もある。今や国民に「札束」をバラまくどころかそれを回収しようとする政府に残されている選択肢は、民主化しかないのではないだろうか。

 ムハンマド副皇太子の孤軍奮闘ぶりが明らかになるにつれ、フランス革命によりギロチン台の露と消えた「ルイ16世」のことが想起するのは筆者だけだろうか。

 ルイ14世とルイ15世の長年にわたる放漫財政という負の遺産を継いで1774年に即位したルイ16世は、経済に詳しい人物を登用し、政治に積極的に関わり、フランスの改革に力を注いだ。しかし、保守派貴族が国王の改革案をことごとく潰し、財政の建て直しは失敗した。貴族層に対抗する窮余の策として招集した三部会が思わぬ展開を見せ、その後フランス革命が勃発したことは周知の事実である。

 英エコノミスト誌のインタビューアーは「民主主義がないサウジアラビアでサッチャー流の改革は可能か」と何度も問いかけている。それに対して、実質的に国王の座にあると言っても過言ではないムハンマド副皇太子は、自らが米マッキンゼーに委託して作成した改革プランに自信を示すばかりで、全く危機感を有していない様子であった。

 急激に改革を実施しようと焦るムハンマド副皇太子の姿勢は、ペレストロイカを旗印に抜本的な改革を目指して逆にソ連邦を崩壊させてしまったゴルバチョフソ連共産党書記長も彷彿させる。1980年代後半の「逆オイルショック」がソ連崩壊の遠因になったように、今回の原油価格急落はサウジアラビア王国の崩壊につながる可能性を秘めている。

「原油供給の遮断」に備えよ

 サウジアラビアで政変が起きれば、原油輸入の3割以上をサウジアラビアに依存している日本は、文字通り『油断』(堺屋太一の小説)の状態に陥る危険性がある。

 ただし、現在の日本には当時と違って強力な武器(石油の国家備蓄)がある。石油の国家備蓄については中国での積み増しの動きが話題となるが、日本は第1次石油危機を契機に備蓄計画を開始し、1980年度末にその目標を達成した。現在、3億バレル以上の石油が北海道から九州・沖縄に至るまで各基地に貯蔵されており、日本への原油輸入が全量停止したとしても90日以上にわたって必要な量を確保できる体制が整備されている。

 米国は湾岸戦争の際に国家備蓄石油を放出した。一方、日本はこれまで一度も備蓄石油を放出したことがない。放出のために必要な手続きは煩雑であり、放出の時期を逸してしまうことがかねてから懸念されている。しかし、それではせっかくの備蓄石油も「宝の持ち腐れ」になってしまう。

 杞憂とのそしりもあるかもしれないが、「原油供給の遮断」という未曾有の事態に備えて国家備蓄石油の放出に向けた準備を直ちに行うべきではないだろうか。


IS CHINA FOLLOWING GORBY’s FOOTSTEPS?
ソ連化する「中国の悪夢」
「分析」外資主導のGDP膨張という鄧小平モデルが行き詰まった
官僚主義的「異形の大国」は ソ連崩壊の轍を踏むのか

【NEWSWEEK】河東哲夫(本誌コラムニスト、外交アナリスト)

世界は、年頭から中国の株、通貨価値のぶれに揺さぶられた中国経済を語るとき、3D映画ではないが、特殊な眼鏡を掛けないと実像は分からない。「集権国家の官僚主義・閉鎖性」という眼鏡である。中国は民主主義・市場経済とは違うシステム、違うマインド、違う行動様式で動く国だ。
 
中国は1978年の鄙小平による改革開放以来、外国資本を大量に取り入れることで高度成長を図ってきた。今の中国はさらに開放しないと発展でき
ないが、そうすると国内の政治・経済コントロールを失うというジレンマに突き当たっている。

 今回の危機的状況では、問題に強権的規制というふたをかぶせることで処理しようとして、かえって市場の暴走を生んでいる。資本主義になったと言われながらその実、社会主義的集権制を維持する中国の政治家、官僚は、われわれの理解を超える動きをする。中国は「官僚主義・閉鎖性」のマインドを持ち続け、外に向かって閉鎖・統制的な色彩を強めていくだろう。外国にとって、「中国は儲かる」時代は終わる。これは欧米の対中姿勢をも変え、日本の対中関係の性質も変えるだろう。

GDPの半分が無駄な「贅肉」

 中国経済は今すぐ崩壊するわけではない。毎年の輸出で得る外貨約2兆ドルだけでなく、13億人の国民が働いて作り出すモノやサービス(ただしそのうち売れた分だけ)は中国経済の実力だ。合わせると筆者の推算で6兆5000億ドルくらい。これから輸入約2兆ドルを引いた、4兆5000億ドルくらいが中国経済の芯で、あとは贅肉と言える。

 GDP9兆ドルのうち半分が贅肉という高脂肪体質は異形でもある。中国経済は日米欧の経済と大きく異なる。人間の暮らしよりも権力・体制の維持、つまり政治が重視される。国の力や格も、国民の暮らしぶりより単なるGDPの大きさや軍事力で測られる。これは、中国が「近代」――産業革命がもたらす富が中産階級をつくり出し、彼らの権利意識が民主主義を醸成していく過程――を経ず、大量の外国資本のおかげでいきなりのし上がったことに起因する。

 中世の中国経済は、西欧より数百年先行していた。11世紀、宋王朝時代の中国は高度の商品経済を確立。イギリスに700年も先立って、コークスで年開15万トンの鉄をつくっていた。火薬と羅針盤(これらを使って西欧は植民地をつくり上げた)、そして紙(西欧の出版・情報革命を可能とし、科学を進歩させた)は、この頃の中国で開発されたと言われる。

 資本も技術も労働力も潤沢にあった当時の中国で、なぜ近代=産業革命が起きなかったのだろうか。それは社会に必要なだけのものは手工業で十分賄えたからだ。機械で大量生産をしても中国国内に市場はなく、外国に植民地もないから事業をしても儲からない。めぽしい利権は皇帝権力が押さえているから、科挙で高級官僚になってその利権をかすめ取り、蓄財して地主になるのが立身の確実な手段だった。

 こうした「近代の欠如」、そして中央権力への利権の過度の集中は、中国がソ連と同じ集権・国有経済を採用したことでますます強化された。さかのぼること1911年、辛亥革命で清朝を倒した漢族のインテリは、2000年ぶりに皇帝がいなくなった広大な人口大国をどう統治するか思い悩んだ。
 
当時、欧米に留学する者も多く、民主主義の良さもわかってはいただろうが、「自由」「平等」で中国社会をまとめることはとてもできない。しかも1919年、第一次大戦後のベルサイユ条約で列強が山東地方を敗戦国ドイツから日本に渡してしまったので、中国人も怒って社会主義革命直後のソ連に急速になびいたようだ。

 1923年、孫文配下の軍人として台頭していた蒋介石は、ソ連視察団に加わって共産党による一党独裁の姿にいたく感心して帰ってきた。共産党が
立法、行政、司法、軍、警察、文化、教育を一手に握り、選挙なしに恒久的に支配する。こうした体制は、中国の王朝と同じで親和性が高く、しかも経済を強権で高度成長させるのに向いている。

 第二次大戦後、政権を取った中国共産党は独裁制に計画経済を上乗せした。現在、厳格な計画経済はなくなったものの、大企業のほとんどは国有・公有で、党や政府に任命された官僚が運営する体制は残っている。官僚たちの夢は、種々のポストを渡リ歩いて北京での要職に就くことで、企業や従業員の将来は二の次だ。共産党のトップが代わると、国有企業の社長も突然更迭や投獄となったり、競争相手の企業の社長になったりと、欧米の経済ではあまり起きないことが普通に起きる。

 国有企業は効率で劣る、民営化しないと活力が出ない――われわれはそう思うが、中国では逆。習近平政権は大規模な国有企業を更に合併させ超巨大企業にしないと、世界の大企業と互角の勝負ができないと思っている。化学や鉄道車両部門での国有企業合併が相次いでいる。

 ただ収益率の低い企業を合併させても大した効果は上がらず、官僚が企業を監督する体制では、動きがますます鈍くなる。こうした企業が低利融資の乱発で勝ち取った外国の大規模案件の中には、これから贈賄行為が摘発されたり、本社の社長が不意に更迭されたりで、工期が遅れるものが出てきそうだ。官僚主義だから責任の在りかも不明瞭なまま、途中で放棄されるものも出てくるだろう。

 もう1つの政治的要因も中国の難儀を増幅する。習政権は、汚職を一掃することで中国共産党に対する国民の信頼をつなぎ留めようとしている。これは80年代後半、腐敗を一掃することで社会主義の再活性化を図ろうとして、かえって崩壊の淵にはまっていったミハイルーゴルバチョフーソ連共産党書記長の例を強く思い出させる。ゴルバチョフは共産党を浄化しようとして党組織はマヒ。経済を活性化しようとして党の権限を制限したことで、経済・社会をコントロールする手段を自ら破壊した。

「安全な道」になびく官僚本能

 習はゴルバチョフの過ちを繰り返さないよう、ソ連崩壊の過程を詳細に調べさせたが、おそらく正しい教訓を引き出せなかった、あるいは見たくなかったのであろう。歴史の渦に巻き込まれた者は、何をやっても、魅入られたように破滅の底に引き寄せられていってしまうものだ。

 今、中国経済は世界経済という外部との接点で特に深刻になっている。昨年8月には、IMFの特別引き出し権(SDR)のバスケットの中に入れてもらうため人民元為替レートヘの介入を停止して元が急落。世界の株式市場の暴落を招いて慌てて介入を再開した。

 ここにはSDRのバスケット入りという国際的地位の向上しか目になく、経済の目で物事を見ない、中国の官僚マインドが見て取れる。今月も上海株式市場の暴落を当局は取引停止で抑えようとして、かえってろうばい売りを助長。ますます株の売り圧力を高めた。経済を行政命令や規制で動かそうとするマインドは直りそうにない。

 中国経済を外部に向かって開放するか、それとも閉鎖・規制するか。それが問題なのだが、集権主義社会で働く官僚の本能は「閉めてしまおう。規制しよう。命令しよう」という「安全な道」に傾く。中国には欧米で学んだエリートが多数いるので、開明的な方向に政策を運営するだろうと皆思っているが、国内政治の前に欧米帰りのインテリは無力だ。それに、欧米の経済学とて経済を救えないことは、われわれも身に染みて知っている。

 昨年12月には、中国の外貨準備は約1100億ドルにも減少した。金融当局は、日本と通貨スワップ(危機時に、人民元をかたに円、あるいはドルを融通する制度)のための協定再開の話し合いを開始したと報じられている。IMFなどの国際金融機関での発言権拡大を求め、アジアインフラ投資銀行(AIIB)をつくって世界に乗り出そうとしていた中国が、金融支援を求めてくるときが目の前に追っている。

鄧小平の成長モデルが限界に

 優遇条件を与えて外資を釣り出し、中国で輸出品を作らせて雇用を創出、莫大な外資をインフラ建設に回してGDPを膨らませる――鄧小平以来の成長モデルは限界に達している。

 エリートは公金を着服しては外国に送金。外資企業には「独占的地位を利用して製品価格をつり上げている」と難癖をつけて法外な罰金を徴収し、従業員は賃上げを性急に要求する。上も下も寄ってたかって、外国から入ってきた富を食いつぶしている。

 このまま中国経済が不調で、外資が流出し、閉鎖・排外的性格が強まってきた場合、いくつかの問題が起きる。まず国内はどうなるか。中国共産党や政府からますます多くの要求にさらされ、中国企業からは嫌がらせを受け、引き揚げる外資の工場も増えるだろう。中産階級以上では国外への脱出志向が強くなるだろう。そうなれば都市の治安は悪化する。

 世界では人民元の国際化の動きが鈍る。海外を循環する人民元を右から左に動かして金融街でしこたま儲けようと思っていたイギリス勢は失望するだろう。「中国では儲からない」ことが欧米に明らかになったとき、彼らは対中姿勢を変えるだろう。外資が撤退した中国では工業製品の質は次第に低下。20年前のような、日用品を安価に輸出するだけの国に後退しかねない。

 ただ中国は、経済が途上国そのものであった20年前にも、世界では大きな政治的存在感を持っていた。中国経済が下降しても、日本は中国と無用の対立は避け、友好・協力関係を維持していくべきだろう。

 危機管理能力が問われるのは中国だけではない。新興国はいずれも近代化=産業革命を成し遂げることができず、振幅の激しい膨張と収縮を繰り返している。ロシアのGDPはルーブル急落もあって、13年のピークが2兆10億ドル、15年のIMF予想が1兆2000億ドルと、4割余りも縮小してメキ
シコ以下の水準となろうとしている。

 こうして世界経済は再び先進国が主導する時期に入った。人工頭脳(AI)、無人運転、遺伝子工学、代替エネルギーなど、新しい時代を切り開く
力を持てるのも、危機に対する強靭さがあってこそだ。そのためには71年のニクソンーショック以来続いてきた通貨増発バブルを克服し、モノーサービスの生産とカネの量が一致した堅実な社会をつくることが重要となる。

 中国の台頭に振り回されたこの20年も、一段落しようとしている。世界は、国のサイズや強さより、人間の暮らしの質を第一とする方向に、舵を取り直してもらいたい。
かつて、故小室直樹先生はソ連の崩壊を予言した。 1989年出版された「中国共産党帝国の崩壊―呪われた五千年の末路」で中国は崩壊することも予言したが、ここまで中国が強大化するとは先生は予言できなかった。

だが中国の歴史法則は不変で、ただ単に支配者の名前が変わる易姓革命が繰り返されているだけ。今の共産党支配も全然社会主義革命により作られたものではなく、ただの易姓革命の一つであるので、やがて崩壊すると予言していた。

だが鄧小平の経済開放政策に欧米諸国そして日本は飛びついた。当時ゴルバチョフ率いるソ連はほとんど絶望的であるが、中国経済は希望があると考えていた。

しかし、天安門事件が勃発した。人民を平気で虐殺する中国共産党の本質が歴代王朝となんら変わらないことを示す事件であった。私は中国に対する幻想を捨てた。

中国では人民の連帯意識が無い。だが、反国家で団結すると共産党政権が終わると気がついた鄧小平は天安門事件後、反日を密かに始め、後継の江沢民が鄧小平の意思を引き継ぎ、大々的に反日による国民の団結を図り国家・国民を成立させようとしたのだと思う。

中国の歴史法則は5000年も変わっていない。これはマルクス・レーニン主義と真っ向から対立する。マルクス・レーニン主義では、革命のたびごとに歴史を貫く法則は変わる。原始共産制、奴隷制、封建制、資本制、社会制、と段階を追って発展する。歴史は繰り返す、と言われることがあるが、マルクス・レーニン主義では、歴史は変わる、のである。小室氏は、辛亥革命も人民革命もマルクス・レーニン主義でいう革命ではなく、中国は5000年前からずっと変わってないという。

その証拠に共産主義者達がこんどはマルクスではなく孔子の思想を無理やり社会主義に捻じ込む無茶苦茶なことを実験しているのである。

孔子の思想の根本思想は、歴史法則の不変性だ。社会を貫く歴史法則は変わることがない。永久に。孔子も言っている。述べて作らず、と。自分は永久不変の歴史的真理を述べているだけであってなんら新しいことを作ったりしないと。聖人たる孔子でも新しい歴史法則を作ったりできない。

唐の李世民は皇太子教育のための教会書として帝鑑という本を作った。昔のことを鏡として手本にすればどうすれば良い政治ができどうすれば失敗になるかが分かってくるということ。これが典型的な儒教史観である。マルクス・レーニン主義のように革命のたびに歴史法則が変わるのであれば破れた鏡と同じ。儒教という土台にマルクシズムの花は咲かないはずだったが、ちょっとした手違いが起きた。

円高に苦しんだ日本企業が天安門事件後も、反日を始めたにもかかわらずお人好しにも政経分離で鄧小平の経済モデルに乗ってしまったのだ。日本の成功に欧米資本が無節操に流入してきたのだ。

日本や欧米の資本の流入が無ければ1990年代に中共は崩壊していたかもしれないが、私や小室先生の予想とは裏腹に中国は世界第二位のGNPの国になってしまった。

だが、その蓄積した外貨が大逆流を始まりだした!新年早々、また再び株価は大暴落し、人民元は年明けからオンショア(中国本土)市場で対ドルー・5%下落。香港などオフショア(中国本土以外)市場では約2%下落した後、中国は景気テコ入れのため大規模な競争的通貨切り下げに乗り出しているのか、それとも金融システムをコントロールできなくなっている。

むしろ中国は人民元が対ドルで下落するのを「容認した」可能性が高い。

執筆中

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毎年波乱の年末相場だが、米投資会社サード・アベニュー・マネジメント傘下のジャンク社債ファンドが10日、投資家からの解約受付を停止すると発表し、米国のジャンク債市場が世界的危機となるかもしれない前兆が出始めたのではないかと、騒然としている。2008年10月のリーマンショックが起きた1年前2007年8月サブプライム問題の深刻化を背景に、BNPパリバ傘下のミューチュアル・ファンドが、投資家からの解約を凍結すると発表したことがあった。なにやらいやな予感だ。

アングル:ハイイールド債急落で米景気の強さに懸念
【ロイター】2015年 12月 15日 16:05 JST

[ニューヨーク 14日 ロイター] - 指標となる高利回り社債の急落を受けて、投資家が考えるよりも米国経済は健全な状態ではないとの不安が広がっている。

実質的にジャンク債を集めた代表的なハイイールド債の指標とされる「iシェアーズiBOXX米ドル建てハイイールド・コーポレート・ファンド」(HYG.P)は年初からの下落率を12%に広げた。競合する商品の「SPDRバークレイズ・ハイ・イールド・ボンドETF」(JNK.P)も年初からマイナス13.4%となっている。

金融危機から7年を経た現在、大半をディストレス債に投資するファンドの一部が破綻した最近の出来事は、債券市場が先行きの株式市場と経済全体を襲う数々の問題の重要指標になるとみている投資家にかつての記憶を思い起こさせた。

アリアンツの首席経済アドバイザー、モハメド・エラリアン氏は「流動性に支えられしばらく続いてきた市場は、特に政策の誤りと、または市場のアクシデントの可能性の双方に対して特に脆弱だ」として、低金利を維持し債券の購入で債券市場を支えてきた米連邦準備理事会(FRB)の長年にわたる政策に言及。

その上で「金融政策の方向性の違いと」、一部のエネルギー比率の高い社債などの「市場セグメントにおける流動性の問題に鑑み、今日の投資家は両方を懸念している」と指摘する。

株式・債券市場の投資家の疑問は、ハイイールド債市場の不振がより経済全体の落ち込みの前兆なのかどうかだ。

欧州やその他の国々の金融政策は全般的に緩和的なのに対し、米国のFRBは労働市場に健全性の兆しがみられるとして、16日に引き締めサイクルを開始する見通しだ。

指標となるS&P500種指数は史上最高値の終値からわずか5%低い水準にすぎず、投資適格社債の発行は依然として高水準となっていることから、FRBの利上げは景気に対する新たな信任投票ともみることができる。

FRBの対応と米国市場の反応は大きく誤っているのだろうか。高利回り債をウォッチしているファンドマネージャーとアナリストは、その可能性があるとみている。

フィッチ・レーティングスによると、最低15億ドルのハイイールド債のデフォルトは少なくとも13カ月連続で続いており、2008─09年の金融危機のピークにみられた記録にわずか1カ月と迫っている。

一部の社債投資家が必要とする利回りと、彼らがリスクフリー資産に求める利回りの相対的な格差、すなわちスプレッドは当時と同じほどに広がっている。バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチのハイイールド・マスター指数によると、14日の市場で比較可能な国債とジャンク債の間の平均スプレッドは7.10%ポイントで、2012年6月以降で最もワイド化した。11日の幅広い相場の急落により、ハイイールド債のスプレッドは一日としては2011年8月以来となる大幅な拡大だった。

「2016年に景気後退に陥る可能性のある領域に入った。特に中西部の複数州における地域においてだ」と、ヘネシー・ファンズ(HNNA.O)のポートフォリオマネジャー、ブライアン・ピーリー氏は指摘する。同氏は「原油価格の調整の中のある時点で、消費者に対する原油安のメリットが労働市場における雇用の喪失に代わる」とみている。

先週はサード・アベニュー・マネジメントが7億8900万ドルのファンドを償還停止し、清算する方針を発表した。ディストレス債を専門に扱い、13億ドルを運用するストーン・ライオン・キャピタル・パートナーズも後にファンドの一部の償還を停止した。ルシダス・キャピタル・パートナーズもファンドを清算し、来月に9億ドル相当の運用資産を顧客に返還する計画だ。

ファンドの破綻や流動性状況を超越して市場で実勢価格に基づき容易に売買が行われる能力は、一年のうちで今ごろに損なわれることが多い。

さらに、オッペンハイマーファンズのクリシュナ・メマニ最高投資責任者(CIO)によると、エネルギー価格の下落の度合いは大半の投資家が予想したより大きく、米国の製造業から新興国のコモディティ輸出企業に至るまで圧力が加わっている。

メマニ氏は「実際に市場で最悪のリスクは、FRBの金融引き締めやドル高、そしてクレジットスプレッドのワイド化を原因とする米好景気の減速だ。米国経済にはふらついている部分がかなりある」と指摘した。
リーマンショック後、リーマンショック級の危機が再び起きないよう銀行の規制は強化され、G7の国ではショックは起きにくいはずであるが、米連邦市場員会(FOMC)で、金融危機後初めて米利上げ実施が予想されるなか、米国債の利回りが上昇。ジャンク債の高利回りという「魅力」が相対的に低下したのは必然なのかもしれないが、ジャンク債市場がいわば炭鉱のカナリアの可能性もある。
さらに原油安はリスク商品からの資金流出に拍車をかけた。WTIは期近の1月物は一時1バレル35.78ドル程度まで下落し、約6年10ヵ月ぶりの安値をつけた。産油国の高水準の生産で原油の需給が緩んだ状態がしばらく続くとの見方から先物市場では売りが出やすい状態が続いている。先般、OPECの総会が開かれたが不思議なことに減産するという国はどこもなく今までのOPEC総会では考えられない状況が続いている。米国の利上げが決定すれば原油の値下がりは止まるとの見方が大勢を占めてはいるが、中国の需要低迷が大きいのではないかと私は思う。
米国のシェール関連企業の多くがジャンク債を発行し、資金を調達していたが、原油価格の急落で経営悪化の懸念が強まっている。
しかしながら、過去の金利上昇時のジャンク債のパフォーマンスは悪くない。フィデリティ投信によると、過去3回の長期金利上昇局面(02─05年、08─09年、12─13年)における米ハイイールド債の上昇率は平均36.6%にのぼる。デフォルト率も「ジャンク」というイメージほどではなく、PIMCOによると過去1年間で2.3%程度だ。実際、米国の金利が上昇しだしてからどうなるか依然見極める必要がある。
ジャンク債よりも、来年はやはり中国発のチャイナショックになるかどうかが気になって仕方がない。
習近平国家主席はあの手この手で景気テコ入れに躍起だが、時間稼ぎにしかならない。この巨大な船は沈む。日本を道連れにしてーー。

