Ddogのプログレッシブな日々@ライブドアブログ

政治経済軍事外交、書評に自然科学・哲学・聖地巡礼・田園都市ライフ、脳の外部記憶媒体としてこのブログを利用しています。2020/11/30以前はGoogle検索でキーワードを入れると常に上位にありましたが、日本のトランプ大統領デモを紹介した記事が米国でバズって以降検索アルゴリズムから排除され検索ヒットされにくい状態です。是非ブックマークをお願いします。このブログをご訪問していただいた方の知識や感性として共有できれば幸せに思います。

タグ:北アメリカ


就任して10日、世界中はトランプ新大統領が次々と繰り出す大統領令にただ茫然自失としている。

しかしながら、大統領令はトランプ新大統領が、選挙公約として掲げ、選挙活動を行い、米国民が正当な手続きを経て選らばてたのだ。そして、選挙公約をオバマ前大頭領と違い有言実行しているだけなのだ。

トランプ新大統領が連発している大統領令は、大いに問題はあるけれど、民主主義を尊重するならば、トランプに抗議する団体は民主主義を否定するテロリストと同列なのだ!かくもテロリスト予備軍を擁護するリベラルマスコミは米国を韓国のような情緒優先の約束事を守れないような国にしてしまうつもりなのだろうか?

韓国はテロリスト安重根を英雄とする国で、テロリストを英雄視することで、過激な意見を持ち、非民主主義的な行為が正当性を持つことになる。選挙ではなくデモで国政が覆すことが常態化すれば、国政は混乱しどこかの国のようになってしまう。

皮肉なことに反トランプを叫ぶ側が民主国家アメリカ合衆国を破壊する可能性がある。その延長線にはトランプ大統領暗殺の可能性を感じるのである。選挙期間中トランプ大統領の暗殺計画が盛んにささやかれた。

トランプ暗殺計画の信憑度 2016/6/12(日) 午後 11:31

大統領になるとシークレットサービスがつき暗殺しにくくなるからだという。

しかし、シークレットサービスが警護してもケネディは暗殺されたし、レーガン大統領も暗殺未遂事件に遭遇した。

トランプがCIAを必要以上に持ち上げている。噂では、何かしらの弱みを握られているとか、トランプ自身への暗殺計画だという話もある。ちょっと信じがたいが元CIA長官であったブッシュ前大統領(父)のケネディ事件関与に関する情報が昨年あたりからネット上に流布されている。まだ信憑性が高いとは思わないが興味がわく。

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リンカーンとケネディ、レーガン暗殺の共通点がある。点と線だが、語れば陰謀論になってしまい、怪しいと言われても仕方がないのだが、考えさせられるものがある。

トランプ暗殺の可能性を信じるのは「『ようやく「日本の世紀」がやってきた』日下公人・馬渕睦夫著」を読んでからだ。

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【夕刊フジ 】 2016/10/26 10:00
日本の未来を読み解くことに定評がある評論家で作家の日下公人氏と、世界の事象に精通する元ウクライナ大使、馬渕睦夫氏による初めての対談が実現した。
英国のEU離脱に始まる世界の大変動期を迎えた現代、グローバリズムの「ひずみ」と「きしみ」があちらこちらから聞こえてきている。この世界の成り立ちと、その背後にある巨大な金融ユダヤの存在について、両氏は喝破する。国家に金を貸し牛耳ってきた者が、歴史を作ってきた。だが、マイナス金利で世界は変わる。そして、その潮流の中で、日本型信用社会こそが理想だと説く。契約社会と信用社会の折り合いが絶妙なのだ。
「世界で今、まともな国は日本しかない」-本書に込められた、このメッセージこそ、現代の福音(ふくいん)となる。先行き不透明な時代に生きる現代人にとって必読の一書といえるだろう。

この第三章を読んでいただきたい。

 日本人が考える国とユダヤ人が考える国はまったく違う
p72-75
馬渕 資本家、とくに金融資本家は、お金を回して利益を上げるにはどうしたらいいかだけにしか関心がなく、いい製品をつくることなどには関心がない。関心があるのは、人がつくった製品やお金を右から左に動かして、どう自分が儲けるかだけです。

 だから世界経済は、どんどん悪くなっていく。実際、アメリカの労働者の実質賃金はどんどん下がっている。彼らは、雇用や消費などに関心がないからです。

 共産主義も同じです。それは、「サプライサイドエコノミクス」(供給力を強めることで経済成長を達成できると主張する経済学)で、つまり、供給側の企業、生産者のことだけを考える経済です。

 共産主義時代のソ連に赴任していたときに経験したことですが、企業に課されたのは、「生産量をこれだけ上げろ」というノルマだけで、需要や消費者のことは考えない。
供給が需要を決める。これでは、決して質のいいものをつくることはできない。
 サプライサイドエコノミクスは、共産主義と同じ発想だから絶対に経済が発展しない。それは、自由な市場の実現のためには「政府による介入は不要」とする今の「新自由主義」の考えも同じです。ひところ、新自由主義が流行って、ハンガリーからのユダヤ系移民の子どもである、ミルトン・フリードマン(一九一二~二〇〇六年 アメリカの経済学者。マネタリズムを主唱して、新自由主義を代表する経済学者)などがもてはやされました。

 大先生の前で恥ずかしいのですが、お金の供給量の多寡によって、経済を運営するというマネタリズム(貨幣供給量や貨幣供給を行なう中央銀行の役割など、経済の貨幣的な側面を重視する経済学の理論)なんて、ごまかしです。

 雇用の維持や賃金を上げることをしないと需要が伸びないというのは当たり前です。
だから新自由主義方式でやったらダメなんです。私は、アベノミクスも、残念ながら間違っている点は、まさにその点で、いくら企業の減税をしても、経済はよくならないと思います。

 彼ら(ユダヤ人)の発想から言えばそうなるのです。彼らはFRB(アメリカの連邦準備制度理事会 大統領が任命する七人の理事で構成され、そのうちの一人が議長として統括。中央銀行として公定歩合の変更などを行なう。実際のドル紙幣の発行などの中央銀行業務は下部組織である全米十二の連邦準備銀行が担当)を支配していて、通貨の供給量を握っているからです。
  
 民間人である彼らが握っているから、彼らの好きな通りに通貨供給量を増やしたり減らしたりできる。それが新自由主義経済です。これは共産主義経済と同じことで、グローバル市場は一握りのエリートがすべてを支配するという体制になってしまう。

日下 歴史的には同じことは何回もありました。ユダヤ人は昔からいるのだから、同じことをやってきた。国家に抱きついて国家から儲けるというのは、そもそも十八世紀後半にフランクフルトのゲットー出身のマイアー・アムシェル・ロートシルト(ドイツ語読み、英語読みでロスチャイルド)が銀行家として成功して、その五人の息子、長男(アムシェル)がフランクフルト、次男(ザロモン)がウィーン、三男(ネイサンがロンドン、四男(カール)がナポリ、五男(ジェームス)がパリと、それぞれに分かれて銀行業を拡大したときから同じです。

そのときやったことは、本にいっぱい書いてある。ただし、日本人はほとんど読んでいないんじやないかな。それを読めば、馬渕さんの言うことは「なるほど」となる。

 私は銀行員だったから、ロンドンに支店を出したり、ニューヨークに支店を出したりすると、ユダヤ人がたくさん寄ってくる。彼らと一杯飲んだり食べたりして、それで、「ああ、彼らはこんな人間なんだ」とわかった。

 日本人は国際感覚がまったくない。日本人は、国といったら同じように考えている。
彼らが考える国と日本人が考える国とは全然違う。日本人が考える国は、二〇〇〇年ぐらい前から続いていて、聖徳太子から千数百年以上続いていることが、みんな当たり前だと思っているから、何も考えない部分がある。


 国家に金を貸して国家を牛耳る金融ユダヤ
p75-78
馬渕 言ってみれば、結局、世界史はなにかというとユダヤ史なんです。
一九九一~九三年まで欧州復興開発銀行初代総裁を務めたジャック・アタリ(一九四三年~ アルジェリア出身のユダヤ系フランス人。フランスの経済学者、思想家、作家、一九八一年~九一年フランソワ・ミッテラン大統領の補佐官)は経済学者と言われていますが、金融ユダヤ勢力の世界計画を代弁しているだけなのです。逆に言えば、彼の著述や発言を読めば、彼らがどう考えているかというヒントになる。彼は本の中で「国家の歴史は債務の歴史だ。国家は債務、つまり借金によって栄え、借金によってつぶれる。その繰り返しだ」と言っています。

事実そうなのですが、それはびっくり返してみれば、国家の歴史は、国家に金を貸す者の歴史ということになる。では、誰が金を貸しているかというと、ほとんどはユダヤ金融勢力です。

ユダヤ金融勢力は国を持っていないから、国家に金を貸して、その国家を牛耳る。
その走りは「イングランド銀行」(イギリスの中央銀行 一六九四年に設立)です。
今は別にユダヤ資本の専売特許ではないですが、彼らの金の貸し方は、敵味方の両方に金を貸すということです。

イギリスで言えば、ピューリタン革命(一六四〇~一六六〇年にイギリスで起こった革命。クロムウェルらピューリタンを中心とする議会派が一六四九年国王を処刑し共和国を樹立。クロムウェルの革命独裁を経て、一六五九年彼の死後、共和国は崩壊し、一六六〇年に王政が復活)があって、チャールズ一世が斬首され、息子(のちのチャールズ二世)はフランスに亡命した。

クロムウェルを扇動して、チャールズ一世を処刑させたのは、オランダなどにいたユダヤ系の金貸し業者です。ところがそういう勢力がフランスに亡命したチャールズ二世に金を出してやり、のちにイギリスの国王に戻している。彼らは、そういうことを平気でやっている。

我々はクロムウェルのピューリタン革命は、「イギリスの民主主義の実現だ」などと教えられていますが、あれはユダヤ人がイギリスに合法的に戻ってきた革命だったということです。ヒレア・ベロック(一八七○~一九五三年 フランス系イギリス人の作家、歴史家、社会評論家)など、イギリスでユダヤの歴史を勉強している人がそう言っています。

日本人は、歴史教科書でイギリス史の重要なポイントとして習うのはピューリタン革命と名誉革命(一六八八~一六八九年)ですが、そんなことよりも重要なことは、一六九四年にイングランド銀行ができたことです。

これはユダヤ人の金融業者が当時のウィリアム三世に、フランスとの戦費(当時イギリスはフランスと交戦していた)を賄うために、百二十万ポンドの金を貸して、その代わり百二十万ポンドの通貨を発行する権限を得たのです。

王様はなにもわからないから、「どうぞ」と。これが世界の悲劇のはじまりです。以後、金貸し連中が民間人支配の中央銀行をつくるというのが、世界の歴史になっていった。

 金を貸す者が歴史をつくつてきた
p78-81
馬渕 アメリカの中央銀行に当たるものは、もともと「イングランド銀行」を真似た、公債と統一通貨を発行する「第一合衆国銀行」を、一七九一年に初代財務長官のアレキサンダー・ハミルトン(一七五五~一八〇四年)が二十年の期限付きで、つくりました。その資本金一千万ドルの株式の八〇%の八百万ドルを民間、二〇%の二百万ドルを国が持っていた。

「第一合衆国銀行」は一八一一年に期限が切れたのですが、アメリカ議会は更新しなかったのです。そこで一八一二年に米英戦争(一八一二年六月~一八一四年十二月 「第二次独立戦争」とも呼ばれる)が起こった。これは明らかに、アメリカ政府に借金をさせるために起こった戦争です。中央銀行をもう一度樹立させるために起こした戦争で、二年間戦って、結局アメリカは借金で首が回らなくなって、一八一六年に、同じ条件で「第二合衆国銀行」ができたのです。その期限がまた二十年です。

