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プロローグ:【2025年5月改訂版】を更新にあたり、

2025年5月8日歴史的第4.5世代機同士の歴史的「目視外戦闘(BVR)」空戦 カシミール空中戦が発生した。両国の第4.5世代戦闘機約125機が互いに領空を越えることなく、1時間以上にわたり長距離空対空ミサイルによる戦闘を繰り広げたと報じられている。中国製J-10戦闘機が中国製PL-15AAMでフランス製ラファール戦闘機を戦闘機を撃破したかもしれない事もさることながら今後の「目視外戦闘 BVRBeyond-visual-range )」がいかに行われるか示唆が多かった。第4.5世代以上の戦闘機同士の戦いはカシミール空中戦では自国領内に留まった戦闘機から長距離AAMを撃ち合いとなったがある程度予想されていたことだったがこれほど極端とは思わなかった。

その中で注目されたのが、BVR製「PL-15」の最大射程145km~200kmとされる驚異的射程である。中国はその上位の「PL-21」に至っては300km~400kmである。ロシアも「R-37M」などで射程300kmを超えるとされ、超長距離空対空ミサイルの時代はすでに到来している。米国が開発中のAIM-260 JATM(Joint Advanced Tactical Missile)と並び、SM-6(RIM-174B)艦対空ミサイルの空中発射型AIM-174B(射程240km~300km)「超長距離AAM時代」の象徴的兵器といえる。

ロシアのR-37Mも射程300km以上とされ、現代の空対空戦闘は「誰が先に撃てるか」という"長槍の時代"に突入している。

筆者が思うに、カシミール空戦はBVR空戦の第一段階にすぎないようなきがします。第二段階では、長距離からのAWACS撃墜戦になると思います。
PL-15長距離AAMはいまのところマッハ4ですが200kmの距離から発射すればおおよそ2分半急降下等の回避行動が可能である。長距離AAMは今後長射程化するとともに、マッハ4からマッハ6とか7の極超音速化するであろう、同時に、無人ステルス機が肉薄してAAMを放ってAWACS機を無力化する戦いになると思う。

そうなると、AWACS機に護衛無人戦闘機をつけるか、
AWACS機自らステルス化したうえでAWACS機に自衛用にレーザービームを搭載する動きになるだろう。だが最終的にAWACS機は戦時使用できなくなり地上/艦船のレーダードローンや戦闘機のレーダーと衛星によるネットワークでAWACSの穴を補完するトレンドにな?だろう。まさに時代はGCAPのデビューを待つかのようだ。


とこがだ!GCAPは2022年プロジェクトが
スタートした後の2023年3月31日、防衛装備庁は「2023年に予定された試射をもって、JNAAMプログラムは終了する」と発表した。しかし、その理由は明かされていない。GCAPが日英伊共同であるから日英共同新型空対空ミサイルJNAAMプログラムを終了し、しかもその理由は明かされていないのはどう米国への「政治的配慮」もしくは「政治的圧力」の匂いを感じざるを得ない。
JNAAM(Joint New Air-to-Air Missile)の開発中止は、単なる技術的・予算的な理由ではなく、日米防衛協力の新たな枠組みと、米国防衛産業の製造能力の低下を補完する日本の製造業の役割という、複雑な政治的配慮が背景にある可能性が高い。GCAPプロジェクトスタートの水面下では日米英伊の間で政治的駆け引き密約の闇が存在することは想像がつく。

GCAPはJNAAMではなく米国のAIM-260(射程200kmマッハ5)に切り替える密約が日米英であったとしか思えない。
だが、5月8日 
歴史的「目視外戦闘(BVR)」空戦 カシミール空中戦が発生したことにより理由は明かさないまま日英共同新型空対空ミサイルJNAAMプログラムを終了ししたままにできなくなったであろう!GCAPの長距離AAMをどうするのか、SM-6(RIM-174B)艦対空ミサイルの空中発射型AIM-174B(射程240km~300km)にするのかAIM-260(240km~300km)を射程300km~500km?へ更に改良するのか、JNAAMプログラムを再始動しさらに高度化長距離化(射程300km~500km?)して量産するのかいずれリークがあるであろう。

グローバル・コンバット・エア・プログラム(GCP)は、2030年代半ばに実戦配備予定の、日英共同開発の次世代ジェット戦闘機を指す、あまりキャッチーではない名称です。名称は新しいものの、その歴史は、参加国による長年にわたる開発努力の賜物です。日本はFX開発に、そしてイギリスはチーム・テンペスト開発に尽力しました。
イタリアもこの計画に加わっています。対等なパートナーと謳われていますが、実際には規模は小さいです。このビデオでは、この突如生まれたプロジェクトの地政学と国内政治について解説します。どのような数の機体が見られるのでしょうか?機体はどこでどのように運用されるのでしょうか?そして、G-CAPはどのような種類の機体になるのでしょうか?英国と日本は10年以上にわたり、次世代のジェット戦闘機の可能性を検討してきたが日英の新戦闘機の配備次期も重なり:双発・長航続距離・大型ミサイル搭載GCAPは、コストと技術を共有することで、より低コストで、より効率的な方法で、より優れた戦闘機を提供する。・マルチロール・高ステルス。F-35やユーロファイターを超える性能、特にセンサーとネットワーク能力という要求性能も一致。日英伊による第6世代戦闘機開発計画として。日本のF-Xと英国のテンペスト計画が合流しGCAP(グローバル戦闘航空プログラム)はスターとしました。最後までスウェーデンも参加する見込みでしたが、2023年に参加見送ってしまいました。

 日本は過去に米国と開発協力したが、ソースコードなどの技術共有が拒否されたため、今回は英国と対等な関係で開発。輸出面でも日欧で市場分担するが
フランス・ドイツ・スペインのプロジェクト「FCAS(Future Combat Air System)」よりはぎくしゃくはしていないものの日英伊がどこをどのように分担するのか、決まっていないのでスケジュール通り2035年に間に合うのか・・・未だ余談出来ない。
目次
プロローグ:【2025年5月改訂版】を更新にあたり
5.8カシミール空戦の戦訓
序章:GCAP/F-3戦闘機とは何か
第1章:GCAP/F-3開発状況と最新情報 ― ファンボロー航空ショーで見えた進化
第2章:開発背景と設計思想 ― 臥薪嘗胆から捲土重来GCAP/F3へ
第3章:技術的革新と運用能力 ― 第6世代への飛躍
第4章 随伴無人機「ロイヤルウイング」と統合戦能力

次ページ
第5章 次期戦闘機GCAP/F-3輸出解禁 ─ 兵器輸出の戦略的役割と日本の国益への貢献
第6章 日英伊共同開発GCAPF3烈風とテンペストの将来装備
第7章: 将来装備 ― 電磁パルス兵器、レーザー兵器、新型中距離空対空誘導弾
第8章:GCAP運用シナリオと戦術的展開 ― マルチロール機としての運用
第9章:GCAPの目を創る ― 日本が主導する未来型AESAレーダーとその核心技術れるか?
第10章:国家技術力の象徴としてのGCAP ― 新世界秩序と日本の立ち位置の変化、米戦闘機にとってかわれるか?第11章:まとめ:GCAPは「令和の烈風」となり得るか?

改定中

防衛省・自衛隊防衛省・自衛隊】次期戦闘機の開発について

日本語ではこの動画が一番詳しかった↓

序章:GCAP/F-3戦闘機とは何か

日本、イギリス、イタリアの三カ国が共同で進める**GCAP(Global Combat Air Programme)**は、世界に誇るべき次世代戦闘機開発プロジェクトである。このGCAPにおいて、日本が担当する機体が通称「F-3」だ。

このF-3は、従来の第5世代戦闘機を凌駕する第6世代戦闘機として設計され、ステルス性能、ネットワーク連携、無人機随伴運用、さらには将来的なレーザー兵器搭載を視野に入れている。GCAPは、単なる戦闘機開発に留まらず、国防、産業、外交戦略を一体化する国家的な超プロジェクトなのだ。


イギリスは、2018年7月に発表した国防省の「戦闘航空戦略」において、将来戦闘航空システムの一環として、2030年代後半から退役が予定されているユーロファイター タイフーンの後継機(BAE システムズ・テンペスト)の開発を決定した。

日本は、2018年に策定した中期防衛力整備計画(31中期防)でF-2戦闘機の後継として日本主導の戦闘機開発を決定、2020年に三菱重工が開発主体に選定されF-X計画を始動させた。2020年12月、防衛省は技術開発を支援する海外企業として、アメリカ合衆国のロッキード・マーティンを選定する方針を示したが、 2022年5月、開発支援企業を英国のBAEシステムズへ変更する意向が明らかにされた。

共同開発計画

開発コストを削減する手段として、両方の戦闘機プロジェクト(F2後継計画とテンペスト計画)を統合する議論は、早くも2017年から始まっていた。 2022年7月19日、イギリス政府は日本とイタリアと次期戦闘機の開発で協力を強化すると発表。2022年8月14日、日本の複数の政府関係者も、日英の次期戦闘機開発計画を統合し共通機体を開発する方向で最終調整に入ったと明らかにした。9月には、BAEシステムズ・テンペストの開発計画でイギリスと協力関係にあり、F-35を運用するイタリアの参加が検討されていると報じられた。

2022年12月9日、日英伊政府は、グローバル戦闘航空プログラム(GCAP)というプロジェクトの名のもとに、日本の次期戦闘機開発計画と英伊で進行中であったBAE システムズ・テンペスト開発計画を統合し、共通の戦闘機を共同開発し配備することを発表した。

第1章:GCAP/F-3開発状況と最新情報 ― ファンボロー航空ショーで見えた進化


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F-47 画像元
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ロッキード F-104 スターファイター(第2世代)~ マクドネル F-4 ファントムII(第3世代)~  F-15 イーグル(第4世代)ゼネラル・ダイナミクス F-16 ファイティングファルコンE/F(第4.5世代)ロッキード・マーティンF-22 ラプター ロッキード・マーティン F-35 ライトニングII(第5世代)とアメリカは西側戦闘機市場を独占してきた。3月21日 トランプ大統領は第6世代戦闘機としてボーイング社が空軍の次世代戦闘機F47を製造 すると発表しました。

第5世代戦闘機F-35は世界中で採用されたが、最新型F-47(仮称)については、「モンキーモデル(性能劣化版)」しか他国に供給しない方針を公式に打ち出した。この動きに、米国製戦闘機に依存し支配されきった同盟国の中で強い失望と危機感が広がっている。

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FCAS 画像元

こうした情勢を背景に、GCAPプロジェクトに対し、新たな関心を寄せる国が続出している。
具体的には、カナダ、オーストラリアが参加に強い関心を示し、さらに、フランス・ドイツ・スペインという、元々別プロジェクト「FCAS(Future Combat Air System)」に参加していた国々までもが、方針転換を検討しているとの報道も出始めた。以前から参加希望を表明していたサウジアラビアも流動的だが
GCAPプロジェクトに加わる動きが進んでいる。


つまり、GCAPは単なる「日英伊三国開発」に留まらず、西側世界共通の次世代戦闘機に進化する可能性が出てきたのである日英伊3カ国による次世代戦闘機開発計画「GCAP(Global Combat Air Programme)」は、着実にその歩みを進めている。

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F-47 画像元

第二次世界大戦後米国が事実上西側諸国の次世代戦闘機市場を独占していたが、米国は最新鋭機「F-47」の開発を進めるが、同盟国には「モンキーモデル(輸出劣化版)」しか提供しない方針を明確化した。これにより、日本・イギリス・イタリアによる独自の戦闘機開発プロジェクト、GCAPは、世界の注目を一身に集める存在となった。

2023年3月の「DSEI JAPAN」で初公開された次期戦闘機模型画像元

特に2024年夏、イギリス・ファンボロー航空ショーで公開されたGCAPの最新モックアップは、世界中の航空宇宙関係者を驚かせた。
ロンドンから約50km、ファンボローで開かれた国際航空ショーには、各国の航空関連企業が最先端技術を持ち寄ったが、その中でも最大級の関心を集めたのがGCAP次期戦闘機の新コンセプトモデルだった。
初公開された日英伊共同開発の次期戦闘機の模型(高橋浩祐氏撮影)

2023年に日本国内で展示されたモックアップと比較すると、最新モデルは明確な変化を遂げている。
以前は「ラムダウィング(λ型翼)」だったが、今回発表されたモデルでは、デルタウィング(三角翼)形状へと大きく設計変更されていたのだ。



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JNAAMミサイル開発を再開し量産せよ!

――「短き槍では戦(いくさ)にならぬ」――
もくじ
序章:令和の信長の槍は空を突くべし
第1章:JNAAMとは何だったのか ― メテオを凌駕する「日本製シーカー」
第2章:JNAAMの中止 ― 背後に透ける政治的配慮
第3章:JNAAMの代替案は存在しない ― 中距離ミサイルでは空は守れぬ
第4章:世界はすでに「長槍時代」に入った ― PL-15とAIM-260
第5章:令和の信長になれ ― 戦略を変える「長槍」の思想
第6章:提言 ― JNAAMの量産再開こそ空の抑止力

結論:短槍で未来は守れぬ

序章:令和の信長の槍は空を突くべし

戦国時代、織田信長は三間半(約6.3メートル)の長槍を兵士に持たせ、戦場の常識を覆した。長槍はただ突くのではなく、振り回して叩く武器である。常識を打破する発想は、戦術と戦略の根幹を変革した。

現代の空中戦における「長槍」とは、即ち空対空ミサイルの射程である。今や200kmを超えるミサイルが空の支配権を決する時代となった。だが、日本が誇る長距離ミサイル計画「JNAAM(Joint New Air to Air Missile)」は、2023年、ひっそりと幕を閉じた。防衛装備庁は「2023年に実施する試射をもってプログラムを終了する」とだけ発表し、明確な理由は示していない。

この決定は、果たして合理的な判断だったのか? 


第1章:JNAAMとは何だったのか ― メテオを凌駕する「日本製シーカー」

MBDAメテオはMBDA社が開発しているアクティブレーダー誘導の長距離空対空ミサイル視程外射程空対空ミサイルで正確な情報は不明ながら有効射程200km以上最大射程300km以上ではないかと推定されている西側諸国のAAMとしては最長射程距離のAAMである。

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(MBDA) 「ミーテイア(Meteor)」の構造概要図


MBDAメテオ正確な射程距離は機密であり、100km以上を超えると述べています。しかし、開発者MBDA UKは、「現在の AMRAAMの3倍NOESACPEゾーンはありません」と述べました。、軍の専門家は、少なくとも200〜300 kmの範囲がないと推測しています。アクティブレーダーシーカーに誘導されるミティアミサイルは、すべての天候状況に作戦能力を提供し、機敏で速いジェット機から小さなUAV、地形が複雑でジャミング信号が多い環境での巡航ミサイル迎撃も可能だ。 ミティアはデータリンクコミュニケーションを装備しており、ネットワーク中心環境での要求を満たす。
複数の軍事関連カンファレンスや防衛産業展示会でMBDA関係者たちのインタビューで明らかになった主張を総合すれば、ミティアは暗ラム以上行く現存最強の空対空ミサイルとして射程距離が200kmを凌駕することは確実視され、固体ロケットでは何をするかサイズと重量でミティアの性能を超えることは不可能と考えられる。 #これを可能にするのは、ラムジェットエンジンの一種であるダクテッドロケットの適用のおかげです。既存の空気ミサイルに使用される固体燃料ロケットには、他のロケットのように燃料と酸化剤が装備されており、燃やされると、それを止めたり、出力を調整したり、推力を事前に制御することは非常に困難です。燃料は事前に形成されます。一方、ダックされたロケットは一種のジェットエンジンであり、まるで典型的なジェットエンジンの固体燃料に燃料が変更されたかのように単純にです。名前がダクトされると、外気を吸うダクトがあるため、酸化剤を装備する必要はないため、酸化剤の量と同じくらい多くの燃料を装備できるため、動作時間ははるかに長くなります。

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JNAAMミサイルが特異だったのは「日本製シーカー」にある。C4IシステムJANAAMミサイルの射程は非公式で300km台あるがJANAAMミサイルにはAAM-4Bのガリウムナイトライド素子を組み込んだシーカーをベースに高性能シーカーを搭載しているが、将来空対空誘導弾には更に高性能なシーカーが開発されると予想します。現在次期戦闘機に搭載する予定の高出力のAESA(アクティブ電子走査アレイ式)レーダーには、高出力の窒化ガリウム(GaN)素子を用いていますが、将来空対空誘導弾にも高出力の窒化ガリウム(GaN)素子や炭化ケイ素(SiC)を用いた超高性能新シーカーが開発されることが予想されます。日本が独自開発したAESAレーダー(アクティブ電子走査アレイ)シーカーは、ミサイル自身が高精度な索敵能力を持つ点で他国製を凌ぐ。実際、JNAAMにはAAM-4B(99式空対空誘導弾改)の技術が導入されていたとされ、これは世界で初めてAESAシーカーを採用した空対空ミサイルだった。

JNAAMミサイルはつまり、「欧州の推進力」×「日本の目」というハイブリッド兵器であり、その性能はメテオを凌ぐ世界最高の長距離AAMミサイルとなる可能性が高かった。

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第2章:JNAAMの中止 ― 背後に透ける政治的配慮

2023年3月31日、防衛装備庁は「2023年に予定された試射をもって、JNAAMプログラムは終了する」と発表した。しかし、その理由は明かされていない。
日英共同新型空対空ミサイルの研究、ひそかに終了

ここに「政治的配慮(米国の)」の匂いを感じざるを得ない。

JNAAM(Joint New Air-to-Air Missile)の開発中止は、単なる技術的・予算的な理由ではなく、日米防衛協力の新たな枠組みと、米国防衛産業の製造能力の低下を補完する日本の製造業の役割という、複雑な政治的配慮が背景にある可能性が高い。


【1】米国防衛産業の製造能力の低下

冷戦終結後、米国の防衛産業は大規模な合理化と縮小を経験し、特に熟練労働者の退職や新規人材の不足により、製造能力の低下が顕著となっている。この状況は、ロシアのウクライナ侵攻や中東での紛争など、世界的な安全保障の不安定化により、ミサイルや艦艇の需要が急増する中で、深刻な問題となっている。米国防総省は、同盟国との防衛産業協力を強化することで、これらの課題に対応しようとしている。 東京新聞デジタル


【2】日本の製造業による補完

日本は、高品質な製品を納期内に提供する能力を持つ防衛産業を有しており、米国の防衛産業の製造能力の低下を補完する役割を果たすことが期待されている。特に、F-35戦闘機の最終組立・検査(FACO)やエンジンの整備拠点を国内に設置するなど、日米間での防衛装備の共同生産や整備体制の構築が進められている。 WSJ防衛省


【3】JNAAM開発中止の政治的背景

このような状況下で、JNAAMの開発中止は、日米が同じミサイルを生産・運用することで、装備品の共通化と運用の効率化を図るという政治的配慮が影響している可能性がある。また、米国の防衛産業の製造能力の低下を補完するために、日本の製造業が米国の防衛装備品の生産に参画することが求められており、JNAAMのような独自開発のミサイルよりも、米国と共同で開発・生産する装備品が優先されていると考えられる。


現在、日本はF-35導入を軸に米国との防衛装備の統一を進めており、特に空対空ミサイル分野では米国のAIM-120 AMRAAMシリーズの共用が進められている。JNAAMのような日英独自ミサイルが完成すれば、米製ミサイルとの整合性に問題が生じる可能性がある。さらには、米国の防衛装備市場に食い込む可能性も秘めており、「対米配慮」が日英共同開発を終了させた可能性が否定できない。
もう一つ台湾有事が近い為AMRAAMを大量輸入したとの説もある。
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米国が長年行ってきた次期戦闘機F3潰しの一環の行為をGCAP「F-3烈風」となっても行っているのかもしれない。2024年から加速したGCAP(次期戦闘機開発計画)で日英伊の協力体制が構築される中、JNAAMが「GCAPでの次世代兵器開発の妨げ」とみなされた可能性もある。JNAAMの開発中止は、日米防衛協力の深化と、米国防衛産業の製造能力の低下を補完する日本の製造業の役割という、複雑な政治的背景が影響している可能性が高い。今後、日本の防衛産業が米国の防衛装備品の生産や整備にどのように関与していくかが、日米同盟の強化と地域の安全保障において重要な鍵となるであろう。5/8のカシミール大規模空戦の結果、長距離空対空ミサイルこそ、次期戦闘機に不可欠な「刺突武器」だと再認識させた。

第3章:JNAAMの代替案は存在しない ― 中距離ミサイルでは空は守れぬ
現在、日本は「将来中距離空対空誘導弾(仮称)」の研究を進めており、これはAAM-4Bの後継と位置付けられている。しかし、防衛装備庁自身が明言するように、この新型中距離ミサイルは**「JNAAMの代替ではない」。つまり、日本は現時点で長距離空対空ミサイルを持たず、開発計画も“白紙”**に戻った状態にあると言える。

この事実は、戦場において「二間半の槍」しか持たないに等しい。現代の航空戦は「誰が最初に見つけ、誰が最初に撃ち、誰が最初に相手を消すか」がすべてであり、そこには従来のドッグファイト的な“格闘戦”の幻想は存在しない。射程の差が、そのまま生死の差である。

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■長槍で突かれる日本の空

近年、中国やロシアは相次いで超長距離空対空ミサイルを実戦配備している。中国のPL-15はすでに西側のAIM-120シリーズを上回るとされ、さらに噂されるPL-XXは射程400km以上に達するとの情報もある。ロシアのR-37Mは射程300〜400km、巡航ミサイルやAWACSを狙う設計となっている。

さらに衝撃的なのは、ロシアの最新地対空ミサイルS-500プロメテウスが最大射程3500kmを誇ることである(ただし、これは対衛星・弾道ミサイル迎撃時の値)。実際の航空目標への対処距離でも400km級とされ、日本の防空圏は根本から脅かされている。

日本が独自に開発している「中SAM改」ベースの極超音速迎撃ミサイルについても、その射程は非公開ながら、長距離化は避けられない情勢である。こうした環境下で、中距離ミサイルしか持たない航空自衛隊の戦闘機が敵機と戦えば、そもそも撃ち合う前に撃墜される

特に問題なのが、**AWACS(早期警戒管制機)**の生存性である。PL-15やR-37Mは、敵制空圏の背後にいるAWACSを直接狙う能力を持つとされており、従来のように戦域上空で悠々と飛行することが不可能となりつつある。AWACSは後方に退避せざるを得なくなり、即応的な状況把握や戦術指揮が遅れ、空中戦での主導権を失う恐れが強まっている。

■GCAP/F-3は「サイバー戦闘機」である

では、このような不利な環境下で、日本はどうやって制空権を確保すべきか。ここで鍵を握るのが、次世代戦闘機GCAP/F-3である。

GCAPは単なる第五世代戦闘機の延長線上にある機体ではない。AI統合、電磁スペクトル支配、クラウドシューティング、随伴無人機との協調作戦など、次元の異なるコンセプトを多数取り入れた「第六世代」対応の**“サイバー戦闘機”**なのである。

この機体は、以下の特徴を備える予定だ:

  • 超長距離センサーとフルスペクトル電磁戦能力

  • AIによるリアルタイム戦術判断と自律行動

  • 随伴無人機(ロイヤルウイング)との分散型戦闘

  • 仮想コックピットやクラウドシューティングによる戦場支配

  • 完全なネットワーク中核機能(指揮・制御・情報中継)

その本質は、「自らが戦域内ネットワークのハブとして機能し、敵より先に探知し、敵より安全な位置から、敵より遠くへ撃つ」ことにある。

■その「矛」となるのがJNAAMである

このGCAP/F-3の能力を最大限に活かす武器が、**JNAAM(Japan New AAM)**である。

JNAAMは、AAM-4Bのレーダー誘導能力を進化させ、英国MBDA社の「メテオ」エンジン技術と融合した“長距離アクティブレーダー・ミサイル”である。特徴は以下の通り:

  • 射程はメテオを凌駕(推定200km以上)

  • アクティブ・フェーズドアレイ(AESA)レーダー誘導

  • 発射後ロックオン(LOAL)に対応

  • 目標の機動やECM環境に耐える末端誘導制御

  • クラウドシューティング運用を前提とした情報中継対応

つまり、GCAP/F-3が得たターゲット情報をもとに、随伴無人機や僚機が発射したJNAAMによって敵を迎撃する。しかも、JNAAMは発射後に機上から目標情報をリアルタイムでアップデートできるため、敵の回避行動やジャミングにも柔軟に対応可能である。

この「クラウドシューティング」によって、GCAP/F-3は自らリスクを取ることなく、数百km先の敵機を排除することが可能になる。戦場で撃ち合うことすらせず、敵が接近する前に“排除”する能力。これが第六世代航空戦の本質であり、JNAAMはそのための“長槍”なのだ

■JNAAMの不在は、GCAPの戦力化を半減させる

逆に言えば、JNAAMの配備が遅れたり、開発が中止されれば、GCAP/F-3の本来の性能は大きく制限されることになる。

  • どれほど高性能なレーダーで探知しても、撃てる距離が短ければ無意味

  • どれほどクラウドネットワークが強靭でも、撃つ手段がなければ活かせない

  • どれほど無人機で分散展開しても、制圧手段がなければ殲滅できない

これは、未来の航空自衛隊にとって**「眼はあっても、槍がない」**という状況を意味する。F-3は“見える”が“届かない”という、重大な戦力不整合を招く。


したがって、JNAAMは単なる「弾薬」の話ではない。それは、GCAP/F-3という「サイバー戦闘機」コンセプト全体を支える中核兵器なのである。これを欠いたGCAPは、「第六世代機の皮をかぶった第五世代半端機」に堕してしまう。

今、日本がなすべきは、JNAAMの開発再開と早期量産化の決断である。それこそが、GCAPを真に第六世代機として戦力化し、日本の空を守る唯一の道なのだ。


一応AIM-120 AMRAAM-D型(射程距離180km)は導入したが、JNAAMミサイル開発量産しないのなら最悪SM-6(RIM-174B)艦対空ミサイルの空中発射型である。AIM-174B(射程距離240km)を導入すべきである!



第4章:世界はすでに「長槍時代」に入った ― PL-15とAIM-260





■1. カシミール空中戦:第4.5世代機同士の歴史的交戦

2025年5月8日、インドとパキスタンの係争地カシミールにおいて、史上初の第4.5世代機同士の大規模空中戦が発生したとされている。

両国の第4.5世代戦闘機約125機が互いに領空を越えることなく、1時間以上にわたり長距離空対空ミサイルによる戦闘を繰り広げたと報じられている。

この戦闘では、パキスタン空軍のJ-10CE戦闘機およびJF-17ブロック3が投入され、主力兵器として中国製のPL-15長距離AAMが運用されたとされる。インド空軍はラファール戦闘機を投入し、MICAおよびMBDAメテオといった欧州製ミサイルを装備して応戦した。


その中で注目されたのが、中国製「PL-15」の驚異的射程である。

インド空軍のラファール戦闘機が撃墜された可能性があるが、その背後にPL-15(最大射程200~300kmとされる)の運用があったとする分析も出ている。PL-15はアクティブ・レーダー誘導とロケットモーターに加え、双方向データリンクまで搭載し、米国が焦って開発を進めている次世代空対空ミサイル「AIM-260 JATM」(射程未公表、推定250km以上)と並ぶ存在だ。

ロシアも「R-37M」などで射程300kmを超えるとされ、超長距離空対空ミサイルの時代はすでに到来している。

■2. PL-15と「目視外戦闘(BVR)」の現実化

注目されたのは、PL-15の実戦投入とされる情報である。このミサイルは射程200km超、マッハ4以上の速度、アクティブ・レーダーホーミングと双方向データリンクを備えた中国空軍の次世代主力AAMである。米国が開発中のAIM-260 JATM(Joint Advanced Tactical Missile)と並び、「超長距離AAM時代」の象徴的兵器といえる。

ロシアのR-37Mも射程300km以上とされ、現代の空対空戦闘は「誰が先に撃てるか」という"長槍の時代"に突入している。

■3. インド空軍の損耗と錯綜する情報

パキスタン側はインド空軍機5機を撃墜したと主張し、SNS上には撃墜機の残骸とされる映像が流れている。インド側でも、ラファールの1機喪失がほぼ確実視されており、戦闘の規模と結果の重大さは否定しがたい。

しかし、撃墜にPL-15が関与したかどうかは確定しておらず、筆者はインド空軍による誤射(フレンドリーファイア)の可能性も高いと見る。インド軍は雑多な兵器体系(ロシア、フランス、国産)の統合作戦能力に課題を抱えており、C4I体制の不整備が要因となった可能性もある。

■4. PL-15 vs メテオ:超長距離AAMの優劣とは

ラファールに搭載されるMBDAメテオは、欧州最先端の長距離AAMであり、有効射程は130マイル(約209km)、最大射程は200マイル(約321km)とされている。理論上、PL-15と互角以上の性能を持つ。

しかし、ミサイル戦闘における決定的な要素は「誰が、どこから、どのタイミングで発射するか」であり、地上レーダーやAWACSの支援を受けたネットワーク中心戦が成否を分ける。単なるミサイルの射程比較ではなく、戦闘システム全体の優劣が重要なのだ。

■5. C4I戦と“発射台としての戦闘機”

今回の空中戦から見えてくるのは、戦闘機そのものが戦闘の中心ではなくなりつつあるという現実だ。情報処理・共有・統合能力、すなわちC4+I(Command, Control, Communications, Computers & Intelligence)こそが勝敗を決する時代である。

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特に、インド空軍はAWACS機を8機保有するが、戦闘機の多様性ゆえに統一的な空戦指揮に難があり、戦術的混乱が生じた可能性がある。一方で、パキスタンは中国と共通仕様のAWACS(ZDK-03)とJ-10CE/PL-15の組み合わせにより、より統合された作戦行動が可能だったと考えられる。

■6. 懐疑的視点と今後の検証課題

もし本当にJ-10CEとPL-15による撃墜があったなら、それは中国製兵器の信頼性と実戦性能を大きく押し上げる出来事となる。しかし、そうした成果をパキスタンが国内外に強調していない点や、撃墜パイロットの英雄化が見られない点は不自然でもある。

したがって、筆者としては「PL-15による撃墜説」よりも、インド空軍機同士の同士討ちの可能性を高く見ている。ラファールと他機種間のシステム整合性の低さが、視界外空戦で致命的な混乱を招いたのではないか。

■7. 戦術から戦略へ:「長槍」の示す未来

この戦闘を通じて、「長射程ミサイルを制する者が空を制す」という新時代の空戦思想が現実のものとなった。例えるならば、織田信長が三間半(約6m)もの長槍を用いた戦法が、従来の槍術を一変させたようなものだ。

長く重い槍は扱いが難しいが、一度使いこなせば無類の強さを発揮する。長距離AAMもまた、複雑なC4I・統合作戦能力がなければ真価を発揮しない兵器だ。単に「射程が長い」だけではなく、「誰がどのように使うか」が問われる時代である。




第5章:令和の信長になれ ― 戦略を変える「長槍」の思想

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信長は意外と「努力家」だった。「美しくやさしい国史物語」(国立国会図書館)

「兎角、槍はみじかく候ては悪しく候わん」

――これは、織田信長が語ったとされる有名な言葉である。


戦国時代、戦場の主役は「武士の個人戦」だった。槍の長さは二間半(約4.5メートル)程度が標準とされ、それ以上は重くて扱いづらいとされた。だが、信長はこれを三間(約5.4メートル)、さらには三間半(約6.3メートル)まで延長させた。槍は「突き刺す道具」から「叩き潰す道具」へと再定義され、個人の武勇ではなく、統制された集団戦の時代を切り開いたのである。

これは単なる兵器改良ではない。戦いそのものの定義を変える戦略的転換だった。

令和の日本も、今まさに同じ転換期にある。

次期国産戦闘機「F-3(烈風)」は、単なる空戦機ではなく、AIとセンサー融合、無人機統合、電子戦環境への適応といった「サイバー戦闘機」として構想されている。それは、空中における「情報戦の司令塔」としての機能を果たす新たな存在だ。

このような戦闘機には、もはやドッグファイトの俊敏性ではなく、より「長い槍」、すなわち**敵の視界外・射程外から敵を叩く長距離空対空ミサイル(LRAAM)**こそが必要となる。そして、その答えが――**JNAAM(Japan New Advanced Air-to-Air Missile)**である。


戦いの主導権を奪う思想

信長の思想が最も鮮やかに花開いたのが、天正3年(1575年)の長篠の戦いである。信長は1,000丁以上の鉄砲を三段撃ちに編成し、馬防柵と長槍隊を併用して、最強と謳われた武田の騎馬軍団を粉砕した。

だが勝因は単に火力ではない。三段撃ちによる「間断なき攻撃」を成立させるためには、敵の突進を止める柵、そして接近を阻止する長槍隊が不可欠だった。つまり、鉄砲(火力)、柵(防御)、長槍(迎撃)の三位一体が、あの圧倒的勝利を生んだのである。

そして、これは現代の空戦にも通じる。


現代の長篠 ― 空の戦場における「三位一体」

現代の航空戦は、かつてのようなドッグファイトではなく、「誰が先に敵を見つけ、より遠くから撃てるか」という感知・先制・貫通の時代へと変貌している。

この「新しい空の戦い」において、JNAAMは次の三要素を兼ね備えた兵器である。

  • 鉄砲:AESAレーダーによる高精度誘導で敵を正確に捉える。

  • 長槍:ラムジェットによる長射程で敵の手が届かない距離から撃てる。

  • :電子妨害への耐性(ECCM)によって、敵の反撃を無効化する。

まさに、空中戦の鉄砲・槍・柵が一本に集約された、現代の「戦術統合兵器」といえる。


革新への反発と孤独 ― それでも信長は進んだ

信長の長槍には、当時多くの反対があった。重く、扱いづらく、兵に訓練を要し、即効性がなかったからだ。しかし彼はその兵器に未来を見出し、日々の訓練と実戦投入によって最強の軍団を築いた。

同じように、JNAAMもまた量産が中断された兵器である。理由は「高価すぎる」「使い道が限られる」といった典型的な官僚的判断であった。

だが本当にそうか? 世界は今、米AIM-260、英Meteor、そして中共のPL-15という「長槍競争」の時代に突入している。戦場の常識が塗り替わっているにもかかわらず、我が国だけが「短槍」の世界にとどまっていていいのだろうか?


