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先週13日、衆院社会保障税一体改革委員会の公聴会に出席した。役人を長くやっていたので、法案審議が100時間を超えたこともあり、公聴会後に採決できるという意味で、公聴会は消化試合のようなものだ。

だいたい、微妙な時期だったら私のような反対論を主張する人が国会に呼ばれるはずない。かつて参考人出席を拒否されたのは、本コラムでも書いた(高橋洋一の参考人出席はガチンコで拒否!「やらせ質問」国会が封印した「増税に不都合な真実」2012.02.27  )。公述の前に、旧知の民主党議員(増税派)が来たが、余裕綽々だった。

そこでも、公聴会では消費税増税の問題を10ほど上げて網羅的に説明した。具体的には、(1)デフレの解消が先、(2)財政再建の必要性が乏しいこと、(3)欧州危機時にやることでないこと、(4)不公平の是正が先、(5)歳入庁の創設が先、(6)消費税の社会保障目的税化の誤り、(7)消費税は地方税とすべきこと、(8)無駄の削減・行革が先、(9)資産売却・埋蔵金が先、(10)マニフェスト違反である。

公述内容は、ダイアモンドオンラインで図表とともに書いてある。ただ、それは事前に用意した草稿である。実際、直前に話を加えたところもある。はじめに、社会保障と税の一体改革というが、一言で言えば、社会保障の薄皮、中身は消費税あんこたっぷりの薄皮饅頭といった。これに対して、斎藤やすのり議員(きずな)から、もう薄皮もなくなり、消費税だけのあんこになっているという発言があった。

最低保障年金、後期高齢者医療制度の廃止は国民会議(ただし、民主の要求で国会議員もメンバーになることを妨げないので、再び自公民での談合機関になる可能性がある)行き、つまり先送りなので、まさしくそのとおりだ。そのほか、増税とは税率を上げることで増収には直結しない。財政再建のために増税が必要というが、これは正しくない。私は財政再建の立場だが、経済成長なくして財政再建なしだ、といったことを述べた。別にこれは目新しい話ではなく、諸外国の歴史からの教訓である。

そして、15日に民・自・公の増税3党合意。昨年8月の東電救済法、今年3月の改正労働者派遣法、4月の郵政民営化逆行法などで民・自・公は談合で増税大連立の練習を行い、それで今回の消費税増税談合で事実上の大連立完成。本コラムでは、書いてきたが、最悪のシナリオになっている(反対派から離党騒ぎまで起きているが、政治家たちの奮起に期待!消費税増税案「今国会、3つのシナリオ」2012.04.02)。

ここ数日来の「消費増税」、「大飯原発再開」の見出しにあきれているところに、16日に「決められない政治からの脱却」という増税翼賛会の大新聞の報道に、ほとほとこの国の政治・メディアのダメさにあいそがついた。

大新聞が似たような論調の時には、だいたい後ろに官僚がいる。大蔵省にいたときの実話であるが、あるキャンペーンを行う時、課長クラス以上に対し各紙論説クラスやコメンテーターに根回してどのように書かせるか、言わせるかを競わせた。役人として出世競争になるのだから各課長は必死である。16日の「決められない政治からの脱却」の大合唱は邪推かもしれないが、そうしたマスコミ対策の結果かもしれない。

マスコミを官僚が洗脳する方法は単純だ。(1)出向くこと(取材先にいくことが多いマスコミにいくとそれだけで先方は恐縮)、(2)内部資料といって資料をもっていく(マスコミはデータを調べられないから喜ばれる。内部資料といってもマスコミ配布用)、(3)メールアドレス、携帯電話を教える(取材源の確保になって喜ばれる)だ。

なお、ややそれるが、御用学者を官僚が仕立てることも簡単だ。(1)審議会、勉強会委員にする(先生のご意見が聞きたいとおだてる)、(2)資料、メモだし(研究サポート)、(3)顎足海外出張(ファーストグレードアップ、現地アテンドなど)、(4)弟子の就職斡旋(公的機関紹介)、(5)研究費や委託調査費の優先配分だ。洗脳されたマスコミ、御用学者、官僚の強固なトライアングルが生まれて、そこから大半の情報が発信される。

もともと不勉強なマスコミを籠絡するのは官僚にとってやさしい。マニフェストに書いてない消費税増税を命がけで行い、その上でマニフェストに書いていることを潰しているだけで、いかに今の野田政権がやっていることが間抜けなことがわかるだろう。

民主党の人がいくらマニフェストは捨てていないといっても、残っていても薄皮か、ところどころに薄皮の痕跡がある程度だ。それを「決められない政治からの脱却」といって、持ち上げる大新聞はちょっと異常だ。マニフェストに書かれていない増税を命がけで決めるのがおかしいだけだ。しかも、マニフェストに書かれた社会保障関係はみんな先送りで、増税だけを決めた。

