
過激化する
韓国の
反日心理
日韓関係 福島原発事故で釜山の土地が買い占められるー
韓国のあまりに荒唐無稽な反日感情ただその背景にあるのは歴史問題だけではない
ソウルのちまたでは最近、こんな「日本脅威論」がまことしやかにささやかれている。東京電力・福島第一原発事故の影響で、東日本には人が住めなくなった。そのため日本の投資家らは韓国・釜山の不動産を買い占めに走っている。これは日本による韓国への新たな侵略だ。
奇想天外なストーリーだ。しかし、韓国ではこれ以外にも荒唐無稽な日本脅威論が猛威を振るっている。
例えば、今年5月に安倍晋三首相が宮城県の航空自衛隊基地を視察したときのこと。安倍が「731」という番号が付いた曲芸飛行隊ブルーインパルスの機体に搭乗すると、韓国メディアはこぞって日中戦争で細菌戦を研究し、人体実験を行ったとも伝えられる[7311部隊]になぞらえているのか、といぶかしんだ。
同じ5月に行われた元プロ野球選手の長嶋茂雄と松井秀喜への国民栄誉賞授与式での安倍の姿も、韓国にとっては刺激的過ぎたらしい。韓国メディアは安倍のユニホームにあしらわれた背番号「96」に反応。「96」は安倍が改正を目指す憲法96条を意味し、平和憲法改正を示唆している、と騒ぎ立てた。背番号は単に安倍が96代目の首相であなことにちなんだだけだった。日本から見れば、韓国で報じられる「日本脅威論」はあまりに想像力豊かで理解に苦しむ。
今回の日韓関係の悪化は、昨年8月に当時の李明博大統領が突然、竹島(韓国名・独島)を訪問したことがそもそもの原因だ。任期末期でレームダック化していた李政権が、求心力を高めるため8月15日の[光復節]を前に高まる反日感情を利用したのは明らかだ。
その後、事態は一向に改善の気配を見せず、李の後任の朴槿恵大統領が訪米した際、「歴史が見えない者は未来が見えない」と暗に日本を批判。なぜか米ロサンゼルス近郊に従軍慰安婦像が設置され、2020年の五輪開催地問題では韓国メディアが大々的に福島原発の汚染水問題を報道と、韓国側の日本バッシングが続いている。
韓国の反日感情は、かつての植民地支配に対する怨嵯だけに原因があるのではない。竹島をめぐり外交関係が悪化する一方で、日韓の文化交流は続いていることから、両国関係を楽観視する人たちもいる。ただ、水面下で韓国の「反日」はその質を大きく変えようとしている。「反日新時代」ともいえる人きな地殻変動が起きているのだ。
不可解な「国民情緒法」 昨年8月に日韓関係が氷河期に突入して以来、日韓両国とも指導者が交代したが、今に至るも正式な首脳会談は実現していない。韓国による日本バッシングは続いているが、それを扇動しているのが韓国メディアだ。
先月にプレスツアーで青森県六ヶ所村にある核廃棄物の中間貯蔵施設を取材した韓国紙・朝鮮日報の記者は、抽出するプルトニウムの利用目的を発表していないことなどを根拠に、日本が核武装の道をたどっているかのような論調を展開し、識者の意見を添えて「国際社会の疑念は消えない」と警告した。まるで日本がイランや北朝鮮と同じ核疑惑を抱えた「ならず者国家」であるような書きぶりだ。
「韓国メディアの報道ぶりには目に余るものがある」と、韓国政治に詳しい静岡県立大学教授の小針進は指摘する。「安倍首相の動静を追うなかで、少しでも『反韓』と思われている人物と会うとそれを極端に大きく報じる傾向もある」
7月、ソウルと釜山の裁判所が新日鉄住金など日本企業2社に対して下した戦時徴用に対する賠償金支払・い命令は、日本を困惑させた。65年に締結された日韓請求権協定によって、日韓両国および両国民の財産と権利、利益は「完全かつ最終的に解決された」と記されているからだ。 もし韓国の大法院(最高裁)で判決が確定すれば、韓国は司法が率先して国際法をないがしろにする国、ということになる。日本政府がこの賠償命令判決について国際司法裁判所への提訴を検討しているのも、ある意味当然だろう。
なぜ韓国では、権力や社会の監視役であるはずのメディアや司法が自ら暴走するのか。実は時に司法までも呪縛する不可解な「法」が韓国には存在する法律や条例はもちろん、憲法よりも国民感情を優先するという見えざる法、「国民情緒法」だ。
その最たる例が盧武鉉政権の05年に成立した「親日反民族行為者財産の国家帰属に関する特別法」だろう。財産を得た当時は合法だったとしても、親日行為を通じて得た財産を子孫からでも没収できる、というこの恐るべき事後法は、法律は過去に遡及しない、という原則を完全に無視している。
さらには、慰安婦像をソウルの日本大使館前に不法に設置したこともその一例だ。韓国国内の条例に違反しているだけでなく、ウィーン条約に抵触する可能性もある。
反日感情の「地殻変動」 ただ暴走するメディアや司法、それらを支配する不可解な「国民情緒法」は、韓国の反日を語る上ではまだ表面的な存在にすぎない。さらに奥深くでは、これまでの反日心理を根本から覆す地殻変動ともいえる変化が起きている。
その地殻変動を起こしているのは、韓国の知識別の世代交代だ。これまで日本との関係に一定の配慮ができた層が表舞台から去り、急進的な世代があらゆる分野で中核を占め始めている。 韓国政治に詳しい神戸大学大学院教授の木村幹によれば、植民地時代から軍事独裁政権時代を知るエリートたちが表舞台から退場したことで、日本に対する関心や配慮が減ったという。「現在の韓国の政治や行政で中核を担う世代には、『なぜ日本に配慮しなければならないのか』という思いがある」
