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政治経済軍事外交、書評に自然科学・哲学・聖地巡礼・田園都市ライフ、脳の外部記憶媒体としてこのブログを利用しています。2020/11/30以前はGoogle検索でキーワードを入れると常に上位にありましたが、日本のトランプ大統領デモを紹介した記事が米国でバズって以降検索アルゴリズムから排除され検索ヒットされにくい状態です。是非ブックマークをお願いします。このブログをご訪問していただいた方の知識や感性として共有できれば幸せに思います。

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期待先行、とりあえずめでたい。2016年の大発会が582円安、2015年の846円安、2014年383円安とは対照的だ。安倍政権が始まった直後の2013年の大発会が293円高以来だ。素直にトランプ政権の発足歓迎相場であろう。

だが、トランプ次期大統領は一筋縄ではいかない。期待が高い時、懐疑をするのは私の性分だろう。もっとも相場の格言では、トランプ政権発足は悲嘆だったかもしれない。今は、懐疑の最中で、相場が成長している最中かもしれません。
相場は悲観の中に生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく                                                                                            米著名投資家ジョン・テンプルトン

だが、マーケットは豹変しトランプ次期大統領を称賛し昨年末トランプ相場になりましたが・・・・

いったんどこかで「スピード調整」の局面があるか・・も。

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昨年11月9日安値の101.20円から12月15日高値の118.66円まで、ドル円相場はわずか約5週間で17.46円も急騰したが、今日1/5 115円台に一時突入し円高となっている。

これを、スピード違反的な急騰に対する一時的な流れと見做すか、否か1月20日に発足するトランプ政権の政策が、実際に始まってみないとわからない部分も大きい。

今のところのトランプ政権のラインナップは、一癖も二癖もあるCEO達と軍人達をはたしてトランプはうまく制御できるのか?しかし、上手く使いこなせば最強政権になる可能性は高い。対中国強硬派が多い新政権を私は期待したい。

国務長官:レックス・ティラーソン エクソンモービルCEO
財務長官:スティーブン・ムニューチン 元ゴールドマンサックス幹部
商務長官:ウィルバー・ロス 知日派の投資家 幸福銀行買収等
国防長官:ジェームズ・マティス 戦う修道士 元海兵隊中央軍司令官
国家通商会議:ピーター・ナバロ 対中強硬派のエコノミスト
大統領補佐官(国家安全保障担当):マイケル・フリン 元陸軍中将イスラム強硬派
国土安全保障長官:ジョン・ケリー 元海兵隊大将 軍強硬派
中央情報局(CIA)長官:マイク・ポンペオ 元陸軍士官学校卒ベンチャー企業社長
首席戦略官兼上級顧問:スティーブン・バノン 元ゴールドマン 元海軍 保守派ニュースサイト会長
国家経済会議(NEC)委員長:ゲーリー・コーン 元ゴールドマンCOO
労働長官:アンディー・パズダー 大手ファーストフードCEO
大統領首席補佐官:ラインス・プリーバス 共和党全国委員長
中小企業庁長官:リンダ・マクマホン プロレス団体WWEの元CEO
住宅都市開発長官:ベン・カーソン 元共和党大統領候補 黒人医師
環境保護局(EPA)局長:スコット・プルイット 司法長官:ジェフ・セッションズ 国連大使:ニッキー・ヘイリー 教育長官:ベッツィー・デボス 厚生長官:トム・プライス 運輸長官:イレーン・チャオ エネルギー長官:リック・ペリー 内務長官:ライアン・ジンキ 陸軍長官:ビンセント・ビオラ 行政管理予算局(OMB)局長:ミック・マルバニー

トランプ政権にゴールドマンサックス関係者が3人も入閣したラインナップに市場の期待が非常に高すぎて、少々怖い。2月頃からはじまる予算審議で議会とどう折り合いをつけるのか?大統領首席補佐官:ラインス・プリーバス 共和党全国委員長の手腕がどの程度かにもよる。軍事増強(一種の公共投資)のレーガノミクスと大型減税などの供給力重視の政策姿勢が酷似予想される「トランプノミクス」の良さそうな面ばかりを先行して織り込み過ぎている。
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                                                   みずほ総合研究所が昨年12月に発表した、年間の経済・社会情勢を予測する10大予測ランキング「とんでも予想」の結果と予想に注目が集まっている。一昨年12月に発表した2016年予想では、1位に「トランプ氏当選」を打ち出すなど、10の見通しのうち3つを見事に的中させたからだ。17年予想は、1位に「アベノミクスがトランプノミクス採用で大型減税」、「ダウ平均2万3000ドル」(2位)、「政府100年国債発行」(5位)、「ブレグジット撤回」(7位)などを大胆に予想するが果たして結果は…。

 16年予想のうち、「トランプ氏当選」以外で的中したのは、「ブラジルのルセフ大統領罷免でレアル暴落」(2位)、「消費税増税先送りを決定」(5位)の2つ。「日経平均2万5000円台に」などは外れたが、「訪日外国人3000万人突破、規制緩和で民泊可能に」や「リオデジャネイロ五輪で、(日本は)20個の金獲得、7人制ラグビーのメダル獲得でラグビー人気がさらに高まる」などの惜しい予想(実際は金は12でラグビーはメダルならず)もあった。

 ランキングを総括する、みずほ総研の高田創・常務執行役員調査本部長は、「あくまでも題名の通り、『とんでも予想』であって、厳密な根拠はない」ことを強調。「変に真面目に分析してしまっては面白くない予想になるので、と遊び心が半分」であることを明かす。

 確かに的中したといっても、「トランプ氏当選」の予想には続きがあり、極論が満載。「オバマ大統領のレームダック期での権力の空白から、世界的規模で地政学的な不安が増大。各地で非常事態宣言が出される状況に」と締めくくっている。「ブラジルのルセフ大統領罷免」も、「理由は準備不足でリオ五輪の開催ができない」ことを挙げており、国家会計の不正操作で罷免された事実とは異なる。

 だが、みずほ総研のこうした大胆な予測が“半分”当たる背景には、昨年が「不確実性ばかりで分析しづらい年」(日銀幹部)だったからともいえる。実際、英国のEU離脱やトランプ氏の大統領当選、移民制限を唱える政党の欧州での台頭と、多くの人が想像していなかった出来事が次々に発生した。

 さて、今年の1位の「大型減税」の中身は、「アベノミクスがトランプノミクスを採用し、大型減税を断行。カジノ法案を受け、インバウンド観光の目玉策として、超豪華5つ星『トランプ・ホテル』を誘致」。

 3位には、「経済的利益から米国が中国に接近。日米両国がアジアインフラ投資銀行(AIIB)に加わり、米国で中国製新幹線が導入される」と、大胆に予想する。

 物価2%上昇目標の先送りを繰り返す日銀関連の予想では、「(長期金利を0%程度で維持する)イールドカーブ操作が円安誘導と批判を受け、長期金利の上昇範囲を許容。金融政策の出口への警戒から超長期金利が急上昇」を4位に入れた。

 5位の「100年債」も注目だ。昨年7月に財務省が50年債を検討していることが判明したが、英国、フランスやオランダ、スイスなどはすでに発行している。極めて長い年限の国債を発行することは永久国債の連想がされやすく、50年債は、日銀が国債買い入れで財政資金を供給する「ヘリコプターマネー」としての側面が意識されるが、「利払負担の軽減」などのメリットもある。100年債は不可能としても、50年債はあり得るかもしれない。

 とはいえ、やはり「とんでも予想」だけに、当たってほしくないものが多いが、読者のみなさんはいかがでしょうか。(経済本部 飯田耕司)
米国の新政権が発足する前後の時期には政治的な高揚感が盛り上がってメディアもマーケットも「いいとこ取り」の心理状態に陥りがちだ。

トランプ次期大統領が主張する大規模な減税やインフラ投資に必要な財源問題は、今後の財政協議で議論されるだろう。はたして、財源問題がクリアできるか少々不安だ。

もちろん、好景気 トランプ新政権で米国は好景気になる可能性が高い
【Newsweek】経済ニュースの文脈を読む2016年11月14日(月)16時01分 加谷珪一

<トランプ大統領誕生で、米国経済は、世界経済は、そして日本経済はどうなるか。「公約」の大規模インフラ投資は果たして効果があるのか。保護主義とTPP離脱を掲げるが、日本はどう対応すべきか>

 米大統領選は大方の予想に反してトランプ氏が逆転勝利した。市場はクリントン候補の勝利を織り込んでいたことから、9日の日経平均株価は1000円近くも下げた。だが続いて取引を開始した米国の株式市場はトランプ氏の勝利を好感し、ダウ平均株価は大きく値を上げた。

 筆者は以前から、トランプ氏が大統領に当選した場合、彼の人格問題は別にして、米国は意外と好景気になるかもしれないと述べてきた。その意味ではトランプ氏勝利を受けた株式市場の反応は極めて自然なものに思える。ただトランプ氏が掲げる保護主義的な政策は、行き過ぎれば世界経済に極めて深刻なダメージを与える。世界貿易が停滞することで、最終的に米国経済も足を引っ張られてしまうリスクは否定できない。日本を初めとする各国にとってトランプ政権の誕生は大きな試練となるだろう。

大規模なインフラ投資は米国経済にプラス?                           
 筆者がトランプ氏の大統領就任で米国が思いのほか好景気になる可能性が高いと考える最大の理由は、トランプ氏が掲げるインフラ投資である。

 トランプ氏は、自著で1兆ドル(約102兆円)という巨額のインフラ投資を主張しており、選挙戦の最中の8月にはクリント氏が主張する金額の少なくとも2倍の金額を投じるとも発言している。クリントン氏は総額で2750億ドルの投資を公約に掲げていたので、この2倍以上ということになれば約6000億ドル近くになる。これを4年で均等に支出した場合、各年度における直接的な経済効果は1500億ドルである。

 日本人の感覚からすると大きな金額に思えるが、米国経済の現状を考えると実はそうでもない。米国のGDPはすでに18兆ドルと日本の4倍近くもあり、インフラ投資が直接的にもたらす効果はGDPの0.7%程度に過ぎない。だが、この規模の投資が継続的、かつ重点的に実施されれば、米国の産業基盤は着実に強化される。投資は今後の成長の原動力となるものであり、労働者の所得が増えるなど消費にも好影響を与えるだろう。需要不足が指摘される現状の米国経済において投資を拡大するメリットは大きいはずだ。

 クリントン氏は投資の財源として富裕層課税を掲げていたが、トランプ氏は逆に減税を主張している。減税を主張した以上、インフラ投資の財源として税金を充当することは難しく、最終的には国債を増発する形で費用を捻出することになる可能性が高い。増税によるマイナス要因がないので、短期的には経済にプラスに作用するだろう。

【参考記事】アメリカ企業、トランプ勝利で海外利益への大幅減税を期待

 国債が追加発行された場合、金利が上昇する可能性が高まってくる。場合によってはインフレ懸念の台頭ということになるが、米国の金利が完全に正常化できていない現状を考えると、国債の追加発行は低金利を脱するよいきっかけとなるかもしれない。そうなれば、FRB(連邦準備制度理事会)による金融政策との整合性も取れるのでむしろ好都合である。


 米国は2014年にサウジアラビアを抜いて世界最大の石油産出国となっており、天然ガスなどを含めれば、米国は理論上、すべてのエネルギーを自国で賄うことができる。しかも米国は先進国では珍しく、人口が継続的に増加する見込みとなっている。成長に必要な材料はすべて揃っており、大統領1期目の4年間に限定すれば、トランプ氏の大規模インフラ投資がマイナスに作用する要素はあまり見当たらない。

最初にターゲットとなるのはNAFTAではなくTPP                     
 もちろんトランプ氏の大統領就任には懸念材料もたくさんある。金利上昇が行き過ぎればインフレのリスクが高くなるし、財政出動にも限界はある。だが多くの人が気にしているのは、やはり自由貿易体制からの転換だろう。

 トランプ氏は当初、メキシコとの国境に壁を作ると宣言し、NAFTA(北米自由貿易協定)やTPP(環太平洋パートナーシップ協定)について否定的な見解を示していた。これらの公約を本当に実現するということになると、米国を中心とした自由貿易体制は一気に崩れてしまうことになる。世界貿易が大幅に縮小する事態となれば、結果として米国経済も無傷ではいられないだろう。

 もっとも、トランプ氏が指名を受諾した共和党大会では、「国益に反する貿易協定には反対する」という曖昧な言い回しに修正された党綱領が発表されており、トランプ氏も最終的には何らかの妥協を迫られる可能性が高い。政策決定のカギを握る首席補佐官に、共和党主流派に極めて近いプリーバス氏の就任が決まったことからも、トランプ氏がある程度、現実路線を意識していることが分かる。

 米国経済とメキシコ経済はすでに一体化しており、NAFTAからの完全撤退は非現実的だ。トランプ氏がアリバイ作りとしてターゲットにしやすいのはTPPの方だろう。米国がTPPを離脱すれば、米国にとってもデメリットとなるがNAFTAと比較すれば影響ははるかに少ない。

 もっとも、米国がTPPを承認しない場合、日本の製造業にとっては大きな打撃となる。TPPは加盟国のGDPの85%を占める国で承認されなければ発効されない仕組みになっている。TPPがなければ貿易交渉は完全に個別対応ということになるので、米国からどのような要求が出てくるのか現時点ではまったく予想が付かない。

 場合によっては、日本が農作物の市場開放を実施しなければ自動車に関税をかけるといった交渉パッケージを持ち出してくる可能性はゼロではない。そうなった場合、日本メーカーは米国での生産比率を上げる必要に迫られるが、それは国内雇用の喪失を意味する。


 このほかにも、アジア太平洋地域における安全保障政策の見直しなど不透明要素は多い。トランプ大統領の登場は日本にとって大きな試練となりそうだ。だが、不安視したところで問題が解決されるわけではない。日本はトランプ政権の誕生をきっかけに経済構造の転換についてもっと真剣に考えるべきだろう。

【参考記事】トランプ政権の対日外交に、日本はブレずに重厚に構えよ

 これまでの日本は何でも受け入れてくれる米国に大量のモノを輸出することで(あるいは現地生産を行うことで)経済を成り立たせてきた。実際、自動車産業を中心とする日本の製造業の業績は、今でも北米市場での売上げに大きく左右される。

 トランプ政権が自国中心主義に舵を切ることになった場合、米国はこれまでのように無条件でモノを買ってくれなくなるかもしれない。日本は1980年代から内需主導型経済への移行を模索してきたがうまくいかなかった。米国が好景気になれば、それだけで日本の製造業は儲かるので、そこに頼ることの繰り返しだ。2003年から2007年までの日本の好景気も、結局はリーマンンショック前の米国の過剰消費に支えられていたという現実を忘れてはならないだろう(日本人はよく米国の不動産バブルを批判するが、日本はその最大の受益者の一人である)。

 日本は人口が減少しつつあるとはいえ、1億2000万人の消費者を抱える巨大市場が存在している。市場メカニズムが機能するための改革を行い、米国の購買力に依存しない豊かな消費社会を構築することが求められている。

【参考記事】世界の経済学者の「実験場」となりつつある日本

トランプのミクスは景気浮揚効果のある経済政策が採用される可能性が高い。だが、市場が織り込む順番としてプラス面への期待が先行している場合、マイナス方向への削り込みを行う段階になると、今の「トランプ相場」によって上昇は行き過ぎなのか心配だ。

昨年の米大統領選後に観測された「トランプ相場」は、私がトランプ当確前円高と予想したのだが私が培ってきた相場感覚は見事に壊された。

ドル高・円安の「スピード調整」が進む可能性があるが・・・・米国経済が順調なら再び120円台をトライするかもしれない。

しかし、ドル高による米景気下押し圧力に潰されて米国経済がトランプ政権稼動前に失速し、期待の反動でドル安・円高局面が到来する可能性がある。その場合、ドル円相場は昨年半ばに岩盤の堅さを誇った99円台のフロアーを突き抜ける可能性はなくはない。

円高に振れれば日経平均も調整するが、さあ今年の大発会479円高を信じてもいいかもしれない。

 ★(1)

 ドナルド・トランプ次期米政権の誕生は、国際情勢の根本的な大変化を引き起こす。変化のスピードは極めて速い。その変化がどのようになるかを3回に分けて分析する。第1回は、日米関係に与える影響である。

 選挙中から公言していたように、トランプ氏は日本やNATO(北大西洋条約機構)諸国に対し、共同防衛における財政負担をより多く求めてくる。トランプ氏の言葉をもってすれば「米国は世界の警察官を辞めるとは言わないが、警察官の給料を上げてほしい」ということになる。

 NATO諸国では、GDP(国内総生産)の2%を防衛費に充てることが最低限の必要ラインとされている。ところが、この2%の基準を満たしている国は、米国以外にはたった4カ国しかなかった。このため、トランプ氏はNATO加盟国を強く非難している。

 振り返って、わが国を見れば、GDPの1%しか防衛費を支出していない。NATO基準に照らしても、あまりに少なすぎることは明らかだ。

 トランプ政権は、在日米軍経費の負担増を求めてくるだろうが、日本自身の防衛予算も大幅増額する必要がある。日本としては、NATO並みのGDPの2%を国家目標とすべきだろう。これを数年をかけて実現していけば、トランプ政権が日本に要求する条件は容易に満たすことができる。

 そもそも、国防力を高めることは、米国に言われるまでもなく、日本自身がやらなければならない。沖縄を含む南西諸島における対中抑止力の強化は今や急務である。

 トランプ政権は、米国の財政的必要から在日米軍を削減傾向とせざるを得ない。日本としては「力の真空」を絶対につくらないことを目標に、対中抑止力を高めるかたちで、日米安保条約体制の強化と再構築を図ることが必要である。

 安倍晋三政権がこの方針を明確に打ち出せば、日米安保関係は極めて良好に展開する。その延長で、トランプ氏から「憲法9条改正支持」の発言も引き出せるだろう。

 トランプ氏の外交方針の基本は、第1に「反IS(イスラム国)」であり、第2に「反中親露」である。

 中東では、ロシアと手を組み、IS徹底壊滅の軍事行動に乗り出すだろう。今年中にもISの領域支配は終焉(しゅうえん)を迎える。

 トランプ氏は、中国を経済、軍事両面で「米国を脅かす大いなる脅威」と認識している。日米が基軸となり、東アジアで反チャイナ包囲網をつくることが日米協力の目標となっていくだろう。

 選挙戦を通じて、トランプ氏は「TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)脱退」を主張してきた。もはやTPPは「死に体」である。この点では、安倍政権は速やかにTPPに見切りをつけるべきだ。自由貿易を推進するならば「日米2国間協議」に切り替えるしか方法はない。
TPPはとりあえず米国抜きで発足させ、そのあと米国が乗るか否かを確認すべきで、TPPを見切るのはあまりに拙速だと思う。TPPはもともと中国包囲網であり、そう簡単に米国がTPP脱落だと思うべきではないが、TPPが有ろうがなかろうが、反中包囲網をトランプは実行していくと思う。
政治的な地震が相次いだ年の後、2017年が平穏な1年になる可能性は低い。ドナルド・トランプ氏の権力掌握から、ゆっくりとしたブレグジット(英国のEU離脱)、中東で自称カリフ制国家「イラク・シリアのイスラム国(ISIS)」が終焉を迎える可能性まで、向こう1年間、世界で注目すべき出来事の手引きを用意した。

1月:ドナルド・トランプ氏の米大統領就任


 その振る舞いから判断すると、第45代米国大統領は足跡を残すことを急ぐだろう。トランプ氏は、米国を環太平洋経済連携協定(TPP)から離脱させ、医療保険制度改革法(オバマケア)を修正・刷新し、前政権のクリーンエネルギー政策を撤廃するなど、幾多の目標に向けて素早く行動すると約束した。

 就任演説での新大統領の言葉遣いと就任当初数日間の行動がトランプ政権の基調を定めることになる。たとえトランプ氏自身が予測不能で奔放な振る舞いを続けたとしても、だ。

 もう1つ、特に熱心に見守られる公式行事がある。米国の諜報機関が大統領選でのトランプ氏の予期せぬ勝利を後押ししようとしたと見ているロシアのウラジーミル・プーチン大統領とトランプ氏との初の首脳会談だ。

3月:英国のEU条約第50条発動

 半世紀に及ぶ英国の外交・経済政策を事実上廃棄した国民投票から9カ月を経て、英国政府は3月末までに正式な2年間の離脱プロセスを始動することになっている。

 現時点では、旅路の方向性は完全にははっきりしていない。だが、テリーザ・メイ首相率いる英政府は、EU条約の第50条に基づく離脱手続きを始動する前に一定の計画を示すことを約束している。その青写真が詳細に示されていなかったとしても、英国は包括的な交渉戦略も描かなければならない。

 メイ氏は市場にショックを与えることを避けながら、対内投資を促し、保守党のEU離脱派を味方に付けておくことを目指す。3つの目標をすべて成し遂げるのは難しいかもしれない。

年前半:ラッカを巡る戦い


 ISISのジハード(聖戦)主義者たちは、シリアとイラクにおける領土拡大で世界の大部分を恐怖に陥れた後、ほぼ2年間、両国で支配地域を失い続けている。ここ数カ月は、ISISが2014年に制圧したイラク第2の都市モスルの支配を巡る戦いに明け暮れた。

 この戦いの進展次第で、恐らくは2017年前半に始まる次の攻勢は、ISISの事実上の首都であるシリアのラッカを巡る戦いになる。

 トランプ新政権にとって大きな課題は、ISISをその牙城から引きはがし、ジハード主義者の残忍な支配の後に地域を統治することができるシリア人部隊の連合軍(クルド人、アラブ人双方が参加する連合)を組織することだ。

4~5月:フランスの大統領選挙

 ブレグジットとドナルド・トランプ氏の米大統領選出、マッテオ・レンツィ氏の首相在任に終止符を打ったイタリア国民投票での憲法改正案否決の後に、大きな利害がかかった2017年の選挙がやって来る。フランスの政界エスタブリッシュメントは、国民戦線(FN)の大統領候補、マリーヌ・ルペン氏の台頭に抵抗することを目指す。

 ルペン氏は第1回投票で勝利を収める可能性がある。だが、一騎打ちの決選投票では、穏健な有権者が反ルペンの旗印の下に結集し、ルペン氏は敗北すると見られている。本命は、保守・共和党の大統領候補、フランソワ・フィヨン氏だ。

 だが、主流政党の間には亀裂があり、ルペン氏は労働者階級の有権者の間で支持の鉱脈を掘り起こした。さらに、2016年の選挙のショックは、どんな票も当てにできないことを示している。ルペン氏がどうにかして勝利を収めたら、EUは潜在的に過去最大の危機――ブレグジットをもしのぐ危機――に直面することになるだろう。

5月:イランの大統領選挙

 過去4年間、当初の逆の予想にもかかわらず、ハサン・ロウハニ大統領はイランに足跡を残してきた。特に注目されるのは、米国とその他5大国との間で結んだ核合意を通じたものだ。

 だが、イランの政策課題を形成するロウハニ氏の力は、旧来秩序の擁護者、具体的にはイラン革命防衛隊と司法界からの絶え間ない攻撃にさらされてきた。

 そして今、時折、合意破棄を誓ったトランプ氏の到来で核合意に重圧がかかっている中、ロウハニ氏は大統領再選に挑むことになる。強硬派は大統領選に影響を及ぼそうとするだろう。ロウハニ氏が生き延びるかどうか、そしてイランがより対立的なアプローチを取るかどうかは、中東地域内外に大きな影響を及ぼすことになる。

通年:FRBの利上げ

 米国の金利は、原油価格と並び、世界を揺るがす可能性がある経済的事実だ。多くの人、多くの場所にとって、2017年の重大問題は、米国金利がどれほど上昇し得るか、だ。

 12月に金融危機以降わずか2度目の利上げに踏み切った米連邦準備理事会(FRB)は、2017年にあと3回金利を引き上げると予想している。市場は、金融引き締めがそこまで進むとは確信していない。だが、金利は実際、一段と上昇する可能性がある。

 本人が認めている通り、FRBのジャネット・イエレン議長はまだ、考えられる「トランプ効果」を考慮に入れていない。もし次期大統領が議会で自分が求める莫大な財政刺激策への支持を勝ち取ったら、このトランプ効果は金利をさらに押し上げるかもしれない。

 トランプ氏が大統領に選出された後、債券保有者とメキシコペソやトルコリラといった通貨はすでに痛手を受けている。大統領就任後の同氏の政策が全世界で資金コストを上昇させたら、こうした投資家や通貨はさらに試される可能性がある。

年前半:エルドアン大統領の国民投票


 レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領はほぼ15年にわたり、トルコで自身の権限拡大を図り、その過程で近代トルコの建国の父ムスタファ・ケマル・アタチュルク以来、最も影響力のある指導者になった。

 2017年にエルドアン氏はついに最大の野望をかなえる可能性がある。つまり、行政権を持った大統領職に正式に就任し、誰もが認める国家元首および政府のトップとして国を支配することだ。

 クーデター未遂と一連のテロ攻撃を含む血みどろの1年を経た後、エルドアン氏により大きな権力を与えることへの国民の支持は増大した。国民投票は4月か5月に実施される可能性がある。大統領は恐らく賛成票を、民意に力を与える行為として描くだろう。反対勢力は、ノーを突きつけることが独裁政治を防ぐ最後のチャンスだと訴えることになる。

秋:中国の共産党大会


 中国が国際舞台で今日ほど力を持ったことは過去何世紀もなかった。習近平国家主席ほど強大な権力を持った指導者は、毛沢東以来いない。

 習氏は、中国共産党第19回党大会でこの権力を固めることを目指す。同氏はほぼ確実に2022年まで共産党総書記の座を維持するが、本当の問題は、ほかにどんな任命があるか、また、味方を昇格させることによって一連の任命が習氏の影響力を拡大させるかどうか、だ。

 もし党大会が既存の年齢制限・任期制限を払いのけたら、それは習氏自身が暫定的な退任期限の2022年以降まで共産党の支配をもくろむシグナルかもしれない。そうなれば、この最も野心的な中国指導者にとって、過去とのさらなる決別になる。

 一方、中国は成長が四半世紀ぶりの鈍さとなっている経済やトランプ氏との緊張が高まる可能性など、ほかの大きな課題の舵取りもしなければならない。

9~10月:ドイツの選挙

 アンゲラ・メルケル首相は、欧州で最も重要な指導者、ことによれば自由世界で最も重要な指導者の地位を確立して久しい。だが、首相4期目を目指す2017年には、選挙で大きな難題に直面する。

 安定した連立を組む計算は、既成政党の問題によって著しく複雑になる可能性が高い。移民問題に対するメルケル氏のリベラルな路線への国民の不満は、現在の連立パートナーである社会民主党(SPD)の長期的衰退と、古くからの同盟相手である自由民主党(FDP)の不透明な先行きと重なった。

 反ユーロ、反移民を掲げる「ドイツのための選択肢(AfD)」は、ここにつけ込もうとするだろう。一方のメルケル氏は、同氏が担う重要な国際的な役割が国内での弱さによって損なわれないこと確実にしようとするだろう。


By Daniel Dombey in London
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未曽有の世界経済危機の兆候…中国は資金流出、EU各国は排他主義で分裂、米国急失速 【BusinessJournal】2017.01.05 真壁昭夫・信州大学経法学部教授

2016年11月8日に米国の大統領選挙で共和党のドナルド・トランプ氏が当選して以降、金融市場では米国経済への強気な見方が増えてきた。それは、トランプ氏が財政出動、減税、規制緩和を進め、米国経済の成長率を2~4%程度に押し上げると主張してきたことに影響されている。

リーマンショック後の世界経済では、各国が金融政策を駆使して低金利環境を整備し、投資や消費を促そうとしてきた。エコノミストらの間でもこうした政策の効果にはさまざまな見方がある。そのなかでも世界的に需要は盛り上がりに欠け、需給ギャップが拡大基調にあるというのは多くの専門家が認識しているポイントだろう。

 その状況下、トランプ氏が主張する5000億ドルとも1兆ドル(59兆~117兆円程度)ともいわれる大規模なインフラ投資が本当に進むと、世界的に需要は回復し物価も上昇しやすくなる。それが大統領選挙以降の米国株式、ドルの上昇につながった。すでに米連邦準備理事会(FRB)関係者が2017年に3回の利上げを予想していることを踏まえても、トランプ氏の経済政策(トランプノミクス)の潜在的な影響は無視できない。

 こうした期待がどうなるかは、今後の政治次第だ。17年、米国だけでなく欧州でも独仏蘭で総選挙などの重要な政治イベントが控える。各国の政治動向次第で世界経済に無視できない影響が及びやすいことは冷静に考えるべきだ。


17年はまさしく政治の年
 
 17年の世界経済の展開を論じる際、無視できないのが主要国の政治動向だ。まず注目されるのは大統領選挙後、急速に先行きの期待が高まってきた米国の動向だろう。1月20日、トランプ氏は正式に大統領に就任する。その後、予算編成や債務上限の引き上げなど、議会との交渉などを通して政治的に解決されなければならない案件は多い。

 財政出動を主張しているように、トランプ氏は“大きな政府”を志向している。一方で、伝統的に共和党は“小さな政府”を重視し、経済の営みは市場に任せるべきだとの考えを持っている。選挙戦のなかでトランプ氏と共和党指導部の関係が悪化したことを踏まえると、同氏が共和党や議会との利害調整を円滑に進め、有権者から一定の支持を維持していくことができるかは不透明だ。政治経験の乏しい同氏にとって、それは簡単なことではない。すでに財政出動観測から金利は上昇し、住宅投資や耐久財の消費動向は不透明だ。ドル高が輸出や企業業績に与える影響も無視できない。今後の米国経済はトランプ氏の政治手腕次第だろう。

 現在、欧州各国では移民や難民に対する反感が追加的に高まっている。特に、ドイツでは首都ベルリンで、クリスマス商戦でにぎわうマーケットにトラックが突入するテロ事件が発生し、難民受け入れを積極的に進めたメルケル政権への批判が高まっている。ドイツ以外のEU加盟国でも自国第一を主張する右派のポピュリズム政党への支持が高まっている。今後の選挙などの結果次第では、金融市場が混乱する可能性も排除できない。

要注意のフランス大統領選挙

 なかでも注意が必要なのは、フランスの大統領選挙だ。同国の大統領選挙では、1回目の投票で50%以上の得票率を確保する候補がいない場合、上位2名での決選投票が行われる。各種世論調査などを見ていると、1回目の投票では勝負がつかず、右派・共和党の候補であるフィヨン元首相と、極右・国民戦線のル・ペン党首の一騎打ちになるとの見方が多い。

 決選投票に関して、多くの政治アナリストらの見方では、左派の社会党と共和党の反ル・ペン票がフィヨン元首相に流れ、ル・ペン党首は当選しないとの予想が多い。強硬に移民、難民の排斥やEU懐疑主義を唱えるル・ペン党首の主張は、かなり過激だ。理性的に考えると、フィヨン氏の当選がフランスと欧州にとって良い決定であることは確かだ。

 しかし、16年6月の英国国民投票、11月の米国大統領選挙のように、想定外の展開もありうる。共和党の候補者選びに関しても、多くのアナリストらはフィヨン氏が大統領候補に選出される可能性は低いと考えていた。それは、フィヨン氏が親ロシア、シリアの考えを持っており、ル・ペン党首ほどではないにせよ反移民の考えを持っているからだろう。

 そう考えると、フランスの政治は徐々に自国優先、EUからの離反に向かっている。そして、難民が関与するテロが続いていることを考えると、5月の決選投票にてル・ペン党首が当選する可能性は排除すべきではない。独英に次ぐ欧州第3位、世界第6位の経済規模を誇る同国で極右政党が政権を獲れば、欧州全体に無視できない影響が及ぶ。オセロをひっくり返すように、各国に排他主義、自国優先、反EUの世論が広まりかねない。


先行き不透明かつ不安定な世界経済

 11月の米国大統領選挙以降、市場参加者が米国を中心に先行きに強気になってきただけに、「政治が世界経済の足を引っ張るといわれても、にわかには信じがたい」というのが大方の反応だろう。冷静に考えると、金融市場に影響を与えているのは先行き期待を強める投資家心理だ。「噂で買って事実で売る」という相場格言のように、次期大統領と米議会の交渉がうまく進まないなど政治の実態が明らかになるにつれ、強気相場の調整は進みやすい。

 そのタイミングで欧州の政治不安が高まると、それなりのマグニチュードで株価やドルが下落し、世界の金融市場がリスクオフに向かう可能性がある。すでに、イタリアのモンテ・パスキ銀行は自力での再建をあきらめ公的支援を申請した。近い将来、イタリアでも総選挙が実施される可能性があり、政治混乱が銀行システムの再建を阻害し、実体経済にマイナスの影響を与えることは十分に考えられる。

 また、リーマンショック時と異なり世界経済には十分な支えが見当たらない。中国を筆頭に新興国経済は世界経済の成長のエンジンではなく、重石になっているからだ。中国では過剰な生産能力の解消が不可避な中、鉄鋼や石炭の増産が進んでいる。金融市場ではシャドーバンキング(影の銀行:正規の銀行システムを介さない資金調達)を通した融資が増え、債務のリスクが懸念されている。秋に共産党の党大会を控え、習近平国家主席は自動車減税やインフラ投資など、財政出動により景気を支えようとするだろう。それでも、先行きの経済への懸念を受けて本土市場からは資金が流出している。16年年初のように人民元安、株安などが同時に進むと、世界経済の下振れリスクも高まるはずだ。

 注意したいのは、米国への期待剥落から世界経済の先行き懸念が高まるなかで、欧州の政治、中国経済の減速への懸念が同時に高まるシナリオだ。その場合、世界経済は未曽有の経済危機に直面する可能性がある。各国の金融・財政政策に手詰まり感が出ているなか、政策当局がどう金融市場の混乱を鎮静化させ、景気を支えられるかもはっきりしない。基調として世界経済に不安定な部分があり、状況次第で先行き不透明感が高まりやすいことは冷静に考える必要がある。

(文=真壁昭夫/信州大学経法学部教授)



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公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が25日発表した2016年7~9月期の運用実績は、2兆3746億円の黒字になった。黒字は3四半期ぶり。6月の英国の欧州連合(EU)離脱問題などによる混乱が終息し、国内外の株式相場が回復した。4~6月期は14年10月に資産構成に占める株式の比率を2倍に増やして以降の累積で1兆962億円の赤字となったが、7~9月期は再び黒字転換した格好だ。


9月末時点の運用資産は132兆751億円で、7~9月期の運用利回りはプラス1.84%だった。運用資産は6月末(129兆7012億円)より増加したものの、3月末(134兆7475億円)には届かなかった。

収益(市場運用分)の押し上げ要因になったのは株式だ。国内株が2兆234億円、外国株も1兆455億円の黒字だった。債券では赤字を計上したものの補った。

国内債は長期金利の上昇(債券価格の下落)が響き6671億円の損失が出た。外国債も円高進行や米国の金利上昇が重荷になり、398億円のマイナスになった。

9月末の資産構成は国内株が21.59%、外国株は21.00%だった。国内債は36.15%、外国債が12.51%、短期資産は8.75%になった。

【GPIFの資産構成】

16年9月末   6月末    3月末 

国内株式    21.59%   21.06%   21.75%

外国株式     21.00%   21.31%   22.09%

国内債券    36.15%   39.16%   37.55%

外国債券    12.51%   12.95%   13.47%

〔日経QUICKニュース(NQN)〕
7~9月期が黒字なら9~12月期もおそらく黒字になると可能性がいまのところ高そうです。
つい一か月前まで野党や左翼系のメディアは4~6月期赤字を出していた為、国民の財産を棄損させた安倍政権はけしからんという論調で、GPIFを攻撃していました。


英国EU離脱で日経平均1200円超暴落

6月23日(現地時間)に実施された国民投票で、EU離脱を是とした英国。そこを震源に世界が大きく揺れている。予想通り、スコットランドでは英国からの離脱のうねりが再燃し、意表を突く形でロンドン市でも英国離脱の動きが浮上。他のEU主要国の離脱可能性まで囁かれ始めている。

