②原油価格の今後の推移に関する考察

①原油価格の今後の推移に関する考察[ http://blogs.yahoo.co.jp/ddogs38/8710963.html]より

今後の原油価格が如何なる展開をするかは、結局のところ米国経済がどう推移するかに掛かっている。

バーナンキ議長は、何度も書いて申し訳ないが、デフレスパイラルもしくは、真性スタグフレーションの阻止を第一優先としている。

米国でインフレ率が高まるかは、原油価格と、中国の人民元価格、ドル為替相場による輸入インフレと、失業率の国内要因との関係を観察しなければならない。
(再び牧野氏の引用となるが:要約抜粋)
http://www.mainichi.co.jp/syuppan/economist/news/20080509-190636.html

米国の失業率をみると、昨年3月に4・4%まで低下したあと、今年3月には5・1%まで上昇している。米国の自然失業率は4・8%程度で、現実はこれを上回っており、賃金上昇圧力は緩和の方向にある。

マーケットもインフレよりもむしろ景気後退や信用リスクを意識している。原油高騰によるインフレよりも住宅価格下落によるデフレであり、マーケットは住宅バブル崩壊から景気悪化を予想し、資金を非ドル資産である原油や金、ユーロ、国債にシフトさせている状況である。
今後のポイントは住宅価格がいつ下げ止まるかであろう。住宅価格について、米国家計が購入する不動産の投資利回りを計算してみると約7%となっている。30年物不動産融資金利が約6%であるから、両者の利回り格差(要求リスクプレミアム)は約1%である。今後、住宅市場がより高いリスクプレミアムを要求するならば、住宅価格はさらに下落することになるが、仮に、要求リスクプレミアムの過去の平均値(1.7%)を前提とすると、価格下落率はあと8%程度と試算できる。8%の下落率であれば、現在の下落ペースからみて、年内に下げ止まる可能性がでてくる。

住宅価格の下げ止まりが視野に入ってくれば、資金フローは変わり、マネーは非ドル資産から、再びドルや株に回帰することになるだろう。
いずれにしても、当面、住宅価格が注目点であり、その動向により原油価格の動きも変わってくるだろう。

FRBもまさに、その点を見越している。さらに、昨年11月にブラジルの海底油田で、従来の原油埋蔵理論では説明できない大油田の発見が報じられています。原油価格の高騰で、非採算の石油鉱区の再探査が開始され、ブラジル同様な従来理論では発見できない油田も発見される確率が高くなってきています。

もうひとつ、世界的なフードクライシス(食糧危機)の元凶がバイオエタノールとされましたが、ご存知だと思いますが、日本のホンダなどで、実現可能な画期的な新技術が進んでいます。
【NIKKEINET】
http://eco.nikkei.co.jp/news/article.aspx?id=2008042907205n1
(4/30)ガソリン代替のバイオエタノール、ホンダが植物廃材で量産
 ホンダと独立行政法人の地球環境産業技術研究機構(RITE)はガソリン代替燃料のバイオエタノールを低コストで量産できる技術を開発した。稲わらなどの植物廃材を原料に、1リットル当たりの生産コストを国際競争力のある30円程度に抑えられる。原油価格の高騰でトウモロコシなどを使うバイオ燃料の需要が拡大し、食糧価格を押し上げている。省資源と温暖化ガス削減につながる技術として2010年をメドに実用化を目指す。
 ホンダの全額出資子会社である本田技術研究所(埼玉県和光市)とRITEが開発した生産技術は、雑草や稲わらの繊維質をすべて1回の処理でエタノールに変えることができる。繊維質の種類ごとに処理する従来方式に比べ生産効率が上がり、稲わら1キログラムから約400ミリリットルのエタノールが作れる。

ホンダの他にも、食料を原料としないバイオ燃料計画は目白押しだ。しかも実用可能性が高い。

【WIREDVISION:オイルを作る藻が、日本を救う?】
http://wiredvision.jp/blog/yamaji/200711/200711160954.html

慶應義塾大学先端生命科学研究所(山形県鶴岡市、冨田勝所長)では、最先端のバイオテクノロジーを活用した環境技術の研究が進められている。研究の1つは、藻からオイルを作り、バイオ燃料にしようというもの。

【藻類バイオマスエネルギー 技術の展望】
http://www.sakura.cc.tsukuba.ac.jp/~eeeforum/1st3EF/1st3EF_watanabe.pdf

