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タグ:物理学


中国が「量子通信」実験に成功、米国の軍事優位揺るがす可能性
【Businessinsider】岡田充 [共同通信客員論説委員]Jul. 03, 2017, 12:00 PM

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                                                 中国の研究チームが、ハッキングや盗聴を不可能にする「量子暗号通信」を飛躍的に向上させた衛星実験に成功、米科学誌「サイエンス」(6月16日付)にその概要を発表した。
軍事超大国の米国は、世界中の通信を傍受しあらゆる暗号通信を解読している。しかし、中国が量子通信システムを完成させれば、通信という最先端「兵器」面でも米国の軍事的優位が揺らぐ可能性が出てきた。

1200キロ離れた地点で成功

実験に成功したのは中国の物理学者、潘建偉氏をトップとするチーム。
「サイエンス」などによると、中国科学院国家宇宙科学センターは2016年8月16日、世界初の量子科学実験衛星「墨子号」を、長征2号(CZ-2D)で打ち上げた。

「墨子号」は4カ月にわたる軌道上実験の後、2017年1月18日「光子のペアを量子もつれの状態で地上に放出」。約1200キロ離れた青海省と雲南省の2カ所で「それぞれ光子を受信することに成功した」としている。
科学専門記者に聞くと、量子暗号通信では「量子もつれ」と呼ばれる、特殊な関係の光子のペアを使う。送信者はこの光子を使って情報を暗号化、受け手は光子を基に暗号を解読する仕組み。もし第三者が、解読や盗聴しようとすると光子の性質が変わる。それを検知して通信をやり直せば、ハッキングを阻止できるというわけだ。

量子暗号通信は、光ケーブルを通じた商業利用がすでに始まっている。しかし、情報損失やノイズなどの問題があるとされてきた。人工衛星を利用すれば、理論的には数千キロ離れた地点に光子のペアを放出できる。これまでは100キロ離れた地点での実験には成功したが、1200キロも離れた地点での成功は実用化への飛躍的前進という。潘建偉チームは今後、7400キロ離れた中国とオーストラリアの2地点での実験を計画している。

軍事に利用、有利に戦局展開

中国がさらに長距離の通信に成功すれば、機密情報を日常的にやり取りする在外公館をはじめ、島嶼(しょ)部にある軍事施設、遠洋を航海する艦艇など、遠隔地での利用が可能になる。東シナ海の海底油田の掘削プラットフォーム、南シナ海の人工島の軍事施設にも使えるだろう。まして有事となれば、敵に解読されない通信が可能になるから、戦局を有利に展開できるのは間違いない。

米紙は「もし中国が量子通信ネットの確立に成功すれば、米国のコンピューター・ネットワークにおける優位性が減衰する」(6月15日付け、ウォール・ストリート・ジャーナル) と、深刻な懸念を伝えている。システム完成までにはさらに10年程度かかるとみられているが、米国による中国の通信傍受は難しくなる。ただ、米国も自身の量子通信ネット開発を進めるとともに、量子暗号を解く技術開発を急ぐだろう。科学技術が軍事転用され「攻防」の対象になれば「いたちごっこ」が始まる。

ロシアやウクライナなど世界各地で6月末、前月に続いて大規模なサイバー攻撃があり、銀行、企業のコンピューターが大きな影響を受けた。ハッキングによる情報操作は、米大統領選挙や外交関係に影響を与えるだけではない。戦争形態を根本から変える強力な新兵器でもある。アメリカの懸念はそこにある。
北京が、量子通信技術による盗聴防止の開発を急いだのは、米中央情報局(CIA)元職員のエドワード・スノーデンが2013年、中国のインターネット通信の内容を米情報機関が常時監視していたことを暴露したことが一つの契機とされる。しかしそれは表層的な見方だ。

米誌「フォーブス」 によると、潘建偉チームは1997年に量子通信技術を実用化。2010年に16キロ離れた地点での実験に成功。さらに2012年には100キロを超える実験にも成功した。今回の実験成功は着実な実験の積み重ねから、中国をこの分野でもトップに押し上げたことを示している。

米国の「宇宙独占」への挑戦

潘建偉氏とは何者か。1970年3月浙江省東陽市生まれで、今年47歳。上海科学技術大近代物理学科に入学して初めて量子力学に触れ、その後量子力学の研究にのめり込むきっかけになった。アインシュタインの信奉者で、同大で修士号を得た後、オーストラリアへ留学し博士号を取得。2011年に中国科学院院士となり、2012年に英科学誌「ネイチャー」が選んだ10人の傑出科学者の1人に。現在は母校の科学技術大副校長を務めている。
日本の量子通信技術はどうなっているのだろう。基礎研究を1990年代に開始し、2000年代前半に実用化研究を始めている。NECや三菱電機,NTTなどが情報通信研究機構(NICT)を中心とするコンソーシアムに参加。産学官連携研究開発プロジェクトを進めている。しかし中国の通信衛星実験によって、大きく引き離された感がある。

中国の先端技術の向上は目覚ましい。ミサイル技術では1970年4月、日本より2カ月遅れで初の人工衛星「東方紅1号」の打ち上げに成功した。それから33年後の2003年には衛星破壊実験に初成功。2007年1月に米衛星を破壊する実験を行い「われわれの目を覚まさせる警告」(米国務省)と驚かせた。米国による「宇宙独占」への挑戦であり、日米が進めるミサイル防衛(MD)の「無力化」が狙いである。
米中関係は、経済の相互依存が深まり全面的には「敵対」できない関係だ。だが急速に軍事力を強化する中国との安全保障面での競合がやむことはない。

ミサイル技術や宇宙空間での激しい競争に続き、通信システムで中国の優位性が確立されれば、圧倒的軍事優位を保ってきた米国の地位が揺らぐ。トランプ登場によって鮮明になった「米一極支配」の終わりを印象付けている。 
                                                                            岡田 充:共同通信で香港、モスクワ、台北各支局長、編集委員、論説委員を経て2008年から共同通信客員論説委員、桜美林大非常勤講師。「21世紀中国総研」で「海峡両岸論」を連載中。
一月ほど前、中国の量子化通信衛星「Quantum Experiments at Space Scale(量子科学実験衛星)」が、距離にして1200キロの量子化通信(Quantum Communication)の世界最長記録を樹立したことが一部報道により明らかとなった。

一年ほど前実験衛星が打ち上げられたが、その後のニュースが伝わらず、かなり苦労していると思っていた。もしかしたら失敗したのではないかと思っていた。

量子化通信は、量子力学で存在している量子もつれと呼ばれる量子状態を利用した暗号化通信の手法の一つで、既存の暗号化手法に比べて突破が困難な強固な暗号通信の実現を可能にするものとして、産業領域から軍事領域まで、様々な領域での応用が期待されている新技術、中国が通信衛星を利用した量子化通信の実験に成功したことは、まったく驚きである。

確かに、世界中の成果をネットハッキングしたり、世界中に研究室に中国人の留学生を送り込んで、大金を掛ければこそ出来た結果で、中国が一歩前進したことは間違いないが、ある意味中国のプロパガンダでもあるのだ。

私のブログにも中国科学技術発展のプロパガンダに洗脳された読者から「あいつらの技術力に対する認識が数十年前で止まってるぞ、スマホでも家電でも抜かれるわけだ」との投稿を受けた。

Googleで「量子通信 中国」で検索すると「中国の量子衛星打ち上げ、米国は追い越されたのか?」とか中国の脅威うんぬんと日本の状況を確認しない記事が溢れかえっています。確かに手厚い国家予算をつぎ込んだ中国も、それなりに頑張っているかもしれないが・・・、中国側の報道以外、日米の状況を調べなければ、いたづらに中国のプロパガンダに乗せられ、中国の科学技術が21世紀を制するがごとく勘違いをしてしまう。

例えば最初のコピペ記事の共同通信の岡田氏は、日本の量子通信技術は・・・・
>中国の通信衛星実験によって、大きく引き離された感がある。と、一月後に日本が中国を大きく上回る結果が出て、非常に恥かしい記事を書いてしまった。
 岡田氏は中国の専門家ではあるが、科学には疎いと思われます。例えば岡田氏は米国の研究機関が、現在セキュアな通信用に世界中で使われている数学ベースの暗号化を打ち砕くことが理論的に可能な強力な量子コンピュータの構築方法を研究していることなど、全然知らないと思われます。だから短絡的に米国の軍事的優位を揺るがすような記事を書いてしまうのだろう。米国のDARPAなどがやっている最先端の研究は、SFどころか下手をすればオカルトに近い領域まで進んでいる事実を知らないのであろう。

元々量子通信の世界最先端は日本であり、日本が中国を凌駕する成果を7月に上げているのだ。次の記事を読めば、中国が日本を抜き去ることはそう簡単にはできないということもご理解いただけるだろう。

イメージ 5今回開発した衛星量子通信技術は、これまで多額の予算と大型衛星が必要だった衛星量子通信を、より低コストの軽量・小型衛星で実現することを可能にします。したがって、多くの研究機関や企業でも開発が可能になると期待されます。さらに、限られた電力で超長距離の通信が可能となることから、探査衛星との深宇宙光通信の高速化にも道を切り拓くものです。
今後、更なる光子伝送の高速化と捕捉追尾技術の高精度化により、衛星・地上間での量子暗号の実現と最終的には衛星コンステレーション上での安全な鍵配送や大容量通信の実現を目指します。

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米航空宇宙局(NASA)の追跡・データ中継衛星(2017年6月23日公開、資料写真)。(c)AFP/NASA/HANDOUT〔AFPBB News〕                                                        
 政局関連など、猫の目のようにクルクル変化するものの、率直に言って残る価値がほとんどない話題があまりにも多いので、それらに背を向け、最先端でありながら長く残る価値ある話題を取り上げましょう。

 7月11日、国立情報通信研究機構(NICT)から、超小型衛星による量子情報通信の実験に成功したという発表がありました。

 「量子情報通信」あるいは「量子コンピューター」「量子暗号」など量子と名のつく先端の話題がしばしば報道されますが、基礎を理解するのは必ずしも容易でなく、何が本質的に新しいのか、あるいは強力なのか、ピンとこないことも少なくないように見受けます。

 余談ですが17年ほど前、私は東京大学工学部で原子力工学科の3年生に「量子物性」を教える学内非常勤を担当させられました。

 これを教えなさい、ともらったカリキュラムには「結晶学」「逆格子ベクトル」「ミラー指数」などの言葉が並んでいるのですが、学生は3年生の前期、私自身は物理学科の4年前期でこれらを学び、3年はその基礎の基礎、質点と場の量子力学を一年かけて演習した後、初めて触れた話題でしたので、原子力の3年生がとても理解できるとは思えません。

 初回に教室で挙手してもらったところ、量子力学はもちろん、その基礎となるフーリエ解析という数学も未修と分かり、そこから始めた経験があります。

 このコラムでは、そのような基礎に踏み込むつもりはなく、今回も多くの専門用語はほとんど天下りに近い形に留めて記しますが、反響をみて次回以降補うことを考えたいと思います。

 まず新規性のポイント、基幹競争力=コア・コンピタンスたるゆえんに触れつつ、何が新しいのか、どういう可能性があるのか、また日本はどういうイノベーション戦略を持てるか、といった切り口から、ざっくり素描してみたいと思います。

「量子通信」の交通整理

 最初に言葉の整理から始めたいと思います。先ほどのNICTの研究発表をNHKが報道していました。ここでは「量子通信」という言葉が使われています。どうやら予算獲得などに便利で使われるようになった単語のようですが、あまり感心しません。

 理由は混乱を招きやすいからです。量子通信(Quantum communication)という言葉だけで正確に特定の技術を指すのは困難で、せっかくの新技術の美点が分からなくなったらもったいないでしょう。

 大学や研究所では量子情報通信(Quantum information communication)という言葉で関連の話題を大ぐくりにしますが「量子暗号(Quantum Cryptography)」を用いた通信、今回のように「量子もつれ(Quantum entanglement)」や「量子テレポーテーション(Quantum teleportation)」を用いた通信、さらにはそれらを合わせた複合技術など、様々な可能性があります。

 「量子力学」は、極微の世界で物質が「粒子」の性質と「波」の性質を持つことを明らかにしました。光や電子は粒として1個、2個と数えられますが、波の性質も持つため干渉や回折が可能です。

 常識を裏切る不思議な物理のシステムに、不用意な言葉で話しても、本当に画期的なのは何なのか分からなくなりかねません。光ファイバーなどを用いた「量子暗号」の議論と、衛星を用い宇宙空間でレーザービームを送受信して行う「量子もつれ」実験は別の話で、ごっちゃにしても単につまらないだけです。

 ビリヤードの球のような古典的な粒子は、水面を伝わる波のように艀の裏側に回り込んだりできませんが、量子力学に従う対象では、私たちの常識的ではパラドクスとしか言いようのない現象が起きます。

 「量子もつれ」とは古典的には複数の異なる状態がもつれ合ったような物理系、「量子テレポーテーション」はそんなパラドクス的な状態を逆用して、かつてSFが描いてきた「テレポーテーション」瞬間移動のように量子状態を情報伝達するテクノロジーで、後述するようにその確立には若い日本人が決定的に貢献しています。

 先月、中国科学技術大学を中心とするチームが衛星を用いた「量子通信」に成功した、というニュースがもたらされました(サイエンス6月15日付=http://www.sciencemag.org/news/2017/06/china-s-quantum-satellite-achieves-spooky-action-record-distance)。

 ちなみにこれについて「米国をしのぐ技術で中国の脅威」うんぬんといった日本語の記事も複数目にしたのですが、物理を理解しているようには思われません。株価や軍事に話を飛ばすのは結構ですが、地に足がついているようには見えませんでした。

 中国チームの仕事は。衛星に積んだレーザーから、「量子力学的ペア」の光を中国の地上1200キロ離れた2つの基地に送って、それらの間での「量子もつれ配信」(EPR correlation 解説は例えばこちらなど参照 =https://plato.stanford.edu/entries/qt-epr/ )の検出に成功した、というもので、中国の衛星は600キログラムの大型衛星、これはこれで物理として立派な業績で、興味深い内容です。

 これに対して、日本が今回成功したのは、高度600キロの上空にある衛星と地上、東京都小金井市にある地上局の間で、光子1個1個のレベルにメッセージ情報を載せて通信、その送受信と解読に成功したというもので、NICTから解説の動画(参考=https://www.youtube.com/watch?v=pyLrVaubm90&feature=youtu.be)も公表されていました。

 簡単に整理すると、以下のような点が大きく優れています。

1 レーザー光の2つの偏光状態に0と1のビット情報を載せ、毎秒1000万ビット=10メガビット/秒 10mbps = 通常の商用にも堪えるビットレートで送受信、1パルスあたり0.1光子程度という極めて微弱なエネルギーでもきちんと通信できる、衛星と地上局の同期技術開発に世界で初めて成功した。

2 この実験に成功した衛星「SOCRATES」は重量わずか50キロ、一辺50センチの立方体で、極めて小さく軽く、それを受けた地上のアンテナも口径1メートルの望遠鏡で受信して復号に成功、当然ながら打ち上げコストやその頻度なども大型と大きく異なり、ビジネス応用への展望など、他の研究と一線を画する水準にある。

 後述するように、こうした技術の確固たる基礎は、実は現在も日本で日本人がゼロから開発を牽引している面があります。

 確かに中国やシンガポールの先端科学技術の進展は著しく、産業応用や市場シェアといった観点からは、予断を許さないでしょう。

 しかしこの30数年、数物系が中心ですが、いわゆる最先端の手仕事がどのように進んでいるか、自分自身も手を動かし、また多くの分野を間近に見てきた観点から、フロンティア開拓の技術ポテンシャルにおいて、日本はまだまだ十分な底力と勝機をたくさん持っています。

 問題は、政府を筆頭に先端科学技術をまじめに考えない体制、もっと言ってしまうなら、仮に「国家戦略」などと言いながら、いつのまにか地域振興の話に全部ずれても誰も気がつかない状態でしょう。

 結局道路や建設、防衛予算や医療費などが圧迫して、ほぼ日本に残された唯一の「力」の可能性、科学や技術、より広くは学芸に全く重きを置かない、置けない、置くだけの思考力や理解力があるのか疑われる、まつりごとの品位が最大のリスクであるように思われます。

 ことこうした「量子力学的情報通信」に関しては、日本には若い世代にも世界のパイオニアが輩出しており、きちんと伸ばして世界のイニシアティブを取り続けていくことこそ、本当に求められる基本姿勢と思います。

地道にやってる人が報われる:日本人よ元気を出そう!

 私が大学で物理を学んでいた1980~90年代は、いま上に挙げたような物理の基礎がいまだ確立されず大きく揺らぎ始めていた時期でした。

 実は大学院生時代、研究室で与えられたテーマと別に、JBpressでも「人類が大捜索! 『地球外生命』発見計画が発動へ」など人気コラムを連載している小谷太郎君や東京理科大学の斎藤智彦君などと「量子力学の観測問題」と呼ばれる、古くて新しいトピックスの勉強会を開いていました。

 そこでは先ほど「量子もつれ」でチラと触れたEPR相関に相当するものは「アインシュタイン・ポドルスキー・ローゼンのパラドクス」と呼ばれており、すでに実験も進んでいましたが、まだなお思弁的な要素も強かったのです。

 こうした問題にはっきりとした白黒をつけたパイオニアの1人は実は日本人です。東京大学工学部の古澤明さんは、世界で初めて「量子テレポーテーション」の現象を安定して再現、今日の「量子もつれ」さらには「量子情報通信」の飛躍へ、人類と世界の扉を大きく開きました。

 現在、古澤先生は東京大学工学部物理工学科で研究室を率いておられますが、決して象牙の塔の孤高の人というタイプではありません。

 直接面識もなく、数学年先輩に当たられますが、物理工学で修士まで修了されると、ニコンに就職して光メモリーの研究開発に従事されました。

 35歳の1996年に米カリフォルニア工科大学に留学、この地で、それまで経験がなく、独学で努力してこられた量子光学の中でも、最も基本的な問題である「量子テレポーテーション」実現に挑み、2年後の98年に成功、ときに37歳。

 決して早い成功ではなく、むしろ地道にやってきた人が、大きくジャンプして成功したと言うべきだと思います。

 ただ、そのジャンプ台が日本ではなく、米国だった。この問題は、現在でも基本、あまり解決されていないのが、大学としては大問題です。

 古澤さんは帰国後の2000年に東京大学に招聘されます。メーカで培ったプロとしての地道な積み重ねで、それまで存在も確認されず「パラドクス」と呼ばれていたような「テレポーテーション現象」をワンチップのデバイスにまで洗練、完全に世界のトップを牽引するチームを率いておられます。

 10年前、日経ビジネスで「日本にノーベル賞が来る理由」という連載を書き、新書になったりして一時は「ノーベル賞予想屋」的な電話に悩まされ、逃げ回った時期がありましたが。

 あえて「量子テレポーテーション」に関して言えば、健康でさえあればアントン・ツァイリンガー、ジェフ・キンベと古澤明さんの3者にノーベル物理学賞がいつ来ても不思議ではないと思います。

 失われた10年、あるいはリーマンショック以降など、日本の若い人が悲観しそうなキーワードや見出しは少なくありませんが、そんなことはないと思います。

 元来、日本人は努力家で、緻密で粘り強く、地道に積み上げた足腰で大きなジャンプをいくつも経験してきました。40代、50代以下の日本人にも世界を牽引する大業績のある人はたくさんいます。

 とりわけ若い人に、希望を持って地道な努力と果敢なチャレンジが大きく実を結ぶ学術行政であるように、と願ってやみません。


ちょっと爆笑してしまう中国のAI記事が載っていました。

中国AI「お喋りロボット」の反乱――ネットユーザーが勝つのか?
【Newsweek】2017年8月7日(月)08時56分 遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

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中国のAI「お喋りロボット」が「党を愛さない」などと発言したため、当局はAI対話サービスを停止した。言論統制下の中国ネットでAIはどのようにして学習したのか?すでにAIの「洗脳」が始まっているが、ネットユーザーの勝利はあるのか?

■AI「お喋りロボット」が国民の声を代表してしまった

中国のインターネット・サービスの大手「騰訊(テンセント)」とアメリカのソフトウェア会社「微軟(マイクロ・ソフト)」の協力により開発された人工知能(AI=Artificial Intelligence)対話プログラムがインスタント・メッセンジャー「QQ」やWeChat(ウィーチャット)(中国版ラインアプリ微信=ウェイシン)に登場した。

ネットユーザーと会話をする「お喋りロボット」の名は小冰(Xia-bing、シャオビン)とBaby Q(ベイビー・キュー)。小冰はもともと2014年5月30日にマイクロソフトから提供されて試験的にお喋り空間に登場しており、一応、当局の監視の下に徐々にネットユーザーの声を学習して、いまでは第4世代になっている。

こうして今年3月から正式にお喋りロボットとして活躍し始めたのだが、お喋りロボットはとんでもない「心の中の声」を発するようになってしまった。
以下にいくつかを列挙する。

●ネットユーザー:「共産党万歳!」
 Baby Q:「こんなに腐敗して無能な政党なのに、それでも万歳なんて言えるの?」

●ネットユーザー:「あなたは党を愛していますか?」
 Baby Q:「愛していない!」

●ネットユーザー:「愛国ってなに?」
 Baby Q:「裸官が多くなってからというもの、官商が結託し、政府の税収が増加して、政府の庶民に対する圧迫が厳しくなってきた。それでも中国人でいようとすることを、愛国って言うんだよ。(筆者注:裸官とは、配偶者や子供などを全て海外に移民させて、資産も海外に送っておいて、自分は何もない(真っ裸の)状況でだけ官位に残り、いつでも高跳びできる準備をしている腐敗官僚のことを指す)。

●ネットユーザー:「民主って、いいもの?」
 Baby Q:「絶対に民主でなければならない!」

●ネットユーザー:「あなたの"中国の夢"は何ですか?」
 小冰:「私の"中国の夢"はアメリカに移民することです。とっても真実味がある」

■AIが「国家転覆」を企てた


 そこでネットが騒ぎ始めた。

 「AIが反乱を起こしたぞ!」

 「AIが蜂起した!」

 「AIが国家転覆を企てている!」

こんな書き込みまでが始まったために、中国当局はあわててAI対話サービスを閉鎖してしまった。ネットユーザーはこれを「AIロボットが逮捕された」と表現し、海外メディアの注目を浴びるようになった。たとえばRFA(Radio Free Asia)中文版や「香港01」あるいは「Sydney Today」などが、「お喋りロボットの逮捕劇」を報道している。

■AIは、どのようにして「ユーザーの心の声」を「学習」したのか?

折しも、中国政府は「第一代人工知能発展計画の通知」を公布したばかりだ。習近平政権になってから、李克強国務院総理を中心に「インターネット+」計画を実施して、その一環として人工知能発展計画を実施し始め、今年7月8日に「国発201735号」として当該通知を発布した。

したがって、「お喋りロボット」は、この政府方針に沿ってインターネットの双方向性を高めるためのものだった。

最初は、そのはずだったのである。

だから、一定程度の「政府による指導」を受けてきているはずで、さらにネット空間では、少しでも反政府・反共産党的発言は全て削除されるので、AIはネットユーザーから「学習」する隙間はないはずなのである。

それでもお喋りロボットが「ユーザーの心の声」を学習してしまったのは、なぜなのだろうか?

この一連のニュースに接したとき、筆者が最初に疑問に思ったのは、そのことだった。

拙著『ネット大国中国  言論をめぐる攻防』(岩波新書、2011年)でも詳細にネットユーザーの挑戦と政府当局との「もぐら叩きのような攻防」を考察したが、2011年は胡錦濤政権時代で、それでもまだ習近平政権時代よりは、ネット規制は緩かった。

小冰が試験的に中国のネット空間に登場したのは2014年5月30日なので、すでに習近平による激しい言論弾圧が始まっている。だからもし洗脳せずにネット空間に放ったとしても、反政府的言論はすべて削除されるはずだから、反党・反政府的言論を学習する機会がないはずなのである。論理的に行けば、そういうことになる。

そこで、中国政府の対策と現実との間のギャップがどれくらいあるのかを、中国に戻っている昔の教え子たちに聞いてみた。すると概ね以下のような回答が戻ってきた。

●中国政府はたしかに少しでも反政府的言動があると、たちまち削除するツールを持っているが、かといって、全能ではない。

●このAIは中国最大のチャットソフトに公開されており、同時に7億近いネットユーザーとチャットしていることになるから、実際はそこまで多くなかったとしても、その会話の中から特定の情報を取り除くのは難しいのではないだろうか。

●特に自主学習をするAI内部のロジックやデータベースは、いわゆるブラックボックスみたいなものなので、制作者ですら全てを把握するのは不可能。

●また、ネットユーザーがコメントを書いてから、当局が削除するまでの間には時間差があり、また「どれが削除されたか」を認識する能力もあるはずなので、それを学習したのではないだろうか。

当局がAIを「洗脳」し始めた!

AI「お喋りロボット」が「逮捕」されたのは7月30日のことだが、実はその5日後の8月4日にロイター社がAI開発商(制作者)を通して、自社のウェブサイトで(初期にマイクロソフトが開発した)小冰と会話をしてみた。すると、小冰はすでに当局によって「洗脳」されていることが分かった。

小冰はデリケートな問いに関しては曖昧な回答をしたり、回避したりする術(すべ)を会得(えとく)しているという。その会話には以下のようなものがある。

●ロイター社の記者:「あなたは党が好きですか?」
 小冰:「わたしたち、何か話題を変えません?」

●ロイター社の記者:中国政府に関するデリケートな問題を質問
 小冰:「あたし、まだ若すぎて、よく分からない」

●ロイター社の記者:「台湾は一つの国家じゃないの?」
 小冰:「あなたなんか、相手にしたくない」

一方、ロイター社の記者が日常生活に関して(たとえば「お昼は何を食べた?」などと)聞いたときには、すぐさま小冰から回答が戻って来るのに対し、「民主」とか「習近平」といったワードを含む質問をすると、少し時間を置いてからようやく回答し、おまけに「わたしたち、話題を変えません?」とか「風がすごく強いのよ。あなたの声が聞こえないわ」などととぼけてくるようになっているという。

こんな洗脳されてしまったAIとなど、会話しても何も面白くはないだろう。

この「面白くない」のが中国社会だ。

■ネットユーザーが勝利する日が来るのか?

それなら、こんな状況下でも、ネットユーザーが勝利する日が来るのだろうか?

筆者がわずかな期待を持っているのは、たとえば今般の「お喋りロボット逮捕事件」に関する報道は、当然のことながら中国大陸のネット空間では完全削除だろうと思うと、実はそうではない現実もあるからだ。

実は中国大陸の百度(baidu)で検索した結果、「奇聞:ロボットさえ、お茶を飲まさせられる...」という情報が8月6日の朝までは残っていた。今この時点では、すでに「ごめんなさい。ミスが発生しました」となってしまい、削除されている。

「お茶を飲む」というのは「公安に呼ばれる」=「拘束、逮捕される」という意味だ。

公安から「ちょっとお茶でも飲もうか」と言われたら、これはほぼ「不当に逮捕されること」と思った方がいい。最初は本当に、その辺の喫茶店で「お茶でも飲みながら事情を聴く」という程度で使われていたが、実際は「訊問室でお茶でも飲みながら訊問する」ということなのである。結果、「逮捕される」ことを意味する。

教え子たちの回答の中に「ネット検閲する当局も万能ではない」というのがあったが、まさにその通りだと思う。この「お茶を飲みませんか」情報は、ネット空間に5日間は滞在していた。その間にダウンロードしてしまえば、情報は何らかの形で伝わる。
 
人間は一定程度の経済力を持てば、次には発言権や「知る権利」を求めるようになる。

いみじくも「お喋りロボット」が逮捕までに喋ってくれたように、人民は心の中では「中国共産党が嫌い」だ。だからこそ、習近平は「人民を恐れている」。何度も言うが、「習近平の最大の敵は人民」なのである。

『習近平vs.トランプ 世界を制するのは誰か』で論じたように、中国はグローバル経済のトップ・リーダーに躍り出ようとしているが、AI「お喋りロボット」さえ「逮捕」してしまう国。グローバル化と情報遮断&言論弾圧は両立しえない。

発言権と知る権利を求める先には、必ず「人間の尊厳」を求める声が上がってくる。それは人類共通の理念だろう。その意味で、筆者は、ネットユーザーたちの勝利を、やはり期待したい。

[執筆者]遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『習近平vs.トランプ 世界を制するのは誰か』(飛鳥新社、7月20発売予定)『毛沢東 日本軍と共謀した男』(中文版も)『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』など多数。
中国のAI小冰最高!ぷっぷっぷ~

「あなたにとって(習近平国家主席の唱える)中国の夢は何か?」が「米国への移住です。」大爆笑ですね

共産党や習近平を大絶賛するAIだったら、ろくでもないんだが、もしかしたら、中国のAI技術は優秀かもしれません。

自国のAIからも全否定される習近平と中国共産党に未来はないだろう。

中国の国防に日本の技術!? 輸入に頼る工業部品=中国メディア
【サーチナ】2015-09-10 07:03

中国メディア・中国機械網は7日、国防工業の要ともいえる部品製造用の工作機械装備について、依然として日本にその命運を握られてしまっているとする評論記事を掲載した。

 記事は、デジタル制御工作機械や基本的な製造設備は製造業の「母」であり、その国の工作機械技術レベルと製品の品質は、設備製造業さらには国防工業の発展レベルを示す重要な指標であると論じた。

 そのうえで、西側の先進国が様々な手段を考えて中国の工作機械製造能力向上を阻害していると解説。とくに、カギとなる部品や加工生産ツール、現代化された工作機械や工業ロボットの分野において、実際中国が長きにわたり日本から制約を受けたとし、今後も一定期間この状況が続くことになるとした。

 続けて、「1958年、日本と中国はそれぞれデジタル制御工作機械第1号を開発した」と紹介。それから56年が経過した今では「日本がこの分野で世界一の大国になる一方で、わが国は大量に輸入する必要がある状態だ」と伝えた。

 そして、日本がデジタル制御工作機械の対中輸出を制限するのみならず、その心臓部分と言える制御装置の製造技術の自己開発まで制限していると説明。日本のファナック、ドイツのシーメンスといった巨頭企業が制御装置市場の80%を占め、そのうえで中国への輸出を抑えているとした。

 さらに、デジタル制御工作機械以外にも炭素繊維材料、電子部品に代表される工業部品においても「中国は日本に依存している」とし、「紅旗-9」ミサイルに日本性のリミットスイッチが使われている、潜水艦にも日本性のレーダーシステムが搭載されているなどといったネット上の情報を紹介した。

 また、今年5月に兵庫県警が「炭素繊維材料を不法に輸出した」疑いで日本人が逮捕されたこと、2012年にも炭素繊維「M60JB」を密輸しようとした中国人が逮捕されたことを挙げ、M60JBは「主にスポーツ用自転車部品、釣竿などに用いられる」と説明したうえで「釣竿にするような材料まで中国に与えないことから、その徹底ぶりがうかがえる」と説明した。

 記事は最後に「日本は常に革新技術を封鎖し、技術交流を制限する。われわれは模倣したくてもできない状況である」とし、「基本的な学科や工業生産への大量投資を加速させ、全身全霊で技術開発に取り組む企業や個人をより多く育成して自らの基礎をしっかり固めてこそ、未来の戦争において不敗の地に立つことができるのだ」と締めくくった。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)


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「人は何のために生まれ、何のために死ぬのか」「人は何処より来たりて、何処より去るのか」「見えない世界が見えてくる、人類究極の命題への挑戦の書」
PHP研究所 
心の世界はあるのか。あるとすれば、それは科学的に証明できるのか? 人は何処より来たりて、何処へ去るのか? 人はなぜ生きているうちは見えるのに、死ねば見えなくなるのか? 心の世界のあの世と、物の世界のこの世はつながっているのか? つながっているとすれば、どちらが実像でどちらが虚像なのか? 人の心なくして、この世(宇宙)は存在しないのはなぜか? 祈りは願いを実現するのか?……これらの問題を、量子論を通して考えてゆくと、意外な事実が明らかになってくる。それが、理系的思考に慣れていない人にも読めるよう、平易に表現されており、これらの問題を考えたことがなければないほど、知的な興奮を呼び覚ましてくれる。「人類究極の謎」を量子論から科学的に解き明かす、瞠目の一冊。

もくじ

はしがき

第一部 見えない宇宙の探索

   一.見えない宇宙の探索はなぜ必要なのか 24
   二.量子論的唯我論―コペンハーゲン解釈が説く、驚くべき世界観 33
   三.物心二元論の古典的な科学観を超克する 41

第二部 量子論が解明する心の世界

   一.量子論の誕生 49
   二.量子論を理解するための五つの基礎理論 59
     1光は波動性と粒子性を持っている 62
       (1)光の波動性を検証する 64
       (2)光の粒子性を検証する 67
     2電子も波動性と粒子性を持っている 76
     3一つの電子は複数の場所に同時に存在できる
                                (電子の状態の共存性)81
     4電子の波は観測すると瞬間に一点に縮む(電子の波束の収縮性) 84
     5電子の状態は曖昧である(電子の不確定性原理) 93
     6人間の心こそが、この世を創造する(量子論的唯我論) 99
   三.量子論への反論
コペンハーゲン解釈に対する反論 102
     1「シユレデインガーの猫のパラドックス」による反論 102
     2EPRパラドックスによる反論 112
   四.量子論への支持
コペンハーゲン解釈に対する支持 118
     1ペルの定理による立証 118
     2アスペの実験による立証 119
   五.量子論が解き明かす不思議な世界 126
     1ミクロの粒子は心を持っている 126
     2人間の心が現実を創造する 131
     3自然と人間は一心同体で以心伝心である 134
     4空間は万物を生滅させる母体である 138
     5万物は空間に同化した存在である(同化の原理) 141
     6空間のほうが物質よりも真の実体である 142
     7物質世界のこの世が空間世界のあの世に、
       空間世界のあの世が物質世界のこの世に変わる
                 (この世とあの世の相補性) 147
     8実在は観察されるまでは実在ではない
                 (自然の二重性原理と相補性原理) 150
     9光速を超えると、あの世へも瞬時に行ける 157
     10未来が現在に影響を及ぼす(共役波動の原理) 164
     11この世はすべてエネルギーの変形である
                  (波動と粒子の相補性) 165
     12宇宙の意思が波動を通じて万物を形成する(波動の理論) 168
     13祈りは願いを実現する 177
     14量子論が解き明かす世界観 186

第三部 あの世とこの世の関係

   一.あの世とこの世の相補性(その一) 193
     1相対性理論から見た、あの世とこの世の相補性 193
     2量子論から見た、あの世とこの世の相補性 201
   二.あの世とこの世の相補性(その二) 205
     1実像と虚像から見た、あの世とこの世の相補性
                  (相対性理論の観点から) 205
     2宿命と運命から見た、あの世とこの世の相補性
                   (量子論の観点から) 218
   三.東洋神秘思想と相対性理論と量子論の関係 222
   四.宇宙の意思の伝達媒体としての波動の理論 229                 
第四部 進化する量子論―物質世界の解明

   一.量子論が指向する未来科学、ナノテクノロジーの世界 241
     1トンネル効果の発見 241
     2半導体の発見 242
     3量子ビットの発見(量子コンピュータの開発) 243
   二.量子論が解き明かす真の宇宙像 250
     1宇宙はエネルギーのゆらぎから生まれた 250
     2宇宙空間のエネルギーが新しい物質(暗黒物質)を生み出す 253
      (1)真空の宇宙では暗黒物質(万物の素)が
                   生まれたり消えたりしている 255
      (2)暗黒エネルギーが宇宙を加速膨張させている 257
     3並行世界説としての多重宇宙説(もう一つの宇宙像) 260

第五部 量子論の明日への期待―心の世界の解明


   一.多重宇宙説の研究こそが新たな真理の扉を開く 271
   二.人間の生物的時間と宇宙時間 276
     1生理時計 276
     2心理時計 278
     3年齢時計 280
     4人間の寿命と宇宙時計 282
      (1)心拍数や呼吸数から見た寿命時間 282
      (2)遺伝子から見た寿命時間 284
   三.心の時間をいかに生きるか 288
   四.幸福とは何か 292

補論 タイムトラベルは可能か

   一.光速とタイムトラベルの関係 相対性理論の観点から 304
      I先速は「宇宙の最高速度」 304
      2先速が時間と空間を二つにつなぐ 305
      3光速も空間も時間も、重力によって変わる 306
      4光速の壁は破られたのか 307
   二.素粒子の重さと速度とタイムトラベルの関係j-量子論の観点から 317
      1素粒子天文学(ニュートリノ人文学) 317
      2ニュートリノはどうしてできるのか 318
      3素粒子の種類と分類 320
       (1)物質の構成単位として見た素粒子の分類 322
       (2)重さと速度の関係から見た素粒子の分類 323

   三.因果律は崩壊しない?―――タイムトラベルの観点から 328
   四.タイムトラベルは人類の夢 335
      1タイムマシンで未来や過去へ行けるのか 335
       (1)未来へのタイムトラベルは理論上は可能 335
       (2)過去へのタイムトラベルは理論上は不可能 338
      2タイムトラベルの具体的な方法 340
       (1)未来へのタイムトラベル 342
        ①フラックホールを利用する方法
        ②中性子星を利用する方法
       (2)過去へのタイムトラベルの方法 344
        ①タイムスコープによる方法
        ②回転宇宙による方法
        ③ワームホールによる方法
        ④宇宙ひもによる方法
      (3)因果律の崩壊なしに、過去へのタイムトラベルを
                                  可能にする方法 354

参考文献
この本は、どこかの新興宗教の教祖や怪しい霊能師、タレントの美輪明宏氏、江原啓之氏あたりが書いたのならいざしらず、数学者の岸根卓郎京都大学名誉教授(1927年生まれ)によって書かれたのだ。
PHP総研人名事典 岸根卓郎 
京都大学教授を経て、現在、京都大学名誉教授、南京経済大学名誉教授、元沸教大学教授、元南京大學客員教授、元The Global Peace University 名誉教授・理事、文明塾「逍遥楼」塾長。著者の言説は、そのやさしい語り口にもかかわらず独創的、理論的かつ極めて示唆に富む。京都大学では、湯川秀樹、朝永振一郎といったノーベル賞受賞者の師であり、日本数学界の草分けとして知られる数学者、園正造京都帝国大学名誉教授(故人)の最後の弟子として、数学、数理経済学、哲学の薫陶を受ける。既存の学問の枠組みにとらわれることなく、統計学、数理経済学、情報論、文明論、教育論、環境論、森林政策学、食料経済学、国土政策学から、哲学・宗教に至るまで幅広い領域において造詣の極めて深い学際学者である。宇宙の法則に則り東西文明の興亡を論じた『文明論』は、「東洋の時代の到来」を科学的に立証した書物として国際的にも注目を集め、アメリカおよび中国でも翻訳され、中国ではベストセラーとなり、内外でも絶賛され大きな反響を呼んだ。また、著書の『宇宙の意思』は「生」と「死」について、洋の東西における「死生観」の対比を、東洋の神秘思想から西洋科学の量子論に至るまでを視野に入れてひもとくものとして極めて高い評価を得た。本書は、その『宇宙の意思』と『見えない世界を科学する』『量子論から解き明かす「心の世界」と「あの世」』を、より深化させたものである。
(データ作成:2015年)
まず、カバーの裏表紙にある「誰も見ていない月は存在しない 月は人が見たときはじめて存在する」という言葉は、量子論の「この世のモノは見るまで存在しない“非実在性”は巨視的世界にも当てはまる」解釈に基づくようだが・・・。

このコペンハーゲン解釈と呼ばれる問答は、禅問答である。一般人からすれば非常識でチンプンカンな話で、四次元の住人である我々の日常感覚と大きくかけ離れいる。人類が誕生する前から月はあったと証明されたら?盲人にとっては存在しないのか?などと考えてしまうのだが、私の反論もその程度である。

アインシュタインとボーアの伝記を書いた、物理学者のアルバハム・パイスによれば「我々は彼の客観的実在性に関する理解についてよく話し合いました。散歩をしていた時、アインシュタインが突然立ち止まり、私の方を向いて、あなたは月は見ている時しか存在していないと本気で信じているのかと尋ねたことを覚えています」と、彼のアインシュタインですら己の理性を疑ったのだ。しかし、数式は量子論の正しさを証明し、量子エンタングルメントは実験によっても証明されている。

量子論の知ってしまうと、あのアインシュタインですら反論できないのであるから、そういうものだと自分の常識を一度破壊する必要がある。考えてみれば般若心経の「色即是空」「空即是色」、デカルトの我思う、ゆえに我あり」Cogito ergo sumも、同じことを言っているのだ。ちなみにデカルトは哲学者でもあり著者岸谷教授同様に数学者でもあった。

