稲田朋美防衛相 ぶら下がり全文 「明らかな挑発行為で断じて容認できない」 【産経ニュース】2017.5.14 10:36
稲田朋美防衛相は14日午前、防衛省で記者団に対し、北朝鮮が同日朝に発射した 弾道ミサイルが推定で高度2000キロ以上まで到達したことを明らかにしたうえで、「新型の弾道ミサイルだった可能性がある」と述べた。 全文は以下の通り。
◇
「北朝鮮は本日5時28分ごろ、北朝鮮西岸の亀城(クソン)付近から1発の弾道ミサイルを東北東方向に発射したもようです。発射された弾道ミサイルは30分程度、約800キロメートル飛翔し、北朝鮮東岸から約400キロメートルの日本海上に落下したものと推定されます。なお、落下したのはわが国の排他的経済水域、EEZ外と推定されております」
「詳細については現在、分析中ですが、度重なる弾道ミサイルの発射はわが国および地域の安全保障に対する重大な脅威であって、断じて容認することはできません。これを受け、防衛大臣は引き続き情報収集、警戒監視に万全を期せとの指示を出したところです」
「その後、関係幹部会議を開催するとともに、防衛大臣が国家安全保障会議4大臣会合に出席し、情報の集約および対応について協議するなど、対応に万全を期しているところでございます」
「防衛省・自衛隊としては、引き続き、大臣指示に基づき、情報の収集、分析、警戒監視に全力を挙げるとともに、今後、追加して公表すべき情報を入手した場合には速やかに発表することといたしております」
「今回、発射された弾道ミサイルの種類については、弾道ミサイル、約30分間程度飛翔し、また高度は2000キロメートルを超えるものであったということを推定されることを踏まえれば、新型の弾道ミサイルであった可能性があるわけでありますけれども、いずれにせよ、総合的、そして専門的な分析を慎重に行う必要があり、現時点において詳細は分析中でございます」
「重ねてですが、北朝鮮による核・ミサイルの開発の継続、また累次にわたる弾道ミサイル発射は、わが国および地域の安全保障に対する明らかな挑発行為であり、断じて容認できない。さらにはこのような弾道ミサイルの発射は、わが国に対する重大な脅威であって、また関連の安保理決意等にも明白に違反したものであります」
「防衛省・自衛隊としては、総理の指示を踏まえ、引き続き米国、韓国とも緊密に連携しつつ、重大な関心をもって情報の収集、分析につとめ、わが国の平和と安全の確保に万全を期す所存でございます。私からは以上です」
--発射がロフテッド軌道だった可能性は
「詳細は現在、分析中ではありますけれども、今、申し上げましたように、約800キロメートルの飛翔距離と、2000キロメートルを超えた高度の、飛翔したということが推定されることから、ロフテッド軌道で発射された可能性があるという風に考えております」
--2000キロを超える高度はこれまであったのか
「2000キロメートルを超える高度は初めてであります」
--北朝鮮の脅威が新たな段階に至ったという認識はあるか
「まず昨年来、新たな段階の脅威ということを申し上げてきたところであります。今回、約30分間、そして800キロメートル、さらには高度は2000キロメートルを超すということでありますので、しっかりと分析をする必要があるという風に考えております」
--移動式発射台(TEL)による発射か、それとも固定式か
「その点についても現在、分析中でございます」
--2000キロ以上という高度のミサイルは、(イージス艦に搭載している)SM3迎撃ミサイルを改良すれば迎撃できるものか
「まずですね、どのような新型のミサイルであった可能性が考えられますし、ロフテッド軌道で発射をされた可能性もあるということを申し上げましたが、いずれにいたしましても、現在、分析中であってですね。また、BMDシステムの個別具体的な能力についてはお答えは差し控えさせていただいているところでございます」
--大陸間弾道ミサイル(ICBM)の可能性についてはどう見るか
「現時点について、詳細について分析中でございます」
--可能性も含めて?