一八三六年に期限が来た。そのときに、あくまで反対したのが当時のアンドリュー・ジャクソン第七代大統領(一七六七~一八四五年 任期一八二九年五月~一八三七年三月)です。アンドリュー・ジャクソンは、最後まで認めなかったから、彼がアメリカの大統領史上最初の暗殺のターゲット(一八三五年一月三十日の暗殺未遂事件)となったのです。銃が不発だったから助かったのですが、その犯人であるリチャード・ローレンズは精神異常者ということで片付けられました。

アメリカ史は、イギリスの金融資本家が、いかにアメリカの金融を支配するかとい
う歴史でもあったのです。ところが世界の歴史家や国際政治学者は勉強していないから、絶対に、このことを言わない。

 だから、なぜ南北戦争(一八六一~一八六五年)が起こったかもわからない。一言でいえば、アメリカが強大化することを恐れたイギリス(シティ)が南部諸州をたきつけて合衆国から離脱させようと図ったのです。ロンドン・シティは南部連合に戦争資金を高金利で融資しました。これに対し、北部のエイブラハム・リンカーン(一八〇九~一八六五年 第十六代アメリカ大統領 任期一八六一年三月~一八六五年四月)はシティからの借金を拒否して、自ら政府紙幣を発行しました。面白いことに、南北戦争が起こって、リンカーンを支援したのはロシアです。当時のロシアのアレクサンドル二世(一八一八~一八八一年 在位一八五五~一八八一年)がリンカーンを支援しています。サンフランシスコとニューヨークに軍艦まで派遣しています。

 だから、金を貸す者が歴史をつくってきたといえます。そういうことをジャック・
アタリが公言しているのですが、誰もそれを読みきれない。

日下 日本の金融は”優等生”だから、そういうものがわからないからね、だからわからせるには、だいぶ書かなければいけない。
「アレグザンダー・ハミルトン伝」副題:アメリカを近代国家につくりあげた天才政治家 ロン・チャーナウ著[日経BP社](上)(中)(下)を読了して。
2009/10/14(水) 午後 11:33
なんという皮肉か❗
暗殺されたリンカーンはユダヤ人の利益に敵対し、ロシア皇帝に支持友好関係者にあった❗なんということだ、トランプ大統領は暗殺される可能性が高いではないか!

 政府が通貨を発行しても問題ない
p81-82
馬渕 政府の税収が不足したらヽ支出を抑制して緊縮財政にするか、国債を発行して借金をするしかないとヽ我々も洗脳されているから、そう思っているわけですよ。

 しかし、もうひとつある。政府が円を発行すればいいのです。そうしたら全部解決する。こういうことを言うと、経済学者は、「そんなことをしたら日本はハイパーインフレになってヽとんでもなく円の価値がなくなって、世界から総スカンを食らう」と言って、みんな揃って反対するわけです。

 前述しましたが、リンカーンが、一八六二年から一八六三年にかけて、政府ドル四百五十億ドルを直接発行しました。最終的には、彼はそのために暗殺されました、が、アメリカは決してハイパーインフレになっていない。

当時、ロンドンタイムスが、「政府が通貨を発行なんかしたら、その国は借金がな
くなって繁栄する。世界の富はアメリカに集まる。そういう政府は倒さなければならない」と書いている。

 ということは、政府が通貨を発行すれば、その国の借金の問題は全部解決する。もちろん政府はしっかりしていなければいけない。勝手に増刷したらインフレになりますが、生産性の範囲内で増刷すればいい。しかし、日本の経済学者はそういうことを言わない、言えないんですよね。

日下 だってみんな、貧乏育ちなんだよ、本当に。


 日銀券とはなに
p82-86
馬渕 日銀の場合は、四五%しか民営化されていないと言うことも可能ですが、日銀券とは、要するに政府機関でない一銀行が発行してくれた銀行券です。それをありかたく我々は使っている。

日下 私か銀行の企両部にいたときに、日銀から「来月何日、朝何時に検査官が行くから、金庫の前にずらっと並んで待っていろ」という手紙が来る。「金庫を開けて待っていろ」というのは、べらぼうな話なんだよ。だから「これは確かに日本銀行から来た手紙である」、「なぜうちの銀行が、その命令を聞かなければいけないのか」ということまで、私は調べた。

 結局その手紙には日本銀行総裁の印という印が押してあるわけ。これが偽物か本物かを、私か鑑別して、「これは本物に間違いない」と私か書いて自分で判を押した。そこまで働いたやつは、過去ひとりもいないんだよ。だけど私は係になったからやったのですけれどね。

 そのとき、「私かどうやったかわかりますか」と日銀の理事に聞いたら、ひとりもわからない。「あんたらが印刷して日本中に配っている銀行券ですよ。それ、か本物だというのは、日銀総裁の印が押してあるというだけです。自分の持っている千円札に、日銀総裁の印、かおるから、それと比べて、千円札と同じハンコです」と。

 日銀理事が「へーえ」と信じない。日銀総裁の印が押してあるのを私が疑って確かめるなんて思っでいない。

 バンクというのは、ユダヤ人が道にテーブルを出して、そこに流通しているお金をザーツと並べておく。それが堤防(イタリア語のbanca)のようになっているからバンクという。それで、人が来たら両替してやるというのがはじまりなんだ。

 日本銀行も、最初はそういう民間の銀行なんだよ。お役所の金は一円も入っていない。田舎の親戚が「日銀の株を買った」と言っていた。それを額に入れて、「日銀の株主だぞ」と威張っていた。

馬渕 当時は一般の人が買えたんですか。

日下 買えた。

馬渕 今は株主が誰かわからないですよね、誰が持っているのか。

日下 それはわかりません(日銀はジャスダックに上場。五五%は政府所有、議決権はなし、株主配当は五%以下。お札を発行しているところは日本銀行、硬貨を発行しているところは日本財務省造幣局)。

馬渕 そうですか。
 政府が円を発行することの是非について、もっと真面目に議論すべきです。ところが、そんなことしたらとんでもないことになると、頭から否定するわけです。それが一種の洗脳なんです。

 市場というのは、インサイダーが取り仕切っている。我々が儲けようとして株をやるのは、絶対やめたほうがいい。儲かるはずがない。情報は彼らが独占している。市場経済が民主的というのは、全部嘘です。

 インサイダーが取り仕切って、アウトサイダーにはわからないような仕組みにして、アウトサイダーから金を集めて、アウトサイダーの金を奪っているだけです。

 フリードリヒ・ハイエク(一八九九~一九九二年 オーストリアーウィーン生まれの経済学者、哲学者)など、世界の著名な経済学者が「市場の選択」などと言って、「みんなが市場で選択をすることによって経済がうまくいくのだ。だから、政府は介入してはいけない」と言っている。

 それはまったくの嘘で、選択をするにしても、情報が不公平です。私か持っている情報と、インサイダーの持っている情報は、格段の差かおる。だから私か正しい選択をできるはずがない。それが市場の実態です。
                   
 ジャック・アタリが「市場の力というのはマネーの力なのだ。だから市場の勝利はマネーの勝利であって、それは個人主義の勝利だ」と言っている。なぜ、市場の勝利が個人主義の勝利なのかということになると、我々にはまったくわからない。

日下 それは、私は戦争中を知っていて、日銀券は流通を断られたことがあったからわかる。昔は、たとえば陸軍が馬を買うために、農家に日銀券を渡したら、「こんなものはいらない。それより馬の餌をくれ」という時代があった。

 我々が「米とか豆とか売ってくれ」と買い出しに行く。すると、農家は「日銀券の
代わりに着物でも持ってこい」と。だからみんな嫁入りのときの衣装などを農家へ
持って行く。そこで、農家へ行くと、嫁入りのための着物がいっぱいめった。

 そのころは、日銀券は流通を拒否された。流通しだのは着物などだ。このへんから通貨の話を書かないと、「EUがどうした」といっても、みんなわからない。



 ユダヤの意図に背いた人間は、みなつぶされている
p87-98

馬渕 今のお話は非常に面白くて、アドルフ・ヒトラー(一八八九~一九四五年 総統在任期間一九三四~一九四五年)は、ホロコーストなどで我々も学校で極悪人と教えられますが、必ずしもそうではない。

 そんな極悪人が、なぜアウトバーン(ドイツの高速道路 一九三三年首相になったヒトラーは、失業者雇用促進のため、全長七千キロにおよぶ「帝国アウトバーン」計画を発表)をつくることができたのかということです。アウトバーン建設に参加した労働者は一九三三年末には千人以下でしたが、一九三七年には約十万人、一九三八年には約十二万人に達しています。それによって、ドイツはワイマール共和田の混乱から抜け出して、経済発展をすることができた。

 それがなぜ可能だったのか。そのひとつが、今、先生がおっしやったように、ヒトラーは物々交換で貿易をやったからです。お金を使わずに経済活動をやられたら、お金を発行している人が困る。

 ヒトラーはそういう意味ではドイツ国民のためになることをやった。やったがゆえにつぶされた。これが歴史の皮肉というか逆説ですよ。国民のためにやった人は、みんなつぶされた。日本でも田中角栄がつぶされたのは、基本的には同じです。

 それまではヒトラーは英米の金融資本家が育てたんです。だから、育ててつぶすということだったかもしれませんけれど。

 J・F・ケネディ大統領(ジョン・フィッツジェラルド・ケネディ ー九一七~一九六
三年 一九六一年一月に第三十五代アメリカ大統領に就任)が在任中の一九六三年十一月二十二日にテキサス州ダラスで暗殺されたのは、リンカーン同様に、政府が紙幣を発行したからです。

 一九六三年六月四日にケネディは政府紙幣の発行を財務省に命じました。その紙幣はFRB発行の銀行券とほぼ同じデザインで、ただFRBのマークの代わりに「United StateS Note(政府券)」と印刷してあるものです。二ドル札と五ドル札を発行し、次に、十ドル札、二十ドル札を刷っていこうとしたときにケネディはテキサス州ダラスで暗殺されています。

 ケネディは最初からFRBに対する問題意識があったのでしょう。通貨発行をめぐる争いがケネディ暗殺の背景にあったということは通説にはなっていませんが、財務省によって発行された総額四十二億ドルの政府券は、ケネディ暗殺後、副大統領から大統領に就いたジョンソンによって速やかに回収されています。

日下 そう、すぐに回収されてしまった。


秘密裡にできたFRB
p89-93

馬渕 前提としては、アメリカのドル発行の権限を持っているのはFRB、すなわち連邦準備制度理事会のもとの連邦準備銀行ということがあります。

 これは一〇〇%、民間銀行です。株主は公開されていないのですが、ゴールドマン・サックス、J・P・モルガン、チェース・マンハッタン銀行、ロスチャイルド銀行など、アメリカやイギリスの大手銀行です。

アメリカ政府が、たとえば十億ドルが必要だとなったら、アメリカは十億ドルの国債をFRBに預けてドル紙幣を発行してもらう。国債なので利子が付くので、FRBは、なにもしなくても儲かる。一九一三年に、そういう仕組みをつくったのです。

日下 秘密の島へ行って、そこで銀行設立株主総会をやった。

馬渕 一九一〇年十一月二十二日にTJ・P・モルガンが所有するジョージア州の沖にあるジキル島クラブで、秘密会議が聞かれて、FRB設立についての計画が討議されたのです。彼らは汽車で移動したのですが、新聞記者など誰にも知られないようにバラバラに乗り込んで現地に行った。

 そのメンバーには、J・P・モルガンの創設者のジョン・ピアポント・モルガンなどの銀行家と、ロスチャイルドの代理人ポールーウォーバーグという有名なドイツ系ユダヤ人や共和党上院議員で院内幹事のネルソン・オルドリッジ(娘がジョン・ロックフェラ・ジュニアと結婚している)が入っでいます。

 当時はウッドロー・ウィルソン大統領(一八五六~一九二四年 第二十八代大統領 任期一九一三~一九二一年)で、金融のことは何もわからない人だから、「署名しろ」と言われて署名し、それでできた。 