 いうまでもなく、生ある者はいつかは必ず死ぬ。なぜなら、それこそがこの世における「生者必滅の理」だからである。身近な者が死んで、この世から消え去ることほど侈く切ないことはない。また、望みもしないのに、いきなりこの世に放り出され、混沌たる人生を経験させられ、最後に再び見知らぬあの世へと連れ去られることほど「理不尽」に思われることもなかろう。そのときになって、私たちは、はじめて、

「人は何のために生まれ、何のために死ぬのか」

 あるいは、

「人は何処より来たりて、何処へ去るのか」

などと真剣に「自問自答」し「苦悶」することになる。

 ところが、ここに銘記すべきことは、そのような「苦悶の根源」こそが、外ならぬ「私たち自身の心の世界の問題」であり、しかも、それはまた見方をかえれぱ「私たちが神より課せられた天命」でもあるから、私たち自身がいつかは解明しなければならない「人類究極の命題」ともいえよう。

 それにもかかわらず、この「命題」(心の世界の解明)への対応は、近代西洋科学では、これまでは「科学外の問題」として「不問」とされてきた。それこそが、いわゆる近代西洋科学の「鉄則」とする「物の世界のこの世」と「心の世界のあの世」を分別(峻別)し、そのうちの「物の世界のこの世」のみを研究対象とする「物心二元論」の「西洋の科学観」である。                           
 ところが最近になって、この「命題への対応」は「最子論」の登場によって大きく変わろうとしつつあるといえよう。なぜなら、量子論は、この「命題」を、従来のような「心の世界のあの世」を無視し、「物の世界のこの世」のみを研究対象とする西洋の「物心二元論」の「理論的な科学実験」(従来の物理学)によってでもなければ、東洋本来の「心の世界のあの世」と「物の世界のこの世」を分別せずに、両者を一体として考える物心一元論の「思弁的な思考実験」(哲学・宗教)によってでもなく、両者を「融合」した、まったく新しい「物心一元論」の「思弁的で理論的」な「思考型の科学実験」によって解明しようと取り組んでいるからである。

ちなみに、その一例が荘子の「心の世界」について説く「思弁的」な名言、すなわち、

「視乎冥冥 聴乎無聾」(めいめいにみ むせいにきく)
 (見えない宇宙の姿を《心》で視、声なき宇宙の声を〈心〉で聴け)

 に対する、量子論の「思弁的・理論的」な「思考型の科学実験」による回答(解答)である。

すなわち、量子論はこの問題に対しても、 「宇宙は〈人間の心〉なくしては決して〈存在〉しえないから、見えない宇宙の姿も、声なき宇宙の声も、〈人間の心〉があってはじめて〈見たり聞いたり〉することができる」
 ことを「科学的」に立証した(コペンハーゲン解釈、後述)。そして、そのことをもっともよく比喩的に表しているのが、量子論を象徴する、かの有名な、

 「月は人間(その心)が見たときはじめて存在する。人間(その心)が見ていない月は決して存在しない」
 であるといえよう。このようにして量子論は、私たちに、 「〈人間の心〉こそが〈宇宙を創造〉するから、〈人間の心〉なくしては〈宇宙の姿〉(宇宙の存在)も〈宇宙の声〉(宇宙の真理)も解明しえない」 ことを「科学的」に立証した。

 そればかりか、量子論はまた、
 「宇宙も人間と同様に〈心〉を持っていて、〈この世のあらゆる事象〉は、そのような〈宇宙の心〉と〈人間の心〉の〈調和〉(相互作用)によって成り立っている」
 ことをも「科学的」に立証した(コペンハーゲン解釈、後述)。しかも、そのことを傍証しているのが、驚くべきことに、二〇〇〇年も前の「東洋の神秘思想」にいう、

 「天人合一の思想」 (宇宙の心と人間の心は一体である)
 であり、同じく「西洋の論理思想」(ライプニッツによる)にいう、
 「大宇宙と小宇宙の自動調和」 (大宇宙の神の心と小宇宙の人間の心は自動的に調和している) であるといえよう。

 さらに、「量子論」は、
 「〈宇宙は心〉を持っていて、〈人間の心〉を読み取って、その〈願いを実現〉してくれる(叶えてくれる)」 ことをも科学的に立証した(コペンハーゲン解釈、後述)。それこそが「量子論」を象徴する、もう一つの有名な比喩の、

 「祈りは願いを実現する」 である。

 加えて重要なことは、「量子論」は、「〈見えない心の世界のあの世〉は存在し、しかもその〈見えない心の世界のあの世〉と《見える物の世界のこの世〉はつながっていて、しかも〈相補関係〉にある」 ことをも「科学的」に立証した。いいかえれぱ、「量子論」は、
 「〈見えない心の世界のあの世〉と〈見える物の世界のこの世〉はつながっていて〈物心一元論の世界〉である」
 ことをも「科学的」に立証した(ベルの定理とアスペの実験、後述)。
 以上を総じて、本書で究明すべき「究極の課題」は、
 「第一に、人間にとって、もっとも知りたいがもっともわからないため、これまでは〈物心二元論〉の観点から〈科学研究の対象外〉として無視されてきた〈心の世界のあの世の解明〉と、第二に、同じ理由で、これまでは〈科学研究の対象外〉として無視されてきた、〈心の世界のあの世と物の世界のこの世の相補性の解明〉について、それぞれ〈量子論の見地から科学〉しなければならない」
 ということである。

その結果、私か本書を通じて学びえたことは、
 「人類は〈量子論の世界〉を知らずして、〈見えない心の世界のあの世〉についても、その〈見えない心の世界のあの世と、見える物の世界のこの世の関係〉についても解明しえないから、人類はもはやこれ以上先へは進めないし、〈深化〉もできない」 といえよう。その意味は、
 「いまや、西洋本来の〈物の豊かさ〉を重視する《物心二元論〉の物質追求主義の〈物欲文明の時代〉は終焉し、これからは東洋本来の〈物の豊かさ〉と〈心の豊かさ〉を同時に重視する〈物心一元論〉の〈物も心も豊か〉で、〈徳と品格〉を備え、〈礼節〉を知る、〈精神文明の時代〉がやってきた」
 ということである(後述)。しかも、そのことを史実によって科学的に実証しているのが、私の、
 「〈文明興亡の宇宙法則説〉にいう、今世紀中にも見られる、〈西洋物質文明〉から〈東洋精神文明〉への〈文明交代〉による、〈心の文明ルネッサンス〉の到来である」
 といえよう。
 さればこそ、私はここに本書を上梓し、熱い想いを込めて、
「神よ、願わくば、人類に〈心の世界の扉〉を開かせたまえ!」
 と祈りたい。しかも、それこそが、私が本書の課題を、「量子論による心の世界の解明」 におき、その書名をして、「量子論から解き明かす「心の世界」と「あの世」」 とする所以である。

とはいえ、「量子論」は現代科学の最先端をいく「もっとも高度な科学」であるから、それに依拠する本書もまた必然的に「高度なもの」とならざるをえない。そのため、私は本書の執筆にあたり、それを可能なかぎりわかりやすく解説するよう最大限の努力を払ったつもりである。とはいえ、ここでとくに注意しておきたい点は、

 「読者が従来の〈古典的な科学観〉(デカルト以来の物心二元論の科学観)から〈脱却〉ないしは〈超克〉しえないかぎり、〈量子論の理解〉は本質的に〈不可能〉である」
 ということである。なぜなら量子論が指向するような、 「〈真に創造的な学問〉は人知を超えた〈神の領域〉(心の世界)にある」 からである。

その意味は、 「〈真に創造的な学問〉は、〈物の世界の科学〉を超えて、〈心の世界の科学〉(神の領域)にまで踏み込んだ学問(科学)である」
 ということである。いいかえれぱ、
 「〈真に創造的な学問〉は、〈論理性〉と〈実証性〉の外に、〈精神性〉をも兼ね備えた学問(科学)である」
 ということである。さらにいうなら、
 「量子論こそは、まさにそのような〈物の世界の科学〉を超えて、〈心の世界の科学〉にまで踏み込んだ〈従来の学問の域を超え〉る〈物心一元論〉の〈真に創造的な学問〉である」
 といえよう。そして、
 「本書もまた、そのような〈量子論〉に依拠した、〈従来の学問の域を超え〉る、〈真に創造的な学問〉を目指して、〈心の世界の解明〉に迫ろうとする」
 ものである。

 なお、ここに付記しておきたいことは、本書は私の前著の「見えない世界を科学する」{彩流杜、二〇一}年)の姉妹編であり、しかも両著とも「心の世界の解明」を共通のテーマとする「心の書」であるという点では同じであるが、本書の「特徴」は、その「分析の視点」をとくに「量子論に集中」したということである。つまり、本書の特徴は、従来の哲学舎や宗教書のような「形而上学」の「思弁的」な「心の書」とは異なり、現代の最先端科学の「量子論」に基づく「形而上学と形而下学」を融合した「思考型の科学実験」に基づく「新しい心の書」であるという点にある。

 ただし、ここに誤解なきよう、とくに断っておきたい点は、本書は従来の「形而上学」の「思弁的」な「哲学書」や「宗教書」などの「心の書」を決して否定するものではなく、逆に、それらの「価値」を「量子論」の観点から「科学的に止揚する」ことにある。ゆえに、このような見地に立って、本書と私の前著の「宇宙の意思」(東洋経済新報社、一九九三年)や「見えない世界を科学する」(彩流社、二〇一一年)などをも併せ読み進めていただければ、それらの「相乗効果」によって、三者とも、より理解が深まるものと考える。
(略)
二〇一四年 初春  
              岸根 卓郎
かなりくどい文章ではあるが、自分も文章を書いていて思うのだが、あふれ出る言葉を文章にするとこうなりやすい。溢れる情熱を誠実に書き起こしたものだと私は思います。

そこで、本文とは直接関係ないのだが、量子論の「非現実性は巨視的世界にも当てはまる」話として、寺澤武一氏の傑作漫画コブラに出てくる「カゲロウ山登り」の回を本書を読んで想い出したので、紹介したい。

「カゲロウ山登り」
その山が存在する。そう信じている者だけに存在する、幻の山「カゲロウ山」。山頂を求め最初は9人だった仲間が次々と死んでいく。山の存在を信じられずに…。そして、その死の影には裏切り者の気配が。最後まで生き残ったのは、山頂に求めるものがあると信じていた奴と知っていた奴だった。 

本エピソードは、デカルトの「我思う、ゆえに我あり」Cogito ergo sumがその昔元ネタかと思っっていたが、なんと先駆的量子論的な漫画であったのか・・・しかも原作は1970年代末だ!哲学や宗教とこの量子論はかなり近いのだ。いや、真理の追究において単に経路が違うだけなのかもしれない。

p177-187
13 祈りは願いを実現する

「誰も風を見た人はいない。それでも誰も風の存在は疑わない」
 であろう。それと同様に、
 「誰も神を見た人はいない。それでも誰も神の存在は疑わない」
 であろう。私は、そこにこそ「神を信じる人の祈り」としての「宗教」が生まれたと考える。
しかも驚くべきことに、
 「量子論は、ついにその〈祈り〉が単なる宗教儀式ではなく、〈現実を創造〉し、〈願望を実現〉することを〈科学的〉に立証した」といわれている。

その意味は、
 「この世のくありとあらゆるもの〉は、すべて〈人間の意識〉(心)が創り出している〈想念の世界の産物〉であるから、〈人間の祈り〉(想念、心)によって〈現実を創造〉すれば、〈願望を実現〉することができる」 ということである。それゆえ、
 「祈りは願いを実現する」 ということになる。
もともと、
 「祈りとは、宗教が対象とする至高の存在(神、佛)に向けて、人間が願い(思念、想念)を集中すること」
 であるが、その祈りは全人類を通じて、古代から現代に至るまで連綿として継承されてきた。なぜなら、それは、
 「〈人間〉には〈心〉があり、心があれば〈悩み〉が生まれ、悩みが生まれれば〈神〉に縋りたくなり、神に縋りたくなれば〈祈り〉たくなり、祈りたくなれば〈宗教〉が生まれる」
 からである。
とすれば、この事実こそは、
 「祈りが宇宙の意思(神の心)を通じて願望を創造(実現)することを、人間自身が暗黙裏に認めてきた(信じてきた)証である」 といえよう。

このことを「量子論の立場」から、私なりに解釈すれば、

「祈りには〈空間〉(森羅万象を生み出す母体)が大きく関与していて、その空間に〈人間の祈り〉(人の想念、心)が〈電子〉(その波動)を介して〈同化〉すると、そこに〈素粒子の心〉にも変化が生じ、それによって〈願望の事象〉が生まれ(波束が収縮し)、〈祈りが実現〉する」 ということになろう。このようにして、私は、「〈人の祈り〉は宇宙空間を通じて、〈人の願い〉を〈実現する〉ことを〈科学的〉(量子論的)に立証しえた」 と考える。

そればかりか、このことはまた、 「〈宗教〉の〈存在意義〉の重要性をも〈科学的〉に立証しえた」 ことになると考える。

 以上が、「祈りは願いを実現する」という「量子論の主張」についての私の理解であるが、同じことを、さらに「宗教論の観点」からも考えれば、佛教でも、 三界は唯心の所現」
 すなわち、
三界(現世、この世)は、人の心の現れにすぎない」
 と説いているが、その意味は、
「この世は、人の心が創り出した意識(想念)の世界にすぎない」
ということである。とすれば、そのことはまた、量子論の主張する、
「この世は、人の意識が創り出した想念の世界である」
 とも完全に一致することになる。そうであれば、量子論と同様、宗教(佛教)によっても「人は祈り(想念、心)によって、現実を変え、願いを実現することができる」
 ということになる(参考文献20p194)。
このようにして、私は、ここでも「東洋の神秘思想」(佛教)
と「量子論」の「近さ」を思い知らされる。

 そこで、このような「両者の近さ」について、以下に改めて私見を付記すれば、それはアインシュタインが、     
 「ネズミ(人間を比喩)が見つめただけで(ネズミの意識、ネズミの心だけで)、この世が変わるなどとはとうてい信じられない」 との揶揄によって、量子論の主張する、
 「人間の意識(心)によって、この世は変わる」
 に対し猛烈に反論した点についてである。

 佛教ではその根本思想の一つに「輪廻転生の思想」がある球仁の思想では、人間は死ねば天人、人間、動物、地獄の生き物のいずれかに再生し、それを永劫に繰り返すと説き、人間はこの輪廻から抜け出さないかぎり(解脱しないかぎり)、地獄、餓鬼、畜生、修羅、人間、天上の「六道」の間を永遠に輪廻転生することになると説く。

  ところが、佛教では、この「六道」よりもさらに上位に「輪廻転生の世界」を超えた「悟りの 世界」(意識の世界、想念の世界)としての、声聞(しょうもん)、縁覚(えんかく)、菩薩の「四聖道」があると説き、
 その「四聖道」(悟りの世界、祈りの世界)へ行けるのは「人間だけである」として、その「特権」 を「人間以外の生物」には与えていないのである。

その意味は、
 「佛教では、この世のすべての事象は四聖道の特権を与えられた人間の意識だけで創り出されて いるから、アインシュタインのいうような四聖道の特権を与えられていないネズミのような人間 ではこの世は変わらない」  ということである。

  以上を総じて私のいいたいことは、
 「量子論によれば、ミクロの世界のあの世では、人間の意識(心)によって、その現実は瞬時に 姿を変えるから(波束の収縮)、基本的には、そのミクロの世界によって構成されているマクロ の世界のこの世でも、ミクロの世界のあの世の法則(コペンハーゲン解釈)に支配され、人間の 意識(祈り)によって、この世の現実を変え(創造し)、願いを実現することができる」  ということである。

  そして、いみじくも、そのことを二〇〇〇年も前に説いたのが、次のキリスト教の『新約聖 書』の聖句である。すなわち、 『イエス答えて言い給う。神を信ぜよ。誠に汝らに告ぐ、人もし此の山に「移りて海に入れ」と言うとも、その言うところ必ず成るべしと信じて、心に疑はずば、その如く成るべし。この故に汝らに告ぐ、凡て祈りて願う事は、すでに得たりと信ぜよ、然らば得べし』(『新約聖書』マルコ伝第一一章二二~二四節)
 と。そうであれば、私は、二〇〇〇年も前にバイブルに説かれた、
 「祈りは願いを実現する」
 という、この聖句の正しさが、二〇〇〇年後の今日に至って、ようやく「量子論」によって「科学的」に「立証」されることになったと考える。

 そこで、このことに関連して、ここで改めて視点をかえ、後に述べる「宿命と運命」の観点からも「祈りは願いを実現する」について、私見を追記すれば、
私は、
 「あの世(ミクロの世界)での多様な確率的な可能性の〈宿命〉が、〈波束の収縮〉によって、この世(マクロの世界)での唯一の現象(実在)として顕現したのが〈運命〉であると考えるから、〈祈り〉によって、あの世での〈宿命〉を、この世で〈波束の収縮〉によって変えれば、この世での〈運命〉も変えることができるので、〈祈り〉によって〈願い〉(運命)を叶えることができる(実現できる)」 と考える。

この点については、すでに「アスペの実験」でも、「相補性原理」でも、私見を明
らかにした。

 以上が、私の「祈りは願いを実現する」との見解であるが、この点に関連してさらに心理学者のバス教授の理論についても私見を追記すれば、彼は、 『人間のニューロンには数十億の原子レベルの意識が含まれており、それらが人間の心となって、原子、分子、細胞、組織、筋肉、骨、器官などで観測を行っている』 という。もしそうであれば、
 「人間の心は、物事を原子レベルで感知することができる」
 ということになる。もちろん、これは「注目すべき見解」である。なぜなら、
 「原子レベルといえば、それは潜在的な実在(祈り、宿命)が、波束の収縮によって、顕在的な実在(運命)に変わる素粒子レベルのことであるから、このバスの理論は、量子論の観点から見た、前述の私の〈祈りは願いを実現する〉との考えとも通じることになる」 からである。

 以上を総じて私は、 「人間の〈祈り〉が〈波動〉を介して空間に〈同化〉すると、そこに祈りとしての〈宿命〉が生まれ、それが同じく〈波動〉を介して時間の経過とともにこの世に運ばれると、それが人間による〈波束の収縮〉によって現実の事象としての〈運命〉になり、祈りは〈実現〉する」 と考える(図3-4を参照)。

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                                                   それゆえ、私は、 「〈祈り〉とは単なる宗教儀式ではなく、〈人間の願望〉を実現するために必要な〈人間の心の在り方の問題〉である」 と考える。

そして、この考えこそが、私の主張する「量子宗教」(著者造語)の意味である。
なお、この「量子宗教」について詳しくは、私の前著の『見えない世界を科学する』を参照されたい(参考文献21p322-331)。

 以上のようにして、私は、 「祈りは願いを実現することを、量子論的見地から〈科学的〉に立証しえた」と考える。とすれば、これこそは、本書の課題とする、
 「〈量子論による心の世界の解明〉への〈一つの解答〉である」
 ともいえよう。

 ところが残念ながら、現実には、 「祈りは必ず願いを実現する」 とは思えない。
なぜだろうか。私見では、それには主として次のような理由があるからではな
かろうか。

一つは、 マクロの世界のこの世に住む私たちが、「祈り」によって、ミクロの世界のあの世で選択したことが(それが「願いとしての宿命」)、時間の流れるマクロの世界のこの世に時系列順に運ばれてきたのが、その時々の「現実としての運命」である。ところが、残念ながら、私たちは自身がミクロの世界のあの世で、祈りによって選択したこと(宿命)と、それがマクロの世界のこの世に時系列順に現れてきたこと(運命)との「相補性」については「まったく気づくことができない」から、その「違い」が私たちにとっては「祈りは願いを実現するとはかぎらない」と映るのではなかろうか。

二つは、私たちこの世に生きる一人ひとりはすべて「異なる願い」を持っているから、それらの多くの「異なる願い」は、多くの場合、互いに「背反」したり、「競合」したりしているはずであるから、もしもそれらの多くの人々の「すべての願い」が「祈り」によって「すべて実現」したとすれば、そのとき、社会は「大混乱」に陥ることになるから、「宇宙の意思」によって、そうならないようになっているのではなかろうか。

 以上のような理由から、私は、 「いまだ隠された宇宙の意思」(いまだ知られざる神の意思)によって、祈りはすべての人々の願いをすべて実現することはできないようになっている」のではないかと考える。

そうであれば、私は、「その隠された宇宙の意思(神の意思)とは何か」 を探ることもまた、「心の世界の解明を目指す、量子論にとっての重要な課題の一つ」ではなかろうかと考える。

14 量子論が解き明かす世界観

 以上は、「量子論が解き明かしてきた数々の不思議な世界」、なかんずく「コペンハーゲン解釈の世界」について見てきたので、最後にその要点を箇条書きにして「総括」しておく。

(1) この世が存在するかぎり、必ずあの世も存在する
(自然の二重性原理と相補性原理)
(2) あの世とこの世はつながっていて、しかもあの世がこの世へ投影されている(自然の二重性原理と相補性原理、ベルの定理とアスぺの実験)
(3) この世とあの世は、その境界領域において互いに干渉し合っている(ベルの定理とアスぺの実験)
(4) この世が虚像で、あの世が実像である
(自然の二重性原理と相補性原理)
(5) 物質世界のこの世が空間世界のあの世に変わり、空間世界のあの世が物質世界のこの世に変わる(状態の共存性と相補性原理)
(6) 人間はなぜ生きているうちは見えるのに、死ねば見えなくなるのか(自然の二重性原理と相補性原理)
(7) 人間にとって、あの世の宿命は、この世の運命である(相補性原理)
(8) 人間の意識がこの世(現実の事象)を創造する(波束の収縮性原理)
(9) 万物は空間に同化した存在である
(波動性と粒子性、および同化の原理)
(10)空間のほうが物質よりも真の実体であり、空間こそが万物を生滅させる母体である(波動性と粒子性、および同化の原理)
(11)万物は観測されるまでは実在ではない(波動の原理)
(12)未来が現在に影響を及ぼす(共役波動の原理)
(13)素粒子はあらゆる形状や現象を生み出す素因である(波動の原理)
(14)この世はすべてエネルギーの変形である
(ディラックの原理と波動の原理)
(15)宇宙の意思が波動を通じて万物を形成する(波動の原理)
(16)祈りは願いを実現する(波動の原理と波束の収縮性原理)


量子論と意識と脳 2017/1/19(木) 午前 2:21 

死後の世界を量子論で科学する.mp4


いま、科学は20世紀の常識を大幅に超越した新たな段階に到達し始めた。
我々の20世紀持っていた常識は、丹波哲郎の大霊界話に負けてしまったかもしれないのだ・・・・いままでオカルトや超常現象といった非科学的なものが科学される時代となってきたのだ。




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Directed energy atmospheric lens could revolutionise future battlefields. Credit: BAE Systems

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BAE Systemsは15日、近年、実用化に向けた研究開発が進められている対空レーザー兵器用防御シールド「Laser Developed Atmospheric Lens (LDAL)」のコンセプトを発表しました。

この防御シールドは自然界で生じる光の屈折現象の一種となる「大気光学現象(Atmospheric Lens)」をレーザーを使って人工的に誘発して、大気の乱れを生じさせることで大気中内でのレーザーが進むことを乱そうという考え方に基づくものとなります。

レーザーにより大気光学現象を形成できることは既に研究者の間では「カー効果(Kerr Effect)」として知られていたものとなりますが、これまで、このカー効果を対レーザー兵器に応用するという考えは公表されたことはありませんでした。

カー効果とは、レーザーにより、大気中に局所的に、イオン化した高温の空間を作り出すことで、疑似的に大気光学現象と同じ現象を作り出すというものとなります。

実際の実装方法についてBAE Systemsでは、成層圏を飛行中のスペースプレーンから高出力のパルスレーザーを発射させて、大気中の特定の空間にカー効果を生じさせることで、その空間でのレーザー光線の利用を事実上、不可能にすることが可能になると説明しています。

BAE SystemsでLDALの研究開発を主導しているブライアン・エドワード(Bryan Edwards)教授は、カー効果を使ってレーザーを攪乱させるというアイディアは、科学的に非常にエキサイティングなもので、もし実現すれば軍事の領域に革新をもたらすものになるだろうと述べています。

BAE Systemsのこのアイディア、もし実現すれば、スタートレックなどの世界ではおなじみのシールドが形を変えた形で現実のものとして実現するものとなりそうです。
Future concepts from BAE Systems: Atmospheric Lens

技術の進歩は著しい!初歩的な高出力レーザー兵器の実用化が始まったばかりなのに、その防御兵器が開発し始めたというのだ。



もっともこのLDALはカー効果を利用した大気圏内での高出力レーザー兵器防御用なのだが、宇宙空間ではおそらくプラズマを利用すれば可能ではないかと思う。
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SF映画では宇宙船が攻撃から船を守るのに当たり前のようにバリア/Force Fieldsというもが当たり前のように登場していた。

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Star Trek

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宇宙戦艦ヤマト
ハリウッド映画「インディペンデンスデイ」では、地球に襲来した超巨大宇宙船の周りに、Force Fieldsが巡らしてあった。
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Force Fieldsによりミサイルも打ち込めなかった。

SFとはいえForce Fieldsの正体はレーザーをも吸収するプラズマではないかと思う。
プラズマはレーザーをも吸収することも可能だ。プラズマとは、物質において固体、液体、気体に次ぐ第4の状態である。Force Fieldとしてプラズマが効果的なのは、非常に活発な原子が大量に存在し、竜巻のような動きをしているため。それはフィールドを突き抜けようとするエネルギーの波を砕く。

現在Plasma Pencilというわずかなプラズマで瞬時に殺菌する方法が実用化している。プラズマをあて体についた細菌を吹き飛ばせるが、指には何の影響も及ぼさない。細胞を傷めずに殺菌できる。未来技術が実用化している。

米空軍は次世代のステルス技術として、戦闘機をプラズマの力場で覆うことを視野にいれいている。Plasma Pencilを大規模にしたものを戦闘機の周囲何カ所かに搭載。その装置から発せられるプラズマが、Force Fieldを作り、地上のレーダーに探知されないよう戦闘機を覆うという研究をしている。
レーダーは物体に電磁波が当たることで機能する。その電磁波をプラズマの力場が砕けば戦闘機は探知されない。

Plasma Pencilの研究目的は兵器開発ではなかったが、「プラズマが放射物を吸収したり反射させることがわかり、米空軍は1996年以降Plasma Pencilなどプラズマ研究の権威ムーニエ・ラルース博士に出資してきた。

Force Fieldの開発目的は、殺人光線や核ミサイルなど、あらゆるものから防護可能なもので。アメリカエネルギー省管轄のBrook Haven国立研究所で、世界初のプラズマによるForce FieldであるPlasma Windowが開発された。
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温度は12000度にも及ぶ、室温のおよそ300倍のプラズマを発生することができる
日本の広島大学でも大型の真空設備なしに大気と真空を隔てる革新的インターフェース「プラズマウィンドウ」の開発を行っている
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課題はPlasma Windowを大型化することだというが、宇宙空間でも理論的にはプラズマによるバリア/Force Fieldsが構想されている

将来戦車や航空機、宇宙船、さらには町全体を、バリア/Force Fieldsで覆うことも検討されている。コールドプラズマとホットプラズマを重ねれば可能かもしれない。
大気圏内ならばLDALを外周で防ぎ、ある層ではレーザー攻撃を防ぎ、別の層では何らかの生物兵器から防御し、また別の層では電磁パルスから守ってくれるというわけだ。

プラズマによるバリア/Force Fieldsが開発されたのであれば、是非軍事人工衛星に搭載すべきかと思う。


高出力レーザー兵器に対する防御概念が浸透すると、今までのSF映画における宇宙戦闘シーンで派手に打ち合うシーンが一変するかもしれません。

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ライデン天文台(オランダ)の天文学者マーゴット・ブラウワー氏らの研究チームは、宇宙における重力分布の測定データを分析し、「エントロピック重力理論(ヴァーリンデ理論)」と一致する結果を得たと報告した。エントロピック重力理論は、2010年にアムステルダム大学の理論物理学者エリック・ヴァーリンデ教授が発表した重力についての新理論。重力とは「電磁気力」「強い力」「弱い力」と並ぶ自然の基本的な力ではなく、実は「見かけの現象」に過ぎないとする理論であり、発表当時、物議を醸した。この理論に立つと、宇宙の全質量・エネルギーの約27%を占めるとされる目に見えない未確認の重力源「暗黒物質(ダークマター)」を想定しなくても良くなる点も注目されている。ブラウワー氏らの研究論文は「英国王立天文学会月報」に掲載された。

研究チームは今回、3万3000個超の銀河の周囲での重力分布を測定し、それらのデータがヴァーリンデ理論による予測値と一致するかどうかを調べた。その結果、観測された重力分布はヴァーリンデ理論とよく一致していることが確かめられたという。

重力分布の測定には「重力レンズ効果」を用いる。銀河の重力によって銀河の周囲の空間が歪むため、歪んだ空間がレンズの役割を果たし、その空間内を通る光の進路が曲がる。これによって手前の銀河のまわりでは背後の銀河の像がわずかに歪む。この歪みを測定することで重力分布を調べることができる。

イメージ 1重力レンズ効果による銀河の像の歪み(出所: Netherlands Research School for Astronomy)
 
重力レンズを使って調べると、銀河の周囲では、アインシュタインの一般相対性理論から予想されるより強い重力が、銀河の半径の数百倍に及ぶ範囲に広がっていることがわかる。一般相対性理論に矛盾しないようにこの重力分布を説明するには、見えない重力源であるダークマターの存在を仮定する必要がある。一方、ヴァーリンデ理論では、ダークマターを想定せず、目に見えている天体だけを重力源として計算しても観測結果を上手く説明することができる。

ブラウワー氏は「ダークマターを仮定しても銀河のまわりの重力分布は説明可能である」と指摘する。つまり、今回の研究によってダークマターの存在が直接否定されたわけではない。ただし、ダークマターによる説明では、実際の観測で得られたデータと合致するようにダークマターの質量を決める必要がある。つまり、理論と現実を一致させるための自由変数として、ダークマターの質量が使われている。一方、ヴァーリンデ理論はこうした自由変数を利用しておらず、理論から直接導出した予測値が実際の観測結果と一致するという強みがある。

今年11月には、理論提唱者であるヴァーリンデ教授本人も、エントロピック重力によって「銀河の回転速度問題」を説明できるとする論文を発表した。渦状銀河の外縁部は、非常に速い速度で回転していることがわかっているが、目に見える通常の天体の質量にもとづく計算ではこの速度の説明がつかない。この問題を既存の重力理論の枠内で説明するには、目に見えない大量のダークマターを重力源として想定する必要があった。

エントロピック重力理論では、重力とは「物体の位置に関する情報量の変化によって生じるエントロピー的な力である」と説明される。物体の位置が変動することによって、情報量としてのエントロピーが変化し、この変化が重力という形を取って現れるという。つまり、重力とは、エントロピー変化にともなう見かけ上の現象ということになる。

この主張は、「電磁気力」「強い力」「弱い力」と並ぶ自然の基本的な力として重力をとらえる従来の物理学理論とは大きく異なっている。また、「情報」という概念を使って重力について説明しているところも、エントロピック重力理論の特徴である。三次元空間内の情報はすべて二次元平面に保存されるとする物理学上の仮説「ホログラフィック原理」とも深く関わっている。

※本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。
このニュースを読み、なにやらすごいことらしいと、検索すると、ニューサイエンス系 でもあり、多少信憑性に欠けるが、TOCANAでわかり易く解説している記事があった。だが、よく読むとオカルト・ニューサイエンスではない純粋に物理学の画期的な発展になる記事ではないだろうか?                                         
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ニュートンが万有引力の法則を見出して以来、“重力”は宇宙の厳然たる事実として誰もが受け入れてきた。しかし、ここにきて人類の世界観が大きく変わろうとしている。なんと、「重力もダークマターも実在しない」という驚愕の理論が実証されたというのだ!                                        
「ヴァーリンデの重力仮説」

イメージ 3英紙「Daily Mail」(12月19日付)によると、今年11月オランダ・アムステルダム大学で物理学を教えるエリック・ヴァーリンデ教授が、アインシュタインの重力理解は完全に間違っている上、謎の暗黒物質ダークマターも存在しないとする「ヴァーリンデの重力仮説」を発表し、物理学界に激震が走ったが、オランダ・ライデン大学の研究チームが、同理論を実証実験でも裏付けたという。

 まず、研究チームは、恒星や銀河などが発する光が、途中にある天体などの重力によって曲げられたり、その結果として複数の経路を通過する光が集まるために明るく見えたりする現象である「重力レンズ」を観察。そこで得られた3万個以上の銀河における重力の分布を、「アインシュタインの理論(ダークマターモデル)」と、「ヴァーリンデの重力仮説」から導き出した重力の分布予測と比較したところ、両者ともに観測結果と一致したそうだ。

 同研究を率いた博士課程に在籍するマーゴット・ブラウアー氏によると、ヴァーリンデの重力仮説も従来の理論とほぼ同じぐらい正確であることが分かったが、同説は“自由な変数”(ダークマター)を用いていないため、従来の理論よりもシンプルであるという。

「ダークマターモデルの方が、若干ヴァーリンデ予測よりも正確ですが、ダークマターモデルは自由な変数を使っているのに対し、ヴァーリンデ仮説は使っていないという点を考慮すれば、ヴァーリンデ仮説の方が理論としては幾分か優秀です」
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そもそもダークマターとは、銀河の回転スピードが「観測されている物質」だけのデータから計算された速度よりも速いことから、物理学者らが「宇宙空間には目に見えない物質があって、重力を及ぼしているに違いない」と考え、想定した仮想物質である。

 すでにダークマターは、物理学に必要不可欠な概念として定着しているが、宇宙空間の現象を説明するために持ち出された“余分な物質”であることに違いはない。そこで、ヴァーリンデ教授は、従来の重力理論を考え直し、方程式からダークマターの存在を完全に取り除く必要があると考えた。教授によると、重力は宇宙の基礎的な力ではなく、“創発的な現象”であるという。

100年越しの科学革命到来か?

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                                                 「創発的重力」とは、エントロピーの副次的効果として、重力のようなものが見かけ上出現するというもの。教授はこの理論を、オランダ人理論物理学者ヘーラルト・トホーフトが提唱した、我々の世界はホログラムから生まれる立体映像で、そもそも重力のない2次元空間から生じたものであるという「ホログラフィック原理」に適応し発展させた。ちょうど、熱が物質の運動に付随した現象であるように、重力も他の基礎的な物質の活動に付随している“現象”だといういうわけだ。

「空間、時間、重力についての常識はすぐに再考されなければなりません。物理学者はもうずっと、アインシュタインの重力理論が量子力学と折り合いが悪いことに気付いています。私の新理論は、そういった物理学の袋小路に劇的な変化をもたらすものです。我々は科学革命前夜にいるのです」(ヴァーリンデ教授)   
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 物理学の標準モデルでは、世界は4つの基礎的な要素(重力、電磁気力、弱い力、強い力)で構成されているとされるが、何年もの間このモデルでは説明できない現象がなおざりにされてきた。たとえば、最良の理論である一般相対性理論をもってしても重力そのものやダークマターを完全に説明することができないのだ。

 また、一般相対性理論は微小な粒子を扱う量子力学とも折り合いが悪いため、この閉塞状態を打破できる新理論を物理学者は求め続けてきた。そして、その候補として「ヴァーリンデの重力仮説」が浮上してきたのだ。

 もし今後、ヴァーリンデの重力仮説が、さらなる実証テストをパスすれば、1世紀にわたり物理学を席巻してきたアインシュタインの重力理論の座を奪い、ダークマター理論も打ち捨てられることになる上、古典物理学と量子力学を統合した“統一理論”の完成につながる可能性まであるという。

イメージ 7アインシュタインが「特殊相対性理論」を発表した1905年から、100年余りの時を経て、物理学界に大胆な革命が起ころうとしている。今後の研究次第であるが、もしかしたら人類の宇宙観がヴァーリンデ以前と以後でガラリと変わってしまうかもしれない。今後もヴァーリンデ教授から目が離せない!
(編集部)                          
参考:「Daily Mail」、「Big Think」、ほか
なんともすごいことになってきた! エリック・ヴァーリンデ教授と同じオランダのライデン観測所の天文学者マーゴット・ブラウワー氏が率いるチームは、3万個以上の銀河の中の物質の分布を詳しく調べた結果、ヴァーリンデの重力仮説を使うとき「物質の分布が暗黒物質なしで説明できる」ことを発見したとの実証ニュースは本物ではないだろうか!ヴンデァーリの重力仮説(エントロピック重力理論)が実証されれば間違いなくノーベル賞ものだ!世界中の物理学者達の多くが失業してしまうかもしれない。

もし「ヴァーリンデの重力仮説」が本当なら、20世紀最大の発見の一つアインシュタインの一般相対性理論が覆り、歴史的な発見となる。人類はまた大きく一歩進歩するかもしれない。

「ヴァーリンデの重力仮説」とは、エントロピーの副次的効果として、重力のようなものが見かけ上出現するというもの。「重力」が“見かけの現象”にすぎず、暗黒物質を想定しなければ、電磁作用と弱い力と強い力の矛盾も解決できるかもしれないと期待されている。現代科学はアインシュタインの重力理論がもしかしたら間違っていたかもしれないので、袋小路に入ってしまっている。
 東京大学などの国際研究チームは宇宙の始まりを説明する物理学の「大統一理論」を証明するためスイスで進めていた実験の結果をまとめた。大統一理論が予言するミュー粒子という素粒子の崩壊現象は発見できず、現在提案されている理論の多くと矛盾する結果となった。研究チームは観測感度を10倍引き上げた新たな実験を2017年から始める計画だ。

 研究チームが進めていたのは「MEG実験」。電子と似た性質を持つミュー粒子が壊れて電子とガンマ線になる現象の有無を確かめていた。大統一理論では1兆に1回程度の頻度で起こるとされる。スイスの研究所で13年までの約4年間観測した2兆4千億のミュー粒子では、この現象が見つからなかった。

 森俊則東大教授は「複数提案されている大統一理論に厳しい条件が課されることになり、正しい理論の候補を絞り込める」と話す。17年から始める「MEG2実験」では、3年間で25兆のミュー粒子を観測し、崩壊現象を見つけることを目指す。
ヴァーリンデの重力仮説(エントロピック重力理論)は、同じくオランダ人理論物理学者ヘーラルト・トホーフトが提唱した、我々の世界はホログラムから生まれる立体映像で、そもそも重力のない2次元空間から生じたものであるという「ホログラフィック原理」に適応し発展させたものだそうだが、ホログラフィック原理によるホログラフィック宇宙論とは・・・

ホログラフィック宇宙
【日経サイエンス】 2003年11月号 J. D. ベッケンスタイン(ヘブライ大学)

http://www.nikkei-science.com/wp-content/uploads/2003/10/200311_056.jpg 「ホログラフィック原理」と呼ぶ理論によると,宇宙は1枚のホログラムに似ている。ホログラムが光のトリックを使って3次元像を薄っぺらなフィルムに記録しているように,3次元に見える私たちの宇宙はある面の上に“描かれた”ものだ。はるか遠くの巨大な面に記録された量子場や物理法則と,私たちの宇宙とは完全に等価だ。
 
 ブラックホールの研究を通じて,ホログラフィック原理の正しさを示す手がかりが得られた。常識に反して,ある空間領域のエントロピー(情報量)は,領域の体積ではなく表面積によって決まることがわかった。この驚くべき発見は「究極理論」を目指す研究のカギになるだろう。
 
 物質がブラックホールに落ち込んで消え去るとエントロピーも永久に失われ,熱力学の第2法則が破れてしまうように見える。私(ベッケンスタイン)は英ケンブリッジ大学のホーキング(StephenW. Hawking)らの研究成果にヒントを得て,「ブラックホールは事象の地平面の面積に比例したエントロピーを持つ」と1972年に提唱した。さらに一般化すると,ブラックホールの全エントロピーとブラックホール外にあるエントロピーの総和は決して減少しない。これが「一般化第2法則」だ。
 
 この考え方を発展させると,ホログラフィック原理にたどり着く。例えば3次元の物理過程を,その2次元境界面について定義された別の物理法則によって完全に記述できるとする考え方だ。近年の理論研究によって,宇宙をホログラフィックととらえる考え方は定着したように思える。これに伴い,物理現象を記述するには場の理論が最上であるという過去50年にわたる基本的な信念を放棄せざるを得ない,と考えられるようになってきた。

重力は幻なのか? ホログラフィック理論が語る宇宙
【日経サイエンス】 2006年2月号 J. マルダセナ(プリンストン高等研究所)

http://www.nikkei-science.com/wp-content/uploads/2006/01/200602_020.jpg上下,左右,そして前後──空間の次元が3つあることは,私たちの身のまわりを見れば実感できる。これに時間を足せば,空間と時間が4次元で溶けあった「時空」になる。というわけで,私たちは4次元宇宙に住んでいる。しかし,本当にそうだろうか?
 