コマツを襲う「需要半減」という悪夢
中国関連の代表銘柄とされる世界第2位の建機メーカー・コマツがいま、その中国事業で頭を抱えている。

中国経済が凄まじい勢いで失速する中で、同社の稼ぎ頭だった中国ビジネスが破滅的な打撃を受け、尋常ではない落ち込みから抜け出せなくなっている。

〈2015年第2四半期の中国の需要は、前年同期比▲50%減少しました〉

コマツが10月末に投資家向けに作成した資料には、主力商品である建設機械の需要が「半減」したという衝撃の実情が記されている。

コマツの各種投資家向け資料によれば、実は年初の1-3月期からすでに中国での需要は〈▲58%〉と激減していたという。そのため、コマツは4月時点から2015年度の需要減を見込んで、今年度は〈▲20~25%〉との予測を立てていた。

しかし、そんなコマツの想定を「生ぬるい」とあざ笑うかのように、中国経済は猛烈な勢いで急落下。〈政府による景気刺激策の効果は見えず〉、中国経済がフリーフォール状態で落ちていく中、『需要半減』から逃れられない隘路にはまっている。

コマツ幹部は言う。

「建機部門はほんの4年前には中国で年間3,000億円以上を売り上げていた。それが今年は、半期でわずか約350億円です。市場回復の兆しは見えない。新しい建機を売りまくるビジネスモデルが通用しないので、メンテナンス事業などで稼ぎを取りこぼさないように注力しているのが現状なのです」

開発ラッシュに沸き、都市のあちらこちらで建機が砂埃を巻き上げていた光景は、ほんの少し前まで各地で見られた。が、経済が失速を始めると、開発案件は軒並みストップ。中国ビジネスで「わが世の春」を謳歌した大手企業を一転、奈落の底へ突き落としている。

コマツに次ぐ国内2位の建機メーカーの日立建機も惨状は同じ。同社の主力商品である油圧ショベルの中国における需要データを示す資料によれば、直近の10月は前年同月比で▲43%と目も当てられない。さらに見ると、9月は▲49%、8月は▲51%、7月は▲52%、6月は▲54%と、コマツ同様に「需要半減ショック」に襲われていることがわかる。

中国で油圧ショベルの評価が高いコベルコ建機の社員も言う。

「中国ビジネスが難しいのは、上下の反動が大きすぎて、常識では考えられないような動きをすることです。毎年、春節(2月)明けの3~4月が建機の販売ピークで、普段の月の4倍ほど売れます。それが今年は、控えめに見積もった販売目標にも届かなかった」

中国経済は2ケタの驚異的な成長を続ける黄金期こそ終了したが、今後は7%前後の成長率は維持できる「新常態(ニューノーマル)」に入っていくから安心ーー。中国政府はそう喧伝しているが、足元で起きていることは新常態というより異常状態にほかならない。

アクセル全開で走っていたところに急ブレーキをかけたかのような景気の失速に、中国ビジネスを手掛ける企業各社は大パニック。どこまで経済が落ちていくのか、その一歩先も見通せない恐慌状態に脅え出した。

とうとう「市場縮小」が始まった
自動車メーカー各社はいま、「市場縮小」に慌てふためく。

変調が始まったのは今年4月。景気の先行きを不安がりだした中国市民の消費が一気に冷え込み、右肩上がりだった新車販売が前年同月比でマイナスに転落した。実質的にマイナス転落したのは反日デモが吹き荒れた'12年以来だが、4月以降も5月、6月、7月、8月と前年比マイナスが止まらず、市場が収縮モードに突入したのである。

トヨタ社員が言う。

「独フォルクスワーゲンや米ゼネラルモーターズ、韓国の現代自動車などの外資各社が、中国市場の旺盛な需要を取り込もうと、工場増設などで生産能力を引き上げた矢先のことだった。

そこへきて急激に車が売れなくなったから、在庫が一気に膨れ上がった。外資系メーカーは在庫一掃セールさながらで値引き競争を仕掛け、『100万円値引き』まで出た。利益を削ってでも数を売ろうとする消耗戦になっている」

10月には焦った中国政府が減税措置のテコ入れ策を講じて、販売数は立て直した。が、それは需要を先食いした一時凌ぎにすぎない。追い打ちをかけるように、中国の株式市場で株価が暴落すると、市民の消費意欲はまた減退、株価下落→販売減→在庫増→値下げ・・・という負のスパイラルに陥ろうとしている。

前出のトヨタ社員が言う。

「今年度は、自動車各社の中国工場稼働率が5割まで落ちると言われるほどです。現代自動車はあまりの不振で、販売台数の開示を一時見送っていた。日本勢は過剰な値引き競争には参戦していませんが、利幅は薄くなってきた。

トヨタはこの半期で中国での販売数を伸ばしたのに、中国分の利益は100億円弱の減益。会社全体で慎重な業績見通しを立てているのも、チャイナリスクを意識すれば慎重にならざるを得ないからです」

巨大工場を作った矢先に市場が萎み、格安競争に走る大手企業が軒並み巨額赤字に陥った「デフレ末期の日本」に似た風景になってきた。

撤退したくてもできない
実際、中国のモノの「売れなさぶり」は尋常ではない。元産経新聞北京特派員でジャーナリストの福島香織氏が言う。

「今秋に北京に行きましたが、2000年代前半には中国最大のショッピングモールとまで言われ、大勢の人でごった返していた『SOHO現代城』に人がいない。高級ブランドコーナーは閑古鳥が鳴き、店員が暇そうに私語をしていた。

人気の複合商業施設だった『銀河SOHO』もガラガラで、テナントは空き店舗ばかり。家電量販店などが集まり、北京のシリコンバレーと言われる『中関村』も元気がない。中国人はネットで安いモノを探して買うばかりです」

こうした事態を受けて、仏高級ブランドのルイ・ヴィトンが一部店舗を閉店するなど、企業の「撤退戦」が加速。日本勢もその波に呑まれ、撤退や合弁解消、事業構造転換などを余儀なくされるところが続出している。

カルビー社員が言う。

「中国では合弁会社を作って『かっぱえびせん』などを製造・販売していましたが、この11月に合弁を解消しました。われわれの商品は7~8元(135~155円)なのですが、現地メーカーの類似品は5~6元で売ってくる。年間500億円の売り上げ目標を立てていたが、実際は5億円。厳しかった」

パナソニックは'80年代から中国でのテレビ生産を手掛けてきたが、今年年初に工場を閉鎖し、中国でのテレビ自社生産から撤退した。パナソニック幹部が理由を語る。

「韓国や台湾企業との激安競争がもう限界を迎えている。かつて『松下』のテレビは中国で一大ブランドでしたが、いまは安いことが重視される。中国では人件費も上がり、一般消費者向けの商売はきつくなるばかり。だから工場も閉鎖し、事業転換して、業務用ビジネスへ路線をシフトする決断をくだした」

日本勢が巨大市場の中国を目がけて、大企業から中小企業まで、我先に新規ビジネスを始めようと進出ラッシュに沸いたのはほんの数年前のことである。それがいまは、乗っていれば沈んでしまう泥船から逃げ出すかのような地獄絵図と化している。

「中国では飲料用缶を製造販売していましたが、価格競争が激化した。これ以上続けても利益が取れないという状況になってきたので、早々に撤退を決意しました」(東洋製罐グループHD社員)

中国事情に詳しいジャーナリストの姫田小夏氏も言う。

「中国でビジネスをする日本企業の集まりが今夏にあったのですが、いかに撤退するかという話題で持ちきりでした。実は、中国事業の撤退というのはそう簡単にはできない。

まず、従業員を解雇するための労使交渉が非常にタフネゴシエーションで、巨額の補償金をふっかけられるリスクがある。また、日本企業が撤退すると地元の雇用が減るので、地方政府の役人が申請書類を受理しないなどの手を使って、抵抗してくる。

外資系企業の中には、こうした事情をわかっていて、夜逃げ同然で逃げ出すところが少なくない。しかし、日本企業は真面目でそこまでできない。事業がうまくいかずに赤字が膨らむのに、撤退できないという二重苦にもがき始めている」

「マカオの悲劇」が日本を襲う
すべり落ちる中国経済が、日本企業を、日本経済をむしばむ。それはいま始まったばかりで、本格化するのはまさにこれから。2016年はテロよりチャイナリスクの猛威が日本全体を巻き込んでいくことになる。

クレディ・スイス証券チーフエコノミストの白川浩道氏が言う。

「中国経済が悪化する流れは当面変わりません。実は中国の不動産バブルはすでに崩壊している。が、それを表面化させないために、不動産投資をしている大企業などに金融機関が追い貸しをしているのが実態です。

これは時間稼ぎをしているだけでいずれ限界を迎える。そのとき、不動産投資をしている大企業が破綻する可能性もあり、そのショックは日本の輸出企業を中心に波及し、日本の株価を引き下げる」

日本総研副理事長の湯元健治氏も言う。

「中国の株式市場はいま落ち着きを見せていますが、安心はできません。中国企業の債務残高は莫大で、GDPに占める割合が約157%。日本企業が'80年代のバブル時にGDP比で約132%の債務を抱えていたことを思えば、これが不良債権化したときのインパクトははかりしれない。

こうした実体経済の問題がクローズアップされれば、再び今夏のような暴落劇が起きても不思議ではない。その時は世界同時株安になる可能性があり、日本株も逃れられない」

中国人観光客による「爆買い消費」もそろそろ終わる。

すでに兆候が出ていて、これまで爆買い消費に支えられて業績絶好調だった大手百貨店の11月の売上高が、前年同月でマイナスに転じた。百貨店業界では、「マカオの悲劇」が日本を襲うとの声も聞こえてきた。

マカオの悲劇とは、中国からのVIP客で沸いていたマカオが、中国経済の失速などで客足が途絶え、収入の激減が止まらないことを指す。その実態は凄まじく、マカオのGDPは7-9月期が前年同期比で約24%減、4-6月期も約26%減と、一経済圏のGDPを大きく揺るがすほどになっている。

いま日本経済は2四半期連続のマイナス成長だが、中国人の爆買いによってなんとか支えられている面が大きい。この支えがなくなれば、景気は足場を失って崩れ、本格的なリセッション(不況)に突入するだろう。

「これまで中国経済に強気の姿勢を見せていた日本銀行も、態度を変えた。12月2日、岩田規久男副総裁が岡山県での懇談会で、『最も重要と考えているのは、中国経済が一段と減速し、わが国経済に悪影響を与えるリスク』との旨を語り出した。日銀が警戒し始めた意味は重い」(全国紙経済部記者)

中国市場の死は、きっとサドンデス(突然死)として訪れる。その日を指をくわえて待つのではなく、もう動き出したほうがいい。

「週刊現代」2015年12月19日より
なんとも怖い記事だ。世界の株式市場が安定的な方向に向かう気配が感じられない日々が中国の株バブル崩壊以降続いている中国市場への警戒は怠ってはならない。

今年の8月11日の中国のバブル崩壊で「中国は土地・不動産バブルの崩壊で」中国元の切り下げを発表しようとしが「株バブルの崩壊で」切り下げたと発表したという、「土地不動産のバブル崩壊」と「株バブルの崩壊」では崩壊の重みが全然違うと。「土地不動産と株」では立て直しに20-30年間も違ってくるということである。

株バブルの崩壊」についても投機筋は長期化すると言っていたが、上海総合指数は8月に付けた安値から現状では短期間に20%も上昇している。日本では1980年代の土地、不動産バブルの崩壊から立ち直るのに15-20年近くかかっている。だが中国の場合、土地は政府からの賃借権であって資本主義とは異なり中国の土地不動産バブルの崩壊は立ち直ることができるのか実際のところわからない。

 中国は現状、輸出主導から金融立国をめざし、国内景気消費主導の成長へ 転換を計ろうとはしているが、上の週刊現代の記事からは非常に難しい状況であると思う。

中国は銀行への行政指導や金利の自由化をすすめ、市場を通じた金融政策に移行していくとの見方を示し、10月には預金金利の上限を撤廃したが、まだ当局は100%自由化には遠い状況にある。まだ本格的な自由化は行われていない状況にある。

中国人民銀行は強い人民元の国際化をすすめるためにSDR入りを強くのぞんでおり、今回のSDR入りを人民元国際化の第一歩であると大変昂揚しているが、中国で改革が実を結ぶのか疑問だ。 
中国はなにやら高揚しているが…
最近、中国政治・経済が急速におかしくなってきた。

本コラムでも以下のようにテーマ、視点を分けて、中国の政治・経済問題を取り上げてきた。

○急ぎすぎた覇権(中国は見事に「中進国の罠」にハマった! 急ぎすぎた覇権国家化のツケ http://gendai.ismedia.jp/articles/-/46183

○経済成長率の低下(衝撃!中国経済はすでに「マイナス成長」に入っている?データが語る「第二のリーマン・ショック」 http://gendai.ismedia.jp/articles/-/46183

○無理なAIIB(アジアインフラ投資銀行)構想(日米が参加しないAIIBの致命的欠陥。中国は必ず日本に水面下で参加を求めてくる http://gendai.ismedia.jp/articles/-/42865

その中国で、珍しく国民の気持ちが高まるような出来事が起こった。国際通貨基金(IMF)が11月30日の理事会で、中国人民元をSDR(IMFの特別引き出し権)の構成通貨に採用することを正式に決めたのだ。これは、中国という国のメンツをくすぐる出来事だ。

SDRとは、IMF加盟国の準備資産を補完する手段として1969年に創設した国際準備資産である。ただし、SDRは通貨ではなく、またIMFに対する請求権でもない。

むしろSDRは、IMF加盟国の「自由利用可能通貨」に対する潜在的な請求権であり、SDRの保有者は、保有するSDRと引き換えに、「自由利用可能通貨」を入手することができる。その際、SDRの価値を決める通貨バスケットは「自由利用可能通貨」から構成される。

従来「自由利用可能通貨」として、IMFはドル、ユーロ、円、ポンドを指定していたが、それらに人民元を加えたのだ。これをもって、人民元も国際通貨の仲間入りと囃し立てる人もいる。

一般論として、IMFが人民元をドルや日本円と並ぶ世界の主要な通貨として採用するとしたことで、加盟国との間の資金のやり取りなどに人民元が活用していくといわれている。通貨の世界でも中国の存在感が高まったというわけだ。

これによって、中国が主導するAIIB(アジアインフラ投資銀行)での取引の自由化も加速すると予想され、世界の金融界での中国の存在感がますます高まる、という見方がある。

耳を疑うようなニュースが入ってきた
しかしIMFは、国際的に使われている通貨を「自由利用可能通貨」と認定するだけで、IMFの認定によって市場が本質的に変わるわけではない。あくまでIMFが市場の結果を追認するだけだ。

今回の決定は、人民元が自由な市場で取引され、価格が自由に変動することを意味していない。人民元には中国政府の制約が多いという問題もある。今は変動相場制の時代であり、変動相場の中で人民元が「自由に使われるか」どうか、それが、真の「国際通貨」であるかどうかのメルクマールになるだろう。

なにしろ、SDRといっても、通貨危機に備えて加盟国に配るものなので、危機になってSDRを差し出し、交換性の乏しい人民元を手に入れるのは考えにくい。いってみれば、SDRは滅多に使われない「仮想通貨」みたいなもので、その換金に人民元が使われるのはもっと考えにくいのだ。

人民元が自由な為替市場の中で取引されるかどうかは後で論じるとして、先週、にわかには信じがたいニュースが聞こえてきた。

「AIIB債、無格付け発行=設立当初、韓国引き受けか」という報道だ(http://www.jiji.com/jc/zc?k=201512/2015120300938&g=int)。

AIIBの資金調達のため、発足当初に発行する債券が「格付け無し」になる見通しとのことだ。国際機関債で無格付けというのは聞いたことがない。おそらく、中国が「独自の国際ルール」を作ろうとしている、ということだろう。

中国がAIIBの設立に精力的だったのは、中国中心ルールの経済圏がどうしても欲しいからだ。これを少し説明しよう。

中国はこれまで自国経済への影響からTPPへの参加は消極的だった。というか、いまのTPPでは中国が参加できない理由がある。TPPでは貿易だけでなく投資の自由化(TPP第9章)も含まれていたからだ。中国は社会主義であるので、生産手段の私有化を前提とする投資の自由化を基本的に受け入れられない。

なお、余談であるが、TPP反対論者からよく出されるISDS条項(編集部注:外国企業や投資家が国を訴えることができるようにする制度)も、この投資自由化に関係する。以下に述べるように、ふつうはまず問題ない。

中国がTPPに参加できない理由
ISDS条項はこれまでの日本の投資協定にも何度も入っていた。日本でも20件以上、ISDS条項が入った投資協定が結ばれている。

それらのISDS条項について、これまで日本が行使されたことは一度もない。ISDS条項で訴えられているのは国内のルール整備が未熟な新興国だ。日本はこれまでもずっとISDS条項を結んできたが、ガードが堅いほうの国なので、訴えられたことはない。外務省も含めて日本政府の役人はけっこう厳密にやるからだ。

このISDS条項は、これでアメリカからオーストラリアがやられたと評判になったもの。しかし、実情は、アメリカとオーストラリアの間の協定ではISDS条項はなかったのに、アメリカのフィリップモリス社は、香港の子会社を使って、オーストラリアを訴えたのだ。

もし、このように日本もやられるなら、とっくにやられているはずだが、日本の法律は外国企業に対して酷い差別的な扱いをしていないので、さすがのアメリカも手出しができなかったわけだ。

中国は投資の自由化を最も嫌うので、ISDS条項は日本には有利だが中国には不利な制度だ。日本のTPP反対論者はまるで中国の走狗のような発言をしていた、というわけだ。

また、TPPでは国有企業が大きな障害になる(TPP第17章)。外国企業が国有企業と対等な競争条件で事業を行うことができるように、国有企業への有利な条件での貸付け等は制約されるからだ。

国有企業が大半を占める中国は、国有企業民営化などに迫られる可能性が高い。このため、この条項は、中国の国家体制を揺るがすことにもつながりかねない。

国有企業が多く、GDPの3分の1程度を占めているマレーシアやベトナムがよくTPPに参加したものだ。これらの国は、今後国営企業を民営化するなどの大改革を行う決意なのだろう。

さらに、知的財産の関係でも、知的財産保護の弱い中国がTPPに参加するハードルは現状ではかなり高い(TPP第18章)。

以上のように、投資自由化、国有企業改革、知的財産保護において、中国はTPPに参加したくてもできない状態なのだ。特に、投資自由化と国有企業改革は、中国の体制問題に発展する可能性があるので、まず克服できないだろう。

中国経済の限界
TPPに参加できない中国の、国際経済におけるハンディキャップはきわめて大きい。そこで、投資自由化、国営企業改革、知的財政保護の必要のない、中国に有利なルールでの、経済圏を構築するために、AIIBを急いで設立しようとしていたわけだ。中国の言葉で言えば、「一帯一路」構想とそれを支えるAIIBである。

ところが、AIIBにも暗雲が出てきた。それが上に述べた報道(「AIIB債、無格付け発行=設立当初、韓国引き受けか」)である。

中国ルールの経済圏(「一帯一路」構想)とAIIBは、中国が中所得国の罠を突破するための手段と考えられているようだが、筆者から見ると、原理的に無理筋である。それを以下に示そう。

中国がそろそろ一人当たりGDP1万ドルの壁にぶち当たろうとしている。

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その突破には、これまでの先進国の例を見ると、社会経済の構造改革が必要である。それは、先進国の条件ともいえる、資本・投資の自由化である。

日本は、東京オリンピックの1964年に、OECD(経済協力開発機構)に加盟することによって「資本取引の自由化に関する規約」に加入し、資本・投資自由化に徐々に踏み出した。

当時は、第二の黒船といわれたが、外資の導入は経済の後押しになったわけで、それが功を奏して、日本の一人当たりGDPは70年代半ばに5000ドル、80年代前半に1万ドルを突破した。

資本・投資自由化をすれば、国有企業改革も当然やらざるを得なくなる。この意味で、中所得国の罠を突破できるかどうかは、いいタイミングで資本・投資自由化を行えるかどうかにかかっている。

それには、資本主義経済のほうが踏ん切りが付けやすいだろう。少なくとも国営企業改革はそれほど難問でないからだ。この点、中国の社会主義体制は、資本・投資自由化を行えないという致命的な欠陥がある。

やっぱり見通しは明るくない
資本・投資自由化がうまくいくと、為替の変動相場制を導入し、独立した金融政策が可能になる。日本やアメリカなどがそのケースだ。または、ユーロのように固定化された変動相場と、金融政策には独立性がない制度もある。

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これらは、上図のように国際金融のトリレンマとして、よく知られたことである。特に、独立した金融政策は、国内経済を維持するためにもっとも重要な経済政策手段を確保することになる。少なくともこれまでの先進国で、資本・投資自由化なしで経済発展してきた国はない。

中国ルールの経済圏(「一帯一路」構想)とAIIBは、国際金融のトリレンマの中でいえば、自由な資本移動を否定し、固定為替制と独立した金融政策を行うという、これまで前例のない取り組みをおこなっているといえる。

論理的に考えて、それがうまくいく可能性は少しはあるものの、資本・投資自由化がないと持続的な経済発展は望めないという意味で、筆者は先進国では「原理的に無理筋」と考えているわけだ。