GCAPとJNAAM ― 令和の「長槍隊」を編成せよ
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織田信長」が有していた槍部隊が、三間半(約6.4m)の長大な槍を携えていたように、戦国大名の軍に属する槍部隊が携えた長槍は、戦国時代を象徴する武具のひとつ。

長い槍をしならせて敵の頭部などを叩く攻撃の破壊力は凄まじく、「突き」の10倍を超える衝撃を与えたとも言われています。


信長は言う。

「嗜みの武辺は、生まれながらの武辺に勝れり」

――準備と鍛錬こそ、勝敗を決する。

F-3(烈風)という最先端の「司令機」にとって、JNAAMはまさにその武辺=準備された長槍である。高価で複雑でもよい。それを使いこなせるよう訓練し、量産し、部隊に配備する。それが新時代の制空権を獲得する「唯一の方法」である。

空自は、烈風を単なる戦闘機ではなく、「戦術クラウドノード」として活用せねばならない。そして、その烈風には、世界最長の“槍”を持たせる必要がある。


結語:長槍を恐れるな、長槍で戦え

信長は、戦場の「常識」を疑ったからこそ勝てた。だからこそ彼は、破壊的革新の象徴であり続ける。

そして令和の日本も、もう一度同じ問いに直面している。

「敵が長い槍を持つなら、我らはより長い槍で迎え撃て」

今こそ、JNAAMの量産を再開し、F-3に真の「令和の長槍」を与えるべき時である。それは単なる兵器ではなく、日本の防衛思想そのものを刷新する象徴であり、戦争を防ぎ、敵を遠ざけるための最も洗練された抑止の戦略兵器なのである。


第6章:提言 ― JNAAMの量産再開こそ空の抑止力

「より長い槍」を携えてこそ、戦争は遠ざかる

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GCAP(Global Combat Air Programme)が着実に進展し、日英伊の次世代戦闘機「F-3(仮称:烈風)」が具体性を帯び始めた今、われわれはその主兵装について再考しなければならない。その筆頭こそ、日本主導で開発された革新的な長射程空対空ミサイル――JNAAM(Joint New Air-to-Air Missile)である。

このミサイルは、英国MBDA社のMeteor(ミーティア)ミサイルを基礎に、日本が世界最高水準のAESAレーダー技術を組み込んだ、いわば「超長槍」である。中国のPL-15や将来登場が予測されるPL-21、米国のAIM-260など、21世紀の空中戦はすでに「ロングスピア時代」へと突入している。短剣では敵に触れることすらできない時代に、JNAAMの配備と量産は、「槍を構えてにらみ合う」ことで戦争を回避するための必然の一手である。


歴史に学ぶ ― 槍の長さは抑止の象徴

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ファランクス陣形で進軍するギリシア重装歩兵の復元図

「敵が長い槍を持つなら、我らはより長い槍で迎え撃て」

この言葉は単なる武器の比較ではない。これは紀元前4世紀、古代マケドニア王フィリッポス2世が導入した「サリッサ(Sarissa)」と呼ばれる長槍によるファランクス(密集陣形)改革に由来する。従来の槍の倍近い長さ(約5〜7メートル)を持ったサリッサ兵は、相手の接近を許さず、陣形そのものが抑止力となった。

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ギリシア軍のファランクス(右側)がアケメネス朝ペルシャ軍の兵士たち(左側)を撃破する様子(想像図)。鋭い槍先が無数に並び、ファランクスに対して剣で戦おうとする兵は、なすすべなく串刺しにされ、次々と地面に倒れてゆく。


これを戦術思想に転用したのが、織田信長である。1575年の長篠の戦いにおいて、彼は鉄砲を「三段撃ち」として体系化し、武田の騎馬軍団を粉砕した。その根底にあったのは、単に射程の長い武器を用意したのではなく、「より早く撃てる」「より遠くから撃てる」「より精密に撃てる」という統合運用の思想であった。まさに現代のJNAAMとF-3に通じる発想である。


図解:戦術的優位の構図(図:長槍の距離関係)


敵機 (PL-15/PL-21) [射程約200km] | | (赤外線・電波誘導) | 味方機(F-3 + JNAAM) [射程250〜300km] | | (AESAアクティブ誘導 + 高速RAMジェット) | 敵が射程内に入る前に撃破可能

このように、射程と誘導性能の優位は、実際の「撃墜力」以上に、敵の接近そのものを思いとどまらせる「心理的な封殺力」となる。つまり、JNAAMは「飛ばすための武器」であると同時に、「飛ばせないための武器」でもある。


日米共同生産体制 ― 新たな「空のバトンリレー」

JNAAMの先進性は、すでに英国も認めており、GCAPの主力ミサイル候補として検討されている。しかし、真の戦略的意義は、JNAAMを「日米共同生産・配備ミサイル」として制度化する点にある。

提案:日米二国間でのJNAAM共用体制

  • 日米両国の工場で分散生産

    • 日本(三菱電機・IHI・三菱重工)でAESAシーカーとエンジンを製造

    • 米国(レイセオン、ロッキード)で弾体と統合通信系を生産

  • F-3、F-35、F-22後継機(NGAD)で運用可能に

    • 共通規格のデータリンクとシーカーによって、高度な統合運用が可能

  • NATO連携の可能性

    • 英国・イタリアを含むGCAP参加国での供給により、欧州市場にも展開

この体制は、単なる兵器の「共有」ではない。製造ラインの分散によって、災害や敵攻撃によるリスクを分散し、「戦略的レジリエンス」を確保する。まさに現代版の「武田騎馬軍団に備えた三段構え」である。


空の抑止力とは「撃ち合わずに勝つ力」である

孫子が説いた「戦わずして勝つ」の戦略は、現代においても通用する。だが、それは「非武装で勝つ」という意味ではない。「戦っても勝てない」と敵に思わせるだけの力を持つことで、戦わずに済むのだ。

JNAAMは、その抑止力の核心を成す。「敵よりも先に見つけ、先に撃てる」――この単純であるがゆえに圧倒的な真理を、次期戦闘機「烈風」の時代にも貫徹させるべきである。


終章へのつなぎ:GCAP「F3烈風」と長槍JNAAMミサイル ― 日本の戦略的未来へ

F3烈風は、その名のごとく、突風のごとく敵を飲み込む制空の主力として期待されている。だが、その烈風に必要なのは、ただの「速度」ではなく、「距離」であり、「正確さ」であり、「届かせる知恵」である。その答えが、JNAAMである。もし開発を再始動するならばBVR戦闘(視程外:Beyond-Visual-Range戦闘)であった5.8カラコルム空戦の戦訓を生かして、協調型ターゲティング機能(AWACS機が

目標データを提供し、ミサイルを誘導できるという仕組 でこれが機能した場合。通常ミサイル攻撃を受けると発射元の戦闘機レーダーからの警告を受けるが協調型ターゲティングでは発射機がアクティブレーダーを使用せずAWACS機 が誘導するため警告が発せられない。)にも対応した射程400km~500kmのAAMに仕上げてほしいものです!

今こそ、日米が共同で「空の長槍」を鍛え、世界にその鋭さと届き方を示す時だ。


結論:短槍で未来は守れぬ

現代戦は「先に撃った者が勝つ」のではない。「遠くから確実に当てた者が勝つ」のである。

日本が今、必要としているのは「常識を打破する長槍」――すなわち、JNAAMの再開と量産だ。それは技術開発の選択肢でもあり、政治的独立の意思表示でもある。そして何より、国を守るための武器である。短槍では未来は守れぬ。JNAAMの開発再開と量産を開始せねばならない!

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CNN

5月8日、インドとパキスタンの間で軍事衝突が発生し、パキスタン側はインド空軍機5機を撃墜したと主張している。特にフランス製のラファール戦闘機とロシア製のMiG-29の損失が確認されており、CNNの報道によればフランスの情報機関もラファール1機の撃墜を確認したとされる。インド政府は撃墜自体の事実を認めていないが、少なくともラファール1機の損失は公式に認めている。



注目を集めているのは、撃墜に使用されたとされる中国製の兵器群である。パキスタン空軍はJ-10C(輸出型J-10CE)JF-17ブロック3戦闘機を投入し、それぞれに搭載されたPL-15長距離空対空ミサイルが攻撃に使われたとみられる。J-10CEは中国のAVICが製造する第4.5世代戦闘機で、2022年からパキスタン空軍が導入。最大マッハ2、航続距離1750km、上昇限度1万8000mの性能を誇り、価格は1機約4000万ドルとされている。

一方、JF-17は中国とパキスタンの共同開発による第4世代多用途戦闘機で、パキスタンでは2009年から配備が進められている。ブロック3ではフェイズドアレーレーダーや赤外線捜索追跡システム(IRST)などが搭載されており、価格は約2500万ドルと比較的安価で、国外からの注目も集めている。

PL-15は中国が開発した長射程空対空ミサイルで、射程は200kmを超え、マッハ4以上の速度を誇る。レーダーホーミングやデータリンク機能を備えており、AWACS(早期警戒機)や敵主力機への遠距離攻撃に特化している。今回の戦闘で、PL-15がインドのラファールに命中した可能性があるとされ、中国製兵器の実戦性能に対する評価が一変する可能性がある。

パキスタンの安全保障局の高位の担当者がCNN に対して伝えた情報によれば「インド空軍との空中戦は現代戦史上最大かつ最長のものだった」「計125機の戦闘機が1時間以上に渡って戦闘を繰り広げた」「両軍の戦闘機は自国の領空を離れることはなかった」「時にはミサイルの応酬が160km以上も離れた距離で発生した」「両軍とも敵領空で自国の戦闘機が撃墜されパイロットが捕虜になることを望んでいなかった」パキスタンとインドの間で発生した空中戦は近年なかった、大規模空中戦であった。4.5世代同士の初の大規模空中戦でもあり興味深いものだ。パキスタンは インド戦闘機5機を激墜したと主張しているが、状況も見えてきた。映像 も出回っているのでラファーが1機以上は損耗していることは間違いない。と述べ、アシフ国防相もCNNの取材に「今回の結果は軍事行動を選択したインド政府にとって相応しい教訓となった」と述べたものの、インド空軍の戦闘機を撃墜した証拠を尋ねられるとSNS上の画像や映像を挙げた。情報筋によると、両国の戦闘機約125機が国境空域で1時間以上戦闘を繰り広げたが、互いに領空侵犯はなかったとされ、完全な長距離空対空戦闘/BVR戦闘Beyond-Visual-Range視程外戦闘であったことが強調されている。インド国内では、ラファールの残骸が確認されており、事態の重大さを裏付けている。一方で、パキスタン側はインド軍機の残骸を回収し、パイロットを捕虜にしたとも主張しており、情報の錯綜が続いている。

この戦闘は、単なる地域紛争にとどまらず、中国製兵器の信頼性と実戦能力に対する国際的評価を左右する出来事となる可能性がある。





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中国製の戦闘機はしょぼいロシアの戦闘機の劣化コピーだと私は舐めきっていたが、かつて日本の第四次FXの候補(あて馬) にもあがったことがあった戦闘機なだけにもし事実なら中国戦闘機侮りがたし、PL15長距離AAMは侮れない脅威とすべきミサイルと警戒しなくてはならないとなるだろう!だが、私は少し懐疑的だ多くの情報が乱れとんでいるが、私はインド空軍機同士による誤射の可能性も高いと思う。
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ラファールのAAMのMICA(ミカ)は、MBDA社により製造されるフランスの対空ミサイル。「MICA」の名称はMissile d'Interception, de Combat et d'Autodéfense(要撃、戦闘および自衛用ミサイル)で最大射程は80kmで最大射程200kmのPL-15と撃ち合えばPL-15が勝りJ10がラファールを撃墜しても確かにおかしくはない。しかしラファールには西側諸国AAM中もっとも射程の長いAAMのMBDAメテオも装備されている。 有効射程距離130マイル(209km)最大射程200マイル(321km)インド政府がラファールを購入する契約の一環として取得したものである。

自国領内に留まっていたので地上からのSAMの可能性は少ない。
双方130機の目標を戦闘機のレーダーで把握しミサイルを誘導することは双方極めて難しい。
双方AWACSは少数ながら保有している。パキスタンは中国製ZDK-03とサーブ2000 AWACS4機を保有インド側もネトラ、ファルコンなど8機保有しているが130機の動きを適切に管制できたか大いに疑問だ!
パキスタン中国製AWACS ZDK-03「カラコルム・イーグル」AEW&C機は、パキスタン空軍の要求に応じて中国電子科技集団公司と陝西飛機工業集団公司等の企業により共同開発された輸出向けの空中早期警戒機がどの程度の性能なのか不明だがJ10とPL-15の組み合わせは愛称は良くある程度は管制でき可能性はあるが、どちらかと言えば目くら撃ちしたパキスタンのPL-15のアクティブレーダーが偶然撃墜した可能性も否定できない。、パキスタン軍ミサイルPL 15E には協調型ターゲティングという機能があるりパキスタン空軍のサーブ2000 AEW&C早期警戒完成機が目標データを提供し、ミサイルを誘導できるという仕組 でこれが機能したと言う情報もある。通常ミサイル攻撃を受けると発射元の戦闘機レーダーからの警告を受けます。でもこの協調型ターゲティングでは発射機がアクティブレーダーを使用せずサーブ2000 が誘導するため警告が発せられません。

インドは雑多な機種ミサイル、システムの組み合わせなので自国戦闘機の機体とミサイルを管制できたかといえばできなかったと思う。インドはAWACS機数はパキスタンを上回るが管制できなかった可能性が高い。自軍の撃ったAAMがラファールに当たった可能性が高いと私は思う。PL-15の残骸はパキスタンが多数放った多数のミサイルの一部であってラファールを撃墜したそのものかは疑問だ。PL-15はマッハ4 200kmを飛行するには162秒(2分42秒)

もしパキスタンの戦闘機による撃墜ならそのパイロットを英雄としてパキスタン側が、パイロットをもっと大国民的英雄として大宣伝するはずだが、それはない。、インド側もラファール一機の損失は認めるが、同士討ちだとしたら恥ずかしくてこインド側も反論しづらい、今後の追加情報が待たれるが
5月9日現在の情報を基に考察した結果、インド空軍機の同士討ち説の能性が高いと私は思う。


百歩譲ってJ10によるラファールの撃墜が事実あったとしても、乱射したAAMの1発のアクティブシーカーがラファール捉えをラッキーパンチで当たっただけかもしれない。
ラッキーパンチによったとしても謙虚にJ10から発射されたPl-15によるラファール撃墜が認めるとした場合、今回の空戦は非常に大きなインパクト示唆を与えるだろう。

私を含め中国製戦闘機を舐めきった西側軍関係者は考えを改める必要がある。長距離AAMを搭載した
中国製戦闘機はあまり舐めてはいけないこと、BVR戦闘Beyond-Visual-Range視程外戦闘視界外でミサイルを撃ち合う4.5世代以上の空戦はパイロットや単独の機体のスペック優劣ではなくて 、 AWCS、地上レーダー、電子戦能力、管制迎撃のシステム全体で戦う総合戦闘能力C4Iシステム(軍隊における情報処理システム:Command Control Communication Computer Intelligence system)の優劣となる。 戦闘機は、単なる システムの一部で極端な言い方をすれば単なる発射台にすぎなくなる。ロシア・フランス・自国製の雑多なシステムでつぎはぎだった、インド軍は総合力で負けた可能性が高いだろう。ちなみにパキスタンには米国製F16+AIM-120 アムラームも保有している。

確かに中国製の戦闘機ミサイルにとっては大きなアピールにはなったが、ラファールの撃墜はプラットホーム自体の失敗を意味するものではなくAWCS、地上レーダー、管制迎撃のシステム総合的なC4Iシステム能力でパキスタン空軍がインド空軍を上回ったと認識すべきであって、日本の戦闘機のAAMの射程は99式空対空誘導弾/(B)(AAM-4)で100km+でAIM-120CAIM-120 AMRAAM C型105km、AIM-120 AMRAAM D型180kmでPL-15の射程200km侮ってはならないが、単純に射程が勝るので中国製の戦闘機ミサイル侮りがたし」というものでもない。

とはいえ、
視界外でミサイルを撃ち合うBVR戦闘Beyond-Visual-Range視程外戦闘はトレンドとなりミサイル射程の長距離化の流れは避けられなくなるであろう。中国の長距離AAMのPL-21射程は300~400kmに達する
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かつて織田信長は「兎角、槍はみじかく候ては悪しく候わん」と言って、三間半もの桁外れの長槍を装備させた。当時、槍の長さは二間半(約4.5メートル)が主流だった。しかし、信長は三間から三間半(約5.4~6.3メートル)を使うよう指示した。槍は長くなるほど重くなり、使いこなすのが難しくなる。信長は槍で相手を突き刺すのではなく、叩くことを命じたという。長い槍を用いることは、常識を覆す発想の転換といえるのかもしれない。

中国空軍はPL-15を超える長射程の空対空ミサイル=PL-17(推定射程300km~400km)をが数年前から実用化ており、我が国のE-2D アドバンスドホークアイやE767AWACSにも深刻な脅威となっている。米海軍がSM-6の空中発射型=AIM-174B(射程240km以上)を実用化したのもPL-17やラムジェットエンジンを搭載したPL-21に対抗するためだと言われている。因みに米空軍はPL-15に対抗するためAIM-260(射程200km以上)を急遽開発している。

防衛装備庁は2023年3月31日、日英が共同で進めていた「
新型空対空ミサイル=Joint New Air to Air Missile(JNAAM)」について「2023年に実施する試射をもってプログラムを終了する」と発表し、次期中距離空対空誘導弾を開発中である。これは在F-15J/DJ戦闘機とF-2戦闘機に搭載されている中射程空対空ミサイル「99式空対空誘導弾」(AAM-4)と、その改良型「99式空対空誘導弾(B)」(AAM-4(B))を後継するミサイルであって、JNAAMミサイルが目標としていた射程300km級の長距離AAMではない。水面下でGCAP用の長距離AAMは検討されていると思うが、今回のカシミール空戦で防衛装備庁防衛省自衛隊内でなにかしらの動きは何かしらあると思われる。
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JNAAMミサイル


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もくじ

第1章:はじめに ― なぜ今、次世代潜水艦なのか
第2章:現行艦の限界と次世代への課題
第3章:29SS(仮称)の技術的展望
以下続き
第4章:次世代潜水艦の課題と国家戦略
第5章:次世代潜水艦がもたらす戦略的変化
第6章:装備輸出と国際共同開発の可能性
第7章:マイクロ原子炉の戦略的可能性
第8章次世代潜水艦計画総括と未来展望

第1章:はじめに ― なぜ今、次世代潜水艦なのか

近年、東アジア海域の安全保障環境は急速に変化しており、日本を取り巻く脅威は一層複雑化・多様化している。中国海軍の急速な増強、北朝鮮の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)開発、さらにはロシア極東艦隊の活発化といった事象が、日本にとって深刻な戦略的課題となっている。これにより、海上交通路(シーレーン)を確保する必要性はかつてないほど高まっている。

また、中国の空母戦力の南シナ海・西太平洋への展開や、軍事衛星を活用した広域監視能力の強化など、日本の防衛・抑止戦略に直接影響を与える動きが活発化している。台湾有事や朝鮮半島情勢の不安定化も含め、今後数十年を見越した戦略的備えが不可欠である。

その中で、海上自衛隊が担うべき役割は従来の「沿岸防衛」から「広域抑止」「持続的プレゼンス維持」へと大きく変化している。特に、敵に発見されずに戦域深部へ潜入し、長期間にわたって情報収集・監視・攻撃態勢を維持できる潜水艦は、他の戦力では代替し得ない独自の存在価値を持つ。いわば、「見えざる盾」としての役割がこれまで以上に重要視されている。

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そうりゅう型うりゅう

日本の潜水艦技術は、戦後一貫して通常動力型に特化して発展してきた。1980年代の「ゆうしお型」から1990年代の「おやしお型」、2000年代の「そうりゅう型」、そして現在の「たいげい型」へと続く進化は、世界の海軍関係者から高く評価されている。


⇑戦後日本の潜水艦小史
特に静粛性、センサー性能、深度性能の三要素で日本潜水艦は常にトップクラスの水準を維持してきた。また最大潜航深度についても世界最高の性能を有していることは海軍関係者の間では常識となっている。「そうりゅう型」「たいげい型」の公式航行可能深度は500メートル作戦可能深度は約600mとされる。米原潜のシーウルフ級原子力潜水艦バージニア級の潜航深度が約500mといわれ世界のほとんどの潜水艦が400メートル以下を限界とするので、これらの真下を航行することが可能である。


日本の兵器はその兵器の能力がカタログスペックを下回ることはまずありません。


私の知る限り深度1000mに届く魚雷や爆雷は存在しない。最高機密なので存在したとしてもで限界深度に関しても1000mを超えることはなく、潜ったとしても500m程度で、通常は水深100m程度となります。つまり日本の潜水艦は潜水艦戦において無双状態なのだ。


中国の潜水艦の最大深度については膨張する中国海軍は張り子の虎か?を参照してください。中国が潜水艦技術のフィードバックを目的に12隻、購入したロシア製のキロ級潜水艦も、潜航深度が300m程度といわれています。改良商型のカタログスペックですら300~400mで中国大手検索サイト百度の掲示板に「わが国の原子力潜水艦は200メートル潜ると変形する」というスレッドが立てられた。 
スレ主は「091型原子力潜水艦の潜水試験中、230mに達した時に船内から音や水漏れ、変形が発生した」と主張。 中国では粗悪な材料を使う手抜きの“おから工事”がしばしば問題になるため、「原子力潜水艦までおから工事とは恐れ入った。これじゃ日清戦争前に軍事費をくすねた 西太后と同じじゃないか」など、皮肉を込めたコメントも多かったが、半ばあきらめも感じられる意見が多く寄せられた。 

「そうりゅう型」「たいげい型」、非公式スペック(実際の性能)は1000mを越えている可能性は高いことも有名だ。根拠として海上自衛隊の潜水艦救難艦は深度1000メートルでの救助活動が可能な深海救難艇を搭載しているほか、乗組員(水中作業員)は450メートルの深さで潜水作業した記録を持つこと、「おやしお型」「そうりゅう型」「たいげい型」で使用されているNS110は降伏耐力110kgf/mm2の性能(1平方ミリメートルあたり110kgまで引っ張りに耐えられる.)で、鋼板能力だけからみれば最大深度は1000mを越える。
ちなみに銀の値段とほぼ同じのチタン合金6Al-4V-Tiは100kgf/mm^2だそうです。
チタン合金6Al-4V-Tを使用した攻撃型潜水艦で一番深く潜れる旧ソ連のMike級(NATOコードネーム: マイク型姉妹艦無しは(安全潜入深度1000m)/(最大潜入深度1250m)であることから「そうりゅう型」「たいげい型」は単純計算10%増しで(安全潜入深度1100m)(最大潜入深度1375m)となる。


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この点では明らかに性能が「良い」といえるでしょう。

勿論、チタン合金も組成次第でもっと強力なものも作れるらしいがが、コストが馬鹿に

ならないのでソ連のMike級には姉妹艦はない。




しかし、それでも時代の流れは容赦なく、「そうりゅう型」「たいげい型」といえど従来型の技術的限界や、戦略環境の変化によって次世代への移行が避けられない状況にある。たとえば、従来のAIPシステムでは連続航続距離や最大出力に限界がある。さらに、現代の戦場ではサイバー戦・電磁波戦・宇宙空間からの監視といった、かつては想定されなかった脅威への対応も求められている。こうした状況を受け、日本は従来の延長線上にあるAIP潜水艦はそうりゅう型で早々に見切りをつけ、革新的な推進方式、・燃料技術、小型原子炉(マイクロ炉)~全固体原子炉搭載潜水艦開発が進行中であつ。そして自律型無人攻撃型潜水艦の運用といった「次世代潜水艦」の構想を本格化させている。




次世代潜水艦は単なる高性能兵器ではない。それは、当ブログで書かせていただいた新型FFM・GCAP/F-3烈風戦闘機と同じく国家の安全保障政策、外交戦略、産業技術基盤を結集させた総合的プロジェクトである。とりわけ、現代の安全保障は軍事力だけでなく、国際協力、経済的影響力、技術主導権といった多面的要素から構成される。潜水艦技術を軸に、日米豪印などとの多国間協力、海洋国家としての信頼構築、さらには経済安全保障の推進が可能になるのである。

さらに、潜水艦は単なる軍事兵器ではなく、「外交ツール」としての機能も持ちうる。すなわち、日本が東南アジア諸国やインド太平洋パートナー国と安全保障協力を深化させる上で、自国製潜水艦の輸出や技術協力は、極めて強力な信頼醸成手段となる可能性がある。

また、今後の海洋安保は二国間の枠組みにとどまらず、QUAD(日米豪印)やAUKUS(日米豪英)といった多国間安全保障枠組みの中で運用されることが前提となるだろう。そこでは、共通の装備体系、通信規格、指揮統制プロトコルを持つことが求められ、日本の次世代潜水艦にもこれらを組み込む必要が出てくる。

このように、次世代潜水艦の設計とは単に技術革新の問題ではなく、日本の安全保障戦略そのものを体現する国家的プロジェクトである。本稿では、現行の「たいげい型」に続くと目される29SS(仮称)以降の次世代潜水艦について、その技術的進化、国家戦略上の位置づけ、そして将来的な国際的な展開可能性をも含め、多角的に論じていく。

第2章:現行艦の限界と次世代への課題


現在、海上自衛隊が運用している最新鋭の通常動力型潜水艦「たいげい型」は、リチウムイオン電池の導入により大幅な性能向上を果たした艦である。その前の「そうりゅう型」ではスターリングエンジンを搭載したAIP(非大気依存型推進)システムが導入され、水中航行時間の大幅な延長が実現された。しかし、これらの現行艦にも依然として克服すべき制約が存在している。AIP(非大気依存型推進)システムについては運用してその実用性に難ありと判断し、ディーゼル+AIP(非大気依存型推進)+リチウムイオン電池からディーゼル+リチウムイオン電池方式へと海自では早々に見切りをつけた。



潜水艦としての航続距離と作戦継続能力には依然として限界がある。たいげい型のリチウムイオン電池は充電の迅速性とエネルギー密度の高さという点で大きなアドバンテージを持つが、依然として浮上してスノーケル運転によるディーゼル発電が必要であり、敵の監視衛星や無人哨戒機に発見されるリスクをゼロにはできない。

第二に、電磁波や赤外線、音響といったマルチスペクトル監視技術の進化により、従来の「隠密性」に頼る作戦手法は根本的な再考を迫られている。現代の戦場では、潜水艦の航跡をAIやデータリンクでリアルタイムに追跡・蓄積し、潜在的な行動パターンを可視化する新たに量子センサー技術などが登場しつつある。これにより、いかに静粛であっても「完全に見えない存在」であることが困難になってきている。



さらに、既存のAIPシステムには出力不足という根本的課題がある。スターリングエンジンは極めて静粛ではあるが、その出力は極めて限られており、高速での機動戦闘や電力消費の激しい兵装・センサーの同時運用には向いていない。この点で、今後の潜水艦にはより高出力かつ持続可能なエネルギー供給手段が不可欠である。

また、日本の現行艦は通常動力型であり、原子力潜水艦に比べて戦略的な持続力、抑止力に限界がある。原潜であれば、文字通り数ヶ月にわたって水中に留まり続け、遠方の戦域でプレゼンスを維持できるが、たいげい型であっても補給と充電のための行動制約が存在する。これは地理的に広大なインド太平洋戦域において、任務継続性という点で大きな制約要因となる。

サイバー戦や電子戦への耐性も、今後の潜水艦に求められる重要な要素である。水中という閉鎖空間におけるセンサーとネットワークの統合化が進む中で、敵の電子妨害やサイバー攻撃により一時的に情報遮断された場合でも、自律的に判断・行動できるAI統合型指揮制御システムの導入が今後は必須となるだろう。

第3章:29SS(仮称)の技術的展望

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2019年6月幕張 で開催されたMAST Asia 2019で三菱重工は次期潜水艦29SS潜水 艦2019年6月に幕張で開催された防衛関連展示会で三菱重工が発表した次期潜水艦「29SS」(仮称)のコンセプトモデルが発表しました。この新型潜水艦は、その斬新な形状と革新的な技術により、国内外のメディアや軍事関係者から大きな注目を集めました。
まだ契約したのではなくあくまでもコンセプトモデルだが29SSは2025年から2028年にかけて開発が進められ、2030年代の就役を目指しています。従来の潜水艦とは一線を画す仕様を持ち、日本の海上防衛における新たな切り札となる可能性を秘めています。

29SS(仮称)は、「たいげい型」の発展型ではなく「新設計プラットフォーム」となる可能性が高いと見られている。

【1】主な技術的進展の予測

 特徴①:流線型の新設計ボディ
 特徴②:非スクリュー推進「ポンプジェット推進」もしくはヘルカリ型電磁推進方式」の採用 
 特徴③:次世代ソナーと統合制御システム
 特徴④:電波通信機器システム
   特徴⑤:リチウムイオン電池の改良新型電池の採用

  • 新型リチウムイオン電池の改良型:高温耐性、安全制御回路、長寿命化

  • 電動ポンプジェット推進の採用:従来のスクリューに代わる、より静粛で高速域も対応可能な推進方式

  • マストレス潜望鏡(デジタル式):通信マストと統合されたセンサーパッケージにより、浮上回数の低減※たいげい型で実現済

  • 艦内AI統合による戦闘システム管理:状況認識・脅威評価・電力配分のリアルタイム最適化


    数か月以上の任務遂行が可能で、安定した出力と優れた静粛性を持ち、隠密性が高くなります。これにより、通常動力潜水艦でも戦略原潜のような運用が可能になると期待されています。
  • 無補給運用 居住性の改善 女性自衛官エリアの拡充等から更なるAI化AI 技術の導入による艦艇省人化について・省人化が進む艦艇の極省人化に関する研究



  「たいげい型」潜望鏡は非貫通式潜望鏡1型(英国タレス製CMO10型を三菱電機でライセンス生産)1本、を搭載する。                  

さらに、艦体構造には新素材の使用(高張力鋼、複合材部品)も進むと予測されており、軽量化と深度性能の向上が見込まれている。
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次々世代潜水艦/将来潜水艦(ポスト3000トン型)のイラスト情報の出所が潜水耐圧殻構成要素の研究であるから、「そうりゅう型」「たいげい型」の公称最大深度500~600m非公称最大深度1000mが最大深度は千数百mに至ると思われる。


■ 特徴①:流線型の新設計ボディ

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まず注目すべきは、29SSが持つ独特な流線型の船体です。艦首には傾斜角を持つ丸みのある形状が採用され、艦橋(セイル)は後方へと移動し、船体と一体化しています。この設計により水中での流体抵抗を抑え、高速航行と静粛性の向上が期待されます。ステルス性にも貢献しており、敵に発見されにくい隠密行動が可能になるでしょう。

ATLA:超高速魚雷、高速潜水艦、超高速滑空艇開発を可能とするペンギン応用超撥水・多孔 性塗料バブルコーティング技術を開発2018/11/4(日) 午後 5:39 


バブルコーティングでは居場所を特定されてしまうので、ペンギン応用超撥水・多孔 性塗料バブルコーティング技術が用いられる可能性がある。

現在研究中だが、実用化されれば、原潜ほど長時間30ノットで水中を潜航することはできないが、短時間であれば、通常動力型の僅かな電源でも水中で40ノット以上の高速を出せるかもしれなくなる。

特徴②:非スクリュー推進「ポンプジェット推進」もしくは「ヘルカリ型電磁推進方式」の採用


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ヘルカリ型電磁推進方式はプロペラキャピュテーションを失くす為、神戸大学が開発したが、中国に技術流失した。


さらに注目すべきは、従来のスクリュー式プロペラに代わって「ポンプジェット」か推進方式か「ヘルカリ型電磁推進方式」が採用されると予想されている点です。ポンプジェットは、船底から取り込んだ水を高圧で後方に噴射し推進力を得る方式で、米バージニア級原潜などに搭載されている最新技術です。

この方式は高速航行が可能であり、方向転換や急停止も比較的容易。また、静音性も高く、敵のソナーに探知されにくいという利点もあります。ただし、製造が難しく、低速時の操舵性や燃費に課題があるため、実運用には高い技術が求められます。

