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日銀の異次元金融緩和がバレンタインで、今回がハロウィーン緩和とはいやはや・・偶然にしては出来すぎだ。まさかそこまで考えてはいないだろう。
[東京 31日 ロイター] - 日銀が予想外の追加金融緩和を決定し、市場は再び驚きに包まれた。31日の市場では「バズーカ砲」と呼ばれた前回の量的・質的量的緩和に匹敵する株高・円安をもたらした。ただ、黒田東彦総裁がこれまでの「強気の看板」を下ろしたともいえ、市場や家計の期待に働きかける力を疑問視する見方も出てきた。米国を除いた世界経済が減速感を強める中で、サプライズの余韻がどこまで続くか注目される。

<「続編」の初日は盛況>
    
 映画などで「続編」が「オリジナル」を超える評価を得るのは容易ではないが、日銀が31日の決定会合で導入を決めた追加の金融緩和策は、初日のマーケット反応という点において「バズーカ砲」と呼ばれたオリジナルの緩和策に匹敵する効果を発揮した。

31日の東京市場で日経平均 は、米株高や年金積立金管理運用独立行政法人
(GPIF)の運用比率見直しに関する報道などでもともと200円高水準にあったが、追加緩和が決定されると一時、875円まで上昇幅を拡大させた。

量的・質的量的緩和の導入が決定された昨年4月4日、日経平均は200円安水準から272円高まで上昇、トータルの上げ幅は472円となったが、今回の上げ幅は675円で単純に比較すれば前回を上回る。                    
 ドル/円 は前回と同じ2円程度の円安をもたらしており、現時点に置いては「オリジナル」に匹敵する市場へのインパクトとなっている。
    
市場にサプライズ感が広がったのは、黒田東彦日銀総裁がこれまで強気な姿勢を崩してこなかったことで、今回の決定会合でも政策は現状維持になるとの見方が多かったためだ。だが、追加緩和のメニューの「ひと工夫」も好感されたようだ。
    
 ETF(上場信託投信)を年間約3兆円、J─REITを同約900億円とこれまでの3倍増のペースで買うとし、「2倍」がキーワードだった前回を上回る緩和度合いを演出。ETF買い入れにJPX日経400 を連動対象に加えるとしたことも、日本株買いの材料となっている。
    
 <実体経済への効果に疑問>
    
    ただ、株高・円安トレンドの持続性に関しては、市場でも疑問視する声が少なくない。現在のQQE(量的、質的金融緩和)が、物価や経済に与える効果は乏しいとの見方がマーケット参加者の間でも強くなっているためだ。
    
    実際、強烈な金融緩和策を1年半導入しても、物価はなかなか上昇していない。31日朝発表された9月全国消費者物価指数(生鮮食品を除く、コアCPI)から、消費税率引き上げによる押し上げ分2%を差し引くとプラス1.0%にとどまる。
    
SMBC日興証券・日本担当シニアエコノミストの宮前耕也氏は「今回、追加緩和を決めたことは、ある意味、日銀が物価に対する強気の看板を下ろしたともいえ、市場や消費者の期待に働きかけるという量的緩和の最大の効果が、薄れるおそれもある」と指摘。
今回の追加緩和によって、2年で2%という物価目標が達成されるかは疑問だとしている。
    
 また、1ドル110円を超えるような円安には、日本だけでなく米国からも不満の声も強くなっている。「バズーカ1」のときのような円安全面賛成の雰囲気とは異なる。円安だけでは輸出が伸びないことも明らかになった。物価上昇と消費税に圧迫され、実質所得は依然マイナスだ。
    
昨年は世界経済の回復も、株高・円安のリスクオンを後押しし、日銀緩和だけでなくアベノミクスの追い風となったが、足元の欧州や新興国の景気は減速。米国だけが堅調さを維持しているが、先行きには不透明感も強い。国際通貨基金(IMF)の予測では今年、来年ともに世界経済は中立水準の4%成長の達成は難しい。
    
<アベノミクスに不信感も>

さらに市場では、今回の追加緩和が、消費再増税や年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用方針変更に密接にからんでいるとの観測が多い。「GPIFの国債運用の減額を日銀が引き受け、次の増税を支援するという合わせ技だ」(JPモルガン証券 チーフエコノミストの菅野雅明氏)との観測が根強くささやかれている。
    
