2013年 10月 7日 09:26 JS
[ワシントン 6日 ロイター] - 米共和党のベイナー下院議長は6日、オバマ大統領が財政協議で条件交渉に応じなければ、債務上限を引き上げないと明言した。米放送局ABCの番組「This Week」の中で述べた。
下院議長は「この国の信用は、政権が席に着いて交渉を持つことを拒否しているため危機にさらされている」と指摘。何らかの条件が付与されない限り、債務上限を引き上げる法案を通過させるのに十分な票は下院にないと付け加えた。
オバマ大統領が10月17日の債務上限引き上げ期限前に条件交渉に応じなければ米国はデフォルト(債務不履行)に向かうことを意味するのかとの問いに対し、下院議長は「それはわれわれがたどっている道だ」と述べた。
ベイナー下院議長は、たとえ民主党に頼ってでもデフォルト回避に向けて努力すると共和党内で語っていると報じられていたが、態度を硬化させたもようだ。
既に1週間近くに及んでいる政府機関の一部閉鎖問題は、共和、民主両党が非難合戦を繰り広げており、終わりが見えていない。
下院議長は「私は米国のデフォルトを望んでいない」と指摘。「しかし、債務を増やしている問題の解決について真剣な話し合いをすることなく債務上限を引き上げることはない。そんなことをすれば私は無責任だということになる」と述べた。
<財務長官「議会は行動起こす必要」>
一方、ルー財務長官はFOXニュースに対し、「考えられないこと」が起きれば、深刻な結果を招くと警告。「そうした危険を冒すことは無責任かつ無謀であり、議会は行動を起こす必要がある」と述べた。
財務長官はCNNに対し、「17日にわれわれの借り入れ能力は尽きる。議会は火遊びをしている」と語った。
また、オバマ政権には独自に債務上限を引き上げる権限があるとする一部民主党議員の主張について、法的にこうした権限を持たないとする政権の立場を財務長官は説明。「何らかの魔法のような解決策があるだろうとの期待があるが、容易な解決法がある。それは、政府機関閉鎖を解除する法案が採決にかけられれば議会の過半は正しい判断を下すだろうし、債務上限を引き上げる法案が採決にかけられれば議会の大半は正しい判断を下すだろう、ということだ」と述べた。
これじゃ・・・北トンスル共和国が得意の瀬戸際外交じゃあないか・・・
ベイナー議長はこの瀬戸際外交テクニックどこで覚えてきたのか・・・そう、へタレのオバマには効くだろう。
まさに、デフォルト=ICBMだ。
オバマ大統領は予算の詳細や医療保険改革法の強化に関してならば交渉するが、「米国の民主主義において、政策を引き出す方法としてデフォルトリスクを利用するような党派との交渉は認めない」と述べた。オバマも交渉のテーブルに着く気もない・・・六か国協議か!
だめだこりゃ!