長い目で見れば、社会主義国の中国でも、こうした矛盾が出てくるはずだ。そうした視点からみたら、冒頭述べたようなおかしな問題が出てくるのは不思議ではない。

広州、香港、マカオで数千社の倒産が起こっているという話にも驚かない。中国では、破産法制は必ずしも完備しているとはいえない。しかも、日本のように手形不渡りで銀行取引停止という処分もないので、倒産がなかなか顕在化しない。

そうした国なので、例えば、香港の社債市場では、格付けなしの社債は珍しくない。であるから、AIIB債を無格付け発行したことも、別にニュースでないともいえるだろう。ただし、国際機関債で無格付けというのは聞いたことがないので、これが中国ルール、ということなのだろう。

中国ルールの経済圏(「一帯一路」構想)とAIIBが原理的な部分で致命的欠陥を抱えている以上、長い目で見れば中国政治・経済の見通しは明るくないといわざるを得ない。
人民元のSDR採用も一時の気休めにしかならないようで、中国はこれからデフレの苦しみに遭う。債務も積み上がり・・・・このさきどうなるか?産経新聞特別記者・田村秀男氏の記事
米連邦準備制度理事会(FRB)が今月16、17日に開く連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利の利上げを決定する。昨年秋の量的緩和打ち止めに続き、2008年9月のリーマン・ショック後から7年間続けてきた事実上のゼロ金利政策を終了する。その対外的衝撃はどうか。(夕刊フジ)
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 日本の株式市場は「織り込み済み」との見方が強いが、新興国市場のほうでは不安がくすぶっている。特に、あおりを大きく受けそうなのが中国である。

 中国の株式市場は6月下旬の大暴落以降、当局による強権によって相場の底抜けを何とか食い止めてきた。FRBは9月にも利上げする予定だったが、中国など新興国市場の動揺を考慮して決定を先送りしたが、米景気の堅調ぶりからみてゼロ金利を続けるわけにいかなくなった。

 中国のほうは、習近平国家主席が執念を燃やしてきた人民元の国際通貨基金(IMF)特別引き出し権(SDR)構成通貨入りが実現した。その条件は元の変動幅拡大や株式など金融市場の自由化だが、外国為替制度は当面、元をドルに連動させる管理変動相場制を続ける。これだと米利上げとともに試練に直面する。

 米利上げでドル高に向かう。ドル高はすなわち元高となり、中国にはデフレ圧力が加わる。それを避けるためには、元を切り下げる必要があるが、するとワシントンから制裁を受ける恐れが高まる。

 共和党の大統領有力候補、ドナルド・トランプ氏は「中国は為替操作国」だとすでに非難しているし、大統領選と同時に行われる議会総選挙を控え、議員の多くが反発しよう。

 北京のほうも、元切り下げをためらわざるをえない事情を抱えている。元安となると、巨額の資本逃避が起きる恐れがあるからだ。現に、8月に中国人民銀行が人民元切り下げに踏み切ると、大量の資金が流出した。

 グラフは、中国企業(金融機関を除く)の債務と、企業向け平均貸し出し金利から製品出荷価格の増減率を差し引いた実質金利負担の対比である。最近では、名目の貸し出し金利は4%台半ばで、1年前の6%に比べて下がったものの、製品値下がりのために実質的な金利負担は急上昇してきた。今の平均実質金利は11~12%にも及ぶ。鉄鉱、家電、自動車、建設関連など中国の過剰生産能力はすさまじく、製品価格は12年4月以降、前年比マイナスが続き、しかも減少幅は拡大する一途である。

 支払いが困難になっている企業は、金融機関に債務返済を繰り延べてもらうほか、追加融資を受けている。さらに社債など債務証券を発行して資金調達している。

 この結果、債務は雪だるま式に膨れ上がっている。日本円換算でみると、14年3月に約1500兆円だった債務残高は15年3月には600兆円以上増えた。外貨建て借り入れも増えており、元を切り下げると、その分債務負担がかさむ。

 まさに巨大な債務爆弾である。「国際通貨元」は中身ぼろぼろの「悪貨」なのである。 (産経新聞特別記者・田村秀男)
巨大な債務を抱えるなかで、中国政府はは2016年から新5ヵ年計画で年平均6.5%以上の成長目標をかかげる見通しである。中国は4-5年前から生産を成長目標としてかかげていたものを今年から中国は消費主導の経済を目指すと言っている。高い成長率を維持するために簡単に消費主導の経済に移行することなどそう簡単にできるものではない。あの重厚長大な生産設備や国営企業の工場をどうするのか?剰供給体質が残る鉄鋼・建設機械などはそれを撤去するだけで多額の費用がかかる。かと言って生産しても最近は製品価格が大きく値下がりし、生産すれば莫大な赤字を生むだけに前にも後にも進めない状況となってきた。日本のデフレ突入時よりすでに状況は悪化している。

中国は米国との中国潰し政策に嵌り、前に進むにも後にさがるも大変なマネーの負担となってきた。中国にとっては最近の原油の値下がりと共にあらゆる生産物の価格下落は果たして4-5年後にマクロ経済の減速が続くなかで、10年前に中国政府の手厚い庇護の基に生産を高めてきた企業をいかにうまく潰し、かつての国有企業を始末して、成長の芽を宿す企業を作れるようには思えない。

米国が中国潰し政策を続けている原油価格等の下げに伴う価格安は中国にとって末恐ろしい凶器となってきていることを知るのは5-10年後である。中国は物価下落の重みを感ずる日が必ず来るであろう。

米国株式は利上げ後どこかのタイミングで上がってくると思うが、問題は日本株の投資のタイミングである。・・・年末の安値は例年買いというのが定石なのだが・・・
米金利上昇は教科書では円安ではあるが、過去米国利上げ局面では円高になった、どの程度円高になるかが見極めるポイントではないか?中国と地獄へ道連れは勘弁してほしい。




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週足の回帰トレンド-2σの線が抵抗線となりましたね・・・

中国上海市場は元々閉鎖された市場ですので、日米の市場との連動性は極めて低い。ただ、中国経済が永年蓄積してきた矛盾が飽和点を越え、一気に中国共産党政権が崩壊するか、単なる経済不況で終わるかはまだ誰もわからないと思う。

中国経済がの混迷度合いによるが、日本株のこ上昇トレンドはあと暫くは続く可能性があると思います。


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15年1月末からWTI原油先物価格は反転、2月3日に1カ月ぶりに1バレル当たり54ドル台まで上昇した。過去7カ月に及ぶ価格急落局面を抜け出し、「強気相場に転じた」との観測が出された。米国で稼働中のリグ(石油掘削装置)の数が、2014年10月時点の1609基から1223基まで24%減り、3年ぶりの水準に落ち込んだからだ。

しかし翌4日、米エネルギー省が発表した米原油在庫統計は4週連続で増加し、過去最高を記録したため、50ドル割れの大幅安となった。

その後、中国人民銀行が金融緩和措置を発表すると再び50ドルを超えるなど、原油市場は2009年4月以来の高いボラテイリテイーであった(原油価格の2週間の上昇率は過去17年で最大であった)。

膨大な原油在庫を抱え輸入量が減少した中国

供給面を見ると、米シェール企業の生産はいまだマイナスに転じておらず、OPEC諸国も増産基調にある。ロシアの生産も2015年を通じて高水準で推移することが予想されている。このため世界の原油在庫は歴史的な高水準が当分続き、原油価格の上値を抑える展開が続くと見込まれている(2月2日の週の米原油在庫が1982年8月以来の最高水準となったため、2月11日の原油価格は48ドル台に下落した)。

しかし、不透明な状況が続く中で筆者が注目しているのは、中国経済の減速など需要面から悪影響が出てくることである。

2014年末、市場関係者の間では、今回の原油安の要因について「65~80%が供給面で、需要面は残る20~35%」として、需要面での影響は「逆オイルショック」の時と比べて少ないとされていた。確かに、現在の原油価格は需要面の要素はあまり織り込んでいない。
中国は、 2013年までの10年間で世界の原油需要の伸びの51%を占めてきた。中国の2014年の原油需要は前年比3%増の日量1006万バレルと堅調であり、IEA(国際エネルギー機関)の予測によれば今後も年率約2.5%増とその伸びは安定的に推移し、2020年には日量約1200万バレルとなる見込みだ。

しかし、足元の原油需要拡大は原油価格上昇の材料となっていない。政府が戦略備蓄を積み増しているとの見方が多いためだ。

2015年に入ると中国の1月の輸入額は前年比19.9%の減と5年8カ月ぶりの落ち幅だった。原油輸入量も前年比0.6%減、前月比では7.9%減少している。

日に日に深刻さを増す中国のキャッシュフロー

改革開放以来、特に21世紀以降「大躍進」を遂げてきた中国経済だが、いよいよ陰りが出始めている。

「日本経済新聞」は2015年2月3日付の紙面で「中国で賃金上昇が止まらない」という記事を掲載した。中国でもっとも賃金水準が高い広東省深セン市は、3月1日付で最低賃金(1カ月)を現行から12.3%引き上げ、2030元(約3万8000円)とすることを決めた。これは中国で初めての2000元の大台超えであり、2009年の同1000元からわずか6年で倍増したことになる。景気減速で続く中国だが、賃金上昇の波は全国に及ぶと見られている。

中国の生産者物価指数はすでに3年近くマイナスであるにもかかわらず、賃金上昇率が毎年2ケタ台で推移している。そのため、企業の多くは実質的には赤字に陥り、キャッシュフロー不足が常態化しているのではないかとの懸念が高まっている。

また、中国の4大銀行の預金残高が統計開始以来初めて減少するとともに、政府の規制強化により、ここ数年爆発的に伸びてきたシャドーバンキング(信託会社やリース会社が資金を投資家から集めて一般の銀行が貸さないリスクのある事業に資金を提供する仕組み)部門の減速も見込まれている。中国経済のキャッシュフロー不足は、日に日に深刻さを増している。                                                                   
人民銀行の懸案が「資金流入」から「資金流出」へ

中国は国内のキャッシュフロー不足に加えて、資金の国内外の流れも変わってきている。

特に注目すべきは、2014年第3四半期に統計開始後初めて対外直接投資額が対内直接投資額を上回ったことだ。2014年全体の対内直接投資額は前年比1.7%増の1196億ドルで、米国を抜いて初めて世界一となったが、対外直接投資額も初めて1000億ドルを突破し、対内直接投資額を上回った。

2014年後半から中国資本による海外企業、特に不動産企業(ニューヨークのウオルドルフ・アストリア・ホテルなど)の買収などが話題を呼んでいる。対外直接投資が急増している要因として、いわゆる「汚職マネー」の対外流出に関する規制が非常に厳しくなっている中で、直接投資に対する規制は相対的に緩いことが指摘されている。

直接投資分野での黒字が急減したことから、2014年の中国の外貨準備高の伸びは2000年以来の低水準だった。2015年の直接投資収支は年間で赤字になる可能性が高く、これにより外貨準備高もマイナスに転じる可能性がある。

人民銀行が2月3日に発表した2014年第4四半期の資本・金融収支は912億ドルの赤字となり、1998年以降でもっとも大きな赤字幅となった。このことは人民銀行の懸案が「資金流入」から「資金流出」へと様変わりしたことを意味する。

中国の場合、外貨準備高が4兆ドルもあるのに国全体の対外純資産が2兆ドルしかない。このことは民間部門が対外負債超過であることを意味する。対外債務の中にはドル建てが多いため、米FRBによる2015年半ばの利上げ観測が高まっている状況下では、ドル債務の借り換えが一層困難になることは間違いない。

電力消費量の伸び率も石炭の生産量も減少

世界銀行は、2014年の中国経済は購買力平価(PPP)で166年ぶりに世界一になると試算したが、2014年の経済成長率は前年比7.4%増と24年ぶりの低水準だった。

しかし政府が発表したこの「7.4%」という成長率を信じる専門家は少ない。

かつては「爆食経済」と称されたように、中国の生産活動には相変わらず大量のエネルギー資源が投入されている。中国経済が本当に伸びているかどうかを見るには、エネルギー消費量の伸びをチェックするのが一番だ。

2013年の経済成長率は7.7%だったが、全国の電力消費量は同じ7%台の7.5%だった。しかし、2014年の電力消費量の伸び率は、2013年の半分程度の3.8%に急減している。エネルギー消費の7割を占める石炭の2014年の生産量も2000年以降初めて減少に転じている。

また、2014年1月から11月までの中国国内の鉄道貨物輸送量は前年比で3.2%減少している。物流の大黒柱である鉄道の貨物輸送量がマイナス成長に転じていることは、エネルギー消費の動向と併せて考えると、中国全体の経済活動がかなり冷え込んでいると考えて間違いはない。

国家統計局が発表した2015年1月の製造業購買担当者指数(PMI)は49.8となり、景況判断の節目となる50を2年4カ月ぶりに割り込んだ。だが、中国政府は成長刺激のために財政支出を拡大する計画はないとの見解を繰り返している。

中国経済はいよいよバブル崩壊のカウントダウンに

IMFは中国の経済成長率を2015年は6.8%、2016年は6.3%になると予測しているが、深刻なのは労働力人口の減少である。

2014年の労働年齢人口(16~59歳)は3年連続の減少となり(2014年は371万人、2013年は244万人、2012年は345万人)、今後10年は労働力が過去20年間ほどは成長に寄与しないことが明らかになっている。高齢化が急速に進行し、「5年後には人口13億人のうち6億人を、働く世代が支えなければならない時代が来る」とする向きもある。

中国の粗鋼生産量は1996年に1億トンを突破して世界一になった。それ以降、21世紀に入っても急拡大を続けてきたが、2014年の伸びは2000年以来の低水準だった。2015年にはついに生産のピークに達するとの見方が一般的になっている。

中国の鉱工業生産額は2001年にドイツ、2006年に日本、2009年に米国を抜き、2013年には3646億ドルに達した。2000年から2013年にかけての伸び率を平均すると33.4%となる。これは世界全体の10倍以上のスピードである。世界経済のデフレ化が懸念される中で、3646億ドルという数字が今後10年間で3分の2になったとしても、世界経済の供給過剰状態は解消できないかもしれない。 

また、2014年12月の新築住宅価格が8カ月連続で下落するなど不動産市場の在庫が依然として高水準であることから、不動産会社のデフォルト懸念が日増しに高まっている。2014年末には国家所属のシンクタンク(国務院発展研究センター)が、「長年蓄積してきた不動産場バブルが、需要の萎縮によって2015年に破裂するかもしれない」とバブル崩壊の可能性を認めるまでになっている。このため国内の社債市場も変調をきたしており、資金の流通速度はますます下がっていくことだろう。 

企業がデフォルトに追い込まれるのは不良資産の大きさではなく資金繰りがつかなくなった時である。かつてないほど資金繰りが困難になっている中国経済はいよいよバブル崩壊のカウントダウンに入ったのではないだろうか。

過去20年以上続けてきた債務バブルが破裂してしまえば、原油価格下落による恩恵など役に立たない。中国経済が2015年以降本格的に減速すれば、中国の原油需要の伸びが大幅なマイナスに転じる可能性があり、世界の原油需要が減少に転じるのは必至だ。原油価格に対してもう一段の下押し圧力になることは間違いない。

中国のバブル崩壊で1バレル10ドル台の可能性も

今後の原油価格を占う点で注目すべきポイントは、以上のように、シェール企業とサウジとのチキンゲームという供給面から、中国経済の急減速という需要面に変わりつつある。

元日銀審議委員の中原伸之氏も2015年1月6日に、「最近の原油市況は中国経済の成長ペースに連動しており、今後は中国の成長率が5%台などへ減速する中、原油価格が本格反転する材料はない」との見方を示し、その上で原油価格は「20ドル台まで下落しても全く不自然ではない」とコメントしていた。

1月16日付「ウオール・ストリート・ジャーナル」も、「1985年11月から1986年3月にかけて原油価格は67%暴落した。2014年6月から今日までに原油価格は57%急落したが、さらに下げる可能性が高い」と指摘している。中国で不動産バブル崩壊による金融危機が発生すれば、原油価格は1バレル当たり10ドル台になる可能性すらある。

このように今回の原油価格の下落局面はまだ6合目程度であり、さらなる下落前の「踊り場」に過ぎない。足元の原油価格の上げ下げに一喜一憂するのではなく、以前から指摘しているように、原油価格の新しい取引レンジは「1バレル当たり20ドルから50ドル」になったと覚悟し、デフレ化する世界経済に対して毅然として立ち向かうことが肝要である。
まだ入社2.3年生が、原油価格が大幅安になったので原油関連ファンドを底値圏だとクライアントに推奨していた。まあ、経験が浅いので仕方がないが、わたしはやんわり、「下げるナイフは掴むな」と忠告した。

「野も山もみな一面の弱気なら、阿呆になって米を買うべし」という有名な米相場の格言もあるが、まだ、野や山、砂漠も荒海もみな一面の弱気ではない。

野も山もみな一面に弱気、それは相場が下がり続け、先行きも見えずに多くの投資家がうんざりしてしまう状況です。この状況で買いに走れるのは、我慢強く下げ相場でしか仕込まない投資家、安くなった価格をみて打診買いができるベテランの投資家、あとはこの時期に投資を始めた初心者くらい。
本当の買い時とは、人が誰も買えないときであって、マーケットに待機資金がジャブジャブある今ではないと私は思います。
相場は「上昇5波・下降3波」という周期性をもって動く

エリオット波動論は欧米をはじめ世界中に多くの信奉者がいる相場分析法です。チャールズ・ダウより少し遅れて米国で活躍した株式アナリスト、ラルフ・ネルソン・エリオット(1871年~1947年)が編み出し、戦後の60年代になって再評価され、投資家の注目を集めるようになりました。その理論は、単なる相場の値動きだけでなく、1000年単位の歴史の周期まで視野に入れた壮大なものです。

エリオット波動論を一言でいうと、「相場にはサイクルがあり、値動きには一定のリズムがある」ということになります。エリオットは、過去のNYダウ平均を緻密に分析することで、値動きのなかに「上昇→下降」の波が一定の規則性をもって何度も出現することを発見しました。これが「上昇5波・下降3波」というエリオット波動の根幹をなす値動きの周期です。

つまり、上昇相場は「上げ→下げ→上げ→下げ→上げ」という5つの連続した波動から成り立ち、その後には「下げ→上げ→下げ」という3つの波動による下降調整相場が続くというものです。


図1:エリオット波動の基本形

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値動きのイメージとしては、上昇は「W」、下降は「逆さN」の字形で動くと覚えておくといいでしょう。

さらに、値動きの周期には長短さまざまなものがあり、「サイクル」という大波動の波の一つ一つのなかに、「プライマリー」と呼ばれる上昇5波があったり、その細部にもまた「インターミディエート」という小波動があったりと、いわば、"入れ子細工"のような構造になっている点に特徴があります。

原油価格の下落は、家計におけるガソリン等の下落による消費刺激、暖房費負担の減少を通じて、冬場の消費を刺激しやすい。年間を通じた産油国からの所得移転は、日本では過去主に下半期に効果が出ている。今回の原油価格の下落は、米国のクリスマス消費に好影響を与えるには波及時間が足りなかったようだが、1月以降の米消費や中華圏の2月の旧正月消費を刺激すると期待される。
原油価格の下落によって、世界の消費が冬に刺激されるならば、景況感の改善を受けて原油価格の底値は冬に多い。原油価格が大きく下落した後の底値の月は、1993年が12月、98年が12月、2001年が11月、08年が12月と冬場が多い。今回のように短い期間での原油価格の下落では1月安値も散見される。
また、世界の景気次第である日本の景気が底入れするとなれば、世界景気の持ち直しで原油の価格が底入れしやすい。実際、日本の景気の底は1993年10月、99年1月、2002年1月、09年3月だ。上記の原油価格の底入れ時期とほぼ同じではあったが、今回は関係ないかもしれない。
単純な景気循環で説明できる原油相場とは違い、シェールガス、シェールオイルやサンドオイルという採掘可能化した新手の供給源が加わったことに加え、メタンハイドレード、ミドリムシによるバイオオイルなどバイオエネルギーがほぼ実用化、ロッキード社によるレーザー核融合が10年で実用化する。CO2削減で、クリーンエネルギー革命で、太陽光、地熱、風力、波動、温度差発電所が続々誕生している。
更にガソリンに代わり電気自動車、FCV水素自動車が将来的にはガソリン車を駆逐するかもわからない。
単純な景気循環論からいえば目先底は打ったかもしれないが、再び下落する可能性は高い。

代替資源(非在来型資源)のインパクト
【経済コラムマガジン】15/2/9(831号)

説得力がない原油安の解説

ここ4年間ほど100ドルという高値を維持し、また昨年6月には110ドル近辺まで高騰していた原油価格が、先日には44ドルと大暴落を演じている。さすがに週刊東洋経済や週刊ダイヤモンドといった経済専門誌も、先週号でこのショッキングな「原油安」を特集している。筆者も両方を本屋でザッと立ち読みしたが、週刊ダイヤモンドの方が多少核心に迫っていると感じられた。色々な所で原油安の原因が語られている。ところが筆者に言わせれば、説得力のある説がほとんどない。

それどころか中にはドンデモない珍説が横行している。先々週もテレビ東京系のモーニングサテライトにバークレイズ証券のチーフ・ストラジスト北野一氏が登場し、原油安に対する奇妙な解説を行っていた。北野氏によれば、原油安の原因は米国金利の先高感がスタートという。これによってドル高となり、このドル高に対して新興国や発展途上国が高金利政策で対抗している。そしてこの高金利政策によって石油の需要減退招き原油安となったと北野氏は説明していた。朝っぱらからこの解説を聞き筆者も驚いた。


北野氏の説で唯一正しいのはドル高であろう。ドル高が続いているので、たしかに中東の産油国もこの原油安をギリギリ我慢しているところがある。そもそもドル高に対しては、自国通貨の下落を防ぐため金利を高くした国と、反対に通貨安を目論んで金融緩和を行っている国(EUなど)がある。つまり原油安をドル高だけで説明することは所詮無茶である。