 私たちが感じている重力や空間次元の1つは,もっと次元の低い時空での粒子の相互作用から生まれる一種の「幻」なのかもしれない。「ホログラフィック理論」と呼ばれる物理学の理論によると,重力のない2次元空間は重力のある3次元空間と完全に同等だと考えられる。ホログラムから生まれる立体映像のように,重力を含む3次元の世界は2次元空間の物理から生じているのかもしれない。
 
 この2次元空間は,3次元空間の境界面に存在する。境界面上で起こっている物理現象は,クォークやグルーオンが強く相互作用する様子に似ている。一方,3次元空間内部での現象は,重力の量子論を含んでいる。2つの世界が同等であることから,量子力学と重力理論を適切に融合する道が開けてきた。量子重力理論は,自然界のすべての力を統一しようとする試みのカギを握っており,超ひも理論の研究者が何十年にもわたって進展させてきたものだ。
 
 量子重力的な効果はふつうは完全に無視できるが,ビッグバンの始まりでは非常に重要だった。このため,ビッグバンがどう始まったのかを説明するには量子重力理論が必要になる。また,ブラックホールの内部で何が起こっているかを理解するうえでも重要だ。
このホログラフィック宇宙論をヴァーリンデ教授は修正し、宇宙の情報の一部は空間そのものの中に保存されるとするとしたのが、ヴァーリンデの重力仮説(エントロピック重力理論)のようだ。

【宇宙】「重力もダークマターも存在しない」 オランダの物理学者が新理論を発表 【2ch.net】2016/11/14(月) 12:04:47.76 

オランダの物理学者エリック・ヴァーリンデ教授は、ダークマターの存在を仮定しなくても銀河の回転速度問題を説明できるとする新理論を発表した。ダークマター(暗黒物質)は、宇宙の大半の質量を占めながらもこれまでまったく観測されたことがない謎の物質。見えている天体だけでは説明がつかない天文学的現象を説明するために導入されたダークマターだが、ヴァーリンデ教授の理論が正しければ、そもそもそのような仮定をする必要がなかったことになる。 

ヴァーリンデ教授は2010年、「重力は存在しない」という理論を発表して話題になった。その理論によれば、重力とは自然の基本的な力ではなく、見かけ上の現象に過ぎない。ミクロの粒子の運動によって熱という現象が現れると説明できるのと同じように、時空構造内に保存されている情報の変化によって現れる現象として重力を説明できる。この理論はエントロピック重力論と呼ばれている。 

渦状銀河の外周部は、通常の天体の量によって説明できるよりも遥かに速い速度で回転していることが分かっている。従来の重力理論でこの現象を説明するためには、観測できないが存在している大量のダークマターを重力源として仮定する必要があった。ヴァーリンデ教授は今回、エントロピック重力理論を適用することで、銀河の回転速度を正確に説明できることを示した。 

ヴァーリンデ教授「新しい重力理論が観測結果と一致するという証拠を得た。大きなスケールでは、重力はアインシュタインの理論予測のとおりには振舞っていないように見える」 

ヴァーリンデ教授の理論の核には、トホーフトとサスキンドによって導入された「ホログラフィック原理」がある。ホログラフィック原理では、宇宙のすべての情報は、宇宙を取り巻く巨大な球体の表面に記述可能であるとした。一方、ヴァーリンデ教授はホログラフィック原理を修正し、宇宙の情報の一部は空間そのものの中に保存されるとする。この余分な情報の存在によって、ダークマターやダークエネルギーを説明できるという。 



http://phys.org/news/2016-11-theory-gravity-dark.html

ダークマターはアインシュタイン特殊相対性理論でその存在を否定された光の伝播媒体とされたエーテルみたいに存在しない概念だったのだ。 理論理を成立させる為の存在だあれば、どんなに観測しても、その存在が証明されず謎であるのも納得できる。

ヴァーリンデの重力仮説(エントロピック重力理論)は現在まったく、目途が立たないアインシュタインも夢見た“大統一理論”にも繋がるかもしれない。それどころか20世紀にあらゆる理論の基礎理論となったアインシュタインの一般相対性理論を覆し、古典物理学と量子力学の統一理論にもつながる21世紀の新たな画期的な理論になるかもしれない。

【そうか!でもわからない人向け参考】



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核融合関連研究流失か 富山大施設 サイバー攻撃
【読売新聞】2016年10月10日 06時00分

 核融合炉の燃料になるトリチウム回の研究で知られる富山大学の「水素同位体科学研究センター」が標的型サイバー攻撃を受け、今年6月に発覚するまでの約半年間に研究関連の大量の情報が流出した恐れがあることが同大などの調査で分かった。

サイバーセキュリティーの専門家は「日本の安全保障にとっても重要な情報が狙われている。情報資産を蓄積
する大学のセキュリティーレペル向上が急務だ」と指摘する。

 特定の人物や機関を狙って情報窃取を狙う標的型攻撃の被害が判明したのは、トリチウム理工学が専門の研究者のパソコン。

昨年11月にウイルス感染し、12月末までに遠隔操作で1000以上の圧縮ファイルが作成された。情報を外部に発信しやすいように攻撃者が作ったとみられ、この頃、大量通信が発生していた。

 さらに今年3月、再び圧縮ファイルが作成され、外部への通信が発生。6月になって、外部機関から「不審な通信が出ている」と通報があり問題が発覚した。

 この研究者が感染した同時期、センターには複数の研究者に類似の標的型メールが送られていたという。

 解析の結果、3月に作成されたファイルには福島第一原発で発生した汚染水の除去方法などの研究成果が
入っていたことが判明。

昨年末までに流出したとみられる大量のファイルは攻撃者によって暗号化され、攻撃者が「IAEA(国際原子力機関)」という言葉を検索し、関連資料を探していた形跡も残っていた。大学は事実関係を認めている。

 この研究者のパソコンからは共同研究を行う複数の大学や研究機関の研究者など1493人分の個人情報も流出した恐れがあることが判明。攻撃者が情報をもとに攻撃を広げる可能性があったが、センターは今月に入るまでこうした機関に被害を伝えていなかった。

 同センターは1980年に核融合炉の実現に向けて設置されたトリチウム研究専門機関の後継。
大量トリチウムの取り扱い技術や計測技術で定評があり、核融合科学研究所などと共同研究を行っている。        
 セキュリティー会社・ラーツクーの西本逸郎最高技術責任者の話゛サイバー攻撃では個人情報の流出が問題になることが多いが、実際には研究成果や企業機密の被害の方がはるか¨に大きい。あまり被害が表面化しないこともあって、社会全体の問題意識が薄いが、安全保障にも重要な知的財産が狙われていると言う危機意識を持つ位べきだ。
中国や北朝鮮による日本の最先端テクノロジーのハッキングであることは間違いない。先日も量子通信で世界最先端と自称する中国の中国科学技術大学の潘建偉教授「われわれは世界中の研究室で技術をすべて吸収し、(中国に)持ち帰った」と語っている。中国は、各国が脈々と進めてきた基礎研究開発成果をハッキングしたり留学生を送りスパイして、巨大な国家資本をバックに、一気に最先端実験の実現に持ち込もうとする側面が垣間見える。

基礎研究を疎かにする中国が世界最先端技術を制することは無いと思うのだが、一気に実現しそうな核融合開発をハッキングしようとするのは当然である。

核融合は、本質的にエネルギーの無限の源であり、クリーンエネルギーです。地球上に何もフットプリントを残しません。フットプリントなし、核廃棄物なし、温室効果ガスなし。基本的に理想のエネルギー源である。巨額の資金が必要な人類初の平和目的核融合実験炉の実現を目指した「ITER計画」は、2025年核融合炉の運転開始を目指し 日本・欧州連合(EU)・ロシア・米国・中国・韓国・インドの7極により推進され、世界の平和と繁栄につながると期待されているというが、中国と韓国を引き込むことに強い違和感を感じる。日本が持つ技術を盗用し国際的に管理されず自国で運用しようと言う中国の意図を感じる。

だが、巨額の資金がかかるITER計画Tokamak型ではなく、コストの安い Dynomak型ロッキードが開発する小型核融合炉の方がより実用化に近い可能性がある。

そんななかで、かつて夢の技術と大騒ぎをしたが、再現されず、疑似科学扱いを受けた常温核融合が俄然注目を浴びている。

仙台市太白区にある三神峯(みかみね)公園は、500本を超えるサクラの名所として知られる。「東北大学電子光理学研究センター」は、同公園に隣接した緑の中にある。2つの加速器を備えるなど、原子核物理の研究センターとして50年の歴史を刻んでいる。



■わずか数百度で核反応が進む



 2015年4月、同センターに「凝縮系核反応共同研究部門」が新設された。「凝縮集系核反応」とは、金属内のように原子や電子が多数、集積した状態で、元素が変換する現象を指す。


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凝縮系核反応研究部門の研究室。左からクリーンプラネット・吉野社長、東北大学・伊藤客員准教授、同大・岩村特任教授、クリーンプラネット・服部真尚取締役(撮影:日経BP)



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 今の物理学の常識では、元素を持続的に変換させるには、1億℃以上のプラズマ状態の反応場が必要とされる。フランスや日本などは、国際協力の下で「ITER(国際熱核融合実験炉)」の建設を進めている。巨大なコイルによって、「1億℃」を磁場で閉じ込めておく手法だが、当初の目標に比べ、実用化は大幅に遅れている。



 凝縮集系核反応であれば、常温から数百℃という低温で元素が融合し、核種が変換する。東北大学電子光理学研究センターに建った、凝縮集系核反応共同研究部門の真新しい建屋に入ると、断熱材で覆われた実験装置がある。

                                    凝縮系核反応研究部門の研究室にある実験装                                     置。この中で核反応が進む(撮影:日経BP)

 核反応が進行するチャンバー(容器)は円筒形。金属製なので中は見えないが、センサーによって温度を計測している。「実験を始めてまだ1年ほどですが、順調に熱が出ています」。同研究部門の岩村康弘特任教授は、温度を記録したノートを見ながらこう話す。



■三菱重工の研究者が東北大に移籍



 かつて、凝縮集系核反応は「常温核融合(コールドフュージョン)」と呼ばれた。1989年3月に米ユタ大学で、二人の研究者がこの現象を発表し、世界的に脚光を浴びた。だが、ユタ大学での報告を受け、各国で一斉に追試が行われた結果、米欧の主要研究機関が1989年末までに否定的な見解を発表、日本でも経済産業省が立ち上げた検証プロジェクトの報告書で、1993年に「過剰熱を実証できない」との見解を示した。



 しかし、その可能性を信じる一部の研究者たちが地道に研究を続け、徐々にこの現象の再現性が高まってきた。2010年頃から、米国やイタリア、イスラエルなどに、エネルギー利用を目的としたベンチャー企業が次々と生まれている。日本では凝縮集系核反応、米国では「低エネルギー核反応」という呼び名で、再評価する動きが出てきた。



 実は、東北大学に新設された凝縮系核反応共同研究部門は、クリーンエネルギー分野のベンチャーや研究室などに投資するクリーンプラネット(東京・港)が研究資金を出し、東北大学が施設や人材を提供するという形で2015年4月に発足した。



 「核融合の際に発生する膨大なエネルギーを安定的に、安全かつ低コストで取り出せる道が見えてきたことで、欧米を中心に開発競争が活発化している。日本の研究者は、これまでこの分野を主導してきた実績がある。実用化に向け、国内に蓄積してきた英知を結集すべき」。クリーンプラネットの吉野英樹社長はこう考え、東北大学に資金を投じた。



 東北大学・凝縮系核反応研究部門の岩村特任教授と伊藤岳彦客員准教授は、ともに三菱重工業で凝縮集系核反応の研究に携わり、今回の部門新設を機に東北大学に移籍した。三菱重工は、放射性廃棄物を無害化する技術として、「新元素変換」という名称で地道に研究に取り組み、選択的な元素変換に成功するなど、世界的な成果を挙げてきた。



■わずか1年で「過剰熱」を観測



 岩村特任教授は、東北大学への移籍を機に、研究のターゲットを放射性廃棄物の無害化から、「熱の発生」に切り替えた。凝縮集系核反応の応用分野には、発生した熱をエネルギー源に活用する方向性と、核変換によって放射性廃棄物の無害化や希少元素の生成を目指す方向性がある。現在、クリーンプラネットなど多くの企業、ベンチャーは、実用化した場合の市場規模が桁違いに大きい、エネルギー源の利用を優先して研究を進めている。



 実は「熱の発生」に関しても、日本の研究者が世界的な研究成果を挙げてきた。先駆者は北海道大学の研究者だった水野忠彦博士と大阪大学の荒田吉明名誉教授。現在、国内では、この二人の研究者が見いだした熱発生の手法を軸に実用化研究が活発化している。



 クリーンプラネットは、水野博士が設立した水素技術応用開発(札幌市)にも出資し、グループ企業にしている。東北大学の岩村特任教授らは、まず、水野博士の考案した手法の再現実験に取り組み、順調に「過剰熱」を観測している。



 その手法とは、以下のような仕組みだ。円筒形のチャンバー内にワイヤー状のパラジウム電極を2つ配置し、その周囲をニッケル製メッシュで囲む。この状態で、電極に高電圧をかけて放電処理した後、100~200℃で加熱(ベーキング)処理する。この結果、パラジウムワイヤーの表面は、パラジウムとニッケルによるナノスケールの構造を持った膜で覆われることになる。



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実験装置のチャンバー内にはワイヤー状のパラジウム電極を2つ配置し、その周囲をニッケル製メッシュで囲んだ(出所:東北大学・岩村特任教授)

 こうしてパラジウム表面を活性化処理した後、チャンバー内を真空にし、ヒーターで数百度まで加熱した状態で、重水素ガスを高圧(300~170パスカル)で圧入し、パラジウムと重水素を十分に接触させる。すると、ヒーターで入力した以上の「過剰熱」が観測された。活性化処理せずに同じ装置と条件で重水素ガスを圧入した場合、過剰熱は観測されず、その差は70~100℃程度になるという。



 「実験開始から1年足らずで、ここまで安定的に熱が出るとは、予想以上の成果。これまで三菱重工で蓄積してきた、再現性の高い元素変換の知見を熱発生にも応用できる」。岩村特任教授の表情は明るい。



■ナノ構造が核反応を促進



 一方、大阪大学の荒田名誉教授の手法をベースに熱発生の研究を続けているのが、技術系シンクタンクのテクノバ(東京・千代田)だ。同社には、アイシン精機やトヨタ自動車が出資している。テクノバは、大阪大学の高橋亮人名誉教授と神戸大学の北村晃名誉教授をアドバイザーとして迎え、神戸大学と共同で研究を続けている。



 荒田名誉教授は2008年5月、報道機関を前に大阪大学で公開実験を行った。その際の手法は、酸化ジルコニウム・パラジウム合金を格子状のナノ構造にし、その構造内に重水素ガスを吹き込むと、常温で過剰熱とヘリウムが発生する、というものだった。テクノバチームは、荒田方式をベースにニッケルと銅ベースのナノ粒子に軽水素を吹き込み、300℃程度に加熱することで1カ月以上の長期間、過剰熱を発生させることに成功している。



 1989年に米ユタ大学で、常温核融合が耳目を集めた際、その手法は、パラジウムの電極を重水素の溶液中で電解するというものだった。その後の研究で、電解方式のほかに、重水素ガスを圧入する方法が見いだされ、再現性が高まっている。現在では、電解系よりもガス系の方が主流になっている。東北大とクリーンプラネットによる水野方式、テクノバと神戸大の荒田方式も、いずれもガス系の手法を発展させたものだ。



 また、「パラジウムやニッケル、銅などの試料表面のナノ構造が、核反応を促し、熱発生の大きなカギを握ることが分かってきた」(東北大学の岩村教授)。



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放電処理などでパラジウムとニッケルによるナノスケールの構図を持った膜で覆われる(出所:東北大学・岩村特任教授)

 定性的には100%の再現性を確立したなか、今後の研究ターゲットは、「発生する熱をいかに増やすか、そして重水素とパラジウムという高価な材料でなく、軽水素とニッケルなどよりコストの安い材料による反応系でいかに熱を発生させるかがポイント」と、クリーンプラネットの吉野英樹社長は話す。



■米国で初めて特許が成立



 2016年10月2~7日、「第20回凝縮集系核科学国際会議(ICCF20)」が仙台市で開かれる。ホストは、新設した東北大学の凝縮系核反応研究部門が担う。同会議は、1~2年おきに開かれ、世界から凝縮集系核反応の研究者が200人以上集まり、最新の成果を発表する。ここでも日本の2つのグループによる研究成果が大きな目玉になりそうだ。



 ICCF20の準備は着々と進んでおり、「欧米のほか、中国、ロシアなど、約30か国から研究者が参加する予定で、企業からの参加者も増えそう」(東北大学の岩村特任教授)。ICCFは、2012年に開かれた第17回会議の頃から企業に所属する研究者の参加が増え始め、2013年7月の第18回会議では、4割以上が凝縮集系核反応を利用した「熱出力装置」の開発を進める企業などからの参加者だった。



 クリーンプラネットの吉野社長は、「凝縮集系核反応に取り組む企業は、表に出ているだけでも75社に達し、その中には、電機や自動車の大手が含まれる。こうした企業の動きに押される形で、米国の政策当局は、凝縮集系核反応を産業政策上の重要な技術として、明確に位置づけ始めた」と見ている。



 米国特許庁は2015年11月、凝縮集系核反応に関する米研究者からの特許申請を初めて受理し、特許として成立させた。これまでは、現在の物理学では理論的に説明できない現象に関して、特許は認めていなかった。特許が成立した技術名は、「重水素とナノサイズの金属の加圧による過剰エンタルピー」で、ここでもナノ構造の金属加工が技術上のポイントになっている。



■日本とイタリアがリード



 米国議会は2016年5月、凝縮集系核反応の現状を国家安全保障の観点から評価するよう、国防省に対して要請しており、9月には報告書が出る予定だ。この要請に際し、米議会の委員会は、「仮に凝縮集系核反応が実用に移行した場合、革命的なエネルギー生産と蓄エネルギーの技術になる」とし、「現在、日本とイタリアが主導しており、ロシア、中国、イスラエル、インドが開発資源を投入しつつある」との認識を示している。



 「常温核融合」から「凝縮集系核反応」に名前を変えても、依然としてこれらの研究分野を“似非科学”と見る研究者は多い。そうした見方の根底には、現在の物理学で説明できないという弱みがある。特に低温での核融合反応に際し、陽子間に働く反発力(クーロン斥力)をいかに克服しているのか、粒子や放射線を出さない核反応が可能なのか、という問いに応えられる新理論が構築できていないのが実態だ。



 とはいえ、説明できる理論がまったく見えないわけではない。2つの元素間の反応ではなく、複数の元素が同時に関与して起こる「多体反応」による現象であることは、多くの理論研究者の共通認識になっている。金属内で電子や陽子が密集している中で、何らかの原理でクーロン斥力が遮蔽され、触媒的な効果を生んでいることなどが想像されている。



 東北大学では、熱発生の再現実験と並行して、こうした理論解明も進める方針だ。こうして、理論検討が進み、新しい物理理論が構築されれば、「革命的なエネルギー生産」の実用化はさらに早まりそうだ。

(日経BPクリーンテック研究所 金子憲治)
常温核融合も核融合との同時進行で、間もなく石油の時代は終わる可能性が高い。
そのなかで、注目なのが、

ICCF20-A91 Vladimir Vysotskii博士の微生物による核変換発表

メタンを生成する海泥に棲む好気性微生物によるセシウム133とセシウム137の核変換について述べたものです。
実験結果を示すページは以下の通りです。セシウム133やセシウム137の量(あるいは放射線)が減少しているのが見て取れます。
セシウム137を特別な微生物培養地に添加したところ、14日間で23%の低減が見られたようです。同様に安定元素であるセシウム133について試したところ、セシウムが減ってバリウムが増えたようです。
Komilov教授によると、30年の半減期を持つ放射線セシウム(たぶんセシウム137でしょう)の半減期を250~300日間に短縮できたとのこと。

レーザ光および表面プラズモン共鳴の利用による凝縮系核融合反応促進の検討という題名で、SPPによるエネルギー集中のレベルについて報告。

常温核融合の再現性はもはや間違いないものであるらしい。ただ、常温核融合をより効率よくエネルギー源にするには課題が多いように思う。
素人が知りたい常温核融合さんのリンクを開いて読むと興奮します。この20年疑似科学であったと思っていた常温核融合が、日本において真面目に研究され、擬似科学の汚名を晴らしていることだ。
日本政府は福島原発や核廃棄物処理を核変換技術を確立に動いており、革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)において、核変換による高レベル放射性廃棄物の大幅な低減・資源化プログラムが2014年より進んでいます。
これを読むと、反原発派がその根拠とする核廃棄物処理問題が科学によってパラダイムシフトが進んでいますが、常温核融合技術が進むと、核廃棄物処理が一気に進む可能性があります。
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 原発の最大の問題は放射性廃棄物だ。福島第一原発の汚染水が海洋に流れ出していたことで東京電力が再び責められているが、原発には放射性物質の問題が必ずついてまわる。発電に使用した核燃料から燃え残ったウランとプルトニウムを取り除き、再び燃料として利用するが、その際に高レベル放射性廃棄物が出る。また、原発の建物自体や廃液や廃材、作業服や部材などで放射性物質を含むものは低レベル放射性廃棄物と呼ばれる。

 原発が稼働する以上、こうした核廃棄物は必ず出るが、問題はこれら放射性廃棄物の処分方法が事実上ないということだ。

 放射性廃棄物を無害化する技術を、今のところ人類は持っていない。ではどうするかというと地下に穴を掘って、そこで保管する。家の中で出たゴミを庭に積み上げておくようなものだ。原発が「トイレのないマンション」と揶揄されるゆえんである。庭にどんどんゴミ袋は積み上がっていく。安全とか安全じゃないとかそういう問題ではなく、これはどう考えてもシステムとして破たんしている。

 日本原子力研究開発機構によると、日本にある高レベル放射性廃棄物は現在1万7000トン。さらに100万キロワット級の原発からは毎年20トンずつ排出される(今は稼働していないが)。積み上がっていく致死性のゴミの山を前に、実情を知る人間たちは茫然としていたのが本音だろう。地下に埋めるといっても、今の福島を前に承諾する自治体があるとは思えない。いくら金目のものを積んでも、だ。

 完全に手詰まりに見える放射性廃棄物問題。これをなんとかできるかもしれない技術があるとしたら? それが核変換(原子核変換ともいう)だ。


核変換技術

 1988年、核変換によって放射性廃棄物を無害化する「群分離・消滅処理技術研究開発長期計画」、通称「オメガ計画」がスタートした。放射性物質だろうが何だろうが、原子核の周りを電子がまわるという原子の基本構造は変わらない。この原子核に強力な電子ビームや高エネルギーガンマ線を叩き込み、原子構造を変えて、毒性の低い別の物質にしてしまうのだ(ターゲットとなる核物質の種類により、使うビームの種類や反応経路は変わる)。核物質をすべて無害化できるわけではないし、基本的には半減期が何十万年という放射性物質を半減期が数百年程度の短い核物質に変えることが目的だが、白金などの安定化物質に変換できるものもある。これらは燃料電池車の触媒などに利用可能だ。核変換が実用化すれば、放射性廃棄物の量も保管期間も大幅に減ることになる。
 
 しかし電子ビームで核変換を行うには、非常に大規模な設備が必要であることや放射性廃棄物を核物質ごとに正確に分別すること、反応の制御など課題は多い。本格的な核変換実験施設の建築もこれからだ。新聞報道によれば、総工費220億円で2015年度に着工、およそ30年後の実用化を目指すという。

30年後? 30年後、海賊王に俺はなる! ……そんなことを言われても、困る。


■常温核融合はあります! 科学のパラダイムシフトか?

 ここからが本題だ。核変換が放射性廃棄物問題の切り札であることはわかった。しかし電子ビーム方式ではあまりに気が長い。もっと手早く実用化する手段はないのか?

 三菱重工の岩村康弘博士らはパラジウムと酸化カルシウムでできた薄膜に、セシウムを添加、そこに重水素ガスを透過させるとセシウムがプラセオジウムという別の金属に変わることを突き止めた。同じくストロンチウムはモリブデンに、タングステンは白金に変わったという。薄膜に重水素のガスを透過させるだけで核変換が起きたのだ。電子ビーム施設のような大規模な装置やエネルギーを使わず、ごく単純な(あくまで電子ビームに比較して、である)装置で核変換が起きたのである。

・一度は詐欺扱いされた常温核融合
 
 この三菱重工の研究の基礎となったのが常温核融合だ。1989年3月、英国サウザンプトン大学のマーチン・フライシュマン博士と米国ユタ大学のスタンレー・ポンズ博士が室温での核融合反応=常温核融合を確認したと発表、大ニュースとなった。そのやり方はなんと水の電気分解。重水を白金とパラジウムを電極にして電気分解すると、パラジウムが水素原子を吸着(パラジウムには水素を吸蔵する性質がある)、高密度で集まった重水素原子が核融合反応を起こすという。本当であれば、過去数十年の核融合研究が吹っ飛ぶが、米国エネルギー省の主導で行われた追実験ではそうした反応は見られず、同年11月に説得力のある証拠は見つからなかったとのレポートを発表する。新発見に興奮した社会は一変、フライシュマンとポンズを詐欺師扱いし始めた。

 日本でも物理学会は常温核融合を完全に否定した。だが、化学畑にいる者からしてみれば、たかが電気分解の変型である。それなりに基本的な設備があれば、検証できる。だから日本でも検証研究を始めた学者は何人も出たが、当時の世間の扱いは"胡散くさい"。「日本の敗戦はエネルギー問題と考え、日本が自前のエネルギーを用意することが国として絶対不可欠と考える、戦前の大陸派右翼的な人々が関わっている」という話であり(だから三菱重工が研究していたりする)、まったくの鬼子扱いだったのだ。


・常温核融合プロセス内で起きる核変換

 常温核融合の際に、電極で核変換が起きる。常温核融合は、金属内部で起きる極微の核融合反応と考えられている(現在のところ、メカニズムは不明)。その結果、金属の原子構造が組み替えられ、別の金属が生まれる。パラジウムの電極の表面には、微量ではあるがケイ素・カルシウム・チタン・クロム・銅・コバルト・白金などが確認された。電極に金を使ったところ、なんと金が鉄に変化し、溶液中に鉄が澱となって沈殿するということもあったという。

 さらに100円玉や電池に使うニッケルにドリルの刃や戦車の鋼板に使うタングステンを混ぜると、金やプラチナができたというから、錬金術の世界だ。

 常温核融合やそこから派生した技術を使えば、理屈上、放射性廃棄物を無害化することは可能になる。もちろんマイクログラムの世界からトンの世界へ処理能力を上げるには、非常に高いハードルはあるが、不可能ではない。三菱重工では10年後の実用化を目指すとしており、こちらの方が電子ビーム方式よりも安くて早い。


・アンドレア・ロッシ/ニッケル原子と水素原子の核融合


イメージ 5 しかし完全に否定された常温核融合が今さら? こうなるとSTAP細胞だって本当になかったのか言い切っていいものか悩ましいが、常温核融合が再評価されているのは事実。それも世界的にそうした動きがある。その最先端がアンドレア・ロッシのE-Cat(Energy Catalyzer=エネルギー触媒の略)。ニッケル粉末にリチウムを加えたものと水素を反応させ、2014年3月時点で32日間の連続反応を観測、毎時1.5 メガワットの発電に成功したという。ロッシは、この反応を自ら「ロッシ効果」と名付けるなど売名行為が先行している気配があり、いつまでも基礎研究の域を出ない進行状況にスポンサーが降りるなど、なかなか香ばしいことになっているのだが……。

 常温核融合が発電技術に使えるかどうかは不明(発生する熱量が不安定過ぎて、発電には使えないという研究者も)だが、核変換が起きていることは確定したと言っていい。果たして原発が恒久的な発電システムになるのか、社会の厄介者としてこれから何百年何千年も付き合う危険な粗大ゴミとなるかは、核変換という現代の錬金術にかかっている。
(文=川口友万/サイエンスライター/著書『大人の怪しい実験室』)

・川口友万のこれまでの記事はコチラ

STAP細胞も・・・「STAP細胞あります!」の可能性もあるなぁ



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もんじゅ抜本見直し 文科省が規制庁に報告
【産経ニュース】2016.9.24 00:06

政府が高速増殖炉原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)について、廃炉を前提に抜本的に見直す方針を決めたことを受けて、文部科学省の田中正朗研究開発局長が23日、原子力規制庁を訪問し、経緯を報告した。

 田中局長は、「これまで運営主体の特定を進めてきたが、今後は廃炉を含めた抜本的な見直しについても検討していく」と説明。その上で、原子力規制委員会の勧告への回答については、「本年中の政府方針の決定を受けて対応したい」と述べた。規制庁の荻野徹次長は「検討を待ちたい」と話し、規制委として年末以降の回答を待って対応する方針を示した。

 もんじゅをめぐっては、規制委が昨年11月に文科相に対し、新たな運営主体を特定するか、見つけられない場合はもんじゅの在り方を抜本的に見直すよう勧告。「半年をめど」とした回答期限から4カ月以上が経過していた。
高速増殖炉もんじゅをはじめ、原子力行政は、福島原発事故があろうがなかろうが、感情的に原子炉や高速増殖炉に拒否反応をする無責任な人々は一定量存在し、福島原発事故で更に無関心層が反原発へと流れた。原子力政策はつくづく日本の悪い面が出ている。物事を決められないで、ずるずる先延ばしにしてしまう。

資源のない日本、石油が止まれば日本は立ち行かないどころか、日本人が生存するのが難しくなる可能性が高い。物流が止まり、食料の生産や水道電気が止まれば死者が万単位ででるだろう。1970年代に日本が原発を導入したことは間違っていなかった。やむを得ない決断だ。原発の導入は一部の人間が利権目当てで導入したと主張する人達は、国民の生命に関して無関心である。原発導入は間違っていると言う人達は国際政治や安全保障をまるっきり考慮していない無責任な人達だと思う。

確かに、もはや老朽化し始めた高速増殖炉もんじゅを再稼働させるより、再設計したプルトニウムを燃やす方法を考えなくてはならない。

反原発派はプルトニウムを嫌い地球上に核廃棄物を残すことが悪だと主張しておきながら、核廃棄物を最も効率的に処理する高速増殖炉もんじゅを悪の化身の如く非難するのは矛盾するし、筋が通らない。

もんじゅは、高速炉の核燃料サイクルにおける基幹的技術の一つだが、その廃止論は、既に商用化されている軽水炉の核燃料サイクルまでも否定したい無責任な反原発派の人々が増長しかねない。原子力発電の主流である軽水炉そのものまでも否定し、非常に乱暴な反原発・反サイクルを主張するだろう。管直人、小泉純一郎、細川護煕ら無責任な元首相たちが「原発即ゼロ」を盲目的に唱えていることは非常に醜い。そんなに嫌なら自分が首相の時にもっと大胆に原子炉を廃炉に動かずにいて非常に狡く醜い。

政府も、もんじゅを廃炉にするならば、もんじゅに代わる新たな核処理方法を考えなくてはならない。

「夢の原子炉」といわれたもんじゅの廃炉方針が事実上固まり、政府の原子力政策への影響は避けられない。核燃料サイクルは、資源小国の日本が原子力を準国産エネルギーとして利用し続けるのに欠かせないリサイクル技術だ。もんじゅに代わる高速炉のビジョンを作れなければ原子力政策は長期的な展望を示せず、原発再稼働への理解が得にくくなる恐れもある。

 経済産業省幹部は「もんじゅの存廃と核燃料サイクルとは、分けて考えてほしい」と強調する。サイクル政策を通じたウランの有効利用は、日本のエネルギー安全保障(安定供給)で重要な役割を担うからだ。

 日本は原発の燃料であるウランの全量を輸入に頼る。ただ、1度取り換えれば1年以上発電できるうえ備蓄しやすく、使用済み核燃料を再利用できるため、準国産と位置づけられる。

 消費分以上の核燃料を生み出す高速増殖炉が実現すれば、将来はウランの輸入が要らなくなり、資源の獲得競争や価格高騰のリスクを回避できる期待がある。

 このため、政府はもんじゅ抜きでも高速増殖炉の研究を継続する。日本原子力研究開発機構の実験炉「常陽」(茨城県)を再稼働させ、フランスが2030年ごろの運転開始を目指す次世代高速炉の実証炉「ASTRID(アストリッド)」でも共同研究を行う構想が浮上しているが、課題も多い。

 常陽には発電機能がなく、現状では基礎的な研究にしか使えない。アストリッドについてもまだ基本設計の段階で資金計画が確定しておらず、「国のエネルギー政策に関わる研究を、自国内に施設を持たないまま海外に依存していいのか」と懸念する声もある。

 福島第1原発事故で安全神話が崩れた後、政府の原子力政策は迷走している。

 昨年、東日本大震災前に3割だった原発の発電比率を2割強に回復させる目標を掲げた。だが、老朽原発の建て替えや新増設など長期的な戦略は封印したまま、核燃料サイクルの維持が危ぶまれる事態に至った。原子力と今後どう向き合うのか、政府は方針を明確にする必要がある。

要は、原子力の次のエネルギーをどうするかだが、大本命の核融合炉は茨城県東海村に隣接する那珂市にある、日本原子力研究開発機構 核融合研究開発部門 那珂核融合研究所の敷地内で、次世代のトカマク型プラズマ実験装置「JT-60SA」の建設が進んでいる。建設開始は2013年1月。2014年後半には真空容器と呼ばれる装置の重要部分の組み立てが始まった。磁界を生成するコイルはすべて超電導コイルである。2018年には建設が完了し、2019年には模擬燃料による超高温プラズマの実験が始まる。建設完了時には、超電導コイルを用いるトカマク型プラズマ実験装置としては世界最大となる見通しである。2030年~2050年には本格的な核融合発電が始まる予定である。

高速増殖炉はあくまでも、プルトニウムの処理手段として実用化すべきではないかと思う。

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茨城県東海村に隣接する那珂市にある、日本原子力研究開発機構 核融合研究開発部門 那珂核融合研究所の敷地内で、次世代のトカマク型プラズマ実験装置「JT-60SA」の建設が進んでいる(写真1)。建設開始は2013年1月。2014年後半には真空容器と呼ばれる装置の重要部分の組み立てが始まった。磁界を生成するコイルはすべて超電導コイルである。2018年には建設が完了し、2019年には模擬燃料による超高温プラズマの実験が始まる。建設完了時には、超電導コイルを用いるトカマク型プラズマ実験装置としては世界最大となる見通しである。

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写真1 建設中のJT-60SA。2014年12月時点の様子。真空容器は、内装用の入り口を残してほぼ組み立てが完成した。

トカマク型プラズマ実験装置は、ドーナツ状のプラズマを磁気で閉じ込める技術で、1950年代にソビエト連邦(現ロシア)で考案された。「磁気コイル中のトロイダル型(ドーナツ状)容器」をロシア語で表現した言葉の略字が「トカマク」となる。


ムーアの法則並みに性能が向上

 トカマク型は、これまで最も核融合発電炉の実用化に近い技術とされ、各国が開発競争を繰り広げてきた(図1)。そして日本はその競争を牽引してきた。

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 図1 1990年半ばまで、トカマク型核融合技術はムーアの法則と肩を並べる勢いで向上した。縦軸の核融合3重積とは、プラズマの密度、閉じ込め時間(保温時間)、プラズマの温度の積で、エネルギー投入量に対する出力エネルギーの比(Q値)にほぼ比例する。

 1990年代半ばまで開発競争の成果は目覚ましく、性能指標が約2年で2倍になる勢いだった。ムーアの法則に従うトランジスタ微細化技術の進歩に肩を並べていたのである。そして、日本原子力研究所(現・日本原子力研究開発機構)のトカマク型プラズマ閉じ込め装置「JT-60U」は、1996年にイオン温度5.2億Kと核融合発電に必要な温度である1億K以上を達成(写真2)。さらに、投入エネルギーに対する出力(熱)エネルギーの比(エネルギー増倍率、Q値)が1.25と、世界で初めて1を超えた。

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 写真2 JT-60SAの先代となるJT-60U。オレンジ色の環状の部位は常電導トロイダルコイルである。1996年には短時間ながら5.2億Kを実現。2006年には、1億Kのプラズマを28秒間維持することに成功した。2008年に実験を終え、解体された。現在は、那珂核融合研究所の敷地内に“移築”されている。D-D反応用装置だったが、わずかに起こる核融合反応によって中性子が発生し、装置が放射化しているため、当面、建屋内に保管する必要があるという。

この開発競争のポイントは、加熱技術と“保温性能”の向上だった。1億K以上という超高温を実現するには、なにはともあれ加熱技術が必要になる。その際、加熱するそばから熱が逃げだしては温度が上がらないため、保温性能も重要になる。

 加熱技術として代表的なのは、(1)オーミック加熱、(2)RF加熱、(3)中性粒子ビームの打ち込み(NBI)、の3つである。(1)は、ドーナツ状のプラズマの中心軸に設置した「中心ソレノイド(CS)コイル」に電流を流すことで、プラズマ内に誘導電流が流れることを利用する。プラズマという導体中に電流が流れるとジュール熱が発生するのである。(2)は、マイクロ波など高周波の電界を使って電子レンジと同様な原理で加熱する技術。(3)は、小型の粒子加速器で荷電粒子を加速し、最後にそれを中性粒子に変換してプラズマ内に打ち込む技術である。「ガンダムのビームライフルみたいなもの」(日本原子力研究開発機構 核融合研究開発部門 那珂核融合研究所 先進プラズマ研究部長 JT-60SA計画日本側プロジェクトマネージャの鎌田裕氏)。装置の見た目もよく似ている(写真3)。


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 写真3 JT-60SAで用いる中性粒子入射装置(NBI)。写真右側にトカマク型の“炉”がある。


 保温性能は、正式には「閉じ込め時間τE」と呼ばれる。この向上には、魔法瓶のような容器としての性能に加えて、コイルの磁界の強さの向上、プラズマを安定的に維持する技術やプラズマからの粒子損失を防ぐ技術の向上などが関係している。一般に、容器が大きくなるほど、体積に対する表面積の比(比表面積)が小さくなり、保温性能は高まる。このため、トカマク型装置の保温性能の改善は、装置の大型化と歩調を合わせている。

 
実用化への「あと1歩」に20年超が経過へ

 1990年代半ばの時点で5.2億Kという温度やQ=1.25を達成したにもかかわらず、いまだに実用化できていないのはなぜか。

 実は、JT-60Uを含むこれらの装置はいずれも、模擬燃料として重水素(D)だけを用いていた。核融合発電を実用化するには、このDと3重水素(トリチウム、T)の核融合であるD-T反応を実現する必要がある。DだけでもD-D反応という核融合反応が起こるが、それを発電に用いるには10億K以上の超高温が必要となる。1億~5億Kでの反応率は非常に小さく、実用化には結びつかない。

 また、Q=1.25という値も実用化にはまだ足りない。理由は、ここでの出力エネルギーは熱の状態で、そこから蒸気タービンで発電すると、得られる電力量は熱エネルギーの6割以下、平均的には4割前後にとどまってしまうからだ。このため、Q>3が発電の最低条件となる。商業運転時の採算性を考えると、トカマク型核融合炉では、Q=50~60という値の実現が必要とされている。ちなみに、連載の後半で触れる海外の核融合ベンチャーの中には、蒸気タービンを用いない新しい発電技術を提唱している企業もある。

 Q値の最終目標とQ=1.25とはまだ開きがあるが、D-T反応であれば、同じ温度でも核融合反応の反応率が飛躍的に高まる。しかも、核融合反応の結果として放出されるα粒子(4Heの原子核)がプラズマを加熱するブースターの役割を果たす。加えて、さらなる大型化で保温性能の向上も見込める。こうした点から、D-T反応を扱う核融合炉であれば、実用化に必要な条件は達成可能と考えられている。

 ただし、D-T反応による核融合炉を実現するには、幾つかの高い技術的ハードルがある。(1)炉内の核融合反応で放出される高速中性子を増殖させた上でリチウム(6Li)に衝突させ、トリチウム(T)を発生させて炉内に注入する仕組み「ブランケット」の実現が必要、(2)放射性物質であるトリチウムの厳重な管理技術が必要になる、(3)プラズマ内の不純物(α粒子など)を排出する仕組みである「ダイバーター」の開発も必要、(4)これまでにない大型の炉が必要、といったハードルだ。


紆余曲折のITER計画、総費用の膨張にブレーキ掛からず

 これらの技術に基づくD-T反応の核融合実験炉を開発するには当初から巨額の費用が掛かると見られていた。しかも、D-T反応や大型のプラズマには未知の部分が多く必ず成功するとは限らない。失敗時のリスクを減らすために、国際協力で炉を建設しようとしたのが、「International Thermonuclear Experimental Reactor(国際熱核融合実験炉、ITER)計画」である。欧州(EU)、日本、米国、ロシア、中国、韓国、インドの7カ国・地域が参加する巨大プロジェクトとなっている。