「慎重に分析中だということでございます」
--新型で2000キロを超えるとなると、脅威はさらに一段階増すと考えるか
「まず現時点で推定される800キロメートル、そして2000キロメートル、さらには30分間飛翔したということなどを現在、慎重に分析をしているということに尽きるということでございます」
金正恩委員長文在寅大統領へ早速の祝砲一発か、習近平総書記の一帯一路国際懐疑 会議用の祝砲か、はたまた、ロシアゲートで大騒ぎのトランプ大統領をアシストなのかはわからないが、一発やってくれた。
いままで高度2000kmを超えるロフテッド弾道を飛翔するミサイルは存在していなかった。Newsweekによれば最新型北極星2型中距離ミサイルは2月12日に発射されたが、高度550キロで、約500キロの飛行であった。
北朝鮮による弾道ミサイルの発射について(第2報) 【防衛省】5月14日
(お知らせ)
平 成 2 9 年 5 月 1 4 日防 衛 省
1.現時点までに得られた諸情報を総合的に勘案すると、北朝鮮は、 本日5時28分頃、北朝鮮西岸の亀城(クソン)付近から、1発の 弾道ミサイルを東北東方向に発射した模様です。発射された弾道 ミサイルは、2,000kmを超えた高度に達し、30分程度、約 800km飛翔し、北朝鮮東岸から約400kmの日本海上に落 下したものと推定されます。なお、落下したのは、我が国の排他的 経済水域(EEZ)外と推定されます。詳細については現在分析中 ですが、度重なる弾道ミサイルの発射は、我が国及び地域の安全保 障に対する重大な脅威であり、断じて容認できません。
2.これを受け、防衛大臣は「引き続き、情報収集・警戒監視に万全 を期せ」との指示を出しました。その後、関係幹部会議を開催する とともに、防衛大臣が国家安全保障会議四大臣会合に出席し、情報 の集約及び対応について協議するなど、対応に万全を期している ところです。
3.防衛省・自衛隊としては、引き続き、大臣指示に基づき情報の収 集・分析及び警戒監視に全力をあげるとともに、今後追加して公表 すべき情報を入手した場合には、速やかに発表することとします。
最高飛行高度が2000kmというのはミニットマンICBMでもロフテッド軌道で2500km程度であるので想定外だ。
防衛省の情報ではこのミサイルは当初北極星2型と思われましたが、通常軌道の場合、射程4000kmの新型ミサイルである可能性があるとのこと。
その後新型ミサイルは長距離弾道ミサイル(ICBM)KN-08である可能性が高まった。

その後新型ミサイルは長距離弾道ミサイル(ICBM)KN-08である可能性が高まった。
性能(wiki)
射程 6,000–9,000 km
精度 CEP3,000m
弾頭 核弾頭 12-50kt
炸薬量 700-1,000 kg
射程距離、4000kmであればグアムまでが射程範囲となるが、もしwikiの数値が正しいものであればアラスカまで到達することができる射程である。
現在日米が保有している迎撃ミサイルSM-3ブロック1A/B(射程1,200km、最高迎撃高度500km~1000km)では撃ち落とせないのは勿論のこと2018年から配備が始まるSM-3ブロック2A(射程2,000km、最高迎撃高度2000km~2350km※最高迎撃高度2350kmは、オフィシャルな数値ではなく、研究者の推測値)でも迎撃が可能か微妙である。
現在開発中のSM-3 Block IIBは弾頭制御部の小型化、推進機関の柔軟性向上、火器管制ソフトウェアのアップグレードを行っているが、本日の新型ミサイルが日本を攻撃する場合のロフテッド軌道で発射されても余裕で迎撃可能としなければならなくなった。
もはや、レッドラインを越えた、躊躇できないではないか・・・
折角、米国との直接対話の機運が高まったのにこれでは・・・トランプ大統領の立場がロシアゲートで弱まったと見ての実験強行かもしれない。
第五章28分~32分
1 自己解題「戦争にチャンスを与えよ」
2 論文「戦争にチャンスを与えよ」
3 尖閣に武装人員を常駐させろ――中国論
