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タグ:中東情勢



イラン・サウジ断交、米国の中東政策に新たな試練
【WSJ】By JAY SOLOMON 2016 年 1 月 4 日 14:00 JST

【ワシントン】サウジアラビアが3日にイランとの断交を発表したことは、オバマ米政権にとって、すでに期待薄となっている中東危機緩和への取り組みが予想外の複雑さを増す結果となっている。

米政府当局者らは、イランとサウジの対立により、シリア内戦の終結を中心とする中東地域での広範な取り組みが損なわれかねないとの懸念が高まっていると指摘する。

ケリー米国務長官は、イランとサウジ両政府に対し、シリア内戦に対処する直接的な外交チャンネルを確立するよう数カ月にわたって圧力をかけていた。

両国は2015年後半に渋々ながら、シリア情勢をめぐる多国間の和平プロセス参加で合意した。これを受けて、国連安保理が和平を目指す決議を全会一致で採択。国連はシリアのアサド政権と反体制派の代表による和平交渉を今月後半を目標に開催すると明らかにした。しかし、イランとサウジの関係悪化で、シリアの和平交渉をめぐる計画の実現が疑問視される結果となっている。

また、オバマ政権下での米国とサウジの関係悪化も露呈している。サウジの当局者らは、イランがアラブ諸国の動揺を狙う地域的な取り組みを展開していると主張し、これを阻止するために一段と積極的な政策を打ち出すよう米政権に繰り返し圧力をかけてきた。

サウジの当局者らは、昨年7月のイランと欧米など6カ国による核合意について、イランは核開発能力が数年間だけ縮小される一方で、著しい財政強化につながると警告している。

この核合意のもと、イランは向こう数カ月のうちに、凍結されていた最大1000億ドル(約12兆円)規模の石油収入を受け取る公算で、こうした資金はイラクやレバノン、シリア、イエメンで代理勢力の支援に使用される可能性がある。

一方、サウジは昨年、サルマン国王が就任して以来、一段と積極的な外交政策を取っている。息子のムハンマド・ビン・サルマン王子(30)を国防相に起用し、以前にも増してイランとの対抗姿勢を強めている。それは、イランの支援を受けたイエメンの民兵組織に対する空爆や、地域の脅威に対して配備する目的の汎アラブ軍設置などでも顕著だ。

サウジの当局者らは先週末、同国がシーア派指導者のニムル師の死刑を執行したこと、ならびに、イラン政府との外交関係断絶をめぐるオバマ政権の懸念を重視しない姿勢を示した。

ここ数日間にサウジ政府の考え方について説明を受けたある人物は、「もうたくさんという印象だ。イラン政府は引き続きテロ集団への資金援助や弾道ミサイルの発射を行っており、それについて誰も何も行っていない」と述べた。

アラブ諸国政府だけでなく、米国の民主党議員も、弾道ミサイル実験の実施に対するイランへの新たな制裁計画をオバマ政権が撤回した際には懸念を強めた。

米政権は昨年12月30日、イランなどの個人や企業に新たな制裁を検討していると議会に伝えたものの、すぐにその決定を覆し、追加制裁の時期については不透明なままだ。

先週末、サウジが正式にイランとの外交関係を断絶すると発表し、両国の対立が一段と深まるなか、数世紀にも及ぶ宗教対立に基づく争いに米政府がどの程度影響力を行使できるかをめぐって、米当局者らは懐疑的な見方を表明している。

アラブ諸国の当局者や複数の中東専門家は、サウジとイランの関係悪化が一段と深刻になれば、米国の外交的立場は一段と難しくなると指摘する。

米国はサウジにとって最も重要な武器供給国かつ軍事同盟国であり、対立が激化する場合にはサウジを支援することが期待される。

ただ、オバマ大統領はイランと核合意に達しており、両国関係を改善させてきた。イランとの外交関係改善はオバマ大統領の最も重要な外交政策の一つだ。

アラブ諸国の外交筋は、ここ数日のうちに、イランと距離を置くべきだという米国への圧力が高まると指摘。バーレーンなどサウジにとってアラブ諸国中で最も密接な同盟国は、サウジ政府の外交政策に従い、イランとの関係を断絶もしくは格下げする見通しだ。

スンニ派の盟主を自任するサウジアラビアと、シーア派の大国のイランの対立は、第三次世界大戦に発展する危険性さえある。

サウジ大使館襲撃の背景には、イランの国家意思があるだろう。大使館が焼き討ちされたのに、人的被害がないこと自体が不思議だ。襲撃が暴徒によるものではなく、指揮命令系統の存在が疑われる。ウィーン条約で大使館の安全を確保する義務を負っているのに、イラン側には襲撃を本気で防ごうという意思はみられなかった。

サウジは国内のイラン外交官に48時間以内の国外退去を要求したが、48時間では秘密文書を処分することはできない。関係先を捜索し、イランがサウジの政権転覆に関与した証拠を探す狙いがあるのだろう。

イラン側は法学者のニムル師の処刑に激しく抗議したが、シーア派が約半数を占めるサウジの東部で、ニムル師が暴力的な反体制活動の中心にいたことは間違いない。両国の対立は、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)の台頭が引き金になった。ISは欧米への攻撃が目立つが、シーア派撲滅という宗派闘争の側面が強い。IS打倒で勢力を伸ばすイランに対し、サウジはアラビア半島がイランの影響下に入ってしまうことだけは避けたく、イランよりISの方がましだと考えるようになった。

米国は今回の事態に何もできないだろう。イラン人がサウジに巡礼に来た際の衝突などは容易に想像でき、非常に危険な状態になったといえる。(談)

サウジのシーア派指導者処刑で深まる中東危機
【Yahooニュース】2016年1月4日 17時29分配信川上泰徳  中東在住 ジャーナリスト

「アラブの春」に呼応するデモ

サウジアラビアで2日にテロに関与したとしてシーア派の宗教指導者のニムル・ニムル師が処刑されたことが、サウジ国内の少数派のシーア派の反発を生み、さらにシーア派が政治を主導するイランやイラクから抗議が噴き出した。テヘランではサウジ大使館にニムル師処刑に抗議する数百人のデモ隊が押し入り、火炎ビンを投げて、火をつけるなどの騒ぎになった。サウジ政府はイランとの外交関係の断交を発表した。スンニ派とシーア派の対立の激化は、シリア内戦を終結させる和平協議やイラク情勢にも影響し、中東をさらに不安定にしかねない。

発端となったのは、サウジ内務省がテロリストとして処刑した47人の名前を公表した中に、数人のシーア派の民主化活動家が含まれ、その一人がニムル師だった。ニムル師はサウジ東部のシーア派の中心都市カティーフのアワミヤ地区のモスクのイマーム(宗教指導者)。2011年春にチュニジア革命やエジプト革命を発端としてアラブ世界に広がった民主化運動、いわゆる「アラブの春」で、カティーフでデモを呼びかけたという。ニムル師は2012年にサウジ当局に拘束され、14年に死刑判決を受けた。

●「暴力ではなく表現の自由を行使」


国際的人権組織アムネスティー・インターナショナルの報告によると、ニムル師の死刑は「支配者への不服従」「宗派抗争の扇動」「デモへの参加を主導」などが理由となっているという。「ニムル師の発言を検討した結果、師は表現の自由を行使したものであって、暴力を煽ったものではない」と結論づけ、釈放を求めた。さらにニムル師に死刑判決を出した裁判について「深刻な問題があり、証拠は師に不利益なものばかりで、法廷での目撃者の陳述はなく、さらに被告人としての法的に基本的な弁護の手段も否定された」などと裁判を否定している。

サウジアラビアでは死刑執行は通常は、金曜日の礼拝の後に斬首による公開で行われる。ニムル師の処刑の詳細は明らかになっていない、2日に発表されたことは1日の金曜日に執行された可能性が強い。2日の公表とともに、中東のシーア派世界では一斉に反発の声が上がった。

サウジ国内では2日、ニムル師の出身地でもあるカティーフではアワミヤからカティーフ中心部に向かってニムル師の肖像を掲げて、「サウジ体制打倒」の声を上げるデモ隊の映像がインターネットで掲示されている。スンニ派王政の下でシーア派が国民の多数を占めるバーレーンでもニムル師処刑に抗議する人々が抗議デモを行い、治安部隊との衝突が起こった。

●テヘランでは怒れる民衆がサウジ大使館を襲撃

ニムル師は若いころテヘランでシーア派教学を学んだ。同師の処刑について、イランの最高指導者ハメネイ師やロハニ大統領も「イスラムにも人間の道にも反する」と非難し、著名な宗教者か次々と非難の声明を挙げた。テヘランからの報道によると、宗教学生はテヘランのサウジアラビア大使館の前で抗議デモを行ったが、怒った民衆は大使館に突入し、火炎瓶を投げて、大使館に火をつけた。イランの治安部隊はデモ隊と衝突し、デモ隊の40人が逮捕されたという。テヘランでのサウジ大使館襲撃を受けて、サウジ政府は関係断絶を発表した。

シーア派勢力が政権を主導するイラクでも、ニムル師の処刑に対する非難が噴き出した。アバディ首相は「処刑は地域の治安に影響を与える」と警告した。バグダッドでは1990年にイラクがクウェートに侵攻して以来、閉鎖されていたサウジ大使館が1日に再開したばかりだが、シーア派政治組織の指導者からは「外交関係を断絶すべきだ」との声も上がっているという。

中東でのスンニ派とシーア派の宗派抗争は、2006年にイラクで広がり、サウジを含む湾岸地域にも緊張がたかまった過去がある。今回はサウジを震源として、宗派対立を抱えるバーレーンなどの湾岸、さらにはイラク、シリアに広がりかねない。サウジが国境と接するイエメンでシーア派武装組織「フーシ派」が首都サヌアを陥落させて、さらに勢力を拡大し、2015年3月にはサウジと湾岸諸国による空爆が始まるなど、状況は悪化している。サウジのカティーフのニムル師の家族や宗教指導者は、シーア派民衆に平静を呼びかけており、混乱が広がることは考えにくい。しかし、宗派抗争は民衆の間の疑心暗鬼によって起こり、広がることから、一触即発の状況は続くだろう。

●シリア和平協議に影響

今回のサウジとイランの関係悪化で直接影響を受けるのは、1月にも始まる予定のシリア内戦を終結させるための和平協議である。昨年11月にウィーンで開かれたシリア支援国外相会合で和平の枠組みが基本合意され、それが12月の安保理のシリア和平決議につながった。この会議の重要性は、イランがシリア和平関連の国際会議に初めて参加し、サウジとともに地域主要国としてシリア和平に参画する態勢ができたことだ。しかし、両国の外交関係断絶によって、シリア和平もまた混迷に陥らざるを得ない。

●なぜ。この時期にシーア派宗教者を処刑?

なぜ、いまサウジ政府は、このタイミングで反発が起こることが分かっているシーア派宗教者を処刑したのだろうか。背景にある最大の要因は、サウジでのISへの脅威である。

ISのテロは昨年5月に、カティーフや隣接するダンマンのシーア派モスクで起こった。6月にはサウジの若者がクウェートのシーア派のモスクで自爆テロを起こした。いずれもサウジ国内に拠点を持つISが犯行声明を出した。

ISがシーア派をテロの標的とするのは、シリア内戦でイランやレバノンのヒズボラがアサド政権の軍事支援に入り、サウジ国内や湾岸のスンニ派の間に「対シーア派聖戦」を訴える声が強まっているためだ。アラブ世界ではアサド政軍による反体制派の民衆の殺戮を非難する声が広がっており、ISの対シーア派テロは、そのような民衆感情を引きつけようとする狙いであろう。

一方のサウジ政府は2014年9月に米国主導の有志連合がISを空爆した時に、サウジも空爆支援国家として名前を連ねた。ISはシーア派だけでなく、シーア派との戦争に対抗できないサウジ王政も批判している。昨年5月のカティーフでのテロの犯行声明ではサウド王家について、「シーア派に対抗して国民を守ることができない」「イスラム法をないがしろにしている」と批判している。治安部隊の車両を襲撃するなどのテロも起き、8月にはイエメン国境に近いサウジ南部のアブハで治安部隊のモスクで自爆テロがあり、15人が死んだ。

●ISだけではない反シーア派感情の広がり


サウジでシーア派やイランへの反発を強めるのは、ISだけではない。シリアやイラクにいるスンニ派部族の多くが、サウジの部族と同根であり、シリア内戦でのスンニ派部族の悲劇や、イラクのシーア派主導政権の下でのスンニ派部族への抑圧に、サウジの部族の間にも怒りの感情があり、その背後でイランが動いていることへの反感が働いている。

このような背景を考えれば、サウジ政府は、ISとの戦いだけではなく、シーア派にも強い姿勢を示すために、アルカイダ系メンバーの処刑とともに、ニムル師を処刑したということだろう。もちろん、サウジ政府にとっては、ISこそが、真正の脅威である。今後、シリア、イラク情勢の悪化と並行して、サウジや湾岸でのISによるテロが激化する可能性は強く、サウジはその対応に追われることになるだろう。

この文脈で見る限り、サウジ政府によるニムル師処刑は、ISとの戦いを進めるうえでの国内対策ということである。ただし、サウジが対シーア派・対イラン強硬姿勢をとるという政治的なメッセージの表明でもあり、シリア和平などサウジとイランの協力が必要な分野での進展はほとんど望めないだけでなく、中東全体でスンニ派・シーア派の抗争を激化させるリスクを伴うものである。

 サウジアラビアは原油価格が下がり急激に外貨を減らしている。
国家として財政が悪化してサウジ王家が倒れかねない危険が迫っている。
シーア派とスンニ派はキリスト教のカトリックとプロテスタントのように血で血を洗う凄惨な殺し合いを核兵器でやりあうまで続いてしまうのか・・・・
神は神の名で殺しあう人間を許さず大きな罰を与えるのだろうか。
地政学的カオス 

今年の国際情勢を振り返ると、世界が「アメリカ後」の秩序形成に向けて一段と加速 した感がある。それは、一種の安定感を漂わせる多極化時代や米中によるG2時代など とは全く次元の異なる世界だ。 

シリア内戦を始めとした中東の混乱、欧州に押し寄せる難民、中国の南シナ海におけ る人工島造成の既成事実化、ロシアの傍若無人な言動……。世界を見渡せば、「地政学的カオス」というのが実情だ。 覇権国家の役割がバランス・オブ・パワー(勢力均衡)の調停であるなら、その役割 をアメリカに求めるのはもう無理なのかもしれない。

昨年(2014)出版されたヘンリー・キッシンジャー元米国務長官の『World Order』は、現状の国際関係を読み解くのに参考になる。

 キッシンジャー氏はその中で「(大西洋と太平洋により孤立した)地理的条件と膨大 な資源に恵まれたアメリカでは、外交とは選択的行動(optional activity)であるという認識が育まれた」と書いている。

「アメリカは世界の警察官ではない」と明言したオバマ大統領の外交に、まさに当てはまる記述ではないだろうか。 その象徴が、ブッシュ政権時代の遠大な「中東民主化」構想から一転して、中東への 軍事的コミットメントを最小限に抑えようとするオバマ政権の中東政策であり、その矛盾が一気に噴きだしたのがシリア情勢と言えるだろう。 

このアメリカの「変わり身」は、単なる気まぐれではなく、中東の戦略的価値の低下 を反映したものだ。国内でのシェール・オイルの急速な増産により、2020年にはサウジアラビアを抜いて世界最大の産油国になると予測されるアメリカにとって、外交・安保政策において「石油」を重視する必要が薄れている結果なのである。 

その例証が、今年7月のイラン核問題の解決に向けた進展だ。アメリカは、スンニ派のサウジなど親米中東産油国の反発を押し切る形で、イランと最終合意に達した。
年明けにも対イラン経済制裁の解除が予想されるが、石油増産な どでシーア派のイランが経済力を強化すれば、その影響力は強まり、中東秩序が一層不安定化することは間違いない。 ここに、親米路線一本道の日本が読み取るべき教訓が潜んでいる。 

日本はアメリカ頼みを続けて大丈夫か? 

近年の米国の外交政策を見ると、10年単位で大きく基軸が変化していることを見逃してはならない。 冷戦崩壊後の1990年代は、ソ連崩壊の後始末と中東欧の安定などのため、米外交の基軸は欧州に置かれていた。その後、2001年の米同時多発テロを受け、米国は対テ ロ戦争に乗り出し、基軸は中東へ移った。 

そして、2010年代になると、中国の台頭とアジア太平洋地域の経済的ポテンシャルに関心は移り、「PIVOT(回帰・旋回)」と称し、アジアへ基軸を移すのである。

 相対的に国力が低下したとは言え、アメリカが唯一の超大国であることに変わりはない。しかし、世界経済におけるシェアが2割強まで低下した現在のアメリカに、国際秩序のバランサーの役割を求めること自体、すでに無理な要求なのである。

アメリカ は優先地域と課題を決めてその影響力を行使する「選択的超大国」にならざるを得な いのである。 アメリカがどこまで日本、アジアに強くコミットし続けるのか。10年単位で基軸が変遷している冷戦後の外交パターンを見る限り、「米国のアジア回帰」が長続きすると 楽観視できる根拠は薄いように思える。 

ロシア、中国の「無法行為」 

冷戦終結から四半世紀が過ぎ、最近は「地政学」の復活が言われるが、これも、シリ ア内戦がその現実を浮き彫りにしている。 アメリカの中東へのコミットメントの低下が招いた「力の空白(バキューム)」につけ込むかのように、ロシアやイラン、過激派組織「イスラム国(IS)」などが入り乱れ、事態を混沌とさせているのがシリア内戦の実情だからだ。 その現状は、キッシンジャー氏が先の著書で世界の現状を「イデオロギー的、軍事的 対立の新たな時代(new age of ideological and military confrontation)」と 規定している通りである。 

今年は、ロシア、イラン、中国などの「リビジョニスト(現状変革)国家」がアメリ カの支配力を試すかのように、シリアだけでなく、ウクライナなど旧ソ連圏や南シナ海の人工島造成などで領土・影響圏の拡大を進める実力行使の傾向を強めた。

 その分水嶺となったのが、ロシアが2014年3月にウクライナ領のクリミヤ半島を併合したことである。 ここに至って、「力による国境の現状変更は行わない」「法の支配の尊重」という国際秩序を維持するための大原則が崩れてしまった。

中国が今年、南シナ海の人工島造 成を加速させたのは、この出来事の展開と無関係ではないだろう。 東西冷戦が終結した際、唯一の超大国となったアメリカは世界に安定をもたらすことを期待されたが、わずか25年にしてその機会は失われてしまった。 

そして、アメリカに挑戦するリビジョニスト国家・勢力の動機を考えるとき、アヘン戦争(1840年)以後の「屈辱の世紀」を忘れない中国、超大国・ソ連の復活を夢見るロシア、英仏が秘密協定で決めたオスマン帝国後の中東の分割支配に対するイスラ ム国の敵意など、「歴史の記憶」「過去の亡霊」がこれらの国家・勢力を突き動かし ているのではないかと思えてくるのだが、どうだろうか。 

パクス・アメリカーナはどこで狂ったか

それでは、「史上最強の帝国」とまで評されたアメリカによる平和(パクス・アメリ カーナ)の軌道はどこで狂ってしまったのだろうか。 

筆者には、2001年9月11日に起きた国際テロ組織「アルカイダ」による米同時多発 テロだと思える。 当時のジョージ・ブッシュ大統領は同時テロ前は「謙虚なアメリカ」を掲げていた。 それが、約3000人もの犠牲者を生んだ未曾有のテロの発生により、アルカイダとの関係を理由にアフガニスタンとイラクで戦争を始め、アメリカは今も両国での戦争から抜け出せないでいる。 

米軍は2016年末でアフガニスタンから撤退する予定だったが、オバマ大統領は今年10月、現地治安情勢の悪化から、米軍駐留延長の決定に追い込まれている。

アフガスタンは、歴史的に「帝国の墓場」といわれるが、アメリカもそのリストに追加される のだろうか。 筆者は自著『ふしぎなイギリス』(講談社現代新書)で、21世紀初頭の世界情勢につ いて以下のように書いた。 

〈 国際テロ組織『アルカイダ』がアメリカに向けて放った一本の巨大な矢が、史上最強の帝国と言われたアメリカを狂わせた。

最新鋭の兵器と自爆テロが戦うという、非対象性の対テロ戦争で、米英軍は各地の戦闘には勝利できても、戦争自体には勝てなくなった。

 そして、アメリカは『世界の警察官』を務めるだけの気力を失う。盟友イギリスは国力を疲弊させ、2つのアングロ・サクソン国家の結束は緩んでいく。

その結果、世界 はリーダーを失い、進むべき方向性を見失い、乱気流の時代に突入していった 〉(第 5章 アングロ・サクソン流の終焉)



 今年の世界の出来事をフォローし、筆者はこの認識を一層強めている。アメリカの対テロ戦争は、アルカイダの弱体化には成功したが、より悪質で手強いイスラム国というゾ ンビを誕生させてしまった。 

主権国家間の国際秩序が不安定化する一方で、その枠外に ある非国家ファクターのテロ組織が存在感を強め、テロの脅威が世界に拡散する。この1年を安全保障面で振り返る なら、そんな年だったのではないだろうか。

 「平和と秩序は人間にとって永遠の課題である」。キッシ ンジャー氏は先の著書でそう書いているが、この言葉を、実感を持って反芻せざるを得ない2015年であったように思う。



1月3日、サウジアラビア政府はイランと外交関係を断絶することを発表しました。これはテヘランにある在イラン・サウジアラビア大使館とマシュハドにあるサウジアラビア領事館がそれぞれ群衆に襲撃され、放火されたことを受けてのものでした。この襲撃は、同日2日にサウジアラビア政府が、2011年に逮捕されていた国内のシーア派指導者ニムル・ニムル師の処刑を発表したことがきっかけで発生したものです。放火に関わった罪で44人が逮捕され、イランのロウハニ大統領も大使館襲撃を非難していますが、両国関係は悪化の一途をたどっています。

サウジアラビアとイランは、どちらも世界有数の産油国で、さらに形態は異なるものの厳格なイスラーム国家という点で共通します。その一方で、両国はそれぞれ、スンニ派とシーア派の中心地です。二つの宗派の因縁は7世紀にまでさかのぼるもので、両者の反目はイスラーム世界の大きな対立軸であり続けてきました。

しかし、それが大きな背景であるにせよ、大使館の襲撃や国交断絶といった外交問題にまで発展した今回の出来事は、それだけでは説明できません。そこには、現在の中東情勢や外部なかでも米国との関係をめぐる、サウジアラビアとイランの角逐を見出すことができます。

中東情勢をめぐるサウジとイランの立ち位置

大前提として、現在の中東をめぐる、サウジとイランの立ち位置を整理しておきます。

中東をめぐっては、イスラーム圏諸国だけでなく、米国、ヨーロッパ諸国、ロシアといった外部の国、さらにイスラーム過激派が複雑な対立と協力の関係にあります。このなかでサウジとイランはほとんどのシーンで対立し続けてきましたが、現在ではシリア情勢をめぐって、その対立は抜き差しならないものになっています。

サウジは石油を国有化した1970年代以降、最大の顧客である米国と安全保障・経済の両面で、基本的には協力関係を維持してきました。イラクがクウェートを占領した湾岸戦争(1991)で米軍主導の多国籍軍に参加したことや、国内に米軍の駐留を認めたことは、その象徴です。

現代でも、シリア情勢や「イスラーム国」(IS)をめぐる対応で、サウジは欧米諸国とほぼ足並みを揃えています。シーア派の一派アラウィー派で固めるアサド政権に対して、サウジは欧米諸国やトルコとともにその退陣を求め、シリアやイラクでのIS空爆にも当初から参加しています。そのうえ、サウジを含むスンニ派の湾岸諸国は、シリア軍を攻撃するために、アルカイダ系を含むイスラーム過激派にすら資金協力を行ってきたといわれます。

これに対して、イランは1979年のイスラーム革命以来、米国と長く対立し続けてきました。その背景には、イスラーム革命で打倒された、世俗的なシャー(国王)による専制支配を、ソ連への防波堤として米国が支援していたことがありました。そして、イスラーム革命のさなか、テヘランの在イラン・米国大使館が群衆によって占拠されたことで両国の対立は決定的になり、米国はイランを「テロ支援国家」に指定し、経済制裁を敷いてきたのです。

それ以来、イランは「反米」で一致するソ連/ロシアと友好関係を築いてきました。シリア情勢をめぐってもロシアとともにアサド政権を支持し、独自にIS空爆を行っている他、シーア派民兵やレバノンのシーア派過激派組織ヒズボラなどをシリアに送り込んできました。アサド政権の処遇をめぐって、グローバルレベルでは米ロの対立が目立ちますが、イスラーム圏ではサウジとイランがお互いに譲れない関係にあるといえます。

イランの「国際社会復帰」がもつインパクト

ところが、以上の関係は、この数年で変化の兆しを見せ始めています。米国とイランの緊張が緩和したことと、ISに対する国際的な包囲網の形成が緒に就いたことは、その典型でした。

このうち、米国とイランの緊張緩和に関しては、7月に成立したイラン核合意があげられます。イランが核開発を抑制(停止ではない)することと引き換えに、米国などが経済制裁を段階的に撤廃する取り決めは、ペルシャ湾で高まっていた軍事的緊張を緩和しただけでなく、西欧諸国にとっては「イランの核弾道ミサイルの脅威」からの解放の希望をもたせるものでした。それだけでなく、この合意は長く対立し続けてきた米国とイランの関係改善の転機としても注目されたのです。

核合意は、イランにとって、いわば「国際社会への復帰」の象徴にもなりました。イランはWTO(世界貿易機関)に加盟していない国のなかで、最大の経済規模をもちます。経済制裁の解除にともない、イラン政府はWTO加盟に前向きな姿勢をみせるなど国際市場に本格参入する兆しをみせ、日本企業も昨年後半から相次いでイラン進出を目指し始めていました(ただし、WTOドーハラウンドそのものが昨年12月に次回開催を決定しないまま閉幕したことで、一部からは「安楽死」とさえ呼ばれる状態にある)。


