自国を守れない? 防衛産業に存亡の危機 【WEDGE:August2010】
普天間基地移設問題の混乱を見るまでもなく、日本は国防への意識が低い。
今も私たちが気づかないところで、自国を守れなくなるような事態が進んでいる。
防術装備をつ<るメーカーが、存亡の危機に直面しているのだ。
予算縮減や武器輸出三原則などの制約下で、生産ラインの維持が困難になり、装備開発はもちろん、メンテナンスにも事欠く状況になリつつある。
東アジア情勢がきな臭さを増す中、ここでも防衛のあり方を見直す必要が生じている。
今も私たちが気づかないところで、自国を守れなくなるような事態が進んでいる。
防術装備をつ<るメーカーが、存亡の危機に直面しているのだ。
予算縮減や武器輸出三原則などの制約下で、生産ラインの維持が困難になり、装備開発はもちろん、メンテナンスにも事欠く状況になリつつある。
東アジア情勢がきな臭さを増す中、ここでも防衛のあり方を見直す必要が生じている。
(略)三菱重工 小牧南工場
組立能力は年間12機だが、2010年度、11年度の生産計画はともに年間4機。組立ラインを案内してくれた藤田徹工作部長は「能力に対して操業度は3分の1レベル。『F2』の改修工事などを入れて、何とか操業を維持しています」と苦笑気味に現状を説明してくれた。F-2
今、小牧南工場は存亡の危機に瀕している。操業度の低下だけでなく、『F2』の量産が11年度納入分の4機をもって打ち止めとなるためだ。老朽化した『F4』戦闘機の後継機となる次期戦闘機(FX)の選定作業も混迷を深め、「現状では(戦後7年間の空白を経て1952年に航空機事業を再開して以来)12年度以降は初めて戦閾役生産の空白が生じる」ことは確実になっている。
日本経団連の副会長・防衛生産委員長を務める佃和夫三菱重工会長も「生産ラインの維持が困難になると、熟練技能工の確保も難しくなって、戦闘機の改修やメンテナンス工事もできなくなる。このままでは(航空自衛隊の)部隊運用にも支障をきたし、国防上からも問題だ」と力説する。
戦闘機の調達数は年19機から2機にこうした防衛産業の疲弊は航空機産業だけではない。
わが国の防衛産業は「(諸外国に比べて)極めて特殊な環境の下にある」と防衛省の岩井良行大臣官房審議官は説明する。それは憲法第9条に起因する防衛費の対GDP国内溢生産)比1%枠や、武器輸出三原則、非核三原則などによる様々な制約があることを指している。
このため、防衛生産額のわが国工業生産額に占める割合は0.6%レペル(07年度)と1%以下。主要メーカー各社の総売り上げにおける防衛装備品の依存度も、ここ5年間の平均は4.4%レベルと防衛事業が主要収益源になっているとは言い難い。
最大手といわれる三菱重工でさえ、防衛装備品の売上高比率は「このところ減少傾向にあり、現状は15%レペルに過ぎない。ただ一方で、防行産業にからむ中小企業の中には「防需依存度が50%を超える企業も数多くあり、防行産業の底辺を支えている」
社会福祉関連予算の増加などに伴う国家財政の逼迫は、防衛関遵予算のさらなる抑制に拍車をかけている。また、イージス艦やステルス性能に優れた戦闘機の開発・導入など装備品のハイテク化、高額化が進み、限られた予算枠の中では導入する装備品の数量も減少傾向を強めている。
実際、防衛調違費の動向をみると、戦車や艦艇、戦闘機など正面装備費は90年度の1兆722億円をピークに減少。一方で装備品の整備・維持費用は徐々に増加し、05年度以降は整備・維持費用が正面装備の調達額を上回っている。防衛予算の抑制下にある10年度も、正面装備費は前年度比6%減の6837債円だが、整備・維持費は同2%増の7923億円と微増。「装備のハイテク化、複雑化がメンテナンス費用を上昇させ、それが限られた防衛予算の中で)新規正面装備品の調達を圧迫している」構図にある。