4 対中包囲網のつくり方――東アジア論
5 平和が戦争につながる――北朝鮮論
6 パラドキシカル・ロジックとは何か――戦略論
7 「同盟」がすべてを制す――戦国武将論
8 戦争から見たヨーロッパ――「戦士の文化」の喪失と人口減少
9 もしも私が米国大統領顧問だったら――ビザンティン帝国の戦略論
10 日本が国連常任理事国になる方法
ルトワックは、「私は戦略家であって政治家ではない、ましてや牧師や教師ではないので倫理道徳の価値観の教育は専門外である、私が日本政府に言えるのは、何もしない(戦略的忍耐)が最悪の選択肢であるとして、以下の選択肢を実行せよ」と言っている。
①北朝鮮に降伏②先制攻撃③核抑止④防衛費を倍増の選択肢
①の北朝鮮に降伏しろとというのは、もはや弾道ミサイルを100%迎撃できない状態ではなくなっているので、降伏して、弾道ミサイル廃止、国交を結び、経済援助をして一等地に大使館を作ってやれと言っている。私(Ddog)は絶対に認められない。
ヤクザに一度金を払えばとことん金を搾り取られてしまう。
②の先制攻撃は日本国憲法上、安倍改憲案にしても、その他改憲案にしても考えられない。
③核抑止・・・圧倒的に強力な核抑止力を持つ米国に対してですらあの態度ですから、日本が核を持ったからと言って、北朝鮮は態度を改めないだろう。
④防衛費を倍増して、ミサイル防衛を徹底しろと言っている。
まあ、これしかないだろう。核を持たないまでも策源地を叩く攻撃力を持ち、重層的なBMDを持つと言うのが、私(Ddog)とルトワック氏の意見が一致するところです。
北朝鮮との対話は不可能である。
2016/10/17(月) 午後 7:50
北朝鮮移動式ミサイルに対応できず、常時警戒体制へ2016/8/5(金) 午前 7:07
北朝鮮核弾頭の小型化成功と主張 日本は弾道ミサイル迎撃態勢を重層化しなくてはならない! 2016/3/13(日) 午後 0:05
ミサイル防衛のBMDミサイルの重層化に加え、レールガンの導入が求められる。
【5/15追記】
大型核弾頭の搭載可能 新型中距離弾道ミサイル「火星12」軍事パレードに登場していた 【産経ニュース】2017.5.15 10:25
【ソウル=桜井紀雄】北朝鮮の朝鮮中央通信は15日、新型中距離弾道ミサイル「火星12」の発射実験が14日、「成功裏」に行われたと報じた。14日に北西部の亀城(クソン)付近から発射し、日本海に落下したミサイルを指すとみられる。高度は2111・5キロに達し、787キロ飛行した後、公海上の目標水域を「正確に打撃した」としている。
発射には金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が立ち会い、米韓などが「正気を取り戻し、正しい選択をするまで高度に精密化、多種化」した核兵器やミサイルの増産と実験準備を進めるよう命じたという。米国が北朝鮮を核保有国と認め、交渉に応じるまで核・ミサイル開発を続ける姿勢を示した形だ。
党機関紙、労働新聞は15日付でミサイルの写真を掲載。4月15日の軍事パレードで登場した黒地に一部白い塗装が施されたミサイルであることが判明した。
同通信は、新型ミサイルが大型核弾頭の搭載が可能で、新開発したミサイルエンジンの信頼性も再確認したとしている。「周辺国の安全を考慮して最大高角発射をした」とし、大気圏再突入の環境下で弾頭部の誘導や爆発操作の正確性が実証されたとも主張した。
日米韓当局も高角度で発射し、飛距離を抑える「ロフテッド軌道」で打ち上げたと分析していた。
金委員長は、米空母を朝鮮半島周辺に展開するなど圧迫を続けるトランプ政権に対し、「軍事的挑発を選ぶなら喜んで相手する準備が整っている」とし、米本土や太平洋地域が射程に入っているとも強調した。





固体ロケットであればもっと白っぽい煙が出ている。
TELの設置が午前3時頃~発射が5時半
。設置から発射まで2時間以上かかっている。
液体燃料を注入するタンク車などは写ってはいない。事前に注入してTELに載せるタイプなのか?
