小泉純一郎ら、にわか脱原発論者によって、2月10日東京都知事選の結果、脱原発運動の火は消されるだろう。

18000名の死者行方不明者をだした3.11からまもなく3年が経つ。地震と津波が原因で起きた福島第一原子力発電所の放射能漏れ事故では、今も約5万人の福島県民が県外で避難生活を送る。

原発事故は起きたが、直接放射能障害での死者はゼロ、未だ汚染水問題は解決していないが、昨年9月にまとめられた国の対策案では国が前面に出て、必要な対策を実行し、予防的かつ重層的に、抜本的な対策を講じはじめた。 だが、脱原発派が垂れ流す風評被害は収まらず、福島は未だ復興途上にある。

2月10日東京都知事選挙である。昨年、フィンランドの核廃棄物最終処分場の視察をきっかけに元総理大臣小泉純一郎は「原発ゼロ」を10月の記者クラブで会見し、マスメディア、そして自民党に一撃を加えることに成功した。


そしてまるで待っていたかのように猪瀬知事が政治資金問題で辞職すると、隠居老人細川護煕元首相を都知事候補を推した。だが、小泉の真の目的は安倍政権へのいやがらせであって、脱原発は郵政民営化とおなじく、小泉の政局のおもちゃにすぎない。細川の出馬は「小泉が細川という刺客を放った」という認識が一般的だろう。

脱原発を都知事選挙の争点としてしまったが、残念ながら「原発ゼロ」というイシューは他の都政に関わる問題となんらリンクしていない。都民として関心のあるのは、やはりオリンピックとか、待機児童ゼロとか、福祉とか、教育とかになる。それが国のエネルギー政策の根本的問題である原発問題とどう繋がるのか???。だから、脱原発を争点として持って行くにはかなり無理がある。

小沢一郎、嘉田由紀子、菅直人……。東日本大震災と福島第一原発事故以後、さまざまな選挙で「反原発を掲げた政治家」たちが脱原発を唱えて選挙を戦った。だが彼らに風は吹かなかった。脱原発ブームに便乗しただけだと有権者に見透かされた。2012年衆院選の福島選挙区で原発推進の自民党が5選挙区のうち4選挙区で圧勝した。今回も2月10日、無党派層は動かず、投票率は上がらず、結果として脱原発候補である細川と宇都宮が落選し、人間的に問題がある舛添が楽勝するという「何事もなかった都知事選」が繰り広げられることになる。

都知事選の結果、脱/反原発運動は民意によって否定されるという結果となる。皮肉なもので、都知事選で脱原発候補の細川、宇都宮候補が落選することで、むしろ原発再稼働をしやすい環境が整う結果となる。脱/反原発運動をしている愚か者たちにとっては、なんとも皮肉にもブームとしての脱原発運動は終焉となる可能性が非常に高い。脱原発運動はより過激な反原発運動として一部の過激派くずれのライフワークになりさがるであろう。

この3年間わたしは反/脱原発派を批判しつづけた。私のブログには「反原発の空気」に揺り動かされた方々が私に挑んできたが、ことごとく感情論で議論がかみ合うことは無かった。

日本では原発について冷静で建設的な議論を十分にできる土壌が無い。感情論による反原発運動は、必然的に運動の「セクト化」に陥り、反/脱原発のセクト同士互いを罵る悪循環に陥っている。党派対立やセクト化から国民的運動が分裂するのは、学生運動や今回の脱原発運動が初めてではない。

2012年夏に国会周辺で行われた大飯原発の再稼働反対デモには、一時15万人が集まった。反/脱原発運動が何万人をデモに参加しようと、あくまでもコップの中の嵐にすぎないその後、毎週行われる国会周辺デモの参加者は時間とともに減り続け、反/脱原発運動は一種の麻疹(はしか)であったかのように低調になっている。

運動が低調になると反原発主義の狂信者は反原発運動にのめり込み「純化」し、「先鋭化」する。先鋭化すればするほど、脱原発で十分な一般市民との距離は広がり、裾野も狭まる。純化と同時に、「セクト化」も進んでいる。都知事選で反/脱発派が候補を一本化できなかったのが何よりの証拠だ。