特徴③:次世代ソナーと統合制御システム

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29SSには、新型の高性能ソナーも搭載されると見られています。艦首に配備された監視ソナーは、朝鮮半島近海の複雑な地形に対応できるよう最適化され、艦体側面には光干渉技術を応用したアレイが装備される予定です。

これにより音波のみならず光の反射を利用した探知も可能となり、敵潜水艦の発見能力が飛躍的に向上。また、これらの情報は統合コントロールシステムに集約され、射撃管制や状況判断をリアルタイムで支援します。

特徴④:電波通信機器システム


隠密性が重要な潜水艦にとって水上で使用する電波機器の運用は限定的である。特に電波を編射する通信機やレーダーの運用には最新の注意が払われている。逆に水上艦や対潜哨戒機からのレーダーや通信電波などを探知する電波探知機は最重要電波機器であり、電波探知専用マストや電子光学潜望鏡/電子光学マストからの信号を処理して方位測定のはか電波周波数など各種情報を取得している。将来的にはマストの水上での被探知を避けた短時間の複数電波受信から重要情報を取得・解析可能だ。

レーダーは潜水艦が水上航行する場合に水上艦船や航路標識などを探知するのに使用されているが(‘‘そうりゅう”型以降ではZPS-6Fを搭載)戦闘場面で活用されることは少ない。
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潜水艦がどの程度ネットワークされているか正直不明ではあるが、確実に能力は備えている。
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特徴⑤:リチウムイオン電池の改良新型電池の採用

海上自衛隊の潜水艦の戦い方は大洋を高速機動して敵艦隊を遊撃するのではなく宗谷海峡、津軽海峡、対馬海峡、大隅海峡、宮古海峡などのチョークポイント(戦略上重要な水上交通路)での待ち伏せ攻撃である。呉や横須賀からチョークポイントまではスノーケル航行してリチウムイオン電池に充電しチョークポイントでは待ち伏せ攻撃を行うので速度の鈍いAIPを使うまでもない。戦闘海域ではリチウム電池を多く積んだ方が有利である

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生存性を考慮すれば水面下で充電できる装置として燃料電池を搭載する方が望ましい。だが、「たいげい型」に燃料電池を搭載しなかった。これは水素吸蔵合金の技術的進展が遅滞し調達コストが高価になる見込みとなったためである。しかし、2014年12月にトヨタ自動車が燃料電池搭載車MIRAI,ホンダも2016年3月に燃料電池搭載車ホンダ・クラリティ フューエル セルを発売し、一気に民間での燃料電池の普及が進みコスト的課題がクリアーできた可能性がある。新型潜水艦と表現するのだからSS29には燃料電池を搭載する可能性があるが、いまのところ不明である。
リチウムイオン電池

リチウムイオン電池とは、正極と負極の間をリチウムイオンが移動することで充電や放電を行う電池のことです。二次電池の一種で、スマートフォンやノートパソコンEVなど、幅広い機器に使用されています. 軽量で高電圧が出せるのが特徴で、現在最も大容量の電力を蓄えることが可能な電池です.
現在のリチウムイオン電池は、プラス(正極)にリチウム化合物、マイナス(負極)にカーボン系材料が主に使われています。充放電のときは、その2つの電極の間をイオンが行き来します。ここでイオンの往来する道となるのが電解質。現在のリチウムイオン電池は、有機溶媒と呼ばれる液体が使われます。

〈図〉リチウムイオン電池の構造

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正極と負極が触れ合わないように、セパレータ(池の正極と負極を隔て、イオン伝導性を確保する材料:)リチウムイオン電池など、二次電池で短絡を防ぎ、イオンが行き来できるようにするための板状の材料)が存在。セパレータはリチウムイオンを通し、流れを阻害しない。

全固体電池

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特徴は「中身すべてが固体」であること。実のところ、今ある「リチウムイオン電池」は、その中身に電解質という液体が使われています。その液体を固体化したものが「全固体電池」となります。リチウムイオン電池の進化版と言ってもいいでしょう。

固体電池」>「リチウムイオン電池」

液体を固体化することで、全固体電池は、さまざまなメリットを得ることができます。まず、充電スピードが速くなります。トヨタ、日産、ホンダが世界的に先行して全固体電池を開発している。自動車メーカーいわく、充電にかかる時間は3分の1に短縮されます1)。さらに、電池の容量も大きくなります。これも自動車メーカーいわく、エネルギー密度が2倍2)。また、固体ですから液漏れがなく、安全面でも利点がありますし、作動温度範囲も広く、高温や低温状態でも充放電が可能です。

トヨタ、日産、ホンダという3社が、足並みをそろえて2028年頃の市場導入を目標に掲げています。現実的には1~2年ほどの誤差はあるはずですが、それでも2030年までには、各社から全固体電池を搭載したEVが発売されているとのこと。

全固体電池を搭載することで潜水艦は、より長時間シュノーケルによる充電なしで活動できるようになり、そして充電にかかる時間も圧倒的に少なくなる。

空気電池空気


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【日本化学未来館】電極・電解質・イオン種、全方位で進化し続ける二次電池(酸素)を使った電池です。その軽さと、理論的には貯められるエネルギー量が最も多いので、
“究極の二次電池”などとも呼ばれています。
容量はリチウムイオン電池の15倍
「空気電気」>「固体電池」>「リチウムイオン電池」

燃料電池
次世代潜水艦でディーゼル+超高性能電池+燃料電池が採用されるかマイクロ原子炉を搭載否かはわからないがマイクロ原子炉げなければ燃料電池になる可能性も高い。 
瞬発力を出して水中高速を出した後、海面でシュノーケルで充電するか海底で燃料電池で充電するか選択オプションがある方が、生存力は高いと思う。次世代潜水艦は外洋でも原潜に対峙できるようになると思う。
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リチウムイオン電池の改良安全性
LiBはエネルギー密度が高い優れた電池ですが、可燃性の電解質を含んでいることから発火や爆発の危険性があるのです。 特にEVには高電圧部品が搭載されていることから、事故などによって大きな衝撃・圧力が加わった場合に、発火などの二次的な被害が世界的に多発しています。

軍艦である潜水艦は、戦闘時損傷すれば、電気化学セルのショートも引き起こしかねない。結果、加熱され、リチウムと電解質との反応により可燃性ガスが生成され、燃焼および温度の急上昇が起きる。
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こうした例はよく知られている。電池の損傷から複数台のテスラ電気自動車が炎上した。燃え盛るリチウム電池の消火は非常に難しい。リチウム電池は空気に触れずに燃え、リチウムと水の反応は水素を生成するからだ。鉛蓄電池は様々な問題があるが、燃えない。

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そのため、執拗な追跡と爆雷による攻撃という極限状況下で、リチウムイオン電池搭載潜水艦のリチウムイオン電池は強く損傷し、発火するおそれもある。火災は潜水艦にとって最も恐ろしい危険性だ。そのため、おうりゅう以降の搭載リチウムイオン電池は、発火しにくいリチウムイオン電池の開発に成功したと言う。

 リチウムイオン電池・安全性




我が国は、安全で信頼性の高い潜水艦用のリチウムイオンバッテリー開発に多額の予算を投じてきた。より強靭な隔壁、安定した原材料と自動消化器などを導入し、数々のストレス実験によって、戦闘時にも安全性が求められると判断し、実用化に至ったという。「おうりゅう」用のリチウムイオン電池の開発には、GSユアサが参画した。

※参考
リチウムイオン電池発火事故が多発して、サムソン製のスマートフォンは飛行機に持ち込み禁止となっているが、おうりゅう進水報道直後、あせった韓国海軍は自国の潜水艦にもリチウムイオン電池を搭載すると発表してしまった。島山安昌浩級潜水艦バッチ2以降は従来の鉛蓄電池にかえてリチウムイオン蓄電池が導入さる。バッチ2 1番艦2023年3月30日起工 2番艦2024年7月12日起工 3番艦発注済 まだ就役した艦はない。怖ワ!

関係者は、「潜水艦用のリチウムイオン電池は、まず安全性が重要だ。ある程度蓄電量を減らすことでより高い安全基準を確保できた。また、新たな電池は爆発や海水、火災、及び極端な温度などの劣悪な条件でのテストも経験している」と語ったとのこと。たぶん見栄とケッチャナヨな無責任な嘘であろう。韓国製リチウムイオン電池搭載の韓国製潜水艦の乗員は相当の勇気と覚悟が要るはずである。(笑)南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏


【3】攻撃兵器 防御兵器 UUV

■ ①:新型魚雷

29SSには日本独自開発の潜水艦用長魚雷18式魚雷(ひとはちしきぎょらい)(G-RX6)が搭載されると思われる。これは従来の89式魚雷を改良したもので、複雑な音響環境でも目標識別と高精度の近接起爆が可能です。

さらに、推進装置には低振動の新型タービンが用いられることで、発射時の騒音も抑えられ、ステルス性を一層高める仕様になっていると見られます。



現在、500mをこえる深々度魚雷を製造している国は世界で日本以外にはない。
現在自衛隊に実戦配備されている89式長魚雷は静粛性を重視し、長距離航走を可能とするため、水素・酸素燃焼タービンを採用。有効射程 27海里 / 50キロメートル(40kt時)21海里 / 39キロメートル(55kt時) 速度55ノット (102 km/h)※最大70ノット (130 km/h)説も 
 
89式の最大深度は最高軍事機密なのでかつて余命さんのHPで目にしただけだったが、89式の最大深度は900mとの噂 18式の最大深度等の噂はまだ耳にしていないが「そうりゅう型」「たいげい型」が最大深度1000mであれば18式は水深1000mからの発射は可能ではないだろうか?遠距離から89式長魚雷/G-RX6を発射し深海を走行し直下まで接近したところで垂直上昇攻撃するというスタイルをとれば標的となった潜水艦はまったく防御が不可能である。

日本の兵器はその兵器の能力がカタログスペックを下回ることはまずありません。潜航深度900mとあれば、それ以上。深々度魚雷の攻撃深度が900mとあればこれもそれ以上の能力を持っている。潜航深度900mとあれば、それ以上。深々度魚雷の攻撃深度が900mとあればこれもそれ以上の能力を持っている。

潜水艦の潜行可能深度というのはかなりレベルの高い機密になっているため、不明ですが
ウィキペディアでは
アメリカオハイオ級(1970)300mロサンゼルス(1972)457mシーウルフ(1990)610m
イギリストラファルガー級(1980)600m アスチュート級(2000)300m以上
ソ連/ロシアタイフーン級(1980)400m ボレイ級(2000)450m
日本はるしお級(1980)550m前後おやしお級(1990)600から650m

潜水艦用長魚雷18式魚雷(ひとはちしきぎょらい)(G-RX6)

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高性能な水上艦船及び潜水艦に対し、高度なTCCM機能※ を有し、深海域から浅海域までのいずれの海域においても探知、追尾及び命中性能に優れる潜水艦用長魚雷を開発中です。
※TCCM:Torpedo Counter Counter Measures(魚雷攻撃から母艦を防御するために魚雷を欺瞞或いは 妨害された際の対抗手段)
海自は更に次世代の新型魚雷(ステルス魚雷)を研究開発中である。

イメージ 7 新型魚雷(ステルス魚雷)
静粛型動力装置搭載魚雷 要旨 評価書 参考
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おとりと本当の標的をソナーで区別し、弾頭の爆発時間調整により深海、浅海それぞれの交戦に応じた効果を実現する。攻撃対象には水上艦艇、および潜水艦。

囮装置をはじめとする魚雷防御手段などへの対応能力向上や、深海域のみならず音響環境が複雑となりやすい沿海・浅海域においても目標を探知・攻撃できることを目的としている。

目標の形状を識別し、囮との区別も行える音響画像センサーおよび、同様に囮識別に有効かつ最適タイミングでの起爆が可能なアクティブ磁気近接起爆装置が搭載される。

本魚雷の開発に当たり89式魚雷の部品を活用するとあり、動力機関も踏襲している。使用燃料は試験時にオットー燃料IIを採用している。

魚雷は、目標を直撃したときでけでなく、目標の近くを通った時にも爆発する必要がある、このため磁気起爆装置が付いている。これまでの起爆装置は目標の艦艇から生じる磁気を感知して爆発する仕組みだった。これに対し「アクテイブ磁気起爆装置」は、自らが磁気を出し目標の艦艇により磁場が変わることを感知して最適タイミングで起爆する装置。これで「18式魚雷」は正に一撃必殺の長魚雷となった。
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(防衛装備庁)アクテイブ磁気起爆装置を搭載する18式長魚雷の概念図。
平成31年度に開発費94億円が計上され、三菱重工が開発・製造を担当、初号機は2022年(令和4年)2月に納入される。
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18式長魚雷に搭載する「アクテイブ磁気起爆装置」。写真の黒い四角部分が磁気センサー。このセンサーは小さな囮/デコイなどは検知しないし、海底や海面からの残響などの影響を受けないので目標を確実に捕捉できる。



 ②:VLS Vertical Launch System(垂直発射システム)

潜水艦の垂直ミサイル発射システムの研究に297億円
日本政府は、2022年12月に発表した「防衛力整備計画」に、垂直ミサイル発射システム(VLS)を搭載した潜水艦を開発することを盛り込んでいます。
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水中垂直発射総理の研究イメージ(画像:防衛省)
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川崎重工次期潜水案のコンセプト案「そうりゅう型」「たいげい型」と異なり中央構造物(セイル)がやや船体後方に移動している(画像川崎重工)

③潜水艦発射ミサイル
  • 魚雷発射管(水平発射)・・・既存の潜水艦の装備。直径533mm
  • VLS(垂直発射)・・・将来の潜水艦に装備予定。大きさは未定

 なお防衛省は潜水艦用のVLSれとは別に魚雷発射管から発射できるタイプのミサイルも開発する現在開発中の12式地対艦誘導弾能力向上型は大型化した上にステルス形状化の為に角張った断面をしており、直径533mmの円筒に収まりそうにありません。

  • 魚雷発射管から(水平発射12式地対艦誘導弾能力向上型の形状を変更(推定射程:200~400km以上))ハープーンHarpoon
  • VLS(垂直発射)から17式艦対艦誘導弾の水中発射型、形状変更は不要(推定射程:400km~1500km以上)トマホーク (BGM-109 Tomahawk) 島嶼防衛用高速滑空弾(性能向上型推定射程:3000km以上)
  •  現時点では「潜水艦発射型誘導弾」がどのような設計になるのか詳しい説明はありません。17式艦対艦誘導弾は12式地対艦誘導弾(通常型)から派生した対艦ミサイルなので、どちらにせよ12式地対艦誘導弾の派生型となりそうです。島嶼防衛用高速滑空弾についても検討されると思う。
  • VLS(垂直発射)から07式垂直発射魚雷投射ロケットも検討されると思います

 巡航ミサイルの水中発射型はミサイルを丸ごとカプセルに収納して射出して、海面でカプセルを脱ぎ捨ててブースターに点火して上昇しますが現時点では不明。

④TCM潜水艦魚雷防御システム
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散水上艦や敵対潜機から発射されて接近する魚雷を防御するために潜水艦魚雷防御システム(TCM:TorpedoCounterMeasures)が開発され、“そうりゅう’’型8番艦(2017年就役の‘‘せきりゅう”)から装備が開始されている。自走式デコイ(MOD:MObileDecoy)および発射機で構成されているTCMは魚雷防御に極めて重要であり、次世代潜水艦にも装備が継続されるだろう。


TCM-torpedo counter measure

⑤:静粛性潜水艦用静粛型駆動システム 
静粛性

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事業名 潜水艦用静粛型駆動システムの研究試作 

諸外国において、潜水艦を探知するソーナー技術の進展は著しく、従来は検出対象としていない雑音から探知できる可能性が高まっていることから、我が国の潜水艦においても雑音の静粛化対策は喫緊の課題となっている。そのため、本事業により、駆動装置から発生する雑音を低減する新たな方式の静粛型駆動システムに関する研究を行い、潜水艦の更なる静粛化潜水艦の駆動装置が発する雑音を低減させるため、新たな方式に変更することで、潜水艦の更なる静粛化を図り被探知防止能力を向上させる必要がある。

熱排出の課題

マイクロ原子炉による熱排出は探知リスクを高める可能性があり、熱音響的ステルス技術や冷却系統の静音化が求められます

量子センサーの課題



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無人機UUVとの連携
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近年は無人機器の開発が盛んであり、軍用に限らず無人航空機(UAV)、無人水上艇(USV)または無人水中艇(UUV)のような形態で運用されている。しかし潜水艦からUSV発進・運用の必要性は低いと考えられて世界的にも実例は見当たらないようであるが、
無人機との連携が考えられている。

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将来的にはUUVを従え、機雷の敷設/掃海母艦となる可能性がある。本艦が機雷を水中曳航する複数のUUV艦隊を誘導し、仮想敵沿岸地域に機雷を秘密裏にばら撒くことも可能である。また危険な機雷が敷設された海域における機雷探知や掃海をUUVに任せることも可能だろう。敵潜水艦の音響情報の収取等にUUVと連携もありうる。
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【4】29SSやその後継艦の展望 ― 原子力や核融合の可能性は?

さらに未来を見据えると、29SSやその後継艦にはマイクロ原子炉、あるいは核融合による動力の導入も議論されています。特にレーザー核融合はCO₂を出さず、放射性廃棄物もほとんど出ないクリーンな技術として注目されており、安全性の高さから再生可能エネルギーとしても期待されています。

重水素を燃料とする核融合は、海水から容易に得られるため、日本のように資源の乏しい国にとって理想的なエネルギー源とも言えるでしょう。

■ 三菱重工が提示した次期潜水艦29SSのコンセプトは、従来の常識を覆す革新に満ちています。高速・静音性・高性能センサー・先進魚雷・次世代バッテリーなど、その全てが未来の海中戦闘を見据えた設計です。
原子力や核融合については、第8章:次世代潜水艦計画総括と未来展望にて

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将来戦闘機イメージ 画像元・防衛省
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将来戦闘機イメージ 画像元・防衛省

Team Tempest's next-generation combat aircraft

Why is the future Anglo-Japanese fighter gonna be bigger than F-22?

GCAP(グローバル戦闘航空プログラム)は、日英伊による第6世代戦闘機開発計画。日本のF-Xと英国のテンペスト計画が合流。スウェーデンは2023年に参加見送り。日英の要求は一致:双発・長航続距離・大型ミサイル搭載・マルチロール・高ステルス。F-35やユーロファイターを超える性能、特にセンサーとネットワーク能力が強調される 日本は過去に米国と開発協力したが、ソースコードなどの技術共有が拒否されたため、今回は英国と対等な関係で開発。輸出面でも日欧で市場分担。技術実証機(デモ機)は英BAEが開発。ステルス性よりも兵器ベイの試験が主眼。エンジンダクトはF-22より長く、大型機の設計が示唆されている。エンジンは日本のIHI製XF9が基礎で、ロールスロイスが可変サイクル技術などを支援。将来的に20トン級の推力と360kWの発電能力を目指す。高出力レーダーも開発中で、広域を同時に監視するマルチフェイス型AESAが想定。将来的にはAWACS的能力を戦闘機自体が持つ可能性あり。AIがパイロットのバイタルを監視し支援。構造には3Dプリントと接着技術を活用し、従来より10%軽量化無人機(ロイヤル・ウィングマン)との協調も視野にあり、将来は複数機の無人機を1機で制御。日米で共同開発の可能性もある。機体はF-22より大型でミサイル搭載数も上回る可能性。日本のASM-3対艦ミサイルの内蔵運用も目標にしているが、実現性は不明。ステルス性能では英国BAEのノウハウが活用される見込み。初期生産は2035年ごろ、日英伊で計300機の導入を想定。予算と情勢により変動の可能性あり。

目次

序章:GCAP/F-3戦闘機とは何か
第1章:GCAP/F-3開発状況と最新情報 ― ファンボロー航空ショーで見えた進化
第2章:開発背景と設計思想 ― 臥薪嘗胆から捲土重来GCAP/F3へ
第3章:技術的革新と運用能力 ― 第6世代への飛躍
第4章 随伴無人機「ロイヤルウイング」と統合戦能力
次ページ
第5章 次期戦闘機GCAP/F-3輸出解禁 ─ 兵器輸出の戦略的役割と日本の国益への貢献
第6章 日英伊共同開発GCAPF3烈風とテンペストの将来装備
第7章: 将来装備 ― 電磁パルス兵器、レーザー兵器、新型中距離空対空誘導弾
第8章:GCAP運用シナリオと戦術的展開 ― マルチロール機としての運用
第9章:GCAPの目を創る ― 日本が主導する未来型AESAレーダーとその核心技術れるか?
第10章:国家技術力の象徴としてのGCAP ― 新世界秩序と日本の立ち位置の変化、米戦闘機にとってかわれるか?第11章:まとめ:GCAPは「令和の烈風」となり得るか?


防衛省・自衛隊防衛省・自衛隊】次期戦闘機の開発について

序章:GCAP/F-3戦闘機とは何か

日本、イギリス、イタリアの三カ国が共同で進める**GCAP(Global Combat Air Programme)**は、世界に誇るべき次世代戦闘機開発プロジェクトである。このGCAPにおいて、日本が担当する機体が通称「F-3」だ。

このF-3は、従来の第5世代戦闘機を凌駕する第6世代戦闘機として設計され、ステルス性能、ネットワーク連携、無人機随伴運用、さらには将来的なレーザー兵器搭載を視野に入れている。GCAPは、単なる戦闘機開発に留まらず、国防、産業、外交戦略を一体化する国家的な超プロジェクトなのだ。


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GCAP新構想(画像:BAEシステムズ)日の丸仕様
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GCAP新構想(画像:BAEシステムズ)英ラウンデル(英: roundel)仕様
イギリスは、2018年7月に発表した国防省の「戦闘航空戦略」において、将来戦闘航空システムの一環として、2030年代後半から退役が予定されているユーロファイター タイフーンの後継機(BAE システムズ・テンペスト)の開発を決定した。
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GCAP新構想(画像:BAEシステムズ)ラウンデルイタリア仕様
イタリアは、2019年9月、イギリスのテンペスト計画に参加することを表明。2020年12月、イギリス・イタリア・スウェーデンは、テンペストの共同開発に関する3カ国間覚書に署名した。

GCAPへの経緯 グローバル戦闘航空プログラムwiki
日本は、2018年に策定した中期防衛力整備計画(31中期防)でF-2戦闘機の後継として日本主導の戦闘機開発を決定、2020年に三菱重工が開発主体に選定されF-X計画を始動させた。2020年12月、防衛省は技術開発を支援する海外企業として、アメリカ合衆国のロッキード・マーティンを選定する方針を示したが、 2022年5月、開発支援企業を英国のBAEシステムズへ変更する意向が明らかにされた。

共同開発計画

開発コストを削減する手段として、両方の戦闘機プロジェクト(F2後継計画とテンペスト計画)を統合する議論は、早くも2017年から始まっていた。 2022年7月19日、イギリス政府は日本とイタリアと次期戦闘機の開発で協力を強化すると発表。2022年8月14日、日本の複数の政府関係者も、日英の次期戦闘機開発計画を統合し共通機体を開発する方向で最終調整に入ったと明らかにした。9月には、BAEシステムズ・テンペストの開発計画でイギリスと協力関係にあり、F-35を運用するイタリアの参加が検討されていると報じられた。

2022年12月9日、日英伊政府は、グローバル戦闘航空プログラム(GCAP)というプロジェクトの名のもとに、日本の次期戦闘機開発計画と英伊で進行中であったBAE システムズ・テンペスト開発計画を統合し、共通の戦闘機を共同開発し配備することを発表した。

第1章:GCAP/F-3開発状況と最新情報 ― ファンボロー航空ショーで見えた進化



第二次世界大戦後、ノースアメリカン P-51 マスタング~ ノースアメリカン F-86 セイバー(第1世代)
~ ロッキード F-104 スターファイター(第2世代)~ マクドネル F-4 ファントムII(第3世代)~  F-15 イーグル(第4世代)ゼネラル・ダイナミクス F-16 ファイティングファルコンE/F(第4.5世代)ロッキード・マーティンF-22 ラプター ロッキード・マーティン F-35 ライトニングII(第5世代)とアメリカは西側戦闘機市場を独占してきた。3月21日 トランプ大統領は第6世代戦闘機としてボーイング社が空軍の次世代戦闘機F47を製造 すると発表しました。



第5世代戦闘機F-35は世界中で採用されたが、最新型F-47(仮称)については、「モンキーモデル(性能劣化版)」しか他国に供給しない方針を公式に打ち出した。この動きに、米国製戦闘機に依存し支配されきった同盟国の中で強い失望と危機感が広がっている。

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FCAS 画像元

こうした情勢を背景に、GCAPプロジェクトに対し、新たな関心を寄せる国が続出している。
具体的には、カナダ、オーストラリアが参加に強い関心を示し、さらに、フランス・ドイツ・スペインという、元々別プロジェクト「FCAS(Future Combat Air System)」に参加していた国々までもが、方針転換を検討しているとの報道も出始めた。以前から参加希望を表明していたサウジアラビアも流動的だが
GCAPプロジェクトに加わる動きが進んでいる。



つまり、GCAPは単なる「日英伊三国開発」に留まらず、西側世界共通の次世代戦闘機に進化する可能性が出てきたのである日英伊3カ国による次世代戦闘機開発計画「GCAP(Global Combat Air Programme)」は、着実にその歩みを進めている。

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F-47 画像元

第二次世界大戦後米国が事実上西側諸国の次世代戦闘機市場を独占していたが、米国は最新鋭機「F-47」の開発を進めるが、同盟国には「モンキーモデル(輸出劣化版)」しか提供しない方針を明確化した。これにより、日本・イギリス・イタリアによる独自の戦闘機開発プロジェクト、GCAPは、世界の注目を一身に集める存在となった。


2023年3月の「DSEI JAPAN」で初公開された次期戦闘機模型画像元

特に2024年夏、イギリス・ファンボロー航空ショーで公開されたGCAPの最新モックアップは、世界中の航空宇宙関係者を驚かせた。
ロンドンから約50km、ファンボローで開かれた国際航空ショーには、各国の航空関連企業が最先端技術を持ち寄ったが、その中でも最大級の関心を集めたのがGCAP次期戦闘機の新コンセプトモデルだった。

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初公開された日英伊共同開発の次期戦闘機の模型(高橋浩祐氏撮影)

2023年に日本国内で展示されたモックアップと比較すると、最新モデルは明確な変化を遂げている。
以前は「ラムダウィング(λ型翼)」だったが、今回発表されたモデルでは、デルタウィング(三角翼)形状へと大きく設計変更されていたのだ。




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日本の次期戦闘機(F-X)イメージ図を基にしたCGimage007

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日本の次期戦闘機(F-X)イメージ図を基にしたCGimage007

ファーンボロ航空ショーで展示された模型
を基にしたCG
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これにより、機体全体はよりのっぺりとした一体感のある外観となり、ステルス性をさらに向上させる狙いが見て取れる。


一方で、翼の表面積が増えたことにより、航続距離や速度性能の向上が期待できる反面、ステルス面での課題も生じる可能性があるため、今後の続報が待たれる。


現地での関係者説明によれば、今回の形状変更は、「飛行性能とステルス性の高度なバランスを追求した結果」であり、特に長距離侵攻任務広範囲な空域防衛を視野に入れた仕様変更だという。

また、ファンボロー航空ショーでは、GCAPプロジェクトの国際展開についても新たな動きが見られた。カナダ、オーストラリア、さらには「FCAS(Future Combat Air System)」を進めてきたフランス・ドイツ・スペインまでもが、米国戦闘機のモンキーモデル政策に懸念を強め、GCAP参加を模索する動きを見せ始めている。

さらに、以前より参加希望を示していたサウジアラビアも、
中国が開発を進める第5世代ステルス戦闘機J-35のセールスを受けていたが、これを断ったされている。これは日本、英国、イタリアの第6世代戦闘機開発計画GCAPに参画するための協議を続けるサウジアラビア政府の姿勢を反映したものとされる。サウジは自国空軍での採用以上に自国防衛産業の育成につなげる目的があり、強い参加意向を持つ、英国イタリアは積極的だが日本としてはサウジの資金力に期待するものの、サウジは条約に基づく参加国とは異なる「パートナー」として参画に留まってほしいと考え本格的な交渉段階に入りつつあると報じられており、GCAPが**「世界戦闘機」としての地位を確立する可能性**も現実味を帯びてきた。

この拡大の鍵となるのが、第三国への輸出である。

日本政府は2025年3月、次期戦闘機GCAPについて、第三国輸出を解禁する方針を正式に閣議決定。
公明党などの慎重論を乗り越え、紛争国などへの輸出制限を条件に、国家戦略レベルでの輸出政策転換が実現した。

イギリスやイタリアも、開発コストの回収と規模の経済達成を狙い、積極的な輸出を志向しており、日本も足並みを揃える形となった。

なお、ファンボロー航空ショー期間中、イギリスを訪問していた木原防衛大臣は、英伊両国の防衛大臣と直接会談し2035年の配備に向けたGCAP開発スケジュールの維持と緊密な協力関係の継続を確認した。この一連の動きにより、GCAPは単なる日本向け戦闘機開発にとどまらず、新たな西側次世代戦闘機プラットフォームとしての地位を固めつつある。



第2章:開発背景と設計思想 ― 臥薪嘗胆から捲土重来GCAP/F3へ

日本における戦闘機開発の歴史は、まさに「屈辱と執念」の連続だった。

1945年の敗戦により、連合国によって航空機の開発・製造は禁止され、すべての飛行機を破壊され、航空機メーカーを解体され、大学の授業から航空力学の科目を取り除かれた。日本の航空産業は一度壊滅した。1955年かつてゼロ戦を開発した堀越二郎氏など戦前の技師を中心に国策プロジェクトとしてYS-11は始動し1962年YS-11は初飛行した。


しかしながらエンジンは英ロールスロイス社製でプロペラも同ダウテイロートル社製。タイヤは米グッドイヤー礼製、操縦システムや無線は米ロックウェルーコリンズ社製。機体素材のジュラミンも米アルコア社の世話になった。 「国産機です」と胸を張れる代物ではなかった。それだけGHQの課した航空禁止令の枷は重かったのである。

YS-11の製作を決めた昭和30年(1955年)、中等練習機も国産化しようということになり、昭和33年(1958年)1月国産初のジェット練習機 ”富士 T-1「初鷹」”がYS―11より一足先に初飛行した。

1950年代、朝鮮戦争勃発に伴い、航空機開発の制限が緩和され、自衛隊向けにF-86戦闘機などのライセンス生産が開始された。

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富士 T-1「初鷹」はやがて、国産初の超音速ジェット練習機”三菱T-2”へとつながり、T-2は国産初の戦闘機”FST-2改”正式採用後は”三菱F-1”へと徐々にステップを登り、着実に脱皮していったが・・・・、



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FS―T2改 初号機(T-2 6号機)

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FS―T2改 2号機(T-2 7号機)

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三菱F-1

米国は冷戦の盾として
練習機改造の支援戦闘機(攻撃機)までは日本の航空機開発をある程度容認してきた。

1982年(昭和57年)7月、国防会議において「昭和56年度中期業務見積」(56中業)が了承され、この中に初めて「次期支援戦闘機 (FSX) 24機の整備」が盛り込まれた。1985年10月、防衛庁でF1後継機の総合検討が開始されると、(1)国内開発、(2)現有機転用、(3)外国機導入、という3つの選択肢のもとで組織的な検討作業が進められました。

事実上(1)国内開発が決まっていたのだが、日本の大幅な貿易黒字、1985年のプラザ合意後進行する大幅な円高、次第に米国による日本の国産戦闘機開発に圧力がかかり始めた。そうした中、1986年4月には、ワインバーガー国防長官と国賊代表の加藤防衛庁長官(ともに当時)の会談が行われ、米国側からFSX選定作業への「協力」の申し出があった。

1986年7月には、栗原防衛庁長官(当時)は、「軍事的合理性、IO(InterOperability日米の相互運用性)、あらゆる圧力の排除」という3原則に基づいて選定する姿勢を明確にしています。同年12月には、安保会議で「国内開発」の文言が「開発」と改められ、外国との共同開発を含むコンセプトに変わっていきました。

年が明けた1987年3月、東芝機械事件が表面化し、半導体協定違反を理由に対日経済制裁が発動されました。同年6月および10月に栗原・ワインバーガー会談が行われ、安保会議でF16ベースの共同開発が決定しました。なお同年7月には、米国上院において日本がFSXとして米機を購入することを要求する旨が決議されてしまった。当初のエンジンの輸入(ライセンス生産)を前提とした国産開発計画であった為、F-16戦闘機をベースとした日米共同開発へと妥協しなければ計画そのものが頓挫するため、当初の国産FSX計画は米国の圧力によって潰されてしまったのである。

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戦後、日本は「民間航空機開発」のみを許される状況下で、細々と技術を維持し続けるしかなかった。


しかし、日本独自の戦闘機開発への道は、米国による強い影響と制約のもと、厳しいものだった。

1980年代、ついに日本は悲願であった「国産戦闘機開発」へと踏み出す。それが、F-1支援戦闘機、続くF-2戦闘機(FS-X計画)だった。しかし、FS-X計画は、当初純国産を目指していたにもかかわらず、米国からの激しい政治・軍事的圧力によって、F-16をベースとする共同開発に屈する形になった。