筆者にとって説得力がないと感じる説の共通点は、原油価格が需給関係(実際の需給)だけで決定されるという思い込みである。日経新聞も2月2日夕刊の2面で「原油価格、なぜ下がった」という特集を組んでいた。これによれば以前は石油メジャーやOPECが原油価格を決めていた。しかし今日、代表油種(WTI、ブレトン、ドバイ)の先物が市場で取引され、需給を反映しこれらの価格が市場で決まる(先物価格が決まれば現物価格が決まる)と解説している(ここまではオーソドックスな解説)。

中国や欧州を中心に世界の景気は良くないため石油需要が伸びない。一方、シェールオイルなどの原油の代替資源(非在来型資源)の開発が進み、供給が増えた。つまり今日、原油の需給のバランスが崩れ価格が下落していると日経はこの特集で結論付けでいる。

しかし実際のところ、世界の総需要は9,000万b/d(b/dは一日当たりの量(バレル))程度であり、毎年、原油の需要は100万b/dくらい増え、一方、供給もほぼ100万b/dくらいずつ増えてきた。このように需給の変動と言っても全体から見ればほんの僅かであり、需要や供給が一年で何十パーセントも増えたり減ったりすることはない。


だいたいシェールオイルが本格的に生産され始めたのは4年も前の2011年からである。それ以降、シェールオイルはどんどん増産され、今日では400万b/dを超えるほどである。もし需給のバランスが崩れたからと言うのなら、それは前からの話ではと筆者は感じる。

むしろ4年間も需給を反映しない異常な高値が続いたため、シェールオイルの開発に拍車がかかったと筆者は認識している。だいたい本当に需給を反映して常に市場価格(原油価格)が決まっているのなら、わずか半年余りで110ドル近辺から44ドルに大暴落するはずがない。おそらく市場が常に正しいと思い込んでいる観念論者達には、このような現象はとうてい理解できないのであろう。

筆者は、4年間も高値が続いたことの方が異常だったのであり、今日の下落はむしろ正常化への過程と思っている。筆者は、もし本当に実際の原油の需要や供給だけで市場価格が決定されてきたのなら、昨年までの高値と今日の大暴落という事態はなかったと思っている。ところが現実は原油市場に実際の需給とは関係のない資金が大量に流入していて、この動きによって市場価格が概ね決まってきたと筆者は見ている。今回はこの資金が動いたので暴落が起ったと筆者は理解している。週刊東洋経済と週刊ダイヤモンドでは、後者がこの点にある程度踏込んだ解説を行っている。


主要地域の原油生産の損益分岐点

先週号で今回の原油価格暴落の理由を、「ある事情」で原油市場が大きく変質したからと述べた。「ある事情」を理解してもらう上でも、前段の説明が必要である。そのためにまず供給サイドの話として、主要地域の原油生産(代替資源(非在来型資源)を含む)の損益分岐点(ドル・1バレル当り)を次の表で示す(出所は米IHS)。これは2020年までに生産開始予定の新規プロジェクトに関する数字である。ただこれらの数字は、ちょうど1年前(14年2月7日)の日経新聞の記事から採ったので多少古くなっていることをご承知願いたい。
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まずこの表の見方として注意が必要な点は、上表の数字はあくまでも2020年までに生産開始予定の新規プロジェクトに関するものである。おそらく既存の設備のコストはこれらより低いものが多いと見られる(例えば北海油田などもこの数字よりずっと低いと考えられる)。また数字はその地域の平均値であり、この表より高い開発案件と低い案件が混在していると見る。さらに損益分岐点の考え方としては、変動費に固定費を加味したものと理解する。開発費用や設備費用といった固定費は一定の年限(例えば10年とか・・ただしシェールオイルはもっと短い)で償却することを前提にしていると考える。


筆者が注目しているのは、シェールオイルとオイルサンドといった原油の代替資源(非在来型資源)である。特に数年前までは、本誌で何回か取上げたように筆者はオイルサンドの方に関心があった。しかし現実には、シェールオイルの方が開発が進んだ。ただ米IHSによればオイルサンドの損益分岐点を104ドルとしているが、既存の設備のコストは75ドル程度という情報も有り、米IHSの数字はちょっと高過ぎると感じる。これについては真偽を確かめる必要があるが、とりあえず今週号の話を進めるには大きな障害とはならない。

シェールオイルとオイルサンドに注目する理由は、両者の埋蔵量がほぼ無尽蔵という事実である。このことは昔からよく知られていたことである。原油の可採埋蔵量が1.7兆バレル(既に採掘済みの量を差引くと約1兆バレル)に対して、シェールオイルが3.13兆バレル、オイルサンドも2.12兆バレルある。しかし昔は原油価格が安く推移していたので、高コスト(双方ともバレル当り70~80ドルと言われていた)である両者の開発に手が付かなかっただけである。筆者が08/6/23(第532号)「原油価格の暴落予想」」で高騰していた原油価格の暴落を予想した根拠はこれである。当時、「そのうち原油価格は150~200ドルになる」といった明らかなデマが広がっており、いい加減なエコノミスト達もこれを吹聴していた。

ところが不可解にも原油価格が高値の100ドルという時代が7年近くも続いたのである(途中リーマンショックで一時的に40ドルまで下落したが)。しかし掘削技術に飛躍的な進歩が有り、特にシェールオイルについてはコストが40ドルの油井まである。シェールオイルとオイルサンドについては、今後も採掘技術の進歩の可能性が十分考えられる。今後の原油価格の推移を予想するに当り、このほぼ無尽蔵の原油の代替資源(非在来型資源)は絶対に考慮すべきことである。


ちなみにオイルサンドも捨てたものではない。シェールオイルに及ばないが、2013年で195万b/dの生産量がある。

今日、米国では「キーストンXL」というパイプラインの建設を巡って、オバマ大統領と議会が対立している。このパイプラインはカナダのオイルサンドから抽出された重質油分を軽質石油製品にするため、メキシコ湾岸の石油分解装置のある石油精製設備に送るためのものである。オバマ大統領は環境問題を盾に反対しているが、共和党を中心とした議会は建設を推進している。とうとう先月の1月29日に建設承認の法案は圧倒的多数で上院が可決した(つまり民主党の中にも賛成に回る議員がかなりいた)。はたしてオバマ大統領がこの法案に拒否権を発動するか注目されるところである
。 


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世界銀行のキム総裁は、日本が今週決定した新たな成長戦略について、労働力不足が課題となるなか、女性や外国人を働き手として活用する取り組みを盛り込んだことを評価し、改革の着実な実行を求めました。

世界銀行のキム総裁は、来月、日本や中国などアジア各国を訪問するのを前に、27日、ワシントンで会見しました。
この中で、日本が今週決定した新たな成長戦略について、キム総裁は「より多くの女性や外国人を働き手として活用しようという取り組みを評価する」と述べ、労働力不足が課題となるなか、女性の活躍を後押しする支援策や家事を手伝う外国人労働者の例外的な受け入れ措置などに期待を示しました。
また、ことし4月の消費税率引き上げ後の日本経済について、秋には駆け込み需要の反動による影響も収まるという認識を示し、「改革が着実に実施されれば、日本経済はこのあとも回復を続けるだろう」と述べました。
一方、2001年に債務不履行に陥ったアルゼンチンがアメリカの裁判所の決定で投資ファンドへの債務の全額の返済を迫られ、再び債務不履行に陥るおそれが指摘されている問題について、キム総裁は「解決策が見いだされることを期待している。今は非常に微妙な局面で、交渉の行方を注意深く見守っている」と述べ、警戒感を示しました。

成長戦略の改訂版の概要

日本の『稼ぐ力』の強化

①企業統治(コーポレートガバナンス)の強化

「コーポレートガバナンス・コード」の策定

金融機関による経営支援機能の強化

②公的・準公的資金の運用等の見直し

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の基本ポートフォリオの適切な見直し、等

③産業の新陳代謝とベンチャーの加速化、成長資金の供給促進

「ベンチャー創造協議会」の創設

政府調達におけるベンチャー企業の参入促進

④成長志向型の法人税改革

2015年度から数年で法人実効税率を20%台まで引き下げ

⑤イノベーションの推進と社会的課題解決へのロボット革命

イノベーション・ナショナルシステムの確立(革新的な技術からビジネスを生み出す仕組みづくり) 

社会的課題解決へのロボット革命                             

残された課題への対応

就業環境


①女性の更なる活躍推進

放課後児童クラブ等の拡充

女性の働き方に中立的な税・社会保障制度等への見直し

女性の活躍加速化のための新法の制定

②柔軟で多様な働き方の実現

働き過ぎ防止のための取組強化

時間ではなく成果で評価される働き方への改革

予見可能性の高い紛争解決システムの構築

③外国人が日本で活躍できる社会へ

外国人技能実習制度の見直し

建設及び造船分野における外国人材の活用

国家戦略特区における家事支援人材の受け入れ

介護分野における外国人留学生の活躍                         

農業、医療・介護

①攻めの農林水産業の展開

米の生産調整の見直し

農業委員会・農業生産法人・農業協同組合の一体的改革

酪農の流通チャネル多様化

国内外とのバリューチェーン(6次産業化、輸出の促進)

②健康産業の活性化と質の高いヘルスケアサービスの提供

医療・介護等を一体的に提供する非営利ホールディングカンパニー型法人制度(仮称)の創設 

個人に対する健康・予防インセンティブの付与

保険外併用療養費制度の大幅拡大                              

成長の果実の全国波及

①地域活性化と中堅・中小企業・小規模事業者の革新

地域活性化関連施策をワンパッケージで実現する伴走支援プラットフォームの構築

地域ぐるみの農林水産業の6次産業化、酪農家の創意工夫

世界に通用する魅力ある観光地域づくり

PPP/PFIを活用した民間によるインフラ運営の実現、等

②地域の経済構造改革の推進

総合的な政策推進体制の整備

2014年6月24日に新成長戦略が閣議決定された。今回の新成長戦略では、昨年6月の成長戦略では踏み込めなかった岩盤規制と呼ばれる農業や医療において比較的思い切った改革メニューが示され、昨年の成長戦略よりも高く評価できる内容だとわたしは評価したい。しかし、WSJの評価は不十分だと書かれている。

HEARD ON THE STREET
安倍首相の新たな成長戦略も日本の大きな問題解決には不十分

【ウォールストリートジャーナル】2014 年 6 月 25 日 10:13 JST

日本の最新の経済改革プログラムには、投資家たちを勇気づける幾つかの理由があるが、日本の成長見通しを再活性化するとの安倍晋三首相の熱意とは裏腹に、ホームランといえるものではない。
しかしながら東京株式市場の株価が5カ月ぶりの高水準となっていて、昨年の第三の矢とされた世う超戦略から比べると失望感は少ない。
一方投資情報サイト『InvestorPlace』は「日本株を買うべき5つの理由」をあげている。

5 Reasons to Buy Japanese Stocks – EWJ
Japan stocks may be the only bargain among developed markets     【investorplace】Jun 25, 2014, 7:30 am


1.Today’s global economic environment. In the second half of 2014, the global economic recovery will continue and U.S. interest rates to moderately rise. Historically, an improving global economy and rebounding Treasury yields coincide with strength in Japanese stocks.                           世界的投資環境 2014年後半には、世界的な景気回復が継続し、米国の金利は適度に上昇する。歴史的に、世界経済の改善やリバウンド債利回りは日本株の強さと一致している。                                     
2.Stabilizing growth in China. Japan’s key trading partner is showing signs of stabilizing growth, which should help improve investor sentiment toward Asian markets as well as boost Japanese exports.                      中国の成長の安定化 日本の主要な貿易相手国は、アジア市場に向けて投資家心理を改善するだけでなく、日本の輸出を後押し助けるべきである安定成長の兆しを見せている。                                              
3.Growth initiatives are set to regain momentum this summer. Prime Minister Abe’s revamped growth initiatives due in late June could generate new investor enthusiasm. Meanwhile, a proposed cut in corporate taxes (to 20% from around 35%) could be a major positive surprise for the equity market if implemented at a quicker-than-expected pace.                          【法人税減税】成長イニシアチブは、この夏の勢いを取り戻すために設定されている。 6月下旬に起因する安倍首相の成長刷新イニシアチブは、新しい投資家の熱意を生成することができます。予想以上速いペースで実施された場合、(約35%から20%まで)法人税等の提案カットは株式市場にとって大きなプラスの驚きである可能性があります。                                  
4.The earnings outlook for Japanese firms. While the U.S. corporate sector has experienced little or even negative earnings growth in recent fiscal years, Japanese firms have posted solid earnings growth and it’s worth noting that Japanese accounting standards are more conservative than elsewhere.       日本企業の収益見通し。米国企業部門は、最近事業年度における少しでもまたは負の利益成長を経験しているが、日本企業は強固な収益成長を掲載している、それが日本の会計基準が他の場所よりも保守的であることは注目に値します。 
5.A weaker yen. The continued U.S. recovery and the divergent U.S. and Japanese monetary policies imply a weaker yen (vs. the dollar) in the medium term. This, in turn, should help support Japanese corporate earnings.          円安。米国の回復と発散米国と日本の金融政策は、中期的に(ドルに対して)円安を示唆している。これは、順番に、日本の企業収益をサポートして助けるべきである。

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丸山俊 BNPパリバ証券 日本株チーフストラテジスト

[東京 27日] - 現在の日本株が置かれている状況は1980年代後半にますます似てきている。当時を振り返ると、中曽根康弘首相・竹下登大蔵大臣(87年より首相)がプラザ合意後の円高不況対策として積極的な財政出動に舵を切るとともに、澄田智日銀総裁に利下げを迫り、86年から89年まで低金利政策が続いた。

株式市場は政策出動を好感して86年に東証株価指数(TOPIX)は49%上昇。87年は景気回復のもたつきや米国株の暴落(ブラックマンデー)の余波で10%の上昇にとどまったものの、政策効果や株高もあって高成長に回帰した88年には株価は37%上昇し、景気が過熱した89年にはさらに22%上昇した。その結果、インフレ圧力が高まり、政府が引き締めに転換した90年に株価は40%下落し、バブルは潰えた。

アベノミクスも円高対策や震災復興のために積極財政を採用し、日銀が量的・質的金融緩和(異次元緩和)を実行したことにより2013年に株価(TOPIX)は86年を上回る59%の上昇を達成した。しかし、ここでも2年目のジンクスは当てはまり、14年に入ってから株価はボックス圏で推移している。政策(期待)が一巡したことに加えて、家計には消費増税の影響が、企業には原材料費や人件費の上昇が圧し掛かり、企業業績の伸びが大きく鈍化していることが背景にある。

14年度は円安効果の剥落によって「増収減益」を見込む企業も少なくない。しかし、15年にかけては拡張的な財政政策の継続、慢性的な人手不足を背景とした賃金上昇ペースの加速やマインド改善による個人消費の持ち直し、企業部門の設備投資や生産性向上に対する取り組みなどによって、日本経済は適度な2%前後のインフレと1%弱の実質成長を低金利(長期金利1%前後)下で実現できる可能性が強まっている。

企業業績も踊り場を脱し、2桁増益が見込まれる15年には88年のような株価反騰局面を迎えるのではないか。なお、88年は経済成長に裏付けられた株価上昇という点で「バブル」ではなかったが、89年は経済成長を伴わないという点で「バブル」であった。

<GPIF改革はいつか来た道か>

経済環境以外に80年代後半と似ている点として、公的年金資金や郵貯資金による運用の見直しがある。昨今、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用見直し・組織改編、簡保の日本株積み増しなどに注目が集まっているが、これらは87年に「より効率的な運用」を求めて公的年金が自主運用を始めた状況、89年に郵貯資金が寄託金(指定単)としてリスク資産の運用に乗り出した状況とそっくりである。

以下のように、80年代後半の出来事と、今後想定される出来事を並べるとスケジュールまでもが似ていることに驚く。

●1987年 公的年金と郵貯資金が自主運用を開始

●1989年 郵貯資金が寄託金(指定単)による(リスク資産)運用を開始

●2014年 公的年金資金の基本ポートフォリオ見直し(国内株式比率の引き上げ)、簡保が日本株積み増し

●2015年以降 日本郵政上場(計画)と運用見直し(見込み)

86年11月に厚生労働省・年金審議会は、大蔵省・資金運用部の預託金利最低保証利率の引き下げの動きに対し、年金積立金の一部自主運用を求める緊急意見を発表した。内容を一部抜粋してみると、「年金給付の重要な財源の一つである運用収益が相次ぐ預託金利の引下げにより大幅に減収していることは、先の改革の効果を減殺し、国民の期待を裏切るものである」と昨年最終報告を発表した「公的・準公的資金の運用・リスク管理等の高度化等に関する有識者会議」(座長:伊藤隆敏氏)に勝るとも劣らない強い口調だ。

もともと年金積立金の自主運用については、従来から自主運用を実施している共済年金との公平性の観点からも厚労省の悲願であったと言われている。そうした中、公定歩合の引き下げに伴って預託金利が引き下げられると、年金積立金の効率的な運用を目指して年金福祉事業団が資金運用部から資金を調達し、年金積立金の一部の自主運用を図るための法改正が行われることになった(87年6月に法案成立、即日実施)。なお、実際の運用は信託銀行、生命保険会社および投資顧問会社に委託し、一部の資金を年金福祉事業団自らが運用した。

金融自由化の流れの中で87年より郵政省は資金運用部へいったん預託した郵貯資金の一部を再び借り入れて金融自由化対策資金という形で自主運用を行うことになった。自主運用額は87年に2兆円で開始され、01年3月には約57兆円にまで増加した。このうち大半は国債・地方債などの安全資産で運用されたが、89年から一部は寄託金(指定単)として郵政事業庁がいったん特殊法人である簡易保険福祉事業団に資金を寄託(融資)し、寄託を受けた簡易保険福祉事業団が信託銀行に株式・外国債券などの運用を委託するようになった。

こうして公的年金資金や郵貯資金の自主運用開始に伴い、信託銀行などが日本株を大きく買い越し始めたのは87年頃からである。そして、信託銀行の株式保有比率は90年にかけて大きく上昇することとなった。銀行(含む信託銀行)の株式買い越し額は86年に4.3兆円、87年に5.6兆円、88年に4.2兆円、89年に5.4兆円に達した。

翻って、公的年金資金(GPIFなど)や企業年金、すでに日本株買い増しを表明している簡保、15年度以降に予想される郵貯資金の日本株買い増し金額は80年代後半のそれに比べると半分くらいかもしれないが、その影響は決して無視できないものとなろう。

<ブラックマンデー前に似たFRBの姿>

このように80年代後半と現在の類似点を述べてきたが、むろん人口動態や資本ストック(つまり潜在成長力)、金融機関を取り巻く規制とその行動など異なる点は多い。

また、現在のほうが良くなっている点として、増配や自社株買いの積極化にみられる株主還元や買収防衛策の廃止、社外取締役の導入、金融庁が機関投資家に議決権行使のガイドライン策定などを求めた「日本版スチュワードシップ・コード」の導入などがある。こうした取り組みがコーポレートガバナンスの改善をもたらし、内外の長期投資家の(良質)な投資資金を呼び込み始めているのは確かだ。政治や政策の変化を囃(はや)した「日本買い」のような派手さはもうないが、日本経済の質的な変化に着目し、じっくり投資を行うタイミングであるということだろう。

しかしその一方で、前述したように、財政拡張路線、長期にわたる金融緩和、米国経済の停滞(当時は双子の赤字)、資源価格の安定、内需主導の景気回復、公的年金資金や郵貯資金の運用見直しなど、80年代後半と現在では共通点がやはり多い。株価騰落率のテンポや、株価上昇を内需企業がけん引する点も、そっくりである。

加えて、87年のブラックマンデーの引き金となったと考えられている米国利上げ懸念は、出口戦略を模索しつつある現在の米連邦準備理事会(FRB)の姿と重なって見える。歴史的な教訓を重視するイエレンFRB議長とフィッシャー同副議長に安全運転を期待するしかないが、緩和政策の出口をめぐって金融市場が混乱する可能性は依然として否定できない。

こうした状況を前提に、アベノミクス3年目に当たる2015年が1988年のような好環境になるためには(言い換えれば、89年以降の二の舞を演じないためには)、以下の二点が絶対必要条件になると考える。

まず、企業が労働力や資材などの供給制約やコスト増加を、生産性改善や技術革新、高付加価値化などによって乗り越えること。そして、財政・金融政策が市場の信認を維持し、過度な金利上昇を抑制することである。

安倍晋三首相が推し進めている成長戦略は、農業・医療・公益(電力・ガス・水道など)・金融・不動産・教育・人材派遣といった産業で規制を緩和・撤廃し、主に非製造業の生産性を高めることに主眼を置くべきだろう。その点において、各省庁の幹部人事を内閣人事局に一元化することなどを柱とする国家公務員制度改革は政治主導で規制緩和を推し進める力になると期待できるし、家庭向け電力小売り自由化や送配電部門の分離を定めた電力システム改革は地域金融機関や産業構造そのものに変化を迫る可能性を秘めている。

こうした前提に立てば、小売、サービス、機械、ソフトウェア(ITサービス)、建設、不動産セクターが向こう1―2年にわたって有望な業種であると考えられる。また、88年から89年にかけて急騰を演じた素材・市況業種にも注目したい。デフレ脱却によって販売価格の引き上げが容易になれば、マージン改善の恩恵を大きく受けるからだ。

ただし、過剰設備の問題や中国経済の先行き懸念など当時と今では置かれている環境が異なるため、内需系の素材・市況産業である石油精製、セメント、電線、紙パルプ、塗料などの化学製品、金属製品、内航海運などのオールドエコノミー業種はあくまで「大穴」として注目したい。

筆者が今言えるのは、日本経済の質的な変化が順調に進めば、バブルの痛手は避けられるということである。ただ、逆もまた真なりだ。80年代後半との比較は、その見極めに役立つはずである。

*丸山俊氏は、BNPパリバ証券の日本株チーフストラテジスト。早稲田大学政治経済学部卒業後、三和総合研究所に入社し、クレディ・スイス証券を経て2011年より現職。

執筆中


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ギリシャ危機は一旦が収まってきたがスペインの金利が上昇、4/6のNY市場も続落した。4月3日のUSAトゥデー紙は1928年以来株は5月に売れの格言が当っていると報じた。
NEW YORK – Investors looking for a reason to sell and protect profits after watching stocks double since March 2009 and post their best first-quarter gain in 14 years might find one in the Wall Street axiom: "Sell in May and go away."
The sell-in-May mantra is one of the best-known and most successful seasonal sell signals, made famous by the Stock Trader's Almanac. History has shown that U.S. stocks fare far better in the six-month period from November through April. In contrast, the six months beginning in May have been less profitable since 1928.
Jason Trennert, founder of Strategas Research Partners, says playing the sell-in-May card is akin to taking a seasonal "flier" on stocks. While he's not a fan of investing based on the calendar, and is unsure if its success is due to cash flows related to retirement planning or "some higher, more metaphysical order of the universe," he says you can't dismiss the strategy's success. In a report, "Why Sell in May Might Work Yet Again," he outlines reasons stocks may struggle in the months ahead.