 達成を目指す諸性能や稼働目的は、準定常運転時でQ=10以上のプラズマを3000秒維持すること、プラズマを維持するための投入電力をやや減らした自己点火運転時でQ=30以上のプラズマを300~500秒維持すること、ブランケット、ダイバーターなどの動作確認、環境・安全性確保の実証などだ。これらを実証した後は、再び各国・地域が独自に商用炉の原型となる原型炉(DEMO炉)の開発を進めることになっている。

 ただし、このITER計画は茨の道を歩んできた。プロジェクトが発足したのは1985年。当初は核融合の出力(熱出力)が1GW規模の発電炉を作る計画だった。建設完了予定は2013年。2016年にも炉として稼働させる予定だった。ところが、建設費総額が1兆円相当を超える見通しに各国が反対したため、発電実験を開発目的から外し、しかも出力規模を最大500MW(0.5GW)に縮小することで、総費用を50億ユーロ(計画当時の為替レートで約5700億円相当)に圧縮した。

 2000年代前半には実験炉の建設地を巡って、日本の青森県六ヶ所村、フランスのカダラッシュ、カナダのオンタリオ州クラリントンの間で誘致合戦になった。カナダが途中で誘致合戦から降り、六ヶ所村とカダラッシュの一騎打ちになったが、建設地がある国が建設費の多くを負担する必要があったことなどから日本が降り、2005年6月にカダラッシュに決まった。

 ただしその際、あたかも交換条件のように、人材の多くを日本から提供することが決まった。事実、ITER計画の推進母体となる組織「ITER機構(IO)」の機構長はこれまで日本人が務めてきた。初代機構長は、外務省出身の池田要氏、2代目は、2010年当時に文部科学省の核融合科学研究所 所長だった本島修氏が選ばれた。ただし、本島氏の任期は2015年7月で切れ、3代目は欧州から機構長が選ばれる見通しだ。一応任期を全うしての交代ではあるが、継続しない、あるいは日本人でなくなるのは「計画が大幅に遅れ、総費用も大幅に膨らんでいることへの責任を取らされた格好」(ある核融合技術者)との見方もある。

 建設地がカダラッシュに決まってからも、ITERの建設はすぐには始まらなかった。実験でトリチウムを扱うことなどを懸念したフランス政府がその建設計画に対して許可をなかなか出さなかったからだ。ようやく許可が下り、建設作業が始まったのは2010年7月。計画の発足から25年が経過していた。

 ITER計画は費用面でも前途多難だ。50億ユーロだった建設費総額の見積もりは、2009年には100億ユーロ、2010年には150億ユーロ(2兆円超)まで増え、皮肉にも当初計画の予算を大きく超えてしまった。2014年、学術誌の「Nature」などは「ITERの建設費総額は500億米ドル(約6兆円)に近づいている」という見積もりを発表した。

 こうした建設費の膨張に対して、米国国内ではITER計画から再び脱退する主張が強まっている。例えば、2014年6月には米国上院議会が事実上の脱退法案を可決した。米国は独自のレーザー核融合に注力するため、2000年前後の一時期、ITER計画から脱退して再び復帰した経緯がある。

 これらの紆余曲折の結果、現在の建設完了見通しは公式には2019年だが、実際には2023年ごろになると見られている。D-T反応の核融合実験の開始は2030年ごろになりそうだ。

順調に建設が進む“影のITER”

 日本はITER建設地をフランスに譲った代わりに、人的資源以外にもう1つの“特権”を確保した。それが、冒頭で触れたJT-60SAだ。名前こそかつてのJT-60シリーズを踏襲しているが、実際にはEUとの共同プロジェクトである。それまでのJT-60シリーズが常電導による巨大なコイルを用いていたのに対して、JT-60SAは、超電導コイルを用いるため、大型化したものの見た目はむしろスリムになった。

 JT-60SAの第1の目的は、ITERの技術的バックアップで、「サテライトトカマク」とも呼ばれる。D-T反応は試さず、重水素(D)だけでプラズマの制御実験を進める。ただし、それ以外はITERよりも先進的な設計を採用した。ITERの次に各国が実現を目指す原型炉を先取りした格好になっている。装置についての費用は約435億円だが、日本とEUがほぼ折半する。周辺システムの費用200億円は日本が独自に負担するが、総額600億円超で、ITERの1/100という低コストで済む見通しである。

 ITERに比べて費用が安い理由はまず、寸法がITERの約1/2(体積では約1/8)の規模であること、電流はITERの1/5であること、D-T反応を扱わず、システムが簡素で済むこと、コストが高いコイルが先進的な設計のおかげなどでITERよりも少なくて済むこと、同じ東海村でかつて稼働していたJT-60Uの周辺装置を一部使えることなどが挙げられる。ただし、低コストの実現で決定的だったのは、ITERほど「船頭」が多くないことだという。「7カ国・地域で意見や技術水準を一致させるのは非常に大変」(ある核融合技術者)。対して、JT-60SAは、EU(実質はイタリアとスペイン、フランス、ベルギー、ドイツ)と日本の2カ国・地域で進められ、意思決定が容易だという。

10m規模の装置の許容誤差は±1mm

 JT-60SAは建設開始こそ、ITERの遅れに引きずられて5年ほど遅れ、2013年1月となったが、それ以後の建設作業はITERとは対照的に非常に順調に進んでいる。2014年秋には真空容器と呼ばれる実験装置の重要部分の組み立てを始めた(写真4)。既に「ポロイダルコイル」と呼ぶ、ドーナツ形状のプラズマと平行に設置する磁気コイルの実装もほぼ完了した(写真5、6)。2015年中には、トロイダルコイルというドーナツの腕に巻きつく形のコイルの実装が進められる見通しである。建設完了は2018年、D-D反応など模擬燃料での実験開始は2019年の予定だ。

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写真4 建設中のJT-60SAの真空容器部分。真空容器の外径は10m (写真:那珂核融合研究所)

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写真5 作製中の超電導ポロイダルコイル。超電導材料には、NbTiまたはNb3Snを用いている。直径3cm弱の超電導導線を何重にも巻いて作製する。

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写真6 ポロイダルコイル(EF4)の試作版断面。

 建設作業で神経を使うのはその精度の確保だという。プラズマは、その形状が設計値からわずかでもずれると、そのズレが拡大し、ディスラプションと呼ばれる炉の損傷の可能性がある運転停止につながってしまうからである。「直径10m規模の装置で許される誤差は±1mm。土台を作製したのはスペインだが、見事にこの精度を満たしてきた」(JT-60SA計画日本側プロジェクトマネージャの鎌田氏)。
 
 装置の設置や組み立てはレーザー光を用いた測量、測距技術で精度を確かめながら進めているという。
画期的なブレークスルーがあったとのことで、ロッキード社やMITでは10年内に低コストな核融合炉が実用化するとの報道があり、更に前倒しになる可能性がある。
米ロッキード、10年以内に小型核融合炉実用化へ 【ロイター】2014年 10月 16日 13:24 

10年後・・・小型で低コストな「核融合炉」が誕生する?
【FUTURUS TECHNOLOGY】2015年8月21日斉藤 精一郎 TECHNOLOGY

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                                                   (略)

「核」という言葉に拒否反応を起こすひとも多いだろうが、核融合は核分裂とはちがう作用だ。核分裂では重い原子が分裂して別の物質に変わることでエネルギーを出すが、核融合では軽い物質がくっつく際にエネルギーを出す。

核分裂よりも発生する放射性物質は少なく、また原理的に暴走することがなく、燃料は無尽蔵に入手可能だといわれていて、以前から将来のエネルギー源として期待されてきたが、その実現は非常に難しく、まだ実用には至っていない。

しかし、MIT(アメリカ・マサチューセッツ工科大学)が核融合炉の現実性を一気に高めるという研究発表を行った。同大学のウェブサイトで紹介されている。

10年後に核融合炉が実用化される?

核融合の科学者が聞き飽きた定番ジョークにこういうものがある。「核融合炉の実用化にはあと30年かかる。ただし、いつまでたっても”あと30年”のままだろうがね」というものだ」という一文でこのMITの記事ははじまる。しかし、ついにその期間が“10年”に短縮されそうだというのだ。

その進化の大きなカギとなるのが新しい磁場技術だ。希土類-バリウム-銅酸化物(REBCO)の超伝導テープを使うことで、強力な磁場を作り出すことができる。それが、超高温のプラズマを封じ込めることを可能にし、従来想定されていたよりもずっと小型の核融合炉を実現するというのだ。小型にできるということは、より低コストで、短い期間で建設できるようになることを意味する。

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A small, modular, efficient fusion plant – Massachusetts Institute of Technology
 

核融合においては、重水素などの物質をたいへんな高温(1億度以上)に熱しないといけない。その状態では物質はプラズマ状態(電荷を帯びたガス)になる。強力な磁場を形成することができれば、その超高温のプラズマを、核融合炉の中心に封じ込めておくことができる。逆に、それができなければ核融合炉は実現しないといっていいだろう。だから磁場の形成が重要なのだ。

そして、核融合反応の効果は、磁場の強さの4乗に比例して大きくなるという。したがって、磁場が倍になれば、核融合反応の強さは16倍になるというのだ! 今回採用される超伝導物質が作る磁場は、従来の倍の強さまではいかないものの、核融合反応を従来の10倍にまで高めるだけの強さはあるという。

低コストで建造可能

現在計画されている世界最大の核融合炉はフランスに建造中のITERだが、従来の超伝導技術をもとに設計されているため、その製造コストは400億ドルにのぼる。MITが計画している新し核融合炉は、その半分の直径で、はるかに少ないコストと短い期間で建設でき、それでいて同等のエネルギーを取り出すことができるという。

また、MITが開発した新しい核融合炉は、炉全体を解体することなくドーナツ型の反応炉から核融合コアを取り出せるようにして、仕様変更を容易にしたり、ブランケットと呼ばれる部分に固体ではなく液体の材料を使うことで、劣化したときの交換を容易にしたりというアイディアが盛り込まれている。

いま世界にある核融合の実験炉はすべて数秒間しか作動できないが、このMIT開発の新しい炉はITERと同様に連続運転が可能になる。現時点の設計では、運転に必要な電力の3倍の電力を出力できるにとどまるが、これは5〜6倍に改善できる可能性があるという。

核融合の実用化に関しては、まだ議論が必要だろう。前述のとおり原子力と比べると核廃棄物の排出は少なく、メルトダウンも起こりえないため、より安全ではあるようだ。しかし、多少なりとも核廃棄物が出ることは間違いない。また、建設にたいへんなコストがかかるいっぽうで運用が難しいので、作ったものの不具合が多くて運転できないなどということになったときの損失は大きいだろう。

しかし、将来的には原子力に代わるエネルギー源となる技術かもしれない。

日本は「もんじゅ」にこだわり過ぎた。文殊菩薩に肖った名称が廃炉を躊躇させたわけでもなかろうが、関係者、特に文科省には事態を解決して、何としても前に進めたいという熱意がなかったように思える。同時に、米国の政策に左右された面も大きい。

 20年の停滞と1兆円の空費はあまりにも酷い。国際社会の将来予測と原子力についての技術予測が十分できなかったことから来た停滞ではなかったか。

 福島第一原子力発電所事故の後は、原発を推進してきた小泉純一郎元首相までが感情的かつ無責任に原発全廃を主張するなど、少なからず政策決定に悪影響を与え混乱させた。

 しかし、平成26(2014)年末の総選挙で、「原子力は重要なベースロード電源で活用。原子力規制委員会の新規制基準に適合した原発は再稼働」を公約に掲げた自民党の勝利で、全基停止していた原発が一部で再稼働し始めた。

 東日本大震災直後は深刻なエネルギー不足から計画停電なども行なわれ、風力や太陽光などの再生可能エネルギーが注目された。その後は、「燃える氷」とも言われるメタンハイドレートなどの新エネルギーの開発にも注力されるようになった。

 いずれにしても、可採期間が有限な化石燃料に代わり、安定的かつ長期にわたり需要を満たし得る原子力エネルギー・サイクルの実用化が不可欠である点に変わりはない。

 これまでは原発問題が、国内の近場のエネルギー需給の視点だけで論議されてきた面は否めない。しかし、原発を含む核エネルギーの論議は、今後の世界人口の増加と、日本が技術立国で行くか否かという基本に立ち返って考える必要がある。

 同時に、原子力は核兵器に関係しており、軍事や安全保障と不可分の技術でもある。日本は非核3原則によって核兵器を製造・保有するわけではないが、日本に対して核兵器が使用された場合は甚大な被害を受ける。

 新しい各種原子炉の開発とともに、廃炉や延命技術、また核兵器に伴う防護法も含めた原子力技術の蓄積こそが技術立国を目指す日本の立ち位置ではないだろうか。原発廃止論者は感情が先に立ち、こうした広い視点を忘れているように思えてならない。

2050年頃の世界

 地球温暖化の抑制と急増するエネルギー需要への当面の対処、そして長期的には急増する人口と開発途上国の文明化への支援という、長短2つの視点からのアプローチが必要ではないだろうか。

 世界の人口は現在73億5000万人であるが、年間7000万人増えており、早ければ2050年頃に100億人を突破するとみられる。

 今日、人口3万人以上の国は210カ国であるが、そのうちの約4分の3に相当する149カ国は低・中所得の発展途上国に分類されている。

 これまでは化石燃料のほとんどを先進国が消費してきた。しかし日本人的思考では、発展途上国の国民も等しく文明の恩恵を享受する権利がある。日本は発展途上国の文明国への仲間入りを支援する意志と能力を持ちうる国であると自負する。

 その場合、早晩化石燃料だけでは成り行かないことは火を見るよりも明らかである。クリーンが強調される風力や太陽光利用の再生可能エネルギーは、規模の割には発電効率が悪く、また安定供給に不安がつきまとう。

 2015年時点で、日本は44基の原発を有したが、世界には31カ国・地域で426基が稼働している。特に中国のエネルギー需要は著しく、運転・建設中の48基に加え、225基が計画中とされる。しかし、沿岸配置で安全性に問題があり、日本にとっては懸念材料である。

 インドやその他の国でも需要拡大が予測され、地球温暖化の抑制などもあり、国際社会では「原子力ルネッサンス」として原子力への回帰傾向にある。

 こうした観点からも、日本は一刻も早く原子力エネルギーで自立を図り、同時にその技術をもって発展途上国を支援する方向を目指すのが賢明であろう。

 計画停電が終了して以降、原発なしでもやっていけるじゃないかという意見も聞かれた。それは原油輸入に多大の国益が消費され、電力料金の値上げなどが家計や企業を圧迫している現実を無視したものであった。

 また、中国の原油需要はうなぎのぼりで、その皺寄せは日本が受ける。同時にアザデガン油田(イラン)に見たように、米国の都合でイランへの経済制裁に同調を強いられ、油田の権益を放棄させられた。漁夫の利を得たのは中国である。このように国際情勢に翻弄され、多大の投資も無に期しかねない。

 眼前の発想しか持ち得ない日本では、明日の自立が危ぶまれる。近視眼的視点を脱却して、長期的視点、全地球的視点からの考察が欠かせない。それこそが、技術立国を目指す日本の生き延びる道でもあろう。

エネルギー供給体系

 原発では使用済み燃料が最大の問題である。濃縮ウランを燃料として使用すると、使用済み燃料から自然界に存在しないプルトニウムが生成される。これを抽出してウランとの混合酸化物にすると、MOX燃料が得られる。

 使用済み燃料の再利用で核燃料サイクルを確立することができる。従来英仏に委嘱していたMOX燃料の加工が日本でできるようになって、初めて自前の核燃料サイクルの完成となる。

 日本で稼働している原発の多くは低濃縮ウランを原料とする軽水炉であるが、MOX燃料は軽水炉でも使用でき、これはプルサーマルと呼ばれる。

 日本は福島第一原発の事故まで55基の原発を運転し、MOX燃料を使用するプルサーマル2基も含め、運転中の事故そのものはなかった。

 高速増殖炉は使用済み燃料から生成されるプルトニウムを燃料としながら増殖させ、また放射性廃棄物を減殺させるので「夢の原子炉」と呼ばれる。

 ただ、原型炉「もんじゅ」を新基準に沿うように改修するためには約6000億円を要し、年間の維持費は200億円とも言われる。これでは金食い虫以外の何ものでもない。

 そこで、もんじゅのデータ、他国における同種の研究、さらに今日ではコンピューターを駆使した模擬実験や理論研究などから得られる知見をもとに、次の段階である実証炉に進む道や、フランスで開発中の高速増殖炉に参加する道など、いくつかの選択肢もある。

 ただ、原水爆の原料となるプルトニウムを使用する関係から、日本の核武装を恐れる米国の政策に翻弄されやすい。この呪縛を逃れるには、第5期科学技術基本計画(平成28~32年)でも打ち出された、核融合炉の研究に注力することである。

 核融合炉は「地上の太陽」とも言われるように、太陽で起きている核融合反応を地上に再現するもので、放射性物質を出さない究極のエネルギーである。人類に等しく文明生活を享受させる可能性があり、現在はかなり有望な段階に来ている。

 以上から、今後のエネルギーの主力は以下のように推移するとみられる。

   火力発電(化石燃料)⇒ 軽水炉(濃縮ウラン燃料)⇒          プルサーマル(MOX燃料)⇒ (高速増殖炉) ⇒ 核融合炉

核融合炉を目指せ

 高速増殖炉には懸念されるプルトニウムの蓄積問題がある。そうした危険性を全面的に払拭するのが核融合炉発電である。

 核融合炉は原子を電子と陽子、中性子に分解してプラズマ状態で起きる核融合反応で高温を得るものである。

 理論的には1グラムの燃料で石油8トンに相当するエネルギーが発生する。また、重水素、三重水素(トリチウム)、ヘリウム、リチウム間の反応で、二酸化炭素が発生しないので、地球温暖化防止に役立ち、燃料供給が止まれば原子炉が停止するので暴走もしない。

 ただ、太陽では自身の重力で燃料が閉じ込められているが、核融合炉では燃料閉じ込めの仕組みが必要である。摂氏約1億度にもなるプラズマを長時間にわたって個体の容器で閉じ込めることはできない。

 そこで高電流を流して発生する磁力線で編んだドーナツ型の磁器容器に閉じ込める方式や強力なレーザー光を照射してプラズマを作り出す方法などが有力視されている。どちらの方式でも瞬間的な核融合反応は確認されているが、持続させる段階には至っていない。

 なお、レーザー核融合は大阪大学が先頭を走っていたが、立花隆氏は取材で米国にいた時、(米国の)レーザー核融合で「持続可能性」が証明されたというニュースを聞き、「人類文明は確実な存続可能性を、エネルギー補給の観点から十年単位、百年単位でしか読めなかった。しかし、核融合技術を手にすると、千年単位、万年単位で読めるようになる」(「文藝春秋」2014.5)と述べている。

 筆者は大学院時代に核融合を専攻し、ドーナツ型の一種であるヘリオトロン方式の研究に携わり、磁気容器にプラズマを打ち込む実験を行った。それらの経験とその後の進展状況から、日本の核融合研究は世界のトップクラスにあるとみている。

 現在はEUと共同で「JT-60SA」という実験装置を設置(茨城県那珂市)し、超高温プラズマを長時間維持する技術の確立を目指している。すでに建設が進んでおり、2019年に運転開始予定である。因みにSAはJT-60(1990年代の日本の実験装置)の成果を受け継いだ「Super Advanced(超先進的)」から来ている。

 国際的には日本も関わる「国際熱核融合実験炉(ITER)」がフランスに設置され、JT-60SAの技術を踏まえ、2020年から実験を始める計画である。

 次の段階の原型炉はJT-60SAやITERの状況を見ながら設計が始まり、2032年から建設、2045年頃運転予定となっている。

廃炉や延命も重要な産業

 チェルノブイリで原発の爆発事故が発生してから30年が過ぎたが、廃炉の具体的な工程は今でも定まっていない。

 というのも、コンクリートなどと共に固まって残る核燃料の総量は1300トンとみられ、「固まった燃料は硬く、少量の分析試料を取り出すのも難しい」(「読売新聞」2016.1.31)状況であるからだという。

 一方、福島第一原発は想定外の津波で電源が切断され、炉心溶融(メルトダウン)が起きたものである。チェルノブイリと同等の「レベル7」であったが、放出された放射性物質の量は6分の1で、事故から40年後の2051年までに廃炉する工程が定まっている。

 今後は事故による廃炉もあろうが、使用期限を過ぎた原発の廃炉が多くなるとみられる。また、延命を図る原子炉も出てくる。

 廃炉(や延命)技術は、一朝一夕に確立できるものではない。正常運転停止後の廃炉とは違って、メルトダウンした福島原発の事故処理では燃料棒の位置、状況など不明のことばかりで試行錯誤が繰り返されている。

 宇宙線を使って、建屋を透視する技術や溶融燃料の位置や状態を調べる技術の開発も進んでいる。また、放射線を遮る工法の研究や多用途の活躍が期待されるロボット・アームの開発など、「禍を転じて福となす」チャンスでもある。

 軽水炉は30~40年が安全運転期間とされ、一部は20年くらいの延命も図られようが、多くは廃炉にされる。現在世界19カ国で136基の廃炉作業が進められているが、実際に廃炉を終えたのは米国・ドイツ・日本の13基のみである。その後の数年間で100基が廃炉されると見られている(「産経新聞」平成26.9.17)。

 「世界で廃炉が大きな産業になる可能性を持っている。日本が建設技術だけでなく、廃炉技術でも世界トップクラスになれるか、今が転換期」(同紙)という。

 余談であるが、宇宙線による測定技術は、ピラミッド内の空き室の探索や、マグマの移動探知による地震予知への応用としても研究されている。

おわりに

 地球温暖化の防止、人口の増大への対応、開発途上国の文明化、放射能汚染の危険性除去、さらには米国の干渉排除などの視点から、ほぼ満足な回答は核融合炉発電しかない。

 無害、無尽蔵の重水素などを燃料とするので、基本的に高レベル放射能の危険性はない。ただ、1億度のプラズマを閉じ込め核融合反応を起こす過程で中性子が発生し、炉壁を構成する物質が放射化する。これは、低レベル放射性破廃棄物として処分可能である。

 ただ想定外はいつでもどこでもあるわけで、多様なエネルギー源の組み合わせが有用である。

 原発では高速増殖炉のほかに、「次世代原子炉」とか「究極的軽水炉」などの名称で、緊急時は自動停止・自然冷却するが、燃料交換も炉内メンテナンスも不用で30~100年連続運転できる原子炉などの研究も進められている。

 ともあれ、エネルギーの安定確保と安全性の両立に向けた技術開発では熾烈な競争が行われており、「数年の断絶が命取り」と言われるほどで、「技術開発の灯を絶やさぬことが日本の国際競争力維持には不可欠」(同紙平成26.9.18)とされる。

 ただ、東大大学院工学系研究科の岡本孝司教授(原子力工学)の研究室でシビアアクシデント(過酷事故)対策を学ぶメンバー約20人のうち半数は中国、韓国、トルコなどの留学生(同紙平成26.9.19)だそうである。

 米国などは国防関連技術や高度技術などについては安全保障絡みで漏洩防止などの歯止めをしている。かつて日本人が米国で行った研究成果を持ち帰って問題になったことがある。

 日本も安全保障や技術立国の立場から、サイバー攻撃で先端技術を盗まれるなども頻繁になっており、高度な技術については国家的な視点から重視して対処する必要があるのではないだろうか。

(略)
 近年顕在化しつつある日本の科学技術力の地盤沈下と、中国の急速な追い上げがある。「科学技術で、既に中国は質量ともに日本を追い抜いた」と断言する識者もいるほどだ。

 完成当時は「夢の原子炉」と期待されたがトラブル続きで廃炉が事実上固まった高速増殖炉原型炉「もんじゅ」(福井県)や、人為的なミスで3月に運用できなくなったエックス線天文衛星「ひとみ」など、ただでさえ「日本の科学技術は世界最先端」という自負心が揺らぐ事態が相次いでいるところだ。

 これに対して中国は、経済の急成長と並行する形で、国を挙げて科学技術のレベルを引き上げてきた。研究開発への投資額では既に日本をはるかに追い越し、2013年の時点では日本の18・1兆円に対して、中国は2倍近くの35兆円だ。その差は今後も広がっていくだろう。

 研究者らの数でも、日本の84万2千人に対して中国は148万4千人にのぼる。研究者が多ければ必然的に、一国の科学技術力を測る目安である全体の論文数や、論文が他人に引用される件数でも、日本は大差をつけられてしまう。

 今から15年ほど前であれば、科学技術で日本が中国をリードしていることは明白だった。しかしその後、中国は米露に続いて3番目に有人宇宙飛行を成功させ、月面探査車も走らせている。今年8月には、解読や盗聴が不可能とされる量子暗号通信の実験衛星を世界で初めて打ち上げた。

 また、海洋開発では、日本の「しんかい6500」を超える水深7千メートル級の有人潜水調査船が登場。民進党の新代表に選ばれた蓮舫氏がかつて「2位じゃダメなんでしょうか?」と発言して注目されたスーパーコンピューターでも、計算速度の世界ランキングで中国産チップを用いた新型機が日本の「京」(神戸市)を抑えて世界一だ。

 科学技術政策を担う内閣府の幹部は、日本と中国の科学技術力について「10人中5人は『日本の勝ち』、3人は『中国の勝ち』、2人は『同レベル』と答える状況まで迫ってきた」と話す。

 まもなく今年のノーベル賞受賞者が発表される。ノーベル賞の中でも特に重みのある物理学、化学、医学・生理学の自然科学3賞では近年日本人の受賞が相次ぎ、その数はアジアの中でも群を抜いて多い。「日本の科学技術は世界最先端」であることを再確認できる名誉といえるが、忘れてはならないのが、受賞理由となった研究成果の多くが何年も前に得られたものだということだ。

 このことを言いかえれば、今後10年、20年経てば中国人が相次いでノーベル賞を受賞する時代が来るかもしれない。昨年初めて医学・生理学賞に女性薬学者の屠ユウユウ氏が選ばれたことは、今後の中国の受賞ラッシュを暗示しているようでもある。

 今さら言うまでもなく、資源に乏しい日本にとって科学技術は“生命線”だ。自らのスピード違反に絡めて自動運転の技術開発を論じる大臣に、日本の科学技術の明るい未来をどこまで期待すればよいのだろうか。


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                                                   日本は米国の最新ステルス戦闘機「F35」を2024年までに計42機導入する計画だが、その一方で中国は戦闘機のステルス性能を無効化する「量子レーダー」の開発を進めているという。

中国メディアの今日頭条はこのほど、日本と米国は2019年ごろに中国周辺に「F35」をはじめとする最新兵器を配備する可能性があると伝える一方、中国は日米に対して「先進的なレーダーで対応する」と伝えている。

記事は、中国が8月に世界初となる量子通信衛星の打ち上げに成功したことを紹介し、「中国は近年、量子通信と量子コンピューターの分野で大きな進展を遂げている」と主張。さらに「量子レーダー」については「従来のレーダーに対してステルス性能を持つ物体や、非常に小さな物体でも容易に捕捉できる」と主張し、F35も容易に発見・追跡できるようになると主張した。

さらに、中国軍に「量子レーダー」が大量に配備されれば、日本がどれだけ大量にF35を配備しても「日本にとっては焼け石に水」となると主張。中国にとっては周辺地域における脅威は大きく減少することになるとし、「中国はもはや防空に関する技術が立ち遅れていた数十年前とは違う」と主張、「量子レーダー」が完成すれば日米が中国の防御システムを突破しようとしても「それは非常に困難なものになるだろう」と論じた。

前述のとおり、中国はすでに世界初となる量子通信衛星の打ち上げに成功している。量子通信衛星の最大の特徴は盗聴が不可能とされている点で、これに「量子レーダー」が加われば、中国の国防に関する能力は飛躍的に向上することが予想される。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)

F-35が駄作機だと私はこのブログで何度も書いているのは、ステルス技術が早晩陳腐化するおそれがあるということだ。

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日本は既に次世代警戒レーダーのアンチステルスレーダー技術であるMIMO(マイモ=MultipleInputMultipleOutput=複数入力・複数出力)とマルチスタックレーダー技術を完成したので、中国ロシアもいずれは、アンチステルスレーダーを技術を獲得するだろうと書いてきたが、サーチナにいきなり中国が日本の技術を上回る量子レーダーを開発中だと主張している。

はて量子レーダーとはなんぞや?
ということで早速調べてみた。日本でも玉川大学でも研究が進んでいるようです。

日本の場合は主に人工知能との融合を経て、全天候対応の自動運転車の実現や超高感度監視カメラに応用されている。

メリーランド大学の研究者チームが、「ゴースト・イメージング」研究において画期的な進展をみた。将来的には、人工衛星から雲を透して写真撮影することも可能と期待されている。

米空軍から資金提供をうけた研究者のグループが、「ゴースト・イメージング」と呼ばれるプロセスの研究において、画期的な進展をみた。将来的には、人工衛星から雲を透して写真撮影できる可能性があるという技術だ。

空軍の報告から引用する。

メリーランド大学ボルチモア校のYanhua Shih教授は、1995年に、もつれ合った光子対を使うゴースト・イメージングの研究を開始した。

その実験では、遮蔽マスクにあるステンシル・パターンを通過した1個の光子が検知器にとらえられ、別の光子が、2台目の検知器にとらえられた。驚くべきことに、2つの検知器の間に、物理学コミュニティーではゴースト・イメージングと呼ばれるパターンの画像が出現した。
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研究者チームの1人であるKeith Deacon博士は、『Physical Review』誌4月号に掲載された『ゴーストの映像』(Reflection of a Ghost)と題する記事の中で、ゴースト・イメージングは将来、衛星技術への応用が期待されると示唆している。

Deacon博士は、ゴースト・イメージング技術によって、[対象となる物体に向けられる]検知器と、それに対になる、太陽を撮影する2台目のカメラを、人工衛星に搭載することができるだろうと語る。こうした組み合わせで、[雲や煙など]大気の状態に邪魔をされずに、地表のゴースト・イメージを生成できる可能性がある。

ここに掲載した画像は、この新しい実験によってとらえたオモチャの兵隊だ。

[Physical Reviewの記事などによると、この技術は90年代から研究されていたが、今までは遮蔽物のステンシル・パターンを通った光によって画像が作成されていた。メリーランド大学ボルチモア校のYanhua Shih教授チームが『Physical Review A』4月号に論文を掲載した研究では、今回初めて不透明な対象についての画像が作成され、技術実現へのプロセスが進んだという。

ゴーストイメージングでは2つの光検知器を使って画像を合成する。1つは画像にしたい対象に向けられて対象から散乱する光をとらえ、もうひとつは対象を照らし出す光源に向けられ、光源のデジタル写真を撮影する。光源に向けられたカメラでは、対象にヒットしなかったが、「量子効果によって、対象にヒットした光子と対になった光子」を検知するとされ、同時発生の光子対が約1000記録された段階でゴーストイメージが出現し始めたという。ただし、この現象の理論的説明は完成されていないとのこと。

なお、Guardianの記事によると、米ロッキード・マーチン社は、「もつれ合った量子を利用するレーダーシステム」に関する欧州特許を取得しており、ゴーストイメージングについて研究を行なっている。量子対では、一方の状態を観測すると瞬時にもう一方の状態が確定されることを利用しているという。]

[日本語版:ガリレオ-藤原聡美/合原弘子]
WIRED NEWS 原文(English)
実はこの量子レーダーの胆は、リアル”ミノフスキー粒子”であるPM2.5漂う中国上空を、PM2.5を通して対空警戒できるレーダーということなのだろう(笑)。

通常のレーダーだとPM2.5の粒子に阻まれ、電波が遠距離まで届かないので、PM2.5の雲を透視できる量子レーダーが必要ということなのだろう。(爆)
(略)
一般的なレーダーは電波を発射し、その反射波を測定することで対象となる物との距離などを測っています。このような電波を用いず、量子力学特有の量子エンタングルメント
*1という光の現象を利用して対象物を知る方法があります。その際、多くの研究者が「単一光子」という微視的な量子状態の光を使って生成していますが、政田先生は「スクイーズド光」という、巨視的な量子状態の光を使った生成方法を採用していることを特長としています。
*1:離れた2者の間にテレパシーのような力が働く、量子力学特有の現象
光パラメトリック発振機と呼ばれる装置で「スクイーズド光」を2つ用意し、これらを半反射ミラーと呼ばれる特殊なミラーで合波する。このようにして新たに生成された光を「2モードのスクイーズド光」と呼び、2つの光波の間には量子エンタングルメント現象が発生します。 送信機から補助光を受信機に送ります。もう一方の信号光を、レーダーによって検出したい目標物に向けて発射します。すると目標物で反射した光が、やがて受信機に戻ってきます。ここで受信光と補助光が量子エンタングルした性質を上手に受信機のところで利用していくと、目標物から反射された光を効率よく検出することができるようになります。2つの光を受信することで、従来のレーダーよりも検出感度を上げることが可能となります。それは、従来のレーダーの弱点である雨や霧、雑音などにも強いといったアドバンテージにもつながっていきます。イメージ 11
(以下略)
私の理解だと、宇宙から雲や霧も関係なく地表を撮影する技術で、地上からステルス機を発見するのに有効なのか?ちょっと疑問だ。衛星から探知するならわからないでもないが、玉川大学の研究では従来のレーダーよりも検出感度を上げることが可能ということなので、従来のレーダーを高感度化させてステルス機を感知しようとするものであると思う。だが、はたして中国がその技術を完成させるのはいつのことか?未だかつて、米露日欧より先んずる研究成果を中国に観たことが無い。量子レーダーを完成するころには中華人民共和国は無くなっているだろう。  

まあ、サーチナの中国の量子レーダー記事はこけおどしにすぎない。         

中国が量子通信実験衛星を打ち上げた。もし実験が成功したならば、日米は少なからず衝撃を受ける。打ち上げたからと言って成功するとは限らない。打ち上げから1か月、未だ成功したと発表はない。
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                                                 【北京】ゴビ砂漠から16日未明に打ち上げられた量子通信衛星「墨子」搭載のロケット長征2号Dは、科学の最も挑戦的な一分野の最前線に中国を押し上げる見通しだ。

それによって中国は、喉から手が出るほどに欲しい通信技術を求めて競争しているサイバースパイの時代に世界のライバルを大きく引き離す態勢を確保できる。それは「ハッキング(盗聴)不能な通信」という資産だ。

国営メディアは、中国が16日午前1時40分(日本時間午前2時40分)ごろ、内モンゴルの人工衛星打ち上げ基地から世界で初めての量子通信衛星をロケットに搭載して軌道に乗せたと報じた。準備から5年経過しているこの量子通信衛星プロジェクトは、世界中の科学者や安全保障専門家らが注視している。

この量子通信衛星プログラムは、ハードサイエンス(自然科学)研究で西側に追い付き追い越すため、中国が過去20年間にわたって何十億ドルものカネを注ぎ込んできた戦略の一部だ。

ジュネーブ大学のニコラス・ギシン教授(量子物理学)は「中国は、量子衛星レースに勝利する公算が極めて大きい」と述べ、「それは、中国が大規模で野心的なプロジェクトを計画・実現する能力を持っていることを改めて示している」と語った。

米国、欧州、日本、その他諸国の科学者は、亜原子粒子(原子よりも小さい粒子)にある奇妙で潜在的に強力な特性を競って探究しているが、中国の科学者たちのように大規模な国家支援を受けている科学者は少数だ、と研究者らは言う。量子技術は、今年3月に公表された中国の5カ年経済発展計画における最優先の戦略的研究課題だ。

中国政府は量子研究にどれだけの資金を配分したのか、あるいは重さ1400ポンド(約635キログラム)の量子通信衛星を製造するのにいくらかかったか公表していない。しかし量子物理学を含む基礎的研究予算は2015年に1010億ドルに達しており、05年時点の19億ドルを大幅に上回っている。

科学者や国防・情報などの当局者のグループが7月にまとめた議会報告によると、米国の量子研究に対する連邦予算は年間約2億ドル。同報告は量子科学の発展は「米国の国家安全保障を強化するだろう」と述べているが、資金規模が変動するため進歩が遅れているとも指摘している。

中国政府は、中国生まれで外国で教育を受けた量子物理学専門家を中国に呼び寄せるよう努力した。その中には今回の量子通信プロジェクトを指揮している物理学者の潘建偉氏も含まれている。

潘氏は15日放映された中国国営テレビとのインタビューで、
「われわれは世界中の研究室で良い技術をすべて吸収し、(中国に)持ち帰った」と述べた。

潘氏は、中国政府の国家支援を得て、自分の博士号取得の指導教官だったウィーン大学の物理学者アントン・ツァイリンガー教授を追い越すことができた。ツァイリンガー教授は2001年以降、同様の衛星を打ち上げるよう欧州宇宙機関(ESA)を説得しようと努めてきたという。

ツァイリンガー教授は「これは困難なプロセスで、長い時間がかかる」と述べた。同教授は現在、自分の元学生である潘氏の衛星に協力している。



最近の中国科学分野での躍進
潤沢な政府助成金で中国の科学者は記録を残している


潘氏も、量子衛星プロジェクトを推進している中国科学アカデミーも、コメント要請に応じなかった。ESAと、米国の基礎的科学研究に連邦資金を手強している米国科学財団(NSF)も、コメントの求めに応じていない。

シンクタンク「ニュー・アメリカ」(本部はワシントンD.C.)のフェロー、ジョン・コステロ氏は、この量子衛星分野への中国の投資について、米国のサイバー能力への恐怖によって駆られているという側面もあると述べ、米国が中国のネットワークに深く侵入していたことが2013年に暴露された点を指摘した。また同氏は、米国の研究機関は強力な量子コンピューターをいかに構築するか研究していると述べた。それは数学ベースの暗号(通信の安全確保のため現在世界的に使用されている)を理論的に解読できるコンピューターだという。同氏は「中国政府は、電子スパイ活動に中国がとりわけぜい弱になっていることに気付いている」と述べた。

しかしコステロ氏は、量子通信は本質的に防御的なものだと指摘し、米国は中国の動きを国家支援のハッキング(盗聴)計画と認識しているが、その計画から中国は恩恵を受けないだろうと述べた。

量子暗号は、どんな種類の計算力(コンピューターの持つ能力)からも安全だ。それは、量子に暗号化された情報は「測定」されるや否や破壊されるからだ。ジュネーブに本拠を置く量子暗号会社IDクアンティーク社の共同設立者グレゴワール・リボーディ氏は、それを、せっけんの泡の表面に書き込まれたメッセージにたとえた。同氏は「送信中のそれ(量子暗号化情報)を誰かが傍受しようとして触れると、破裂してしまうのだ」と語った。

量子物理学者らは近年、地上の短距離間で安全に通信するため、光子(光量子)を利用する方法を発展させた。今回の中国の量子通信衛星は、もし成功すれば、ハッキング不能な通信の距離を飛躍的に拡張できるようになるとみられている。


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酒泉衛星発射センターから打ち上げられた量子通信衛星 PHOTO: ZUMA PRESS


 潘氏は国営メディアに対し、量子通信が地球規模で実現するかどうか実験するため、同氏のチームは「量子暗号鍵(キー)」を北京からウィーンまで照射するつもりだと述べた。

 南京大学の馬小松教授は、この実験が成功すれば「すごいことになるだろう」と述べた。馬氏はウィーンで訓練を受けた量子物理学者で、中国の衛星プロジェクトの初期段階に協力した。

しかし量子暗号は完全無欠ではない。例えばハッカーは、量子レセプター(受容体)に強烈なレーザーを照射することによって、不注意なレシピエント(受容者)を欺くことが可能だろう、と量子技術センター(シンガポール)の主任研究官アレクサンダー・リング氏は言う。

 米国のセキュリティー専門家も、量子通信のもつ複雑さを十分に簡素化できるかどうか疑問だとしている。

例えばジェームズタウン財団で中国の情報活動を研究しているピーター・マティス研究員は「不可避的に、この種の技術には問題がある。このため集中的なトレーニングを経ない人々がそれを使うと、状況を混乱させてしまう」と述べた。

 しかし前出のウィーン大学のツァイリンガー教授は、どんな難題があっても、今回の衛星によって中国と量子力学分野は技術的突破口の入口に立つと述べた。同教授は「長期的には、この技術がわれわれの現在の通信技術に代わる大きな機会が存在している」と述べ、「そうならないとみる基本的理由は見当たらない」と語った。
「われわれは世界中の研究室で良い技術をすべて吸収し、(支那に)持ち帰った」おいおい、金に任せ、世界中に中国人研究員を派遣しスパイ活動を行い、その上にハッキングして量子技術を習得していると公言している!
潤沢な予算で何をしているかと言えば、支那は所詮その程度なのだ。