ケネディは虎の尾を踏んだのです。同じように踏みそうになって、暗殺未遂になったのがロナルド・レーガン(一九一一~二〇〇四年 第四十代大統領 任期一九八一~一九八九年)です。一九八一年三月三十日に起こったレーガンの暗殺未遂も不思議な事件です。

 銃撃した犯人は、ジョン・ヒンクリーという、女優のジョディ・フォスターの追っかけで、彼がやったということになっています。しかし、どう考えてもおかしい。彼も「精神の病気にかかっており、責任能力がない」との判断で一九八二年六月に無罪放免になっています(その後、強制隔離入院させられ、二〇一六年七月釈放が許可された)。

 レーガンは大統領選挙のときから、「FRBがなぜ必要なのかがわからない」と言っていた。当時はFRBの議長はポール・ボルカー(一九二七年~ 一九七九~一九八七年FRB議長)で、レーガンは大統領になってから、彼と話をしようと言っても、ボルカーが応じなかった。

 当時の記録を読んでみると、リーガンという財務長官のオフィスにレーガンが出向いて、そこにボルカーも来て、そこで会って話をしたという。アランーグリーンスパン(一九二六年~ 一九八七年~二〇○六年FRB議長)が自分の回顧録の中で、そのときに、レーガン大統領が開口一番、「自分はよくFRBがなぜ必要なのかと質問されるけれど、なぜなのか」と質問して、ボルカーが飛び上かったという話が出てきます。
 
実際どのような会話があったのかわかりませんが、「最後にはふたりは協力するようになった」と書いてあります。つまり、レーガンは言い含められて、「FRBに手を突っ込むな」と言われたと思うんです。

 だから、レーガノミクスというのはなにかというと、つまりボルカーに好きにやらせたということです。どの大統領のもとでも、FRBの議長は好きにやるのですが。

 そこでボルカーが高金利政策をやって、世界からドルを集めて、それでアメリカのインフラ投資がなくなってしまった。当時、私が勤務していたニューヨークの道はデコボコでひどかったoそれがレーガノミクスなんです。高金利をやれば、世界の金が集まってくる。その代わり、金を借りて投資する人がいなくなってしまう。

 それで一九八〇年代はじめにブラジル、メキシコなど中南米諸国が高金利で増加した金利負担で対外債務の返済が困難になるなどの財務危機、が起こったのです。日本では一所懸命、いかに中南米の銀行を救うかなどとやっていた。バカらしい話で、救うために日本、が出した金はみんなウォールストリートに行ってしまっていたのです。
 

マイナス金利で世界は変わる
p93-95
日下 今年二一〇ニ八年)が本当に画期的な年だというのは、マイナス金利だから、そういうメカニズムが全部壊れてしまう。

馬渕 FRBは金利を上げたいけれど、もしLげたら、世界経済に影響するから上げるに上げられない。しかし上げなければ、彼らは儲からない。マイナス金利になったら、ドルを発行するたびに自分の持ち分か減っていくことになる。

日下 日本は、政府が五〇%以上の株を持っている日本銀行という原子爆弾を持っている。

馬渕 どんどん金融緩和して世界の金利を下げれば、金融資本家が儲からなくなる。通貨を発行している中央銀行が儲からなくなる。

 私は今回のイギリスの離脱を奇禍として、今の金融システムを廃止するというと大げさかもしれないけれども、少なくとも改革する契機にすればいいと。つまり、民間の中央銀行はいらない。

日下 すると、これからの百年はどんな百年になるのか。この根本的な違いは日本のゼロ金利なんだ。

 利息をもらえたのが逆に出さなければいけない。大逆転をすでに起こしているのに、だいたいそれを言う学者がいないのはおかしい。

馬渕 彼らが今まで勉強してきた経済学が成り立だなくなっているからでしょうね。

日下 地域通貨だけでいい。ヨーロッパにおける地域通貨って面白いよ。
 イギリスで言うと、真っ平らな土地だから、道路をつくるより運河を引くほうが簡
単なんです。そこに、細長いボートが浮いていて、そこで寝泊まりする人もいる。
 
ころどころに「タバン」という、飲ませたり、食べさせたりする旅館兼食常がある。
この名称はギリシアーローマの時代から続いている。ターバンでも良い。

 そこが回数券を発行すると、これが通貨。だやら地城通貨のはじ1りはタバン。大体庶民はそれで暮らせる。

馬渕 おそらく地域通貨は貯金しても意味がない。しかもその地域以外では通じないから、地域の中で消費する。

日下 だから「また来週飲みに行くから」と言うんだな(笑)。

馬渕 今、為替の取引で儲けているということ自体が、実はおかしい。つまりお金が商品になっているわけです。お金は商品であってはいけない。でも、そういう基本的なことは、今、まったく議論しない。

 地域通貨は、銀行に持っていっても預金として受け入れてくれない。使うだけですから。そのもとに戻ればいい。すると利子もなくなる。そうすると銀行業が成り立だなくなるのですが、それでいい。

日下 こんなにいらないものね。


戦争は金貸しの金儲けのため
p96-98

馬渕 利子というのは、結局我々が洗脳されていて、そういうものだと教えられている。「今使わずに、あなたにこの金を貸すから、自分が使えなかった代償として、その分だけ余計に返してもらう」というわけですよ。

 それなら、他のものでも、何を貸しても、本来そうなるはずですよね。でも、他は
別にそうならない。友人に自動車を貸してもらっても、ガソリン代を返せばいいだけで、自動車にプラス利子を付けて返す人はいない。せいぜい、お礼をするだけですね。
 ところが、なぜ通貨だけはそうなのか。それは通貨というものを発明した人が、そういうものだと最初に決めてしまったのでしょうね。これは紀元前にまでさかのぼるのですが。

日下 これを面白おかしく書いていけば、明治維新のころ、西郷隆盛の軍隊がストップして、全然動かなくなって、江戸城に入れなかった。それは金がなくなったかららしい。

 その金を三井組と小野組とかが出さなかった。それで勝海舟と相談して、ともかく「金をちょっとくれよ」と。それで入城した。別に秘密でもなんでもない。

馬渕 あの会談はそれだったんですか。

日下 そう。

馬渕 その勝海舟も面白いことを言っている。『氷川清話』『海舟座談』などを読みましたが、彼は何度も「外国から借金はしてはいけない」と言っている。だから勝海舟こそ、日本の救世主だったと私は思う。

 あのとき、ご承知のように、フランスが幕府に金を貸そうと言った。それを断った。
もしフランスから金を借りていたら、日本の国内で内戦が起こって、英仏の代理戦争をやらされていた。そこでジャック・アタリが「借金をさせれば、その国を牛耳ることができる」と言っていることに結びつく。だから、私は明治維新の英雄は勝海舟だと思いますよ。

 戦争をするのに膨大な金が必要になる。資金が足りなくなるから、誰かが金を貸す。第一次世界大戦も、第二次世界大戦も、要するに金儲けのための戦争なんです。こういうことを、我々は一切教えられない。

日下 歴史家も経済学者もみんな貧乏人の子供。家が金持ちだったという人はいないからね。だから実感が湧かないんだろう。湧かん人は黙っている。

馬渕 戦争というのは、お金のため、つまり儲けるためにやってきた、やらされてきた。戦争というのは、挑発に乗ってやったら、バカらしいんです。
トランプ大統領が暗殺されるかもしれないと考えるのは、当然の帰結である。















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米メディアはこれまで、クリントン氏優勢との見方が大半だった。しかし、投票が近づいた10月下旬、クリントン氏の私用メール問題について米連邦捜査局(FBI)が捜査再開を明らかにしたことで、風向きが変わった。世論調査によっては、トランプ氏がリードする結果もあり、予断を許さない情勢になったのだ。

 トランプ氏が大統領選で当選するとしたら、どんなケースが考えられるのか。米国政治に詳しい福井県立大の島田洋一教授が想定するのは、(1)連邦最高裁判事の人事問題をアピールして、トランプ氏から離れた保守派の支持を取り込む(2)私用メール問題でクリントン氏が窮地に陥る(3)あってはならないが、イスラム系移民によるテロが起きた場合-の3つだ。

 ■(1)最高裁人事

 まず最高裁をめぐっては現在、リベラル派4人、保守派4人の判事で構成されている。本来は9人だが、保守派の判事が今年2月に急死。オバマ政権と共和党との軋轢(あつれき)で空席のままとなっているのだ。

 最高裁判事は終身制のため、仮に50歳前後の新判事が選ばれた場合、数十年にわたって務める可能性がある。島田氏は「クリントン氏が大統領になると、進歩派主導の最高裁になる。トランプ氏は『私が選ぶ判事と、クリントン氏が選ぶ判事のどちらに数十年やらせますか』と、もっとアピールするべきだろう」と語る。

 現に共和党候補の指名争いで最後までトランプ氏と争ったテッド・クルーズ上院議員は9月、トランプ氏支持を表明した。その背景には、クリントン氏を勝たせれば、リベラルな連邦最高裁判事を任命するなど、オバマ路線が継承されることになると判断したというのだ。

 ■(2)メール問題

 メール問題では、クリントン氏のメールの内容が今後明らかになるなかで「露骨に賄賂を要求しているような内容のものだったら刑事事件になる可能性がある」と島田氏。

 ■(3)移民テロ

 さらに、テロに関しては、「あってはならないことだが、仮にシリアから入ってきた難民などからテロを実行する人間が出てきたら、『クリントン氏はこういうリスクのある人を入れようとしている』ということで、数ポイントは(トランプ氏支持に)動くのではないか」とみる。

 現実的な情勢としては、クリントン氏がやや有利といい、島田氏は「米国の選挙のプロは激戦区のペンシルベニア、オハイオ、フロリダの3つの州が大事だとみている。トランプ氏はこの3つを全部取らないといけないし、取れば勝てる」と話す。

 クリントン氏の問題に加え、トランプ氏のセクハラ疑惑も取り沙汰され、「泥仕合」となった大統領選。最後まで情勢は流動的のようだ。

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                                                   【ワシントン=加納宏幸】米CNNテレビは4日、米大統領選の大統領選挙人(計538、過半数270)獲得予想を更新し、先行する民主党のヒラリー・クリントン前国務長官(69)と共和党のドナルド・トランプ氏(70)の差が縮まったと伝えた。クリントン氏が270人を割り、トランプ氏は200人の大台に乗せた。

 CNNは各種世論調査に陣営への取材などを加味して予想を発表した。10月28日に連邦捜査局(FBI)がクリントン氏の私用メール問題で捜査の再開を公表する前の同月27日に発表された予想と比べると、クリントン氏は272人から268人に減らし、トランプ氏は179人から204人に増やした。これによって、両者の差は93人から64人に縮まった。

 10月の予想でクリントン氏が優勢だったニューハンプシャー(4)は今回、新たに激戦州になった。また、激戦州だったオハイオ(18)、ユタ(6)、勝者総取り方式をとらないメーン第2選挙区(1)がトランプ氏優勢となり、クリントン氏側に有利な形で予想が動いた州はなかった。

 激戦州はニューハンプシャーのほか大票田のフロリダ(29)、ノースカロライナ(15)、アリゾナ(11)、ネバダ(6)、勝者総取りではないネブラスカ第2選挙区(1)の計66人となっている。

 クリントン氏はニューハンプシャーを押さえれば過半数に届くが、トランプ氏は全勝する必要がある。
民主党寄りのCNNの調査でこれだと・・・トランプ逆転か?だが依然選挙人の数ではヒラリー有利なのだ。スイングステートの大票田であるオハイオ、ノースカロライナ、フロリダをすべてトランプが取ったとしても、ネバダかアリゾナを落とせばヒラリー大統領となってしまうので、トランプは依然厳しい。

第四コーナーを回った最後の直線でトランプが逆転しそうな勢いというよりヒラリーが失速しているのだから、最後写真判定となる可能性は高くなったような気がする。

トランプの大逆転の末に大統領となった場合、世界秩序は一時的に大混乱となるかもしれない。既にマーケットは先週トランプ大統領を想定し始めた!