たいしたことは書いていないが、過去2年20010年と11年「株は5月に売れ」の格言が的中した。しかし、2009年は3月に6547ドルでNYダウは底を打ちそのまま上昇していった。米国株は5月高値10月安値の季節性は強い日経平均も毎年ゴールデンウィークの頃が毎度毎度天井である。
人気歌手ポール・サイモンは「ニューヨーカーの最大のぜいたく。それは5月に休みをとって人生を楽しむこと」と言った。そこからニューヨーク市場ではSell in May and go away 5月には相場など売って、人生を楽しもう、という相場格言めいた表現が毎年使われるようになった。実際、ニューヨーク株式市場でも毎年、この時期になると5月に売って9月に買い戻す戦略が語られる。

しかし、今年に限っては市場が先読みして4月には動きそうなのでSell in April という言葉が欧米市場関係者の間で流れている。その根拠が、ギリシャとフランスの選挙。ギリシャ総選挙は5月初旬実施の方向で動いている。趨勢は、反緊縮とマニフェストに掲げる野党各党の躍進ぶりが目立つ。与党側でさえ人民迎合的な傾向が見られ、国民に更なる痛みを課す緊縮政策の見直しを唱える声も出始めた。

そこで新たな連合政権が誕生し、レ―ムダックのパパデモス現首相が合意したギリシャ第二次救済案は「再交渉」とするシナリオが現実味を帯びてくるのだ。ギリシャ救済合意時の現地新聞に躍った「我々の粘り勝ち」という見出しに、「これで延長戦に持ち込んだ」とのギリシャ人の本音が透けて見える。そして今月にはフランス大統領選挙が控える。

現職サルコジ氏と対抗馬オランド氏が大接戦。オランド氏の反メルケル色に、仏国民の抱く漠としたドイツ主導への懸念が共鳴している。メル・コジ関係は「仮面夫婦」と、やゆされつつギリシャ救済を協力してまとめ上げた。その救済側の枢軸に亀裂が入ると、これまた由々しきこと。危機感を募らせたメルケル首相はパリに乗り込み、サルコジ応援演説まで買って出た。隣国の大統領選挙への介入とも見られる前代未聞の事態に、メルケル首相の焦りがこれまた透けて見える。

欧米市場では4月半ば以降、債務危機関連の材料が再燃必至の情勢だ。既に、スペイン国債の利回りが上昇。財政均衡を目指す緊縮政策のデフレ効果が歳入の減少を招く「負の連鎖」が顕在化している。

スペイン、イタリアへの「火事の延焼」を防ぐ「防火壁」と言われる「欧州安全網」も市場が期待していた1兆ユーロ規模の実質半額で合意された。日本では新年度入りの4月相場は早々に欧州債務危機再燃の洗礼を受けることになりそう。筆者も4月中旬に、再び現地欧州に飛ぶ。
2012年は選挙の年であり次は仏大統領選挙だ。1回目の投票は4月22日で、過半数を獲得する候補者がいない場合は、5月6日に上位2名による決選投票が執行される。現職のサルコジ大統領が対抗馬のオランド氏(社会党前第1書記)に負ければ、フランス国債格付引き下の可能性が濃厚である。
 オランド氏は、年金支給年齢の引き下げなど、国の財政を圧迫しかねない社会福祉策を提唱している。「メルコジ」と言われたメルケル首相率いるドイツとの蜜月関係に亀裂が入り、欧州の政治情勢が不透明になる懸念も出てくる。
ギリシャの救済基金である欧州金融安定機関(EFSF)は来年中に期限切れとなるため、統合されたEFSFの部分を恒久化しなければならない。その恒久的な後継機関である欧州安定メカニズム(ESM)ですが、統合するのに1兆ユーロに増額するとの報道。しかし、1兆ユーロでは小国ギリシャは救えても、スペインやイタリアなどギリシャ以上の経済規模の国の救済は難しいだろうとされている。ESMを多少拡大しても、スペインやイタリアがクラッシュしたらこれに対応できる規模には届かない。
世界経済は、フランス大統領選挙の動向に注目されると思います。そしてユーロが一旦救われ、平和裏にユーロが解体されることが可能であるか議論されていくかもしれません。
[ニューヨーク 6日 ロイター] 6日のニューヨーク外国為替市場では休日で薄商いの中、ドルが下落。3月の米雇用統計で非農業部門雇用者数が予想を大きく下回る伸びにとどまったことから、連邦準備理事会(FRB)の追加緩和をめぐる観測が高まった。

3月の非農業部門雇用者数は前月比12万人増と予想の20万3000人増を大幅に下回った。これを受けてドルは対ユーロで下落に転じた。

コモンウェルス・フォーリン・エクスチェンジの首席市場アナリスト、オマール・エジナー氏は雇用統計の結果について、改善傾向にある労働市場の一時的変調に過ぎないとみなされるか、FRBの追加緩和をめぐる観測が高まるのかが問題だと指摘した。

その上で「少なくとも追加緩和の可能性は残る。そうした見方は雇用統計の発表前と比べて強まった。明らかにドルにはマイナスだ」と語った。
6日発表の米雇用統計の数字は予想以上に悪化した。衝撃的とまでは言わないが、このニュースは来週の東京株式市場の調整を早めるだろう。3月米消費者物価指数(13日)や4月米ミシガン大消費者信頼感指数速報値(13日)などの経済指標の発表があり米国経済に減速懸念が広がりつつある。中国も3月PPI、CPI(9日)、3月小売売上高、鉱工業生産、固定資産投資、第1・四半期GDP(13日)の発表が予定されていて中国経済に対しても減速懸念が強まっている。米中の発表される数字が弱含めば一段の売り圧力になる見通し。
ここもとの早すぎた日経平均の上昇は一旦ブレーキがかかる可能性が高い。また、野田財務相傀儡政権により2014年からいまのままで消費税が増税されれば、1997年消費税が増税され、山一証券、拓銀、長銀、日債銀が破綻したような小金融恐慌が2014年再来すると可能性は常に頭の隅に記憶しておいてほしい。
過度に悲観することはない、ある程度来週調整されれば不思議と明るいニュースが出てくることがよくある、相場心理の不思議である。

当ブログは個人的相場観を個人的に書いているものであり、勧誘行為とは一切関係ありません。相場等による損益の一切責任は負いませんので悪しからず。

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〔焦点〕円急反落でも市場の動揺は収まらず、リスクマネー圧縮への警戒続く

 
基太村 真司記者
 
 [東京 7日 ロイター] ギリシャ問題の混迷や米株の大幅な下げを受けて、ユーロ/円EURJPY=Rは前日に10円超下落した後、この日の取引で7円を超える反発を見せた。円相場が急速に下落したことで、市場は表面上いったん落ち着きを取り戻したかに見えるが、7日の取引では流動性が大きく低下。少額の売買に大きく値が振れた。市場の動揺は依然として収まっていない。
 
 <ユーロは1日で10円超下落、リスクマネーが身をすくめる>
 
 ギリシャ問題が混迷を深めているにもかかわらず欧州中央銀行(ECB)が特段の対策を打ち出さなかったこと、米ダウ平均が取引時間中として過去最大の下げ幅を記録したことなどを受けて、6日の海外市場ではリスク回避の動きが強まって円が大幅に上昇。ドル/円JPY=は前日東京市場の高値から6円下落。一時87.95円と5カ月ぶり安値を更新した。
 円は他通貨に対しても急伸。ユーロは同120円後半から8年ぶりの円高水準となる110円台まで、英ポンド/円GBPJPY=Rも1年3カ月ぶり安値の129円後半まで10円超下落した。豪ドル/円AUDJPY=Rも8.3円の大幅な下げで3カ月ぶり安値をつけた。
 
 リスク回避姿勢の強まりが表れたのは円相場だけではない。投資家の不安心理度を示すとされるシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー・インデックス.VIXが08年9月以来の大幅上昇を記録する中、外為市場ではブラジルレアルや南アフリカランド、韓国ウォンなど人気の新興国通貨にも売りが殺到。数カ月ぶりの安値を相次ぎ更新した。きょうにかけての取引では、株価の下げが世界的に伝播したことで「とにかく今まで保有していたポジションを圧縮して、リスクを回避しようとする動きが活発」(大手銀のチーフトレーダー)だったという。
 
 <円相場の流動性が大きく低下、「リスク回避」の売買見送りで>
 
 7日アジア時間の取引では、久々の円高水準とあって日本の輸入企業や大手機関投資家、個人投資家など幅広い向きが下値で相次ぎ買いに動き、ユーロ/円は一時117.91円と前日安値から7.4円の急反発。ポンド/円も138円前半へ同8.2円、豪ドル/円も82円後半へ同5.8円と大幅に切り返すなど、市場はいったん平静を取り戻したかに見えた。
 
 しかし、この日の市場で際立ったのは円相場の流動性の低下だった。世界でも指折りの流動性を誇る主要通貨があるはずの円相場が、ドル/円もクロス円も「極端に流動性に乏しい」(外銀のチーフトレーダー)状況が続き、少額の取引に大きく値が振れる展開となった。「強烈な値動きの後で、とても買い直せる雰囲気でも、売り込める状況でもない」(先出の大手銀チーフ)と、多くの関係者が売買をいったん見送る「リスク回避」姿勢を決め込んだことが、流動性の極端な低下につながったという。
 
 <ユーロ混迷続けば一段安か、下値では介入も選択肢に>
 
 混乱の引き金となったユーロはこの日の取引で緩やかに反発に転じたものの、市場では依然として下落リスクがあるとの見方が大勢。「欧州当局は(危機対応策という)絵は描いたが、ギリシャ政府の発言などを通じ、実際にその通り進むと信じる向きが次第に減ってきた。長期的に見ても、他の欧州新興国への波及やユーロ圏のファンダメンタルズそのものに悪影響を与える可能性まで踏まえると、とても(下落局面が)終わったとは言えない」(別の大手銀のチーフ)という。
 BNPパリバは6日、顧客向けのリポートで、深刻化する欧州の債務危機により資金流入が細るとして、ユーロは2011年第1・四半期までに1ユーロ=1米ドルまで下落するとの見方を示した。
 
 ユーロが今後、一段の下落となった際にカギとなるのは為替介入の可能性。前日にユーロは大幅下落したものの、現在の水準は「介入してでも止めるほど危機感が強まるものではない」(後出の大手銀)。菅財務相がきょう行われるG7財務相の電話協議で「(ユーロ支援の)協調介入という流れになるとは理解していない」との見方を示したこともあり、現時点で市場のユーロ売り介入に対する危機感は乏しい。
 ただ、ギリシャ問題が混迷を深めてユーロ圏から本格的に資本が流出する事態となれば、状況は一変する。「ユーロが勢いよく下落し、1ユーロ=1米ドルを試すような展開になるあたりがひとつのポイントではないか」。ある外銀幹部はこう話している。
 (ロイター 編集:石田仁志)
http://www.uniqlo.jp/uniqlock/swf/blog_small.swf?user_id=Bo4uxIuSX6BfwXZC連休前日米のファンダメンタルズ指標は順調に回復しており、世界経済、とりわけ米国経済の回復に安堵感があった。7日、朝方発表された4月の雇用統計について心強い内容である。
 
ギリシャ問題に揺れる欧州もPIIGSを除けば、順調に回復しているように見えた。
リーマンショック後各国は協調し財政政策をとったおかげで世界恐慌はギリギリのところで防ぐことができた。その効果が大きいとはいえ、世界経済は回復基調にある。
 
だが、ギリシャに端を発した財政危機が、金融危機に転化しつつある。これがエクイティ市場の調整のきっかけとなった。更に間が悪い事に、米国のトレーダーがミリオンとビリオンを聞き違えた誤発注があったとのニュースで、マーケットは大きく動揺した。米国では誤発注などの混乱があった模様。6日の取引について以前正式な決定はされていない。
 
7日のNY市場は引き続き139ドル安となり、前日の誤発注騒ぎだけであったら急回復したであろう。続落したということは、マーケットには大きな不安心理がある。ウォール街とオバマ政権はGS問題をめぐり対立し始めた事を考えると、マーケットはけして楽観的ではないと考えるべきなのかもしれません。
 
危機が起きると、ドルが買われ、更に円はそれ以上に買われるというのが此処もとのセオリーであるが、円がセオリーどおり急騰したが、また直ぐに急落したことも気になる。
 
6日午後に米株式市場が急落したことについて、為替アナリストからは円に絡む取引がきっかけになったとの見方が出ている。
 GFTの為替調査ディレクター、ボリス・シュロスバーグ氏は「午後の早い時間、株式相場が急落する直前にまずユーロ/円とドル/円が大幅に下落した」と指摘。「ドルとユーロが下落し円が急上昇する中、アルゴリズム取引による大量の自動売り注文が出た。これを受けて原油や株など円に関連した市場が急落した」と述べた。
 その上で「これに大規模なポジション、取引ミス、ギリシャの抗議デモのテレビ映像などが加われば際限のない空売りが出る」と語った。
なるほど、円キャリー取引で資金を調達しているヘッジファンドなどが円が急騰すれば瞬時にNY市場の株を整理するシステムを組んでいることが窺える。
 
 マクロの好環境が続く間に財政などストック問題の解決に向けた道筋を立て自律的な成長路線に乗ることができるかどうか。今回の混乱は世界経済が非常に細いロープの上を渡っていることを気付かせたといえよう。
 
いかに24時間マーケットをウォッチしていてもシステム売買されてしまっては対応には限界がある。為替や株式では今後も急騰急落のリスクは高いと思って相場は張るべきだと思います。特にFXで逆指値が発動したり、ロスカットされてしまったケースは多発したのではないかと想像します。今後もちょっとしたことでマーケットは急変するリスクを覚悟していくしかないと思います。
 
 
 
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以前私のブログ記事で、元Goldman Sachsの神谷秀樹氏の「強欲資本主義ウォール街の自爆」(文春新書)の書評を書いた。http://www.tokyovalley.com/yahoo_blog/article/article.gif
一部抜粋
金融本来の仕事は、実業の事業構築を助けるのが役目で、「経営の相談に乗るバンカー」であるべきものが、近年のウォール街では「顧客第一主義の原則」は消え、顧客は証券の仕入先か売り先にすぎなくなってしまい、「いかに利益を抜くか」がすべてになってしまった。

 
ずる賢く阿漕な仕事をする輩は昔から存在したが、近年は阿漕なビジネスをしないと職務怠慢とされてしまう風潮がある。
 
 
顧客サービス部門と自己投資部門は明確に分離され、万里の長城のように隔てれられ、別会社であると顧客に説明する為の自己倫理規定であったが、顧客サービス部門が得た情報で投資部門が大きな利益を上げるようになり、チャイナウォールが社内的には機能しなくなった。
 

ゴールドマンと顧客の歪んだ関係 【NEWSWEEK:2010.4.28】


金融危機                                       米証券取引委員会の訴状で明らかになった強欲ウォール街あきれた手口


ダニエル・グロス(ビジネス担当〕
ゴールドマンは自分たちは顧客の操り人形だと主張するしかし常に顧客の利益を最優先しているわけではない すべては顧客のために。これがウォール街に君臨するゴールドマン・サックスのモットーだ。
だから米証券取引委員会(SEC)が4月16日、証券詐欺罪で同社を提訴すると、同社は当然のごとく事実無根と反論し、徹底的に争う構えを示した。

私は証券法のプロではない。だが同社弁護団が法廷で、ゴールドマンは顧客のために働いただけだという主張を軸に議論を展開するだろうことは容易に想像できる。

いつだって自己利益を追い求めているゴールドマンが、それもすべては顧客のためだとおっしゃる。
確かに、同杜の経営理念の第1条には「ビジネス遂行上最優先すべきは、顧客の利益である。ビジネスの成功は、顧客への貢献への結果、得られるものであり、これはわが社の発展の歴史を見ても明らかである」とある。

決算報告と共に株主に送った書簡には、私が数えたところ「顧客」という語が56回登場していた、「すべては君のため」と歌ったのはミュージシャンのプライアン・アダムスだが、ゴールドマンも「すべては顧客のため」と繰り返す。株主宛の書簡には「機関投資家を中心とする顧客のために、当社は助言者や資金の供給者、市場の作り手、資産の管理人、そして共同投資家としての役割を果たします」とある。

ゴールドマン・サックスはなぜ、政府が提供した低利の資金や政府保証の付いた債務を使って投機やヘッジを行ったのか。株主宛の書簡によれば、「当社が取るリスクや生み出す利益の大部分は、顧客の二ーズないし目的を推し進める取引に由来する」そうだ。

保険最大手のAIGからクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の購入という形で損失保証を受けた(結果的にはAIG救済に投じられた税金で支払われた)理由についてほ、こう説明している。「それは同じ取引で顧客が行う反対取引のリスクを回避するために設計された。こうすることで当社は、顧客が具体的な投資スタンスを示すのを助ける上で仲介者の役割を果たした」

顧客とカモは紙一重

門外漢には理解し難い文面だが、要するにゴールドマンとて所詮は顧客の操り人形にすぎないと言いたいらしい。

とはいえ、顧客とカモは紙一重なのがウォール街の常。同社とて、常に顧客の利益を最優先してきたわけではなさそうだ。サププライムローン(信用度の低い個人向け住宅融資)関運商品の危険に気付いてからも同社が顧客に売り続けていた、との指摘もある。

また英紙フィナンシャル・タイムズは16日付の記事で、ゴールドマンの運営する18億ドル規模の不動産ファンドの価値が05年以降、98%も下落したと報じている。ゴールドマンも自己勘定で投資していたから大損をしたが、顧客に損をさせる一方で何千万ドルもの手数料を稼いでいたのも事実だ。

16日付のSECの訴状は、同社が一部の顧客を明らかにえこひいきしていたことを指摘している。
SECによれば、同社は有力顧客であるヘッジファンド「ポールソン・アンド・カンパニー」の強い要請を受けて債務担保証券(CDO)を組成し、それを細分化して他の顧客に売っていた。

ポールソンがゴールドマンにCDOを組ませたのは、空売りするためだったらしい。同社はこのCDOに含まれるローンが高い確率で焦げ付き、その大部分の価値が失われると予想していた。

分かりやすく言えば、開発業者(ポールソン)が建設会社(ゴールドマン)に分譲マンションの建設を委託し、一方でそれが倒壊した場合の損失を保証する保険を買っていたに等しい。

 
「欠陥住宅」と知リながら
 
それだけではない。彼らの計画はさらに手の込んだものだった疑いがある。SECによれば、ゴールドマンはポールソンおよび「ポートフォリオ選定代理業者」のACAマネジメントと組んで、故意に欠陥だらけで標準以下の「建築資材」を使ってマンション(CDO)を建てていたらしい。

SECは、ACAがゴールドマンの監督の下、ポールソンが選定した担保証券をCDOに組み込んだ証拠をつかんでいる。そしてゴールドマンは、このマンション(CDO)の欠陥や危険性を説明せずに一般の顧客に「分譲」していたという。

狙いは当たった。ゴールドマンは欠陥CDOの組成・販売手数料で大儲けし、有力顧客のポールソンもその空売りで大成功を収めた。
一方で、その他の不運な顧客(細分化されたCDOを購入した複数の銀行)は大損した。

ゴールドマン会長のロイド・ブランクファインに言わせると、投資銀行はひたすら顧客に奉仕するのが役目であり、後は「神の御業」に従うのみだという。名言だが、補足が必要だ。その神の名は「強欲」である、と。
NEWSWEEK 2010.4.28
お恥ずかしい話だが、前財務長官ヘンリーポールソンの強欲は有名でしたので、このニュースのPaulson & Co. Inc.って、前財務長官のHenry  Paulsonのプライベート企業かと一瞬思ってしまいました。ちなみに財務長官時代のヘンリーポールソン氏は、「毒をもって毒を制する」の格言通りの業績でであったと私は評価しています。
 
Paulson & Co. Inc.のCEOJohn Alfred Paulson New York UniversityMBA from Harvard Business SchoolBoston Consulting Groupに入社して⇒ Bear StearnsGruss Partners LP.と経て、同社を立ち上げたという、いわば絵に描いたような強欲ウォール街の典型的人物だ。
 
もちろん、私も今回のジョンポールソンの倫理観なき行為は糾弾されるべきだとおもっておりますし、一遍の同情も持ちえません。
 
しかし、オバマの政治的道具の生け贄にされれたと思います。米共和党下院監視・政府改革委員会のトップであるアイサ議員らは、SEC(証券取引委員会)によるゴールドマン・サックスの提訴が、オバマ民主党による金融規制改革法案の推進と時期を合わせて行のは、オカシイと主張している。
 
アイサ議員らはSECのシャピロ委員長に書簡を送り、「論議を呼んでいるSECの提訴の決定とそのタイミングに政治が不当に影響を与えた」と懸念を表明した。SECによるゴールドマン提訴に続いて、金融規制改正法案への支援拡大を訴える民主党のキャンペーンにあわせていると激怒している。
 
党派的な政治課題を推進するために独立した監督機関を利用することは運邦法に違反するというのだ。これは「政府の介入が市場原理を歪めることを極端に嫌う国民性」や、米国の建国の精神からすればオカシイと異議を唱えて当然だと思う。
 
最近オバマはSECどころか、FRBまで政治利用しようとしている。FRBが独立しているからこそドルは暴落せずに済んでいる事実をまるで理解していないようだ。
 
 
オバマの支持率の低下は、演説だけ上手で何も実績がなく焦ったオバマが、国民皆保険制度が不完全な形ながらも導入したことだ。我々日本人の感覚からすれば、国民皆保険は当たり前のことだが、移民の国米国では感覚が違う。いや違って当たり前かもしれない。だが、我々日本人も今回日本の民主党が行った子供手当の矛盾を見て、理解したと思う。
 
韓国に子供がいる在日の韓国人に適用することは、明らかにオカシイ、憤りを感じるのと同じことらしい。つまり、「不法入国した者の面倒を見るため、なんで自分の税金を払わねばならないか!」ということらしい。
 
「あまりの国民皆保険制度の不評に中間選挙を控えたオバマは、ウォール街へ宣戦布告のパフォーマンスをした」これが今回のゴールドマンサックス事件の真相ではないだろうか?
 