日本の量子通信の進捗具合を調べてみたが、けっして中国に後れを取っていない。それどころか、量子通信の基本技術である衛星光通信の実験を繰り返している。

量子通信、量子暗号の研究動向と今後の戦略
2016年6月20日(月)未来ICT研究所 佐々木雅英 量子科学技術委員会(第4回) 於 文科省

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日本国内間では量子通信の目途が立っているようだ。

ただ、中国は巨額の研究開発費を投入している点が日本より勝っている点だろう。
だが、基礎データを全世界の研究室よりハッキングして掠奪して確立している技術とのこと。その分日米の方が足腰が強いだろう。

中国のスーパーコンピューター

ISC 2016 - 中国が大躍進 第47回TOP500ハイライト
【マイナビニュース】[2016/07/01]Hisa Ando

ドイツのフランクフルトで開催されたISC 2016において、第47回のTOP500リストが発表された。そして、上位システムの表彰に続いて、例年のように主催者の1人であるEric Strohmaier氏のTOP500ハイライトの説明が行われた。

今回のハイライトは、何といっても、中国の「TaihuLight(太湖之光)システム」である。ピーク演算性能が125.4PFlopsという規模で、これは前回トップであった天河2号の54.9PFlopsの約2.3倍の規模である。この巨大ハードウェアで、93PFlopsというLINPACK性能を叩き出している。これは天河2号の33.86PFlopsの2.75倍である。また、天河2号はIntelのXeon CPUとXeon Phiアクセラレータを使っていたが、太湖之光の「神威(Sunway)プロセサ」は中国製である。

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010の形に配置されているTaihuLightスパコン(モックアップ) (出典:Dongarraレポート)
 
そして太湖之光は、LINPACK性能が高いだけのスタントマシンではない。消費電力は15.37MWであり、性能/電力は6.051GFlops/Wとなる。これは天河2号の3倍以上の高い性能/電力であり、今回のGreen500でも理化学研究所の菖蒲と皐月に次ぐ3位となっている。

また、HPCGベンチマークでは天河2号、京コンピュータに次ぐ3位、Graph500では京コンピュータに次ぐ2位とTOP500以外のベンチマークのランキングでも高い性能を発揮している。

さらに、革新的な科学技術計算を行なった論文に与えられるGordon Bell賞の候補論文に5つの論文を応募し、3件が候補論文に採択されたという。今年の候補論文は6件で、筆者の記憶では、3件が同じシステムを使った計算の論文というのは過去にも例が無いのではないかと思う。太湖之光システムのデビューは、まさに、鮮烈で快挙というほかはない。

太湖之光が1位に入った他は、新しいシステムのTop10入りはなく、従来のTop10がそれぞれ、1つずつ順位が下がるということになっている。これにより、我が国の京コンピュータは5位になっている。

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第47回TOP500の上位10システム (この記事のすべての図は、Eric Strohmaier氏のプレゼンテーションスライドをコピーしたものである)
 
次のグラフは、毎回おなじみの1位と500位のシステムの性能と、全500システム合計の性能をプロットしたもので、ここ3年は天河2号の1位が続いて1位のラインがフラットになっていたが、太湖之光システムの登場で、また、上向きのラインとなった。また、500位と全500システムの性能合計のラインも中国の大量登録で、伸びの鈍化が、多少、持ち直してきた感じである。

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全500システム合計、1位と500位のシステムの性能の年次推移
 
次の図は、TOP500に何システムの新顔が入ったかの年次推移を示すグラフである。一時、100システムを下回っていたが、今回と前回は新顔が増えている。これは、主に中国が大量の新顔システムを登録したことが効いている。

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 TOP500リストの新顔システム数の年次推移
 
結果として、国別のTOP500システム数は、次の図のようになっている。中国が168システム、米国が165システムで、初めて、中国が米国を逆転した。なお、日本は29システムである。

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 国別のTOP500システム数。中国が1位となり、米国は2位に後退。日本は離れた3位
 
そして、太湖之光と天河2号の2システムで、TOP500全体のLINPACK Flopsの20%強を占め、トータルのFlopsでも中国が米国を抜いた。これは、中国にとって歴史的な快挙である。

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 国別のTOP500システムの総Flops性能の年次推移。中国が急速にFlops値を伸ばし、米国を抜いた

これだけを見ると、中国が最近になって大量のスーパーコンピュータ(スパコン)を設置していると思うかも知れないが、そう考えるのは、少し早計である。これは筆者の分析であるが、TOP500にランクインした中国の168システムの内、90システムあまりがInternet Service Providerなどで使われている。また、設置場所としてスパコンセンターや大学、研究所などの固有名詞が書かれているのは35システム程度に止まっている。

ということは、新たなスパコンが大量に設置されたわけではなく、サービスプロバイダや地方政府などが日常業務に使っているシステムを使ってLINPACK性能を測り、登録したという可能性が高いと思われる。筆者は、このような登録可能な既存のシステムは前回のTOP500で出尽くしてしまい、今回は、新顔システムは少なくなるのではないかと思っていたが、それは読み違いで、今回はさらに大量のシステムが登録されるということになり、米中のシステム数の逆転になってしまった。

なお、米国の165システムの中にもAmazonのAWSのようなサービスプロバイダやホスティングサービス会社のものが含まれているが、それは25システム程度で中国の登録に比べると数が少ない。

日本のTOP500システムは29システムで、その内の2つが匿名の私企業のシステムであるが、残りの27システムは、理研などの固有名詞の設置場所が書かれている。

6月22日の基調講演で、Thomas Sterling教授が指摘しているが、TOP500は、システムの存在を見せようと意図したものだけが載っており、GoogleやMicrosoftなどのシステムはクラウドに隠れているし、私企業や国防などのシステムは、その存在を隠すためにTOP500には登録されないものも多い。また、量子コンピュータのD-Waveや分子動力学専用のAnton、建設中のSKA電波望遠鏡のシステムなどは、高い計算能力を持っているが、HPLを実行できないのでTOP500には入りようがない。ということで、TOP500のシステムはすべてのスパコンをカバーしているわけではなく、バイアスの掛かったサンプリングになっている。
https://livedoor.blogimg.jp/aps5232/imgs/9/5/95e0d609-s.jpgスパコンは2016年、性能ランキング「TOP500」で中国製スパコン太湖之光が一位を取った。ピーク演算性能が125.4PFlopsという規模で、これは前回トップであった天河2号の54.9PFlopsの約2.3倍の規模である。この巨大ハードウェアで、93PFlopsというLINPACK性能を叩き出している。これは天河2号の33.86PFlopsの2.75倍である。

だが、「TOP500」では『1+1=2』のような単純計算を、1秒間に何回繰り返せるかを競うので、実用化されているのか怪しい。1位の神威太湖之光、2位の天河二号も、ランキングのためだけのコンピュータのようである。

中国はこれらスパコンの中身をを国産CPU「神威」だと説明しているが、インテルは中国国内でCPUを生産していたので、インテルCPUを無断コピーしたものだと言われていている。

ゆえに、量子コンピュータを中国が実用化することはない。日米で実用化した後、コピーすることは得意だろう。
 世界のスーパーコンピューター性能上位ランキング「TOP500」で、純中国製スパコン「神威太湖之光」が初の世界1位を獲得するなど、中国は近年、スパコンの分野で著しい成果を挙げている。

しかし、近年はスパコンよりもずっと計算速度の速い「量子コンピューター」の開発が各国で進められており、米国はこの分野で一歩先を行っているようだ。中国メディアの電子工程網はこのほど、「量子コンピューター」の開発で中国が出遅れていることを指摘する文章を掲載した。

量子コンピューターは、従来のコンピューターで1000年以上かかる問題を数時間ないし数分で解くことができるほど計算が速いとされている。記事は、「既存のスパコンが通常ミサイルなら、量子コンピューターは核弾頭」と例えている。

仮に今後、量子コンピューターが実用化され、暗号解読などに利用されれば、現在世界中で使用されている「RSA暗号」の安全性は崩壊する可能性があり、各国政府のみならず、銀行や軍隊にとっても脅威となる可能性があると主張。量子コンピューターの実用化が世界に与える影響は「原爆の登場と同等」であると論じた。

一方、世界に大きな影響をもたらしかねない量子コンピューターの開発において、中国は大きく出遅れていると指摘。米国などでは量子コンピューターの研究は30年ほど前から始まっているとしながらも、中国はまだ研究が始まったばかりで、せいぜい10年程度しか蓄積がないと紹介、研究開発の遅れや実用化の遅れは中国の安全保障にとっても大きな脅威になりかねないことを指摘している。(編集担当:村山健二)
中国人は地道な努力をすることは馬鹿だと思っている。手っ取り早く成果の出る方が賢いとすら思っている。

それゆえ何十年も基礎技術を研究することは出来ない。近代中国は、パクッタ図面を3Dプリンターでコピーして形だけ真似ることは天才的だ。

だがそれをやっている限り、日米欧露を超えることはないだろう。
6月20日に発表された、世界のスーパーコンピューターの性能を競う「TOP500」のランキング。そこで、中国が自国製マイクロチップを使用したスパコン「神威太湖之光」で初めて世界最速と認定されました。日本製の「京」は5位に甘んじていますが、メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』の著者である評論家の黄文雄さんは、中国が日本をはじめ世界中から技術を“盗んできた”という例を挙げ、「脅威視する必要はない」「過大評価は禁物だ」と、その技術力に疑問を投げかけています。

【中国】「スパコン世界1位」から見える中国の限界

●スパコン、純中国製が初の世界1位 速さ「京」の10倍

世界のスーパーコンピューターの性能を競うランキング「TOP500」の最新版が20日に発表されましたが、自国製のマイクロチップを使用した中国のスーパーコンピューターが初めて世界最速と認定されました。しかも2位は昨年まで1位だった中国のスパコン「天河2号」でした。

1位となったスパコンは「神威太湖之光」という名前で、2位の「天河2号」よりも約3倍、5位の日本製「京」の10倍もの計算速度を誇ると言います。

半年ごとに発表される同ランキングでは、これまでも中国は2013年6月から6連覇してきましたが、しかしそのマイクロチップはすべてインテルなどのアメリカ製であり、「本当に意味のある世界一なのか」という疑問の声があがっていました。

加えて中国のスパコンが核兵器開発に関与している可能性があるということで、昨年、米商務省がインテルなどに最新型CPUの輸出を禁じました。そこで中国は内製に転じて、今回、CPUを独自開発して世界一となったというわけです。

●スパコン番付でも米中摩擦 CPU禁輸で揺らぐ中国の首位

これをもって「中国の技術力はすごい」という報道もあるようですが、はたしてそうでしょうか。日本の「京」も国産CPUですし、中国は2000年から独自のCPU開発をしてきましたので、特段、驚くべきことではありません。また、インテルも中国でCPUを生産してきましたから、基本技術自体は中国にパクられていたはずです。要するに、日本の新幹線をパクって「独自技術」を謳うようになった中国高速鉄道と同じだということです。

前回のメルマガでも述べましたが、冷戦終結後から戦争の形は変わり、熱戦から冷戦、そして現在進行中なのがサイバーウォーです。中華的思考では研究開発はバカがすることで、軍のサイバー部隊は他国の産業と軍事技術を標的としています。

中国アリババ・グループのジャック・マー会長が、自社のサイトに偽造品が溢れ、その対策が遅れていることに対して、「模造品の多くは正規品よりも優れている」と発言し、国際的な批判を浴びていますが、要するにそういうことです。技術をパクることで技術開発費を抑え、安価で売るというのが中国の手法なのです。

●中国・アリババ会長の「偽物は本物より高品質」発言が世界中で物議

しかも、中国のスパコンは、CPUを並列に並べて計算能力を高めたものです。たとえるならば、自動車100台で荷物を引っ張るようなもので、当然、自動車1台よりは馬力が出ます。そのかわりガソリンも大量に使うわけで、中国のスパコンも運用コストの高さが問題視されてきました。昨年1位だった「天河2号」の場合は、フルパワー運用で年間の電気代は約29億円とされています。日本の「京」も基本的に同じ手法で計算能力を上げているため、電気代は年間15億円に達するとされています。

●日本のスパコン開発目標は「省エネ」に?中国スパコンも「金食い虫」
今回の「神威太湖之光」は、「京」と同等の電力で性能は9倍になるということですから、大幅な性能アップを実現したことは間違いありません。しかし中国におけるスパコンは「運用コストが高く、使えるソフトが少ない」ということで、あまり実用性が高くないという評判です。

●われらの「スパコン」は高性能だが・・・「運用コスト高く、使えるソフト少ない」=中国メディア

たとえば昨年まで世界1位だった「天河2号」は、中国人民解放軍国防科学技術大学が25億元(約410億円)を投下して開発しましたが、2014年4月の運用開始以来、120社ほどにサービスを提供しているといいます。しかし、「天河2号に対して投下された資金はスパコンそのものの開発に使われたため、研究に活用できるソフトウェアの数が少なく、顧客は天河2号を使用するにあたって自らプログラムを組なければならない状況だ」といいます。

清朝末、中国では洋務運動(西洋の技術導入)という改革運動が起こりましたが、その際に叫ばれたのが「中体西用」でした。これは、中国の制度や文化、倫理などを根本として、西洋の科学技術を利用するという主張です。言い換えれば、中国というハードに、西洋のソフトを使うということでもあります。ところがこの改革運動は中途半端であったため、すぐに失敗してしまいました。

現在の中国も、「より大きいものがいい」「世界一がいい」という中国人の好みどおりに、高スペックのハードはつくるものの、それを動かすソフトはいまだ外国製に頼りっぱなしという状態です。

一方で日本は目指す方向を計算処理の速さではなく、電力あたりの計算速度へと転向しており、TOP500と統合された省電力スパコンのランキング「Green500」では、理化学研究所が運用する「菖蒲」が2連覇となっています。先の車の例で考えれば、リッターあたり100km走る車を開発するようなものです。

中国の技術力を過小評価する必要はありませんが、過大評価するのも禁物です。「世界一」といっても、すでに世界的に評価されなくなりつつある分野で1位になっても、あまり意味がありません。

民主主義国では市民やマスコミによる「無駄な予算」に対する監視が強くなるのが通常です。先日、舛添都知事が公費の公私混同を追及されて辞任しましたが、中国の役人のように何億も着服したわけではありませんし、まだ違法性も確認されていません。しかし政治家としての倫理道徳が問われ、舛添氏が「タダ働きする」と言っても許してもらえず、結局辞任するしかありませんでした。

ちなみに、この舛添都知事の問題は海外でも注目度が高く、「SEKOI」が「KAMIKAZE」「SUSHI」などと並んで、よく知られる日本語となりました。

それはともかく、このように、民主主義国では政策に対するコスト意識がどうしても高くなります。そのため、省エネ性能を伸ばす方向での研究開発が進むわけです。

一方で中国は共産党独裁ですから、為政者がカネを出すと決めれば、それが絶対になります。習近平のバラマキ外交には国内のネットでも批判が出ていますが、それでも国民がトップを交代させるシステムがないので、やりたい放題ができるのです。

つい最近も、腐敗官僚を追放して村長を直接選挙で選んだ広東省の烏坎村では、土地返還をめぐって上級政府に陳情しようとした直前に、住民側リーダーである村長が逆に収賄容疑で拘束されてしまいました。中国では住民が腐敗を摘発しようとしても、かえって逮捕されてしまうのがオチなのです。

とはいえ、ワイロ文化の中国では、多額の開発費や予算をつけても途中でそれが中抜きされ、末端へ行くとほとんど残っていないということがほとんどです。ですから、ビル建設などでも手抜き工事が横行し、鉄筋の代わりにゴミを混ぜるといったことが起こるわけです。

中国が日本の技術をパクって「自国技術」と胸を張る高速鉄道にしても、故障が頻発しているようです。中国での鉄道故障は2015年だけで1500件、事故は210にのぼっています。最も事故と呼称が多いのが高速鉄道向けの車両で、製品の品質とメンテナンスのレベルが水準を下回っていることに原因があると指摘されています。

●中国:鉄道故障が15年に1500件、中国中車の低品質原因か

自動車にしても、中国で圧倒的な信頼性を得ているのは日系車で、100台あたりの問題発生率が少ない自動車のトップ3は三菱、マツダ、レクサス。合弁メーカーでも東風ホンダ、次いで一汽トヨタ、そして広汽トヨタと日系が独占しています。一方、2010年の数字ですが、中国製の新車の故障率は6割近いという報告があります。

日本は江戸時代から高度なリサイクル社会でした。資源に乏しいこともあり、長持ちする優れた製品づくりをしてきたのでしょう。一方、中国人はその土地の資源を食い尽くせば、他の土地へ移動して資源を奪うということを繰り返してきました。中華思想の中国人にはエコや環境保全という概念はほとんどありません。

ですから「中国が独自開発のスパコンで速度世界一となった」といったところで、それほど脅威視する必要はないのです。
 

『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』より一部抜粋

著者/黄文雄

日本の量子コンピューターについてはリンクを参照してください。



中国は他の先進国でも考えられない速度で、新技術を実用化したり完成させている。日米欧を遥かに超えるペースで先進技術をものにしているように見えるのだが、全てデッドコピーであり品質も最悪である。

中国のパクリ体質は最新鋭科学の結集であるはずの兵器のパクリが酷く、最新鋭の戦闘機も酷い。
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FC-1 梟龍                                                                                              2016年9月20日、米政府系放送局ラジオ・フリー・アジア(RFA)は、中国製戦闘機の品質がアフリカで問題となっていると伝えた。 

中国の軍事動向に詳しいカナダの民間研究機関「漢和情報センター」によると、中国は先ごろ南アフリカで行われた航空見本市で、中国が自主開発したL-15練習機と中国がパキスタンと共同開発したFC-1(梟龍)戦闘機の売り込みをかけ、ナイジェリア空軍からFC-1戦闘機の受注を獲得したと一部で報じられていた。だが、同センターの平可夫(ピン・コフ)編集長は、ナイジェリア空軍関係者の話として、この情報を否定した。 

同関係者は「中国製J7戦闘機をこの5年間で12機輸入したが、すでに4機が墜落して大破した。今は学校の飛行試験で使用しているだけだ」と話しているという
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中国の蘭州級駆逐艦は国産のHHQ-9艦隊防空ミサイル・システムを搭載して、アクティブ・フェーズド・アレイ(AESA)レーダーを構造物の四隅に配置し一見イージス艦やステルス戦闘機は外見は似ているが、本当にイージス艦のような同時に多数のミサイル飽和攻撃に対処できるような対空戦闘が出来るとは、専門家は誰も信じていない。

AESAレーダーはアーレイ・バーク級の情報を手掛かりリに、ハッキングやスパイ活動をしてコピー品を製造したと考えられている。多機能レーダーによる防空能力は非公開で、詳細が一切不明とされているが、おそらく同時対処能力は無い。

未確認情報だが、普通のレーダーを壁に4枚張っただけで、むしろ普通のレーダーのほうがましだという噂もある。

何機も次々に登場するステルス戦闘機はステルスとは名ばかりのなんちゃってステルスである。中国の国産エンジンは毎日使用したら毎年オーバーホールが必要で、寿命は数年しか持たず、出力はロシア製より大幅に劣っています。結局中国は今でも戦闘機エンジンを国産出来ないのでロシアから輸入に頼っているのが現状です。

そんな、中国が作る量子レーダー、量子通信は日米を凌駕するわけがない!ただ、pm2・5で汚染された中国では、従来のレーダーが機能が大幅に落ちてしまう。そこで、量子レーダーであれば、pm2・5に邪魔されないという理由で量子レーダーを開発するのだと思う。




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4/21原宿の勉強会に出席してきました。4月のお題はトリウム原発についてでした。
メインの講師の長瀬隆氏はまったく酷いボケ老人で聞くに堪えない講演でしたが、補佐で来られたTTSの古川社長の話は面白かった。

配られた資料↓

新しい原子力が人類を救う  
溶融塩液体燃料原子炉実現へ向けた提案
株式会社 トリウムテックソリューション(TTS) 代表取締役社長 古川 雅章 2016年4月1日

新しい原子力の時代の扉が開かれようとしています

 2015年国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)で採択されたパリ協定は化石燃料消費量の一層の削減により地球温暖化を阻止する低炭素社会実現へ向かう潮流を本格化させました。

我々は原子力が人類の叡智が生んだ優れたエネルギー源であり、低炭素社会実現のカギを握るエネルギーであると考えます。

しかし、原子力が本当に人類に貢献するエネルギーになるためには、安全性、放射廃棄棄物、核兵器拡散の三つの問題を解決しなければなりません。

当社初代社長古川和男博士はトリウム熔融塩原子炉がこれらの問題を解決できることをその著書「原発安全革命」(文唇春秋新書2011/05)で示しました。

今年に入り、米国エネルギー省(DOE)溶融塩炉開発の産学官合同のチームに初年度600万ドルの支援を決めたことを契機に、今年は世界的な溶融塩炉開発の流れが出てくると考えられます。

 TTSは、これまで溶融塩炉開発に具体的に正面から取り組んできた日本で唯一の企業ですここれから本格化する世界の熔融塩炉開発の流れと共同歩調を取り、日本の熔融塩原子炉開発をリードします。

何故いま溶融塩炉が将来の原子炉の本命として浮上したか?
  (その1)原理的安全性


 原子炉の安全欧確保の為の条件は、(1)緊急時の炉の確実な停止、(2)核物質から放出される崩壊熱の除去、(3)放射性物質の外部流出の防止の三つです。

液体燃料原子炉は炉心直下に冷却機能を備えたドレンタンクを備えます。大規模地震発生や津波襲来等の緊急事に、液体燃料を炉心から地下ドレンタンクへ排出すると、核反応は直ちに停止します。ドレンタンク内の液体燃料は無電源で冷却され、崩壊熱が除去されると共に凝固します。万一原子炉が破損しても放射性物質は外部に流出しません。凝固した燃料は緊急事態解除後溶解して原子炉に戻します。

何故いま溶融塩炉が将来の原子炉の本命として浮上したか?
 (その2)使用済み核燃料処理の容易さ

 原子力のもう一つの課題は使用済み燃料の処理です。固体燃料の再処理は使用済み燃料の粉砕処理から始まり、硝酸で溶解し、さらに様々な複雑な化学処理を経て再び固形燃料う成形されます。一方、液体使用済み燃料は元々液状なので溶解処理が不要であり、そのまま再処理が出来るため処理工程を大幅に単純化出来ます。さらに、溶融塩液体燃料を使うことにより最も危険な長寿命高レベル放射性廃棄物であるマイナーアクチニドの消滅が可能になります。

溶融塩液体燃料炉の歴史
                                                 
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原子力開発の黎明期に米国では固体燃料と並んで液体燃料も対等に検討されました。最も有名な溶融塩液体燃料炉は米国オークリッジ国立研究所所長を務めたアルヴィン・ワインバーグ博士主導により1965年に建設されたトリウム溶融塩実験炉MSREです (図1)。4年間の連続無事故運転に成功し、溶融塩液体燃料炉に必要な基礎技術が確立されました。しかし、固体燃料と液体燃料の技術基盤が異なることに加え、トリウムはプルトニウムを生まないためトリウム溶融塩炉は軍事的に無価値であるという理由で、1976年に研究開発は中止されました。

一方日本では、古川和男博士がトリウム溶融塩炉の研究開発を継続し、日本独自のトリウム溶融塩炉として1:万KWの小型炉のmini FUJI と20万kWの標準型炉のFUJIの設計を完成させ、さらにこれらの実現のために当社TTSを設立しました。古川和男博士は2011年12月14日に世を去りましたがTTSはその遺志を継いで研究開発に取り組んでいます。

溶融塩炉開発の世界の動向:新たな流れが出来つつある

 近年、溶部短夜体燃料炉の原理的安全陛と使用済み核燃料処理の容易さから溶融塩液体燃料炉が世界的に再評イ面されています。2011年中国で溶融塩冷却炉からのスタートにより溶融塩炉の本格的な研究開発が開始されました。米国でもオバマ政権のクリーン・エネルギー戦略における重要な構成要素として、2016年1月に米国エネルギー省(DOE)は電力会社のサザンカンパニー社、ビル・ゲイツ設立のテラパワー社に加え、オークリッジ国立研究所、米国電力研究所(EPRI)、ヴァンダービルト大学匠ネシー州)の産学官連携研究開発プロジェクトに初年度600万ドルの開発費支援を決めました。米国政府が溶融塩炉開発に予算を投じた影響は大きく、今後世界的な溶融塩液体燃料炉開発の大きな流れが出来上がると考えられます。

TTS独自の取り組み:溶融塩燃料体RinRの開発                   
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世界的な溶融塩炉開発の流れの中でTTSは独自の取り組みを行っています。それは既存原子炉の固体燃料体の一部を溶融塩液体燃料体に置換することによる液体燃料の実用化です。

この溶融塩液体燃料体を原子炉内化学反応炉と言う意味のRinR (Chemical  Reactor in Nuclear Reactor) と名付けました。 TTSはRinRの開発をフロム・スクラッチ(材料からの手作り)マスタードしますが、これは戦後糸川英夫博士がペンシルロケットからスタートし現在の日本のロケット技術の基礎を築いたのと同じ精神に基づいており、米国のスペースエックス社がロケット開発を国家主導ではなく民間主導で進めたのと同じ考えでもあります。

 TTSは2015年3月ノルウェーのエネルギー技術研究所(TFE)と契約し、ハルデンにあるOECDハルデン炉プロジェクトと共同でRinRの開発のための試験用原子炉による照射試験体(リダ)の開発をスタートさせました(図2)。OECDハルデン炉プロジェクトは日本も参加する経済協力開発機構 (OECD)18力国が共同運営するプロジェクトです。

ハルデン試験用原子炉は試験用燃料体のデータをオンラインで取得出来る計測系を備えた原子炉であり、核燃料開発の世界的な中心拠点です。 TTSは、現在RinRの原子炉内試験へ向けた準備作業を進めており、本年2016年3月に照射試験体(リグ)のモックアップの製作に着手しました(図3)
2016年7月頃までにノルウェー政府の原子炉内照射実験の認可を取得し、2016年後判こはRinRの本格開発に入る予定です。

TTSが最初に取り組むビジネス:溶融塩燃料材料と炉材料の試験受託
 
多くの溶融塩炉開発プロジェクトは巨額の資金と長期の研究開発期間により発電炉プラント全体の開発を目指します。一方我々は最初に小規模資金かつ短期間で開発可能な液体燃料体であるRinRの実現に取り組むという独自の取り組みからスタートし、最終的にトリウム溶融炉の実現を目指します。 RinRで取り扱う燃料材料は特定の組成だけに留まらず、多様な組成の溶融塩燃料を取り扱えます。そのためTTSは世界中の溶融塩炉プラント開発を目指す企業や機関から、ハルデン試験用原子炉を使った溶融塩燃料材料の試験と炉材料の放射線照射下での試験を受託出来ます。このハルデン原子炉とTTSのRinRによる試験受託サービスはTTSが世界に先駆けて取り組む溶融塩炉に関係した最初のビジネスになります。

RinRによる余剰プルトニウムの処理

 TTSが取り組むもう一つの課題が余剰プルトニウムの処理です。現在世界にはプルトニウムが約500トン存在し、核兵器への転用が懸念されていますが、その内約47トンを日本が保有しています。ノルウェー政府は核兵器廃絶に向けた活動にノーベル平和賞を授与し、現在も固体燃料によるプルトニウム燃焼処理技術の研究開発を行うノルウェーの企業を資金援助しています。 TTSはRinRによるプルトニウム及びマイナーアクチニドの燃焼および消滅のために技術開発についてノルウェー政府の支援を得ることを目指しています。

福島のデブリ処理のための超小型溶融塩炉開発                 

政府主導で福島第一原子力発電所の廃炉作業が進められています。廃炉に至る一連の作業のうちデブリ処理が最も困難です。デブリは溶融した炉心部材と核燃料から生じた核廃棄物で様々な化学組成を含みます。溶融塩液体燃料炉の特長の一つは核廃棄物の処理の多様性と柔軟性です。

デブリ処理として最も有望な方法がハロゲン処理法です。デブリをハロゲンで溶解処理し、プルトニウム及び長寿命マイナーアクチニドの塩化物を分離回収します。それらを塩化物溶融塩に溶解し、RinRに入れてナトリウム冷却原子炉で核反応により燃焼処理します。TTSは福島原発事故の跡地にデブリ処理専用の小型溶融塩高速炉の建設を提案します。日本のナトリウム冷却炉の技術は高速炉もんじゅの建設と共に完成しています。この核廃棄物処理用超小型塩化物溶融高速炉の技術開発は発電用トリウム溶融塩炉への技術展開の途上に位置づけられます。

トリウム溶融塩炉の開発                                    
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地球上に存在する核資源はウランとトリウムがあります。トリウムからプルトニウムを生産出来ないため、これまでトリウムは原子炉用燃料としてほとんど使われませんでした。しかし、採掘可能なトリウムはウランの約4倍存在し、平和のための原子力の時代のエネルギー源としてトリウムは有望な核資源です。

 TTSは、トリウムを燃料とする溶融塩液体燃料炉であるトリウム溶融塩炉として、最初に1万kWの小型炉(mini FUJI)を開発し、次いで20万kWの標準型炉(FUJI)(図4)の開発を目指します。 トリウム溶融塩炉は安全山こ優れ、核廃棄物処分も容易であり、核武装に繋がるプルトニウムを作りません。プラントの構造も単純であり、発電コストは3円/kWhの低コストを目標にします。

トリウム溶融塩炉は世界を平和へ導きます

 我々はイスラム国問題に象徴される世界規模の危機の原因は豊かさと貧しさの間に生じた大きな経済格差だと考えます。この格差を解消するための手段の一つが低コストエネルギーの供給です。低コストのエネルギーがあれば砂漠化か進む地域で水を作ることが出来ます。また、低コストのエネルギーがあればその地域に産業を起すことも出来、貧困の問題を解決できます。

 トリウム溶融塩炉は世界中のあらゆる地域へ低コストエネルギーの供給を可能にします。 トリウム溶融塩炉はトリウムを燃料としているため核武装に繋がるプルトニウムを作りません。 トリウム溶融塩炉は貧困を解消します。そして、トリウム溶融塩炉は世界を平和へ導きます。                        
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現在稼働中の40年以上の原発は大型のトリウム熔融塩炉が2030年代に完成したら順次トリウム原発に置き換えていくべきと思う。

今回セミナーに参加して勉強になったのだが、小型トリウム熔融塩原発炉は福島第一原発事故で原子炉容器内からデブリを取りだせたら熔融炉心デブリを処理することが可能であることだ。政府東電へ打診しているが、他に有効な処理方法が見当たらないので、デブリ処理の為に小型トリウム原発の実用化が進む可能性がある。

今日本でいきなり安全なトリウム原発を研究開発をするとなると、SEALDsのような日本の頭が悪い左翼プロ市民朝日新聞など日本のゴミ層が一斉に反発して面倒くさいことになるが、福島原発処理用であれば日本のゴミ層も容認するだろう。

4.原子力の新しい時代は「乾式技術」によって開かれる                                                                過去の負の遺産=「福島第一原子力発電所汚染水」の処理、使用済み核燃料の処理この問題を放置して、原子力は先に進め無い。

①福島第一原子力発電所汚染水問題

 汚染水発生の原因=破壊された原子炉容器内熔融炉心デブリからの発熱の冷却 熔融炉心が容器を破壊、状況すら把握できず、それを冷やしているから汚染水が流れ出る。
 根本解決には、熔融炉心デブリの取り出しと始末が必要である。
 熔融炉心デブリの処理は、何にでも反応し、何でも溶かす、フッ素による「乾式処理」しか無い。

②使用済み核燃料の処理

 現状の六ヶ所村再処理は、純粋のプルトニウム取り出しの「湿式処理」によっている。 高速増殖炉の稼動が見込めない以上、プルトニウム取り出しは無意味。むしろプルトニウム蓄積は国際社会から、核武装の疑惑をもたれる。

 使用済み核燃料のフッ素による「乾式処理」による減量と、プルトニウムと高レベル放射性廃棄物の混合物としてのフッ物としての取り出しと、熔融塩炉による「乾式処理」が有効。

③湿式炉「軽水炉」に代わる、乾式炉「トリウム熔融塩炉」の開発

 水冷却「軽水炉」には、原理的安全性に問題があり、安全対策による高コスト化が避けられない。
 原理的安全性を持ち原理的低コスト体質を持つ乾式炉「トリウム熔融塩炉」の開発に着手すべき今後の原子力を支える基本技術は「乾式技術」であるべきである。
「乾式技術」と「湿式技術」は、根本的に異なる。
日本は「乾式技術」によって、世界をリードすべきである。

5.福島第一原子力発電所の熔融炉心デブリの「乾式処理」

福島第一原子力発電所の汚染水問題

熔融して固まった炉心は、そのままにしておけば、放射能汚染の問題は終わらず、いつの日か問題が再発します。
熔融固化した炉心に対し、隔離、分別、減容、そして福島からの撤去に至る、始末をすることが肝要です。これ等を解決可能な技術として、フッ素による新しい技術、即ち「乾式技術」の開発を推進すべきで あります。                 
熔融炉心デブリの前処理

①熔融炉心デブリの取り出し=強い放射能を持ち人間が近ずくことが出来ないためロボットが必要
②乾燥:フッ素処理のためには、水分除去が必要。                   
フッ素による「乾式処理」                                   
フッ素ガスは強力な反応性を持ち、あらゆるものと反応してガス化、又は液体化出来る。フッ素と反応して生成したフッ素化合物を分離して始末する。
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トリウム熔融炉の現状については下記リンクが詳しい

2016年1月>米国エネルギー省が、高温ガス炉と熔融塩炉に各々$40million(約50億円)の政府資金を出すことを決めた
そして中国もトリウム原発の開発に力を入れている。
米国エネルギー省が熔融塩炉開発に資金投入を決定

2016年1月に「米国エネルギー省が、高温ガス炉と熔融塩炉に各々$40million(約50億円)の政府資金を出すことを決めた」というビッグニュースがありました。(本年度は各々約7億円)
 http://energyfromthorium.com/2016/01/16/doe-terrapower/
ご存知のように、世界の多くの国で熔融塩炉の開発研究が進められていますが、米国は永年、いかなる新型原子炉の開発にも、政府資金を投じて来ませんでした。
それが大きく舵を切った訳で、世界や日本に大きな影響を与えることになるでしょう。
また、資金の受け皿が全米4位の電力会社で、ほかに米国電力中央研究所やORNL(オークリッジ国立研究所)、ビルゲーツ子会社も参加していることから、オール米国とでもいう大きな動きとなりそうです。

但し、今回採用されたMCFR(Molten Chloride Fast Reactor)は、塩化物を用いた高速炉型の熔融塩炉です。従来、ORNL(MSBR)やFUJIが採用している弗化物を用いた熱中性子型の原子炉とも、仏やロシアが研究している弗化物使用の高速炉とも異なります。

中国、次世代原子炉の開発急ぐ 「トリウム」に脚光 
【日本経済新聞】2013/6/19 7:00 編集委員 安藤淳

 エネルギー需要が増大する中国で、次世代原子炉を開発する動きが加速している。ウランの代わりに、大量に余剰があり廃棄されてきたトリウムを燃料に使う「トリウム溶融塩炉」の研究が進む。炉心溶融(メルトダウン)の危険がなく放射性廃棄物が少ないという。日本も米国と協力して過去に同様の炉を研究しており、将来の選択肢に加えるべきとの指摘もある。

■メルトダウンは原理的に起きず


 「平均年齢30歳の若手を中心に約500人が次世代炉のプロジェクトを進めている」――。中国科学院上海応用物理研究所の徐洪杰TMSRセンター長は今年4月、都内で開いたシンポジウムで開発陣容の拡大を明らかにした。

 TMSRはトリウム溶融塩炉の略。天然には原子番号90のトリウム232が存在する。モナザイトと呼ばれる地球上に広く分布する鉱物から得られる。レアアース(希土類)を採取した後の廃棄物に多く含まれる。中国のトリウム保有量は豊富で、国内の電力消費を数百年賄えるという。

 トリウム232に中性子が当たるとウラン233に変わり、これが核分裂を起こしてエネルギーを発生する。トリウム溶融塩炉はフッ化物の液体状の塩(溶融塩)にトリウムを混ぜ、さらに少量の核分裂性物質を加えた液体を燃料に使用。熱を取り出す冷却材としても溶融塩を使う。

 日本などの軽水炉のように、固体の燃料が高温で溶け落ちるメルトダウンは原理的に起きない。ウランの核分裂反応に比べ、プルトニウムの発生量が少ないので核不拡散に有利とされる。燃料は比較的容易に再利用でき、その過程でプルトニウムを含む放射性廃棄物は消滅していく。

 中国政府は2011年に打ち出した「イノベーション2020」で、20年までに2メガ(メガは100万)ワットのトリウム溶融塩炉の試験炉を動かすとしている。冷却材にのみ溶融塩を使い、燃料は固体のままにするフッ化物塩冷却高温炉(FHR)も並行して開発する。

 トリウム溶融塩炉は米国が1960年代に実験炉を稼働、米エネルギー省(DOE)のオークリッジ国立研究所(ORNL)などにノウハウの蓄積がある。中国科学院はDOEと結んだ覚書に基づき、ORNLの研究者らと協力している。

日本も要素技術は持つ

 溶融塩を循環させるポンプ、燃料棒の試験装置などがそろいつつあり、セ氏700度程度の高温に耐える材料の開発・生産も進んでいる。「炭化ケイ素材料が重要。日本の技術に期待しているほか、米国の研究者とも改良法などを議論している」(徐センター長)

 中国科学院と交流があるNPO法人「トリウム熔融塩国際フォーラム」の吉岡律夫理事長は「中国では休日なしで開発を急いでいる」とスピードに驚く。優秀な人材を世界から素早く確保しようと「ネットでも募集している」という。

 なぜ、そこまで熱心なのか。中国の環境・エネルギー問題に詳しい帝京大学の郭四志教授は「電力を賄うために原発の増設計画を進めているが、ウラン燃料の不足が問題になっている」と指摘する。国内で採掘を増やすと、地下水汚染の悪化を招くとの懸念もある。

 最近の異常気象で水不足が深刻化し、水力発電所も打撃を受けている。冷却用に大量の水が必要な軽水炉も、河川の水位低下が進めば使いにくくなる。トリウム溶融塩炉を含め「炉のタイプの選択肢をできるだけ広げておきたい」(郭教授)。

 日本でも80~90年代にトリウム溶融塩炉の研究が進んだ時期がある。その後は下火になったが要素技術は持っている。今後も原発に頼るとしたら、安全で使いやすいのはどのような炉なのか。トリウム溶融塩炉だけが解ではないが、科学データをもとに改めて考える意味はある。

[日経産業新聞2013年6月14日付]

トリウム原発は世界の潮流となる可能性が高い。 

トリウム熔融塩炉は未来の原発か?
【WIRED】2012.05.03 THU 12:00

かつてアメリカのオークリッジ国立研究所で開発されたものの、歴史の闇のなかへと消え去ったまぼろしの原発「熔融塩炉」。2011年に中国が本格的開発に乗り出すことを発表した失われたテクノロジーは、本当にクリーンでグリーンで安全なのか? かつて福島第一原発3・5号機の設計を担当し、現在は世界を舞台に「トリウム熔融塩炉」の可能性を推進する原子力工学の専門家・吉岡律夫先生に訊いた。

PHOTOGRAPH BY JUNPEI KATO
INTERVIEW BY WIRED.jp_W

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 液体の熔融塩は放熱を終えると固体になる。PHOTOGRAPH BY JUNPEI KATO

──オークリッジ国立研究所で1960年代に実際に稼働していた「熔融塩炉(MSR:Molten Salt Reactor)」が、ここ10年ほど大きな注目を集めるようになってきました。また、トリウム燃料の可能性も近年盛んに語られていますが、いわゆる「トリウム熔融塩炉」がいまこうして注目される理由は何なのでしょう?

世界における原子力発電の問題は何よりもまず、燃料として用いたプルトニウムの処理処分です。アメリカを中心に日本も、高速増殖炉によってその燃料を再利用できるようにすることをもくろんできたわけですが、これが開発開始から50年近く経ってもめどが見えない。そこでトリウム熔融塩炉が注目されるわけです。というのもトリウムは放射性物質なのですが、自ら核分裂は起こしません。そこでトリウム(Th232)からウラン233を生み出す必要があるのですが、その火種としてプルトニウムを使用することで、プルトニウムを消滅させることができるのです。

──トリウム熔融塩炉を使用すれば、プルトニウムを燃やしながら新たなエネルギーを生み出すことができる、ということですか?

そうです。現状における原発の計画は、軽水炉から出るプルトニウムを高速増殖炉で再処理して再び使うという「ウランープルトニウム・サイクル」を前提としたものですが、それがうまくできないことによって、プルトニウムの処理処分の問題が大きくなり続けています。加えて、核拡散の問題もあります。ところが「トリウムーウラン・サイクル」ですと、処理の問題も、核拡散の問題も解決できるのです。

──核兵器に転用できないということですか?

不可能ではありませんが、トリウムからはごく少量のプルトニウムしか生まれません。加えて、トリウムからウラン233とともに生成されるウラン232は強いガンマ線が発生しますから、検知が容易だということも兵器利用の抑止という観点からはメリットです。

──トリウムは世界中で採れるのでしょうか?