F-16ベースとはいえカーナードをつけるなど大きな相違点があったのだが、

この「FS-X屈辱事件」は、日本の防衛産業・技術者たちに深いトラウマと怒りを刻みつけた。
さらに、F15の後継機として開発されたF22は
1996年から調達され、当初は750機の配備を計画していたが、コストが高すぎる点や戦術の見直しで、187機(試作機などは除く)で生産中止となった。

「ならば強引にでも友好国に売りつけて外貨を稼ごう」というのが米国のやり方だ。そこで、次期主力戦闘機を探していた日本やイスラエルに白羽の矢が立ち一時は日本も一時はF4EJ改の後継機としてF22の導入の方針を決めたのだが。だが、米議会は防衛技術の漏えいを恐れ、一切の輸出を禁じた。その間に、F-35の開発は進み、こちらは輸出の商談も順調に進みF2改良型の再生産も目論んだが米側の都合で断念となり、我々外野のミリオタは突如存在を明らかになった心神の戦闘機化量産を期待したが、実現には程遠く日本は選択肢がない状態で止む無くF35の導入が決まった。「日本は永遠に米国製戦闘機を使うしかない」とする屈辱的な現実を突き付けられた。

純国産戦闘機FS-Xの中止はロッキード事件の発端となったP2Jの後継機国産対潜哨戒機PXLの中止もあり、国産戦闘機の開発を目指す防衛庁・航空自衛隊、そして三菱重工業をはじめとする企業群に、強烈な危機感を植え付けた。そこで日本は米国に悟られないよう慎重に後にATD-X計画⇒X2となる実験機「高機動運動研究機」のプロジェクトが国産FSXが潰された直後かに始まった。
①『「甦る零戦」副題:国産戦闘機VS.F22の攻防 春原剛 著(新潮社)』を読むその1”揺れる日米同盟”
②『「甦る零戦」副題:国産戦闘機VS.F22の攻防 春原剛 著(新潮社)』を読むその2”守屋前事務次官と田母神前航空幕僚長”
③『「甦る零戦」副題:国産戦闘機VS.F22の攻防 春原剛 著(新潮社)』を読む その3”ゼロの遺伝子を守る”

このトラウマは日本独自の空を守るためには、「純国産で世界最先端の戦闘機を開発できる力」を持たねばならないと考える私のような末端のミリオタですら、臥薪嘗胆の精神(なにがなんでも純国産戦闘機開発実現するぞ!の精神)を持ち続けてきた。

F-1後継機としての国産FSXがF-2となった後F-4EJ改の後継機の第4次FX戦闘機選定で日本はF22採用を熱望した。冷戦崩壊後日本を仮想敵国となる可能性がある国であると見做していたこともあり、F22のFX採用を米国は認めなかった。日本は第4次FXの機種選定でF-2改良再生産F15サイレントイーグルなども模索していた、最終的にF-35、タイフーン、F-15FX(F-15Eストライクイーグルベースの空自向け仕様)の3機から選定することとなった。
当ブログでは国産戦闘機実現するうえで最良なのはタイフーンではないかと思いタイフーンを推していた。


わたしのような素人ミリオタ達は突如公表された「心神」モックアップの国産戦闘機としての開発を期待した。だが、第4次FXでの純国産戦闘機開発は時期尚早と「心神」は実験機の枠から飛びだすことなく、夢は叶わずご存じのごとく予想通りF-35の採用となった。この記事を読んでいただいているような皆様方の多くはF35を世界最強と絶賛されている方がと思いますが、当ブログではF35に対しネガティブであった。F35はF-4EJ改の後継機分50機弱に留めF15の後継にはなってほしくなかった。F35の採用機数は次に控えたF2後継の次期戦闘機の採用数を確保する為にできるだけF-35の採用数を抑えてほしかった。当ブログではF35に対し厳しい批評を加えてきた理由である。

F2後継の次期戦闘機コンセプト


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次期戦闘機(NGF)プロジェクト

  • 第六世代戦闘機としての高ステルス性

  • 超長距離侵攻能力

  • 有人・無人統合戦闘能力(MUM-T)

  • 完全なセンサーフュージョンとクラウドネットワーク戦闘
    を見据えた、未来型航空戦闘システムとして現在設計開発されている。





捲土重来、2016年4月22日X-2「心神」試験機の初飛行、X-2は、最新鋭のステルス技術、推力偏向ノズルによる高機動性、次世代センサー融合技術を盛り込み、「日本には次世代戦闘機を開発できる技術基盤がある」ことを世界に示した。これが新たな国産戦闘機プロジェクトコンセプトモデル「i3 FIGHTER」⇒ 次期戦闘機(NGF):F-3次期戦闘機プロジェクトとなった。

米国およびエージェント達は
次期戦闘機(NGF):F-3次期戦闘機プロジェクト国産戦闘機潰しは執拗に続いた。


例えば、防衛省、F3戦闘機の開発決定先送り検討=関係者

【ロイター】2017年11月13日 
のニュース 防衛省、防衛省、F3戦闘機の開発決定先送り検討か?2017-11-13 15:52:25 
http://ddogs38.livedoor.blog/archives/18205644.html
については、防衛関係者が一堂に集う防衛技術シンポジウム2017の前日にリークがあり、明らかに、国産戦闘機F-3を潰す目的が見え見えのリークであった。


防衛省/防衛装備庁や航空機業異界純国産戦闘機実現への決意は固かったが、単独開発には膨大な費用とリスクが伴う。経済合理性と量産化の現実性を考慮し、国際共同開発という道が模索され始めた。米国との共同開発をするとFSXの悪夢の再現にらると危惧したが、幸いなことにユーロファイター タイフーンの後継として計画された英国(テンペスト計画)との時期コンセプトが重なり、テンペスト計画に参加していたイタリア(レオナルド社)も加わり、日英伊三カ国によるGCAPプロジェクトが正式にスタートしたのである。








GCAP/F-3は単なる「次の戦闘機」ではない。それは、敗戦から80年の時を経て、日本が独自の空の支配権を取り戻すための国家的プロジェクトであり、米国の都合に振り回され続け「臥薪嘗胆」「捲土重来」を体現する、文字通りの「令和のゼロ戦」いや「令和の烈風」である。(防衛省が旧海軍の戦闘機名「烈風」を愛称に使う方向で検討している) 設計思想においても、従来の第5世代機(F-22、F-35)を真似した優秀な第5世代戦闘機を作るのではない。第6世代戦闘機の鏑矢となる戦闘機となるであろう。


世代が1つ違うと前世代戦闘機は後世代戦闘機にまったく勝機がないとされている。

有名なエピソード例が
F-22VS第4世代戦闘機におけるF-22の圧勝例だろう。

2006年夏、米アラスカで米国の第5世代戦闘機F22Aラプターと、当時の米主力第4世代戦闘機戦闘機F15・F16・F18による模擬空中戦の訓練が行われた。

  結果は。「144対0」と「241対2」。1週目の訓練ではF15・F16・F18が144機撃墜されるまで、F22は1機も墜落しなかった。そして訓練が全て終了するまでにF15・F16・F18は241機撃墜されたが、F22はたった2機しか墜落しなかった。

 決定的な勝因は、レーダーに捉えられないF22のステルス機能だ。F22はレーダーに映らないため、F15・F16・F18はF22が接近していることも知らないまま、数十キロメートルの距離から中距離空対空ミサイルなどに不意打ちを食らったのだ。


GCAP/F-3は、
次期戦闘機(NGF)で培った技術を基に第5世代でなく初の第6世代戦闘機として

日本が過去に味わった数々の屈辱と教訓を糧に、そして世界最高の技術を融合するプロジェクトである。GCAP/F-3烈風は、日本と日本と同じく民主主義を守る国々の空を守る守り神として羽ばたこうとしている。

第3章:技術的革新と運用能力 ― 第6世代への飛躍

第6世代戦闘機とは何か?

戦闘機の世代は、単なる技術進歩の区切りではない。それは戦場そのものの変化に適応するための、戦闘思想の進化である。

第5世代(F-22、F-35)では「ステルス性」と「高いセンサーフュージョン」が重要だったが、
第6世代戦闘機に求められるのは、さらに次の要素だ。

  1. 超高度ステルス性(あらゆる波長に対する不可視性)

  2. 無人機統合戦闘(MUM-T)能力(分散型チーミング)

  3. クラウドネットワーク戦闘

  4. 自律AI搭載による自己判断と自己最適化

  5. 超長距離侵攻能力

  6. 高機動性と超音速巡航(スーパークルーズ)

  7. 最新エネルギー兵器・電子戦能力
    その他次期戦闘機(NGF)計画時

    ・完璧なステルス特性は重視しな代わりに、極超音速飛行能力と行動半径の長距離化。

    ・主要な航空機コンポーネントを数時間以内に交換してミッション要件に最適化し、将来のアップグレードの導入を容易にする、翼のハードポイントを超えたよりモジュラー設計。

    ・主にシミュレーターでトレーニングが行われる、単座のみのコックピット。

    ・必要に応じて、同一機体で無人機化(リモートコントロールまたはAIコントロールのミッション)の実行。

    ・制空戦闘機の防衛と偵察の両方の役割を果たすウイングマンの運用。複数の無人機を無人機群として制御する。

    ・データを受信して​​他の航空機、地上車両、衛星などの他の複数のプラットフォームに中継し、そのデータをオンボードで処理して新しいターゲットリストを動的に生成したり、ミッションパラメーターをその場で更新したりできるネットワークノードとして機能する航空機との戦場データの融合。

    ・ドローンが敵の空域内で偵察を行い、敵の空域外に安全に留まる戦闘機にターゲティングデータを提供することで、長射程距離の兵器を運用。

    ・パイロットが360度の視界を確保し、コックピットディスプレイを廃止できる、仮想コックピットヘルメット搭載ディスプレイ。

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    防衛装備庁技術シンポジウム2022の動画(3:30:41~参照)音声と操作レバータッチパネル、ARゴーグル等で操作しているがあなり慌ただしい。

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空対空戦闘を行う無人戦闘機は、従来の遠隔操作型の偵察/攻撃型無人機に比べAI技術を駆使して高次元の自律飛行能力が求められる。アニメ機動戦士ガンダムの世界では、複数の子機(ファンネル)を動かして戦うように戦闘が進化していく。複数の子機(ファンネル)戦うにはニュータイプという一種の超能力者のみ可能との設定だった。空自の戦闘機パイロットは確かにニュータイプっぽい才能がある人でないと務まらないかもしれませんが、空自の戦闘機パイロットは超能力者ではないので、無人戦闘機の操作性は簡易でなくてはならない。


GCAP/F-3は、これらすべてを満たすことを目標に設計されている。
単なる「改良型」ではない。航空戦のパラダイムを変える位の存在なのである。


1. ステルス性能と機体構造・新素材

GCAP/F-3の最大の特徴は、超高度ステルス設計である。
外形はファンボロー航空ショーで公開されたモックアップに示されたように、
従来のラムダウィング構造(ひし形)から、デルタウィング(三角形)構造へと大きく変化した。

これにより、

  • 機体全体の表面積が増え、電波反射断面積(RCS)の最小化が実現

  • 機動性・続航距離の大幅向上

  • 機体全体でステルスを維持しながら、高効率な揚力とパワーを確保するためにも軽量化が図られる

    GCAP/次期戦闘機F-3烈風」の予想機体構造(一体化ファスナレス構造)
    将来戦闘機に向けたウェポン内装システムに関する研究


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    (構造図1)

    X2製造で用いられた複合材の接着
    成形を前提とした一体化・ファスナレス構造技術、ヒートシールド技術、高効率・高精度構造解析技術が用いられるだろう

    従来、機体構造の軽量化は主翼・尾翼・前胴に複合材を適用することで実現してきたが、構造重量の約50%を占める中胴・後胴は、F-2 戦闘機の主翼に適用した複合材の一体成形技術を用いると、大型かつ複雑な治具が必要となりコスト的に不利であるとともに、製造上の制約により上面外板はファスナ結合となる。
    一体化・ファスナレス構造技術及びヒートシールド技術とは
    、複合材製部品を接着成形によって結合し、複合材の適用部位の拡大とファスナの更なる削減を図ると。合金から、軽量なCFRP(Carbon Fiber ReinforcedPlastic)、アルミ合金等に変更し、機体構造の軽量化を図る技術である。(構造図1)(構造図2)参照


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    (構造図2)

    .高効率・高精度構造解析技術
    軽量化に伴う強度不足のリスクを局限するために は 、 詳 細 な 構 造 解 析 モ デ ル ( FEM(Finite
    Element Method)モデル)による解析が有効であるが、FEM モデルの作成に多大な時間を要するとともに、設計者の技量によってはモデルにバラツキが生じ、適切な解が得られない可能性がある。
    高効率・高精度構造解析技術によって、FEM モデルの作成を短期間で実施するために、自動で CAD(Computer-Aided Design)モデルから詳細 FEM モデルへ自動変換するツールを作成するとともに、モデル作成ルール及び破壊判定ルールを定めた次世代航空機構造解析基準を作成する。
    .構造要素供試体
    (構造図1右上構造要素供給試体参照)。
    構造要素供試体は内部に燃料タンクを構成する構造部位であり、燃料タンク圧を模擬した加圧
    試験を実施した。ヒートシールド技術については、別途、製作した供試体により耐火要素試験及び遮熱性能要素試験を行い、所要の耐火性及び遮熱性を有することを確認しており2024年ファンボロー航空ショーの展示においてラムダ翼からデルタ翼に変更になったのは日本の機体構造技術を採用したからだと思われる。で構造重量の低減を目指す技術である
    • 将来戦闘機ウェポン内装システム
  • image029

さらに、

ウェポンベイ周りの 複雑かつ厳しい空力荷重条件下におけるウェポ ンの短時間かつ確実な分離を実現するため、将 来戦闘機から発射した誘導弾の分離特性を取得 するための風洞試験模型及びウェポンリリースに 係る一連のシーケンスを干渉なく短時間で行うこ とを評価するウェポン内装ランチャー機構リグが必要となる。安全にウェポンを分離するためには射出力で誘導弾を分離するランチャー・システムが必要であり、防衛装備庁では入念な研究が行われた。
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大推力とスリムを両立させたハイパースリム戦 闘機用エンジンは大型のウェポンベイの確保に繋がりF35Aの 約2倍に相当する1万4500kgペイロードを搭載可能となる情報だ 。これは長距離空対空ミサイルや精密誘導 兵器、先進的なセンサー軍などを含む。なお、情報源の匿名英空軍幹部によると空中給油なしの航続距離は大西洋横断(約8,700km)以上が可能な開発されているとのことだ。
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従来型ステルス戦闘機を超える、**「全周・全天候型ステルス」**を実現しようとしているのだ。



2. 次世代レーダーとセンサーフュージョンimage063

GCAP/F-3には、新型アクティブ電子走査アレイ(AESA)レーダーが搭載される予定だ。
しかも単なるレーダー機能だけでなく、

  • 電子戦(ジャミング)

  • 通信中継

  • ターゲット指向性通信
    までを統合した多機能アレイとして設計されている。

複数のセンサー情報をリアルタイムで統合し、AIによって最適な戦術行動を提案・実行できる。
これが完全なセンサーフュージョンであり、
GCAP/F-3は「人間の直感」をも凌駕するサイバー戦闘機となる。
新型アクティブ電子走査アレイ(AESA)レーダーについては
第9章:GCAPの目を創る ― 日本が主導する未来型AESAレーダーとその核心技術〈参照〉

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「第6世代戦闘機のスペクトル支配」 


 従来の戦闘機は、基本電磁スペクトルの一部しかカバーできなかったが「第6世代戦闘機」では、電磁スペクトル全体にわたる優位性を獲得することを意味します。電磁スペクトルとは、電磁波の波長または周波数によって分類される範囲のことで、可視光線、赤外線、紫外線、X線、ガンマ線など、さまざまな波長や周波数の電磁波が含まれます。センサーで敵ステルス戦闘機の位置を特定できる能力を有する。image072
GCAP/F-3は、レーダー、赤外線センサー、電子戦機器など、電磁スペクトル全体をカバーするセンサーを搭載する予定です。これにより、敵の攻撃を早期に察知し、攻撃を仕掛ける前に敵を排除することが可能となる。


広帯域レーダー:可視光線からX線まで、広い帯域の電磁波を探知できるレーダーを搭載する。

広域赤外線センサー:可視光線から遠赤外線まで、広い帯域の赤外線を探知できるセンサーを搭載する。

電子戦機器:敵のレーダーや赤外線センサーを妨害する電子戦機器を搭載する。


スペクトル支配を実現したGCAP/F-3は、従来の従来の第5世代戦闘機、第5世代未満の戦闘機を圧倒する能力を備える第6世代戦闘機になります。そのため、今後の航空戦の形を大きく変える可能性がある。


3. XF9エンジン ― 日本発・世界最高水準の心臓

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XF9は、単発最大推力:約15トン
  • スーパークルーズ能力(アフターバーナーなしで超音速巡航)

  • 小型軽量化と高効率冷却による極限の耐熱性能 

  • 将来の指向性エネルギー兵器搭載を見据えた大容量発電性能

を備えている。

F-3次期戦闘機が日英伊共同開発GCAPとなった段階で英ロールスロイス社の登場で折角のXF9エンジンの採用はなくなったかと半ばあきらめかけていたが、
共同開発新エンジンの現状開発状況は公表されていないが現在、日本のIHI、英ロールス・ロイス、伊アビオエアロ社などが参加し、

GCAP用新エンジンは日本のIHI、英ロールス・ロイス、伊アビオエアロ社などが参加し統合開発チームを形成し、XF9をベースとした、より出力強化版の新型エンジンが共同開発されている。

現在IHIとロールス・ロイスのスタッフは月に一度くらいのペースで日本とイギリスを行き来して、詳細設計など開発に向けた作業を進めているとのことで。GCAPの試作機がいつ頃初飛行するのかは明らかにされていませんが、冒頭で述べたように航空自衛隊は2035年の就役を望んでいるので、遅くとも数年前にはエンジン開発と試作機の飛行試験を完了している必要があります。 

日本のIHIが開発したXF9-1エンジンは、 IHIが開発したセラミックマトリックス 複合材CMCが世界トップレベルの耐熱 軽量性能を持っており戦闘器用エンジンの 心臓部を支える存在となっています冷却 技術に関してもIHIは脅異的なブレード 冷却技術を確立しておりこれはロール スロイスが無視できない技術であり一方的にロールスロイスに飲み込まれるられるのではなくロールスロイス社のエンジンと融合しGCAP計画においても中核を成すより優れたエンジンになるはずである。まさに日英の技術の粋が結集した「未来のエンジン」である。

4. アビオニクスとネットワーク戦闘

GCAP/F-3は、単独で戦う存在ではない。
常に、無人随伴機(ロイヤルウイング)や地上指揮センター、宇宙衛星とクラウド接続され、
リアルタイムで情報共有・戦術更新を行う。

これにより、

  • 複数目標への同時攻撃

  • 敵の電子戦妨害を回避した通信・作戦継続

  • 無人機群を指揮する空中母艦的役割
    を果たすことが可能となる。

従来の「一機一戦闘」ではなく、ネットワーク全体で勝利を掴む航空戦
これが、第六世代戦闘機に求められる真の能力である。

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JUDGIT! 行政事業レビュー


事業の目的

戦闘機等の作戦及び任務の成否に影響を与えるミッションシステムを自国において自由に能力向上及び改善等ができるよう、柔軟な拡張性等を有するオープンアーキテクチャを適用したミッションシステム・インテグレーション技術について、Flying Test Bedを活用して実飛行環境下において確認する。オープンアーキテクチャ:システムを構成する機器間のソフトウェア、ハードウェア及び通信等の規格を共通化させること Flying Test Bed:評価対象となる機器を搭載し、飛行中の各種データを取得するための航空機
事業概要

多様なセンサやウェポンを統合・連携させたミッションシステムは、戦闘機等の作戦及び任務の成否に多大な影響を与えることから、ミッションシステムの開発、能力向上、改善等を自国で自由にコントロールできる能力を保持することが重要である。このため、本事業では、柔軟な拡張性等を有するオープンアーキテクチャを適用したミッションシステムを試作し、Flying Test Bedを活用した実飛行環境下での飛行試験等で検証を行うことにより、当該能力の基盤となる戦闘機等のミッションシステム・インテグレーション技術を確立する。
ミッション・システムMission systemとは軍用機が任務を果たすために使用するコンピュータや電子機器のこと。ミッション・アビオニクスとも呼ぶ。

オープンアーキテクチャ ( Open Architecture) とは、主にコンピュータなどの分野で、設計や仕様などの全部または一部を、オープン(公開、開放)にしたアーキテクチャ(設計・仕様)のこと。

インテグレーションとは
統合、統一、融合、一体化

任務を遂行すべき電子機器を統合し一体化しつつ、オープンな設計仕様とするために、自国での改良が容易となる。次期戦闘機を国産化としたい動機は、将来の技術発展にあわせ、機体を改造・改良の自由を他国に縛られず自由に選択する為である。



5. 武器システム ― ステルスと強力火力の両立

搭載兵器も最先端だ。
GCAP/F-3は、

  • AAM-4B改良型(新型空対空ミサイル)

  • ASM-3改(超音速空対艦ミサイル)

  • 将来型ステルス巡航ミサイル(長射程型)

  • 対地誘導爆弾 JDAM改良版
    を内部兵器倉(ウェポンベイ)に格納する予定である。
    匿名英空軍幹部の

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  • 情報によるとF35Aの 約2倍に相当する1万4500kgペイロードを搭載可能でとのこと。内部兵器倉(ウェポンベイ)内だけで前大戦時超空の要塞と呼ばれたボーイングB29の爆弾搭載量BASICミッション10,000lbs (4,536kg)MAX BOMBミッション20,000lbs (9,072kg)と比べても大きく上回る!

さらに将来は、

  • レーザー兵器

  • 電磁パルス兵器(EMP)
    の搭載も視野に入れている。

つまり、GCAP/F-3はマルチロール戦闘機だが、制空・対艦・対地・電子戦・情報戦すべてをこなすマルチドメイン戦闘機なのだ。

しかも特筆すべきは、制空戦闘能力、すなわちドッグファイト性能も極めて優れている点だ。
デルタウィング構造により、

  • 高い迎角性能

  • 瞬時のエネルギーマネジメント

  • 極めて高いロール率(回転性能)
    を実現しており、接近戦でも高い格闘戦能力を発揮できる設計となっている。

単なる遠距離ミサイル戦闘だけでなく、「近距離で肉薄して勝つ」力も持った第六世代戦闘機
それが、GCAP/F-3の真の恐るべきポテンシャルである。


このように、GCAP/F-3はあらゆる面で、
「従来の第五世代機を完全に凌駕する性能」
を目指して設計されている。

それは、単なる兵器開発ではない。
今後起こりうる有事をを
GCAPを使用する日本及び同盟国が勝ち抜くための必須条件なのである。


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もくじ

序章:緊迫する世界情勢と日本の防衛戦略
第1章:新型FFMの開発背景と設計思想
第2章:新型FFMの兵装と電子装備の詳細
第3章:新型FFMの運用シナリオと戦術的可能性第五章:新型FFMの兵装と電子装備
第4章:オーストラリアとインドネシアへの新型FFM輸出の可能性と問題点
第5章:新型FFMの兵装と電子装備
第6章:新型FFMの戦略的役割と日本の国益への貢献
第7章:新型FFMの技術的革新と運用能力
第8章:新型FFMの運用シナリオと戦術的役割
第9章:統合戦能力とネットワーク戦の進化
第10章:新型FFMの運用シナリオと戦術的展開
第11章:将来装備 ― コンテナミサイル、レーザー兵器、電磁レールガン(EMG)
第12章:日本の防衛産業と対等な日米同盟構築という国家戦略/輸出戦略としてのFFM
第13章:GCAPと並ぶ国家技術力の象徴としてのFFM
第14章:米中対立・台湾有事・第三次世界大戦の可能性とFFMの意義
第15章:新世界秩序と日本の立ち位置の変化まとめ:FFMは世界の信頼を得る「世界新秩序を構築し守る船」となり得るか


序章:緊迫する世界情勢と日本の防衛戦略

2025年、終結しないウクライナ戦争、新型コロナ以降不動産バブルが崩壊し追い打ちのトランプ関税で完全に経済が崩壊しかつてのかつてのソ連と同じく国家崩壊へ向かう中国、中国共産党は政権の維持をかけてやけくそで台湾侵攻をする可能性も否定できず世界は再び緊張の時代へと突入している。特にトランプ大統領が再び就任してから3か月が経過し、アメリカは対中強硬姿勢を一段と強めている。米中対立は一層深刻化し、台湾有事への懸念も国際社会で現実的なシナリオとして議論されている。ロシアと違い戦争継続資金がない中国は台湾侵攻する力はもはや無いとは思うが、万が一台湾を巡る衝突が起これば、それは世界規模の安全保障危機、場合によっては第三次世界大戦に発展する可能性すらある。

このような背景の中、各国の国防費は急増しており、2024年にはNATO加盟国の70%以上がGDPの2%以上を国防費に計上するまでに至った。ウクライナ戦争が示した通り、近代戦では継戦能力と持続的な兵站が鍵を握る。だが、アメリカでさえ砲弾やミサイルの生産能力に限界があることが明らかになっている。例えば、155mm砲弾の月間生産数は2022年時点で1万4千発に過ぎず、消耗戦には到底追いつかない。

さらに深刻なのが造船能力の低下である。アメリカは第二次世界大戦中、年間3,000隻以上の艦艇を建造していたが、近年では年間建造数がわずか10〜12隻にまで低下しており、稼働中の大型造船所は20ヶ所以下となっている。ドックや修理設備の老朽化も重なり、艦隊の維持すら困難になりつつある。アメリカ製兵器が絶対的だった時代は、もはや過去のものとなりつつあるのだ。

このような新たな国際安全保障環境の中で、日本の役割と責任も変化している。高い技術力と信頼性を誇る日本製兵器は、単なる自衛のための装備ではなく、国際安全保障に貢献する輸出戦略品としての側面も強くなってきた。

特に注目すべきは、「新型FFM(多機能護衛艦)」である。新型FFMは、日本の最新造船技術と省人化運用技術の結晶であり、もがみ型をベースとしつつもより高度な自動化・将来拡張性を備えた多機能戦闘艦だ。

本稿では、この新型FFMの詳細な性能、能力、もがみ型FFMとの比較、将来的な拡張性(レーザー兵器・電磁レールガン・コンテナ型ミサイル・高出力マイクロ波等)、そして日本の戦略的輸出製品としての可能性までを、論じてみたい。


第1章:新型FFMの開発背景と設計思想


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もがみ型FFM(3900トン型)の実績を踏まえた上で開発された新型FFM(FFM-2型)は、将来的な国防構想と輸出展開を強く意識した設計がなされている。防衛装備庁および三菱重工業が中心となり、艦体設計にはステルス性の強化、省エネルギー設計、高度な自動化による乗員数の削減が追求された。

乗員数はもがみ型の90名程度からさらに削減され、約70名以下に抑えられる見込みで、これは長期任務や海外展開を想定した場合においても、持続可能な人員運用体制を確保する意味で極めて重要な進化である。

艦体は排水量約4,000トン超で、全長133メートル、幅は16メートル。CODOE(Combined Diesel Or Electric)方式を採用し、燃費性能と静粛性、出力バランスに優れ、海自の対潜戦能力向上にも寄与する構造となっている。特に、赤外線放出低減塗装、排気冷却システム等の採用により、敵レーダーおよびIRセンサーへの可視性を大幅に低減している。

また、本艦は近年注目される「コンテナモジュール兵装」の導入を前提とした設計がなされており、将来的には長射程対艦ミサイル(島嶼防衛用)や対地巡航ミサイルのコンテナ化搭載、さらにはレーザー兵器・レールガン(EMG)・高出力マイクロ波(HPM)兵器の搭載も視野に入れている。これは、限られた船体に最大限の戦力を柔軟に展開可能とする「ミッションパッケージ」思想の体現であり、世界の次世代フリゲートの中でも極めて先進的な発想といえる。

さらに、同艦は他の艦艇、航空機、戦闘機、および連携する無人機(UAV、USV、UUVなど)との高度なネットワーク統合能力を備えており、海上自衛隊における情報共有・作戦統合の中核を担う艦となることが期待されている。。※詳しくは第4章



第2章:新型FFMの兵装と電子装備の詳細

新型FFM(FFM-2型)は、日本が誇る最先端の軍事技術を投入し、現代の多様化する海上戦に対応するための柔軟かつ強靭な兵装体系を有している。その装備は、従来のもがみ型から一層の進化を遂げ、敵潜水艦、航空機、ミサイル、小型高速艇といった多種多様な脅威に対処可能なマルチレイヤー防衛能力を備えている。

主兵装と対艦・対空能力

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Mk.45 Mod.4 127mm単装砲高精度・長射程を誇り、対地攻撃にも対応可能。新型弾薬との組み合わせで最大射程は約37kmに達する。

  • 新型垂直発射システム(VLS):将来的な搭載が前提とされ、12セルまたは16セルの国産またはMk.41互換VLSを艦首部に設置する設計スペースが確保されている。これにより、艦対空ミサイル(SM-6級)、艦対艦ミサイル、対潜ロケット(07式垂直発射魚雷投射ロケット)など多様な兵装を統合可能となる。

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    07式垂直発射魚雷投射ロケット

  • 12式改良型SSM(対艦誘導弾)

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    :発射筒形式で搭載され、現在の射程約200km~400kmだが当面は900kmを目指して開発されるが、最終的には射程1,500kmまで延伸される予定である。GPS誘導による精密打撃能力を持ち、艦隊決戦のみならず陸上標的への攻撃も視野に入る。
  • 高性能近接防御システム(CIWS):新型のシーラム(SeaRAM)またはレーザーCIWSの搭載が将来検討されており、飽和攻撃に対する最終防衛ラインを形成。

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対潜・機雷戦能力


電子装備とセンサーシステム
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三菱電機製J/FCS-3型となります。これには「ひゅうが」以降の搭載型を「FCS-3改」と言い、ひゅうが型に搭載される型式を「FCS-3」、「あきづき」型に搭載される型式を「FCS-3A」に変更され、更に続くいずも型は「OPS-50」2番艦調達時には「OPS-50A」、あさひ型は「OPY-1」と呼称されます。

  • 国産新型多機能レーダー(XバンドAESAレーダー):もがみ型より高出力・広範囲探知性能を持ち、航空機や巡航ミサイルの早期発見を可能とする。FCSとの統合で弾道ミサイル探知補助にも対応可能。

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  • 電子戦(EW)装置:敵レーダーや通信波の探知・妨害に加え、自己防御用のチャフ・フレア自動射出システムを統合。

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  • 戦術データリンク:Link-16、Link-22、さらに海自独自の衛星通信(衛星多目的通信システム:SATCOM)による他艦艇・航空機・地上部隊とのリアルタイム情報共有が可能。

無人機運用能力と将来拡張性

  • 格納庫および飛行甲板の大型化:無人機(UAV)および回転翼機の運用を可能とし、対潜哨戒・ISR(情報監視偵察)任務において大きな柔軟性を持つ。

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  • 高出力マイクロ波(HPM)兵器電子機器無力化用の指向性エネルギー兵器として将来的に搭載が視野に入る。ドローン群(スウォーム)への対抗策として注目される。

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  • レーザー兵器/電磁レールガン(EMG):出力供給用に発電能力が増強されており、2030年代の実戦配備に向けて艦体設計段階から対応構造が採用されている。



このように、新型FFMは防空、対艦、対潜、機雷掃海、電子戦、情報収集に至るまで、幅広い任務に対応できる装備を備えており、日本の沿岸防衛のみならず、同盟国との共同作戦、さらには平和維持活動や災害派遣にも柔軟に運用可能な「世界標準」のマルチタスク艦である。



第3章:新型FFMの運用シナリオと戦術的可能性

新型FFM(多用途護衛艦)は、その先進的な設計と高度な機能を活かすことで、さまざまな運用シナリオにおいて有用性を発揮します。本章では、新型FFMの実際の運用におけるシナリオと、その戦術的可能性について詳述します。特に、日本の防衛戦略における役割を考慮し、アジア太平洋地域の安全保障環境においてどのような状況で効果的に運用されるかを検討します。

1. 防空任務と対空戦

新型FFMは、強力な防空能力を備えており、特に高精度のミサイルシステムや近接防御システム(CIWS)による対空戦の役割を果たすことができます。これにより、艦艇は敵機による航空攻撃に対して高い防御能力を発揮します。

防空任務では、主に以下のようなシナリオが考えられます。

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SeaRAM 11連装発射機×1

  • 艦隊防空:新型FFMは、艦隊の中で他の艦艇や補給艦を防衛する役割を果たします。これにより、海上自衛隊の艦隊は、敵の空中脅威から守られ、全体としての作戦能力を高めることができます。