効果的な政策パッケージとして海外投資家が好感してくれれば、円安による輸入物価上昇や株高による資産効果が再び期待できる。しかし「消費再増税によって景気が腰折れするとみられてしまえば、海外勢は日本株を買わないだろう。デリバティブの巻き戻しや短期筋のショート巻き戻しが一巡すれば、頭打ちになってしまう」(中銀証券・本店営業部次長の中島肇氏)との懸念もある。

昨年4月4日の「バズーカ砲第1弾」は日経平均を1万2362円(4月3日)から
1万5942円(5月23日)に3580円押し上げ、ドル/円は93円から103円に
約10円円安が進行した。今回の「バズーカ2」がそれだけの効果を発揮できるかは、やはり海外投資家次第だろう。
    
海外投資家は昨年、現物株と先物を合わせて約15兆6500億円買い越した。その背景にはアベノミクスへの期待があった。しかし、金融緩和と財政政策で時間を稼いでいるうちに、成長戦略によって日本経済を成長軌道に乗せるというシナリオは、いまだ実現できていない。
    
シティグループ証券・チーフエコノミストの村嶋帰一氏は、今回の追加緩和は、量的緩和という政策効果への懐疑論が強まるという世界的潮流の中で決定されたと指摘。「景気や物価へのインパクトが限定的なものにとどまるとすれば、今回の決定の金融市場へのインパクトも意外に短命に終わる可能性が否定できなくなる」との見方を示している。

  (伊賀大記 編集:田巻一彦)
QE3終了翌日の日銀追加緩和、超ド級のセカンドインパクトではないか!
嬉しい驚きの反面、黒田マジック、これで年末まで株価は18500円まで駆け上がる可能性が高いが、果たしていつまで効果を保てるのか・・・・一抹の不安を感じる。

今回の黒田セカンドインパクトは巧妙に仕組まれた消費税増税対策なおではないか?10%への消費税引き上げに向けて政府・日銀サイドの強い意志が感じられる。

9月の内閣改造で谷垣氏を幹事長に据えた。この時点で財務省が望む消費増税シフトが敷かれていたのではないか?この時点で安倍総理は増税の方向に踏み込んだかもしれない。だが、消費税を上げても総合的な税収増にはつながらない。
円安による輸入物価上昇と消費税増税が行われれば庶民の財布は直撃を受けてしまう。間違いなく消費が冷え込んでGDPはさらに落ち込む。




国債市場でマイナス金利が付く中で、国債買い入れ額80兆円への増額を決定した、経済が完全雇用に近い中での追加緩和は、日銀が政府支出やGPIFのリスク資産購入資金をファイナンスするマネタイゼーション政策だ。追加財政の原資が税収の自然増だと言っても、本来、税収増が国債減額に充当されるはずだったことを考えると、結局、減額されなかった国債を日銀が購入しているという点でマネタイゼーションには変わりはない。消費税の増税とGPIFのリスク資産のウエート引上げ、2014年度補正予算の編成(3―4兆円)と明らかに連携している巧妙な政策だ。

こうした政策を追求しても、トレンド成長率の上昇は期待できない、だが、間違いなく円安進展とインフレ上昇は生じる。ゼロ成長の中で、消費税増税を行えばインフレ率ばかりが高まっていくことになりスタグフレーションに陥るリスクすら感じる。

本当のサプライズ、本当にデフレから脱却したいのであれば、金融緩和をしたうえでの消費税の延期なのだが・・・・難しいだろう・・・・
[東京 31日 ロイター] - 日銀が31日に決めた追加緩和に対し、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による国債運用減額や、政府の補正予算とセットで対応が考えられていたのではないか、との声が市場で浮上している。アベノミクス推進へ政府・日銀一体となった総力戦との見立てだ。ただ、日銀が財政を支援する姿が一段と鮮明だとして批判する見方もある。

<周到な計画との見方も>

日銀の追加緩和は、市場関係者の間ではサプライズと捉えられた。だが、海外投資家の一部では「GPIFの運用改革とセットで追加緩和が行われると事前にうわさされていた」(複数の外資系証券)との指摘が出ている。

BNPパリバ証券・チーフエコノミストの河野龍太郎氏は、GPIFが株式や外貨建て資産などリスク資産のウエートを引上げるのに合わせ、ウエートを引下げる国債を日銀が吸収すべく、マネタリーベース・ターゲットを引上げる話は、過去1年、海外投資家からさんざん聞かされていた、という。

同氏によれば「今回、日銀が決定した長期国債の増額は、GPIFの国債ウエイトの引き下げから算出される30兆円と合致する。偶然ではないのだろう」とみている。

黒田総裁は今回の追加緩和を「GPIFの投資政策と金融政策は直接関係ない」と記者会見で述べているが、「事前に計画されていたものだったようだ。日銀とGPIFの合わせ技により、増税より先に手を打ち、まさに総力戦だ」(JPモルガン証券・チーフエコノミストの菅野雅明氏)との見方も出ている。