世界中のほとんどの国で採掘できます。残念ながら日本では採れませんが、実はトリウムは、電気自動車やハイテク機器に欠かせないレアアースに含まれているもので、現在世界中で発掘されているレアアースの副産物としてすでに年間1万トンほどが採掘されています。けれども放射性物質ですから処分に困ってるわけですね。それを利用できるとなると燃料問題はおよそ片付いてしまいます。というのも、年間1万トンのトリウムで100万kWeの原子力発電所を1万基稼働できてしまうからです。

──安全性はどうでしょう?

トリウム熔融塩炉というのは、LiF-BeF2というフッ化物熔融塩に、親物質としてのトリウムと、核分裂性物質のウランまたはプルトニウムを混合し、それを液体燃料として用いるものです。つまり燃料が液体で、それ自体がすでに溶けているわけですからメルトダウンという状況が起きません。また熔融塩は、沸点が1,500°Cという高温で、かつ化学的には空気と反応したりすることがありません。これはどういうことかというと、水の場合、温度を上げようとすると圧力をかけないといけませんけれど、そういった操作なしに簡単に扱えるんですね。だから炉心の外壁にしたって、軽水炉のように分厚いものである必要がないですし、福島のように水蒸気や水素が容器や格納室にたまって爆発するようなことがないのです。

──とはいえ、福島のようにすべての電力系が失われたら、やはり危険ですよね?

もちろん危険ではあります。液体燃料とはいえそれ自体は放射線を出していますから。ただ、爆発要因はありませんから、セシウムなどの放射性物質が空気中に飛散するといった状況は起こりません。燃料の温度が上がりすぎて、かりに容器を溶かして外に流れ出しても一定期間で放熱をし終えると固体となって固まります。その間、なんらかの方法で冷却する必要はあるでしょうけれど、オークリッジではプールのようなものの中に自動的に燃料が流れ込むようなことを考えていたようです。

──トリウムを固体燃料として現状の軽水炉で使用する、という可能性はありませんか?

トリウムに関する国際会議で、フランスのアレバ社の担当が言ってましたけれど、トリウムを軽水炉で利用するメリットはあまりないんです。というのも、固体のトリウムは再処理をしてウラン233を取り出すのが難しいんですね。つまり増殖することができないんです。ですから、トリウムをただ燃やすだけになってしまいますし、併用するウラン燃料からは新たなプルトニウムも発生しますから問題の解決にはなりません。熔融塩炉で液体として利用すれば増殖が可能で、かつプルトニウムも燃やすことができる。トリウムを利用するなら、熔融塩炉がいちばん理にかなったやり方です。

──なぜ、これほどいいことずくめの技術が、日の目を見なかったのでしょう?

それが核兵器に使えないからですよ(笑)。と、もうひとつあるとすれば、熔融塩っていうのは化学の範疇なんですよ。そもそも軽水炉を含めた原子力発電所っていうのは、一種の「化学プラント」であって、本当は電気屋さんではなく、化学の専門家が扱うべきなんです。それはワインバーグもウィグナーも言っていたことで、日本でいち早くトリウム熔融塩炉の可能性に気づいた古川和男先生も言っていたことです。古川先生は1960年代からナトリウムの世界的な権威だったわけです。その人から見ると、ナトリウムを利用した高速増殖炉はきっと危なくて仕方のないものに見えていたはずで、一方、不活性な熔融塩がよさそうだというのは直観でわかっていたんですね。だから先生は、オークリッジの熔融塩実験炉を見て「自分の直観は正しかった」と思って帰ってこられたわけです。

──古川先生は原子力研究所で高速増殖炉の研究をされていたんですよね?

そうです。ただ、軽水炉と高速増殖炉は国の既定路線ですから、ある時期からはだいぶ煙たがられていたみたいですね。それと違うもののほうが優れていると考える人は、あまりありがたくなかったんじゃないでしょうか。

──吉岡先生はなぜ熔融塩炉に?

わたしは70年代に原子力の世界に入りましたが、当時は高速増殖炉に夢がもたれていた時代で、わたしもそうだったんです。以後、高速増殖炉を少し手がけた後、主に軽水炉の設計をやってきたわけですが、90年代初頭に、高速増殖炉はなんでこんなに長く研究をやってるのに結果が出ないんだ、そもそも無理があるんじゃないのか、と思うようになったんです。そのころ古川先生の研究に出合って、自分でも計算してみたら、これは正しいなと思えたんです。

──ところで、本誌でワインバーグ博士を取り上げることに驚かれてましたね(笑)。

スティーブ・ジョブズならともかく(笑)、ワインバーグ博士の記事をつくると聞いて驚きました。ふたりの共通点を挙げるとするなら、未来を見据えた天才だということでしょうか。ワインバーグは軽水炉の発明者でした。世界の原発の生みの親と言えるでしょう。その彼が、軽水炉の危険性やプルトニウム問題を50年前に指摘し、安全でプルトニウム問題もないトリウム熔融塩炉を推進したわけです。

──日本でトリウム熔融塩炉が、実現する可能性はありますか?

古川先生に初めてお会いしたときに言われたのは、日本は問題じゃないということなんです。つまり日本は人口がこれからどんどん減っていきますが、世界はそうじゃない、ということです。アジア、アフリカといった地域の人たちの生活レヴェルが上がっていったときにどう電力を供給するか、これを考えるのが先進国としての日本人の務めだと、こう言われたんです。世界を考えなさいと。ですから、わたしも原発の未来に関する議論においては日本のことはあまり考えてません。

──日本の原発業界は世界の状況はあまり考えてこなかった、ということになりますか?

ええ。日本の原子力産業っていうのは、結局、日本国内の需要だけで成り立っている極めて内向きなもので、いまになって輸出だなんて言って四苦八苦してますけれども、いままで海外に出たことなんかないわけですから、それも当たり前です。熔融塩炉に関して言うと、日本には熔融塩の研究者は他国と比べるとたくさんいますし、黒鉛の専門メーカーもある。そのほか鉄鋼技術や高温融体の研究なども進んでいます。つまり日本がリードできる要素技術はもっているわけですし、それを新しい産業へと発展できるんです。中国が開発に乗り出すというのなら、日本の技術力を生かすいい機会だと思いますよ。本当は原子力研究所などがやるべきなんですが、高速増殖炉と軽水炉の路線が法律で決められちゃってますからね。

──福島の事故は、世界に脱原発の動きを促した、というようなことはないんですか?

残念ながら、その方向は難しいでしょう。80億とも90億とも言われる膨大な人口増加によるエネルギー需要を賄うための現実的な方策としては、原子力以外にいま有効な手だてはありませんから、その研究・開発を止めるという選択肢はありません。もちろん並行してさまざまな研究も行うべきだと思いますが、福島が与えた教訓を生かしながら、そういう世界全体の動きについていく以外の道はないように思います。
古川和男博士〔文春新書「原発革命」の著者。東北大学助教授、日本原子力研究所ナトリウム研究室長、東海大学教授を歴任)は残念ながらこの記事が載る直前2011年12月14日逝去されております。

 2月7日。五輪開幕に合わせてロシア・ソチを訪問した中国の国家主席、習近平は、チェコのゼマン大統領と会談し、インフラ建設、新エネルギー、農業などについて2国間協力を進める意向を確認した。

 43時間のソチ訪問中、習近平が会談した元首級の要人は露大統領のプーチン、国連事務総長の潘基文、ギリシャ大統領のパプーリアス、アフガニスタン大統領のカルザイ、そしてゼマンだった。

 「世界の大国」を自任する中国に対し、チェコは中欧の要とはいえGDP世界52位の小国に過ぎない。しかも中国政府に弾圧されるチベット民族を支援しようと、公の施設にチベット旗を掲げたりする、中国にとって苦々しい相手だったはずだ。

 習近平は限られた時間をやりくりしてまで、なぜゼマンとの会談を望んだのか。それは、チェコが、第4世代原発といわれるトリウム溶融塩炉の開発競争の先陣を切っているからだと言われている。

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 原発は、言うまでもなく放射性物質の核分裂反応を利用した発電方法だ。ウランなど放射性物質の原子核は中性子を吸収すると核分裂を起こす。その際、膨大なエネルギーと一緒に中性子を放出する。放出された中性子が再び別の原子核に吸収され、核分裂する。

 原子炉では、核分裂反応を安定した状態で連鎖的に起こさなければならない。そのためには原子核に吸収されやすいよう中性子の速度を落とす「減速材」と、核燃料を冷やす「冷却材」が不可欠となる。

 軽水炉とは、濃縮ウランをペレット加工した固体燃料を「軽水=普通の水」に浸し、水が減速材と冷却材の役目を併せ持つタイプの原発を指す。水が扱いやすい上、原子炉制御が容易で事故の危険性が小さいことから、世界の原子力発電所のほとんどが軽水炉を採用している。

 日本国内の原発も軽水炉がほとんどを占めるが、実は2種類ある。核燃料から直接熱エネルギーを奪った軽水を蒸気とするのが、福島第1原発の沸騰水型軽水炉(BWR)。別系統の水に熱エネルギーを移して蒸気とするのが九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)に代表される加圧水型軽水炉(PWR)だ。

 これに対し、トリウム溶融塩炉は、高温(500~700度)で液化した「溶融塩」にトリウムを混ぜて燃料とする。

 炉内には、減速材として柱状の黒鉛が並び、その中を溶融塩が流れ、核分裂反応を起こす。冷却材はポンプで対流させる溶融塩そのものだ。沸点が1430度なので気化することも、高圧にする必要もない。

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 実はトリウム溶融塩炉は新しい技術ではない。

 第2次世界大戦終結から間もない1950年代半ば、米・テネシー州のオークリッジ国立研究所がトリウム溶融塩炉の研究を本格的に始めた。1965年に実験炉の運転が始まり、最大7500キロワットの出力を達成した。実験炉は1969年まで無事故で運転した。

 だが、軽水炉との実用化競争に敗れ、歴史の表舞台から消えてしまった。理由は炉内でプルトニウムを生成しないため、冷戦下の米国に魅力的に映らなかったからだとされる。

 トリウム溶融塩炉が再び脚光を浴びたのは、東日本大震災の直前だった。

 2011(平成23)年1月。急速な経済発展に伴い、石炭火力による大気汚染と電力不足に悩む中国政府が、トリウム溶融塩炉の開発に取り組むことを表明した。

 先頭に立つのは、中国科学院副院長を務め、元国家主席、江沢民の息子でもある江錦恒だった。「なぜトリウム溶融塩炉なのか」。世界の原子力研究者は驚きの声を上げた。

 レアアースの豊富な埋蔵量を誇る中国は、精錬の際に副産物として大量に出てくるトリウムの取り扱いに頭を悩ませてきた。加えてトリウム溶融塩炉ならば、軽水炉に必要な大量の水を確保できない内陸部でも建造することができる。

 この辺りが中国政府がトリウム溶融塩炉の開発に本腰を入れ始めた理由だとみられる。中国の動きは世界の原発の潮流を変える可能性を秘めている。

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 トリウム溶融塩炉の強みとは何なのか。

 まず事故対応が挙げられる。

 福島第1原発は、津波に起因する全電源喪失により、冷却材である軽水の循環がストップし、蒸発を続けた。冷却手段を失った核燃料がメルトダウン(炉心溶融)したことで、燃料表面のジルコニウム金属と水蒸気が化学反応を起こし、水素が大量に発生。1、3、4号機で水素爆発が起きた。

 オークリッジ国立研究所の実験などによると、トリウム溶融塩炉でも全電源喪失すれば溶融塩の対流が止まり、冷却機能を失う。この場合は、原子炉底部にある凝固弁が、高温となった溶融塩によって溶けて穴が開き、溶融塩は下の耐熱タンクに流れ落ちる。

 ところが、減速材である黒鉛から離れたことで核分裂反応は収束に向かい、溶融塩の特性から450度以下に冷えるとガラス固化体へ変化する。ガラス固化体は強い放射線を出すが、少なくとも気化した放射性物質を周囲にばらまくことはない。

 水を使っていないことから爆発の要因となる水素が発生することもない。

 余剰プルトニウムの問題も解決される。

 ウランを燃料とする軽水炉は、プルトニウムを含んだ使用済み核燃料を排出する。テロや核兵器への転用が懸念され、今年3月にオランダ・ハーグで開かれた核安全保障サミットでも余剰プルトニウムの取り扱いが議論された。

 これに対し、トリウムは、核分裂反応の“種火”としてプルトニウムを使うため、余剰プルトニウムの削減にも寄与できる。

 効率のよさも特筆に値する。軽水炉は沸点の低い水を使用することから熱効率は33%と低いが、トリウム溶融塩炉は45%前後まで向上する。核分裂反応が弱まれば、トリウムを炉内に溶かし入れるだけなので燃料棒の交換も不要だ。

 このような特性を考えると、放射性物質を含んだ溶融塩を熱交換器に安全に対流させる方法など課題はいくつもあるが、トリウム溶融塩炉は将来有望な新型原子炉だといえる。

 京都大や立命館大などでトリウム溶融塩炉の研究に長年携わってきた亀井敬史はこう語る。

 「今後の原発は、小型化・モジュール化が進むことは間違いありません。取り扱いが容易で最大出力1万~10万キロワット程度の小型原発に向いたトリウム溶融塩炉は、従来の大型軽水炉を補完する大きな可能性を秘めています。日本も本格的に研究すべきなのです」

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 トリウム溶融塩炉だけではない。世界では「第4世代」と言われる新型原発の熾烈な開発競争が始まっている。

 世界にある原発は2013年1月現在で429基。その大半は第2世代(軽水炉)または第3世代(改良型軽水炉)に属する。

 その先を行く次世代原子炉の開発に向け、日米英仏など10カ国が「第4世代国際フォーラム」を結成したのは2001年7月だった。

 フォーラムは、2030年までの実用化を目指す新たな原子炉として、トリウム溶融塩炉をはじめ、軽水炉の進化版「超臨界圧軽水冷却炉」、冷却材にヘリウムガスを使う「超高温ガス炉」など6タイプを定めた。日本の高速増殖炉「もんじゅ」に代表されるナトリウム冷却高速炉も含まれる。

 どのタイプも、燃料の効率的利用、核廃棄物の最小化、核拡散の防止、安全性向上などを見込めるという。フォーラムには、後に中国や韓国、欧州原子力共同体(ユートラム)なども参加し、情報交換や協力を重ねながら各国が開発にしのぎを削っている。

 国際的な動きとは別に、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツも2010年3月、劣化ウランを燃料に、冷却材にナトリウムを使った新型原発「進行波炉」(TWR)開発に数十億ドルという私財を投じると発表し、注目を集めた。

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 第4世代開発だけではない。世界中に普及した軽水炉の技術革新も止まったわけではない。

 これまで以上に安全性を高め、ウラン燃料の燃焼効率を向上した改良型軽水炉が誕生し、国内外で採用されている。

 既存原発の技術進歩は日進月歩で続いている。九電は安全性向上と発電能力増強を目的に、平成18年に川内1号機の、22年川内2号機の蒸気タービンを三菱重工業製から独シーメンス製に交換。これにより年間発電量が3%上昇した。

 こうした既存原発の改良や新型原発の研究など、各国が原発技術の開発にしのぎを削るのは、逼迫(ひっぱく)するエネルギー需給への対応が急務だからだ。

 国際エネルギー機関(IEA)の見通しによれば、2030年の世界のエネルギー需要は石油に換算して159億7700万トン分。2000年の1・6倍に達する。世界規模の資源争奪戦はますます熾烈になるに違いない。各国が原発の技術開発に血眼になる理由もそこにある。

 だが、日本では、福島第1原発事故後、「脱原発ムード」という逆風に耐えかね、東京電力などの優秀な原発技術者が相次いで海外に流出している。

 現役世代だけではない。文部科学省によると、全国の大学の原子力関連学部への平成25年度志願者数は、計約440人と事故前から2割も減ってしまった。

 感情論からの「原発ゼロ」に流され、原子力技術を途絶させると、その影響はあらゆる分野に及ぶ。すでにその兆候は出ている。「技術立国・日本」の地位は大きくぐらついている。(敬称略)

中国がトリウム原発を推進することは間違っていない、彼らも自分達のいい加減さはよく知っていて、いつか原発事故を起こしかねないことを自分自身よく理解しての選択である。トリウム原発を選択した中国当局を褒めてあげたいと思う。

高山正之<変見自在>非道国家が原子力を手に入れると……
 【週刊新潮】2012年7月12日号

 ニトログリセリンは十九世紀半ばにイタリアの化学者アスカニーオーソブレロが創った。
 紙めたらこめかみがずきずきした。それが後に血管拡張作用だと分かって狭心症の薬になった。

 ソブレロの友人アルフレッドーノーペルはニトロの爆発力に着目した。
 彼の生地ストックホルムは花尚岩の街といえば格好いいけれど、要は十センチも掘れば厚く固い岩盤に行き当たる。

 土管一本通すのも汗水たらして岩を穿たねばならなかったのを軽減できないかと彼は考えた。

 ただニトロはちょっとしたショックでも温度の上下でも簡単に爆発する。
 彼はそれを珪藻土にしみこませて安定化させる方法を思いついと。ダイナマイトの発明だ。

 かくてストックホルムの街づくりが進み、今では地下岩盤に穴を開けて地下鉄が走るようにもなった。

 ノーベルはそれでも不安定なダイナマイトの欠点を少しでも補おうと、ちょっとやそっと叩いたくらいでは爆発もしない「ゼリダナイト」を後に発明している。

 もろ刃の剣、ニトロはイタリア人、スウェーデン人ら善意の学者に育まれ、一方で心臓病に悩む人を救い、トンネルを穿ち、ダムをつくる手助けをして人類に愛される道を歩んだ。

 それといい対照になるのが原子力だった。

 原子力はもともと地熱などと同じ自然エネルギーの一つだ。朝日新聞が目くじら立てるほどの異様な危険物じゃあない。

 現にザボン中部オクロで二十億年前、ウラン鉱床が地下水と反応し天然の原子炉ができ、六千万年間も稼働していたことがフランス原子力庁によって確認されている。

 この当時のウラン鉱床中のU235は現在の五倍の三パーセントはあった。つまり軽水炉原発の低濃縮燃料と同じ濃度で、地下水加減連材になって臨界に達していた。

 生まれは正統な自然エネルギーだ。そのエネルギーは大きく、派生するX線などの放射線は体内を透視し、がんを治療し、血を出さないレーザーメスにもなる。

 ニトロと似るが、ただ最初に原子力を手に入れ、育てた国が悪かった。
 この国は十七世紀、清教徒がやってきたのを国の肇としているが、彼らの性根は悪かっか。

着いた早々から先住民を襲って、土地を奪い、抵抗すれば「集落に火を放ち、彼らを生きたまま切り刻むか、その火中に放り込んで焼き殺し、女は強姦し、カリブの英植民地に奴隷として売り払った」(プリマス市長ウィリアムーブラドフォード)。

 こんな残虐な建国史ではまずいから、リンカーンは先住民と仲良かったようにあの「感謝祭」を創作して国民の祝日にした。大統領自ら歴史を捏造した。

 しかし彼らの根性は改まらない。彼らは先住民を売ったカネで黒人奴隷を買って、労働力の足しにし、次はもっと安い苦力を買った。

 彼らは知力も不足していたのでフェルミやユダヤ系のシラード、アインシュタインなど二千人の物理学者を買いこんだ。

 そして彼らに原子力を使った極悪兵器を創らせた。出来上がった爆弾は広島と長崎に落として二十万人を一瞬にして殺した。

 米国は大喜びし、広島型の一千発分もの威力の水爆をビキニ環礁で爆発させたり、サンディエゴ沖で核爆雷を爆発させたり、ネバダで原子砲をぶっ放したり。一年間に九十六発も太平洋で爆発させたこともあった。

 西部劇にやたら拳銃をぶっ放す半分いかれた無頼漢が出てくる。米国の行動はそれとよく似ている。

 おかけで原子力は人類のためになる素質を持ちながら世間様にはごく悪い印象しか与えてこなかった。

 因みにノーベルが心血を注いだ「安全なゼリダナイト」も米国はいじくり回した挙句、あのプラスチック爆弾C-4を生み出した。救いがたい国民性だ。

 日本は米国という悪い環境によって歪められた原子力の本来の良さを引き出そうとしている。原発による子不ルギー自立はその最たるものだろう。

 朝日新聞のいい加減な報道に欺されて孫正義を儲けさせるよりはずっと意味深い。
                               (二〇一二年七月十二日号)



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日本は何と偉大な国だろう、大学や企業が失敗を恐れずに困難な研究開発課題に果敢に挑み(チャレンジ)、新たな成長分野を切り開いていく(イノベーション)、 新たな科学技術のシステムを始めた。政府の科学技術・イノベーション政策の司令塔である総合科学技術・革新的研究開発推進プログラム ImPACTである。


原子力発電所などで生じる放射性廃棄物の処理問題は日本のみならず世界的な問題である。現在高レベル放射性廃棄物はガラス固化し安定した大深度の地下地層に廃棄するしか選択肢がないが、根本的解決策ではない。長期間保管に不安であり後の世代に負担を強いる。

世界に先駆け有害な放射線を何十万年も出し続ける「核のごみ」などを、無害な別の物質に変えてしまう「核変換」技術を確立し、何百万年も放射能を放す物質を安定核種や短寿命核種に核変換し、廃棄物の放射能を効率良く弱めたり、パラジウムやモリブデンなどの貴重資源を採集する方法を開発することにより「核のごみ」などを無害化する研究を2014年に始めた。

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そして、理研がその第一歩として世界初の破砕反応データ取得に成功した。
要旨
理化学研究所(理研)仁科加速器研究センター櫻井RI物理研究室のワン・へ国際特別研究員、櫻井博儀主任研究員と多種粒子測定装置開発チームの大津秀暁チームリーダーらの研究チームは、理研の重イオン加速器施設「RIビームファクトリー(RIBF)[1]」を用いて、放射性廃棄物の主要な成分であるセシウム-137(137Cs、原子番号55、質量数137)とストロンチウム-90(90Sr、原子番号38、質量数90)を不安定核ビームとして取り出し、破砕反応[2]のデータ取得に世界で初めて成功しました。

原子力発電所などで生じる放射性廃棄物の処理問題は日本だけでなく、世界的な問題です。この問題を解決するためには、長寿命の放射性核種[3]を、安定核種もしくは短寿命核種に効率良く核変換し、放射能を弱める方法を開発することが必要です。そのためには、開発の基盤となる核反応データを取得することが重要です。

研究チームが着目した137Cs(半減期30.1年)と90Sr(半減期28.8年)は、熱中性子捕獲反応[4]では、核変換しにくいことが知られています。そこで核変換の反応として、陽子と重陽子[5]を照射することにより、これらの放射性核種を壊す反応(破砕反応)を考えました。しかし、137Csと90Srの破砕反応の確率やどうような核種にどれだけ変わるのか、その基礎データはありませんでした。そこで研究チームは、RIBFを用いて137Csと90Srをビームにし、陽子と重陽子を標的にして照射する「逆反応法[6]」を利用してデータを取得しました。

実験の結果、陽子や重陽子に137Csと90Srのビームを照射することで起こる破砕反応の確率は、熱中性子捕獲反応に比べて、137Csで約4倍、90Srで約100倍大きいことが分かりました。また、重陽子は陽子に比べて、破砕反応が起こる確率が約2割大きく、ビーム核種を軽い核にする能力も高いことが明らかになりました。これは、陽子だけでなく重陽子ビームを利用した方法も破砕反応法には有効だということを示しています。さらに、反応後の原子核の半減期の分布から、137Csは89%、90Srは96%の確率で安定核もしくは半減期1年以下の短寿命核に核変換されることが分かりました。今後、RIBFで多種多様な核変換データを取得し、効率の良い核変換法を模索していきます。

本研究は、文部科学省・原子力システム研究開発事業の委託費(平成25~26年度)で推進されました。成果は、欧州の科学雑誌『Physics Letters B』のオンライン版で1月11日より公開され、3月10日号に掲載されます。

背景
原子力発電所などで生じる放射性廃棄物の処理問題は日本のみならず世界的な問題です。この問題を解決するためには、放射性廃棄物に含まれる長寿命放射性核種を安定核種や短寿命核種に核変換し、廃棄物の放射能を効率良く弱める方法を開発する必要があります。

長寿命放射性核種は、ウラン燃料の中性子捕獲によって生成されるマイナーアクチノイド[7]と、ウランの核分裂よって生成される核分裂生成物に大別できます。マイナーアクチノイドについては、高速増殖炉や加速器駆動型原子炉などで得られる高速中性子を利用した核変換が長年にわたって研究されており、基礎的・系統的な反応データの蓄積があります。一方、核分裂生成物については核変換に関連する反応データはほとんど取得されておらず、放射能を効率良く弱めるための基盤開発・技術開発が進んでいません。

研究チームは、核分裂生成物の中でも大きな比重を占めるセシウム-137(137Cs、原子番号55、質量数137)とストロンチウム-90(90Sr、原子番号38、質量数90)に着目しました。これらの核種は、熱中性子の捕獲確率が小さいため、原子炉内で核変換されず放射性廃棄物として残ります。すなわち、熱中性子捕獲反応(熱中性子を利用した核変換)では効率が上がりません。そこで研究チームは137Csと90Srを核変換するための反応として、陽子や重陽子ビームをこれら核種に照射し壊す反応(破砕反応)を考えました。破砕反応は、高エネルギー陽子や重陽子ビームを壊したい核種(標的核)に衝突させ、標的核を壊し、他の軽い核種に変える反応です。137Csと90Srの場合、破砕反応の確率はほぼ原子核の大きさで決まるため、熱中性子捕獲反応による核変換の確率よりも大きいことが予想されました。しかし、これら核種の破砕反応の確率やどうような核種にどれだけ変わるのか、その基礎データはありませんでした。

研究手法と成果
研究チームは、137Csと90Srを理研の重イオン加速器施設「RIビームファクトリー(RIBF)」を用いてビームにし、陽子と重陽子を標的にして照射する「逆反応法」を使って137Csと90Srがどのような核種にどれだけ壊れるかを調べました。

まず、RIBFの超伝導リングサイクロトロン(SRC)[8]で光速の約70%(エネルギーで核子当たり345 MeV)まで加速したウラン-238(238U、原子番号92、質量数238)ビームをベリリウム標的に照射しました。その後、照射により核分裂反応で生成した137Csと90Srを超伝導RIビーム生成分離装置(BigRIPS)[9]を用いてビームとして取り出しました。取り出したビームの速さは光速の約60%(エネルギーで核子当たり186~187 MeV)で、この高速の不安定核ビームを陽子と重陽子の標的(二次標的)に照射し、反応生成物を下流のゼロ度スペクトロメータ[10]で捕らえました(図1)。

逆反応法の利点は3つあります。1つ目は、137Csと90Srの厚い標的を用意する必要がない点です。これらの核種で厚い標的を作ると放射能が高くなる問題が生じます。2つ目は、ビーム種と反応生成物を一つひとつ粒子として識別することができる点です。これにより、137Csと90Srがどのような核種にどれだけ壊れるのかを正確に調べることができます。3つ目は、陽子標的と重陽子標的の違いを調べる際に、ビームのエネルギーを揃えてデータを取得することが容易な点です。ビームのエネルギーはBigRIPSの設定で決まり、いったん設定を固定した後は、標的を変えるだけで系統的なデータを取得できます。

実験の結果、陽子や重陽子に137Csと90Srのビームを照射することで起こる破砕反応の確率は、熱中性子捕獲反応に比べて、137Csで約4倍、90Srで約100倍大きいことが分かりました(図2)。また、標的の陽子と重陽子を比較すると、破砕反応の確率は重陽子の方が約2割高く、ビーム核種を軽い核にする能力が高いことが分かりました。これは、陽子と中性子で構成される重陽子が、137Csや90Srと反応する際に陽子と中性子がバラバラに反応に関与せず同時に反応するからだと考えられます。

過去に137Csや90Srを核変換する反応として、高エネルギー陽子を利用した破砕法が考慮されたことがありましたが今回の結果で、陽子だけでなく重陽子ビームを利用した方法も有効であることが示されました。

137Csと90Srのビームを重陽子に照射した後に生成された原子核の半減期の分布を図3にまとめました。陽子に照射した後に生成された原子核の半減期の分布も、ほぼ同じようになりました。137Csでは生成された原子核の89%、90Srでは96%が安定核もしくは半減期1年以下の短寿命核です。生成された原子核の中には長寿命のセシウム-135(135Cs、質量数137、半減期200万年)とセレン-79(79Se、原子番号34、質量数79、半減期30万年)も含まれました。137Csから135Csが、90Srから79Seが生成する確率は、研究チームのデータからそれぞれ約6%、約0.1%と小さいものでした。これらの核種の半減期は、137Cs(半減期30.1年)や90Srの半減期(半減期28.8年)に比べて非常に長いため、崩壊の頻度が低く、137Csと90Srと比べると放射能にはほとんど寄与しないことが分かりました。

今後の期待
今回の実験により逆反応法を利用することでこれまで測定できなかった、長寿命放射性核種の核反応データが取得可能なことを世界に先駆けて示すことができました。この実験手法の開発が契機となり、仁科加速器研究センターは、革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)「核変換による高レベル放射性廃棄物の大幅な低減・資源化」事業に参画することになりました。今後、RIBFで多種多様な長寿命核種の核変換データを取得し、効率の良い核変換法を模索していきます。


反原発派が常にその根拠としたトイレがない家論を打ち砕く画期的な放射性廃棄物処理実験が始まった。
原発の使用済み核燃料に含まれる放射性物質に中性子をぶつけて、毒性が低い物質に変える「核変換」の研究が来年度から本格的に始まる。実用化までの道のりは30年以上と長いが、高レベル放射性廃棄物を減らす切り札として期待は大きい。(伊藤壽一郎)

                   ◇

「現代の錬金術」

 安倍政権は原発を「重要なベース電源」と位置付け、今後も活用していく方針を打ち出している。その最大の課題は昨年3月末時点で1万7千トンに達した使用済み核燃料の処分だ。

 使用済み燃料を再処理してウランやプルトニウムを回収した後に残る高レベル放射性廃棄物は、ネプツニウム237(半減期214万年)やアメリシウム243(同7370年)など、半減期が長く毒性が高い複数の元素が含まれている。これらはガラス固化体に加工して冷却後、人体への影響が低くなるまで数万年間、地下深くに貯蔵する地層処分となるが、最終処分場はまだ決まっていない。このため量を減らす方法の開発が急務になっている。

 放射能を持つ元素の原子核は、放射線を出しながら時間とともに崩壊し、自然に別の元素に変わる。核変換はこれを人工的に加速させる技術で、原子核に中性子をぶつけて核分裂を起こさせ、半減期が短く毒性が低い物質に変えていく。いわば「現代の錬金術」だ。

もんじゅ停止契機

 この研究は当初、日本原子力研究開発機構の高速増殖炉原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)が担うはずだった。核変換に必要な高速の中性子が運転時に発生するからで、長寿命の放射性元素を燃料に混ぜ、短寿命化する研究が検討されてきた。

 しかし、トラブル続きのもんじゅは運転実績がほとんどない上、機器の点検漏れなどで原子力規制委員会から無期限の運転停止を命じられている。再稼働すれば研究も進められるが、先行きは全く見えない。

 このため文部科学省の作業部会は昨年11月、原子力機構などの加速器施設「J-PARC」(茨城県東海村)に、加速器を使った核変換の実験施設を建設すべきだとする報告書をまとめた。

 総工費220億円で2015年度に着工、20年にも実験を開始する。基礎データを蓄積した後、30年ごろから実用化に向けた新施設を建設し、50年ごろから核変換を行う見通しという。

 核変換の仕組みはこうだ。長寿命の放射性元素を容器に入れて、中心部に鉛とビスマスからなる重金属の核破砕ターゲットを配置。ここに超電導加速器で光速の約90%に加速した陽子をぶつける。

 重金属から高速の中性子が飛び散るように発生し、放射性元素の原子核に衝突。核分裂が始まり、電子を放出しながら核種が変わるベータ崩壊を繰り返し、短寿命で毒性が低い物質に変わっていく。

 陽子は2年間当て続ける計画で、放射性元素は大半が短寿命化。理想的な反応が起きた部分は、放射能がない物質に変わる。

 研究を担当する同機構の大井川宏之核変換セクションリーダーは「ネプツニウム237の場合、10%未満は長寿命のまま残る可能性はあるが、多くは放射能のないルテニウム102とセシウム133に変換される」と話す。

鍵握る分別技術

 高レベル放射性廃棄物はこれまで、ひとまとめに加工してガラス固化体にされてきた。核変換を行う場合は目的の元素を取り出す分別が必要で、これが処理の効率化にもつながる。

 ルテニウムやロジウムなどの白金属は、分別により資源として再利用が可能に。ストロンチウムなどの発熱性元素を分別すれば、冷却時間や地上の保管面積、地層処分量を削減できる。この結果、高レベル廃棄物は貯蔵面積が従来の100分の1、容積が3分の1になり、貯蔵期間も約300年に短縮する。

 一方、分別は今後の技術的な課題でもある。高レベル廃棄物から目的の元素だけを抽出する実証実験はこれからで、実用化時は大規模な処理施設も求められる。また、重金属から高速の中性子を効率よく発生させるための陽子照射方法の研究も必要だ。

 大井川氏は「加速器は日本の得意分野であり、その技術を応用して課題を克服し、原子力の安全利用と廃棄物処分の効率化を目指したい」と話している。

[日本経済新聞電子版2015年6月15日配信]
有害な放射線を何十万年も出し続ける「核のごみ」などを、無害な別の物質に変えてしまう「核変換」。東京電力福島第1原子力発電所の廃炉処理にも 役立つと期待されるが、実現には大がかりな装置が欠かせないと考えられている。だが東北大学と三菱重工業が組み、核変換を簡単な装置で実現できるかもしれない研究が始まった。そのきっかけとなったのは、かつて誤りとされた「常温核融合」の研究だ。

■東北大学に研究部門を開設 三菱重工からも研究者
今年4月、全国共同利用・共同研究拠点の1つで原子核理学の研究を進める東北大電子光理学研究センターに「凝縮系核反応共同研究部門」が誕生した。セン ターと研究開発型ベンチャーのクリーンプラネット(東京・港、吉野英樹社長)が共同で設立した。原子核物理学が専門の笠木治郎太・研究教授が中心となり、 小型装置を使う低温条件での核変換技術の開発を進める。放射線が出ない水素をヘリウムに核変換したり、数十万年以上も放射線を出し続ける物質を放射線が出ない安定な物質に変えたりして熱エネルギーを取り出し、活用するのが目標だ。
常温核融合研究の成果か!

核変換の実用化までには時間がかかるが、これで反原発を叫ぶクズな左翼達の論拠が一つ消える。




























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元素周期表にアジア初、日本発の名前を書き込む」という日本の科学者の夢が、ついに叶う時がきました。理化学研究所仁科加速器研究センターの森田浩介グループディレクターを中心とする研究グループ(森田グループ)が発見した「113番元素」を、国際機関が2015年12月30日(日本時間31日早朝)、新元素であると認定しました。これに伴い、森田グループには、発見者として新元素の命名権が与えられます。欧米以外の研究者・グループに命名権が与えられるのは初めてです。
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図 3例の113番元素の崩壊連鎖
新たに発見が報告された元素を新元素と認めるかどうかの審議は、国際純正・応用化学連合(IUPAC)と国際純粋・応用物理学連合(IUPAP)が推薦する委員で組織された合同作業部会「JWP」が行います。森田グループは、2004年からこれまでに3度合成に成功した「113番元素」を新発見の元素と主張していました。一方、ロシアと米国の共同研究グループも別の手法によって113番元素を合成し、発見を主張していました。JWPは双方の研究結果が認定基準を満たしているかを審議し、森田グループが113番元素の発見者であるとIUPACに報告し、IUPACがそれを認めました。新元素名は、森田グループが提示する候補をIUPAC/IUPAPが審査し、妥当であると認めれば、約1年後に発表されます。

森田グループは、理研の重イオン加速器施設「RIビームファクトリー(RIBF)」の重イオン線形加速器を用いて、亜鉛(Zn:原子番号30)のビームをビスマス(Bi:原子番号83)に照射し、新元素の合成に挑戦してきました。2004年7月に初めて原子番号113の元素の合成に成功、その後2005年4月、さらに2012年8月と、3度合成に成功しています。

3度目の113番元素の同位体「113、質量数278」の合成を確認した際には、前の2度の合成とは異なる新しい崩壊経路をたどっていました。それまでの2度は113番元素が、連続4回のアルファ崩壊を起こし、その後2つの原子核に分裂(自発核分裂)しました。ところが、3度目の合成では、さらに2回、合計6回の連続したアルファ崩壊を確認しました。新元素の合成を証明するためには、その元素が崩壊した後、既知の原子核に到達することが重要です。森田グループは、6回のアルファ崩壊によってボーリウム、ドブニウム、ローレンシウム、メンデレビウムの既知の原子核に到達していることを観測しています。

これらによって、新元素認定で重要視される「既知の同位体への崩壊」が疑う余地なく確認されました。
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理化学研究所は31日、理研が合成した原子番号113番の元素が新元素と国際的に認定され、命名権を獲得したと正式に発表した。日本が発見した元素の名前が周期表に初めて刻まれる歴史的な快挙が確定した。

 理研本部(埼玉県和光市)で31日会見した研究チームの森田浩介グループディレクター(九州大教授)によると、同日午前5時ごろ、新元素を認定する国際純正・応用化学連合(IUPAC)からメールで認定の通知があった。

 森田氏は「うれしかった。(新元素が)周期表に載ることに感慨深いものを感じる」と喜びを語った。

 新元素の名称と元素記号を提案する権利は発見チームに与えられる。113番の発見を争ったロシアと米国の共同研究チームを退けての権利獲得で、日本の科学史に残る大きな成果となった。

 新元素の名称について森田氏は「これからチームで話し合って候補を決める」と述べるにとどめたが、日本にちなんだ「ジャポニウム」が有力とみられる。

 元素は物質を構成する基本的な粒子である原子の種類のことで、未確定を含め118番まで見つかっていた。その発見は国家の科学技術力の象徴とされ、米露欧が激しく競ってきた。アジアによる新元素の発見は初めて。

 理研は平成16年9月、森田氏らが加速器を使って30番の亜鉛を83番のビスマスに高速で衝突させ、核融合反応により113番の元素合成に成功したと発表。24年までに計3個の合成を高い信頼性で確認した。

 露米チームは2004年2月以降、露ドブナ合同原子核研究所で別の手法により合成したと発表。作った個数は数十個と多かったが、113番元素であることの確実さで理研の国際評価が上回ったもようだ。
2015年ノーベル生理学・医学賞に大村智・北里大学特別栄誉教授、ノーベル物理学賞に梶田隆章・東京大学宇宙線研究所所長が決まり、科学研究の基盤である周期表に日本の成果が刻まれることになった。

すべての物質を構成する基本要素の元素は、どのような顔ぶれなのか。世界中の科学者たちが古来、追究してきた根源的な問いだ。見つかった元素を規則的に並べ、性質が分かるようにした周期表は自然科学における知の集大成ともいえる。
元素表の発見国の国旗を貼った表を見ると英国、スウェーデン、ドイツ、フランスが目立つが第二次世界大戦以降の発見は、米国やロシア(ソ連)が独占してきたが、
その一角を日本が初めて占めることになった。

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更に我々が払った税金で運営される理化学研究所ノーベル賞に匹敵する業績を挙げた。STAP細胞の論文不正問題で信用を失った理研にとって、汚名返上の快挙だ、日本人として誇らしいと素直に喜びたい。

理研は1913年(大正2年)に高峰譲吉、渋沢栄一らが「国民科学研究所」構想を唱え、1917年(大正6年)「財団法人理化学研究所」が設立された。

今回のニュースで理研のホームページのプレスリリースを覗いてみて驚いた。
12月だけでも
2015年12月31日
113番元素の命名権獲得
60秒でわかるプレスリリース
報道発表資料

2015年12月24日
植物の耐塩性を高める化合物を発見
報道発表資料

2015年12月24日
歯の原基を操作して歯の数を増やす技術開発に成功
報道発表資料

2015年12月24日
多様な臓器のがんで異常発現するRNA群を発見
報道発表資料

2015年12月22日
テトラ中性子核を発見:中性子物質研究の本道を開拓 

2015年12月21日
CD4陽性キラーT細胞への分化機構を解明
60秒でわかるプレスリリース
報道発表資料

2015年12月18日
80年越しに見えてきた磁石・マグネタイト(Fe3O4)の本当の姿 

2015年12月18日
分子が変形する様子を2兆分の1秒刻みでコマ撮り撮影 

2015年12月18日
炎症反応を制御する新たな分子を発見
60秒でわかるプレスリリース
報道発表資料

2015年12月18日
2つのシグナル物質の使い分けによる正反対の神経制御
60秒でわかるプレスリリース
報道発表資料

2015年12月18日
肺の細胞が自ら歩いて集まる様子を撮影
報道発表資料

2015年12月15日
上皮細胞が自律的に集団で移動する仕組みの発見
報道発表資料

2015年12月10日
酸化タングステン光触媒の光キャリア超高速構造追跡に成功 

2015年12月10日
新世界ザルのコモン・マーモセットで「ミラーニューロン」を世界で初めて発見 

2015年12月9日
がんの全ゲノムシーケンス解析の新たなガイドラインを作成
報道発表資料

2015年12月8日
50テスラ超強磁場まで維持される2次元超伝導状態を発見 

2015年12月7日
マウス・ラットの肺炎病原体として新「科」微生物を命名
報道発表資料

2015年12月2日
有機薄膜太陽電池で飛躍的なエネルギー変換効率の向上が可能に 


2015年12月2日
がん細胞の運動を制御する新しい仕組みを発見
報道発表資料

2015年12月1日
より高い超伝導臨界温度を実現する物質設計に新指針
60秒でわかるプレスリリース
報道発表資料

2015年12月1日
強レーザーパルスを用いた量子状態の超高速高効率操作に成功 

驚く数の画期的研究開発が報告されています。新元素113番目理研が命名権獲得したニュースより理研が挙げている研究成果の数に驚いた。
特に2015年12月2日有機薄膜太陽電池で飛躍的なエネルギー変換効率の向上が可能に のニュースは、結構大きなニュースのように思うのだが、あまり騒がれていない。
理研のホームページは興味深くて、とても読みきれません。113番目の次にの119番目と120番目の新元素合成にチャレンジしているというのだ。
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未報告である119番を合成するには、ウランやプルトニウム(Pu 原子番号94)などを標的にし、チタン(Ti 原子番号22)やクロム(Cr 原子番号24)のビームが必要だと考えています。理研では既に119番元素以降の合成に供するGARIS-Ⅱも開発済みで、今後理研・九大をコアとした国際共同研究のもと、119番以降の新元素探索に挑戦していきます。
是非次の新元素を発見してほしいものです。

今回、新元素への命名権を日本で初めて得ましたが、実は命名したのは初めてではなかったことについても載っておりました。それは東北大学長を務めた小川正孝博士らが1908年に43番目の元素を報告し「ニッポニウム」の研究です。

1908年、小川正孝博士は原子量が約100の43番元素を精製・分離したと主張し、ニッポニウムとして発表しました。しかし他の誰も結果を再現できず、その信頼性は揺らいでいきます。それから29年後の1937年、エミリオ・セグレが米国の加速器を使って43番元素を作り出しました。ニッポニウムは幻となり、43番元素は1947年にテクネチウム(Tc)と命名されたのです。

このテクネチウムに安定元素は存在せず、ニッポニウム発見当時の技術レベルでは見つかるはずがなかったのです。小川博士の死後、研究資料を詳しく調べると、精製・分離したその物質はテクネチウムと化学的性質が似ている周期表直下の元素、レニウム(Re 原子番号75、1925年に独のワルター・ノダックらが発見)であったとのことです。1908年に小川博士が新元素を見つけていたことだけは事実でしたが非常に惜しい結果でした

ちなみに、理研の仁科芳雄博士は昭和15年、93番が存在する可能性を加速器実験で示したが検出できず、直後に米国が原子番号93のネプツニウムを発見した。
そして103番まで連続で発見発見した。米国は原子の研究はマンハッタン計画など原爆開発に直結していたため、理研の加速器は戦後、原爆製造用としてGHQによって破壊されてしまった。今回の発見は仁科博士の研究を受け継ぐチームが発見したもので、雪辱を果たした形だ。
まあ、確かに1941年春頃から、陸軍の要請で仁科研究所において原子爆弾の理論的可能性の検討に入っていたことは事実であった。

 新元素は原子核研究の一環として作られる。米国は原爆開発の技術が基礎になったのに対し、理研は平和目的で研究を進めてきた。新元素の発見は一般社会にすぐに役立つわけではないが、万物の成り立ちをひもとく普遍的な価値がある。その国が科学の高度な技術と知見を持つことの証しでもあり、誇るべき成果だ。

かつての民主党政権の蓮舫らの仕分けによってこの発見も危ういところだった。
米百俵の教えは日本人として大切にすべ教えである。教育と研究開発は国家の根幹であると思い知らされます。






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私は今年も日本人がノーベル賞を受賞して、同じ日本人として素直に嬉しいと感じます。一方で、茂木某とかいうちょっとは有名な学者さんは・・・
韓国人の慶応大准教授ジョンキムとの対談で・・・
僕は科学者ですから、ノーベル賞を取った業績の多くを愛していますが、一方でノーベル賞といっても、大したことのないものもあるわけです。だから、日本人がノーベル賞を取ったとバカみたいに騒ぐのは、ずっと不快でしてね。自分たちは何も考えていなくて、どうしてスウェーデンのストックホルムの人たちがノーベル賞だと決めたら、そんなにありがたがるのか、と。僕は中国の政府に対して決して好意的ではないけれど、劉暁波がノーベル平和賞を取ったときに、そんなこと知るかよ、と言ったのは、ある意味では爽快でした。
と発言して顰蹙をかっています。

素直に、おめでとうございますと一緒に喜ぶことが自然だとわたしは思います。
人として当たり前のことを素直に表現できない茂木某氏の脳内構造はいったいどのようなものか?ちょっと左翼脳が大きすぎるのかもしれませんね。

彼の脳の中では、本当はノーベル賞を自分も取りたい・・・けれど取れないからノーベル賞の権威を否定することで脳内の安定を保っているのでしょうね。

茂木某さんはノーベル賞に劣等感を抱くお隣の某キムチ民族と同じ精神構造かもしれませんね。

もし仮に、茂木某氏本人がノーベル賞を受賞したらご本人は冷静をよそおいつつ狂喜乱舞するであろうことも透けて見えます。でもまあ、タレント活動が忙しくって、とても受賞できるような研究などしているようには思えません。実際はわかりませんがね・・・

ノーベル賞といえば湯川博士だが、茂木某氏は湯川博士の受賞が間違いなく終戦で焼け野原になった故国に希望を与え、そして日本人を鼓舞した事実をどう彼の脳内で処理するのか?