現に、主な正面装備品の調達量をみると、77~86年度に戦車が年平均58両、護衛艦が同2.8隻、戦闘機が同19機だったのに対し、07~10年度はそれぞれ10両、1.5隻、2機にまで落ち込んだ。防衛産業は装備品の単価押し上げ、調達数量の減少という「いわぱ悪循環に陥っている」(防衛産業関係者)わけだ。
仕事の切れ目が縁の切れ目か
悪循環は防衛産業メーカーの事業性を確実に低下させていることは言うまでもない。 それは「防衛産業からのメーカーの撤退」という形で顕在化している。
中でも顕著なのが戦闘機関運と戦車を中心とした戦闘車両分野。防衛省によると、03年度以降、戦闘機関遵で21社、戦闘車両関違で35社の撤退や倒産などが確認されているという。
とくに戦闘機関連では、東証1部上場クラスの大手メーカーの撤退も相次いでいる。例えぱ住友電気工業は戦闘機の先端部にレーザーなどを収納する、レドームと呼ぱれる主要部品からの撒退を表明している。また横浜ゴムも戦闘機用タイヤから撤退。さらに中小企簑にも「ジェットエンジンの特殊な素材系部品を製作しているメーカーが撒退の意向を示している」(IHI関係者)など、かなりのメーカーが撒退予備軍だ。
レドームの製造から撒退する理由について住友電工関係者は「戦闘機関連部品の調達量が減少する中で、選択と集中を進めるためだ。当然だが、既存機種のメンテナンス用品については供給を続ける」と説明したが、その背景にはFX選定作業の迷走があったことは間違いない。F-22FXの選定作菜は当初、「遅くとも09年度までに機種選定を終え、7機程度の発注を予算計上する方針」(防衛省関係者)だったが、最有力候補だった米ロッキード・マーチンの「F22」戦閾投の導入が米国の強い反対で頓挫したことから迷走。次「に有力とみられる「F35」は米国を含む9カ国が資金を投じて共同開発しているが、武器輸出三原則に抵触するため日本は参画しておらず、「日本が買うと言っても、条件すらリリースされない」状況にある。このため国内の航空機産業は「生産ラインの3年程度の空白は避けられないし、もし(FXがライセンス国産などではなく)輸入機ということになると、日本の航空機産業に先はない」(航空機産業関係者)というわけで、今後、関連産業で撒退が続出する可能性は小さくない。防衛大綱の見直しで盛り込むべきことこの状況に強い危機感を抱いているのが防衛省・自衛隊だ。防衛産業の衰退は「今後の装備品の調達やメンテナンスカの維持に支障をきたし、このことは国防力の低下につながる恐れがある」ためだ。有事の際に自国で十分な装備開発ができないぱかりか、装備維持にも影響が生じるということだ。まず実施したのが北澤俊美防衛相ら防衛省幹部と主要防衛関違メーカートップとの懇談会。官民の情報共有や政策対話を通じて、防衛生産・技術基盤の活性化を図ろうというもので、1月に開催した懇談会には企業側から三菱重工をはじめIHI、川崎重工業、三菱電機、東芝、コマツ、日本製鋼所など17社の会長、社長クラスが出席した。業界関係者は「業界トップと大臣との懇談は初めてではないか」と口を揃えたが、それだけ防衛省のこの問題に対する危機意識が高まってきたことの証左といえる。それにわが国には「これまで防衛産業の育成策はなかった」ことも事実。基本的な産業育成政策は経済産業省が担い、業界団体なども日本航空宇宙工業会、日本造船工業会、日本自動車工乗会と個別業種ことの縦割りだ。危機感をバネに、遅まきながら防術産業の育成策らしきものが動き出している。防衛省は09年度に「戦闘機の生産技術基盤懇談会」を実施、中間取りまとめを行ったが、10年度にも「開発航空機の民間転用検討会」、「契約制度研究会」などを矢継ぎ早に立ち上げた。具体的には国内に残すことが必要な生産・開発基盤の選択と集中、コスト低減などに努力した企業に対するインセンティプのあり方、軍需技術の民間転用によるコスト削滅策など防衛産業の活性化に向けた多方面からの議論を開始した。この中で、実現に向けて大きく動き出したのが、防衛省が開発した軍用航空艘の民間転用策。