Ddogのプログレッシブな日々@ライブドアブログ

政治経済軍事外交、書評に自然科学・哲学・聖地巡礼・田園都市ライフ、脳の外部記憶媒体としてこのブログを利用しています。2020/11/30以前はGoogle検索でキーワードを入れると常に上位にありましたが、日本のトランプ大統領デモを紹介した記事が米国でバズって以降検索アルゴリズムから排除され検索ヒットされにくい状態です。是非ブックマークをお願いします。このブログをご訪問していただいた方の知識や感性として共有できれば幸せに思います。

タグ:ヨーロッパ


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英国人以外の多くの人はまさかと思っていたようだった。昨年末から1ドル=130円と言い張る、頭が悪すぎる某アナリスト(今泉**とか**貴晶など3流アナリストら)は、賭け屋のオッズを根拠に残留すると言い切っていた。奴らは単純に日米金利差から1ドル=130円は確実と、ミジンコの脳味噌で考えたような恥かしいレポートを書いていた。

英国が結局は残留するだと考えたアナリスト達は、経済的側面しか読めない素人なのだ。政治、軍事、歴史、伝統を総合的に考えないのだ。クオンツアナリストなどまさにそういった人種だ。 会社では末端の仕事をしている私が書くDdogのプログレッシブな日々でも読めば少しはましになるかもしれないのに・・・(笑) 給料泥棒!

まあ、大手金融機関のアナリストなんてものは、金融機関向け講演会の弁当の良し悪しでアナリスト・ランキングを付けてもらっている厚顔無恥な連中なので、予想が外れても何とも思っていないだろう!確か1ドル105円切るようなことが有ったら死んでもいいと言い切っていたアナリストもいた、死んでもらおうじゃないか!

それにしても、BBCの速報リアル画面とFXの円ドル画面を見つめながら事務仕事をしていたのだが、BBCの速報板で残留派優勢から、離脱派が優勢になり始めた10時30分過ぎまだ円高に動かなかった時、ここから絶対に円高株安になると確信したのだが仕事中で悔しかった。

99円を割った時は英国の離脱が決まったと確信した。
仕事中でなければ・・・・悔しいので1分足画面を記録しておいた。
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さすがに今回は、絶対離脱するとは断言できなかったが、私は”まさかの結果”とは思っていなかった、おそかれ早かれ英国はEUを離脱する選択をすると思っていた。



なぜなら、今のEUは対等な国の集合体ではなく、EU=ドイツ帝国であって、英国人はドイツ帝国の支配は受けたくない。英国はドイツ帝国の配下ではなく、国民感情は英語圏米国・カナダ・オーストラリアの旧大英帝国/英連邦の国々との共同体を目指す方向に向かっているのであるか・・・・

仮に別の宇宙(パラレルワールド)の東アジアに置き換える、その世界では第二次世界大戦で、枢軸国側が勝利して、アジアで大東亜共栄圏で日本は戦勝国であった。

戦後満州国が経済発展し、その後チベットが債務問題を抱え、大陸の我々の世界における旧満州国以外の地域が遅れて経済発展するなか、東アジア共同体で通貨統合が行われたが、円だけは別通貨としよう、戦勝国でありながら、日本が中国の移民が屯して、道端で淡を吐いたり、朝鮮人に大便をされたら皆どう思うか?

そうしたら、日本人は例え一時経済が疲弊しても、台湾や沖縄が分離独立したいと言っても、国を立て直したいと考える人が多数派を占めるだろう・・・

そう考えれば、この私たちの宇宙で、英国が、分離独立を選んだ理由も理解できる。

フランスの歴史学者エマニュエル・ドットに言わせれば、EUはドイツ帝国に奉仕する集合体に成り下がっていると言うのだ。そして、今後ドイツ帝国(EU)Vsアメリカの勢力争いとなる。もちろん私たちの宇宙の地球での出来事だ!

エマニュエルドットは2014年に執筆した

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”ドイツ帝国が世界を破滅させる”において、イギリスはEUから脱退すると予想していた。私がこの本を読んだのは今年の2月である。

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P42-54
ドイツがヨーロッパ大陸を牛耳る


 地図が示す「ドイツ圏」という領域

―――この地図(口絵参照)はあなたが見るところのドイツ帝国の現状ですね。ドイツが中心にあり、さまざまな衛星国や(あなたがうまく言つてのけている)自主的隷属状態の国が、まわりに位置している。あなたの観点から見て、この地図は何を表しているのですか?

 この地図が助けになって、ヨーロッパの性質が変わったことが意識されるといいなと思う。この地図は現在のみならず、かなり近い将来の可能性も表している。

 EUが提示する一般的な地図は各国の平等性を示そうとした地図であって、もはや現実を語っていない。それに対してこの地図は、いわば、ヨーロッパの新たな現実を可視化する初めての試みだ。ドイツの中心的性格を確認し、ドイツがどのようにヨーロッパ大陸を掌握しているかを意識化するのに役立つ。

 この地図が言おうとする第一の事柄、それはドイツ自体よりも大きな非公式の空間、「ドイツ圏」が存在するということだね。そのドイツ圏は、ドイツに対する経済的依存度がほとんど絶対的といえるほどのレベルにある国々で構成されている。

 フランスの協力によって完成した「ドイツ圏」


―――およそ一倍三〇〇〇万人の住民のゾーンですね。

 そうだね。しかしこの空間はドイツの影響力にだけ依存しているわけではない。ドイツは、フランスの協力なしにはけっして大陸の支配権を握ることはできなかっただろうと思う。それが、この地図の示すもう一つの要素だ。