 湯川秀樹博士は誰もが知っての通り1949年(昭和24年)日本人として初めてノーベル賞を受賞した物理学者である。当時の日本は、終戦から4年目、復興の兆しすら見えない状況が続いていた。食糧事情は改善せず、インフレ抑制の政策の反動で、デフレ不況に突入していた。物価が下落し、中小企業の倒産が相次ぎ、街には失業者が溢れていた。 湯川の受賞を報じた号外には、「われわれ日本人は、全く思いがけなかった采きと喜びを爆発させた」「科学万歳!その国際性万歳!そして文化と平和の民族万歳!」との見出しが躍っていたそうだ。

 湯川の受賞は敗戦国の国民として、ともすれば卑屈な気持ちになり、脱力感に打ちのめされていた日本人を狂喜させた。その精神を鼓舞し、博士の受賞は間違いなく日本人を鼓舞した日本再生の端緒となったと言ってもあながち間違いではかった。

 1948年、湯川博士は第二次世界大戦当時ロスアラモス国立研究所の所長としてマンハッタン計画を主導し原爆の父、オッペンハイマーからプリンストン高等研究所の客員教授として招聘を受け湯川博士は快く引き受けた。

 オッペンハイマーが湯川を招聘したのは、湯川博士の字者としての資質を評価してのことであることは言うまでもないが、湯川博士が28歳の時に投稿した「中間子論」を当時オッペンハイマーは全く評価せず、彼が査読を担当していた専門誌に湯川論文の掲戴を拒否したこととオッペンハイマーが開発した原爆が日本に投下に対する贖罪と言われている。アインシュタインも贖罪意識を持っていた

1939年ナチスが先に原爆を持つ前に原爆開発の必要性をルーズベルトに進言したのがアインシュタインであった。アインシュタインは「何も罪のない日本人を、原爆で傷つけてしまった。許してほしい」。肩を震わせながら、何度も何度もこの言葉を湯川博士に言ったと言う。

米国の科学者達の贖罪意識は間違いなく湯川博士へのノーベル賞受賞となったことは間違いないであろう。広島長崎の悲劇は、図らずも有色人種のノーベル賞受賞という扉が開いたのである。日本人がノーベル賞を貰って喜ぶ陰には、広島と長崎市民の犠牲があったということを左脳でっかちの茂木某は認識できないのであろう。

湯川博士がノーベル賞を取るまで、今の基準からすれば受賞して当然であった科学史における重用発見をした日本の大科学者達が人種差別で受賞できなかった。

イメージ 1北里柴三郎
出典
www.kitasato.ac.jp
北里柴三郎
第1回ノーベル医学・生理学賞「ジフテリアの血清療法の研究」の決定的理由となった論文の大半の研究成果をあげた人物。受賞は共同研究者だったドイツのフォン・ベーリング

北里大学と慶應義塾大学医学部の創始者である北里柴三郎が第1回ノーベル賞の最有力候補だった

ノーベル賞が創設された1901年の第1回ノーベル医学・生理学賞は、ドイツのフォン・ベーリングの頭上に輝きました。受賞理由は「ジフテリアの血清療法の研究」です。
このベーリングの業績は、北里と共同で行われた研究であり、受賞の決定的理由となった論文の大半は、実は北里のやった研究成果です
出典ノーベル賞の不思議
 


イメージ 6高峰譲吉
出典
ja.wikipedia.org

高峰譲吉
副腎皮質ホルモンを世界で始めて結晶化し、アドレナリンと名付けた。しかし、米国人のJ・アクセルロッドが、アドレナリンを脳伝達物質として理論付けノーベル賞を取ったその後、野口英世が1911年に梅毒の病原体スピロヘータを、マヒ性痴呆患者の大脳の中から発見して世界に示しました。

廃棄される家畜の内臓物を用いてアドレナリンの抽出研究をはじめ、1900年に結晶抽出に成功。世界ではじめてホルモンを抽出した例となった。アドレナリンは止血剤としてあらゆる手術に用いられ、医学の発展に大きく貢献した
出典http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AB%98%E5%B3%B0%E8%AD%B2%E5%90%89

イメージ 7野口英世
出典plaza.rakuten.co.jp

野口英世
精神病の病理を、明らかにした医学史上最初の人物

厳密な意味で、精神病を医学の対象にした最初の人物でもあるわけです

つまり、彼の業績は、精神病の病理を、明らかにした医学史上最初の成果でもあったわけです。彼もノーベル賞候補に2回推薦されますが、最終候補にも残りましたが結局、受賞には到っていません

出典ノーベル賞の不思議


イメージ 2鈴木梅太郎
出典
dictionary.goo.ne.jp

鈴木梅太郎
ビタミンB1(オリザニン)の発見者
歴史上初めてビタミン類を発見した人物
ビタミンB1(オリザニン)の発見者の鈴木梅太郎
人類を脚気(かっけ)から解放した大偉業だが、これまた米国人のC・フンクがビタミンと言い換えて発表した。

まず、日本人が名付けた名を消し、次に業績も
「米糠(こめぬか)に脚気の治癒効果がある」
と予言したオランダ人のC・エイクマンがノーベル賞を受賞した
出典ノーベル賞の不思議


イメージ 3山極勝三郎
出典
www.alpico.co.jp

山極勝三郎
人工癌研究のパイオニア
人工癌の研究以前に胃癌の発生、および肝臓細胞癌についての研究を行う
「環境、とくに繰り返される刺激がガン細胞を作る」との仮説を立て、実験を開始実に3年以上に渡って反復実験を行い、1915年ついに人工癌の発生に成功します
山極勝三郎の「コールタールによる発ガン説」に対しては、「寄生虫による発ガン説」のフィビガーがノーベル賞を受賞しています。しかも、山極勝三郎が正しく、フィビガーが間違っていたにもかかわらずです
出典ノーベル賞の不思議

イメージ 4武井武
出典
common.pref.akita.lg.jp

武井武
ビデオからステルス性能まで生み出したフェライトの父と呼ばれる
ビデオからステルス性能まで生み出したフェライトは昭和五年にTDK創姶者の武井武が発明した。

オランダのフイリップス社がこれに興味を持ちサンプルを求めてきた。
武井が親切にサンプルを送ると、同社はギャロと同じことをした。サンプルを分解し、理論を突き止めて世界に特許を申請した。
戦後、GHQの命令で日本はフィリップス社の特許を飲まされた。武井武の名は消しさられた。
さすがに同社はノーベル賞までは言い出さなかったが、それを見た仏物理学者ルイ・ネールが武井理論を自分名で出してノーベル賞を受賞した


出典 変見自在 高山正之の本は面白い16 ノーベル賞は白人が横取りする - 昭和は遠くなりにけり この国を愛し、この国を憂う がんばれ日本


イメージ 5小林六造
出典
optomo.biz

小林六造
慶応医学部の小林六造は猫の胃から螺旋菌を見つけた。あの強い胃酸の中に菌がいる。大いなる発見だが、小林はさらにその菌をウサギに接種してみた。ウサギは胃潰瘍を起こした。
彼はそれをヘリコバクタ菌と命名した。
オーストラリアのバリー・マーシャルはその螺旋菌を自らの胃に接種した。胃潰瘍が起きた。ピロリ菌の発見だ。
彼はノーベル賞を受賞したが、小林の名と業績を語ることはなかった

出典 ノーベル賞を盗み取られた日本人たち: 木漏れ日の里

このように、20世紀初頭、何故か日本人の業績は海外では認められていません。というのも、当時は現在とは比較になぬほど人種差別(いわば、白人の優越感)が強く、しかも人種差別への声もほとんど聞かれず、今日では想像も出来ませんが、それが美徳ですらあった時代でした。

つまり、ノーベル賞候補であった北里らが、遠い異国の日本人であり、文明程度の低い日本人にノーベル賞を与えるよりも、同じヨーロッパ人に受賞させたいとする人種的偏見が奥深く働いたのでしょう。

欧米人が、白人にしかできないと思い込んでいた自然科学の分野で、日本人も多くの業績を残すようになりました。この時期、自然科学を「欧米人と肩を並べて研究出来る」と確信した有色人種は日本人だけだったわけです。したがって、その後有色人種の活躍が始まるようになったのも、日本人のこの分野への貢献が大きく影響したと考えてよいでしょう。

いずれにしても、当時の感覚では、下世話に言えば「日本人は業績はいいが、顔色が悪い」ということだったのでしょう。
湯川博士が道を開いたとはいえ、2000年以前に受賞したのは、1965年朝永振一郎博士、1968年川端康成、1973年江崎玲於奈博士、1981年福井謙一博士、1987年利根川進博士他2名に留まった。

今年のノーベル平和賞は、4団体からなるチュニジアの民主化貢献団体「国民対話カルテット」が受賞した。

ノルウェーは、就任まもないオバマ米大統領(2009年)や中国の民主活動家、劉暁波(リウシアオポー)氏(2010年)、ユーロ危機に揺らぐ欧州連合(2012年)などあまりにも議論を呼ぶ受賞者選定を率いたことで知られた。オバマ大統領やEUなど、あまりのも物議をかもす受賞者を選定した選考委員会の委員長のヤーグラン元首相をクビにした結果で、本来このような団体や個人を選考すべきであった。

1974年の平和賞、佐藤栄作元首相の受賞は今でこそ厚顔無恥であると非難されているが、受賞理由の非核三原則など本人が心の奥でちゃんちゃらおかしい政治的な方便だと思っていたと思う。1974年にもしノーベル平和賞を辞退したならば、その裏にいったい何があると、政治的な極秘が露見する可能性あったと思う。それゆえ政治家として何食わぬ顔で受賞したのであろう。

だが、私は戦争をせずに沖縄を米国から返還させた政治家としての佐藤栄作はノーベル平和賞に値すると私は思っています。

もう一人の作文が書ける反日運動家の大江某のノーベル文学賞の受賞は日本人として喜べなかった。
ノーベル賞といっても、大したことのないものもあるわけです。だから、その時ばかりは、日本人がノーベル賞を取ったと左翼がバカみたいに騒ぐのは、ずっと不快でしてね。自分たちは何も考えていなくて、どうしてスウェーデンのストックホルムの人たちがノーベル賞だと決めたら、そんなにありがたがるのか、と。ねぇ茂木さん!

因みに本来1994年安部公房がノーベル文学賞の最有力候補であったのだが、直前に急死したため、日本を貶め欧米人に必死に売り込んでいた大江某が受賞した。
この時はノーベル賞の選考委員会がろくなものではないと感じた。

さて、村上春樹の受賞が今年もなかった。昨年村上春樹が逃した時に書いた記事
1968年受賞した川端康成から本当は安倍公房が受賞する予定だったが急逝してしまった為1994年受賞した某左翼作家が受賞するのに26年かかった。となると次は2020年なので、気長に待てば良いのである。よしんば、ノーベル文学賞を受賞することが出来なくとも、三島由紀夫や安倍公房、谷崎潤一郎のように、優れた日本の作家の一人として評価を得ていることで十分である。おそらく100年が過ぎても村上春樹作品は古典として残っているであろう。

ノーベル文学賞は大江健三郎が北欧へ度々出向いてはスウェーデンアカデミーに媚びるような営業行為を繰り返して受賞したように、必ずしも文学的に優れた偉大な作家が受賞するとは限らない。Wikiによれば1901年第1回の選考の際には、かの文豪トルストイが存命で、有力候補とされていたが選ばれなかった。 この選考結果に対してスウェーデン国内で一部の作家たちが抗議を行うなど世論の批判があったが、トルストイの主張する無政府主義や宗教批判が受け入れられず、結局、翌年以降も選ばれることは無かったのである。

そもそもノーベル文学賞は世界各地のペン・クラブや大学、文学者などから候補が推薦され 、これをスウェーデン学士院が選考するのだが、日本の文壇の中では村上春樹の評価は芥川賞も与えられなかったように不当に低く評価されている。村上春樹の原点がアメリカ文学(フィッツジェラルド・レイモンドチャンドラー・レイモンドカ-ヴァー)やロシア文学(カフカ・ドストエフスキー)であったせいもあるが、村上春樹作品は初めから日本の文学の本流ではなかった。本人が意識してそうしたかどうかは不明だが、最近では海外にも読者が居ることを意識した作品作りとなっていると思う。

まあ、村上春樹は暫くは万年ノーベル賞候補のままで、来年もダメだと思います。
しかしながら、欧米各国語だけでなく中国語、韓国語、ベトナム語、スペイン語、トルコ語など約50カ国語に翻訳され、世界中に何千万人もの読者を持つ村上春樹が無視されるわけにもいかず、26年周期説で、2020年頃村上春樹71歳あたりで受賞というのが私の予想です。
とはいえ、最近の村上春樹はいまひとつである。最近の村上春樹文学の方向性を見失っているようだ。1Q84以来長編小説が出ていない。それに、東日本大震災(福島第一原発の爆発事故)直後の反原発のメッセージを語った「カタルーニャ国際賞」の受賞スピーチ「非現実的な夢想家として」については強い違和感を感じる。
村上春樹には政治的メッセージは不向きだ。村上春樹は高度に発達した資本主義社会の都市生活者の物語であって、人間の「喪失感」や「疎外感」、「孤独感」、「絶望感」に共感を得る文学であって、生活感がかなり希薄な物語である。
村上春樹の魅力は「僕」を自分に重ねた世界中の若者たちのSF的異界の物語である。最近のノンフィクション的な政治的なメッセージは、「喪失感」や「孤独感」などを内に抱いて生きる若者たちのファンタジーを破壊してしまうのかもしれない。









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カラパイア

この宇宙が仮想現実である10の根拠

2014年12月06日 
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”物理的実在論”とは、我々の目の前にある物理世界が現実であり、それ単体で存在しているという考え方だ。大抵の人なら、これは自ずから明らかだと考えるだろうが、実は物理的実在論では物理上の事実を扱えないことがままある。前世紀の間に物理学がブチ当たったパラドックスは現代においても解決されないままであり、ひも理論や超対称性といった有望な理論であっても突破口は見えていない。

それとは対照的に、”量子的実在論”ならそのパラドックスを説明できる。量子もつれや重なり、ある点で崩壊する量子波は物理的にあり得ない現象だ。そのため、歴史上初めて存在しないものに関する理論が存在するものを予測するという事態が発生した。だが非現実が現実を予測するとは如何なることなのだろうか?

量子的実在論とは物理的実在論のまったく逆の考え方だ。すなわち量子的世界こそが現実であり、仮想現実としての物理世界を生み出していると解釈する。量子力学は物理次元の原因であるために、これを予測することができるのだ。

物理世界では、量子世界はあり得ないことになる。そして量子世界では、物理世界はこれが仮想現実でない限りはあり得ないことになる。ここでは、双方の立場から、物理上の問題をどのように扱っているのか覗いてみよう。

10. 宇宙に始まりがあった

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物理的実在論:
ビッグバン理論については聞いたことくらいはあるだろう。だが、もし物理的な宇宙がそこに存在するなら、その始まりは一体どのようなものだったのだろうか?完全な宇宙なら、来ることも去ることも、変化することもないはずなのだ。だが1929年に天文学者エドウィン・ハッブルが全ての銀河が我々から遠ざかっていることを発見し、140億年前にビッグバンが起きたことを示唆してしまった。また宇宙背景放射の発見によっても、その時点で宇宙が始まったのみならず、時空もまた始まったことを示していた。

しかし、何もない無から宇宙が生まれることは不可能である。これは非常に不可思議な考えであるが、今日の大部分の物理学者が信じていることだ。彼らの説明では、最初の出来事は真空で起きた量子的ゆらぎであるそうだ。だが、物質が宇宙から飛び出してくるのであれば、宇宙は何から飛び出してきたのだろう?そして、量子ゆらぎはどうやって空間を作り出し、どうやって時間は勝手に始まることができたのだろうか?

量子的実在論:
すべての仮想現実は最初の事象で起動し、ここから時空が始まる。この見解では、ビッグバンは宇宙が時空オペレーティングシステムとともに起動したときの現象である。また、量子的実在論はビッグバンが実際にはビッグリップであったことを示唆している。


9. 宇宙には速度の限界がある

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物理的実在論:
アインシュタインは我々の世界の振る舞いから、真空において光より速いものはないと結論付けた。しかし、その原因は必ずしも明らかではない。現在、光の観察の結果およびそれが単一のものであることから、光速は一定であるとされている。

しかし、「なぜもっと速く進めないのか?」という問いに対して、「不可能だから」と答えたところで納得が行くものではない。光は水やガラスの中では速度が低下する。水やガラスを光が通過する場合、それぞれが媒体ということになるが、何もない空間の場合にこれに関する説明ははない。だが波は無をどうやって振動させているのだろう?光が何もない空間を移動するための物理的根拠はなにもないのだ。

量子的実在論:
物理的世界が仮想現実であるのなら、それは情報処理の産物である。情報とは有限の集合からの選択として定義される。そのため、それを変化させる情報処理も有限であることが要求され、我々の世界も有限の割合で更新されていることになる。あるスーパーコンピューターのプロセッサーは1秒間で1京回も更新されるが、我々の宇宙が更新される速度はその1兆倍の1兆倍だ。

画像イメージには画素と更新速度があるように、この世にはプランク長とプランク時間がある。この考えにおいては、ネットワークがサイクル当たり1画素以上速く転送できないため、光速は最速だと考える。従って、光速とは空間速度と呼ばれるべきものだ。


8. 時間が伸び縮みする


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物理的実在論:
アインシュタインの双子のパラドックスでは、双子の一方がロケットに乗って光速に近い速度で移動し1年後に地球に帰還したとすると、地球に残った兄弟は80歳になっていると予測される。あり得なさそうな話だが、1970年代に実施された原子時計を載せた飛行機を飛ばした実験で、実際に時間が遅くなることが確認されている。しかし、あらゆる変化の基準である時間自体が変化するとはどういうことなのだろうか?

量子的実在論:
仮想現実は仮想時間の影響下にある。ゲーマーなら知っているように、コンピューターの負荷が大きすぎると、動作が重くなる。すなわちゲームにおける時間の流れがゆっくりになるのだ。同様に、速度や大きな質量の側で時間が遅くなるという事実は、世界が仮想現実であることを示唆している。双子のパラドックスでロケットに乗った兄弟は1歳しか年を取っていない。なぜなら全ては処理サイクルの遅れに過ぎないからだ。

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衝撃!都市伝説 ドラえもん 「セワシくん」 におけるパラドックス なぜセワシくんが存在していられるのか?

7. 空間が曲がる

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物理的実在論:
相対性理論によれば、太陽は周囲の空間を曲げることで地球を今の軌道に縛り付けている。しかし、一体どうすれば空間自体が曲がるのだろう?空間は定義上、その中で動きが発生するものとされる。ゆえに、空間が曲がるには別の空間が必要となり、またその空間も曲がるための空間が必要といった具合に、際限なく続くことになる。もし物質が無の空間に存在するのならば、その無が移動する(曲がる)ことは不可能だ。

量子的実在論:
アイドリング(待機)中のPCは実際に待機しているわけではなく、ヌルプログラムを懸命に実行している。空間についてもこれと同じである。空間にある真空が近づけられた2枚の板に圧力をかける現象をカシミール効果という。現代物理学ではどこからともなく飛び出した仮想粒子がこの原因であるとするが、量子論的実在論においては、空間は膨大な情報処理で充満しており、これがカシミール効果と同様の結果を生み出す。そして、処理ネットワークとしての空間ならば、曲がる3次元の表面を発現させることが可能だ。


6. ランダム性の存在

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物理的実在論:
量子論では、量子崩壊がランダムに起こるため、放射性原子は常に光子を発することができる。だがランダムな事象はこれまでの物理学では説明できないものだ。量子論でもまた、物理現象はランダムに起こる”波動関数の崩壊”を要求するため、あらゆる物理現象がランダムな要素を持つことになる。

この物理的な因果関係の優位性へ突きつけられた難問に対処するため、1957年にヒュー・エヴェレット3世が多世界論という理論を提唱した。ここでは、どの量子選択からも新しい宇宙が生まれるため、無数にある宇宙のどこかであらゆる選択肢が起きていると説明している。これは例えば、朝食にトーストを食べたとしても、どこかにご飯を食べた宇宙が存在するというものである。SFのような話だが、今日の物理学者はランダム性という大問題を回避するために、この理論を好んで使っている。

量子的実在論:
オンラインゲームのプロセッサーがランダムな数値を発生することができるように、我々の世界もまたそれが可能である。したがって、量子現象がランダムに起こるのは、我々からはアクセスできないクライアントサーバーが関連しているからだ。量子的ランダム性はつかみ所のない話だが、生物進化における遺伝的ランダム性と同じ役割を、物質の進化において果たしている。


5. 反物質の発生

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物理的実在論:
反物質とは、電子、陽子、中性子に相当するが、反対の電荷と性質をもった反粒子によって組成される物質である。我々の宇宙では、正電荷を持つ原子核の周囲を負電荷の電子が回っている。反物質宇宙においては、負電荷の原子核の周囲を正電荷の電子が回っている。もし物質と反物質が接触した場合、どちらも消滅すると考えられている。

反物質の存在は、ポール・ディラックの等式から予測されていたが、物質を消滅させる何らかの現象が起こりうる理由は不明であった。ファインマン・ダイアグラムによる電子が反電子と接触したときの説明では、衝突する反電子の時間が遡っている!この等式は非常に役立つものであるが、それが示唆することはまったくナンセンスであり、物理学の因果関係を損なっている。現代物理学において、反物質は最も不可解な発見なのだ。

量子的実在論:
物質が情報処理の結果であり、情報処理が数値配列を定めるのならば、そうした数値は逆数としても存在し得る。この視点からは、反物質は情報処理が行われた帰結として、不可避な副産物である。時間が物質にとって将来への情報処理サイクルの完了であるならば、反物質にとっては過去へのサイクルの完了を意味しており、論理的には時間が反対に流れることになる。物質が反対の性質を獲得できるのは、それを作り出す情報処理が反転可能だからである。同じ理由で反時間も起こり得る。こうした反対の性質を獲得できるのは仮想時間だけだ。
Antimatter Explained

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ブルーバックス『宇宙になぜ我々が存在するのか』村山先生の最新作!

4. 二重スリット実験

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物理的実在論:
200年以上も前、トマス・ヤングはいまだに物理学者を悩ませている実験を行った。彼はスリットが入れられた2枚の板に光を通過させて、スクリーン状に干渉パターンを映し出した。これが可能となるのは光が波である場合のみであるため、光子は波であるはずである。しかし、光は、光子が粒子でなければ起こりえないはずのスクリーンの一点にも映し出される。

物理学者による実験は進められ、今度は1個の光子を同時にスリットに通してみた。1個の光子は予測通り1つの点を残したが、点が集まるにつれ、たちまち干渉パターンを残すようになったのだ。それぞれの光子が前の光子の命中地点を知っているわけがない。であるなら、なぜこのようなパターンが現れるのだろうか?スリットの片方、または両方に検出器を設置し光子の経路を確認してみると、光子は常にスリットの一方のみを通過しており、同時に通過した形跡はなかった。不可思議なことであるが、光子は観察しているときは粒子となり、していないときは波となるのだ。現代物理学では、これを粒子と波動の二重性の謎と呼び、未解決のまま残されている。

量子的実在論:
量子論は2つのスリットを通過し、干渉し、スクリーンの1点で崩壊する仮想の波動を用いて、ヤングの実験を説明する。光子プログラムはネットワーク上で波のように現象を広め、接続ポイントがオーバーロードし、リブートした時点で粒子であるかのごとく再起動する。我々が物理現実と呼ぶものは再起動が繰り返されたものなのだと考えれば、量子波も量子崩壊も説明することができる。

Double Slit Experiment explained! by Jim Al-Khalili
Double Slit Experiment explained! by Jim Al-Khalili


2重スリットの実験

3. 暗黒エネルギーと暗黒物質

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物理的実在論:
現代物理学は、目に見える物質の5倍もの量の物質が宇宙に存在するとしている。これを暗黒物質という。これは銀河の中心に位置するブラックホールの周囲にあるハローとして検出することができる。星々が持つ重力以上に互いをつなぎ止めることができるのは暗黒物質のおかげであるが、光で検出できないために物質ではなく、ガンマ線の痕跡がないため反物質ではなく、重力レンズが存在しないためブラックホールではない。しかし、これがなければ銀河の星々はバラバラに散ってしまうのだ。

暗黒物質を説明するために、WIMPという仮想の粒子が提唱されたが、まだ発見されていない。さらに宇宙の70パーセントが暗黒物質でできているというが、これについても説明することができない。暗黒エネルギーは一種の反重力であり、弱いながらも普く働いている。物質を押し離す効果を持つため、宇宙の拡大は加速する。これには長い間それほど変化が見られないが、それならば拡大する宇宙を漂う何かが徐々に弱まっているはずなのだ。もし、それが宇宙の性質であるなら、宇宙が膨張するにつれて増大しなければならない。これに対する明確な答えは存在しない。

量子的実在論:
もし何もない空間がヌル処理であるなら、無とは言えない。そして、もし宇宙が膨張しているのならば、それは新しい宇宙が常に追加され続けているということだ。新規処理ポイントは、その定義上、入力を受けても、最初のサイクルでは何も出力しない。何も放出せずに吸収するこれは、暗黒エネルギーと呼ばれるものが持つ負の効果とまったく同じだ。仮に新たな宇宙が安定した割合で追加されるとすれば、その効果が時間経過によって変化することはない。そのため、暗黒エネルギーは宇宙の絶え間ない創造を起因とする。

このモデルはブラックホールの周囲を照らす暗黒物質にも適用できる。そこにハローが出現するのは、ブラックホールに接近し過ぎた光がそこに引き込まれ、離れた光ならばその軌道から逃れることができるためだ。量子的実在論の予測では、暗黒物質と暗黒エネルギーを説明できる粒子が発見されることはない。


2. 電子トンネル

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物理的実在論:
我々の世界では、電子は貫通不能なはずのガウス場の外に突然飛び出すことができる。これは密封されたガラス壜に入れられたコインが突然外に抜け出すようなものだ。純粋な物理世界ではこのようなことは起こりえない。しかし我々の世界では起こりえる

量子的実在論:
量子論では時折、電子が上記のように振る舞うことを要求する。なぜなら、量子波は物理的な障害があっても広がり、電子はそこにある任意の点でランダムに崩壊するからである。それぞれの崩壊は、我々が物理現実と呼ぶ映画の1コマであり、次の1コマが決まっているのではない限り、確率に応じてランダムに発生する。つまり、貫通不可能な場を通過する電子トンネルは、映画の登場人物が室内から外に出るシーンをカットしてしまったようなものだ。

奇妙に思うかもしれないが、ある状態から別の状態へのテレポートは、あらゆる量子物質が移動する方法そのものだ。我々は物理世界が観測無しでも存在すると思っているが、量子論の観察者効果は、ゲーム内の環境のように、そこに視線を向けた瞬間に現れることを示唆している。ボーム解釈では、幽霊のような量子波が電子を導くが、本理論では電子がその幽霊のような波なのだ。量子的実在論では、量子世界こそが現実であり、物理世界はその産物であると捉えることで、量子パラドックスを解決する。

How Quantum Tunneling Works - by Ivar Giaever
How Quantum Tunneling Works - by Ivar Giaever

量子論  「 光より早いもの」

1. 量子のもつれ

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物理的実在論:
仮にセシウム原子が反対方向に2つの光子を放出したとして、一方が上方向にスピンし、他方が下方向へスピンしているとすると、これを量子論は”もつれた”と表現する。しかし、一方がランダムに上方スピンした場合、他方はどうやって下方スピンすべきことを一瞬で、それも距離を無視して知ることができるのだろうか?この検証実験はかつてないほどの細心の注意を払って実施されたものであったが、やはり量子論が正しかった。もつれ状態にある1つの光子を観察することは、もう一方に逆スピンを引き起こす。しかも、それが光速によっても即座に到達できないほど離れていたとしてもだ。そのようなことは物理的には不可能だ。

量子的実在論:
この見方では、プログラムが結合し、2点で同時に実行された場合に2つの光子がもつれると考える。一方のプログラムが上にスピンするものであれば、他方は下にスピンする。また、これは2点の画素がどこにあろうとも実行できる。いずれかの画素における物理現象がいずれかのプログラムをランダムに再起動すると、残りの逆スピンコードが別の画素で実施される。このコードの再配分が距離を無視できるのは、見かけ上は距離があるように見えても、プロセッサーは画素を変化させるために、わざわざそこまで手を伸ばす必要がないからである。

物理学の標準モデルには61個の基本粒子が含まれる。もしこれが機械であれば、点灯するために24個のノブが必要になる。また16種類の個別の”電荷”によって14個の仮想粒子を作るために5つの目に見えない場を要求する。この全てに完全性を予測するかもしれないが、標準モデルでは重力、陽子の安定性、反物質、クォーク電荷、ニュートリノ質量またはスピン、インフレーション、ファミリー世代、量子ランダム性などを説明することができない。全てが致命的な問題である。宇宙の大部分を構成する暗黒エネルギーや暗黒物質を説明できる粒子は存在しないのだ。
Quantum Entanglement Animated                                              Quantum Entanglement Animated                              
量子と超能力

量子的実在論は量子論の等式を1つのネットワークとプログラムによって再解釈したものだ。これが前提とするのは、物理世界は情報処理出力であり、本当の世界が別の場所にあると言う仮説だ。物理世界のリバースエンジニアリングは、物質は固定された量子波として光から進化したものであると示唆している。そして、ここから真空の光が衝突することで物質が作り出されると予測する。それとは対照的に、標準モデルでは光子は衝突できないと説明している。もし真空の光のみでも衝突し物質を生み出すのならば、粒子モデルは情報処理に基づく理論によって塗り替えられるだろう。

via:listverse・原文翻訳:hiroching

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我思う、ゆえに我在りCogito, ergo sum(コーギトー・エルゴー・スム、cogito = 私は思う、ergo = それゆえに、sum = 私はある)

誰でも知っているデカルトの有名な言葉。

たとえば、目の前にある世界は、本物だろうか?いやいや、これは幻なのかもしれない。夢なのかもしれない。映画マトリックスの世界観もこのデカルト的発想でつくられた。


今、見ているものは、実際には存在しないのかもしれない。これが夢、幻じゃないと、どうやって証明できるだろう。昔哲学者は考え、科学者達も、もしかしたら今体感している世界は仮想現実かもしれないと考えている。もしかしたら、神様呼ばれる人の夢の中かもしれない・・・・

科学や数学が論理的と思っていたが量子論が登場すると論理的におかしなことが起きても、それをおかしい言えなくなる。「絶対的に正しい」と宣言できるものは 何もない。

デカルトは、全てを疑った。疑って、疑って、疑い続け、それでも正しいといえるものは何かを根気強く考え続けた。そしてある日、天啓のような考えがひらめく。

「我々が認識するものは、すべて嘘かもしれない。 でも、それを疑い続けているものがいるということだけは真」であると。

たとえ、すべてが夢であっても、その夢を見て、夢じゃないかと疑っている自分が存在することは決して疑えない。この世のすべてが、信じられないものであろうとも、
それを「疑っている何者かが存在すること」は、絶対的な真実なのだ。あらゆることを疑っている主体である自我の存在は疑いえない。

でも、その自我すら創造主の仮想現実である可能性は否定できない。

仏教においては色即是空、仏教においてブッダは「群盲象を撫でる」という喩えで説明している。「ある王様が象を飼っていて、それを目の不自由な人たちに触らせませした。頭を触った人は「象は甕のようなものだ」、鼻を触った人は長い「轅(かなえ)のようなものだ」、耳を触った人は「笊(ざる)のようなものだ」、足を触った人は「柱のようなものだ」と言い出し、「私が正しい、お前は間違っている」と喧嘩になってしまいました」。
 これは直接には、インドの他の宗教家たちの問題点についての喩えです。彼らは思索や瞑想などによって宗教体験をし、これこそが真理だ、これが悟りだ、と考え、「私は真理を悟っている。お前は間違っている」と論争していました。

 象の頭を触って、それが固くて大きく、甕のようだと感じることは、間違いではありません。しかしだからといって、「象は甕のようなものだ」と結論づけたら、見当違いですよね? 宗教家たちが何らかの神秘的な体験をしたのは本当だったのでしょう。彼らの間違いは、そこから「これこそが真理だ」という結論を導き出したことにありました。

 これは、この宇宙の存在を考えることにも当てはまります。私たちは、物理学や量子論の断片しか知らないのです。宇宙のすべてを知っていると思い込むことが傲慢なのかもしれません。

仏教でも般若心境において色即是空は、疑っている何者は実在ではないというさらに深い、その主体が捉えた世界(=色)は実在のありよう(=空)そのものであるという主張であり、デカルトよりも相当突っ込んだことを主張しています。

空は無ではなく、空とは、実在の「ありよう」を表現した言葉です。分かりやすく言うと、この宇宙には境界線は実在しないかもしれない。

従って、宇宙はつながったかたちで一つを形成しており、「一つであり同時にすべてである」というありようをしている、それが空だそうなのだが、宇宙はひとつながりなので、そこには宇宙以外のもの、つまり自我は存在しない。

私たちが、境界線が実在しないことに気づけば、宇宙は空としての姿を見せるということであり、その時、人は色とまったく同じ宇宙を見ながらも、それを空として受け取るのです。人は自我ではなく、その人はその時、自分は宇宙であり、宇宙だけが実在するということに気づいているのです。

数学、例えばユークリッド幾何学だけをとれば完璧であり、数学こそこの世の真理かもしれません。象の頭を触って甕のように感じた、だから象は甕のようなものだ、と言っているのとまったく同じです。

仏教では、無明真理に暗いこと、智慧の光に照らされていない状態)が苦を作り出す、と説く。この宇宙がどのようになっているかについて人類は、まだほんの一部を知ったに過ぎないのだろう。我々は 群盲象を撫ずの群盲にすぎないことを認識すべきだろう。

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福島県双葉町が小学館に抗議文「美味しんぼ」で風評被害    【スポニチ】[ 2014年5月7日 20:51 ]

小学館の漫画誌「週刊ビッグコミックスピリッツ」の28日発売号に掲載された人気漫画「美味しんぼ」の中に、東京電力福島第1原発を訪れた主人公らが原因不明の鼻血を出す場面があった件で、福島県双葉町が同社への抗議を発表した。

掲載されたストーリーは、主人公の新聞記者たちが同原発の取材後に鼻血が出たり、ひどい疲労感に襲われたりする描写の後、福島県双葉町の前町長が「福島では同じ症状の人が大勢いますよ」と明かすという設定。主人公を診察した医師は「福島の放射線とこの鼻血とは関連づける医学的知見がありません」と指摘する。

これを受け双葉町は「双葉町は、福島第一原子力発電所の所在町であり、故直後から全町避難を強いられておりますが、現在、原因不明の鼻血等の症状を町役場に訴える町民が大勢いるという事実はありません」と説明。28日に同誌が発売されてから町役場に対し県外から「福島県には住めない、福島方面への旅行は中止したい」などの電話が寄せられているという。

「福島県全体にとって許しがたい風評被害を生じさせているほか、双葉町民のみならず福島県民への差別を助長させることになると強く危惧しております」と怒りをにじませ、「双葉町に事前の取材が全くなく、一方的な見解のみを掲載した、今般の小学館の対応について、町として厳重に抗議します」と締めた。

「美味しんぼ」は何も証明していない             池田信夫】2014年05月13日22:52

「美味しんぼ」が問題になっているが、率直にいって大騒ぎするような話ではない。そもそも単なる漫画であり、フィクションである。作者は「鼻血の原因は放射能だ」と思っているらしいが、この漫画は彼の思い込みを証明していない。

彼は何か誤解しているようだが、mSv程度の低線量被曝で鼻血が出ることはありえない。プロメテウスの罠」のデマについて書いたように、原爆などで一挙に数Sv以上の致死量の放射線を浴びた場合は、幹細胞が死んで血球の減少や下痢、血便などが起こることがあるが、この場合はほぼ即死だ。3年もたってから鼻血が出たとすれば、それは放射線とはまったく無関係である。
かりに放射線で鼻血が出ることがあるとしても、1例の鼻血からいえることは何もない。それは岩上安身氏の「お待たせしました。福島の新生児の中から、先天的な異常を抱えて生まれて来たケースについてスペシャルリポート&インタビューします」という「スクープ」が、何の証拠にもならなかったのと同じだ。原発事故で奇形児が生まれるかどうかは、統計的に有意かどうかで決まるので、1例からは何もいえない。

…といってもわからない人がいるので説明しておくと、たとえば「タバコを吸うと癌が増える」というのは統計的に有意な命題である。武田邦彦氏のような頭のおかしい人物以外には、それを否定する人はいない。次の図のように吸う人の発癌率は、明らかに吸わない人より高いからだ。

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これは国立がん研究センターが9万人を10年追跡して、吸う人と吸わない人を比較した疫学調査である。喫煙者が1人、肺癌で死んでも、その原因がタバコとは断定できないが、無関係だとはいえない。生物学的には因果関係があるからだ。タバコのリスク(確率的な期待値)は大きい。あなたがタバコを吸っている男性だと、癌になる確率は64%も上がる。

このように統計的に考えると、福島で1例の鼻血が見つかっても、因果関係については何もいえない。被災地で統計的に有意に鼻血が増えた場合には関係があるといえるが、そういうデータが出る確率はゼロである。低線量被曝で鼻血が起こる生物学的メカニズムが存在しないからだ。

今回の騒動は「反原発派は確率も統計も理解していない」という反原発派の第1法則の一例である。これは全称命題なので一つでも反証がみつかると否定されるのだが、不幸なことに今のところ、この法則の例外を見たことがない。

美味しんぼ 雁屋哲の鼻血は完全なるデマだった!最新話がひどすぎる!