<デフレ脱却に危機感>

総力戦の背景にある危機感は、どこにあるのか──。安倍晋三政権にとって、2回の消費増税を実施してもアベノミクスの最大の課題であるデフレ脱却を達成する必要がある。その意味で、足元の物価が原油価格の下落という要因が作用しているにせよ、上昇の勢いがストップしていることには、政府・日銀ともに危機感を感じていたのは明らかだ。

原油価格がこのままで推移すれば、来年春までは消費者物価(除く生鮮、コアCPI)が1%を割れて推移する可能性が高いとの見方が広がっていた。そうなれば、日銀の物価目標の達成も遅れ、人々の期待インフレ率にも水を差しかねない。

今回の追加緩和は「とにかくデフレ脱却を達成するために、足元で2%への物価目標が遠のいたというデフレマインドの再来を阻止することが最大の目的だったはず」(RBS証券・チーフエコノミスト・西岡純子氏)との声が多い。

追加緩和発表後に円安が進行、株価も上昇したことで、輸入物価上昇による物価押し上げや、資産効果やマインド効果による消費への刺激も期待できるというわけだ。

もちろん、景気への浮揚効果が10%増税実施へ側面支援になることも見逃せない。エコノミストの間では、7─9月期の成長率は、当初見込みの年率4%台から1─2%台に下方修正する動きが相次いでいる。

すでに終わってしまった7─9月期は期待はずれの成長となってしまったが、少なくとも9月の経済指標には生産や小売販売など明るさをうかがわせる指標も出てきた。さらに雇用・労働環境のタイトな状況も続いていることが確認されている。景気失速を回避するためにも、このタイミングでの早めの対応がデフレへの逆戻りを回避するには有効との判断だったとみられる。

 <明らかなるマネタイゼーション>

しかし、政府・日銀一体となった政策に対し、懸念の声も浮上している。1つは円安の進行に関して、すでにドル高の弊害に関する指摘が米政府や米連邦公開市場委員会(FOMC)で議論されていることもあり、「あまり行き過ぎると、となりの芝生を汚すことにならないか」(第一生命経済研究所・首席エコノミスト・熊野英生氏)といった声もある。

さらに「中央銀行が政府支出や政府機関のリスク資産購入資金をファイナンスするマネタイゼーション政策である」(河野氏)といった指摘も浮上している。同氏は先進国で実際にこうした中央銀行による財政ファイナンスが行われることに驚きを禁じ得ないとし、低成長下でインフレだけが進行しかねないとの懸念を強めている。

政府にとって景気がもたつき、財政出動もなかなか効き目がない中で「安易な発想としては日銀任せという考えが出てこないとも限らない。インフレになれば財政再建にもプラスだからだ。数パーセントの物価上昇であっても、幅広い人がインフレを受忍しなければならないインフレ税になる」と指摘するのは、東京大学大学院の福田慎一教授だ。

同教授は、黒田総裁が異次元緩和の下で、財政再建に対して早い時期から取り組みを促す発言をしてきたと評価する。

消費増税への判断を控えたこの時期に、今回の追加緩和とともに、財政への警鐘を改めて鳴らすべき時かもしれないとの見方が、学識経験者の中から出ている。 (中川泉 編集:田巻一彦)

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消費税の再増税は、ほぼ既定路線になっているようだが、今回の追加緩和は、日銀がその目的のために、なんでもするという決意を示したことに等しい。

今回の追加緩和は機動性を重視したもので、中身は小ぶりの緩和だった。長期国債30兆円の追加というのは、金額としては大きくない。黒田総裁としては、絶妙のタイミングで巧妙に練った作戦を行った。少ない兵力ではあるが機動性により大きく見せることに成功したのではないか。ただ、パールハーバーと同じくその後のパワーがあるのか・・・・日銀が円安の行き過ぎを懸念しているとの市場の見方は、打ち消された。追加緩和はドル/円相場にとって円安の進行を意味し、今後どのような副作用が出るかは未知数だ。

話は下世話な話となるが、帰宅途中携帯電話から齢80を超えた父親から何の株を買ったらいいか電話で相談を受けた。そんな相談を受けたのは26.7年前バブルの真っ最中東京電力が最高値9420円をつけた時以来だ・・・猫も杓子も株を買う時代に入るのか?日本株は目先、乱高下しそうだが、昨年4月の異次元緩和実施後のように上昇基調を強めるだろう。日経平均は年内に1万8500円を目指す展開をするのではないだろうか?