 フランスとフランスの経済システムの自主的隷属、そしてフランスのエリートたちがおそらく彼らにとって―――しかしフランスの民衆にとってではない―――ユーロという金ピカの監獄を受け入れたという事実。フランスの銀行は、この金ピカの監獄の中でなんとか生き延びている。フランスは六五〇〇万人の住民をドイツ圏に付け加える。ドイツ圏に、大陸のスケールの中でひとつの限界を越える人目の塊を提供しているわけだ。

―――ほとんど二億大の規模……。

 ということは、われわれはすでにロシアや日本の規模を越えているということだね。

 「被支配地域」  南欧

 この地図の黒とグレーの塊がドイツのパワーの中心を表している。この塊が、ヨーロッパ全体のシステムの中で被支配地域となった南ヨーロッパを従属した立場に置き、抑え込んでいる。

 ドイツはイタリアで、ギリシヤで、またたぶん南ヨーロッパ全域で、ドイツが押し付ける財政規律のゆえにひどく嫌われている。しかし、それらの国々は何もできない。なぜなら、ドイツがその隣接空間とフランスを伴って、いっさいを支配する能力を有しているからだ。支配されている国々は、この地図では黄色で示されている。

 「ロシア嫌いの衛星国」―――ポーランド、スウェーデン、バルト三国


 もう一つ別の特定のカテゴリーを赤色で示す。私か「ロシア嫌いの衛星国」と呼ぶ国々だ。
 逆説的なことに、これらの国々は一定レベルの自由を享受している。ドイツ主権下の空間に所在するのだけれども、私はこれらの国を隷属的立場とは見なさない。というのは、これらの国々自体が現実にこのポジションを切望しており、とりわけ反ロシアの情念に取り憑かれているからだ。

 見てみたまえ。フランスにはもはや夢がない。フランス社会党と国民運動連合(UMP)と高級官僚の代表たる会計検査官たちの指導の下で、フランスが希求していることといえば、服従すること、模倣すること、そしてタイムカードを押すことくらいなのだ。

 それに対して、ポ-ランドやスウェーデンやバルト三国には夢かおる。ロシアを破滅させるという夢さ。ドイツ支配圏に進んで参加することでその夢を信じることができるのだ。

 それにしても、より深いレベルの考察として、ふたたび右翼化したスウェーデンが一九一四年以前のあの国、すなわち親ドイツ的な国に完全に立ち戻りつつあるのかもしれないと私は考えている。

 ロシア嫌いの衛星国群は特別なカテゴリーにまとめられるべきだ。というのは、その諸国はドイツが悪い方向へ走るのを助けかねない力の一部を成すからである。

 話をちょっとフランスのエリートたちに戻すと、彼らはすでにドイツを神格化し、ドイツ批判を拒否することで、ドイツが悪い方向へ向かうのを助けた。フランスの屈従は未来の歴史家たちの目には、ドイツに将来訪れる精神的アンバランスヘの根本的に重要な貢献と映るだろう。

 スウェーデンやポーランドやバルト三国の場合は、それとはまた異なる話だ。これらの国々の場合は、あからさまに、そしてダイレクトに、ドイツを粗暴な国際関係へと導いていくかどうかが問題となる。

 イギリスに近いデンマーク、ロシアに近いフィンランド                                                                  私はフィンランドとデンマークをこのカテゴリーには入れなかった。
 スウェーデンとは逆に、デンマークは気質において真正のリベラルだ。デンマークが持つイギリスとの絆は、人口の大半が典型的なスカンジナビア風バイリンガルという事実を超えている。デンマークは西の方に目を向けており、ロシアのことをさほど気に病んでいない。

 フィンランドはというと、ソ連と共に生きることを学んだ国であり、ロシア入と理解し合う可能性をなんとしても疑おうとするような理由を持っていない。

 たしかにフィンランドはロシアと戦争状態にあったことがある。一八〇九年から一九一七年の間、ロシア皇帝の帝国に所属したが、それは一つの大公国という形であって、そのおかけで事実としてはスウェーデンの支配から逃れていることができたのである。

 フィンランド人たちにとって、自分たちの国を植民地化しかねない強国は実はスウェーデンなのだ。だから彼らが本当にスウェーデンのリーダーシップのもとに戻りたいと思っているのかどうかを私は疑う。

 地図の上では、フィンランドとデンマークは南欧諸国と同様に支配されているということになる。バカげていると思うがい? フィンランド経済はすでにロシアに対するヨーロッパの攻撃性の代償を支払っている。また、デンマークはイギリスが離脱していくことで困難な状況に置かれるだろう。


 「離脱途上」―――イギリス

 次はイギリスだ。私はイギリスを「離脱途上」というように描写した。なぜならばイギリス人たちは、彼らにとってぞっとするものである大陸ヨーロッパのシステムに加入することはできない。

 彼らはある種のフランス人だちと違い、ドイツ人に従う習慣を持っていないのだ。それだけでなく彼らは、ドイツ的ヨーロッパよりはるかにエキサイティングで、老齢化の程度もより低く、より権威主義的ではないもう一つの別の世界である「英語圏」、つまりアメリカやカナダや旧イギリス植民地の世界に属している。

 私はある折りに、彼らのジレンマに共感すると述べた。貿易上は格別に重要であるが、メンタル的にはどうしても和解できないタイプのヨーロッパを前にして、イギリス人であることはどれほど居心地の悪いものであるかを語ったのだ。

 ドイツ覇権よりアメリカ覇権の方がマシ

―――いつか彼らはEUから去ると思いますか?