ところが、サウジアラビアはこの合意が「譲歩しすぎ」であると批判。この点に関しては、パレスチナ問題などをめぐって立場が大きく異なるイスラエルと同じ立場に立つことになりました。

シリア情勢をめぐる不協和音

サウジにとって、イランが欧米諸国と対立し、「干される」状態の方が好ましいことは確かです。その意味で、その「国際社会復帰」に警戒感を強めるとともに、これを進めた欧米諸国なかでも米国への不信感が募ったことは、想像に難くありません。

同様のことは、シリア情勢とIS対策についてもいえます。昨年11月13日のパリ同時テロ事件以降、フランス政府はIS対策のために、米ロを結び付けることを試みています。これにより、9月末から既にアサド政権を支援する形で、IS以外の反アサド勢力に対しても空爆を行ってきたロシアの国際的認知は、結果的に向上したことになります。それは、ロシアやアサド政権と連なるイランにとっても、悪い話ではありません。

しかし、これはサウジにとって、IS対策とは別の次元で面白くない話です。先述のように、シリア内戦の当初、サウジなどとともに欧米諸国は、「アサド政権の退陣こそ内戦終結に繋がる」と主張していました。しかし、状況の変化とともにヨーロッパ諸国はアサド政権の容認に舵を切りつつあり、米国としても難しい判断を迫られています。

このような環境のもと、核開発問題だけでなくシリア情勢なども念頭に、米国がイランとの関係を見直し始めたことに、以前からサウジは警戒感を強めていました。2013年10月にサウジが、選出されていた国連安保理の非常任理事国のポスト就任の辞退という異例の行動に踏み切ったことは、その象徴でした。つまり、欧米諸国から敵視され、排除されていたイランの立場が好転したことは、入れ違いにサウジの危機感につながり、欧米諸国なかでも米国に対して不快感を隠さなくなっていたといえます。

米国とサウジの隙間風

先述のように、イランが欧米諸国と関係を改善し、国際社会に復帰するだけでなく、シリア情勢をめぐってロシアとともに影響力を増すことは、サウジにとって警戒すべきことです。なかでも、対イラン強硬派という点で一致していた米国のシフトは、サウジにとって認めにくいものです。

一方で、米国のサウジ離れは加速しているようにもみえます。先述のように、サウジは世界最大の産油国であり、長年米国はその最大の顧客でした。しかし、昨年12月に米国は40年ぶりに原油を輸出することを発表。これは、いわば米国がサウジにエネルギー戦争を挑んだものともいえます。

2014年の半ばから、原油価格は既に下落し続けています。2014年11月のOPEC(石油輸出国機構)総会で、中小の産油国が反対するなか、サウジが事実上値下げを意味する「生産量維持」の方針を押し切ったことは、これをさらに加速させました。サウジのこの判断は自らにとっても減収を意味しますが、やはり石油・天然ガスの輸出に収入を依存するIS、ロシア、イランなどにとっても痛手となり、それは引いては米国の安全保障上の利益につながります。この観点からすると、サウジの行動は米国の利益に適うものでした。

しかし、他方で原油価格の下落は、米国で本格化していたシェールオイル生産に、コスト割れの危機をもたらすものでもありました。つまり、サウジによる原油価格の引き下げは、安全保障上は米国をアシストするものでしたが、シェール開発にブレーキをかけることでエネルギー面における米国の中東依存を維持させ、米国の独走を許さないものだったといえます。

ところが、米国はむしろシェールオイルの輸出に踏み切ったのです。市場に供給される原油の量が増えることで、原油価格はさらに押し下げられます。この状況は米国にとっても、シェール輸出から短期的に利益を期待できるものではありませんが、他方で他にこれといった産業のないサウジにとっては、さらに痛手となり得ます。つまり、米国は攻勢に出ることで、将来的に原油市場のシェアを確保する足場を作っただけでなく、自らの首に鈴をつけようとしていたサウジの手に噛みついたといえます。

シーア派指導者の処刑が米国にもつ意味

そんななか、冒頭で触れたように、サウジ政府は反政府の抗議活動を行った罪で逮捕されていた国内のシーア派指導者ニムル・ニムルの処刑を発表しました。

今回、処刑されたのはニムル・ニムルだけでなく、合計で47名に及び、その大半はアルカイダ系の過激派だったとみられています。

とはいえ、シーア派指導者の処遇次第で、宗派対立を過熱させる恐れがあることは、以前から懸念されていたことです。国連なども自制を働きかけていたなかで、あえて処刑が行われたことには、少なくともサウジ政府の確たる意思を見出せます。

つまり、今回のシーア派指導者の処刑は、単純な法的手続きの結果や、国内の反シーア派、反イラン感情への配慮という側面だけではなく、意識的にイランとの関係を悪化させたものとみることができます。それは、両国の関係を悪化させることで、イランとサウジのいずれにつくかを米国に迫る効果があります。そして、それは当然、ロシアを含むIS包囲網の形成などに関する判断に迫られている米国に、「サウジの機嫌を損ねることのないように」というメッセージになってくるのです。

ターンは米国に

日本のメディアでは、サウジアラビアは「穏健派」と呼ばれることがあります。それはイランと異なり、米国と正面から対立するシーンが少ないことによります。実際、繰り返しになりますが、サウジは安全保障と経済の両面で米国と足並みを揃えることも珍しくありません。

しかし、自らの目標や利益のためには、いかに友好国であろうとも、相手との関係において主導権を握られないことは、国際政治の常です。サウジと米国の場合、サウジによる原油価格引き下げ、米国による安売り競争、サウジのシーア派指導者の処刑ときて、また次は米国のターンということになります。次の米国の一手が何であれ、これまでの展開に鑑みれば、少なくとも両国間だけにとどまらない影響をもたらすことだけは確かといえるでしょう。
以上の優れた記事を読めば、サウジアラビアVsイラン情勢のおおよそのことは理解できると思います。

昨年末、ユーラシア・グループ社長のイアン・ブレマー氏が「サウジアラビアの国家としての持続可能性が疑問視される」「産油国の将来は楽観できない」との発言し、サウジアラビアが危うい状況にあると世界に警告していました。

私は2016年10大リスクの筆頭ではないかと予測したのだが、1月4日発表されたユーラシアグループの10大リスク筆頭ではなかったが、同盟の空洞化は間違いではなかった。

だが、正月早々1
月3日、イランの首都テヘランのサウジ大使館が襲撃されサウジアラビア政府はイランと外交関係を断絶することを発表イアンブレマー氏の危機予測が現実となった。5位.Saudi Arabia3位The China Footprintも1月4日中国株は暴落イアンブレマーの予測は大当たりである。まあ、ブレマーのまねした私の予測の1位はサウジアラビア崩壊である。

スンニ派筆頭国サウジアラビアとシーア派筆頭国イランが激突すると、中東情勢はかつてない危機に陥るかもしれない。最悪はペルシャ湾が封鎖され、第3次世界大戦に発展するかもしれない。もし、ペルシャ湾が閉鎖されると現在暴落中の原油が暴騰する可能性がある。これは産油国であるサウジアラビア、米国、ロシアにとっては実は大きくプラスになる。

サウジアラビアがイエメン内戦に介入するなか、シーア派指導者ニルム師が裏で暗躍していると、サウジアラビアが処刑してしまったのが直接のきっかけだが、背景は所詮金だ。ニルム師は民主化を推進する宗教指導者でテロリストでもなんでもないから余計にシーア派が激怒したのだと思う。

2015年12月4日の石油輸出国機構(OPEC)総会が減産を見送り、新たな原油安の引き金となった。

中国経済の崩壊により需要見通しが大きく後退するなかで、産油国の原油生産が止まらず、過剰生産、過剰在庫の問題がより本格化・長期化しているところに、「米政府が自国産原油の輸出を解禁」したり、
「イランの核開発問題の終わりが見えて今後のイランの原油増産・輸出量増加の可能性が更に高まった事」など更に追い討ちをかける要因が加わったのがこのところの原油安の原因である。

サウジアラビアからすると、原油安はイランと米国に八つ当たりしたくもなる。
米国の利上げは、エネルギー関連のハイイールド債の価格急落で関連ファンドに動揺が走り、ベネズエラなど産油国の一角にはデフォルト(債務不履行)の警戒信号がともる。産油国などにサウジアラビアは政府ファンドを通して出資しており昨年は13%ほどマイナスとなりダブルパンチだ。

ドイツ連邦情報局(BND)が12月2日に公表したサウジに関するリスク分析の報告が纏められた。この分析が正しいならば、私はサウジアラビアが数年内に崩壊する可能性もあると思えてならない。

BNDの報告書では、副皇太子への権限集中に伴い、サウジがアラブ世界で影響力拡大を志向し、友好国との関係を損なっていると分析する。  
 
同じころ、サルマン国王とムハンマド副皇太子の統治を批判し、他の王子の擁立を呼びかける文書が英紙に載った。

文書は王族の手によるものとされる。真偽は明らかでない。サウジ・ウオッチャーの一人は「こうした亀裂が表面化するのは異例。何かが起こっている」と指摘する。

http://www.nikkei.com/content/pic/20151221/96958A99889DEBE7E0E2E6EAE7E2E3E4E3E0E0E2E3E78AEBE1E2E2E2-DSXKZO9520487016122015X93000-PN1-7.jpgサウジでは第2代国王から7代目の現国王までの6人は、すべて初代アブドルアジズ国王の息子たちだ。ムハンマド・ビン・ナエフ皇太子とムハンマド副皇太子はその子供たちの世代、いわゆる第3世代にあたる。ムハンマド副皇太子は補助金の削減やサウジ人の雇用拡大を説き、改革派としての顔も持つ。サウジの王族は数千人といわれる。副皇太子への急速な権限集中と改革は反発を招きかねない。別のサウジ専門家は「こんな状態は長続きしない。いずれ王族内で修正が必要になる」とみる。 サウジは北側でシリアやイラクと、南側でイエメンと国境を接する。いずれも国家権力の空白を突き、ISなどイスラム過激派が勢力を伸ばす。その波及を阻止することが最優先の課題だ。 サウジは人口の半分が24歳以下。行き場のない若者の不満は過激派の温床となる。急増する若年層を吸収する雇用の創出や教育の充実、インフラの整備が急務であり、政府は巨額の財政出動で出費をまかなってきた。原油安はその財源を直撃している。

潤沢な金融資産があるとはいえ、国際通貨基金(IMF)はこのペースが続けば5年で底をつくと警告する。OPECは4日の総会で生産目標自体を棚上げせざるをえなかった。結束は崩れ、失速のスパイラルにある。

だが目先の原油安より、サウジの体制の不安定化は中東や原油市場をもっと深刻な事態に陥れる。世代交代の行方に注意を払わねばならない。
サウジアラビアのサルマーン国王の息子であるムハンマド・ビン・サルマーン第2皇太子が、国防相として冒険主義的な過剰な軍事行動に出ている。第二皇子は若干30歳、27歳であるという情報もある。苦労知らずの若旦那が冒険をしたらどうなるか、大抵大店は傾き、没落するのが世の常である。

サウジの若旦那はサウジアラビアを破滅させるのではないだろうか!なぜ第二皇子に権力を集中させているかと言えば、サルマン国王が自らの息子に王位を継承させサルマン王朝を目指しているのである。これは王族内でもめるだろう!

ただでさえ財政難のサウジアラビアにとっては、イエメン内戦介入は財政を更に危機的な状況にするだろう。
 
イランに支援されたイエメンのシーア派反乱軍を鎮圧しようと、サウジはイエメンへの軍事介入を強化しているが、事態は泥沼化の様相を呈している。

米国やドイツが妥協するよう勧めても、第2皇太子は聞く耳を持たない。サウジの反対にもかかわらず、米国がイランとの核合意を結んだ結果、イランの脅威が増していると感じているからだろう。
 
 実際サウジアラビアでは、「イランとの関係修復を急ぐ米国は信用しきれないので、このさいパキスタンの核兵器を買おうではないか」との物騒な話も、検討されているようだ。実はサウジアラビア軍はパキスタンの将校から長年、軍事的な指導や提案を受けていて意外と強い関係がある。原油安にもかかわらずサウジアラビアの軍事費は年間800億ドルを超えていてロシアといい勝負だが、まだ軍拡志向は続いているようだ。

原油からの収入で働かなくとも食っていける国に別な産業を興そうとしたってそう簡単に興せるはずもなく、原油価格の下落はサウジにとって死活問題だ。
おかげでサウジ国内の若者の失業率は高く、自暴自棄になった若者たちがテロの走っている。

サウジは中東最大のイスラム国の予備軍が存在する。過去10年間にテロ容疑で逮捕、釈放されたサウジ人は1万人超とみられる。イラクにおけるイスラム国に加わるサウジアラビア人は2500人以上という。

王政打倒の声を強め、ただでさえ評判の悪い治安機関や経済の生命線である石油産業を標的にしたら、原油の供給量と価格は果たしてどうなることか――。

米国や中国やインドなどで意外と「風力発電・太陽光発電」が増加中で、中印両国の原子力発電所増強の動きも活発だ。そもそも原油の長期的な需要は減っている。
最大の輸入国だったアメリカがシェールオイルの成功で産油国になって、輸出も再開、最大需要国の中国の経済失速もしくは経済崩壊、どう考えても石油は下落するだろう。ところが、ペルシャ湾が封鎖されるような騒乱は原油価格の上昇するだろう。できれば自国以外の石油施設が破壊できればそれに越したことは無い。

サウジの第二皇太子はバカ息子・・・・サウジの未来は絶対絶命風前の灯火・・・・そしてこの国家を揺るがす危機に己のバカ息子に国家の明暗を左右する要職を与えるなど、サルマン国王は暗愚もいいところだ。
成功より失敗する確率が高いポジションで失敗したら失脚するのだから、ちょっとでもカシコケレバ、大抵、没落するのがないですかが加わった、ちょっとでも賢ければ息子を防衛大臣になどしないはずだ。サルマン国王は暗愚としか言いようがない。

日本も笑ってみていられない。もしペルシャ湾から原油が止まれば1975年堺屋太一氏のデビュー作シュミレーション小説「油断」のようなパニックになることは必至だ。 ホルムズ海峡はイランとアラビア半島に挟まれ、同海峡を通過するタンカーが輸送する原油は日量約1700万バレルに達する。ホルムズ海峡が武力紛争で通航不能となれば、過去最高水準にある世界の原油在庫は減少し始めるだろう。

今年の原油価格の騰落はおそらく激しいものとなるだろう。








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【カイロ=大内清】トルコからの報道によると、トルコ軍は24日、同国の領空を侵犯したとしてロシア軍の戦闘機1機を撃墜、同機はトルコ国境に近いシリア北西部ラタキア県内の村に墜落した。ロシアが9月末にシリアでの空爆作戦を開始して以降、露機が撃墜されるのは初めて。露トルコ間の緊張が、シリア内戦の政治解決を目指す多国間協議や、トルコが加盟する北大西洋条約機構(NATO)とロシアとの関係に影響する可能性もある。

中東の衛星テレビ局アルジャジーラによると、トルコ軍は露機に対し、「撃墜までの5分間に10回にわたり警告を発した」としている。ロシア側は自国のスホイ24戦闘機が撃墜されたことを認めたが、領空侵犯は否定した。トルコ首相府はこの問題をNATOや国連に提起するとしている。

同機のパイロット2人は墜落時にパラシュートで脱出。トルコ・メディアは、1人はシリア北部で少数民族トルクメン人のグループに拘束されたと伝えたが、もう1人の安否は不明。

アサド政権の後ろ盾であるロシアは今年9月、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」掃討を名目にシリアへ軍事介入し、反体制派側にも空爆を行ってきた。これにより内戦の戦況は最近、アサド政権側有利に傾いていた。

これに対し、反アサド政権の急先鋒で、内戦当初から反体制派を支援してきたトルコのエルドアン政権はロシアの軍事行動がアサド政権の存続につながることを強く警戒していた。

トルコ空軍のF16が領空侵犯したロシアSu-24を撃墜した。トルコはNATOに加盟しているので、ロシアはトルコに宣戦布告はしないだろう。
国際法上トルコがロシア機を撃墜したことは非難をうけない。日本も領空侵犯した機体は撃墜すべきなのだが・・・安保法制が一部の狂信的九条主義者達の妨害にもかかわらず成立したが、依然対領侵法制は不備のままだ。日本は依然日本側が一機撃墜されない限り反撃できない。日本領空を侵犯してくるのは大型機で戦闘機ではないので今までは問題が起きなかったが、相手が戦闘機の場合は警告の後に撃墜できるように法改正すべきではないだろうか?

しかし、トルコも自制すべきではなかったのではないか?せっかくロシアがISIS攻撃に参加して西側と歩調をあわせ和解できるかもしれないという希望が見え始めていたので、態度を硬直化するのではないか?

ロシアも自制してくれればいいが、これでSu24の護衛にSu27/30/35戦闘機が護衛に着いた場合もスクランブルして撃墜を試みるのであろうか?

必要なのはトルコとロシアの対話と調整でありロシアとトルコが戦闘状態に陥ったならばISIS の思う壺になってしまう。EU、米国、日本はじめ国際社会は、まずトルコとロシアを仲裁し和解させることが先決となった。


トルコ大統領「事態悪化望まない」 ロシア軍機撃墜 
2015/11/25 19:47日本経済新聞

 【イスタンブール=佐野彰洋】トルコによるロシア軍機撃墜についてトルコのエルドアン大統領は25日の講演で「事態の悪化はまったく望んでいない」と述べ、沈静化に努める考えを示した。エネルギーの輸入や観光分野でロシアに深く依存している状況を考慮し、両国関係の緊張を最小限にとどめたい意向とみられる。

 天然資源に乏しいトルコは伸び続ける電力需要を賄うために必要な天然ガス輸入の5割強をロシアに依存する。トルコ初の原子力発電所建設もロシア勢が担う。ロシア政府が24日に出した国民向けのトルコへの渡航延期勧告も主力の観光産業にとって大きな打撃だ。

 トルコ経済は2015年の国内総生産(GDP)成長率目標を従来の4%から3%に引き下げるなど足踏み状態が続く。ロシアが追加の制裁措置に踏み切れば苦境はさらに深まる。シリア国境付近でのロシアの軍事行動強化などの対抗措置も回避したいのが本音だ。

 25日の講演で、エルドアン氏は撃墜は「自国の安全保障とトルコ系トルクメン人の権利保護」のため正当な行動だったとの認識も改めて示した。ロシア軍機に対する攻撃は同機がトルコ領空を侵犯中に行われたと強調した。シリア領内に墜落した際、機体の一部がトルコ領内に落下し、トルコ人2人が負傷したことも明らかにした。

 ロシアは領空侵犯を否定しており、プーチン大統領は「両国関係に重大な結果をもたらす」との警告を発している。
なおトルコ政府とロシア政府はクリミア戦争以来の因縁からけして仲は良くはないが、水面下ではお互いに基本的に友好的で極めて緊密な交流がある。ロシアのパイプラインはトルコを通っているし、ビジネス上、さらに地政学上、戦争をするデメリットの方が大きい。いまのところ今回の事件が第三次世界大戦の嚆矢となることはないと思う。

イラクやアフガニスタンがそうだったように政府を崩壊させるとその後に政府を樹立させるのは困難である。それゆえロシアの考え方も間違ってはいないが、自国民に対して毒ガスを使用する政府は存続させるのも良い選択肢ではない。
ロシアが西欧諸国と和解するには今回のように反アサド派のトルクメン人をロシアが攻撃せずISISのみ攻撃することが、問題を複雑化せず解決の道筋のような気がする。

なぜトルコはロシア軍機を撃墜したのか 現代ビジネス2015.11.27

シリアとトルコの国境付近でトルコ軍機がロシア軍機を撃墜した。私は先週のコラム(http://gendai.ismedia.jp/articles/premium01/46454)で「世界は『テロと戦争の時代』に完全にモードチェンジした」と書いたが、まさに暴力が瞬く間に加速している。世界はどこに向かっていくのか。

トルコとロシアはつい最近まで友好的な関係にあった。トルコの輸入相手国第1位はロシアであり、とりわけ石油や天然ガスの多くはロシアからの輸入に依存している。ロシアはトルコとロシア産天然ガスを南欧に輸送するパイプライン建設の交渉も進めてきた。

これまでのように、両国が互いを必要とする相互依存関係を重視しているのであれば、たとえ一時的な領空侵犯があったとしても、いきなり相手を撃墜するような乱暴な事態は避けられたはずだ。北大西洋条約機構(NATO)のメンバー国が、よりによってロシア機を撃墜するような事態は何十年も起きなかった。

しかし撃墜に至ってしまったのは、相互依存の恩恵を忘れてしまうほど頭に血が上って、あっという間に双方で敵対意識が膨れ上がってしまったからだ。燃え盛る戦火は空軍パイロットからも民衆からも冷静さを奪ってしまう。代わって激情が支配するようになる。

ロシアがシリアの空爆を始めたのは、つい2カ月前の9月30日である。イスラム国(IS)掃討が目的と説明していたが、まもなくロシアはIS掃討よりもアサド政権の延命を狙って、政権に抗う反体制派勢力を攻撃している実態があきらかになる。

トルコは、同胞であるシリア内のトルクメン人が反体制派と目され空爆されていると知って、ロシアへの反感を募らせた。「仲間の敵は自分の敵」というロジックだ。

一方、アサド政権に肩入れするロシアの側も、トルコはトルクメン人を支援してアサド政権に敵対させているとみていた。こちらも「アサドの敵は自分の敵」である。「敵・味方関係」に基づく敵意が「相互依存関係」に基づく理性をおしのけ圧倒していった。その結果が今回の撃墜なのだ。

プーチンも参っている
いったん敵意に火が点いてしまうと、そう簡単には元に戻らない。かりに指導者たちが冷静に判断しようとしたところで、怒りをたぎらせた両国の民衆が許さないからだ。とくに兵士2人の死者を出したロシア側はなおさらだろう。

だからといって、ロシアとトルコの対立がエスカレートするのかといえば、必ずしもそうとは言えない。肝心かなめのISが勢力を伸ばしているからだ。

ロシアはISに対して当初、中途半端な立場を保っていた。空爆で狙ったのがISでなくシリアの反体制派だったのは「アサド政権を支援することがひいてはIS攻撃につながる」「敵の敵を応援するのが敵への打撃になる」という理屈である。

だが11月9日、エジプトのシナイ半島上空でロシア旅客機が墜落した事件はISによる爆破テロの可能性があると認めた後、ロシアはIS掃討に本腰を入れるようになった。

墜落原因をめぐって当初、ロシアがいかにも優柔不断に見えたのは、ISによる犯行と認めてしまうと、ロシア国内で「シリア空爆を始めたのが原因じゃないか」とプーチン政権批判が高まる事態を恐れたためだ。

今回のロシア軍機撃墜でも、ロシアは当初「地上から撃墜された」と言っていた。トルコ軍の関与を認めると、トルコとの関係悪化に加えて、世論が激昂し沈静化が難しくなるのを恐れたからだろう。プーチン大統領は強気一辺倒に見えて、実は世論を非常に気にしている。

そんな曲折はあったが、いまやロシアがISを敵とはっきり位置づけているのは間違いない。自国旅客機を爆破されているのに「敵でない」などとはとても言えない。

それはトルコも同じである。

日本のマスコミは各国の不協和を願っているのか?
トルコはISによる犯行とみられる自爆テロ、次いでトルコ軍兵士がISの攻撃で死亡した事件を受けて7月、初めてシリア内のIS拠点を空爆した。

それまでは米国などの空爆に追随していなかったが、自国民と兵士がISのターゲットになって方針転換に踏み切った(http://gendai.ismedia.jp/articles/premium01/44454)。

トルコにとってもロシアにとっても、いまや主要敵はISなのだ。ここが肝心だ。

トルコにとってのトルクメン人やロシアにとってのアサド政権は同胞、盟友にすぎない。戦いの渦中にある戦士に向かって「戦いの目的は友人を助けるためか、それとも自分の敵を倒すためか」と問えば、多くの戦士は躊躇なく「自分の敵を倒すため」と答えるのではないか。

つまり、こういうことだ。

ISをめぐる「敵味方関係」が激化しているからこそ、ロシアとトルコ、さらにはフランスや米国を含む有志国連合は対IS戦線で協調できる可能性が高い。

ISは人質殺害やテロなどで米欧はもとよりロシアを含めてあまりに多くの国を敵に回してしまった。もちろん日本もその1つである。

日本のマスコミでは、トルコによるロシア軍機の撃墜事件で「米欧とロシアの結束に亀裂が入った」とみる論調が多い。あたかも、各国がうまく協調できない事態を願っているかのようだ。そもそもマスコミは失敗やヘマが大好きなのだ。

だが、私の見立ては違う。

プーチン大統領がトルコの行為に憤る国内世論に配慮しなければならない難しさはあるだろう。だからといって、ロシアが対IS戦線から離脱する事態は考えられない。自国の旅客機を撃墜されているのだ。いずれ、IS攻撃を再開するに違いない。そうでなければ国内世論も収まらない。

むしろ、真の問題は「ポストIS戦」である。

かつて第2次大戦で米英仏中ソ連の5大国を中心とする連合国側が日本とドイツに勝利した後、同じ勝者側である米国とソ連の間で冷戦がただちに始まったように、ISに勝利した後は今回のロシアとトルコ、さらには米仏などと新たな主導権争いが始まる可能性が高い。

各国はみな冷戦の歴史に学んでいる。そうだとすれば、IS戦をどう戦うかは、IS戦後の秩序をどう自国有利に作り上げるかに直結していることを理解しているはずだ。

米仏、仏ロなど相次ぐ首脳会談を皮切りに、これから始まる各国の綱引きは「秩序が失われた世界の新しい秩序作り」をめぐる戦い
でもある。










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過激派組織ISISがヨルダン軍パイロットムアーズ・カサースベ中尉生きたまま焼き殺した映像が公開され、対ISIS空爆に参加する米国、イギリス、オーストラリア、カナダ、フランス、オランダ、ベルギー、ドイツ、イタリア、デンマーク、サウジアラビア、バーレーン、アラブ首長国連邦(UAE)のほか、カタールやレバノンなどヨルダンの周辺国は続々と過激派組織ISISを非難する声明を出した。各国はヨルダンとの連帯やテロとの戦いでの国際社会の結束を呼びかけている。
ヨルダンはパイロット殺害が確認されるとサジダ・リシャウィ死刑囚ら2人の死刑をすぐに執行した。ヨルダンやUAEによる対ISIS空爆も激しさを増すだろう。
ただ、他のアラブ諸国では、言葉では激しく非難しても実際に新たに空爆に加わる国はなく、物資補給などの後方支援にとどまるとの見方を示した。
ヨルダンは親米国で、アラブ諸国ではイスラエルと国交を持つ数少ない国の一つだ。空爆に加わる有志連合の中心的な存在だったと言われる。ISISがヨルダン国民をパニックに陥れることを狙い、ヨルダンの体制が揺らげば他の有志連合国やそれを支持するアラブ諸国が動揺すると計算しているとみられる。ヨルダン人パイロットが二一世紀の現代において非常に残虐な方法で殺害された。
言葉もない。映像はあえて見たくない・・・

現憲法下では日本人の人質を武力による救出することが出来なかった。

湯川さんと後藤さんの場合、ある程度自己責任だからと言うニューマ(空気)があり、関係諸国を通しての対応以外どうすることも出来なかった。身代金の支払いはしないが、武力奪還などもまったく検討されなかった、ある意味で
見殺しに近いものがあった。

これがもし、ヨルダンのペトラ遺跡に観光していた日本人の若い女性が誘拐されレイプされている画像まで投稿されていたとしたらどうだったであろうか?