円安のめどは、07年末につけた115円手前の水準。場合によっては118円─120円も視野に入ってくるだろう。基本シナリオは、日米金融政策姿勢の差による緩やかな円安だが、12月にも政府が判断する見通しの消費再増税が先送りした場合、日本は売り込まれるか復活するか議論が分かれる。成長戦略がなおざりにされ、財政健全化への意思が疑われると、長期的には真の意味での日本売りが来る可能性もある。それを防ぐにはTPPを屈辱的な妥協をせざるをえないかもしれない。

国債引き下げ電撃発表、GPIF理事長「日銀と連携ない」
【ロイター】2014年 10月 31日 20:22 JST

[東京 31日 ロイター] - 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は31日、資産127兆円の運用指針を見直すと正式発表した。デフレからの脱却を見据え、国内債券の割合を大幅に引き下げる一方、収益機会を増やすため国内外の株式での投資比率を引き上げる。

三谷隆博理事長は同日夕、都内で記者会見し、運用改革の狙いについて被保険者の利益確保が第一とし、日銀の追加金融緩和と公表が重なったのは「連携ではない」と強調した。

GPIFが運用指針を見直すのは昨年6月以来、1年4カ月ぶり。

年金財政の状況や将来のデフレ脱却を見据え、国内債券の割合をいまの60%から35%に引き下げ、国内外の株式を12%から25%にそれぞれ大幅に引き上げる。外国債券も11%から15%に変更した。

国内債券と国内外の株については一定の範囲で中心値とのかい離を容認する幅も広げ、国債は上下10%、国内株が9%、外国株は8%とし、柔軟な運用ができるようにした。外債は上下4%に狭めた。

短期資産は資産構成から外した。今後、年金給付への備えとして必要な20兆円程度の資金は、自家運用している財投債や「キャッシュアウト対応」のファンドから得られる満期償還金などでねん出する。

GPIFが運用を見直すのは安倍晋三首相の強い意向を踏まえてのことだ。今年6月に、年度末をまたずに運用指針を前倒しで見直すよう指示されてからは運用委員会(委員長、米澤康博早大院教授)と、その下に設置された作業班を計13回にわたり開催し、複数の改革案をもとに議論を重ねてきた。

厚生労働省が31日午後に開催した独法評価委年金部会(部会長、山口修横国大教授)で今回の見直し案を了承。独自にガバナンス体制を強化するなどの案も同時に示し、塩崎恭久厚生労働相の認可にこぎつけた。

GPIFの三谷理事長は記者会見で、今回のタイミングで運用指針を見直したことについて「デフレから脱却し、緩やかなインフレと経済成長が見込めるようになった」と指摘。「全額国債で運用していたら1%の金利上昇で10兆円の評価損が出る。適度なインフレ状態で経済成長が続けば株価の上昇も見込める」と語った。

日銀の追加金融緩和と重なったことに関しては、連携しているわけではないと強調。そのうえで「(追加緩和そのものには)本当に驚いた。(見直しと同じ日になったのは)偶然の一致」と述べた。

運用見直しの発表前に資産配分を行ったかどうかや、今後どのように各資産の中央値をめざすかについては具体的な言及を避けた。

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深読みしすぎかもしれないが、このセカンドインパクトは単にアベノミクスを延命する為のものではないし、株価対策、経済対策だけではない。
アメリカのルー財務長官は10月10~12日、ワシントンDCで開催されたIMF総会で「日本の財政再建のペースを注意深く調整する必要がある」との発言を行った。増税で経済を失速させるなと言っているのだ。そして日本は米国との貿易交渉と言う名の日米による政治的綱引きを行っている最中にこのセカンドインパクトを発動させたのだ!

TPP(環太平洋経済連携協定)のアメリカ側交渉責任者、通商代表部のフロマン代表は30日、11月に中国・北京で行われるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)の首脳会合の場では、最終合意には至らないとの見通しを明らかにした。
アメリカ通商代表部のフロマン代表は30日、首都ワシントンで講演し、10月にオーストラリア・シドニーで行われた閣僚級会合では、交渉妥結に向けて、大きく前進したと評価した。
フロマン代表は「わたしたちは、TPPの最終合意に向け、ここ数カ月の間や、今回のシドニーでの閣僚級会合で大きく前進した」と述べた。
一方で、11月8日に中国・北京で行われるAPECでの交渉について、「政治的推進力を得る良い機会とはなるが、合意に至るとは考えていない」と述べ、最終合意の時期については、あくまで、今後の交渉次第であるとの考えを強調した。