政治経験のないトランプ氏では米経済政策の不確実性が増すとして米国株安を招き、東京市場に波及、短期的に日本株にマイナスの影響が出るだろう。為替もリスク回避で円高ドル安が急速に進行し、100円を突破し90円台前半まで円高が進むだろう。一方、クリントンが勝たとしても、円安ドル安政策を進めるとの見方もあり、結局為替市場では円高が進む可能性が高いだろう。

トランプ大統領となれば日米安全保障条約の破棄や日本の核武装容認まで示唆しており、戦後の世界秩序や東アジアのパワーバランスが、根本から変わる可能性がある。もし、トランプ大統領が誕生したならば日本は覚悟を決めて憲法改正とCSM
(Conventional Strike Missile)非核ミサイルを対中国抑止力として開発配備を検討するべきだろう。

トランプだろうとヒラリーだろうと日本は現実を受け入れるべきだが、どちらになっても史上最低で不人気な大統領が誕生するだけなので、どうでも良いのだが、ここにきて私もちょっとばかりこわいもの見たさも手伝って、トランプ大統領が見たくなってきた・・・ 










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日本との同盟強化 米、国家軍事戦略に明記 中国の人口島造成に懸念 【産経ニュース】2015.7.2 17:48


 【ワシントン=青木伸行】デンプシー米統合参謀本部議長は1日、米軍の運用指針となる「国家軍事戦略」を公表した。「今日の国際安全保障情勢は、かつてないほど予測不可能だ」とし、対処するための重要な戦略として、日本をはじめ「同盟・友好国との地球規模のネットワーク」を強化する方針を強調した。

戦略の発表は2011年以来4年ぶり。国際軍事情勢について、戦略は南シナ海での中国による人工島造成が、中国軍に「国際的な海上交通路にまたがり、兵力を配置することを許す」とした。また、ウクライナに軍事介入したロシアが、「目的を達成するためには、武力行使をいとわない」などと分析した。

そのうえで、「米国と同盟・友好国とのネットワークは、世界の安全と安定の礎となる類いまれな強さがある」とし、「集団的な軍事力」を高めることなどにより、「侵略を抑止する」と強調した。

日本やオーストラリア、韓国、フィリピン、タイとの同盟を強化し、アジア太平洋に戦略の重心を移すリバランス(再均衡)戦略を推進するとした。また、日本、北大西洋条約機構(NATO)、オーストラリア、韓国を「先進パートナー」とし、合同軍事演習などにより「複合的な紛争に対処する高度な能力」が備わるとした。
当初オバマのアメリカは米中2極のG2を目指した。中国の横暴に
対してもだが、もはや米国は中国を対等に付き合える大国とは見做さなくなった。
習近平の中国は米国の国益を損なうと米国はようやく気がついたのだ。過去の歴史を振り返っても、米国は中国に対して常に幻想を抱いていたが、ようやく支那の実態にきがついたのだ。
 米ソの対立が激化していた1972年、ニクソン大統領は中国を味方につける為に国家安全保障担当補佐官だったキッシンジャーを送り込んだのだ。
これは今思えば結果的に失敗だった。このニクソン訪中によって得をしたのは、中国だけだった。中国はこれによって「上海コミュニケ」、つまり「中国は一つで台湾はその一部」という立場にアメリカのお墨付きを与えてしまったのだ。
 さらに、周恩来が「ソ連を止めてくれ」と泣きついたため、ニクソンはいい気になってその年の6月、モスクワに飛び、ブレジネフを説得して中国との関係改善を促した。このときのアメリカの対応が中国の台頭を許す結果になってしまったことは、現在の中国の増長ぶりを見れば明らかだ。
近頃中国はジャイアンであるというジャイアニズムという言葉が目を引く
 日本への留学経験があるその教授は、「主人公ののび太を日本とすればガキ大将のジャイアンはさしずめ中国。ジャイアンの手下としてのび太に嫌がらせするスネ夫は韓国」とみる。

さらに「しずかちゃんは台湾で、ドラえもんは米国だろうか。ジャイアンは虎視眈(たん)々(たん)としずかちゃんを狙っているから、のび太とドラえもんにがんばってもらわないとね」と笑った。

そこまで国際情勢は単純ではないにせよ、政治問題が常に念頭にある中国人的な発想に興味をもった。

このとき、教授には「ジャイアニズム」という俗語も教えてもらった。「おまえの物はオレ様の物。オレ様の物はオレ様の物。声のでかいヤツが勝ち。弱いヤツにはすごんでみせる」と傍若無人に振る舞うジャイアンの姿が自己中心的な人物を表す俗語になったのだという。

のび太はジャイアンの理不尽な要求やいじめに遭ってくじけそうになりながらも、ドラえもんの力を借りて解決策を探し出す。しずかちゃんの存在がのび太の励みになることもしばしばだ。

ドラえもんほど寛容な国が実際にあるかどうかの議論は別にして、「ジャイアニズム」の典型である国が脅威になるとすれば、のび太はドラえもんと力を合わせていくべきだろう。

おまえのものはおれのもの、おれのものもおれのものというのが、ジャイアン的思考所謂ジャイアンニズムであり、今の中国の考え方なのだ。
 アメリカもようやく中国はジャイアンであることに気づいたのだろう。米国は中国を叩かないといけないと考えるようになった。常に悪の権化が必要なアメリカにとって、十分すぎる相手である。このままいくと米中軍事衝突の時が迫っているのかもしれない。

日本などとの「地球規模のネットワーク」を強化 米国家軍事戦略
【産経ニュース】2015.7.2 11:05

 【ワシントン=青木伸行】デンプシー米統合参謀本部議長は1日、米軍の運用指針となる「国家軍事戦略」を公表した。「今日の国際安全保障情勢は、かつてないほど予測不可能だ」とし、これに対処するための重要な戦略として、日本をはじめ「同盟・友好国との地球規模のネットワーク」を強化する方針を、改めて強調した。

戦略の発表は2011年以来4年ぶり。国際軍事情勢について、戦略は南シナ海での中国による人工島造成が、中国軍に「国際的な海上交通路にまたがり、兵力を配置することを許す」とした。また、ウクライナに軍事介入したロシアが、「目的を達成するためには、武力行使をいとわない」などと分析した。

そのうえで、「米国と同盟・友好国とのネットワークは、世界の安全と安定の礎となるたぐいまれな強さがある」とし、「集団的な軍事力」を高めることなどにより、「侵略を抑止する」と強調した。

日本やオーストラリア、韓国、フィリピン、タイとの同盟を強化し、アジア太平洋に戦略の重心を移すリバランス(再均衡)戦略を推進するとした。また、日本、北大西洋条約機構(NATO)、オーストラリア、韓国を「先進パートナー」とし、合同軍事演習などにより「複合的な紛争に対処する高度な能力」が備わるとした。
日本とアメリカが良好な関係であることは両国にとって望ましい関係であると私は考える。米国がいつ何時中国と裏で手を結ぶかはわからない、米国が今まで日本に対しどれだけ人種差別的な悪行をしてきたか・・・・それを言い出したらきりがない。
だが、日本は韓国や中国の支那文明とは異なる日本文明の国だ。いつまでも支那文明のように過去のことで相手を貶めることがない文明なのだ。
米国は単独で21世紀後半の覇権の維持を目指していたが、21世紀後半覇権の維持を単独では困難と判断し、日米同盟を覇権維持の基軸としたいのであろう。だが憲法に制約のある日本単独ではなく、TPP加盟環太平洋諸国との共存の道を選択したのだと思う。
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米ニューヨークで開幕した毎年恒例のイベント「フリートウイーク」で海上をパレードする米海軍のドック型輸送揚陸艦サン・アントニオを見る人たち(2015年5月20日)〔AFPBB News
1 押し流される新大綱(25大綱)

 日米防衛協力の指針(ガイドライン)が、1997年以来、18年ぶりに見直され、大きな進歩があったことは喜ばしいことである。

 しかし、その中に米国の作戦・戦略の大変革によって突きつけられている我が国防衛政策の大胆な転換への要求があることに気づいているだろうか。

 日米の新ガイドラインの中に繰り返し出てくる、日本が「防衛作戦を主体的に実施」し、米軍は「自衛隊の作戦を支援し、補完」するとしたところに重大な意味がある。

 日本の防衛は日本が主体となって実施することは至極当然だが、この文脈は従来の延長線での防衛の概念ではなく、作ったばかりの防衛計画の大綱を早急に見直さなければならないほどの重大な意味が込められている。

 中国は、2015年の国防白書で2021年までに中国の夢、すなわち、強軍の夢を実現することを明確にした。事実、中国軍は2020年を目標として宇宙ステーションを作り宇宙軍を創設するとし、35基の北斗により世界規模のGPSを展開する予定だ。
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  さらに、局地戦に勝てる装備を充実して、統合運用も2020年を目標とする等、強軍の実現に向かって確実に進んでいる。

 日本国内で自衛隊を縛る不毛な議論が続いている間に、米中はこの5年間を勝負と見据え、中国は局地戦を戦って勝つための大軍拡を、米国は大変革を行おうとしているのである。

 そして、絶対的と思われた米国の軍事力が揺らぐ中、もう一度日本の防衛力のあり方を洗いなおさなければならないだろう。次に述べる米国の大変革を読んで考えていただきたい。

2 米国における戦略対話

 筆者をはじめとする日本戦略研究フォーラム(JFSS)に所属する陸海空の将官OBは、米国駐在の防衛駐在官や連絡官の支援を得て、2015年3月2日から9日にわたり、ワシントンの米国戦略予算評価センター(Center for Strategic &Budgetary Assessments:CSBA)、米国防大学国家戦略研究所(National Defense University,Institute for National Strategic Studies:NDU,INSS)、およびニューポートの米国海軍大学(Naval War College:NWC)を訪問し、我々が提案する発展型の南西諸島防衛の考え方を討議の基本として、率直な意見交換を行った。

 その理由は、2010年5月にCSBAの所長であるクレピネビッチ氏が発表した、米国の中心的な作戦の考え方であるエアシーバトル(ASB)は、日本の南西諸島防衛構想とがっちりと噛み合っているものと思っていたが、どうも大きな不整合があるのではないかとの疑問が生じたからである。例えば、
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 ●そもそも米空母や米空軍などが、短期間で日本や日本周辺に集結して攻勢に打って出ることを今も基本としているのか?

●中国本土への攻撃はやるのか?

●さらには、拡大核抑止は既に破綻しているのではないか?

