「憲法9条、日本の対外関与を束縛」 米研究機関【MSN産経】
【ワシントン=古森義久】米国の大手安全保障研究機関「プロジェクト2049研究所」は2日、日本の対外政策についての研究報告を公表し、日本の対外関与は憲法第9条によって束縛されているという見解を明示した。米側が日本の憲法をここまで否定的に位置づけることは珍しく、新たな潮流の始まりとも受け取れる。
同研究所は米国の安全保障や外交を専門に研究する有力シンクタンクで、同報告は「日本のグローバルな関与」と題された。作成の主体はブッシュ前政権の国務次官補代理として対日政策にもかかわったランディ・シュライバー氏ら数人の専門家。
同報告は日本の自衛隊海外派遣や政府開発援助(ODA)など国際的な寄与や関与の具体例を示し、日本の対外活動はなお拡大しているとの結論を明確にした。しかし同報告は日本のその種の対外関与への障害となる課題としてまず第一に憲法第9条をあげた。
同報告は憲法9条が戦争行動を禁じ、国際紛争を解決する手段としての武力の行使の放棄をうたっていることを指摘したうえで、「同憲法は日本が武装戦力を自衛隊という名称で保持することを認めているが、その一方、9条は日本の国家防衛や安全保障の範囲を制限し、日本が対外的に参加できる安全保障の関与を束縛している」と断言した。
最近の米側では日本の憲法に由来する集団的自衛権の行使の禁止が日米同盟の強化への障害になるという意見が広まっているが、憲法自体を日本自身にとっての束縛として、暗にその改正を正面から求めるということはきわめて珍しい。
「集団的自衛権は日本の問題」 米国務次官補、憲法解釈を尊重【MSN産経】
2012.4.27 21:23 [米国]
【ワシントン=古森義久】キャンベル米国務次官補は26日、日本の集団的自衛権の行使禁止と日米同盟強化の関連について「日本側の憲法解釈などを尊重し、(その変更を求める)助言は控えめにすべきだ」と述べた。
米国側では最近、上下両院議員や共和党系の元政府高官の多くから「日本が集団的自衛権の行使を自ら禁じていることは日米同盟強化の障害になる」という意見が相次いで表明されているが、キャンベル次官補は同日のワシントンでのセミナーで、「これほど重要な政策について日本がいかに対応し、いかに憲法を解釈し、いかに法を運用するかは日本自身の問題だと思う」と明言した。
同次官補はさらに日米同盟の運営について「最も建設的な方法で日本と協力を進めることが米国の意向であり、(憲法解釈など集団的自衛権禁止の問題に)米国がかかわると、日本の国内議論に誤解をもたらし、不適切な役割を果たしかねない」と述べるとともに「日本側に変化を求める米側からの助言は日本側に不安を起こし、予期しない結果を招く可能性もあるから、日本の国内手続きを尊重し、緊密な協議を続けるべきだ」と語った。
憲法改正の論議を前に進めよう 【日経新聞】
- 2012/5/3 3:30
日本国憲法が施行されて3日で65年を迎えた。自民党が新たな憲法改正草案をまとめるなど改憲にむけた議論を巻きおこそうとしているものの、憲法改正を審議する国会の憲法審査会は本格的に動く気配を見せていない。日本に東京裁判史観を押し付けた宗主国様が今度は日本に改憲するように仰っている・・・・これで日本も憲法改正へ動きが出るであろう。だがしかし、米国主導の憲法改正を行えば憲法の大義を失ってしまう。日本はいい加減に自主憲法を制定しなくてはならない。いつまでも改憲をしないとまた押し付けられた憲法改正になってしまう・・・私は深く憂慮するものです。
2011年3月の東日本大震災を経て、戦後日本が新たな段階に入った現在。国家の将来像をどう描くかも含め、憲法と真っ正面から向き合い、改憲論議を前に進めるときだ。
改正条項と緊急事態
改憲の手続きを定めた国民投票法は07年5月に成立し、3年後の10年5月に施行され、憲法審査会による憲法改正原案の発議が可能になった。11年10月、ようやく衆参両院で憲法審査会の初会合が開かれたが、その後、実質審議には、いたっていない。
国民投票法が制定されたとき、付則に追加された「3つの宿題」がこなされていないためだ。
宿題は(1)投票年齢を18歳にするのに伴い、公職選挙法などの現行20歳の対象年齢を引き下げる(2)公務員が憲法改正に関する意見の表明などを制限されないようにする(3)国民投票の対象を憲法改正以外にも拡大できるかどうかを検討する――の3点だ。
5年間も放っている政治の怠慢は批判されてしかるべきだ。「動かない政治」そのものである。
こうした改憲の取り付け道路の整備と併せて、憲法の館の工事に取りかかるための工程表と設計図の検討も進めていく必要がある。
工事は新築ではない。増改築である。現行憲法は、わずか9日間でGHQ(連合国軍総司令部)がまとめた案がもとになっているとしても、けっこう良くできているからだ。それは、大枠を維持しながら手直しする自民党の改憲草案が、はしなくも物語っている。
