コラム:アベノミクスに立ちはだかる2つの「障壁」 【ロイター】2014年 08月 6日 12:16
James Saft
[5日 ロイター] - 日本の企業と消費者は一様に、アベノミクスの推進に向けて与えられた役割を演じるのを拒んでいるようだ。日本がデフレと景気低迷から脱却するチャンスは失われつつある。
円相場の下落にもかかわらず輸出が減少し、消費者物価上昇の勢いが再び弱まるなか、7─8日に金融政策決定会合を開く日本銀行には圧力がかかることになる。
異次元金融緩和と財政刺激策、長期的な構造改革を柱とするアベノミクスはここまで、物価上昇と経済成長の面で一定の成果を収めてきた。しかし、物価上昇に所得の伸びが追いついていない家計は、当初の期待通りには支出を増やしていない。先週発表された6月の小売業販売額(全店ベース)は前年比でマイナスと期待外れになった。
消費が伸びていない要因の大部分は、4月に実施された5%から8%への消費税率引き上げにある。消費増税はより切迫した公的債務問題に対応するためのものだが、失われた10年を経験した日本の消費者が身をすくめてしまうのは無理からぬことだ。
むしろ驚きなのは、そして少し皮肉的でさえあるのは、欧米企業と違って株主価値を最大化させていないと長く批判を受けてきた日本企業が、今度は株主価値を優先することでアベノミクスを頓挫させるような振る舞いを見せていることだ。
アベノミクスを支えてきたのは、為替相場を円安方向に導く日銀の断固たる姿勢だった。円の対ドル相場JPY=は、異次元緩和策の発表前からは約25%安い水準にある。その狙いは、日本企業が世界市場での新たな競争力(円安)を使って生産を拡大させる好循環を生み出すことだった。企業の雇用と新規設備投資が増加することで、日銀が意図的につくり出した物価上昇はうまく吸収され、本物の成長局面につながることが期待された。
しかし、そこにはまだ至っていない。
先に発表された6月貿易収支では、輸出が前年比2.0%減と2カ月連続のマイナスとなった。問題を難しくしているのは、原発稼働停止による燃料輸入の増加などで、輸入は同8.4%増とプラスに転じたことだ。その結果、6月としては過去最大の貿易赤字となり、2014年上半期の貿易赤字は前年同期比で57%増えた。
<規模拡大より利益優先>
これらはすべて、日本の企業文化の変化を示唆しているのかもしれない。人口減少と円高への備えとして生産拠点の海外移転を進めてきた日本企業の多くは、円安を単に思わぬ追い風ととらえている節がある。企業は国内での投資を拡大して攻めに転じるよりも、円安を当たり前のこととは考えず、現在の相場環境が続く間は高い利益率を享受しようとしている。
1970年代や80年代の楽観的な日本の経営者たちなら、円安を利益拡大のためだけでなく、自社の規模拡大にも使ったはずだ。
しかし、20年に及ぶデフレと少子化傾向にくわえ、株主重視文化の輸入もあいまって、今の日本企業は、むしろ欧米企業に近い行動を取るようになっている。つまり、円安による利益は規模拡大のために使うのではなく、ため込む方向にある。
長期的な視点に立てば、そうした行動は資本の配分の最適化を意味するのかもしれない。しかし、短期的には、アベノミクスに不健全な現実を突きつけることになる。
もう1つ確かなのは、企業経営者も消費者も、アベノミクスの第3の矢である構造改革をまだ実感していないことだ。構造改革はいずれは経済のパイ全体を拡大させるだろうが、一部は新たな競争にさらされることになり、それは労働者も感じることになるだろう。
多くの投資家がアベノミクスは脱線しつつあるかもしれないとの感覚を持っているのは、こうした理由からだ。ただ、その考え方も恐らくは早計だろう。
安倍晋三首相の支持率は最近大きく下がったが、首相も日銀も政策に全面的にコミットしており、特に日銀は、景気やマーケットの悪化には、これまでと同じような政策で対応すると考えられている。
