政府専用機の後継機種がボーイング777に内定、日本の政府専用機とは?【ThePAGE】2014.06.29 13:00
老朽化により2019年に置き換えが予定されている政府専用機の後継機種が、ボーイング社のボーイング777型機に内定したと報道されています。内閣官房の政府専用機検討委員会が8月末までに機体と整備委託の発注先を正式決定する見通しです。イラン・イラク戦争の際取り残されたイランの日本人救出にトルコ政府が救援機をだしてくれなければ助けることができなかった教訓から、政府専用機は必要だと思う。
政府専用機は現在ボーイング747型機が使われており、今回の機体提供にはアメリカのボーイング社の他、昨年10月にJALが新型旅客機の大量導入を決めたフランスのエアバス社も加わると見られていましたが、最終的にはボーイング社の1社のみが提案を提出したとされています。皇族や首相の海外訪問などに使われる政府専用機の概要を見てみましょう。
日本の政府専用機とは?
一般的に政府専用機と呼ばれている機体は正式名称を「特別輸送機」といい、北海道の新千歳空港に隣接する航空自衛隊の千歳基地に2機が配備されています。現在の機体は「ジャンボジェット」ことボーイング747-400型機で、当時問題となっていた日米間の貿易摩擦という背景の元で1987年に導入が閣議決定され、1991年に受領しています。
主な任務は皇族や内閣総理大臣といった国家の要人を輸送する任務のほか、国外で有事があった際などの在外邦人の緊急輸送や自衛隊の海外派遣時における自衛官の輸送任務も担っています。
運航は「特別航空輸送隊 第701飛行隊」が行っており、パイロットや整備員、運行管理要員の他に「空中輸送要員」と呼ばれるキャビンアテンダントにあたる役割の自衛官が所属しています。この「空中輸送要員」養成の一部課程はJALのキャビンアテンダント研修施設にて行われています。
また、パイロットの免許取得もかつてはJALで行っていたものの、2011年に同社再建の一環でボーイング747型機が全機退役したため、現在は日本貨物航空で行われています。
特別輸送機の定員は約150人で、機内は貴賓室や会議室、記者会見席といった要人向けの設備が揃っている他、一般エアラインのプレミアムエコノミー相当の一般客席も用意されています。
特別輸送機は2機保有しているものの、トラブルに備えて任務運航の際は必ず2機で運行されているため、原則として別な任務運航を同時遂行することは出来ません。
そのため、皇室や政府のスケジュールが重なった際は、事実上の国家元首とされている天皇陛下の御召運航を最優先とした上で、政府は国内エアラインにチャーター機の運航を依頼する場合があります。
また、距離や目的地の条件によってはビジネスジェット相当の機体を持つ航空自衛隊所属のU-4型多用途輸送機や陸上自衛隊に配備されているEC225LP型要人輸送ヘリコプターも使われる場合があります。
ボーイング777型機は1995年に登場した双発エンジンのワイドボディ旅客機で、現在のボーイング社における大型旅客機の主力となっています。国内エアラインにおいてはJALとANAが導入しており、ジャンボジェットに代わる燃費効率の優れた大型機として国内外の路線で運行されています。
また、ボーイング777型機は製造段階においても日本企業との繋がりが強く、主要な部品の約21%が三菱重工や川崎重工ら日本企業5社によって製造されており、日本の航空産業にとっても重要な影響を持つ機体となっています。
日本政府は政府専用機の提案にあたって、以下の3つの要件を提示しています。
(1)アメリカ東海岸への直航が可能なこと。
(2)天皇陛下や内閣総理大臣の輸送に必要な装備(貴賓室、執務室、秘匿通信機器等)と随行員、乗務員等の座席を確保できるスペースを有すること。
(3)将来にわたって、国内で民間航空会社等による整備体制が確保される見通しがあること。
今回ボーイング社が提案した777-300ER型機は、73.9mに及ぶ大型の胴体に長距離運航のためのエンジンを搭載しています。同等のボディーを持つ国内線仕様の777-300型機の座席数はジャンボジェットに匹敵する約500席となっており、(2)のスペース条件をクリアしています。
また、国内エアラインでの運航実績としては2014年4月の段階でJALが13機、ANAが19機保有しており、ともに欧米方面などの長距離国際線で運航しているため、(1)の航続距離条件にも当てはまります。
焦点になっていたのが(3)で、同時に募集されている機体整備委託の受注希望を出しているJAL、ANAともに将来の機材導入計画が現状で大きく異なっている点が注目されていました。
ANAは2014年3月に今後もボーイング777型機を中心に大型機を揃えることを発表し、6機の777-300ER型機を発注した他、2020年に引き渡しが開始される予定のボーイング777-9X型機も20機発注したことを明らかにしています。
一方、JALは2013年10月にエアバス社のA350型機を発注し、2019年より6年を目安にボーイング777型機を更新する計画を発表しており、この機体が対抗馬になるものと見られていました。
エアバス社も当初は政府専用機の選定には関心を示しており、2月に政府が行った機体提案を希望する企業を対象にした事前説明会に参加するなど、具体的な動きも見られました。
しかし、政府側としては日米同盟や過去の運用実績、国内航空産業への影響という背景からもボーイング社を選定したいという意向があったと見られ、全体的にエアバス社は不利な競争条件に立たされていたと考えられています。
また、報道によると委託整備の受注を希望するJAL、ANA両者ともにボーイング777型機を推薦したとされており、その結果エアバスは辞退したと見られています。エアライン側としては、エアバスA350自体がまだ開発段階で引き渡しが始まっておらず、開発スケジュールの遅延や導入初期トラブル発生のリスクを回避したとも考えられます。
しかし、政府専用機には膨大な経費が掛かる。民間フェリーを自衛隊特別目的会社を設立して借り上げたのと同じくPFI方式(Private Finance Initiative:プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)にしたほうが良いのではないか?民間の資金、経営能力、技術的能力を活用することにより、国や地方公共団体等が直接実施するよりも効率的かつ効果的に公共サービスを提供できる事業について、既に多くのPFI方式の案件が実施されています。そうすれば効率的な運用も可能だと思う。検討の価値はあるのではないかと思う。



PFI方式であれば可能だと思う。
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