最も懸念されているのが、世界的な株安の再発と連鎖だ。6月24日の東京市場では、日経平均株価が前日の終値から1200円超の大暴落。その後も国民投票前とはほど遠い水準にある。これが国民の生活に直結するのが、国民から預かった巨額の年金基金を株式に投資しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用損である。GPIFからの正式な公表は例年よりも先延ばしされているが、漏れ伝わる情報で報じられた2015年度の運用損は約5兆円と見込まれている。

GPIFは、国民年金と厚生年金の積立金を国民から預かり、その資金を債券や株式に投資して「安定的に運用」する厚労省所管の独立行政法人として、06年に設立された。運用を委託されている金は実に約140兆円となる。米国最大の公的年金カルパース(カリフォルニア州職員退職年金基金)が運用する基金約30兆円と比べれば、その巨大さが伺える。民間の機関投資家とはスケールが違うのだ。

GPIFが公式サイトで公表している運用実績のデータと厚労省の管理データを照合すれば、平成26(2014)年度までの運用損益の正確な金額を照合・確認できる(ファイル14ページ参照*)。

*http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/zaisei/tsumitate/tsumitatekin_unyou/dl/houkokusho_h26_01.pdf

年次推移からこれまでに最大の運用損益を出した年度の運用損益と資産額をピックアップすれば、運用益の最大が2014年度の15兆2627億円(資産額145兆9323億円)、運用損の最大が9月にリーマン・ショックのあおりを受けた08年度の9兆3176億円(資産額123兆8381億円)だ。トータルではひとまず運用益が勝っている。

但し、GPIFの株式投資で動く運用損益は、その実績値からみれば数千億~十数兆円の単位である。当然とはいえ、とてつもない振れ幅だ。株式の市況次第で相応の株を放出しようにも、その膨大な分量ゆえに市場がパニックに陥る懸念があり、容易には売り出せない。慎重なエコノミストたちはこれまで「株式市場に異変が勃発すれば、国民の年金に致命的な打撃を与えるだろう」と警告してきた。

年金運用損はさらに膨らんでいる予測も

ところが、株価の上昇によって景気の上向きとアベノミクスの成功を国民に印象づけようとしたのか、安倍内閣は14年10月31日、アベノミクスに基づいて日銀がマネタリーベースを年80兆円に拡大する追加金融緩和を発表したと同時に、GPIFの運用見直しを断行した。安定した投資先である債券中心の運用をやめて、外国株を含む株式投資を24%から倍以上の50%にまで可能にしたのだ。つまり、国民から預かった140兆円という巨額年金資産の半分を、債券とは対照的に値動きの激しい株式に突っ込み始めたのである。

この見直しの5カ月後に始まった15年度の年金の会計は今年3月末に締めている。当然、50%投資で生じた成績はすでに弾き出されているはずだ。貸借対照表や損益計算書など財務諸表については、各事業年度の終了後3カ月以内に所管大臣に提出することになっている(独立行政法人通則法38条)。過去3年度の経過記録を見ると、順に6月24日、同20日、同21日には運用委員会に財務諸表が提出されており、各々が同年の6月24日、同26日、同27日に厚労大臣に提出されている。従って、目安としては遅くとも6月末までの提出が常態と理解してよいスケジュールだ。

「例年だと7月初旬には公表されてきたのに、今回は参院選後の7月29日に公表するというんですね。誰が考えても、昨年度の運用成績は選挙で安倍政権のブレーキになる結果だったのだろう、と推測するしかなかったわけです」(全国紙経済部記者)

7月29日に公表されるのは財務諸表とは別の「業務概況書」(前年度では約80頁)だが、前述のように、すでに漏れ伝わってきた運用損が、米ブルームバーグの報道を端緒に国内主要メディアからも「5兆円台前半」と報じられた。

しかし、7月29日に公表される15年度の業務概況書では、既報の「5兆円台前半」を大きく上回る運用損が出る懸念もある。さらに、英国EU離脱に始まる今年のヨーロッパの大波乱は、来夏に発表される16年度の運用損を数十兆円規模にまで膨らませるのではないかとの危うい予測も飛び交っているのである。

焦る素人が損に損を重ねる典型

将来的な年金の財源不足が予測されて久しい。もともと年金は国民が税金とは別建てで国に預けたお金であり、「財政赤字だから支払う財源がなくなった」との弁明は通用しない。年金積立金は国が“別の財布”に保管しておくべきであり、2004年に大問題となったグリーンピア事業等への流用のように、国民に無断で他の歳出にあてがうようなマネをしてきた国には重大な瑕疵がある。

国民から預かる年金積立金を、国内株上昇の偽装としか思えないタイミングで株に投げ入れてきたGPIFと安倍政権は、国民の税金を預かる立場として無謀・無責任の誹りを免れないのではないか。借金に心を痛める妻に「ギャンブルで取り返す」と息巻くダメ夫のようなもので、焦る素人が損に損を重ねる典型である。

しかも、それは「安定した運用を担うべき基金」であるにも関わらず、株式投資の可能比率をいきなり半分にまで押し広げ、こともあろうか、ヘッジファンドやハゲタカファンドが跳梁跋扈する鉄火場に投げ入れるなどという所業が、なぜ平然と行われているのか。

ソロス氏と安倍首相の以外ない接点                                             
GPIFが株投資50%への運用転換へと舵を切ったのは前述のように14年10月31日だが、安倍内閣でそれが起案され、推計資料が集められ、試算が作成されて関係官庁や族議員・財界などに根回しされ、構想がまとまり合意されるまでには、少なくとも半年以上が費やされたはずだ。逆算すれば、起案は少なくともその半年以上前であることが容易に推察できる。おそらくは、遅くとも同年の春先には「株式への投資枠を大幅に拡張」という方針が内閣から厚労省を通じてGPIFに伝えられたはずである。

一方、外務省の記録によれば、今年1月下旬にスイスで開かれた世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(通称「ダボス会議」)で、安倍首相は著名な投資家ジョージ・ソロス氏と会談している。

ソロス氏は、四半世紀前の1992年、英国政府の為替介入に対抗したポンドへの空売りで約1500億円の利益を得、「イングランド銀行を潰した男」として世界的に知られるようになった人物。慈善事業家という顔も持つ。今年4月に世界中を騒然とさせたオフショア金融市場の膨大な顧客情報、いわゆる「パナマ文書」を公開したのは国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)だが、その母体である米国の非営利調査報道団体「センター・フォー・パブリック・インテグリティ(CPI)」が、他ならぬソロス財団の資金提供を受けてきたことは米国では広く知られている。

GPIF運用転換の年初にも接触

ソロス氏は13年にアベノミクスの量的緩和による円安で1000億円超の利益を得、自ら創始したヘッジファンド「クォンタム・ファンド」も6000億円にも届きそうなヘッジファンド史上最高額の利益を上げたと報じられているが、今年は年初から「世界経済は危機の入り口にいる」「リーマン・ショックを思い出す」などと発言、注目を集めていた。5月の伊勢志摩サミットで安倍首相が「世界経済はリーマン・ショック前に似た状況」と発言し批判を浴びているが、同じ認識を持っていたのは安倍氏だけではなかったようだ。

5月に市場への現役復帰が伝えられたソロス氏は、英国のEU離脱を決定づけた投票日の翌日(6月24日)に、自ら所有するドイツ銀行株の空売りを手掛けていたことが報じられた。周知のように、空売りは株価下落に乗じて儲ける手法。仮に同日最高値のタイミングで売り出していたのであれば、今回も一挙に百十数億円を得た計算になる。

安倍首相と、ダボス会議の常連といっていいソロス氏との会談は、実は今年1月だけではない。GPIFの運用転換が実施された2014年にも、1月のダボス会議で安倍首相はソロス氏と面談しているのである。株投資50%への拡張の舵切りが同年10月末。前述のとおり同年春先までにそれが起案され、準備が始まっていたとしたら、両名の密談内容が気になるところだ。相手は、持ち前の政治力を駆使して世界的なニュースと連動するかのごとく動く超大物投資家である。一国の首相が安易に近づいてよいものか、大いに疑問が残るところだ。
国民の不安を煽る酷い記事だ、損を出したら、安倍晋三首相がジョージソロスと接触して何やら陰謀を企んでいるような印象をあたえる記事、「なんだこれ!」という記事でした。もっと脳細胞が死んでいる老人向けの記事でも
 サラリーマンが加入する厚生年金と、自営業者が加入する国民年金の2015年度決算で、時価ベースでみると3兆2458億円の赤字となったことが11日までに分かりました。

 赤字となったのは、厚生年金で5年ぶり、国民年金で7年ぶりです。

 赤字は、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による5兆3000億円の巨額運用損失が原因で、株式運用を拡大させて運用損失を招いた安倍内閣の責任が改めて問われます。

 GPIFの運用損失は、厚生年金が5兆81億円、国民年金が3416億円。

 厚生年金は、保険料率の引き上げなどで保険料収入が増加し、赤字は2兆7448億円でした。

 国民年金は、被保険者(加入者)の減少で保険料収入が減少し、5009億円の赤字となりました。

 15年度末の年金積立金残高は合計で3兆2458億円減り、142兆7078億円。積立金残高が前年度より減少するのは4年ぶりの事態です。

 一方、高齢化で受給者も増えることから、厚生年金の給付費は23兆2733億円に増えましたが、物価上昇にもかかわらず給付を据え置いたことなどにより、伸びは1233億円にとどまりました。国民年金では、給付費が964億円減少しました。

盗っ人猛々しいとはこのことだ。総務省が23日公表した2015年度の独立行政法人(独法)役職員の給与水準で、99法人のうち、理事長らの年間報酬が最も高かったのが「年金積立金管理運用独立行政法人」(GPIF)だったことが分かった。

GPIFのトップの報酬は「3131万円」で、次いで高かった国立病院機構の「2304万円」を830万円近く上回っていた。

GPIFは15年度の運用実績で5兆3098億円の損失を計上。今年8月末に発表した16年4~6月期の運用実績でも、5兆2342億円の赤字を出している。国民の大事な老後資産に「穴」をあけながら、トップが何ら責任も取らずガッポリなんて許せないだろう。

総務省はGPIFの給与水準について「妥当性は担保されている」なんて言っているが、デタラメ過ぎる。
デタラメ過ぎるのはいつも日韓「日刊ゲンダイ」の日々の煽り記事だろう!
国の基金の長の報酬からすれば他国と比べれば間違いなく低い。報酬を与えなければアニータに貢いでしまった年金基金のオヤジみたいなのが出てしまう。そういった社会常識を啓蒙せず、ただ批判するならば、社会が成り立たないことを記事を書く側は自覚すべきだ!


投資と言うものは、100発100中は難しい、ジョージソロスやウォーレンバフェットですらコンスタントに当て続けることはできない。ジムロジャースに至っては彼の予想が当たった話を聞いたことが無い。結局長くトータルでインデックス平均や指標よりよりどれだけ上回ったかということでしか投資の成功不成功は問えない。

以前の年金はそのまま国債にぶち込んで何もしな買ったといって過言ではない。
マイナス金利のご時勢、左翼メディアが言う通りにただ現金で置いたりしていては経済は回らず、国債に投資すれば減ってしまうかもいしれないのだ。何もしないのは無責任すぎるのだ。

だいたい、左翼メディアは年金の資金運用は長期運用が基本なので、四半期ごとに計上される「含み損」を見て損失した「安倍けしからん」という論調だ、読者相手に悪意あるごまかしではないか?

14年10月に現行運用が始まってからは、6月時点では含み損が発生していましたが、ニュースにあるよう9月末までに2.3兆円時価が回復し、現行運用になって4000億円強の黒字である。

平成28年度第2四半期の運用状況の公表及び保有銘柄の開示に当たっての髙橋理事長コメント

2016(平成28)年度第2四半期は、石油価格が落ち着きを取り戻したことなどから、S&P500(米国株式)が過去最高値を更新するなど世界的にリスクオンの動きが広がりました。

国内では、経済対策への期待が高まったことなどから株価は上昇し、日本銀行がこれまでの金融政策の総括的な検証を行い、より時間軸効果の高い新たなフレームワーク「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を導入したことから10年国債の利回りは上昇(債券価格は下落)しました。また、日米の金融政策の方向感を探る展開から為替(ドル/円)はほぼ横ばいで推移しました。

このように市場環境が安定的に推移したことから、7月から9月までの当法人の運用実績はプラス1.84%となりました。

引き続き、投資原則・行動規範を遵守し、年金財政に必要な積立金を残すためにしっかりと受託者責任を果たしてまいります。


また、本年7月の業務概況書の公表に当たって平成27年3月末時点の保有銘柄の開示を行いましたが、その開示による市場への影響に関して検証を行った結果、市場への影響は確認されなかったことから、本日の平成28年度第2四半期の運用状況の公表とあわせて平成28年3月末時点の保有銘柄の開示を行いました。引き続き保有銘柄の開示が市場に及ぼす影響の有無も注意深く観察し、今後とも運用の透明性の確保に努めてまいります。
トランプ相場で12月末時点では国民は皆含み益を抱えることになる。
左翼メディア的な近視眼的発想でいうなら、「ありがとうトランプ次期大統領!・やったぜ安倍首相」のはずだ。

長期的には株式は配当が支払われるが、日経平均銘柄の株式平均利回りは現在1.65%である。文句はあるまい・・

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今年は百年毎に一度チャイナが沈んで夜が訪れる日
終わりの来ないような戦いも今宵は休戦して祝杯をあげる

人はそれぞれ「正義」があって、争い合うのは仕方ないの
かも知れない
だけど僕の嫌いな「チャイナ」も彼なりの理由があるとおもうんだ

ドラゴンはナイト今宵、僕たちは友達のように歌うだろう
利上げナイト、チャイナ危機、原油安
今年、危機たちは友達のように踊るんだ

正しくは・・・
今宵は百万年に一度太陽が沈んで夜が訪れる日 
終わりの来ないような戦いも今宵は休戦して祝杯をあげる 

人はそれぞれ「正義」があって、争い合うのは仕方ないのかも知れない 
だけど僕の嫌いな「彼」も彼なりの理由があるとおもうんだ 

ドラゴンナイト 今宵、僕たちは友達のように歌うだろう 
ムーンライト、スターリースカイ、ファイアーバード 
今宵、僕たちは友達のように踊るんだ 

コラム:人民元安の再燃はあるか=亀岡裕次氏
【ロイター】2016年 02月 23日 16:30

[東京 23日] - 今週、上海で20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が開かれる。世界の需要押し上げに向け、「金融政策だけでなく財政政策を活用」「通貨の競争的な切り下げを回避」することで各国が協調姿勢を示すだろうが、それだけで市場マインドや世界経済を好転させることは難しいのではないか。

G20では、「為替はファンダメンタルズを反映して市場で決定されるべき」ことが再確認されるだろう。ここでは、世界金融市場の波乱を招いた人民元相場の行方について考えてみたい。

<中国が人民元を切り下げた理由は何か>

人民元安・中国株安のきっかけは、2015年8月11日に中国人民銀行が人民元対ドルの基準レートを引き下げたことにある。基準レートはそれまで市場レートに比べて1―2%ほど人民元高に設定されてきたが、同日の基準レートは市場レートの前日終値よりも0.3%ほど人民元安に設定された。そして、12日も13日も前日終値よりわずかながら人民元安の水準に基準レートが設定され、市場レートは3日間で6.21元から6.40元へと3%ほど人民元安が進んだ。

中国人民銀行は、「基準レートと市場レートの乖(かい)離の是正は基本的に完了」とした。人民元の特別引き出し権(SDR)採用をめぐり国際通貨基金(IMF)が問題視していた「かい離」の是正だけが、基準レート引き下げの理由だったのだろうか。3日連続で基準レートを市場レートよりも人民元安に設定したのは、市場レートを人民元安に誘導する狙いもあったのではないか。

その1年半ほど前の14年2月、人民元の対ドルレートは上昇から下落に転じていた。14年4―6月期には、経常収支(貿易収支+所得収支)や直接投資収支の黒字が続く一方で、その他の収支(いわゆるホットマネー)が黒字から赤字(資本流出)に転じた。中国からの資本流出による人民元安圧力が強まり、それを抑えるための当局のドル売り・人民元買い介入が増加し、14年7月には中国の外貨準備高が減少を始めた。

為替は14年1月の1ドル=6.04元から5月の6.26元へと人民元安が進んだ後、10月の6.11元へと人民元高が進んだが、この間、ホットマネーの流出幅と外貨準備高の減少幅が拡大した。つまり、国際収支面から人民元安圧力がかかり続け、当局の為替介入によって人民元安が抑えられていたのだ。ただし、為替介入による人民元安抑制を続ければ、外貨準備高の減少が続いてしまうので、当局がある程度は為替介入を減らして市場主導の人民元安を容認しようと、基準レートを引き下げたものとみられる。

<足元は円高やユーロ高とともに人民元高に>

さて、16年1月7日にかけて中国株式売り規制の解除観測を背景に株安・人民元安が急速に進んだ後、人民元は対ドルで反発した。1月8日の基準レートが市場レートの前日終値よりも0.4%以上高く設定され、急速な人民元安を抑制しようとする中国当局の姿勢が明確化したことが一因だ。

1月12日には当局がオフショア(香港)市場でも人民元買い介入を行ったとの観測から、オンショア(中国)市場に比べて0.10元ほど人民元安・ドル高の水準にあったオフショアレートがオンショアレート水準まで上昇した。ただし、16年1月の外貨準備高の前月比減少幅は、15年12月の1079億ドルに次ぐ994億ドルに上った。人民元の安定化は、大規模な為替介入に依存しており、外貨準備高の大幅減という犠牲を払っている。

中国外国為替取引システム(CFETS)は15年12月11日に、13カ国・地域の通貨バスケットに対する人民元指数の公表を始めた。ドルに対する為替レートだけではなく、通貨バスケットに対する実効為替レートを含めて人民元の動きを判断するためのものだ。16年2月前半には、通貨バスケットがドルに対して上昇し、人民元が通貨バスケットに対して下落した。通貨バスケットに対する人民元の為替に上昇余地が生まれたせいか、その後、人民元が対ドルで上昇した。

CFETSが導入した通貨バスケットに占めるユーロの比率は21.4%、円の比率は14.7%と、中国の貿易に占めるユーロ圏や日本の比率を大きく上回る。2月前半はリスクオフの下で円やユーロが対ドルで大幅に上昇したため、通貨バスケットが対ドルで上昇した。中国が導入した通貨バスケットはリスクオフ下でドルに対して上昇しやすく、通貨バスケットに対して人民元が下落しやすいのだ。

米連邦準備理事会(FRB)のドル実効為替指数(対主要7通貨)は16年2月前半、ユーロ高と円高の影響で下落した。リスクオフの下でドルの実効為替が下落し、人民元が対ドルで上昇したのだ。だが、短期的にそうなっても、リスクオフの下では人民元が対ドルで上昇しやすいと言い切ることはできないだろう。

<長期的にはリスクオフと人民元安が進む可能性>

長期的な視点で人民元をみると、通貨バスケットと人民元の間に違う関係性がみえてくる。10年から14年前半までは、ドルと他通貨の強弱に大きな変動はなく、人民元の対ドル指数と対通貨バスケット指数の動きに大差はなかった。しかし、14年半ば以降のドル高により、人民元の対ドル指数が下落する一方、人民元の対通貨バスケット指数が大幅に上昇した。

10年初めを100とすると、ドルに対する人民元指数は直近時点で105程度だが、CFETSの通貨バスケットに対する人民元指数は122程度と高水準にある。つまり、通貨バスケットに対し人民元高が進んだままなので、輸出競争力の回復のためには人民元安が進む必要がある。

なお、国際決済銀行(BIS)が貿易ウエイトなどで為替を加重平均した中国の実効為替指数は、10年1月を100とすると16年1月は127であり、CFETSの人民元指数よりも高い。しかも、BISの通貨バスケットはCFETSの通貨バスケットに比べ、ドルやユーロの比重が低い一方で、韓国、メキシコ、インド、その他新興国など、リスクオフで下落しやすい通貨を比較的多く含む。そのため、リスクオフになると、BISの人民元指数はCFETSの人民元指数よりも上昇しやすい。人民元の割高感が小さくなるまでは人民元が下落する余地が残っているとみるべきだろう。

短期的にはともかく、長期的には世界株価や原油価格の動向と人民元の対ドルレートに連動性が認められる。株高や原油高とともに人民元高・ドル安が進む傾向、株安や原油安とともに人民元安・ドル高が進む傾向にある。足元、為替はやや人民元高・ドル安に振れたものの、株価や原油価格の反発は限定的であり、リスクオンに転換したようにはみえない。リスク許容度や人民元相場の安定は一時的で、リスクオフと人民元安へと再び傾く可能性は大きいのではないか。

中国経済への懸念が残る限り、資本流出と人民元安圧力は続くとみられる。当局が為替介入で人民元安のペースをコントロールすることはできても、人民元安に完全に歯止めをかけることは難しいだろう。人民元相場の長期的動向を判断するうえでは、当局の為替介入の影響を受ける人民元相場の短期的動向よりも、国際収支フローを反映する外貨準備高の増減に注目すべきである。中国の外貨準備高が増加傾向に転じてこそ、資本流出と人民元圧力が弱まり始めたと言える。それまでは、リスクオフと人民元安の再燃に警戒が必要だろう。

*亀岡裕次氏は、大和証券の金融市場調査部部長・チーフ為替アナリスト。東京工業大学大学院修士課程修了後、大和証券に入社し、大和総研や大和証券キャピタル・マーケッツを経て、2012年4月より現職。

あれは今から8年前、2008年私がブログを始めた年だった。なんとも言えない不安と、ネットに溢れる陰謀論や左翼、親中親韓派(今では絶滅危惧種)の馬鹿共の戯言を殲滅すべく為このブログを始めたのかもしれない。

丁度8年前アメリカ大統領選挙、北京オリンピック直前、今ほどではないが、世間に溢れる不安はあの時と似た匂いがする・・・
アメリカは大統領選挙の最中、ヒラリー大統領誕生か?と思いきや、オバマが伸びてきた状況は今と似ている。共和党はマケイン・ペイリン旋風・・・でも結局は演説が上手いだけで黒人であることが取り柄だけの中身が無いオバマが大統領となった。8年前私はオバマのことを喝破していた(えへん!)

8年前ちょうど今頃、かつては名門と謳われた米証券大手ベアー・スターンズが、昔ながらの取り付け騒ぎが起き、結局、米銀大手JPモルガン・チェース(JPM)が2008年3月14日、ベアースタンの救済を発表し買収した。ベアースタンの破産申請という事態を防ぎ、金融市場のドミノ倒しを辛うじて食い止めたのだが春先だった。なんとかサブプライムローン問題を乗り切れるかと想ったとのもつかの間、半年後の9.15突如リーマンブラザーズが破綻した。

世界の市場を覆う不安感の正体は未だ明らかにはなっていない。中国経済の崩壊、原油価格の下落、米国景気がさほど強くもないのに利上げを強行したFRB。VW,ドイツ銀行が破綻に瀕しているドイツ経済の危機、サウジとイランの対立、トルコVsロシアの戦争危機・・・・更にはイギリスのEU離脱危機・・・中国の南シナ海での横暴、北朝鮮の核実験とミサイル発射・・・世界経済を脅かすネタは尽きる気配がない。

世界市場の下落は原油安と中国失速に端を発した市場の混乱は新たな経済危機のから第三次世界大戦にまで広がるかもしれないという得も知らない危機感に満ちている。

2015年12月、FRBが政策金利の引き上げに踏み切ったのは、米経済が危機対応
であるゼロ金利を必要とする非常事態から脱した、と判断したからこそ。日本ではアベノミクスと日本銀行の「異次元緩和」で株価が大幅に上昇し、欧州もギリシヤなど一部の例外を除いて着実にユーロ危機のダメージから回復している、と考えられていた。

 しかし、現在の市場の雰囲気はまるで金融危機直後に逆戻りしてしまったかのようだ。日銀は先月末、量的緩和では足りないとばかりに日本の金融政策としては初のマイナス金利導入を発表。FRBのイェレン議長は世界経済の不安定さを理由に3月の追加利上げを見送った。

 世界各国の市場は同時株安に見舞われ、中央銀行がいくら対策を打ち出しても、市場がそれらを好感して上昇に転じる気配は見えない。なぜ現在の世界経済には、危機の再来に身構えるかのようなムードが蔓延しているのか。 

今や定説となっているが、株安のきっかけとなり、グローバル経済の足を引っ張っているのは、原油価格の下落と中国経済の失速だ。 これは今更説明する必要もないだろう

原油価格はFRBなどの量的緩和で
市場にあふれた資金が原油市場に流れ込んだこともあり、1バレル=100ドルを超える高値を記録していた。それが緩和の縮小とその後の終了に応じる形で下落に転じ、30ドルを下回る水準にまで落ち込み今日は戻ったが私は減産が守れるとは思っていない。需要と供給のバランスが変化したのは確かだが、実需より先物取引のマネーゲームの比率が高いWTIは急激に値下がりするのは当然の動きだ。 原油安は中東諸国やロシアベネゼイラなど、国内経済を石油の輸出に頼り切っている資源国に大きなダメージを与えた。さらに石油を売った資金を元手とする国際的な投資資金の引き揚げも始まり、世界の市場に影響を与えている。

 アメリカ経済にとっても、原油安はマイナスとなる。シェールガスの採掘が本格化し、産業の急成長に沸いたのはそう昔のことではないが、現在では原油安のせいでシェール採掘の採算が合わなくなったため、関連企業の倒産や資金を融資する金融機関の経営悪化が懸念されている。

 日本など石油を輸入する国にとっては、本来なら原油安は経済にプラスになるはずだ。しかし実際は、米経済の不透明感の波及といったマイナス面を打ち消すほどのプラスの効果は表れておらず、それどころかデフレ脱却の足を引っ張るという笑えない事態になっている。

中国経済については、昨年6月からの数回にわたる株価の暴落で、誰も信じていなかった中国の統計数字、土地バブル崩壊、シャドウバンキング問題、地方政府の破綻、中国成長神話の崩壊で人民元安、資金の流失の悪循環に陥ってしまっている。今我々は中国のキャピタルフライトを目撃しているのだ。

執筆中
[北京 24日 ロイター] - 中国の外貨準備はなお世界最大規模を誇るが、資本流出に伴い急スピードで減少しており、中国政府は遠くない将来に人民元の切り下げ、あるいは資本統制への逆戻りを強いられるとの見方が一部で浮上している。

中国の外貨準備は1月に995億ドル減って3兆2300億ドルとなった。2014年半ばに比べると7620億ドル減と、スイスの国内総生産(GDP)を上回る規模で減っている。

中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁は先週、「財新」のインタビューで資本流出について、ドル高を背景とした国内企業によるドル建債務の返済と対外投資による部分が大きいと指摘。債務返済は間もなく底を打つし、対外投資は歓迎すべき動きだと擁護してみせた。

大半のエコノミストは、中国の外貨準備にはまだ大きな余裕があるとの見方に同意しているが、一部には数年後と言わず数カ月後にはブレーキを踏む必要が出てくるとの見方もある。

外貨準備の減少ペースが加速したのは、人民銀行が海外の投機売りや国内の資本逃避に対処し、人民元買い介入を行ったためだ。

外貨準備はなお巨額だが、中国ほどの規模の経済だと、輸入や対外債務の返済に多額の準備が必要になる。その上、外貨準備の内訳が流動性の低い資産であれば、その要請にすぐには答えられない。

中国の外貨準備の構成は国家機密だが、複数の当局者は、ドル以外の通貨の価値がドル建てで減少していることも、準備高減少の一因だと話している。

ソシエテ・ジェネラルは、国際通貨基金(IMF)の指針では中国にとって安全といえる外貨準備の最少額は2兆8000億ドルで、現在のペースで減少を続ければ間もなく到達するとみる。

同社は「向こう数カ月中に到達すれば、投機的な売りが押し寄せ、人民銀行は降参して人民元レートを市場に委ねるしかなくなる」としている。

これに比べ、G20(20カ国・地域)のある中央銀行副総裁はもっと楽天的で「(安心できる最少額が)どのくらいか分からないが、2兆8000億ドルよりずっと少ないことは確かだ」と述べた。

<魔法の数字は存在せず>

HSBCのアナリストチームは理論上2兆ドルで十分だと見ているが、減少を続ければ国内投資家が脅えて海外への資金移動を加速させる恐れがあるため、中国当局が手をこまねいているとは考えにくいという。

ブラウン・ブラザーズ・ハリマン(ニューヨーク)の新興国市場通貨ストラテジー・グローバル統括、ウィン・シン氏によると、中国の外貨準備は1年5カ月分の輸入をカバーできる水準であり、短期対外債務の外貨準備に対する比率は25%にとどまる。新興国として安全な水準と考えられる3カ月と55%よりもはるかに良好だという。

シン氏は「われわれが新興国に適用しているどんな尺度で見ても、中国の外貨準備は十分すぎるほどだ」と話した。

中国のシンクタンクのあるエコノミストも「3兆3000億ドルもあって何を心配する必要があるのか」と同意する。「中国の対外純債権は1兆5000億ドル、貿易黒字もまだ6000億ドル程度ある」

外貨準備が2025年までに2兆ドルに減ったとしても、「まだ安全、健全だ」とこのエコノミストは語った。

ブラウン・ブラザーズ・ハリマンのシン氏は、安全な水準は、究極的には特定の比率というよりも市場心理で決まると指摘する。

「魔法の数字は存在しない。大きな部分を占めるのは信頼感だと思っているが、中国の政策担当者は信頼感の回復につとめて力を入れている」という。

人民元売りを公言しているヘッジファンド、オムニのポートフォリオマネジャー、クリス・モリソン氏は「このゲームは期待と信頼感がすべてだ。市場が底をのぞいたが最後、信頼感は総崩れになる。3兆ドルを下回った時がその分岐点だと私は考えている」と話した。

(Kevin Yao記者)

 日米欧や新興国などで構成される20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が26、27日に中国・上海で開かれる。市場は、議長国の中国が自国経済の構造改革について説得力あるメッセージを打ち出せるかどうか、日米欧など先進国がどこまで踏み込んだ政策協調を示せるかを注視している。

会議では、世界経済に大きな影響を及ぼした中国の経済失速の実態や構造改革の見通し、原油価格の急落、米国の今後の利上げなどについて議論される見通しだ。ドイツ銀行の巨額赤字をきっかけに急浮上した欧州の金融システム不安の再燃懸念についても話し合うとみられる。

安倍晋三首相は24日の衆院財務金融委員会で、G20に関し「世界経済を安定させ、持続的な成長のために何をするかという観点から話をすべきだ」と述べた。特に中国に対して「過剰設備(の解消)などの構造改革に取り組んでもらいたい」と注文を付けた。

昨年夏から続く世界市場の混乱は、人民元の下落で火がついた。G20の場で、中国が構造改革への取り組みと人民元の安定を約束する一方、他の参加国などが中国の資本流出に歯止めを掛ける「資本規制」を容認することになるかどうかが大きなポイントになる。

G20では会議後に声明文が公表される。リーマン・ショック後に世界経済を支えてきたG20が市場の混乱回避に向けて再び力を示せるか。各国の利害を超えた枠組みが問われている。




 中国の習近平国家主席は昨年9月に訪米し、確かに「南シナ海を軍事拠点化しない」といった。果たして、この言葉を素直に信じた沿岸国の指導者はいただろうか。

その数カ月前、米国防総省の年次報告書「中国の軍事力」は、南シナ海の岩礁埋め立てが過去4カ月で面積が4倍に拡大していると書いた。中国の国防白書も、「軍事闘争の準備」を書き込んで、航行の自由を威嚇していた。

かつて、マカオの実業家がウクライナから空母ワリヤーグを購入したとき、中国要人が「空母に転用する考えはない」と語ったのと同様に信用できない。中国の退役軍人がマカオ企業の社長だったから、尻を隠して頭を隠さずというほど明白だった。

漢民族は自らを「偉大なる戦略家である」と思い込んでいる。孫子の兵法を生んだ民族の末裔(まつえい)であるとの自負が誤解の原因かもしれない。米国の戦略国際問題研究所(CSIS)の上級顧問、E・ルトワク氏は、戦略家であるどころか「古いものをやたらとありがたがる懐古的な趣味にすぎない」と酷評する。実際には、中核部分の「兵は詭道(きどう)なり」というだましのテクニックだけが生きている。

その詐術も足元が乱れることがある。米メディアが南シナ海のパラセル諸島への地対空ミサイル配備を報じた直後、王毅外相が「ニュースの捏造(ねつぞう)はやめてもらいたい」といった。すると、中国国防省がただちに「島嶼(とうしょ)の防衛体制は昔からだ」と反対の見解を表明して外相発言を打ち消していた。

国家の外交が、ひそかに動く共産党の軍に振り回されている。軍優位の国にあっては、当然ながら国際協調などは二の次になる。

ミサイル配備が明らかになったウッディー島は、南シナ海に軍事基地のネットワークを広げる最初の飛び石になるだろう。早くも22日には、CSISが南シナ海スプラトリー諸島のクアテロン礁に中国が新たにレーダー施設を建設しているとの分析を明らかにした。

やがて、これら人工島にもミサイルを配備して戦闘機が飛来すれば、船舶だけでなく南シナ海全域の「飛行の自由」が侵される。23日訪米の王毅外相はどうにかつじつまを合わせるのだろう。

ルトワク氏はそんな中国を「巨大国家の自閉症」と呼び、他国に配慮することがないから友達ができないと指摘する。例外的に1国だけ、核開発に前のめりの北朝鮮がいるが、それも近年は離反気味である。

中国が脅威を振りまけば、沿岸国など東南アジア諸国連合(ASEAN)は、共同で対処する道を探る。オバマ米大統領が昨年はじめてASEAN大使を任命し、米・ASEAN関係を戦略的パートナーに格上げすることで、その受け皿にした。

中国がアジアインフラ投資銀行(AIIB)を含む札束外交で歓心を買おうとしても、従属を強要する意図が見えれば中国への警戒心はむしろ高まろう。ASEAN首脳が米西海岸サニーランズでオバマ大統領との会談に応じたのも、対中ヘッジ(備え)になってくれると考えるからだ。

オバマ政権のアジア・リバランス(再均衡)に中身がなくとも、中国のごり押しで米国とASEANの緊密化が進み、中国の影響力をそぎ落とす。それがルトワク氏のいう『自滅する中国』という予言なのだろう。(東京特派員)




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14日ザラバ中の安値が下値となるか?しかし回帰トレンド的には目先下値余地はある。だがそもそも回帰トレンド日足は下向きに変り、一目均衡表も下放トレンドだ。
だが目先は短期的に売られ過ぎだ。

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週足のトレンドはなんとか右肩上がりなのだが、このままでは大回り3年の上昇波動が終息してしまう可能性がある。

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しかしながら、長期で見たならば大底は打っておりテクニカル的に調整の後再び上昇することを示唆しています。


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騰落レシオ的には短期で底値に達してはいます。

日本株が下がる理由の多くは外部的要因だ。中国が経済崩壊をすれば世界一安心な通貨(の一つ)である円が買われ円高になり企業業績が輸出企業を中心に下がる。故に株安となる理由だ。

だが、ビッグマック指数、海外旅行時の私の個人的な感想からすると、120 円台のレートはやや行き過ぎた円安だと思う。1 ドル 110 円台の為替レートは、内需型経済の日本の実体経済にとってはむしろプラス効果だと思う。更に、石油安は日本経済に追い風で、円高・原油安で生じる家計と企業のゆとりを、個人消費と設備投資に振り向けられれば、ここまで日本株は下がる必要はない!