民主党内には、社会保障と税の一体改革といったのが間違いで、財政再建のためといえばよかったと真顔でいう人もいる。本当に困った人だ。政権交代で、予算組み替えがうまくできず、歳出規模が自公政権と比べて10兆円以上増加してしまい、その穴埋めに使われるだけだ。ちなみに福田政権時の予算にすれば、消費税増税も不要である。( 財務省とのなれ合いで自民党政権時代よりも10兆円以上歳出が増えた民主党政権。大増税に導く2012年度予算はこんなにデタラメだ2011.12.26)

今回の消費税増税について、海外からの評価が高いと浮かれるているところもあるが、所詮海外のことである。はっきり言えば、日本がこの経済危機の前にセオリーから外れる緊縮策をとって日本が自滅することは、外国にとってメリットである。15日発行の英国エコノミスト誌なんて、斜め横から見ているので、消費税増税に進む野田総理を絶賛しているが、こういうのは額面通りに受け取れない話だ。

消費税増税については、だいたい決着がついていて残念だが、政治は一寸先は闇という言葉もある。そこにかけてみたい気持ちもある。野田総理は、17日夕、G20出席のため出発した。G20の初日だけ出席して、20日早朝に帰国する予定だ。G20で消費税増税をいい国内反対を牽制するようだが、それが仇になる可能性もある。

民主党は3党合意したものの、党内手続きが残っている。自民党は総務会で了承とされているが5名が反対した。月曜日にヒラバ(自民党全員参加の会議)が行われる。そこでどのような議論になるのか。民主党も同じようなものだ。党首のいない間に、議論紛糾で間違いが起きないとはいえない。

数だけであれば、民主290-小沢G90+自民119+公明21+国民・大地6=346。自民から造反がでても小沢Gを少し取り崩せば、過半数240どころか衆院2/3の320もクリアできる。できれば、民主で小沢G以外の中間派90でも多くの造反がでるくらいで、民主党が分裂する危機になって、21日までの採決が先送りになることを祈りたい。

ちなみに、1997年の消費税増税の決定は村山内閣である。自民党、社会党、さきがけの連立内閣だ。社会党は、この連立で安保条約肯定、原発肯定、非武装中立の放棄など従来の政策を放棄させられた。しかも消費税増税に加担したため、最終的には消えてなくなった。

今の民主党も、重要法案である消費税増税で合意しているので自公と事実上の連立である。その結果、社会保障などでマニフェストをほぼ放棄している。森本防衛大臣を入閣させており、安全保障面でも自公と差はない。

原発再稼働もなし崩し的に容認し自公と同じだ。こうしてみると、党の根幹政策の転換で、民主党は「社会党化」している。おそらく、月曜日、火曜日でクーデターが起きずに、20日野田・谷垣党首会談が行われば、民主党は自公との事実上の連立状態が確定するが、その後には、民主党が消滅するだろう。

となると、消費税増税、原発再稼働について、反対のところがぽっかり空く。いまのところ、消費税増税反対、原発再稼働反対は5割を上回っている。総選挙の時期は確定していないが、民主、自民の代表戦、総裁選後の9月以降とも言われている。そうした支持者を集めれば「第二極」かそれ以上になれる。維新の会、みんなの党はその有力な候補だ。
私はみんなの党を応援したい。
事実上民自公連立政権の始動だ。消費税通過後選挙では民主党は存在しなくなるだろう。
16日に「決められない政治からの脱却」という増税翼賛会の大新聞の報道に、ほとほとこの国の政治・メディアのダメさにあいそがついた。
私もほとほと愛想がつきる・・・

新聞やテレビの論説委員で突然のように「決められない政治からの脱却」 キャンペーンでもあるかのような論調。まさに増税翼賛会。官僚が音頭をとっているに決まっている。新聞もテレビも・・・
国民が出来ることは、増税賛成の議員には次回選挙で投票しないことだ。
それにしても、今の日本は、官僚独裁国家体制と言って過言ではない。「官僚の官僚による官僚の為の政治」だ。だが彼らは悪の秘密結社を構成するような悪人ではない。
我が家の前に済む東大卒の文部科学省勤めの隣人は善人で質素な暮らしぶりをしている。ちなみに私が住んでいるこの質素な中古住宅の前のオーナーは通産省の役人だったがけして悪い人ではなかった。
一人ひとりは善人かもしれないが、組織として存在すると途端に悪性腫瘍となる。官僚は殲滅するのではなく、利用すべきなのだが・・・・田中角栄のような傑出した人物でも出なくては官僚を制御することは出来ない。これでは問題がある。
これは日本を統治する上で構造的欠陥だろう、なぜなら総理になるのはアホな人間である確率は高いからだ。