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TPPに関して保守層の意見は真っ二つに分裂している。特に日米関係や日中関係、規制緩和・構造改革・郵政民営化についても意見が分かれるようになった。

以前は朝日新聞や世界の主張するリベラル側のトンデモ意見に保守派は一丸となって攻撃したが、3.11原発事故風評被害問題などは保守裂してリベラル側と協調し、単純な保守リベラルの二元論的論争ではない複雑な議論がされるようになってきた。そもそも保守とは?保守主義とは何かを考え直す為、本書を読んでみた。
TPP論争もどちらが正しいとも言い難いが、反対派の諸君もヒステリーを抑える為にも是非本書を読んでみたまえ。推薦します!

保守主義の父 エドマンド・バーク「フランス革命についての省察」

p29-31
「本書は保守主義政治哲学の聖典であると同時に、およそイギリスというものの土性骨を教えてくれるものという意味でも、はなはだ興味深い」とも述べる。
(略)
西部邁著『思想の英雄たち』(文蕪春秋)は、序章に次ぐ冒頭でパークを「保守的自由主義の源流」と取り上げ、「今の日本においてこそ省察されるべきものとなるというべきであろう」と結ぶ。

保守思想の核心とは
パークの膨大な主著を一言で紹介するのは、容易でないが、中滓信彦著『イギリス保守~義の政治経済学レミネルヴァ書房)は、端的に「『省察にの主張の核心をなすのは『時効』の思想である」と述べる。

普通の日本語で「時効」と聞くと、時間の経過で消滅する権利や、刑事法卜の公訴時効などを連想するが、パークの時効は、それとは正反対の、日本で言えば、民法上の取得時効のごとき概念を意味する。

正確に論じるなら、時効の思想はパークの独創ではない。事実『省察』は、フランスのドマの「時効の教説」を「彼らの国の最も偉大な法律家の一人」の説として敷衍する。とはいえ、世界の歴史に刻まれた名前は、ドマではなくパークである。時効の思想を世に広めた功績はバークに与えられるべきであろう。パークは演説した。

〈われわれが国王や貴族の優越的権利を理論的に裏づける原理として、一体次のような立前以外に何か主張されると言うのか?・ わが国の憲法は時効的憲法である。つまりその唯一の権威はそれが時代を越えて長年月継続してきた、という点に尽きる憲法なのである。(中略)
時効こそは単に私有財産ばかりでなくこの財産保全の手段である統治に関しても、それが有するあらゆる権限の中で最も強固な権利である〉(「下院代表の状態を調整する委員会についての演説」)

右演説を収めた『論集』は訳注で「時効にもとづくこの保守主義の主張は、この短い演説の中で最もよく引用されるのみならず、彼の晩年のフランス革命攻撃の理念の最も雄弁な論拠として極めて有名である」と注記する。巻末でも「彼の論説の最も核心的な時効の論理」云々と「解説」を加える。『論集』編訳者の中野好之ら専門家が指摘したとおり、時効の思想はパークの、つまり保守思想の核心をなす。
パーク演説を借りれば、天皇および皇族の権威は、わが皇室が時代を越えて、連綿と継続してきたという点に尽きる。他方で、わが国の憲法は時効的憲法ではない。それどころか、戦後の「当用憲法」(福田恒存)に過ぎない。

 p34-35
旧来の伝統という羅針盤
なぜ、保守思想は伝統を重視するのか。その答えも、父祖パークに求めよう。「先祖の敬愛を通じて自分自身への敬愛を教え込まれる」ことを重視する『省察』はこう述べる。

旧来の社会通念や生活規則が除去されるならば、その場合の損失はけだし計り知れぬものがあろう。我々は、その瞬間から自らの行動を律する羅針盤を持たなくなって、自分が目指す港の所在さえも分明には識別できなくなるだろう)上144

だからこそ、先祖から子孫へ伝統を継承する。政治とは本来、先祖や子孫との共同作業なのである。
p40-44
《完全な民主主義はこの世で最も厚顔無恥な代物であり、そして最も厚顔故に、最も恐れ知らずなものである)上172

だが、即断してはならない。パークは、理想的な民主主義が「宗教なしには絶対的に不可能と思われる」とも断った。デモクラシーを全否定したわけではない。以下のように危惧したのである。