現在暴落した日経平均の理由は中国経済の崩壊なのだが、中国経済不調にともなう中国人民元の問題である。中国人民元の先安観が強いのである。

中国元は今まで米国との通貨戦争の中で、米国は中国元が必要以上に中国政府の政策的保護によって元安に維持されている点を指摘してきたが、中国はこれを改善しようとしなかった。むしろ切り下げに向かっている。

しかし、中国は米中の首脳会談の後の昨年の11月末に多年の念願であった国際通貨基金(IMF)の準備通貨への採用が決まり、世界の主要通貨に仲間入りした。 
2015年8月に元を切り下げた際、人民銀行は市場実勢に合わせたレート決定を宣
言した。できるだけすみやかに実施することも宣言していたので昨年後半、新年早々にも実施することは市場でささやかれていた。

中国の市場では中国は2016年早々の年初にも米国との首脳会談でIMFの準備通貨への採用が決定した時に米国との約束事を実行するのではないかとのウワサが真しやかに流れて、8月の元切り下げ時より元売りは国内景気減速を背景とした元売りも加わって今回(2016年始め)の元売りはすさまじいものとなり、年初の動向をみると、数日での対ドル下落率は1%を超えており、どうみてもペースは早すぎる。年初の数日間で対ドルの下落率は1%を超えており、これだけ中国から資金の流出が続いておるのにもかかわらず人民銀行はなんら手を打とうとしない。

「人民元は急落しません!」で(逆に)元売りに走る中国人
【NEWSWEEK】2016年1月15日(金)06時15分

政府が説明すればするほど「元安はまだ続く」と裏を読む、投資好き一般市民たちの悲喜こもごも

「人民元レートの動揺、あなたは米ドル資産に換えますか?」

 これは2016年1月10日に中国官制通信社の新華社が配信した記事のタイトルだ。

「新年の第1週に人民元の対ドルレートが連日下落し、多くの市民は外貨資産購入の熱意を抱いたようです。大銀行では両替に訪れる人が増えました。ですが、一般家庭にとって米ドル資産の購入は人民元投資商品よりも本当に有利なのでしょうか?」

 記事はこう疑問を呈した上で、北京市在住のサラリーマン、唐さんの事例を紹介している。元安を見てすかさず3万ドルの米ドルファンドを購入した。利益率は年1.2%で、4.5%の人民元建て投資商品よりも低いが、2016年中に人民元レートが5%下がると考えれば十分に魅力的な商品という算段だ。

 そして、唐さんのような考えは大間違いで、人民元レート下落の余地はほとんど残されておらず、最終的には人民元投資が有利なのだ、という専門家のアドバイスが続いている。

 人民元投資の有利さを説く内容だが、なにせ中国ではメディアは「党の喉と舌」(中国共産党の代弁者)という存在だ。事実よりも政府のメッセージを伝えることが優先される。もっとも、読者の側もこの事情をよく理解しているだけに、メッセージの裏側を読み解くことに長けている。

 この記事も「一般庶民による草の根の元売りドル買いに政府は神経を尖らせているのだ」「人民元下落はないとこんなに必死で説明しているというのは、まだまだ下がる前兆ではないか」という、真逆のイメージを与えるものとなった。

「米国による元安批判」が問題だったのは今は昔
                                                 昨年6月の中国株暴落は中国経済変調を強くイメージさせる事件となった。だがその後、株価以上に注目を集めていたのは人民元レートと政府の介入だ。人民元レートの問題といえば、かつては米国による元安批判を意味したが、最近では逆に元安トレンドが明確となり、中国政府がどれだけ元安を許容するかに注目が移っている。中国の外貨は2015年だけで5000億ドルもの減少を記録した。積極的な元買いドル売り介入を行った結果だ。

 中国経済の振興を考えれば一定レベルの元安を許容するべきだが、「一帯一路」やアジアインフラ投資銀行(AIIB)に代表される海外投資路線、人民元の国際化という目標のためには元の価値を保持したほうが良いと中国政府は判断しているようだ。現在では電撃的な介入によって投機筋を牽制するという戦術がとられているが、元安観測を打ち消すことができるのかはまだまだ疑問だ。

 この元安観測は膨大な金額を動かす国際資本だけのものではない。平凡な一般市民にも共有されており、彼らは自分たちの行動で「今後も元安が続く」との見方に一票を投じている。そう、中国では今、海外投資がブームとなっている。

中国人に投資好きが多いのはなぜか
                                                   中国人には投資好きが多い。書店のベストセラーコーナーには健康本と並んで投資指南書がずらり。テレビでも投資指南番組は人気コンテンツだ。友人と食事をしていても「どんな投資をしている?」「どこそこのマンションは今、いくらぐらい」といった投資ネタは鉄板だ。

「投資好き、ギャンブル好きは中国の国民性」などと解説する人もいるが、長年の金融規制が投資好きの人々を育成したというのが私の見立てだ。中国では長年にわたり銀行金利が規制されており、預金しても物価上昇率をはるかに下回る利子しか得られなかった。つまり、銀行預金すれば資産価値は目減りしてしまう。ならば資産を守るためには投資しかないではないか。

 もちろん、よく分からないし勉強は面倒だからと投資を嫌がる人も少なくない。そうした人々にとって知識をあまり必要とせず、しかも安全かつ高収益なのが不動産だった。買えば必ず値上がりする時代が続くなか、月収を上回るレベルのローンを組むなど無理をしてでもマンションを買う人が続出した。ところが現在では不動産市場も低調で、不動産で儲けるにしても専門的知識が必要だ。

 不動産に頼れなくなるなか、魅力を増しているのが海外投資となる。ある程度お金がある人にとって選択肢となるのが海外不動産の購入だ。海外不動産専門の仲介サイトが乱立しているほか、大都市では投資仲介の実店舗も増えている。

 中国にいながらにして、外国の地名を眺めながらどこを買うべきか悩んでいる姿はなかなかに興味深い。日本の物件も人気で、中国人の知り合いから「**はどういう場所なの?」と質問されることも増えてきた。まとまった資金がない人ならば、米ドル建てや香港ドル建てのファンド、そして黄金が人気だという。

 こうした一般市民による「元売り」がどれほどの規模なのかは不明だが、新華社記事によって政府が気をもむ程度の問題にはなっていることが明らかとなった。「人民元は下落しません」と官制メディアがアピールしても、「そんなメッセージを出すってのは本当は危ないということ」と裏を読む人々。元安トレンドを見るやいなや機敏に海外投資へと向かう人々。こうした庶民は中国共産党による規制によって育てられたものであり、その対処に苦しむのは因果応報というべきか。

 中国政府は官制メディアによる啓蒙に加え、外貨両替規制やクレジットカードの海外キャッシング規制の徹底を通じて人々の動きをコントロールしようとしているが、「上に政策あらば、下に対策あり」とお国の裏をかくことに長けた中国の人々を管理することは容易ではないだろう。

[筆者]
高口康太
ジャーナリスト、翻訳家。1976年生まれ。千葉大学人文社会科学研究科(博士課程)単位取得退学。独自の切り口から中国・新興国を論じるニュースサイト「KINBRICKS NOW」を運営。著書に『なぜ、習近平は激怒したのか――人気漫画家が亡命した理由』(祥伝社)。
人民銀行は6年前の米国の信用危機時に中国の輸出企業の業績悪化を防ぐため元相場を2年近<にわたって1ドル=6.83元に事実上固定してきた。元相場は最近では6.6元台をつけており今年に入ってこの水準も抜<ような状況となってきている。

 それに、人民元は昨年12月からドルだけでなくユーロ・円など複数の通貨に対する元の変動を映す新しい指標の公表も始めており、対円の通貨単位も変動が激しくなっている。

リーマンショック後、中国は貿易黒字によるドル資産を大量に所有し、ドル資産分人民元を大量に市中にばら撒く結果となった、中国国内で人民元は資産化(土地不動産・株価)され人民元の資産化が一気に進むことになった。

中国人民銀行も最近は自然体を押し通しているので、まだ固定時代に人民元資産を購入した投資家の投げ売りが今後も続くのではないかとみる向きは多い。アベノミクス政策施行当初1人民元=12円だった頃を考えれば人民元は15-17円と、まだ高い。今後人民元安・円高になる可能性が高い。

昨年後半から年末直前までの人民銀行の元高誘導期間中に海外の資産を買おうとする力が働いて、ピンは海外の土地・株式からキリは日本での中国人民の「爆買い」が起きた。中国人民元は今後下落し円高になると、中国からの「爆買い」目的の訪日観光客数は2015年の8月がピークで減っていく可能性がある。

過去何10年も中国の経済大国の台頭でエネルギーの基となる石油価格や資源価格(鉄鋼など)が急騰した。昨年より原油と資源価格が急落し20-30年前の価格に下がったのにもかかわらず企業の収益が悪化するとして株価が大幅に下げている。だが最近では中東を中心とする地政学リスクが高まっている。もし、ホルムズ海峡が封鎖されれば、原油価格は急騰する。原油安と地政学リスク、さらには中国の中国人民銀行の人民元売買の基準となる対ドルレート基準値の問題も加えられて世界の株式市場の先行き不透明度は高すぎる!

私に限らず世界各国の株式市場の投資家はこれからの「行方がわからない」状況となり、より安全な(リスクの少ない)資産に資金が向かいやすい相場状況だ。これは、株式やコモディティ、ハイイールド債、高金利通貨など、リスクの高い資産を避け、国債や短期金融商品など相対的に安全と思われる資産に資金を移すこリスクオフとなっている。リスクオフ=世界一安全な通貨の一つ円が再び買われているというわけだ。シカゴ筋はずっと円売りだったのが、今年に入って円ロング(円買)に変わりだした。


現状、海外の投機筋は中国の相場対策が定まっていないことをいいことに、あらゆる面から先行きの世界経済の崩壊の恐ろしさを市場にアピールしながらここで儲けられるだけ「儲けよう」との状況になっている。いつもの世界の投機的な相場の「最終局面」にでてくる相場の状態を呈しはじめているのだが、現状中国の景気の悪さを話せば景気に下げ止まりの気配が感じらないことから「不安が不安を呼ぶ」相場にブレーキがかかりにくくなっている。だが日本株は明らかに売られ過ぎ!

投機筋から流れる円相場は1ドル=113-115円。日経平均は1万6500円との見通しの声も聞かれている。投機筋の円の買い持ちは腹いっぱいの状態となってどこかが円を手放せば一気に手放していこうという状況になっているかもしれない。

相場師曰く「節分天井彼岸底・・・・」節分と彼岸は変化の節目となることが多い。
円のピークがはそろそろか?株式に限れば今年は「節分底 彼岸天井」かもしれない。因みに2016年の節分は2月3日、彼岸の中日は3月20日である。


1月15日の金曜ロードSHOWは天空の城ラピュタであった。
都市伝説だが滅びの呪文「バルス」が東証株価指数を破壊すると噂がある。
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日本の株式市場では、バブル崩壊以降の19090年代から2000年代の前半にかけて、日本テレビで「Castle in the Sky(天空の城ラピュタ)」が再放送されると翌日以降の株式市場の相場は下落するといううわさがネット上でかなり広範囲に伝えられていた。
このうわさは事実なのだろうか?そして1月15日の再放送はその後の日経平均 <1011> はどのように推移することになるのだろうか?
下の表は、日経平均の過去データを元に天空の城ラピュタの再放送直前の終値と、再放送1カ月後と3カ月後の株価の推移となる。
# Aired Date N225 T+30 days N225 (%) T+90 days N225 (%) Interval
1 1988/04/02
2 1989/07/21 33,800 1989/08/20 35,100 3.8% 1989/10/19 35,300 4.4% 475
3 1991/05/03 26,400 1991/06/02 25,900 -1.9% 1991/08/01 24,000 -9.1% 651
4 1993/03/26 18,700 1993/04/25 19,600 4.8% 1993/06/24 19,600 4.8% 693
5 1995/03/24 15,700 1995/04/23 16,800 7.0% 1995/06/22 14,900 -5.1% 728
6 1997/03/07 18,100 1997/04/06 17,700 -2.2% 1997/06/05 20,400 12.7% 714
7 1998/12/25 13,797 1999/01/24 14,208 3.0% 1999/03/25 15,986 15.9% 658
8 2001/02/23 13,246 2001/03/25 13,862 4.7% 2001/05/24 13,895 4.9% 791
9 2003/03/14 8,002 2003/04/13 7,752 -3.1% 2003/06/12 8,918 11.4% 749
10 2004/12/24 11,365 2005/01/23 11,289 -0.7% 2005/03/24 11,745 3.3% 651
11 2007/06/15 17,971 2007/07/15 18,217 1.4% 2007/09/13 15,821 -12.0% 903
12 2009/11/20 9,497 2009/12/20 10,183 7.2% 2010/02/18 10,335 8.8% 889
13 2011/12/09 8,536 2012/01/08 8,422 -1.3% 2012/03/08 9,768 14.4% 749
14 2013/08/02 14,466 2013/09/01 13,573 -6.2% 2013/10/31 14,328 -1.0% 602
1.3% 4.1%
見てた通り、空の城ラピュタの再放送直前の終値と、再放送1カ月後の終値を比較してみると、勝率は7勝6敗となっており、1カ月後の平均上昇率は1.3%であることが判る。
また、再放送直前の終値と、再放送3カ月後の終値を比較すると、勝率は9勝4敗で、3カ月後の平均上昇率は4.1%となっていることが判る。
天空の城ラピュタは、1988年4月2日の初放送分を除くと1989年7月21日の初回再放送分から最後に再放送された2011月12月9日放送分までこれまでに13回の再放送が行われているが、この間の日経平均はバブル崩壊の余波を受けて長期的な下落傾向が続いてきたわけで、このことを考慮すると天空の城ラピュタの再放送は、むしろ相場にとってはプラスの影響を与えることが判るものとなる。
しかし、なぜ天空の城ラピュタが再放送されるとそれ以降の株価は上昇することになるのだろうか?
まず、天空の城ラピュタの再放送の日程を分析すると再放送は、最短475日、最長903日の間隔で再放送が行われていることが判る。平均再放送間隔は711日でつまり大体1年11カ月の周期で、再放送の日程が組まれていることとなる。
このことから天空の城ラピュタの再放送は日本テレビが相場の状況を見て恣意的な判断で再放送を決定しているのではなく、視聴率が稼げる優良コンテンツとして、人々の記憶が薄れかけた時をねらって(それが結果的に1年11カ月の周期になる?)再放送を行っていることが判る。
だとした場合、日経平均が長期的下落傾向を続けていた間にあっても天空の城ラピュタの再放送をきっかけにその後の株価が上昇しているという事実は、株式市場のアノマリーだと認識することができるかもしれない。
では、1月15日の再放送後の日経平均はどうなるのだろうか?これまでの再放送後の株価の動向から、第2回放送分(バブル期)と第14回放送分(安倍政権誕生による株価の戻し期)を除いた場合、再放送後1カ月の株価の騰落率は-3.1~+7.0%で、平均では1.7%の上昇に。3カ月後と比較した場合には、騰落率では-12.0~+15.9%で、平均では4.6%の上昇率となることとなる。
天空の城ラピュタが再放送されると相場は下落すると少なからぬ人は思っているが、実際のところは下がるどころか上昇する確率の方が高いのである。
とはいっても、このアノマリーのサンプリング数はわずか13件にしか過ぎず、この程度の少数集合では大きな偏差が生じることは確率統計上の誤差として考えて差し支えないのかもしれない。













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「バズーカ3」は不発、追加緩和か迷い相場乱高下
【ロイター】2015年 12月 18日 16:41 JST

[東京 18日 ロイター] - 黒田日銀が再び市場の意表を突いた「バズーカ3」は不発に終わった。上場投資信託(ETF)の新たな買い入れ枠設定など量的・質的金融緩和(QQE)の強化策を打ち出したものの、マネタリーベースの目標額は据え置き。市場は追加緩和なのかどうか迷い、日本株やドル/円JPY=EBSは乱高下した。日本経済に与える効果も疑問視され、金融政策の手詰まり感がより鮮明になってしまったとの指摘が市場で広がっている。

<「過去の記憶」で最初は買い>

10年ぶりとなる米利上げを無難に通過し、「今回の日銀決定会合は現状維持」(邦銀ストラテジスト)と決め込んでいた市場には、再び大きなサプライズとなった。黒田東彦日銀総裁が「物価の基調は改善している」との発言を繰り返していたことなどから、今回、何かあるとみていた市場関係者はほぼ皆無だった。

しかし、日銀は18日の金融政策決定会合で、年間80兆円の国債購入を柱とする従来の金融緩和の継続を決める一方で、新たなETF買い入れ枠の設定や長期国債の残存期間延長などQQEの強化策を打ち出した。

意表を突かれた市場は、まず株買い・円売り・債券買いで反応。日経平均.N225は一時500円高まで上昇、ドル/円も123円後半まで約1円上昇した。長期金利も0.265%と1月28日以来の低水準を付けた。「これまで2回のQQEで急激な株高・円安が進んだ記憶による初期反応」(大手証券・株式トレーダー)という。

日銀のQQEが市場に与えたインパクトは大きい。2013年4月4日に決定され、「バズーカ砲」と呼ばれた第1弾は日経平均を5月高値まで3867円、ドル/円を11円押し上げた。14年10月31日の第2弾の時も日経平均は1カ月強で2372円、ドル/円は12円上昇した。

<すぐに冷めた「熱狂」>

だが、今回は日本株、ドル/円ともに急速に上げ幅を縮小。日経平均の下げ幅は300円を超え1万9000円割れで取引を終えた。ドル/円も122円を割り込み、ともに強化策発表前の水準を下回ってしまった。

日銀は今回、マネタリーベースを年間約80兆円増加させる金融調節目標や、長期国債の保有残高を年間80兆円程度増加させるなど資産の買い入れ額については、これまでの方針を維持した。それゆえ「追加緩和」ではないという見方が広がっている。

黒田総裁も18日の会見で、下振れリスクに対応した追加緩和ではないとの見解を示した。

また、市場が最も「食いついた」ETFの新たな買い入れ枠の設定についても、過去に日銀が買い入れた銀行保有株式の売却の再開(2016年4月から)に伴って行うものだ。ともに3000億円ずつであり、ETFの年間3兆円という購入規模は変わらない。

いったんは、過去の記憶からポジティブ方向に反応したマーケットだったが、「株式市場にとっての影響はニュートラル」(UBS証券エクイティ・ストラテジストの大川智宏氏)で、強化策の消化が進むに従って瞬間的な「熱狂」が冷め、失望に変わった格好だ。

<「手詰まり」感じるとの声も>

市場の期待のコントロール失敗は、今月3日の欧州中央銀行(ECB)でも見られた。ドラギ総裁が追加緩和の期待を過度にあおった結果、追加緩和の内容が失望され、市場では株価が急落するなどリスクオフとなった。

日銀が打ち出した強化策は、結果的に市場に受け入れられず、日経平均は上下880円の乱高下。市場では「黒田総裁は、米利上げを成功させたイエレンFRB議長に続くことができず、ドラギECB総裁の失敗の轍を踏むことになってしまった」(外資系証券)との声も出ている。

市場の関心は、果たして追加緩和がこの先あるのかに早くも移ってきているが、シティグループ証券・チーフエコノミストの村嶋帰一氏は「わかりやすい金融緩和策によって、国民や市場の期待に働きかけようとしたのが、黒田日銀のやり方であったはずだ。しかし、今回の強化策はあまりにわかりにくい。手詰まり感さえ感じられてしまう」と話している。

日銀のETF購入新枠は、設備・人材投資に積極的に取り組んでいる企業の株式を対象にするという。もはや「非伝統的」という言葉でさえとらえにくいほどのターゲットの広がりだ。

世界で株式を購入している主要な中央銀行はない。リスクをさらに抱えることになる日銀の行方を、市場も不安を持って見つめている。

(伊賀大記 編集:田巻一彦)

黒田日銀は異次元の金融緩和、つまり量的緩和によってほぼ300兆円(正確には280兆円程度)もの日本国債を買入れた。決して量的緩和政策に反対ではないが、量的緩和だけでは経済への影響は限られる量的緩和さえ行えば日本は経済成長するという目論みは、今のところ外れている。これ以上の緩和はもはや意味が無いと私は思っている。

量的緩和のおかげで、為替は円安となり貿易収支は多少改善しているが、しかしこれを除くと、300兆円も量的緩和を行っているのにはっきりとした効果はいまだ現れていない。それどころか消費税増税や補正予算の緊縮型への転換によって、この効果さえ吹き消され日本経済はほぼゼロ成長に陥っている。

消費税増税による緊縮政策が日本の屋台骨を破壊しているという事実を認識すべきで、金融緩和より消費税増税を直ちに止めるべきと思う。
 日銀は18日の金融政策決定会合で、設備投資や賃上げに積極的な企業の株式を組み込んだ上場投資信託(ETF)を年3千億円買うことなどを柱とする量的・質的金融緩和の「補完策」を導入した。限界が見え始めた大量の資産買い入れを進めやすくして、物価2%目標の実現に向けて金融緩和を粘り強く続けられるようにする。追加緩和の余地を広げる日銀の“くせ球”に市場は惑い、日経平均株価は乱高下した。

■何のため

 「金融緩和をしっかりと継続し、物価目標の早期実現に必要と判断した場合には迅速に調整するための措置だ」


黒田総裁は記者会見で今回の措置の狙いをこう説明した。日銀は市場に大量の資金を供給するため、年80兆円のペースで市場から国債を買い入れている。ただ国債の新規発行の減少もあって、市場に出回る国債は減り続けている。「大規模な買い入れはあと2~3年で限界」との声もあるなか、日銀には限界説を払拭する必要があった。

 最近は日銀が買う年限の短い国債の不足感が強まり、マイナス金利も常態化している。このため「補完策」では日銀が買う国債の平均残存期間を7~10年から7~12年に広げ、市場の流通量に比較的余裕がある超長期債を買いやすくした。

 銀行などが資金を受け取る際に日銀に預ける適格担保の対象も広げる。100兆円を超える残高がある住宅ローン債権なども対象として、銀行が担保にするために抱え込んでいる国債を手放しやすくする。不動産投資信託(REIT)も購入の制約を緩めた。

なぜ今

 「経済・物価見通しの下振れに対応する追加緩和ではない」
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黒田総裁は今回の措置が追加緩和にはあたらないと強調した。この時期に分かりにくい「補完策」を打ち出した背景には、10年以上塩漬けになっている約3兆円の株式の売却を巡る課題がある。

 日銀は金融不安が強かった2002年11月に金融機関が保有する株式の買い入れを始めた。これらの株式は16年4月から売却する予定となっており、市場への影響をどう和らげるかが課題だ。

 今回の措置では保有株を年3000億円ずつ売る一方、新たに年3000億円の上場投資信託(ETF)を買い取る。保有株を金融緩和の対象資産であるETFに入れ替えれば、市場への影響を避けられるとの判断だ。

 「(設備投資や賃上げを)日銀としてできる限りサポートする」

 総裁は「設備・人材投資に積極的に取り組んでいる企業」の株式を組み入れたETFを買い入れ対象とした理由をこう説明した。当初はJPX日経インデックス400に連動するETFを念頭に置くが、設備投資などに着目した新型ETFをつくるように運用会社に促すという。

 日銀はすでに年3兆円のETFを買い取っており、さらに買い増せば市場の日銀頼みが行き過ぎる可能性もある。新たな仕組みに対し黒田総裁を含む6人の政策委員が賛成したが、石田浩二、木内登英、佐藤健裕の3審議委員が反対した。

 日銀は物価2%上昇を実現する上で賃金の上昇を重視しており、総裁は「来年の春闘は非常に重要だ」と指摘した。賃金交渉の本格化を前に、脱デフレに積極的に取り組んでいる姿勢をアピールする狙いもありそうだ。

 甘利明経済財政・再生相は18日に「設備投資や賃上げを促進している政府の政策にも合致したものだ」と評価した。麻生太郎財務相も「適切な判断がなされたと、私にはそう見える」と話した。

■今後は

 「追加緩和しなければならないときには、当然思い切ったことをやる」
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黒田総裁は必要があれば三たび大胆な金融緩和に打って出る姿勢を示した。今回の措置を発表した直後、市場では「日銀は戦力の逐次投入をしているのではないか」との疑念が広がった。大胆さとわかりやすさで前体制との違いを強調してきただけに、今回の措置で昔の日銀に戻ったとみられては困るというわけだ。

 市場には「日銀は必要があれば動くということが確認できた」(東京海上日動火災保険の桑山祐介氏)との評価がある一方、「対話がなく混乱につながった」(バークレイズ銀行の門田真一郎氏)との声も。技術的な制度改正を集めて1つのパッケージにみせたため、措置の狙いが分かりにくくなった面もある。

 「原油安で短期の物価上昇予想は低下している」

 では「必要な時」はいつ訪れるのか。米利上げによる米国への資金回帰もあり、足元では原油安が加速し、物価が上がりにくくなっている。日銀は1月に「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」をまとめるが、このまま原油価格が下落を続ければ、物価見通しの下方修正もありうる。

 企業や家計の先行きの物価見通しもじりじりと低下している。物価の基調を生命線とする黒田日銀にとって看過できない情勢になりつつある。

 この先、新興国経済の減速などのリスクが現実のものとなり、物価2%目標の達成がさらに遠のいた場合、黒田日銀は思い切った追加緩和に動けるのか。本気度が試される局面はそう遠くない可能性がある。
リーマンショック後の世界は総じて「緊縮財政」政策の潮流にのまれたが、いずれも誤っていた。ゆえに金融緩和とセットのアベノミクスはある程度効果があったが、消費税の増税がアベノミクスの評価を落としている。

歴史的に振り返っても、金本位制へ復帰するために採られた緊縮策はことごとく失敗した。欧州の単一通貨制度(ユーロ)は加盟国に緊縮財政を迫ったがゆえに、ギリシヤ問題などをかえって悪化させてしまっている。総じて「緊縮策」は、平和や繁栄や債務削減をもたらすのに無益である。

財政赤字を続ければ通貨が売られるのではないかと危惧する向きもあるが、財政赤字の日本は円高となり、円高を解消するために金融緩和を行ったのだ。

リーマンショック後金融緩和を行い米ドルは紙切れになると大騒ぎをしたが、まったくの安泰。米政府は莫大な債務を抱えても、ドルは依然として世界の準備通貨としての地位・を失っていない。

財政再建は社会の最下層の人々に負担を掛けるだけだが、金融緩和ももう十分だろう。富裕層への累進課税を強めて平等化を図るべきだろう。

執筆中


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米労働省が4日発表した11月の米雇用統計は、景気動向を敏感に反映する非農業部門の雇用者数が前月比で21万1000人増え、市場予想(20万人程度の増加)を上回った。雇用回復の目安とされる20万人を2カ月連続で超えたことで、米連邦準備理事会(FRB)による月内の利上げ開始の可能性が高まった。米株式相場は、米景気の先行きに対する楽観的な見方が広がったことで大幅に上昇。ただ、欧州中央銀行(ECB)が3日に決めた追加の金融緩和策が市場関係者の期待を満たす内容ではなかったことで、3日の米株式相場は大きく下げており、株式相場は値動きの荒い展開となっている。国内市場関係者の見方を聞いた。

円一段安なら日経平均は来年2万5000円も」
門司総一郎・大和住銀投信投資顧問経済調査部部長

4日に発表された11月の米雇用統計が改善し、米景気の先行きに対する楽観的な見方が改めて広がった。同日の米株式相場は急反発しており、市場では12月利上げが織り込まれた。今後は利上げ開始後のペースや、メキシコやカナダなど米国と地理的に近い国に利上げが波及するかどうかが焦点になる。FRBの利上げペースは四半期に1度、0.25%ずつの上昇と予測する。

今回は米国の景気拡大に伴う利上げのため、日本株にはプラスとみている。現在の為替水準が利上げ開始時点までしか織り込んでいないとすれば、今後125円程度まで円安が進む可能性がある。そうなれば、自動車など輸出株がけん引する形で日本株も上昇するだろう。来年の高値は2万5000円と想定している。

一方、新興国経済など米利上げに伴うマイナスの影響が想定以上に大きく、世界的な景気減速が顕著になった場合は、日本株にも売りが波及することもあり得る。

「不透明感解消で株高基調強める」
田部井美彦・内藤証券投資調査部長

3日までに米サプライマネジメント協会(ISM)が発表した11月の製造業、非製造業の景況感指数が市場予想を下回っていたことから懸念された米景気の足取りだが、回復が鮮明になった。個人消費を中心に米景気は力強い。さらに雇用情勢の改善が進んだことで消費は今後も堅調に推移するだろう。米連邦公開市場委員会(FOMC)での12月の米利上げ決定はほぼ確実だろう。

米金融政策の先行き不透明感が解消された形で、米株式市場にとっても前向きな材料となる。日本株も前週末に大幅に下げたが、今回の米雇用統計の結果を受け今週以降、買い戻しの動きが強まるだろう。高値警戒感も強いが、米金融政策の先行きの不透明感が後退した結果、日本株は上昇基調を強め、年末にかけて日経平均株価は2万0500円を試す展開になるとみている。

「米利上げ、来年も2~3回との見方なら円125円台も」
村田雅志・ブラウン・ブラザーズ・ハリマン外国為替部通貨ストラテジスト

11月の米雇用統計の強さを材料に、外国為替市場では円売り・ドル買いが進みそうだ。FRBが15~16日に開くFOMCで利上げに踏み切る可能性は高まった。FRBの2016年の利上げが2~3回との見方が広がれば、年内に125円台まで円安・ドル高が進む公算が大きい。

市場関係者の関心は、次のFOMCでの利上げの有無ではなく、利上げ幅とその後の利上げペースに移っている。最初の利上げの幅は0.25%との予想が多い。FOMC後の記者会見でイエレン議長が今後の利上げのペースについてどのように言及するかも注目点だ。

「米利上げペース緩やかなら、国内金利の上昇圧力高まらず」
鈴木誠・岡三証券債券シニア・ストラテジスト

FRBが15~16日のFOMCで利上げを決める可能性が高まった。4日の米国の長期金利は、雇用統計の発表直後に上昇したが、結局は低下した。米国の物価上昇予想は強まっていないため、FRBの利上げペースは緩やかになるとの見方が多いことが金利上昇を抑えた。

市場では政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利は2016年末に1%程度に引き上げられるとの予想が多い。この程度のペースなら、国内金利の上昇圧力は高まらないだろう。日銀の追加緩和期待は残っており、債券需給も引き締まっている。もっとも、0.3%台前半にある現在の長期金利は低く、相場の高値警戒感は根強いため債券買いの余地もあまりない。米利上げの確度は高まったとはいえ、FOMCの結果を待ちたいとの雰囲気もある。目先の債券相場は高値圏でもみ合いとなりそうだ。

〔日経QUICKニュース(NQN) 依田翼、佐々木たくみ、白山雅弘、末藤加恵〕

上の日経紙の記事に出ている市場関係者は私よりちょっと楽観的に思える。私も日経平均は21000~22000円までは十分あると思うが、25000円をトライするのには、それだけの材料があるのか疑問だ。むしろ中国、欧州、新興国などで予想を超えるリスクが生じればあっというまに15000円ぐらいまでは直ぐに落ちてしまう。突発的な事件が起きなかったとしても、消費税の引き上げを延期もしくは中止しない限り2017年景気の後退は避けられず2016年後半相場は厳しくなると思うので難しいと思う。

米労働省が12月4日発表した11月の雇用統計は、非農業部門の就業者数は21万1千人増で、市場予想の20万人を上回った。上方修正された10月の上げ幅(29万8千人)に比べて伸びは鈍化したが、2カ月連続で20万人の大台を超えた。9月の就業者数も上方修正された。失業率は10月と同じ5.0%。市場予想とも一致し、引き続き低水準を維持した。
 労働市場の堅調な改善が示されたことで、米連邦準備制度理事会(FRB)が15、16の両日に開くFOMCで9年半ぶりの利上げが決まる公算が大きくなった。


今年の世界経済は比較的リスクが高くないと思っていた。だが、ギリシャ危機に始まり中国の人民元切り下げや中国の株バブル崩壊、欧州の難民問題、トルコによるロシア機撃墜など2016年は世界中にリスクが溢れている!そして遂に米国が利上げを行う。中国や新興国の経済は大きな危機も発生する可能性がある。2016年は予期せぬ経済危機も発生することも覚悟しなくてはならない。

特に、中国経済については、中国経済専門のアナリススト達はは最悪は過ぎたと宣伝するが、私にはSDRに採用されても2016年は事態が深刻化するようにしか見えない。

天才イアンブレマーは中国が世界で唯一世界戦略を練って一手一手駒を進めているという。だが私の眼には現在世界経済は米国(FRB)の思うように動かされているとしか思えない。

2008年に発生したリーマンショックは米国中心の世界経済が終焉を迎えドルが紙切れになるといったトンデモ本が本屋で平積みされていた。(私がブログに書いていたことがどれだけ正しかったか・・・・自慢)

米国経済は先般発表された予想通りに好調に推移している。米国は2013年QE3政策を終了させた。利上げをすれば、新興国、中国そして欧州が経済危機的な状況に陥るという理由で利上げタイミングを延ばし延ばしにしてきたが、米国の覇権を脅かそうとした欧州と中国経済は悪化した。いいかげん世界はどうせなら早く利上げしてほしいという雰囲気になるまで待った。これは米国が作為的に世界経済を掌握している証拠だと思う。

そしてFRBは12月15日-16日に開くFOMCで9年半ぶりの利上げに踏み切るだろう。中国とロシアについては軍事的に米国の意のままに動かすことができないが、世界の実体経済は米国の手の中にある。利上げに踏み切った後も次の利上げのタイミングや幅で米国は世界経済を動かしてくるだろう。

当時からリーマンショックは自作自演と疑っていた(仮説:金融危機自作自演説
が、少なくとも結果としてリーマンショックは米国にとって経済構造を金融と消費だけの構造から製造業を復活させるショック療法となって、米国は復活したと思う。

今回の雇用統計では失業率が5%とリーマン危機前の水準に戻り、完全雇用に近づいた。米国の雇用者数はりーマンショック後の1年間で、およそ700万人が失われたが、その後の景気回復局面で1200万人以上が新たに職を得たので差し引き500万人以上が新たに職についたことになる。米国があと120年覇権を握るには製造業の復活失くして覇権はありえない。

ケインズ経済学では考えられなかった量的拡大策を行えばドルが暴落して世界経済がインフレになると危機を煽った馬鹿経済学者や三文文士達の本が100円でも売れず古本屋の棚に曝されている。(笑)

だから日本の御用経済学者が財務省の政策を追認しマスコミが宣伝する財政再建政策は間違っている。日本では1980年代末、土地・不動産のバブルを消滅させるために日銀は金融政策で引き締めを行い、金利をあげ資金の供給量を抑えた。これにより土地不動産のバブルを長期化させてしまい、その後15-20年間、長期デフレーションの不況を引き起してしまった。

米国が日本の二の舞だけは避けようとしてとったのが、量的緩和政策である。アベノミクスは失敗であると宣伝している学者たちは安倍総理に文句を言えるだけの資格はない。だが、安倍総理は消費税を10%に引き上げるべきではない。引き上げれば日本経済はまた失速するだろう。

さて、12月に利上げを行った場合過去の利上げ時と同様、短期間で2.0-3.0%利上げするのかという点に注目が集まる。私は利上げの角度も幅も低く抑えられると思っている。せいぜい最大限で1%程度だろう。

現状は米国が利上げするというのに世界の金利は上がる気配はない。原油価格も上がる気配は全く感じられず、来年は現状よりも更に下がり、先のOPEC総会でも現状の30-40ドル台は当たり前で20ドル台定着が中東原油国では定説になっているようだ。米国の原油会社でシェール原油を本格的に採掘すれば1バレル10ドル台と言われている。原油がその様な状況であればその他の物価も上がることにはならず、来年に入れば世界の物価は必ず下がるとみている。物価が上がらず1バレル20ドル台の真中あたりに下がり、中国も鉱物などを買い増す力はないの物価は上がらない。

中国では「一人っ子政策」の長期化による若者の高齢化が進んだ上に、米国の製造企業は2-3年前、中国国内の賃金高騰の際に中国の若者の給与を倍増して
「脱中国」を実施した。それ以来、中国の若者の給与は上がり続けている。
これも米国の対中国政策の経済的な政策である。これにより世界の生産工場と言われる製造業の拠点に陰りが見えている。

日本から5-7年前に中国の安い若者の労働者を雇うために日本の製造工場を潰して中国に移転した企業は中国の若い安い労働力を使っていた。だが、現状は中国の労働者の給与が高く製品の採算が合わず、中国の製造工場を潰しすべて日本に工場を移動させているため、大企業や中小企業は日本の労働力を求めている。

こういった背景から日本の労働人件費は高くなってきている。米国は5年前からこうしたことが起こることを予期して米国の製造業を国内回帰をさせている。米国でここ7-8年前から製造業が復活したのも、政治的な対抗面を考えての行動である。日本も学ばなければならない。

中国は二人っ子政策に切り替えてもその子供達が働き手となるには15-20年かかるが、少子化は止まらないだろう。人口動態からしても中国は日本と同じく人口オーナス期避けられないデフレ経済に真っ逆さまに墜ちる可能性がきわめて高い。

中国の経済状況は大きくなってもなお、日本が作ったトランジスターラジオや家庭用VTR,,ウォークマン、カラオケマシーンetcといった世界を変えるような新製品を何一つ作り出していない。さらに品質の向上もなされていない。例えば中国製の炊飯器の性能は実は日本製と遜色がない。でも、何故中国人が爆買いするのか?