例えば、反/脱原発運動でも「緩やかな脱原発を行い再生可能エネルギーに緩やかに転換すべし」と主張する脱原発セクトに対し、即時撤廃を主張する反原発セクトは「隠れ推進派」のレッテルを貼って攻撃する。反原発バカ山本太郎は「脱原発だけどTPP(環太平洋経済連携協定)賛成というのは嘘つき」と言い、反原発運動を煽動する京都大学の原子炉実験所小出助教授「原発はTPP、戦争、沖縄間題すべてにつながっている」と主張。即時廃炉以外はすべて原発推進派だ、と主張する。

だが、反原発派の急先鋒であるはずの小出は「疫学調査を経ないまま、『福島でこんな障害が』とすべて被曝に結び付けるでたらめも多い」と福島第一原発事故以降、非科学的で差別的な言論がネットに満ちあふれたと、自分より急進的反原発セクトを攻撃する。

これはで全共闘運動や連合赤軍と同じく最後は内ゲバ化するだろう。かつて反原発運動の中心世代である団塊老人たちが若かりし頃、革命を夢見ながら、セクト化し内部分裂と暴力で崩壊していった、かつての全共闘/連合赤軍/新左翼運動と同じである。馬鹿は死ななきゃ治らない(爆)。

また、主婦層の脱原発主義者たちは所詮女性特有の危機防御本能に従っただけだ。危険が起こった時にはまず自分と子供を守る、猿から人間になってもこの本能が発動するは当然なのであまり批判したくはないが、冷静な私からすればややもすると滑稽にしか見えない。この母性による本能があったおかげで人類は生き残ってこれたのだが、国家の命運を左右するエネルギー問題を感情で反対する人達とは成熟した議論をできるわけがない。

小出助教授あたりは、雑誌記事で小出助教授は「反原発運動は戦争状態が続いている」と発言している。なんでも原発の即時廃絶を求める自分に対して政府や財界、メディアが一体となった「原子炉マフィア」が小出助教授を包囲網を張っていると言うのである。小出助教授らが行っている反原発運動は一種の宗教運動に近い。この宗教活動はごく普通の常識を備えた日本人一人一人の集合的無意識とかなりかけ離れている。その為反原発運動をしている人達には四方八方から、誰かが指示されているかのごとく絶えず嫌がらせを受けてしまう。大多数の日本人は日本教徒であり異教徒を嫌うのである。小出助教授はあきらかに反原発教という異教徒であるがゆえ、周囲と軋轢を生む、これがあたかもありもしない「原子炉マフィア」という怪物が存在し、日本人の言論を統制していると妄想してしまうのである。「原子炉マフィア」とか「原子炉村」は小出助教授ら反原発派の妄想の産物である。

わたしも東電や政府からお金を貰っているからこういった意見を書いているのではない。私に備わった、日本人としての無意識(心)が反/脱原発派に違和感を感じるが故、こういった意見を述べさせていただいているのである。でも、もし、「原子炉マフィア」が存在していて私にお金をくれるのなら喜んで貰います!・・・原子炉マフィアの皆さん宜しくお願いします(笑)。

最後に小泉が訪問して原発に対する考え方を改めたフィンランドオンカロ廃棄物地下処理施設について東京都の有権者の方々に読んでほしいことがある。
小泉と反/脱原発派のオンカロについての勘違いについて書いておきたい。

フィンランド南西部のオンカロは18億年前から変動していないとされる地下500mの地盤に建設された核廃棄物地下処理施設だ。

「放射性廃棄物の無害化には10万~25万年かかるとされ、その頃には恐らく人類は死滅している。だから原発計両はそもそも破綻している」「日本にはオンカロのような地盤の土地は無い」だから脱原発だと小泉は言う。さらに、「原発ゼロという方針を政治が出せば、必ず知恵ある人がいい案を作ってくれる」と、小泉は昨年発言している。なんという似非脱原発主義者であろうか!

「オンカロ」を建設したフィンランドの国民は反/脱原発ではない。ロシアから地政学的干渉を受けてきたフィンランドは、ロシアからの電力輸入をゼロにしたい。さらに国民は原発より地球温暖化のほうが環境にとって脅威だと考えている。その結果、原発と自然エネルギーの両方を同時に増やす、というのエネルギー政策を国民全体が議論を重ねた上で選択したのである。フィンランドのオンカロは脱原発ではなく、地球環境を考えた上での原発推進の象徴なのである。

福島第一原発事故は、地震国である日本に原発を立地するリスクを再確認させた。「100%の絶対的安令」は存在しない。もちろん、「100%の絶対的危険」もあり得ない。日本はより安全な原発を作り運営し、世界に安全な原発を広めるべきである。