  • 独立した防空任務:新型FFMは、独立して防空任務を遂行することも可能です。単艦での運用が想定され、敵航空機やミサイルを迎撃する能力を備えています。

新型FFMに搭載される高精度の対空ミサイルシステムは、長距離での迎撃能力を持ち、空中戦を有利に進めるための重要なツールとなります。また、近接防御システム(CIWS)は、艦艇への接近戦闘を制するために必要不可欠な装置であり、敵ミサイルや航空機に対して最後の防衛ラインを形成します。
新型FFMは
新艦対空誘導弾A-SAM※の能力向上型、A-SAM改新艦対空誘導弾がMk.41 VLS×32セル

への搭載が期待されていたがウクライナ戦争でウクライナにミサイルを供給してきた米国が、ロシアとのミサイル生産能力の格差を思い知らされたことがある。米国のひっ迫するミサイル能力の足元を見て、日本がSM6の今後の共同生産を持ちかけークラッター(海面反射)への対処が問題もあり採用されるか否かは流動的だ、新艦対空誘導弾A-SAM※の能力向上型、A-SAM改日本のは日の目を見ず新型FFMの対空ミサイルは無難なRIM-162 ESSMRIM-174SM-6(STANDARD Missile 6)になる可能性がある。

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Mk.41 VLS






2. 対艦戦

新型FFMの設計において、対艦戦は重要な役割を果たします。近年、海上自衛隊は島嶼防衛を強化するために、対艦ミサイルシステムの運用を重要視しています。新型FFMには、長射程の対艦ミサイル17式艦対艦誘導弾17式 4連装発射筒×2基に搭載され、これにより敵艦船に対して高い打撃力を持つことができます。

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17式艦対艦誘導弾:17式発射筒形式で搭載され、現在の射程約200km~400kmだが当面は900kmを目指して開発されるが、最終的には射程1,500kmまで延伸される予定である。GPS誘導による精密打撃能力を持ち、艦隊決戦のみならず陸上標的への攻撃も視野に入る。
  • 対艦攻撃:新型FFMは、近海での防衛から広域の海域まで、対艦攻撃能力を発揮します。特に、コンテナ型兵器システムの採用により、ミサイルの搭載や交換が迅速に行えるため、変化する戦況に即応した攻撃を行うことが可能です。

  • 協力的攻撃:新型FFMは他の艦艇や航空機、無人機と連携することにより、より効率的に対艦戦を展開できます。艦艇同士で情報を共有し、最適なタイミングで連携攻撃を行うことができます。

対艦戦において、特に新型FFMの強みは、柔軟性と拡張性にあります。従来型の艦艇では運用に制約があったミサイルシステムの搭載が、 の導入により大幅に改善され、任務に応じた武装変更が簡単に行えます。これにより、艦艇は状況に応じた多様な任務を果たすことが可能になります。



3. 対潜戦

新型FFMは、対潜戦においても強力な能力を発揮します。艦載のソナーシステムや誘導兵器により、潜水艦に対する探知と攻撃能力が大幅に向上しています。近年、潜水艦は水中戦の重要な要素であり、その脅威を抑えるためには高精度の対潜戦能力が求められます。

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  • 深海探知:新型FFMには、高性能なソナーシステムが搭載されており、広範囲にわたって潜水艦を探知できます。このシステムは、従来型艦艇よりも格段に高い性能を誇り、敵潜水艦を早期に発見することが可能です。

  • 攻撃能力:潜水艦を撃退するための魚雷システムも搭載されており、遠距離から正確に敵潜水艦に攻撃を加えることができます。また、対潜戦を補完するために、無人水中ビークル(UUV)との連携も視野に入れており、より高度な戦術的運用が可能です。image041

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4. 島嶼防衛と拡張性

新型FFMは、島嶼防衛の重要性を考慮した設計がされています。特に、日本の領土防衛において、周辺の島嶼に対する防衛能力が高いことが求められます。この艦艇は、コンテナ型兵器システムを活用し、対地攻撃や長射程のミサイルを使用して、島嶼防衛に特化した運用が可能です。


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また、将来的には、レーザー兵器や電磁レールガンを搭載することにより、島嶼防衛の強化が期待されています。これにより、新型FFMは単なる艦艇の枠を超えて、次世代の戦闘システムを具現化することとなります。


第4章:オーストラリアとインドネシアへの新型FFM輸出の可能性と問題点


近年、オーストラリアとインドネシアからの日本製艦艇への関心が高まっており、特に新型FFM(FFM-2型)およびもがみ型(FFM-1型)の導入を希望する声が上がっている。これらの国々は、いずれも日本製の高性能艦艇に魅力を感じており、近隣地域での安全保障強化を目的として、これらの艦艇の導入を検討している。

オーストラリアとインドネシアの関心

オーストラリアは、長年にわたり米国との同盟関係を強化してきたが、近年、アジア太平洋地域における軍事的緊張が高まる中で、独自の防衛力強化を図る必要性を強く感じている。特に、南シナ海やインド洋での中国の影響力拡大に対応するため、海上自衛隊のような高性能な艦艇の導入が求められている。オーストラリア海軍は、最新鋭のフリゲートや駆逐艦の調達を進めており、その一環として新型FFMやもがみ型の導入が有力視されている。

一方、インドネシアもまた、東南アジアでの中国の拡張主義に対応するために海軍力の強化を進めており、日本製の艦艇に対する関心が高まっている。インドネシアは、近年の軍備増強の一環として、先進的な艦艇や潜水艦の調達を目指しており、新型FFMはその選択肢の一つとして検討されている。

輸出の問題点と矛盾

しかし、オーストラリアとインドネシアへの新型FFMまたはもがみ型の輸出には、いくつかの問題点と矛盾が存在することも忘れてはならない。

  1. 仮想敵国としての関係
    オーストラリアとインドネシアは、地政学的に近接しつつも、歴史的には一定の対立や競争関係にある国々であり、特にインドネシアとオーストラリアは、過去に南太平洋での領土問題や、周辺海域における影響力争いを繰り広げてきた。双方ともに軍事力の強化を急ぐ中で、同じ日本製のフリゲート艦を導入することには、一見して矛盾が生じる。

    日本がこれらの国々に新型FFMやもがみ型を輸出することは、一方で日本の「自由で開かれたインド太平洋」構想に貢献し、地域の安定を促進する手段となる一方で、オーストラリアとインドネシアが共に保有することになると、双方の関係がさらに複雑化する可能性がある。特に、インドネシアがオーストラリアを仮想敵国として位置づけている場合、日本製艦艇の存在は、戦略的に微妙なバランスを生むことになる。

  2. 戦略的な矛盾
    日本の防衛装備移転三原則に基づく兵器輸出は、基本的には平和的な目的を追求し、地域の安定を維持することが前提となっている。しかし、同じ兵器が対立する国家間で使用される場合、その「安定」への寄与に疑問が生じる。オーストラリアとインドネシアが同時に日本製の艦艇を使用する状況が生まれた場合、その兵器が双方にとって「抑止力」や「防衛力強化」として機能する一方で、戦略的なバランスが崩れる可能性もある。この点で、日本が両国への同時輸出を進めることが、国際的な政治的な観点で矛盾を生むリスクも考慮しなければならない。

  3. 日本の立場と外交戦略
    さらに、日本がこれらの国々に新型FFMやもがみ型を輸出する場合、日本の外交戦略においても慎重な調整が必要となる。オーストラリアとインドネシアの間には、安全保障上の競争が存在し、その中で日本がどのように立ち回るかは、今後の外交関係に大きな影響を与えるだろう。両国への同時供給は、日本の中立的かつ平和的な立場に矛盾をきたす恐れもある。

    新型FFM輸出による日本の発言力強化と国益の確保

    オーストラリアとインドネシアへの新型FFMの輸出は、単なる兵器提供にとどまらず、日本の戦略的な外交政策と国益を確保する重要な手段となる可能性がある。両国の関係における矛盾が存在する一方で、この輸出を通じて日本はアジア太平洋地域における発言力を強化することができる。

    1. アジア太平洋地域での日本のプレゼンス強化
      新型FFMをオーストラリアとインドネシアに提供することで、日本はアジア太平洋地域での影響力を強化できる。オーストラリアとインドネシアはそれぞれ戦略的に重要なパートナーであり、両国が日本製艦艇を導入することによって、日本はこの地域の海上安全保障における中心的な役割を果たすことができる。これにより、日本は単なる防衛力の提供者としてではなく、地域の安定を担保するパートナーとしての立場を強固にする。

    2. 仮想敵国関係を越えて
      オーストラリアとインドネシアという仮想敵国同士への兵器輸出には、矛盾や慎重さが求められることは確かだ。しかし、この矛盾を乗り越え、両国を調整することで、日本はアジア太平洋地域におけるバランスを保ちながら、外交的な立場を強化することができる。日本製の艦艇を両国に供給することは、単に物理的な兵器の提供にとどまらず、外交的な調整力を行使する手段となる。これにより、日本は両国との関係を強化しつつ、地域の安定を促進し、自国の国益を確保することが可能となる。

    3. 日本の戦略的役割の再確認
      新型FFMの輸出を通じて、日本はアジア太平洋地域におけるリーダーシップを再確認することができる。これにより、日本は単に防衛装備を輸出するだけでなく、地域の安全保障に対して積極的な貢献をすることができる。これが日本の国益の確保につながり、さらに国際社会における日本の地位を強化することになるだろう。特に、米中対立が激化し、地域の安全保障環境が複雑化する中で、日本の軍事技術と信頼性の高い兵器を提供することは、地域のバランスを保つために不可欠な役割を果たす。

    4. 日本の外交と経済的な利益
      新型FFMの輸出は、単に安全保障面での貢献にとどまらず、経済的な利益をもたらすことも期待される。日本の造船業界にとって、新型FFMやもがみ型の輸出は、国際競争力を高める機会となり、また、日本製兵器の信頼性を示す一つの指標となる。オーストラリアやインドネシアとの商業的な関係を深めることで、今後の新たな市場開拓にもつながり、長期的に見れば日本の国益に大きく寄与することが予想される。

    第4章まとめ

    新型FFMおよびもがみ型の輸出先としてオーストラリアとインドネシアが挙げられることは、単なる兵器提供以上の戦略的意義を持つ。これを通じて、日本はアジア太平洋地域におけるリーダーシップを強化し、外交的な調整力を発揮することができる。両国間の競争関係を調整しつつ、日本が平和と安定を促進するために積極的な役割を果たすことが、日本の国益確保に繋がり、地域全体のバランスを保つ上で重要な要素となるだろう。

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試験艦「あすか」に未来の大砲「レールガン」が搭載される

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海上自衛隊の試験艦「あすか」に、防衛装備庁が開発を進めている新装備「レールガン」とみられる砲塔が搭載されました。【画像】おお!これが試験艦「あすか」に搭載された「レールガン」です


「あすか」は、海上自衛隊の艦艇に搭載する様々な装備品の各種試験を行っている艦艇で、同型艦はありません。1995(平成7)年3月に就役し、1隻のみが配備されています。母港は横須賀基地(神奈川県横須賀市)です。「あすか」に搭載されたレールガンは今月に入り、海上自衛隊やアメリカ海軍の艦船を間近で見られる人気の観光船「YOKOSUKA軍港めぐり」の乗船者からも目撃されており、カバーをかけられていることもあるようです。レールガンとは、電気エネルギーで弾丸を放つ砲のことで、「電磁砲」とも呼ばれます。火薬を使う従来の砲よりも、弾丸の初速を大幅に向上させることが可能。弾丸が小さく、探知されにくい利点もあります。防衛装備庁はレールガンを、戦闘様相を一変させる可能性を持つ「ゲーム・チェンジャー」として位置付けています。SF作品でお馴染みの兵器ですが、防衛装備庁は研究用の試作レールガンを製造しており、2023年に洋上射撃試験も実施されています。レールガンは、これまでの兵器では対処が難しい「極超音速誘導弾」などに対する防空や、艦艇や地上目標に対して回避が困難な打撃手段として使われる見通しです。まずは小口径のレールガンでデータを取得した後、中口径レールガンの開発が想定されています。

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レールガン(EMG)の原理と応用可能性:未来兵器の現実と課題

レールガン(Railgun)は、従来の火薬を用いた砲兵装置とは本質的に異なる電磁加速原理に基づく次世代兵器です。当ブログではまだレールガンって何?っていう頃から散々取り上げ開発を見守ってきたが、遂に試験艦あすかに砲塔付きで搭載され実用がいよいよカウントダウンとなってきて感無量です。この技術は、化学エネルギーから電気エネルギーへの転換という現代のエネルギー思想にも合致しており、軍事技術における根本的な革新を象徴しています。電磁力を利用して弾体を超高速で発射するため、従来の砲兵装置やミサイル技術と比べて優れた先制攻撃能力を持ち、世界各国の軍事機関が研究開発を進めています。特に、アメリカ海軍や中国人民解放軍をはじめとする国々が実用化に向けて積極的に取り組んでおりますが、技術的課題を乗り越えられず苦戦しており、日本が頭一つというか数馬身差でリードしている。

各国における研究開発動向

アメリカ海軍は、レールガンの開発において最も積極的に取り組んでいた国の一つです。特に、海上での防衛用途において、その高い射程と弾速を活かした対艦攻撃能力を評価していますが現時点では独自開発を諦め、日本との共同開発を模索している。中国人民解放軍は日本と同様に、実用化目前だと公表しているが、私は怪しいと思っている、なぜなら中国はまともなジェットエンジンを開発できていないが、超高温に耐える素材開発冶金技術あ劣っているからだが、これはレールガン開発にもつながる技術研究こうもくであり、中国の研究成果は中国の国家統計局の発表する国家GDP並の信用度だと思う。その他各国の研究は技術的な課題を乗り越えようと研究している、レールガンが実用化に向けて克服すべき主要な技術的課題として、発射時の高温や発電・冷却能力、部品の耐久性などが挙げられます。例えば、レールとアーマチュアの接触部分で数千度に達する高温が発生し、これに対応するためには急速冷却技術が不可欠です。冷却システムや耐熱材料の改良により、連続発射に耐える能力を向上させることが求められます。また、レールガンは非常に高い電力を必要とするため、大規模な発電能力が求められ、これに対応するための電源やエネルギー管理技術の進展も必要です。さらに、海洋環境下での信頼性向上や、塩分による部品腐食の防止も重要な課題となっています。冷却技術や耐久性の向上、弾速や射程の精度向上など、実用化に向け取り組んでいるが実用化を阻む技術要素をクリアを試みている。

実用化へのカギを握る技術要素

熱制御技術

レールガンの発射時には、アーマチュアとレールの接触部分で数千度の高温が発生し、プラズマアークによるエネルギー損失や部材の焼損が深刻な問題となる。このため、発射直後に急速冷却を行うアクティブ冷却システム(例:液体金属冷却や高速ガス冷却)の導入や、レール素材の表面に耐熱コーティングを施す技術が注目されている。また、連続発射に耐えるためには、冷却能力と発熱量のリアルタイムモニタリングを統合したスマートサーマルマネジメント技術が不可欠である。

耐熱・高強度材料

発射時の高温・高圧・高電流環境に耐えうるレールおよびアーマチュアの材料は、レールガン技術の中核を成す。近年では、タングステン合金、モリブデン系複合材料、炭化ホウ素や窒化ケイ素といったセラミック複合材料が研究対象となっており、これらは優れた熱伝導性と耐摩耗性を兼ね備えている。また、リサイクル性と加工性を併せ持つナノ構造材料や、自己修復機能を有する次世代合金の研究も進んでいる。
日本は課題の多くを克服し、日本においてはレールガンはもはやSFの領域ではなく、現実的な兵器としての実現性を増しつつあります。

しかしながら、現時点では単なる未来兵器の象徴的プロトタイプでしかない。日本のレールガンは、

既存の兵器を 無効化するゲームチェンジャーになるとかと俄かさんたちは超速兵器だと大騒ぎしているおり記事引用した「乗り物ニュース」でさえ「海自の艦艇に搭載された「未来の大砲」を激写!SFの世界が現実に!? 戦闘を一変させる革新的な兵器」と見出しを書いているが現時点では残念ながらまだまだ残念で実用兵器には程遠い状態である。

誘導制御技術の進展

レールガンが真に戦術兵器として機能するには、極超音速域での正確な誘導・姿勢制御が不可欠である。従来の飛翔体ではフィンや推力偏向が用いられてきたが、マッハ7以上では空力舵面の有効性が低下する。このため、プラズマ操舵、マイクロスラスター、スマートマテリアルを用いた形状可変構造など、新原理に基づく制御機構の研究が進行中である。加えて、AIによる飛翔体の自律航法・障害回避技術が今後のブレークスルーを担う可能性がある。 

 レールガンの利点と欠点

レールガンの利点としては、従来の火薬式砲弾よりもはるかに高い射程や弾速を誇ることが挙げられます。特に、弾体に推進剤や爆薬を使用しないため、弾薬庫の安全性が向上し、艦内スペースを有効に活用できる点も大きな利点です。しかし、その一方で、高いエネルギー供給と冷却能力が必要であり、これが技術的な運用上の課題となっています。

用途別に見たレールガンのメリットとデメリット及び課題

.1 対艦戦闘における利点と課題

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現代の軍艦の装甲が薄いということもあり ますが現代の軍艦の戦闘力は船体の外側に 露出しているレーダーなどの電子機器類や 手法ミサイルといった兵装これらには装甲 を施す意味があまりありませんので命中 すれば76mmや127mmといった既存 の大砲で問題なく破壊することができます またレールガは軍艦の装甲を貫通させる ことが容易な反面遅延信管による内部爆破 は早すぎて不得手で向かない、船というものを沈めるには 海水に使っている切水線より下の区画に穴を開け浮力を上回る量の海水を線内に入れ なければなりませんはそれを防ぐため区画 を細かく分けることで数箇所に穴が空いて も区画ごと閉鎖して線内全体に浮力以上の 海水が流れ込まないように作られています よってレールガによって船体を貫通させる だけでは軍艦を沈没させるのに不十分その ため対艦ミサイルや通常型の主砲の砲弾には遅延信管というものが採用されておりミサイル や砲弾が先体表面を貫通して線内に潜り 込んだら内部で爆発して致命症を与えると いう方式になっていますこれと同じ遅延信管をレールガにつければいいような気も しますがレールガはあまりに早すぎること が仇となり遅延信管をうまく作動させられ ない可能性が大これでは内部からの破壊が 期待できないため小さな穴を複数開ける だけでは敵艦の戦闘力を奪うことができ ないわけです逆に遅延信管が難しいからといって先体に当たった瞬間に被爆するよう にすると今度は弾頭重量が軽すぎて搭載 できる火薬量が少なすぎ大したダメージに なりません。
ましてあすかに搭載した
レールガン(EMG)の口径は40mmである。


メリット
長射程と極超音速の発射能力により、先制攻撃能力が高く、従来の艦砲や対艦ミサイルよりも有利な状況を作り出します。推進剤や爆薬を使わないため、弾薬庫の安全性が向上し、艦内スペースの効率的利用が可能です。弾速が高いため、迎撃が困難であり、敵艦のミサイル防衛網を突破しやすい。

その他デメリット 
発電・冷却能力の確保が技術的な課題となり、艦船に必要なエネルギー供給システムの構築が必要です。
海洋環境下では塩分による部品の腐食や電気的絶縁の確保が難しく、信頼性が求められます。

  • 現在のところ弾体に誘導機能がないため、移動する艦艇への命中精度には限界があります。

    仮に200kmの射程を得られ たとしてもそれだけで敵艦に攻撃を命中さ せることは不可能で水上艦同士の対水上 戦闘で大事なのは敵艦の現在位から着弾 時点での未来位置を知ることです 200km先の手間は見ることもでき なければ水上のレーダーで捉えることも できません球体である地球上において基本 的には直進しかしない電波を用いる レーダーでは水平線より遠い目標が見え ないため水上間のレーダーでは30km 程度先しか見えないからですそのため航空 機などを使って瞬間の位置を探る必要が ありますが探知後すぐに打ってもマッハ6 のレールガンが200km先に到達するに は直線距離でも10分実際には放物線をを 描くためそれ以上の時間がかかり30ノットで航行している軍艦なら9km以上 も移動してしまいますからレールガンは現時点では対艦戦は対艦ミサイルに劣る

2 対地戦闘における利点と課題

レールガンは火砲に比べて高速 長射程かつ砲弾のお値段がミサイル に比べて割安というメリットがあり米海軍はレールガンを沿岸攻撃用、特に揚陸作戦の拠点制圧に用いることを想定していた。
 世界に先駆けて
レールガン開発を行ったのは米海軍でしたが米 海軍は総合的に考えて開発を事実上 中止した。技術的な問題が解決できなかったという こともあるが、射程は200マイル(約370km)と従来の通常火砲の10倍以上到達できるが、差従来砲弾より炸薬が少ない砲弾を撃ち込むコスパを鑑みた時、

レールガンには十分な開発コストを越えるメリットをみいだせなかったからである。


海自レールガンはアメリカのレールガンよりも小型のものを 作ろうとしているので日本のレールガン

は対地攻撃用には向いていない。

だがレールガン全般には対地攻撃上のメリットはある。
メリット
都市部や防空陣地に対するピンポイント攻撃が可能で、従来の榴弾砲や巡航ミサイルに比べ、目標への到達時間が短縮されます。無煙発射、無推進弾体であるため、発射元の秘匿性に優れています。
デメリット

  • 弾体は無誘導であり、長距離からの精密攻撃には不向きです。

  • 威力の面で爆薬兵器に劣り、構造物破壊や面制圧には限界があります。

  • 地形や気象条件の影響を受けやすく、精度にばらつきが生じる可能性があります。

3 対空戦闘(ミサイル迎撃戦)

ではなぜ日本はアメリカが 中止したレールガンの開発を続けなおかつ アメリカのレールガンよりも小型のものを 作ろうとしているのでしょうか?それは日本のレールガンは対地攻撃ではなく主に  対空戦闘(ミサイル迎撃戦)用としてレールガを使うことを想定し ているからです。近年対艦攻撃用の ミサイルの進化が目覚ましく極超音速 兵器というマッハ5を超える超高速の調車 程兵器を迎撃することは既存の防空 システムでは難しくなってきています。対艦 ミサイルに対する物理的防御は対空 ミサイル、艦砲CIWSの3段構ですが対空 CIWSと主砲は近接信管といって目標に 近づいたら自動的に爆発して破片で体感 ミサイルを破壊するという仕組みです第2 次世界大戦末期から長らく対空目標迎撃に 有効だった近接神官ですが超高速の目標だ と破片をすり抜けてしまうためにごく超 音速兵器に対してはあまり有効ではあり ませんしかしマッハ7に迫る速度のレール ガン用の適切な近接信管は開発中であるが、近接信管に頼らず直撃させる ことで極超音速兵器の破壊もできる可能性もある。

対空防御は何重の防御手段 を構築した多層的なものであることが理想 ですから将来的な脅威HVGPと極超音速巡航ミサイル:HCMを見据えて防御手段 を増やす為に日本はアメリカが 中止したレールガンの開発を続けているのです。

対空戦闘ミサイル迎撃戦における利点と課題

メリット

  • 発射速度がマッハ7を超え、短時間で目標に到達するため、高速航空機や弾道ミサイルへの迎撃が理論的に可能です。

  • 火薬を使用しないため発射時の煙がなく、被発見性が低減します。

  • 高速発射が可能なため、飽和攻撃に対して連射による対応が期待できます。

デメリット

  • 現在、飛翔体に誘導装置が搭載されていないため、運動する空中目標への命中精度が低く、実用的な迎撃能力には限界があります。

  • 軽量弾体は破壊力が限定的で、爆薬を伴わない場合、硬い目標への致命的打撃が難しいです。

  • 高角度射撃には、砲架の可動範囲と構造的補強が必要です。

将来的な期待としてレールガン(EMG)
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  • 弾道ミサイル防衛(BMD:Ballistic Missile Defense)においてまったく不可能とされるブースト段階(弾道ミサイルの飛行軌道における最初の段階で、発射直後にロケットエンジンが燃焼し、加速・上昇する過程)での迎撃の可能性がその長射程とレスポンスの良さから可能かもしれない。特に対南北朝鮮の弾道弾のブースト段階迎撃なら可能性がある。
    またブースト段階、ミッドコース段階(弾道ミサイルの飛行経路における、ロケットエンジンが燃焼を終え、慣性で大気圏外を飛んでいる段階)、ターミナル段階(弾道ミサイルの飛翔経路における最後の段階で、大気圏に再突入して目標に命中するまでの過程)すべてにおいて迎撃可能である。ミッドコース段階(弾道ミサイルの飛行経路における、ロケットエンジンが燃焼を終え、慣性で大気圏外を飛んでいる段階)、ターミナル段階(弾道ミサイルの飛翔経路における最後の段階で、大気圏に再突入して目標に命中するまでの過程)すべてにおいて迎撃可能なレールガン(EMG)の開発も将来可能と思われる。

      • レールガンによる低軌道衛星への攻撃可能性

      低軌道衛星(LEO)は地表から約2000km以下の高度で地球を周回する人工衛星であり、通信・測位・地球観測など多用途に利用されている。とくにスターリンクに代表される衛星通信網の拡大は、民間分野のみならず軍事用途にも波及している。近年では戦場での通信・偵察を担う軍事衛星が多数打ち上げられており、これらを無力化する技術は現代戦における重要課題の一つとなっている。この文脈で、地上配備型レールガンによる低軌道衛星の迎撃という概念がでてくるだろう。極超音速の砲弾を高高度まで打ち上げるには、補助ブースターを装着した大型弾体と、高角度射撃を可能にする可動砲架の開発が前提となるが、技術的には十分実現可能な構想である。ミサイル防衛の補完手段として、あるいは電磁攻撃の延長線上にある「宇宙戦」への応用として、レールガンは新たな可能性を提示している。


  • 戦車砲及び対戦車砲

    将来、電源発射システムの小型化と蓄電技術の進歩が進めば、レールガン(EMG)を戦車砲や対戦車砲として実装することは現実のものとなるだろう。電磁加速によって従来の火薬兵器を超える初速と貫通力が実現できるため、現代の複合装甲やアクティブ防護システムをも打ち破る可能性がある。さらに、火薬を用いないことで弾薬の安全性が飛躍的に向上し、兵站上のリスクも軽減される。冷却・耐久性・制御技術などの課題は依然として残るが、小型高出力電源と新素材技術の開発が進めば、機動性と火力を両立させた「次世代戦車」が登場する日も遠くない。特に都市部や近接戦闘において、無煙・無誘爆で高貫通力を誇るレールガンは、地上戦の様相を一変させる可能性を秘めている。







執筆中


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    【 毎日新聞】自爆型」の攻撃用無人機、陸上自衛隊が初導入 32億円の予算計上
     防衛省は、爆弾を積んで攻撃目標に突入する「自爆型」の小型無人機を陸上自衛隊に導入する。陸自は偵察用の無人機を運用しているが、攻撃用は初めて。タイプの異なる3機種を順次配備していく計画で、第1弾として2026年度に310式の調達を見込む。25年度予算に関連費用32億円を計上した。
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    【各国の無人機は?ウクライナの高性能ドローン】

     機種の選定は、機体の大きさや想定される攻撃対象、航続距離などに基づいて行う。3タイプのうち、第1弾として航続距離が比較的短く、隊員が持ち運ぶことができる機種を検討。敵の歩兵部隊やトラックなどに対する自爆攻撃をし、1人の隊員が複数の機体を同時に操縦するような運用も想定しているという。

     防衛省は23、24年度、イスラエルやオーストラリア、スペイン製の機体を用いて性能試験を実施した。最終的な選定は一般競争入札で行い、同省整備計画局は「無人機の技術は進化を続けている。試験をした機体に限定せず広く公募したい」と説明する。

     第2弾以降は、遠方の軽装甲車両や舟艇への攻撃を想定し、車両で運搬する機種などを検討している。

     22年末に閣議決定された国家防衛戦略は「無人アセット(装備品)」について、AI(人工知能)や有人装備と組み合わせることで「部隊の構造や戦い方を根本的に一変させるゲームチェンジャーとなり得る」と明記。防衛省は27年度までの5年間に約1兆円を投じ、さまざまな分野で配備を進めるとしている。陸自の「自爆型」無人機もその一環で、主に島しょ部における敵の侵攻への対処を想定している。

     遠隔操作や自動操縦を行う無人機は、長期の連続運用が可能で、人的な被害を抑えられる利点がある。一方、ゲーム感覚に陥り、人命を奪うことへの心理的なためらいをまひさせる恐れも指摘されている。【松浦吉剛攻撃用の小型無人機のイメージ図=防衛省提供

    自爆型攻撃用無人機、陸上自衛隊が初導入──32億円の衝撃と日本の国防の行方

    ■ はじめに

    2025年、日本の防衛政策にとって歴史的な一歩となる決定が下された。陸上自衛隊が「自爆型の攻撃用無人機(ロイタリング・ミュニション)」を初めて正式導入するため、令和6年度予算に32億円を計上したのだ。この決定は、単なる新兵器の導入ではない。地政学リスクが高まる中、日本の安全保障戦略が従来の「専守防衛」から段階的に進化していることを象徴している。

    本記事では、自爆型無人機の技術的特徴や戦略的意義、周辺国との力の均衡、国内外での議論、そして今後の日本の防衛政策の方向性まで、5000字規模で詳述していく。


    ■ 「自爆型無人機」とは何か?──現代戦を変えるロイタリング・ミュニション

    「自爆型無人機(ロイタリング・ミュニション)」とは、攻撃目標の周辺空域を長時間滞空し、発見と同時に自らを爆弾として突入させて目標を破壊する無人兵器である。既に世界各国が導入を進めており、とりわけウクライナ戦争では、アゼルバイジャン製の「ハーピー」やアメリカ製の「スイッチブレード」などが実戦投入され、その高い効果が証明された。

    この兵器の特徴は以下の通りだ。

    • 高精度:目標に対してピンポイント攻撃が可能

    • 小型・低コスト:従来のミサイルよりも遥かに安価で運用可能

    • 難探知:レーダーに映りにくく、迎撃が困難

    • 作戦柔軟性:敵の防空網をかいくぐり、即時攻撃が可能

    これにより、従来の砲撃やミサイル攻撃とは一線を画す「スマートな攻撃」が可能となる。今回、陸自が導入を決定した背景には、こうした現代戦のトレンドへの対応がある。


    ■ 陸上自衛隊が導入する背景──防衛戦略のパラダイムシフト

    防衛省が導入を決定した理由は明確だ。それは、日本を取り巻く安全保障環境が、これまでにないほど厳しさを増しているからである。

    以下の要素が、今回の導入決定の背景にある。

    • 中国の台湾進攻リスク:中国軍は台湾周辺で実戦的演習を繰り返し、日本の南西諸島も射程に入れている。

    • 北朝鮮のミサイル開発:極超音速兵器・核搭載可能なICBMなど、脅威が年々増している。

    • ロシアの軍拡・日本近海での活動:北方領土周辺でのロシア軍の活動は冷戦時代を彷彿とさせる。

    • ウクライナ戦争が示した新しい戦争の形:兵士が死なずに敵を正確に攻撃するドローン戦が常識となりつつある。

    従来、日本の防衛は「専守防衛」に徹し、攻撃的兵器の保有には消極的だった。しかし、相手がドローンによる無差別攻撃を仕掛けてくる時代に、専守防衛だけでは国土を守れない。自爆型無人機の導入は、そうした現実への防衛省の「目覚め」を示している。


    ■ 32億円の内訳と導入計画──まずは試験運用から
    導入する小型攻撃用UAVの区分とスケジュール
    Ⅰ型①発射主体 隊員が携行②目標 敵歩兵  ③導入時期令和8年(2026年)までに導入準備終了

    Ⅱ型①発射主体 隊員が携行②目標 舟艇車輛等 ③導入時期令和7年(2025年)までに導入準備終了

    Ⅲ型①発射主体 車輛 ②目標 より遠方の舟艇車輛等 ③導入時期令和8年(2026年)までに導入準備終了

    報道によると、32億円の予算は以下の用途に使われると見られている。

    • 自爆型無人機の調達費

    • 操作訓練、シミュレーション施設の整備

    • ソフトウェア開発および連携システムの構築

    • 電波対策(ECM、通信傍受防止)

    初年度は、おそらく数十機程度の導入に留まる見込みだが、南西諸島や離島防衛、都市型ゲリラ対応など多用途が期待される。将来的には、海上自衛隊や航空自衛隊と連携して、統合無人機運用システムの構築も視野に入れている可能性が高い。


    ■ 国内の議論と政治的ハードル──「専守防衛」に反するのか?