米を炊く釜を買っても外観は日本製の商品と同じでも中国商品は日本製品の1/3の期間で故障が発生するのだという。結果として安物買の銭失いなのだそうだ。

 ECBは12月3日の理事会で追加緩和策を決定したが毎月の債券の買入れ額は据え置 かれ増額を見込んだ市場の失望を呼んだ。 ECBは10月に打ち上げたドラギ総裁が言っていた緩和策とはほど遠い量的金融緩和となり、失望感に満ち溢れたものとなってしまった

12月3日当日ドイツ連邦銀行のワイトマン総裁ら北部欧州勢が緩和に猛反発した。 ギリシヤの欧州経済危機でもそうであったが経済の好調なドイツの存在は欧州の統合を危うくさせている。ドイツのおかげで話がまとまらず欧州危機を悪化させたケースは枚挙にいとまがない。 ドイツの反対で欧州危機は長引いてしまった。

亀岡裕次大和証券 チーフ為替アナリスト

[東京 27日] - 各国金融政策の違いで為替相場の見通しが立てられることがある。確かに金融政策は金利変化を通じて為替を変動させる要因だが、中銀が金融引き締めをしている国の通貨がいつも上昇し、金融緩和をしている国の通貨がいつも下落するとは限らない。

為替には、短期金利だけでなく、先行きの金利見通しを反映する長期金利や市場のリスク許容度などが深く関わっているからだ。

海外に目を向ければ、欧州中央銀行(ECB)の追加緩和と米連邦準備理事会(FRB)の利上げが近づいているとみられるが、その通りに金融政策が実行された場合、為替相場はどうなるのだろうか。2004年にFRBが利上げを開始した局面での市場・経済動向と今回を比較しながら、今後の展開を考えてみたい。

<米株価がドル円を左右、FRBの利上げペースにも影響>

まず、米国金利と為替の関係について振り返る。前回の景気拡大局面(01年11月―07年12月、73カ月間)では、FRBは04年6月30日に最初の利上げを行った。

利上げ期待の高まりとともに米金利は4月から上昇したが、米10年国債金利は5月14日の4.90%、米2年国債金利は6月8日の3.10%を高値に低下基調に転じ、ドル円も5月14日の114.9円を高値に低下基調となった。つまり、利上げ開始の約1カ月半前に米10年国債金利やドル円がピークアウトしたのだ。

米2年国債金利は利上げに連動するように再び上昇していく一方で、米10年国債金利は低下基調が続いたが、利回り曲線のフラット化が緩和して10年国債金利が上昇基調に転じた後の05年10月(利上げ開始から16カ月後)に、ようやくドル円は114.9円の高値を超えた。

06年6月にかけて2年物や10年物の米国債金利はともにフェデラルファンド(FF)金利の高値5.25%と同程度まで上昇するなか、ドル円は05年12月に121.4円の高値をつけた。結果的に10年などの米長期金利動向がドル円を左右した。

今回も同様のことが言えそうだ。米2年国債金利は11月6日に0.96%の高値をつけ、現在もその近辺にある。一方、米10年国債金利は同日に6月高値よりも低い2.37%まで上昇後、2.22%へと反落している。そして、ドル円の動きは10年国債金利と似ている。短期の米金利は利上げ過程で上昇しやすいが、それだけでドル円が上昇するとは限らない。景気が好転して市場が織り込むFRBの利上げペースが高まらないと、長期の米金利は上昇せず、ドル高・円安は進行しにくいだろう。

次に、リスク許容度を反映する株価と為替の関係を振り返る。米利上げ開始前後の米株価とドル円の動きに順相関(リスクオンで円安、リスクオフで円高)は認め難く、ドル高・米株安、ドル安・米株高という逆相関のケースが比較的多くみられた。世界景気拡大を背景とするリスク選好がドル売り・高金利通貨買いを招き、株高時のドル高・円安の進行を抑える一因となった。

また、米本国投資法が04年10―12月のドル安、05年のドル高に寄与し、株価に影響した面もあった。ただし、長期的には景気拡大で株高が続く状況だったことが利上げ継続を可能にし、最終的に利上げ前よりもドル高・円安を進める要因になったとも考えられる。

今回は、米株価とドル円が明らかに順相関だ。世界的に景気が減速するなかで比較的景気が好調な米国のドルが買われやすい傾向にあるが、そうした状況下で株高時にドル高・円安、株安時にドル安・円高が進みやすいことがわかる。ドル円の動向は、株価動向にもかかっているのだ。

利上げしても株価が上昇するようなら利上げは進みやすく、米長期金利とドル円は上昇しやすい。逆に利上げすると株価が下落するようなら利上げは進みにくく、米長期金利とドル円は下落しやすい。どちらになるかは、景気動向と株価のバリュエーションがカギを握ろう。

<株高抑制で米長期金利とドル円も上昇しにくい>

米国の製造業は、新興国を中心とする世界景気減速の影響をすでに受けている。米供給管理協会(ISM)の製造業購買担当者指数(PMI)は10月に50.1まで低下し、拡大・縮小の分岐水準に接近した。マークイット発表の米製造業PMIは10月に改善したが、11月は再び悪化して13年10月以来の低水準となった。これは、ドル高による米製造業の競争力低下だけが原因ではなく、世界的な需要減退の影響を受けているからだ。

米製造業PMIとの相関が高い経済協力開発機構(OECD)加盟国と主要新興6カ国の景気先行指数は、長期トレンド(=100)を大幅に下回り、悪化が続いている。米製造業の景況感は悪化傾向が続く可能性が高い。

外需不振でも米景気が堅調に推移してきた理由は、個人消費を中心に内需が成長を支えてきたからだ。製造業PMIが悪化する一方で、非製造業PMIは堅調に推移してきた。だが、個人消費にも資産効果の面で不安要素がある。米国の住宅価格と株価を加重平均した資産価格の3年移動平均乖離(かいり)率はプラス幅が縮小しており、消費者センチメントが今年に入って悪化した一因とみなせる。資産効果がさらに減退すると米消費者は財布のひもを締めるようになり、米景気減速の引き金になりかねない。株価動向が米景気を左右する要因となるだろう。

株価のバリュエーションは株価動向を左右する一因となる。米10年国債金利からS&P500種株式益回りを差し引いたイールドスプレッドはリーマン危機前よりも低い。これは、米国の潜在成長率とともに期待成長率が低下したこと、世界経済の成長が鈍化してリスクプレミアムが上昇したことが原因だ。イールドスプレッドが13年以降の高値を更新して上昇する可能性は低いだろうし、長期金利が大きく低下しない限り、株式益回りの低下余地、つまり株価収益率(PER)の上昇余地は小さいことになる。

それでも1株当たり利益(EPS)が増加すれば株価の上昇余地は生まれるが、米国企業の予想EPSはドル高や世界景気減速の影響を受けて減少傾向にある。つまりは当面、米株価の上昇余地は限定的で、資産効果の減退が続く可能性が高い。雇用は増えても個人消費が減速するリスクがある。利上げしても株価上昇と景気回復が進み、利上げも続いて米長期金利とドル円が上昇するという展開にはなりにくいだろう。

なお、09年6月に始まった米景気拡大期間は15年12月で78カ月となるが、戦後11回の平均は58カ月、1975年以降5回の平均は71カ月、82年以降3回の平均は95カ月である。

<インフレ期待低迷も米金利とドル円の上昇を抑制>

米国のインフレリスクが高まって長期金利とドルを押し上げる可能性も低い。FRBが12月に利上げする場合、その理由は労働需給の引き締まりから賃金上昇を通じたインフレが広がるリスクを抑えようとするものだろう。ただし、14年半ば以降、ドル高(実効為替上昇)と商品安が米国の期待インフレ率と現実のインフレ率を低迷させてきた。2003―06年とは状況が大きく異なる。

仮に米景気が減速して株価や長期金利が下がっても、リスクオフのドル買い・高金利通貨売りからドルの実効為替は下落しにくいだろう。また、世界景気減速が引き続き商品安に作用しやすい。米国のインフレ期待が低迷した状況は続き、名目・実質金利の上昇は進みにくく、ドル円も上昇しにくいとみられる。







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投資の神様ジム・ロジャーズ「金融危機の爆発は近い」「私は日本株をすべて投げ売った」
このまま第二のリーマンショックに突入か?
現代ビジネス 週刊現代経済の死角2015年09月14日(月) 週刊現代

世界はカネをじゃぶじゃぶと刷りまくることで熱狂相場を演じてきたが、そんな宴が長く続くはずもない。終わる時は、より劇的に散る。長く続いた大相場。そのフィナーレの「売り場」が幕開ける。

中国はもう終わり
ジョージ・ソロス氏、ウォーレン・バフェット氏と並ぶ、世界の三大投資家の一人として知られるジム・ロジャーズ氏が中国・南京の金陵ホテルに現れたのは、世界中の株式市場が暴落劇におののいていた8月末のことだった。

ロジャーズ氏は現在72歳だが、いまも現役バリバリの投資家。世界中のマーケットの先端情報をかき集めては、株から債券、商品にまで投資して、巨額のリターン(儲け)を稼ぎ続けている。株式市場の「リビング・レジェンド(生きる伝説)」と言われる所以である。

そんな精力的なロジャーズ氏が美女を連れてこの南京のホテルに姿を見せたのは、中国の経済誌『価値線』のインタビューに応じるためだった。

そこで氏が語った内容は衝撃的だった。

「私が思うに、世界の金融危機がそろそろ爆発しそうだ。早ければ今年の秋にも爆発する可能性がある」

「私はもう米国にはなにも投資はしていない。すでに米国の株価は史上最高値を通り越してしまったのだから」

「私は日本株も投げ売った。金融危機の爆発が間近に迫っているということだ。みなさんも気をつけたほうがいい」

ロジャーズ氏の不気味な予言をなぞるかのように、世界の株式市場は9月に入ってからも一向に落ち着く気配を見せない。

というより、米国でも中国でも日本でも株価暴落が止まらず、まさにロジャーズ氏が語る「金融危機の爆発」に向けて、崖を滑り落ちているかのような様相を呈してきた。

「現在の世界的な株価下落は、世界経済が下降トレンド入りしていることを示しています。

中国依存の世界経済の脆さが露呈したと言ってもいいですが、そもそも中国経済の変調はいまに始まったことではない。米欧日など先進各国はなりふり構わぬ金融緩和策を打ち出すことで誤魔化してきたが、その誤魔化しが効かなくなってきたのです。

日本では、どんな悪材料が出ても日本銀行と年金マネーが株を買ってくれるから日経平均株価は2万円を割らないというムードもありましたが、この幻想もついに崩れました。ここからは日経平均が1万6000円台という事態も想定しておくべきでしょう」(RPテック代表の倉都康行氏)

2008年秋にリーマン・ショックが世界を襲った際には、成長著しかった中国が4兆元(約56兆円)という巨額のバラマキを発動し、世界経済の救世主となった。しかし、いま中国にその役割を再び期待することはできない。

中国政府はいまも7%という高いGDP成長率を保っていると喧伝するが、その統計数値が「真実」かどうかは疑わしい。中には、3%以下の成長率にまで落ちているとの指摘すらある。元財務官僚で嘉悦大学教授の高橋洋一氏も言う。

「輸出入統計というのは相手国のデータもあるので、信頼できる。これを見ると、今年1-7月の中国の輸入は同年前期比で約14%も激減しています。

こういう状況で、成長率7%が保てるわけがなく、GDPはマイナス成長になっていてもおかしくない。私は中国経済の減速が、リーマン・ショック後の米国と同じ程度に深刻になっていると見ています」

フラッシュ・クラッシュ
中国政府は財政出動や金融緩和といった「政策の余地」を持っているので、それを打ち出せば、景気はすぐに息を吹き返すとの期待感もある。が、「それは無理でしょう」と日本総研副理事長の湯元健治氏は語る。

「中国企業が弱っているところに金融緩和をしても、設備投資が増える流れにはなりにくい。財政出動にしても、すでに過剰投資で不良債権が大量に積み上がっているので、バブルを助長させるだけです。

株式市場を見ても、中国政府がなりふり構わぬ株価押し上げ策をやっていますが、株価は下げ止まらない。むしろ株で損をした個人や、財テクに走っていた企業が消費を控えるようになり、景気の足を引っ張り出しています」

中国という牽引役を失って、共倒れするように足元から崩れ落ち始めている世界経済を、虎視眈々と眺めているのが百戦錬磨の投機筋たちだ。

いま市場関係者の間で盛んに語られているキーワードに、「フラッシュ・クラッシュ」がある。

この言葉、ご存じだろうか。最初に使われたのは、2010年5月6日のこと。

この日、米ニューヨーク証券取引所では株価がほんの10分間に998ドルも下げる一大騒動が勃発した。

株価が文字通り「瞬時」に消えてなくなったかのような暴落劇。それが21世紀の新型株式暴落として、「フラッシュ・クラッシュ(瞬間的暴落)」と名付けられた。

今年8月半ばからの世界的株価暴落劇では、まさにこのフラッシュ・クラッシュ現象が出現した。

顕著だったのは8月24日のニューヨーク市場。ほんの数分で1000ドルも株価が暴落する、電光石火のフラッシュ・クラッシュであった。

「仕掛け人は、1000分の1秒単位の超高速で株取引をする投機筋。複雑で高度なプログラムを組み込んだコンピューターを駆使して売買するので、人力では対抗しようがない。それがいま、全世界的に仕掛けに入った」と、ファンドマネージャー歴20年以上のベテラン証券マンは言う。

「日本の株式市場も例外ではありません。というより、日本の株式市場は東京証券取引所が投資家に高速売買を促進しているので、むしろ投機筋が最も相場を動かしやすい状況になっています。

さらに、投機筋たちは今回の暴落相場を演出したことで、『俺たちは市場を思い通りに動かせる』と自信を深めている。より大きな果実を狙って、次を仕掛けようとしている。特に株価を一気に下げるほうが投機筋の儲けは大きくなる。次は日経平均を1万5000円くらいまで落としてくることもありうる」

金融危機を手招きする投機筋たちの暗い影が、世界のマーケット全体を黒く覆い始めたのだ。

リーマン前に酷似してきた
「リーマン・ショック前に状況が似てきました」

ミョウジョウ・アセット・マネジメント代表の菊池真氏はそんな不気味な状況認識を語る。

「現在の日本株の下落ぶりは、リーマン・ショック前、'07年8月の下げと酷似しています。

ともに、高値からの突然の急落。値下げの幅も、15%くらいで、ほとんど同じ。8月、という共通点もある。主力株がほぼすべて売られたという点でも同じです。

'07年8月当時は、景気後退のピークアウトを株式市場がまっさきに織り込んだ相場でした。過去を振り返っても、株価は一番の先行指標となる。企業業績がピークアウトし、景気が本格的に低迷し始めるより、少なくとも半年前に株価が反応する。今回も同じように、これから企業業績や景気が悪化していくことの暗示となっているように思います」

株価とは、言うまでもなく、企業の未来の成長性を反映した指標である。成長が望めないのであれば、株価は下落する。

しかも、企業の没落や景気の失速に先んじて、株価は動き出す。

冒頭でジム・ロジャーズ氏が株を売ったと言ったのも、投機筋が売りを仕掛けているのも、これからの世界の未来に「絶望」を見ているからにほかならない。

「世界の機関投資家が株の持ち分を減らし始めています。日本株を例にとれば、8月中旬くらいまでの株価調整局面では、景気敏感型の輸出セクターを売って、代わりに内需株を買うという『銘柄入れ替え』が起きていた。しかし、いま起きているのは、どんな株でもとにかく持っている銘柄を投げ売ってしまうというものです。

中長期的な機関投資家はこうした資産配分の変更を数年タームで決定するものなので、この方向性はそう簡単には元に戻りません。

さらに、株価が下がり、競合他社が同じように資産配分を減らし始めたら、右にならえでやるというのが業界の鉄則。その分、これから株を売る機関投資家はどんどん増えていくことになる。

日本株はここから一時的に2万円手前まで戻ったとしても、そこからはズルズルと安値を切り下げていく展開になるでしょう」(前出・菊池氏)

悪夢は「日本発」
世界はこのまま第二のリーマン・ショックに突き進んでいくしか道はないのか。それを回避できる道はもう残されていないのか。

実はそのキー(鍵)となる一大イベントが、米国で9月16~17日に待ち構えている。

世界中の投資家がその日に注目していると言っても過言ではない。

米国の中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)が長く続けてきた金融緩和策を止めるのか、つまりは利上げをするかどうかを決定する会合(FOMC)が開催されるのである。

BNPパリバ証券日本株チーフストラテジストの丸山俊氏が言う。

「世界最大の経済大国である米国が堅調であれば、たとえ中国がマイナス成長になっても、世界経済を牽引できる可能性があります。そこでポイントとなるのが利上げです。

利上げができるというのは、米国経済が堅調な証拠でそれはいいことです。が、現在のように株式市場に動揺が広がっているときに断行すると、世界全体にショックが広がる可能性がある。

つまり、このFOMCでは、米国経済の堅調さを示す統計が出てきた上、それでもなお米国が今回は利上げを見送るというのがベストシナリオとなります」

SMBC日興証券シニアエコノミストの渡辺浩志氏も指摘する。

「米国が利上げをすれば、新興国などからマネーが引き上げられる懸念がある。中国不安がある中では世界経済の状況を悪化させるわけで、その意味でも米国が利上げを見送ったほうが、株式市場には好感される」

しかし、利上げ先送りが確認できたとしても、それで安泰とはいえない。東短リサーチ代表の加藤出氏が指摘する。

「よく見るべきは、FOMCのメンバーが政策決定と同時に発表する経済見通しです。成長率やインフレ率の予想を発表するのですが、これが想定より下振れた数値だった場合は注意が必要です」

米国の足元が弱ければ、世界経済の牽引役の不在が確認されてしまうからで、それは投機筋にとっては格好の売り材料になりかねないからだ。「さらに」と、加藤氏が続ける。

「今回は利上げを避けるとしても、米国の利上げが遅れることになれば、日本では日銀への追加緩和期待が高まるでしょう。利上げを先送るほどに、日本では円高が進む可能性があるからです。

しかし、日本経済はすでにアベノミクスの限界に直面していて、追加緩和で円安をふかしても、中間所得層が打撃を受けるだけ。さらに、世界から通貨安誘導の反発も買いかねない」

そうした日銀の動きを今度は投機筋が材料視して、売り浴びせが起きる可能性もあるというわけだ。

FOMCの内容が明らかになるのは、日本時間の9月18日午前3時。そこから世界で最初に開くのは、奇しくも日本の株式市場だ。

もし最悪の事態が幕開けするのならば、それはこの日、「日本発」で引き起こされることになるのかもしれない。

そのときわれわれの目の前に広がるのは、なすすべもなく世界同時多発的に「瞬間的暴落」が勃発して止まらないという、おぞましく震撼するような光景となるのだろう。

「週刊現代」2015年9月19日号より
まあ、確かにFRBが9月に利上げをすれば暴落するだろうね!
でも、曲り屋」ジムロジャースが「私は日本株をすべて投げ売った」と言っていますので、二番底が近いということでしょうね。

だって、

2015年8月5日(現代ビジネス):ジム・ロジャーズ「日経平均は3万円まで上がる。私も日本株を買い増したばかりだ。ただし…」

 私はいまも日本株を買い増しています。日経平均は3万円まで上がると述べましたが、それどころか、過去最高の4万円の大台に乗る可能性すらあると考えているのです。アベノミクスは、私のような投資家には最高の政策ですよ。

 安倍晋三総理がやっているのは、つまるところ紙幣を刷って刷って、金融緩和と財政出動を続けること。そのカネを得られた人はとてもハッピーです。とりわけ喜んでいるのは、ストックブローカー(株式仲買人)と、私たち投資家です。

 アベノミクスによる円安が、一体誰を幸せにしているのか考えたほうが良い。'13年以降の極端な円安誘導によって、円の価値はドルに対して半分になってしまいました。

 自らの通貨の価値を下げる政策は、かならずしっぺ返しを喰らいます。結局、一部の大企業や投資家に利益のあることをしているだけ。日本そのものは破滅に向かっているのです。
そして

中国株式市場暴落 ロジャーズ氏は上海証券取引所上場株を買い増し中国網 2015-07-09 15:31:09 

最近、中国株式市場が暴落している。世界著名投資家のロジャーズ氏は水曜日、香港フェニックステレビの電話による独占インタビューに応じた際に、中国株への自信を示した。ロジャーズ氏は現時点で中国株を保有していた中国株を手放しておらず、むしろ8日より上海証券取引所上場の株を買い増ししているという。

ロジャーズ氏は、「中国株を手放したことはなく、今日複数の中国株を購入した。(今日ですか、という質問に対して)そう、今日だ。私は買い増しを指示しており、下落が続けばさらに増やすだろう」と述べた。

上海総合指数は3週間で約32%下落した。ロジャーズ氏は底打ちの時期について、「間もなく底を打つ。それからゆるやかに上昇するだろう。今日すでにそこを打ったかもしれない」と話した。

ロジャーズ氏は5月末にフェニックステレビのインタビューに応じた際に、中国の株価が急騰しており、大幅な調整により落ち着きを取り戻し、市場の基礎を固めることになると強調していた。しかしロジャーズ氏は、今回の下落幅に驚いているという。ロジャーズ氏は、真の強気相場は恐怖の壁を乗り越えた上で築かれると強調した。

「そう、私が予想したよりも急激な下落だ。当然ながら私は、市場は調整により落ち着きを取り戻すと予想していた。強気相場は、恐怖の壁を乗り越えた上で築かれるという格言がある。誰もが一定の恐怖心を持たなければ、株価が上昇しない。誰もが自信満々で、何も問題がないと信じているならば、それは本当に問題ありだ。しかし市場が底値に達すれば、より理性的かつ緩やかな形で上昇していくだろう」

「中国網日本語版(チャイナネット)」2015年7月9日
大爆笑だね!こいつどれだけ損しているのか?
>ジョージ・ソロス氏、ウォーレン・バフェット氏と並ぶ、世界の三大投資家
もはや、盟友ジョージソロス、神様バフェットと同列にしては他の二人に申し訳ない、
ジムロジャースは中国に絡んで以降まったく当たっていない
wikiにもまったく当たらないジムロジャースの実績が書かれている。

商品市場
1990年代から商品市場が強気相場になることを予想するとともに投資を実践し、21世紀初めの商品相場の高騰を的確に捉えたかに見えた。原油相場が100ドル(NYMEX:WTI先物)を超えた後も、大型油田の発見が無いことをもとに強気相場の終焉を否定していた。しかしサブプライムバブル時の乱高下後、原油相場は5年以上に渡って100ドル前後を越えられず、2014年後半からは暴落を始め、2015年初頭には半値の50ドルを割り込んだ。
2008年に発生した未曾有の金融危機の際にも、ファンダメンタルズが損なわれていないとして商品投資を奨めていたが、その後5年間の商品の反発(+50%)は世界株(+150%)に比べて大きく劣後している。
2004年には「商品の時代」(邦題)という本を出版し、これから10年の投資戦略と銘打って「株の時代は終わり商品の時代だ」と主張し続けていた。しかしその後2013年までの10年間で世界株は2倍になったのに対して、商品のリターンはほぼゼロであった。
中国市場
中華人民共和国の株式市場の将来性を高く評価して、積極的に中国株投資を行っていた。「19世紀はイギリスの時代、20世紀はアメリカの時代、21世紀は中国の時代」と評して、中国に関する著書("A Bull in China")も発刊している。インドへの投資には懐疑的な見方をたびたび表明して、中国への投資が有望と一貫して主張し続けている。娘には中国語(北京官話)を学ばせている。
2007年1月26日上海総合指数が2,800まで上昇すると中国株式市場のバブルを主張したが、その後上海総合指数が4,000になると前述の発言を否定した。そして上海総合指数が6,000近くになると中国株に楽観的な考えを表明し、2007年10月には中国株式市場のバブル崩壊にもかかわらず中国株の長期投資を表明した。しかし、実際は2007年7月保有株が4倍になった時点で売り抜けていたと、中国で指摘された。
2009年7月に上海総合指数が3,300まで反発すると、株価上昇はファンダメンタルズに対して行き過ぎているとの見解を示すとともに、(上海総合指数が1,700から2,300で推移していた)2008年10月の購入以来、中国株は買っていないと述べた。
なお、自身の中国株投資の運用成績は公表していない。
米ドル
米国経済の破綻によって米ドルは暴落すると主張し続けている。自身は米ドル建て資産の処分と中華人民共和国の通貨である人民元の将来性を表明している。しかしドルの総合的な強さを表すドルインデックスは、その当時(2007年10月)の76から、7年後(2014年10月)には86に上昇している。


いや~本気で彼が自分の金を運用しているのなら間違いなく破産しているだろう。
彼は週刊現代の原稿料と中国からの顧問料で生計を立てているのかも知らん(笑)



執筆中



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[東京 24日 ロイター] - 世界的な株安連鎖が止まらない。中国株が大幅続落となり、パニック的な投げ売りがアジア市場で拡大、日本株にも波及している。日本株は企業業績などの面で相対的な優位性があるとされていたが、リスクオフの円高が一段と進行し外需が大きく減速すれば、影響は免れない。

当面は中国の政策対応などを見守る展開となりそうだ。

<「抱き合わせ」の日本株売り>

日経平均.N225は過去4営業日で約2000円下げたが、それでも昨年末からは6.2%高の水準にある。前週末時点で比べても、米ダウ.DJIはマイナス8.4%、ドイツDAX指数は3.2%高とかろうじてプラスだが、日経平均は11.3%高だった。

パニック的な株の投げ売りが世界的に広がる中、パフォーマンスが良い株を残すという選択肢もあるが、「市場がリスクオフ状態に転じれば、どの株もいったん売るのがセオリー。ポートフォリオのバランスをとるためだ」と三菱UFJモルガン・スタンレー証券・投資情報部長の藤戸則弘氏は指摘する。

週明け24日の日経平均は895円安(4.61%)となり、韓国株(2.47%)などを大きく上回り、台湾株(4.84%)や香港株(5.17%)に匹敵する下落率となった。「利益が依然として乗っている日本株を抱き合わせで売る動きが、グローバルマクロ系などのヘッジファンドから出た」(外資系証券トレーダー)という。

「海外投資家は中国株の売買に制限があるため、日本株を代替商品として売買することもある」(外資系アセットマネジメント)という。上海総合指数.SSECは24日の市場で一時9%安まで下落。「代替商品」としての売りも日本株に波及した可能性があるとみられている。

<長期投資家には期待感も>

長期資金を運用する投資家の日本株に対する評価が大きく崩れたわけではないようだ。実際、日経平均は朝の売りが一巡した後、1万9000円を一時回復する場面があった。市場では「国内、海外の長期資金が押し目買いを入れた」(大手証券トレーダー)との声が出ている。

「1ドル120円をキープできれば、今期2ケタの増益は十分期待できる。ROEが改善していることも株高材料。ROEが2割上昇すれば、単純計算で株価も2割上昇する。数年後には日経平均で2万3000円─2万5000円が視界に入る」とニッセイ基礎研究所チーフ株式ストラテジストの井出真吾氏は強気だ。

日本株の相対的な株高は、市場の期待感の裏返しでもある。4─6月期の日本上場企業の業績は23.7%営業増益(みずほ証券リサーチ&コンサルティング調べ、東証1部、金融除く)と好調だった。一方、米S&P500企業はトムソン・ロイター調べで1.2%の増益と、相対的な日本企業の業績好調ぶりが目立つ。

エコノミストからは、「世界経済のドライバーは依然として米国であり、仮に中国経済が少々減速した場合でも、日本経済に与える悪影響は限定的」(大和総研チーフエコノミストの熊谷亮丸氏)との指摘も聞かれる。パニック的な売りが一巡すれば、日本株の「優位性」が再び脚光を浴びる可能性もある。

<中国次第の展開は続く>

ただ、「日本株は中国次第の展開が続く」(メリルリンチ日本証券チーフ日本株ストラテジストの阿部健児氏)との見方も多い。中国の実体経済からの影響だけでなく、リスクオフの円高が1ドル120円を超えて一段と進めば、期待値の高い市場の増益シナリオに影を落とすためだ。

市場は株安を通じて、小手先の株価対策ではなく、金融緩和やいわゆる「真水」をともなった財政政策を中国政府に「催促」している。リーマン・ショック後の4兆元の財政出動が、過剰設備など現在の中国が抱える問題の間接的要因になっているとの見方もあるが、市場のパニック売りを止めるには「サプライズ」が必要かもしれない。

いわゆる金融相場(流動性相場)は、市場のセンチメントが相場展開を大きく左右する。金融緩和と緩やかな景気回復を背景としているだけに、「緩やか」な景気回復が「弱い」景気回復と読み換えられてしまえば、市場心理は今回のように、たやすくリスクオフに傾いてしまう。

ファンダメンタルズ的に日本株が相対的な優位性を保っているとしても、大部分が政策に依存していることにも注意が必要だろう。国内年金が株を買い増し、中央銀行も株(ETF)を購入しているという需給面に加え、企業業績が好調なのも円安効果が大きい。日本株の「優位性」が寄って立つ地盤は盤石とは言えず、日本の経済や企業が自律的な成長軌道に乗るまでは、ボラタイルな相場が続きそうだ。

(伊賀大記 編集:石田仁志)
登り百日、下げ十日、中国経済の崩壊が避けられない状況の中で、上海が下げ止まらない限り、世界的な株安の連鎖は止まらないようだ。
週末に、期待された中国の政策発動がなかったことで、もう一段の調整が進みやすい地合いでもあった。
これで27─29日に開かれる米ワイオミング州ジャクソンホールで毎年恒例のカンザス地区連銀主催の年次シンポジウムの結果を待たずとも、米国の9月の利上げは無くなったと考えていいだろう。その証拠にドル円が瞬間115円台にタッチしたようだ。
ドル/円は、年初来安値となる115円台後半まで行くとは・・・想像以上に荒い展開だ。
週末にかけては引き続き中国の政策発動への思惑がある。29日にジャクソンホールで、FRBのフィッシャー副議長の講演が控えており、そこで9月利上げが無いとなれば一旦はこの相場も落ち着く可能性がある。
8月下旬までは、季節要因からファンド解約の調整が進みやすかった。この中で中国に端を発するリスク回避ムードが出たため、含み益のある日本株が売られてヘッジ目的の円ショートが巻き戻され、ドル円は下押しされたと考えて良いだろう。

原油も大幅安の1バレル38ドル台で推移している。皮肉なことに円高原油安は日本の内需にとって喜ばしい喜ばしい材料だ。

今週のどこかが、目先の安値となる可能性があるだろう。「待ちて逃がすはよし、いら立ちて損するなかれ」「売り買いは三日待て」どうせ大底では買えませんから・・

今回の下落は中国のありえないマーケット規制と元の切り下げが引き金となったが、下げ止まりの期待が中国の株価対策であるというのはなんとも皮肉というか
・・・喜劇である。

中国では今回の中国元の切り下げ策で景気拡大は困難となってきた。

米国との本格的な通貨戦争は始まったばかりで、さらに中国の本格的な元の通貨安は続き、株価と景気は後退していく可能性は高い。中国は現状7~8年前の中国経済とは大きく変わって以前のような発展的経済ではなくなり、覇権国家をめざすための世界一の外貨蓄積はじり貧となり、さらに軍事費の支出が膨大となった上に覇権的な支出も急拡大している。収入がないのに支出が慢性化する状態や輸出での稼ぎが少なくなってきた。

とても世界に中国の経済力はすごいという力を見せる状況ではなくなり、遂に8月11日13日の中国元の切り下げで当面の危機をのり越えようとしたが、逆にこれが中国経済の命取りとなってしまったようだ。

現状のドルと円と元の動きは、米国が無言の中で通貨戦争を発展させ、7-
8年前にたれ流された米国のドルは中国から環流しており中国が自由に使えるマネーは相当少なくなつたようである。

米国は中国が南沙諸島で航空機が発着できる滑走路を作つてしまつたことを政治的に重要問題とみているだけに、今回の元安はとことん米国としては押し進めていく考えである

米国は中国との武力による戦争を避けるため、経済的にも政治的にも元安を進め
、中国経済を行き詰まらせるべく今後も押し進めていくようだ。おそらく今後も中国の経済的行き詰まりは悪化していくものとみている。

中国と共にロシアの経済にも米国はこの際圧力を加えたい考えである。 原油価格の暴落でロシア経済は一気に干上がってしまうのである。


8月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は47.1という6年5ヵ月ぶりの低水準だつた。今のところ中国政府は株式買入れを行わず静観している。しかし、8月から10月にかけて中国では次の主席候補を決める全人代が開かれるので、習政権はそのためにも財政を含めて金融政策にづいても抜本的な景気対策を打ち出さなければならない。政権内部には現政権に対する不満があるようなので、どの様に調整するかが注目される。9月には習主席の訪米も控えているので、米国の金融政策の助けを借りなければならない場面も出てこよう。

今までの様な反米国を押し通せない状態になつている中で、どの様な対米融和的な金融緩和策が採られるのか大きく注目される。中国が対米での共通となる融和金融緩和策を打ち出さない限り、現状の中国株安、人民元安は続き、中国経済を中心とする株安には歯止めがかからないであろう。習政権は訪米時を大きな景気回復のチヤンスととらえているので8 -10月の全人代は訪米に向けて現状の中国の金融政策で株価対策の大きな変化が起こりそうである。

習主席の9月の訪米は、中国の金融政策が大きく変化するきっかけとなる。訪米を機に現状多くの調整がなされるとみている。中国は米国の助力を乞いに行く屈辱的な訪米ちなる。中国は景気が落ち込み元安は「にっちもさつちも」いかない状態になる

中国経済は奈落の底に落ち込んでしまい復活するには20-30年はかかることを覚悟しなければならない。9月中には中国と米国から何等かの答えが出て「株安・元安がいつまで続<かわからない」という現状は打破される可能性は高い。

ロシア首相はこんな時期に日本が北方領土と主張する択捉島を訪れ、エトロフは昔からロシアの領土と発言している。外貨の手持ちがこのところ少なくなってきた
ロシアは「いよいよ来たか」という感じで北方領土の値打ちを高める行勤に出たという感じである。現在の世の中は何が起こるかわからない。

 



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米国株が中国減速懸念で大幅続落、ダウは調整局面入り
【ロイター】 2015年 08月 22日 08:22 JST 

[ニューヨーク 21日 ロイター] - 21日の米国株式市場は大幅続落して取引を終えた。中国経済の減速懸念が強まり世界的に株価を押し下げた。

ダウ工業株30種平均は530.94ドル(3.12%)安の1万6459.75ドルの大幅安で取引を終え、調整局面に入ったことを示した。S&P総合500種指数は64.84ポイント(3.19%)安の1970.89。1日の値下がり幅としては約4年ぶりの大きな下落となった。ナスダック総合指数は171.45ポイント(3.52%)安の4706.04だった。

週間でも3指数全てが下落。ダウとS&Pはともに約5.8%値下がりした。S&Pは週間でも2011年9月以来の大きな下落を記録した。ナスダックは約6.8%の値下がりだった。

今年に入り米株式市場では比較的荒れた値動きが少なかったが、21日に発表された8月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)が約6年半ぶりの低水準に落ち込み、中国株式市場が再び下落したことで、投資家を狼狽売りに走らせた。

ただ、市場では株価下落が長くは続かないのではないかとし、来週にも上昇に転じることを期待する見方もある。

値下がりは広範な部門にわたってみられた。S&Pは10部門全てが下落。エネルギー株指数は2.6%低下した。米原油先物が2009年の金融危機以降初めて1バレル40ドルを下回ったことが嫌気された。

中小型株の指標であるラッセル2000指数も調整局面に入った。6月23日につけた直近の終値ベースでの最高値から10%値下がりした。

投資家の不安心理を表すCBOEボラティリティ指数は一時、昨年10月以来の高水準をつけた。週間ベースでは過去最大の上昇率となった。

市場では連邦準備理事会(FRB)の年内の利上げ開始を予想する声が依然として多い。ただ、19日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録の公表以降、9月利上げを予想する投資家はほとんどいない。

騰落銘柄の比率は、ニューヨーク証券取引所では下げ6銘柄に対して上げが1銘柄の割合。ナスダックは下げ約2.5銘柄に対して上げが1銘柄の割合だった。

BATSグローバル・マーケッツによると、米取引所の合算出来高は約106億株となり、平均である67億5000万株を大幅に上回る大商いだった。
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19日に発表された米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で、9月に利上げするかどうかはっきりしなかった、NYダウは雲を下抜けしてしまい、遅行スパンも下抜けしているのでV字回復は難しいだろう。・・・・9月の利上げは先送りとなる可能性が強くなったのではないか?