 もちろん! イギリス人はより強いわけでも、より優れているわけでもない。けれども、彼らは背後にアメリカ合衆国を持っている。

 早い話、自分のことを言わせてもらえば、自分の属するネイションの自律性の消滅に直面している一フランス人として、もしドイツの覇権かアメリカの覇権か、どちらかを選べといわれたら、私は躊躇なくアメリカの覇権を選ぶよ。私にしてそうなのだから、イギリス人の場合、どっちを選ぶかなんて分かりきっている。

 「離脱途上」  ハンガリー

 私はハンガリーを、離脱の試みという点てイギリスと同じように見なした。ヴィクトール・オルバーン首相はヨーロッパで評判が悪い。一般に言われているところによれば、権威主義的で右翼強硬派であるらしい。そうなのかもしれない。

 しかし、何よりもまず、ドイツのプレッシャーに抵抗するというのが彼の評判の悪い理由だ。なぜハンガリーが反ロシアでないのか、ハンガリーは一九五六年にソ連の激しい弾圧を受けたのに、と訝しく思えるかもしれない。しばしば起こることだが、「~にもかかわらず」がたぶん「~ゆえに」に取って代わられたのにちがいない。一九五六年、ハンガリーだけがソ連の圧力に正面から向かい合ったのだ。

 ポーランドやチェコ―――この両国の人びとは当時、ほんの少ししか、あるいはまったく動かなかった―――に比べて、ハンガリーはロシア人の支配の下での自らの歴史を誇ることができる。つまり、ハンガリー人たちは赦すことができるのだ。

 一九七〇年代にハンガリーで流通したある大胆な冗談が、東ヨーロッパ内の差異を理解するのを助けてくれる。すなわち、「一九五六年にハンガリー人はポーランド人のように行動した。ポーランド人はチェコ人のように行動した。チェコ人は豚のように行動した」。

 「併合途上」―――ウクライナ

 ウクライナを私は「併合途上」と見なした。ウクライナは当面、お誂え向きのヨーロッパ統合優先主義的な併合とは見えない。むしろ国家的にも産業的にも崩壊しているゾーンの併合だ。その崩壊は、今後さらにEUとの自由貿易協定によって加速するだろう。とはいえ、非常にコストが安い労働人目の併合でもある。

 ところで、新しいドイツシステムは基本的に労働人目の吸収によって成り立つ。最初の段階で使われたのは、ポーランド、チェコ、ハンガリー等の労働人口だった。ドイツはコストの安い彼らの労働を用いて自らの産業システムを再編した。

 四五〇〇万人の住民を有するウクライナの労働人目は、ソ連時代からの遺産である教育水準の高さと相俟って、ドイツにとって例外的な獲得物となるだろう。これはとりもなおさず、今後非常に長きにわたってドイツが支配的な地位を保つという可能性、そして特に、支配下の帝国を伴うことによって今すぐにもアメリカを上回る実質的経済大国になるという可能性にほかならない。哀れなブレジンスキー! 彼の見込みは外れる。

 ガスパイプライン問題  争点は「ロシアVS.ウクライナ」でなく「ドイツVS.南欧」

―――では、エネルギー問題のレベルではいかがですか?

 この地図(口絵参照)に主要なガスパイプラインが示されているのは、ひとつの神話を覆すためだ。ガスパイプライン「サウスーストリーム」の建設によって、ロシアがエネルギー関係をウクライナによって支配されるのから逃れようとしているという神話があるね。

 存在するガスパイプラインのすべてのルートを見てほしい。ウクライナを通っていることだけが共通点ではないよね。ドイツに通じているということも共通点だ。したがって、ロシアにとっての本当の問題は実は、ウクライナだけではなく、ガスパイプラインの到着点がドイツにコントロールされているということなのだ。そしてそれは同時に、南ヨーロッパ諸国の問題でもある。

 ヨーロッパがロシアの熊とだけの間に問題を抱えているひとつの平等なシステムであるかのように素朴に捉えるのをやめるならば、ガスパイプライン「サウスーストリーム」が建設されないことがドイツの利益でもあるということが分かる。それが建設されると、ドイツが支配しているヨーロッパの大部分のエネルギー供給が、ドイツのゴントロールから外れてしまうだろう。

 「サウスーストリーム」の戦略的な争点はしたがって、単に東と西の間の、ウクライナとロシアの間の争点ではない。それはドイツと、ドイツに支配されている南ヨーロッパの間の争点でもある。


 ヨーロッパという階層システム

 しかし、もう一度言っておきたい。この地図は最終的な地図ではない。この地図の目的は、ヨーロッパの現実に即したとっかかりのイメージをざっと思い浮かべ、今日のヨーロッパが不平等な諸国家のシステムになりつつあるという現実を覆い隠すニュートラルな地図のイデオロギーから脱却することにある。不平等な諸国家のシステムは一つの階層秩序であって、その中には、苛酷な支配を受けている国々、攻撃的な国々、支配的な一つの国そしてヨーロッパ大陸の恥そのものである一つの国、すなわちわれわれの国、フランスが含まれている。

―――トルコの問題に言及しないのですね。

 トルコのことを話さなかったのは、それがここでのテーマではないからだ。EU諸国民はトルコの加入を望んでいない。しかしそれよりもはるかに重要なこと、それは、トルコ入がもはやEUを欲していないということだ。今後誰がいったい、諸国民を閉じ込めるこんな監獄に入りたがるものか。
しかしながら、巷の自称識者達は、今回の英国の選択をバカな決定だとか、民主主義の弊害であるポピュリズムであると分析する。

エマニュエル・ドットの分析を理解していれば、離脱を選択した英国民の多くも馬鹿ではないと私は思う。あえて、目先の苦難を手遅れになる前に敢えて選んだ勇気ある国民だと思う。間違いなく5年10年は多くの苦難を経験するだろう。スコットランドも独立するかもしれない。シテーの金融機関が中国資本に買収されるかもしれない。
えい!くれてやれ!