私も、常識はずれなウォール街の連中を擁護しようとは思わないが、過去の歴史を紐解くと、そういった必要悪を必要以上に取り締まった国や政権は、必ずと言っていいほど没落していったのである。
 
 兵庫県尼崎市に住む50歳代とみられる韓国人男性が、養子縁組したという554人分の子ども手当約8600万円(年間)の申請をするため、同市の窓口を訪れていたことが分かった。市から照会を受けた厚生労働省は「支給対象にならない」と判断し、市は受け付けなかった。インターネット上では大量の子ども手当を申請した例が書き込まれているが、いずれも架空とみられ、同省が数百人単位の一斉申請を確認したのは初めて。【鈴木直】

 尼崎市こども家庭支援課の担当者によると、男性は22日昼前に窓口を訪れた。妻の母国・タイにある修道院と孤児院の子どもと養子縁組をしていると説明し、タイ政府が発行したという証明書を持参した。証明書は十数ページに及び、子どもの名前や出生地、生年月日などが1人につき1行ずつ書かれていた。担当者が「養子はどの子ですか」と聞くと「全員です」と答え、男女で計554人と説明したという。

 男性には実子が1人いる。子ども手当は月額1人につき1万3000円(10年度)で、計555人分が認められれば、年間8658万円の手当が支給されるが、厚労省子ども手当管理室は「支給はあり得ない」と言う。

 今回のようなケースについては、国会審議で野党から問題点として指摘されていた。手当の支給要件は(1)親など養育者が日本国内に居住している(2)子どもを保護・監督し、生活費などを賄っている--の2点だけ。母国に子どもを残してきた外国人にも支給されるうえ、人数制限もなく、機械的な線引きが難しいためだ。こうした盲点を突かれ、ネット上では「100人を養子縁組しても手当はもらえる」といった書き込みや批判が絶えない。同省は今月6日、ホームページに「50人の孤児と養子縁組をした外国人には支給しない」と記したものの、根拠は「社会通念」とあいまいだ。何人以上なら不支給という明確な基準はなく、同様の申請が各地で続発しかねない状況となっている。

 尼崎市の男性は、子どもへの送金証明や面会を裏付けるパスポートのコピーなど外国人に求められる書類をそろえており、事前に調べてきた様子がうかがえた。市の担当者は「可能ならもらおうという意欲を感じた」と話している。
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9月16日 ベン・バーナンキ米連邦準備制度理事会FRB議長は、金融危機と米景気後退の引き金となった米証券大手リーマン・ブラザーズの経営破たんから1年を迎えた15日、ワシントンD.C.で開かれた米有力シンクタンク「ブルッキングズ研究所」のフォーラムで講演し、米国の景気後退が「終わった可能性が非常に高い」と述べた。

しかしながら、米国経済は商業不動産の焦げ付きや厳しい信用状況や高い失業率は、経済を楽観的に考える事はできないし、追加の景気対策を採らなければ来春二番底を味わうリスクすらある。

バーナンキFRB議長が景気後退終息宣言を出した同日NY金は、1020ドル・トロイオンスの最高値をつけた。

イメージ 1


しかし、原油も70ドル台で足踏みしている中、なぜ金価格だけが上昇しているのであろうか、ドルが売られているだけに、陰謀論を撒き散らす売文家達が主張するように、近々にドルが紙切れになってしまうリスクがあり、その為に金価格上昇しているのだろうか?

私は当然のことながら米ドルが紙切れになると過剰に悲観論を垂れ流す連中とは一線を画したいが、天文学的な財政負担にオバマが国民保険改革を始め、ドルの先安感は非常に高まっていることだけは認めておく。

金価格上昇とドル安は将来のインフレを示唆するものとか、今後の金価格とドルの展開を考察してみたい。

金価格上昇の理由について、巷では金本位制の復活など、庶民的感覚で経済学を無視したの風説が流布されている。経済評論家でもかなり陰謀論に近いような浜田和幸や、ウォール街上がりのエコノミスト松藤民輔あたりは、金本位制の復活を唱えていますが、私から言わせれば金本位制復活はありえません。

①『「1929年大恐慌」の謎:副題:経済学の大家たちはなぜ解明できなかったのか関岡正弘著』を読む。
2009/4/15(水) 午後 11:48  http://blogs.yahoo.co.jp/ddogs38/25962973.html

②『「1929年大恐慌」の謎:副題:経済学の大家たちはなぜ解明できなかったのか関岡正弘著』を読む。
2009/4/16(木) 午後 11:45   http://blogs.yahoo.co.jp/ddogs38/25994735.html

③『「1929年大恐慌」の謎:副題:経済学の大家たちはなぜ解明できなかったのか関岡正弘著』を読む。
2009/4/17(金) 午前 0:38   http://blogs.yahoo.co.jp/ddogs38/25996450.html

「金」の投資価値について、阿修羅版ボーナストラック「マネーの未来、あるいは恐慌という錬金術」松藤民輔著(講談社)の注目加筆訂正
2008/11/1(土) 午後 8:31  http://blogs.yahoo.co.jp/ddogs38/19194919.html

以上で述べたように世界中で流通保管している「金」15万5000トン採掘可能埋蔵量7万トンに対し世界経済は明らかに巨大すぎてしまうと考えるからです。

経済評論家でもかなり陰謀論に近いような浜田和幸は、『オバマの仮面を剥ぐ(Koudansha)』でp199~205まで、部分的金本位制の復活とアメロ通貨導入を主張しています。
イメージ 2

米国は世界一の金保有国である。米国の公表金保有量8134トン(日本765トン)実際は推定25000トンをもって、ドルが下落した場合、部分的金本位制を採用するカナダ・米国・メキシコの地域通貨アメロを導入するという説を実しやかに説明している。

具体的には、2007年、機関誌『フォーリン・アフエアーズ』(5
月6月号)において、同評議会の国際経済部長ベン.ステイル氏による・「国家通貨の終わり」と題する論文がその口火を切った。ベン.ステイル氏は、各国が自国通貨の価値を維持しようとするあまり金融ナシヨナリズムが巻き起こる危険性が高いと指摘し、「そのようなリスクを克服するためには地域的な共同通貨を目指すべきだ」と提案した。つまりここでの「アメロ」はユーロと同じ地域通貨であるが、ゆくゆくはドルに代わる国際基軸通貨の必要性を、外交問題評議会は提唱しているのだ。目標としているのは、「14,5年以内」とのこと。

このような提唱と軌を一にするかのように、ノーベル経済学賞の受賞者ロバート・マンデル教授はカザフスタンのナザルバエフ大統領と共同で、世界の共通通貨として「アクメタル」Acmetal構想を打ち上げた。マンデル教授は、“最適通貨圏理論の父"、“ユー口の父"と呼ばれるだけに、世界共通通貨への期待は大きい。アクメタルとはギリシヤ語で「最高」とか「首都」とかを意味するギリシャ語の「アクメ」acmeからきたもの。

そして、この構想は、2009年4月にロンドンで開催されたG20でも話題に上った。しかし、アクメタルは世界共通通貨としての一構想だが、アメロのほうは世界共通通貨へのステップとしての位置づけよりも、アメリカの借金帳消しという側面が大きい。

『チェンジ』は、通貨切り替えのチェンジだった?

アメリカの借金帳消し作戦は、「クラッシュ・プログラム」として、以前から噂に上ってきた。ただし、アメロはいまのところ、アメリカ、カナダ、メキシコのどの国の議会でも、中央銀行や公式機関でも正式に議題、に上ったことはない。

だから、水面下では、さまざまな情報が飛び交っている。
たとえば、ロシアの外交筋によれば」という噂では、アメリカ政府はすでに中国当局との間でアメロ発行に対し、水面下でドルとの交換止ヒ率などをめぐる話し合いを進めているという。また、すでにアメリカは中国に対外債務をアメロで支払ったという話まで出ている。

もし、こうした噂が正しければ、アメリカは最大の債務国である中国には損失補填を事前に約束し、日本とロシアは切り捨てるということを意味している。アメリカは、中国の力を利用し、米中2国による新たな世界秩序の構築を目指していると言えるだろう。(略)アメリカはここまで追いつめられているのである。

アメロが導入されれば、言うまでもなく、ドルは切り捨てられる。たとえどんな交換レートが適用されようと、アメリカはドルによる旧勘定を最大限に減らす方策をとるだろう。

浜田和幸の説は一見信憑性がありそうだが、私はトンデモ論にしか思えない。

本文中にもあるが、アメロはどの国の議会でも、中央銀行や公式機関でも正式に議題、に上ったことはないのである。ユーロに対し有ってもおかしくは無いという発想からであろうが、メキシコ・カナダが承知するとは思えない。日本としては反対だが、どうせやるなら円とドルの融合「ドレン」こそ価値がある。ここ数年でのアメロ導入はありえない。

各国の外貨準備をみると、金ではなく圧倒的にドルを外貨準備として保有している。例えば、日本の外貨準備に占める金の割合は1.7%であり、中国では1.1%、インドでも4.1%に過ぎない(2006 年)。

現在のドル機軸体制においては、米国以外はドルによる支払い能力で十分であるからである。ドルはそれでも基軸通貨でいられるのは、ニクソン大統領によって金との兌換が停止されてとはいえ、米国は世界最大の金保有国であり、外貨準備中の金の割合は75.1%に達し、金を支払い準備として用意している。

ドル基軸体制の中心に立つ米国が、対外的な支払い能力を金で担保しているということであり、ドル価値の最終的なアンカーは実質的には金である。

それゆえ、仮にドルの信用が失墜し、ドルが大幅に下落し紙切れになったとしよう。米国の対外純債務は減少することになるから、その面からは米国は困らないが、困るのはドル建て債権を持つドルとのライバル国である。

仮にドルが紙切れになった時、ドルを外貨準備として積み上げたドル競合国の経済はドルが崩壊する事によって、自壊してしまうのである。そして金を大量保有する米国だけが生き延びる、ということである。当然、リセットされた新世界でも米国が覇権を握る構図にある。

仮にドルが崩壊しても強かに生き延びるよう巧みに戦略的に設計した米ドル基軸通貨体制をアメロ新通貨体制へ移行するなど、狂気の沙汰だ。馬鹿でもしない。目を醒ませ浜田和幸!


今後の金価格の話から脱線してしまった。金融専門家からは、最近の金価格の上昇は、将来のインフレを示唆するものとか、金融規制強化策における商品市場間での温度差など指摘されている。

しかしインフレ期待については、将来のインフレが今、織り込まれているのであれば、原油価格や他のコモディティの価格はもっと高騰してもいいが、現状はデフレを警戒したままの状態となっている。インフレ期待ならと金よりも強い原油価格の方が、金以上に上昇して然るべきであるからである。

穀物など特定市場の規制強化から資金が他の市場に流出するのであれば、流出先は別に金市場でなくとも構わないからである。

金は様々な工業原料となる「商品的性質」と「貨幣的性質」をもっている。

工業原料であれば、インフレ期待と金価格は当然連動するが、金が単純に貨幣的価値を強め、他の商品に対し強くなれば、逆説的だがデフレ期待とほぼ連動するのではないだろうか?

教科書的に通貨の価値を計測するのは、為替による相対評価と、通貨の価値である実質金利により価値を計測される。実質金利は、経済の実質成長率ということになる。実質成長とは、生み出されたインフレ分を除く付加価値の増加を意味するから、実質金利が期待インフレ率を上回る時、ドルはコモディティよりも評価が高まることになる。

実質経済成長率がマイナスの時にインフレ期待も有ったものではないが、金融危機発生以降バーナンキFRB議長は、インフレ対応と信用危機対応の難しい08年春の段階で敢然と信用危機対応を選択し、利下げを断行し市場に過剰なドルを供給した結果、ドルの価値が下落し相対評価としての貨幣的価値の金価格が上昇したのである。

マネーはこのような政策的歪みに対して、貨幣的な価値を持ち、且つ金融政策の影響を直接に受けない資産、すなわち金に相対的な価値を認めた結果、NY金が1トロイオンス1000ドルを再び突破したと思われる。

実際、FRBの利上げ不足度(実質金利-FF金利)と、金価格を比べてみると、景気が回復している中で、FRBが利上げに慎重であるために、その歪みを利用して、金市場に裁定利潤の機会を求めた結果ではないかと推察されるので、金価格の上昇=ドルの紙切化と考えるのは短絡適期すぎる。08年3月18日に1000ドルを突破した時点での金価格の価値の意味合いは違うと思う。

米金融政策と金価格が相関性があるとするならば、結局金価格はFRBの金融政策がポイントということになる。

市場が、FRBの利上げが遠いとみる最大の要因は失業率だ8月の失業率は9.7%に上昇し、近い将来において賃金インフレの可能性は極めて低い、少なくとも失業率が低下するまでは、利上げは見送られる可能性が大きいと予想されるだろう。

現在の景気の回復が継続し、失業率に変化がみえれば、インフレ期待や利上げの機運が高まり、市場の利上げ確率は上昇していく。そうなれば、金のドルに対する妙味は縮小することになり、金価格は下落していくものと考えられる。また、金価格が上昇すると財政難に陥った先進国が金を市場に放出する可能性が高くなります。1トロイオンス1000ドルはあくまでも象徴的な意味しかなく、今後の上昇幅は限定的だと思います。

金の価格上昇はドル安が現在が佳境のように間もなくいったんピークをつけることでしょう。

投資は自己責任でお願いします。
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画像をクリックしてください。
http://chart.miller.co.jp/chart.cgi?0600I

原油価格は株式市場は昨年12月19日に33.87ドルで底を打ち、2月18日33.98ドルを基点に3 月半ば以降の上昇基調を維持し、WTI は5/31時点で、66.64 ドルを記録した。

週足の一目均衡表上では、遅行スパンが実線を下から上へ突き破り、転換線基準線がゴールデンクロスしているので、上昇相場へ突入していることは確かだが、目先これ以上の上昇は、雲に邪魔され一直線では突き抜けないであろう。


CRB指数(商品指数)は249.83ポイントで、大豆や穀物は上昇したものの、金、銅など非鉄金属価格はやや上値が重い展開の為、原油ほどは戻ってはいない。

3 月~4 月上旬の上昇相場は、各国の経済対策が出揃い、日欧米の中央銀行などが協力して大量の資金供給を行い、金融危機が、恐慌へ発展することが阻止できたことが、今回の原油価格の反発に繋がった。

日米中が過去最大の財政政策を行い景気回復「期待」が高まったのは事実であるが、日米欧は、下げ止まったに過ぎない。しかし、4 月下旬以降は、色々と問題は残したが、米国金融機関の検査であるストレステストの結果が、まがいなりにも成功したことにより、景気回復は「期待」から「兆し」へ変化した。

これまでは、金融危機に伴うリスク回避の動きが、安心感のある米ドル建て資産へのマネー流入を促してきた。しかし、景気の先行き不透明感が後退し、世界経済の後退局面が最悪期を脱したとの楽観的な見方が広がったことにより、米ドル需要は後退し、幅広い通貨に対して「米ドル安」が進行した。

世界的な株式市場の反発によって、投資家マインドが改善しはじめ、気がつけば米国国内に、膨大なリスクマネーが、MMFなどの安定資産に退避し、リスクマネー市場への回帰が始まったのである。

景気回復期待が高まる中で、新興国の景気が回復していけば、金融危機以前の物不足の状況が再現されるとの見方も台頭しはじめてきた。

金融危機で米国内に滞留した資金は再び新興国市場や、コモディティへの回帰をし始め、「米ドル安」傾向が、今後は強まることも予想される、とはいえ、あくまでも景気底打ちの「兆し」に過ぎず、実体経済の明確な回復基調は確認できていない。

5 月中旬以降は、株式市場も戻りも一巡し始めたとはいえ、依然コモディティ市場も同様に、戻りの値段を見極めようとする動きではないだろうか?

特にWTI原油価格は週足一目均衡表上雲の下限に到達し、この水準で一旦落ち着くことが予想されます。

ただ、上値を買ってくれたヘッジファンドの多くは、08 年の米リーマン・ブラザースの破綻以降、解散に追い込まれたものも多く見られ、新たにコモディティ市場で上値を買う投資家が育っているか疑問です。

日本の企業年金が、運用利回りの安定を目的に、コモディティに投資する動きが見られ始めた模様だ。東証大証でも近く原油のETFの取り扱いが開始されるとの報道もあった。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090520-00000500-san-bus_all

世界景気の回復に伴った「インフレ懸念」と「ドル安」の元で、マネーの継続的な回帰が、コモディティ価格の上昇を促すだろうが、需給面から見ても、夏頃には需給が再び緩和してくるだろう。

【NEWSWEEK2009.6.3】
http://newsweekjapan.jp/magazine/3223.php
100ドル台に戻るのはいつか

原油価格が上昇している宙昨年夏に1バレル、当たり145ドルの最高値を記録してから下かり続け、今年2月には33ドルの底値を付け、現在は60ドル台まで回復している。では100ドル台に戻るのはいつか。2人の専門家に"いてみた。

■1年以内に100ドル台に戻る

エコノミストのジェフ・ルービンは「原油価格は1年以内に3桁台に戻る」と予測する。「景気が回復に転じたら極めて早い段階で1バレル当たり100トル台に乗るだろう。当然の流れだ。(昨年のように原油高騰が)経済に大きな打撃を与えないことを祈るほかない。それを避けるには地域経済に立ち返り、グローバル化から距離を日ーくしかない」

■まだ当分100ドル台には戻らない

ケンブリッジ・エネルギー研究所のダニエル・ヤーギン会長は、『劇的な出来事が起きない限り、1年以内に3桁台に戻ることはない」と語る。「今は極めて供給過剰な状態にある。05年は100万バレル」だった。余剰生産能カが現在は650万バレル。一方、世界の原油需要は07年のピークを境に大幅に減っており、その状熊は当分のあいだ続くだろう」

■判定原油価格は予想が難しいことで有名だ、だが米エネルギー情報局(ElA)によれば、10年の平均価格は1バレル当たり57ドルとなる見通しで、100ドルを超えるのは16年以降になるというのが専門家の一致した見方だ。


私は、後者のケンブリッジ・エネルギー研究所のダニエル・ヤーギン会長の説を支持したい。

中国の景気対策が資源需要の回復を牽引するとの幻想をマーケットに抱かせているが、中国当局による国家備蓄の積み増しが需要増に繋がった一時的な要因も影響している。また、国内需給の逼迫を背景にした価格高騰下で、中国国内業者が海外市場から資源を調達したことも影響している。

長期的な観点では、中国は将来的な資源不足への懸念が強く、エネルギー安全保障と外貨準備運用の多様化の一手段として、引き続き、資源関連企業の買収・出資の動きを強めている。

原油に関しては、ロシア(2 月に、ロシア国有石油企業との間で、融資を合意し、2011 年から20 年間で計3 億t の原油を受けとる。)やブラジル(中国が10 年間で100 億ドルの融資を行い、ブラジルは10 年で計195 万バレルの原油を中国へ輸出する。)、サウジアラビア、ベネズエラ等と「融資による原油購入」事業を進めている。

【日経新聞5月27日(水)国際2面】
電力消費前年割れ
今年前半見通し 工場向け低迷

【北京=多部田俊輔】
中国・国家エネルギー局は26日までに、2009年上半期の中国全国の電力消費量が前年同期に比べ減少する見通しを示したむ中国国営の新華社などが伝えた、世界的な不況を受け、広東省など輪出向け工腸の不振が響く。政府の内需拡大策で下半期には需要の急回復を見込み、09年通年では前年比4~5%増加予測している。

国家エネルギー局がこのほどまとめた「中国エネルギー発展報告2009」で09年の見通しを示した。具体的には、「09年の電力は、08年後半に続き供給が需要を上回り、上半期はマイナス成長となりそうだ」と指摘した。

電力会杜などで構成する業界団体、中国電力企業連合会の調査による
と、1~3月の電力消費は前年同期比4.0%減に低迷した。特に中国経済をけん引してきた2
次産業は同8.2%減の大幅減だった。

4月以降も電力は前年割れが続く。中国の経済紙の報道によると、4月の電力消費量は前年同月比3~4%減に砥迷しており、五月上中旬も前年同期比2~3%減となっている。

中国経済が、本当に8%成長しているか否かは電力消費量を物差しとしてみれば、真実がわかるというものだ。中国の景気回復は、けっして本物ではない。

中国の動向だけではない、世界の原油の需給状況を見れば、需給関係にはなく、むしろ需給は緩和している。世界原油需要が一層低迷する中で、世界の原油需要は減少基調にあり、主要機関による世界原油需要の見通しは5月も下方修正された。

1バレル100ドル回復は少なくとも年内は無いと思う。60~70ドルが居心地がいい価格かもしれません。
昨年ゴールドマンのアナリストが1バレル200ドルとのレポートを出した時に、2010年5月に70ドル~100ドルであると私は予測した。中間地点では私の方が正しい!2010年5月に70ドル~100ドルであれば私の勝ちだ。

原油価格が上昇したり下降する理由をウォッチし続けていると、合理的な原因があり、複雑な需給関係、政治経済情勢によって価格が形成されている。原油価格が上がってくると陰謀論を撒き散らす人間殖えるのだが、原油価格の騰貴は陰謀であるというは説を説く人間は、物凄く無知な人間に見えてしまう。
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世銀は4月7日の「東アジア太平洋地域報告書」で、中国経済は09年半ばまでに底入れし、2010年に安定軌道に乗るという見通しを示した。

また、米国の経済指標の幾つかは改善の兆しがみえているる。ISM 製造業PMI、新築・中古住宅販売、自動車販売、チェーンストア売上高などの経済指標に改善の兆しがある。