アングル:日経平均2万円割れ後の「買い手不在」、不安心理増幅
【ロイター】2015年 08月 21日 18:51 JST

[東京 21日 ロイター] - 21日の東京株式市場で、日経平均株価.N225終値は約3カ月ぶりの安値水準まで下落した。リスク回避ムードが漂うなか、後場には先物への仕掛け的な売りに押される展開が続いた。この下値を模索した「買い手不在」の現実は、投資家の不安心理を増幅させている。

<米系証券は売り越し>

「いや、ひどいですね、これは。気が滅入ります」──。午後3時、日経平均が安値引けとなったのを目に、大手証券のトレーディング担当者は、ため息交じりにつぶやいた。寄り付き前にシカゴの日経平均先物が1万9600円台まで下落していたこともあり、2万円割れは避けられない情勢だったが、後場の崩れ方は想定の範囲外だったようだ。

21日の先物手口をみると、主に米国系証券の売り越しが目立っている。日経225期近ではJPモルガンが差し引き2554枚、TOPIX期近ではゴールドマン・サックスが同4282枚の売り越しとなっている。

市場ではCTA(商品投資顧問業者)とみられる短期売買の影響に加え、イベント・ドブリン系ヘッジファンドによるTOPIX先物の投げの観測も聞かれた。

短期筋の売買を反映するとみられるABNクリアの手口は、ともに買い越しとなっている。だが、日経225期近では売りで4万8775枚、買いで5万2604枚となっている。「ABNクリアによる売買がいつもより膨らんでいる。安くなったら買いが入るというのが寄り付き前の『合言葉』のようになっていたが、結局は誰も買おうとせず、短期筋の仕掛け的な動きに翻弄(ほんろう)される結果となった」(国内証券トレーダー)という。

<中国株と連動するドイツ株の下落>

週初には「日経225オプションで、ヘッジファンドによる1万9250円台プットの大口買いの観測が聞かれた」(国内証券)との声もあり、市場の一部には不穏な空気も漂っていた。こうしたなか、下げ止まらない中国株を背景に世界景気の減速懸念が広がり、東京市場でもリスク回避姿勢が広がった。

三京証券マネージャーの藤井勝行氏は「上海株が7月9日の直近安値の3373ポイントを割り込むと、日経平均も安値を割り込む公算が大きい」と指摘。また「中国株が下げると中国経済との結びつきが強いドイツ株も売られる傾向にある。年初からドイツ株と日本株に対するロングポジションが正攻法だったが、その巻き戻しが出ているようだ」と話している。

<個人の買いも不発>

先物売りへの「打たれ弱さ」を露呈した日本株だが、伊藤忠(8001.T)や三井物産(8031.T)など、予想配当利回り銘柄の高い商社株は下げ渋る動きを見せた。水戸証券投資情報部長の須田恭通氏は「今回の下げにより、強気スタンスをとっていた投資家は追証が出る可能性もあるが、一部の個人は押し目の好機ととらえ、買いに向かう動きも見られた」と分析する。

ただ、日経平均が直近安値1万9115円20銭を付けた7月9日に見られたような、力強い指数の戻りは今回はなかった。また、個人投資家の売買が多い新興市場では、東証マザーズ指数.MTHRが年初来安値を更新。下落率は4.16%と日経平均の2.98%を大きく上回っている。「手の内が悪化した個人投資家も増えており、マインドはやや低下している」(国内証券)との見方もある。

相場の先行きに対しては、警戒感が根強い。パインブリッジ・インベストメンツ執行役員の前野達志氏は、中国経済の減速や安倍政権の支持率低下、米国利上げの観測など「悪材料が重なりセンチメントが急激に悪化している。若干は売られ過ぎの反動も予想されるが、それ以降に上値を追う展開は見込みにくい」と指摘する。

中期的には米国経済の拡大や、中国での経済政策効果などが想定されるとしながらも、「下値が固まるまでは買いにくい」との見方を示している。

(長田善行 編集:田巻一彦)
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日経平均は7月9日の安値1万9115円に対応する2番底を試す展開だ。

上海株暴落⇒日本株安ヨーロッパ株安⇒NYダウ安⇒・・・と外部環境の悪化により、売られたのであって、根本的な日本のファンダメンタルズが悪化してのではない。海外環境の悪化に加え、10月末、11月末決算のファンド勢の売りも出ているとみていることと、相対的に換金しやすい日本株が売られた可能性が高い。

中国経済の崩壊に、人民元を切り下げ競争力を回復しようとしても、所詮中国製品、大幅な元切り下げが中国の罹っている病気の処方箋ではなく、あくまでも対処療法にすぎない。
国内企業業績は悪くはない、品質と非価格競争力に勝る日本の輸出は大きく改善しており、為替が円安=株高ではなく、若干の円高調整の方がむしろ株高になるのではないか?日本経済の回復は米国がリセッションにでもならない限り杞憂だと思う。日本の企業増益率が主要国で最高と予想されていること、日本株式のPBRなどバリュエーションは世界最低であることなど、割安さが際立っている内需関連も外需関連も3割弱の経常増益。原油安による業績のさらなる上振れ余地も出てくる。魅力的投資対象が著しく少なくなっている中で、世界投資家の日本株オーバーウェイトはさらに活発化すると予想される。
 日本株式の需給環境は悪くはない。一時的に売ったとはいえ、外人でも年金などの長期資金は今後絶好の買い場で買い増すとの予想もある、国内公的資金・日銀、GPIF、ゆうちょ銀行、かんぽ生命、年金、保険など日本株の組み入れは増加傾向にある、国内個人資金の現金比率は高まっており、底を打ったタイミングで一気に雪崩こむ可能性が高い。内外すべての投資家において日本株投資余力は空前の規模になっていると推測される。日本株式の長期上昇シナリオは、揺るがないと思う。
 とはいえ、中国発の世界的な恐慌、もしくは大規模な景気後退のシナリオがどのように展開するか想像ができない。中国共産党による支那支配が終焉するかもしれないが、15億の人間がこの世から消え去るわけではない。短期的に日本の株式が、大荒れとなるのは間違いない。
リスク回避で2万円を割れたとしても、チャートを見る限り売られ過ぎの水準。
もっとも足元の空売り比率が高水準であるうえ、個人投資家の待機資金も豊富にあり、同値を割り込む懸念は乏しい。戻りには多少時間がかかるだろうが、秋口には再び上昇基調を強め、日経平均2万1000円台を試す展開になるだろう。
 米著名投資家のジョージ・ソロス氏(85)が中国を代表するIT企業を見限った。同氏が率いるヘッジファンドが、米国の株式市場に上場する中国の電子商取引大手、アリババ・グループ・ホールディングの保有株をほぼ全株売却したほか、同国の検索大手、百度(バイドゥ)株も約8割手放したのだ。上海市場の株価が再び暴落モードに入るなか、ニューヨークでも中国企業に対する視線は一段と厳しくなっている。

 大手機関投資家が米証券取引委員会(SEC)に四半期に1度行う報告によると、ソロス・ファンド・マネジメントは、アリババの保有株数を3月末時点の約444万4604株(約3億7000万ドル=約460億円)から6月末時点に5万9320株(488万ドル=約6億円)まで大幅に減らした。保有株の約98%を売却したことになる。

 1999年にジャック・マー氏が創業したアリババは、企業間の電子商取引市場などを手がけて成長し、ソフトバンクが筆頭株主を務めることでも知られる。

 昨年9月にニューヨーク証券取引所に華々しく上場、株価は一時120ドルまで上昇した。しかし、その後は下落基調をたどり、今年6月中旬以降の中国市場の暴落が下げに拍車をかけた。今月12日には4~6月期の決算発表が予想を下回ったことを受けて、71ドルの上場来安値を更新、公募・売り出し価格の68ドルに迫る場面もあった。

 ソロス・ファンドは同じくニューヨーク市場に上場する百度についても保有株を35万8650株から4万2800株と大幅に減らした。同社も中国景気の減速で7~9月期の売上高見通しが予想を下回り、株価急落に見舞われている。

 1960年代から投資ファンドを運営しているソロス氏の投資は世界経済を大きく揺さぶってきた。その名を世界的に有名にしたのは、92年の「ポンド危機」だ。

 英国の通貨ポンドが実態よりも割高に固定されていると考えたソロス氏は、ポンドを大量に売り浴びせ、買い支えするイングランド銀行(中央銀行)を打ち負かして20億ドル(約2480億円)ともいわれる利益を得た。英国はポンド危機を受けて変動相場制に移行し、ユーロ導入を断念した。

 ソロス氏は米経済誌フォーブスの2015年版世界長者番付では29位で、資産額は242億ドル(約3兆円)にのぼる。

 ソロス・ファンドは中国企業の株を大量に売った一方、米ケーブルテレビ大手のタイム・ワーナー・ケーブルの株やSNS大手のフェイスブック、米国を代表する株価指数のS&P500に連動する金融商品など、米国株を買っている。

 ソロス氏の中国企業売りについて、中国経済に詳しい評論家の宮崎正弘氏はこう指摘する。

 「中国企業に絶望したということだろう。ソロス氏には、情報公開や規制緩和で市場が成り立つという信念があり、中国市場に批判的だ。アリババや百度は急成長しているIT産業で、ニューヨークでも取引できるとあって、多少は有望と考えて投資していたのだろうが、ここにきて見限ったといえるのではないか」

 ソロス氏はこれまで中国経済に対してたびたび懸念を表明してきた。2012年10月に「成長モデルが息切れしつつある」と述べ、成長が鈍化しているとの見方を示したほか、13年5月には、高利回りの金融商品「理財商品」が、リーマン・ショックの引き金となったサブプライム・ローンと似ているとした。

 昨年初めには、「中国の成長モデルはすでに力を失っている」と指摘した。

 習近平政権は、7%の経済成長率を掲げ、4~6月期国内総生産(GDP)も目標と同じ数字となったが、額面通りに受け止める市場関係者は少ない。習政権が唱える「新常態(ニュー・ノーマル)」という安定成長路線の実現にも疑念が持たれている。

 中国本土の株も波乱含みだ。18日に暴落した上海総合指数は19日も一時4%超急落、取引終了にかけて急速に買い戻されてプラスに転じたが、政府系金融機関による買い支えの影がちらつく。

 ソロス氏の警鐘は現実のものとなりつつある。
この記事を載せたのはソロスが中国株を売っていることよりも
ロス・ファンドは中国企業の株を大量に売った一方、米ケーブルテレビ大手のタイム・ワーナー・ケーブルの株やSNS大手のフェイスブック、米国を代表する株価指数のS&P500に連動する金融商品など、米国株を買っている。
に、注目してほしい。


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「異常事態」の中国株市場、商品や株式にグローバル投資家の売り
【ロイター】2015年 07月 8日 18:56 JST


[東京 8日 ロイター] - 中国リスクへの警戒感が市場に広がっている。上場銘柄の約半数が売買停止となる「異常事態」にグローバル投資家は、株式や商品などのポジションを手仕舞い始めた。実体経済への影響も懸念され、金利は低下、リスクオフの円買いも出ている。
ギリシャの財政問題も混迷を極めており、市場の楽観ムードは大きく後退している。

<アジアに広がるリスクオフ>

約半数の銘柄が売買停止となる異常事態となった。8日の中国株式市場の上海、深セン取引所では約1300社の企業が売買停止。全上場企業2808社のうち約45%が売買できない状況となっている。

事前には「売ることができなければ、株価が下がることもない」(外資系証券)との楽観論もあったが、株安は止まらなかった。上海総合指数.SSECと滬深300指数.CSI300はともに一時8%下落。取引可能な株に売りが集中しただけで、抑止効果はほとんどなかった。

予想に反し中国株が大きく下落して始まると、日本を含むアジアの市場は動揺。日経平均.N225は3%を超える下落となり、2万円大台を大きく割り込んだ。香港ハンセン指数.HSIは6%、台湾加権指数.TWIIも3%を超える下落となっている。株式などリスク資産のポジションを落とす動きが加速している。

中国株式市場への外国人の直接の投資は制限されており、マネーフローでの連関性が高いわけではない。しかし、名目GDP(国内総生産)で世界2位(1000兆円超)に巨大化した経済国における株式市場の「異変」に投資家も警戒感を強めている。

「中国株の下落はリスク量を増大させ、他市場でのグローバル投資家の利益確定売りにつながる。さらに株安が中国の実体経済に影響を与えれば、世界経済もただではすまない。影響は限定的と楽観視はできない」と、アムンディ・ジャパン投資情報部長の濱崎優氏は話す。

<CTAやHFからの売り>

実際、金属など商品市場では中国の景気減速に警戒感が強まり、価格が大きく下落。汎用性が高い金属で景気や需要に左右されやすい銅CMCU3は8日の市場でやや反発したが、前日に6年ぶり安値を付けた。原油など19商品の先物相場で構成されるトムソン・ロイター/コアコモディティーCRB指数.TRJCRBは7日の市場で3カ月ぶりの安値に下落している。

「コモディティ商品の最大の買い手は中国。株安による実体経済への影響が明確に見えたわけではないが、リスク回避の動きが世界の投資家に広がっている」(ばんせい投信投資顧問・商品運用部ファンドマネージャーの山岡浩孝氏)という。

前日7日の米ダウ.DJIが場中に切り返しプラス圏で引けたことで、安心感が広がりかけたが、止まらない中国株の下落に投資家心理も消沈したようだ。市場では「株式や商品にはCTA(商品投資顧問業者)や、マクロ系ヘッジファンドなどからの手仕舞い売りが目立っているようだ」(大手証券トレーダー)との声が出ていた。

ギリシャ問題の行方も不透明感が一層濃くなっており、マーケットにはリスクオフムードも広がってきた。円買いが強まり、ドル/円は一時122円割れ。金利も低下し、日本の10年債利回りは0.415%と2週間半ぶりの低水準をつけた。

<矢継ぎ早の対策が「火に油」>

中国株が下落したこと自体を、市場関係者が驚いているわけではない。上海総合指数は年初から60%、昨年7月からは2.5倍という急上昇をみせてきた。その間、中国経済は減速感を強め、今年の成長率目標は7.0%と11年ぶりの低水準。景気に逆行して株価だけが上昇してきた一種の「バブル」であり、株価下落自体は健全な「調整」ともいえる。

市場の警戒感を強めているのは、中国政府のあわてぶりだ。学習院大学・経済学部教授の渡邉真理子氏は「ファンダメンタルズからかい離したような株価の調整はある程度、想定されていたと思うが、矢継ぎ早に出てきた対策は、場当たり的な対策が中心だった。その裏には何があるのかと、逆にマーケットの不安をあおっている」と話す。

約半数の銘柄が売買停止となっただけではなく、口座や空売りの監視や、自己勘定での株買い支援や投資上限の引き上げなど、株安対策が連日発表されているが、株価は下落。むしろ油を注いでいるようだ。PER(株価収益率)などバリュエーション面では割高感も解消されつつあるが、実体経済に株安の影響が出てくれば、水準は切り下がらざるを得ないだろう。

日経平均は年初から6月24日の高値まで20%上昇。それまで、ほとんど調整らしい調整はなく、今回の下落も「絶好の押し目買いのチャンス」(国内証券ストラテジスト)と強気な声も残っている。だが、日本にとって最大の輸出先であり、インバウンド消費を支える中国経済だけに、単なる「調整」とはかたづけられない不気味さもある。

(伊賀大記 編集:田巻一彦)
習近平をあざ笑うかのように下げ止まらない上海株、シャドウバンク騒動の時もなんとかしてきた中国当局だがもはや国民や投資家からのなんとかしてくれるという絶大な信頼は失われた。

これは、日本が1989年に株価が暴落しても土地は値上がり続け、土地は下がらないという地価神話だったが、誰もが疑わなかった土地神話が崩壊した時に似ている。

ある日突然1万円札が福沢諭吉が刷ってあるただの紙であることに気がつくのと同じ衝撃だろう。

中国当局がどう叫ぼうが、売りの勢いがなくなるまで止まることは無い。しかも市場を止めてしまったら、悪抜けすることが出来ず、かえって底値は遠くなる。上海市場は、世界全体の文脈から言えば小さい市場(=MSCIワールド・インデックスの3%以下)なので、それ自体は痛くも痒くもない。外国人の参加者は少なく欧米の金融機関の参加者の大半は売り抜けているだろうからダメージも無いに等しい。


株高政策は輸出主導型経済から消費主導型経済への転換を株価上昇を通じて促したいという意向もあったのだが、足元の株価急落は、こうした経済モデルの転換を台無しにし、それによって中国を八方塞がりにするだろう。

現在の中国の中国が行っている株価対策は、1929年のNY市場の暴落対策はと同じだ。当局が取り組んだ株価暴落阻止策は失敗に終わった。

日本のバブル崩壊の1992年に日本政府が取った株価維持策(プライス・キーピング・オペレーション=PKO)も同じだ。日本政府は総合経済対策の1つとして、郵便貯金や簡易保険の資金運用について株式組み入れ制限を撤廃した。

当時の日本政府の考えは、おそらく現在の中国政府も同様だが、当局が株価を押し上げることさえできれば、景気回復に伴って民間投資家も後に続くというものだ。日本株は公的資金の投入でいくらか回復したものの、ほどなくして下げに転じた。その後の日本と日本株が厳しい道をたどったのは周知の通りだ。要するに過去株価対策で下げ止まったことはない。

今回の暴落は中国の資本市場のゆがみを一段と強めることとなる。共産党政府そのものが崩壊するなど、ほぼ間違いなく、最終的な代償はかなり高く付くことになる。

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短期的には19312円高値0.612押し~1/2押しの18832円

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中期的には回帰トレンドの-2σの支持線までの調整までありか?!

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日本経済の復興を支えている中国人による爆買いにも影響がでるであろうし、中国国内市場が冷えきると中国市場で儲けているような会社は減益。世界的にも景気が悪化する可能性も高く、世界的にリスクオフとなれば。円高になる。

日本も中国の株価暴落の影響を受けないわけがない。

執筆中
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連騰が終ったところでマーケットの記事を書こうと思っていた。連騰が止まらず週末になってしまったので今日はそろそろ書かなくては読者の方に見棄てられそうでと眠い目を擦っての記事です。

金曜日の日経平均株価の終値は前日比11円96銭高の2万0563円15銭。値上がりは11営業日連続となり、これは1988年2月以降、およそ27年3カ月ぶりの11営業日続伸となった。
欧米中国が調整しても押し目がなく、売り方の買い戻しを伴う踏み上げ相場の様相だ。月曜日上昇すれば、サイコロジカルラインは最大値12に張り付いてしまうが、「押し目待ちに押し目なし」である。2008年7月4日サイコロがゼロとなった。その3カ月後にリーマンショックが襲った時から考えると感慨深い。



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日足
きれいなトレンドラインに沿った典型的実右肩上がりの上昇トレンド
ただ、日経平均・日足は上ヒゲを伴う「小陽線」目先小天井となる可能性は否めません。
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週足
週足上は危険ゾーンです一旦月曜日の時点で標準偏差の+2σの20680円から
+1σの19730円がサポートするライン付近へ調整する可能性はあります。
ただし、6月中も上昇もしくは横ばいであれば7月の初旬には+1σも2万円付近まで上昇します。+2σのラインを抜けたら一旦利食い売りでもいいかもしれません。
2012年5月はやはり上昇しすぎでセルインメイになってしまいましたが、回帰トレンドの+2σを突抜けてましたから当然のけっかかもしれません。
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月足
月足から読むと次の目標が2000年4月20833円、年内の目標が1/2戻しの23242円が目途となる。

物色動向を子細に見るとバリュー株(割安株)からグロース株(成長株)に広がり出遅れた新興市場株式にも広がりを見せている。
 金融緩和の継続、企業統治改革、法人税減税、インバウンド消費……。日本株を巡るこうした中長期的なテーマが上昇相場の底流にある。
 3月期企業の業績予想が出そろい、4月末には18倍だった日経平均採用銘柄の平均PER(株価収益率)は16.6倍。EPS 1238.74円 アナリスト予想では1370円とか1300円台後半を出しているので1370円15倍 1370円17倍で計算すると23290円ちょうど日経平均1/2戻りの数値が目標となりそうです。
 内閣府が20日に発表した15年1~3月期の国内総生産(GDP)は物価変動の影響を除いた実質で前期比0.6%増、年率換算では2.4%増だった。プラスは2四半期連続。14年10~12月期(年率換算で1.1%増)から伸び率が拡大した。消費増税後に落ち込んだ個人消費の持ち直しが続いたほか、企業収益の改善などで設備投資が上向いた。住宅投資のプラス転換も寄与した。日本経済は復活ししているのだ。
買っているのは海外投資家。29日も日経平均はいったん前日比マイナスとなる場面があったが、下がったらすかさず日銀が買ったのであろう。大引けにかけて持ち直した。
相対的に企業業績や経済情勢が堅調な日本には資金が集まりやすくなっている。下がったところで日銀が買うという構図も、海外勢の買い安心感を増す効果を生んでいる。個人投資家や国内の機関投資家の利益確定売りをこなして上昇が続いているのは、途切れない海外マネーによるところが大きい。
 それでも日経平均は15年ぶり高値圏にあり、投資指標からみて買える銘柄が少なくなってきているのは事実だ。
 4月までは中長期の視点で投資を判断する欧州の年金マネーが相場水準を押し上げたが、今後も日本企業の業績や資本効率の改善を評価する「長く静かな買い」が続くかどうかは予断を許さない。目先11連騰の仕掛け人は 中長期のマネーとは言いにくい短期筋だ。一旦調整が入ってもおかしくはない。
 6月5日には5月の米雇用統計の発表が控えており、16日からは世界の投資家が注目しているFOMCが開かれる。今は落ち着いている米利上げを巡る思惑が再び世界の市場を揺らせば、日本株も巻き込まれる可能性は十分にある。

執筆中

http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/photos/20150529/ecn1505291550004-p1.htm
















前回の本欄で「上海株価がバブル同然」と断定した。何人かの専門家も同様の見解をネット上で流した。それらを尻目に、上海株総合指数(1990年12月=100)は上昇を続け、1年前の2・5倍の5000台に乗る勢いだ。もはやバブル崩壊の危険水域に到達したようだ。

上海株総合指数は2007年10月には最高値5900台に達したが、1年間で3倍という上昇速度だった。当時の胡錦濤政権の株式投資奨励策を受けて、党幹部や国有企業がまず動き、続いて大衆が預金から一斉に株式投資に殺到するありさまだった。最高値のあとは崖を転げ落ちるように落下し、リーマンショック後の08年10月には1700台に下がった。

党中央は株式市場てこ入れのため、10年3月に少ない手元資金で多額の投資を可能にする信用取引を解禁したが、暴落に懲りた個人投資家は株式市場には戻らず、多くは不動産に投資先を転換した。不動産ブームは加熱し、バブルと化し、13年後半からは不動産相場が下落基調に転じた。リーマン後の景気回復を牽引(けんいん)してきた不動産開発投資は不振に陥り、14年からは景気の下降に拍車がかかり現在に至る。

深刻なのは景気ばかりではない。14年後半から不動産部門などへの投機資金の対外流出が加速し、外貨準備は年間で3000億ドル(約36兆円)のペースで減りつつある。国内の資金不足を補うため、海外からの銀行借り入れ、債券発行は年間で3000億ドルに上る。今や中国は米国をしのぐ世界最大の国際金融市場の借り手である。

習近平政権がとったのは利下げによる株式市場のてこ入れである。利下げの理由は表向き、国内景気の刺激だが、富裕層は国内産品を買わずに、日本など海外に出向いて「爆買い」に興じる具合だし、バブル崩壊不安に包まれた不動産に投資する気配はない。唯一、国内の余剰資金が向かうのは株式市場しかない。

党中央は利下げが株価引き上げの狙いであるとのメッセージを投資家に送っている。公務員や国有企業の党員たちは、株価が上がると読み、株式相場は昨秋の利下げを機に高騰し始めた。株価上昇が息切れし始めると、中国人民銀行が党中央の指示を受けて利下げする。すると株価は再び上昇基調に転じるという具合である。ところが、上海株価と実体景気は「逆相関」、つまり離反する。

グラフは景気指標の中でも李克強首相が最も信頼している鉄道貨物輸送量を株価と対比させながら推移を追っている。まさに不況の中の株式ブームである。おまけに、利下げで下落するはずの人民元の対ドル相場も市場介入によって押し上げている。

こうして国内外の投機資金を株式市場に引きつけるのだが、円安を受けた日本や景気回復基調が定着した米国の株高とはわけが違う。株価上昇とともに市場には暴落エネルギーが充満するのだが、習政権は株高に賭けるしかないのだろう。 (産経新聞特別記者・田村秀男)

減っていた円ショート(円売り)がまた増えた・・・
だが一時的かもしれませんが米国の年内利上げの動きから円は下落する可能性が高い。



コラム:商品高・ドル安が招く「リスクオンの円安」=亀岡裕次氏
【ロイター】2015年 05月 28日 18:43 JST

亀岡裕次 大和証券 チーフ為替アナリスト

[東京 28日] - 商品相場とドル相場は相互に影響し合って逆相関になりやすい関係にあるが、当然、それぞれ固有の変動要因を持つ。3月以降の「商品高・ドル安」にこのところ変調の兆しが見えるが、果たして再び「商品安・ドル高」基調に戻るのだろうか。

まず、ドル高の影響によって商品安が進むか否かは別として、ドル相場以外の要因により商品相場が上昇するか下落するかを考えてみる。

3月以降の商品市況反発をリードしたのは原油などのエネルギー価格上昇(ただし、天然ガス価格は下落傾向)であり、ドル高に転じた5月中下旬も原油価格の下落は抑制されている。銀、金などの貴金属や、銅、アルミなどの産業用メタルも3月以降に反発したが、これらは5月に入り反落している。農畜産物の価格は全般的に3月に底打ちしておらず、最近にかけて小動きで推移している。

米シェールオイルの増産によって原油価格が下落したために、エネルギー企業は採算悪化で減産を余儀なくされるとの見通しが、今年に入り原油価格を押し上げた。1月末から2月にかけての原油価格反発は、オイル掘削装置の稼動数減少を受けた原油減産見通しが理由だったが、3月以降の原油価格上昇は、米国での原油生産が減り始めたことを受けたものだ。掘削装置の減少が続いていることからすると、少なくとも今後半年程度は原油の減産が続きやすく、その間は需要が減少でもしない限り原油価格は上昇傾向となりやすいだろう。

国際エネルギー機関(IEA)によれば、世界のオイル需要は季節性もあって今年4―6月にかけて減少した後に増加していき、10―12月には1日当たりで見て1年前よりも100万バレル増える見通しだ。一方で、これまで需要以上に伸びて在庫増加を招いてきたオイル供給は4―6月以降ほぼ横ばいにとどまり、供給超過幅は急速に縮小して需給均衡に近づくとの見通しである。

<商品高・ドル安は米国と新興国にプラス>

こうした需給見通しを背景に原油相場は今後も堅調に推移していく可能性が高いが、原油以外の商品はどうなのだろうか。ドル安の影響で反発し、ドル高の影響で反落している商品が多いことや、そもそも底打ちせずに小動きの商品もあることからすると、今のところは需給要因による価格変動圧力が小さいようだ。結局、最近の商品価格反落は、需給要因によるものというより、ドル高を受けたものと見られる。

最近の経済指標は世界経済の回復が鈍いことを示している。経済協力開発機構(OECD)と主要新興国を合わせた景気先行指数は長期トレンドに対して低下しており、2015年3月は2009年12月以来の低水準となった。主に先進国で構成されるOECDよりも主要新興国の景気先行指数の下落が目立つ。

先進国に比べエネルギー原単位(単位生産当たりのエネルギー消費量)の大きい新興国の景気が弱い状況では、商品市況は下落しやすくなる。商品安が資源国の輸出を減少させたほか、原油安・ドル高が米国景気を減速させたために、新興国のドル建て輸出は2015年3―4月にかけて前年比で軒並み減少した。また、2015年前半は前年同期に比べて対ドルで通貨安が進んだ国が多いため、ドル建て輸出金額の前年比が低下しやすいこともある。

しかし、新興国の通貨安による輸出競争力向上が輸出増加に結びつきやすくなるうえ、商品安・ドル高が3月に反転したことは、米国経済や新興国輸出にプラスに働くはずだ。
今後は次第に新興国の貿易・経常収支悪化と景気減速に歯止めがかかるのではないか。そうなることによって、需要面から商品価格は下がりにくい状況になるだろう。原油を中心に商品価格は上昇傾向になりやすく、それがドル安、およびリスクオンの円安に作用していく可能性が高い。

<商品安・ドル高回帰なら円高に転換も>

ただし、再び商品安・ドル高に戻ると、世界経済に逆風となりリスクオフの円高リスクが増すことになる。そこで、商品相場以外の要因によりドル相場が上昇するか下落するかを考えてみる。

昨年半ばから上昇を続けてきたドル実効為替が、今年3月以降に反落した原因は、原油価格の反発のほかには、米欧金利差の縮小にある。ドル高や原油安が米国経済にマイナスに作用する面もあり、インフレが目標に向かって上昇する見通しが強まるまでは米連邦準備理事会(FRB)が利上げを急がない姿勢を示したことが、米国の金利低下を招いたためだ。

しかし、5月中旬以降に米欧金利差が拡大に転じるとともにドル高が進み始めている。これは、インフレ率上昇などを受けて急上昇したドイツなどの長期金利がやや反落したことに加え、米国の長期金利が経済指標改善を受けて上昇したからである。

過去に、ドル高・ユーロ安が始まってから米国経済指標が対市場予想比で悪化し、ユーロ圏経済指標が改善し始めるまで2カ月から3カ月かかっていることからすると、今年3月から始まったドル安・ユーロ高の効果は5月から6月に表れ始める可能性がある。今後、対市場予想比で米国経済指標の改善(あるいはユーロ圏経済指標の悪化)が進む可能性が高いので、それはドル高要因になるだろうが、強い圧力にはならないだろう。

なぜなら、ドル高が進むと、市場が予想する米国企業利益が悪化しやすく、期待インフレ率(ブレークイーブンインフレ率)が低下してFRB目標の2%から遠ざかりやすい。ドル高進行が米国経済への逆風となって利上げが遠のくということをすでに市場は認識済みであるから、今の状況では米金利上昇とドル高が本格的に進むことは考えにくい。

<ドル安を上回る円安でドル円は上昇へ>

もしドル高で予想1株当たり利益(EPS)が鈍化して株式益回り(予想EPS/株価)が低下する状況で米金利上昇が進むと、株価の割高感が強まる。すでに米10年国債利回りからS&P500株式益回りを引いたイールドスプレッドは2013年末のピークにほぼ匹敵する高い水準にあるので、米金利上昇が顕著に進むと、株価はピークアウトしやすい。

市場がリスクオフに転じて、結局は米金利上昇が進まなくなるだろう。その場合は、リスクオフのドル高を上回るリスクオフの円高となり、ドル円は上昇から下落に転じやすくなる。

しかし、米金利上昇とともにドル高が進行する可能性も、米金利上昇で株価が下落してリスクオフのドル高(それを超える円高)に転じる可能性も低い。最も可能性が高いパターンは、ある程度はドル高が進んでもドル実効為替が3月ピークを超えるほどにはならず、3月以降の原油高・ドル安基調が緩やかになりながらも維持されるというかたちだ。

米国の期待インフレ率が2%以上へと高まり、利上げ期待が高まるようになるまでは、米金利とドル相場が安定的に推移し、そのことが米国経済や世界経済の回復にプラスに働き、リスクオンに作用するのではないか。米金利が緩やかに上昇する程度では、米金利上昇のドル高効果よりもリスクオンのドル安効果が大きく、ドル実効為替が下落するケースは多い。ただし、リスクオンではドル安以上に円安になりやすく、ドル円は上昇しやすいと言える。

このように、世界景気減速が商品安を招く可能性も、米金利上昇がドル高を招く可能性も、当面は低いと考えられる。最近の商品安・ドル高が連鎖しながら続くことはなく、商品高・ドル安に戻りつつ円安が進むと予想される。もし商品安・ドル高がさらに進行して世界的に株価や長期金利が低下するようだと、円高への転換に注意が必要だ。
 

コラム:「リーマンの亡霊」が生き続ける理由
【ロイター】2015年 05月 28日 16:17 JST

Edward Hadas
[ロンドン 27日 ロイターBreakingviews] - リーマン・ブラザーズ破綻の傷跡は、いまだに至る所に残っている。世界的金融危機と多くの先進国での深刻な不況をもたらしたリーマンショックからは、すでに7年近くが過ぎた。しかし、その余波は、今になってようやく全容が見えつつある。

サマーズ元米財務長官は、今は世界の大半で国内総生産(GDP)が伸び悩む長期停滞の時代だと唱える。あらゆる状況に対応できるサマーズ氏の「長期停滞論」は、ある部分では実体を捉えているが、実質金利の重視はあまりに問題を単純化しすぎだ。GDPは金融政策が間違っているから減速しているのではなく、危機が多くの経済問題を露呈し、そして増幅させたからに他ならない。

まず第一に、リーマンショックで金融取引に対する評価が著しく傷ついたが、金融政策でそれを癒やすことはできない。1980年代から2000年代初頭まで、政治家やエコノミストは、最先端金融の拡大を経済の健全性のサインと捉えていた。今や業界の評価は地に落ちたが、不信感の拡大は、資源の適正配分という金融機関が担うべき価値ある役割を果たせないことを意味する。

各国中央銀行の評価も深く傷ついた。金融危機前は、中央銀行は「大いなる安定期」と呼ばれる状態、つまりインフレと失業率が低水準で安定し、経済成長も安定した状態の守護者としての地位を築き上げていた。しかし、それらはすべて雲散霧消した。金融当局は道に迷って無力だというのが新たな共通認識だが、こうした不信感は投資や消費の妨げとなっている。

財政緩和論を主張していたエコノミストも人気を失っている。これは大きな問題には聞こえないかもしれないが、もし彼らの評価がそれほど傷ついていなかったならば、欧州や米国の指導者に対し、景気回復のモメンタムを速めるのに十分な財政拡大を説得できていたかもしれない。