筑波大学生命環境科学研究科 渡邉信さんの研究では 2014年実用化?とのこと。
バイオマスエネルギーセルロース系資源からのエタノール生産木質系、製紙系、農業残渣 バイオデイーゼル燃料生産菜種、アブラヤシ、廃食油、藻類石油などで、1-2億年前の海に生育していた生物の死骸中東地域:1-2億年前は浅海で、微細藻類が大繁殖していたように、エネルギーを取り出すことが可能との研究をネット検索でヒットしました。

原油価格の高騰は、オイルショック時の日本と同じく日本の発展の基盤となるかもしれない。失礼アメリカも同じくこの分野を狙っています。

【WIREDVISION:藻類からバイオ燃料を製造する「農場」、世界各地で操業開始】
http://wiredvision.jp/news/200804/2008040923.html
PetroSun社では、メリーランド州ほどの面積があれば、米国の燃料需要をすべて満たすのに足るバイオ燃料を藻類から製造できると主張している。[メリーランド州の面積は、日本の面積の約15分の1]

【WIREDVISION:将来有望、セルロースを使ったエタノール製造】
http://wiredvision.jp/archives/200602/2006020804.html
ノボザイムズ社の米国法人のグレン・ネドウィン社長によれば、現在のエタノール製造コストは、原料がバイオマスの場合2〜3ドルだとすると、コーンスターチ(トウモロコシの澱粉)の場合1ドル7セントになるという。ネドウィン社長は、ノボザイムズ社が開発中の技術は、2、3年以内にトウモロコシを使ったエタノール製造技術とコスト面で並ぶとみている。

【WIREDVISION:「米国経済を救うのは環境技術バブル」富豪投資家の主張】
http://wiredvision.jp/news/200805/2008051423.html
資産運用会社の米Fortress Investment Group社の社長、Michael Novogratz氏
「石油価格が高騰する今、必要なのはグリーンな革命だ。米国経済の次の牽引役は何か。それは環境関連技術だと私は思う。この分野には巨大な成長のチャンスがある。環境汚染を解決するからではない。それがエネルギーに関連する技術だからだ。
アメリカも食料生産に悪影響を及ぼさない、バイオエタノールの巨大利権に動き出した。こういった技術は、新しいフロンティア(利権)であるため、私には、インターネットが爆発的に普及した時と、同じ匂いがする。

食糧危機は、遺伝子組み換え食品の画期的普及が考えられます。私は、生態系に影響を及ぼさないのなら、大いに賛成です。陰謀論者は種子の寡占が陰謀だとか、人体の影響だとか遺伝子組み換え食品を反対していた人は、多分原発も反対していただろう。そういった左翼崩れの環境原理主義者の声が小さくなっていくのは大いに愉快である。

少し話しが逸れるが、近所に超格安食品ディスカウンターの「業務スーパー」があり愛用しています。以前は、私みたいな貧乏父さんとか、外国人や、上流ではない人々が客層でしたが、この2月以降いかにも「子供と家族のことを考え、家では無農薬野菜を食べています」みたいなことをぬかしそうな生協ママさんたちが大勢見かけるようになった。生協で売っている食品自体中国産なら、ディスカウントの食品スーパーで買っても同じことに気がついたらしい。少し笑える。

もう一つWIREDVISIONから関連情報

【「タンク培養の人工肉」普及は間近?:培養食肉シンポジウムからのレポート】
http://wiredvision.jp/news/200805/2008051522.html
5年から10年後には、スーパーマーケットの精肉コーナーに新しい製品が並ぶようになるかもしれない。家畜に比べて生産コストが安く環境への悪影響も小さい、タンクで培養された食肉だ。
山中教授の技術も応用すると、おいしいカルビや、ミノだのタンだのが培養され、ひょっとすると寿司ネタもバイオ培養されるのだろうか?安くて美味しければ私は「ノープロブレム」。

原油価格の推移を考察するから逸れてしまったが、原油価格の高騰は、人類に画期的な進歩をもたらす思わぬ効用を齎すのではないでしょうか。

ゴールドマンサックスは2年後1バレル=200ドルと予想していますが、私の結論は、「2010年実用化のホンダのバイオエタノールが出回る頃には、1バレル50~60ドル台まで再び下落することもありえると思っております。」と予想したいところだが、少し弱気で中国インドの新興諸国をギリギリ生かさず殺さずのライン70~100ドルあたりではないか?

2年後私のブログが続いていたら結果が出ているはずだ。今から楽しみである。