英国は世界で最初に産業革命に成功し、モノづくりで世界をリードした国である。
日本が日露戦争を戦ったときの戦艦三笠は、英国から輸入したものであった。
その英国の製造業は既に第二次大戦前、ドイツや米国にとって代わられ、英国最大の産業は金融業である。だが、金融業も、リーマンショックで打撃を受け、昨今のパナマ文書問題でも矢面に立たさ遅かれ早かれ廃れる可能性もあったのだ。

英国のEU離脱で英国は欧州の金融センターの地位を捨て、AIIBにでも資金融資しようものなら、即死するかもしれない。それにしてもキャメロンの頭の悪さ運の悪さはどうしようもない、AIIBに英国が加入して中国に接近し、国家産業である金融業をサポートしようと考えての稚拙な判断だと思うが、中国はバブル崩壊の最中であり、輸出産業が振るわない英国にとって、AIIBは何の役にも立たない。むしろ加担すると英国の命取りとなりかねない。更に、深い思慮もなくアフリカに投資したり、中国が企業買収を繰り返しているが、香港上海銀行(HSBC)が本拠をシティではなく香港に移し、シティの金融機関を中国に底値で買いたたかれたら、日米にとって将来に向かって良くないことになりかねない。

キャメロンは英国の欧州離脱を阻止する為の国民投票だと言うが、一方で、中国とも手を結ぼうとしていた。この矛盾した思考が、愚首相として歴史に刻まれることになりかねない。

英国の金融業崩壊にはそう簡単にはならないと思う。リーマンショックやギリシャ危機などで、スイスや独仏の大手金融機関の損失は、ロンドンのシティーより大きい為、そう一朝一夕でロンドンのシティーの機能をパリやフランクフルトで代替えすることはないであろう。

更に、英国には観光産業が残っている。”シェイクスピア~シャーロック・ホームズ~ビートルズ、大英博物館~Mrビーン・007、ウインブルドンテニス大会、ロイヤル・アスコット競馬、ヘンリーロイヤルレガッタ全英オープンゴルフ ” etc、世界の人たちを呼び寄せてやまないソフトパワーを有している。 

「ウィンブルドン現象」という言葉がある通り、英国は他所から人が来てくれて初めて ビジネスが成立する、といったところがある。もはやテニスの世界大会では、英国人選手 を上位ではあまり見かけないけれども、世界中からトップスター選手がやってきて、世界 最高峰の戦いを見せてくれる。お蔭で全世界が関心を持ってくれるし、英国経済も潤うと いうわけだ。悪く言えば、「場所貸し」でしぶとく稼いでいる老大国の知恵、といったと ころがある。 金融立国もある意味英国の老獪な一政策でもあった。

英国がEUを捨てたからと言って、英国は孤立することは無い。英国=英語圏=旧イギリス連邦諸国+アメリカ合衆国の構成国なのである。日本も東アジア諸国と連携したくないので、大陸と距離を置きたい国同志でひょっとしたら国家戦略上海洋国同士である、日英が同盟を結ぶ第四次日英同盟を更新させる、いや日米英同盟設立の絶好の好機かもしれません。(半分本気です)

更に、考えを一歩進めるとと、EUから離脱し、日英+NAFTA+豪NZ=TPP+英国の組み合わせで生きていくことが可能ではないか?

おバカなキャメロン英国首相がAIIDに加わってしまったが、AIIB側ではなく、EUから離脱して不都合であるならばTPPに加入すればいいではないか!

そう考えてEUと交渉すれば大きな譲歩を得るだろう。フランスにしてもドイツにしても英国を欠くEUは空中分解を起こしかねない。キャスティングボードはあくまでも英国が握っているのだ。

おそらく、英国のEU分離ではリーマン級のショックは起きない(起きてほしくない?)と私は思う・・・まず、国民投票の結果を受け、独仏と英国は妥協点を求める協議を早くもはじめ、日米など各国がリーマン級のショックが起きないよう動き出した。

だが、中国が今後崩壊する過程においては何が起きるか・・・・考えるだけでも恐ろしい。




執筆中












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【ベルリン=宮下日出男】欧州連合(EU)による金融支援をめぐり、ギリシャのチプラス政権は28日、国民投票を強行する構えを示した。支援協議で窮地に立つ政権は「民意」を盾に打開を図る狙いだが、ユーロ圏離脱に至りかねない“危険な賭け”に国民の間で不安が高まっている。
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「ユーロ圏にとどまれるのか、国家の運命がかかっている」。27日午後に始まった国会審議で、最大野党、新民主主義党の党首、サマラス前首相は国民投票がはらむ危険性を訴え、反対を表明した。

チプラス首相はこれに対し、「ユーロ圏離脱を問うものではない」と反論。あくまでEUが求める財政再建策への賛否が焦点で、国民投票は各地で緊縮策への反発が残る欧州全体のためでもあると主張した。

チプラス政権は今年1月に財政緊縮策への反対を掲げ、「欧州を変える」と訴えて誕生した。だが、EU側との支援をめぐる協議で譲歩を迫られ続け、支持者や連立与党内からの反発に直面。財政も危機的状況に陥り、国民投票の決断は窮余の策だった。

今月中旬の世論調査結果によると、厳しい緊縮策を強いられてもユーロ圏残留を望むとの回答は約56%で、与党、急進左派連合の支持者でも4割超。チプラス氏は国民に対し、投票で財政再建策に反対の意志を示すよう呼びかけるが、賛成多数でも「民意」を根拠に、方針転換を図れると踏んでいるようだ。

ただ、突然の事態に国民には不安が広がっている。国民投票の実施が表明された27日未明以降、国民は各地で預金を引き出そうと現金自動預払機(ATM)の前に列をつくった。ロイター通信は、27日には国内約3分の2のATMで現金が一時枯渇したとも伝える。