リーマン・ブラザーズが金融業界に負わせたケガは、実体経済にも傷跡を残した。政府のレベルでは、当局の長年の経済的弱点を増幅させた。米国と欧州の大半は、インフラ投資を変わらず渋っている。政治家たちは、高齢化に伴うコストや不十分な雇用創出といった重大な課題に取り組むには、あまりに腰が引け、意見もまとまっていないように見える。

雇用の問題は、近代経済には常に潜在している。雇用の破壊は創出に比べ、はるかに簡単に進むからだ。リーマンショック後の危機は、そうした潜在的脅威を永続的な痛みに変えた。大西洋の両側では2008年以降、労働市場に新たに加わるはずの若年層のかなり多くが、仕事を得られずにいる。欧州の大部分では、失業率はいまだに痛切なほど高い。米国の失業率は低いが、それは主として、不本意ながら正規雇用を離れた人が多いからだ。

リーマン後の危機が与えた最も深刻なダメージは社会構造への傷だ。解決されないままの金融の混乱は、多くの問題をさらに悪化させた。貧富の格差は拡大し、住宅資産価値のマイナス化や過剰債務はいまだに米国の家計を圧迫している。欧州の多くの国では、社会福祉制度が削られ、教育と医療の予算も締め付けを受けている。

超巨大とも言えない米金融機関1社の破綻という小さな出来事が、ここまで大きな影響を及ぼすというのは奇妙に映るかもしれない。しかし、小石の動きが雪崩につながることもある。ましてや近代経済は雪山に比べ、はるかに複雑なメカニズムで成り立っている。

ありがたいことに、近代経済にはしばしば自己回復する時がある。新たなテクノロジーは古い技術に取って代わる。市民や企業や政府は通常、過剰な公害や不十分な安全基準といった大きな問題に対しては、十分な落としどころを見いだすことができる。

1973年の石油危機の例は、われわれに希望を与えてくれる。先進国では当時、中東産原油の供給減に対する脆弱性があらわになった。高インフレや2回の景気後退(リセッション)など、経済的痛みは少なくとも10年続いた。しかし、それに続くエネルギー効率の向上や代替燃料の開発が、あの長い苦しみを現代社会が再び味わうことのないよう守っている。

2008年以降の経験は、世界的金融システムが少なくとも、当時の中東産原油と同じぐらい重要であることを示している。金融をより安全にし、世界の金融への依存度を低めようとする努力は行われている。こうした取り組みにどれほど効果があったかを判断するのは時期尚早だ。エコノミストや政策立案者や金融業界には、自分たちの信頼回復を含め、まだ明らかに課題が山積している。たとえ彼らが多くの必要な課題を解決できたとしても、危機によるダメージの大半は取り返しがつかないものかもしれない。ただ少なくとも、事態の悪化に歯止めはかけられるだろう。


















CNNの取材チームを搭乗させたアメリカ海軍対潜哨戒機P-8Aポセイドンが、先週、南シナ海南沙諸島のファイアリークロス礁上空に接近した。

中国海軍はP-8哨戒機に対して、「外国の軍用機に警告する。こちらは中国海軍。貴機は我が国の軍事警戒区域に接近しつつある。直ちに立ち去るように」と警告を繰り返し、やがて「とっとと立ち去れ!」といった高圧的な言葉を投げつけた。

本コラムでも幾度か取り上げたように、人工島へと変貌しつつあるファイアリークロス礁では、軍用滑走路を含む各種軍事施設だけでなく、各種観測施設や研究所などの“民間施設”の建設も急ピッチで進められている。


すでに高まっていた米中間の緊張

すでに1カ月以上も前から、オバマ政権は「南シナ海において、中国が力によって弱小国の権利を侵害している」との非難を発していた。だが、中国は言葉だけの警告など完全に無視し続けている状況が続いている。

それに対してアメリカ当局、とりわけ国務省などは、「中国による人工島建設それ自体は国際法違反ではない。しかし、それは南シナ海の平穏を乱し、中国も明言している周辺諸国を力により脅かさないという原則にも反している」といった消極的態度に終始している。

しかしながら、人工島や軍用滑走路の建設がかなり進捗している状況が明らかにされるにつれ、マケイン上院議員をはじめとするアメリカ国内の対中強硬派が、オバマ政権の態度を厳しく突き上げるようになってきた。

哨戒飛行にCNNクルーを乗り込ませた米海軍

このようにアメリカ側の南シナ海方針がぐらついている中で、5月上旬にはアメリカ海軍沿岸戦闘艦(LCS:排水量3000トンクラスの軍艦で、比較的軽武装ながらも快速を誇る新型軍艦)「フォートワース」が南沙諸島海域(アメリカ側にとっては公海)を1週間にわたってパトロールした。その航海中、「フォートワース」は幾度か中国海軍艦艇に遭遇し、その都度、軽武装の「フォートワース」は重武装の中国軍艦に追いかけられて中国人工島周辺海域から追い払われてしまった。


艦艇と同様に、沖縄を発進した米海軍P-8対潜哨戒機も、南沙諸島上空へ進出して偵察活動を強化していた。アメリカ側にとっては公海の上空、すなわち国際空域を飛行中のP-8ポセイドンに対して、中国海軍側は執拗に「中国の警戒空域から立ち去れ」との警告を繰り返していた。

このような状況を受けて、アメリカ海軍は、通常はメディアを乗り込ませることのない機密の塊である対潜哨戒機P-8AポセイドンにCNN取材チームを乗り込ませただけでなく、そのP-8哨戒機を“焦点の1つである”ファイアリークロス礁周辺上空に接近させたのだ。

当然、冒頭のように中国海軍からは繰り返し警告が発せられ、その状況はCNNによって実況中継されるに至ったのである(下記サイト参照)。

Exclusive: China warns U.S. surveillance plane

中国は米軍が「他国の領空や領海に侵入」していると非難

アメリカ側の対中強硬意見に対して、中国共産党政府は「南沙諸島ならびに周辺海域は中国固有の領域である」と繰り返している。また、南沙諸島での人工島建設は「中国領内での国内的作業」であり、人工島建設の目的は「民間諸事業のためであり、多くの国々にとっても利益をもたらす」と強調した。

そして「中国は、自国の安全保障と、海洋での安全維持のために、関係する空域や海域を監視する権利を有している」「(アメリカだけでなく)諸外国は、(中国との領域紛争を)より複雑化させたり自分たちに都合の良いように誇張したりするような動きは即刻やめるべきである」との声明を発した。

さらに中国海軍当局は「中国も公海自由航行の原則は尊重する。しかしその原則は、外国軍艦や軍用機が他国の領空や領海内を勝手に通過することを意味しているわけではない」と述べるとともに、「アメリカ軍部は、いつでも『公海の自由航行原則』を振りかざして、他国の領空や領海に侵入する」とアメリカ軍を非難している。

米国で「人工島の12海里内に艦艇や航空機を派遣せよ」の声

南シナ海情勢をめぐる活発な動きを受けて、ペンタゴン内部では、「いずれかの人工島周辺12海里領域以内に米海軍艦艇や航空機を派遣して、公海航行自由原則を中国に突きつけ、アメリカは中国による人工島による領土領海拡大など認めないという態度を明示すべきである」という声が強まっている。

ただしペンタゴンの公式声明では「12海里領域内への米軍艦艇航空機の派遣はあくまで『次のステップ』であり、今のところそのような具体的計画があるわけではない」としている。

またアメリカ太平洋軍では、南シナ海での中国人工島に関連する非常事態対応計画を急遽策定した。しかしながら、この太平洋軍の計画はオバマ政権によっていまだに吟味されていない。というのは、「人工島は国際海域に建設されているわけであるから、その周辺海域は『公海』ということになる。当然のことながら、公海を米軍艦や米軍機が通過することが可能であるため、現在のところ何の非常事態にも立ち至っていない地域に対する軍の展開計画に対する判断をする時期ではない」という“逃げ”の理由からである。

もっとも、ペンタゴンやマケイン議員をはじめとする対中強硬派といえども、「アメリカ側が軍事的強硬策を実施することは、平穏な米中関係に大損害を与える可能性が極めて高い」という認識は、オバマ政権や国務省それに外交専門家の大多数(対中融和派)と共通している。

しかしながら対中強硬派としては「そのようなリスクを犯すことを百も承知の上で、中国に対しては強硬な態度が必要である、そうしなければアメリカ自身にも多くの同盟国友好国にとっても国益を左右する南シナ海の平和が維持できない」と考えているのである。

米国は海上自衛隊の支援に期待をかけている

これまでは一般のアメリカ国民のみならず多くの米軍関係者にとっても、南シナ海という極東の海域は“関心の中心”とはなりにくかった。だが、CNNでの報道によって、中国の“周辺弱小国に対する横暴”、それも大海原のど真ん中に多くの人工島を建設し、領海を拡張していくという前代未聞の行動に対する関心が急激に高まっている。したがって、対中強硬派の圧力が勢いを増す可能性は高い。

もし、アメリカ海軍艦艇や航空機が南沙諸島の中国人工島周辺12海里内領域に送り込まれる事態に立ち至った場合には、中国は2つの方針で対処するものと思われる。

(1)中国海警をはじめとする法執行機関の船舶や航空機を米海軍艦艇や航空機に立ち向かわせて、「アメリカこそが力で南シナ海の覇権をもぎ取ろうとしている」との宣伝(白々しいのは百も承知で)を国際社会に向けて発信しまくる。

(2)2001年の海南島衝突事件や2013年のカウペンス事件(参照:「米軍巡洋艦に中国揚陸艦が『突撃』、衝突も辞さない中国海軍の攻撃的方針」)はじめ数件の艦艇や航空機によるニアミス事件を起こしている人民解放軍は、再び人民解放軍海軍艦艇や戦闘機を米海軍艦艇や哨戒機に異常接近させるなどの危険な挑発的インターセプトを繰り返し実施する。

このように、軍事衝突の危険性を伴うことはアメリカの対中強硬派にとっては織り込み済みである。

そうした状況を想定するペンタゴンや米太平洋軍内部の対中強硬派にとって、安倍政権が打ち出している(そして安倍首相が米連邦議会で公約した)日本の防衛政策の抜本的転換は大きな助け舟になっている。

なぜならば、日本にとっても“存立を左右する”海域である南シナ海で米中軍事衝突が発生した場合、米海軍が信頼を寄せている海上自衛隊が支援のために駆けつけることになる(とアメリカ側は考えている)からである。
























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丸山俊 BNPパリバ証券 日本株チーフストラテジスト

[東京 15日] - 日経平均株価は今月10日の取引時間中に15年ぶりとなる2万円を回復。しかし、採用銘柄が毎年入れ替わること、とりわけ2000年に大幅な入れ替えがあったことを考えると、過去の水準と単純に比較することは厳に慎むべきだろう。
実際、2000年の大幅入れ替えの影響を考慮した旧日経平均株価はとっくに2万円を超えていると推定される。

それはそれとして、1月下旬以降の相場上昇は、利上げを模索し始めた米国から、量的緩和を強化した日本と量的緩和に踏み切った欧州への資金シフトがけん引役だった。ドル高とそれに伴う原油安は日本・欧州の企業の投資意欲や消費者心理を刺激し、長期金利の一段の低下は投資家の利回り追求を後押しした。

株式益利回りと債券利回り、株式配当利回りと債券利回りの大幅な乖(かい)離は株式が債券に比べて大幅に割安であることを示唆している。これが景気後退局面であれば利益・配当の減少を心配しなければいけないが、景気回復局面に入った日本・欧州では利益・配当の増加に対する期待が株式の魅力を高めている。

特に日本経済は増税後の反動減緩和や原油安、昨年度を上回る賃上げによる実質所得の押し上げによって個人消費が回復し、円安を追い風に製造業を中心に設備投資がある程度戻るとの期待が高い。国内景気回復と企業収益改善により、グローバル株式の中でも低株価変動率と低収益変動率の性質を兼ね備え、さらに株主還元の強化によって高配当性向になれば利回り追求に最も適した投資先になり得るポテンシャルを2015年の日本株は有しているし、実際にそうした見方が今の日本株を根強く支えている。

さらに海外投資家が長年求めてきたコーポレートガバナンスの改善に日本企業がようやく取り組み始めたという手応えは、公的・準公的機関の株式投資と並び、今や日本株が投資パフォーマンスにおいて他を抜きん出ると期待される大きな理由の1つである。

<官製株高への過剰な期待は禁物>

もっとも、目先では、米ドル・米株の調整が欧州株や日本株の調整に発展する可能性には注意が必要だ。ドル高や原油安の影響により米国企業決算が減収減益に陥る見込みであるほか、米国の第1四半期国内総生産(GDP)成長率が前期比1%台(年率換算)にまで落ち込む可能性が否定できない。
足元での米景気減速は、悪天候や港湾ストの影響だけでなく、利上げを模索し始めた米国で商業銀行が貸出態度を厳格化させていることが影響している可能性がある。市場が利上げ時期の後ずれを好感する局面から、米景気減速やデフレ圧力を懸念する局面にシフトした場合、相場に波乱が起こる恐れがある。

海外投資家の買い越し金額(ネット)を見ると2月の株高は明らかに先物主導であり、その大半が3月の精算日でロールオーバーされているため、そろそろ利益確定のタイミングを見定める頃合いではないか。その際、懸念されるのは現物市場で最大の買い手は公的マネー(=信託銀行)ではなく、主に裁定取引を行っている自己勘定部門であることだ。このため、何らかのきっかけで先物価格が急落した場合、裁定買い残解消に伴う自己勘定部門の現物株売りが一段と株価を下押しする可能性に注意したい。

もちろん、株価が下がれば公的マネーが下支えてくれるとの思惑はあるだろうが、それでは年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)や日銀が買い支えていたにもかかわらず昨年12月中旬から今年1月中旬にかけて日経平均株価が1500円以上も下落したのはなぜか、という疑問に答えることは難しい。公的マネーが株価を下支えしていることは紛れもない事実だが、「アナウンスメント効果が効いている」程度に冷静に捉える必要があろう。

ちなみに、GPIFや準公的年金基金(3共済:国家公務員共済組合連合会、地方公務員共済組合連合会、日本私立学校振興・共済事業団)は10月1日から資産構成の目標値を共有し、運用を一元化する。しかし、最近の株高と昨年10―12月期以降の積極的な資産入れ替えによって、例えばGPIFの国内株式保有比率は足元ですでに23%に接近していると推定される。仮に9月末に向けてベンチマーク比率(25%)を達成しようとすると買い余力は3兆円程度しかないものと思われる。

問題は、公的年金基金の資産構成見直しが一巡した後、日銀以外に誰が日本株を買うのかである。市場ではすでに国内株式の保有比率引き上げに動いている「かんぽ生命保険」に加えて、資産運用の分散が課題の「ゆうちょ銀行」に対する期待が高いようだ。ゆうちょ銀行の保有資産はGPIFを大きく上回る205兆円に達し、その大半は国債で運用されているため、資産規模から言えば株式買い増し余力は大きいように映る。

実際、ゆうちょ銀行は向こう3年間で14兆円をリスク資産に投資すると最近になって発表した。しかし、その大半はおそらく外債となるだろう。

なぜなら、ゆうちょ銀行の自己資本は約8兆3000億円(2014年10月)であり、自己資本比率は43%と世界一と言っても過言ではないほど健全な銀行である。しかし、上場株式を保有した場合のリスクウエイトは300%であるため、仮に上場株式を2兆円買い入れると自己資本比率は33%に、上場株式を10兆円買い入れると17%に落ち込む。今後、M&Aや貸出ビジネスにも参入していくとすれば、ゆうちょ銀行が買うことのできる上場株式はせいぜい合計2―3兆円程度ではないかと思われる。

なお、自民党内では日本郵政グループの企業価値向上を図る目的で、「ゆうちょ銀行」(現在1000万円)「かんぽ生命」(同1300万円)の加入限度額をそれぞれ引き上げる検討が始まった模様であり注視していきたい。

<バブルなら株価はどこまで上がるか>

結局、日経平均株価2万円後の株式投資については、目先の反動に注意しつつ、公的マネーの買いには過度の期待を抱かず、加えて以下の点の見極めが必要となろう。

まず、成長期待の高まりがリスクテイクを促した当時と異なり、現在の低成長・低インフレ・低金利がリスクテイクをどの程度促すのかは不確かだということだ。

例えば、食品株や医薬品株が割高にもかかわらず際立って好調なのは、先進国の長期金利が一段と低迷する中、世界経済の成長に自信は持てないものの利回りを必要とする投資家がいるからである。つまり、株価変動率(ボラティリティ)が小さく、利益変動も小さく、配当性向が高いという債券と株式の中間的な性質を持ち合わせている食品株や医薬品株をあたかも債券に投資するかのように買っているのだ。

生活必需品である食品や医薬品は販売価格を引き上げても需要が大きく落ち込む心配もないため、円安インフレへの抵抗力は強く、海外市場の成長性も十分だ。割高でも買われる食品株・医薬品株と、割安でも放置される商社株や自動車株といった景気敏感株の二極化は、投資家のリスクテイクがいまだ局所的であることを示している。

また、そもそも利回り追求は「低金利」という大前提が崩れれば終わりであること、世界経済の低成長下ではいくら利回りが高くても収益が安定あるいは成長していなければ見向きもされないこと、日本株が利回り追求の受け皿になるには配当性向を一段と引き上げる必要があることを忘れてはいけない。

日本企業の配当性向は依然として30%足らずであり、欧州企業の約60%と比べるとその開きは歴然である。現状は配当性向がようやく30%に達してホッと一息をつけるかなといったところであり、40%以上の配当性向目標を掲げている企業は一握りでしかない。横並び意識が強い日本社会で、日本株式会社や業界を代表するような会社、例えばトヨタ自動車(7203.T)が率先して配当性向を40%に引き上げるといったブレイクスルーが待ち望まれる。

また、取締役の選任や報酬決定に権限を持たない社外取締役が、米国のように株主の代理人として経営を監視できるのかも気がかりな点だ。株主総会で選任されているはずの社外取締役で株主の代理人という意識を強く持つ人材は多くないように思われる。

つまり、稼いだ利益がせめて他の先進国並みの水準で株主に還元され、そしてコーポレートガバナンスの改善を確認できる材料が実際に積み重なってこないと、日本企業の資本に対する評価は高まらないのではないかというのが率直な感想である。

最後に言い添えれば、先進国共通の低インフレ・低金利環境が続く限り、低株価変動率、低収益変動率、高配当性向のリスク資産に対する利回り追求が果てしなく続き、市場全体のリスクプレミアム低下を通じて、やがてバブルを引き起こす可能性は否定できない。

そのときの株価水準を見通すことは困難だが、仮に投資家の要求収益率(エクイティリスクプレミアム:ERP)が2004―2007年の世界好況期並みの水準である4.5%まで低下すると現在の収益予想から逆算される日経平均株価の理論値は2万3000円となり、同期間の最低値並みの水準である4.0%にまで低下すると2万7000円となる。

2万円は瞬間回復したあと2万円を超えられずにいる。晴れ間が少ない今年の菜種梅雨のようである。

無理もない、もうすぐセルインメイが近ついている。例年ゴールデンウィークに前後に株価が一旦天井を何度もつけて、夏低迷し年末に向かって上昇するパターンが身に染みついてしまっている。

バブルとITバブルを二度に亘って経験した者にとっては、まだこの相場はバブルとは言い難い。

1985年のプラザ合意からバブルが発生し日経平均が38915円で天井を打った。 バブル時には土地不動産が急上昇し、 ITバブルの時には30年後の IT技術の夢を買ってしまった結果、バブル崩壊を招<大きな原因となった。
あの時は夢があった、夢を買うといっても大変なことをしてしまった。その結果がその後の15年間の日本の衰退を招いてしまった。18000円まで戻り立ち直りかけた時にもリーマン・ショックが発生し証券市場参加者は皆大やけどを負った。

バブル崩壊後、日本経済を振り返ってみると、実に苦しい時代であった。海外の投
、資家からは日本経済は成長性のないデフレ経済として、世界の経済学者からは誰もがなりたくない反面教師とののしられ、あげくのはてには「超円高」の餌食とされ、日本の国富は3分の1となり、超貧乏国になってしまった。

ここで日本経済の超貧乏国の流れを変えたのが安倍首相の唱えるアペノミクスである。 20年近く苦しんでいた日本経済を変えたのは間違いない。

米国は今まで世界が経験したことのない超緩和策を採り、続いて、日本がデフレの中で異次元緩和といわれる超緩和策をとり、欧州でもユーロが超緩和政策をとり、さらに新興諸国もQE政策をとったことから、世界の金融緩和であふれ出た投資マネーが経済再建の早い日本株に向かい、日本株は2002年4月以来、15年ぶりに2万円台を回復した。アベノミクス始動からの2年半で海外投資家による日本株の買越額は18兆円に上る。株価水準は2倍以上となり、世界でも突出した上昇率である。
特に昨年後半の上昇率は1990年代後半、ITバブルを上回る上昇となった。

 海外ヘッジファンドなどの短期マネーが流入し、下がるとすかさず買いが入る展開となった。特に昨年の後半には外国人投資家が日本の企業の急成長ぶりを知らずに売りに回ったことで、今年に入り日本株の持たざるリスクを感じ、各国の長期投資家が日本の優良株の所有株数を増やしたため、日本株は品薄化となってしまった。それに加えて日本でも公的年金などの運用が自由化され、国内の投資資金が日本株に向かいだしているのも海外勢が日本株を再評価する要因となってしまった。

2万円の日経平均株価をつけたのだから「これでよし」とはいえないというのが現状の日本経済の本音である。日本では今年、郵政が株式を上場することになっている。 

>ゆうちょ銀行の自己資本は約8兆3000億円(2014年10月)であり、自己資本比率は43%と世界一と言っても過言ではないほど健全な銀行である。


だが、
ゆうちょ銀行が買うことのできる上場株式はせいぜい合計2―3兆円程度ではないかと思われる。

200兆円のマネーをかかえ株式投資を拡大化する構想もあり、郵貯に株式運用許可がおりれば日本株はますます品薄化が進み、上昇力を一段と強めるだろう。 

今年はセルインメイを乗り越えられるだろうか?

コラム:低インフレ後の「資産バブル」再来リスク=竹中正治氏
【ロイター】2015年 04月 14日 17:18 JST

竹中正治 龍谷大学経済学部教授

[東京 14日] - 非伝統的金融政策(量的緩和)からの出口に差しかかっている米国で、失業率や新規雇用者数で見る雇用情勢は着実に改善しているにもかかわらず、インフレ率が目標の2%未満の状態が続いている。

このことに米連邦準備理事会(FRB)が頭を悩ましている。これは日本にも共通する問題だ。米国で低インフレが続く原因とそのリスクを考えてみよう。

FRBが使命とする政策目標はインフレ率の安定と雇用の最大化だ。この2つの目標に対して政策手段は金融政策の1つだけである。独立した1つの政策目標を達成するためには、独立した1つの政策手段が原理的に必要とされる。にもかかわらず、一般にFRBの使命が矛盾しないのは、インフレ率と雇用の変化に安定した関係がある場合だ。

例えば「フィリップス曲線」の名で知られているようにインフレ率と失業率の間にはトレードオフの(負の相関)関係がある。FRBが短期・中期的なショックに対応しながら金融政策のかじ取りを行い、インフレ率を一定の水準で安定化させれば、長期的には需給ギャップはゼロとなり、長期的な均衡状態における自然失業率を達成できると考えられている。

しかし、インフレ率と失業の関係性が壊れてしまう時もある。その代表例が1970年代のスタグフレーションの時代で、インフレの高進と失業率の上昇が同時進行した。こうなると金融政策として双方の同時追求ができない。

結局、この時は1979年に就任したポール・ボルカーFRB議長の「新金融調節方式」の下で厳しい金融引き締めが実施され、根強いインフレ期待を抑え込むことを優先した。ただし、その代償として1980年代前半は2度のリセッションに見舞われ、失業率はピーク時に10%台まで上昇した。

<低インフレの何が問題か>

今、FRBが直面している問題は、1970年代とは反対の「低インフレ持続」リスクだ。この問題はローレンス・サマーズ元米財務長官が指摘してきた「長期停滞(secular stagnation)仮説」、つまり自然利子率がマイナスに落ち込んでしまうリスクとも関連して議論されている。

もしデフレと紙一重のような低インフレが慢性化すれば、FRBはこれまでの量的緩和で膨張したバランスシートの正常化(縮小)もできず、目立った金利の引き上げもできないことになる。そうした状態のままだと、将来再び経済に何かのショックが発生して景気が後退した場合に、金利の引き下げ余地は極めて小さくなる。つまり、FRBが金融政策として取れる手段は極めて限られるという厄介な事態となるわけだ。そういう意味で低インフレは低金利と表裏の関係にある。

足元の個人消費支出(PCE)価格指数の変化は、全品目ベースで0.3%(今年2月の対前年同月比)であり、FRBが重視している「食料とエネルギーを除くベース」で同1.4%と目標の2.0%に届いていない。

もちろん、全品目ベースで0.3%まで低下したのは、昨年第4四半期から顕著になった原油を中心とする資源価格の下落の影響だ。それは資源価格の調整・下落が止まれば終わるので一過性のものであり、問題はない。むしろ米国のマクロの交易条件が改善するので実質所得が増加する。ところが「食料とエネルギーを除くベース」でも目標の2%に届かない状態が2012年5月以降続いている。これが懸念されているわけだ。

<現下の日本経済にも類似した特徴>

それでは何が低インフレ・低金利の原因となっているのだろうか。原因候補の第1は設備投資需要の低迷である。設備投資の減少は長期的には供給面の制約をもたらすが、短期では資金需要と投資需要の減少として低金利、低成長、低インフレの要因となる。サマーズ氏はこうした見方に立っているようであり、「インフラ整備(公的資本形成)などのために財政支出を拡大する」ことを提唱している。

しかし、民間設備投資が名目国内総生産(GDP)に占める比率は、2009―2014年の平均が11.9%、1950―2008年の平均値は12.0%であり、安定している。GDP成長率と民間設備投資伸び率の間には高い正の相関関係があるが、その関係性が2009年以降に変化しているようにも見えない。つまり、設備投資が細っている兆候は見られない。

第2の原因候補として貯蓄率の上昇(消費性向の低下)はどうだろうか。家計の貯蓄率(対可処分所得)は、リーマンショック後の不況下で家計のバランスシート調整が起こった局面では上昇したが、2013年4.9%、2014年4.8%と落ち着いている。これは1990―2008年までの平均5.5%より低い。つまり、家計部門で貯蓄増加(消費減少)が生じているわけでもない。

民間企業部門ではどうだろうか。民間事業部門の「未分配企業利益(undistributed corporate profit)」の国民総所得(GDI)に対する比率を見ると、1990―2008年までの平均値が2.3%であるのに対し、2009―2014年の平均は5.0%と上がっている。つまり、2009年以降、企業利益が回復する一方、内部に留保される利益の比率が高まっている。また、GDIに占める労働分配率は、1980―2008年の期間は平均56%を中心に安定的に上下動をしていたが、2009―2014年の平均値は53%と下方シフトの傾向が見られる。

以上で何が起こっているか察しがつく。つまり、リーマンショック以降、企業収益は順調に回復し、企業は手元流動性を積み上げ、雇用も回復しているにもかかわらず、それが賃金上昇にあまりつながっていないのだ。興味深いことに、これは現下の日本経済でも類似した特徴だ。
<失業率と名目賃金伸び率の関係に異変>
そこで掲載図をご覧いただきたい。横軸は失業率、縦軸は名目賃金指数の変化(前年同月比)だ。いわゆるフィリップス曲線である。同曲線を論文で最初に提示したウィリアム・フィリップスは失業率と名目賃金の変化として描いた。その後ポール・サミュエルソンが失業率とインフレ率の関係性として定式化してから、それが一般的になったが、ここでは名目賃金指数の変化として示した。
失業率と名目賃金の変化の関係性を示す近似線の傾きが、2009年までとそれ以降で変わっているのがわかるだろう。つまり、2010年以降、景気の回復で失業率が低下しても名目賃金がそれ以前ほど伸びていないのだ。インフレ率と名目賃金の変化にも正の相関関係がある。したがって「賃金伸び率の低下が低インフレ率を招く」という構図に経済がはまっていると筆者は考えている。

では、失業率で見た雇用の回復にもかかわらず、なぜ賃金伸び率は低いままなのだろうか。「完全失業率=失業者数/(就業者数+求職活動をしている失業者)」で算出される。戦後最大の景気後退を経て米国の労働力の供給には失業率が示す以上のスラック(余裕)が生じている可能性がある。実際、米国の労働参加率は過去数年で3%ポイントも低下しており、これはベビーブーマー世代の引退という人口動態要因を勘案しても大きな低下だ。相当数の「求職あきらめ組」を含んでいると考えられている。

そうした「求職あきらめ組」も景気の回復に伴ってじわじわと求職活動に復帰している。その結果、右上がりの労働供給曲線(縦軸に賃金、横軸に労働供給・需要量)の左部分がフラットに近い状態になっていると考えると説明がつく。この状態では景気の回復で労働需要曲線が右にシフトしても、労働供給曲線がフラットに近いので名目賃金はなかなか上がらない。

今後、景気の回復、雇用需要の増加が続けば、近い将来に労働需要曲線はさらに右にシフトして労働供給曲線の右肩上がりの部分と交差するようになるだろう。つまり、賃金が上がり始めるということだ。イエレンFRB議長の直近3月27日の講演(Normalizing Monetary Policy:Prospects and Perspectives)を読む限り、これはFRBの基本認識(メインシナリオ)でもある。筆者も大方はそのシナリオで正しいのだと思う。

ただし、名目賃金の伸び率と失業率の関係は既述の通り決して安定的ではなく、様々な要因で変化する。技術革新の進展で、製造業でもサービス業でも、定型的な労働を中心に機械による代替がますます進んでいる。現下のドル高も輸入物価の低下を通じて、海外と国内の労働者との賃金面での競合を強めている。こうしたことも賃金伸び率の低下要因になっている可能性がある。

<将来のリスクはインフレより資産バブルか>

それでも上記のメインシナリオに基づいてFRBは低インフレ見通しが変わるまで、金利の引き上げには慎重で、緩和的な金融政策を継続するだろう。この点において前掲講演でのイエレン議長の説明は実に微妙で、インフレ率が目標水準に達するまで金利の引き上げや金融政策の正常化を待つことは適切ではなく、目標水準の達成が予見できるようになったらアクションを取るのだと説明をしている。
そして注目すべきは、「長過ぎる期間、金利を低過ぎる水準に維持すれば、投資家による不適切なリスクテイクを助長しかねず、金融市場の安定性を損なう可能性がある」と述べている。つまり、資産バブルのリスクに言及しているのだ。

イエレン議長はそれ以上踏み込んでいないが、この点は今日の金融政策をめぐる厄介な問題に絡んでいる。というのは、インフレ率の安定と雇用の最大化を実現する金利水準と、資産バブルを抑制・回避するのに適正な金利水準が一致する保証はないということだ。
むしろ「雇用・インフレに望ましい金利水準が資産バブル抑制・回避に望ましい金利水準より低くなる」という乖(かい)離が生じる可能性が高い。これこそ過去四半世紀の様々な資産バブルの教訓ではないだろうか。

さらに言えば、米国の景気循環自体が、総需要と総供給のバランスを軸にした実体経済の循環的な変動(business cycle)から、信用の膨張と収縮を伴う資産価格の変動(credit cycle, market cycle)に性質を変えている可能性がある。

ドル高を伴った低インフレが長引く結果、金利の引き上げが延び延びになり、信用の膨張が再び株式か不動産などの資産価格のバブル的高騰を招く危険が、まだ将来のことではあるが、じわりと高まっていると思う。

振り返ると、ITバブル崩壊による景気後退後、当時のグリーンスパンFRB議長は、2003年に景気後退が終わっているにもかかわらず、インフレ率がじりじりと下がり、日本のようなデフレに陥るリスクを真剣に懸念した。結局当時はデフレにはならず景気回復が持続し、2004年6月から金利引き上げに転じたのだが、そのテンポは非常に慎重なものだった。FRBは公式には認めていないが、デフレに陥るかもしれないという2003年の恐怖経験が、住宅高騰下での金融引き締めをスローなものにした可能性があると筆者は思っている。

代々FRBはグリーンスパン議長もバーナンキ議長も、「バブルは破裂してからでないとバブルとは判断できない」という立場であり、資産価格の高騰もそれが実体経済の景気の過熱、インフレ率の過度な上昇として顕現化する場合にのみ金融引き締めで対応すべきであるという方針を取ってきた。

そうした方針の背後には、雇用・インフレに望ましい金利水準と資産バブル抑制・回避に望ましい金利水準のかい離を想定すると、「1つの金融政策で複数の異なる政策目標を追求する」という政策論の原理的な矛盾を認めることになるので、それを回避したい意識があるのだろう。しかし、資産バブルは必ず金融緩和下の信用膨張をベースに起こる。そのリスクを過小評価するコストはあまりに大きかったことが2000年代のバブル崩壊と金融危機の教訓だ。

筆者は米国経済については長期的に強気の見方をしているが、それはリスクの不在を意味しない。イエレン議長がこの厄介な問題にどう対処するか、それが問われる局面が数年以内に到来する気がしてならない。


執筆中
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騰落レシオ25日上過熱圏にあります。

騰落レシオ                                            
騰落レシオは通常、東証一部全銘柄を対象に値上がり銘柄数と値下がり銘柄数の比率から繁閑度を見ようとする指標です。

短期的指標であり、一般的に25日間(約1ヵ月)の変化率を使用します。

一定期間を区切って、その間、毎日の値上がり銘柄数を値下がり銘柄数で割って求めます。
騰落レシオ100%の水準では値上がりと値下がりが同数で、110%では値上がり銘柄が値下がり銘柄より10%多く、90%であれば値下がり銘柄が10%多いことを示します。
レシオの上昇は物色人気の拡大を、レシオの低下は物色人気の下降を意味します。
底入れの時は50%まで下がることが多いとされます。
押し目の時は70%から反転することが多いとされます。
50%から反転し上昇幅が拡大する場合、近い将来相場は大きく人気づくと見られます。
レシオ120%以上は、目先、要警戒天井圏で市況は目先反落する事が多い。
レシオ70%前後は相場の底値圏となり、市況はその後上昇に転じることが多い。


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ストキャスティックなどテクニカルは過熱圏だが・・・

ストキャスティクス

%Kと%Dという2本の線の相関関係から、売買のポイントを読み取ります。 
%Kラインは直近の終値のM日間の価格変動中の相対的な位置を表し、%Dラインはその数値のN日間移動平均となります。 
%Kラインが%Dラインを下から上へ抜いたときに、買いシグナルなどと見ることができます。
%K=(C-L)÷(H-L)*100 
%D=%KのN日間移動平均 
C=終値 
L=過去M日間の最安値 
H=過去M日間の最高値


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回帰トレンドから判断すると 
+1σ(グレイの線)18700円程度 +2σ(水色の線)19300円程度が上値目途と思われます。

回帰トレンド

N日間の値動きから、その傾向を数式で表したものです。 
次数が1の場合は線形回帰トレンドとなり、その値をY、日数をXとすると、Y=aX+bとなります。 
次数が2の場合は、Y=aX2+bX+cです。3次では、Y=aX3+bX2+cX+dとなり、6次まで設定できます。 
また、N日間の値動きの標準偏差をもとめ、回帰トレンド線の上下に+2σ・+1σ・-1σ・-2σの線を引いています。 

[東京 23日 ロイター] - 日本株は上値追いの展開だが「見切り発車」的な要素も多い。来期以降も企業業績が増益基調を続けるには、円と原油価格の水準が安いままで、個人消費や世界経済も回復するという前提が条件だ。

本決算さえも確かめずに株高となっているのは海外投資家が、相対的に割安感のある日本株を海外株高に連動して買っているだけとの指摘もある。

<見えない新たな株高材料>

先行きを織り込む株式市場はとかく「見切り発車」的ではあるが、それにしても今回の株高は「タイミングが早過ぎる」(国内証券ストラテジスト)との声が、市場からも出ている。