7─8日の金融政策決定会合では、2015年中の「物価目標2%」達成に向けて多くの議論が交わされるだろう。少なくとも今回の会合の結果は、政策そのものの変更ではなく、文言の変化にとどまる公算がかなり大きい。ただ、各指標で経済の停滞傾向が示され続ければ、遠からず追加緩和策が打ち出される可能性はある。
そうなれば、金融市場は好ましい方向に動くだろう。しかし、今の企業の動きを考えると、そもそもアベノミクスは、もはや存在していない過去の日本を念頭につくられたのではないかという疑問は残る。
GPIF爆弾の衝撃、円安効果6円は絵空事か=植野大作氏 【ロイター】2014年 08月 15日 12:26 JST
植野大作 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 チーフ為替ストラテジスト
[東京 15日] - 近い将来に開陳されることになりそうな公的年金運用改革への期待が、外国為替市場関係者の間で、具体的なイメージを伴いつつ一段と高まっている。
きっかけは、昨今相次ぐ年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用比率見直しに関する報道だ。
今月7日、ロイターは複数の政府・与党関係者への取材を通じ、「GPIFの運用改革は、焦点となっている日本株への配分を20%超に増やすことを想定し、9月末にかけて調整を本格化させる見通しである」と報じた。
10日付の日本経済新聞によれば、5日に開かれたGPIFの運用委員会で、9月に新たな資産割合を決めるまでの暫定措置として、現在は「基本12%(かい離許容幅は上下6%)」と定められている国内株保有比率の上限の撤廃を決めていたことも明らかになっている。国内債券に偏重していた従来型の公的年金の運用スタイルは、デフレ脱却を国是に掲げる安倍政権のイニシアチブの下で前倒し気味に加速しているようだ。
安倍首相が今年1月のダボス会議で述べた「GPIFの運用をフォワードルッキングに見直す」との国際公約が、年金運用の「脱・デフレ仕様へのモデルチェンジ」という形でいよいよ具体的に動き出しそうな気配が濃厚だ。
<2011年の為替介入では4円近く円安に>
今後の焦点となるのは、各種投資資産への具体的な基本運用配分だ。これまでに伝えられた諸々の観測報道によれば、現在60%に設定されている国内債券の比率を40%程度まで引き下げることは概ね決まっているようである。
浮いた20%分の資金の振り向け先としては、1)現在12%に設定されている日本株への投資比率を20%超に引き上げるほか、2)外国債券への投資配分を現行の11%から16%程度に引き上げる、3)外国株式への投資比率を現在の12%から17%に引き上げる、4)インフラ投資やプライベートエクイティなどの代替資産に数%程度の新規投資枠を設ける、などの案が浮上しているようだ。
周知のように、GPIFは直近の運用資産総額が約126兆円に達している世界最大の年金基金である。機械的な単純計算によれば、「1%ポイントの運用資産配分の変更が1.2兆円を超える資金フローインパクトを各種アセットクラスに及ぼす」との印象を与えるため、現在報じられているような思い切った運用配分の見直しが「確定報道」の形で公表されれば、外国為替市場で「円安系の需給トーク」を刺激するのは、ほぼ確実である。
例えば上記のような形でGPIFの運用比率見直しが実施された場合、日本株への運用配分が引き上げられるだけでなく、外国債券、外国株式への運用配分もそれぞれ5%ポイント、合わせて1割程度増えることになるため、「GPIFの運用指針変更の結果として相当な金額が外貨資産の購入に向かう」との思惑が生まれることになる。
運用資産126兆円の1割なら12.6兆円にもなり、現在の日本の貿易収支赤字の1年分にも比肩できる金額になる。筆者も含めた外国為替市場関係者は、「他人の売り買いに関する噂話」を非常に好むという性質を持っており、マーケットの期待形成に影響を与えることはほぼ確実だ。