最大の工事が9条であるのは論をまたない。自民党案のように自衛隊を「国防軍」と呼び、集団的自衛権の行使ができるようにしよう、というのは有力な考え方だ。
しかし、いきなり9条問題を取りあげて、国論を二分した議論を繰りひろげるよりも、まずは工事しやすい箇所から憲法の館に手を加えるのが現実的な対応だろう。
2カ所ある。ひとつは96条の改正条項の改正である。発議には両議院のそれぞれ総議員の3分の2以上とあるのを、過半数に改めるものだ。改築である。自民党の保利耕輔・憲法改正推進本部長はこれがもっとも実際的だとみる。
もうひとつは、緊急事態への対応である。東日本大震災で明らかになった大規模災害時をはじめとして、武力攻撃やテロなどの際に首相への権限を集中するなどの規定を設けるものだ。増築である。自民党の草案にも盛り込まれた。
民主党の中野寛成・憲法調査会長は「緊急事態への対応や地方分権、環境権など与野党合意が可能なテーマから入っていくのがひとつの方法だ」という。
かしいでいる館をいかに補強するかの工事も忘れてはならない。「強すぎる参議院」の改修がそれだ。「決められない政治」の制度的な背景が、衆参ねじれのもと、「政局の府」となってしまった参院にあるからだ。
自民党の改憲草案では触れていないが、衆院で可決し参院で否決した法案を、衆院で再議決して成立させるためには3分の2以上の賛成が必要となっているのを過半数に改め、衆議院の優越をはっきりさせるのが一案だ。
「真に血みどろの苦心」
参院での首相への問責決議には、内閣の解散権で参院に対抗する規定の新設も考えていい。法的な拘束力のない問責決議が竹光であることを、衆院の信任決議をぶつけるなどして、現実の政治プロセスで明らかにしていくのが当面のやり方だろう。
国会に憲法調査会が設置され論議されるようになったのが00年1月。5年間の議論で、すでに論点は出尽くしている。要は、各党が本気でやるかどうかに尽きる。
いま一度、1946年の憲法制定のころを思いおこしてみよう。
「私は議会の速記録や当時の新聞紙も読み、苦難の条件の下で国民が如何に心血をそそいで考慮を尽したかを察して珍しく緊張した。民族発展の前途を考えて、国民は真に血みどろの苦心をした」
憲法担当相をつとめた金森徳次郎氏が当時をふりかえって書き残した言葉である。
大震災を経験しても「動かない政治」「決められない政治」がつづく。憲法改正は、この国の将来をどうしていくかの議論である。血みどろの苦心をした先人たちは、今の日本をどうみるだろうか。
野田首相とオバマ米大統領が4月30日、ワシントンで会談し、アジア太平洋地域での新たな安全保障協力の強化などをうたった共同声明を発表した。
米国から見ればなんら進展しない無意味な日米首脳会談であった。日米地位協定の改訂の話もできなければ、普天間移転についても集団自衛権についても言及が無かった。
日本政府が同盟国・米国と行動をともにするための集団的自衛権の行使を禁じた現行憲法解釈に縛られる限りは、真の意味での同盟深化も対等な日米関係もほど遠い。米国の苛立ちを野田は感じなかったのであろうか?
小泉内閣で福田官房長官談話として、北朝鮮や中国が発射した第三国(米国)へ向けて発射したミサイルはイージス艦で打ち落とすような運用はしないと集団自衛権を行使しないと発言、現行の憲法解釈では、公海上で米艦船が他国から攻撃されても自衛隊は防護できない。「日米安保のこの実態を一般米国人は知らない」(外務省筋)ため助かっているが、一朝(いっちょう)有事の際に「憲法上日本は何もできません」では日米同盟は崩壊しかねない。
野田首相自身、集団自衛権を自著で認めているようだが、野田は消費税増税以外眼中に無いらしく、「集団的自衛権の行使」に言及せず日米同盟の深化を単なるかけ声だおれにした日米首脳会談であった。
その間も北朝鮮は弾道ミサイルを人工衛星と偽り実験に失敗した失地を回復すべく、3度目の核実験を強行しようとしている。中国の核弾頭は既に日本をに照準を合せたままで、憲法改正を遅々として是正しない。現在今後も「集団的自衛権」を憲法で認めず「一国平和主義」に留まることは、国家として、きわめて不道徳な姿勢であることを今一度、考えるべきであろう。
国際連合憲章第五十一条は「この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない」と規定した。
国際司法裁判所も集団自衛権を一九八六年の「ニカラグア判決」で「慣習国際法」上の権利であると判示した。
仮に憲法で集団的自衛権を否定しても、決して奪うことは許されない、はずである。内閣の憲法解釈で否定し、更に歴代内閣も放置するのは言語道断である。
増大する中国の軍事力は日本一国では防ぎきれるものではなく、日米同盟なくしては日本の独立は保てるものではない。
日本は憲法を一刻も早く改正すべき時期に来ているのである。
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