「政府とEUがわれわれを瀬戸際に立たせた」。ある女性有権者(65)は難しい心境をメディアに吐露する。主要紙カティメリニは国民投票の決断は「場当たり」と指摘。投票まで1週間で国民は十分に議論できないとし、「首相は歴史的責任から逃げ、国民に失敗の負担を負わせた」と批判した。
 ギリシャのチプラス首相は28日夜、テレビ演説で、銀行に資本規制を導入することになったと発表した。預金流出を食い止めるため、29日から7月6日まで国内の銀行の営業を間停止する見通しとなった。国民生活への打撃は大きく、経済混迷はさらに深まりそうだ。
チプラス首相は、EU側に支援期限の延長を要求したが拒否され、欧州中央銀行(ECB)の追加支援見送りにつながったと主張。「ギリシャに対する脅迫だ」とEU側を批判した。

Fides, ut anima, unde abiit, eo numquam rediit.
信頼は、魂と同様に、立ち去った場所に二度と戻らない
プブリリウス・シュルス(古代ローマ喜劇作家) の言葉
義理を捨てると書いて義理捨、ギリシャと読む。ギリシャはもはや信頼を失った。EU の経済的発展の恩恵で、国中が公務員のような働かないで生活ができていたにも関わらず、まるで金を貸した方が悪いと言う言い方に世界中が呆れかえった。ギリシャが破綻し、ユーロから離脱するぞと脅しても「どーぞ、どーぞ」という状態だ。

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ギリシャを ここで援助しても、今までと同じく財政を改善する努力をするようにみえない。結局ただの延命でしかならない。

義理捨:「銭がねーだ、銭貸してくれぇ!」 
大家:「あんたに貸す金はない、家賃払いな!月末が期限だ!」 
義理捨:「家賃?延長延長延長!どうせ俺が出ても誰も入らないだろう!」 
大家:「家賃払わないと出てってくれ!」 
義理捨:「わかった!少しづつ返すからここに文書を作った!ハンコくれ!」 
大家:「これあんたに有利な事ばかりじゃないか」 「昼間っからゴロゴロして仕事してないじゃないか!」
義理捨:「は?調子のってんじゃねぇ俺が出てったら誰もこの安アパート借りる奴なんかいねーよ、俺がでたら、2号室の巣辺院、3号室 歩留戸我流、4号室 板里也も引き払ちまうからな、バーカ!」 
大家:「さっ!月末だ、出てってもらう!」 
義理捨「おいおい、マジかよ!」  

Neil Unmack

[ロンドン 28日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 欧州中央銀行(ECB)はこれ以上、ギリシャのチプラス首相に攻撃材料を与えるべきではない。ギリシャは28日、銀行閉鎖と預金引き出し制限という極めて重大な措置に踏み出した。一方、ECBは同日、ギリシャの銀行に対する追加的な資金繰り支援を見送ることを決めている。

これは賢明な措置だが、政治的には7月5日の国民投票でチプラス首相が反ユーロ投票を呼び掛けるのを助けることにもなってしまう。

資本規制は必要な措置だ。ギリシャがユーロ圏離脱に近づいている状況下で、ECBが緊急流動性支援(ELA)と呼ばれる890億ユーロの資金枠を引き上げるのは現実的とは思えない。しかし、銀行を営業停止にせず、未だに中身が不明確ながらも引き出し制限などの措置も実施しなければ、銀行は破綻するだろう。それでもなお、現在の動きは残念だ。チプラス首相は既にこの動きについて、ギリシャ国民の「意思を抑え込もうとするものだ」と呼んでいる。ギリシャ国民が自国の政治指導者ではなく、ECBを非難するようになれば、7月5日の国民投票で公的支援の受け入れを拒否する結果が示される可能性が高まるかもしれない。そうなれば、単一通貨圏の脱退へとギリシャを導く口実をチプラス氏に与えることになる。もしそれが彼の動機であればの話だが。

その前にもう1つ重要なイベントがある。ギリシャは期限の30日に国際通貨基金(IMF)に返済しない見通しとなった。その翌日には北部欧州諸国やECBのタカ派の間から、ギリシャの銀行が差し出した政府保証付き担保は無価値になり、ECBは破たんした民間銀行を通じて支払い能力を失った政府を支えているとして、ギリシャの銀行との関係を完全に遮断するよう求める声が強まるだろう。ギリシャの銀行は崩壊する可能性が高く、ギリシャ国民にはさらに大きな困難が待ち受けている。その規模の大きさゆえに彼らはユーロ圏残留への賛成投票をさらに思いとどまるだろう。

現実問題としてユーロ圏にはある程度融通を利かせる余地がある。ギリシャが仮にIMFに期限通り返済ができなくても、それが直ちに銀行が保有するギリシャ国債や差し入れた担保のデフォルトの引き金を引くことにはならない。これはIMF、そしてユーロ圏がいつギリシャのデフォルトを宣言するか次第だ。仮にギリシャが期限通りに債務を返済しなくても、二度と返済しないと確信をもって主張するのは困難だ。現在の世論調査では、ギリシャ国民の過半数が依然として公的資金を受け入れるべきだと答えている。ECBは代わりにギリシャ債務の担保価値の割引率(ヘアカット)の拡大を選択することもできるだろう。

それでも、担保価値の減少によって銀行が痛手を負う可能性がある。しかし、欧州がギリシャを完全に遮断する事態を回避できれば、国民投票の結論がずっと道理にかなったものになる可能性は大きい。

<背景となるニュース>

◎チプラス首相は28日、ギリシャが29日から銀行の閉鎖と現金引き出し制限を実施すると発表した。首相が26日、公的支援策の受け入れの是非を問う国民投票を行う意向を表明したことに対し、ECBが緊急支援の増額を見送ることを決めたのを受けた措置。ユーロ圏の財務相も現在の救済プログラムの延長を拒否した。