世論はもっと身代金を払ってまで助けるべきとの声が大半を占めることになるであろう、政府も身代金支払やむ無しとなっていたかもしれない。だが、
どのようなケースでも身代金は払うべきではない。そうなると第二、第三の事件が勃発する無間地獄に陥る可能性がある。

仮にISIS親派が日本国内で大量人質事件を起こし、次々に国民を殺害したとした場合、日本は米軍頼りでISISの本体に攻撃せず何も出来ないままで良いのだろうか?

極端なケース、左翼護憲派の主張するように、日本だけが身代金を気前よく支払、その他の国は一切払わなかったら、どうなるか想像がつく。以後他国人に危害を加えず、日本人だけを誘拐して身代金を要求、払わなかったら惨殺となるだけだろう。

欧米は自分に火の粉がかからないから北朝鮮による日本人拉致事件ののように、国際社会は無関心を装ってしまうだろう。日米安保条約では海外で日本人が拉致監禁された場合、米軍が救出する義務はない。集団的自衛権問題の逆バージョンだ、欧米が集団的自衛権行使してくれなかったらそうなってしまうのだ、極論だからそんなケースは起きにくいが、現憲法下では政府は国民を保護できない!

話し合いや理屈が通る相手であるならば武力の行使は不必要だが、常識が通用しないのだ。

今回のように、元々人質を解放する意思が無く、殺害をプロパガンダに利用する目的のISISに対し、もし見殺しにせず本当に人命を最優先にするのであれば、武力救出以外選択肢がなかったのではないだろうか?

結局、装備や救出能力を日本は持ちえなかった。これは現憲法が悪作用しているがゆえ、海外邦人救出が難しいのだ。テロリズムが跋扈する現代に不適応である証拠だと思う。現憲法が不磨の大典という根拠などまるでない、単なる護憲派のお題目みたいなものだ。私は憲法改正をタブー視する風潮がようやく希薄になってきた今、解釈改憲などといういい加減な改憲などしてほしくはない。

日本人が次々に拉致殺害されてからでは遅い!いざとなれば、国民を救出する軍隊を派遣出来る憲法に改正すべきではなかろうか。

日本は有志連合60ヵ国に入るのは先進国として当然の義務ではある。侍である後藤さんの仇を打ちたい気持ちは強いのだが、現憲法下で空爆に参加できないのがもどかしい。

日本の左翼メディアは有志連合の空爆などの軍事作戦にはいかなる形でも参加しないし、兵器弾薬の供給をはじめとする後方支援は憲法違反であると主張する。
人道支援を通してISとの戦いに貢献している日本が、あたかもいまだに有志連合に参加していないと誤解するような表現をしているが、アルジャジーラ2014年12月16日英文ウェブ版によると有志連合参加国は35カ国で、次のように分類されていた。

・軍事支援と人道支援を実施する有志連合:17カ国
 アメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダ、フランス、オランダ、ベルギー、ドイツ、イタリア、デンマーク、カタール、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、エストニア、ハンガリー、チェコ、ブルガリア
・軍事支援だけを実施する有志連合:4カ国
 ヨルダン、バーレーン、アルバニア、クロアチア
・人道支援だけを実施する有志連合:14カ国
 日本(シリアとイラク領内の難民に対しておよそ2550万ドルの人道支援)、韓国、クウェート、トルコ、ニュージーランド、ノルウェー、スウェーデン、スペイン、アイルランド、スイス、オーストリア、ルクセンブルグ、スロバキア、グルジア
防衛関係法令や軍事的能力の制約により有志連合による軍事作戦には参加していないが、軍事支援も実施していないが、日本は有志連合に参加すべきか議論する前に既に入っているのだ。今回の日本人質虐殺事件によって日本がアメリカ主導の「対ISIS戦争」に巻き込まれた、と考えるのは誤りである。
安部首相の中東歴訪と「ISIS対策としての2億ドル拠出」したのが事件の引き金になったのではない。2014年8月にアメリカ主導で空爆が開始された時から、日本は60カ国の「有志連合」に含まれていた。
これまでのところ、有志連合の軍事作戦は空爆に限定されている。地上での戦闘は除外されており、地上での軍事支援は、反ISIS勢力に対する補給活動や教育訓練に限定されていた。しかし、だが今回の事態により、有志連合とISISとの地上戦への可能性が高まってきた。地上での戦闘は有志連合にとって避けたいところであるが、地上戦への移行していく可能性が高い。
人道支援を実施する日本は、有志連合の軍事作戦には参加していないが、アメリカはじめ有志連合諸国そしてISISからも、名実ともに有志連合の一員と見なされていることを、日本政府はじめ我々日本国民はしっかり認識しておかねばならない。
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殺害されたカサスベ中尉の写真を手にラマラのヨルダン大使館近くでデモをするパレスチナ人(4日) Majdi Mohammed/Associated Press

 イスラム過激派組織「イスラム国」が人質にしていたヨルダン空軍パイロットを焼き殺したと見られるビデオをネットに投稿したのを受けて、アラブ世界では4日、激しい怒りの声が広まった。ヨルダンは対イスラム国攻撃強化への決意を一段と強めている。

 3日に投稿されたビデオは、ヨルダンのモアズ・カサスベ中尉がおりの中で生きたまま焼き殺される場面を映している。この映像は米国を中心にした、シリアとイラク内のイスラム国に対する空爆に参加する他のアラブ諸国に衝撃を与え、その残虐性をあらためて印象づけた。

 ヨルダンはこれに対して4日朝、同中尉との身柄交換が検討されていた女を含む2人のテロリストの死刑を執行した。

 サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、カタール―対イスラム国有志連合に参加する有力ペルシャ湾岸諸国―はヨルダンに弔意を示すとともに、パイロット殺害は犯罪であり、イスラム教の名を汚すものだと非難した。UAEのアブドラ外相は、「彼らテロリストによる残虐さはエスカレートしている」とし、今やイスラム国との戦いの「決定的瞬間」が来たと強調した。

 サウジの国営メディアによると、同国の新国王は、殺害は「非人間的でイスラムに反する醜悪な犯罪」だと述べた。

 イスラム国などのイスラム聖戦士を名乗るグループと見解があまり離れていない過激さを有する一部のイスラム教指導者でさえ、この殺害は戦時であれ捕虜の虐待や遺体の損傷を禁じたイスラムの教えに反すると批判した。

 サウジとUAEはテロ、イスラム国と戦う姿勢をあらためて強調した。

 しかし、これらの国の政府は一方で、米国主導の作戦に軍事参加していることにこれまで以上の不安を抱いているようだとの見方が強まっている。カーネギー中東センターのリナ・ハティブ所長は、この殺害は「有志連合参加国における人質問題への対処についての一致した戦略の欠如を示し、軍事的ぜい弱さを強調することになった」と話した。

 ヨルダンの当局者は、カサスベ中尉を救出する交渉が失敗した余波の中で、断固とした姿勢を示す必要に迫られていると語る。同国は、国内でのテロリスト取り締まりを強化し、一方でイスラム国への空爆作戦を支持する世論を盛り上げることになるだろう。

 西側寄りのアラブ君主国であるヨルダンは、米国主導の軍事作戦で重要な同盟国だ。昨年12月にイスラム国の人質となって以来、同中尉の運命はイスラム教スンニ派過激組織であるイスラム国に対する軍事作戦に参加することの代償をめぐる国内の議論を巻き起こした。イスラム国は―その残虐さにもかかわらず―ヨルダンをはじめとうする中東地域のスンニ派の若者を引き付けている。

 一部のヨルダン人は、同国政府の対イスラム国作戦への参加は国内で過激派からの暴力的反発を買う恐れがあるとし、別の人たちは、イスラム国は最終的にヨルダンを攻撃し、国内で戦闘が起こるのではないかと懸念している。

 アンマンの高官は1500人のヨルダン人がシリアで戦闘に参加しており、そのほとんどは過激派に加わっているとしているが、アナリストはその実数はもっと多いとみている。

 同国政府は4日、中尉殺害を非難する連帯を強めるため直ちに行動した。一部の当局者は、アラブのイスラム教徒に対する衝撃的な殺害―イスラム国がこのようなことをしたのは初めて―は、政府の有志連合への参加に対する国民の批判を和らげる力があったと述べた。

 訪米期間を短縮して帰国したヨルダンのアブドラ国王は、イスラム国に対する戦いは「ちゅうちょのない戦争になる」と述べた。国王がアンマン空港に着くと、工場や学校からバスで乗り付けた多くの国王支持者が出迎えた。

 上院議員で退役将軍のアウニ・アドワン氏は、「ヨルダンは行動は言葉よりも雄弁であることを示したい」と語り、同中尉の死への報復の意思を国民に強調した。

 政府は、イスラム国が釈放を要求していたイラク人の女サジダ・リシャウィとテロ謀議で07年に有罪判決を受けたジヤド・カルブーリの2死刑囚の死刑執行についてほとんど公表していない。内務省の報道官はウォール・ストリート・ジャーナルに対して、死刑執行は「この国を攻撃する者たちには断固たる処罰をする、という全ての過激派へのメッセージだ」と語った。

 ヨルダン当局者は、2人は既に死刑囚監房に入れられていたとし、中尉の殺害によって執行が早まったと説明した。

イスラム国「処刑に値する」、パイロット殺害でスンニ派最高権威が声明 【AFP】2015年02月05日 13:42 発信地:カイロ/エジプト

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中央は殺害されたモアズ・カサスベ中尉の妻写真中央
【2月5日 AFP】エジプト・カイロ(Cairo)にあるイスラム教スンニ派(Sunni)の最高権威機関アズハル(Al-Azhar)は4日、ヨルダン軍パイロットのモアズ・カサスベ(Maaz al-Kassasbeh)中尉を焼殺したとする動画を公開したスンニ派過激派組織「イスラム国(Islamic State、IS)」の戦闘員について「殺害か、はりつけの刑に値する」と激しく非難する声明を出した。

アズハルのアフマド・タイイブ(Ahmed al-Tayib)総長は、カサスベ中尉殺害を「臆病な行為で、ひどく失望した」とコメント。「彼らのような、神と預言者(ムハンマド)に歯向かう堕落した迫害者には、(イスラム教の聖典)コーランに記されている罰が下されなければならない。その罰とは、殺害、はりつけ、手足の切断だ」と述べた。

「イスラム教は、無実の人の魂を殺すことを禁じている。焼くなどの方法で人の魂を損なうことも、たとえ戦争中に自分を攻撃してきた敵に対してでさえ、禁じている」とタイイブ総長は声明の中で指摘している。(c)AFP


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ISIS(イスラム過激派組織)に、フリージャーナリストの後藤健二氏が殺害された。日本で暮らすイスラム教徒の間にISISへの非難と憎悪が広まっている。
後藤氏はシリアの難民キャンプで暮らす子供に寄り添った優しい人であると、日本に住むイスラム教徒の間では有名であった。毛布や食事を持参し、子供たちを喜ばせていたという。
JSFA
1月31日 19:27 · 

We're so sorry to hear that news. It's hard to believe it. words don't seems to be enough. Your care and support to the Syrian kids are unforgettable, human history will register that you are the Hero for both Japanese and Syrian nations.

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「後藤さんはシリアと日本のヒーローです。本当にありがとうございました。そして天国で会いましょう」。日本シリア友好協会のフェイスブックには、後藤さんが通ったシリアの難民キャンプで暮らす子供たちから、感謝の思いをつづったメッセージが寄せられた。
後藤氏に感謝するメッセージが国籍や宗教・宗派、年代を超え、大勢の人が寄せられている。日本に住む多くのイスラム教徒は日本とイスラム社会の良好な関係が続くことを願っている。
日本とイスラム教徒はどのような関係を築くべきか・・・
昨年読んだ現代イスラム研究センター理事長 宮田律氏の「イスラムの人はなぜ日本を尊敬するのか」 は示唆に富む本であった。皆様に紹介したくって本棚から引っ張り出しました。
しかしながら、第4章 イスラムは暴力的な宗教か?に書いてあることは事実であり、狂信的な信者を排出しやすく、過去宗教が悪用され、また悪用されていることは知っておくべきだと思う。
裏表紙ト書き
イスラムを過剰に怖れる必要はない。私たちが思っている以上に、日本人は尊敬されているのだ。

日本は理想的社会と見られ、アニメやマンガも引っ張りだこ。
礼儀正しさや義理、人情といった美風に強い関心と共感を持っているのだ。

欧米の植民地主義に屈せず独立を守った日本の歴史や皇室の伝統への、ムスリムの畏敬の念を紹介し、その良好な対日感情をどう国益に結びつけるかを論じる。日本人のためのイスラム入門。
目次
     はじめに 3

第1章 イスラムの人々は義理・人情がお好き 17

日本と共通するメンタリティ/ネットで日本のホップカルチャーに接する若者たち/ドバイ
にある紀伊國屋書店の最大店舗/ドバイの「マンガ寿司」/日本をライバル視する中東のサ
ッカー/柔道で中東に貢献/茶室をつくったアブダビの皇太子/和太鼓も人気/世界の安全
保障に寄与する日本文化

第2章 イスラム世界で接した親日感情 47

日本とアフガニスタンは独立記念日が同じ?/アフガン支援を止めなかった中村医師/イラ
ン人の親日感情/イランと日本の共通占/日本の中のペルシア文化/特別な友好関係にある
日本とトルコ/イスタンブールの「乃木通り」「東郷通り」  /旧ソ連イスラム系諸国でも

第3章 歴史の中で醸成された親日的心情 77

日上友好の礎となったトルコ軍艦救助/日露戦争勝利へ畏敬の念/日本での布教の先駆者だ
ち/日本車勝利に狂喜したエジプト国王/ヒロシマ・ナガサキヘの同情/インドネシア独立
戦争に参加した旧日本兵たち/ウズベキスタンで賞賛される抑留者たち/アルジェリア独立
と気骨ある衆議院議員/イランにタンカーを送り込んだ出光/サウジ国王と直談判した「ア
ラビア太郎」/先進国で初めてバングラデシュを国家承認/東南アジア諸国で圧倒的に高い
親日感情/トルコ、エジプトでも高い好感度/「帰らないで」デモが起こった自衛隊サマー
ワ活動/弱者を救済する日本

第4章 イスラムは暴力的な宗教か? 123

理想とされたイスラム共同体による統治/異教徒に対するイスラム帝国の行政/「イスラム
の家」と「戦争の家」/十字軍――歪曲されたイメージの始まり/オスマン帝国――キリス
ト教世界への重大な脅威/イスラムとヨーロッパの相克/「ジハード」の起源/暴力行使を
容認したハワーリジュ派/中世のイスラム過激田作想家/アラビア半島の復古運動ワッハーブ
/ナショナリズムに抗する汎イスラム主義/ 現代における改革運動としてのイスラム/イス
ラム過激派への評価とアルジェリア事件/ 「サダム・フセインは地獄に行きます」/「アラ
ブの春」、その後

第5章 遊牧民のもてなし文化 163

人懐っこく、気さくなムスリムたち/もてなしの原点、キヤラバンサライ/イラン人の親切
は家族を大切にする気持ちから

第6章 日本への注文 175

対イラン政策への提言/ソフトパワー行使の必要性/イスラムの習慣に不慣れな日本人/お
昼寝・ハラール料理・土葬/日本への期待 

第7章 中国、韓国との競合 197

最大のライバル・中国/サウジと中国との蜜月/メガープロジェクトに続々と参入する韓国
/日本にしかない最強のカード[皇室]

おわりに 216


第1章 イスラムの人々は義理・人情がお好き
p17-20 
サウジアラビアのテレビ番組「ハワーティル」は、日本の文化や日本人の生活様式をアラブ世界に紹介する番組だ。ハワーティルとはアラビア語で「改善」という意味で、二〇〇九年の八月から九月にかけてのラマダーン期間中に放映され、記録的な視聴率を上げた。この放映によって日本へのサウジアラビア人観光客が増加したという。番組のプロデューサー、アフマドーアルーシュガイリーさんはサウジアラビアの日本犬使から両国の友好関係を推進したとして表彰を受けている。
番組で日本の小学生たちが放課後、教室を掃除する光景を紹介したところ、大きな反響を呼び、サウジアラビアの一部の学校では教室の掃除を生徒たちで行うようになったという。
また、サウジアラビアと日本で、路上に財布を置いておいたらどうなるか、隠し撮りの実験が行われた。サウジアラビアでは、通行人が財布を見つけると、お金だけとって、去ってしまった。 一方、日本の通行人は財布を拾い、交番に届けたのである。
さらに、日本の電車やバスの「優先席」や街中至るところにある「ゴミを捨てるな」「スケートボードをするな」「大のフンを持ち帰社」など注意を促す看板が番組で紹介されると、「優先席などなくても日本人は席を譲るよ」、「街頭の注意がなくても日本人ならできるはず」というコメントが寄せられた。
ハワーティル
」では、アル・シュガイリーさんが日本人の道徳性と経済発展の秘訣を結びつけ視聴者に紹介している。また、彼は日本人の礼儀正しさはイスラムの原理と共通するものと見ている。
アラブ世界に住むたくさんのブロガー、思想家、作家、聖職者たちは、この番組を見て、様々な感想を寄せている。「中東・北アフリカは日本に感謝する」というウェブページを運営するサウジアラビアの女性ブロガー、「サミーヤ」は、
「私たちの第一歩は誤ったものを認めて修正することです。それを『
ハワーティル』が教えてくれました」と書いている。

UAEのムハシゾド・エル・ターイブさんは、
「二○三〇年のイスラム世界を決めるのは若者たちです。日本は古い伝統、習慣を維持しながら、急速な経済発展を実現しています。我々は日本を教訓にしなければなりません」 とコメントしている。
また、チュニジアのワファと名乗る女性は、
「アル・シュガイリーは、日本とアラブ世界の問題を比較し、日本人がいかに清潔で、規律正しく、迅速に行動するかを紹介しています。日本人が互いに尊重し合い、年長者を敬い、自らを大事にする姿勢に共感しました。また、アル・ンユガイリーは『日本は別の惑星』と言っていますが、人間とは常にこうあるべきで、日本人のように振る舞うことが世界をよりよいものにします」 と、日本人のモラルを絶賛する。
サウジアラビアのリームという女性は、
「日本人の行動はイスラムの訴える清廉さと結びつき、環境保全にも役立ちます」 とコメントしている。
さらに、サウジアラビアのマシヤアルというブロガーは、「『ハワーティル』を称賛するアラブの人々が、日本人の徳を実践していないのは残念です。ムスリムは日本を模倣するのではなく、ムスリム自身の道徳倫理をつくり上げましょう」
と呼びかけている。

 日本と共通するメンタリティ

イスラムの人々が日本人を評価するのは、彼らが理想とするような心意気や感情を日本人が備えていると見ているからである。ムスリムと日本人の人間関係で相通ずる考え方に、「任侠無頼」がある。
『広辞苑』によると、「任侠」とは、「強きをくじく気性に富むこと。また、その人。おとこだて」また、「侠客」とは「強きをくじき弱きを助けることをたてまえとする人。
任侠の徒。江戸の町奴に起源。多くは賭博・喧嘩渡世などを事とし、親分子分の関係で結ばれている。おとこだて」とある。




世界の安全保障に寄与する日本文化
p44-45
国際協力銀行の元行員は、
「世界で日本文化ファンを増やし親日国を増やしていけば、将来、もし日本が外国から危害を受けそうになったり、いわれのない誤解で非難を浴びても、『あの国や国民を滅ぼしたり、危害を加えたりしてはならない、日本や日本国民に限ってそんな行動をする訳がない』と、日本ファンの国の声が大きなものとなり、力となって、武力以外の外交の場で支援してくれます。茶道を含め世界に誇れる日本の文化をもっと発信して、外交カアップにつなげるべきです」と語っていた。

河野洋平元外相が提案した「文明間対話」プログラムは、イスラム諸国と極東との間の相互理解につながった。中東イスラム諸国の安定のためには、これらの国々の文化をよく知り、同時に日本の文化や伝統をよく知ってもらうことが重要だ。

中東イスラム諸国の人々の意識を紛争や暴力から遠ざけるためにも、先進国の中では特にこの地域で評判がよく、精神的な癒しを与えてくれる日本の文化を紹介することは有効である。湾岸諸国には、バングラデシュやパキスタン、インドなど南アジアからやってきた移住労働者も少なくないから、南アジアの安定にも役立つはずである。

二〇〇九年に行われたバングラデシュでの「人間の安全保障と日本」というテーマの会議では、日本のソフトパワーの行使による地域の安定化が議論された。平和で穏健なイメージを有する日本文化に対する関心が、紛争の絶えないイスーソム諸国で高まっていけば、なにかというと暴力に訴える急進的、原理主義的な考え方は国民から支持を得られず縮小していくかもしれない。日本文化という共通の関心が享受されれば、国としてのまとまりをもたらすことにもつながり、民族対立の緩和にも役立つ可能性があるだろう。

「帰らないで」デモが起こった自衛隊サマーワ活動
p117-120
 イラク戦争の際の自衛隊派遣は、「イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法」、いわゆる「イラク特措法」によるもので、活動の柱は人道復興支援活動と安全確保支援活勁であった。活動は「非戦闘地域」に限定されていたが、自衛隊創設後初めて、戦闘地域ではないかとの論議のある地区に陸上部隊を派遣した。

陸上自衛隊は「人道復興支援」のため、比較的治安が安定しているとされたイラク南部の都市サマーワの宿宮地を中心に活勤し、二〇〇六年七月に撤収した。陸上自衛隊によるサマーワでの活動の三本柱は「給水」「医療支援」「学校・道路の補修」の人道復興支援活動であった。

この陸上自衛隊のサマーワでの活動は現地住民の信頼を得るものだった。二〇〇四年一二月に自衛隊の宿営地にロケット弾が撃ち込まれ、自衛隊が撤退するのではないかという噂が流れると、自衛隊が帰国してしまうのではないかという懸念の声がサマーワでは聞かれるようになった。これを受けて一四〇人の市民からなるデモ隊が宿営地に押し寄せて、「日本の支援に感謝する」と主張して、自衛隊がサマーワに留まることを訴えるデモを行った。

二〇〇四年四月には二度自衛隊の宿営地にロケット弾が撃ち込まれていたが、「日本の宿営地を守ろう」というデモも繰り広げられた。

二〇〇四年一月に番匠幸一郎イラク復興支援群長がサマーワに着任すると、彼はサマーワの人々に「自衛隊がイラク人たちの友人としてやって来た。日本は、アメリカと戦い敗戦国になっても、世界第二位の経済国となった。古代メソポタミア文明から偉大な歴史を発展させてきたイラク人が日本のように、復興や発展ができないわけがない」と熱く語った。番匠群長はイラク人の民族的誇りに訴え、他国の軍隊が作業をイラク人任せにしたのに対して、自衛隊は群長など幹部までもがイラク人とともに日没を過ぎても復興活動を行った。

そうした日本の自衛隊員たちの真摯な姿がイラク人たちの心をとらえることになる。サマーワに展開した自衛隊はイラクが日本と同じアジアの国であることを強調したが、他方、イラク人たちの側には日本はイラクと同様にアメリカの軍事攻撃を受け、多大な被害をもたらされたという共通の意識があった。

現地紙の「サマーワ新聞」は自衛隊員たちのことを「高い倫理を保持した人々」と形容し、「日本人は高い文明を保持するとともに、他国の人々のことを尊重し、他国民の家庭や職業に敬意を払う立派な伝統をもっている」と絶賛した。

自衛隊のイラクヘの派遣については国の内外から批判の声も少なからずあった。

特にイスラム世界への欧米の軍事的進出に歩調を合わせるかのように自衛隊を送ったことについては、イスラム世界では否定的な思いのほうが強かっただろう。自衛隊のイラク派遣中にインドのデリーで講演を行ったことがあったが、ムスリムとともに、ヒンドゥー教徒の参加者だちからも自衛隊は直ちにイラクから引き上げるべきだという声もあった。

イギリスの植民地支配を受けたインド人からすれば、自衛隊のイラク派遣はかつてのイギリスのインド支配ともダブつたのかもしれない。結果的には、イラクで現地の人を誰一人殺傷することなく、肯定的な評価を受けたことで、自衛隊がイスラム世界での日本の否定的イメージをつくり出すことにはならなかったのだが、外部勢力の干渉を宗教感情からも嫌うイスラム世界への軍事的関与についてはやはり慎重であらねばならないと思う。
 弱者を救済する日本
p120-121
 紛争地帯の安定化に貢献するという意味では、パレスチナ自治区に対する次の事例のほうが参考になる。二〇一ー年一一月にイスラエルはガザを空爆したが、そのガザ支援でも日本の継続的努力が見られ、この平和的な関与は現地で高く評価された。日本は二〇一一年に、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)によって開業したガザ地区の保健センターに二〇〇万ドルの支援を行った。これはジャバリアとヌセイラト難民キャンプで活動を開始したものだが、ガザの一七万五〇〇〇人以上の難民に対する医療サービスを意味している。日本は二〇〇五年にもイスラエルのがず攻撃によって破壊された住民たちの家屋の再建に一五〇〇万ドルを拠出した。

二〇一二年現在、UNRWAの保健局長は日本人の清田明宏氏だが、センターの開業にあたって「ガザは数々の問題に直面しており、このような状況の中でUNRWAが中東において最も不利な立場にあるパレスチナ難民のためにこの二つの保健センターをオープンすることが出来るのは非常に光栄なことである。日本政府と日本国民からの寛人な協力に対し感謝の意を述べたい」とフィリッポーグランディUNRWA事務局長の言葉を伝えた。


イスラムは暴力的な宗教か? 