2014年10─12月の企業決算は市場の期待値を下回り、本決算と来期の見通しを確かめたいという雰囲気が広まりつつあったところでの株高。同じく10─12月期の国内総生産(GDP)も市場予想を下回った。景気や企業業績を株高の理由に挙げる声もあるが、新たな買い材料が加わったわけではない。

上値を買う主体は、やはり今回も海外勢だ。2月第2週、海外投資家は日本株を現物と先物合計で7591億円買い越した。先物手口では欧州系証券が目立っていることから、欧州系投資家の買いが多かったとみられている。

この買いが日本の経済や企業の再評価を背景としたものであれば、株高の継続性も期待できる。だが、今のところ「欧米株が最高値を更新する一方で、相対的に割安感のあった日本株のウエートを調整するために買いを入れている」(国内投信・運用担当者)だけという見方がもっぱらだ。

<円安・原油安の継続が前提>

トップダウンによるマクロ分析予想では、2016年3月期の上場企業の業績は、10─15%の増益が期待できるとの見方が増えている。ドル/円JPY=EBSが120円付近まで円安方向に動き、原油先物が1バレル50ドル割れまで進んだのは、今期後半であり、このままの円安・原油安水準なら来期は1年フルに享受できるためだ。

しかし、円安・原油安水準が続くというのは、あくまで前提に過ぎない。米利上げが視界に入る中、ドル高・円安シナリオは維持されているものの、これ以上の円安については、意見も割れ始めている。

原油価格も依然不安定で1年通じて低水準で推移する保証はない。世界的に金融緩和が拡大しているのは、ほとんどの国で経済が厳しいからだ。

さらに来々期となる2017年3月期以降も、楽観的な外部環境が続くと予想するには少々無理がある。その時点に至っても日本企業や経済に大きな改善がみられていないとすれば、前年比ベースで増益を達成するには、1ドル130円、1バレル20ドルといった一段の円安と原油安が必要になる。

来期15%増益の予想を示すニッセイ基礎研究所・金融研究部主任研究員の井出真吾氏でさえも、原油安と円安がどう企業収益に影響しているか、本決算を確かめたいと話す。「増益と言っても、原油安と円安の効果がほとんどだ。企業の収益力が本当に向上しているか本決算を確かめたい。1年や2年の短期間の見通しで、長期の株式投資家は動かないだろう」と話す。

<海外投資家は依然アンダーウエート>

フィデリティ投信のアレキサンダー・トリーブス運用部長によると、海外投資家の多くは依然として日本株をアンダーウエートにしている。その理由である人口問題や政府債務、日本企業の競争力などには誤解、不信があると指摘する。

「人口はすぐに減るわけではない。失業率は低下し、賃金上昇圧力がかかっている。低い生産性は上昇余地が大きい。移民の受け入れ余地もある。政府債務が膨張したのは税収が減少したからだ。成長に転じれば改善されよう。テレビなどコモディティ化した製品からロボットや素材、医療機器などにシフトしたことが知られていないだけで、日本企業の競争力は落ちていない」という。

13年に日本株を15兆円以上買い越した海外投資家は、14年には6967億円の買い越しにとどまった。日経平均の上昇率も56%から7%に低下。今年に入っても海外投資家の動きと日本株は連動している。上値を追うには海外投資家の力が不可欠な状況は変わらない。海外の長期投資家がウエートをニュートラルに戻せば、大きな買い圧力になる。

バブル崩壊以降、日本の注目度が下がり、海外投資家で日本をウオッチするか担当者が乏しくなったため、実際に資金が投入されるまでには時間がかかるとトリーブス氏は指摘する。

「少なくとも1年半はかかる」──。日本株にはまだ上値余地があるともいえるが、注目度が高まるということは、それまでに日本の経済や企業がきちんと実力を上げておかなければ、失望に変わるリスクも大きくなるということだろう。

(伊賀大記 編集:田巻一彦)

コラム:金融緩和「懐疑論」の落とし穴=村上尚己氏
【ロイター】2015年 02月 20日 18:10 JST

[東京 20日] - 1月まで海外市場では複数の不確実要因(ギリシャ問題、ウクライナ情勢、原油価格の大幅下落)を背景に、欧州以外の株式市場の上値は重く、一方で米国債などの安全資産が極端に買われ長期金利の低下が続いた。ただ、2月に入って、原油価格の下げ止まりなどを受けて、米国市場では株式、長期金利ともに昨年末の水準まで戻りつつある。

これらの不確実性をめぐる思惑で日々のマーケットは動いているが、一方で堅調な成長が続く米国だけではなく、金融緩和による刺激効果で欧州経済が復調し、先進国経済は総じて回復している。米連邦準備理事会(FRB)が現在想定しているとおりに、年央に利上げを始められる経済状況にあることが認識され、それを踏まえた(FRBの政策を反映した)価格水準が意識されたことが、2月初頭からの株高、金利上昇をもたらしていると筆者はみている。

ドル円相場は、2014年10月末の日銀による追加緩和を受けて、1カ月余りで10円以上上昇し、120円台まで円安が進んだ。ファンダメンタルズの方向はドル高円安で変わらなくても、年間変動率に相当する大幅な円安が短期間で進んだこともあり、ドル円の上昇はさすがに一服した。2014年12月以降は、米欧の株式や債券市場ほどには先に挙げたリスク要因に影響されず、1ドル=116―121円のレンジで推移している。

昨年12月19日掲載の本コラム「ロシア危機でリスクオフの円高到来は本当か」(記事はこちら)で「ロシア発のリスクオフによる円高」などの後付けの解説について批判的に論じたが、とりあえず円高は短期的なアヤにとどまっている。

日銀緩和という大イベントを終え、こう着感が強まっているからなのだろうか。一部メディアによる日銀に関する記事が材料となり、ドル円相場が不安定に動く場面があった。

具体的には、「現時点で一段の追加緩和を行うことは日本経済にとってむしろ逆効果になるとの見方が日本銀行内で浮上している」と、米メディアが(日銀)関係者への取材で明らかになったとして2月半ばに報じ、そのヘッドラインだけでドル円相場が一時円高に急速に振れたのだ。日米の金融政策がドル円の方向性に大きな影響を与えるのだから、仮に日銀の政策スタンスの変化を意味するなら、先に述べた「一時的なアヤ」では済まない。

ただ、実際には、こうした記事で登場する「関係者」が、日銀執行部やスタッフなどの政策立案にかかわる人物なのか不明である。読み手には誰か分からないわけだが、筆者は、黒田東彦総裁率いる日銀の金融政策に批判的なスタンスを崩さない人物が、「関係者」として登場したと推察している。

<「インフレで景気失速」の誤解>

2013年4月以降の金融緩和政策の効果によって、日本経済の回復が始まり、労働市場の需給も改善すると同時に、脱デフレのプロセスが始まった。日銀はその後も、プラス2%のインフレ完遂にコミットして緩和強化を継続し、依然さらなる緩和強化の余地がある、と黒田総裁は度々述べてきた。実際に2月18日の黒田総裁の記者会見の発言を踏まえると、これまでのスタンスと全く変わりないとみられる。

先行してアグレッシブな金融緩和を行ったFRBや日銀を見習う格好で、これまで政治的な制約を受けていた欧州中央銀行(ECB)が2015年からデフレ阻止のための量的緩和に踏み出した。経済安定化を実現するために、成長率を底上げして、デフレ阻止に挑むのは世界各国における潮流になっている。さらに、量的緩和だけでなく、欧州の各中央銀行は、FRBや日銀が踏み出さなかった、マイナス金利政策を導入するに至っている。

日本では、2012年末の安倍政権誕生と日銀の体制刷新によって、先に述べたとおり、強力な政策対応が実現して景気回復が始まった。金融緩和がもたらす景気刺激効果による雇用拡大が支えとなり、2014年4月の消費増税という性急な緊縮財政政策のショックも、何とか乗り越えられそうになっている。金融政策の転換でようやく日本経済や労働市場の正常化が始まったわけで、金融政策の効果の大きさについて多くの国民が気づいているだろう。

先日、2014年10―12月の国内総生産(GDP)統計が発表されたが、3四半期ぶりに日本経済はプラス成長に転じた。米国を中心とした世界経済復調と円安効果で輸出が増え始め、増税ショックから立ち直りつつある。金融緩和によって企業業績底上げと雇用拡大が実現し、消費の落ち込みというショックを和らげたためだ。

これが現実だが、金融緩和策への懐疑論が根強いからだろうか、2014年度に起きた増税後のマイナス成長への景気失速が、「インフレ上昇」によってもたらされたというシンプルな理屈が、最近一部で公然と語られている。

実際には、家計の購買力を奪ったのは、消費増税に伴う家計部門から公的部門への強制的な所得移転と考えられる。名目賃金が緩やかに上昇し始めたが、それ以上のインパクトで大型増税が実施されて家計の実質購買力が目減りしたのだ。

「目標に届かない低いインフレ率にいかに対応するか」という問題に、先進各国の中銀が果敢に対応してきたが、それに加えて、原油安の影響で、多くの新興各国の金融当局が2014年末から同じ問題に直面して金融政策のスタンスを大きく変更している。そのような中で、「金融緩和によるインフレ上昇で景気が失速した」というのは、デフレマインドが定着した日本でしか聞かれない不思議な議論にしか聞こえない。

ちなみに、日本において、現在の完全失業率である3.5%程度では、完全雇用には依然遠いので、名目賃金の上昇は緩やかにしか起きない。正社員などの待遇を求める労働市場の需要は依然として大きく、満たされていないのである。実際に、脱デフレに失敗した2000年代半ばも、この程度の失業率低下は観察された。いったんデフレ期待が根付いてしまった日本において、金融緩和を中途半端に止めるリスクが大きいということだ。

ところで、本稿で指摘したような金融緩和懐疑論が最近目立つようになった一つのきっかけは、3月末で任期を終える宮尾龍蔵日銀審議委員の後任人事が、官邸主導で、現在の執行部を支えるかたちに決まったことと関係しているかもしれない。

かねてから指摘しているとおり、日銀審議委員の選定に関する政府の判断は、アベノミクスを前進させる上で非常に重要である。そして、宮尾氏の後任には日銀副総裁の岩田規久男氏との共著が複数あり、標準的な経済理論に精通した早稲田大学教授の原田泰氏が選定された。アベノミクスを完遂させるために金融緩和を徹底して経済安定化を完遂することが依然重要であることを、官邸は十分理解していると判断できる。

そう考える筆者にとっては、この政治判断は、2015年以降の日本経済、金融市場を考える上で、ポジティブな材料である。ただ、こうした人事に反応してか、金融政策に懐疑的な真逆の見方を持つ方々の水面下の動きが、「関係者」の思いなどのかたちで表れるのだろうか。

また、「物価目標達成の先送りを政府が容認した」「日銀は政治に配慮して金融緩和に早期に動けない」などの議論も最近筆者は耳にしているが、いずれも本質から外れた見立てに思える。これらの見方の根本にも、金融緩和政策への懐疑的な見方が前提にあると筆者は考えている。

それにしても、金融緩和への懐疑的な見方が依然として根強い現状は、アベノミクスが発動された当初からほとんど変わっていないように感じる。筆者のような投資家の目線からみると、非常に興味深い。

「金融緩和は偽薬に過ぎない」などの思いに囚われ、過去2年の株高、円高修正の相場を見過ごしてしまった方が、かなり存在しているとすれば、宴(うたげ)の終わりはかなり先なのかもしれない。


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株価が上がってくると決まって週刊誌には刺激的な内容の株価暴落説が載るようになる。毎度のことだが、中身は読まれた方が良いと思います。

「3月16日月曜日、ブラックマンデー」説 市場関係者が身構える「大暴落」 気をつけろ!
【現代ビジネス】経済の死角 2015年02月13日(金) 週刊現代

株式市場の未来を予測するのは簡単なことではない。ただ、確実に言い切れる未来というのも存在する。たとえば、異常に動く相場はいつか必ず終わりを迎えると—。今回も、予兆が浮かんで来た。

■怯える投資家たち

マーケット関係者が不吉な前兆に気付き始めた。

「ブラックマンデー当時に似てきた」

そんな恐ろしい声が、あちこちから聞こえてくるようになってきたのである。

ブラックマンデーとは、'87年10月19日から始まった米国発の世界的株価暴落劇のこと。史上最大かつ最悪の金融事変で、この日が月曜日だったことから「暗黒の月曜日」としていまなお語り継がれる。

この日、ダウ平均は一日で20%以上も下落。パニックは瞬く間に世界中に伝播し、日本でも翌20日に日経平均株価が15%も急落する大惨事に発展した。

実は一部の市場関係者の間では、「次のブラックマンデー」の日付が具体的に指摘されている。いま再びのブラックマンデーがあるとすれば、今年3月16日の月曜日が危ないというのだ。あとわずかひと月余り先のことである。

そんな有事が繰り返されるとは想像もしたくないが、市場関係者は警戒モードに入っている。世界のマーケット事情に詳しいRPテック代表の倉都康行氏が言う。

「金(ゴールド)の価格が上がり始めています。世界中のマーケットにはジャブジャブとカネが溢れていて、いままでそれは米国株を中心としたリスク資産に流入していた。しかし、ここへきて投資家たちがなにかに怯えるように、『有事の金』へ資産を移し替えている。これからなにが起きるのかわからないというマーケットの不安を象徴しています」

 世界中で株価が不安定な動きを始めたのも、「不気味なシグナル」(米在住ヘッジファンドマネージャー)だ。

たとえば米国市場は、一日にニューヨークダウ平均が300ドル以上も動くジェットコースター相場に突入。株価変動率が歴史的な低水準だった昨年とは風景が様変わりしている。過去の歴史的な株価暴落劇の前にはこうした壊れた機械のようにグラグラとふらつく相場が見られることから、「短期的な大幅上昇と急落の繰り返しは'87年10月のブラックマンデーや先の金融危機前の状況に似ている」(ロイター)と、その先に歴史的な暴落が連想され始めた。

株式評論家の渡辺久芳氏も言う。

「米国株は史上最高値を取るまで上昇してきたのに、出来高はリーマン・ショック以降、一貫して減少していることが気になります。皆が買っているため、売り物が出ていないということ。こうした状況で株価が大きな調整に入ると、これまで溜まっていた売りが一気に顕在化する危険性がある。つまり、売りが売りを呼ぶ状態になり、さらに売りが加速してしまうのです」


■「上げ3ヵ月、下げ3日」

日本株にしても、同様の不安定相場へと足を踏み入れていることはご存じの通り。年始から一日に日経平均株価が300円も動く異次元モードが続いており、事態が沈静化する気配はない。安倍晋三総理や日本銀行の黒田東彦総裁は強気姿勢を崩さないが、マーケットの見方は違う。カブドットコム証券チーフストラテジストの河合達憲氏が言う。

「日本株は昨年10月31日の日銀による追加緩和で跳ね上がって以降、株価が1万6700円から1万7900円台というボックス内を推移しています。すでにこの間で3往復しており、相場に方向感がなくなっている。ここから春先に向けて企業の決算期を迎えるが、円安の恩恵もあり多くの企業が大幅増益になるでしょう。それを受けて『日経平均2万円』の可能性も出てくるが、方向感がない相場から一方向に一気に動く時は過熱状態になっていく。

そこで何か突発的な事態が起きて梯子を外されると、『上げ3ヵ月、下げ3日』という相場格言があるように、株価は想定外に逆方向に動くリスクが高まります。ブラックマンデーの時もそうでした」


もちろん、世界の株式市場は今年も好調を維持していくと楽観的に見通す向きも少なくない。その通りに事が運んでくれればうれしいが、われわれが生活防衛するためには、最悪の事態に備えたほうが得策だろう。

プロたちが予想する最悪シナリオをまとめれば、まずこれから3月にかけて相場は上昇モードで進んでいく。しかし3月16日前後にはイベントが満載で、いずれかが悪い形で火を噴けば、上昇基調だった株価が一転して崖から転げ落ち、ブラックマンデー級の暴落劇が幕開けするというのである。

まず警戒されるのが中国リスクである。
中国では3月5日から、国会にあたる全国人民代表大会が北京で開催される。ここで'15年度の経済成長目標を公表する予定で、'14年度に「7・5%前後」だったそれを、どこまで引き下げるかが注目される。「7%前後」というのが市場の大方の予想であり、それ以下の目標が発表された場合には市場が動揺する。

「注意点はそれだけではない」と、RFSマネジメントの田代秀敏チーフエコノミストは言う。

「気をつけて見るべきは、中国の不動産政策です。中国では不動産不況が始まっているとはいえ、いまだ住宅価格が高止まり状態にあります。中国政府はこれを引き下げなければならず、その最終的な手段は金利引き上げになる。しかし、中国では昨年11月に、中国人民銀行が突然の利下げに踏み切り、これが上海株を上昇させた。仮にこの3月の全人代で住宅価格引き下げ政策が公開されれば、金利引き上げの連想が働き、上海株下落への警戒感が高まります」

 毎年、全人代直後には中国株が下落するのが「恒例行事」(中国経済に詳しいジャーナリスト)となっているが、今年はそれに輪をかけて、下落幅を広げる可能性がある。田代氏が続ける。

「昨年11月から、上海証券取引所と香港証券取引所が相互取引を開始したからです。それまで海外投資家の取り引きが制限されていた上海株に、香港取引所を通じて一定の上限額までは自由に投資ができるようになったいま、海外投資家が香港経由で資金を引き上げれば、これまででは考えられないほど株価が下落する恐れがあります。その際は、東京の株式市場にも相当のショックとなり、日本株暴落を引き起こしかねない」

ちなみに全人代は10日間ほど開催される予定なので、まさに3月16日の月曜日が危険日となるわけだ。

■日経平均株価5000円

次の舞台は欧州。3月は5日のECB(欧州中央銀行)理事会から始まり、9日のユーロ圏財務相会合、10日のEU(欧州連合)財務相理事会、16日をはさんで19日のEU首脳会議と主要会議ラッシュなのだ。

最大の焦点はギリシャの動向。通貨・国際投資アナリストの小口幸伸氏が言う。

「このほどの選挙で勝利した急進左派連合から新たに財務相に任命されたバルファキス氏が、EUとどう交渉していくかがポイントです。EU側は緊縮策の継続などを求めるとされていますが、バルファキス氏は強気な姿勢で知られており、交渉の先行きは不透明。仮にギリシャがユーロ離脱などの強硬策に踏み切れば、市場は大きく動揺するでしょう。欧州では他国でも独立運動がすでに多く起きており、スペインなどに波及するリスクも出てきます」

 前出・倉都氏は「ドイツのメルケル首相の動向にも注目すべき」と指摘する。

「ECBのマリオ・ドラギ総裁はこのほど量的緩和を始めることを決めましたが、いまだドイツ国内にはこれに反対する空気がある。特にマーケットの不安心理を高める引き金となり得るのは、ドラギ総裁とメルケル首相の関係です。

'12年の欧州危機時、ドラギ総裁が緩和政策を打ち出すとドイツ連邦銀行のワイトマン総裁は猛反対したが、メルケル首相はドラギ総裁を支持した。しかし、今回の量的緩和が決まった際の記者会見で、メルケル首相はドラギ総裁を婉曲的に批判する発言をしている。ドイツの首都ベルリンと、ECB本部のあるドイツ西部のフランクフルトの間に壁ができつつある。これがより鮮明になれば、欧州売りにつながりかねません」


 われらが日本では、まさに3月16日その日から日銀が金融政策決定会合を開催する。黒田総裁が掲げる「2%」の物価目標達成に暗雲が立ち込めている中で、日銀が3度目のサプライズ緩和に踏み切るのは4月だというのがマーケットの想定シナリオだが、早ければこの3月に前倒しされる可能性がある。

しかし、日銀の緩和はすでに円安と物価高という副作用をもたらし、日本経済を足元で蝕んでいる。ここでさらに日銀がアクセルをふかせば、庶民生活や景気実態を顧みずに数値目標だけを見る日銀総裁の限界が露になり、マーケットが一斉に日本売りへと走る危険性が出てくるのだ。

同志社大学大学院教授の浜矩子氏が言う。

「日銀は国債を買い漁っていますが、物価目標の2%達成は遠のくばかりです。目標が達成できないのであれば国債を買い続けなければいけませんが、国債の量は限られているのでいつか限界に達します。仮に目標を達成できたとしてもその際には日銀が国債購入を止めることになるので、日銀買いで支えられていた日本国債は暴落を始めるでしょう。このように日銀の異常な政策には出口がない。

そうした政策の限界が露呈し、日銀の屋台骨が崩れるようなことになれば、日経平均株価は5000円くらいまで値下がりしても不思議ではありません」


 ■「全部売れ!」

続けて見れば、3月17日から18日にかけて、米国でFRB(米連邦準備制度理事会)が金融政策の方針を決めるFOMC(米連邦公開市場委員会)が開かれる。

「FRBを巡っては、現状ではジャネット・イエレン議長が6月に利上げを決めると見られています。3月のFOMCでは、その利上げについての最終議論が行われる可能性が高い。利上げ自体は既定路線ですが、リーマン・ショック以降過去6年強にわたり続いてきた金融緩和策が、打って変わって金融引き締め策に転じるのだから、市場では拒否反応が出ると見るのが自然です。つまり、この3月での議論内容によっては市場が不安定な状態になる可能性が高い」  (前出・河合氏)

 となれば、17日の会合前から市場関係者は警戒モードに入り、政府要人の失言や事前に漏れる些細な情報をきっかけにして暴落劇が始まるシナリオは十分にありえる。特に疑心暗鬼が渦巻く相場環境にあっては、周囲よりも先に売り逃げることが傷を最小限におさえるための唯一の作法。16日の月曜が最も危ないとされる所以はここにもある。

総じてみれば、各国政府の動向が最大の焦点になるということだが、それも当然。現在の金融市場は「米欧、日本などの中央銀行が主導して作った異常な相場であり、民間が先頭を走って起こしたものではない」(在米投資銀行家の神谷秀樹氏)からだ。

先進各国が歴史的にも見られなかったほどの金融緩和に踏み切る中で、ジャブジャブと溢れたマネーが相場を動かしているのが世界の株式市場の現状。言い方を換えれば、各国当局の金融政策如何でマネーの動きが大きく揺らぐ世界的な官製相場なのである。

実はこうした事情も、ブラックマンデーを想起させる一因となっている。

「'87年にブラックマンデーを引き起こした原因の一つには、各国の中央銀行の足並みが揃わなかったことがあげられます。当時はドイツと米国の間で政策の相違が発生し、これが株価急落のトリガーを引いた。そしていま、各国は協調態勢を築きにくくなっている。米欧中、そして日本などの歩調が乱れた時、ブラックマンデーの再来が意識されやすい状況なのです。

こういう時は、政策当局者の失言ひとつでマーケットは乱れる。'92年に英国発のポンド危機が起きた時も、ドイツとイギリスの中央銀行トップの意見対立を見たヘッジファンドが、売り仕掛けに動きました」(東京海上アセットマネジメントの平山賢一チーフファンドマネジャー)


 ブラックマンデーが起きれば、どんな惨事になってしまうのか。

'87年当時の状況を、日興証券のニューヨーク支店でこの暴落劇に直面した作家の板谷敏彦氏が振り返る。

「みなで崖から飛び降りるような一日でした。直前の週末にニューヨークダウ平均が大きく下げていたので、多くの人が株価は切り返すだろうと思っていたのに、この日は取引開始から投げ売り状態に突入した。しかも、売り注文を出してもいくらで売れたか、どのくらい売れたのかがまったくわからない。売り注文が殺到しているから株を売れない状況になっていて、『全部売れ』『どうなったんだ』と怒声が飛び交いました。

そうした中で、外出していた社員の一人が戻ってきた。彼はコンピューターの表示を見て、『ダウ平均がマイナス500ドル?コンピューターが壊れていますよ』と笑って、みんなの顔を見た。しかし、私たちが真顔で『いや、壊れてないんだ』と言うと、その駐在員も真っ青になって……。あとは株価はどうなってしまうのかと、みなで呆然とすることしかできませんでした」


 当時、東京銀行の為替リーディングルームに在籍していた龍谷大学経済学部教授の竹中正治氏も言う。

「米国株の大暴落を前にして、『何が起こったんだ』と大騒ぎでした。『米国の証券会社が大損したようだぞ』などという情報が入ってくるたびに、血の気が引いていくのです。対応も混乱をきわめました。為替課長が『ドルの暴落が来るぞ』とドルを売りまくったのですが、月曜日以降すぐにはドルがほとんど下がらなくて、もう何が起こるかわからない混乱が広がって行きました」


■原油安リスク

それだけに当時と状況が似てきたというのは穏やかな話ではない。しかも、いま再びのブラックマンデーとなれば当時以上の悲劇になる危険性が高いとプロたちは口を揃える。経済・金融アナリストの津田栄氏が言う。

「ブラックマンデー時には、米欧日の中央銀行が協調して金融緩和策を打ったことで打撃を抑えることができました。しかし、現在の先進各国はすでに大規模な金融緩和策を実施していて、打てる対策があまりないのです。各国が対応できなければ、世界的に株価が大暴落したあとにも株価が戻らず、世界的な不況になっていくでしょう。ブラックマンデーどころか、世界は'29年の大恐慌のようなことになるかもしれません」


マーケットバンク代表の岡山憲史氏も言う。

「大暴落相場になれば、ヘッジファンドはブラックマンデーの時と同じように先物からどんどん売り浴びせてくるので、個人投資家は対応できません。現在はコンピュータープログラムによる高速売買がより発達しているので、短期的に売りが売りを呼ぶ展開となるでしょう。もちろんその分、谷も深くなります。

これからマーケットは3月にかけて上昇していくでしょう。しかし3月には大調整が来て、その高い山が上から崩れる危険性があると注意すべきです」


最後に言い添えておけば、3月危機を無事に乗り越えたとしても、安心してはいられない。いちよしアセットマネジメント執行役員の秋野充成氏が言う。

「いま欧州や日本の中央銀行が金融緩和をしているのは、建て前上は株高のためではなく、インフレを引き起こすことが目的です。しかし、日本の現状を見てもわかるように、金融緩和で過剰にカネを流動させても物価高にならなくなっている。今後はこうした政策の是非に議論が及び、日本や欧州の中央銀行が金融緩和を止めるという政策転換に踏み切る可能性すら捨てきれません」

 それは市場の想定シナリオが完全に狂うことを意味するので、かつてない暴落劇を引き起こすだろう。

金融史を紐解けば、活況を呈していた市場が轟音とともに崩れ落ちていく例はいくつもあった。そしていま、世界にはこれでもかと爆弾が埋め込まれている。

「原油リスクも燻っています。原油価格の下落で倒産する会社が増えれば、そうした企業の発行する債券のデフォルトが問題化してきます。それだけでも市場心理を冷やしますが、いまは米国が『イスラム国』に対して地上軍を投入するのではないかという噂も出ている。仮に地上戦が始まれば、市場は一気にリスクオフ状態になることは間違いありません」(前出・渡辺氏)


もはやなにが起きても不思議ではない—。

「週刊現代」2015年2月14日号より
もはやなにが起きても不思議ではない—。
あたりまえだ!いつも何が起きても不思議ではない!

一方ピーター・タスカ氏は 2015年3月号の Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)において、”ピーター・タスカが予想する「これからの日本」 日本の株高は「20年上げ相場」のはじまりにすぎない” という記事を執筆しています。

最近強気の武者陵司氏は
という記事をロイターに書いています。

ブラックマンデーは、よく暴落の代名詞のように言われるが、米国の大上昇相場相場のスタートラインの初押しにすぎなかった。ブラックマンデ-は1987年10月19日前日2246.76から508.00ドル安の1,738.74ドルへ22.61%下落した暴落だが、2015年2月13日のNYダウは49.97ドル高の18,019.35ドル。実に10倍になっている。

>「金(ゴールド)の価格が上がり始めています
はぁ???
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>『有事の金』へ資産を移し替えている。
チャートを見れば一目瞭然、説得力に欠けるなぁ!
中国リスク
これは要警戒だ!私は2001年からずっと中国崩壊を願ってましたが・・・結果は大外ししてしまいました。だがいい加減中国は人口ボーナス期が終わり人口オーナス期に突入している。中国バブルは限界にきている。
2015年、中国という国は一体どうなるのか。本欄はこれから2回連続で、経済と政治における「中国の2015年」を概観的に予測していくこととする。

今回はまず経済の予測に当ててみよう。

年明けの1日、重要な意味をもつ数字が手に入った。中国指数研究院は、またもや「昨年12月の全国100都市の不動産平均価格が前月より下がった」と発表したのである。これで昨年5月から連続8カ月の下落であり、本欄が数年前から予測している「不動産バブルの崩壊」は確実に進んでいるように見える。

実は昨夏あたりから、中央政府と地方政府は「救市(不動産市場を救うこと)」と称して、久しぶりの利下げを断行したり、不動産購買への規制をことごとく撤廃したりして必死の努力をしていたのだが、不動産市場の低迷と価格下落を食い止めることはできなかった。「政府はいつでも不動産価格をコントロールできるからバブルの崩壊はない」という中国式の神話は今や破れつつある。

問題は今年はどうなるのかである。昨年末に発表された中国社会科学院の「住宅白書」は、14年の住宅市場に関して「投資ブームの退潮、市場の萎縮、在庫の増加」などの問題点を指摘した上で、「15年の住宅市場は全体的に衰退するだろう」との予測を行った。

そして昨年12月29日、国務院発展研究センターの李偉主任は人民日報に寄稿し、15年の経済情勢について「長年蓄積してきた不動産バブルが需要の萎縮によって破裂するかもしれない」と語った。国家直属のシンクタンクの責任者が「不動産バブル破裂」の可能性を公然と認めたのは初めてのことだ。前述の社会科学院白書と照らし合わせてみると、どうやら中国最高の頭脳たちの間では、不動産バブルがそろそろ崩壊してしまう、という共通認識が既に定着しているようである。

今の趨勢(すうせい)から見ると、本格的なバブル崩壊がまさにこの15年に起きる可能性が大である。それが現実に起きれば、中国経済全体は一体どうなるのか。

これまで不動産業は中国経済の支柱産業だと呼ばれていた。09年1年間、土地譲渡や住宅販売などによって生み出された不動産関連の経済価値総額が7・6兆元(約150兆円)に上ったという試算がある。それは同年の中国GDP(33・5兆元)の実に2割以上を占めている。

09年以降もずっと不動産投資の伸び率は経済全体の伸び率の「倍以上」を維持しているから、GDPに占める不動産業の比率は今もそう変わっていない。

しかし今後、バブルの崩壊に伴って不動産業が「全体的に衰退する」となれば、中国経済の受ける打撃は「成長率の1、2%低減」という程度のものでは収まらない。

さらに問題は、中国政府が表した昨年の「7%台の経済成長率」が実に疑わしい、という点である。

一国の生産活動の盛衰を見る重要指標の一つが電力の消費量であることはよく知られる。13年、政府公表の成長率は7・8%であったのに対し、この年の国内の電力消費量の伸び率も同じ7%台の7・5%であった。しかし、14年、国内の電力消費量の伸び率は急速に落ち、13年の半分程度の4%程度となっているから、昨年の成長率が依然7%台であるはずはない。既に数%台に落ちていた可能性が十分にある。

だとすれば、支柱産業の不動産業が「全面的衰退」を迎えるこの15年、中国経済の高度成長は完全に止まってしまい、場合によっては「マイナス成長」の悪夢が襲ってくることもありうる。

結論からいえば、15年の中国の実体経済は確実に沈没してゆくこととなるのである。
最大の焦点はギリシャの動向。
(略)
急進左派連合(SYRIZA)を中心に誕生した新政権は、ユーロにとどまりたいと考えている。だが2月末に期限を迎える現行の支援プログラムを延長するか、あるいはそれに代わる支援の枠組みを設定することで欧州連合(EU)側と合意できなければ、財政破綻やデフォルト(債務不履行)によって、いやでもグレグジットに追い込まれかねない。

もしもユーロから離脱すれば、ギリシャ経済に対して残っている信頼感は消滅するので迅速な政策対応が必要になる。
(略)
まあ、確かに・・・どうしようもない問題児ギリシャの処分をユーロがどうするか決めることなのだが、グレグジット(ギリシャのユーロ離脱)はEUとギリシャにとって伴にマイナス要因だ。もし、ギリシャがユーロを離脱したらギリシャはもっと生活が苦しくなるだけで、ギリシャが何か新しい金融システムを再創造することなどできやしない。結論から言えば、ギリシャ国民がよほど馬鹿でなければギリシャが我慢するこでこの問題はフェードアウトすると思う。
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> 浜矩子氏が言う。
1ドル50円と公言し、自分がアホノミクスの浜矩子の言うことなど何の説得力も無い。浜矩子を出した時点でこの記事は説得力を失うのである。

毎年恒例で高橋乗宣と危機だ失速、総崩れ、恐慌だとか・・・
もう、オオカミ少年いや紫オオカミババアだ!いつかは当たる年もあるだろうが、単に万年弱気なだけだ。
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日銀の買い支えがなくなれば国債が暴落して日経平均5000円だってさ!
日銀の国債引き受けとは、政府が発行した国債(つまり国債供給の増加)分だけ、日本銀行が国債を買取る(国債需要の増加)わけですから、需要と供給は同じだけ拡大して価格は変化しません。つまり国債金利は上昇せず一定となる筈です。
日銀による国債引き受けによって日銀がマネーを供給し、政府が財政支出を行った場合、当初流動性効果による長期名目金利の低下の影響が強く、企業の内部留保が潤沢で資金需要が大きく拡大せず、デフレギャップが大きい状態であるのならば、長期名目金利は減少すると予想されており、今がその状態だと思います。その後、より潤沢に資金が提供されていき、資金需要が拡大していけば、予想インフレ率が明確に上昇していけば、長期名目金利は上昇していく。
日銀が国債の借り換えのための引き受けを行った場合には国債の名目金利が上がっていますが、予想インフレ率を考慮した実質金利は下がっています。つまり、インフレ率の拡大による名目所得増加効果が国債金利上昇による利払い費増加の効果を上回って、実質金利は下がる。国債が暴落して金利が急騰するという可能性は小さいと思われます。