◎国民投票実施とEUの追加支援見送りの決定を受けて、ECBは声明を出し、理事会が金融システムの安定を維持するためにギリシャ銀行(中央銀行)と緊密に連携することを宣言した。「現在の状況を考慮し、政策理事会は、ギリシャの銀行に対する緊急流動性支援(ELA)」の上限を、26日に決定した水準で維持することを決めたとしている。

◎ギリシャは30日に期限を迎える160億ドルの債務の条件について、ユーロ圏債権者およびIMFと合意する必要がある。ギリシャの銀行は、預金流出に対応するためにELAを通じて890億ユーロの資金供給を受けた。

◎国民投票は7月5に実施される。

◎ギリシャの金融安定評議会は28日、29日に銀行ATMの稼働を停止し、再開後の30日からの現金引き出し額を1日当たり60ユーロに制限することを提言した。関係筋がロイターに明らかにした。

◎国内銀行のキャッシュカード保有者が対象で、外国銀行のカードについては各行が設定する上限まで貸し出しが可能としている。

◎評議会はまた7月6日夜まで6営業日の銀行休業(バンクホリデー)も提言した。ATMは29日は稼働せず、30日に再開すると関係者は述べた。

Qui non est hodie cras minus aptus erit.
今日覚悟の出来ていない者は、明日になればさらに覚悟が出来ていない

オウィディウス(古代ギリシャの詩人)の言葉


ギリシャが主張するように、EU が求める財政規律は厳しすぎる。緊縮財政では景気が良くなるはずもなく正しい政策ではない。
もし、EU が一つの国であるならば、ギリシャは日本の沖縄のように、働かずとも暮らして行ける。

だが、EU は国ではなく、地域連合であるからギリシャは日本の沖縄とは違い、国としてEU から離脱するのも自由である。

しかし、府抜けたギリシャ人は国を建て直そうという気概がなく、その決意もない。

ギリシャとは犬猿の仲のトルコは違う。
今新興国の中では一番有望な国となっている。ギリシャに国を建て直そうという気概がない限りEU から離脱すべきではないし、何十年経ってもギリシャは貧乏のままだと思う。

コラム:ギリシャ離脱か、デフォルト後のシナリオ=田中理氏
【ロイター】2015年 06月 29日 13:42 JST

田中理 第一生命経済研究所 主席エコノミスト

[東京 29日] - ギリシャ議会が財政緊縮策の是非を問う国民投票の7月5日実施を決めたことで、6月30日の国際通貨基金(IMF)向けの融資返済を履行できないことがほぼ確実となった。

まとまった財源を自力で確保する方法としては、地方政府の剰余金を中銀経由で政府に貸し付ける措置や、国内向けの支払いを遅延したり、政府の借用証書(IoU)で支払うことが考えられる。

だが、これまで協力を拒んできた地方政府がこの期に及んでデフォルト間近の国家に将来の行政サービスの原資となる剰余金を拠出するとは思えない。また、国民投票で債権者側提案の受け入れ拒否を訴えるギリシャ政府が、国民からの反発を招く、対外債務の支払いを優先するとは考え難い。

では、IMFへの返済ができなかった場合、何が起きるのだろうか。

<ECBの支援継続はいつまでか>

ラガルド専務理事をはじめとしたIMFの高官は、月末の支払いをギリシャが履行しない場合、猶予期間を設けたり、返済を延期することはなく、7月1日の段階でデフォルト(IMFの用語では「支払い遅延」)に相当すると発言している。国民投票を控えていることもあり、支払い遅延の正式認定がどのタイミングで行われるかは不透明だ。IMFの資本金が毀損すれば、IMF加盟国が穴埋めすることになるが、十分な資本バッファーを有しており、ただちに加盟国の財政負担が発生するわけではない。

ギリシャ二次支援の実行主体である欧州金融安定ファシリティー(EFSF)の融資約款によれば、IMFが正式に支払い遅延にあると認定した場合には、事実上のデフォルト事由に相当し、EFSFの保有する債権を、返済期限を待たずに前倒しで請求することが可能となる。ギリシャに現時点で返済能力がないことは明らかで、前倒し請求をすればEFSFの損失が確定し、ユーロ圏各国政府が損失分を保証する必要が出てくる(EFSFは融資原資を加盟国政府の保証付き債券の発行で賄っている)。

EFSFの信用力低下と財政リスクの顕在化につながる恐れがあり、ギリシャ危機の他国への伝染を防止する観点からも、現時点でEFSFが前倒し返済を求めることはないだろう。

ギリシャ国債のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS:デフォルトリスクを保証する金融派生商品)は、2012年の債務交換後に派生した債権を保証の対象としており、月末に返済期限を迎えるIMFの融資は保証対象外で(これは2010年5月に始まった一次支援時の複数の融資の一括返済分のため)、信用事由(クレジット・イベント)には該当しない。

大手格付け会社は、ギリシャがIMF向けの返済を期日通りに履行できないからといって、民間債権者の回収可能性に影響を与えるものではなく、ただちに格付け上のデフォルトには相当しないとの基本見解を以前に表明している。だが、月末に支援プログラムが失効し、銀行からの預金流出が加速するなかで、政府の財政上のバッファーや銀行救済に必要な資金手当ての目途が立たないことを考えれば、格付け会社が何らかの格下げに動くことが考えられる。

ギリシャが事実上のデフォルト状態となることで、欧州中央銀行(ECB)がギリシャの銀行に対して供給している緊急流動性支援(ELA)を打ち切るかどうかの判断を迫られる。ELAは健全な銀行に対する一時的な流動性供給の枠組みで、事実上デフォルトした国の発行する国債を大量に保有するギリシャの銀行を健全とみなすことができるかに疑問が生じてくる。