仮に上記の単純計算で「メカニカルに12.6兆円もの円売り・外貨買いが発生する」との期待が外国為替市場に流布した場合、おそらくは「ドル円相場の水準が6円以上動くかもしれない」との思惑が発生する可能性はあるだろう。
「まとまった規模の為替ノーヘッジ資金」が動く際にドル円相場が示す反応は、その時々の外為市場の地合いによってマチマチだろうが、例えば2011年10月31日の午前10時25分頃から財務省が8兆0722億円のドル買い・円売り介入を実施した際のドル円相場のプライスアクションをみると、1ドル=75.60円台から79.50円台へと、最大瞬間風速で約4円近くも吹き上がっている。
「8兆円で4円」の円安インパクトがあったという事実が目撃されていることを勘案すると、「12兆円の外貨買いなら6円の円安」といった程度の連想がシンプルなだけに共有されやすいだろう。結構な円安期待が発生する可能性がある。
<効果の半分はクロス円に分散か>
もちろん、GPIFの基本運用配分の変更によって実際に動く年金資金の量は、当該時点における保有資産の時価を反映して日々変化する「実際の運用資産比率」と「新たに決まった運用配分」との高低差によって決まるため、「基本ポートフォリオの変更幅×運用資産残高=新規に動く資金量」になるとは限らない。
仮に上記の試算で弾き出されたのとほぼ同額の資金移動が発生した場合でも、全てがドル円相場を直撃するわけではなく、恐らく半分ぐらいはクロス円相場に分散する形で染み出ていくとみられる。
また、「年金資産運用」と「為替市場介入」では外貨を購入する目的や方法が全く違うため、実際にGPIFの運用資金が動く場合のインパクトは、瞬間的には目に見えず、漢方薬のようにジワジワ出てくる可能性もある。その場合、GPIFマネーが動くことによって生じる為替相場へのインパクトは、ハッキリと目視できない可能性もある。
これらの諸点を考慮すると、「GPIFによる約1割の外貨資産運用配分引き上げで6円程度のドル円相場押し上げ要因」とのイメージは、相当割り引いて3円程度とみておくほうが無難、との考え方もあるだろう。
だが、上述の試算の根拠となった11年10月31日の10時25分頃に開始されたドル買い・円売り介入は、全てが「成り行き注文」でドル円相場の水準押し上げに投入されたのではなく、11時45分頃から15時00分頃まで、1ドル=79.20円付近に大量の「指値買い注文」を入れる形で下値サポートに回った分が相当あった。
相場にタラレバはあり得ないが、もしも当時のドル買い・円売り介入が、途中からドル円相場の下値サポートに回らずに、全部成り行き注文で水準押し上げに使われていたとしたら、ティックの吹き上がり幅は多分4円で済まなかったはずだ。もしもそうなら、「8兆円で4円」という円安インパクトの見積もりは、潜在的にはもう少し大きかった可能性がある。
また、もしもGPIFが今年の秋頃までに思い切った資産配分の見直しに着手した場合、今後GPIFとの統合が決まっている年金基金やその他の民間年金基金などの資産運用スタンスにも類似の影響が及び、「日本の年金マネー全体=200兆円超」を母体にして外貨資産に染み出ていく資金量が、時間差攻撃のような形で増える可能性もある。
為替市場に過去と同一の局面は存在しないので断定はできないが、これらの諸点を勘案すると、「GPIFによる約1割の外貨資産への運用配分引き上げで6円程度のドル円相場押し上げ要因」とのイメージは、あながち間違っておらず、もしかするとそれを凌駕するインパクトが及ぶ可能性もあるだろう。GPIF爆弾が炸裂した場合のドル円相場へのインパクトは、保守的にみて3円、積極的にみると6円超の円安期待を産むのではなかろうか。
いずれにしろ、GPIFによる運用資産配分の見直しは、そう遠くない将来、「注目のヘッドラインニュース」として報じられることになりそうだ。その際、新たに決定された運用比率見直し幅の大きさによっては、その瞬間のドル円相場、あるいはクロス円相場における「ティック仁王立ち要因」になる可能性がある。