債券の変調が示唆する景気回復と原油底入れ=木野内栄治氏   【ロイター】2015年 02月 13日 13:04 JST

木野内栄治 大和証券 チーフテクニカルアナリスト兼シニアストラテジスト
[東京 13日] - 「株式市場は債券市場の愚かな弟」と言われる。確かに、株式市場は先読みが過ぎて見通しを間違うことがあるが、日ごろ慎重な債券市場の利回りが大きく上昇した場合、景況感は底入れし回復トレンド入りとなることが多い。
国内景気の底入れは、実は国際原油市況の底入れにもつながりやすい。株価の一段の上昇を促そう。
株式市場はファンダメンタルズなどを半年前後先行して織り込むと言われる。一方で、債券利回りは景気動向などを織り込む際に、株式よりも慎重だろう。結果、株価と債券利回りは景気のボトム圏では底値の時期がずれやすい。
例えば、2009年3月の「景気の谷」の時期では、日経平均のザラ場安値が08年10月なのに対して、日本10年債利回りの底は08年12月と、2カ月程度、債券利回りが底入れするのは遅かった。
景気の認定日付は多少前後するものの、谷の近くにおいては、こうした株価と債券利回りの2カ月程度の底入れのずれはしばしば観測される。例えば、1993年11月の株式の底に対して94年1月に債券利回りは底入れ、2003年4月の株式の底に対して同年6月に債券利回りは底入れした。
言い換えると、今回のように株価に対して債券利回りのボトムが遅れた状態は、景気が好転したサインだと言える。
2014年は4―6月期、7―9月期と日本の国内総生産(GDP)は二期連続でマイナス成長なので、一般には景気後退期と言われるだろう。しかし、債券利回りの上昇は、成長率の拡大局面が当面継続することを示唆している。
<景況感は回復する可能性大>
株価に遅れた債券利回りの底入れという現象以外にも、筆者は日本の景況感が回復する兆候があると考えている。
まずは景気指標の改善が期待できる。例えば、景気ウォッチャー調査の現状判断DIは1月分までで2カ月連続で改善し、今後も改善が見込める。なぜなら、同指標は統計発表以来、2月分は2度、3月分は1度しか前月比で悪化したことがないからだ。
そのような季節的な動きで景気の底入れを予想するなと言われそうだが、日本の景気の基準日付の谷は戦後の15循環のうち、1度を除いて14回が下半期であり、そもそも季節性が強い。
細かく見ると、10―12月期が景気の底であることが9回で、これらは10月段階で米景気が回復過程にあるときに限られる。米国のクリスマス消費が良いとなれば世界的に製品の作りこみが始まり、日本の景気も底入れするのだろう。
1―3月期が景気の底であったケースは5回で、前年の10月段階で米景気が後退しているケースが多い。クリスマス消費向けの作りこみが世界的に伸びなくても、多くの場合は生産ほどには消費が落ち込まないので、結局、在庫整理が進んで景気は底入れすることが多い。近年では中華圏の旧正月消費の影響も加わっているだろう。
なお、一度だけ上半期に景気の底入れとなったことがあるが、そこでは直前に米景気が底入れしている(1958年)。いずれにせよ、日本の景気は海外消費に対する思惑などを受けて、ほとんどが下半期に底入れしてきた。季節性は重要だ。
また、原油価格の下落は、家計における暖房費負担の減少を通じて、冬場の消費を刺激しやすい。年間を通じた産油国からの所得移転は、日本では主に下半期に効果が出やすいことになる。今回の原油価格の下落は、米国のクリスマス消費に好影響を与えるには波及時間が足りなかったようだが、1月以降の米消費や中華圏の2月の旧正月消費を刺激すると期待される。よって、今後は日本の景況感は改善していくことが期待できよう。
<原油価格の底値は11月から1月が多い>
原油価格の下落によって、世界の消費が冬に刺激されるならば、景況感の改善を受けて原油価格の底値は冬に多いはずだ。実際、原油価格が大きく下落した後の底値の月は、1993年が12月、98年が12月、2001年が11月、08年が12月と冬場が多い。今回のように短い期間での原油価格の下落では1月安値も散見される。
また、世界の景気次第である日本の景気が底入れするとなれば、世界景気の持ち直しで原油の価格が底入れしやすい。実際、日本の景気の底は1993年10月、99年1月、2002年1月、09年3月だ。上記の原油価格の底入れ時期とほぼ同じであることが確認できる。
そして、これらは日本の債券利回りの底の時期とも概ね一致しやすい。前述のように、債券利回りの上昇や季節性が日本の景気の底入れを示唆する中では、原油価格の底入れも期待できることになる。
さて、今回の原油価格の下落には欧州銀行によるポジション外しも影響していた可能性があり、年末で需給悪は峠を越えたと見ている。
欧州でも銀行の資産運用は債券が主だ。債券ポートフォリオのリスク量を小さくできれば、その分運用金額を増やすことが可能で、最終的に受け取り利息合計金額を最大化する手法がとられているケースが多いと思う。そのリスク量を小さくする手法のひとつとして、日々の価格変動(バリューアットリスク)を抑えるために債券価格と逆連動となる商品の先物を組み込むことが有効だ。
特に、欧州銀行は商業銀行業務と証券業務を併設するユニバーサルバンク形態なので、伝統的にデリバティブズを利用したこうした手法に長けている。欧州勢を中心に形成されるバーゼル規制に最適化し、ヘッジファンドのかたちでビークル(器)を外出ししながら、こうした運用手法は拡張してきた。
しかし、米国の「ボルカールール」が、こうした運用に一定の歯止めをかけようと切り込んだかたちとなった。結果、昨年末にポジションの縮小が相当起きたように見える。
報道によれば、仏ソシエテ・ジェネラルの日本における証券業務会社であるニューエッジ・ジャパン証券は、商品先物業務を縮小することを決めた。日経平均先物同様に、同社は東京商品取引所でもトップ級のシェアを有する。また、クレディ・スイスは、ヘッジファンド向けサービス業務の縮小を検討し始めたと報じられた。同時に、欧州最大のヘッジファンドであるブレバン・ハワード・アセット・マネジメントは商品ファンドを清算すると伝えられた。
こうした原油などの商品先物の需給悪化は昨年末に峠を越えた可能性が高い。なお、後述するように、今年6月にも影響が少々示現する可能性もある。
<来年半ばにも債券相場は正念場へ>
債券利回りの上昇局面入りを確認する価格水準は、26週移動平均線(0.443% 2月10日現在)程度だろう。同移動平均線は消費増税前の景気の山である2014年初以来、金利の上値を押さえている重要な抵抗線だ。景気回復となれば上抜けることが期待される。
時期を考えると、期末・中間期末である3月と9月は債券利回りが上昇しやすい。中でも、月の前半に上昇しやすく後半は低下しやすい傾向がある。月の前半は国債入札による需給悪が作用し債券利回りは上昇し、後半は日銀の買い入ればかりが目立って利回りは低下しやすいのだろう。今回は景気回復基調に支えられて、3月上旬に日本の10年国債利回りは0.443%程度を上抜けることになると考えている。
ボルカールール導入は今年7月なので、前述の欧州銀行に関しては、6月の中間期末前には再度ポジション縮小を行う懸念がある。原油に関しては6月には建て玉の多い6月限の受け渡しが始まるので、昨年12月同様に生産者のヘッジ売り単価の一段の下落が問題となりやすい。6月5日には石油輸出国機構(OPEC)定例総会も予定されている。6月下旬頃からのイスラム世界の断食月(ラマダン)入りまでは思惑が交錯しよう。
しかし、この時期までに「原油価格下落は景気回復要因」とのコンセンサスが生まれている可能性が高い。ガソリン価格の低下を通じて夏季休暇シーズンのドライブ消費などを刺激するだろう。これまでは原油価格下落による不安感から債券利回りは低下してきたが、年央には原油価格下落は債券利回りの低下要因ではなくなってくる可能性もある。
さらに、2016年の半ば頃からは、原油安に伴うインフレ率低下の影響がなくなる場面がやってくる。この場面が債券相場の本当の正念場となろう。言い換えると、それまでは景気回復基調の中でも金融緩和圧力がくすぶるという、株式投資に安心感がある場面だと見て
いる。
木野内栄治氏の見解は大凡いつも正しいのだが、原油価格はまだ下げの第一波動が終わったにすぎないと私は思っています。

昨今、株価の上下動(ボラティリティ)が大きくなってきている。

週刊誌記者はヘッジファンドについてなにか神のごとく万能だと思っているようだが大間違いだ。FRBバーナンキ前議長とイエレン議長は利上げをするなあたり入念な準備をしている。

リーマンショック後、信用危機は欧州に伝わり、この信用危機でも儲けてきた。超緩和のドルマネーを使ったヘッジファンド等の投資集団は円高ドル安時代思うがまま資金を調達しては、各国のマーケットを思うがままに操作して利益を上げてきた。リーマン・ショック後の世界経済は米国からタレ流されたドルが世界のあらゆるところにあったことから投機投資のための短期資金には困ることなく、どこからでも調達できた。従ってウワサを流しては大量のカネを調達して売りまくったり、買いまくったりした。一時期は世界のもうけはすべてヘッジファンドの懐にとびこんでいく状況であった。
こうした流れがわかった時、FRBは早急にQE政策の緩和を進める決意をした。そして今年10月にQE3も縮小政策を発表し、さらに欧州危機の原因が南欧を中心とする野放図状態になっていた欧州の金融機関のバランスシートにあったことがわかって、この粛正にのりだした。
だが、
FRBは金融緩和を止めるにあたって、ヘッジファンドを野放しにしては、大暴落を引き起こしかねないヘッジファンドの締め出しを始めた。米国における健全性に関する包括審査などで、ヘッジファンドへの融資は規制され、ボルカールール等、資金の蛇口を絞めて回った。
欧州では欧州中央銀行によるユーロ圏主要銀行を対象とした健全性に対する法律が6月から制定され、米国でも金融機関に対する質の強化法案が制定された。金融市場でこうした質の悪い金融機関の粛正が始まり、欧米の市場からこうした金融機関は去っていかねばならなくなった。
欧州の銀行ストレステスト、25行不合格 大半が資本不足解消
 これによって世界のマーケットでは、ヘッジファンドの店じまいによる最後の売りが発生したため、今年3-5月にかけてドル売り、株売りが発生した。今年12月には金融機関の6月から実施されたストレステストの二回目の決算内容が発表される。健全性に関する包括審査では、ヘッジファンドとおぼしき金融機関との癒着も固く禁じられており、これに違反するものは市場から去らねばならないとされている。6月からの法律施行からヘッジファンドには需要面からの後押しがなくなり、ヘッジファンドが一方向に相場を動かす力はかなり弱まってきている。
その結果がこれだ!
Hedge Fund Shutdowns Reaching To 1K, Most Since 2009.

米株相場が上半期になぎ状態だった反動で、ヘッジファンド業界に荒波が押し寄せていました。

業界調査会社ヘッジファンド・リサーチ(HFR)によると、上半期で閉鎖に追い込まれたヘッジファンドの数は461件にのぼりました。このままでいけば、今年は1000件を突破する可能性が濃厚だといいます。金融危機が直撃した2008年の1471件を下回るとはいえ、2009年の1023件以来で最多となる公算です。

バロンズ誌がヘッジファンドの苦戦を伝えたようにパフォーマンス悪化が災いし、閉鎖数は2013年の904件から10.6%増となる見通し。前年比ベースで増加すれば、4年連続となります。

ヘッジファンドの開設/閉鎖数、青の棒グラフは開設数、赤は閉鎖数を表します。

(出所:Barron’s/WSJ )

閉鎖されたヘッジファンドのうち、1)マクロ系ファンド、2)コモディティ・ファンド——が仇となりました。9月までの年初来でマクロ系ファンドから207億ドル(2兆4630億円)もの資金が流出、原油安や金の下落などを背景にコモディティ・ファンドからは115億ドル(1兆3690億円)流出していたのです。

そういえば、億万長者で石油・ガス開発大手コンチネンタル・リソーシズのハロルド・ハム最高経営責任者(CEO)兼会長も、6月から約30%も落ち込んだ原油安に泣いた1人。コンチネンタル・リソーシズの時価総額は8月から11月28日までのわずか3ヵ月で200億ドルから100億ドルへ半減したと伝えられています。ハム氏は離婚した元妻からも10億ドルと桁外れな慰謝料を請求されており、泣きっ面に蜂そのものといった状況です。

閉鎖数が前年比で10%超える見通しでも、総資産額は着実に増加しています。10月までの年初来で前年比1900億ドル(7%)増加し、ヘッジファンド業界の総資産は2.82兆ドル(約335兆円)に達していました。より確実に高いリターンを遂げるヘッジファンドへ、投資家が機動的に動いていることが分かります。
とはいえ、1987年のブラックマンデー
高度な金融工学の登場とコンピュータの普及とが相まって引き起こされたブラック-ショールズ方程式大規模な株式ポートフォリオに保険を提供するようになっていた。このポートフォリオ・インシュランスは先物を使ったヘッジ手段で、市場が下落しだすと売りを増やし、損失と先物売りの利益がほぼ同じようになるようにすものだから、市場が下落し始めるとコンピュータが自動的に売り注文を出した。ブラックマンデーはブラック-ショールズ方程式によって引き起こされたようなものだった。
だが、コンピュータープログラムによる高速売買は危険だ!
在はコンピュータープログラムによる高速売買がより発達しているので、短期的に売りが売りを呼ぶ展開となるでしょう。もちろんその分、谷も深くなります。

週刊現代の記事を真に受け恐れることはないが、警告には注意を払っておいて損はない。


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日経平均は9月25日の高値(1万6374円14銭)から10月17日の安値まで1800円強下落し、テクニカル面では騰落レシオなど複数の売られ過ぎシグナルが出ているものの、世界同時株安、市場波乱の要因は「4つのEのおかげで依然不安定要素がある。
 
 End テーパリング終了不安
米株の「量的緩和(QE)相場」が波乱のときを迎えている。今月にもQE第3弾が終了する見込みで、潤沢な流動性に支えられてきた上昇相場が転換点を迎えるためだ。スタートから66カ月が過ぎ、歴史的に5年といわれる上昇期間を経過。
 Euro ユーロ諸国経済懸念
マーケットはECBが2日のドラギ総裁の会見で、FRBの事例を踏襲した大胆な金融緩和を発表し、同時に欧州の銀行システムに対する信頼性に足る資本増強策も打ち出されると期待していたのに、ECBはこうした期待をひどく裏切ってしまった。
世界的な株安はその翌日に始まった。それでもドイツ政府は自らの外交政策と欧州で財政緊縮を進めることが経済的にはマイナスであるにもかかわらず、なおもフランスやイタリアに目先の歳出削減を要求している。

欧州委員会は29日、フランスとイタリアの予算案に対する評価を公表し、26日のウクライナ議会選(訂正)は自己破壊的な制裁をやめる機会を提供するだろうし、11月6日にはECBが次回理事会を開催する。

③ Energy  エネルギー価格急落
サウジアラビアが米国のシェールオイルの採算性を損なおうと決めているのは明らかで、これに反応する形で原油は6月終盤以降で約30%値下がりした。
原油価格が長期的に低水準を維持すれば、主要産油国は、外貨準備に手を付け始めなければならない。この財政を賄うために必要な原油価格は、イラン130ドル、アルジェリアとバーレーン115ドル、イラク、ロシア、ナイジェリアは105ドル、アラブ首長国連邦100ドル、サウジアラビア90ドル。これらの国は社会福祉費と軍事費を捻出する為に外債だの資産だの金だのを売り払いはじめる。

④ Ebola エボラ出血熱感染不安
西アフリカの医療者の感染、そして対数的に増え続ける患者、そして死亡数をみると、もうひとつの感染形式が想定されてきています。それはノロウイルスなどで話題になった飛沫核感染のひとつである塵埃感染(嘔吐物や体液が埃と一緒に舞い上がって、そこから感染する)(dust infection)の関与です。空気感染と同意義に使われることもあります。

西アフリカで感染が広まっているうちは対岸の火事で済んだとしても、もし欧米で二次三次感染が広がりパンデミックとなった場合、日本でも感染する危機を覚悟すべきと思う。
国際社会貢献として自衛隊派遣もやむを得ないであろう。しかし、御嶽山噴火対策派遣といい、自衛隊は酷使されすぎである。
行かせるならば  感染しないための十分な訓練  感染した場合の保証の明示  感染した場合の十分な治療の計画  派遣については志願制にすべきだ。 

以上の理由から株価が急落している上に安倍内閣支持率が急落し安倍内閣は大きな政治的危機を迎えている。

内閣支持率、48%に下落 共同通信調査
【The Huffington Post】投稿日: 2014年10月19日 18時28分 JST 

共同通信社が10月18〜19日に実施した世論調査で、内閣支持率は48.1%となった。同社が9月に実施した前回調査の54.9%から6.8ポイント下落。小渕優子経産相の政治資金問題などが影響したとみられる。47NEWSが報じた。

安倍政権の経済政策による景気回復を「実感していない」との回答が84・8%に上った。来年10月からの消費税率10%への再引き上げに反対との回答は65・9%、賛成は31・0%だった。(中略)

原発再稼働に反対するとの回答は60・2%、賛成は31・9%だった。

(内閣支持率48%に下落 共同通信世論調査 - 47NEWSより 2014/10/19 16:20)
なお、毎日新聞が18〜19日に実施した世論調査では、内閣支持率は47%で、9月3〜4日に実施した調査と同じだったが、不支持率が4ポイント増え36%となった。
元朝日新聞記者の松島みどり法相が辞任してもさほど問題はないが、小渕経済産業相の辞任は安倍内閣にとって影響は大きい。
小渕優子経済産業相が辞意を固めたことから、特に、今国会に共闘して臨むことを確認した民主、維新の両党は、閣僚の「辞任ドミノ」につながるよう、うちわ配布問題を抱える松島みどり法相ら他の閣僚への追及を続け、安倍晋三政権への攻勢を強める構えだ。

民主党の枝野幸男幹事長は18日、産経新聞の取材に対し「説明がつかないならば、けじめをつけてほしい」と述べ、小渕氏の辞任を求めた。その上で「安倍首相の任命責任の問題はこれから議論になる」と述べ、首相の任命責任も追及する姿勢を示した。

維新の松野頼久国会議員団会長も「政治家は政治資金の透明性を確保しなければならない」と述べ、小渕氏の辞任は避けられないと強調した。

小渕氏の政治資金の問題が明らかになった16日の参院経済産業委員会では、民主、維新、みんなの各党議員が相次いで小渕氏を追及した。17日の衆院経産委では民主党の近藤洋介氏が観劇会の問題を、維新の今井雅人氏が小渕氏の政治資金管理団体の不透明な支出にそれぞれ絞って質問し、連携して追及にあたった。

民主と維新は20日の衆院地方創生特別委員会にも小渕氏を呼び、政治資金に関して改めて追及する。

民主と維新は、小渕氏だけでなく、他の閣僚への追及も強め、安倍政権を大いに揺さぶりたいところだ。特に、松島氏に対しては、17日に民主党議員が東京地検に刑事告発し、辞任を強く求める。

ただ、安倍政権の「目玉閣僚」である小渕氏がただちに辞任すれば、野党として大きな攻撃材料を失うことになりかねない。党内からは、スキャンダルを追及するばかりの姿勢は「民主党は政策論で戦わないと国民に思われかねない」(幹部)との懸念も出ている。

「姉の作ったネクタイやハンカチを渡すと喜ぶ方もいる」と答弁してしまった小渕大臣は、問題の行為を認識していたことになるわけであるから、もはや辞任は避けられない。だが、今国会は、政治スキャンダルを攻撃しても日本国民にとってなんら得るべきものはなく、危機に立たされている日本経済の足を引っ張るだけである。スキャンダルの追求は野党のエゴでしかない!スキャンダル追及国会をやっている暇はない!
岩下真理 SMBCフレンド証券 チーフマーケットエコノミスト

[東京 16日] - 7日発表の国際通貨基金(IMF)経済見通しでは、3カ月前と比べて下方修正幅が先進国で最も大きかったのは日本だった。しかし、結論から言えば、過度に悲観する必要はないと考える。

確かに消費増税後の国内経済は事前想定より下振れたが、先行きの方向性は足元で弱い指標発表が続くドイツよりは明るい。筆者は9月30日発表の8月生産統計の弱さを踏まえて、生産が直近のピークをつけた1月もしくは3月が「景気の山」となる可能性を唱えたが、9月以降の持ち直しにより、ミニ景気後退にとどまるとみている。

生産は消費増税後の自動車需要の見誤りが大きく影響し、消費は消費増税による実質所得の減少に加えて天候要因が大きく足を引っ張った。だが、9月分の一部数字に変化が出ている。

今月1日発表の9月新車販売台数は前年比マイナス0.8%と3カ月連続の減少となったが、軽自動車では同プラス2.5%と9月として過去最高を記録した。当社の季節調整値では、9月の普通車が前月比プラス8.0%、軽自動車は特に同プラス20.1%と急増、合計でもプラス7.5%(8月マイナス4.0%)と8カ月ぶりのプラスに転じた。

また、8日発表の9月上中旬の貿易統計では、輸出が前年比プラス7.5%(8月上中旬の同マイナス3.3%)まで急回復したのは朗報だ。製造工業生産予測指数では、9月は前月比プラス6.0%と大幅増産の見込み。これまでの実現率の下方修正から、29日発表の9月速報値でプラス幅は小さくなりそうだが、それでも持ち直し方向を確認できるとみている。

10月の日銀金融経済月報では、企業の聞き取り調査に基づく鉱工業生産の見通しは、「7―9月は全体としては減少する見込み」「10―12月は不確実性はなお大きいが、全体して緩やかに持ち直すとの感触」と説明されていた。繰り返すが、過度の悲観は不要だ。

<天候要因も重なった「陰の極」>

もともと、2014年4月の消費増税という17年ぶりの制度変更が、実質所得の減少による購買力の低下をもたらし、物価上昇に対して賃金の上昇が遅れることは事前に想定されていたはずだ。

当然ながら、その悪影響は弱い部分に大きな負担を強いる形になる。そこに9月から10月にかけての急速な円安進行が重なり、円安の恩恵を受けやすい大企業とコスト高に苦しむ中小企業との乖(かい)離、人の集まる都心と地方での温度差がより顕著になってしまった。

それでも、日銀短観9月調査の中小企業の業況判断DIは製造業、非製造業ともにゼロ近傍にあり、前回1997年9月時のマイナス20近傍に比べればかなり水準は高い。

また、地域別の百貨店の動向をみると、関東、近畿に比べて中国、四国では駆け込み需要が大きく出た分、その後の反動減が大きく出ているのがわかる。統計を詳細にみると、単純に弱いと決めつけられない要因が潜んでいるように思われる。

そもそも、8月の消費の弱さも、天候要因が重なった「陰の極」だ。9月の首都圏では土日と祝日にほとんど雨が降っておらず、行楽需要と買い物意欲は満たされている。

もちろん、10月に入り、台風が10年ぶりに2週連続で上陸し、生産や消費に悪影響を与えた可能性は高い(やはり今年の気象は、日本経済予測を狂わすワイルドカードだった)。

また、耐久消費財の一部は昨年度後半から駆け込み需要が顕在化しており、今後は前年比ベースでの大きな伸びは期待できない。このような状況下、当面は季節調整をかけた前月比ベースでの足元の変化を見守る必要があろう。現時点で把握できるのは、8月のボトムから9月は持ち直すが、10月は弱含みというイメージだ。

その一方で、10月から訪日外国客の免税対象品が拡大されたことは明るい材料だ。新たに飲食料品、化粧品などの消耗品が加わり、新規対象品目については1人1日1店舗あたり「5000円超50万円以下の購入」が免税対象となった。都市部の百貨店や家電量販店などでは、開始1週間で訪日外国客の来店が増えて、免税対象品の売上高が前年比で3倍から5倍になっていると報道された。この動きは今後、一部の販売統計の押し上げに寄与することになろう。 

筆者は以前、
円安でも輸出が伸び悩む構造要因として、1)海外競争力の低下、2)海外生産比率の上昇、3)契約通貨建て輸出価格の維持の3つを挙げた。その一方で円安進行と制度変更を背景とした訪日外国客数の増加それに伴う小売業と観光業での収益増加は重要な円安メリットである。

<消費再増税に十分な成長確保へ>

以上のような分析から、筆者は現時点で11月17日発表の7―9月期実質国内総生産(GDP、1次速報)は、前期比年率プラス3.2%(4―6月期は同マイナス7.1%)になると予想している。9日発表のESPフォーキャストの10月調査(回答締切2日)によれば、フォーキャスターの平均値は同プラス3.66%だった。

1日の経済財政諮問会議に提出された内閣府試算によれば、今夏の天候不順が7―9月期の個人消費に与える影響は、マイナス0.2兆円からマイナス0.7兆円程度、7―9月期GDP全体で前期比0.2―0.6%ポイントの押し下げとなるようだ。このマイナス要因を考慮すれば、4―6月期の大きな落ち込みから、それなりに戻す(4%程度)という解は得られる。12月上旬の消費再増税の判断に向けて、用意周到な試算が早めに出されたと筆者には感じられた。

足元で世界経済の下振れ懸念が強まり、株安・円高進行というリスクオフな相場が繰り広げられ、消費再増税の先送りを主張する意見が強まっている。しかし、9―11月の指標で天候要因剥落後の消費持ち直しや設備投資、輸出と生産の増加が確認できれば、社会保障の持続可能性の確保と財政再建に取り組む強い姿勢を示すべく、消費再増税を決断すべきと筆者は考える。その場合、政策パッケージとして税制の一体改革、バラマキではない補正予算(5兆円以下)編成と成長戦略の具体化で、景気をサポートすることが望ましい。

また、あえて格差問題を意識して考えるなら、その解消は金融政策ではかなわず、やはり政策パッケージが必要であり、その中心的な役割は第三の矢(成長戦略)の具体化である。まずは、企業の稼ぐ力を高める法人実効税率引き下げで、具体的な引き下げ幅とスケジュールが待たれる。実質所得の減少に対応した軽減税率の導入も一部日用品は検討すべきだろう

加えて、人手不足解消につながる雇用面での規制緩和、成長産業育成に向けた特区の新たなプランも進めて欲しい。さらには、補正予算の用途には、地域振興に通じる内需喚起策や中小企業の金融支援が必要と思われる。

金融政策について触れておけば、日銀は10月展望レポート発表時に、2014年度の成長率見通しの数字(大勢見通し中央値)を7月時点のプラス1.0%から同0.5―0.6%程度に下方修正せざるを得ないだろう。その一方で物価見通しは、従来の数字の据え置きが見込まれ、引続き景気情勢を見極める姿勢を示すと思われる。

円安にはプラスとマイナス両面の要素はあるが、輸出と訪日外国客数の増加による景気プラス要因と中期的な物価押し上げ要因、雇用・所得環境の改善継続から、今は強気にみえる黒田日銀総裁のシナリオに沿って、日本は緩やかに回復に向かう力を持っていると筆者は考えている。

7日の黒田総裁定例会見では、量的質的緩和はカレンダーベース(期間限定)ではないと表現した。これまでも「必要な時点まで、2年程度の期間を念頭にできるだけ早期に」と説明してきたが、いよいよ2014年末が近付き、新たなバランスシート見通しは出さなくても終わらないことを、遠回しに訴えている印象を受けた。

次回31日の会見でも、来年も現状の国債買い入れペースを維持(緩和の延長)するなら、明確なメッセージを市場に伝える努力を期待したい。

<吉野家、ユニクロにみる日本経済の針路>

最後に、筆者が足元の経済指標以外で注目している点を言い添えておきたい。それは、2000年代初頭、低価格戦略でデフレの象徴的な存在だった吉野家、ユニクロの動向だ。

前者は4月から牛丼の値上げに踏み切り、7月までは昨年実施した値下げの反動で苦戦が続いていたが、吉野家ホールディングス(9861.T: 株価, ニュース, レポート)が発表した3―8月期の連結決算では客単価の上昇と広告費抑制が寄与し、純利益が前年同期比約4.4倍となった。結局、春から夏の牛丼戦争は値上げに軍配が上がったと言えよう。

その一方で、ユニクロは8月に初の値上げを実施した。大半が値上げした商品に切り替わった9月の国内既存店売上高は前年同月比プラス19.7%と好調だった。巷で消費低迷と言われる状況下、これは商品力と価格支配力のある企業が強いという証左だろう。今後は機能性を高めた品揃えなどの工夫で、底上げを図っていく考えらしい。

商品力という視点では、高額家電である4Kテレビやロボット掃除機の販売が足元で堅調なことは成功事例であり、年末商戦でもけん引役としての期待が高い。

なお、ユニクロのファーストリテイリング(9983.T: 株価, ニュース, レポート)と言えば、6月に人事制度を変更し、限定正社員を登用した雇用改革のリーディングカンパニーでもある。日本経済が進むべき道を示しているように思える。
優柔不断なオバマに代わって安倍総理が先頭に立ち今こそ日本主導の成長戦略を再度練るべきです。消費税の引き上げは欧米も先送りを示唆していますので、財務省に対し勇気をもって先送りを指示すべき時ではないだろうか?

観光産業、農業を成長産業とする大胆な改革を行い輸出産業として、日本経済を牽引していくような大胆な改革と雇用の確保を打ち出していくべきです。自民党の古い体質を糺し解党するぐらいの党内改革をすべきだと思います。
[東京 16日 ロイター] - 米財務省が半期に1回公表する為替報告書で、日本に対して財政再建のペースを慎重に進めるよう指摘された。消費増税判断を今年12月に控える中で、米国の各方面からは断続的に増税延期を促すと解釈できるメッセージが出ており、日本政府内では米国の真意を探る動きがある。

15日に発表された米為替報告書では、安倍晋三政権の経済政策・アベノミクスについて「大幅な円安にもかかわらず、輸出が伸び悩んでいることは意外」「3本の矢は執ようなデフレから脱却する力強い試みだったが、ここに来て(2本目の矢の一環の財政再建が)経済成長を妨げている」など辛口の論評が並んだ。

中でも「財政再建ペースは慎重に策定することが重要」と指摘し、金融政策は「行き過ぎた財政再建を穴埋めできず、構造改革の代替にもならない」と分析した部分は、日本政府内でも注目された。

増税延期による金利上昇は対応不可能だが、増税による経済下押しは財政・金融で対応できる、との日銀の黒田東彦総裁の主張と、ほぼ真向から対立する見解だ。

今回の為替報告書に先立ち、10日にはルー米財務長官が国際通貨基金(IMF)の諮問機関である国際通貨金融委員会(IMFC)開催を前に声明を発表。日本経済について「今年と来年は弱い状態が続く」と指摘し、「財政再建のペースを慎重に調整し、成長を促す構造改革を実行する必要がある」と主張した。

9月にはニューヨーク・タイムズが、日本政府は来年10月に予定される消費税率10%への再引き上げを「延期すべきだ」とする社説を掲載。市場関係者の間では、米政府の意向が反映されているのではないかとの憶測を呼んだ。

現時点で日本政府関係者は米側の意向を測りかねている。過去には米国が日本の消費税引き上げに対して露骨な反対姿勢を示したこともあるとされる。

だが、現時点では「世界経済における日本経済の比重が相対的に小さくなっており、米国にとって日本経済がそこまで大きな問題であるとは思えない」(関係者)との声が聞かれる。

米国が求めているのは、世界経済安定のための財政出動なので「増税とセットで補正予算を組めば大丈夫なはず」(別の関係者)との見方もある。

9月に来日した国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は、消費税について「予定通り2%の引き上げを決め、実施すべきだ」と語っていた。

日本政府は、事実上の国際公約でもある財政再建目標の達成手段として、消費増税は国際的な理解が得られているとの立場を維持している。

もっとも消費増税をめぐっては政府内に幅広い意見がある。安倍首相に近いリフレ派の論客などは、首相に増税延期の判断を強く求めている。その立場からは、今回の為替報告書を含めた米側の意向は、「強力な援軍」と映っている可能性がある。 (竹本能文 編集:田巻一彦)
米国は日本に対して財政再建のペースを慎重に進めるよう指摘したうえで、FRBの量的緩和終了の先送り検討している。
米セントルイス地区連銀のブラード総裁は16日、連邦準備制度理事会(FRB)は債券買い入れ措置を10月以降も継続することを検討すべきとの考えを示した。インフレ期待が低下していることを考慮し、政策手段の選択肢を残しておくためだと説明した。

ブラード総裁はブルームバーグ・テレビとのインタビューで、債券買い入れ策の終了延期で「措置を生かしておくことができる」とし、FRBは将来の政策の幅が広がると指摘した。

FRBは債券買い入れ措置の段階的な縮小(テーパリング)を進めている。先月の連邦公開市場委員会(FOMC)では月額150億ドルに減額し、10月28日・29日の次回会合で終了する方針を示した。

だが政策声明では繰り返し、債券買い入れは「あらかじめ設定した道筋をたどるのではなく」、そのペースに関する判断は「労働市場と物価の見通し」次第だと指摘している。

ブラード総裁は「米国のマクロ経済のファンダメンタルズ(基礎的諸条件)は引き続き堅調だ」とし、今年下半期の成長率予想は3%で変更はないと述べた。

一方、インフレ率は2年以上もFRBが目標とする2%を下回っている。総裁はインフレ期待が最近低下したことに言及し、「これは中央銀行にとって受け入れられることではない」と述べた。

テーパリングに関しては「インフレ率とインフレ期待がわれわれの目標に近い水準にあるようにしなければならない」とし、「この状況ではテーパリングは指標次第だという文言に従うことが妥当な対応で、この時点でテーパリングを中断することもできる」と主張した。

今後発表される経済指標が引き続き堅調であれば、「単に12月に措置を終了すればいい。だが、市場の見方が正しく、これが米経済にとってより深刻な状況に陥る兆候であるなら、委員会はその時点で量的緩和を拡大する選択肢を持っていることになる」と話した。

ヘッジファンドのドル売りポジションも、相当量、買い手仕舞いされた。
105-6円の水準から、新規円買いのポジションに転換するほどのパラダイム・シフトは見られない。外為相場は相対評価の世界。不安をかかえる米国経済なれど、欧州・中国・日本よりは「マシ」である。とにかく、米国は先頭を切って量的緩和の出口にある。
 
ドル金利低下も、もっぱらヘッジファンドの米国債売りポジションの買戻しによる利回り低下によるところが大きい。雇用統計改善傾向の中で、早期利上げを見込み、米国債を売ったヘッジファンドが多かったのだ。それ以外の米国債買いは、リスク回避のマネー「一時逃避」現象である。市場のセンチメントが落ち着けば、次の一手は、やはりドル買い日本株高となるかもしれない。

来週はGPIFの出動が話題になる。月内が株式市場の絶好の投資のタイミング
だとの見方は変えていない。底にいるときにはソコが底だとは解らない。後になって嗚呼アソコが底だったかと思うのが、秋口に波乱があった時の下げ局面です。
[東京 18日 ロイター] - 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が資産127兆円の運用見直しに向け最終調整に入った。国債に偏った運用を改め、現在12%の日本株の比率を20%台半ばにするなど複数の改革案を軸に、政府内で詰めの協議を行うもようだ。

デフレからの脱却を見据え世界最大の年金運用が「脱国債」に向けて動きだす。複数の政府関係者によると、国内債券を60%から40%程度にする一方、国内株の比率を12%から20%台半ばに大幅に引き上げる案が浮上している。外国株式の比率も高める方向だ。GPIFのコメントは得られていない。

改革案では、これらの伝統的な運用資産とは別に、来年春以降の第3期中期計画を見据え、インフラや不動産、プライベート・エクイティー(未公開株)などの非伝統的な代替(オルタナティブ)枠に全資産の5%を投資する案も検討する。

一方、政府の有識者会議が昨年11月に提言した小規模な運用組織(ベビーファンド)の創設については、法改正を待たずにリスク性の高い資産運用が可能になるメリットはあるものの、「管理が難しい」ことから見送りとなる公算。これらの改革案について、当初は11月中旬以降に諮問する予定だったが、政府は17日、これも前倒しする方向で調整に入った。

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NYダウは15日に286ドルもの下ひげをたぐった。これは「1ヵ月くらいは下げたところに出るのが本物」(『酒田五法は風林火山』日本証券新聞社編より抜粋。以下同じ)
とされる。今回のNYダウの天井は9月19日なので、今週末で1ヵ月経過となる。「本物」の底入れの可能性が高いことになる。

 翌日16日も下髭が長いが前日の値幅内の動きであるはらみ線となった。 15 日
と16日を合わせて「行き詰まり線」という足組みとなり、「新値を切れないのは『まだはもうなり』の証拠か」と言われる売り方一旦退却の足組みだ。NYダウの下落は16日で6営業日連続となった。 1985年以降で見ると7位タイの続落記録で、これ以上の続落に期待するのは、約30年間で6回しか起こらなかった。
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 更に「波高きは天底の兆し。はらみ線出るを待って放れにつく」とされる。そして17日NYダウはニューヨーク株式市場のダウ平均株価(30種)は前日終値比263・17ドル高の1万6380・41ドルで取引を終え上昇した、これは重要だ。酒田五法ではNYダウは底入れの可能性が高いと言えるだろう。

中国では21日に9月小売売上高や鉱工業生産などの月次指標が発表されるほか、7―9月期GDPが発表される。政府目標の7.5%成長を維持できるかどうか注目される。米国では21日に9月中古住宅販売件数、23日に9月コンファレンス・ボード景気先行指数などが発表される。
市場は主要国のマクロ指標に神経質であり、平時より注目度は高い。予想を上回る内容が確認できれば、市場に安心感をもたらしそうだが、下振れると投機筋の売りを誘い波乱要因になりかねない。
一方、国内では20日の安川電機 から主要企業の9月中間期決算発表がスタートする。22日に日本電産 、24日にはファナック などが予定している。本格化するのは翌週だが、企業収益の進ちょく状況をみる上で投資家の関心は高い。
願望も多分にあるが14500円の予定下値まで到着した金曜日の安値が底となってほしい。



 



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