いよいよ日曜日はギリシャの選挙である。直近の世論調査では、これまでの緊縮財政路線に反対する急進左派連合(SYRIZA)が、緊縮策を支持する旧連立与党の新民主主義党(ND)と大接戦のようだ。新民主主義党は、EU/IMFとの約束を破ることは、旧通貨ドラクマに戻ることを意味する、との主張を展開している。
旧与党のサマラス党首は「ユーロに残るのか、離脱するのか。選挙で子供たちの未来が決まる」と主張し、一方の、急進左派連合のツィプラス党首は、「1カ国でもユーロから離脱すれば、ユーロ圏は崩壊する。われわれに次回融資を実行しなければ、ユーロ圏は即座に崩壊する」と主張した。
共産党青年部出身のツィプラス党首は37歳、ユーロには残留するが、緊縮財政路線の白紙撤回、銀行の国有化、民営化停止を掲げた。まあ、北朝鮮の瀬戸際外交みたいなもので、国際社会を脅し自分達の利益を得ようとしている。
急進左派連合の主張は人造通貨ユーロの更なる構造的欠陥を突いている。ギリシャのユーロ離脱がユーロ圏経済の悪化を招き、各国の財政状況が悪化することで、スペインやポルトガルの離脱へと連鎖する懸念が高まってしまうので、ギリシャのデフォルトやユーロ離脱を回避する為に、EUがギリシャに過度な財政緊縮を迫ることも考え直すかもしれないと読んでいるのだ。だが、容易にEUは急進左派連合の主張を容認するとは思えない。
左翼というものは、現実的でない理想だけを国民に口約束して、平気で国際社会を脅す。これはボルシェビキ以来の左翼の伝統芸なのだろうか?菅直人や日本の民主党を見ればわかるが、左翼の主張することは論理的にも見えるが、結局は国民を不幸にする遺伝子を持っている。
ギリシャ経済のユーロ全体に占めるその規模は2%に過ぎず、ユーロ離脱となったらむしろユーロ全体としてはお荷物が軽くなってプラス要因かもしれない。ギリシャへの債権を保有する欧州金融機関は既に償却処理していますのでギリシャが離脱しようとこれからデフォルトになろうと、そのインパクトは限定的なので、EUは急進左派連合 の主張を一蹴してユーロ残留を認めない可能性もある。
ユーロを離れたギリシャは、元来の通貨ドラクマに戻りますが、そうなればドラクマの価値は大暴落し、ギリシャ経済はすさまじいハイパーインフレとなって、今よりはるかに厳しい国民生活を覚悟しなければならない。今生きているギリシャ国民にとってユーロを捨てる勇気はないと思う。今のギリシャ国民はユーロから離脱せずに厳しい緊縮生活を耐え忍ぶ選択をする可能性が高い。
だが、あれだけユーロに入りたくてもギリシャの強力な反対で入れてもらえなかったトルコ経済の発展を見ればわかるように、長期的にギリシャはユーロから離脱すべきです。暴落したドラクマと安い賃金は新産業が芽吹く可能性がある。ギリシャ国民が、やる気さえあれば長期的に見てユーロ離脱はギリシャの為にはなる可能性がある。
少し気になる記事がある。
SYRIZAのアレクシス・ツィプラス党首は2009年にベネズエラを訪問しており、その反米主義の世界観がギリシャ左派が代々抱く帝国主義への憎しみと重なるウゴ・チャベス大統領の信奉者だ。西側諸国にとってギリシャを新たなベネズエラやイランにすることも安全保障上得策でもないだろう。
チャベス大統領はベネズエラの埋蔵石油を外交手段として使うことを得意としている。エネルギー輸入に大きく依存するギリシャでツィプラス党首が権力を握れば、この要素は大きな重要性を持つようになるかもしれない。
一方のNDのアントニス・サマラス党首は1月にモスクワを訪問し、キリスト教正教派の仲間であるロシアとギリシャの文化的な絆を強調した。ロシアはギリシャのガス輸入の大半を供給しており、ロシア政府はキプロスに25億ユーロの低利融資を手配している。キプロスを率いるギリシャ系キプロス人の指導者たちは、トルコに対する警戒心を共有するギリシャ政府と親密だ。
親欧米派のギリシャの政治家にとって問題は、経済危機のおかげで、ギリシャ国民がある程度、EUやNATOの忠実な加盟国であることを、金融支援と引き換えに厳しい条件を課してきた欧州とIMFの監督官への屈服と関連づけてしまっていることだ。
根本的にユーロの構造的問題を解決するには、財政統合し本当に国境をなくした欧州合衆国を誕生させるしかない。その前段階として、欧州救済基金による直接的な銀行資本増強や、共通の銀行監督・預金保証制度の確立による銀行同盟、そしてユーロ共同債(各国が返済を連帯保証)があるが、ユーロ圏で最も国債利回りが低いドイツは、重債務国の共同債発行が自国の資金調達コストを高めることを懸念して反対している。
欧州債務危機が拡大すれば、当然のことながら、ドイツの景気も悪化することになる。また、財政不安がさらに高まり、スペインなどが市場から資金調達できなくなると、ユーロ圏救済基金が資金不足に陥り、ドイツが財政負担を大幅に拡大する必要が出てくる。