オバマのスピーチは確かに上手だ。だが、上のフラッシュのようなことをしてはだめだ。米国は厚かましくて狡猾な国なのだが、世界経済に対して責任を背負っているのだ。米国が持つ本音と建て前、悪く言うと二枚舌ダブルスタンダードなのはわかってはいるが、シリア問題での醜態につづきこの醜態、オバマは任期を3年を残し早くもレームダック化しつつある。
17日には、連邦債務が上限に達してしまうため、デフォルト(債務不履行)の危機は切迫している。ロイターの予想では10月30日にデフォルトになってしまう予定だ。
北トンスル共和国は国民が数万人餓死しようが、周辺国が迷惑しようが関係なく核と長距離弾道ミサイル開発に邁進している。少なくとも世界経済に責任を負う米国は北トンスル共和国と同じことをしてはいけない。
アメリカの下院議員435人中、191人が鉄板の地盤を持つ共和党議員である。彼らにとって怖いものは、党内のティーパーティ議員であって民主党ではないらしい。どうやったら彼らに妥協を求めることができるのか。状況はかなり深刻です。
へタレのオバマが交渉テーブルに乗るか否かが問題だと思います。
[ワシントン 8日 ロイター] - 米債務上限引き上げ期限が来週17日に迫る中、オバマ米大統領は8日、政府機関を再開し無条件で債務上限を引き上げた場合に限り、財政問題について交渉する用意があると述べ、共和党への圧力を強めた。
大統領は会見で「共和党の強硬派」からの脅しを受けながら事態打開に向けた話し合いを行うつもりはないと言明。「分別のある共和党議員が協議を望むなら応じる用意がある」としながらも、「共和党強硬派がベイナー議長に米経済についての脅迫を強制するのをやめるまでは応じない。民主主義において脅迫を繰り返してはならない」と訴えた。
一方、共和党のベイナー下院議長は党の会合後、検討対象あるいは対象外とあらかじめ決めている選択肢はないとの考えを示し、「譲れない一線」はないと発言。予算案成立の条件として要求していた医療保険改革法(オバマケア)の延期には言及せず、柔軟な姿勢を示唆した。
共和党議員は会合後、債務上限を引き上げる代わりに、オバマ大統領に歳出削減を迫る方針を堅持すると述べたが、一部議員は早期に財政問題について協議することを条件に、デフォルト回避に向け短期の上限引き上げ法案を可決する可能性があることを示唆した。
共和党のトム・コール下院議員(オクラハマ州)は「交渉を行うとともに枠組みが整えば、債務上限を引き上げる方策についておそらく合意できる。だが、交渉しないのであれば上限の引き上げはない」と語った。
民主党のリード上院院内総務は、8日中に付帯条件を伴わない債務上限引き上げ法案を提出することを明らかにした。
法案には、民主、共和党どちらの政策要求も盛り込まれていないとしている。
ある民主党議員の側近はこれに先立ち、上院民主党は2014年の資金需要を十分手当てできる水準に債務上限を引き上げる法案を週内に提出する計画で、共和党が求めている財政赤字削減措置は盛り込まれない見通しであることを明らかにしていた。また共和党議員6人の支持を得て、審議打ち切り動議の可決に必要な60票をおそらく確保できる見込みだと述べていた。
一方、下院共和党幹部は同日、債務上限引き上げに関する提言を行い、財政赤字削減策を検討する超党派委員会の設置を提案した。
共和党が過半数を握る下院と民主党主導の上院が10人ずつメンバーを指名し、計20人で構成する。
設置案によると、委員会は政府機関の閉鎖終結に向け、2014年度予算の手当てについても提言を行う。
だが、米議会は2011年にも超党派による特別委員会を設置して歳出削減の方策をめぐり協議したが合意に至らず、機能しなかった経緯がある。
オバマ大統領も「問題解決に新たな委員会が必要かどうかわからない」として否定的な見方を示した。
ホワイトハウスはその後、下院が超党派による特別委員会設置に関する法案を可決しても、大統領は拒否権を発動すると表明した。予算案の成立と債務上限引き上げという差し迫った問題を「何も解決しない」としている。
政府機関の一部閉鎖から8日たったこの日の市場では、与野党が合意できるかどうかについてなお懐疑的な見方が根強く、警戒感が高まっている。
