【FRB:バーナンキ議長講演「アジアとグローバル金融危機」】
http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/bernanke20091019a.htm
【翻訳Livedoor】
http://translate.livedoor.com/site

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英文の表題“Asia and the Global Financial Crisis“からも明らかな様にグローバル金融危機がアジア諸国にどういう影響を与えたか、これに対しアジア諸国(中国、インド、日本、韓国、台湾、インドネシアなど、北朝鮮を除くアジアの国々とオーストラリア、ニュージーランドの友好国)はどのように対応したか、という観点から講演録は纏められています。

自動翻訳で、十分に読み取れます。

東アジアを中心とした経済の重みが増加して来た。中国は2010 年には日本を抜いて、GDP が世界第二位に達するが、GDP 世界第二位の国も、世界第三位の国も東アジアであることにかわりません。

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無能な鳩山と岡田の良いカッコシーが、普天間問題で日米同盟を揺るがしているなか、中国は毎年2 回のペースで米中戦略経済対話(SED)を開催している。G20 サミットとは別の枠組みを米国、EU、日本、中国の四極で開催する事にしようと、米国から提案が行われたと報じられた事もあります。

もちろん、米国から見て従来よりも細かく意見交換して行きたいと考える相手は、日本と中国だけではなく、インドも、中国を牽制封じ込める為、忘れてはならない存在です。

デリバティブ取引の中心地となっているシンガポールもマネーセンターと言う意味からは、忘れることのできない存在です。

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バーナンキ議長は、「第二次世界大戦後のアジア経済の興隆は、世界の経済発展の歴史の中でも、もっとも大きな成功の一つに数えられる。日本の経済大国への移行に続き、アジアの虎(NICs:香港、シンガポール、韓国、台湾)が急速に発展し、続いて中国が世界経済の表舞台へ進出した。2001 年以降、アジアは世界の経済成長の、3 分の1以上を占めるようになり、世界のGDPに占めるシェアは28%から32%にまで上昇した。アジアの経済の成功が、貧困の減少と、何億人という人々の生活水準の向上をもたらした。中国とインドは、両国で世界の人口の40%あまりを占めるのですが、1980 年以来、一人当たり所得がそれぞれ10 倍以上、3 倍以上に成長した。アジア経済の規模と素養をもとに予想される所では、アジアの国々は世界経済の発展に対しても、経済・金融分野の国際ガバナンスにも、相当の影響を及ぼし始めた。」

バーナンキ議長は、現時点では中国、インドに最も注目しているが、最初に日本、次いでアジアの虎(香港、シンガポール、韓国、台湾)、そして中国・インドと次々に成長の焦点となる国を変えながら、アジア全体として急成長を続けていることに注目している。

中国とインドだけで、世界の人口の40%あまりを占め、生産大国でもあり、消費大国でもある、アジアを米国と同タイプとも見ています。

アジアの金融危機経験と言っても、もちろん全く一様ではなく、各国毎にそれぞれ、個性・格差のある経験をしたわけですが、バーナンキ議長は、とりあえず、アジアが経験した金融危機の概観を纏めています。

初めに、2007 年夏に、金融危機が始まった時点で、アジア経済は最悪の局面を避けるためには、よい位置にいたものと思われ、アジアの経済パフォーマンスも一旦は急落したものの、2007 年第4 四半期には急回復していた事が述べられています。

しかし、2007 年末に米国の景気後退が始まると、それと歩調を揃えるように、アジアの経済も再び低下を始めた。「2008 年9 月、10 月には、ご存知の通り、グローバルな金融危機が、劇的に悪化しました。歩調を合わせた国際協力により、グローバルな金融の崩壊は防止されましたが、資産価格、融資可能額、及び消費者と企業の信頼に関する金融危機の影響により、世界の需要と生産は大きく低下する結果となったのです。(以下略)」

2008 年第4四半期にはアジアでも景気が大きく落ち込み、2009 年初頭には、アジアの多くの国の、景気急落状態に関して、急速な回復を想像する事は困難と思われたが、最近のデータでは、急激な回復が起こりつつある。

2009 年初頭こそ、アジア経済は縮小を続けたが、第2四半期には年率9%もの目覚しい経済成長を示し、中国、香港、韓国、マレーシア、シンガポールおよび台湾では、年率成長率は二桁に達する予想だ。

副島某の「大恐慌前夜」とかいう本を買った人達、お気の毒です!
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2009 年第1四半期頃までは、金融危機の打撃を最も手ひどく受けたのは発展途上国であり、新興国がこれに次ぎ、先進国が相対的には最も痛手は軽微だった、とも言われてきました。しかし、より時間が進んで第2四半期のデータが明らかになってみると、ことアジアに関しては従来の枠には収まらず、極めて高い成長率を達成しているのです。BRICs と言われる新興国4国のうち2国を擁するアジアは、従来の枠の中での位置づけが難しくなっているとも思われます。