「民間転用による量産効果によって、機体やエンジン、補修部品などのコスト低減につなげたい」(広瀬直・経産省航空後武器宇宙産菜課長)というのが狙いだ。民間機としての輸出であれぱ武器輸出三原則に抵触しないため、防行産業メー力ーが民間市場において海外進出することで企業体力を維持することも目的の一つだ。XP-1対象機種は新明和工業が製造する水陸両用型の救難飛行艇『US-2』と、川崎重工業が開発・製造する次期輸送機,『XC-2』および次期対潜哨戒機『XP-1』の3機種。現在、開発経費の国への還元のあり方や、搭載した装備品や技術について民間転用が認められない範囲など、民間転用に伴う課題について検討を進めているが、基本的には転用を認める方向だ。XC-2中でも『US-2』は極低飛行が可能なことや、波高下でも着水できる水陸両用機としての特性を生かせば「消防飛行艇や離島支援用の多目的飛行艇などとして活用できる」(川西康夫・新明和工業航空機営業本部副本部長)と、民間転用によるピジネス拡大に期待を寄せている。また川重も開発中の2機種のうち、大型貨物機として転用しやすい『XC-2』を民間機として活用する方向で検討を始めている。もっとも、民間機として販売するには型式認定の取得が必要だが、「これらの機種はもともと軍用機として開発されているため、膨大な取得作業が必要で、コストの上昇につながる」(航空機産業関係者)との懸念も指摘されており、低コスト競争のまっただ中にある最近の民間航空機市場に打って出るには課題も多い。防衛予算に抑制圧力が強まる中での調達量の低下。武器輸出三原則のために国際的な武器技術開発の潮流に入っていけない現実。日本の防衛産業は、その維持にすら黄信号が灯る状況になってきている。むろん予算は無尽蔵ではないから、まずは国内で生産しなけれぱならない装備が何かを官が抽出し、産業界に見通しとともに示すことが急務だ。そして、各国の最新技術を続合して武器開発をするという現代の常識を踏まえ、日本のメーカーが参画できる環境を整えることも、欠かせない政策判断だ。防衛産業は防衛力の一部である。今年予定されている防衛大綱の見直しで、この問題の解決に向けた道筋がつけられるかどうか、注視しなけれぱならない。
今日本の防衛産業は大変な危機に立たされている。FXの選定が混乱し、日本の防衛産業は風前の灯となっている。
日本の自衛隊が米軍などと演習をすると、その技量の高さを絶賛されることがあるらしいが、その根源には日本の航空産業技術の高さによる機体のメインテナンスの素晴らしさもあるのだという。防衛費の削減は、国産の装備品を製造できなくなる事態が進んでいる。日本の防衛産業の多くは中小企業で、いま職人の技術が途絶えようとしている。これは防衛産業に限ったことではないが、一度失った技術は二度と戻らない。安全保障のためには「国内生産基盤」の維持は欠かせないのだ。
カナダにAvro Canada CF-105 Arrowという幻のスーパー戦闘機が開発されたことがあったことをご存知でしょうか?

1958年3月に初飛行した。時代を先取りした高性能要撃機でした。あまりの高性能に米国および米航空機メーカーからの圧力で開発中止とされたとの話は有名です。また、ソ連のスパイによって情報が盗まれMiG-25の原型機になったとも言われています。
こんなに素晴らしい戦闘機を開発していたカナダであったが、今は戦闘機は作っていない。
「一度製造をやめてしまったら、次に始めたい時には、もう技術者はいない」
日本がカナダのような憂き目を見ないよう防衛産業の技術は絶やしてはならない理由は、まさにここである。ATD-X心神が今後純国産戦闘機へ進化するか否かが、今後100年の日本の航空防衛産業、いや日本の独立を担保する結果となるかもしれません。
秀作だとの評判の左記の桜井美佐さんのこの本を恥ずかしながらまだ、読んでいない。およそ雑誌WEDGEの内容はその要約版のような気がするが、読みましたら書評を書く予定です。







コメント