    自爆型無人機の導入に対して、国内では当然ながら賛否が分かれている。

    賛成派の主張

    • 「敵基地反撃能力」として抑止力を高めるために不可欠

    • 有事の際、人的損害を抑えられる画期的な技術

    • 先進国の中で日本だけが導入していないのはむしろ異常

    反対派の主張

    • 自衛隊が「攻撃兵器」を保有するのは憲法違反の可能性

    • 相手国への先制攻撃に使われる恐れがある

    • 武器輸出三原則や平和国家イメージに逆行

    これに対して政府は、「自爆型無人機は防御のための反撃能力であり、憲法の枠内である」と説明している。ただし、将来的に敵基地攻撃に使われる可能性がある以上、国民的議論は避けて通れない。


    ■ アメリカとの連携と技術支援──日米同盟の次なるステージ

    実は今回の導入には、アメリカの影がちらついている。アメリカはすでに「スイッチブレード」や「フェニックスゴースト」など複数の自爆型ドローンを実戦投入しており、その技術供与やライセンス生産の可能性が報じられている。

    これが意味するのは、自衛隊がアメリカ軍との即応性をさらに高めることだ。日米共同作戦の中で、自衛隊が独自にロイタリング・ミュニションを展開できれば、島嶼防衛・拠点防衛の即応力が飛躍的に向上する。

    また、アメリカからの技術支援があれば、国産ドローン開発のブーストにもなるだろう。


    ■ 今後の展望と課題──量産体制、国産化、法整備

    自爆型無人機導入はスタート地点にすぎない。今後、日本の防衛政策における主要課題は以下のとおりだ。

    1. 量産体制の整備:防衛装備庁や民間企業(MHI、IHIなど)との連携による国産化

    2. 統合運用システムの構築:無人機と有人戦力の連携強化

    3. 法整備と指揮命令系統の明確化:いつ、誰が「発射命令」を出すのか

    4. サイバー対策と電波戦への対応:敵のジャミング・ハッキングに備えた防御

    5. 国民理解の醸成:「無人兵器=悪」のイメージ払拭と現実的な議論

    特に今後数年で、無人機による「情報収集+攻撃」一体化運用が鍵となる。中国やロシアは既にAIドローンの実戦配備を視野に入れており、日本も遅れてはならない。


    ■ 結論──「攻撃なき時代」は終わった

    「平和はただ願うものではなく、準備してこそ得られる」

    それが今の日本に突きつけられている現実である。ロイタリング・ミュニションの導入は、専守防衛というドクトリンを維持しながらも、“使える抑止力”を手に入れるための現実的な一歩である。

    軍事技術は倫理と表裏一体だ。しかし、相手が武力を強化するなら、こちらも抑止力を持たねばならない。陸自の「自爆型無人機」導入は、まさにその決意の表れだろう。

    「守るための攻撃力」──それが、これからの自衛隊のキーワードになるのかもしれない。



    令和5年(2023年)以降、「運用実証」のために調達する(可能性がある)と報道されたUAVは12機種に及びます。ただし、そのすべてについて調達されたかどうかは分かりませんし、これ以外にも調達された機種があるかも知れません。当然のことながらその結果も不明ですが、導入の方針を固めたということは、必要な事項の確認を完了したか、その見込みがあるということでしょう。

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    ■ 陸上自衛隊の導入候補とされる「自爆型無人機」──技術・性能・特徴を徹底解説


    ①【アメリカ製】Switchblade(スイッチブレード)シリーズ
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    開発:AeroVironment社(米)
    想定:短距離・歩兵部隊支援用として有力候補

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    ■ Switchblade 300(軽量型)

    • 全長:約0.6m

    • 重量:約2.5kg(携帯可能)

    • 航続時間:約15分

    • 射程:10km以内

    • 誘導方式:GPS誘導+光学センサー

    • 特徴

      • 個人が持ち運び、バックパックから即発射可能

      • 小型だが対人・軽装甲車両に有効

      • ウクライナ戦争で実戦投入済み

      • 部隊レベルの即応型装備に最適

    ■ Switchblade 600(重装型)
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    • 重量:約23kg

    • 航続時間:40分以上

    • 射程:最大40km

    • 弾頭:対戦車能力あり(Javelinに類似)

    • 特徴

      • 高性能EO/IRセンサー(昼夜対応)

      • 榴弾と同程度の破壊力を持つ

      • 重装甲車両、指揮所攻撃などに適す

    トルコ製ドローン「バイラクタルTB2」

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    1「バイラクタルTB2」は、トルコが開発した中型の無人航空機(UAV)であり、偵察と攻撃の両方の任務をこなす高性能ドローンです。全幅約12メートルの両翼を持ち、小型の精密誘導兵器を搭載可能で、目標の監視から破壊までを一体的に行える点が特徴です。この機体が世界的に注目を集めるきっかけとなったのは、ウクライナとロシアの戦争における活用です。ウクライナはトルコから供与されたバイラクタルTB2を多数運用し、上空からロシア軍の位置情報を収集するとともに、攻撃任務にも投入しました。その成果として、ロシアの車列などを破壊する様子が映像で公開され、ドローンが戦局を左右しうる存在であることを強く印象づけました。また、2020年のナゴルノ・カラバフ紛争でも、アゼルバイジャンがバイラクタルを使用し、アルメニアの地上戦力に甚大な打撃を与えました。同機による空撮映像はソーシャルメディアを通じて広まり、「ドローン戦争の幕開け」とまで評されました。バイラクタルTB2の運用思想は、撃墜を前提にしながらも、低コストで多数展開することで戦術的優位を得るというものです。情報収集能力と攻撃能力を兼ね備えたこの機体は、現代の戦場において不可欠な装備として、各国の関心を集めています。
    乗員: 0 機内, 3 地上局
    長さ: 6.5 m (21 ft)
    翼幅: 12 m (39 ft)
    最大離陸重量: 650 kg (1,430 lb)
    ペイロード: 150 kg (330 lb)
    エンジン: 1 x 噴射装置付き内燃機関、100 Hp
    燃料容量: 300リットル (79 US gal)
    燃料の種類: ガソリン

    性能最大速度: 120ノット (220 km/h)

    巡航速度: 70ノット (130 km/h)
    交信距離: 見通し内伝搬
    実用上昇限度: 27,000フィート (8,200 m)
    運用高度: 18,000フィート (5,500 m)
    航続時間: 27 時間

    HERO-120







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    ヒーロー120は、イスラエル製の自爆型小型攻撃用UAV(無人航空機)であり、高精度な対地攻撃を目的とした兵器です。発射前には「キャニスター」と呼ばれる容器に翼を折りたたんだ状態で格納され、空気圧によって発射されます。発射後には翼が展開し、電気モーターによってプログラムされた経路を自律的に飛行します。特徴的なのは、十字型の翼構造です。これにより、特に装甲車両の上部といった弱点を狙う「トップ・アタック」において高い操縦精度を発揮します。また、赤外線カメラを搭載しており、操作者がリアルタイムで標的を確認しつつ攻撃の方向を調整可能です。万一状況が変化した場合でも、攻撃を中止できる機能も備えています。一方で、重量は18キログラムと重く、歩兵が長距離を持ち運ぶには負担が大きいです。そのため、通常は車両やヘリコプターで目的地付近まで運搬され、そこから人が隠密に接近して発射する形で運用されます。精密性と柔軟性を兼ね備えたヒーロー120は、現代の戦場において「神出鬼没のスマート兵器」として注目されています。
    • 重量:約18kg

    • 航続時間:60分以上

    • 射程:最大60km

    • 弾頭:4.5kg

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      国産UAVが採用される可能性も

     運用実証が行われたと考えられる機体の中で唯一の国産機が、SUBARUの「VTOL機」です。VTOL(ヴイトール)とは Vertical Take-Off and Landing の略で、「垂直離着陸」という意味です。

     SUBARUはこれまで陸上自衛隊向けに、垂直離着陸型のUAVである「遠隔操縦観測システム FFOS」と「遠隔操縦偵察システム FFRS」を開発・製造してきた企業です。提案しているUAVも機種名が「VTOL機」なので、当然、垂直離着陸機でしょう。それ以外の諸元や性能に関する情報はなく、Ⅰ型からⅢ型のどの種別なのかも判断できません。ただし、「多用途/攻撃用UAV」であり、自爆型UAVに該当しないことから、令和8(2026)年度に導入されることはないようです。




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    かつて富士重工業が開発した、陸上自衛隊の遠隔操縦観測システム FFOS 写真:陸上自衛隊


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    【はじめに】
    トランプ政権は、アメリカ東部時間の2025年4月9日午前0時すぎ、日本時間の午後1時すぎに発動した!アメリカにとっての貿易赤字の大きさなどをもとに、日本を含むおよそ60の国や地域を対象にした「相互関税」を動しました。全世界、もちろん日本にとっても大きな衝撃となったニュースが走った。トランプ政権が対日輸入品に対し一律24%の関税を課すと発表したのだ。これにより、自動車業界をはじめとする輸出産業界は悲鳴を上げ、一部マスコミやゲル石破は「国難だ」と騒ぎ立てている。しかし、本当にこれは日本にとって破滅的な「危機」なのか。それとも「好機(チャンス)」に変えることは可能なのか。

    二つの動画京都大学の藤井聡教授によるKBS京都のラジオ番組『週刊クライテリオン』『【トランプ外圧】高市早苗・玉木雄一郎「減税連立」の機運高まる【室伏謙一✕デイリーWiLL】』と筆者独自の見解をもとに、この関税問題をめぐる本質に迫り、日本の進むべき道を論じていく。

    【関税24%の本当の意味──通貨レートと関税の力学】

    一見すると、輸出に24%もの関税がかかるというのは大打撃に映る。しかし、冷静に考えればこれは為替レートの変動と本質的には大差ない。実際に日本円はここ数年で約50%の円安が進んでおり、2010年代には1ドル=100円前後だった為替が、現在では150円台に突入している。

    つまり、為替だけで見れば日本製品の価格競争力はすでに大幅に高まっており、「24%の関税増加」はある意味、その利益の一部を相殺するに過ぎない。

    また、関税の対象がすべての国に対して一律であることを考慮すれば、日本だけが狙い撃ちされたわけではない。欧州、韓国、オーストラリア、そして中国も同様の対象となっており、これはトランプの"アメリカ・ファースト"政策の一環に過ぎない。

    【危機を煽る政治家たちの正体──ゲル石破の無策】

    このニュースを受けて「国難だ」と声高に叫んだのが、自民党のゲル石破だ。彼は「国家の危機」とまで表現し、政界の一部と連携して早急にアメリカへの対応を検討すべきだと訴えている。

    しかし、その実態はどうか。藤井教授がラジオ番組で痛烈に批判したように、ゲル石破氏はトランプ大統領が関税強化を示唆していた段階で何の交渉カードも切らず、むしろ「質問には答えられません」と逃げ腰だった。結果として、手ぶらで米国から帰国し、日本側からは具体的な対抗措置も示されていない。

    外交とは交渉である。相手が強硬な手を打ってきた時、こちらも対抗措置を準備し、テーブルに着かなければ一方的に損をする。にもかかわらず、日本政府はあくまで低姿勢を貫き、事実上の「貢物外交」に終始しているのが現状である。ゲル石破の政治家としての器能力では折角の好機をチャンスにできず本当に国難にしてしまう。

    ■「トランプ関税ショック」特に注目されているのが、日本の「消費税制度」への言及である。トランプ陣営は、輸出企業に対する「輸出戻し税」を“輸出補助金”と見なしており、これが日本の輸出優位性を不公正に高めているという批判を明確に示した。

    これにより、日本国内でも「消費税見直し」の声が再び高まりを見せている。だが、今回の機運は一過性のものではない。むしろ、日本が長らく抱えてきた“構造的な病”が、トランプ関税という外圧によって強制的にあぶり出された格好だ。

    ■財務省という「国内ディープステート」
    現在の日本における最大の構造問題、それは「財務省支配」と言っても過言ではない。

    本来、政治家は国民の生活を守るべく政策を決定するはずだ。しかし現実には、政治家であっても財務省の意向には逆らえず、増税・緊縮路線を是とする財政哲学に取り込まれてしまうケースが後を絶たない。

    現政権の首相・ゲル石橋も例外ではない。かつては「軽減税率の見直しも選択肢」と語っていたにもかかわらず、わずか数日で真逆の発言を繰り出した。政権のブレ、方針転換の速さは、まさに財務省による「官僚支配政治」の象徴である。

    「減税はポピュリズム」「痛みを伴う改革こそ責任ある政治家の姿勢」といった“美談”を盾に、国民の苦境は見て見ぬふり。こうした思考回路は、財務省が長年にわたって培ってきた洗脳と自己正当化の結晶である。

    ■高市早苗・玉木雄一郎が描く「減税連立」構想
    だが、ここに来て風向きが変わり始めた。

    一部の積極財政派議員や評論家の間で、「高市早苗を首相に、玉木雄一郎を財務大臣に」という大胆な連立構想が浮上している。これこそが、財務省支配からの脱却、そして“国民のための減税国家”への第一歩となる可能性を秘めている。

    高市氏は安倍政権時代から一貫して財政出動を重視し、国防やインフラ整備を通じてGDP比3%の国力強化を訴えてきた。玉木氏に至っては、国民民主党の政策として「消費税5%への引き下げ」「ガソリン税トリガー条項発動」を訴え続けている筋金入りの減税論者だ。

    この二人がタッグを組むことで、自民・国民民主を中心とした“減税連立政権”が現実味を帯びてきたのだ。

    消費税減税は国民経済をどう変えるのか

    消費税を引き下げると、直感的には「国の財政が苦しくなる」と思われがちだ。だが、それはあくまで財務省的な視点であり、経済全体を俯瞰すれば、逆に“減税こそが最大の景気対策”であることは明白だ。

    まず、消費税が下がれば個人消費が刺激される。特に生活必需品にかかる税負担が軽くなれば、低所得層を中心に可処分所得が増える。これにより、中小企業や地域経済が直接的な恩恵を受けることになる。

    さらに、消費税減税は輸出補助金(輸出戻し税)問題にもメスを入れる効果がある。トランプ政権が問題視する“輸出企業優遇構造”そのものを是正する道筋となり、国際的な信頼回復にもつながる。

    そして何よりも、「国民のための政治」が復権する。政治が国民に寄り添う姿勢を示すことで、失われた信頼が取り戻される契機となる。

    ■政界の“重し”をどう外すか

    ただし、現実は甘くない。自民党内にはいまだに「石橋支持」あるいは「岸田再登板」を画策する勢力が根強く残っている。そんな自民党国会議員は、野田民主党と一緒に消えてしまえばいいのだ!

    ル石橋は言わずもがな“財務省の操り人形”。再登板を狙う岸田も、「増税メガネ」の異名を持つ財政タカ派であり、再登板すれば確実に消費税再増税へと進む可能性が・・・・
    まず衆参自民党国会議員がゲル石を排除し高市首班に動くか否かが


    【好機としての捉え方──消費減税と内需拡大への転換点】

    この関税問題を、逆に日本国内経済の立て直しの好機と捉えることはできないか。藤井教授は「これはむしろチャンスだ」と断言する。具体的には次の3つの政策転換を行うことで、トランプ関税を国内改革の起爆剤にできると指摘している。

    ① 消費減税による国民経済の底上げ
    現在の日本経済を苦しめている最大の要因の一つが、消費税である。特に中間層以下の実質可処分所得を減らし、内需を冷え込ませてきた。これを一時的にでも引き下げることで、消費が喚起され、内需型経済へと舵を切るきっかけになる。

    ② 内需拡大による対米貿易依存の是正
    過度な輸出依存から脱却し、国内消費・国内投資を基軸にした経済へとシフトすることは、日本にとって構造的な健全化を意味する。そのためのカギとなるのが、内需主導型成長戦略である。

    ③ 農業保護と食料安全保障の再構築

    過去に日米貿易協定で日本は農業分野を譲歩したが、アメリカ側の車関税撤廃は実現していないという“やられ損”状態。
    トランプ関税によって輸出産業が打撃を受ける一方、自由貿易協定の見直しによって農業保護政策を復活させることも可能となる。これは日本の農業を再建し、食料自給率の向上にもつながる重要な政策転換点だ。

    ゲル石破や岸田民主党野田では絶対に無理!消費税減税を断行できるとしたら、高市早苗首相・玉木雄一郎財務大臣「減税連立」しかないだろう!トランプの対日関税強化を「国難」ではなく「好機」にするには日本の保守層が内ゲバを止め高市早苗・玉木雄一郎に結集して保守救国の政治をするしかない。日本の保守の真価が問われる時だろう

    【保守とは何か──国家の独立と民の豊かさを守る思想】

    ここで改めて問いたいのは「保守」とは何か、という点である。保守政治とは、単なる現状維持ではなく、国民の生活を守り、国家の主権を取り戻すための戦略的行動を意味する。トランプの対日関税強化は、その文脈で捉えれば日本に主権を取り戻すチャンスを与えたとも言える。

    無策にアメリカに媚びることが「保守」ではない。むしろアメリカという大国とどう付き合い、どのように日本の利益を引き出すかを冷静に考え、時にはぶつかり、時には交渉する。そのしたたかさこそが、真の保守政治に求められる資質である。

    【まとめ──国難と騒ぐ前に、冷静な政策転換を】

    24%という関税率の数字だけを見れば、確かにインパクトは大きい。しかしそれは、為替変動の中で吸収可能な範囲であり、また国内の経済構造改革のきっかけにもなり得るものだ。

    必要なのは、過剰な恐怖に基づく無策の政治ではなく、冷静で戦略的な政策転換である。今こそ、消費減税、内需拡大、農業保護を軸とした「自立する経済国家」としての再構築を図るべき時だ。

    トランプの圧力は、日本にとっての試練であると同時に、保守政治の真価が問われるリトマス試験紙でもある。果たして日本の政治家たちは、この圧力を「好機」に変える覚悟があるのだろうか。
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    【4月7日 日経平均2,644円安】この急落、ただの調整では済まないが下げたところは天与の買い場か?

    2025年4月7日、日経平均株価は歴史的な下げ幅となる**2,644円安(-7.83%)**を記録しました。本日の日経平均、サーキットブレーカー発動に代表される大荒れ相場これはリーマン・ショックやコロナショックといった重大イベントを彷彿とさせるインパクトです。「たった1日で株価がこんなに落ちるなんて……」と頭を抱えた個人投資家も多いことでしょう。


    、皆さんどう感じましたでしょうか?一瞬「ブラックマンデー再来か!?」って声も上がるほどの急落劇で、現場はもうパニック寸前、って感じでしたね。

    ただね、こういう時こそ冷静に状況を見極める力が問われます。「フライト・トゥ・キャッシュ」だって?確かに資産守りたい気持ちはわかる。でも、キャッシュにしてどこ置いとくの?インフレヘッジできるの?って話もあるし、パニックで動いても結局“高値掴み・安値売り”の黄金パターンを繰り返すだけでは?。



    しかし、この下落の裏にはただのテクニカルな調整や一時的な売りでは済まない根深い構造的問題が潜んでいます。本稿では、トランプ政権の政策、アメリカ経済の実態、そして今回の株価暴落が日本市場に与える影響について、多角的に読み解いていきます。


    ■ 株式市場はなぜここまで下がったのか?

    今週の世界的な株安の直接的なトリガーは、トランプ政権が進める“完税政策”、つまり富裕層・企業への課税強化と、それによる資産再配分の試みです。S&P500は週を通じて9.1%下落、NASDAQは10%安というクラッシュ。日経平均も週初から崩れ、金曜日のNY時間に先物が急落した流れを引き継ぎ、週明けの日本市場はパニック売り状態に突入しました。

    ただしこの下げ、単なる米国要因だけで語れるものではありません。

    ▽ 米国発ショック、日本の脆弱な地盤が露呈

    日本市場はそもそも、海外投資家の資金に強く依存しています。特に2024年の終盤以降、円安期待や日本株復活論を背景に、海外勢が一斉に買いに走っていました。その結果、PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)はバブル期を彷彿とさせる水準にまで上昇。

    つまり、期待先行で過熱していた相場だったわけです。そこにきてアメリカ発のショック。過剰に積み上がったポジションが一気に巻き戻され、ドミノ倒しのように売りが売りを呼ぶ展開となりました。


    ■ 「株価が下がっても一部の富裕層だけが損するんじゃないの?」という幻想

    SNSやコメント欄でよく見かけるのが、「株なんて富裕層しか持ってないでしょ。私たちには関係ないよね」という意見。確かにFRB(米連邦準備制度)のデータでも、米国の上位10%の富裕層が全体の**資産の89%**を保有しているとされます。

    ところが、この理屈は一見正しく見えて非常に危険です。

    なぜなら、株価の急落がもたらすのは、単なる富裕層の資産減少にとどまらないからです。資本市場の混乱は、企業の資金繰りの悪化→投資抑制→雇用縮小という連鎖を生みます。リストラや派遣切りが始まり、**最終的に打撃を受けるのは“普通の人々”**なのです。


    ■ 株安は「富の再配分」か、それとも「貧困の拡大」か?

    トランプ政権はこの「完税政策」によって、富の偏在を是正しようとしています。一見すると、格差是正という意味で“正義”のように映る。しかし、これは非常に危ういバランスの上に成り立っています。

    ▽ 資産価格の下落→消費の冷え込み→景気後退

    米国では個人消費の約50%を上位10%の富裕層が担っているという事実があります。つまり、彼らの資産が毀損し、財布のヒモが締まると、経済全体の消費も冷え込むという構造です。

    景気は「気分」だとよく言われますが、その気分を大きく左右するのが「資産価格」なのです。株や不動産が上がっていると、人々は未来に希望を持ちやすく、消費も活発になります。逆に株価が崩れると、人々は「今は耐え忍ぶときだ」と財布を閉じ、結果として景気が本当に冷え込むという自己実現的なスパイラルが起こります。


    ■ 日経平均大暴落が示唆する日本のリスク

    今回の下落は日本にとっても「対岸の火事」では済みません。なぜなら、日本もまた“消費を支えているのは高齢富裕層”という意味で、米国と構造的に似た課題を抱えているからです。

    加えて、日本企業の多くはグローバル展開しており、業績は米中経済の動向に左右されます。円高リスクも含めて、今回の暴落は日本経済に二重三重の圧力を与え始めているのです。


    ■ このまま進むと再び「格差拡大路線」へ逆戻りする可能性

    思い出してほしいのが2018年末の出来事。当時、トランプ大統領がFRBに圧力をかけ、利下げを実現させたことで市場は反転上昇に転じました。

    つまり、政治がマーケットに屈したわけです。

    今後、今回の株価下落が政権支持率の低下につながれば、トランプ政権が“再び市場を支える政策”へと舵を切る可能性は十分あります。そうなれば、またしても富裕層に恩恵が集中する構造に逆戻りします。

    トランプ関税を消費限税内樹拡大農業保護の好機!


    1. トランプ関税は「国難」か「好機」か?
       藤井聡氏は石破茂氏が「国難」と騒いでいるが、「好機」だと考えていると明言。私も「好機」だと思います。

    2. 24%関税は深刻か?)
       藤井氏は、24%の関税は確かに大きいが、円安(過去からの変動を含め)と比較すれば、日本経済にとっては為替変動幅から考えれば吸収できる範囲と主張。私は円高に揺れ国力を取り戻すことになる。

    3. 産業界の反応と実態
       自動車業界は反発しているが、GDPへの影響は0.5%程度。政治全体で見れば逆に利用すべき機会。

    4. 交渉カードとしての「消費減税」
       藤井氏は、消費税を一時的に0%にしてアメリカと交渉し、関税を引き下げてもらうべきと提案。「消費税を10% 引き下げに10%0 にするからちょっと24%を ちょっと下げてくれへんかと いう交渉在してアメリカと交渉してきたから財務省の皆さんこれ 0% しますよという風に言うとこうなんか悪いやつと悪いやつをこう叩 はいででなんかこう利益はいると はいはいいうことにこう使える 」

    5. 内需拡大とインフレは米にもプラス
       デフレ脱却・内需拡大はアメリカの貿易赤字縮小にもつながり、トランプ政権にも都合が良いはず。

    6. 自由貿易協定の見直しはチャンス
       関税強化に伴い、自由貿易協定の再交渉・撤回を通じて、農業保護や産業政策の再構築も可能に。

    7. トランプの圧力を「国内改革」に活用せよ
       外圧を政治力として利用し、日本国内の抜本改革を進める好機にすべきと主張。




    8. 石破茂氏が消費税減税に前向きな発言をした直後、財務省がすぐに反応し、自民党幹部や公明党に一斉に圧力をかけた。高橋洋一氏は「典型的な財務省の動き」と指摘。



    9. 石破首相の外交姿勢を痛烈批判
       石破氏は「対抗関税はしない」と表明し、他の国々が具体策を講じている中で日本だけが受け身だと批判。

    10. 他国(例:イギリス)は事前に交渉済(07:38~)
       イギリスなどは事前交渉で10%に抑えた可能性があり、日本の外交の弱腰さが目立つ。


    ■ 結局、我々はどう動くべきか?

    こうした歴史の繰り返しを前に、個人ができることは限られています。しかし少なくとも、以下のような視点を持つことが重要です。

    1. 「株安=他人事」ではない

      • 経済活動全体に波及し、自分の仕事や生活に影響が及ぶ。

    2. 政策転換のシグナルに注目

      • 金融緩和や減税の再登場があれば、反発局面のチャンス。

    3. 資産配分の見直し

      • 金だけに偏らず、株・債券・現金のバランスを再考する。

    4. 情報のアップデート

      • 短期的な悲観論と長期的視点を両立する冷静さが求められる。


    ■ :資本主義の“壁”が見え始めた

    「資本主義はもう限界では?」という意見を見かけることが増えました。格差は是正されず、富はますます偏在し、そしてそれを是正しようとすると逆に多くの人が苦しむ。

    悲しいことに、それが今の世界の現実です。

    とはいえ、我々がすぐに別の経済システムを描けるかというと、それも難しい。であるならば、このルールの中でどう立ち回るかを、我々一人ひとりが戦略的に考えるしかないのです。

    今回の急落は、そんな「資本主義ゲームの再認識」を我々に突きつけているのかもしれません。


    今後もマーケットは大きく揺れるでしょう。そのたびに、政治・経済・資本主義の仕組みそのものが問われる局面が来るかもしれません。

    そしてそのたびに、一見“関係ない”ように見える庶民こそが最も影響を受ける存在であるという現実を忘れてはいけません。


    米国は利下げへ動けばやはり円高だろう 円高だと日経平均の戻りはきついか?

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    当2008年より書き始めたブログでは一貫して中国崩壊論を主張してきた、
    2001年出版のコードンチャン氏のやがて中国の崩壊が始まるを2002年に読んだこともあるが、わたしは、社会主義共産主義はインチキだと小室直樹先生の本を読み悟ったからだ。ソ連崩壊 した原因は元々資本論の労働価値説による~商品の価値を決めるのは労働量という考え方が間違っていたこと、統計から科学的に経済政策を行うと言うがその統計がインチキであったり、ペレストロイカなんかするからだと言う説もあるがそもそも社会主義共産主義は国民を幸福にできない。   共産主義が「分配」に関する議論には熱心でも「生産」にはまったく無頓着なことが最大原因だ。 例えば、共産主義は、「資本家の金持ちは悪だから、彼らから奪ってもかまわない」とする。しかし、そのようなことを続けていれば、誰も汗水たらして働き富を蓄積しようとは思わなくなり、誰もが金持ちから富を奪う強盗団の仲間に入るようになるしかし、他人から奪う人ばかりになれば、国家としての生産性は極度に低下し、経済的に維持が困難になる。ソ連邦の場合は、米国と張り合うために巨額の軍事費を費やしたことも大きな財政的問題であったが、いずれにせよ(特に現代社会では)生産(性)を向上させることができない国は、衰退・滅亡するのが必然だ。 ゴルバチョフは共産主義の問題点に気づいてペレストロイカを思い切って導入した。確かに賢明であったが、結局、共産主義の枠組みを残したまま「自由化」するのにはかなりの無理があった。 「民主化」、「自由化」された社会には、国民を「指導」する共産党など無用の長物であるから、共産主義を維持したままの自由化は常に自己矛盾を抱えるからである。   


    今の習近平の中国はソ連邦の崩壊した頃にそっくりである。共産主義国家の寿命70年説がある。 1922年12月30日ソビエト連邦共産党解散を受けた各連邦構成共和国の主権国家として独立 1992年12月25日のソビエト連邦(ソ連)大統領ミハイル・ゴルバチョフが辞任。

    ゴルバチョフは共産主義の問題点に気づいてペレストロイカを思い切って導入した。確かに賢明であったが、結局、共産主義の枠組みを残したまま「自由化」するのにはかなりの無理があった。 「民主化」、「自由化」された社会には、国民を「指導」する共産党など無用の長物であるから、共産主義を維持したままの自由化は常に自己矛盾を抱えるからである。 ソ連邦崩壊時、中国には鄧小平という傑出した人材がいた。

    鄧小平は1992年、社会主義のもとで市場経済を導入する経済体制マルクスも孔子もビックリの市場社会主義なるキメラ理論を採用しソ連邦崩壊の影響を退け、逆に世界の工場として大発展することができた。だが鄧小平自身共産党支配の矛盾は理解していた。いずれ中国民衆は自由と民主主義を希求するだろうが鄧小平一党独裁を優先する腹積もりであった。だから天安門事件で一般民衆を虐殺する決断をできたのであった。だが鄧小平は毛沢東同志とスターリン同志とともに閻魔様の下で学習しており、中国は経済センスのない習近平同志がトップである。中国の社会主義共産主義70年寿命説を当てはめれば2019年のパンデミック発生と一致するのだが、習近平同志は無能故中国版グラスノスチ(情報公開)もペレストロイカもしていないので崩壊はほんの少し先延ばしとなっている。

    現在の中国とソ連崩壊前の状況を比較すると、いくつかの類似点が見えてきます。


    一党独裁と統制経済の矛盾

    ソ連は経済計画の失敗と統制経済の限界に直面し、中国もまた「共同富裕」政策を掲げる一方で、実際には経済の停滞と格差拡大が進んでいます。特に、不動産バブルの崩壊、若年層の高失業率、そして外資の撤退など、経済の不安要素は増しており、ソ連末期の経済困難と重なります。


    軍事費の膨張

    ソ連は米国との軍拡競争に巻き込まれ、経済の負担が限界に達しました。中国もまた、南シナ海や台湾問題で軍事的圧力を強めていますが、財政状況が悪化する中で軍拡を維持し続けられるのかは疑問です。


    指導者の独裁化

    ゴルバチョフは改革を進めましたが、結果的にソ連の解体を招きました。一方で習近平は権力を集中させることで短期的には政権を安定させていますが、長期的には権力の硬直化と党内の不満を増幅させるリスクがあります。歴史的に見ると、独裁体制が長期にわたって安定することは稀です。


    情報統制と国民の不満

    ソ連末期の「グラスノスチ(情報公開)」は、逆に国民の不満を増幅させました。中国は情報統制を徹底していますが、インターネットの発達や海外の情報流入を完全に封じることは難しく、特に若者の間で体制への不満が蓄積されています。


    パンデミックと国家の対応

    2019年のコロナウイルスの発生とロックダウン政策は、中国経済に大きなダメージを与えました。これはソ連がチェルノブイリ事故で国家の信頼を失ったことと類似しています。中国はまだ崩壊していないが、ソ連は優秀なゴルバチョフだったが今の中国は経済音痴の習近平なので下手にペレストロイカをやらない分崩壊せずいるだけだと思う、過去の中国の歴史から鑑みれば中国共産党王朝の崩壊は時間の問題である。

    第1章:中国経済の急成長とその背後に隠された虚偽の統計

    中国経済の急成長は、1978年に改革開放を始めた鄧小平の指導のもとでスタートし、1990年代には世界の工場としての地位を確立しました。中国は、安価な労働力と大規模な市場を提供することで、世界各国からの投資を引き寄せ、膨大な工業生産を行いました。しかし、この急成長の背後には、いくつかの重大な問題が隠れていたのです。

    最も顕著な問題の一つは、虚偽の統計データに関する疑惑です。特に、人口統計や経済成長率に関して中国政府は数多くの誇張や隠蔽を行ってきました。例えば、実際の人口が10億人前後である可能性が高いという説がありますが、政府はこれを14億人以上と水増しし、海外からの投資を引き寄せました。この「14億人市場」という幻想により、外国企業は中国市場の拡大を期待して投資を続けてきたのです。

    また、経済成長率も過度に高く報告されており、実際の成長はもっと控えめだったとする意見が増えています。これらの虚偽の統計は、習近平政権下でも続いており、特に人口減少が始まったことを隠蔽するために、実際のデータが改ざんされている疑いが強いのです。


    第2章:ソ連崩壊との類似性

    中国の現状とソ連崩壊の類似性は多岐にわたります。まず、ソ連崩壊の大きな要因となったのは、経済の実態と報告されるデータの乖離でした。ソ連政府もまた、虚偽の統計を基にした経済計画を立て、急激な軍拡や産業発展を試みました。しかし、実際にはその経済基盤が脆弱であり、最終的には崩壊を迎えました。

    同様に、中国も現在、膨大な外貨準備高や経済成長率の数字に依存しており、それに基づいた国際的な信用を築いてきました。しかし、実際の経済の実態は急激に悪化しつつあり、虚偽のデータに基づく経済成長は持続不可能であることが明らかになっています。特に、過剰な不動産開発や過剰債務問題が顕在化し、ソ連時代と似た経済的危機が迫っています。

    また、ソ連が崩壊する前に、国家の官僚主義や不正行為が蔓延していたことも特徴的でした。中国もまた、経済の中央集権的な管理が進んでおり、政府の意図的なデータ改ざんや統計の不正が国民に広く認識されつつあります。このような中央集権体制の問題は、ソ連崩壊と共通するものがあります。