株式投資家の不安心理の度合いを示すシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー・インデックス(VIX指数)は6月下旬以来の水準に上昇。米株は大幅続落した。
またデフォルト懸念を反映し、同日実施の4週間物財務省短期証券(Tビル、11月7日償還)入札では、最高落札利回りが2008年10月以来およそ5年ぶりの水準となる0.350%に上昇。応札倍率は2.75倍と、2009年3月以来の水準に低下した。
2013年 10月 4日 19:16 JS
田巻 一彦
4月4日に異次元緩和を打ち出して以来、消費者物価(除く生鮮、コアCPI)は順調に上昇し、経済環境は全般に好転して、黒田日銀の歩みは「順風満帆」と言えるだろう。ただ、米財政協議の難航を起点にした米国債の債務不履行(デフォルト)リスクなど海外要因が死角になる可能性がある。
もし、異変が起きた場合には、黒田総裁の国際金融における経験と俊敏な判断力が生かされる展開になると予想する。
<黒田緩和の半年、自己採点は100点満点か>
黒田総裁の目から見れば、この半年の日銀のパフォーマンスは100点満点に近いのではないかと予想する。きょう4日の会見でも、株価の上昇や長期金利の低位安定、予想物価上昇率の上昇による実質金利の低下を推進力に「民需を刺激していると思う」と指摘。「量的質的金融緩和はその効果を着実に発揮している」と述べた。
また、さらに最大の目標である2年で物価を2%上げるという点でも、8月のコアCPIが前年比0.8%上昇まで上がってきていることに触れながら「今後、さらに上昇していく見ている」と断言。「2%の物価安定目標の達成に向けて想定される道筋を着実に進んでいると思っている」と、目標達成に自信を示した。
さらに懸案のポートフォリオリバランスについても、大手銀が海外の貸し出しを伸ばすなどリスク資産を増やしていると評価し、地銀を含めた金融機関全体についても「徐々に進んでいっているし、今後も進んでいくだろうと思っている」と前向きの評価を下した。
こうした黒田総裁の自信にあふれた会見での自己評価をみていると、半年前に比べ「黒田緩和」の目標達成への可能性が高まっているように見える。
<立ちはだかる米財政リスク>
ただ、順調に言っている時ほど、視野から欠落したリスクに足をすくわれる可能性に注意するべきではないか。「好事魔多し」という表現が、すたれることなく残っているのは、そうした理由があるからだと考える。
黒田総裁にとって、隠れた大きなリスクはやはり米財政問題を起点にしたドルと米国債のリスクだと考える。米議会における財政協議が難航し、米政府機関の閉鎖は4日目に入った。このまま2-3週間と閉鎖が長期化すれば、米国の国内総生産(GDP)を0.3─0.5%下押しするとの試算も出ている。
黒田総裁も「こういう状況が長引くと、かなり深刻な影響が米国経済、ひいては世界経済に及ぶ恐れがある」と指摘した。
<危機回避に注目されるハスタート・ルールの非適用問題>
マーケットは米政府機関の閉鎖長期化だけでなく、その先に待ち受ける米国債デフォルト・リスクにも神経質になってきた。
市場関係者が心配しているだけでなく、米国債発行の責任者である米財務省が、デフォルトした場合には「2007年─09年よりも深刻なリセッションに陥る恐れがある」と警告。「信用は市場はまひし、ドルは急落、米国の金利は急上昇しかねない」と分析した。
オバマ大統領と与党・民主党は、いわゆるオバマケアの予算執行を1年延期すべきという野党・共和党の主張に妥協しないと明言しており、今のところ決着の見通しは立っていない。
米政界に詳しい識者などの話を総合すると、1)米下院共和党のベイナー議長が、共和党議員に党議拘束を求める「ハスタート・ルール」の適用をやめれば、下院で民主党案が可決される、2)オバマ大統領が憲法修正14条を根拠に大統領の権限で債務上限を引き上げる──などの道があるという。
このため米市場関係者の中では、最終的に米国債のデフォルトは回避されるという楽観論が今でも支配的なようだ。
<懸念されるテールリスクの現実化、リーマン危機と酷似>
だが、私には5年前のリーマンブラザーズ破綻のケースが目の前に浮かんでくる。あの当時も、リーマンを破綻させる際のリスクと回避で得られる利益を考えれば、破綻の選択はありえない、という見方が事前には圧倒的に多かった。