 などである。また、NDUのハメス氏が提唱しているオフショアコントロール(OC)は経済封鎖を強調する一方、第1列島線は第1列島線にある国々の責任で防衛をすることを前提とし、米国の関与は必要最小限にとどめることを基本とした戦略であることに大きな危惧を感じていた。
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  一方、NWCでは、ヨシハラ、ホームズ両教授の陸上戦力による影響力の拡大が中国海空軍に対する拒否力として有効であるという提言は、南西諸島防衛の考え方と合致するものだと考えられた。

 さらに、ウオーアットシー-ストラテジー(War at Sea Strategy:WASS)という「中国本土への攻撃を局限しつつ、戦いを海洋に限定して中国海軍の中枢の水上艦と潜水艦に対して決定的な打撃を与えうる能力を持つことにより、効果的に戦争を抑止しよう」という考え方も、わが国の単独の防衛戦略としても大きな意味を持ち魅力的であった。

 これらを踏まえ、いったい米国の向かう作戦・戦略の流れはどこにあるのかを掴み、これと日本の考え方を融合させ、日米一体の作戦・戦略へと発展させることが急務であると考え、米国の作戦・戦略を主導していると考えられる上記3機関に絞り意見交換を実施したものである。

 これらの意見交換を通じて、米軍全体の改革をリードしているのはCSBAであることが確認できた。

 先に述べたCSBAは、所長のクレピネビッチ氏を始め、副所長のジム・トーマス氏を中心として、必要に応じ国内外から識者などを集め、様々なウオーゲームを実施し、その成果を基にして約400のオプションを作成し、その組み合わせを検討するとともに、様々な反論・意見などを取り入れて着実に進化し続けている。

 そして、軍事予算の縮減をきっかけとした軍の変革の必要性を政府や議会、軍内に発信することにより、米国政府や軍の中で建設的なアイデアが統一されつつある。それは単に構想にとどまらず、構想を実現するための装備の方向性まで提案しており、まさに国防省の外に位置しながら、米軍の変革の「源流」となっている。


3 オフセット・セミナー(第3次相殺戦略)について

 本題に入る前に少し長くなるが、今回の意見交換の意味を理解して頂くために、2015年1月にCSBAで実施されたオフセットセミナー(第3次相殺戦略)について概要を紹介する。

 2015年1月に、CSBAのマーテイネジ元海軍省次官が相殺戦略(Offset Strategy)を発表し、内外から識者を集めてセミナーが実施された。これは、国防省が検討を進めている国防イノベーション・イニシアチブ(Defense Innovation Initiative:DII,米国が長期的に優勢を維持する方策を追求する構想)の一環であると考えられる。

 相殺戦略とは、「我の優位な技術分野を更に発展させることにより、ライバルの量的な優位性を相殺しようとする戦略」であり、1950年代、1970年代に続いて第3次相殺戦略と位置づけているが、従来と異なり圧倒的な経済力と軍事力に裏づけされていない限界のある戦略となっている。

 この戦略は、敵のA2AD(接近阻止、領域拒否)能力に対抗して米国が戦力を展開するために、優越する5つの分野における能力を最大限に発揮しようとするものである。

 簡単に言うと、今後の米国の勝ち目は、「無人機による長距離打撃力と潜水艦・機雷などによる水中作戦、そしてこれらを繋ぐ軍種の領域を超えた作戦を支えるシステム」ということになる。

 長距離打撃力は、統合グローバル監視・打撃ネットワーク(GSS)として、今後米国が重点的に投資する分野の1つであり、宇宙からの打撃を含む、物理的・非物理的(電子的、電磁波的攻撃)手段による攻撃を実現しようとしている。

 また、これに付随して、ミサイルなどの大量の弾を一挙に発射する飽和攻撃に対処するために、レーザ、敵のミサイルの方向を変えるマイクロウェーブ(電磁波)、高速発射ができるレールガン兵器の実用化に向けて明確に舵を切り始めた。

 米国の認識では、中露の弾道ミサイルに対して、弾道ミサイル防衛(BMD)で迎撃することは容易ではないことを認識している。

 日本は米国の先端技術に今こそジャンプして同一歩調をとらなければ、常に周回遅れの高い装備品を米国から輸入し続けなければならなくなる。この分野で日本には米国が一目置く技術があるが、日米は協力する一方で、日本は国家として切り札となる技術力を保護しなければならない。

 相殺戦略のすべてをここに書くことはできないが、米国の現状認識を簡潔に述べると次のとおりである。

●米国の前方展開基地及び部隊、衛星に対して敵は先制攻撃を仕掛けようとする強い意志がある

●防衛的な地域ハブはコストが高く、敵に容易に攻撃される。(敵に近い港や空港が敵の攻撃に脆弱)

●米国の抑止の信頼と同盟国の自信の低下(同盟国は安全保障面での米国の関与の信頼性に疑問を持ち始めている)

●水上艦艇や空母は発見されやすく、追跡されやすく、長距離から攻撃されやすい

●非ステルス航空機は近代的な統合防空システムに脆弱である

●宇宙はもはや聖域ではない
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 これが世界最強を誇った米軍の率直かつ正確な自己分析であり、これを前提に国外の識者も入れてセミナーを実施したということは、米国が国内外に大きな変化を要求しているものと理解すべきであろう。
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  この際、CSBAの相殺戦略で示された脅威のスペクトラムを示す表には、明確に空母は地域的な、そして低・中強度(イラク戦争程度まで)の脅威下(図左下)で運用されることが明記されている。これはNWCも同様の意見であり、中国のA2ADによって米空母の来援を期待できないという大きな変化が現実のものとなっている。

 一方、この表での陸軍の位置づけは、地域的・高強度下(図左上)で中国などの考えの逆の陸軍によるA2ADネットワークを構成するとなっている。

 米国でも、ASBの下でこれまで軽視されてきた陸軍の役割の重要性が再認識され、日本型の陸上戦力構成が大きな役割を発揮するとの判断から、米陸軍を日本型の戦力構成に作り変えようと言う動きが生じている。

 これらの考え方は、ASBを実現するための具体的な柱となるものであるが、今後は国防省の統合戦力開発部門(J7)に引き継がれ、統合軍や各軍種の変革に大きな役割を果たすことが予想される。我々は今回の訪問で、この進化するASBの最先端の考え方を捉え議論できたことは誠に幸運であった。

4 米国における戦略対話の概要とその評価(CSBAを中心として)

 今回の訪米では、核戦略については概要を、グレーゾーン対処については今後の喫緊の課題であることを共通の認識としながら、主として通常戦力による日米の軍事コンセプトについて意見交換を実施したものである。

 その基本となるASBは2010年に中国を対象として「西太平洋における通常戦力による軍事バランスを維持して紛争を抑止すること」を目的として公表されたものである。

 当初の考え方は、核抑止が効いていることを前提として、エスカレーションの懸念があっても、中国本土や衛星への攻撃を実施するとともに、遠距離封鎖も同時に実施するとされた。

 一方、「中国のミサイルによる第1撃の兆候」があった場合、米空母などの艦船、米空軍は第2列島線以遠に安全に避退することが戦勝のカギであるとされた。当然、大型揚陸艦も避退することになるだろう。この時期にゲーツ国防長官は空母打撃群を中心とした考えは既に有効ではないと述べている。

 2012年に陸軍、海軍を入れた統合の考え方に整理された後、2013年には公式ASBとして公表された。この中では、対中国という表現を注意深く避け、米軍の戦力の展開を阻止・妨害するようなA2ADを排除することを目的とした限定的な作戦とされた。

 敵本土への攻撃も、指揮、通信、情報などの弱点を破壊する限定的なものとなった。

 一方、電子戦、電子妨害等の盲目化作戦(Blinding Campaign)を重視するとなった。このような流れの中で、核抑止はどうなっているのか、第1列島線の重要性は認識しているのか、そうならば、米軍は不利であっても第1列島線に踏みとどまるべきではないのか、中国の短期・高烈度の局地戦にどう決着をつけるのか、さらには、進化するASBの真の姿は何なのかなどを明らかにする必要があった。

 そこで、議論の後、次のような結論を得ることができた。

(1)米国の核抑止力及び同盟国等に対する拡大核抑止力

 3つの機関とも米国の中国に対する核抑止力は依然として効いているという認識であるが、中国が南シナ海に配備している大陸弾道弾搭載の潜水艦(SLBN)の脅威や、地上配備の核ミサイルが移動型になり、また、地下サイロは深深度にあり破壊が困難になっていることは認識している。

 このための日米の対策の1つとして、南シナ海の日米共同哨戒の必要性については意見が一致した。日本にとっても南シナ海のシーレーンの防護は死活的な問題である。

 米側の拡大核抑止の低下についての認識は十分ではないが、短・中距離の核ミサイル(戦域核ミサイル)については中国、北朝鮮などの一人勝ちであり、大きな不均衡が生じていることは十分に認識している。

 端的に言うと、中国が米国に届かない短・中距離核ミサイルで日本を攻撃した場合、果たして米国が核戦争を決意して中国に打ち返すかという問題である。

 冷戦時代のヨーロッパでも同じ問題が生起したことで、英国やフランスなどは自前で核兵器を装備することになった。拡大核抑止の低下については日本側から問題提起し、要求すべきものであるが、米国は米国の責任として受け止めなければならないというのがCSBAの意見であった。

 NDUで議論したプリシュタップ上級研究員は、我々と議論した後に「米日同盟、ガイドライン調査」という報告書で、「拡大核抑止が揺らぎ、中国や北朝鮮の核とミサイルの日本への威嚇や攻撃に米国が報復しないという拡大抑止の分離を中朝側が信じるようになった」と述べている。

 主語は違うものの、このような問いかけが日本に向かって投げかけられている事実は重く受け止めるべきであろう。

 CSBAとNDUでは、米国の中距離ミサイルの配備を制限しているロシアとの中距離核・通常弾戦力全廃条約(INF条約)の通常弾の縛りをアジア正面に限って解除し、日本に中距離弾(現状は存在しない)を配置してもよいとの考えが示された。ただし、可能になるのは次の大統領だろうとの認識であった。

 中国は、2010年に消滅し、2015年で復活した核の先制使用をしないというものは、米国に対しては核使用を抑制するが、第1列島線における局地戦では核の威嚇を含めてその使用の可能性を否定していないと理解すべきである。

 注意すべきは、EMP効果を狙った空中核爆発であり、もし中国が西太平洋上でこの種の攻撃を実施した場合、日本をはじめ、太平洋に所在する米軍の電子機器は一挙に使用不能に陥ってしまうだろう。

 直接、核攻撃される恐れだけでなく、戦域核ミサイルの不均衡の問題は、中国が米国からの核打撃の報復を恐れることなく、日本等の第1列島線の国々に対して「局地戦を挑みやすくなる」ということである。

 日本は、非核三原則を絶対のものとして、これまで核の日米協議を積極的に行わず、共同作戦計画に反映することを黙殺してきたが、そのつけは最悪の事態となって跳ね返ってくる恐れが大きいだろう。

 米国に全面的に依存している核抑止については、「非核三原則」を見直し、運用上の要求に応じて多数のトマホークを発射できる攻撃型潜水艦(SSGN)、戦略爆撃機、あるいは地上配備型ミサイルの運用による核兵器の持ち込みを認めるなど、日本が自ら答えを出さねばならない。手遅れになる前に日本は目を醒ますべきである。

(2)第1列島線の価値と同盟国の重要性の認識

 今回の訪米で、米国が第1列島線の死活的な価値を本当に認識しているのかが焦点の1つであったが、CSBA、NDU、NWCともにその価値を十分に認識していたことに安堵した。

 CSBAにおいては、先に述べたが、米陸軍を陸上自衛隊のような対艦ミサイル、防空ミサイル、機動戦闘車(MCV)などを装備し、さらに地上配備型の弾道ミサイルを保有する部隊に改編して、日本からASEAN(東南アジア諸国連合)に連なる第1列島線全般に防衛線を作るべきであるとの意見であった。

 時を同じくしてクレピネビッチ所長が発表した「中国を抑止する島嶼防衛のあり方」という論文では、「米国および同盟国・友好国の最終目標は、中国側に武力による目的達成が出来ないと認識させる拒否的抑止(力を発揮させず封じ込める)を達成すべきである」とし、「米国とその同盟国・友好国はその陸上戦力の潜在力を強化することで一連のリンク防衛を実現できる」と提唱している。
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 日米ともに陸上戦力の早期展開が大きなカギとなることから、日米双方の輸送力を共同で活用することが必要となってくるであろう。まだ米陸軍はこの考え方の全てを受け入れていないが、A2ADネットワークにおける陸軍の役割を検討し始めたようだ。

 また、将来、米陸軍の編成は太平洋正面においては陸自型、そして対ゲリラの中東型、重戦力の欧州型に変化するのではないかと考えられる。

 米海軍についてNWCは、DF21Dなどの地上配備型兵器による脅威が増大したため、米海軍の空母や大型艦中心の考え方はもはや通用せず、これを修正しなければならないとの意見であった。

 その中で米空母は、ミサイルの攻撃が続く間、第2列島線以遠に「再配置」されるが、無人遠距離偵察・攻撃機を装備することにより、第1列島線の防衛に関与すると言う。しかしここには、無人機と有人機の共同運用と言う難題が控えている。今後、米海軍全般の第1列島線に対する関与は議論になるであろう。