    実態は発表より低い、中国GDPの法則


    中国は2025年のGDP成長率を5%だったと発表したがこの数字を巡って外国の専門家だけではなく国内からも「嘘だ」という指摘が相次いでいる


    メディアは統制されているのでそのように書くことはできないが、GDPを偽造しているというのは検証するまでもなく一歩外を歩くと実感するという


    北京や上海や広州や深センといった第一級の都市ですら街にはホームレスが大勢いて何カ月も就職できない人が大勢いる


    GDP偽造疑惑は今回が初めてではなく今から10年前の2015年にチャイナショックという経済危機があり当時もGDPに疑念が噴出していた


    中国が発表したGDPを巡って世界の経済専門家が異を唱え、嘘を発表していると指摘したのは2015年の事でした


    この年1月から6月の上半期GDP成長率を年率換算7%と発表しました



    2015年はチャイナショックの年で人民元と中国株が暴落し、中国経済崩壊危機すら噂されていました


    多くの専門家は年3%以下の成長率を予想したが、発表は前年の目標通り7%だったのでGDPねつ造疑惑が起きた


    イギリスの調査会社は独自に計算し、2015年通期の成長率は2.8%と試算していた


    中国経済は消費低迷や生産減少、輸出入も減少し全ての数字がマイナスなのにGDPだけが7%増えました


    中国は人口14億人なのに2週間でGDPが発表されるが、アメリカは2ヶ月掛け日本は3ヶ月掛けています


    しかも日米が最初に発表するのは速報値だけで、数か月後に修正値で確定します


    中国のGDPは前年にGDP目標が発表されるが、目標は驚くほど高精度で達成される


    しかも期日が過ぎてから2週間で日本の10倍の人数を調査し、1発発表で修正や確定値はない


    常識的に考えて中国は建国以来一度もGDP調査をしたことがなく、目標値を建てて1年後に「達成した」と発表しているだけです


    そんな中国は2020年から22年の新型コロナ以降明白に経済が悪化し、人民の生活が破綻しているのにGDPは19年以前と同じように成長したと発表している


    第3章:不動産バブルとその崩壊

    中国における不動産バブルは、長年にわたって経済成長を支えてきました。しかし、その背後には大量の借金が隠されており、バブルが崩壊する日が近づいていることは明らかです。中国では、土地を利用した開発が国家経済を支える主要な手段となっており、その結果、過剰な不動産開発が進みました。しかし、実際には需要が不足している地域が多く、ゴーストタウンが大量に生まれています。

    特に地方政府は、中央政府からの補助金を得るために、不動産開発を急いで行い、多くの不良債権を抱えることになりました。これが中国経済における大きな足枷となり、最終的には不動産バブルが崩壊することが予想されています。これにより、銀行の貸し出し金利の引き上げや不動産業者の倒産が続出し、経済全体に悪影響を及ぼす可能性が高いです。

    MAG2 NEWS8/3(木)15:12


    破竹の勢いで急成長を遂げるも、2020年代に入るやその低迷ぶりが伝えられるようになった中国経済。東アジアの大国は、このまま沈んでしまうのでしょうか。今回の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』では国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんが、ノーベル経済学賞学者のポール・クルーグマン氏による今後の中国経済の見通しを紹介。クルーグマン氏は巷間囁かれる「中国が日本のような道を歩むことになる」との見方を全否定しています。

    ノーベル賞学者クルーグマンの見る中国経済の行方
    私がメルマガを創刊して、24年になります。この期間、本当にいろいろな事件がありました。そして、私はいくつか重要な予測を当ててきました。

    たとえば2005年に出版した初めての本『ボロボロになった覇権国家アメリカ』。この本は、一言でいえば、「アメリカ発の危機が起こり、アメリカが没落する」という話。実際、2008年にアメリカ発「100年に1度の大不況」が起こりました。そして、「アメリカ一極世界」は崩壊し、世界は「米中二極時代」に移行したのです。

    2008年に出版した『隷属国家日本の岐路〜今度は中国の天領になるのか?』では、「日本に親中政権が誕生すること」「尖閣問題から日中対立が激化していくこと」などを予測しました。この本が出た1年後、親中反米鳩山政権が誕生しています。さらに、2010年尖閣中国漁船衝突事件、2012年尖閣国有化で日中関係は、最悪になりました。

    他にもいろいろありますが、この辺でやめておきましょう。

    もう一点、中国経済の見通しについて。私は前述、2005年出版の『ボロボロになった覇権国家アメリカ』で、こんな予測をしていました。

    2008〜2010年に危機が起こる しかし、中国は危機を短期間で克服する 中国の高成長は、2020年まで
    実際に2008年に危機が起こり、中国は速やかに乗り切りました。そして、概ね2020年まで高成長をつづけたのです。

    なぜ18年前に私は、中国経済が「こうなること」を予測できたのでしょうか?「国家ライフサイクル」で見たのです。国家ライフサイクルには、

    前の体制からの移行期(=混乱期) 成長期(前期と後期がある) 成熟期 衰退期
    があります。日本は、1950年から成長期に入り、1990年までつづきました。その後バブルが崩壊し、成熟期、低成長の時代がつづいています。

    中国は、ざっくり1980年から成長期に突入しています。つまり、中国は「30年遅れて日本の後を追っている」のです。検証してみましょう。

    日本1950年代 = 成長期に突入 中国1980年代 = 成長期に突入 日本1960年代 = 安かろう悪かろうで急成長 中国1990年代 = 安かろう悪かろうで急成長 日本1970年代 = 世界の工場に 中国2000年代 = 世界の工場に 日本1980年代 = 「ジャパンアズナンバー1」「日本はアメリカを超える」と誰もが思い始める 中国2010年代 = 「中国はアメリカを超える」と世界のほとんどの人が考え始める
    というわけで中国は、まさに「ぴったり30年遅れで、日本の後を追っている」ことがわかります。

    問題は、次です。

    日本1990年代 = 「暗黒時代」に突入
    そうなると、

    中国2020年代 = 「暗黒時代」に突入
    ということになります。これが、私が18年前に見た、「中国経済の未来」でした。そして、実際にそうなっているのです(もちろんここでは、「骨子」だけを話しています。実際の分析は、もっと複雑です)。

    初めての本から18年経ち、ノーベル賞経済学者ポール・クルーグマンが、日本経済と中国経済を比較しています。中国経済は、90年代の日本のように「暗黒時代」に突入するのでしょうか?ビジネスインサイダージャパン 8月2日を見てみましょう。

    中国経済は減速に向かっていると、ノーベル経済学賞受賞者のポール・クルーグマンは考えている。 クルーグマンは、中国と90年代に経済が衰退した日本との類似点を指摘する。 人口動態に強い逆風が吹いていることから、中国の将来はさらに悪化する可能性が高い。
     

    中国経済は大きな減速に向かっていると、ノーベル賞受賞経済学者のポール・クルーグマン(Paul Krugman)は考えている。




    第4章:外貨準備と虚偽報告

    中国は、過去に比べて非常に高い外貨準備高を誇っていますが、これもまた疑わしいものです。中国政府は外貨準備高を意図的に増やすために、サムスンやファーウェイなど民間企業の保有する外貨も「外貨準備」としてカウントしていると指摘されています。これにより、実際にはその準備高が過大に見積もられ、海外からの信用を得てきたのです。

    また、外貨準備が多く見せかけるために、実際の対外資産や負債との不一致が生じており、これが中国経済の実態を隠す役割を果たしています。日本と比較しても、中国の外貨準備高が非常に多いとされていますが、実際にはその裏にあるデータの不一致が多く、信頼性に欠ける部分が多いことが問題視されています。


    第5章:中国人口問題とその影響

    中国の人口問題も深刻化しています。特に「一人っ子政策」による人口減少が大きな問題となっており、現在では高齢化が進行しています。しかし、この問題は政府が隠蔽してきた統計データにより、長年にわたって軽視されてきました。昨年起きたハッキング事件により、中国の実際の人口が予想よりも遥かに少ないことが明らかになり、これもまた中国経済に深刻な影響を与えています。

    人口減少に伴う労働力不足や年金問題、そして高齢化社会への対応が必要ですが、これらの問題に対する準備が不十分であることが明らかになっています。さらに、若年層の人口が減少し、労働力の供給が不足することで、経済の成長が停滞する可能性が高まっています。



    中国の人口実は10億人しかいない説

    さらに、中国の人口に関しても驚くべき事実が明らかになりつつあります。長年、「14億人市場」という言葉が使われ、中国経済の成長を支える重要な要素として海外投資家を引きつけてきました。しかし、実は中国の人口はこれまで報告されてきた数値よりもはるかに少ない可能性が浮上しているのです。


    最近、ハッキング事件が発生し、上海警察のデータベースから10億人分の個人情報が流出しました。このデータを分析した結果、中国の実際の人口は約10億人程度である可能性が高いことが示唆されています。これが本当ならば、長年にわたり「14億人」という数字が水増しされていたことになります。


    中国政府は過去に、人口統計の改ざんを行っていた可能性が指摘されています。特に「一人っ子政策」やその後の人口抑制策において、データの操作が行われていたことは広く知られています。このような改ざんが、中国の経済成長に対する過剰な期待を生み出した要因となっているのではないかと考えられます。


    さらに、最近の中国政府の認識によれば、人口減少は想定よりも早く、すでに始まっていると認められました。かつては2030年以降に人口減少が始まると予測されていたものの、実際には昨年から人口減少が始まっていたと発表されています。このように、人口統計の虚偽報告とその影響は、中国経済に深刻な影響を与え続けているのです。



    結論:国家崩壊への道

    中国経済は、急激な成長を遂げたものの、その成長の陰にある構造的な問題は深刻です。虚偽の統計データ、不動産バブル、過剰な外貨準備、人口問題、そして膨大な対外債務が積み重なり、中国は国家崩壊の危機に直面していると言えます。ソ連崩壊と同様、虚偽の経済データが隠蔽されたまま、最終的にその膨大な負担が国民や経済全体に重くのしかかり、崩壊へと向かうしかないいのです。

    中国の未来は、暗いものであると言わざるを得ません。

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    T-4練習機の後継問題と日本のパイロット訓練体系の変革

    1. 現状と問題点

    • T-4練習機は老朽化が進み、後継機の選定が急務となっていた。

    • F-35やF-3といった次世代戦闘機に対応した新たな訓練体系が必要。

    • 初級訓練のシミュレーター依存度が増加し、中等練習機の必要性が疑問視される。

    • ジェット練習機自体の存在意義が再考されており、今後の航空戦力にとって最適な訓練体系を模索する必要がある。

    2. T-4後継機の選択肢

    • ボーイングT-7Aの導入が最有力視されていた。

      • 実機はほぼ完成したが、緊急射出座席の問題が発生。量産化実用化は2年以上遅延

      • F-35やF-15パイロット育成には最適だが、F-3向けの訓練機としては疑問。

      • ボーイングの経営支援的な側面も指摘されごり押しされそうだったがF47採用でごり押し圧力は低下か?

    • イタリアのM-346の採用

      • 空自パイロット/教官飛行訓練生がイタリアに派遣されで空自訓練の一環として使用実績があり、信頼性が高い。

      • 日本がライセンス生産すれば、国内産業の利益にもつながる。

      • GCAP(次期戦闘機開発計画)との互換性を持たせる改修の可能性も。

    • 国産開発の可能性

      • GCA(GCAPに関連した技術を持つステルス練習機)の開発が検討されるべき。

      • 軽攻撃機や無人機との統合運用を視野に入れた機体設計が望ましい。

    3. 軽攻撃機・無人機との統合

    • 現在の国際的な流れでは、練習機を軽攻撃機としても活用する方向性がある。

    • スクランブル対応や偵察飛行が可能な機体としての運用も検討。

    • 米国や他国での訓練機開発の流れを踏まえ、ドローンや無人機と統合した訓練体系が求められる。

    4. 未来の訓練体系

    • シミュレーターの活用

      • 初級訓練はシミュレーター中心になりつつあり、実機の必要性が減少。

      • ただし、G負荷など実機でしか経験できない要素は依然として重要。

    • 戦術練習機の導入

      • GCAP技術を応用したステルス練習機が戦術訓練に適している。

      • 実戦的な環境でのパイロット育成を強化し、無人機との協働も視野に。
        岸田首相とバイデン大統領の間で日米で新型ジェット練習機開発し導入する合意ができたのだが・・・・

    2024年3月、米国政府は最新鋭の戦闘機「F-35」の追加供与を日本に正式に決定した。この決定は、日本の防衛力強化と日米同盟のさらなる深化を目的としている。現在、日本はF-35AおよびF-35Bの導入を進めており、これにより航空自衛隊の戦力が大幅に向上する見込みである。

    また、一時日米で新たな練習機を共同開発することで岸田首相とバイデン大統領との間で合意していた。このプロジェクトは、日本の航空産業の技術力向上と米国との防衛協力の強化を図るものであり、今後の詳細な計画が注目されていた。

    • 現実的な選択肢として、T-7AやM-346の導入が有力だが、国産開発の可能性も模索する必要がある。

    • 軽攻撃機や無人機と連携した新たな訓練体系を構築すべき。

    • 将来的には、GCAP技術を応用したステルス練習機や無人機との統合運用が理想的。

      T2高等ジェット練習機が2006年に退役後高等ジェット練習機を 持っていない空自は長年に渡り空事の航空 学生を米国へ送り込みF5戦闘機の派生型 である老朽化したT38タロン高等ジェット練習機 で訓練していました4年前に米国で空事の 航空学生と米国教官が乗ったT38タロン高等ジェット練習機が訓練飛行中に墜落し両名とも なくなられています。それ以来空自はここ3 年間に渡り空自パイロットと空自の航空 学生をイタリアのサルジニア島にある イタリア空軍の練習基地へ派遣

    • しイタリア製 アロマッティM346超音速高等ジェット練習機 で訓練飛行を行っていますF35を運用し ているイタリア空軍のパイロットは元より F35Aの導入が決定したドイツ空軍の パイロットもイタリア派遣され空自と同じ 練習基地であるマッキーM346を使用し ての訓練飛行を行っています。T7A高頭 練習機はは緊急射出座席の不具合が未だに 解決されていないので量産が2年以上遅れ ています空自自身が実際に飛行訓練に 使用している信頼生徒実績のあるラロ マッキM346高等練習機の導入を考慮し ても良い環境にあると思います。

    日本のパイロット育成と防衛戦略の転換点として、単なる機体更新ではなく、訓練体系全体の再構築が求められているという議論があったが結局米穀のT7を買わされるだろうと言うのがネット界隈の意見だった。ところが日本、イギリス、イタリアの3カ国が共同で進める第6世代ジェット戦闘機開発プロジェクト「グローバル戦闘航空プログラム(GCAP)」が進行中ですが、この枠組みの中で新たな防衛協力の可能性が浮上しています。特に注目されるのが、日本のT-4練習機とイタリアのM-346練習機の共通化、さらには日本のP-1哨戒機とイタリアの新型対潜哨戒機の協力開発の可能性です。

    イタリア空軍参謀長であるルカ・ゴレッティ上級中将は、イタリア議会の外交委員会において、日本との間で練習機および哨戒機の共通化について議論が行われていることを明らかにしました。この発言は、防衛協力の新たな展開を示唆するものであり、日本とイタリアの軍事技術協力が今後さらに進展する可能性を示しています。わたしは、日本がイタリアのM-346を導入しイタリアが日本のP-1哨戒機を導入するWIN-WIN案で決まると思います。



     【Defensenews】イタリア、新たな海上哨戒機を戦闘機友好国の日本に期待
    トム ・キングトン 2025年3月29日土曜日


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    2015年、神奈川県相模湾沖で行われた観艦式で、海上自衛隊の川崎重工製P-1哨戒機がミサイル防衛フレアを発射した。(Toru Yamanaka/AFP via Getty Images)


    ローマ — イタリアは地中海の敵潜水艦に対抗するため、日本の川崎重工製P-1哨戒機の購入を検討している。この動きはイタリアの米国製航空機購入の伝統を打ち破り、日本との関係を強化することになるだろう。

    「P-1は、利用可能な選択肢の一つだ」とイタリア空軍のルカ・ゴレッティ司令官は金曜日、イタリアが海上哨戒能力のギャップをいかに埋めようとしているのかとの記者団の質問に対し語った。


    「我々は日本と素晴らしい関係を築いている」と彼は付け加えた。

    P-1は海上哨戒機としてゼロから設計された4発エンジンのプラットフォームで、2013年から日本で運用されている。これまでの輸出努力は成功していないが、海上自衛隊は現在33機を運用している。

    イタリアは2017年に長年運用してきたアトランティック哨戒機の最後の1機を退役させたため、その役割を担うためにエアバスと地元企業レオナルドが共同で製造したATR 72を導入し、空軍と海軍の混成乗組員で運用している。


    しかし、電子走査レーダーを搭載していたものの、この航空機は対潜水艦戦能力を欠いており、穴埋め的なものに過ぎないとみなされていた。

    そのギャップを埋めるための新たな購入は、友好国と敵対国による地中海での新たな海軍活動と一致するだろう。

    イタリアは長年にわたり、B767空中給油機、C-130、ガルフストリーム・センサー機、F-35、リーパー・ドローンなどの航空機の輸入を米国に求めてきたが、米国のP-8航空機の代わりにP-1航空機を導入することになる。

    イタリアは最近、英国と共同でGCAP第6世代戦闘機プログラムに取り組むなど、日本との関係を強化している。


    レオナルド社は2023年、日本のパイロットがイタリアに派遣されてM-346の訓練を受けた後、東京の川崎重工のT-4練習機を置き換えるため、M-346ジェット練習機を日本に売り込んだ。

    ゴレッティ空軍司令官は3月13日、イタリア議会でGCAP計画について演説し、第6世代ジェット機に関する日本との協力が他の協力の可能性についての議論を促していると述べた。

    「現在、日本にはイタリア代表団が駐在している。イタリア向けの練習機や共同哨戒機の開発など、日本との成長のチャンスが他にもあるからだ」と同氏は述べた。「我々の協力は、ごく最近まで考えられなかった新たな展望を開いた」と同氏は付け加えた。





    • 日本とイタリアの防衛協力:GCAPと練習機・哨戒機の共通化

      日本、イギリス、イタリアの3カ国が進める第6世代ジェット戦闘機開発プロジェクト「グローバル・コンバット・エア・プログラム(GCAP)」の一環として、イタリア空軍参謀長のルカ・ゴレッティ上級中将が、日本との間で練習機と哨戒機の共通化について議論していると発言したことが明らかになった。この発言はX(旧Twitter)などのSNS上でも大きな話題となり、日本とイタリアの防衛協力の新たな局面を示すものとして注目されている。

      日本とイタリアの練習機の現状と課題

      現在、日本の航空自衛隊では川崎重工業が開発・製造するT-4練習機を運用している。この機体は1985年に初飛行し、1988年から運用が開始されたが、老朽化が進んでおり、後継機の開発が求められている。一方、イタリア空軍はアレーニア・アエルマッキ(現レオナルド社)が開発したM-346を運用しており、この機体は軽攻撃機としても使用可能な高性能機である。

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      T-4の主なスペックは以下の通りである。



      • 乗員:2名

      • 全長:13.0m

      • 最大離陸重量:7,500kg

      • エンジン:IHI F3ターボファンエンジン×2基

      • 初飛行:1985年

      対して、イタリアのM-346のスペックは以下の通りである。

      • 乗員:2名

      • 全長:11.49m

      • 最大離陸重量:12,100kg

      • エンジン:ハネウェル ITCF124GA200×2基

      • 初飛行:2004年

      M-346はT-4よりも新しく、軽攻撃機としての運用も可能な高性能機であり、日本がT-4の後継機を模索する中で、M-346の導入または共同開発が議論されるのは自然な流れと言える。

      日本のP-1哨戒機とイタリアの哨戒機事情
      イタリア空軍はこれまで、フランス製のブレゲー・アトランティック哨戒機を運用してきたが、2016年以降、ATR72ASW(B-72A)を導入してきた。しかし、地中海におけるロシアの潜水艦活動が活発化する中で、より高性能な哨戒機の導入が求められている。

      この中で、日本のP-1哨戒機が有力な候補として挙げられている。P-1は海上自衛隊が運用する国産哨戒機であり、その主なスペックは以下の通りである。

      • 全長:38m

      • 最大離陸重量:79.7t

      • エンジン:IHI XF7ターボファン×4基

      • 巡航速度:833km/h

      • 航続距離:8,000km

      P-1哨戒機とイタリアの哨戒機選定


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      P-1 (哨戒機)
      日本が開発・運用するP-1哨戒機は、P-3Cの後継機として2013年から配備されています。主な仕様は以下の通りです。

      • 全長:38.0m

      • エンジン:IHI XF7ターボファンエンジン(4基)

      • 最大速度:996km/h

      • 航続距離:8,000km

      • 対潜兵装:91式空対艦誘導弾、AGM-84ハープーン など

      一方、イタリアは現在運用しているATR-72ASWの後継機を2029年までに選定する予定であり、候補の一つとして日本のP-1が挙がっています。

      P-1とP-8の比較

      P-1はアメリカのP-8ポセイドンと比較されることが多いが、

      • P-8はボーイング737をベースとした双発機

      • P-1は4発機であり、低速飛行性能に優れる

      といった違いがある。P-1は価格面でP-8と同等(約200億円/機)であるにもかかわらず、これまで国際市場での販売実績がなく、競争に苦戦してきた。日本の武器輸出政策やアフターサポート体制が不十分であったことも、その一因とされている。

      機種P-1P-8
      エンジン数4基2基
      最大速度996km/h907km/h
      航続距離8,000km8,300km
      価格約200億円約200億円

      P-1は高性能ながらも、これまで国際市場での採用実績がなく、P-8に敗れ続けています。しかし、イタリアがP-1を採用すれば、日本の防衛装備品輸出にとって大きな転機となるでしょう。

      日本とイタリアの防衛協力の今後

      GCAPを通じて日本とイタリアの防衛協力が進むことで、イタリアがP-1を採用する可能性が現実味を帯びてきた。今回のT-4後継機および哨戒機の協力は、単なる装備品の調達を超えて、防衛産業の新たな枠組みを構築する可能性を秘めています。

      • GCAPを通じた技術協力の深化
        日本とイタリアは第6世代戦闘機の開発で協力しており、これが練習機や哨戒機にも波及する可能性がある。

      • アメリカ依存からの脱却
        これまで日本は防衛装備の多くをアメリカに依存してきましたが、ヨーロッパ諸国との協力を深めることで、新たな選択肢が生まれる。

      日伊防衛協力の意義と今後の展望

      これまで日本はアメリカとの防衛協力を最優先としてきたが、トランプ政権以降、アメリカの同盟国への要求が厳しくなり、自主防衛の必要性が高まっている。GCAPは日本にとって、ヨーロッパ諸国との防衛協力を強化する絶好の機会であり、練習機や哨戒機の共通化が進むことで、その協力関係はさらに深まるだろう。

      イタリアのゴレッティ空軍参謀長が今回の提案を行った背景には、過去の事例も影響していると考えられる。2012年、イタリアはイスラエルの監視衛星とセンサー搭載ガルフストリームを購入する見返りに、イスラエルへM-346を輸出するという「トレードオフ」を行った。今回の提案も、イタリアがP-1を導入する代わりに、日本がM-346を採用するという「バーター取引」の可能性を示唆している。

      結論

      日本とイタリアの防衛協力が練習機や哨戒機の分野に広がることは、GCAPの枠を超えた戦略的な動きとなる。日本にとって、P-1の輸出実績を積むことは防衛装備品の国際市場での競争力を高める大きな一歩となる。一方、イタリアにとっても、GCAPを通じた日本との関係強化は、欧州内での防衛産業競争において有利に働くだろう。

      今後の進展次第では、日本とイタリアだけでなく、イギリスや他のヨーロッパ諸国を巻き込んだ新たな防衛技術協力の枠組みが形成される可能性もある。これは、アメリカ一極集中の防衛協力体制から脱却し、多極化した国際安全保障の新たなモデルを構築する第一歩となるかもしれない。


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    【産経新聞】<独自>長射程ミサイル運用原則、日本主体で発射 24日発足の統合司令部 米軍頼らず


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    防衛省・自衛隊が保有を目指す長射程ミサイルの運用について、自衛隊が米軍に頼らずに日本側が主体的に発射する基本原則を策定していたことが23日、分かった。複数の政府関係者が明らかにした。長射程ミサイルは24日に発足する、陸海空自衛隊の指揮を一元化する「統合作戦司令部」が基本原則に基づいて運用の中心的役割を担う。

    通常より遠方のおおむね1千キロ以上へ飛ばせる長射程ミサイルは「スタンドオフミサイル」とされ、侵攻してくる敵部隊の攻撃圏外から攻撃できる手段。敵領域内の軍事目標をたたく「反撃能力」としても活用され、防衛力強化の要に位置付けられる。


    運用する上では人工衛星や無人機、レーダーなどの多様な情報収集手段による探知・追尾が必要で、地上発射型だけでなく艦艇や戦闘機などさまざまな発射手段を持つことで抑止力を発揮する。陸海空自衛隊を一体運用する必要があり、新しく発足する統合作戦司令部の一元指揮が前提となる。


    自衛隊は司令部創設に先立ち、長射程ミサイル運用の基本原則を検討。令和4年末に策定された国家安全保障戦略は、9年度までに「わが国が主たる責任をもって」、他国の侵攻に対処できる態勢の構築を掲げており、日本の主体性を原則とすることで固有の抑止力としたい考えだ。


    ただ、直ちに運用できるわけではない。7年度に先行配備する長射程の米国製巡航ミサイル「トマホーク」の運用には互換性のあるシステムを持つ米軍の支援が欠かせない。また、主軸となる長射程の国産巡航ミサイル「12式地対艦誘導弾能力向上型」も7年度から配備されるが、一元運用に必要な「統合指揮ソフトウエア」などの段階的整備には9年度まで要する。


    影響力を保持するため日本の長射程ミサイル保有にかつて慎重だった米国側との情報共有も懸念材料だ。自衛隊幹部は「米側が許可しないと発射できない事態にしてはいけない」と話した。

    統合作戦司令部の発足と日米防衛戦略の変化

    2024年3月、自衛隊の陸海空を一元的に指揮する「統合作戦司令部」が正式に発足した。これは、日本が有事の際により迅速かつ柔軟に対処できるようにするための組織改編であり、これにより自衛隊の作戦能力は飛躍的に向上することが期待されている。特に、中国の軍事的脅威が増す中、日米の防衛協力の形も変わりつつある。

    3月には米国のヘグセス国防長官が来日し、日本の防衛大臣と会談を行った。日米防衛協力における役割分担の再調整が議題となり、日本がより主体的に防衛能力を高める方向性が確認された。この変化の背景には、日本が開発を進める長射程ミサイル群が大きく関係している。

    日本の長射程ミサイル開発の進展

    現在、日本は島嶼防衛と抑止力強化を目的に、いくつかの先進的な長射程ミサイルを開発中である。




    1. 島嶼防衛用高速滑空弾(HVGP)

    HVGP(Hyper Velocity Gliding Projectile)は、極超音速で飛翔し、敵の迎撃を困難にする兵器である。特に、中国の海洋進出を抑止するために、第一列島線を中心とした地域での運用が想定されている。開発は順調に進んでおり、2026年頃の実戦配備が目指されている。

    2. 極超音速巡航ミサイル(HCM)

    HCM(Hypersonic Cruise Missile)は、極超音速(マッハ5以上)で飛行する巡航ミサイルであり、従来のミサイルよりも高い機動性と迎撃回避能力を持つ。これは、日本の防衛力強化において極めて重要な兵器となる。HCMは発射後、可変軌道で飛翔し、高度な電子戦環境下でも有効な攻撃能力を持つ。

    3. 12式地対艦誘導弾能力向上型

    12式地対艦誘導弾の改良版は、射程を大幅に延長し、日本周辺海域に展開する敵艦艇に対する抑止力を強化する。特に、日米共同運用の観点からも、その長距離打撃能力が注目されている。

    日本主体のミサイル発射運用と日米防衛戦略の変化

    従来、日本は「専守防衛」の原則の下で、敵基地攻撃能力を持たず、米軍の抑止力に依存してきた。しかし、中国や北朝鮮の脅威が増す中、日本がより主体的に長射程ミサイルを運用する方針へと転換しつつある。

    1. 日米の役割分担の変化

    これまでは、

    • 日本:防御主体(迎撃、監視)

    • 米国:攻撃主体(敵基地攻撃、長距離打撃) という構図だった。しかし、日本が長射程ミサイルを自前で運用することで、

    • 日本:防御+限定的な攻撃能力(敵の侵攻を抑止)

    • 米国:戦略的な後方支援、核抑止力の維持 という新たな役割分担が形成される可能性が高い。

    2. 「敵基地攻撃能力」の実質的な運用

    政府は公式には「反撃能力」と表現しているが、事実上、日本は敵のミサイル基地や指揮統制拠点を攻撃できる能力を持つことになる。これにより、

    • 先制攻撃ではなくても、敵の攻撃準備を抑止できる。

    • 米軍の支援なしでも一定の反撃能力を確保できる。

    3. 自衛隊と米軍の共同運用の深化

    日本が長射程ミサイルを運用することで、日米共同作戦の形態も進化する。例えば、

    • 情報共有の強化:米軍のISR(情報・監視・偵察)と自衛隊のミサイル運用の統合

    • 共同演習の増加:実際の発射訓練やシミュレーションを通じた連携強化

    • 即応性の向上:日本が単独で対応できる範囲の拡大

    今後の課題と展望

    1. 法的・政策的な調整

    現行の憲法解釈では、日本の攻撃能力の行使には一定の制約がある。敵基地攻撃能力を実際に運用するためには、法的な明確化が必要であり、今後の国会での議論が重要となる。

    2. 技術的課題と量産体制

    HVGPやHCMは高度な技術が求められる兵器であり、開発と量産には時間とコストがかかる。特に、

    • 国産技術の確立(海外依存度を下げる)

    • 配備計画の具体化(どこに、どの程度配備するか) が鍵となる。

    3. 中国・北朝鮮の反応

    日本の長射程ミサイル開発は、中国や北朝鮮から強い反発を招く可能性が高い。すでに中国は、日本の防衛政策の変化に対して「地域の安定を損なう」と警戒を強めている。今後、

    • 外交的な説明努力(国際社会への理解を得る)

    • 同盟国との連携強化(日米のみならず、豪州、韓国などとの協力) が求められる。

    結論

    統合作戦司令部の発足により、日本の防衛体制は新たな段階に入った。長射程ミサイルの開発と運用を通じて、日本はより主体的に防衛戦略を遂行することが求められる。これにより、日米の役割分担も進化し、日本が「守るだけの防衛」から「抑止力を備えた防衛」へと移行する道筋が明確になりつつある。

    今後の課題は多いが、日本が主導的に防衛力を強化し、日米同盟の枠組みの中で戦略的な自立性を高めることが、東アジアの安定にとって重要な要素となるだろう。






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    250304-F-AF000-1001 Air Force designates two Mission Design Series for collaborative combat aircraft Concepts of the uncrewed fighter aircraft YFQ-42A (bottom) and the YFQ-44A are pictured in artwork. The aircraft are designed to leverage autonomous capabilities and crewed-uncrewed teaming to defeat enemy threats in contested environments. (U.S. Air Force artwork courtesy of General Atomics Aeronautical Systems, Inc. and Anduril Industries)

     YFQ-42AとYFQ-44Aのイメージ

    2025年3月4日、アメリカ空軍は史上初めて無人戦闘機に正式な型式名を与えました。それが、ジェネラル・アトミックスYFQ-42Aと、アンドゥリル・インダストリーズYFQ-44Aです。


    Y:プロトタイプ(試作機、生産開始となるとYが取れます。)

    F:ファイター(戦闘機)

    Q:無人機

    また、YFQ-42AとYFQ-44Aについて、

    42と44は、設計番号(Design Number)Aは、最初のシリーズを意味しています。

    この名称は航空機の命名規則に基づいたもので、「Y」はプロトタイプ、「F」は戦闘機、「Q」は無人機を意味しています。したがって、これらの機体が制式採用される段階になれば、FQ-42、FQ-44という名称になる可能性が高いと考えられます。

    これらの無人戦闘機は「共同交戦航空機(Collaborative Combat Aircraft, CCA)」として開発されました。CCAプログラムの目的は、有人戦闘機と無人機が協力し、戦闘に勝利するための新たな戦術を確立することにあります。特に「ロイヤル・ウイングマン(Loyal Wingman)」というコンセプトのもと、無人戦闘機は有人戦闘機の補佐役として、もしくは状況次第では先陣を切る役割を担うことが想定されています。

    CCAの最大の特徴の一つが「半自律」という点です。従来の無人機は遠隔操縦が必須であり、オペレーターの指示なしでは動作しませんでした。しかし、CCAは異なり、戦闘機パイロットが「攻撃せよ」といったコマンドを送ると、その後の詳細な動作はAIが自律的に判断し、実行します。具体的には、敵の編隊のどの機体を優先的に攻撃するか、どのルートで接近するか、あるいは回避機動をどう取るかといった戦術的判断をAIが行うのです。

    CCAのメリットは、有人戦闘機よりも安価であること、そして撃墜されても人的被害が発生しないため、リスクの高い攻撃を任せられる点にあります。例えば、敵の防空網を突破する際、先陣を切ってミサイルを発射し、迎撃を引きつける役割を果たすことが想定されています。また、レーダーや電子戦装備を搭載し、戦場を索敵したり敵の通信やレーダーを妨害したりすることも可能です。

    こうした技術革新の中で、次世代戦闘機F-47の存在も注目されています。F-47は、有人機と無人機がクラウドシューティングによって連携し、戦場における優位性を確立することを目的としています。クラウドシューティングとは、ネットワーク化された戦闘機群がリアルタイムで情報を共有し、最適なターゲットに対して迅速な攻撃を実施する概念です。F-47は、このシステムの中心として、CCAとシームレスに連携することで戦闘効率を飛躍的に向上させる役割を担います。

    さらに、F-47はウィングマンとしての機能も備えており、複数のCCAを指揮する司令塔としての役割を果たします。F-47のパイロットは、従来の戦闘機のように単独で戦うのではなく、複数の無人戦闘機を従えた指揮官として戦場を駆け巡ることになります。これにより、有人戦闘機がリスクを最小限に抑えつつ、無人機を最大限に活用した戦闘が可能になります。

    また、CCAの最大の利点の一つは「訓練飛行が不要」という点です。有人戦闘機のパイロットは年間200時間以上の飛行訓練を必要としますが、CCAはAIによって制御されるため、そのような訓練コストを大幅に削減できます。これにより、普段は一定数を無可動状態で保管し、有事の際には短期間で一挙に機数を増やすことが可能となります。

    無人機といえども、CCAは非常に高度な機能を持つため、必ずしも有人戦闘機と比べて大幅に安価となるわけではありません。しかし、運用コストの削減や戦闘時のリスク分散など、多くの利点をもたらすことは間違いありません。

    アメリカ空軍は、少なくとも1000機のCCAを導入することを目指しています。このような無人戦闘機はアメリカ以外の国々でも開発が進んでおり、2025年現在では有人戦闘機に匹敵する能力を持つ機体は存在しないものの、その実現は時間の問題といえるでしょう。

    一方で、完全自律飛行する「無人戦闘機」の実現にはまだ多くの課題が残されています。例えば、倫理的・法的な問題、敵によるハッキングのリスク、AIの意思決定に関する透明性など、クリアすべき障壁は多岐にわたります。そのため、現時点ではCCAのように「半自律」の形態が主流となっています。

    しかし、技術の進歩により、将来的には戦場の空に有人機と無人機が混在する新たな時代が到来することは確実です。F-47のような次世代有人戦闘機は、複数の無人戦闘機を従えた指揮官としての役割を果たすことになり、戦闘の概念そのものが大きく変わるでしょう。

    YFQの意味は、次の通りです。


    共同交戦航空機(Collaborative Combat Aircraft, CCA)とは?