また発射直後の写真にTELが写っていないのが気になる。



一段式で4000~6000Km飛行したのだからこれが二段式やエンジン噴射ノズルを大型化して増やせば、射程1万KmのICBMは完成間近と考えて間違いない。
米国にとっては由々しきことである。
いま、巷で言われているように、ロシアと北朝鮮は裏で話しあいをしているから戦争は起きないという解説が多いが、少なくとも北朝鮮はレッドラインの線は踏んでしまっている。
【野口裕之の軍事情勢】文在寅大統領がミサイル迎撃システムを拒否するなら「日本移転」しかない! そうなった時、韓国は… 【産経ニュース】2017.5.15 07:00
韓国大統領に「共に民主党」の文在寅氏が選ばれ、米軍関係者が電話の向こうで嘆いた。そうすると在韓米軍がTHAADの傘が無く危険になるが・・・「ああそうか!」
「文大統領は、最新鋭のTHAAD(サード=高高度防衛ミサイル)システムをいらないというつもりだろうか? 彼は正気だと思うか?」
文氏はTHAADについて大統領選挙キャンペーン前から、「次の政権(文在寅政権)で再協議すべきだ」と威勢良く主張。4月に入り「北朝鮮が6回目の核実験を強行し、核による挑発を続け高度化するのなら、THAAD配備は避けられなくなる」と、次第に歯切れが悪くなっていった。10日の大統領就任式では「米国に加え、配備に反発する中国とも真摯に話し合っていく」と、就任早々無責任な言葉を口にした。
中国は自国の軍事動向が広範囲にのぞかれてしまうTHAADの配備に猛烈に反発し、事実上の対韓経済制裁に踏み切っている。在韓米軍防護の要でもあるTHAADを何としても存続させたい米国と中国の双方の顔を立てるなど不可能だ。米国が軍事同盟国だとの自覚に欠ける文氏の正体が、早くも鼻につき始めた。
筆者は米軍関係者に答えた。
「正気か否かは分からないが、北朝鮮を信頼し、支持する気持ちは本気だ。ミサイルを無力化できるTHAADは北朝鮮にとって邪魔。愛する北に邪魔な兵器は、文政権にとっても邪魔なのだ」
米軍関係者に「THAADを韓国に継続配備できる方法はないものか?」とただされ、筆者は答えた。
「秘策がある。『韓国がいらないのなら、日本に持っていく』と、トランプ米政権が文政権に伝えればいい。日本に必要以上の、独り相撲的なライバル心を抱く韓国のこと。日本移転で『日本にない兵器だった』と気付き、『あれば日本が悔しがる』と思い直す。そして、臆面もなく、恥ずかしげもなく、180度ならぬ“360度の方針転換”を決め、あわてて配備継続をお願いしに行くかもしれない」
何も、いいかげんな助言をしたわけではない。ヒントは、前日にコンタクトした自衛隊の現役将官の本音であった。
「ドナルド・トランプ大統領はTHAAD配備費用の『韓国側負担』をチラつかせるが、先行きは不透明。でも、文氏が『配備の是非につき再協議』を言い出した時点では米側負担だった。なんて、もったいない…。韓国がいらないのなら、防衛予算不足でTHAAD配備のやりくりが難しいわが国に譲って、と思った。在日米軍向け(=日本防衛兼務)でよい。韓国は贅沢過ぎる」
自衛隊の兵器は全て欲しい韓国軍の嫉妬
筆者は「贅沢ではなく愚かなだけだ」と口を挟んだが、韓国が本当に必要な兵器を取得しない過ちを犯すのは、初めてではない。というより「過ちが常態」。過ちだらけの軍事史を振り返れば、「THAADの日本移転」が韓国側に与える衝撃度が理解できよう。
例えば、韓国海軍がそろえた対潜水艦・水上艦艇攻撃を想定したドイツ生まれの潜水艦。朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の特殊作戦部隊員や工作員の隠密上陸に使う潜水艇や半潜水艇、小型潜水艦を相手にベストの選択肢とは言い難い。限りある国防予算の別の使い道はヤマほどある。かつて、韓国軍関係者は筆者に漏らした。