また、ELAを打ち切らないまでも、ギリシャ国債の担保価値をより厳格に評価する可能性が出てくる。その場合、担保の掛け目変更でギリシャの銀行がELAを通じて確保できる流動性資金は目減りする。ECBは今のところELAの利用可能額の上限を維持している。だが、月末にIMFへの返済不履行が確定、支援プログラムが失効し、銀行救済の予備資金が失われた段階で、これまで同様にギリシャの銀行向けの流動性支援を継続することは一段と難しくなる。

ECBにとってのハード・デッドラインは、ギリシャがECBや民間が保有する国債の元利払いを履行しなかった場合と考えられる。2012年の債務交換後のギリシャ国債にはパリパス規定(他の債権と同順位)が設定されており、国債の元利払いを履行しなかった場合にクロス・デフォルト(ある債務がデフォルト事由に抵触すると、他の債務もデフォルトとみなされる)条項が発動する。債務交換後の国債はギリシャの国内銀行が大量に保有しており、ELAの差出担保としての国債の価値を再評価する必要や、国債の評価損で銀行が負債超過に陥る恐れがある。

7月中に支払い期日を迎える国債の元利払い(政府短期証券を除く)は、7月3日の円建て国債の利払い、5日のECB保有国債の利払い、14日の円建て国債の元利払い、17日の2014年発行国債とホールドアウト国債の利払い、19日のECB保有国債の利払い、20日のECB保有国債の元利払い、25日のECB保有国債とホールドアウト国債の利払い。このうち金額が大きいのは20日のECB保有国債の元利払い(36億ユーロ)で、それまでに協議再開への道筋がついていなければ、ELAの掛け目変更や打ち切りの可能性が高い。

交渉決裂によるデフォルトが一段と現実味を増すなか、ギリシャでは銀行の預金流出が加速している。週末には銀行のATMの前に預金を引き出そうとする人が数十人規模で列をなし、紙幣不足で預金が引き出せないATMが続出したとされる。現地の報道によれば、土曜日も窓口業務を行っている一部の銀行店舗に預金者が殺到したが営業を休止した。

こうしたなか、ECBは28日、ELAの利用上限を据え置いた。このまま29日に銀行が営業を再開すれば、預金の引き出しに銀行が応じることができず、銀行が破綻することはほぼ確実な情勢だ。政府は28日、29日から7月6日までの銀行休業と資本規制の導入を発表した。

2013年の銀行危機時に資本規制を導入したキプロスでは、預金引き出しや海外送金の制限と報告義務が課せられた。資本規制が長期化すれば(キプロスの例では導入から解除まで約2年)、幅広い経済活動に影響が出てくる。

<ギリシャのユーロ圏「居座り」は可能か>

返済不履行や銀行の営業停止などによる混乱は、ギリシャの国内世論にショック療法として働く可能性がある。

国民投票の実施表明前に行われた最新の世論調査を見ると(国民投票の実施表明後の世論調査はまだ公表されていない)、アルコ/プロトテーマ紙の調査では、57%が債権者との合意に賛成、29%が反対、14%が態度未定であり、カパ/トビマ紙の調査では、47.2%が合意に賛成、33.0%が反対、18.4%が態度未定だ。交渉期限が迫るなかでギリシャ国民も合意支持に傾きつつあった様子がうかがえる。

ただ、国民投票の設問が「債権者側の求める財政再建策を受け入れるかどうか」の二者択一で、ギリシャ国民の多くが希望するユーロ圏残留の是非を絡めたものではない。また、与党が受け入れ拒否を呼び掛けており、投票の結果は予断を許さない。

受け入れ拒否派が多数を占めた場合、ギリシャ政府は民意を盾に改めて財政再建策の再考を求めるとみられるが、債権者側がこれに応じる可能性は低い。追加支援に関する協議は完全に決裂し、ECBはELAを打ち切る可能性がある。

ギリシャの国庫に銀行救済の原資はなく、銀行の劣後債保有者や高額預金者(預金保護の対象外)に負担を求めるだけでは十分な救済資金が確保できない場合、ギリシャ政府は結局のところ欧州連合(EU)諸国の支援を仰がなければならなくなる。あるいは、独自通貨の発行などで銀行救済資金を賄うならば、ユーロ離脱への道を歩み始めることを意味する。

債権者側はギリシャのデフォルトや国民投票の結果が受け入れ拒否となっても、まずはギリシャのユーロ残留を前提に努力する方針を表明している。ただ、財政再建策の再考を求めるギリシャ側の強硬姿勢が続けば、債権者側もギリシャのユーロ離脱に傾いてこよう。そもそも、EU条約にはEUからの離脱規定はあるが、ユーロ圏からの離脱規定は存在しない。EU離脱規定を援用するのであれば、一方的な離脱や離脱の強制はできない。

つまり、ギリシャ国民がユーロ残留を希望する限り、デフォルト後もそのまま居座ることも可能だ。ただ、この辺りは離脱規定が存在しないこともあり、推測の域を脱せず、実際に起こってみなければ、本当に居座ることが可能か、離脱の場合、どういう手順で離脱を進めるのかは不透明だ。

受け入れ賛成派が多数を占めた場合、ギリシャ政府は財政再建策の受け入れに傾くが、与党内の強硬派がこれに反発し、政権が崩壊する可能性が高い。この時、支援継続派が挙国一致内閣を組織できれば協議はそのまま継続するが、それができなければ議会の解散・総選挙が必要になる。この場合、支援継続派の新政権が誕生する可能性が高いが、新政権が発足するまでの1カ月半から2カ月程度は協議が中断し、ギリシャの経済疲弊と財政悪化が一段と進むことになる。