 空軍は日本に残留して戦闘を継続することを追求しているが、これには、民間飛行場にも広く分散・移動を繰り返し、偽装し、あるいはデコイを使って、中国のミサイル攻撃を凌ぐことが前提となっている。

 当然、民間の修復力を活用するとともに弾薬、燃料なども事前に分散配置する必要があるため、相当量の弾薬、燃料の備蓄が必要となる。

 このように、米国は積極関与を打ち出しているが、要は日本が米陸軍を受け入れ、航空戦力の存続のために官民一体となって飛行場の運用、修復などを可能にすることが必須である。

 さらには、一見無駄に見えるが、陸海空の弾薬、燃料などの予算を大きく増加させ、分散配置しなければ、米軍は第2列島線以遠に下がらざるを得なくなるだろう。米国の前方展開の関与の努力を引き出したものの、結局は日本の有事への取り組みの本気度が試されているのである。

(3)中国の短期・高強度(核を除くあらゆる手段での関与)の局地戦(Short Sharp War)における勝利追求に対する米国の対中長期戦の考え方の問題点

 これは米国と日本をはじめとする同盟国・友好国にとって大きな問題点である。中国軍が短期・高烈度の局地戦において勝利を目指していることは日米共通の認識である。これに対し、ASBは長期戦に持ち込み、疲弊させて終戦へ繋げることを目標の1つとしている。

 ここには大きな3つの問題が存在する。

 1つは、米国はあくまでも米中戦争を主体に考えているが、実は中国の短期高烈度の局地戦とは、第1列島線の国々に対する直接攻撃であるということだ。

 日本としてもよく考えなければならないことであるが、米中戦争の実態は、中対日、台、比などの戦いである。どうして日中戦争があり得るのかと米国でも質問を受けたが、第1列島線を中国が奪取する意味を考えれば議論の余地はない。

 第1列島線は中国にとって列島線バリケードであり、ここに対艦ミサイルなどを保有する敵対勢力が存在する以上、このバリケードの突破なくして中国沿岸部の経済的核心地域の安全と、米国に対する海洋覇権の確立はできないからである。

 さらに第1列島線上に存在する多くの空港は、太平洋における海上優勢獲得のために必要不可欠な航空優勢を獲得する上で、不沈空母としての意味がある。また、第1列島線を勢力下に置くことにより、米国をハワイ以東へと追いやり、東南アジアを勢力圏下に置くことができる。

 米国による核報復の恐れが薄れている以上、中国は日本を核による恫喝で怯えさせ、在日米軍基地を攻撃しない巧妙な戦法により日米の分断を図ることが可能である。

 中国の日本に対する「歴史戦」はやむことなく、戦後の秩序を壊しているのは日本であると主張している。これらを通じて日本に対して国連の「敵国条項」を発動できることも無視できない。

 1979年に中国はベトナムに対して「懲罰」を目的として戦争を仕かけたことがある。中華民族の復興を唱える習近平国家主席にとって「東夷」である日本は屈服させたい敵であり、討伐することは中国の理に適う。

 また、中国は論理的な脅威の積み上げではなく、国内事情という「非合理の合理」で動くことがある。中国の戦争判断は、我々の合理的判断の外にある。NDUのプレシュタップ氏はこれをよく理解していた。

 2つ目は、中国軍の短期決戦といえども、数週間(4~6週間)はかかるとの見方が有力である。この間、日本などは中国の攻撃に堪え、戦い続けなければならないが、果たして、第1列島線の国々でこの期間を堪え凌ぐ国はあるだろうか。

 米国が長期戦に持ち込んでいる間に疲弊するのは中国ではなく我々ではないだろうか。日本は、本当に戦い続け、抗堪できるかを真剣にチェックし、自衛隊の人員、装備、弾薬などを含む防衛力を大幅に増強しなければ日米は共倒れになる危険性がある。このことを理解し、予算を投入して国の安全を守ることこそ、政治家の本来の仕事である。

 時間的・空間的に懐が深い作戦・戦略が採れる米国と、国土に直接脅威を受ける形で、選択の余地がない日本の作戦・戦略との間にギャップが生じている。早急に両国間の意思の疎通を図ることが必要だ。

 さらに、3つ目は米軍と時間的・空間的に溝が広がると、日米の海空作戦の隙を突いて、グレーゾーン事態から活動する海上民兵に先導され、経海、経空輸送される大量の歩兵や特殊部隊による島嶼への攻撃の可能性が高くなることに注目する必要がある。

 漁船約200隻で1個師団(6000~1万人程度)規模の輸送が可能であり、「数個師団」は1日を経ずして南西諸島のどこへでも到達できる。

 昨年秋、父島、母島周辺で不法操業した約200隻の漁船群の行動は、いつでも第2列島線まで奪取できることを日米に見せつけたのだろう。ここまで戦域は広がっていると考えるべきだ。

 これに中国国内のみならず、国外の旅行者、留学生も軍務に服さなければならないという、「国防動員法」によって動員された、特殊部隊を含む旅行者等が内部蜂起して、これらと連携するだろう。

 米国では、クリミアで行動した階級章をつけていない「軍人」や民兵のことを「Little Green Menと」呼び、その行動を「忍び込む侵攻」(Creeping Aggression)と位置づけて注目している。

(4)最終的に確認したASBの基本概念

 ASB(AirSeaBattle)の進化した基本概念は大きく3つの概念から成り立っており、今後名称の変更が予想されるものの、本質は以下の通りである。

●拒否し防御する(Deny & Defend):同盟国によるA2ADネットワークの構築、抗堪力、継戦力

●長引かせ疲弊させる(Protract & Exhaust):経済封鎖

●懲罰を科す(Punish):中国本土への攻撃、盲目化作戦

 この際、CSBAの現在の問題意識は、「第1列島線および米軍の抗堪性向上による被害の最小化は可能か」「中国戦力に対する同盟国等のA2ADネットワークの構築は可能か」「中国軍の飽和攻撃への対応」「中国本土への攻撃」である。

 中国本土への攻撃は主として米軍の役割であるが、残り3つは、まさに同盟国などへの期待であると同時に、同盟国の役割に依存しなければならないASBの限界を示している。

 ASBの基本概念のうち、「盲目化作戦」と「拒否し防御するに含まれる潜水艦などによる水中の支配作戦」は、作戦当初から実施されることから、この作戦に日本が主体的役割を担って、積極的に日米共同作戦を実施する必要がある。

 中国本土への攻撃は、「懲罰的抑止」と位置づけられ、中国にコストをかけさせるために戦略上不可欠であると考えられており、実行にあたっては、核攻撃と同じように米国大統領の決断に委ねられる。

 また、米国は日本が独自の判断で中国本土を攻撃することは認めない。しかしながら、このことは日本の生存に直結する問題であり、その実施について意見が言えるような日米間の仕組みを作らなければならない。

 南西諸島防衛は、日本にとって国土防衛であると同時に、米国にとっての対中作戦で死活的な意味を持っている。

 また、単に中国軍を封鎖するだけではなく、NWCの言うとおり、海洋に作戦を限定して日米共同で中国海軍を撃滅できる能力を保持することは、戦争の拡大を抑制しつつ、具体的な目標を設定することで大きな抑止力を発揮するとともに、独善的な海洋国家たる中国は認めないという強い日米のメッセージを送れることで、日米相互にその効果が大きいことを確認した。

 日本も、列島線沿いに対空の壁、対水上の壁、島嶼の壁のみならず、地上発射型の魚雷などを装備することで対水中の壁の補完をし、圧倒的に有利な対潜哨戒機(P3C、P1)と連携することで大きな抑止力を発揮することになろう。

 さらに、東シナ海などの空母を含む水上艦隊を撃滅するための対艦弾道ミサイル(日本版DF21D)を持つことおよび原子力潜水艦(SSN)を含む潜水艦の増勢は不可欠である。

 専守防衛といえども防御の中に打撃力を保持しなければならないことは軍事の常識である。対艦弾道ミサイルについて、これを排除するような考え方が日本のみならず米国にも存在することは不可解である。あくまで日米共同でコントロールすることに意義がある。

5 終わりに

 南西諸島の防衛の考え方は、空母の来援が前提でなくとも、米国のASBという軍事コンセプトの主要な要素である「同盟国のA2ADネットワークの構築」として見事にかみ合うことが確認され、さらに、中国の海洋戦力を日米で殲滅することは大きな抑止力となることが確認されたが、実は日本側にボールが投げ返されていることを自覚しなければならない。

 日本の主体的な防衛作戦は、単に国土防衛だけではなく、日米共同の対中作戦・戦略の「前提」となるものである。このため、日本は防衛政策の大転換は不可欠である。

 そして、防衛費を少なくとも今後10年間で「倍増」する覚悟がなければ、中国が全力を挙げて挑む局地戦を抑止することはできない。

 局地戦とは、尖閣だけに限らず、焦点は南西諸島全域を含む武力戦である。さらに米国の関与が薄くなる可能性がある以上、日本に残された道は防衛力の増強しかないのではないだろうか。

 財政の厳しい欧州ですら、ロシアの軍事的脅威の台頭を感じ、独は4年間で2700億円、スウェーデンは5年間で1500億円の増額である。中国の大軍拡と米国の大変革の渦中にありながら、日本は中期計画の中で実質7000億円の削減であり、人も装備も弾なども絶対量が足りない。

 防衛省と政治家が協力して主導しこの国の安全を保障すべきだ。自ら国を守る気概をなくした国民に未来はない。

執筆中





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[ワシントン 6日 ロイター] - 米共和党のベイナー下院議長は6日、オバマ大統領が財政協議で条件交渉に応じなければ、債務上限を引き上げないと明言した。米放送局ABCの番組「This Week」の中で述べた。

下院議長は「この国の信用は、政権が席に着いて交渉を持つことを拒否しているため危機にさらされている」と指摘。何らかの条件が付与されない限り、債務上限を引き上げる法案を通過させるのに十分な票は下院にないと付け加えた。

オバマ大統領が10月17日の債務上限引き上げ期限前に条件交渉に応じなければ米国はデフォルト(債務不履行)に向かうことを意味するのかとの問いに対し、下院議長は「それはわれわれがたどっている道だ」と述べた。

ベイナー下院議長は、たとえ民主党に頼ってでもデフォルト回避に向けて努力すると共和党内で語っていると報じられていたが、態度を硬化させたもようだ。

既に1週間近くに及んでいる政府機関の一部閉鎖問題は、共和、民主両党が非難合戦を繰り広げており、終わりが見えていない。

下院議長は「私は米国のデフォルトを望んでいない」と指摘。「しかし、債務を増やしている問題の解決について真剣な話し合いをすることなく債務上限を引き上げることはない。そんなことをすれば私は無責任だということになる」と述べた。

<財務長官「議会は行動起こす必要」>

一方、ルー財務長官はFOXニュースに対し、「考えられないこと」が起きれば、深刻な結果を招くと警告。「そうした危険を冒すことは無責任かつ無謀であり、議会は行動を起こす必要がある」と述べた。