「海上だけでなく航空戦力で格段に劣る朝鮮人民軍相手に、韓国軍の兵器体系はチグハグ。現有の軍用艦や作戦機は、自衛隊の保有兵器への嫉妬が生み落とした。自衛隊の保有装備は全て欲しい悪癖が絶てない」
日本にTHAADが配備されれば、韓国はさぞ慌てるだろう。しかし、防衛予算がいくらあっても足りぬ現下の危機的情勢では、フトコロ具合と相談し《イージス・アショア》の導入を優先させたい。もちろん、同時に手に入れられる財源が確保できれば、そちらがベストではあるが…。とりあえずイージス・アショアが、いかに優秀かを説明したい。
大ざっぱに言えば、弾道ミサイルなどを迎撃すべくイージス艦に搭載されているイージス(艦隊防空)システムの陸上バージョン。艦載のイージス・システムをあえて《イージス・アフロート》と呼べば、陸上版イージス・システムは《イージス・アショア》との名称がピタリとはまる。レーダーや迎撃ミサイルの垂直発射システム(VLS)など、イージス艦が備える各種機能が陸上で再現されるイメージを描けばよい。
《C4ISR》も然り。C4ISRとは、指揮(Command)▽統制(Control)▽通信(Communication)▽コンピューター(Computer)の「4つのC」+情報(Intelligence)▽監視(Surveillance)▽偵察(Reconnaissance)の頭文字を並べた軍事用語。頭文字の機能全てが自動で流れるように連結・一体運用される能力もイージス艦と同じだ。
イージス・アショアは、実戦的実験で素晴らしい成功を収めている。既に欧州では、イージス・アショアの整備が進行中だ。整備は、イランやロシアのミサイルを大きな脅威と考えるNATO(北大西洋条約機構)首脳会議で、加盟28カ国の総意として合意された《欧州ミサイル防衛構想》に基づく。特に、東欧のルーマニアやポーランドは積極的だ。トルコにも高性能レーダー基地が建設され、迎撃ミサイル発射基地など、システムの各機能をドイツに置かれた指揮・統制中枢で一体管理する。陸上型イージスだけでなく、本来の海上型イージスも並行して準備され、米海軍やスペイン海軍のイージス艦が地中海やジブラルタル海峡でにらみを利かせ、防空上の縦深性に厚みをもたらしている。
韓国の「危機ボケ」 北の「核ボケ」 日本の「平和ボケ」
欧州の危機感は、韓国の危機感の欠如を際立たせる。韓国には「同じ民族の北朝鮮は韓国を攻撃しない」「南北危機をあおっているのは日本だ」などの世論さえある。朝鮮戦争(1950~53年休戦)以降、北朝鮮に繰り返し核・ミサイル開発危機&奇襲攻撃&大規模テロを経験させられ「危機ボケ」しているのだ。米本土に届く核・ミサイル完成による政権維持しか眼中にない北朝鮮の「核ボケ」とは対照的だ。もっとも、日本も「平和ボケ」で、韓国の「危機ボケ」を嘲笑・批判できる立場にはない。
「平和ボケ」は、北朝鮮や中国に対する安全保障上の国家戦略に関し、敵ミサイルを無力化する《拒否的抑止力》の整備のみに止め、対地巡航ミサイルや戦略爆撃機で敵のミサイル基地などを先制・報復攻撃する《懲罰的抑止力》を保有しない姿勢に象徴される。むしろ、保有していない国家的怠慢を「平和的」だと、独善的に自賛している有り様だ。そもそも、抑止力は懲罰的と拒否的の2種類が相乗効果を発揮して、祖国を守るのである。
ともあれ、わが国における現時点での拒否的抑止力を説明する。現在、わが国に襲来する敵弾道ミサイルを迎え撃つ切り札は、海上自衛隊のイージス艦搭載迎撃ミサイル《SM3》と航空自衛隊の地対空誘導弾パトリオット《PAC3》の2段構え。
SM3が高度500キロ(宇宙空間)で、PAC3は高度15キロで、それぞれ迎撃する。が、PAC3で迎撃する事態とは、地上にヒットするわずか5秒前で、副次的被害は避けようもない。
敵ミサイルの迎撃はラグビーのタックルと同様、はずされたら他のチームメートがフォローする。3層、4層と防衛網を多層化することで安全性は増す。しかも、ゴールラインよりできるだけ遠方でのタックルで、一層安全性が担保される。