 「イスラムの家」と「戦争の家」
p132-134
 さて、軍事的拡大・発展を遂げたムスリムは、イスラム法の支配する地域を「イスラムの家(Dar Al-Islam)」と呼び、他方イスラム法の及ばない地域を「戦争の家(Dar Al-Harb)」と規定したひこのイスラム的世界観も杓子定規的に解釈すると、他の宗教との争いの種となる・というのも、「イスラムの家」に住むのは、ムスリムとイスラムの支配を認めたズィンミーとなり、多神教徒の存在する余地はない。「戦争の家」に住む人々は、ムスリムによって改宗を迫られても、改宗しない人々と定義されるのだ。

かりに「戦争の家」の指導者たちが降伏しない場合は、征服によって、改宗を行っても良いとされ、また「戦争の家」の指導者たちが改宗した場合、その支配する地域は「イスラムの家」になる。他方、不信心者によって占領された地域は、「戦争の家」となるっこの考え方を厳密に解釈すると、確かに、仏教徒、あるいは、神道を信じる人口が圧倒的に多い日本などは、「戦争の家」に属するということになる。

さらに、こうしたイスラムの二元的世界観に関連するのが、武装集団がしきりに唱える「聖戦(ジハード)」という概念であるo「ジハード」は「イスラムの家」を広め、防衛するための手段である。世界は、信心者と不信心者の闘争の場であり、信心者は神の道において戦い、また偶像崇拝を続ける不信心者と戦うの前述したように、イスラム共同体の使命とは、預言者ムハンマドとその支持者たちが説教、外交、戦争を通じて行ったように、神の支配する地域を広めることである。

また、イスラム法は、多神論者、背教者、ムスリム支配を拒絶する啓典の民、またムスリムの領土を攻撃するものに対する戦争を行うことをムスリムの義務と規定している。

そして、この「ジハード」において戦死することは、神への服従を証明する最高の形態とされ、殉教を意味するアラビア語の「シャヒード」は、信仰の告白を意味する「シャハダ」と同じ語源の言葉である。イスラムに内在しているこの教義は、非イスラム、特に偶像崇拝を続ける不信心者との戦いを規定しており、これがテロリズムを正当化する論理になっていることは間違いない。


 「ジハード」の起源
p140-142
 前述の「ジハード」という言葉は、元々信仰の道において努力するという「ジャハダ」という動詞から派生したものである。イスラムの宗教活動が自由に実行されていない制度を改善するという目的ももっていた。イスラムの布教活動(ダワ)は、本来自由なものでなければならないとされた。

イスラムは非ムスリムにたいして寛容で、イスラムを受け入れられるか否かはその非ムスリムの考えに基づくものである。イスラム側には、主体的な布教活動を行わなくても、平等や公平などを訴えれば、自然に信徒が増えるという自負がある。たとえば、インドの低いカーストの者たちは階級社会から逃れたくてイスラムに改宗していった。イスラムは、何の制約もなく、平和的にその呼びかけ盲布教活動)を行うことができると考えられている。

ところが、「アルカーイダ」など武装集団にとって「ジハード」とは防衛的なもので
はない。ジハードを防衛的なものとする思想家たちは、敗北主義者であり、イスラムを本質的に理解しておらず、本来、イスラムはその宗教が存在する地域だけを守るのではなく、可能な地理的範囲でイスラム的秩序を樹立し、イスラム誕生以前の「無明(ジヤーヒリーヤ)」(イスラムの誕生によってこの世に「光明」がもたらされたとイスラムでは考える)を打倒するものでなければならないというのが、武装集団の見方なのだ。

ジハードは無明を根絶することで、神聖な統治(=ハーキミーヤ)を樹立する。
かりに、現状の政府が彼らのイデオロギーを普及することを妨害するならば、現政権はジヤーヒリーヤの政府となり、攻撃する対象となる。思想や信条の普及は、イスラム過激派にとって重要なことであり、それを妨害することは彼らにとって敵対行為なのである。イデオロギーを普及する人々はイスラム過激派の活動の前衛にあり、人々に非人間的な状態を意識させ、人々を「タウヒード(統一)と正義に基づいて行動させなければならない。民族宗教ではありえない、世界宗教かつ一神教の論理が、ここに先鋭化して現れているとも言える。


 暴力行使を容認したハワーリジュ派
p142-143
 イスラムは政治性や社会性の強い宗教であるといえる。それは、ムハンマドがイスラムを創始した動機が政治や社会の改革を目指したものであり、彼が創始したイスラム共同体がムスリムにとって現代でも政治・社会・経済の規範となって機能しているからである。

たとえば、アメリカやイスラエルに対して、「ジハード」を説くオサマ・ビンラディ
ンの思想的背景には、イスラムの歴史が成立して以来の運動家や思想家たちの言説がある。イスラムの原点に回帰し、ジハードを訴える運動は現代になって突然現れたものではない。現代の過激派の思想は、腐敗した為政者、欧米の進出、イスラエル国家の問題、近代化によるアイデンティティの喪失など今日的な問題に語りかけているものの、その先駆となる思想はイスラムが始まった一四〇〇年前から現れているのだ。

彼らはイスラムに内在する教義を極端に解釈し、その目的のためには暴力の行使も考えられると訴えていった。
その端緒はイスラムのハワーリジュ派に見られる。彼らは第四代カリフのアリーの支持者であったが、ウマイヤ朝初代カリフのムアーウィヤと妥協しようとしたアリーと快を分かった後(「ハワーリジュ」とは「退去した者」の意味)、自らの独立したコミュニティーを創設した。そのコミュニティーは、コーランとスンナ(踏み均された道=慣行)に厳格に従い、彼らは預言者のムハンマドが行ったように「聖遷(ヒジュラ)」を行ったが、理想的なイスラム共同体の創設を目指し、急進的で、戦闘的なジハードを追求するようになった。当初は自らのコミュニティーに引きこもり、神の名において自らの拠点から「敵」に対するジハードを行った。

ハワーリジュ派は、善を行い、悪を禁ずるコーランの指令は、字義どおりに、厳密に、例外なく行われなくてはならないと考えた。この世界は「信仰」と「不信心」、「ムスリム(神への追従者)」と「非ムスリム(神の敵)」、「平和」と「戦争」に分けられる。

イスラム法に厳密に従わない行動は大罪である。こうした大罪を犯した者たちは不信心者となる。重大な罪を犯しか者は、背教者であり、悔い改めなければ、死に値するとハワーリジュ派は訴えたのだ。

佐藤 優 《「イラクISIS」を読み解く》 2014/06/19


(1)1月7~9日、フランスで連続テロ事件が起きた。以後、国際社会のゲームのルールが変化した。フランス政府はこの変化を冷静に認識している。

<【パリ共同】17人が犠牲になったフランス連続テロの始まりとなった週刊紙銃撃から14日で1週間。バルス首相は13日、国民議会(下院)で「フランスは『テロとの戦争』に入った」と演説し、治安対策を強化する方針を示した。国境を越えるイスラム過激派の脅威に対し、言論の自由を支持する各国指導者や市民の輪が広がったが、事件の全容解明や再発防止策の具体化は見通せない。

パリ警視庁では13日、死亡した警官を追悼する式典が行われ、出席したオランド大統領は「全フランスが苦痛を分かち合う」と哀悼の意を示した。その上で「自由のために一切の妥協を排し戦う」と述べた。(共同通信)>【注】

(2)バルス首相が強調するように、これは戦争だ。
連続テロ事件は、「イスラム国」(シリアとイラクの一部を占拠するイスラム教スンニー派過激組織)を支持するテロリストによって行われた。これは偶然ではない。
「イスラム国」は、21世紀に、唯一神アラーの法(シャリーア)だけが支配する単一のイスラム帝国(カリフ帝国)を本気で建設しようとしている。この目的達成のためには、平気で暴力やテロに訴える。そのための拠点組織が「イスラム国」だ。

(3)かつてコミンテルン(共産主義インターナショナル)は、世界プロレタリア革命を起こそうと真剣に考えていた。そのための拠点国家がソ連だった。コミンテルン本部は、モスクワ郊外に置かれた。この本部の指令に、各国に設置された共産党支部は従い、革命運動に従事した。

コミンテルンと類推させると、「イスラム国」のやっていることがよくわかる。「イスラム国」は、世界イスラム革命に本気で着手したのだ。
もっともソ連は、国際法を遵守する国家だと主張し、コミンテルンとは無関係だと主張した。

これに対して「イスラム国」は、国際法を完全に無視し、国際社会の秩序を直ちに覆そうとしている。

(4)世界イスラム革命の影響は日本にも及んでいる。
1月20日、「イスラム国」の構成員と見られる男が日本人2人の身代金を要求する画像がYou Tubeに流れた。

(5)安倍首相は中東を歴訪し、「イスラム国」対策として2億ドルを支援する、と表明した。その額と同額の身代金を、当初テロリストは要求した。

しかし、首相の中東訪問がテロ行為を誘発した、と見ると事柄の本質を捉え損ねる。日本人人質事件は、フランスの連続テロと同じ文脈で理解すべきだ。「イスラム国」は、暴力によって世界イスラム革命を実現しようと決めた。既存の国家秩序、国際法、普遍的価値観を遵守する日本も、欧米、ロシア、同様に打倒対象とされているのだ。

今回、首相が中東を訪れなかったとしても、いずれ「イスラム国」はこの種の脅迫を行ったはずだ。


執筆中


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イスラム国、「日本にとって悪夢の始まり」 後藤さん殺害動画
【AFP】2015年02月01日 08:56 発信地:ベイルート/レバノン

【2月1日 AFP】イスラム教スンニ派(Sunni)の過激派組織「イスラム国(Islamic State、IS)」は日本時間1日早朝、拘束していたジャーナリストの後藤健二(Kenji Goto)さんを殺害したとする動画をインターネットに公開した。

この動画では、イスラム国が殺害を予告していたヨルダン軍戦闘機パイロットについては言及されていない。

動画には、山を背景にオレンジ色の服を着てひざまずいた後藤さんと、その横にナイフを持って立つ覆面をした黒ずくめの男が映っていた。男は日本政府を非難して後藤さんを殺害すると話した。

男は英国風の英語を話しており、イスラム国がこれまでに公開していた人質殺害動画に登場した戦闘員と同一人物だとみられる。

後藤さんが着ていたオレンジ色の服は、キューバのグアンタナモ湾(Guantanamo Bay)にある米軍基地施設の収容者が着せられているものと似ている。過去の同様の動画でも殺害された人質たちは同じような服を着ていた。

黒ずくめの男は安倍晋三(Shinzo Abe)首相を名指しして、後藤さんの死は日本政府の「向こう見ずな決断」の結果であり、「日本にとって悪夢の始まり」になると述べた。

この短時間の動画は、切断された頭部が載せられたオレンジ色の服を着た遺体の画像で終わる。

米国家安全保障会議(National Security CouncilNSC)のバーナデット・ミーハン(Bernadette Meehan)報道官は、米政府は人質の殺害を強く非難するとともに、動画の信ぴょう性の確認を進めていると述べた。(c)AFP/Sara HUSSEIN


後藤さん殺害とみられる動画投稿、安倍首相「テロに屈しない」
【ロイター】2015年 02月 1日 10:08 JST

[東京 1日 ロイター] - 過激派組織「イスラム国」が日本人ジャーナリスト、後藤健二さん(47)を拘束していた事件で、犯行グループが1日午前5時過ぎ、後藤さんを殺害したとみられる動画をインターネット上に投稿した。

安倍晋三首相は午前6時40分から記者団に対し「非道、卑劣極まりないテロ行為に強い憤りを覚える」と述べた。中谷元防衛相によると、警視庁は映像の男性が後藤さん本人である信ぴょう性が高いと判断している。

自民、公明両党は同日午前、与党対策本部の会合を開き、在留邦人の保護と国内のテロ対策を徹底するよう政府に求める方針を取りまとめた。

安倍首相は「ご家族のご心痛を思うと言葉もない。政府として全力で対応してきたが、まことに痛恨の極みだ」と述べた。その上で「非道、卑劣極まりないテロ行為に強い怒りを覚える。テロリストたちを決して許さない。その罪を償わさせるため国際社会と連携していく」との方針を示した。

さらに「日本がテロに屈することは決してない。食糧支援、医療支援といった人道支援をさらに拡充する」と明言。「テロと戦う国際社会において、日本としての責任を毅然として果たしていく」との決意を示した。
また、今後とも国内外の日本人の安全に万全を期していく考えを示した。

菅義偉官房長官は同日午前6時、臨時に会見し、イスラム国に拘束されている後藤健二さんが殺害されたとみられる画像がインターネット上に投稿されたことに対し、卑劣なテロ行為であり、断固として非難すると述べた。

そのうえで「直ちに内閣危機管理監、国家安全保障局長に対し、関係省庁と連携して情報収集を始め、しっかり対応にあたるよう指示した。関係閣僚会議も速やかに開催する」と述べた。

同日午前7時過ぎから同会議が開催され、終了後に中谷防衛相は、警視庁外事課から、投稿された映像の男性が後藤健二さん本人である信ぴょう性が高いとの報告を受けたことを明らかにした。

投稿された動画では、安倍首相に対し「勝ち目のない戦争に参加するという日本の決定のせいで、このナイフは後藤健二を殺害するだけでなく、さらなる日本人の殺りくを引き起こすことになる」とのメッセージを盛り込んだ。

中谷防衛相は「このようなメッセージが出た以上、海外含めすべての日本人の安全に対応しなければならない」との認識を示した。

共同通信によると、与党の対策本部では、在外邦人の安全確認と国内のテロ対策徹底の必要性が議論され、政府にその徹底を要請することになった。公明党の井上義久幹事長は「テロ対策をしっかり取らなければならない」と語った。

岸田文雄外相は、記者団に対し、全在外公館に対し、在留邦人の安全に万全を期すよう指示する方針を明らかにした。

一方、オバマ米大統領は31日(米東部時間)、イスラム国による後藤さんの「凶悪な殺害」を非難した。そのうえで米国はイスラム国撲滅に向けた行動を継続するとの方針を示した。ホワイトハウスが大統領の声明を公表した。

大統領は「米国はイスラム国による後藤さんの凶悪な殺害を非難する。米国は、同盟国やパートナーとともに、イスラム国を弱体化させ、最終的には撲滅すべく、引き続き断固とした措置をとる」と強調した。
日本はテロに屈しない!

今回、後藤健二氏まで犠牲となってしまったのが残念でならない。覚悟はしていたが最悪の結末だった。

奥さんと、二人のお子さん次女三女、前々妻との間に生まれた長女その他関係者の皆様には非常に残念な結果となってしまったが、後藤氏は最後まで立派であったと、我々日本人の記憶に残った。

今回の日本政府の対応は間違っていなかった。非難すべきはテロしストであり、朝日新聞のようにまるで死刑囚を開放ししなかったヨルダン政府の対応を非難するようなことは、まともな日本人はけっしてしない。ヨルダン政府もきっと懸命に交渉したはずだ。私は、一日本市民として、ヨルダン政府には感謝を伝えたい、そして朝日新聞と言う日本の一部馬鹿新聞が不適切な表現を使ったことを日本人として恥じ、朝日新聞に代わって謝りたい。日本人とヨルダンとの信頼関係はきっとこれからも変わらないことを伝えたい。
◇イスラム国拘束で政権対応をツイッターで批判…
共産党の志位和夫委員長は26日の記者会見で、同党議員が「イスラム国」によるとみられる日本人人質事件の政権対応をツイッターで批判したことについて「政府が全力を挙げて取り組んでいる最中にああいう発信をするのは不適切だ」との見解を示した。

同党の池内沙織衆院議員(比例東京ブロック)がツイッター上で25日に「国の内外で命を軽んじ続ける安倍政権」などとつぶやいたが、志位氏の発言を受けて削除し「不適切と考え削除した。お詫(わ)びします」と謝罪した。

野党各党は政府の対応を見守る姿勢だが、生活の党の小沢一郎代表が25日放送のNHK番組で「安倍さんがあっち(中東)まで行き宣戦布告とも言えるような話をした。日本も敵と捉えられてもしょうがない」と批判している。【田所柳子】
共産党の志位委員長のまとも過ぎる対応に爽快な感じがした。

後藤氏は「何があっても僕の責任だ」とビデオに残して行った。政府もきっと頑張っていたと思う。政府は昼夜を問わずに通常国会が始まったばかりにもかかわらず、懸命に対応していたと思う。今、政府を責めても後藤氏は生きて戻っては来ない。

共産党池内参議院議員や、民主党徳永エリ参院議員、元官房副長官補の柳澤協二氏、そして売国奴の山本太郎参議院議員、小沢一郎衆議院議員が、自分達の発言がテロリストに利することを知ってか知らずか意図的か安倍政権を批判するコメントをした。日本人2人をなんとか解放したかった。だが、身代金を支払えば、次のテロの資金を与え新たな犠牲者を生むことにつながる。安倍首相の難民問題を抱える中東諸国の支援表明を批判する人は、テロリストの「恐怖感を与え、人を操ろう」という狙いにはまってしまった愚かな人間なのだ!

責められるべきはテロリストたちだ。今、後藤氏が死亡したことを利用して安倍政権を非難することは、テロリストに迎合する行為だ。それは死んだ後藤氏が一番いやがる行為のはずだ。

今回の事件で思ったのだが、日本のバカッター達いや無意識の結果愛国者達の クソコラ攻撃がテロリストには堪えたようだった。

日本人は敬虔なイスラム教徒とテロリストを区別して攻撃したことが素晴らしかった。フランスの風刺新聞シャルレがイスラム教徒やアッラーやモハメッドを題材になんとも下品で、笑えない漫画であったのに対し日本のクソコラは、最初から一定の線引きを秩序正しく行われていた!バカッターといえども日本人であり、誇らしい感じがした。

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テロリストが一番嫌がるのは、テロリストとイスラム教徒に明確な境界線が引かれることだろう。敬虔なイスラム教徒はISISに嫌悪感を抱き始めている。

アメリカNYでも同時多発テロの直後、イスラム教徒すべてがテロリストであるといった風潮が米国内にあったようだが、今の日本ではそんなバカはほとんどいない。
日本は自由な信仰と宗教が憲法で守られている国でり、国民も関わらない限り、他宗教には寛容だ。日本人はテロリストと敬虔なイスラム教徒の方々が全く別であることをしっかりと理解している、今後日本ではイスラム教徒が謂れなき迫害を受けることはないことを示し、テロリストと敬虔なイスラム教徒の分離をするであろう。

テロリストの行動は「恐怖させる」ことを目的としている。テロリストの行動原理は、自分をかまってほしい、為に相手を攻撃し、要は自分を認めてほしいだけだ。
相手にする必要はない。日本人は敬虔なイスラム教徒と連帯することで、テロリストを追い詰めるであろう。

日本にとって悪夢の始まりとの一方的な声明がなされた!日本人を対象にした新たなテロ事件、日本人に対する殺害を警告するメッセージも含まれており、テロリストの入国阻止、水際作戦をしっかり行う必要がある。

安倍政権は昨年7月、集団的自衛権の行使を可能性にする憲法解釈の変更を閣議決定した。①日本の存立が脅かされ、国民の生命、自由と幸福の追求権が根底から覆される明白な危険がある、②日本の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がない、③必要最小限の実力行使にとどまる──の3条件を満たせば武力行使をできるとした。

政府はこの閣議決定にもとづき、実際に自衛隊が動けるよう新しい安保法案を作成中。1月末に始まる通常国会に提出する予定にしている。次、日本人に危害が加えられた時、自衛隊の特殊部隊を派遣することも視野に入れるべきではないだろうか!
後藤健二さんのご冥福を祈る。
後藤健二さんの妻は1日、英国のジャーナリスト支援団体を通じて声明を出した。内容は以下の通り 


健二が死亡したとの知らせを受け、私と家族は打ちのめされています。彼は私の愛する夫であり、かわいい2人の子供の父親だっただけではなく、親や兄弟がいて、世界中には多くの友人がいました。

大きな喪失感を覚える一方で、私はイラクやソマリア、シリアのような紛争地域で人々の苦境を伝え続けた夫を誇りに思っています。彼は戦争の悲惨さを伝えるため、とくに子供たちの目を通して市井の人々に与える影響に光をあてることに情熱を傾けました。

この非常に厳しい数カ月に、私や家族を支援してくださった方々に感謝を申し上げます。

いまは家族にとってとても苦しい時であることはおわかりいただけると思います。メディアの皆様には私たちのプライバシーを尊重し、夫の死を受け入れられるまでの時間を与えて下さるようお願い致します。





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後藤さんの妻が初めて声明、「これが最後のチャンス」
【ロイター】2015年 01月 30日 13:42 JST


[東京 30日 ロイター] - イスラム国に拘束されているとみられる後藤健二さんの妻が29日夜、報道機関向けに音声と文書を公表し、日本・ヨルダン両政府に後藤さん解放に向けた取り組みを訴えた。
英語の音声で妻は「今まで公に話をしてこなかったのはメディアの注目から子どもと家族を守るためだった」とし、これが「(後藤さん解放の)最後のチャンスになるのではないか」と不安を抱く現在の心境を吐露。夫妻の間には2人の娘がおり、後藤さんが旅立ったときに次女は生後3週間だったことも明らかにし、「2人の子供には父親のことを知って成長してほしい」とも語った。
後藤さんの妻は、昨年12月2日に犯行グループからメールを受け取り、夫が事件に巻き込まれたことを知ったという。2億ドルの身代金を要求する映像が公開された1月20日以降は、犯行グループとの間で数回メールをやり取りするなど、「解放のため舞台裏で努力を続けてきた」としている。
また、「夫の解放とヨルダン軍パイロットのカサスベ中尉の命を守るには数時間しか残されていない」とし、「2人の運命はヨルダンと日本両政府の手中にあると理解してほしい」と両国政府に協力を要請した。
子ども時代は家族でヨルダンに住んでいたこと、 アンマンの学校に12歳まで通っていたことも明らかにし、「ヨルダンとヨルダンの人たちに愛着と懐かしい思い出がある」とも語った。
菅義偉官房長官は30日、閣議後の記者会見で、イスラム国に拘束されているとみられる後藤健二さんの解放に向け、「ヨルダン政府としっかりと連絡を取っている」と、これまで通りの見解を繰り返した。
ヨルダン政府によると、同じくイスラム国に拘束されているパイロットの生存確認もできておらず、後藤さん解放に向けた事態打開の糸口は見えていない。
犯行グループが29日午前に発表した声明では、ヨルダンで収監中のサジダ・リシャウィ死刑囚をトルコ国境まで連れてこなければ、ヨルダン人パイロットを殺害するとされていた。日本・ヨルダン政府が協議を重ねてきたものの、期限とされていた同日日没(イラクのモスル時間)は過ぎ、依然して後藤さんとパイロットの安否は不明のままだ。

後藤さん妻、解放求める音声メッセージ公開
ヨルダンで12歳まで過ごした妻の望みとは?
【東洋経済オンライン】 2015.1.30




私の名前はリンコです。シリアで捕らえられたジャーナリスト、後藤健二の妻です。彼は2014年10月25日、私の元からいなくなりました。それ以来、私は彼の解放のため、舞台裏で休むことなく働き続けてきました。

My name is Rinko. I am the wife of Kenji Goto, the journalist who is being held by a group in Syria. He was taken from me on 25 October 2014, and since then I have been working tirelessly behind the scenes for his release.

私は今まで声明を出すことを避けてきました。なぜならば、健二の苦境に対するメディアの注目が世界中で騒ぎ立てられています。私は自分の子供と家族をそこから守ろうと考えていました。私たち夫婦には、2人の幼い娘がいます。私たちの娘は健二が日本を離れた時には、わずか生後3週間でした。私は、2歳の上の娘が再び父親に会えることを望んでいます。2人の娘が父親のことを知りながら、成長していくことを望んでいます。

I have not spoken out until now as I have been trying to protect my children and family from the media attention Kenji's plight has created around the world. My husband and I have two very young daughters. Our baby girl was only three weeks old when Kenji left. I hope our oldest daughter, who is just two, will get to see her father again. I want them both to grow up knowing their father.

私の夫は善良で、正直な人間です。苦しむ人びとの困窮した様子を報じるためにシリアへ向かいました。健二は、湯川遥菜さんの居場所を探し出そうとしていたと推測できます。私は遥菜さんが亡くなったことに、非常に悲しい思いをしました。そして、彼の家族の悲しみを思いました。家族の皆さんがどれだけつらい思いをされているかがわかるからです。

My husband is a good and honest man who went to Syria to show the plight of those who suffer. I believe that Kenji may have also been trying to find out about Haruna Yukawa's situation. I was extremely saddened by the death of Haruna and my thoughts go out to his family. I know all too well what they are going through. 

12月2日、健二を拘束したグループからメールを受け取ったとき、健二がトラブルの中にあることを知りました。1月20日、私は湯川遥菜さんと健二の身代金として2億ドルを要求する動画を見ました。それ以来、私とグループとの間でメールを何回かやりとりしました。私は、彼の命を救おうと戦ったのです。

I became aware that Kenji was in trouble on 2 December when I received an email from the group holding Kenji.On 20 January, I saw the video demand for $200 million for the lives of Haruna Yukawa and Kenji. Since then, there have been several emails between the group and me as I have fought to save his life.