財務長官はCNNに対し、「17日にわれわれの借り入れ能力は尽きる。議会は火遊びをしている」と語った。

また、オバマ政権には独自に債務上限を引き上げる権限があるとする一部民主党議員の主張について、法的にこうした権限を持たないとする政権の立場を財務長官は説明。「何らかの魔法のような解決策があるだろうとの期待があるが、容易な解決法がある。それは、政府機関閉鎖を解除する法案が採決にかけられれば議会の過半は正しい判断を下すだろうし、債務上限を引き上げる法案が採決にかけられれば議会の大半は正しい判断を下すだろう、ということだ」と述べた。
これじゃ・・・北トンスル共和国が得意の瀬戸際外交じゃあないか・・・
ベイナー議長はこの瀬戸際外交テクニックどこで覚えてきたのか・・・そう、へタレのオバマには効くだろう。
まさに、デフォルト=ICBMだ。
オバマ大統領は予算の詳細や医療保険改革法の強化に関してならば交渉するが、「米国の民主主義において、政策を引き出す方法としてデフォルトリスクを利用するような党派との交渉は認めない」と述べた
オバマも交渉のテーブルに着く気もない・・・六か国協議か!
オバマのスピーチは確かに上手だ。だが、上のフラッシュのようなことをしてはだめだ。米国は厚かましくて狡猾な国なのだが、世界経済に対して責任を背負っているのだ。米国が持つ本音と建て前、悪く言うと二枚舌ダブルスタンダードなのはわかってはいるが、シリア問題での醜態につづきこの醜態、オバマは任期を3年を残し早くもレームダック化しつつある。
17日には、連邦債務が上限に達してしまうため、デフォルト(債務不履行)の危機は切迫している。ロイターの予想では10月30日にデフォルトになってしまう予定だ。
北トンスル共和国は国民が数万人餓死しようが、周辺国が迷惑しようが関係なく核と長距離弾道ミサイル開発に邁進している。少なくとも世界経済に責任を負う米国は北トンスル共和国と同じことをしてはいけない。
アメリカの下院議員435人中、191人が鉄板の地盤を持つ共和党議員である。彼らにとって怖いものは、党内のティーパーティ議員であって民主党ではないらしい。どうやったら彼らに妥協を求めることができるのか。状況はかなり深刻です。
へタレのオバマが交渉テーブルに乗るか否かが問題だと思います。

[ワシントン 8日 ロイター] - 米債務上限引き上げ期限が来週17日に迫る中、オバマ米大統領は8日、政府機関を再開し無条件で債務上限を引き上げた場合に限り、財政問題について交渉する用意があると述べ、共和党への圧力を強めた。

大統領は会見で「共和党の強硬派」からの脅しを受けながら事態打開に向けた話し合いを行うつもりはないと言明。「分別のある共和党議員が協議を望むなら応じる用意がある」としながらも、「共和党強硬派がベイナー議長に米経済についての脅迫を強制するのをやめるまでは応じない。民主主義において脅迫を繰り返してはならない」と訴えた。

一方、共和党のベイナー下院議長は党の会合後、検討対象あるいは対象外とあらかじめ決めている選択肢はないとの考えを示し、「譲れない一線」はないと発言。予算案成立の条件として要求していた医療保険改革法(オバマケア)の延期には言及せず、柔軟な姿勢を示唆した。

共和党議員は会合後、債務上限を引き上げる代わりに、オバマ大統領に歳出削減を迫る方針を堅持すると述べたが、一部議員は早期に財政問題について協議することを条件に、デフォルト回避に向け短期の上限引き上げ法案を可決する可能性があることを示唆した。

共和党のトム・コール下院議員(オクラハマ州)は「交渉を行うとともに枠組みが整えば、債務上限を引き上げる方策についておそらく合意できる。だが、交渉しないのであれば上限の引き上げはない」と語った。

民主党のリード上院院内総務は、8日中に付帯条件を伴わない債務上限引き上げ法案を提出することを明らかにした。

法案には、民主、共和党どちらの政策要求も盛り込まれていないとしている。

ある民主党議員の側近はこれに先立ち、上院民主党は2014年の資金需要を十分手当てできる水準に債務上限を引き上げる法案を週内に提出する計画で、共和党が求めている財政赤字削減措置は盛り込まれない見通しであることを明らかにしていた。また共和党議員6人の支持を得て、審議打ち切り動議の可決に必要な60票をおそらく確保できる見込みだと述べていた。

一方、下院共和党幹部は同日、債務上限引き上げに関する提言を行い、財政赤字削減策を検討する超党派委員会の設置を提案した。

共和党が過半数を握る下院と民主党主導の上院が10人ずつメンバーを指名し、計20人で構成する。

設置案によると、委員会は政府機関の閉鎖終結に向け、2014年度予算の手当てについても提言を行う。

だが、米議会は2011年にも超党派による特別委員会を設置して歳出削減の方策をめぐり協議したが合意に至らず、機能しなかった経緯がある。

オバマ大統領も「問題解決に新たな委員会が必要かどうかわからない」として否定的な見方を示した。

ホワイトハウスはその後、下院が超党派による特別委員会設置に関する法案を可決しても、大統領は拒否権を発動すると表明した。予算案の成立と債務上限引き上げという差し迫った問題を「何も解決しない」としている。

政府機関の一部閉鎖から8日たったこの日の市場では、与野党が合意できるかどうかについてなお懐疑的な見方が根強く、警戒感が高まっている。

株式投資家の不安心理の度合いを示すシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー・インデックス(VIX指数)は6月下旬以来の水準に上昇。米株は大幅続落した。

またデフォルト懸念を反映し、同日実施の4週間物財務省短期証券(Tビル、11月7日償還)入札では、最高落札利回りが2008年10月以来およそ5年ぶりの水準となる0.350%に上昇。応札倍率は2.75倍と、2009年3月以来の水準に低下した。

2013年 10月 4日 19:16 JS
田巻 一彦

4月4日に異次元緩和を打ち出して以来、消費者物価(除く生鮮、コアCPI)は順調に上昇し、経済環境は全般に好転して、黒田日銀の歩みは「順風満帆」と言えるだろう。ただ、米財政協議の難航を起点にした米国債の債務不履行(デフォルト)リスクなど海外要因が死角になる可能性がある。

もし、異変が起きた場合には、黒田総裁の国際金融における経験と俊敏な判断力が生かされる展開になると予想する。

<黒田緩和の半年、自己採点は100点満点か>

黒田総裁の目から見れば、この半年の日銀のパフォーマンスは100点満点に近いのではないかと予想する。きょう4日の会見でも、株価の上昇や長期金利の低位安定、予想物価上昇率の上昇による実質金利の低下を推進力に「民需を刺激していると思う」と指摘。「量的質的金融緩和はその効果を着実に発揮している」と述べた。

また、さらに最大の目標である2年で物価を2%上げるという点でも、8月のコアCPIが前年比0.8%上昇まで上がってきていることに触れながら「今後、さらに上昇していく見ている」と断言。「2%の物価安定目標の達成に向けて想定される道筋を着実に進んでいると思っている」と、目標達成に自信を示した。

さらに懸案のポートフォリオリバランスについても、大手銀が海外の貸し出しを伸ばすなどリスク資産を増やしていると評価し、地銀を含めた金融機関全体についても「徐々に進んでいっているし、今後も進んでいくだろうと思っている」と前向きの評価を下した。

こうした黒田総裁の自信にあふれた会見での自己評価をみていると、半年前に比べ「黒田緩和」の目標達成への可能性が高まっているように見える。

<立ちはだかる米財政リスク>

ただ、順調に言っている時ほど、視野から欠落したリスクに足をすくわれる可能性に注意するべきではないか。「好事魔多し」という表現が、すたれることなく残っているのは、そうした理由があるからだと考える。

黒田総裁にとって、隠れた大きなリスクはやはり米財政問題を起点にしたドルと米国債のリスクだと考える。米議会における財政協議が難航し、米政府機関の閉鎖は4日目に入った。このまま2-3週間と閉鎖が長期化すれば、米国の国内総生産(GDP)を0.3─0.5%下押しするとの試算も出ている。

黒田総裁も「こういう状況が長引くと、かなり深刻な影響が米国経済、ひいては世界経済に及ぶ恐れがある」と指摘した。

<危機回避に注目されるハスタート・ルールの非適用問題>

マーケットは米政府機関の閉鎖長期化だけでなく、その先に待ち受ける米国債デフォルト・リスクにも神経質になってきた。

市場関係者が心配しているだけでなく、米国債発行の責任者である米財務省が、デフォルトした場合には「2007年─09年よりも深刻なリセッションに陥る恐れがある」と警告。「信用は市場はまひし、ドルは急落、米国の金利は急上昇しかねない」と分析した。

オバマ大統領と与党・民主党は、いわゆるオバマケアの予算執行を1年延期すべきという野党・共和党の主張に妥協しないと明言しており、今のところ決着の見通しは立っていない。

米政界に詳しい識者などの話を総合すると、1)米下院共和党のベイナー議長が、共和党議員に党議拘束を求める「ハスタート・ルール」の適用をやめれば、下院で民主党案が可決される、2)オバマ大統領が憲法修正14条を根拠に大統領の権限で債務上限を引き上げる──などの道があるという。

このため米市場関係者の中では、最終的に米国債のデフォルトは回避されるという楽観論が今でも支配的なようだ。

<懸念されるテールリスクの現実化、リーマン危機と酷似>

だが、私には5年前のリーマンブラザーズ破綻のケースが目の前に浮かんでくる。あの当時も、リーマンを破綻させる際のリスクと回避で得られる利益を考えれば、破綻の選択はありえない、という見方が事前には圧倒的に多かった。

しかし、現実は全くの別の展開をたどった。今回も上記に示したようなデフォルト回避の道は、いくつも残されているが、土壇場における米政界の大立者の判断次第では、「まさかのデフォルト」も可能性がゼロではない、と思われる。

黒田総裁は、この日の会見で、最悪の事態に陥った際の日銀の対応について「一般論としては、中央銀行はどこでもどんなことにも対応できるような能力がある」と述べた。

「万が一」の事態が発生した場合は、7カ国財務相・中銀総裁(G7)による緊急の対応を含め、あらゆる措置が実行され、中銀は日銀を含め、流動性の供給に万全を期すことになるだろう。その際には、黒田総裁の国際金融における長い経験が発揮されるに違いない。

米債務の上限が来る今月17日を前に、米議会での妥協がないまま時間だけが経過していく事態になった場合、ある時点でいきなり市場の緊張感が急上昇し、株式、債券、外為の各市場が大変動に直面することも予想される。

現在は、テールリスクに過ぎないものの、世界経済は「カチカチ」となる時限爆弾を抱えながら、不安な時を過ごすことになる。

熊野英生 第一生命経済研究所 

毎年、ドル円は5月連休後から円高になり、それが秋まで続いた後に、冬から円安に転じ、春先までその基調が持続する。リーマンショック後の2009年以降、この季節的な為替変動のパターンが多かれ少なかれ成立している。為替のアノマリー(理論では説明できない規則的変動)である。

私たちは、12年11月以降のアベノミクス始動によって、あまりに華々しい円安転換を遂げたために、為替の季節的変動のことを一時的に忘れてしまっていた。

しかし、冷静になって、12年後半から13年10月までのドル円の推移を描いてみると、きちんと12年秋が円高の最終局面になり、13年5月にその後の円安の流れが天井をつけて円高に揺り戻される動きになっている。

(略)

<ドルは「今が底」の可能性>

目下、債務上限問題は米政府の債務不履行(デフォルト)リスクを想起させて、潜在的なドル安要因になっている。シリア問題、米連邦準備理事会(FRB)次期議長選出、政府機関の一部閉鎖など、このところオバマ大統領の采配が次々に裏目に出て、「強いアメリカ」像は見る影もない。

米政府の債務上限は今後、どこかに落とし所を見つけなくてはならない。今月17日の期日が目処になる。歳出抑制、短期国債の借り換えでどうにかしのいでも今月末までに対処しなくてはならない。デフォルトが起これば、想定外のドル安になるだろう。

債務上限問題と政府機関の一部閉鎖はすでに景気情勢を混乱させており、今後の経済指標のかく乱要因となろう。そうすると、12月に量的緩和第3弾(QE3)縮小に着手することも極めて困難になる。来年になって次期FRB議長に替わって、いきなりQE3縮小へ着手するのも不安が残る。当面は、ドル安圧力が強まる展開であろう。

ただし、為替のアノマリーを前提にすると、10月以降のどこかで円高・ドル安の流れが反転するチャンスが訪れる可能性もあり得るのではないか。実は「今が底」という理解だ。

米景気指標は雇用統計こそ奮わないものの、ISM製造業指数は好調に拡大している。過去10年のデータを振り返ると、米株価(ナスダック指数)の前年比伸び率とISM製造業指数の伸び率は連動するかたちになっている。