そこで注目されているのが、韓国で問題となっている3つ目の切り札=高度40~150キロ/半径200キロをカバーするTHAAD。6~7基を導入すれば、わが国の防衛は飛躍的に向上する。ただ、1基あたり2000億円もする財政上の負担をクリアせねばならない
一方、現有のSM3(イージス艦搭載迎撃ミサイル)は《ブロック1A》だが、発展型のSM3《ブロック2A》を数年以内に運用する。ブロック2Aはブロック1Aに比べ射高・射程共に2倍に延び、各1000キロと2000キロへと大進化を遂げる。射程2000キロが描く直径4000キロの円内に日本列島が収まる。故に、イージス艦1隻で日本を防御でき、2隻態勢なら防御確率はアップする。
射高の高さも魅力だ。従来型では対処が難しかった、ミサイルを高く打ち上げて手前に落とす《ロフテッド弾道》を阻止できそうだ。グアムやハワイを向かう北朝鮮の中距離弾道ミサイルも、わが国が策源地となって阻むことも可能となり、日米同盟下での集団的自衛権行使の実効性も上がる。SM3ブロック2Aを搭載できる新造イージス艦の増隻や従来型イージス艦の改修が急がれる。
実は、海上自衛隊のイージス艦の垂直発射システム(VLS)には対地巡航ミサイル《トマホーク》が装填できる。対地巡航ミサイルを装填すれば、海自イージス艦は拒否的抑止力のみならず、懲罰的抑止力のプラットフォームも兼ねるようになる。
霊廟がモデルの国会議事堂が本当に墓場と化すXデー
イージス・アショアの本論に入る。SM3ブロック2Aはイージス・アショアに転用できる。現に、欧州のイージス・アショア計画はブロック2Aの採用が前提だ。つまり、イージス艦発射のSM3ブロック2Aで前述したごとく、「陸に上がったイージス艦」たるイージス・アショアも適所に1カ所存在すれば最低限、日本の対弾道ミサイル防衛が成る。2カ所あれば防御確率が上がり、かつ改修・新造イージス艦との連携で100%近い迎撃率は夢ではなくなる。
海上と陸上のイージス・システムの構造はほぼ同じだが、運用上の相違はある。イージス艦は迎撃の最適海域まで燃料と日数を使い進出し、操艦や艦防護のための要員を長期に拘束する。その点、イージス・アショアは省人化に資するし、建造・運用費もイージス艦ほどではない。人員・予算不足の「自衛隊に優しい兵器」といえる。
ところで、誤解されぬようあるべき抑止力の理想像を記しておく。海上自衛隊のイージス艦搭載迎撃ミサイル《SM3ブロック2A》と航空自衛隊の地対空誘導弾パトリオット《PAC3》加え、イージス・アショア+THAADで拒否的抑止力が仕上がる。さらに、巡航ミサイルや戦略爆撃と、それを支援する軍事衛星&情報機関&各種支援施設&支援機…。これでようやく抑止力が最強化できるのである。
けれども、情勢の激変に目をつぶり、怠ってきた抑止力の構築が間に合うかどうか…。現時点では米国本土に、北朝鮮の核・ミサイルは届かない。「仲間」の文在寅・大統領が率いる韓国に対する発射は遠慮がちに。北朝鮮を民主国家への緩衝帯ととらえ、経済・エネルギー支援を差し伸べてくれる中国やロシアには核・ミサイルを撃ち込み難い。従って、関係国の内、日本だけが北朝鮮の攻撃に遭う可能性が突出して拡大した、ことになる。
未曾有の危機をよそに、国会では民進党などを筆頭に、安倍晋三政権のイメージ・ダウンを狙い国家存亡とは無関係な議論を政府にネチネチと吹っ掛けている。国会議事堂を12キロトン級(広島型は15キロトン)の核ミサイルが襲えば、爆心地周辺で42万4千人近くが一瞬にして死ぬ、のにだ。
そういえば、「国会議事堂は紀元前4世紀のトルコ西方域・カリア国の王を葬った《マウソロスの霊廟》がモデルだった」との、信頼できる建築史学上の見方が存在する。左傾政治家は策を弄した揚げ句に墓穴を掘るに違いあるまいが、墓アナには国民を道連れにせず是非、罪深い皆様方だけでお入りください。
THAADを拒否すれば在韓米軍は撤退するわけか・・・なるほど。