しかし、現実は全くの別の展開をたどった。今回も上記に示したようなデフォルト回避の道は、いくつも残されているが、土壇場における米政界の大立者の判断次第では、「まさかのデフォルト」も可能性がゼロではない、と思われる。
黒田総裁は、この日の会見で、最悪の事態に陥った際の日銀の対応について「一般論としては、中央銀行はどこでもどんなことにも対応できるような能力がある」と述べた。
「万が一」の事態が発生した場合は、7カ国財務相・中銀総裁(G7)による緊急の対応を含め、あらゆる措置が実行され、中銀は日銀を含め、流動性の供給に万全を期すことになるだろう。その際には、黒田総裁の国際金融における長い経験が発揮されるに違いない。
米債務の上限が来る今月17日を前に、米議会での妥協がないまま時間だけが経過していく事態になった場合、ある時点でいきなり市場の緊張感が急上昇し、株式、債券、外為の各市場が大変動に直面することも予想される。
現在は、テールリスクに過ぎないものの、世界経済は「カチカチ」となる時限爆弾を抱えながら、不安な時を過ごすことになる。
熊野英生 第一生命経済研究所
毎年、ドル円は5月連休後から円高になり、それが秋まで続いた後に、冬から円安に転じ、春先までその基調が持続する。リーマンショック後の2009年以降、この季節的な為替変動のパターンが多かれ少なかれ成立している。為替のアノマリー(理論では説明できない規則的変動)である。
私たちは、12年11月以降のアベノミクス始動によって、あまりに華々しい円安転換を遂げたために、為替の季節的変動のことを一時的に忘れてしまっていた。
しかし、冷静になって、12年後半から13年10月までのドル円の推移を描いてみると、きちんと12年秋が円高の最終局面になり、13年5月にその後の円安の流れが天井をつけて円高に揺り戻される動きになっている。
(略)
<ドルは「今が底」の可能性>
目下、債務上限問題は米政府の債務不履行(デフォルト)リスクを想起させて、潜在的なドル安要因になっている。シリア問題、米連邦準備理事会(FRB)次期議長選出、政府機関の一部閉鎖など、このところオバマ大統領の采配が次々に裏目に出て、「強いアメリカ」像は見る影もない。
米政府の債務上限は今後、どこかに落とし所を見つけなくてはならない。今月17日の期日が目処になる。歳出抑制、短期国債の借り換えでどうにかしのいでも今月末までに対処しなくてはならない。デフォルトが起これば、想定外のドル安になるだろう。
債務上限問題と政府機関の一部閉鎖はすでに景気情勢を混乱させており、今後の経済指標のかく乱要因となろう。そうすると、12月に量的緩和第3弾(QE3)縮小に着手することも極めて困難になる。来年になって次期FRB議長に替わって、いきなりQE3縮小へ着手するのも不安が残る。当面は、ドル安圧力が強まる展開であろう。
ただし、為替のアノマリーを前提にすると、10月以降のどこかで円高・ドル安の流れが反転するチャンスが訪れる可能性もあり得るのではないか。実は「今が底」という理解だ。
米景気指標は雇用統計こそ奮わないものの、ISM製造業指数は好調に拡大している。過去10年のデータを振り返ると、米株価(ナスダック指数)の前年比伸び率とISM製造業指数の伸び率は連動するかたちになっている。
米ファンダメンタルズがしっかりしていることは、株価上昇を促し、ドル高・株価上昇の基調的な流れをつくることになる。堅調な景気情勢を前提に考えると、米債務上限問題による不透明感が解消されれば、円安・ドル高への転換もあり得る。
一方で、日本側の状況を振り返ると、年末・年度末にかけては消費者物価指数が前年比1%台半ばまでプラス幅を拡大していることが予想される。13年8月の消費者物価(除く生鮮食品)は前年比0.8%まで上昇している。これは円安要因である。
日本の景気も消費税増税の駆け込み需要などの後押しもあって、楽観的な見方が台頭しやすいのが13年度下期のタイミングである。やはり、今秋以降のどこかで、ドル円が円安方向に反転していくきっかけを得て、14年5月辺りまでは円安傾向が進むことが期待される。
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