意外に良好だった金融機関の決算、不良資産の買取、時価会計の緩和、そして大型の景気対策、その結果が、24日開いた7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議の共同声明につながった。世界経済の見通しについて「経済活動は今後年内に回復を開始するであろうが、下方リスクは継続している」と指摘した。

【7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)共同声明 2009年 04月 25日 09:08】
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnTK026559120090425

ただし、まだ今は景気悪化が緩和し、底打ちしたかもしれないという段階で、景気が拡大に転じたわけではないが、日本でも追加経済対策が漸く実施され、米政府が減税やインフラ投資を行うので、景気状況が改善しても不思議ではない。

豚インフルエンザは、2003年冬に発生したSARS騒ぎと同様に今後世界経済に少なからず悪影響を及ぼすであろうとは思うが、2003年もITバブル崩壊9.11による景気底入れ時期に発生しているので、豚インフルエンザの発生は、意外に世界経済の底打の瑞兆となるかもしれません。7~9月頃世界経済の底打ちを予測するアナリストも多い。

米国の景気と信用の収縮が収まり、金融機関に滞留していたマネーが非金融部門に循環し始めても、景気の回復が明確になるまではFRB の流動性吸収が急速には進められず、ドルが供給過剰となって下落するリスクがかなり大きいのではないかと思っています。

世界経済の底打がより明確となれば、年後半はリスク選好の円安を供給過剰のドル安が上回り、ドル円は下落に向かう可能性がある。

基本的に世界景気が底を打つとドルの実効為替レートは、基本的に世界景気や商品相場と逆相関関係にあり、ドル安となる傾向がある。

ドルが下落し、商品、原油、金などのコモディティの価格は上昇傾向に転じる可能性が強くなり、事実ここ一ヶ月ほどは、反転傾向だ。

商品・原油相場が上昇しだすと、最近決まって注目されるのはジム・ロジャース氏の言説である。

ジム・ロジャース氏(Jim Rogers、1942年生まれ)は、ウォーレンバフェット氏、ジョージソロス氏、と並ぶ著名投資家で、ジョージソロス氏とクォンタム・ファンドの共同設立者で伝説のファンドマネージャー。1990年代から商品市場が強気相場になることを予見するとともに投資を実践し、21世紀初めの商品相場の高騰を的確に捉えた。原油相場WTIが140ドルを超え、その後30ドル台まで暴落した後も、大型油田の発見が無いことをもとに強気相場の終焉を否定しています。

人物的には嫌いな人物ではないのですが、私は、彼の意見には違和感がある。詳しくは後で書きますが、コモディティ(商品1次産品)の強気相場を固く信じるロジャーズ氏の根拠は、原油の供給が減っていること、米国での生産設備への投資は35年間、低水準が続いていること、大油田も発見されていないこと、世界中の中央銀行が史上初めて同時に紙幣を増刷していることを挙げている。

【ジム・ロジャーズ氏インタビュー、金融危機後の投資術】
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20090420/192412/

私は、サマーズとガイトナーは強いドル政策を採り続けると思うのだが、4/26日高義樹のレポートを視ていて驚いた、オバマはこの後ドル安インフレ政策をするだと?寝ぼけて聴いていたので耳を疑ったが確認でき次第このブログは修正します。が、もし愚かにもオバマがドル安インフレ政策を採用するならば、世界は再び世界恐慌のリスクが再び訪れる事は必至だ。

インフレ政策を採用した途端、極端なハイパーインフレとなるか、スタグフレーションに陥り、再び恐慌の淵に立たされるはずだ。結局は日本が味わったデフレスパイラルへ陥るのではないかと懸念します。過剰な貯蓄をしている日本や中国ならば、理解できるが、貯蓄が無い米国でインフレ政策の効果が出るわけが無い。

コモディティや原油相場を語る時、一般的に原油価格が上昇する理由として、中国の需要の急上昇が挙げられるが、中国経済は米経済の1/3以下で世界経済に占める割合も6~7%にすぎない。中国が商品価格を上昇させているわけではない。実際中国経済は一要素にすぎないのである。

我々バブル崩壊を味わった日本人以外の投資家にとって、2008年までの世界的な好況な世界経済は永遠に続くような幻想を与えていた。経済は右肩上がりで成長し、新興国特に中国インドの経済発展は、石油、金、穀物などの商品はいずれ不足し必ず値が上がるという見方だ。ロジャーズ氏の相場観や昨年のコモディティ価格特に原油価格の異常な高騰は、そういった心理が底流に流れているのではないだろうか?

中国とインドの成長、油田の多くは掘り尽くされ、ベネゼイラのチャベス大統領の台頭など資源ナショナリズムが激しさは資源価格の上昇をもたらすように思えた。

わたしは、米国の国家戦略を侮っては見ていない。逆に恐ろしく天才がシナリオを書いているように思えてならない。原油価格が上昇し、冷戦で完膚なきまでに敗北したロシアが再び米国の軍事的ライバルへ復活し始めた。そしてユーロが台頭し米ドル基軸通貨の地位が危うくなったところで、グルジア戦争が勃発、原油価格の暴落、リーマンショックの金融危機が立て続けて発生したのである。

結果だけを見れば、ドルは対ユーロで強くなり、ロシアは再び冷戦終結直後の経済状況へ追い込まれ米国の懸念は収まった。これは米国の国家戦略以外の何物ではないと思う。陰謀論者は国際金融資本が仕組んだと妄想しているが、金融危機の一番の敗者は国際金融資本である。原油価格下落の被害者は中東の石油王であり、ロシアであり、資源ナショナリズムを振りかざす反米指導者達だ。

私は、仮説金融危機自作自演説の立場である。
【金融危機自作自演説】
http://blogs.yahoo.co.jp/ddogs38/19753668.html
【ビックスリー救済法案否決と、オバマ幻想 (仮説:金融危機自作自演説-②)】
http://blogs.yahoo.co.jp/ddogs38/21154137.html


話はまた逸れだしたので修正する。

原油価格は人類が利用し始めた200年の長期波動で見れば、下落傾向にあった。テクノロジーの開発と採掘方法の効率化、そして代替原料の利用のおかげだ。原油市場が大きく下がるときの要因になってきたのは供給より需要だ。需要が盛り返し価格が上昇すると、新たな油田の開発と新たな資源の探査や開発がされる、原子カエネルギーや天然ガス、そして最近では風力やエコな環境エネルギー利用など新しいエネルギーが登場する。

長期的にはエネルギー価格の下落は新しい油田の開発が止まる、ジム・ロジャーズ氏の言わんとする大型油田の開発が無いことが原油価格の上昇要因となるのではなく、原油価格の下落が大型油田開発の停滞となっている。

実際に、原油の埋蔵量は減っていない、原油は有限ではあるが、その生成は従来の科学的定説は覆されようとしているので、ジムロジャース氏の考え方は間違っていると私は考えています。

詳しくは 原油無機説 『「石油の支配者」浜田和幸 著 文春新書』を読むをご一読されたし。「世界の石油は急速に枯渇する」という考え方が180度変わります。

日本とヨーロッパ諸国は80年代も高成長を続けたが石油消費は横ばいであった。その間に燃料効率を改善し、天然ガス、原子力など代替エネルギーへ移行した。

60~70年代には日本と欧州諸国の製造業の復活によって銅やニッケルなど工業用金属が値上がりした。世界経済に占める総消費量は銅が60年代半ばに0.45%ニッケルは70年代に0.2%とそれぞれピークに達したが、その後、アルミニウムやセラミック製品など高騰した金属の代役を果たす素材が出現し商品価格は高騰し続けなくなる。

同じように、米国やインド中国もバイオ燃料混合燃料や、燃料効率の改善、新エネルギー利用が発展すれば、国民1人当たりが消費するエネルギー資源や原材料は減る可能性もある。中国とインドの好景気で原油や他の国際商品の価格が急騰するというのはただの通説にすぎないのだ。

いつの時代も世界には新しい経済大国が台頭してくるが、商品相場は下がり続けてきた。90~00年代中国は平均9%で成長していたが、それでも大半の商品価格が共に上昇ラインを描くことはなく2008年の原油商品市況の高騰はむしろ例外であったと思う。

2003~2008年の国際商品に対する異常な需要増はロシア、中国、インドが自由主義世界経済に組み込まれ、世界経済が初めてフラット化する過程で発生した歴史的な世界成長によってもたらされた世界的な好況であって、似たような現象が近い将来また起こる可能性は無い。商品は好況の最盛期に世界経済が過熱して需要が供給を上回るわずかな間にだけ値を上げる傾向がある。今のところは逆で、ほぼすべての商品の供給が需要をはるかに超えている。

原油価格上昇主義者で世界経済に楽観主義のジム・ロジャーズ氏は原油や他の商品価格は上昇すると言う。世界経済悲観派は世界各国の中央銀行が資金供給を増やしていることから、インフレ対策として商品市場に投資しているが、どちらも私には違和感を感じてならない。

では、原油価格はどうなるか?結論として昨年ゴールドマンサックスが1バレル=200ドルを予想したレポートが出た昨年5/29に私が書いたレポートhttp://blogs.yahoo.co.jp/ddogs38/8723465.htmlで『1バレル50~60ドル台まで再び下落することもありえると思っております。」と予想したいところだが、少し弱気で中国インドの新興諸国をギリギリ生かさず殺さずのライン70~100ドルあたりではないか?』と書いています。70ドル近辺。どうもこれが来年の原油価格となりそうだと思っています。どうだ!ゴールドマンサックス!
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『「石油の支配者」浜田和幸 著 文春新書 』を読む

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浜田氏は、時として彼のダークサイドが発動して、陰謀論信奉者に近い「トンでも論」に走ってしまうこともあるが、この本については、浜田和幸氏の正常な見識機能が働いた書籍です。

もっとも、この本は石油が高騰している最中に執筆をはじめ、急落した相場に対応し、次々に内容を修正していった箇所が、随所発見でき、だいぶ苦闘した跡が見受けられ、浜田氏の修正の苦労を想像すると思わず苦笑してしまいます。しかし、石油ピーク説を否定する第4章「石油はいつまでもつのか」だけでも十分に読む価値がある、皆様に推奨する1冊です。

参考になる箇所を抜粋して少々論評を加えます。

p32 「ドル安」に対応して原油価格を上げた!⇒なるほど、原油国の立場からすると、ドル建で原油取引をするため、米ドルの価値が下がればドルが下げた分だけ原油価格を値上げしたい動機がある。当然、次のドル安時の原油価格も要注意ということである。

p57 カーライルの巧みなマネーゲームに着目したCIC(中国投資有限責任公司)では、その資金力をバックに、一気にカーライルを買収しようとする動きをみせている。すでに、有望資源株や有望株に投資している、投資ファンドグループのブラックストーングループにCICは10%の出資をして筆頭株主だ。⇒国富ファンドが金融資産やエネルギー企業株を根こそぎ買収される恐れがでてきた。⇒世界各国で透明性を求め規制をする動き。

p74~75 原油価格が上昇すると経済が減速し石油の需要が減り、やがて原油価格が下落する。⇒今回は原油価格が上昇しても、未だ世界全体では成長が続いている。⇒石油を大量消費しなくとも経済成長できる社会構造となりつつある。

p82アメリカは2005年にサウジに見切りをつけた。サウジ+クウェートを合せた分量以上をギニアから輸入することとした。アメリカは今後10年先の輸入計画は中東諸国からアフリカへ軸を移す。中国にとって最大の石油供給国はアンゴラである。米中はアフリカの原油を巡り対立する可能性がある。

p87~89 この箇所は石油危機の発生と、今日のドルの行方を考察する上で非常に参考となります。
1973年2月12日、ニクソン大統領は再び世界を驚かす政策を発表したのである。それは、他の主要通貨に対する10%ものドルの切り下げであった。

絵図を描いたキッシンジャー

今から振り返れば、この決定の背後にも実は原油価格の高騰という隠された環境変化に対するアメリカの予防線を張る戦略があったことが読み取れる。なぜなら、その八カ月後、1973年10月6日、エジプトとシリアがイスラエルに対する軍事侵攻を開始したからである。偶発的に起きたといわれるが、極めて疑わしい。

というのも、この戦争勃発により、OPEC加盟国は一夜にして原油価格を四倍に跳ね上がらせた。これは出来すぎといえるだろう。アラブの産油国は莫大な原油収入を得ることになった。中でも世界最大の産油国であったサウジアラビアの収入は天文学的水準に達したといわれている。
しかも、この莫大なオイルマネーはそっくりそのままアメリカに還流しアメリカの不動産や企業の株式に吸収されたのである。見ようによっては、「アメリカの経済危機を救うために中東の戦争が計画され、その結果四倍という極端な原油高がもたらされ、その原油収入はアメリカに還流することでアメリカを経済破綻から救った」という構図が浮かび上がるのである。

もし、アメリカ経済を苦境の極みから救うために誰かが中東における紛争を演出し、戦争までけしかけたとすれば、おそらくその構図を描いたのは当時の国務長官であり、ニクソン大統領の知恵袋であった、ヘンリー・キッシンジャー氏をおいて他には考えられないだろう。当時キッシンジャー氏はウォーターゲート事件で瀕死の状態に陥っていたニクソン大統領に代わり、実質的な大流領職にあったと言っても過言ではない。

1974年、OPEC加盟国の収入は原油高で大幅に膨らんだが、そのうち70%近くがアメリカに還流したのである。その時、死に体状態にあったニクソン大統頷に代わりキッシンジャー国務長官はOPEC加盟諸国との問で「原油取引の決済に当たってはアメリカの通貨、ドルに限る」とする密約を交わしたと言われる。これが、今日まで続くペトロダラーの始まりであった。ここで最後に笑ったのはアメリカというわけだ。

1956年ピークオイル説を発表したハーバード博士に対して、大反論および、従来の理論では説明できないインド、ペルー、ブラジル(石油大国の仲間入りするだろう)コロンビア、ボリビア、エクアドルの大油田の発見が相次いでいる。また、アメリカ国内の油田には依然潤沢な油田が手つかずのまま眠っている。

ケンブリッジリサーチアソシエーツのダニエルヤーギン氏によれば、ピークオイル説をとなえる学者の石油埋蔵量見積もり1兆2000万バレルに対し、4兆8200万バレルの見積もりを出している。

p126~127
ロシアの「原油無機説」

ピークオイル説を、科学的根拠のない極端な悲観論に過ぎないとみなす最右翼がロシアである。ロシアの科学アカデミーが中心となり、ウクライナの研究者と共同で進められた「原油無機説」の信奉者たちである。この原油無機説は1951年にニコライ.クルリャーツェフ博士が理論をまとめ、旧ソ連邦石油地質学会議において発表した。

そのポイントは西側の研究者の問で定着していた「原油有機説」を全面的に否定するものであった。1956年にロシアのウラジミール・ポルヒィエフ博土は「原油は地球のマグマに近い超深度地帯で自然発生的に形成された資源である。これを有機物ととらえる発想は資源有限説を理由に原油の価格を高くしようとする西側石油資本の陰謀としか思えない」とまで述べている。

ロシアの研究者たちはこの原油無機説に基づく研究成果を応用し、既に枯渇したと思われていた原油や天然ガス田の再開発に相次いで成功したのである。特に1990年代、ロシアとウクライナは両地域にまたがるドニエプル・ドネッツ油田において驚異的な油田再開発を成し遂げた。

当時、枯渇したと思われていた61の油田のうち37の油田で再び原油を生産することが可能になったのである。これは今日の西側の油田探査技術と比べても圧倒的に成功率が高い結果と言えるだろう。このようなロシアの油田再開発技術は、近年まで西側に知られることがなかった。

しかし、相次ぐロシアにおける油田の再開発や新規油田の発見のニュースに驚いたアメリカの政府、特に国防総省が中心となって調べた結果、このロシアの油田開発事業の成功の裏にはロシア・ウクライナの研究者たちが進めてきた原油無機説が影響していることに気づいたのである。これを知ったアメリカの国防関係者の問には大きな衝撃が走った。下手をすれば原油争奪戦や資源確保競争においてロシアに大きく水を開けられることになるかもしれない。そんな不安と恐れがアメリカの政策立案者の間に広まった。

それ以降、アメリカはロシア周辺に軍事拠点を相次いで設置し始め、ミサイル網やレーダー網の整備等、攻撃的な軍事戦略に軌道修正するようになったのである。これは明らかに「ロシアが新たな原油大国としての力を背景に、西ヨーロッパや中国、その他ユーロアジア圏に対する影響力を拡大するのではないか」との恐れを高めた結果に他ならない。

アメリカとすれば、いかにしてこの新生ロシアの膨張を防ぐべきか、検討に迫られたわけだ。
その対策として生まれたのがロシア包囲網であったと思われる。
p134
スターリンの秘密計画

実はこのような原油無尽蔵説はロシアの科学者たちが1946年から研究を進めていたものである。当時、旧ソ連の指導者スターリンの下で大規模な原油に関する研究が開始された。なぜなら、スターリンにとって西側の国々と戦争を行う場合に石油が欠かせない資源であるとみなされたからである。近代的な戦争を遂行するためにはエネルギーとして石油資源が欠かせない。

そこで・旧ソ連は国内の研究者を総動員し原油に関するあらゆる側面を研究し尽くしたのである。いかにして原油が生まれ、いかにして原油が蓄積されるのか。そのような原油をいかにすれは最も効率よく開発、抽出できるものか、研究か進められた。アメリカは原爆の開発に取り組み、マンハッタン計画と呼ばれる研究プロジェクトを推進したものであるが、スターリンの進めた原油生成メカニズムの解明というプロジェクトはアメリカのマンハツタン計画を資金面でも研究者の層の厚さという面でも遥かに上回るものであった。
p138~139
一方で、人工的に地下100キロメートルのマグマに近い環境を作り、1500度近い高熱と大気圧の五万倍という圧カをかけることで原油の生成過程を再現する実験も行われた。これはテキサス州ヒューストンにある原油資源研究所のJ・F・ケネア博士が主導した実験である。その結果、原油の自然生成過程が徐々に明らかになった。このような科学者による実証研究が積み重ねられた結果、急速にピークオイル誰は根拠を矢うことになりつつある。

中東やアフリカなどでは地表に近い油田からこれまで大量の原油が抽出されてきたが、なぜ一部の地域だけに太古の恐竜や動植物の死骸が密集していたのか、化石燃料説では説明のつかないことがあまりにも多かった。しかし、地球内部で常に原油や天然ガスが生成されていることが科学的に明らかになってきたため、今後は油田の探査や開発は従来とは全く違った取り組みが可能になるだろう。

原油は「岩石」から人工的に作れる

原油はけっして過去の恐竜や動植物の死骸から生まれたものではなく、地中深くに存在する岩石が高温と高圧により資源化したものであることが解明されるようになったことの意味は大きい。

また、石油の埋蔵量は、大本営発表であり、真実の数値は公表されていないとの指摘がありました。

私もこの石油ピーク説には非常に懐疑的です。なぜ、石油がプランクトンの死骸が何億年も堆積してできたという説は、石炭が植物が炭化し化石化したことに由来していると思うが、石油の生成過程が解明されていないという説も実に怪しい。旧ソビエトで解明された研究プロジェクトこそ、正しいと私は思います。そうでなければ、ブラジルの大西洋沖や、アフリカ西岸沖の海底油田の生成理論が、従来の浅い暖かい海が安定的に続いた説と合致しない可能性が高い。確かに大陸が分裂して間もない間にはそういった時期もあったと思うが、従来説では説明がつかないとのこと。

それならば、日本周辺にも、石油が埋蔵されている可能性は高いではないかと思う。中国が推定する大陸棚で埋蔵されている石油の量は、西側が推定している量と格段に違う。

1970年代初頭に、五島列島周辺に巨大な油田があるのではないかという説が囁かれたことがある。当時石油ショックの痛手から、願望とも妄想とも批判され、いかに石油は出ないかと当時の専門家の解説を読んだ記憶がある。 となると、ひょっとして五島列島周辺地域、中国が魔の手を伸ばしつつある、鳥島周辺海域に油田が発見される可能性も高い。

今後、中国が石油権益目的の覇権主義を強めた場合、尖閣諸島周辺がきな臭くなることは確実である。
今次オバマ政権が、ヒラリークリントン女史を国務長官に任命すると発表したことは、まことに憂慮すべき事態と思います。
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=「落ちるナイフは掴むな」= =「落ちる短剣をつかもうとするな」=
まさに、今日の日の為にある格言です。下げ相場で無理に掴もうとすると、怪我をする。

人は底値の瞬間で買い天井で売りたくなるものです。しかし、そんなことは、株の神様でも無理です。=「頭と尻尾は、猫にくれてやれ」 = ぐらいの気持ちで構えることが望ましいのかもしれません。この相場環境では =「売りは迅速、買いは悠然」 =買いについては悠然と向かうべきなんでしょう。

相場の格言は、人間社会を生き抜く知恵でもあり、相場の格言は常に心に持ち続けています。相場の格言といえば、なんといっても思い浮かぶのは、
=「人の行く裏に道あり花の山」=
「多くの人が花見に行く場所より、人の知らない所に行けば、花の山をゆっくりと楽しめる」と言う格言。相場の格言集には必ずある格言です。株式格言の真髄は「逆張りの勧め」なのかもしれません。
もう一つ有名な格言が=「相場は悲観の中に生まれ懐疑の中で育ち楽観の中で成熟し幸福感の中で消えていく」=相場の生成から終末の過程を四段階に分け、各場面における投資家の心理状態を、巧みに洞察した傑作な格言です。

今日は、新しい相場の誕生日かもしれません。でも、誰にもわかりません。=「もうはまだなり、まだはもうなり」 =この格言は相場の予測の困難さを、巧みな表現で説明したものですが、結局天井と底にいるときは=「天底では、少数意見につけ」= =「総弱気は買い、総強気は売り」=
=「万人が万人ながら強気なら、たわけになりて、売るべし」= 何処が天井で、何処が底かは、その時点ではわかりません。後から振り返ると、天井では総強気、底では総弱気が市場を支配しているのです。