米ファンダメンタルズがしっかりしていることは、株価上昇を促し、ドル高・株価上昇の基調的な流れをつくることになる。堅調な景気情勢を前提に考えると、米債務上限問題による不透明感が解消されれば、円安・ドル高への転換もあり得る。

一方で、日本側の状況を振り返ると、年末・年度末にかけては消費者物価指数が前年比1%台半ばまでプラス幅を拡大していることが予想される。13年8月の消費者物価(除く生鮮食品)は前年比0.8%まで上昇している。これは円安要因である。

日本の景気も消費税増税の駆け込み需要などの後押しもあって、楽観的な見方が台頭しやすいのが13年度下期のタイミングである。やはり、今秋以降のどこかで、ドル円が円安方向に反転していくきっかけを得て、14年5月辺りまでは円安傾向が進むことが期待される。



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9・11テロの首謀者はビンラディンではない。 一般にはビンラディンが9・11テロの首謀者と思われているが、じつはもともと90年代に独自の対米テロをいくつも計画・実行し、後にアルカイダに合流して9・11テロを主導したのは、ハリドーシェイクームハマドであり、彼がひとりで発案し、アルカイダを巻き込んで実行したものだった。
 アルカイダの首領であるビンラディン自身は、98年8月の在アフリカ大使館テロ以降、アフガニスタンの秘密拠点に潜伏し、そこでアルカイダ組織の運営と各地のイスラム過激派の支援を行っていたが、自ら先頭に立ってテロ計画を主導することはほとんどなかった。
アルカイダが9・11テロに突き進んでいった過程は、作戦立案者であるムハマドがアルカイダに参加していくプロセスとシンクロしている。この男がもしアルカイダに参加していなければ、9・11テロは起きなかったにちがいない。
 
 p84-85
その後、ムハマドは、自身の身辺にアメリカ当局の追手が迫ったことから、96年1月にカタールからアフガニスタンに逃亡する。じつは、FBIはその何力月も前に、マニラのアジトに残されていたメモの電話番号からムハマドの身元を特定し、ユセフの共犯者であるとほぼ断定していた。しかし、。犯罪人引渡し条約のない国での強硬措置は国際問題に発展する可能性がある。ということで手をこまねいているうちに、みすみす見逃してしまったのだ。
 
アフガニスタンにわたったムハマドは、その年のうちにムハマドーアテフの引き合いで、やはりスーダンからアフガニスタンに移住してきたばかりのビンラデインを、潜伏先のトラボラの洞穴作に訪ねている。このときビンラデインが、旧知ではあったが疎遠な関係だったムハマドと会おうと決めたのは、ムハマドがかのニューヨーク世界貿易センタービル爆弾テロで知られたラムジーユセフのパートナーだったからだ。
 
ビンラデインと面会したムハマドは、かねてから温めていたアイデアを披露し、要員と資金を出してくれるよう掛け合った。彼がそのとき語ったその壮大なテロ計画とは、以下のような内容だった。
 
「米航空機10機をハイジャックし、そのうち9機でニューヨークの世界貿易センタービル、ワシントン近郊のCIA本部、FBI本部、国防総省、西海岸のカリフォルニア州とワシントン州の最高層ビル、原子力発電所などに体当たりする」
「ムハマド自身は最後の10機目に乗り、空港に着陸した後に乗員・乗客のうち成人男性を全員処刑する。さらにその場でテレビ中継を要求し、華々しくジハード呼びかけの演説を行う」
 
話を聞いたビンラデインは、そのあまりのスケールの大きさに驚いた。しかし、ムハマドの計画は具体的な細部まで検討されたものではなく、そのときは単なる。大ボラ゛にしか聞こえなかった。ビンラディンは結局、そのプランを「非現実的すぎる」として採用しなかった。
p94-95

9・11を決行した「ハンブルク細胞」

ビンラディンとムハマドは、飛行機作戦の実行班リーダーに、ドイツ在住のエジプト人技術者であるムハマドーアタを選んだ。
アタはハンブルクエ科大学留学中に、アラブ人留学生仲間でイスラム過激派グループを作っていて、99年から2000年にかけて数カ月間、アフガニスタンを訪問し、ビンラディンやムハマドと会見している。ビンラディンは、アメリカ国内に潜伏してテロ計画を進めるには、海外経験の豊富な人材のほうが向いていると判断し、ハンブルク在住のアタの仲間グループを実行犯の中核として採用した。このグループを後にFBIは「ハンブルク細胞」と名づけている。

アタと仲間たちは2000年6月から順にアメリカに入国し、民間の航空学校に入学して、飛行機の操縦技術を学んだ。翌01年5月からは、ハイジャック機内制圧担当の戦闘要員も続々とアメリカに入国し、同時テロの準備が整えられていった。送り込まれた実行犯たちは、ハンブルク細胞と、サウジアラビア出身の元ボスニア義勇兵グループなどから構成されていた。

同年9月11日、アタをリーダーとする19人の実行犯たちは、4機の民間航や機をハイジャックし、うち2機をニューヨークの世界貿易センタービル、1機をワシットッ郊外(バージニア州)の国防総省に激突させた。残り1機もワシントンに向かったが、乗客の抵抗により、途中のペンシルベニア州内で墜落した。合わせて約3000人が殺害されるという、アメリカ史上最悪のテロ事件となった。

捜査当局は、空港の監視ビデオ映像の解析などからアラブ系の犯人グループを特定し、まもなく「アルカイダによる組織的なテロ」と断定した。

アメリカはオサマ・ビンラディンの引渡しを、彼を匿っているアフガニスタンのタリバン政権に要求したが、タリバンがそれを拒否したことから、ピンラディッの捕縛・殺害およびタリバン政権の駆逐を目的に、同年10月7日から米軍を中心とする有志連合軍と、アフガニスタンの反タリバン派ゲリラ「北部同盟」軍が、タリバンヘの総攻撃を開始した。
p98-103
大統領に届けられていた「警告」

2001年当時、アメリカ情報機関はすでにアルカイダを。もっとも危険なテロ組織”と認識し、全力でその追跡にあたっていたが、彼らが米国内でハイジャックした航空機による特攻テロを仕掛けようとしていたことを、事前に察知することはできなかった。

しかし、情報機関や捜査機関の末端では、9・リアロの徴候を示す情報がまったくなかったわけではない。

たとえば、01年5月には「ビンラディン支持者が、テロ作戦のために米国入国を図っている」との情報がCIAに入っており、CIAは6月28口と7月10日の2度にわたって、大規模テロの脅威があることをホワイトハウスに報告している。

9・11テロのわずか1ヵ月前の8月6日にブッシュ大統領らに提出されたCIA報告書にも「ビンラディンがアメリカ国内でテロを計画している」と記されていた。ちなにみ、この報告書に関しては、9.11テロの後に「ブッシュ政権はアルカイダのテロ情報を事前にキャッチしていたのに、何の手も打たなかっ」との批判に繋がったが、当時のライス国家安全保障問題担当大統領補佐官らは「具体的な情報ではなかった」と反論している。

このようにアメリカ情報当局は、ビンラディンによる米国内でのテロ計画という情報を断片的に入手していたわけだが、それまでのアルカイダによるテロがもっぱら海外のアメリカ施設を狙うケースばかりだったため、つい国外でのテロのみを警戒するようになってしまっていた。

たとえば国務省は、同年1~9月に9回のテロ警戒警報を発したが、それらのうちの5つは、海外の米政府・軍施設に対する警戒警報だった。そのなかには、在日・在韓米軍への警報もあった。

CIA内で滞っていたテロ関連情報

アメリカ情報当局が海外でのテロばかりを警戒し、国内テロの可能性を軽視したことは、各情報機関のあいだの情報共有という点で、致命的なミスを誘発した。CIAやNSA(国家安全保障局)が海外で人手したテロ関連情報が、国内警備に責任を持つFBIに知らされないというケースがしばしば起こったのだ。

たとえば、98年の在アフリカ大使館テロで逮捕された共犯者が供述したイエメンのアジトの通信をNSAが傍受し、「2000年1月にアルカイダの工作員がマレーシアークアラルップールで会合を開く」という情報を事前にキャッチしたことがある。

そこからCIAは、アルカイダエ作員と推定される2人の要注意人物を特定したが、その情報はFBIにも国務省にも入国管理局にも伝えられなかった。この2人はその後、本名でアメリカ入国ビザを取得し、本名で堂々と入国、滞在した後、9・11]ハイジャックに参加した。仮にFBIが彼らを入国時から監視下に置いていれば、9・11テロは未然に防げたはずだった。

じつはこれは、CIAの手順規則が正しく守られていなかったことを意味する。というのも、CIAのテロ対策センター(CTC)が99年12月にすべてのCTC部員および海外支局・拠点に通達した「テロ問題ガイダンス」には、他の政府機関への情報提供の手順マニュアルが明確に記されていたのだ。


これはひとつの典型例だが、その他にも、FBIなども含めて、アメリカ当局内でテロの危険を示唆する徴候情報が無視されたケースはいくつもあった。

たとえば、離発着技術をまったく憶えようとしない怪しいアラブ人受講生かいることが、航空学校からFBTIミネアポリス支局に通報されていた。同支局ではこれを重大な情報と考えて強制捜査に入ろうとしたが、FB1本部がそれを許可しなかった。

人種や宗教が絡む捜査はマスコミの批判を受けやすく、FB1本部の上層部にはそれを回避したがる傾向があったからだ。

こうした怠慢のいちばんの原因はおそらく、当局側に油断が生じていたためだろう。

大量のテロ警戒情報は日々どんどん報告されていたが、そのほとんどは。ハズレ”の情報だった。情報の海のなかで、情報当局側の感度が自然と鈍くなっていたともいえる。

ちなみに、9月11日以後の数週間に、1500件以上のCTIA秘密報告書が他の情報機関に公開されたが、それによって新たに150人のテロ容疑者が識別され、うち58入のテロ容疑者名が、要監視者リストに追加された。裏を返せば、それだけの”共有されるべき情報”が、9月11日までCIA内で滞っていたということに他ならない。

人材不足だったテロ対策センター
98年8月の在アフリカ大使館テロを機に、CIAはアルカイダとビンラディンを追跡する態勢を格段に強化していた。CIA作戦本部のテロ対策センター(CTC)に設置されていた「ビンラディン追跡班」は、それまでの十数人から約40人にいっきに増員され、CTCから直接ケースオフィサー工作管理官)が現地に派遣されるようにもなった。

しかし、CTIAの現地スパイ網は結局、警戒を強めたアルカイダ側の組織中枢へ浸透することはできなかった。99年12月2日にCIA上級幹部になされたCTCの報告でも、アルカイダヘの浸透の重要性とその困難さが強調されている。

CIAはアルカイダ内部に情報網を作ろうと何度も試みたが、うまくいかなかった。

(略)

CTC全体の陣容は01年までに400人になっていたが、それでもまだまだ足りなかった。
肌年春に、CTCはCIA長官に対し、「莫大な量の情報を分析し、標的追跡戦略を確立するためには、日々の危機問題から切り離された専門グループが必要だ」と報告し、その創設を要求した。その報告は、とくにビンラディン追跡班が資金ではなく人員を必要とすることを指摘していた。カネより人を、ということである。
 
アナリスト不足も深刻だった。CTCの常勤のアルカイダ分析専任アナリストは、98~2000年にはわずか3人、2000~01年でも5人だけである。しかも、CTCのアナリストにはベテランがほとんどおらず、キャリア3年程度のビギナーばかりだった。
真珠湾攻撃は米国の陰謀で日本に攻撃させたのか、新発見があるたびにその真相が二転三転する。

9.11の真相も、単なる米インテリジェンスの油断だったのか、意図的な見逃しがあったのかは後の歴史家の間で激論となるであろう。

ただ、本書を読む限り・・・油断説だが、その裏に人員をわざと配置しない等の裏もあったかとなるとまだ真相はわからない。

WTC爆破といった陰謀論は陰謀ではなく妄想である。




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