古い世代の知識層とは、主に現在60代以上の保守派を指す。彼らが政治の中心にいた時代には、いわゆる知日派と呼ばれる人物が政界のあちこちで存在感を放っていた。戦後、日本経済が飛躍的に躍進するのを目の当たりにしていた古い世代の実業家らは、日本経済との結び付きの重要性を知っていた。
また83年のラングーン爆破テロ事件や87年の大韓航空機爆破事件などで北朝鮮からの露骨な攻撃にさらされていた韓国は、アメリカはもちろん、日本と友好関係を結ぶ安全保障上の改要性を認識していた。
確かにこの世代が権力の中心にいた頃も反日運動は起きた。しかし、それらの多くは「テクニカルな反日」にすぎない。つまり、あくまで政権末期などに支持率の上昇を狙って行う「時限付き」の反日運動で、仮に政府が反日をあおったとしても、その出口は見据えられていた。最悪の状態は避ける、という認識がこの頃の韓国知識層にはあったはずだ。
新世代の認識は違う。彼らの中心は、80年代に起きた民主化運動を担った急進的な世代だ。 この世代はサムスンがソニーやパナソニックといった世界的な日本企業を追い抜き、世界市場を席巻するさまを若い頃、目の当たりにした。彼らにとって日本はもはや「ジャパンーアズーナンバーワン」でも何でもなく、むしろ「失われた20年」にあえぐ印象が強い。
さらに中国の台頭によって、彼らは日本への配慮など不要という認識を強めた。韓国の対中貿易額は今やGDPの3割近くに上る。こうした東アジアにおける地政学の変化と経済面における日本の地位低下が相まって、いったん日韓の問で感情的な対立が起きると、韓国国民の感情は一気に反目へと転化するようになった。理性や遠慮など不要というわけだ。
こうした時代の変化が反日の性格を変えた原因の1つだと神戸大学の木村は指摘する。「旧世代の影によって抑えられていた新しい世代の反目感情が表舞台に出てきた」
古い世代が韓国の政治や行政の中核を担っていた時代にも、韓国が「日本が右傾化している」と騒ぎ政てることはあった。日本の自民党による憲法改正の提起は今に始まった話ではないし、小泉政権時代にも靖国神社の参拝をめぐり、韓国の特に若い世代は騒いだ。
(略)
「国民交流は健全」の誤解 ところが妄想に歯止めをかける古い世代がいないため、今の若い世代は「日本の右傾化」を額面どおり脅威として受け取ってしまう。そして反日は反日でとどまることなく、日本は本当に恐ろしいという「恐日」の感情に容易に転化、あるいは進化してしまう。
日韓問題の専門家も、かつては日韓関係がこじれて悪いムードが漂うと財界人や大物政治家がすぐに相手国に飛んで事態改善を図る動きがあったが、今はほとんどなくなったと指摘する。
日本は韓国にとって不満やいら立ちの対象から、恐怖の国になつてしまったのかもしれない。 (略)
一枚岩でもない韓国世論 (略)
日本企業2社に対して韓国の裁判所が下した戦時徴用に対する賠償金支払い命令で、最も苦るしんでいるのは実は韓国政府だ。
韓国政府の立場としては、個人請求権は65年の日韓基本条約で終わっているという解釈を維持しており、05年の官民合同委員会でもその認識は確認されている。国民大学校の李によれば、「この問題で一番頭を悩ませているのは韓国外務省だ」という。
民主党の岡川克也こ剛副首相も、一応は三権分なの原則がある韓国で司法の判断が韓国政府の判断とは異なることはあり得ることだと指摘する。「日本に置き換えれば分かることだ」 ただ、残念ながらこういった理性的な声が主流になることは今の韓国ではほとんどない。
読み違いする日本外交
一枚岩でないながら、韓国の中で「反日」の世代交代は確実に進んでいる、新たな「反日」世論の台頭によって、韓国の対日世論は異次元のものに変わろうとしている。
だが日本の対韓外交はそうした変化を見過ごし、旧態依然とした対応に終始しているようだ。
それが反日世論の高まりを放任する結果を招いている。日本政府はいずれ韓国側か折れてくる、と思っているのかもしれない。しかし、神戸大学の木村によれば、それはフアンタジーでしかない。現実に、いつまで待っても韓国が折れることなどなく、最後の日韓首脳会談から間もなく1年半近くが過ぎようとしている。
韓国の政財界の中核を形成する「急進派」たちは、日韓関係と反日運動を次のステージヘと動かし始めている。その動きを読み間違えれば、韓国の反日世論はいよいよ危険水域へと突入しかねない。



同じ5月に行われた元プロ野球選手の長嶋茂雄と松井秀喜への国民栄誉賞授与式での安倍の姿も、韓国にとっては刺激的過ぎたらしい。韓国メディアは安倍のユニホームにあしらわれた背番号「96」に反応。「96」は安倍が改正を目指す憲法96条を意味し、平和憲法改正を示唆している、と騒ぎ立てた。背番号は単に安倍が96代目の首相であなことにちなんだだけだった。日本から見れば、韓国で報じられる「日本脅威論」はあまりに想像力豊かで理解に苦しむ。




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