スペイン政府は銀行救済のために、1000億ユーロの支援をユーロ救済基金に要請することとなった。銀行に必要な資金が注入されることにより、信用収縮に歯止めがかかってスペインが追加の財政緊縮を迫られることもない見通しだが、スペイン政府の債務増加が、経済状況次第では財政不安を再燃させる要素となりかねない。
債務国に財政緊縮を条件に金融支援すると、ユーロ圏経済の低迷を招き、財政不安や金融不安の抑制に有効でないことが、今回のギリシャ問題などを通じて学習した。フランス政府が主張するように、EUが成長促進と両立するように財政協定を弾力化することが不可欠であり、ドイツ政府も理解を示している。
ギリシャの選挙がどうなろうと、ドイツ政府は最終的に欧州財政統合、共同債発行をせざるをえなくなるだろう。ギリシャ選挙後に世界不況やユーロ崩壊を回避できるか否かは、財政統合、欧州銀行システムの統合・支援やユーロ共同債に対するドイツ国民の姿勢にかかっている。
国際社会はギリシャの選挙後マーケットが混乱しないよう既に手を打ちつつある。下記ニュースはマーケットにとってプラスの材料だ。
2012年 06月 15日 21:22 JST
[東京 15日 ロイター] 17日のギリシャの再選挙やスペインの不良債権問題などをめぐって欧州債務危機に対する市場の緊張感が高まる中、日銀の白川方明総裁は15日、欧州発のショックが発生した場合の日本の金融市場と金融システムへの波及遮断の重要性を強調した。
総裁が「経済の基礎」と位置づける金融システムへの悪影響を回避するため、日銀では、状況に応じた政策を迅速に打ち出していく構えだ。
日銀は金融政策決定会合後に公表した声明文に「国際金融資本市場の状況を十分注視し、わが国の金融システムの安定確保に万全を期す」と明記。欧州債務危機への警戒の強まりに伴って、日銀の金融政策運営において、金融市場・金融システムの安定確保への対応を再び強く意識せざるを得ない状況になっているためだ。白川総裁も会見で、欧州債務問題を「もっとも意識すべきリスク要因」と述べ、ギリシャやスペインなどの問題を受けて神経質な展開を続けている金融市場を「細心の注意を持ってみている」と強い警戒感を表明した。
その上で、欧州問題が日本経済に影響を与えるルートについて、あらためて貿易、為替、金融を挙げ、特に「金融市場、金融システムの安定が決定的に重要」と強調。日本の金融システムや円の資金市場は「極めて安定」しており、現状で心配があるわけではないとしたが、ショックの程度によっては、株価の大幅な下落や、カウンターパーティー(取引相手方)・リスクの高まりなどで、日本の金融システムにも影響が波及する可能性は否定できない。
総裁は、国際協調を含め、欧州リスクが顕在化した場合の具体的な対応策について「金融システムの安定を保つ上で、奇手奇策はない」と明言を避ける一方、市場が不安定化した場合の流動性供給の重要性にも言及した。現状では、ショックが発生した場合の影響の大きさや、波及ルートなどを想定するのは困難。日銀では、予断を持たず、ショックが発生した場合は、積極的な流動性供給や臨時会合も視野に入れた追加緩和策など状況に応じた政策対応を講じていくとみられる。
(ロイターニュース 伊藤純夫;編集 石田仁志)
再選挙直後から欧米の中間期末である6月末に向けて、国際会合が相次いで予定されている。
6/18-19 G20
6/19-20 FOMC
6/21-22 ユーロ圈・EU財務相会合
6/23 独仏伊、スペイン首脳会合
6/23-24 BIS年次総会
6/28-29 EU首脳会合
6/30 ギリシヤ歳出削減策の提出期限
欧米中間期末、欧州銀自己資本 比率規制達成期限
7/1 欧州安定メカニズム(ESM)設立
7/6 独連邦議会夏 休会入り
急進左派連合(SYRIZA) 中心の新政権が出来たとしてもギリシャの政治の混乱は続くだろう。だがEUとギリシャが妥協できるポイントは緊縮策実施の先送りと成長推進になると思われる。
世界的に緊縮策より成長策が重要だと認識しているにもかかわらず、日本はまだ消費税引き上げ法案を審議している。欧州、米国、中国が緊縮一辺倒から成長政策をより重視する動きが広がってきていることから、G20など欧州以外も参加する国際会合では、緊縮政策を主張するドイツの軟化が期待される。
ギリシャについては再々選挙のリスクがわずかに残るのみと見ているが、ギリシャ問題は一旦終息するかもしれない。
目前となった欧州金融機関の自己資本規制強化への対応完了後は信用の緩和が期待され、欧州マネーが再び戻ってくる可能性もありと読むべきかもしれない。
引用のロイター記事にあるよう、日銀は素早い対応を示した。日銀の審議委員候補に証券会社のエコノミスト2名が提示されが、緩和積極派と報じられている。
市場関係者が同時に2名審議委員となるのは異例のこととされるが、市場との対話が重視されている中でこの決定は大きい。 今後の日銀の対応に期待したい。

コメント