20時間ほど前に、誘拐犯は私に最新の、そして最後の要求と見られる文章を送ってきました。「リンコ、お前はこのメッセージを世界のメディアに対して公表し、広げなければならない。さもなければ、健二が次だ。29日木曜日の日没までに健治と交換するサジダがトルコ国境付近にいなければ、ヨルダン人パイロットを即座に殺すつもりだ」。

In the past 20 hours the kidnappers have sent me what appears to be their latest and final demand. It said: 'Rinko, you must publicise and expose this message to the world media now otherwise Kenji will be next. If Sajida is not on the Turkish border ready for the exchange for Kenji by Thursday 29 Jan at sunset, the Jordanian pilot will be executed immediately.'

これは私の夫にとって最後のチャンスであり、彼の解放と、ムサス・カサスベさんの命を救うには、あと数時間しか残されていないことを心配しています。ヨルダン政府と日本政府の手中に、二人の運命が委ねられていることを考えて欲しいと思います。

I fear that this is the last chance for my husband and we now have only a few hours left to secure his release and the life of Lieutenant Muath al-Kaseasbeh. I beg the Jordanian and Japanese Government to understand that the fates of both men are in their hands.

同時に、私はヨルダン政府と日本政府のすべての努力に対して感謝しています。ヨルダンと日本の人々から寄せられる同情に対しても感謝しています。私が小さかったころ、私の家族はヨルダンに住んでいました。そのため私は12歳になるまで、(ヨルダンの首都である)アンマンの学校に通っていました。だから、私にはヨルダンとヨルダンの人々に対して、特別な感情を持っており、多くの思い出があります。

I thank the governments of Jordan and Japan for all their efforts. I thank the people of Jordan and Japan for their compassion. My family was based in Jordan when I was young, and I went to school in Amman until I was 12 years old, so I have great affection and fond memories of Jordan and its people.

最後に、私は、私と娘たちを支えてくれた、私の家族、友人たち、そして健二の同僚に感謝しています。私の夫と、ヨルダン人パイロット、ムアス・カサスベさんの無事を祈っています。リンコ

Lastly I thank my family, friends and Kenji's colleagues for the support they have shown my daughters and me. I pray for the lives of my husband and the Jordanian pilot Lieutenant Muath al-Kaseasbeh. Rinko.

このニュースをTVニュースで観た時は12歳までアンマンで育ったとのメッセージがあり、後藤さんの妻はヨルダン人ではないかと思った。だが、彼女は日本人で城後倫子さんという。ネット上の情報が真実だとするならば、世田谷区の進学校(学芸大附属?)卒東大96年卒 東大大学院工学研究科都市工学専攻JICA職員だそうだ。 41歳前後 産休中2歳と0歳児の母と推定されます。

東京大学大学院工学研究科都市工学専攻 国際都市計画・地域計画研究室
1999(平成11)年度修士論文
http://www.urban.t.u-tokyo.ac.jp/t_mt.html
城後倫子 「フランスの都市計画制度について-国土・地域計画の変遷-」
http://cache.yahoofs.jp/search/cache?c=yB8kRDFowOQJ&p=jogo+rinko+facebook&u=https%3A%2F%2Fwww.facebook.com%2Fpublic%2FRinko-Jogo 

http://sekiray.blog.so-net.ne.jp/_images/blog/_f8e/sekiray/m_E382ADE383A3E38397ewewewE38381E383A3-4f104.PNG尚、ネット上で流れている顔写真はで別人のようだ。Yahooニュースの後藤さん妻、解放求める音声メッセージ公開 東洋経済オンライン 1月30日(金)1時45分配信の写真が独り歩きしてしまったようです。因みにロイター(英文)に後藤健二氏には城後倫子さんと以前に結婚した女性との間に娘(he has  an older daughter)があるとも書いてある。ネット上の情報では翻訳家の前々妻との間に中学生の娘があるとされる。

話が逸れてしまったが、ロイターを通じて、後藤健二さんの妻城後倫子さんの音声が報道されました。イスラム国の強要でやむを得ず公表せざるを得なかったと思います。

夫を誘拐された日本人女性としては非常に知的で健気に振る舞っており、Rinkoのリンは「凛とした」の「凛」で「凜子」かと思いました。
私は自分の子供と家族をそこから守ろうと考えていました。
息子の命を二の次で反原発・平和憲法を記者会見で主張した後藤健二氏の 実母石堂順子と比べなんと差があるのであろうか!

それにしても、小さい子を抱え夫と音信不通となりイスラム国から家族を誘拐したと脅迫メールを受信したならば如何に振る舞うべきか途方に暮れてしまうだろう。

もしかしたら、20億円という全く交渉不可能な金額であったことが幸いしたかもしれない。2000万円だったら出すことが可能な家庭であったら、政府公安当局と相談しない選択肢もなくは無かったろう。だが、如何なるルートかは不明だが、政府と相談したと思う。また、政府とは別にISISと解放交渉を続けていたようだ。

倫子さんの訴えは私の心に響いた、二児の幼い娘を抱えた女性としては立派なものだ。私は倫子さんを支援したい。倫子さんのメッセージは心に響いた、後藤健二氏が出来れば無事に帰ってほしい・・・・。だが、テロリストに日本側は一切妥協すべきではなく、妥協するのであれば後藤健二氏が死んでもやむを得ない、いや、サムライとして立派に名を残し散ってこいとも考えている。

私は心が冷たいのであろうか?いや、後藤健二氏も倫子さんも、もしかしたら、心の奥底では覚悟はできているかもしれない。テロリストを利するくらいなら死んでも良いと考えているのではないだろうか?倫子さんの音声メッセージはヨルダンへの巨額の追加援助と引き換えで、後藤氏とヨルダン人パイロットとのサジダ死刑囚との交換もやむを得ない気持ちにさせてしまう。妥協が成立すればISISの情報戦略の勝利でありテロリストの勝利になってしまうかもしれない。

もし、テロリストが日本に拘束した航空自衛隊パイロットと交換で麻原彰晃の釈放を求めたとしたら、日本国民はどう思うであろうか?飲めない相談だ・・・・

わたしは、無責任だが生存に楽観的に考えている。そう簡単に後藤健二氏を殺害しないと思う。ISISの先輩テロリスト国家北朝鮮の日本人拉致事件のこともISISは理解しているかもしれない、後藤氏殺害の期限とされた1月28日、複数メディアから、「死刑囚釈放に合意した」など、交渉進展に関する報道が流れた。交渉の時間稼ぎを狙ってヨルダン側が流したのかもしれないし、ヨルダン国内の反応を見るためイスラム国側が流したのかもしれないISISは人質を躊躇なく殺害してきた、過去に自ら設定した殺害期限を変更したことがなかった、要求を繰り返して、数度期限を延ばすことを彼らはしていない、異例の対応だ。

パイロット救出をめぐり政府への不満がくすぶるヨルダン国内を見据え、パイロットの早期殺害をほのめかす一方、後藤氏とサワディ死刑囚の交換のみに言及するタフな交渉テクニックで、ヨルダン国内の混乱を狙っているかもしれないのだが、ISIS側も崖っぷちなのだ!

石油が暴落したがゆえ、軍資金が尽きかけてきている。軍事的にも、現在ISISは各地での戦闘に敗れて守勢になってきた。戦闘スキルのあるベテラン兵士は米機のピンポイント空爆で爆死してしまい、クルド人にすら勝てなくなってきた。純粋にイISISに共感してやって来た殉教戦士もいるが、単に金目的や戦闘狂のような偽りの殉教戦士もいる。そこで、戦局の打開策として2014年末から「自爆特攻」を採用しはじめた。当然脱走が相次ぎ、ISISは、2014年後半だけでも、100人以上の脱走戦士を処刑している。皆、幻滅したのだ。

ISIS内部では危うい統治が行われている。ISISは人数を増やしたことで単純に食糧難にみまわれている。人道支援団体のメンバーすらみさかいなく誘拐処刑するので、どこからも食糧が得られなくなっている。それ以上にISIS内では戦士の性欲処理が大問題になっているらしい。

東スポの記事だが報道カメラマン横田徹氏によればラッカで暮らす男たちの問題はオンナだそうだISISの首都ラッカでは、女性が少なく、売春施設は厳しい取り締まりの対象で、婚前交渉も禁じられた文化なので、セックスしたければ結婚するしかない。だから女性と強引に結婚する例も多い。身の危険を感じた女性はどんどんイスラム国から逃げていく。逆に世界中から志願兵の男たちが次々と流入してくる。同性愛も禁止されている。ISISが大量に女性を誘拐したり、結婚強要する理由もわかる。

スンニ派住民は、当初ISISの統治を歓迎していたようだが、ISIS戦士との結婚を拒否した女性を150人以上殺害するなどあまりな虐政に耐え切れず、地元部族も叛旗を翻しはじめた。ISISは瓦解寸前なのである。資金源を絶てば内部崩壊して統制も失い自然消滅するかもしれない。

現在イスラム国に関するある予言がアラブ系メディアで話題になっている。
【アクチャカレ(トルコ南部)=内藤泰朗】イスラム教の預言者ムハンマドが約1400年前、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」の出現を言葉で“予言”していたとして、アラブ系の大衆メディアで話題になっている。

それによるとムハンマドは「終末の日が近くなると、東から黒い旗を掲げた者たちがやってきて、“救世主”を名乗るだろう。しかし、彼らは救世主ではない。彼らは消滅する」との内容の予言を残したという。

イスラム教徒の有識者たちは大衆メディア上で、この「黒い旗を掲げた者たち」をイスラム国と見立てた上で「悪魔だ」とし、預言者の伝承には「それを追う者たちは地獄に落ちる」とされていると強調、イスラム国とは距離を置くよう呼びかけている。

ムハンマドは、アラビア半島の町メッカに生まれ、イスラム教では、モーセやイエスといった預言者の系列で「最後の預言者」とされる。ムハンマドに下された啓示は後にイスラムの聖典コーランとして集成された。
こんな噂が流れるぐらいであるから、ISISは弱体化しつつあるのだろう。

我々はもう少し妥協せず交渉を引き延ばすことに努力すべきだろう。時間を引き延ばせば・・・・あるいは後藤健二氏は生還できるかもしれない!

もし、後藤健二氏が生還できたのならば、日本政府が勝利したのではなく、日本のバカッター達 無意識の愛国者達がクソコラを作ってISISのツイッターに投稿して勝利したと後世の歴史家は分析するだろう。#クソコラはナイフより強し!


テロリストは人命を人質にとって脅迫しているのに、脅迫した国の国民が怯えるどころか不謹慎極まりないクソコラを投稿してくる。プロパガンダとして利用していたはずのツイッターで、逆にテロリストは単なるピエロにされてしまったのだ。イスラムテロリストと日本とはほとんど関わりが無く、その日本人を人質にとる事に対するクソコラの反撃は、テロリストのプライドを傷つけるものだ。真面目に議論しても議論が成立しないテロリストに対しては非言語的手段で笑いものにすれば彼らは自らの存在意義を失わさせることができる。

イスラムテロリストをクソコラで、もの笑いにする事で世界でのイメージダウンはISISにとって致命傷になったと思う。かつては中国の反日デモ騒動の際、中国のサイトにクソコラやアイドルの写真を送りつけて中国人をおちょくりまくり、中国のプロパガンダをクソコラでもの笑いにした。

テロリストの予想を上回る異次元からの日本からの反撃は間違いなく何がしかの効果はあったと考えても良いだろう。湯川さんは殺害されてしまったが、身代金要求はなくなり、人質交換に戦術を切り替えた。ソーシャルネットワークでイメージ戦略を駆使していたテロリストにとって、日本のオタク文化から不謹慎なクソコラ攻撃は確実に致命的なイメージダウンを与えたのだ!








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湯川氏が殺害された可能性が極めてたかくなった。日本国は断固たる措置をとるべきである。 

2人の日本人の解放に2億ドルという法外な身代金を要求してきたISISは、これによって世界各国の関心を引きつけることに成功した。元々法外な身代金は最初から受け取るつもりもなかったが、ひょっとしたら日本は払うのではないかと考えたかもしれない。だが、日本人のほとんどが、一部の山本太郎のようなアナキストや中朝韓工作員(左翼)を除いて、自己責任であるっから払うべきではないという世論が圧倒的多数を占めた。テロリストは日本の世論の反応に驚き高額の身代金は諦めたのであろう。

恐らく彼らの最大の目的は、戦闘員や賛同者、協力者のリクルートのための宣伝にあったのであろう、この目的はある程度成功した。故に、身代金の要求は引き下げたのかもしれないが、とりあえず湯川氏を区切りとして殺害したのであろう。

安倍首相を目の敵にする中朝韓工作員(左翼)は湯川氏が殺害されたことについて「首相責任論」を言い出している。後藤氏の安部首相が湯川さんを殺したというメッセージは、テロリストに強要されて文章を読まされたものである。

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息子の解放を求める記者会見で後藤氏の母親は息子の解放より反原発を主張する狂った会見を行った。中朝韓工作員(左翼)や野党、原発反対の日本の中に巣食う反安倍勢力は、今回の事件を首相責任論にすり替えようしている。

首相責任論の主なものは、日本人二人が拘束されているにもかかわらず、この時期わざわざ中東にでかけエジプトでの支援表明で敢えて「ISIS対策として」と言明してISISを刺激し、今回の事態を招いた」として、2億ドルの支援を留保すべきという意見だ。

はたして2億ドルを留保すれば人質が解放される保証があるのか?そもそもISIS側は2億ドルの支援の留保を要求していない。まったく無意味だ。中朝韓工作員(左翼)が唱える首相責任論はテロリストを利するだけだ。首相責任論を唱える者はテロリストと共謀関係にあると言える。

安倍首相が辞任することが人命救助につながると主張バカもいるが、ISISが納得するわけもなく、脅され首相が辞任していたら、隣の某キチガイ国のように性質が悪い反日国家がもう一つできてしまう。www

首相責任論は間違っている。事件の本来の責任がテロリストなあることを軽視している。特に憲法九条信者の首相責任論には、戦争に関わり安倍首相は戦争がしたくてならないなどと・・・呆れかえる主張をする者がある。

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首相責任論を展開するする者は、テロが憲法九条がなんの役にも立たないことを棚に上げ、筋違いな安倍批判ををしているのである。
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世界全体にテロの脅威が高まるなかで、ひたすらイスラム諸国に関わらなければ安全と考えることは、自らの置かれている立場と眼前の脅威から目をそむける「思考停止」ぷりはダチョウ並みである。ヤーッ!

彼らは体の大きなダチョウが、身に危険を感じた際に砂の中に頭だけをうずめ、安全な場所に隠れたつもりになっているオストリッチコンプレックスostrich complexそのものである。

イスラム国の台頭は輸入原油の8割以上をこの地域に依存する日本にとって、中東情勢は無縁でではない。テロを無視し中東訪問を延期することもテロリストを増長させることにかわりない。

日本が中立的な立場で中東にアプローチすることはできない。日本の支援は非軍事的な人道支援が中心だが、現代の国際協力や援助では、紛争地帯で、援助関係者は丸腰で中立的な立場でいた方が安全だが、現代のテロ組織はそういったことへの配慮はほとんない。実際、援助関係者への襲撃は、ISISだけでなく世界全体で増加傾向にある。

テロリストは相手を選ばない、1997年日本人10名を含む観光客63名が殺害されたルクソール事件のような事件が海外、特にヨーロッパや中近東で発生し日本人が犠牲になりる可能性はある。いつ、在外邦人が巻き込まれるかも分からない。

欧米諸国ではイスラム国から帰国した協力者、賛同者によるテロ活動が頻発してる。だが日本の総人口に占めるムスリム比率は0.2%程度(信者数25万人)である。日本人はムスリムの人達を差別していない。ISISに共鳴しているムスリムなど居るはずもなく、日本国内でのテロ発生の可能性は低いだろう。そして日本ではISISに参加しようとする若者を生み出す社会的不公正という土壌は少ない。

国家には本来、国民を保護する責任がある。一昨年ジャーナリストの辛坊治郎氏がヨットで遭難し、救助費用が1千万円超だったそうだ。救助にかかった費用は辛坊氏はおそらく払っていない。(ちなみに、辛坊氏は、04年、イラク武装勢力による日本人拘束事件において、拘束された日本人に対し自己責任、自腹を切れと言っていました。)海難事故は国家が費用負担をする。一方雪山遭難などで捜索隊が出た場合、事後に個人や家族に費用弁済が請求されますが、その弁済請求の良し悪しはともかく、少なくとも一旦公共機関によって、その安全が確保される範囲内で対応される。後藤氏と辛抱氏では個人的には後藤氏を助けたい。国民の生命が危険にさらされているとき、国家がそれを黙殺することもまた許されないかもしれない。

とはいえ、国家の責任が無制限でないことも確かだ。「身代金を払えば次の誘拐を招く」という論理は間違いない。特に近年、テロ組織にとって誘拐は一種のビジネスだ。ISISの場合、国連の報告書によると、2014年の一年間で53億円の身代金を得ている。米英が身代金の支払いに否定的なことは、不思議ではない。今回の事件でも、米国は身代金を支払わないよう、日本政府に求めてきている。

今回、危険を承知して自分の意志で行ったのだから、それが拘束されたからといって、政府が方針を変更するのはおかしい。身代金を払うこともないのは当然だが、本来、責任を追及すべき対象が、人質をとった側にあることはいうまでもない。今回の場合、2人の日本人がシリアに赴いたことは、今回の出来事が発生した「原因」の一つだが、「だから何をされても文句をいえない」という自己責任論では、テロリストの責任を減じ、結果的にはこれを擁護することになってしまう一面もある。

テロリストとの交渉を拒絶する米英の国民が、イスラム国によって誘拐された場合、やはり誘拐された他の国民より多く殺害されてきたこともまた否定できない。米英は部隊を派遣して人質を奪還する能力があるが、日本は単独での作戦は法的にも装備的にも実現不可能だ。

安倍首相の外交方針や理念に賛同するか否かにかかわらず、軍事活動に制約のある日本にとって、全く独自の行動をとることが実際に難しいことを踏まえれば、少なくとも当面は、基本的な立ち位置に沿って欧米諸国やそれと近い立場の政府との関係に基づいて、必要に応じてそれらの部隊の警護のもとで援助を提供するしかない。

今後の日本における危機管理体制の構築という観点から、今回の事件が安倍首相の安全保障政策をより強固にする公算は大きい。将来的にこういった事件が発生した場合、日米は協力して特殊部隊を派遣できる選択肢を選ぶかもしれない。

湯川氏は元々死地を探してのシリア入りであったので殺害されても本望だろう。
だが、ジャーナリストの後藤氏は家族もあり幼い娘さんたちの為になんとしても生きて帰ってきてほしい。もし、この上 後藤氏が殺害されたとしたら、周辺諸国に人道支援以外にイスラム国攻撃用軍事費用の提供を表明すべきであろう。

日本が直接的にISISを爆撃したり、自衛隊の特殊部隊を送り込み人質奪回作戦をすることは現実問題装備の問題や、憲法九条が足かせとなって実現不可能でる、しかしながら日本は黙ってテロリストの暴挙を容認してはならないのである。

こうなれば2億ドルで傭兵を雇い奪還部隊を編制して奪還作戦を行ってはどうだろうか?湯川さんの軍事会社も一枚かませることで湯川さんの家族も金銭的に潤う。
実現するには問題もあるが、傭兵部隊は世界各国から募集し選抜し、一定期間の訓練の後、米国、イラク、トルコ、ヨルダンの周辺政府にも協力を要請することでどうであろうか?話は少し脱線するが自衛隊OBで任務に適した知人がいる。彼の話が本当であるなら彼は一度イラクにPKO部隊派遣前に極秘裏に派遣され戦闘経験があるのだが・・・残念ながら現実的な選択肢ではない。

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昨日の私の記事「#ISISクソコラグランプリはテロリストに対する日本国民からの回答だ!」についてだが、ISISイスラム国)に対する#ISISクソコラグランプリ攻撃が当初、日本人や非日本人からコラ画像を作って投稿する日本人は信じがたいほどモラルが低いと評されていた。ところが、盛り上がるにつれ、逆に海外からの評価を得るようになってきたようだ

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覆面男ジハーディ・ジョンのセルフカット

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そこで,いくつかの英字メディア,ジャーナリストの反応を紹介する。

なお,和訳は私が簡易に仮訳を付したものであり,誤訳等があるかもしれないことを前提に読んでいただきたい。

日本のツイッター利用者がイスラム国にコラージュ画像で対抗(Japanese Twitter Users Stand Up to ISIS with...a Photoshop Meme) 」と題した英字記事は,各コラージュ画像を紹介した上で,次のとおり指摘する。                 
いくつかのコラージュ画像をみると,ツイッター利用者が単にテロリストによる身代金要求という状況を軽視し,ふざけているだけなのかは判然としない。

他方で,日本人のツイッター利用者は,コラージュ画像で,イスラム国をからかっているように見える。

人質の命を軽んじ,呑気過ぎるのではないかという懸念があるのは明白である。

しかし,日本のツイッター利用者は,恐怖を通じて人々をコントロールしようというテロリストの手法に対し,ユーモアで対抗しているのではかなろうか。

(With some of the Photoshops, it's unclear if people are simply making light of the situation. In others, it does appear that they are poking fun at ISIS. The concern, obviously, is that people might seem too light-hearted about the lives of these men. Or perhaps, they're using humor to resist being controlled through fear?)

【中略】

はっきりしていることは,日本のツイッター利用者が日本政府に対し身代金を支払うように圧力をかけろというテロリストの要求に対して,それを拒否しているということである。

(What is clear, however, is that there are some Twitter users refusing to bow down to demands that they pressure the Japanese government to pay up. For now, that is.)


このように,全面否定することなく,客観的な視点から分析し,肯定的な面を指摘しているのである。

また,アメリカのNBC Newsの電子版も「日本のツイッター利用者がインターネット画像でイスラム国を嘲笑う(Japanese Twitter Users Mock ISIS With Internet Meme)」と題し,この現象を紹介した上で,次のとおり指摘する。

日本のツイッター利用者は,日本人人質事件において,全国的なコラージュ風刺画像を用いた戦いで,イスラム国を嘲笑うことで反抗している。

(Japanese Twitter users are defying their country's hostage crisis by mocking ISIS with a nationwide Photoshop battle of satirical images.)

【中略】

ソーシャルメディア分析会社のTospy社によると,「ISISクソコラグランプリ」という日本語のフレーズは,この1日,2日で,6万回以上もツイッター上で言及されているという。これらのつぶやきでは,イスラム国の様々な人質映像の一部を切り取り,面白おかしく日本のゲーム文化の画像などとともに,多くが加工されている。

(The phrase, which loosely translates to "ISIS Crappy Photoshop Grand Prix," has been mentioned more than 60,000 times over the past few days, according to social analytics company Topsy. These tweets include screengrabs from various ISIS hostage videos photoshopped in comical ways, and many of the images reference Japanese gaming culture.)


このとおり,アメリカの大手メディアも必ずしも否定的には報じていない。

さらに別の英字メディアは,「日本の馬鹿げたイスラム国のプロパガンダに対する対応は,アメリカ政府でさえ成し遂げられなかったことをやってのけた(Japan's silly response to ISIS propaganda did what the U.S. government couldn't)」と題し,次のとおり指摘する。

今週,日本のインターネット利用者は,団結してイスラム国を嘲笑うためにコラージュ画像を用い,馬鹿馬鹿しく,軽蔑した画像をテロリストに送り付けるという戦いを展開した。

この努力は人質の救出には繋がらないであろうが,将来のテロを防止するという点において,少なくとも役立つものである。

(This week Japanese Internet users rallied together to mock the Islamic State (a.k.a. ISIS or IS) with a Photoshop battle that shows the terrorists in a series of  absurd and contemptuous images. This effort won’t save the hostages, but it could, in at least a small way, help prevent future terrorism.)

【中略】

アメリカ政府は,イスラム国のネット上でのプロパガンダに対し,反論のためのプロパガンダ技術を駆使してきたが,これまでのところ,アメリカ政府の試みは失敗に終わっている。

アメリカ政府の手法は,ジャーナリストに反イスラム国のメッセージを送ったり,粗末に作られたビデオを作成したりするというものであって,時代遅れであり,いずれもパッとしないものであった。

アメリカ国務省の前顧問であるShahed Amanullah氏もガーディアン紙に対し,アメリカの戦略はイスラム国のグループを強くしてしまったに過ぎないと認め,「イスラム国は彼らの支持者に対し,『見てみろ?我々はすべてにおいて力がある。アメリカがそれを証明している。』と言わせてしまっている」と述べている。

(The U.S. government has tried counter-propaganda techniques by engaging with IS online, but has failed thus far. Their methods, which include sending anti-IS quotes to journalists and creating poorly produced videos, are dated and lackluster. In a piece for the Guardian, former State Department advisor Shahed Amanullah says that America’s tactics have only made the group stronger: “They turn right around to their followers and say, ‘See? We’re every bit as powerful as we say we are, the US government is proof.’”)

では,なぜ今回の日本での出来事が貴重なのであろうか。それは,アメリカ政府が失敗してきた試みを効果的にやってのけたからである。

(So, why is Japan’s response so valuable? Because it was effective where America's attempts have failed.)

プロパガンダに対する反論を展開する上で重要なのは,相手の効果を減殺することにある。イスラム国についていえば,武装グループは,自らが正義であり,かつ,獰猛であると見せたいのである。

しかし,イスラム国のプロパガンダを間抜けなアニメのキャラクターと合成することで,日本のインターネットユーザーは,イスラム国自身が馬鹿げた存在であるように見せることに成功したのである。


テロリストグループに参加しようとする人々を,テロリストを世界の指導者が強く警戒しているということを知り,テロリストが自らの正義のために闘っているということが,参加を促すものとなってしまっている。

しかし,日本のツイッター利用者は,テロリストを取るに足らないものとして描写し,弱体化させることで,テロリストが発するメッセージの重さを破壊したのである。

(The point of counter-propaganda is to undercut the other side's efforts. In the case of IS, the militant group wants to look righteous and fierce. By combining IS propaganda with goofy anime characters, Japanese Internet users in turn made IS look silly. Those looking to join the terrorist group know that it is admonished by almost every world leader, which is part of the draw—standing up for what they see is right. But, emasculating these terrorists and depicting them as anything but serious subverts the gravity of their message.)

