格付:日本のプログレを語る上で必聴の1枚 AAA
1970年代プログレの四天王+ジェネシスの全盛期、KEPY+Gに加えキラ星の数存在した英欧のプログレバンドの圧倒的なサウンドに、プログレファンの心は奪われていた。日本のプログレッシブロック黎明期、カルメンマキ&OZなど珠玉のバンドは数多く存在したものの、日本のプログレバンドでLPが発売されることは稀でした。日本のプログレロックは、あくまでも都会の片隅のアングラな一角に留まり、才能に溢れた伝説のバンド達はレコードを発表することもなく闇から闇へ消え、広くプログレファンの欲望を満たすことは出来なかった。
現在もけしてプログレはメジャーな存在ではないが、70年代80年代の初頭に比べ、インディーズのレコード会社も設立され、ネットや通販の普及した。そして今は当時と比べ夢のような音楽環境になった。それには「MADE IN JAPAN RECORD」の貢献が大きかったと思う。そして、このアウターリミッツの存在こそが、「MADE IN JAPAN RECORD」の上野ヌメロ氏が「MADE IN JAPAN RECORD」の設立を志すきっかけとなった。そしてこの「ミスティ・ムーン」<Misty Moon>こそ、レーベルを(マニアの間では)大成功させた記念すべき1枚でもある。
「リチャードブランソン」が1972年にヴァージンレコードを設立し、1973年に「マイクオールドフィールド」の「チューブーラーベルズ」を発売し大成功した話に似てなくもないが、「MADE IN JAPAN RECORD」が無ければ今日の日本のプログレッシブロックシーンは存在しなかったかもしれない。現ヴァージングループの成功と比べてしまうと少々ショボクなってしまうが、「ページェント」「Mr.Sirius」「アルスノヴァ」「夢幻」「Deja-vu /桜庭統」「孔雀音」「Vermilion Sands」などなどは「MADE IN JAPAN RECORD」無くして語れない。「MADE IN JAPAN RECORD」は彼らの才能を広くファンの心に伝え楽しませるいい仕事をしてると思う。マニアの私からすれば上野氏の功績は「文化勲章」で褒章されるべき仕事ではないか思っております。
前置きが長くなってしまったが、本作が日本のプログレ史上のエポックメイキングであることはお分かりだと思う。音大出身のメンバーが結成しただけあって卓越したテクニックと楽曲は80年代の世界水準を超えていると素直に感じさせる傑作(ボーカルに関してはそれなりの味はあるがJapaneseなので・・・)だと断言できます。
Bsでコントラバス奏者の杉本さんは、現在もクラシックでも活躍されているそうだが、出身大学のM音大への進学動機は、行きつけのロック喫茶でプログレに目覚め、イギリスのプログレミュージシャンの多くが正規の音楽教育を受けていることを知り、純粋にプログレのミュージシャンになる為にそしてメンバーと出会う為、音符もろくに読めなかったロック少年が苦労して音大へ進学したと、ホームページに書かれています。「そ、尊敬します」。日本のプログレの新たなる1ページが開かれたのには、ある日突然空から降ったのではなく、土壌があり、種がまかれ、花が咲き、そのプロセスがあって実をつけたように、その必然となる要素が重なり、記念すべき1ページが開かれたのです。(詳細は彼らのオフィシャルページにて。)
川口貴さんのバイオリンをフューチャーした本格派シンフォロックは、停滞した本家イギリス、MTVに汚染されたアメリカのロックシーンに替わり、80年代プログレの盟主であった仏独伊の欧州プログレシーンと比較しても決して引けをとらない実力だった。その帯には「目を醒ませ!ヨーロッパのプログレ幻想へ決別の時だ!!」「国内最強のシンフォニック・ロック、遂に登場!!」との文字が躍っています。中身も帯の言葉通りの作品です。
1.Prelude (プレリュード)
(Music: Carl Orff, Arrangement: Shusei Tsukamoto)
2.Misty Moon (ミスティ・ムーン)
(Words: Aya, Music: Shusei Tsukamoto)
3.Saturated Solution (飽和溶液)
(Music: Shusei Tsukamoto)
4.SUBETE HA KAZE NO YOUNI (すべては風のように)
(Words and Music: Shusei Tsukamoto)
5.Spanish Labyrinth (スパニッシュラビリンズ)
6.Misty Moon (ミスティ・ムーン)[1987version]
7.Saturated Solution (飽和溶液)[1987version]
<The Musicians>
塚本周成 Shusei Tsukamoto (Keyboards)
川口貴 Takashi Kawaguchi (Violins, Electric Violins, Electric Guitars on M3/M4-LP, M4-CD and M3/M4-MuseaCD )
上野知己 Tomoki Ueno (Vocals, Additional Keyboards on M3-LP and M3-MuseaCD, Sound Effects )
※上野ヌメロ氏の実弟
荒牧隆 Takashi Aramaki (Guitars on M2/M3/M5-CD and M5/M6-MuseaCD, Bass on M1/M2/M3/M4-LP, M1/M4/M5-CD and M1/M2/M3/M4/M5-MuseaCD )
桜井信行 Nobuyuki Sakurai (Drums, Percussions )
石川正 Tadashi Ishikawa (Bass on M2/M3-CD and M6-MuseaCD )
<Guest Musicians>
藤村幸弘 Yukihiro Fujimura (Backing Vocals on M2-CD)
私の手元にあるのは06年の再発されたもので、オリジナルが1~4曲目5~7がボーナストラック.
【Outer Limits Official Web Page】
http://www.amy.hi-ho.ne.jp/alan/outerlimits/
【Outer Limits Discography】
http://www.amy.hi-ho.ne.jp/alan/outerlimits/about/disc/ol.html
【Recording Report】
http://www.music-planet.co.jp/outerlimits/outerlimits.html
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