    近年、米国を中心に「共同交戦航空機(Collaborative Combat Aircraft, CCA)」の開発が進められています。これは、有人戦闘機と連携して作戦を遂行する無人戦闘機(UCAV)の一種であり、AIや高度なセンサーを活用し、独自の意思決定やデータ共有を行うことができる次世代の航空機です。特に米空軍は、F-35や次世代戦闘機(NGAD)と組み合わせることで、従来の戦闘機運用の概念を大きく変えることを狙っています。

    現在、CCAプログラムにおいて注目されているのが、ジェネラル・アトミックス社のYFQ-42Aと、アンドゥリル・インダストリーズのYFQ-44A、そして日本も無人戦闘機です。それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。


    ジェネラル・アトミックス YFQ-42A

    YFQ-42Aは、General Atomics社製です。

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    240229-F-F3963-1003 AFRL’s XQ-67A Makes 1st Flight AFRL’s XQ-67A Off Board Sensing Station, or OBSS, designed and built by General Atomics, took its maiden flight Feb. 28 from Gray Butte Field Airport, Palmdale, California. XQ-67A completed several test points and safely recovered on the first of a series of flight tests. The XQ-67A is the first of a second generation of autonomous collaborative platforms, or ACP.(Courtesy photo.)

    下図の第2世代の自律型AI無人機プラットフォームXQ-67Aに続く機体です。

    概要

    ジェネラル・アトミックスは、MQ-9リーパーをはじめとする無人機の開発で知られる企業です。その同社が開発するYFQ-42Aは、AIを活用した次世代の無人戦闘機であり、米空軍のCCAプログラムの一環として試験が進められています。

    特徴

    1. ステルス設計:低被探知性を考慮した機体設計で、敵のレーダーに捕捉されにくい。

    2. 高度なAI制御:機動飛行や戦術的判断をAIが自律的に行い、パイロットの負担を軽減。

    3. モジュラー兵装システム:ミッションに応じて、空対空ミサイルや電子戦装備を搭載可能。

    4. 有人機とのシームレスな連携:F-35やF-22とリアルタイムでデータ共有し、共同作戦を実施。

    運用の可能性

    YFQ-42Aは、有人機の「ウイングマン」として機能するだけでなく、敵防空網への浸透作戦や、電子戦による撹乱、ISR(情報・監視・偵察)任務など、多岐にわたる用途が想定されています。


    アンドゥリル・インダストリーズ YFQ-44A

    YFQ-44Aは、Anduril社製です。Anduril社は、Furyと呼ばれる大型無人機をCCAの役割を果たせる高性能のマルチミッション対応させる計画です。他に、複数のセンサーやドメインでコマンド・アンド・コントロールに使用できるオープン・システム・ソフトウェア・プログラムである「Lattice software」の開発をしています。この他にも、Altius-600Mなどのドローンを開発しています。

    下図は、第1世代のAI無人機XQ-58Aヴァルキリーから放出されたAltius-600の写真です。

    XQ-58Aヴァルキリーのウェポンベイが開いています。

    XQ-58Aヴァルキリー有人機との連携や新たなコンセプトを開発するテストベッド・プラットフォームです。

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    210326-F-F3963-9001 Valkyrie deploys Altius-600 The XQ-58A Valkyrie demonstrates the separation of the ALTIUS-600 small unmanned aircraft system in a test at the U.S. Army Yuma Proving Ground test range, Ariz., March 26, 2021. The test was the first time the weapons bay doors have been opened in flight. (U.S. Air Force courtesy photo)



    アンドゥリル・インダストリーズは、ソフトウェアとハードウェアの融合に特化した新興防衛企業であり、従来の防衛産業とは異なるアプローチを取っています。YFQ-44Aは、低コストでありながら高性能な無人戦闘機として開発されています。

    特徴

    1. 低コスト・高性能:従来の戦闘機に比べてコストを大幅に抑えつつ、優れた戦闘能力を発揮。

    2. クラウドベースの戦術AI:ネットワーク上でAIが連携し、状況判断を共有。

    3. スウォーミング(群制御)能力:複数のYFQ-44Aが連携して作戦を遂行。

    4. 容易な運用と保守:迅速な修理・交換が可能な設計。

    運用の可能性

    YFQ-44Aは、大量運用を前提とした設計となっており、敵の防空網突破や囮作戦、電子戦支援に適しています。有人機を守るための盾としての役割も果たす可能性があり、米空軍のCCA構想において重要な位置を占めています。

    日本の無人戦闘機


    三菱重工、AI搭載の戦闘支援無人機の模型初公開 2025年中に実機の飛行試験を初実施へ

    高橋浩祐米外交・安全保障専門オンライン誌「ディプロマット」東京特派員




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    三菱重工業が2024国際航空宇宙展で初公開した戦闘支援無人機の模型(筆者撮影)

    日本の防衛最大手企業の三菱重工業は10月16日に東京・有明の東京ビッグサイトで開会した「2024国際航空宇宙展」で、人工知能(AI)を搭載する戦闘支援無人機の模型を初公開した。AI活用によるこの自律型無人機は、日英伊が2035年度までの共同開発完了を目指している有人の次期戦闘機と連携する。


    その一環として、三菱重工業担当者は筆者の取材に対し、防衛装備庁の契約に基づき、AI搭載の無人機の飛行試験を2025年中に初めて実施する方針を明らかにした。


    三菱重工業が今回公開したのは、以下の2種類の戦闘支援無人機の模型だ。いずれも現在はコンセプト段階にある。


    ●戦闘型の戦闘支援無人機


    1つ目は戦闘型の戦闘支援無人機の模型だ。三菱重工業担当者によると、模型は全長1メートルほどで、実物の10分の1サイズになるという。この模型は今回初めて公開された。この無人機は陸上から離陸し、相手を攻撃して帰還するコンセプトとなっている。ウエポン(兵器)を内装化したり、レーダーを搭載したりと運用に合わせて様々な使い方ができるよう設計されている。


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    三菱重工業が2024国際航空宇宙展で初公開した戦闘支援無人機の模型(筆者撮影)

    日本の防衛最大手企業の三菱重工業は10月16日に東京・有明の東京ビッグサイトで開会した「2024国際航空宇宙展」で、人工知能(AI)を搭載する戦闘支援無人機の模型を初公開した。AI活用によるこの自律型無人機は、日英伊が2035年度までの共同開発完了を目指している有人の次期戦闘機と連携する。


    その一環として、三菱重工業担当者は筆者の取材に対し、防衛装備庁の契約に基づき、AI搭載の無人機の飛行試験を2025年中に初めて実施する方針を明らかにした。


    三菱重工業が今回公開したのは、以下の2種類の戦闘支援無人機の模型だ。いずれも現在はコンセプト段階にある。


    ●戦闘型の戦闘支援無人機

    1つ目は戦闘型の戦闘支援無人機の模型だ。三菱重工業担当者によると、模型は全長1メートルほどで、実物の10分の1サイズになるという。この模型は今回初めて公開された。この無人機は陸上から離陸し、相手を攻撃して帰還するコンセプトとなっている。ウエポン(兵器)を内装化したり、レーダーを搭載したりと運用に合わせて様々な使い方ができるよう設計されている。


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    三菱重工業が2024国際航空宇宙展で初公開した戦闘型の戦闘支援無人機の10分の1サイズの模型。現在はコンセプト段階になっている(筆者撮影)

    ミサイル技術を転用した戦闘支援無人機


    2つ目はミサイルの形状をした戦闘支援無人機だ。模型は全長6メートル弱で実物大になる。この模型は、これまでSNSのXなどに投稿された写真の中に写り込んでいたことがあった。模型で示されているように機体前方下部にはカメラが設置される。この無人機はミサイルと同じように、使い捨てタイプのコンセプトとなっている。機体に記された「ARMDC-20X」のARMDCはAffordable Rapid Prototype Missile Drone Conceptの頭文字略語を意味し、日本語直訳は「低価格の迅速プロトタイプ(試作品)ミサイルドローンコンセプト」になる。数字の20はタイプ(種類)を示し、Xはこの無人機が今も開発中であることを意味する。


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    三菱重工業が2024国際航空宇宙展で初公開した、ミサイル技術を転用した戦闘支援無人機の実物大の模型。現在はコンセプト段階になっている(筆者撮影)





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    三菱重工業が2024国際航空宇宙展で初公開した、ミサイル技術を転用した戦闘支援無人機の実物大模型。機体前方下部にはカメラが設置されている。筆者の手の一部が反射してカメラカバーに写っている(筆者撮影)


    三菱重工業担当者は筆者の動画撮影インタビューに応じ、上記の2種類の戦闘支援無人機について、この他にも一般向けにより詳しい丁寧な説明を尽くしてくれました。ぜひ以下の動画をご覧いただきたい。




    ●戦闘支援無人機コンセプトの4つの特徴

    三菱重工業は、戦闘支援無人機コンセプトの特徴として、①高度なAI技術の利用、②コストなどの負担が低く損耗しても許容されるアトリタブル(損耗許容性)、③様々なミッション(任務)に対応、④ステルス設計の4点を挙げている。

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    日本は、中国を念頭に数的に劣勢で不利な空対空戦闘を前提にして、有人戦闘機と無人機が連携して任務を行う「チーミング」の技術の獲得を急いでいる。無人機が戦闘機のミッションの一部を担うことで、数で勝る相手との戦力の差を補うとともに、無人機が有人戦闘機に随伴し、これまで有人機が担っていた役割を請け負うことで、パイロットの生存性をより高めることもできる。無人機の方が有人戦闘機よりも安く生産・運用でき、コスト面でもメリットがある。


    三菱重工業は2022年度から防衛装備庁が発注した「無人機へのAI搭載技術の研究試作」を開始した。2024年8月2日にも同庁発注の「AIを搭載した戦闘支援無人機等のソフトウェアの安全性確保に関するシミュレーション評価役務」を2億4260万円で落札した。


    このほか、川崎重工業が2022年4月に同庁発注の「自律向上型戦闘支援無人機の機能性能及び運用上の効果に関する研究試作」を約39億円で落札。SUBARUも2023年11月に「戦闘支援無人機システムのコスト構造等に係る検討役務」を約4722万円で落札した。日本エヤークラフトサプライも同月に「戦闘支援無人機システムの機能・性能に関するミッションレベルの成立性分析手法の検討」を約2億円で落札するなど、各社が戦闘機との連携による戦闘が可能な自律型戦闘支援無人機の研究開発や運用実現に取り組み、しのぎを削っている。


    なお、アメリカ空軍は、F35戦闘機やB21爆撃機のような有人軍用機に随伴して偵察機や空の通信ハブとしても機能する、こうした戦闘支援無人機を「Collaborative Combat Aircraft(CCA)」と呼んでいる。日本語では「協調戦闘機」と訳されることが多い。

    特徴

    1. 日本独自の技術力を活用:国産のセンサー技術やデータリンクシステムを搭載。

    2. F-3(次期戦闘機)との連携:日英伊共同開発のF-3と連携し、作戦の多様化を図る。

    3. 電子戦能力の強化:最新のECM(電子対抗手段)を備え、敵の通信・レーダーを妨害。

    4. ステルス性の向上:低RCS(レーダー反射断面積)を追求し、敵の探知を回避。

    運用の可能性

    日本の無人戦闘機は、近隣諸国の軍拡に対応するため、領空防衛や先制攻撃能力の強化を目的として開発されています。また、米軍との共同運用も視野に入れ、相互運用性を確保することが期待されています。


    F-3の ロイヤルウイングマン

    概要

    F-3の「ロイヤルウイングマン」は、日本の次世代戦闘機F-3と連携する無人戦闘機です。日英伊の共同開発によるF-3計画の一環として、無人機との高度な連携が重視されており、敵の防空網突破や戦闘支援を目的としています。

    特徴

    1. AI主導の自律飛行:状況に応じて戦術を判断し、F-3の指揮下で作戦を遂行。

    2. 高いステルス性能:F-3と同様の低RCS設計で、敵の探知を回避。

    3. 電子戦・ISR能力の向上:敵レーダー妨害や偵察任務を担い、F-3を支援。

    4. 複数機との連携:F-3と複数のロイヤルウイングマンが協調して戦闘を展開。

    運用の可能性

    ロイヤルウイングマンは、日本の防衛戦略において、領空防衛や遠距離作戦支援において重要な役割を果たすと期待されています。また、F-3とのネットワークを強化することで、戦闘の柔軟性を大幅に向上させることが可能になります。




    CCAの未来と戦略的意義

    CCAは、有人機の負担を減らしつつ、戦場での柔軟性と生存性を向上させる重要な要素です。米国のYFQ-42AやYFQ-44Aは、コストパフォーマンスと性能を両立し、次世代の航空戦力の主軸となることが予想されます。一方、日本の無人戦闘機も、国産技術を活用しつつ、日米の共同運用を前提に開発が進められています。Ddogの個人的なイメージではF47やGCAP(F3)は現在AWACSが担う指令管制機で空戦や地上攻撃を行うのが日米新無人戦闘機CCAになるとうとわかりやすいかもしれません。

    これらの無人戦闘機が実戦配備されれば、空戦の概念は大きく変わるでしょう。従来の戦闘機同士のドッグファイトではなく、AIを活用したCCA戦術が主流となり、戦場の様相はより高度かつ複雑なものとなります。

    CCAの発展が、航空戦の未来をどのように変えるのか、今後の動向に注目が集まっています。


     





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    【要約】青山学院大学の研究グループによる画期的な量子技術の発展

    青山学院大学の研究グループが、量子の「超蛍光」現象を利用し、レーザー光の瞬間強度を7桁以上も増強することに成功しました。これは量子力学を応用した技術の発展にとって画期的な成果といえます。

    量子の世界とは?

    量子とは、原子や電子、光子などの極小の粒子であり、粒子と波の両方の性質を持ちます。このミクロの世界では、私たちの日常で通用する古典物理学とは異なる特殊な法則が支配しています。この量子力学を応用した技術が、情報処理や医療、エネルギー分野などで急速に発展しています。その一例として、膨大な計算処理が可能な量子コンピューターがあります。

    青山学院大学の研究成果

    2024年2月15日、青山学院大学の北野健太助教と前田教授の研究グループは、量子の「超蛍光」現象を用いてレーザー光の瞬間強度を7桁以上増強することに成功したと発表しました。この成果は、アメリカ物理学会の専門誌「Physical Review Letters」に掲載されました。

    この研究の核心は、超蛍光を微弱なレーザー光で制御し、高いコヒーレンス(波の干渉性)を保ちながら光の強度を増幅することにあります。この成果により、超蛍光が光アンプ(増幅装置)として機能する可能性が実証されました。

    超蛍光とは?

    超蛍光は、複数の量子物質が励起された後に、光の放出が同期して増幅される現象です。これは、古典物理学における「同期現象」と似ています。例えば、複数のメトロノームをバラバラに動かしても、土台を通じて相互作用し、最終的にはリズムが揃う現象が見られます。超蛍光もこれと同じように、量子物質が相互作用することで光の位相(波のタイミング)が揃い、強力な光パルスが放出されるのです。

    この同期現象により、通常の蛍光と比べて桁違いに強い光が得られ、これが光増幅のメカニズムとして利用できます。しかし、従来の超蛍光には、発生する光の位相が毎回変動してしまうという問題がありました。

    青山学院大学の研究の革新性

    今回の研究では、超蛍光の波長と共鳴する極めて微弱なレーザー光を原子集団に照射し、その影響を測定しました。その結果、レーザー光の位相が超蛍光に転写され、両者が同期する「量子ビート」が明確に観測されました。これは、レーザー光の微弱なエネルギーが、原子集団内で増幅されて強力な光パルスを生み出したことを示しています。

    実験では、たった1個の光子が「呼び水」となり、約1億個の光子からなる強力な光パルスが放出されることが確認されました。この結果により、超蛍光が非常に高効率な光アンプとして機能することが証明されました。

    今後の展望

    今回の研究は、超蛍光の持つ可能性の一部を解明したにすぎません。現在の研究では、増幅前後の光の強度を測定するという古典的な手法が用いられており、量子力学的な側面は未解明のままです。今後は、増幅された光の量子状態を詳細に解析し、超蛍光の本質的な性質を明らかにすることが求められます。

    この研究がさらに進めば、超蛍光を活用した量子光デバイスの開発につながる可能性があります。例えば、量子通信や量子センシング技術の分野で、新たなブレークスルーを生み出すかもしれません。

    まとめ

    青山学院大学の研究グループは、超蛍光を利用してレーザー光の瞬間強度を7桁以上増強することに成功しました。この成果は、超蛍光を光アンプとして活用できる可能性を示しており、将来的に量子技術の発展につながると期待されています。今後の研究が進めば、量子光デバイスの実用化が進み、現代科学を大きく変革する可能性があります。

    超蛍光現象と量子技術の革新

    近年、量子技術の進展は驚異的なスピードで進んでおり、日本にとって新たなチャンスを生み出す要因となっています。その中でも「超蛍光現象(Superfluorescence)」が注目されています。この現象は、複数の量子状態が協調して一斉に光を放つものであり、従来のレーザー技術とは異なる画期的な応用が期待されています。本記事では、超蛍光現象を基盤とした最新技術と、それが日本の未来にもたらす影響について詳しく解説します。


    1. 超蛍光現象とは?

    超蛍光現象は、複数の励起された粒子(例えば原子や分子)が相互作用し、一斉にコヒーレントな光を放出する現象です。この現象は、従来の蛍光発光とは異なり、特定の条件下で集団的な量子的な相関を持つことで実現します。通常、光の放出は個々の原子によってランダムに行われますが、超蛍光の場合は、すべての粒子が同期して光を放出するため、非常に強い輝度を持ち、かつ短時間でエネルギーを放出することができます。

    1.1 超蛍光の特長

    • コヒーレントな光の放出:従来のレーザー光とは異なり、量子的な相関を持つ光を生み出せる。

    • 超高速発光:一斉に光を放つため、従来技術よりも高速な光信号を実現可能。

    • 低エネルギーでの高効率発光:エネルギー消費を抑えつつ、高輝度な光を発生させられる。


    2. 超蛍光現象を活用した量子技術の応用

    2.1 量子通信の発展

    量子通信は、量子もつれや単一光子を利用することで、安全性の高い通信を可能にする技術です。超蛍光現象を活用することで、高輝度でコヒーレントな光を生成し、通信の安定性を向上させることができます。例えば、量子鍵配送(Quantum Key Distribution, QKD)において、より明瞭な光信号を送信できるため、長距離通信やノイズ耐性の向上が期待されています。

    2.2 量子コンピュータの性能向上

    超蛍光現象は、量子コンピュータの基本要素である量子ビット(キュービット)の制御にも応用できます。従来の量子ビット操作では、レーザーを用いた励起と読み出しが必要ですが、超蛍光を利用することで、より精度の高い制御が可能になります。特に、誤り訂正機能の向上や演算速度の加速に寄与し、実用的な量子コンピュータの開発を加速させるでしょう。

    2.3 量子センサーによる超高感度計測

    量子センサーは、従来のセンサーでは検出できない微細な変化を計測できる技術です。例えば、医療分野では、がん細胞の早期検出や脳波の詳細な分析に応用できます。また、地震の前兆現象の計測や、精密な気象観測などにも活用されることが期待されます。超蛍光技術を用いることで、センサーの感度が飛躍的に向上し、より精密な計測が可能となります。


    3. 日本の技術力と未来への可能性

    日本は、量子技術の分野で世界的にも高い技術力を誇っています。超蛍光現象を活用した研究も進んでおり、国内の大学や研究機関、企業が積極的に新技術の開発を進めています。

    3.1 日本の研究機関の取り組み

    3.2 産業応用と市場展望

    量子技術は、通信、医療、金融、宇宙開発など多くの産業で活用が進んでいます。特に、日本の強みである半導体技術や精密工学と組み合わせることで、世界市場における競争力をさらに高めることができます。

    例えば、超蛍光を利用した次世代の光通信技術は、5G・6G通信の基盤となり、データ転送の速度向上に貢献するでしょう。また、金融業界では、量子暗号を活用した安全な取引システムの構築が進んでいます。



    青山学院大学の研究チームは、新たな光技術「長傾向」を発表しました。この技術は、従来のレーザー光の100万倍以上、通常の蛍光の30億倍という驚異的な強度を持つ光を発生させることができます。長傾向とは、複数の原子や量子物質が同期し、一斉に同じ方向へ高強度の光を放出する現象であり、従来のレーザーや蛍光よりもはるかに高い瞬間強度を実現します。

    この現象の発見には、理化学研究所(理研)や日本原子力研究開発機構も関与しており、彼らの研究チームは2011年に世界最短波長の長傾向を観測することに成功しました。理研の成果により、X線領域での長傾向の観測が可能となり、生体分子や物質の構造解析が大きく進展することが期待されています。また、極端紫外線レーザーを活用した研究が、工学技術全般に大きな影響を与える可能性もあります。

    応用分野と期待される影響

    長傾向技術は、量子力学の研究におけるブレークスルーをもたらすだけでなく、通信・医療・宇宙観測など幅広い分野での応用が期待されています。

    医療分野
    非侵襲的な診断技術の向上:長傾向を利用した高強度な光源は、がん検査や医療診断技術を大幅に向上させる可能性があります。特に、より高精度なイメージング技術の開発が期待されます。
    レーザー手術の進化:従来のレーザー手術よりも強力かつ正確な光を照射できるため、低侵襲かつ効果的な治療法の開発につながると考えられます。
    量子医療技術への応用:微弱な量子信号を増幅し、新しいタイプの量子センサーや診断技術を開発することも視野に入っています。
    宇宙分野
    遠距離通信技術の発展:長傾向による高強度光源を活用することで、宇宙空間でのデータ通信の効率が向上し、より安定した通信ネットワークが構築できる可能性があります。
    宇宙観測技術の革新:X線や赤外線の強度を大幅に増強することで、暗黒物質や銀河形成の研究が飛躍的に進展すると考えられます。また、遠方の天体からの微弱な電磁波をより正確に観測することが可能になるかもしれません。

    科学的意義と今後の課題

    長傾向技術の発見は、光と物質の相互作用に関する理解を深めるとともに、量子力学と古典力学の境界を探る重要な研究でもあります。量子レベルでの同期現象が、古典的な自発的動機現象とどのように異なるのかを解明することで、物理学全体の理論体系に新たな知見をもたらす可能性があります。さらに、この技術を安定的に制御・応用するためには、発生条件の最適化や実用化のための技術開発が必要です。




    要約

    ソニーの半導体パルスレーザーは、3Dプリンティング、医療、精密加工など多くの分野で活躍する先端技術である。低価格帯(数千円~数万円)と高価格帯(数十万円~数百万円)の製品があり、それぞれ異なる用途に最適化されている。特に3Dプリンティングでは、金属粉末の焼結技術によって精密で高強度な造形が可能になり、技術革新をもたらしている。高価格帯モデルは医療や科学研究向けに優れたビーム品質を提供し、高精度な加工を実現する。

    しかし、従来のレーザー技術には限界があり、より高い輝度を実現する「超蛍光発光レーザー」が注目されている。この新技術は、従来のレーザーと異なる発光メカニズムを持ち、数桁から数十桁高い光強度を実現する可能性を秘めている。ただし、現在の超蛍光発光レーザーは非常に高価(数十万円~数千万円)であり、普及にはコストダウンが課題である。

    超蛍光発光レーザーとソニーの半導体パルスレーザーを比較すると、前者はパルス幅が短く、輝度が桁違いに高いが、コスト面で課題がある。一方、ソニーの半導体パルスレーザーは比較的安価であり、紫外領域の波長をカバーできるようになれば、超蛍光発光レーザーの励起光源としての可能性が広がる。現時点では紫外領域の波長が得られていないが、青色LEDの技術革新と同様、将来的に技術的ブレイクスルーが期待される。

    この技術が実現すれば、超蛍光発光レーザーの低価格化が進み、医療、精密加工、科学研究など幅広い分野で革命をもたらす。医療分野では、超精密な手術、早期診断、再生医療が可能となり、平均寿命の延長が期待される。精密加工では、ナノレベルの加工や高強度材料の加工が容易になり、製造業に変革をもたらす。また、科学研究では量子コンピューターの開発加速や宇宙探査への応用が進む。さらに、情報通信分野では超高速光通信が実現し、環境技術や次世代エネルギー開発にも貢献する。

    まとめとして、ソニーの半導体パルスレーザーの技術と超蛍光発光レーザーの革新を融合させることで、新たな技術のブレイクスルーが期待される。特に、紫外領域の波長を持つ半導体パルスレーザーが開発されれば、低価格で高性能な超蛍光発光レーザーの普及が進む。これは医療、製造、科学研究、情報通信など様々な分野での飛躍的な進歩につながる。




    【要約】

    上田準教授は、白色LEDの基礎となる光機能性材料の研究を行い、特に超残光蛍光体の開発に成功しました。通常の白色LEDは、青色LEDと黄色蛍光体の組み合わせで白色光を作りますが、上田氏は光を蓄えて長時間発光する材料に着目しました。

    研究の過程では、黄色蛍光体の発光色を緑色に制御する試みから、アルミニウムをガリウムに置き換えることで発光効率が低下する現象を観察。電子が結晶内のトラップ(罠)に蓄積され、熱で解放されることで長時間発光するメカニズムを解明しました。クロミウムイオンを導入することで、従来の材料と比べて3900倍の残光強度を達成し、1時間以上の発光を可能にしました。

    さらに、残光色を青緑や黄色に制御したり、トラップの深さを調整することで発光時間を5日間に延ばすことにも成功。透明なセラミックス材料を作り、生体内で光を発する蛍光プローブとしての応用も研究されています。生体に害を与えず、高精度なイメージングが可能になると期待されています。また、圧力によって発光する材料の開発も進められており、圧力センサーとしての応用も検討されています。

    さらに、新たな残光メカニズムとして、電子が抜けた穴(ホール)の移動を利用する方法を発見。特定の金属イオンを添加することで、赤色領域で発光する新材料の開発にも成功しました。この技術により、従来以上に強力で長時間発光する材料が生み出される可能性があります。

    応用分野としては、時計の文字盤や避難標識に加え、日中に光エネルギーを蓄え夜間に発光する道路標識やラインマーカーなどが想定されます。将来的には、夜間照明を必要としない環境に優しい社会の実現に貢献できると考えられています。

    3.3超蛍光現象を活用したレーザー砲

    1000万倍のレーザー光となると当然レーザ兵器への応用が期待できるが今のところ応用が難しいとのことだが、レーザー兵器の応用は難しい、だが超蛍光現象の基の同調原理の応用は可能ではないかと思う。

    レーザー兵器の最大の課題は、エネルギー効率と熱管理です。従来のレーザー砲は、持続的な光の増幅に多くのエネルギーを必要とし、発熱によるシステムの劣化も懸念されていました。しかし、超蛍光現象を利用すれば、短時間で強力なエネルギーを集中できるため、従来のレーザー砲に比べて以下のようなメリットがあります。

    1. 高出力化:超蛍光を利用することで、一瞬で強力な光パルスを放ち、ターゲットに対する瞬間的なダメージを最大化できます。

    2. エネルギー効率の向上:従来のレーザーのように連続的なエネルギー供給が不要なため、エネルギー消費を抑えることができます。

    3. 小型・軽量化:エネルギー効率の向上により、大型の電源や冷却装置を必要とせず、軽量な兵器システムが実現可能になります。

    4. 対ステルス兵器としての有用性:従来のレーザー兵器が目標に長時間照射するのに対し、超蛍光レーザー砲は瞬時に高エネルギーを集中させるため、高速移動する目標にも対応しやすくなります。

    実用化に向けた課題

    超蛍光レーザー砲の実用化にはいくつかの課題もあります。

    • 安定した超蛍光発生技術の確立:高密度な励起状態を維持することが必要であり、これには高度な量子制御技術が求められます。

    • 兵器システムへの統合:軍事用途に適した形で小型化・高耐久化するための開発が必要です。

    • 発射精度の向上:超蛍光の光パルスを的確に照準するための制御システムが不可欠です。


    超蛍光現象を活用したレーザー砲は、従来のレーザー兵器と比較して高出力かつ高効率な兵器システムを実現できる可能性があります。現在は研究段階にありますが、技術が確立されれば、次世代の防衛システムに革新をもたらすことは間違いありません。今後の研究成果に注目が集まります。

    超蛍光現象を活用したレーザー砲

    レーザー兵器の最大の課題は、エネルギー効率と熱管理です。従来のレーザー砲は、持続的な光の増幅に多くのエネルギーを必要とし、発熱によるシステムの劣化も懸念されていました。しかし、超蛍光現象を利用すれば、短時間で強力なエネルギーを集中できるため、従来のレーザー砲に比べて以下のようなメリットがあります。

    1. 高出力化:超蛍光を利用することで、一瞬で強力な光パルスを放ち、ターゲットに対する瞬間的なダメージを最大化できます。

    2. エネルギー効率の向上:従来のレーザーのように連続的なエネルギー供給が不要なため、エネルギー消費を抑えることができます。

    3. 小型・軽量化:エネルギー効率の向上により、大型の電源や冷却装置を必要とせず、軽量な兵器システムが実現可能になります。

    4. 対ステルス兵器としての有用性:従来のレーザー兵器が目標に長時間照射するのに対し、超蛍光レーザー砲は瞬時に高エネルギーを集中させるため、高速移動する目標にも対応しやすくなります。

    実用化に向けた課題

    超蛍光レーザー砲の実用化にはいくつかの課題もあります。

    • 安定した超蛍光発生技術の確立:高密度な励起状態を維持することが必要であり、これには高度な量子制御技術が求められます。

    • 兵器システムへの統合:軍事用途に適した形で小型化・高耐久化するための開発が必要です。

    • 発射精度の向上:超蛍光の光パルスを的確に照準するための制御システムが不可欠です。


    超蛍光現象を活用したレーザー砲は、従来のレーザー兵器と比較して高出力かつ高効率な兵器システムを実現できる可能性があります。現在は研究段階にありますが、技術が確立されれば、次世代の防衛システムに革新をもたらすことは間違いありません。今後の研究成果に注目が集まります。


    3.4 日本が目指すべき方向

    1. 官民連携の強化:政府と企業が協力し、量子技術の社会実装を加速させる。

    2. 量子技術人材の育成:大学や専門機関での教育強化。

    3. 国際競争力の向上:米国や中国に対抗できる技術開発の推進。

    4. まとめ

    超蛍光現象は、量子技術の新たな可能性を切り開く革新的な現象です。その応用範囲は、通信、コンピュータ、センサー技術など多岐にわたり、日本の技術力を活かせば、世界をリードする分野となる可能性があります。今後、日本が量子技術の発展を牽引し、新たな時代を築くためには、官民の協力と研究開発の推進が不可欠です。

    量子技術の進化は、日本にとって千載一遇のチャンスです。これからの技術革新を支えるために、研究開発の促進と産業応用の拡大に期待が寄せられています。




     
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