これは,小さな勝利かもしれない。しかし,テロリストが参加者を増やすことで力を増していることを考慮すれば,日本人がイスラム国に対する完璧な武器を用いて,世界に,そのメッセージを発したことが,新たな参加者を妨げる唯一の方法となるだろう。

(This may sound like a small victory, but considering that a terrorist group is only as powerful as its number of recruits, and it can only draw new fighters through the strength of its messaging, the Japanese may have just provided the world with the perfect weapon against IS.)

このとおり,全面的にこの現象を肯定的に捉えているものもあるのである。
このことをISISの連中はわかっているのだろうか?

今日日 日本人は脳天気にコラ画像をISISに送り付ける平和ボケした民族であるが、結果として日本人はテロの恐怖に屈し、畏怖しなかった。我が国及び国民がいかなることがあっても、不当な犯罪者の要求を受け付けないという姿勢を示したのである。
#ISISクソコラグランプリは、ISISのプロパガンダを間抜けなアニメのキャラクターと合成することで、ISIS自身が馬鹿げた存在にしてしまったのである。
テロリストは日本国民の多数が自己責任論を再び強く唱え政府に圧力を掛けなかったことに驚愕したに違いない。日本人を拉致し、殺しても、一切響かないとテロリストに思わせることができたのである。

自らの正義のために闘っているというテロリストグループに参加しようとする人々のモチベーションを下げ、ISISを取るに足らないものとして描写し、テロリストが発するメッセージを破壊したのである。このことはコラ画像を投稿しまくったバカッター達、愛国者達も予想していなかったのではなかろうか。

批判もあるだろうが、#ISISクソコラグランプリは更なる被害を防ぐことになった。
70年前日本は世界一強い兵隊を持っていた。世界に誇る武士道の伝統があり、例え相手が敵わないと解っていても戦うべき時には戦う民族である。コラ画像を作成した人間は無意識のうちにサムライとなったのかもしれない。

死刑囚の扱い ヨルダン対応焦点に 【NHK】1月25日 11時49分

(略)「イスラム国」側が身代金の要求を取り下げ、代わりに後藤さんの解放と引き換えにヨルダン当局に拘束されているイラク人の女、サジダ・リシャウィ死刑囚の釈放を求めているとしています。                               リシャウィ死刑囚は、2005年にヨルダンの首都アンマンで50人以上が死亡した連続爆弾テロ事件の実行犯の1人です。この事件は、「イスラム国」の前身となったイスラム過激派組織「イラクのアルカイダ」の犯行とされていて、ヨルダン政府がイスラム過激派に対してより厳しい対応をとるきっかけとなりました。                                                       今のところヨルダン政府から新たな要求に対する公式の反応はありませんが、日本政府はヨルダンに現地対策本部を置き、安倍総理大臣もアブドラ国王に電話をして協力を要請しており、ヨルダン政府の対応が今後の焦点になります。                                                    ヨルダンでは先月、アメリカが主導する軍事作戦に参加してシリア北部で墜落したヨルダン軍の戦闘機のパイロットが「イスラム国」に拘束されていて、地元メディアではリシャウィ死刑囚の身柄をこのパイロットと交換してはどうかという議論も出ています。
ヨルダン政府としては、このパイロットの解放に向けた対応も含めて今後、リシャウィ死刑囚の身柄の取り扱いを検討するものとみられます。

ヨルダン側の事情
「イスラム国」が後藤さんと引き換えに解放を要求しているリシャウィ死刑囚を巡ってヨルダンでは、去年、「イスラム国」に拘束されたヨルダン軍のパイロットと交換で釈放する案が地元のメディアや識者の間で浮上していました。
ヨルダン軍パイロットのムアーズ・カサースベ氏は去年12月、F16戦闘機の飛行中に「イスラム国」が支配するシリア北部のラッカ近郊に墜落しイスラム国に拘束されました。
この直後からヨルダンでは、ソーシャルメディアなどでヨルダンの王妃など大勢の人が参加して「私たちは皆、ムアーズだ」と呼びかける運動が始まるなど、ムアーズ氏の解放を強く求める世論が高まりました。
その後、アメリカ軍とヨルダン軍の特殊部隊は救出作戦を試みましたが、作戦は失敗に終わり、ヨルダン国内ではムアーズ氏を取り戻す次の手段としてリシャウィ死刑囚と交換する案が地元のメディアや識者の間で浮上していました。
このため日本人の後藤さんの解放のためだけにリシャウィ死刑囚を釈放することには、ヨルダンの世論の反発も予想され、ヨルダン政府に協力を要請している日本政府としても難しい対応を迫られています。


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交渉期限の72時間が過ぎた、ISISは依然日本人人質を殺害した画像や声明は出していない。そもそも、本気で72時間後殺害しようとしていたのかも疑問だ。

もし、真剣にISISのテロリスト達が金に困り2億ドルを日本から調達しようとしたならば、日本との交渉パイプを持ったうえで、下交渉を行った後、映像を公開するであろう。そして72時間に期限を設定せず、時間をかけ金を搾り取ろうとするだろう。
拉致した日本人を安倍総理の中東歴訪時にプロパガンダとして利用する予定はあったが、具体的に綿密な計画は無かったと思う。殺害予定時間が超えた今、このテロが準備不足で行き当たりばったりの犯行のような気がする。

安倍総理はイスラム国対策として2億ドルを拠出すると表明した。表明したの拠出について「難民支援を始め非軍事的な分野で、できる限りの貢献を行うためのものだ」と強調。さらに「イスラム国は残虐な本質を露呈した。日本はテロに屈することなく国際社会によるテロとの戦いに貢献していく」と語った。声明は選んだ言葉でISISより一枚上だった。人道支援を中心とした内容であった為、彼らは肩透かしを食わされた結果となった。

更に、安倍総理は20日午後(日本時間同日深夜)、ヨルダンのアブドラ国王と電話で会談し、過激派「イスラム国」とみられるグループの日本人殺害予告に関し、「早期解放に向けた支援をいただきたい」と協力を要請した。国王は「あらゆる協力を行う用意がある」と応じた。政府ヨルダン王室に支援を求めたのは懸命だった。

ヨルダン王室ハーシム家はシーア派だが預言者の血に繋がるカリフの家系である。(ISISはスンニ派)ハーシム家はムスリム界の天皇家のような立場にある(清貧スタイルも天皇家に似ている) 。カリフ(天皇)に逆らえば逆賊、本物のムスリムであればハーシム家に逆らうことはない。

日本はキリスト教国ではない。ユダヤ教国でもなく、欧米諸国と異なりイスラム諸国を植民地にしたこともない。日本は中東に対し中立の第三者の立場でいるだけでなく、米国と勇敢に戦い、原子爆弾を落とされ敗戦した後復興したアラブ諸国にとって希望の星である。 その日本に敵対する事は、非ムスリム全世界に敵対すると宣言するに等しい。いや同じムスリムからも、今回の事件はムスリムの自殺であり、同胞であるはずのムスリムから続々と非難の声が湧き上がっている。

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日本ムスリム協会 2人の解放求め声明 【NHK】1月23日 13時33分

日本にあるイスラム教の団体、日本ムスリム協会は23日正午前に、ホームページに2人の早期の解放を求める声明を掲載しました。

協会は日本で最初に登録されたイスラム教の団体だということで、声明では「イスラム国で拘束されている日本人2人の安否に心を痛めています。無実の人を殺害することはイスラムでは厳しく禁じられており、許される行為ではありません」としたうえで、コーランの「人を殺した者、地上で悪を働いたという理由もなく人を殺す者は、全人類を殺したのと同じである。人の生命を救う者は、全人類の生命を救ったのと同じである」という文章を引用し、早期の解放を祈るとしています。

タイミングもISISにとっては最悪だった、画像公開後に「イスラム世界の盟主」であるサウジアラビアの国王アブドラ国王が23日死亡した、イスラム世界の注目度が一気に落ちてしまい、次の行動に移れずにいる。

だが、もしかすると日本人人質を殺害できない理由の一つとしてツイッターで自然発生的に沸き起こっている#ISISクソコラグランプリが作用している可能性もあるのではないか?#ISISクソコラグランプリとは人質の湯川遥菜氏と後藤健二氏に覆面男ジハーディ・ジョンの三人の合成された画像を、更に加工したユーモア溢れるコラ画像に仕上げ、ツイッターにて#ISISクソコラグランプリで投稿したものである。
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これを
このように・・・・
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中東のテロリスト集団“イスラム国”が、日本人2人を人質に2億ドルを要求している事件。この暴挙に対し、『Twitter』上ではささやかな抵抗運動(?)が起こっている。「#ISISクソコラグランプリ」というハッシュタグをつけて、例の覆面男と人質2人の画像をいじったコラージュ画像をアップするという運動だ。

元はといえば、合成が疑われる例の映像をこき下ろし、「この程度しかできない野蛮人」と、覆面男とイスラム国を笑い飛ばすために日本人ネットユーザーの間で起こった運動のようだが、これが今や世界中からの参加者を巻き込んで大変な盛り上がりを見せている。中東の大手テレビ局・アルジャジーラもこの運動を「日本のネット住民が“珍しい方法”でイスラム国に対抗している」と報じた。

参加者の中にはただ悪ノリしたいだけの人も多く、それはまあ酷い「クソコラ」画像がほとんどなのだが、中にはテロにユーモアで対抗するべく、あるいは助命嘆願運動のつもりだったりと、ある種の“志”を持って画像をアップしている人もいるようだ。

イメージ 242010年頃、中国全土で反日の嵐が吹き荒れ日本人に対する蔑称「日本鬼子」(リーベングイズ)がネット上に氾濫した際、日本のネット住民たちは   『日本鬼子』(ひのもとおにこ)なる萌えキャラを描いて対抗し、反日中国人を呆れさせたことがあった。怒りにまかせて侮蔑語でまくし立てるだけの中国人に対してユーモアで返すことで、どちらが野蛮人なのかを悟らせ、彼らの反日意識をくじいたわけだ。

ガチで生命が危険な状態にある人質の画像をいじることについては、「平和ボケだ」「不謹慎だ」と憤る向きもあるかもしれないが、「怒らせてしまうのでは……」と恐怖で萎縮してしまうことこそテロリストの思うつぼでもある。悪逆非道なテロリストを茶化し、日本人に狂信者の論理は通用しないと宣言する画像を見て、イスラム国の連中が何を思うのか、興味のあるところだ。

傑作と思われる作品
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更にこれのオマージュ
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人類は家族!We are the world !
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かんぱ~い!
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砂漠での一杯、旨そうだ!飲んで語れば解るって?おっと!ムスリムはお酒は飲めない・・・ならばバナナで・・・・
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更にこれのオマージュ
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合成画像を逆手にとって茶化しています。
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これは傑作!正恩君も大喜び!
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ものすごい皮肉!夢の国(爆笑)
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更にこれのオマージュ
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エクスペンダブル傭兵がテロリストから人質を奪回する映画
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進撃のイスラム国!
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イスラム国と不死鳥騎士団
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忍者!
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おねえちゃんのねぼすけ(のパロディらしい)
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パチン!
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ゴムパンチ
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悟空がカメハメ波で首を吹っ飛ばした・・・
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これら画像は日本人がテロ脅しには全く動じないことを狂信的なテロリストに回答したものだ!斬首されようとしている二人の日本人人質に対して、ジョークの対象にして良いのかという意見もあるだろう。この種の投稿は軽率なものとして非難する人もいるだろう。そもそも誰がどう見ても最初から合成の舐めた動画を投稿したのはISISの方だ!日本国民は人質をとったぐらいではテロに屈していないと#ISISクソコラグランプリをすることによって意思表示をしているのだ!確かに不謹慎と言えば不謹慎だが沈黙はテロリストを増長させる。このコラは今日本人がISISに対して抵抗できる数少ない対抗手段であり、あの会見した非常識な母親以外のご家族にはご理解してもらえるだろう。

中東の主要メディアとして知られるアルジャジーラも、日本のTwitterで起きている「#ISISクソコラグランプリ」を報じている。このネット上の動きについてのアルジャジーラは、日本におけるネチズンが、事件に対して普通ではないやり方(unusual way)で人質の動画をフォトショップによって嘲笑していると報じた
#ISISクソコラグランプリは奴らISISに届いているようだ!
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Ddog訳
「ごらぁ日本人!5800Km離れているからっていい気になるな!我々の兵隊はどこにでもおるで!」

そして、驚くことになんとISIS側も #ISISクソコラグランプリに画像を投稿し本気で対抗してきた!(笑)
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しかし、乗ってる円盤に、鉄十字じゃしゃれにならない!鉄十字は中世ドイツ騎士団の紋章であり十字軍の関係だと日本人に突っ込まれている(笑)
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←もう一つ投稿されているが、当初日本人の作品と思っていたら、ISISが投稿したものであった。日本のお笑い芸人パペットマペットを知って投稿しているのなら、一本返された!(笑)


「怒らせてしまうのでは……」と恐怖で萎縮してしまう人もいるが違う!「テロリストを刺激するからやめろ」が正しいのなら、テロと暴力がまかり通る世の中になってしまう。日本は暴力に対してユーモア脳天気攻撃で返すことで、宗教に狂信する自分達の愚かさを悟らせようというのだ。

コラを作った日本人投稿者達は面白半分に作った人間も沢山いるだろう。だが、一連のコラはフランスの風刺漫画と違いイスラム教を冒涜していない。宗教とは完全に無縁な状態で、ISISの暴力行為のみを風刺している。 一見不謹慎に見えるが、実は絶妙な日本人の倫理観のバランスの上に成り立っている。
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「死んで護国の鬼となれ」「捕虜の辱めを受けるな」という1941年に東條陸相が_示達した戦陣訓は人質のお二人なら知っているはずだ。戦陣訓は、日本人の行動規範として無意識に刻まれているはずだ。危険地域に渡航して万が一拘束された場合は覚悟していたであろう。彼らもクソコラグランプリの意図を理解してくれるはずだ。コラ作成者の無意識にも同じ日本人的規範があるが故に一連のコラ画像を作りだしたかもしれない。

続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/news/2015_01_22/282347193/

テロリストに迎合したり萎縮してしまうことこそテロリストの思うつぼでもある。#ISISクソコラグランプリは悪逆非道なテロリストを茶化し、日本人に狂信者の論理は通用しないと宣言するものだ。日本人は爆弾こそ落とさないが、ISISのメンバーのメンタルを確実に破壊しているだろう。日本人を敵に回せばどうなるかISISは、悟るべきだ!いつまでもこのような愚かなことを繰り返し、自らの手でムスリムを辱めていることに早く気付くべきだろう!



この記事を書こうと思ったきっかけの一つは
後藤健二氏の母親の会見だった。

母親は石堂順子氏 一般社団法人 ピースビーンズジャパン の理事長です。

一  インドヨーガの指導及びインストラクターの養成
二  中国気功の指導及びインストラクターの養成
三  上記各インストラクター資格検定講座及び認定システムの実施
四  施設等への上記各有資格指導者による健康イベント等の開催
五  地域毎の交流を目的とした福祉カラオケ事業及び選曲歌唱指導
六  独居老人対策の交流と日常会話サポート事業
七  無縁社会の解消・交流サポート事業
八  地域老人問題及び健康問題全般に関する相談室の設置
九  各種健康全般に関する製品の紹介及び販売事業
十  各種社会・健康問題等の講演会、研修会、セミナーの開催
十一 孤児院及び老人ホーム等への相互交流と当社員による慰問
十二 DVDの制作、書籍等の出版及び上記各事項に関する会報の発行事業
十三 前各号に掲げるものの他、当法人の目的を達成するために必要な事業

会見動画  (リンク先、会見になってます)

なぜ今回の件とまったく関係のない反原発を記者会見で言うのか理解できない!事件後奥さんと名乗る女の人と初めて喋ったとか!孫が生まれたことも知らないなんて、なんと希薄な親子関係であったのか!とても息子の事を必死に考えているようには見えず、自分の思想の宣伝をしている。だから皆、この会見に違和感を感じ非難している。


続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/news/2015_01_22/282347193/
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地上戦に出たイスラエルの愚
圧倒的な軍事力でガザを侵攻して国際的批判を招くネタニヤフの危うい賭け

フレッド・カプラン(米外交問題評議会研究員) 【NEWSWEEKJuly29.2014】

イスラエルは先週。パレスチナ自治区ガザヘの侵攻を開始した。純粋に戦術的かつ短期的に考えれば、これは合理的な措置と言えるだろう。だが戦略的かつ中長期的に考えれば、狂っているとしか。言いようがない。

短期的な目的は比較的はっきりしている、ガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマスは、イスラエルに向けて大量のロケット弾を発射している。イスラエル政府とハマスの間に交渉は一切ないし、空爆だけではロケット弾は食いとめられない。だから戦車が送り込まれた。

だが、軍事的に圧倒的優位にあるイスラエルがハマスをたたきっぶしたら、その後はどうなるのか。可能性は2つしかない。イスラエルが再びガザを占領統治するか、ハマスを倒した時点でガザから撤退するかだ。

再び占領統治をする場合、イスラエルはそれに伴う責任と危険を負担しなければならない。一定の行政サービスを提供するコストも生じるし、地元の武力組織に襲われる危険に常に怯えることになるだろう。

ガザから撤退する場合、ハマスよりもはるかに危険なイスラム原理主義組織が育つ土壌を放置することになる。現在シリアをむしばみ、イラクを大混乱に陥れているISIS(イラク・シリアーイスラム国、別名ISIL)のようなテロ組織が出てくるかもしれない。


ヘブライ大学(エルサレム)のバーナード・アビシヤイ教授は、最近ニューヨーカー誌のオンライン版で、かつてイスラエルのエフド・オルメルト前首相に聞いた話を紹介している。「08年に(イスラエルが)ガザ攻撃を決めたのは、2国家共存案で(イスラエルとの)交渉に応じるパレスチナ自治政府のマフムード・アッバス議長を応援する意味もあった」

パレスチナはアッバス率いる自治政府が統治するヨルダン川西岸と、ハマスが支配するガザの2つに分裂している。ガザ(ハマス)を攻撃することで、穏健派のアッバスを応援しようというオルメルトの試みは当時失敗に終わったが、今回も失敗するのは間違いない。

イスラエルは今もユダヤ人入植地の建設を続けており、分離曜と検問所を撤去する気配もない。つまりガザの住民が西岸の暮らしを羨ましく思ってハマスではなく自治政府の統治下に入りたいと思うような「特典」を、イスラエルは何ら提供してこなかったのだ。

そんななかアッバスは、ハマスとパレスチナ暫定統一政府を樹立することで合意した。自治政府にハマスを吸収することでハマスの弱体化を図ることが狙いだったが、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、ハマスの影響力が拡大することを懸念してこの措置を非難。和平交渉の中断を宣言した。

だが、ネタニヤフがアッバスを「切った」ことは、パレスチナとの関係、さらには中東におけるイスラエルの位置付けを著しく悪化させる恐れがある。

平和な時代を台無しに

イスラエルは戦略的な思考を忘れてしまったようだ。昔から強硬な態度を取り過ぎて墓穴を掘る傾向はあった。例えば06年レバノンのイスラム武装組織ヒズボラがイスラエル北部に侵入したとき、アラブ諸国はそろってヒズボラを非難した。ところがイスラエルが不釣り合いに大規模な空爆で報復したために、ヒズボラは地元の英雄に祭り上げられた。

もっと深刻な影響は、過剰な報復攻撃のせいで、せっかくイスラエルに同情していたアラブ諸国を遠ざけてしまったことだ。そして今同もイスラエルは、大きなチャンスを台無しにしようとしている。

今回のいざこざが起きるまで、イスラエルは久しぶりに平和な時代を享受していた。西岸からテロ攻撃を受けることはなくなっていたし、シリアやヒズボラといった敵は、仲間内での宗派抗争に忙しい。

エジプトでは再び軍部が権力を握り、ムスリム同胞団をはじめとするイスラム原理主義組織を厳しく取り締まっている。イランは少なくとも今のところ核開発をストップしている。

バラク・オバマ米大統領は世界中でトラブルに見舞われているが、オバマが建設を強力に進めた対空防衛システム「アイアンドーム」のおかけで、イスラエルはハマスのロケット弾が主要都市に着弾するのを防げた。

今回の戦闘でやたらめったらに発射されるロケット弾によるイスラエル側の死者は、これまでのところ1人しかいない。だがイスラエルの空爆によるガザの死者は270人、負傷者は2200人を超える。そのほとんどは民間人で、海辺で遊んでいた子供たちも多い。

ネタニヤフは過剰な軍事行動を推し進めることで、欧米諸国の支持をますます失い、イスラエルに一定の理解を示すアラブ諸国の暗黙の協力も失うリスクを冒している。

ジョン・ケリー米国務長官は今年2月、パレスチナとの和平交渉が頓挫すれば、イスラエル製品に対する国際的なボイコット運動が高まる可能性があると述べた。イスラエル当局はこれに猛反発し、ケリーを「反ユダヤ主義者」と決め付けた。愚かな言い掛かりだ。ケリーはボイコットを支持しているわけではない。事実を指摘しただけだ。そして、その指摘は正しい。

米政府は先週初め、イスラエルの自衛権支持をあらためて表明する一方、「民間人の犠牲を避けるため最大限の努力をするよう」ネタニヤフに求めた。

今の状況をもたらした要因として、この10年ほどに進んだ2つの流れを見ておきたい。1つは民族的な分断だ。数十年前までイスラエル人とパレスチナ人は同じバスに乗り、同じ通りを歩き、同じ場所で暮らしていた、もちろん両者は平等ではなく、植民者と被植民者の立場たった、それでも圧いの顔が見える関係を保ち、共同でビジネスをし、友情さえ育まれていた。

だが今の若いイスラエル人とパレスチナ人は互いにほとんど接触した経験がない。相手を生身の人間と感じなければ、殺傷することに抵抗がなくなる。

交渉にしか望みはないも

う1つの流れはアメリカの不干渉だ。この傾向はジョージ・w・ブッシュが政権に就いた頃から始まった。イスラエルとパレスチナの和平交渉は長引くばかりで実りがなく、アメリカの大統領はもはやその仲介の労を取ろうとしなくなったのだ。

ブッシュ父やビルークリントンの時代にはアメリカが仲介に入って小火が収まることが多かったが、消火装置が機能しなければ炎は燃え広がる。

アメリカの無策が最大の禍根を残したのは、パレスチナ自治区で10年ぶりに立法評議会選挙が実施された06年だ。当時の米国務副長官ロバートーゼーリックは上司のコンドリーザーライス国務長官にこう助言した。イスラエル政府に検問を緩和させるよう働き掛けてほしい。検問が緩めば、自治区のパレスチナ人はアッバスの手柄だと考え、選挙で穏健派が有利になる、と。

だがライスは、選挙結果に影響を及ぼすような介入を渋った。当時ブッシュは選挙さえ実施されれば民主主義が実現すると信じていたし、ライスもそう思っていたようだ。結果的にこの選挙でハマスが勝利し、ガザを実効支配するようになった。

今の紛争の責任は一方的にイスラエルにあるわけではない。テロ組織が支配する隣接地域からロケット弾が飛んで来れば、防衛に躍起になるのも分かる。

しかし注目すべきは、イスラエルの情報機関の元幹部たちが、自衛のためには武力行使より和平交渉を選ぶべきだと主張していることだ。昨年アメリカで公開された衝撃的なドキュメンタリー映画「ザーゲートキーパーズ」で、イスラエルの治安機関シンベトの元指揮官6人がカメラの前でそう発言している。

この6人は平和活動家などではない。シンベトの主要任務の1つは、パレスチナ自治区に潜入し、過激派のド部組織を根絶すること。当時も今も、それは暴力的な任務だ。

それでも、パレスチナの共同体の中に入れば実情が分かる。人々の文化や価値観、感情が見えてくる。元指揮官たちはテロ行為を容認しているわけでも、テロリストに共感しているわけでもない。だが占領下での暮らしとテロの結び付きは理解している。だからこそ、際限のない攻撃にうんざりしているなら、占領を終わらせるしかないと訴えているのだ。

彼らは引退した人間であり現役時代にはそんな主張はしなかったと、イスラエルの夕力派は言う。それは事実だろう。

日々過激派と戦い、その動きを監視する任務に追われていれば、短期的な問題に目を奪われ、長期的な予測や戦略的な計算ができなくなる。イスラエル政府も同じことだ。

仲介の努力を惜しむな

イスラエル政府が視野を広げるには、外部からの助言が必要だ。そして、そうした助言ができるのはアメリカだけだ。

あちこち電撃訪問したケリーはくたくただろうし、オバマはネタニヤフとの関係(とその他の国際情勢全般)に徒労感を募らせているだろう。だが2人とも今の危機の解決に力を惜しんではならない。エジプトと協力して何とか停幟を実現させ、それによって戦略的に優位に立てることをイスラエルに気付かせ、その優位を最大限生かすよう導くべきだ。

そのためには、イスラエルは入植地の建設を凍結し、ガザの住民が穏健派の統治のメリットに気付くよう、西岸に多額の経済援助と投資を行いつつ、長引くことを覚悟の上で和平交渉を再開する必要がある。

オバマ政権がそこまで持っていくには大変な労力がいる。だがそれを惜しむなら、イスラエルの戦車がガザに突入するのを座視するしかない。その代償はと
てつもなく大きい。
ハマスも交渉に応じないのも問題あるが、強硬派のネタニアフを突き上げるユダヤのプロ市民達。自分達が正しいと思って疑わないユダヤ原理主義者達、ユダヤ人は本気でパレスチナ人をジェノサイト(大虐殺)をする気なのだろうか?
アウシュビッツなどでジェノサイトされた被害者じゃなかったのか?