挙国一致内閣や新政権の下で支援協議が再開したとしても、すでに支援プログラムが失効しており、今のプログラムを土台に新たな支援プログラムを作成する必要がある。一連の騒動でギリシャに対する不信感が高まっており、債権者側はより厳しい改革要求を突き付けたり、より確固な事前行動を求める可能性がある。そのことが新たな対立の火種となる恐れも否定できない。

債権者からの厳しい改革要求と政権内の強硬派や支持層からの突き上げの板ばさみにあったギリシャの新政権は、緊縮見直し要求を貫き通すことが難しいことを認識していながらも、交渉期限のギリギリまで粘ることで債権者側から最大限の譲歩を勝ち取ることを目指してきた。だが、債権者側はギリシャに甘い顔をすることで、他のEU諸国に広がる反緊縮機運や反体制派政党の勢いが増すことを警戒。他国への波及リスクがかつてに比べて限定的であることや、EUに対する信任を守る大義もあり、ギリシャに厳しい態度を貫き通した。

22日のギリシャからの新提案もギリシャ政府にとっては最大限の譲歩だったのに対し、債権者側にしてみればようやく議論の出発点であり、双方の溝は余りに大きかった。債権者側の譲歩を引き出そうとするギリシャ側の権謀術数も、債権者の不信感と苛立ちをさらに深めるばかりで、政権内部の強硬派の不満のガス抜きや政権に対する国民の支持を保つ以外に目立った成果を上げることにはつながらなかった。

破天荒で理想主義者の素人政治集団はエスタブリッシュメントが支配するEU政治の中で孤立。交渉に重要な対話のルートも閉ざされ、最後は双方をつなぐパイプ役からも見放された。ギリシャはいよいよユーロ離脱に突き進むのか、ギリシャとユーロの未来を決する国民投票の期日が迫る。

「ギリシャ支援交渉、決裂までの経緯」

週末にかけてギリシャ情勢が急展開した。6月30日にEUの二次支援プログラムの失効期限とIMF向けに約15億ユーロの融資返済期限を控え、ギリシャ政府と債権者団はこれまで融資再開に向けたギリギリの交渉を続けてきた。22日の緊急財務相・首脳会合の直前にギリシャ政府が提出した新提案に対して、EU高官などからポジティブな評価が聞かれたこともあり、先週前半までは土壇場で双方が歩み寄りに向かっているとの期待感が高まっていた。

だが、その後も交渉は難航した。22日の提案も当初誤ったものが債権者団に送られ、会合直前になって正しい提案に差し替えられたと報じられ、債権者側は新提案の中身を十分に精査できなかった。特にギリシャの財政再建計画が法人税率の引き上げや年金の雇用主負担の増加など企業負担の増加につながる政策メニューに偏っており、年金給付の削減などに十分に踏み込んでいない点が問題視された。

ギリシャ国内でも、債権者に提出した財政再建策に、島に対する付加価値税(VAT)の軽減税率の適用廃止が盛り込まれたことに対し、連立パートナーの「独立ギリシャ人(ANEL)」が猛反発。その後に提出した修正提案では、適用廃止案を撤回し、代替措置を盛り込んだが、債権者側の理解を得ることはできなかった。

当初ギリシャの新提案を前向きに評価していたEU諸国も、ギリシャ債務の持続可能性に疑問を持つIMFの主張に賛同し、年金給付の削減やVATの引き上げなどを求めることで一致した。再三の厳しいやり取りの応酬でギリシャ支援に懐疑的な見方が広がっていたドイツ議会では、IMFなしのギリシャ支援は受け入れられないとの意見が多数派を占め、ドイツ政府もIMFに歩調を合わせた。

ドイツのメルケル首相とフランスのオランド大統領は26日のチプラス首相との会談で、債権者側の財政再建計画を受け入れることを条件に、支援プログラムの11月末まで5カ月間の延長と155億ユーロの追加融資の分割実行を約束する事実上の最後通告を突きつけた。緊縮見直しを公約に掲げて1月の総選挙で誕生したチプラス政権としては、これ以上の債権者への譲歩は国民が選挙を通じて政権に付託した権限を逸脱すると判断。独仏首脳会議を終えて帰国したチプラス首相は27日、与党内で対応を協議した後に国民向けのテレビ演説で、債権者側が求める財政再建策を受け入れるかどうかをめぐって、7月5日に国民投票を実施することを表明した。

ギリシャ政府は国民投票の結果が判明するまでの間、月末に失効予定の支援プログラムを延長することを債権者側に求めた。27日に開かれた緊急のユーロ圏財務相会合(ユーログループ)では、ギリシャ側の提案を拒否し、支援プログラム(中断中の最終融資を受け取る権利や銀行救済に充てる予備資金を利用する権利など)とそれに関連した取り決め(ECB保有国債の超過収益のギリシャへの還元など)が予定通り6月30日に失効することを明らかにした。会合後に発表された声明では「最後の瞬間までギリシャ国民に対する追加支援の門戸は開いている」とし、ギリシャ側の国民投票の実施方針撤回と債権者側の改革提案受け入れに望みをつないだ。

だが、同日ギリシャ議会で行われた国民投票の実施の是非をめぐる採決では、連立与党の「急進左派連合(SYRIZA)」と「独立ギリシャ人」に加えて、反ユーロを掲げる極右政党「黄金の夜明け」が投票実施に賛成票を投じた結果、残りの野党勢が揃って反対票を投じたものの、賛成多数で国民投票の実施が決まった。今後、支援継続派の前与党「新民主主義党(ND)」出身のパブロプロス大統領の仲裁やギリシャの国内世論の反発が強まれば、土壇場での投票撤回の可能性もわずかに残るが、今のところ投票実施の可能性が高い。





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