アジア太平洋地域で巨大な自由貿易圏の構築を目指す環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉は、日本の参加から1年2カ月が経過した。だが、交渉は参加12カ国の経済規模の8割を占める日米2国間の関税協議が一向に決着せず、越年論も現実味を増している。事実上、4度目の妥結目標時期の延期となりかねない情勢で、日本政府内ではTPP交渉は「まるでオオカミ少年」との嘆き節も聞かれる。

日米閣僚協議で怒鳴り合い

「ふざけるんじゃない」。米ワシントンの通商代表部(USTR)で9月23~24日に開かれた日米閣僚協議の席上、甘利明TPP担当相はこう声を荒らげ、机をたたいた。さらに甘利氏が「日本は対等だから折れると思ったら大間違いだ」と続けたのに対し、フロマンUSTR代表も激怒し、「怒鳴り合いになった」(交渉関係者)という。

5月のシンガポールでの協議以来、4カ月ぶりに開かれた今回の協議で最大の焦点になったのは、日本の重要農産品5分野のうち牛・豚肉の関税の引き下げ幅や引き下げにかける期間、輸入急増時に関税を引き上げる緊急輸入制限(セーフガード)の扱いだ。

甘利氏は日本としてのギリギリの譲歩案を提示したが、フロマン氏は「(日本側の提案を)とりあえず突っぱねて、日本がさらに降りるかどうかを見極めようとした」(交渉筋)という。甘利氏が怒りを爆発させたのもこのためだ。

帰国後も腹の虫がおさまらなかった甘利氏は記者団に「覚悟を決めて柔軟性を示したが、それに見合った誠意ある対応が見られなかった」と吐き捨てた。

「年内合意は無理」

オバマ米大統領が6月、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が開かれる11月までにTPP交渉を大筋でまとめたいと表明したことから、交渉参加12カ国は早ければ11月、遅くとも年内の合意を目指して動いている。10月25~27日にはオーストラリアで閣僚会合を開催する予定だ。

しかし、交渉で最大のブレーキとなっている日米協議が今回の閣僚協議でも物別れに終わり、日本の交渉筋は「年内の大筋合意は無理」と断言する。

そもそもTPP交渉はこれまで、日本が合流した昨年を含め、3度にわたって妥結の目標時期が先送りされてきた。このほかにも、今年4月の日米首脳会談など妥結に向けて重要な節目とされる機会はたびたびあったが、ことごとく不調に終わった経緯がある。

「オオカミが来た」と嘘を繰り返し、だれからも信用されなくなる-。そんな羊飼いの少年を描いたイソップ童話にたとえて交渉の現状を嘆く日本の政府関係者には、このまま交渉が長期化すれば、妥結の機運が低下して暗礁に乗り上げかねないとの危機感がある。

米議会でも交渉が越年した場合、「交渉のモメンタム(勢い)はなくなる」との警戒論が浮上している。

オバマ政権は「レームダック」

それでも、日米協議で米オバマ政権が強硬姿勢を崩さない背景には、11月4日の米議会中間選挙を控え、日本側に妥協したとみなされれば、米畜産業界から突き上げられ、選挙で与党・民主党の足かせになりかねないとの懸念がある。もともと選挙は民主党の苦戦が伝えられ、日米協議の決着には民主党内の慎重論も根強い。

日本側も米国のこうした国内事情は十分承知しているが、政府内では本気で交渉をまとめようとしないオバマ政権に対する不満も募っている。

「共和党だけじゃなく民主党からも、オバマ大統領から(協力を)頼まれていないという発言が出ている」

「クリントン元大統領は偉かった。NAFTA(北米自由貿易協定)やウルグアイ・ラウンド協定といった通商協定を成立させるために、民主、共和両党の議員をホワイトハウスに呼んで朝飯、昼飯をとりながら徹底的に根回しをした。議会長老にはその時の記憶があるから、『オバマ大統領は何もやってないじゃないか』ということになる」

「議会がうるさいから日本に譲歩を迫るなんて、オバマ政権はひどいていたらくだ。早くもレームダック(死に体)化している」…。日本政府内では、オバマ氏を批判するこんな声が相次いで上がる。

このまま日米の対立が解けなければ、TPP交渉の漂流は必至だが、日本の政府高官は強気だ。

「日本が動くことはもうない。交渉がまとまるかは米国次第だ」(本田誠)








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