憎悪は憎悪しか生まない。しかも、信仰が深いユダヤ教徒ほど平気で異民族を殺害してもいいと思っているから、問題の根は深い。

小室直樹先生の日本人の為の宗教原論に書いてある。 「旧約聖書」の「ヨシュア記」。 「出エジプト」後、イスラエルの民はカナンの地(現在のパレスチナ)をめざした。そのカナンの地には多くの異民族が住み着いていた。神は、モーセの後継者としてヨシュアをリーダーに選び、彼にヨルダン川を渡りカナンの地に入ることを命じた。ヨシュアとその軍団は、神の約束の地カナンを占領している異民族を皆殺しにせよと、神がイスラエルの民に命じているのであるから、カナンの多くの都市を滅ぼした。カナンにある多くの町を占領し、その王を殺し、住民を一人残らず皆殺しにした。神の命令は絶対であって、絶対に正しいのである。ジェノサイト(大虐殺)は神の命令にもとづいて実行された。

旧約聖書の論理とは、「異教徒の虐殺は正義なり」ということである。そのように小室直樹先生は断言している。神は異教徒に対してまで博愛を説いたわけではない。神を信じない異教徒は、もはや人間ではない。旧約聖書はユダヤ教、キリスト教の啓典でもある。ユダヤ教に敬虔であればあるほど異教徒は殺さなければならないと考えているから始末に負えない。

イスラエル市民(ユダヤ人)の一部にはフォルト・ラインが存在する限りこの問題を解決するには、パレスチナ人を旧約聖書のようにジェノサイトしかないと考える人達が存在するかもしれない。そういう宗教馬鹿の輩は神の名前を語り合って殺し合いし続ければいいだろう。だが、宗教と言う毒ない害されていない子供たちを殺すのは許されないことである。

神は、そういう愚かな者たちに罰を与えているのかもしれない。このまま停戦にならなければハマスのロケット弾とイスラエルのアイアンドームの打ち合いになる。
ロケット弾と、迎撃ミサイルでは圧倒的にロケット弾の方が安く量産できる。

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Qassam rocket 1発800ドル

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ハマスのロケット弾 “flickr”より By marsmet543 http://www.flickr.com/photos/71744937@N07/8133370673/in/photostream/
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イスラエルのアイアンドームは今のところ完璧だ。だが、アイアンドームミサイル1発9万ドル(900万円)はかなり低コストに抑えたとはいえ、ハマス手作りのカッサムロケット弾のコストは1発800ドル。ロケット弾を撃ち落とすのは圧倒的に高コストで割に合わない。1日あたり数十発から100発単位ものロケット弾が飛来すればアイアンドームの残存弾も多くはないであろう。一旦打ち尽くせばそう易々と追加配備できないはずである。それゆえ、地上戦に出たのである。


間違いなくアイアンドームの弾切れの方が早いはずだ。イスラエルが停戦に応じるであろう頃は、アイアンドームを打ち尽くす寸前ではないだろうか?

ハマスはとにかく逃げ回りロケット弾を打ち続ければよい。やがてイスラエル市街にロケット弾が着弾しはじめるだろう。停戦になるのは、はおそらく悲しいかなイスラエル市民も多数死者が出始めてからになるかもしれない。




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 イスラム原理主義組織ハマスが支配するパレスチナ自治区ガザの当局者は21日、イスラエル軍の軍事作戦が8日に始まって以降のガザ側の死者数が500人を超えたと明らかにした。AP通信が報じた。イスラエル軍は17日に始めた地上作戦を強化、20日にガザ市東部の住宅地などを大規模攻撃し犠牲者が急増している。

軍報道官によると、ガザ北部から21日午前、武装勢力が地下トンネルを使ってイスラエルに侵入。イスラエル軍は発見した武装勢力のグループを空から攻撃、別のグループとは銃撃戦になった。武装勢力の15人が死亡、軍側にも負傷者が出たもよう。フランス公共ラジオによるとガザの当局者は、イスラエルの攻撃による20日の死者が少なくとも100人に達したことを明らかにした。ガザ市東部での大規模な攻撃による死者が大半。(共同)
東西間の冷戦終結後にサミュエル・P・ハンチントンが「文明の衝突」を書いた。文明圏の間では暴力による紛争が存在する、これがフォルト・ライン戦争と言うのだそうだが、戦争は必ず終結するものと考えられているが、フォルト・ライン戦争は必ずしも将来終結するとは限らないとハンチントンは言う。
p329
西欧にとって、基本的な問題はイスラムの原理主義ではない。問題はイスラムそのものなのだ。それは異なった文明であり、そこに所属する人びとぱ自分たちの文化の優位をかたく信じていて、国力が劣っていることが不満でならない。一方、イスラムにとって問題なのは、CIAとかアメリカの国防総省ではない。問題なのは西欧そのものなのだ。それは異なった文明であり、そこに所属する人間は、自分たちの文化が普遍的であると確信し、衰えつっあるとはいえ、自分たちには優勢な国力があるから、その文化を世界中に広げるのは自分たちの義務だと考えている。これらがイスラムと西欧の紛争に火をつける根本の問題なのだ。
文明の衝突P329にあるようにフォルト・ライン戦争とは文明間の異質性に根ざしたものであり、地理的な近接性、異なる社会制度や宗教、歴史的記憶によって半永久的に引き起こされうるものであるそうだ。
ハンチントンの説に従うと、イスラエルとパレスチナは半永久的に紛争を続ける運命なのかもしれない。

そういえば日本の隣に1000年経っても恨みが消えないと言って憚らない国が存在する。同じ東アジアでも日本文明と中華文明(朝鮮は中華文明の亜流として含まれる)は異なる文明であるからフォルト・ラインが存在する。イスラエルとパレスチナと違い間に海峡があって本当によかった。日本と中国朝鮮は文明が異なるので、EUなような真似事をしてはいけないのであって、一定の距離を置くべき存在なのだ。
イスラエルとパレスチナの間で戦争が終結するには戦争当事者が暴力の有効性を否定して穏健派が意思決定の主導権を握り、相手との和平に合意しなくてはならないが、今のところ穏健派ではなく、不寛容な人間がお互いの主流派となっている。
私達日本人は命の危険にさらされない平和な社会で一方的にイスラエルの残虐行為は許せない、戦争を止めろと単細胞的な反応しかできていない。平和ボケしている日本人に本質を見極めろと要求しても難しいね。これはある意味やむを得ない。
今回の軍事行動に至った直接のきっかけは、6月に起きたユダヤ系イスラエル人少年3人の誘拐・殺害事件である。そして、その報復としてユダヤ教原理主義者達が、パレスチナ人少年を生きたまま焼き殺す報復に出た。
国際社会では一方的にイスラエルの残虐行為としてイスラエルを非難する声が大きい。それでは、イスラエル、ユダヤ教が一方的に悪なのかといえば、それも違う。
ガザ地区からは頻繁にロケット攻撃が行われています。軍事行動が始まった7月8日以降、1000発以上のロケット弾がイスラエルに向け発射されています。この攻撃はイスラエルの人口密集地を狙ったもので、イスラエル全国民の約70%にあたる500万人以上がその射程圏内で生活しているのも事実だ。イスラエルは自ら開発した対ロケット弾迎撃ミサイル、アイアンドームを配備し、90%以上のロケット弾は迎撃に成功している為、たまたま犠牲者が少ないだけだ。
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しかしながらパレスチナの女性や子供を中心に500人以上が犠牲となっいる現状を国際社会は一刻も早く止めさせなくてはならないのも事実である。オバマは一刻も早くイスラエルを説得するなり能動的に動いて停戦させなくてはいけない。
オバマは平和主義を掲げ、米軍を縮小し、米国は世界の警察官を止めると言ったおかげで、シリア、ウクライナ、南シナ海、東シナ海、北朝鮮、南スーダン、ナイジェリア、アフガニスタン、イラクetc、世界各地で紛争が激化噴出、地政学的リスクが高まってしまったのだ。潘 基文が事務局長をする国連は、もはや何もすることができない。
憲法九条を信仰する諸君、平和というものは軍事力の均衡によって保てるということを少しは理解できるだろうか?あなた方の大嫌いな米軍が力を行使しない世界は今のような地獄が世界中に広がるということを理解できるか?
オスプレイ反対、米軍基地反対、原発反対、集団的自衛権反対・・・・そう叫んでいるリベラルな人達は、自ら望んでいる社会というのは力を持たないガザ地区の住民のように日本がなってしまいことを意味することを理解できるだろうか?
今回のイスラエルの軍事行動を残虐行為だと安易に非難するのは簡単だ。しかし、頻繁に市街地にロケット弾を撃ち込まれ、子供が誘拐されるような環境にある国の住民を我々が非難することができようか?
イスラエルとパレスチナ(ハマス含む)の対立は、報復に次ぐ報復という悪循環になっており、これから抜け出すのは容易ではない。
どちらか一方を非難するのではなく、イスラエル政権・ハマス双方にとって、この悪循環を絶てる道を導き出してほしいと願うしか考えるしか我々にできることはない。
イスラエル国民も、今回は犠牲者が少ないとはいえ、日常的に命の危険にさらされている。圧倒的な軍事力を持つイスラエルと弱者のパレスチナという構図で報道されているが、そのまま鵜呑みは出来ない。イスラエルだけが悪いのではないということを理解してあげ、イスラエル軍をガザ地区から撤退させ、ハマスのロケット攻撃を停止させ、双方を停戦させるのが国際社会の義務であろう。




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ちなみに、ネット上に数日前からこの写真を見かけます。
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2011年ケリー上院議員(当時)夫妻とアサド大統領夫妻が会食している写真がネット上で流布されています。ケリー上院議員はアサドを寛大だと称賛していた!らしい。
Senator John Kerry, his wife, Syrian President Bahar al-Assad and his wife, in Damascus 2011. "Kerry praised Assad later in 2011 as being a "very generous" man."

シリア攻撃で最も鷹派と目されているケリー国務長官だが、まあ、赤っ恥もいいところだ(笑)。一説にはこの写真一枚ででイギリス下院が否決したとのジョークなの本当なのかわからない話が飛んでいます。

反政府側は大きく分けて3つのグループに分かれる。1元正規軍兵士が中心となった自由シリア軍、2.クルド人グループ、3.原理主義者グループ+アルカイダ系外人傭兵部隊。アフガンやイラクで国民を虐殺することに躊躇しないのは3のアルカイダ系外人傭兵部隊である。ここ数カ月、政府軍が毒ガスを自国民に使うかもしれないと情報操作していると思われる組織が一番怪しい。

毒ガス自体取り扱いは難しく、特定の地域を確実に攻撃できるものではない。政府軍も、1.2もさすがに自国民に対して毒ガスの使用は何のメリットがないどころか自分側の人間も殺傷してしまうおそれがあるので使用する可能性は低い。反政府組織は一枚岩ではなく、化学兵器がキリスト教徒だけに向けられたとは報道されてない。


オバマは愚かにも政府軍が使用したという誤った情報をつかまされて、攻撃すると言ってしまったのである。ここで、取り消すと攻撃を支持したトルコ・サウジ・イスラエルに面子がた立たなくなり、この問題は化学兵器使用という非人道的行為に対する国際社会の一致した対応という大義ではなく、今や米国大統領の権威と信頼性の維持という小事に矮小化されてしまった。

まあ、そこまではオバマが愚かだということで済む。数十発巡航ミサイルでも政府軍の空軍基地にでも打ち込めば終わりだ。オバマは結果としてアルカイダを助けたバカな大統領で済む。

ケリー国務長官の言動を追うと、オバマを豹変させたのはケリーではなかろうかと疑っている。ケリー国務長官の異常な開戦意欲は何だろうと考えれば、中国の漁夫の利がくっきり見えてくる。

最近、日本寄りの発言をするようになってきたこともあり、親中派とはいえケリーも
国務長官ともまれば米国の国益は守るのかと思っていたのだが・・・・・

ケリーは米国における中国利権のボス・キシンジャーの後釜を狙っているのだろうかと疑わしくなる。

米国は対中包囲網を着々と完成させつつあるが、何とか米国と手を握りつつあるロシアを米国から引き戻したい中国にとっては、シリアカードは今のところ効いている。

折角イラクから撤退して経済が回復に向かいつつある米国の足を引っ張って戦争をさせる。⇒国力が疲弊し、アジアでの米国のプレゼンスが減る。⇒尖閣問題が発生しても米軍は手一杯で二正面作戦を取り難くくなる。⇒尖閣は日本単独なら侵略できる。

対中包囲網が弱くなる。

もし、米国がシリアに介入したならば、中東のパワーバランスが一気に崩れ、収拾困難となる可能性を秘めているのだ。一番得する国を考えると中国だということになる。

ケリー国務長官がしていることは、中国を利するばかりで米国にとっては折角回復してきた景気の腰の骨を折るばかりか、リスクばかり高くなり明らかに国益に反する。


今回の毒ガス兵器は、政府側ではなく、反政府側の聖戦を叫ぶアルカイダ系グループの犯行が最も疑わしいが、もしかすると、アルカイダと中国は反米で結ばれているかもしれない・・・ 人権馬鹿オバマの弱点を中国が乾坤一擲、起死回生の策略を仕掛けてきた可能性があると疑ってしまう。

以上証拠は何もないが、誰が一番得するかを突き詰めて考えれば、中国を疑ってしかるべきだろう。一歩間違えるとケリーは中国への利敵行為のように見えるのだが・・・・私の思い込みだろうか?

半年もすれば真相は見えてくるだろう。





執筆中
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2013.9.5 11:57
米国の対中東外交が漂流し始めた。オバマ大統領はシリア政府軍による化学兵器使用を確信し、限定的軍事介入を決断しながら、なぜか対シリア攻撃につき米議会に承認を求めた。米国外交をフォローし始めてはや35年以上たつが、これほど中途半端で稚拙な中東外交は見たことがない。同盟国の最高指導者を批判するのは本意ではないが、それにしても今回の対シリア政策はあまりにひどすぎないか。

2008年、オバマはイラク戦争の終結を約束して大統領に当選した。彼の仕事はイラク・アフガンからの米軍撤退と米国内の再建であり、海外での新たな関与や軍事介入には極めて慎重だった。当然ながら、いわゆる「アラブの春」への関与も必要最小限、エジプトでクーデターが起きようが、シリアで内戦が激化しようが、オバマは米国の積極的関与を避けてきた。

本年6月、そのシリアでの化学兵器使用疑惑が報じられた際もオバマ政権は沈黙を守った。ところが8月に入り、大統領は突然対シリア政策を変更し、「シリアにおける化学兵器の使用はレッドラインだ」と表明する。レッドラインとは越えてはならない一線、すなわち米国の軍事介入を強く示唆する表現だ。

一体何が大統領を動かしたのだろうか。筆者には見当もつかない。オバマ大統領は冷静沈着な政治家だったはずだが、化学兵器の非人道性を思うあまりの衝動的な発言だったのか。理由は何であれ、大統領の発言は重く、その一挙手一投足には必ず結果が付いて回る。
オバマ大統領が好むと好まざるとにかかわらず、米国は大国である。大国の最高指導者が一度「レッドライン」に言及した以上、その一線が破られれば、具体的な行動を取らなければならない。軍事力投入を躊躇(ちゅうちょ)すれば、各国はその指導者を信用しなくなり、米国は大国でなくなるのだ。

さらに理解できないのは大統領が米議会に対シリア攻撃権限の承認を求めたことだ。失礼ながら、この時点でオバマ外交は終わったと感じた。こうした政治判断は外交ではなく、内政である。まして、憲法上米軍の最高司令官である大統領の政治判断の責任を議会関係者にも負わせようとする手法は大国米国の大統領にふさわしくないものだ。

この判断の外交的悪影響も計り知れない。シリアのアサド政権は一息ついて態勢を立て直せる。どうせ限定攻撃しかできないとなれば、シリアは米国の足元を見る。内戦は続き、化学兵器が再び使用される可能性すらあるだろう。

米国の迅速かつ毅然(きぜん)とした対応を期待した欧州・中東の関係国も一様に落胆したはずだ。彼らには今後の対シリア戦略を根本から見直す必要があるかもしれない。

いずれにせよ、この問題は化学兵器使用という非人道的行為に対する国際社会の一致した対応という大義ではなく、今や米国大統領の権威とクレディビリティー(信頼性)の維持という小事に矮小(わいしょう)化されてしまった。

もはや国連安保理決議採択は不可能。シリア政府のサリン使用が証明されたとしても、世界の関心は問題の本質から既に逸脱している。この責任は残念ながら米国の議会ではなく、大統領自身が負わなければならない。

それでは米国のシリアに対する限定的・懲罰的軍事介入は非難されるべきかといえば、それは違う。今徹底的に糾弾されるべきはアサド政権の自国民間人に対する無差別サリン攻撃であるはずだ。

かつて欧州の政治家が「最終的には米国を支持するしかない、たとえ彼らの判断が誤っているとしてもだ」と語ったことを思い出した。米国の大統領が決断した以上、米議会はこれを支持する。いかなる経緯があるにせよ、アサド政権には正しいメッセージを届けなければならない。



【プロフィル】宮家邦彦

みやけ・くにひこ 昭和28(1953)年、神奈川県出身。栄光学園高、東京大学法学部卒。53年外務省入省。中東1課長、在中国大使館公使、中東アフリカ局参事官などを歴任し、平成17年退官。第1次安倍内閣では首相公邸連絡調整官を務めた。現在、立命館大学客員教授、キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。

シリア情勢を見て思ったことがある。シリアを放置すべしというホワイトハウスの中で米軍をシリア攻撃に向けさせようとするケリー国務長官の行動は異常だ!

2013.9.2 08:07
ケリー米国務長官は1日、シリアのアサド政権が化学兵器を使用したとする米報告書を念頭にロシアのプーチン大統領が「途方もないたわ言」と述べたことに対し「証拠に疑いの余地はない」と反論し、プーチン氏が意図的に証拠を無視していると批判した。

ケリー氏はABCテレビでロシア側には報告書の内容を説明したとした上で、ロシアは意図的にアサド政権の化学兵器攻撃を「少なくとも公には認めないことにした」と強調した。

オバマ米大統領やプーチン氏が出席し20カ国・地域(G20)首脳会合がロシアで5日から開催されるのを前に軍事介入方針を決めた米政権と反対するロシアの駆け引きが激化してきた。

米政府は1日も、軍事介入の承認を目指し、議会への説明を続けた。与党民主党が多数を占める上院の外交委員会は開会日程を前倒しし、祝日レーバーデー(労働者の日)明けの3日にも審議を開始する予定。民主党のリード上院院内総務は9日の週に採決する方針を示した。(共同)

2013.9.2 19:04 
大統領の「変心」は最側近ですら誰ひとり予想できなかった-。オバマ米大統領がシリア攻撃を土壇場で先送りし、議会承認を求める方針に転じたことについて、米主要メディアは2日までに、議会の「お墨付き」は不要と考えていた高官らが仰天したと伝えた。

米主要紙によると、オバマ氏がこの方針をライス大統領補佐官(国家安全保障問題担当)らに伝えたのは、方針公表前日の8月30日午後7時からの会議。

オバマ氏は側近らを前に「とびきりのアイデアがある。君たちと試してみたい」と表明。米国の法制度に照らし、議会による事前承認は必要ないとの考えでまとまっていた側近らは非常に驚いたという。

オバマ氏は米軍制服組トップであるデンプシー統合参謀本部議長との最近の会合を通じ、介入の時期はさほど重要ではないとの感触を得たといい、それが「変心」の理由の一つとなった可能性もある。(共同)
デニス・マクドノー大統領首席補佐官ら中東専門家達がシリアに介入するなと必死に説得しているにもかかわらず、突然態度を豹変させた。

2013.9.4 12:46 
はっきりさせたい。米国が動かなかったらアサドがまた化学兵器を使う可能性が高まるのではないか。この質問に答えられますか」。シリアへの軍事介入に批判的な議員に、ケリー米国務長官が詰め寄った。

シリアのアサド政権に対する攻撃を承認すべきか否か。米議会審議の皮切りとなる3日の上院外交委員会公聴会で議員の追及にケリー氏らが敢然と反論する場面が目立ち、攻撃容認決議の獲得を目指すオバマ政権の意気込みを感じさせた。

議論が白熱したのは軍事介入に反対する共和党のポール議員とケリー氏のやりとり。米国が攻撃しなくても影響は「不明だ」としたポール氏にケリー氏は「不明?」と聞き返し、「不明ではない。米国が責任を取らせなければアサドが再び化学兵器を使うことを保証してしまう」と主張した。

反戦活動家が攻撃反対を叫び審議が中断される場面も。ベトナム戦争の従軍経験のあるケリー氏は若いころは「同じような考えだった」とし意見の違いも尊重したいと語った。(共同)

2013.9.5 09:16
 ロシアのプーチン大統領は4日、ケリー米国務長官がシリア反体制派武装勢力内に国際テロ組織アルカイダ系グループが「いない」と発言したと指摘、長官は「うそをついている。悲しいこと」と批判した。大統領直属の人権評議会で述べた。タス通信が伝えた。

AP通信によるとプーチン氏がケリー氏のどの発言を指しているのかは不明だが、ケリー氏は3日の米議会公聴会で反体制派の大半がアルカイダだという見方には同意できないなどの趣旨の発言をしていた。

プーチン氏はオバマ政権がシリア軍事介入の承認を米議会に求めたことについて国際法上、国連安全保障理事会の決議なく他国攻撃を承認する権限はいかなる議会にもないと主張。「承認は侵略の承認だ。原則的に容認できない」とした。

サンクトペテルブルクで5日に始まる20カ国・地域(G20)首脳会合でシリア情勢をめぐる議論が始まる前に首脳会合の議長であるプーチン氏は対米批判のトーンを強め、オバマ大統領を迎える構えだ。(共同)
ケリー長官の開戦への執念は尋常ではない。
何か別な動機があるのではないかと疑うべきではないだろうか?

ケリー国務長官は、もと海軍軍人でベトナム戦争に参加し、その後反戦ベトナム帰還兵会(VVAW)で反戦運動に携わった人間である。
ベトナムでケリーはへタレだったのか英雄だったのかは評価が分かれている。ベトナム帰還後、関わった(VVAW)とその背後に中国の影を疑ってしまう。
Wikiのジョンケリーの項によれば
1971年11月12日から15日までVVAWミーティングがミズーリ州カンザスシティーで開催された。そこで、ベトナム戦争を継続する政府要人を暗殺し、クーデターでベトナム和平をめざすと言う提案がなされた。『ボストン・グローブ』誌のリポート。
ケリーのスポークスマン、マイケル・ミーハンは「ケリー上院議員は、カンザスシティー会議に出席したのを覚えていません」と、グローブ誌の質問について回答した。ケリーはミーティングが開催された11月の4ヶ月前、7月には同団体の活動から離れていたため、同会議には出席していないと言われてきた。しかしながらFBIの記録によれば、ケリーは同会議の議長を務めたとあり、会議での対立に破れ直後にケリーは辞任したとなっている。
政府要人暗殺の提案は反戦活動家スコット・カミルによってなされた。カミルへの電話インタビューで彼は「会議でケリーを見かけた記憶がない」と語った。会議で要人暗殺を話し合ったことについて当局は訴追をしなかったが、提案者のカミルは1972年8月のマイアミでの共和党全国大会襲撃計画を立案したとして仲間の反戦帰還兵7人とともに逮捕され、裁判にかけられた。

当時北ベトナムはソ連と中国に支援を受けていた。中ソはダマンスキー島事件(1969)で軍事的対立はしていたが、米中が突如手を握ったのは1972年であり、1971年VVAWカンザスシティミーティングは議長であった。要人暗殺計画は否決されたが、ケリー国務長官と中国との接点があるとするならば、ここではないかと思う。

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ケリー議員の〝親中派〟ぶりは、「中国寄り」と言われがちな民主党議員の中でも突出しているという。

ケリーと中国のつながりの理由の一つとされるケリー氏実妹夫婦が中国から引き取った養女アイリス.ケリー.ケイラー(Iris Kerry Kaler)の存在は親中である理由のお飾りにすぎない。(ネタ元

ジョン・ケリーの中国贔屓は曾祖父・曾祖父が中国に関わったからと言う理由は薄すぎると思う。母方祖父James_Grant_Forbes は上海で生まれた貿易商だったので、アヘンを売っていた可能性なくはないが、その父John Murray Forbesは中国に渡る前はNYで牧師だったのである。
※因みに、馬鹿な陰謀論者達がジョンケリーはロスチャイルド一族の末端として、黒人奴隷の売買に従事してきた奴隷商人=雑誌「フォーブス」の一族と騒ぎ立てるが、まったくちがう。雑誌「フォーブス」の創業者Bertie Charles Forbesはスコットランド生まれの新聞記者で、親族ではない。

続く
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よど号・ペルー… 邦人人質救出、歴代政権も苦慮 

2013/1/26 19:36 日経新聞
16日に発生したアルジェリア人質事件は日本人10人が犠牲となる痛ましい結末を迎え、危機管理を重視する安倍晋三政権に強い衝撃を与えた。海外での邦人人質事件はこれまでも歴代の政権を揺るがせてきた。政府は過去の教訓に学び、危機に対応する能力の強化に努めてきたが、今なお多くの課題を残していることが浮き彫りになった。(辻隆史)

■「人命は地球より重い」
イメージ 1 「人の生命は地球より重いからなあ」。1977年9月、日本赤軍メンバーが日航機をハイジャックし、身代金や仲間の釈放を求めた「ダッカ事件」では福田赳夫首相(当時)の発言が議論を呼んだ。

人命最優先の政府は犯人側に身代金600万ドル(約16億円)を渡しただけでなく「超法規的措置」として服役囚らを釈放。国内外で「銃口に屈した」「法治国家の敗北」などと非難され、福田一法相らが辞任する事態となった。

海外での邦人人質事件への対処が難しいのは人命の尊重とテロへの妥協しない姿勢をどう両立させるかのジレンマに直面するためだ。加えて相手国の主権の尊重や自衛隊法などによる活動上の制約なども複雑に絡む。

