〔焦点〕円急反落でも市場の動揺は収まらず、リスクマネー圧縮への警戒続く
基太村 真司記者
[東京 7日 ロイター] ギリシャ問題の混迷や米株の大幅な下げを受けて、ユーロ/円EURJPY=Rは前日に10円超下落した後、この日の取引で7円を超える反発を見せた。円相場が急速に下落したことで、市場は表面上いったん落ち着きを取り戻したかに見えるが、7日の取引では流動性が大きく低下。少額の売買に大きく値が振れた。市場の動揺は依然として収まっていない。
<ユーロは1日で10円超下落、リスクマネーが身をすくめる>
ギリシャ問題が混迷を深めているにもかかわらず欧州中央銀行(ECB)が特段の対策を打ち出さなかったこと、米ダウ平均が取引時間中として過去最大の下げ幅を記録したことなどを受けて、6日の海外市場ではリスク回避の動きが強まって円が大幅に上昇。ドル/円JPY=は前日東京市場の高値から6円下落。一時87.95円と5カ月ぶり安値を更新した。
円は他通貨に対しても急伸。ユーロは同120円後半から8年ぶりの円高水準となる110円台まで、英ポンド/円GBPJPY=Rも1年3カ月ぶり安値の129円後半まで10円超下落した。豪ドル/円AUDJPY=Rも8.3円の大幅な下げで3カ月ぶり安値をつけた。
リスク回避姿勢の強まりが表れたのは円相場だけではない。投資家の不安心理度を示すとされるシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー・インデックス.VIXが08年9月以来の大幅上昇を記録する中、外為市場ではブラジルレアルや南アフリカランド、韓国ウォンなど人気の新興国通貨にも売りが殺到。数カ月ぶりの安値を相次ぎ更新した。きょうにかけての取引では、株価の下げが世界的に伝播したことで「とにかく今まで保有していたポジションを圧縮して、リスクを回避しようとする動きが活発」(大手銀のチーフトレーダー)だったという。
<円相場の流動性が大きく低下、「リスク回避」の売買見送りで>
7日アジア時間の取引では、久々の円高水準とあって日本の輸入企業や大手機関投資家、個人投資家など幅広い向きが下値で相次ぎ買いに動き、ユーロ/円は一時117.91円と前日安値から7.4円の急反発。ポンド/円も138円前半へ同8.2円、豪ドル/円も82円後半へ同5.8円と大幅に切り返すなど、市場はいったん平静を取り戻したかに見えた。
しかし、この日の市場で際立ったのは円相場の流動性の低下だった。世界でも指折りの流動性を誇る主要通貨があるはずの円相場が、ドル/円もクロス円も「極端に流動性に乏しい」(外銀のチーフトレーダー)状況が続き、少額の取引に大きく値が振れる展開となった。「強烈な値動きの後で、とても買い直せる雰囲気でも、売り込める状況でもない」(先出の大手銀チーフ)と、多くの関係者が売買をいったん見送る「リスク回避」姿勢を決め込んだことが、流動性の極端な低下につながったという。
<ユーロ混迷続けば一段安か、下値では介入も選択肢に>
混乱の引き金となったユーロはこの日の取引で緩やかに反発に転じたものの、市場では依然として下落リスクがあるとの見方が大勢。「欧州当局は(危機対応策という)絵は描いたが、ギリシャ政府の発言などを通じ、実際にその通り進むと信じる向きが次第に減ってきた。長期的に見ても、他の欧州新興国への波及やユーロ圏のファンダメンタルズそのものに悪影響を与える可能性まで踏まえると、とても(下落局面が)終わったとは言えない」(別の大手銀のチーフ)という。
BNPパリバは6日、顧客向けのリポートで、深刻化する欧州の債務危機により資金流入が細るとして、ユーロは2011年第1・四半期までに1ユーロ=1米ドルまで下落するとの見方を示した。
ユーロが今後、一段の下落となった際にカギとなるのは為替介入の可能性。前日にユーロは大幅下落したものの、現在の水準は「介入してでも止めるほど危機感が強まるものではない」(後出の大手銀)。菅財務相がきょう行われるG7財務相の電話協議で「(ユーロ支援の)協調介入という流れになるとは理解していない」との見方を示したこともあり、現時点で市場のユーロ売り介入に対する危機感は乏しい。
ただ、ギリシャ問題が混迷を深めてユーロ圏から本格的に資本が流出する事態となれば、状況は一変する。「ユーロが勢いよく下落し、1ユーロ=1米ドルを試すような展開になるあたりがひとつのポイントではないか」。ある外銀幹部はこう話している。
(ロイター 編集:石田仁志)
http://www.uniqlo.jp/uniqlock/swf/blog_small.swf?user_id=Bo4uxIuSX6BfwXZC連休前日米のファンダメンタルズ指標は順調に回復しており、世界経済、とりわけ米国経済の回復に安堵感があった。7日、朝方発表された4月の雇用統計について心強い内容である。
ギリシャ問題に揺れる欧州もPIIGSを除けば、順調に回復しているように見えた。
リーマンショック後各国は協調し財政政策をとったおかげで世界恐慌はギリギリのところで防ぐことができた。その効果が大きいとはいえ、世界経済は回復基調にある。
だが、ギリシャに端を発した財政危機が、金融危機に転化しつつある。これがエクイティ市場の調整のきっかけとなった。更に間が悪い事に、米国のトレーダーがミリオンとビリオンを聞き違えた誤発注があったとのニュースで、マーケットは大きく動揺した。米国では誤発注などの混乱があった模様。6日の取引について以前正式な決定はされていない。
7日のNY市場は引き続き139ドル安となり、前日の誤発注騒ぎだけであったら急回復したであろう。続落したということは、マーケットには大きな不安心理がある。ウォール街とオバマ政権はGS問題をめぐり対立し始めた事を考えると、マーケットはけして楽観的ではないと考えるべきなのかもしれません。
危機が起きると、ドルが買われ、更に円はそれ以上に買われるというのが此処もとのセオリーであるが、円がセオリーどおり急騰したが、また直ぐに急落したことも気になる。
6日午後に米株式市場が急落したことについて、為替アナリストからは円に絡む取引がきっかけになったとの見方が出ている。
GFTの為替調査ディレクター、ボリス・シュロスバーグ氏は「午後の早い時間、株式相場が急落する直前にまずユーロ/円とドル/円が大幅に下落した」と指摘。「ドルとユーロが下落し円が急上昇する中、アルゴリズム取引による大量の自動売り注文が出た。これを受けて原油や株など円に関連した市場が急落した」と述べた。
その上で「これに大規模なポジション、取引ミス、ギリシャの抗議デモのテレビ映像などが加われば際限のない空売りが出る」と語った。
なるほど、円キャリー取引で資金を調達しているヘッジファンドなどが円が急騰すれば瞬時にNY市場の株を整理するシステムを組んでいることが窺える。
マクロの好環境が続く間に財政などストック問題の解決に向けた道筋を立て自律的な成長路線に乗ることができるかどうか。今回の混乱は世界経済が非常に細いロープの上を渡っていることを気付かせたといえよう。
いかに24時間マーケットをウォッチしていてもシステム売買されてしまっては対応には限界がある。為替や株式では今後も急騰急落のリスクは高いと思って相場は張るべきだと思います。特にFXで逆指値が発動したり、ロスカットされてしまったケースは多発したのではないかと想像します。今後もちょっとしたことでマーケットは急変するリスクを覚悟していくしかないと思います。
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