本稿で述べたように、その後、実際に外国為替市場に持ち込まれる外貨買い・円売りの資金フローがもたらすプライスアクションへのインパクトを定量的に見積もるのは困難だが、当該資産配分の移行が完了すると推測されるまでの期間において、相応の円安期待を刺激することは間違いないだろう。
筆者の勝手な思惑だが、恐らく安倍首相が消費増税第2弾の是非を決断すると言われている今年11月下旬から12月上旬までの前にはGPIF運用スタイルのモデルチェンジの具体像が公表されるのではなかろうか。心静かに「その時」が訪れるのを待ちたいと考えている。
このところ米国株も日本株も売られているが、もう株価はピークをつけたのだろうか?と弱気に考えてしまっていいのであろうか?世界各国の景気の流れをみると株価は依然上昇の流れは止まっていないと思う。
日本の株式市場は安倍内閣の株に対する規制の緩和が大幅に進んで、将来の日本の株式市場が大々的に変化してい<のではないかと次の日本株の上昇を外国人投資家は期待している。
4月の新年度から海外の長期的資金は日本株を組み入れに動いており、6月と7月、2ヵ月連続で海外長期的ファンドは買い増している。
安倍政権は米国政府と同様、株価の値上がりで景気を拡大させることを狙っている。株式市場の規制解除が進めば、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)だけにとどまらず、企業年金や巨大なかんぽ生命も年末から来年初めには動きだすことになる。この額の合計は約30兆円強に達する。とにかく巨大である。
日本の企業は現状日本国内では設備投資を拡大させないが海外の安い労働や土地不動産の取得をめざして設備投資を拡大させ、収益を順調にのばしている。 26年4-6月期の収益も30%近い増益となっている。またGPIFやかんぽ生命は日本株を拡大させていくだけでな<、海外の株や外国債券(外債)を買うところも今回日本企業をめぐって強く感じられ、内外債券の分散投資に主点を移す企業も多い。
GPIF、かんぽ生命、企業年金の投資が解禁されれば日本の株式市場にとっていまだ経験したことのないことだけにどの様に日本の株式市場が変化する可能性はある。今まで、日本と海外(欧米の)株式市場よりは株価の上昇がおさえられていた。しかし、こうした公的な資産の買いが加われば上げ幅は多<、海外の平均株価より出遅れとなることは少なくなるであろう。
現状円は世界的に景気が低下気味にある中でマネーは米国と共にリスクオンの状態がかもしだされている。米国の金融は出口戦略に歩を進めている状況にあるが、日本は依然デフレ退治の状況下にあるため、金融緩和状態で景気の戻り幅は米国より高い。
ドイツフランスのユーロは現状デフレ経済にあり、これからデフレ退治となる。日本より一歩後ろである。世界で唯一のデフレ経済下にある。さらに最近、ユーロ経済には景気悪化に追い
うちをかける出来事が発生している。それが解決の見通しが立たないウクライナロシア問題である。ユーロ先進主要国がロシアの経済封鎖を実施すれば、ロシアもまた封鎖を強化するという「いたちごっこ」の様相を呈している。為替市場ではユーロ高に歯止めがかかり、対ドルでは9月ぶりの安値水準で、通貨安となれば輸入物価が上昇し、消費者物価は上昇しデフレの歯止めがかかる。
EU経済の一員になっている英国はユーロ圏設立時に財政と金融が分離した国家の設立には関与したないとユーロと一線を隔した。
一時は色々な批判があったが、この決断は英国にとって成功であった。ユーロが米国との信用危機にまき込まれて財政が破たんした状況を回避して英国は米国に次いで(今回の信用危機)2番目に経済を立ち直らせた。欧州の他国が信用危機に苦しむ中、景気を拡大させ現状では住宅バブルの状態に陥っている。
執筆中

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