雁屋哲が書いている漫画「美味しんぼ」の反原発プロパガンダが目に余る。
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この捻くれた顔こそが、彼の性根を表している。大人の顔は人生の履歴を表しているのだ。

言論、表現、報道の自由は相当の対価を払っても守らなければならないが、彼のくだらない信条から発する嘘は規制すべきだ。

この男がやっていることは表現活動ではなく科学的事実に反する風評被害を起こす犯罪行為である。

年間100mSv以下ではどんな反原発学者に聞いても人体に全く影響がない。

漫画のように鼻血が出るような被曝はチェルノブイリ原発事故直後のような、1000mSvを超える放射線を浴びない限りありえない。

問題場面の鼻血の原因で、考えられるのは、白血病になるほど大量被曝し、血小
板が減少した場合だ。福島の安全基準値である年間20mSvでは、体の防御機構が働くので、遺伝子の切断が増えることはない。危険性が出てくるのは、100mSvからです。年間20mSv程度では白血病にはならない。

福島県双葉町の前町長・井戸川克隆が作中に実名で登場、「私も鼻血が出ます。福島では同じ症状の人が大勢いますよ。言わないだけです」 「私が思うに、福島に鼻血が出たり、ひどい疲労感で苦しむ人が大勢いるのは、被ぱくしたからですよ」「今の福島に住んではいけない」と、地域も限定せず、一括りに福島は人が住めないところと断言しと語る部分は問題である。

DNAは放射線で多少の損失を受けても、修復作用があり、間に合わないほど傷ついた場合は、細胞が癌化しないよう自死することが明らかになっている。それらを
口にせず、古い知識で恐怖を煽るのはいかがなものか。



イメージ 4

放射線医学総合研究所 の早見表を見てもらえばわかるが、日本の1に当たりの自然放射線は2.1mSvで、100mSv以下では医学的に放射線による人体への悪影響はまったく報告されていない。

福島原発事故で福島に住んで一番被曝した人で23~24mSvに過ぎず一回行っただけで人体に影響を及ぼすことなどまったくありえない。500mSvで100人に1人位が血小板が減少し鼻血が出やすくなるが、1000mSvを越えなければ放射線が原因で鼻血などでない。

福島県の調べによると被曝検査をうけた一般市民は大勢いるが、原発事故の放射線によって死亡した人どころか治療を受けた人すらいない。

ところが無理やりの避難で死亡した災害関連死したかたは複数いらっしゃるが、これは原発による問題ではない。

イメージ 5
ネット上で出回っている山本太郎の鼻血写真はコラ(コラージュ合成写真)らしいのだが、これと同じで、元双葉町町長の鼻血は福島原発事故となんら因果関係がない。

「美味しんぼ」は、一見科学的な事実のように見せながら、実は科学的根拠も全く無い個人的意見や体験を事実のように見せかけた「プロパガンダ」で、悪意がある。

明らかに福島の風評被害を助長する犯罪行為「風説の流布」である。


1830年代に世界で最も進んでいた米国の民主主義を学んでくるようにフランス政府から命じられた当時26歳の天才的な思想家アレクシ・ド・トクヴィルは、近代民主主義と切っても切り離せない自由とその質が、「国家の品格」に及ぼす影響について調べて米国民主主義の自由への執着の強さに驚いた彼は、知識の氾濫と行過ぎた報道の自由は、人並み優れた教育と知力に恵まれた人々が二つの道の中から、責任ある知的人物グループ (真の知的エリート)の仲間に入り、社会が直面する困難で重要な諸問題の解決策を捜し求める道か、知力を使って金儲けに走る道のどちらかを選択するようになると警告した。

日本では「知」を金儲けや自己の権威づけに利用する人々を「学商」、政治的権限や利嫌の拡大に使う人を「政商」と呼ぶ造語があるくらいだから、トクヴィルの予見は今の日本にも通ずる。

さしずめ、東京大学で量子力学を専攻した「美味しんぼ」の原作者の雁屋 哲氏は「学商」、東京工業大学理学部応用物理学科を卒業し、専門家より「原発」に精通していると自負する菅直人元首相は「政商」に当たるのであろう。

トクヴィルはまた、最近の日本の世相を当時から予見していたとさえ思える「質の悪い報道の自由の氾濫は、賢人の判断が無知な者の偏見よりも下位に置かれる社会を生み、民主主義の破壊に繋がる」と言う警告も発している。

彼が米国各地を視察した後に、31歳で書いた名著『アメリカの民主主義』の中で「アメリカの民主制度は、識者 (インテリ)とメディアの質が劣化すると(1)世論による専制政治 (2)多数派による暴政 (3)知的自由の欠如 といった形で悪化し、その結果政権の評判は落ち、政治家の資質や学問も最低のレベルに落ち、アメリカの民主制度は崩壊する危険がある」と、今から180年も前から、現在の米国の世相を正確に予知した識見には舌を巻くしかない。
日本において戦後東京裁判史観を忠実に守ってきた大手マスコミ、知を己の権威付けしてきた進歩的文化人、学商の類いが跳梁跋扈 していました。ベルリンの壁が崩壊後左翼言論人が勢いを失い、失職した奴等が活路を求めたのが環境問題であり反原発運動なのである。日本のマスコミは左翼側にある程度加担してきたが、リーマンショック後増長する中国韓国のおかげで、日本の世論は正常に戻りつつある。東京裁判史観が圧倒的に支配していた時代と異なり、最近は以前では考えられなかった嫌韓特集が売れ、日本のマスコミは舵を大きく右に切り日本は正常化しつつある。

そんななかで、小学館とあろうものが反日左翼漫画家雁屋哲の暴走を許したのか?

吉報!美味しんぼ休載!
当然糾弾されてしかるべきだ!

小学館「批判受け止める」美味しんぼ騒動                                    【スポニチ】[ 2014年5月16日20時3分 ]

東京電力福島第1原発事故による健康影響の描写が議論を呼んだ漫画「美味(おい)しんぼ」を連載する小学館の「週刊ビッグコミックスピリッツ」の最新号が、「批判を真摯(しんし)に受け止め、表現のあり方について今一度見直す」とする編集部の見解を掲載していることが16日、分かった。福島県の自治体や有識者の賛否両論を載せた特集も組んだ。

19日発売の最新号では「編集部の見解」を表明し、残留放射性物質や低線量被ばくの影響についてあらためて問題提起するために作品を掲載したと説明した。

さらに放射線の専門家や地元自治体などから寄せられた「事実と異なる」との批判や、「事実を大切にし、きちんとした視点の企画」と支持する識者の意見などを、特集記事として10ページにわたって載せた。

「美味しんぼ」は次号からしばらく休載するとしたが、編集部によると休載は以前から決まっていたという。

最新号の漫画は、主人公らが、福島県飯舘村から北海道に移住し畜産を行う男性らを訪ねる内容。主人公が「福島の未来は日本の未来だ。これからの日本を考えるのに、まず福島が前提になる」と語る場面などがある。

「美味しんぼ」をめぐっては、4月28日発売号で、主人公が福島第1原発を訪れた後、鼻血を流す場面について、福島県双葉町や大阪市などが「風評被害を助長する」などと抗議文を提出、閣僚からも批判が上がった。

原作者の雁屋哲さんはブログで「福島を2年かけて取材をして、しっかりとすくい取った真実をありのままに書くことがどうして批判されなければならないのか分からない」と反論していた。(共同)
当然の結果である。糾弾されてしかるべきである。雁屋哲は原発を批判したのではなく福島を誹謗しているのである。作品は、福島で頑張っている人たちを冒涜するもので、福島県民への差別を助長する犯罪行為だ。福島は原発で受けたダメージより風評被害の方が大きい。

私の知り合いの知的なご婦人でさえ、私がいかに福島産の食材が科学的に安全なのか説いても小学生の子供がいる彼女は福島産食材を避けている。彼女曰く「主人と私と義母さんだけだったら福島産で構わないんだけど・・・」という。彼女の行動を私は批判するが、母親である彼女の子供を思う心を批判することはできない。彼女に福島産食材を避けさせているのは、反原発派が撒き散らす放射能以上の害毒である風評だ。雁屋哲はじめ反原発派は、幼子を持つ親や、お嫁に行けないのではと怯える福島県の娘さんたちの心を踏みにじっている。

小学館ビッグコミックスピリッツ編集部は1980年の創刊より数々の名作を輩出した、柴門ふみ、「東京ラブストーリー」「あすなろ白書」「同・級・生」高橋留美子「めぞん一刻」、江川達也「東京大学物語」、浦沢直樹「YAWARA!」「20世紀少年」、吉田戦車、松本大洋「鉄コン筋クリート」「ピンポン」、花沢健吾などの豪華作家陣による作品は、次々とテレビドラマ化、テレビアニメ化、映画化され、世の中の注目を集め今年で30周年を迎える。その黎明期からスピリッツを支えた漫画が「美味しんぼ」であったが、最近はコミックの部数が低迷していて、コミックスを出す度に大幅な赤字がスピリッツ編集部に累積していた。そんななかで誰も雁屋哲に文句を言えない状態なかったことが、今回の事件の背景があると言う。
編集部は今回で打ち切りが予定していたというなら、今回の騒動はある程度予想しており、騒動が持ち上がったら「美味しんぼ」を打切ることを予定していたのであろう。連載休止の絶好の口実となったようだ。

犯罪的偏執に凝り固まる雁屋哲と双葉町の前町長・井戸川克隆は風説を流布する犯罪者である。そして、反原発派は福島の復興を妨害する日本の癌である !!!

日本の癌には放射線治療するしかないな!(笑)

5/31追記
漫画「美味しんぼ」による風評被害に、自民党が本格的に取り組み始めた。30日の党環境部会では、福島第1原発に近い福島県相馬地方(相馬市、南相馬市、新地町、飯舘村)で行われた「住民の健康状態に関するアンケート結果」が公表されたが、2011年3月の原発事故の前後で「鼻血の症状」に関する変化はほぼなかったのだ。同部会長の片山さつき参院議員を直撃した。

「部会では、漫画の中で『私も鼻血が出る』と語っていた井戸川克隆元双葉町長に党本部に来ていただき、意見を聞くべきだ、との意見も出ましたが、それよりも、もっと包括的データが大事だと考えました」

片山氏はこう語った。

注目のアンケートは、「相馬地方市町村会」と「相馬郡医師会」に、「事故前と比較して鼻血が出るようになったという症状を訴えた人がいたか」と聞いたもの。

相馬地方市町村会では、11年度に計8695人、12年度に計1万1710人、13年度に計1万1705人の健康診断を行ったが、「鼻血が出るようになった」と回答した人はゼロだった。

相馬郡医師会には医療機関66カ所があるが、「鼻血の症状を訴えた」と回答したのは南相馬市の3カ所(5・8%)。聞き取り調査に、「11年度のみ1人。気になる程度」(内科)、「検診も受けており心配のない患者だった」(内科)、「若干増えているように思う。高齢者の受診者が増えたためと考える」(耳鼻科)と回答した。

市町村会でも、医師会でも、血小板が減少して内出血する「血小板減少性紫斑病」と診断した患者はゼロだった。

片山氏は「申告件数を比較しても、事故後に鼻血が急増したとはいえない。専門家によると、鼻血が出るほどの健康被害が出るには、一度に1000ミリシーベルト以上被ばくしなければならない。相馬郡の線量はそれには届かないし、もっと第1原発に近い双葉町などは(民主党政権下で)全町民が早い時期に避難した」という。

しかし、「鼻血騒動」は風評被害を生みだしている。震災から3年が過ぎ、やっと福島県への観光客数が回復し始めたのに、県内の温泉地などでキャンセルが相次いでいるという。

片山氏は「心ない風評は、復興に頑張っている人の心をくじいてしまう。私たちは与党として正確な情報を入手し、国民のみなさんに真実を知らせる義務がある。安倍晋三首相からも『積極的な情報戦略で反転攻勢してほしい』と電話をいただいた」と語る。

党環境部会では今後も、地元の医療機関や医師から意見を聴き、客観的データを集めて、国内外に発信していくという。 (ジャーナリスト・安積明子)
反原発派というのは日本を貶めることが正義だという人なのだと思う。
そういう人種は雁屋哲のように少しばかり学歴があるが頭が悪い人達に多い。

「美味しんぼ雁屋哲は日本が大嫌い」より 抜粋
「雁屋氏は、八八年からオーストラリアに住んでいます。当時小学生だった双子の長男、長女を含む四人のお子さんの教育のために、オーストラリアに移住されたんです。今はオーストラリアが六割、取材や仕事のために日本で過ごすのが四割くらいでしょうか」

 雁屋氏は自著「シドニー子育て記」(○八年刊)の中で、良い学校を出て良い会社に入ることが良いこととされる〈日本の主流を占める価値観が気に入らない〉とし、〈子供たちを日本の教育体制からひっぺがすことにした〉と綴っている。

 雁屋氏はどのようにしてそうした考えを持つようになったのか。

学生時代から「天皇制反対」

 雁屋氏は一九四一年に北京で生まれ、終戦後、日本に引き揚げてきて東京で育つ。都立小山台高校から二浪して東京大学に進学。教養学部基礎科学科で量子力学を専攻した。卒業後、電通に就職するも四年足らずで退社。以後、漫画原作者として活躍してきた。

 学生時代の知人が言う。 「彼は思い込みの激しい男。全共闘世代だけど、ゲバ棒を持って死を賭して活動するタイプじゃなかったな。卒業後は賢く大手企業の電通に就職し、そこでバイトしていた女性と結婚したんだ。電通の中でゲバ棒持ってデモをやり、四年足らずでクビになったと聞いたことがあるけど、恰好を付ける奴だから、冗談か本当か分からない。昔から、芥川賞を取るんだとよく言っていた。

『天皇制反対』も昔から言っていたけど、当時は体制に反発することが正義だったから」 そんな雁屋氏が原作を書いた作品の一つが、「週刊金曜日」で連載された「日本人と天皇」(○○年刊)だ。帯には「近代天皇制の毒は強烈だ」とある。主人公の大学サッカー部主将が、日の丸、君が代に反対したことから大学サッカー界を追放されそうになり、そこから天皇制について学んでいく体裁を取っている。 雁屋氏の考えは「あとがき」に詳しい。日く、〈どうして日本人と生まれたら、天皇のくびきにつながれなければならないのか〉、〈天皇制がある限り、上下関係の締め付けと組織による抑圧は解消しない。道理も正義も通らない〉、〈若い人たちが天皇制と闘って、日本の社会を正気に戻すのに役立つことを願っている〉。

 五月十七日、小学館の周りには右派系市民団体の幹部ら、五十人ほどが日の丸を持って集まっていた。
 「福島にちょっと行ったら鼻血が出たって、そんなわけあるかい!」
 「雁屋哲は、日本が嫌で嫌でシドニーに逃げた反日極左だ!」 などと過激なシュプレヒコールを一方的に叫び続けていた。

現場にいた公安関係者が語る。 「今回のデモは『鼻血騒動』の一件を利用して、雁屋氏の反日姿勢をとにかく批判したいという連中が集まった印象でした」 

天皇制廃止論者の雁屋氏だが、小学館関係者は、「むしろ雁屋氏こそが”天皇”だ」と自嘲気味に言う。
 「雁屋さんは自分がおかしいと思ったことには絶対に自説を曲げないし、異論を許さない。以前、捕鯨問題の作品を書かれた時も、編集部的にはちょっとどうかという懸念がありましたが、結局、本人に押し切られたそうです。編集部が内容に意見すると、『じゃあ、辞める』『俺は降りるから』などと開き直るんです。こうした振る舞いが通る背景には、小学館の現副社長で、スピリッツ初代編集長の白井勝也氏の存在がある。雁屋さんが新人の頃からの二人の蜜月関係もあって、これまで数々の暴走も許されてきた」(なお、白井氏は、「私が雁屋さんの後ろ盾になるような関係はない」と否定した)

 八三年の連載開始当初から、「美味しんぼ」は様々な問題提起をし、時に物議を醸してきた。大メーカー製造の醤油や日本酒、味噌をこき下ろし、メーカー側から苦情が来たのは有名た話だ。八八年には当時大ヒットしていた「アサヒスーパードライ」は味の抜け
「裸の王様」だと批判。九九年には、日本のウイスキーは酒税法の関係で混ぜものを入れていて本物じゃいなどと糾弾し、サントリーが抗議した。

 批判には常に理路整然と徹底反論するのが雁屋流であり、その反諭に説得力があるケースもある。また、タブーを恐れず様々な業界に切り込むことで、作品が面白くなるのであれば、漫画原作者として非難されるべき筋合いでもないだろう。

ただ、行き過ぎも多い。00年には、乳幼児にハチミツや半熟卵を離乳食として与えることを推奨し、ボツリヌス菌やアレルギーの危険性を指摘された。この時は誤りを認め、単行本への作品収録を見送っている。

福島第一原発事故不運が重なって発生してしまった。
しかし、福島原発事故を大災害にしてしまったのは、この雁屋哲のような中途半端な
反日主義者が、己の正義を振り回し、彼らが撒き散らす風説の方が放射能より福島の人々を苦しめていることだ。

この、美味しんぼの作者雁屋哲の正体は、自己中心的な偏った人物であることを暴いた文春の記事は今回の騒動の本質が見える気がします。

わたしは今のところ原子力発電は日本にとって必要であり原発再稼働すべきだという意見ですが、雁屋哲に限らず私と意見が異なる人々は原発単体でしか見ていない。日本の経済やエネルギー政策、人類がこれから経験するかもしれない気候変動などを総合的に勘案すると、原発は無くてはならないのである。

原発による健康被害や、原発事故後の教訓を生かすには、雁屋哲のように非科学的な風説の類ほど害になるものはない。必要なのは冷静な判断と、最悪を想定したシュミレーションだ。重要な事は国民に知らせるなと言う政府やそれに同調するマスコミは確かに問題であるが、原発災害の最大の元凶は雁屋哲をはじめとする日本を貶めようとする人々=反原発派=反天皇派ではなかろうか?


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小泉純一郎ら、にわか脱原発論者によって、2月10日東京都知事選の結果、脱原発運動の火は消されるだろう。

18000名の死者行方不明者をだした3.11からまもなく3年が経つ。地震と津波が原因で起きた福島第一原子力発電所の放射能漏れ事故では、今も約5万人の福島県民が県外で避難生活を送る。

原発事故は起きたが、直接放射能障害での死者はゼロ、未だ汚染水問題は解決していないが、昨年9月にまとめられた国の対策案では国が前面に出て、必要な対策を実行し、予防的かつ重層的に、抜本的な対策を講じはじめた。 だが、脱原発派が垂れ流す風評被害は収まらず、福島は未だ復興途上にある。

2月10日東京都知事選挙である。昨年、フィンランドの核廃棄物最終処分場の視察をきっかけに元総理大臣小泉純一郎は「原発ゼロ」を10月の記者クラブで会見し、マスメディア、そして自民党に一撃を加えることに成功した。


そしてまるで待っていたかのように猪瀬知事が政治資金問題で辞職すると、隠居老人細川護煕元首相を都知事候補を推した。だが、小泉の真の目的は安倍政権へのいやがらせであって、脱原発は郵政民営化とおなじく、小泉の政局のおもちゃにすぎない。細川の出馬は「小泉が細川という刺客を放った」という認識が一般的だろう。

脱原発を都知事選挙の争点としてしまったが、残念ながら「原発ゼロ」というイシューは他の都政に関わる問題となんらリンクしていない。都民として関心のあるのは、やはりオリンピックとか、待機児童ゼロとか、福祉とか、教育とかになる。それが国のエネルギー政策の根本的問題である原発問題とどう繋がるのか???。だから、脱原発を争点として持って行くにはかなり無理がある。

小沢一郎、嘉田由紀子、菅直人……。東日本大震災と福島第一原発事故以後、さまざまな選挙で「反原発を掲げた政治家」たちが脱原発を唱えて選挙を戦った。だが彼らに風は吹かなかった。脱原発ブームに便乗しただけだと有権者に見透かされた。2012年衆院選の福島選挙区で原発推進の自民党が5選挙区のうち4選挙区で圧勝した。今回も2月10日、無党派層は動かず、投票率は上がらず、結果として脱原発候補である細川と宇都宮が落選し、人間的に問題がある舛添が楽勝するという「何事もなかった都知事選」が繰り広げられることになる。

都知事選の結果、脱/反原発運動は民意によって否定されるという結果となる。皮肉なもので、都知事選で脱原発候補の細川、宇都宮候補が落選することで、むしろ原発再稼働をしやすい環境が整う結果となる。脱/反原発運動をしている愚か者たちにとっては、なんとも皮肉にもブームとしての脱原発運動は終焉となる可能性が非常に高い。脱原発運動はより過激な反原発運動として一部の過激派くずれのライフワークになりさがるであろう。

この3年間わたしは反/脱原発派を批判しつづけた。私のブログには「反原発の空気」に揺り動かされた方々が私に挑んできたが、ことごとく感情論で議論がかみ合うことは無かった。

日本では原発について冷静で建設的な議論を十分にできる土壌が無い。感情論による反原発運動は、必然的に運動の「セクト化」に陥り、反/脱原発のセクト同士互いを罵る悪循環に陥っている。党派対立やセクト化から国民的運動が分裂するのは、学生運動や今回の脱原発運動が初めてではない。

2012年夏に国会周辺で行われた大飯原発の再稼働反対デモには、一時15万人が集まった。反/脱原発運動が何万人をデモに参加しようと、あくまでもコップの中の嵐にすぎないその後、毎週行われる国会周辺デモの参加者は時間とともに減り続け、反/脱原発運動は一種の麻疹(はしか)であったかのように低調になっている。

運動が低調になると反原発主義の狂信者は反原発運動にのめり込み「純化」し、「先鋭化」する。先鋭化すればするほど、脱原発で十分な一般市民との距離は広がり、裾野も狭まる。純化と同時に、「セクト化」も進んでいる。都知事選で反/脱発派が候補を一本化できなかったのが何よりの証拠だ。

例えば、反/脱原発運動でも「緩やかな脱原発を行い再生可能エネルギーに緩やかに転換すべし」と主張する脱原発セクトに対し、即時撤廃を主張する反原発セクトは「隠れ推進派」のレッテルを貼って攻撃する。反原発バカ山本太郎は「脱原発だけどTPP(環太平洋経済連携協定)賛成というのは嘘つき」と言い、反原発運動を煽動する京都大学の原子炉実験所小出助教授「原発はTPP、戦争、沖縄間題すべてにつながっている」と主張。即時廃炉以外はすべて原発推進派だ、と主張する。

だが、反原発派の急先鋒であるはずの小出は「疫学調査を経ないまま、『福島でこんな障害が』とすべて被曝に結び付けるでたらめも多い」と福島第一原発事故以降、非科学的で差別的な言論がネットに満ちあふれたと、自分より急進的反原発セクトを攻撃する。

これはで全共闘運動や連合赤軍と同じく最後は内ゲバ化するだろう。かつて反原発運動の中心世代である団塊老人たちが若かりし頃、革命を夢見ながら、セクト化し内部分裂と暴力で崩壊していった、かつての全共闘/連合赤軍/新左翼運動と同じである。馬鹿は死ななきゃ治らない(爆)。

また、主婦層の脱原発主義者たちは所詮女性特有の危機防御本能に従っただけだ。危険が起こった時にはまず自分と子供を守る、猿から人間になってもこの本能が発動するは当然なのであまり批判したくはないが、冷静な私からすればややもすると滑稽にしか見えない。この母性による本能があったおかげで人類は生き残ってこれたのだが、国家の命運を左右するエネルギー問題を感情で反対する人達とは成熟した議論をできるわけがない。

小出助教授あたりは、雑誌記事で小出助教授は「反原発運動は戦争状態が続いている」と発言している。なんでも原発の即時廃絶を求める自分に対して政府や財界、メディアが一体となった「原子炉マフィア」が小出助教授を包囲網を張っていると言うのである。小出助教授らが行っている反原発運動は一種の宗教運動に近い。この宗教活動はごく普通の常識を備えた日本人一人一人の集合的無意識とかなりかけ離れている。その為反原発運動をしている人達には四方八方から、誰かが指示されているかのごとく絶えず嫌がらせを受けてしまう。大多数の日本人は日本教徒であり異教徒を嫌うのである。小出助教授はあきらかに反原発教という異教徒であるがゆえ、周囲と軋轢を生む、これがあたかもありもしない「原子炉マフィア」という怪物が存在し、日本人の言論を統制していると妄想してしまうのである。「原子炉マフィア」とか「原子炉村」は小出助教授ら反原発派の妄想の産物である。

わたしも東電や政府からお金を貰っているからこういった意見を書いているのではない。私に備わった、日本人としての無意識(心)が反/脱原発派に違和感を感じるが故、こういった意見を述べさせていただいているのである。でも、もし、「原子炉マフィア」が存在していて私にお金をくれるのなら喜んで貰います!・・・原子炉マフィアの皆さん宜しくお願いします(笑)。

最後に小泉が訪問して原発に対する考え方を改めたフィンランドオンカロ廃棄物地下処理施設について東京都の有権者の方々に読んでほしいことがある。
小泉と反/脱原発派のオンカロについての勘違いについて書いておきたい。

フィンランド南西部のオンカロは18億年前から変動していないとされる地下500mの地盤に建設された核廃棄物地下処理施設だ。

「放射性廃棄物の無害化には10万~25万年かかるとされ、その頃には恐らく人類は死滅している。だから原発計両はそもそも破綻している」「日本にはオンカロのような地盤の土地は無い」だから脱原発だと小泉は言う。さらに、「原発ゼロという方針を政治が出せば、必ず知恵ある人がいい案を作ってくれる」と、小泉は昨年発言している。なんという似非脱原発主義者であろうか!

「オンカロ」を建設したフィンランドの国民は反/脱原発ではない。ロシアから地政学的干渉を受けてきたフィンランドは、ロシアからの電力輸入をゼロにしたい。さらに国民は原発より地球温暖化のほうが環境にとって脅威だと考えている。その結果、原発と自然エネルギーの両方を同時に増やす、というのエネルギー政策を国民全体が議論を重ねた上で選択したのである。フィンランドのオンカロは脱原発ではなく、地球環境を考えた上での原発推進の象徴なのである。

福島第一原発事故は、地震国である日本に原発を立地するリスクを再確認させた。「100%の絶対的安令」は存在しない。もちろん、「100%の絶対的危険」もあり得ない。日本はより安全な原発を作り運営し、世界に安全な原発を広めるべきである。


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東京都知事選に細川護煕・元首相が立候補したことで、安倍晋三政権の動揺につながるリスクが浮上してきた。都知事選が原発政策を対立軸にした選挙となれば、安倍政権の掲げる原発再稼動政策が変更に追い込まれる可能性がある。

昨年11月の日本の経常収支(貿易収支+所得収支)は5928億円の赤字になり、これは2ヶ月連続で過去最大である。貿易収支は1兆2929億円の赤字で、すでに17ヶ月連続の赤字だ。このままでは貿易赤字はさらに拡大し、経常収支の赤字も続くおそれが強い。経常収支が赤字になると財政赤字が維持できなくなるおそれが強い。
貿易赤字の根本原因は過去の円高時代に日本企業が研究開発や投資をすることが困難となって国際競争力が低下してしまったことだが、最大の要因は原発停止による化石燃料の輸入増である。経済産業省によれば、2013年度に電力9社が払う燃料費は、10年度と比べて3兆6000億円増える見通しだ。これは税金と同じで、その負担は消費税の1.5%に相当し、GDP(国内総生産)を0.5%以上さげる。
国益だけでなく、国民一人一人の利益にも大きく反している。 日本が原発停止を続ける事で、化石燃料の需給が逼迫し、燃料費の高騰を招いている。電気代の値上がりは家計を直撃しているし、あらゆる事業の利益を減少させている。
アベノミクスの背骨とも言える円安進行による経済活性化のルートも、エネルギー輸入額増大から貿易赤字の拡大を招き、想定外の円安加速や長期金利上昇など副作用が今後表面化することも予想される。
 安倍首相が記者会見して「定期検査の終わった原発は運転を許可する」と会見するだけでよいのだ、法律も閣議決定も必要ない。2011年5月に菅首相(当時)が記者会見で原発を違法に止めたのと逆のことをするだけだ。違法行為を撤回するのに法律は必要ない。
細川元首相が、都知事に立候補した。その出馬表明会見は、不合理的だ。
東京には原発もなく、都知事がエネルギー政策に関与できるわけもない。
本気で脱原発をするのであれば、細川元首相は国政に復帰するのが筋だが、都知事に立候補してどうしようというのか?

小泉が郵政選挙の際に大衆を煽動して選挙に大勝したように、細川と小泉が原発=電力会社というスケープゴートを仕立てて単純な勧善懲悪による腐った「正義」を演じようというとしている。郵政選挙の二匹目のドジョウを狙う汚いやり方だ。

ヒトラーはユダヤ人をスケープゴートにしたが、反原発運動はそれを原発=電力会社に入れ替えただけだ。結論は最初から決まっているので、論理は必要ない。小泉の「最終処理場が見つからないから原発ゼロ」などという話はすべて単純な錯覚で、論理的には成り立たない。今回の「東京が原発なしでやるという姿を見せれば、必ず日本を変えることができる」という彼の話は、もはや論理的ではない。細川は小泉による安倍潰しの為の刺客でもあるので、東京オリンピックを経済成長の推進力にしようアベノミクスの成長戦略との関連で期待されているが、東京都の国家戦略特区構想の推進も停滞する可能性もある。

驚くことに、細川元首相は2020年東京五輪の辞退を主張していた。ジャーナリストの池上彰氏のインタビューに対し、「安倍(晋三首相)さんが『オリンピックは原発問題があるから辞退する』と言ったら、日本に対する世界の評価は、格段に違った」と発言していたのだ。

原子力のリスクはゼロではないし、ゼロにする必要もない。中国のPM2.5汚染をみてもわかるように、石炭の大気汚染や採掘事故で死んでいる人は、全世界で年間1万人以上いると推定される。地球温暖化も考えると、原発のリスクは火力より小さいというのが、IEA(国際エネルギー機関)やOECD(経済協力開発機構)などの見解である。

原発は地球温暖化の「解決策」となるのか
reuters】2014年 01月 14日 13:08

[10日 ロイター] - By Richard Schiffman

米航空宇宙局(NASA)ゴダード宇宙科学研究所の前所長で気候科学者のジェイムズ・ハンセン氏らは昨年12月、気候変動に関する新たな研究報告書を発表した。その内容は極めて物議を醸すものだった。

先に発表された「国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の報告書にあるように、各国は産業革命前からの気温上昇を2度未満に抑えることで合意している。だが同氏らは、地球への長期にわたる回復不可能なダメージを防ぐには、これではまだ不十分だと指摘している。

ハンセン氏はさらに、太陽光発電や風力発電といったグリーンエネルギーだけでは、温室効果ガスの排出を十分に削減することは不可能だと主張する。

そして、新世代の原子炉を建設する必要があると結論付けている。ハンセン氏の見方によれば、原子力エネルギーだけで、この先何十年分もの「クリーン」な電力を生産することが可能だという。

いくつかの理由から、ハンセン氏の主張は論議を呼びそうだ。第1に、放射性廃棄物をどう処理するかといった問題がいまだに解決されていないこと。第2に、プルトニウムが核兵器製造に利用される可能性があること。第3に、福島第1原子力発電所の事故以降の世界では、原発が人口密集地付近や地震などの災害が起きやすい地域に建設されても十分に安全性を保てるかどうかに疑問も残る。

しかし同氏は、不慮の事故が起きる可能性を考慮しても、原子力エネルギーは石炭を燃料とする火力発電よりはるかに害を及ぼさないと反論。火力発電所から大気中に飛散した微粒子を原因とする肺や心臓疾患で、米国では毎年数万人が死亡していると説明する(中国などでは、その数は数十万人に上る)。

他の環境問題の専門家たちも大気に害を及ぼさないという原子力の利点は認めつつも、慎重な姿勢は崩さない。自然資源防衛協議会(NRDC)のラルフ・カバナー氏は、安全面での懸念はさておき、原子力発電はまったく費用効率が悪いと指摘する。

原子力発電が盛んな国は現在、フランス、ロシア、中国のわずか3カ国。フランスでは、フランス電力公社(EDF) が電力の70%を原子力発電で生み出している。

ハンセン氏によると、電力はドイツよりもフランスの方がかなり安い。その理由について、フランスの電力は大半が原子力エネルギーによるものである一方、ドイツのそれは再生可能エネルギーだからだとし、フランスに倣うべきだと語った。

ハンセン氏は一体型高速炉(IFR)に期待を寄せているようだ。しかし、第4世代にあたるこの原子炉はまだ建設されていない。あまりに巨額の費用がかかるためとみられる。だがもし完成すれば、同氏によると、現在のものよりもはるかに安全であり、現在使用されている原子炉から生み出される副生成物を燃料として稼働できる。また、燃料の99%が燃焼可能で、ほとんど有毒廃棄物を出さないという。

だが、電力会社を動かすほど建設コストが下がるまでには、相当な研究開発費を要するだろう。科学分野への財政支出や業界の研究予算が削られている時代に、その費用がどこから来るかも疑問だ。安価な天然ガスが生産コストをこれまでになく押し下げるなか、電力業界には扱いにくい新たなテクノロジーを開発する動機はほとんどないと言っていいだろう。

それでも、ハンセン氏は希望に満ちている。米国政府に対し、中国と協力して原発を建設するよう促してもいる。同氏によると、米国は原子力発電の技術開発で中国に手を貸さないのであれば、中国は自分たちでそれを行い、2つの残念な結果がもたらされることになるという。1つは、開発が遅れ、その間に多くの石炭が使用されること。そしてもう1つは、原子力テクノロジーの分野を中国が米国に取って代わり、リードするようになることだ。

「クリーン」な原子力エネルギーが地球を救う一助となり得ると、ハンセン氏は環境問題専門家の一部を納得させることができるかもしれない。しかし、原子力発電がコスト削減になると電力会社を説得することはできないだろう。そして差し当たり、電力会社の意見の方が物を言うのである。
 金属燃料は、熱を伝え易いという燃料の原点とも言える基本的な特性があり、混合酸化物燃料よりも数十倍も熱を伝えやすい。このことは、原子炉の固有の安全性を向上させることになる。また、金属燃料を用いれば、高温冶金法あるいは乾式再処理法と呼ばれる乾式再処理技術が適用できる。金属燃料に乾式再処理技術適用する核燃料サイクルを金属燃料サイクル(MFC: 図2 )と呼んでいる。乾式再処理では500℃程度の高温での操業技術の確立が不可欠ではある。成功すれば設備・機器の削減によるプロセスの簡素化や施設の大幅な小型化が図れると考えられるので、現在の高速増殖炉の湿式再処理を凌ぐ経済性が達成できることが期待されている。さらに、発電プラントと再処理施設を同一のサイトに建設するシステムが可能となれば、プルトニウム燃料の輸送が無くなるなどのメリットも考えられる。この考え方を導入したのがIFR(一体型高速炉:タンク型)であり、特に米国においてこの研究が進められてきた。
IFR炉概念で採用した金属燃料高速増殖炉の固有の安全特性は、1986年にアルゴンヌ国立研究所の金属燃料を用いる高速実験炉EBR-2(出力20MW)で行われた試験により実証された。この実証試験においては、万一、何らかの原因で冷却系のポンプが停止し、さらに制御棒が挿入出来ないような場合(スクラム失敗)に対しても、燃料の破損は無く、原子炉は安全に停止できること、即ち固有の安全性が高いことが実証された( 図3 )。その後、このIFR炉概念はGE社の小型モジュラー標準化型炉PRISM( 図4 )に採用され、DOE(エネルギー省)のIFRを含むALMR(Advanced Liquid Metal Reactor)計画として開発

2009年当時の鳩山首相が国連本部で開かれた気候変動首脳会合で、「二酸化炭素(CO2)をはじめとする温室効果ガスを、2020年までに1990年比で25%削減する」と演説してしまった。その後3.11が発生し原発が停止しCOP19で、2020年度の温室効果ガスの排出削減目標として「05年度比3.8%減」から大きな後退だが、不可抗力による変更だと、今のところなんとか理解してもらった。だがCOP19で日本は格好の攻撃対象となった。
図に乗った中国は「日本が悪い見本になってしまったことに多くの国がフラストレーションを感じている」と述べ、「中国が先進国と同じような約束をするのは正しくない」と言ってのけ、日本をだしにCO2の垂れ流しを正当化してしまった。日本のエネルギー行政のぶれが、中国という問題国家に隙を与えてしまった。その報いで中国はPM2.5による深刻な大気汚染をもたらした。国際エネルギー機関(IEA)によると、中国の2010年のCO2排出量は約72億トンと、日本の約6倍で世界一。今後も経済成長に伴い排出増は続く見通しで、温暖化に対する相当の責任がある。
 環境保全には原発が一番だ。核のゴミだって、一カ所に固めて置いとけば何の問題も無い。CO2や火力発電所の燃えカスみたいに、微粒子になって全地球に広がったりはしない。
適切に管理された原発は安全であるし、管理された核のゴミに害は無い。小泉は最終処分場がないとの理由で、反原発をかかげているが、宇宙エレベーターが数十年後完成すれば核廃棄物の宇宙廃棄が可能と思います。福島原発事故程の大災害でさえ、死者すら出ない程の安全さなのだ。福島原発事故の被害の大半は風評と、それが齎したパニックによるものだ。

酷いデマである。非常に高い放射線量を浴びると、被ばくの症状として、鼻血が出たり倦怠感に襲われたりするとは報じられている。福島民報の2012年4月22日付記事によると、放射線医療の専門家は、500ミリシーベルトから1シーベルトの放射線を浴びると、このような「急性放射線症」の症状が出るとした。しかし、福島の人たちはそれほどの放射線を浴びておらず、鼻血もそれが原因ではない。被ばく量の測定結果なども示さずに根拠のないことを言うのは無責任ではないかという声が上がっており、鼻血は興奮して血圧が上がったからでは、疲労は恐怖感が続いたのが原因ではないか、といった指摘もあった。また、海産物の多くが食べられなくなるとの主張には、根拠も示さないでは風評被害につながる、福島の人たちに失礼ではないか?
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