「もし私が総理だったとして他の手段をとれたか」。安倍首相は文芸春秋1月号への寄稿「新しい国へ」でダッカ事件について自問している。「平和を愛する諸国民が日本人に危害を加えることは最初から想定されていないから、人質を救出しようにも自衛隊や警察にはその能力がなかった」と「平和憲法」が想定する世界観を皮肉り、人質を救う手段の拡充を主張した。

今回の事件でも首相は人命の最優先をアルジェリア政府に要請した。テロへの非難よりも救出作戦を事前に通告しなかった同国政府へのいら立ちが目立つ場面もあった。
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96年のペルー日本大使公邸人質事件でも、特殊部隊が公邸に突入する際にフジモリ大統領側から橋本龍太郎首相(当時)に事前連絡はなかった。政府に救出手段がなかったとの反省から、海外で日本人がテロや誘拐に巻き込まれた際に対応する警察部隊「国際テロ緊急展開チーム(TRT)」の設立につながった。

政府はアルジェリア人質事件で同チームを強化した「国際テロリズム緊急展開班」(TRT―2)を現地に派遣した。犠牲者の身元確認や犯行グループの情報収集に当たったが、人質の救出に直接関与することはできなかった。ダッカ事件から30年以上を経ても、いまだに実効性のある救出手段は確立していない。

■米欧とのパイプ強化課題

イメージ 3 情報の収集と分析の能力もかねての課題だ。キルギス邦人人質事件(99年)やイラク邦人人質事件(2004年)でも、政府が日本から遠く離れた地域での情報集めに苦慮する場面が目立った。インテリジェンス大国の米英仏などと非常時に連携するパイプづくりも一段と強める必要がある。

過去の事件を経て、首相官邸では「政府の危機対応能力は徐々に向上しているが、まだ不十分。幸い英米に比べ海外でテロを受けた経験が少なく、仕方ない面もある」(政府筋)との声が聞かれる。

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海外で危険な状態に陥った日本人を自衛隊が迅速に保護できるようにするための法改正の議論も、各事件が発生するたびに盛り上がり、「いつしか立ち消えとなってしまっているのが現状」(同)。改めて過去の事例から教訓を学び直す時期に来ている。
犠牲になった方々に対して心から冥福を祈ります。
おそらく非難の投稿がなされると思いますが、暴論をすこしだけ書きます。
今回事件が長期化しなかったことが少しだけ救いになった。日本が世界的に非難を受けながら身代金を払って解決しようとする事態に陥らず本当によかった。
結果は最悪であり、人命軽視の作戦は非難されるべきだが、テロリストに一切の妥協を許さない「アルジェリア軍」の対応はテロリスト対策としては適切である。
今回アルジェリア軍」がロシアのように人命軽視と言われようと断固たる作戦をとるであろうことをは予測可能ではなかったのだろうか?
ロシアと関係が深い国が、ロシア式のテロリストと戦い方をするであろうことは、今後覚えておくことが必要なのではないかと思う。
テロリスト達も人質がなんの役に立たないということを学習しただろう。その意味ではお亡くなりになった10名の貴重な命は無駄死にはならないかもしれません。
今朝の報道TV番組で内閣副官房長官世耕 弘成参議院議員は、情報は入っているが分析する能力が無いとも嘆いていた。「全然、情報がとれない」などと首相官邸が嘆いているこの国のインテリジェンス能力はお粗末なままで嘆かわしい限りです。
日本の情報収集はかつては米英に頼るしかすべがなかった。だが、独自に偵察衛星を保有しインテリジェンス能力の充実を図ってきた。だが、まだ日本版のNSC(国家安全保障会議 ”National Security Council”)は無く、早急に設置すべきと思う。
小野寺五典防衛相らは、在外公館の自衛官を増やすよう訴えた。日本は世界に約50人の自衛官を駐在させているが、アフリカではエジプトとスーダンの2人だけ。増員し、軍情報をもっと得ようというわけだ。だが現実的には自衛隊だけで全世界をカバーすることは不可能だろう。MI6やCIAなどの情報機関との連携協力も必要だろう。
インテリジェンスの世界では貴重な情報は「等価交換」でやりとりされていると言う。今後日本は中国や北朝鮮動向をもっとも分析しなくてはいけない。日本のインテリジェンス機関は中国や北朝鮮の情報をMI6やCIAに渡し、同じ価値がある情報をMI6やCIAから貰うことにより世界をカバーすればいいであろう。
 米国防総省のインテリジェンスオフィサーが「日本には中国語の文献を読める専門家が多いうえ、米欧人には分かりづらい中国文化への造詣が深い。日本の中国分析から学べることは多い」と期待しているという。今後日本版のインテリジェンス機関を強化するのであれば、日本ならではのアジア情報をたくわえて、米欧の情報機関と持ちつ持たれつの貸し借り関係を構築することが肝要と思う。
もう一つ、今後海外の邦人保護に特殊部隊を投入する実行部隊の整備と法整備が必要だろう。正確には憲法改正が必要だ。
オプスレイを導入する案が浮上しているが、まだどういった用途に適当なのか研究途上である。今後オプスレイを護衛艦ひゅうが級や22DDH級に搭載し邦人救出用に全世界に派遣できるようになるであろう。
もうひとつC-2による紛争地の邦人救出も視野にいれるべきであろう。

「俺は昔、こんな怖い目に遭ったことがある」というのは、商社マン定番の自慢話であることが多いです。「湾岸危機の時にイラクに居たために、サダム・フセインの『ゲスト』にされてしまった」とか、「9/11のときに世界貿易センタービルのすぐ隣に居て、後ろでビルが崩れてくる中を一生懸命走った」とか、「アフリカでクーデターに遭って、ジープに日の丸の旗をつけて逃げた。検問に合うと、『ジャパン、じゃぱーん』(われわれは害意のない日本人ですよ~!)と叫んだ」とか、映画に出てくるような話がゴロゴロしています。ひとつ間違えば悲惨な体験になるところを、なぜかカラッと明るい自慢話になってしまうところが、おじさん世代の商社マン気質なんじゃないかと思います。

さて、リスクマネジメント研修では、ひとつ重要なことを教わりました。

「あなたは飛行機の通路に立っています。目の前のハイジャック犯が銃を構えました。伏せなければなりません。さて、前に倒れるか、後ろに倒れるか」

○こんなもん、とっさの判断ですから、たとえ正解を知っていても、その通り動けるかどうかは分からない。でも、いちおう思考実験をしておくことは、けっして無駄ではないと思います。

○正解は後ろに倒れること。つまり犯人が持つ銃に近い側に頭を向けるのではなく、足を向ける方が少しだけリスクが低い、というのが理由です。ゆえに結論はこういうことになります。

「リスクマネジメントは、高度な常識です」

○最近の危険地帯の事情はよく知りませんけれども、会社は「プラント(工場)やコンパウンド(住居)はしっかりガードしているから安全です。ただし通勤のときは注意してください」と教えていたんじゃないかと思います。厳重に防備しているプラントに、武装したテロリストが殴り込んでくるなんて事態は、「常識はずれ」の事態ですから。昨年9月のベンガジ米大使館襲撃事件から、北アフリカの「常識」が変わっちゃったんじゃないかと思います。常識は常に修正が必要。そうでないと「高度」とは言えませんから。
ご生還を果たした方々はその勲章として末代まで今回の生還劇を語り継ぐことができることでしょう。私たち国民は今後そういったインタビューや手記やに対してリスペクトすることが、生還した人達や無言の帰国をされた方々に対するケアであり、次に続く人材を輩出することになると思います。
NEWSWEEKなどによれば隻眼の首謀者、モフタール・ベルモフタール司令官は昨年10月、国際テロ組織アルカイダ系武装勢力「イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ(AQIM)」からマリ北部担当司令官の地位をはく奪され、分派組織「血判部隊」を発足したばかり。
人質を殺すのをためらわないAQIMと異なり、ベルモフタール司令官は数百万ドルの身代金をせしめるため、人質を殺さず、交渉するのを得意としている。資金稼ぎのためタバコの密輸も手掛け、「ミスター・マルボロ」の異名を持つほどだ。
今回の事件の動機はカネ目当てなのか、功名心だったのかはわからないが、どちらにしてもあまりにも割りきれない動機である。大義を欠く人間の醜い心が優秀なエンジニア達の人命を奪った。アッラーは神のな名を騙る悪人達を地獄の業火で焼き責めることはまちがいないであろう。

専門家「日本憎しでなく、身代金など狙った」  

 中東事情に詳しい国際開発センターの畑中美樹研究顧問は、(略)日本人に銃が向けられたとしても、今回の場合は、憎まれているからとはいえないと言う。
「犯行グループは、対テロ戦争で武力行使やむなしとする欧米とは違い、日本が人命第一と考えていることに着目したと考えられます。日本政府が『手荒なことをしないでほしい』とアルジェリア政府や欧米に働きかけてくれることを期待したのでしょう。また、身代金の交渉において、日本は比較的容易に応じてくれるとの見方をしていたこともあるはずですね。今回日本人に銃を向けたのは、人質に取ったものの計算や思惑とは違い、交渉が進まないことにいら立っていたのだと思います」
平和主義者でリベラル派の諸君、身代金で解決しようとするからますます日本人がテロリストから身代金目的で狙われるのだよ!

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日本中で、「だからイランことをしやがって!」と元首相であった鳩山由紀夫のイラン訪問の非常識を非難する声が圧倒的だ!

ルーピー鳩山はなんと元日本の首相であり、現役の与党民主党の外交最高顧問である!世界中から見ればとても個人的訪問であると日本政府の言い逃れはできない。与野党国会議員に限らず誰一人として彼の行動を評価する者はいない。

鳩山を意外なほどに評価する佐藤優氏ですら、鳩山由紀夫はイランのインテリジェンスオフィサーに籠絡されたと非難している。

鳩山は本気で平和の使者だと思っている。イランのインテリジェンス機関が鳩山にターゲットを絞り込んだのは、西側で最もおバカさんであると踏んでのことだ。

4月13日~14日に開かれるP5(米英仏中露)+1(独)の直前に西側の元首相が訪問するということは、北朝鮮がICBMの発射直前の北朝鮮をクリントン元大統領が訪れるようなものだ。行くだけで相手を利してしまい、せっかくの結束が破られてしまう。

イランに行くだけでイランの支援になる。佐藤優氏はイランのプロのインテリジェンスオフィサーが鳩山を籠絡したと言っている。イラン側のいいようにプロパガンダに利用され、4月末の日米首脳会談では、鳩山訪問について米国から説明を求められるだろう。米国はこれをネタに日本から沖縄問題で金銭的譲歩を求めるだろう。普天間基地補修で追加200億円を求めているが、政府は抗しきれず払ってしまうだろう。沖縄問題で日米関係にヒビを入れ、イランで日米関係を悪化させる鳩山は座敷牢で監禁するしかないだろう。

鳩山は世界がイランを巡りどれだけ緊張しているのか理解していないのだ。
イランとイスラエルが核戦争が起これば世界は破滅するのだ!イランとイスラエルが核戦争になればそれこそ世界はハルマゲドンになってしまう。鳩山はイランに利用されている。原油価格は急騰する!原子力発電を稼働させない日本はもろにその直撃をくらってしまう!

現在のペースでイランがウランを濃縮しICBMを開発すれば、あと2年でイランはイスラエルを射程を収める核爆弾とそれを搭載可能弾道ミサイルを保有する予定である。イランのアフマディネジャド 大統領はイスラエルを地上から抹殺することを公約として当選したのだ。それが彼の正義であり驚くことはない、イスラム教徒の一部は本気でイスラエルを地上から抹殺したいと願っている。

しかし佐藤氏も指摘する鳩山と同行する大野もとひろ参議院議員の存在は怪しい!外務省の専門調査員で中東の外交官のプロである。更に防衛省にも所属し、佐藤氏同様日本のインテリジェントオフィサーでもある。になぜ同行するか?日本が鳩山のイラン訪問の最終的な監視役としたか?それとも米国が日本を強請る言い訳を作らせる為か?はたまた、大アジア主義的発想をしているのか不明であるが
大野元裕氏は彼のブログにて真面目に説明しています。
(略)  P5+1協議やIAEAとの協力について、イランが具体的な一歩を示すよう繰り返し求めてきました。自分は外交官として数百人の政治家の会談に同席した経験がありますが、その中でも極めて中身の濃い会談となったと感じています。さて、このように中身の濃い訪問ではありましたが、我が国の報道では、本筋を棚上げにした報道が多いようです。あまりコメントする気にもならないのですが、誤解を放置しておくのも好ましくないと考えるところ、取り上げられている「IAEAは不公平」発言なるものに対し若干説明させていただきます。
イラン国営通信の報道によれば、鳩山さんが「国際原子力機関(IAEA)がイランを含む特定の国に二重基準的な対応を採っていることは不公平だ」と語ったことになっていますが、このような事実はなく、ねつ造もしくは曲解です。小生の手元のメモで関連するかもしれないと感じる鳩山さんの発言部分をそのまま掲載すると、以下の通りです。なお、相手方に通訳の言葉が正確に伝わっているかどうかを確認するために、ペルシャ語の分かる大使館員に同席してもらい、誤って伝わる発言が無かったことも確認済みです。
「核保有国を対象としないで非保有国の平和利用に対し査察を行うというのは公平ではないと承知しているが、日本は国際社会の懸念を払う努力を、原子力平和利用は国民の活動に有益との信念から進めてきた。」
「核不拡散条約(NPT)に入らないで核保有国になっている国とって有利になっていることは承知しているが、そうした流れをこれ以上拡大させないためにも、また非核の世界を作るためにも国際社会との協力が必要である。」
イラン国営通信社の発言と鳩山発言はあまり変わらないじゃないか、との印象をお持ちの方もあろうかと思いますが、その意味はまったく異なります。鳩山発言は、NPTに署名しないでいる国は原爆を保有しても制裁等の措置の対象にならず、査察を受ける必要もないが、NPTに署名する場合には査察を受け入れ、厳しい制約を課せられるのは不公平であると言っています。つまり、周知の事実となっているこの体制の問題を指摘しているのですが、彼の発言の本意と力点は後半部分、つまり、現在求められている重要なことは、このNPT体制の問題への不満の表明などではなく、国際社会との協力だと強調しているのです。これに対してイラン国営通信社による「発言」では、NPT加盟国を対象とするIAEAが不公平な二重基準を適用しているとしているのであって、かりにそのようなことがあれば大問題で、イランにIAEAへの協力を求める大前提が崩れてしまいます。
イラン側との協議は、専門的な部分も多く、NPT体制の問題とIAEAの公平性の問題を混同する余地などありえません。だからこそ、この記事はねつ造、あるいは曲解と考える以外はないのです。我が国のマスコミも、イラン国営通信並みの曲解のレベルから早く脱してほしいですね。
ところで、イラクやリビア、北朝鮮などの国々のみならず、第三世界の国々の報道機関(国営が多い)はしばしば、要人の訪問や発言を自国に都合の良いように曲解して世界に発信し不興を買いますが、今回もそのような繰り返されたパターンの一つです。このようなリスクがあるからこそ、議員外交で中身に集中することが必要と考えるのです。たとえば、政府の正式な外交ルートの場合、第三世界の報道機関への批判が批判合戦を呼べば、より高次の利益は吹っ飛んでしまいます。今回の議員外交では、これらのリスクは承知の上で、イランにしっかりと国際社会の声を届けることが重要と考えて行ってきたつもりです。もちろん、あまりにひどいものにはしっかりと抗議することも必要で、すでに鳩山さんは遺憾の意を表明したようです。
イラン問題が極めて大きな影響を与えかねないことは、前述のとおりです。それどころか、すでにエネルギー価格の高騰、イラン国内において日系企業の工場の相次ぐ閉鎖等、すでにイラン問題は今そこにある危機です。それ以上に、イランの問題が最悪に陥る前に対処しなければならないと感じており、少なくとも外交、中東情勢に取り組む政治家として、手をこまねくことが正しいとは思えません。鳩山さんが同じ思いを共有していることを知り、共にイラン訪問となったわけですが、今回の訪問が少しでも平和的な問題解決に資することを希望しています。
彼の経歴からすると、額面どおり受け止めてはならない。
何か裏がある!
1987年(昭和62年) - 慶應義塾大学法学部政治学科卒業
1989年(平成元年)3月 - 国際大学国際関係学研究科修士課程修了
4月 - 在イラク日本大使館勤務(専門調査員)
1990年(平成2年) - 在アラブ首長国連邦日本大使館勤務(専門調査員、1993年まで)
1993年(平成5年) - 財団法人中東調査会研究員に就任(1995年まで)
1994年(平成6年) - 外務省国際情報局分析二課勤務(専門分析員)
1995年(平成7年) - 在カタール日本大使館勤務(専門調査員、1997年まで)
1997年(平成9年) - 在ヨルダン日本大使館勤務(書記官、2000年まで)
2000年(平成12年) - 在シリア日本大使館勤務(書記官、2001年まで)
2004年(平成16年) - 財団法人中東調査会上席研究員に就任(現在に至る)
2004年(平成16年) - 東京大学教養学部非常勤講師(2005年まで)
2005年(平成17年) - 防衛省防衛戦略委員会委員(2010年3月まで)
2007年(平成19年) - 青山学院大学大学院非常勤講師(2009年まで)
2010年(平成22年) - 第22回参議院議員通常選挙に埼玉県選挙区から民主党公認で立候補し、約55万票を得て初当選
現役の中等調査会研究委員で、防衛省の防衛戦略委員会委員である!
日本の国益からすれば、イランを説得する可能性があれば鳩山をダシにして何か密約をすることもなきにしもあらず?だが・・・民主党主導で動いたのではなく、防衛省絡みの何かありそうな気がしてならない。
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オサマ・ビンラディンが2011年5月2日パキスタンの首都イスラマバードから約60キロメートル北東にある町アボタバードの外れにある豪奢な邸宅で米海軍の特殊部隊に急襲され殺害された。
 
2001年9.11のテロ以降、CIAのビンラディン追跡専門チームが10年近くも追いながら、その姿をとらえることができなかった。
 
9.11が米国による自作自演のテロの噂の根拠の一つがオサマ・ビンラディンをCIAが匿っているのではないかという疑惑であった。
 
サウジアラビアでも有数の大富豪の御曹司がアフガンでの対ソ連義勇軍を組織し、ソ連退却後居場所をなくしたその残党の処遇のために反米思想を旗印とした組織
アルカイダを結成した。
 
母国サウジアラビアも追放されたビンラディンの軌跡をたどると、世間の陰謀論者が信じる9.11陰謀説の大部分は妄想の類であることがわかる。
 
しかしながら9.11についてはWTCビル爆破などという荒唐無稽な陰謀説を私は信じないまでも、何らかの当局の関与もしくは黙認については未だに疑念を棄てきれないでいる。
p40-46
アルカイダの誕生

 アッサムはペシヤワールの「信奉者の家」創設の直後に、イスラム義勇兵を世界各地で募集し、ペシヤワールに送り込むための組織を設立し、「奉仕者事務所」(マクタブーアルーキダマット)と名づけている。

ビンラディンは当初はアッサムの使い走りのような存在だったが、やがて実家の財力とコネクションで、奉仕者事務所の中心的メンバーとなった。ビンラディン財閥の出先として中東各国に展開していたビンラディン商会の事務所が、その拠点に活用された。彼は要するに、風変わりなサウジアラビア人のスポンサーのひとりというポジションだったのだ。

ただ、これらの工作におけるCIAのカウンターパートナーはあくまでアッザムであり、ビンラディンが直接CIA工作員と接触したことはなかったようだ。
ビンラディンはまた、こうした活動と並行して、何度もアフガニスタンの戦場で実戦に参加しているが、とくに有能なゲリラ戦士というわけではなかった。かといって、アッサムのようにイスラムの深い神学を修めたわけでもなく、舌鋒鋭い演説が得意だつたわけでもない。

そんなビンラディンがアラブ人義勇兵の顔役として大きく成長したきっかけは、80年代後半にソ連でゴルバチョフによるペレストロイカがはじまり、アフガニスタンからソ連が手を引きはしめたことだっ。東西冷戦が急速に雪解けムードに向かい、ソ連軍の撤退が秒読み段階となったのだ。

そのため、10年近くも続いたアフガニスタン紛争は、結果的にはソ連軍が敗北し、ゲリラ側の勝利で終息する流れになった。それにともない、CIAはアフガニスタンから手を引きはじめ、海外からのゲリラヘの資金や武器の流れも急速に縮小していく。
アフガンーゲリラ各派は、ソ連軍撤退後の主導権をめぐって、今度は仲間内で熾烈な抗争状態に陥った。こうした状況に、もはや。ソ連軍から同じイスラム教徒を守る”という大義で集結していたアラブ人義勇兵の存在意義も失われた。

アラブ人義勇兵たちは、自らの新たな道を選択する必要に迫られたが、そこでビンラディンは路線の違いから、師匠であるアブドラーアッザムと距離を置くようになり、88年に仲間を集めて自らの組織を結成する。それが「アルカイダ」(拠点・基地という意味)だった。

湾岸危機で反米思想に目覚める

翌89年、アラブ人義勇兵の支柱だったアッサムは、ペシヤワールで何者かに暗殺される。CIAのウラエ作の詳細を知る人物がこの世から消えたことで、CIAはもう心置きなくこの地を去ることができた。

指導者を失い、さらにはそれまで戦士としてCIA資金やサウジ資金で生活していたアラブ人義勇兵たちは、戦争が終わってCIAが撤退すれば、もはやただの無一文の男たちだった。ビンラディンのアルカイダは、要するに、寄る辺を失った仲間たちの生活の面倒をみる組織として、事実上スタートした。

その後ビンラディン自身は、ペシヤワールで元義勇兵の生活支援組織を運営しつつ、89年中にはサウジアラビアに帰国、そのまま中東各地でのイスラム過激派勢力の支援に乗り出していった。

当時、中東各国では、アフガニスタンでともにソ連軍と戦ったイスラム義勇兵仲間が帰国し、それぞれの国で世俗的な勢力への批判を強めていた。元アフガン義勇兵たちは「自分たちはあの強大なソ連軍を倒したのだ」という自信に満ちており、次は中東全域をイスラム回帰へ導くという新たな目標を掲げていた。

この時期、ビンラディン自身もイエメンのイスラム過激派勢力支援に深く関わった形跡がある。

もっとも、こうしたビンラディンらの運動は、当時はまだ泡沫レベルであり、アメリカ情報当局もとくに注目はしなかった。ビンラディンの名前がようやくCIAに認知されたのは、おそらく90年秋頃のことだ。

その年の8月、イラク軍が突如クウェートを侵略し、いわゆる。湾岸危機”が勃発する。強力なイラク軍の脅威に直面したサウジアラビア政府は、防衛戦略として米軍の駐留を認めた。これに対し、強く反発したのがビンラディンだった。彼は「イスラムの聖地メッカを擁する王国の地に、異教徒軍を引き入れるべきではない」と訴え、「米軍を撤退させ、代わりに元アフガン義勇兵を中心とするイスラム同志軍を作る」との建白書を国王に提出した。

このビンラディンの提案は、あまりに突飛で、当然ながら退けられたが、それに不満を待ったビンラディンは、徐々にサウジ政権批判へと言動をエスカレートしていっだ。CIAはその頃、組織を挙げて中東・湾岸情勢の分析にあたっていたから、そんなビンラディンの動きもある程度は把握したはずだが、それでもこの頃はまだ、せいぜい。跳ねっ返りの御曹司”くらいに認識していたものと思われる。

母国サウジアラビアからの追放

一方、サウジアラビア政府はそんなビンラディンを持て余し、ビンラディン財閥本家を通じて圧力をかけた。ビンラディンはサウジアラビア国内に居づらくなり、 91年の湾岸戦争の後、当時イスラム原理主義政権が誕生したばかりのスーダンに移住した。
ビンラディンはこの頃から明確に、サウジアラビア政権批判に加え、アメリカ批判に転じた。80年代のアフガニスタンで、イスラム世界を侵略した共産主義者の軍隊と戦ったビンラディンは、90年代の次なる攻撃目標を、やはりイスラム世界を土足で踏み荒らしている欧米の異教徒たち、なかでもその筆頭であるアメリカヘと定めたのである。そこから、ビンラディンとアメリカの約20年にわたる死闘が繰り広げられることになる。
(略)
ビンラディンは、94年にはビンラディン財閥本家から絶縁を宣言され、サウジアラビア政府から国籍も剥奪された。彼が亡父から受け継いだ遺産の残金もサウジアラビア当局によって凍結されたが、彼にはすでに自前のビジネスによる豊富な資金源があり、その後も元義勇兵人脈の最大のスポンサーとして活動を続けた。

また、実家から絶縁されたとはいえ、サウジアラビア上流階級出身のビンラディンには、本国の富豪に知己が多くいた。縁者も含め、彼はそういった知人筋からの資金ルートをいくつか持っていたとみられる。

サウジアラビア情報機関GIDはおそらく、そうしたネットワークのいくつかを把握していたと思われるが、有力者一族に対する遠慮もあって、徹底的な取り締まりは行わなかった。GIDを長年統率してきた王族のトルキー・アルーファイサル王子は、CIAとも密接な協力関係にある人物だったが、ビンラディン情報はほとんどアメリカ側には伝えていない。

しかし、。イスラム過激派を支援するサウジアラビア人ビジネスマン”の存在を、その頃になるとCIAも。危険分子の予備軍”として、徐々に注目しはじめていた。
 
陰謀説の根拠の一つがビンラディン家とブッシュ家の繋がりであるとか、ビンラディンとCIAのコネクションであったが、CIAとの繋がりに薄く、サウジのビンラディン本家からも絶縁されていた。
 
ビンラディンはイスラム戦士の失業対策としてテロ稼業を始めた。冷戦の終結は同じく冷戦を戦った主役であるCIAもその存在意義を失いかけていた。
 
予算規模を削減されたCIAはその存在意義を対テロ対策にその活路を見出そうとしたのである。97年・99年にはCIAによるビンラディン暗殺計画が計画されたがパキスタン国内のクーデターなどで実現はしなかった。
 
 
 
 
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