バーナンキ議長は、以下のように分析。アジア諸国の政策対応は、低インフレ、好財政ポジション、好経常収支ポジションを含め、マクロ経済的にかなり強いファンダメンタルズの下で、金融危機に突入した。ファンダメンタルズが好調だったので、その結果、多くの国々で、広範で強力な対応をとることができた。中国、日本、韓国、及びシンガポールなどが相対的に積極的な政策対応をとった国の中に数えられる。中国は大規模な財政政策を採用し、これと協調する超金融緩和の金融政策と銀行貸付政策で補完した。中国及び他国における景気刺激パッケージはアジア全域に亘って国内需要を拡大し、アジア地域内部での貿易を拡大した。

1985 年のプラザ合意から、20 年間『”GreatModeration”大平穏期』とも呼ばれる世界経済・金融の長期的な安定局面が続いた。しかし安定と言っても、表面的に破綻を生じなかったと言うだけで、裏で米国の経常収支の大幅赤字に代表される、国際的な不均衡は着実に進んでいたのです。「大平穏期」の結果、世界経済の不均衡が放置され、低金利政策が長期化する、等の矛盾が蓄積され、大恐慌以来とも言われる今回の金融危機の遠因となった。

【競争政策研究センター 第14 回公開セミナー】
http://www.jftc.go.jp/cprc/seminar/14/090206opseminar1.pdf

そうした長期的な問題要因の累積という要素を除けば、2006年までは当面の経済に対する全般的な好況維持効果はあったので、アジア諸国は当時の有利だったファンダメンタルズの蓄積(たとえば経常収支の黒字)を利用して、金融危機対応を行ったと言うのです。

バーナンキ議長は、この講演では「大平穏期」を金融危機の遠因と考える立場をとっているようにも思われます。

バーナンキ議長は、『「金融危機からの教訓と中期的な課題」の中で、「よりバランスの取れた、持続性のある経済成長を達成し、金融の不安定化のリスクを減少させるためには、我々は、増加を続ける、持続不可能な貿易と資金の流れの不均衡を回避しなければならない。金融危機の結果、対外不均衡はすでに大幅に縮減した。米国及び他の先進工業諸国の家計は所得と富が減少し、環境が厳しくなったので、貯蓄を増やし、輸入財を含む、消費を減少したからだ。下落した石油価格、及び減少した設備投資と相俟って、こうした貯蓄・投資行動の変化の結果、米国の経常収支赤字は2008 年のGDP の約5%という水準から、本年第二四半期には3%未満にまで低下した。米国からの輸入需要の減少も一因となり、中国の経常収支黒字は2008 年上半期のGDP の約10%と言う水準から、本年上半期はGDP の約6.5%という水準にまで低下した。』以上のように分析した。

バーナンキ議長は、経済のグローバルな不均衡を解消する方向に、今後目指すべき道はあると考えているのです。

バーナンキ議長は、学者として大学に籍をおいた事もある人で「大平穏期の陰に隠れて国際的な経済の不均衡が累積した事が原因だ、経済学者の間でコンセンサスに近いようなものが出来上がってきている」といった経済学者達の意見とズレはないはずです。

バーナンキ議長は、「アジア諸国は消費の増加を、米国は貯蓄率の増加を!」ということになると思いますが、巨大な米国市場の消費を補うだけ、アジアで消費が起きるとは思えません。

中国が、民主化して、社会保障が充実した国家になるなら可能性はありますが、中国に、米国が消費を控え、貯蓄をし多分だけの内需を作り出せるかと期待するのは無理だと、私は思っています。

もちろん経常収支黒字を解消する方法は、消費の増加だけではありませんし、逆に経常収支赤字を解消する方法は、貯蓄率増大だけではありませんが、例えばこれらの方法を用いて、アジア諸国は経常収支の黒字を縮減し、米国は経常収支の赤字を縮減する事が必要となっているのです。

米国はアジアの急成長と、世界経済への統合から大きな恩恵を受けてきました。グローバルな経済統合から、アジア諸国が得た物も、同様、少なくはありません。実際、金融危機は、米国の、アジアの、そしてそれ以外のグローバルな経済の利害がどこまで相互に絡み合っているかを、考えていくべきでしょう。

私のブログは基本的に反陰謀論で文章を書いていますが、陰謀論者が私のブログを読むとは思えませんが、頭が悪い陰謀論者は、経済の基本原理を知らないだけです。

皆様の周りに存在する、知恵遅れの陰謀論者を見つけたら、赤ん坊に「あ・い・う・え・お」を教えるように、経済の基本を教えてあげてください。それが、私のブログを読んでおられるインテリの皆様の務めだと思います。

すこし、本題からずれますが、下記バルチック海運指数を見て下さい。
世界経済は、上昇波動にあるという認識をしていいと判断できます。
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ただ、金の値段が上昇してきましたが、バルチック海運指数の騰落率と重ねると、1100ドル位が一つの目処かもしれません。

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