=「株価は頂上において強く見え、底で弱そうに見える」=そういうものです。
=「大衆は常に間違っている」= 「大衆は錯覚で投資するから常に間違うのです。大衆というものから抜け出さなければ相場での成功は無いだろう」という格言です、けして上から目線での言葉ではないので、「人の行く裏に道あり花の山」と同じ意味ですので誤解なきようお願いします。今日のネット掲示板では世界恐慌に恐怖するだけの大衆が存在しています。

=「知者は惑(まど)わず、仁者は憂(うれ)えず、勇者は懼(おそ)れず」 =
「道理をわきまえている人は事に当たっても迷わない。情け深い人は天命に安ずるから心配しない。勇気のある人はおそれない。」論語からの引用ですが、自分はとても此のレベルではない、ただの愚者かもしれません。せいぜい、=「幽霊と相場師は淋しいほうに出る」=と相場師を気取った単なるへそ曲がりにすぎません。
「相場師は人気のない銘柄を、底値で買い集めるべきである。(逆張り)」
「相場師は、目立ってはいけない。幽霊のような存在であるべきだ。」ブログなんてやってる場合じゃないかもしれません。

これだけの下げ相場となると、もはやテクニカルで計算した下値の予想数字はあてになりません,
=「相場は値より日数」=です。こういった相場は値段よりも日柄で見たほうが確かでしょう。10月10日のG7と16日のシティの決算発表日は相場の転換の要注目日です。=「天井3日、底百日」=などの言葉があるように日柄を注意して見なければなりません。波動などにおいては値幅より日柄の方を重視することが必要です。

=「株価は悪魔の鏡」= 私は株価や市場価格というものは、ある意味で神聖なものだと思っています。森羅万象あらゆる情報を反映させる鏡のようなものかもしれません。人が命から2番目に大切なお金を出して投資する株価は、常にその時その時で常に正しいのです。http://members.at.infoseek.co.jp/J_Coffee/keizaishi0.html#chuurippu /17世紀のチューリップ球根の高値も、バブル時の日本の株価や地価も、サブプライム問題の核の債券CDOも売買をされた時点での取引価格は正しかったのです。
つまり、市場価格を形成する情報とは、経済的合理的なもの以外、群集心理、間違った噂や誤解、作為的嘘、恐怖心、熱狂的な思い込みなど全てを含めたあらゆる心理をも映し出した「悪魔の鏡」なのです。

10月が底値になる可能性は高いと思ってはいますが、米国市場が底を打たない限り日本だけが底打つことはできません。これから厳しい米国の中小銀行が1000件も倒産する金融再編が始まったばかりです。物凄いスピードで処理をしていますが、早くても来年後半にならないとまだみえてきません。=「相場の金と凧の糸は、出しきるな」=を心がけ、賢い投資をしてほしいものです。

=「しまったは手仕舞え」= =「見切り千両」= =「利食い千人力」=を心がけ、皆様も是非ご精進ください。私も=「曲がりやに向え」=」「Ddogに向え」などと陰口を言われないように私も頑張ります。

最後に一つ
=Colors fade,temples crumble,empires fall,but wise words endure. =
=「色は褪せ、寺は朽ち、帝国は滅びる。しかし賢者の言葉は永遠である」=
byエドワードソーンダイク


追伸:外資系のトレーダーからの又聞きですが、NYでは、此の下げ相場で4000億円儲けている方がいるそうです。
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原油が急騰した。そして、民主党の副大統領候補選びが始まった。時を同じく「ビルダーバーグ」会議が開催された。
原油価格最高値を更新 1バレル=139・12ドル
2008.6.7 08:22
 【ニューヨーク=長戸雅子】6日のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)の原油先物相場は、ドル安やイランの核開発をめぐる地政学的リスクの高まりを受けて急騰しした。取引の指標となる米国産標準油種(WTI)の7月渡しは一時1バレル=139・12ドルをつけ、取引中の最高値を更新、140ドル台を目前にした。これまでの最高値は5月22日の135・09ドルだった。

 終値は前日比10・75ドル高の138・54ドルと最高値を更新。上げ幅も過去最大で記録ずくめとなった。

 欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁が利上げに踏み切る可能性を示唆したことを受けて、為替市場で、ユーロなどに対するドル安が進行。ドル建ての原油取引に割安感が出たことも相場を押し上げた。

 イスラエルのモファズ副首相が同国の有力紙に「イランが核開発計画を続けるなら、攻撃を行うことになるだろう」と発言し、中東情勢の緊迫化の懸念が高まった。市場関係者は「一時的かつ過剰反応の側面がある」とする一方、イラン核問題が「軍事衝突のリスクなど(中東地域の)懸念材料であり続けている」と指摘した。

 5月の米雇用統計で失業率が2004年10月以来の高水準となったことに加え、米証券大手モルガン・スタンレーが7月初めまでに原油相場が150ドルに達する可能性を指摘したことも拍車をかけた。

http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/080607/fnc0806070823003-n1.htm

FRBが、金融緩和をやめ、利上げに踏み切りドル高に振れれば、石油価格が天井を打つかと判断した。しかし米国の利上げ前にECBが利上げをしたら、ユーロ高となりドルが売られ原油が上がってしまった。

まだ天井宣言をするには早すぎました、反省します。

そして、時を同じくして米国大統領選挙、民主党の副大統領候補が誰となるか?話題になっています。

ヒラリーは副大統領ポストの獲得に積極的だそうですが、ヒラリーが副大統領候補説は早くも消えそうである。溜池通信では、「ドリーム・チケットの場合、正副大統領が夫婦で揃って写真を撮るときに、ビル・クリントン元大統領が写ってしまいます。」との分析。なるほど。
「ヒラリーに対する処遇論では、すでにいろんなオプションが検討されていて、なかでも渋いのが「最高裁判事に任命」というもの。なにしろこの仕事は終身であるし、リベラル派が少ないという問題もあるし、三権の長だからステータスも高い。そうでなければ、上院にとどまって院内総務(Majority Leader)を目指すのが、彼女にとっても民主党にとってもベストだと思いますけれども。」とかんべい氏は分析しています。


副大統領候補に名前が挙がる可能性のある12人の略歴。(アルファベット順) 

◎ジョぜフ・バイデン氏(65歳) デラウェア州選出の上院議員。現在上院外交委員会の委員長を務め、外交政策に造詣が深い。しかしオバマ候補は、米国の将来を変えるという自らのスローガンの新鮮さをアピールするために、あえて現職の上院議員を選ばないのではないかとの思惑も。 

◎ウェズリー・クラーク氏(63歳) 元陸軍大将、元北大西洋条約機構(NATO)軍総司令官。2004年の大統領選の予備選に出馬した。クリントン氏を支持していたため、党内結束に貢献できるか。国家安全保障に明るい。ただ、前回の予備選出馬時は精彩を欠いたため、民主党支持者に訴えることができるかどうかに疑問符も。

◎ヒラリー・クリントン氏(60歳) オバマ氏と激しい予備選を戦ってきたヒラリー氏だが、世論調査では、オバマ大統領候補─クリントン副大統領候補の、いわゆる「ドリームチーム」結成は、同党支持者の間で高い支持を集めている。長引いた予備選で傷ついた党内結束を回復するため、オバマ候補自身もこの選択肢を排除していない。ヒラリー氏を起用することで、オバマ氏の弱点である、女性や白人労働者層の支持獲得に期待ができる。一方、ビル・クリントン元大統領の夫人でもあるヒラリー氏が副大統領になった場合、クリントン元大統領の国政への影響力を懸念する声も。  

◎クリストファー・ドッド氏(64歳) コネティカット州選出の上院議員。現在上院銀行住宅都市委員会の委員長を務める。スペイン語に堪能で、ラテンアメリカ問題に明るい。今回の民主党予備選に出馬していたが、早々と撤退し、オバマ氏支持に回った。オバマ陣営の外交・経済政策への貢献が期待されるが、バイデン氏と同様、現職の上院議員であることが弱点か。 

◎チャック・ヘーゲル氏(61歳) ネブラスカ州選出の共和党上院議員。ベトナム戦争従軍の経験があり、保守派として知られるが、イラク戦争については歯に衣を着せぬ批判を繰り広げる。共和党及び無所属議員との距離を縮められる人材と期待される。 

◎ティム・ケーン氏(50歳) バージニア州知事。予備選初期からオバマ氏を強く推してきた。同州は大統領選では伝統的に共和党が強いことで知られるが、ここ数年は民主党が支持基盤を広げている。オバマ陣営にとり、同州での票集めに期待がかかる。 

◎サム・ナン氏(69歳) 元ジョーシア州選出の上院議員。元上院軍事委員会委員長。外交、軍事政策に造詣が深いが、69歳という年齢と、保守的な考えの持ち主であることを考慮すると、オバマ氏とうまくタッグを組めるかどうか。

◎エド・レンデル氏(64歳) ペンシルベニア州知事。強力にクリントン氏をバックアップしてきたため、同氏の支持層に訴え、本選の行方に重要なペンシルベニア州での票集めに貢献できる立場にいる。地方検事、フィラデルフィア市長を歴任。 

◎ビル・リチャードソン(60歳) ニューメキシコ州知事。自身がヒスパニック系米国人のため、急速に数を増やしているヒスパニック系住民の支持獲得に有利とみられている。折衝能力に定評あり。エネルギー庁長官、下院議員、国連大使などを歴任。外交政策に明るく、政府内の事情通としても知られる。 

◎キャスリーン・セベリウス(60歳) カンザス州知事。現在2期目を務める。女性。共和党の支持基盤である同州の知事を務めていることで、党派を超えた活躍が期待できる。国政レベルの経験がほとんどないことが弱点か。 

◎テッド・ストリックランド(66歳) オハイオ州知事。同州の予備選ではオバマ氏とクリントン氏が激しいつば競り合いを繰り広げたが、同氏はクリントン氏の強力なサポーターだった。下院議員の経験があるものの、全国レベルではほぼ無名。 

◎ジム・ウエッブ氏(62歳) ヴァージニア州選出の上院議員。現在1期目。ベトナム戦争従軍経験あり。海軍長官などを務める。作家としての顔も持ち、ベトナム戦争を題材にした「フィールド・オブ・ファイア」など、これまでに小説を7本出版している。同州では最近民主党が支持を広げており、オバマ陣営にとっての追い風となれるか。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-32142620080606

私は、キャスリーン・セベリウスカンザス州知事(60)が副大統領候補にふさわしいと思います。
白人女性で中西部の票が期待できる点でヒラリーにするより、基本理念の「変革」にふさわしい。

それで、なぜ原油価格と副大統領候補選びが関連するか取り上げたかといえば、同時に「ビルダーバーグ」会議が開かれているからだ。

陰謀論原理主義者が敵視する「ビルダーバーグ」にオバマ、ヒラリーが出席したそうだ。
Press Let Rip At Obama Spokesman Over Exclusion From Secret Meeting
Reporters flown out of Washington as nominee meets Hillary at Bilderberg confab
http://infowars.net/articles/june2008/060608Exclusion.htm

その、出席者にはカサーリン・セベリウス(カンザス州知事)も含まれている。
http://www.prisonplanet.com/articles/june2008/060608_b_list.htm

「ビルダーバーグ」とは第1回会合がオランダ・オーステルベークの「ビルダーバーグ・ホテル」で開催されたところから命名された、裏のサミットなどとも言われる。

アメリカ、カナダ、ヨーロッパ諸国で影響力を持つ政界、財界、王室関係者約100人ほどが集まり、政治経済や環境問題なども含む多様な国際問題について討議する完全非公開の会合である。

最終目標は、あくまでも欧米による世界統一権力の樹立で、裏で世界を動かす秘密会議であるとされる。もし、陰謀原理主義者が言うように、世界を動かす力があるとするなら、第1回の会合が1954年で、その後、日本が高度経済成長を始め、欧米諸国の優位を経済面で破壊した合理的説明ができない。欧米による世界統一権力の樹立であれば、日本の台頭を許すはずもなく、中国インドなどは、最貧国のままで放置しておいただろう。

今回も、バーナンキFRB議長・ライス国務長官・ポールソン財務長官IT石油関係のCEOやら、欧州各国の
要人が出席しているようだ。当然そこで討論された内容は、各国政府や企業の政策に影響を及ぼすであろうが、「ビルダーバーグ」は懇親会の域にすぎないのではないか?世界でも超多忙な人達が、いちいち世界を支配する実務政策政策の決定を毎年、2.3日集まって決められるものであろうか?日本の場合、省庁でいえば課長クラスの実務者が根回しに根回しを重ね行うものであるが、いかに文化が違うとはいえ、2.3日の会合で、そんな陰謀めいた取り決めが出来るわけがない。

出席者それぞれ、利害関係は持っているわけで、何か決定するとなれば、利害調整はとても不可能で、2.3日の会議でで済むはずもない。

しかしながら、世界的な懇親会の出席者の中に USA "Sebelius, Kathleen" Governor of Kansas とあれば、民主党の副大統領候補になる可能性は大きい。

話が原油価格からかけ離れてしまったが、欧米諸国が持つ石油権益は年々減少している。欧米統一国家なるものを目指すなら、原油価格の上昇はこれ以上容認できるものでもない。「ビルダーバーグ」で石油価格のことが討議されたことが反映されて、石油価格が140ドル近くまで急騰したということは絶対にないはずである。ただ、時期が時期だけに陰謀論者の想像力が膨らんでいることだろう。

ECB利上げ、やがてFRBも利上げしていけば、過剰流動性による投機資金は絞め上げられるのが経済原理というもの。悔しいが、石油天井宣言は時期尚早でした。それでもあと2年から3年後1バレル200ドルに一度は達したとしても、再び100ドル以下に下落することもありえる意見は曲げるつもりは無い。

もう一つ勝手な予想。クリントン夫妻の離婚。大統領になれなかったら、ヒラリーにとってビルクリントンは何の価値もない男である。もう我慢の限界だろう。
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②原油価格の今後の推移に関する考察

①原油価格の今後の推移に関する考察[ http://blogs.yahoo.co.jp/ddogs38/8710963.html]より

今後の原油価格が如何なる展開をするかは、結局のところ米国経済がどう推移するかに掛かっている。

バーナンキ議長は、何度も書いて申し訳ないが、デフレスパイラルもしくは、真性スタグフレーションの阻止を第一優先としている。

米国でインフレ率が高まるかは、原油価格と、中国の人民元価格、ドル為替相場による輸入インフレと、失業率の国内要因との関係を観察しなければならない。
(再び牧野氏の引用となるが:要約抜粋)
http://www.mainichi.co.jp/syuppan/economist/news/20080509-190636.html

米国の失業率をみると、昨年3月に4・4%まで低下したあと、今年3月には5・1%まで上昇している。米国の自然失業率は4・8%程度で、現実はこれを上回っており、賃金上昇圧力は緩和の方向にある。

マーケットもインフレよりもむしろ景気後退や信用リスクを意識している。原油高騰によるインフレよりも住宅価格下落によるデフレであり、マーケットは住宅バブル崩壊から景気悪化を予想し、資金を非ドル資産である原油や金、ユーロ、国債にシフトさせている状況である。
今後のポイントは住宅価格がいつ下げ止まるかであろう。住宅価格について、米国家計が購入する不動産の投資利回りを計算してみると約7%となっている。30年物不動産融資金利が約6%であるから、両者の利回り格差(要求リスクプレミアム)は約1%である。今後、住宅市場がより高いリスクプレミアムを要求するならば、住宅価格はさらに下落することになるが、仮に、要求リスクプレミアムの過去の平均値(1.7%)を前提とすると、価格下落率はあと8%程度と試算できる。8%の下落率であれば、現在の下落ペースからみて、年内に下げ止まる可能性がでてくる。

住宅価格の下げ止まりが視野に入ってくれば、資金フローは変わり、マネーは非ドル資産から、再びドルや株に回帰することになるだろう。
いずれにしても、当面、住宅価格が注目点であり、その動向により原油価格の動きも変わってくるだろう。

FRBもまさに、その点を見越している。さらに、昨年11月にブラジルの海底油田で、従来の原油埋蔵理論では説明できない大油田の発見が報じられています。原油価格の高騰で、非採算の石油鉱区の再探査が開始され、ブラジル同様な従来理論では発見できない油田も発見される確率が高くなってきています。

もうひとつ、世界的なフードクライシス(食糧危機)の元凶がバイオエタノールとされましたが、ご存知だと思いますが、日本のホンダなどで、実現可能な画期的な新技術が進んでいます。
【NIKKEINET】
http://eco.nikkei.co.jp/news/article.aspx?id=2008042907205n1
(4/30)ガソリン代替のバイオエタノール、ホンダが植物廃材で量産
 ホンダと独立行政法人の地球環境産業技術研究機構(RITE)はガソリン代替燃料のバイオエタノールを低コストで量産できる技術を開発した。稲わらなどの植物廃材を原料に、1リットル当たりの生産コストを国際競争力のある30円程度に抑えられる。原油価格の高騰でトウモロコシなどを使うバイオ燃料の需要が拡大し、食糧価格を押し上げている。省資源と温暖化ガス削減につながる技術として2010年をメドに実用化を目指す。
 ホンダの全額出資子会社である本田技術研究所(埼玉県和光市)とRITEが開発した生産技術は、雑草や稲わらの繊維質をすべて1回の処理でエタノールに変えることができる。繊維質の種類ごとに処理する従来方式に比べ生産効率が上がり、稲わら1キログラムから約400ミリリットルのエタノールが作れる。

ホンダの他にも、食料を原料としないバイオ燃料計画は目白押しだ。しかも実用可能性が高い。

【WIREDVISION:オイルを作る藻が、日本を救う?】
http://wiredvision.jp/blog/yamaji/200711/200711160954.html

慶應義塾大学先端生命科学研究所(山形県鶴岡市、冨田勝所長)では、最先端のバイオテクノロジーを活用した環境技術の研究が進められている。研究の1つは、藻からオイルを作り、バイオ燃料にしようというもの。

【藻類バイオマスエネルギー 技術の展望】
http://www.sakura.cc.tsukuba.ac.jp/~eeeforum/1st3EF/1st3EF_watanabe.pdf

筑波大学生命環境科学研究科 渡邉信さんの研究では 2014年実用化?とのこと。
バイオマスエネルギーセルロース系資源からのエタノール生産木質系、製紙系、農業残渣 バイオデイーゼル燃料生産菜種、アブラヤシ、廃食油、藻類石油などで、1-2億年前の海に生育していた生物の死骸中東地域:1-2億年前は浅海で、微細藻類が大繁殖していたように、エネルギーを取り出すことが可能との研究をネット検索でヒットしました。

原油価格の高騰は、オイルショック時の日本と同じく日本の発展の基盤となるかもしれない。失礼アメリカも同じくこの分野を狙っています。

【WIREDVISION:藻類からバイオ燃料を製造する「農場」、世界各地で操業開始】
http://wiredvision.jp/news/200804/2008040923.html
PetroSun社では、メリーランド州ほどの面積があれば、米国の燃料需要をすべて満たすのに足るバイオ燃料を藻類から製造できると主張している。[メリーランド州の面積は、日本の面積の約15分の1]

【WIREDVISION:将来有望、セルロースを使ったエタノール製造】
http://wiredvision.jp/archives/200602/2006020804.html
ノボザイムズ社の米国法人のグレン・ネドウィン社長によれば、現在のエタノール製造コストは、原料がバイオマスの場合2〜3ドルだとすると、コーンスターチ(トウモロコシの澱粉)の場合1ドル7セントになるという。ネドウィン社長は、ノボザイムズ社が開発中の技術は、2、3年以内にトウモロコシを使ったエタノール製造技術とコスト面で並ぶとみている。

【WIREDVISION:「米国経済を救うのは環境技術バブル」富豪投資家の主張】
http://wiredvision.jp/news/200805/2008051423.html
資産運用会社の米Fortress Investment Group社の社長、Michael Novogratz氏
「石油価格が高騰する今、必要なのはグリーンな革命だ。米国経済の次の牽引役は何か。それは環境関連技術だと私は思う。この分野には巨大な成長のチャンスがある。環境汚染を解決するからではない。それがエネルギーに関連する技術だからだ。
アメリカも食料生産に悪影響を及ぼさない、バイオエタノールの巨大利権に動き出した。こういった技術は、新しいフロンティア(利権)であるため、私には、インターネットが爆発的に普及した時と、同じ匂いがする。

食糧危機は、遺伝子組み換え食品の画期的普及が考えられます。私は、生態系に影響を及ぼさないのなら、大いに賛成です。陰謀論者は種子の寡占が陰謀だとか、人体の影響だとか遺伝子組み換え食品を反対していた人は、多分原発も反対していただろう。そういった左翼崩れの環境原理主義者の声が小さくなっていくのは大いに愉快である。

少し話しが逸れるが、近所に超格安食品ディスカウンターの「業務スーパー」があり愛用しています。以前は、私みたいな貧乏父さんとか、外国人や、上流ではない人々が客層でしたが、この2月以降いかにも「子供と家族のことを考え、家では無農薬野菜を食べています」みたいなことをぬかしそうな生協ママさんたちが大勢見かけるようになった。生協で売っている食品自体中国産なら、ディスカウントの食品スーパーで買っても同じことに気がついたらしい。少し笑える。

もう一つWIREDVISIONから関連情報

【「タンク培養の人工肉」普及は間近?:培養食肉シンポジウムからのレポート】
http://wiredvision.jp/news/200805/2008051522.html
5年から10年後には、スーパーマーケットの精肉コーナーに新しい製品が並ぶようになるかもしれない。家畜に比べて生産コストが安く環境への悪影響も小さい、タンクで培養された食肉だ。
山中教授の技術も応用すると、おいしいカルビや、ミノだのタンだのが培養され、ひょっとすると寿司ネタもバイオ培養されるのだろうか?安くて美味しければ私は「ノープロブレム」。

原油価格の推移を考察するから逸れてしまったが、原油価格の高騰は、人類に画期的な進歩をもたらす思わぬ効用を齎すのではないでしょうか。

ゴールドマンサックスは2年後1バレル=200ドルと予想していますが、私の結論は、「2010年実用化のホンダのバイオエタノールが出回る頃には、1バレル50~60ドル台まで再び下落することもありえると思っております。」と予想したいところだが、少し弱気で中国インドの新興諸国をギリギリ生かさず殺さずのライン70~100ドルあたりではないか?

2年後私のブログが続いていたら結果が出ているはずだ。今から楽しみである。
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