(民主主義のもとでは市民の多数派が少数派に対し、必ずや最も残忍な圧制を揮う恐れがあり、そしてこの少数派への圧制は、やがて一層多くの人数にまで拡大されて、およそ単独の杖の支配下で考えうるよりも格段に激烈な憤怒の念で行使されるであろう、と確信する。民衆によるかかる迫害に際して個々の受難者は、他のどんな状況にもまして、悲惨極まる条件に置かれる)上227

 民主主義への深い懐疑

事実、フランス革命は血に染まり、革命後のフランスは、右のごとき惨状を呈した。「民主主義」への懐疑は、次章で取り上げるトクヴィルの名著にも受け継がれた。

バー・クの保守思想は、平等ないし水平化を求める多数派にも警鐘を鳴らす。
〈敢えて言うならば、水平化を試みる人間は決して平等を生み出さない。市民の多様な階層から成り立つ社会では、必ずや一部の人々が高い地位を占めるはずであり、従って、水平化する人間は事物の自然的秩序を改変し歪曲するだけである 上92 彼らは何かを必ず破壊せねばならず、さもないと自分の生きがいを実感できない)上107

実際、フランス革命はそうなった。後に、軍事独裁政権すら生んだ。古今東西普遍な人間性に着目したパークはこうも省察した。

(最も浅薄な知性、最も粗暴な腕力もこの仕事を充分にこなせる。憤怒と狂乱は、慎慮と熟考先見性が百年かけて築き上げるものを、ものの半時間で引き倒すだろう。古い体制の誤謬と欠陥は、目に映り手で触れられる。それらを指摘するのには、大した能力は要らない》下64

《保存しながら同時に改革することは、これとは全く別種の事柄である。古い体制の有用な部分が保存され、新しく付加された部分が既存の部分へ適合される時にこそ、強靭な精神力、着実で忍耐強い注意力、比較し結合する多面的な能力、そして便法をも豊かに考え出す知性の秘策が発動されるべきである)下65

事実、王と王妃は斬首され、フランス王制は終わりを告げた。王制に、誤謬や欠陥もあったであろう。しかし、フランスで「知性の秘策」が発動されることはなかった。伝統の誤謬や欠陥を指摘するのに大した能力は要らない。残念ながら、現代日本にも「浅薄な知性」が跳梁跋扈している。

 保守のための改革
パークが語った保守とは、一切の変更を拒否する頑迷固陋な姿勢ではない。以下のとおり「保存しながら同時に改革すること」は肯定する。こうも書いた。

《何らかの変更の手段を欠く国家は、自己の保存のための手段を持たない。かかる手段がなければ、それは自分が最も入念に保存を念願する、憲法の肝心要の部分を喪失する危険さえ惹き起すだろう》上45(私は変更を必ずしも排除しない。だが、変更を加える場合にも、それは保存のために行なわれるべきである)下199

これが、パークの有名な、保守のための改革論である。保守のための変革は、決して急進的であってはならない。バークは「サー・ハーキュリズーラングリッシヘの手紙」にこう書いた。

 〈われわれは誰しも変化の大法則に服従しなければならない。これは自然の最も強力な法則であり、多分それの保存の手段であろう。それゆえにわれわれ人間の叡智に実行できることは、この変化を目に見えない形で穏やかに進行させる配慮である〉(『論集』所収)

われわれ日本人は特に、皇室典範の改定に関する議論で、右の姿勢を忘れてはなるまい。
『省察』は「全編への結語」として、こうも書いた。

《私は我が祖先の手本に見習いたい。私は、補修を加える場合にも可能な限り旧来の建物の型に似せて行ないたい)《安んじてブリテン憲法の強固な基盤を踏みしめることで、フランスの気球乗りの絶望的飛行への追随を試みるよりも、せいぜいそれを嘆称するだけで満足しよう》下200

わが国の政治家と主権者が忘れてならない視点ではないだろうか。流行りの「政治主導」であれ、何であれ、日本の強固な基盤を踏みしめる姿勢を失えば、肝心要の部分を喪失する危険さえ惹き起す。

保守はプログレッシブに改革し続けるから伝統を保存する事ができるるのだ。
TPPは日本を破壊するといって交渉しないのは固陋頑迷な守旧派にすぎない。

さっそくTPPの交渉で米国がパンチを繰り出してきたが、負けずに打ち返せばいい。
米国や欧米の基準ではちゃんとパンチを打ち返す者は、打ち返さない者より信頼されるものだ!

TPP交渉で日本も堂々と打ち返しそして信頼を醸成すればいい。