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昔懐かしのTV番組キャプテンスカーレットに登場する飛行空母クラウドベース

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米国防総省が「飛行空母」案を公募
【AFP】2014年11月19日 17:15 発信地:ワシントンD.C./米国

【11月19日 AFP】航空機が発着する母艦自体が飛行能力を持つ「飛行空母」の開発案の公募を、米国防総省の研究機関・米国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Projects Agency、DARPA)が開始した。

飛行空母構想は、巨大な母艦が航空機を送り出す、映画『アベンジャーズ(The Avengers)』やコンピューターゲーム『スタークラフト(StarCraft)』のSF的な映像を想起させる。

DARPAは現時点では試作艦の建造は計画しておらず、純粋に飛行空母の可能性を机上で検討することが目的だとしている。DARPAの構想図には、輸送機「C130」に似た機体から無人機「プレデター(Predator)」や「リーパー(Reaper)」のような一隊が発進する場面が描かれている。

計画の責任者であるダン・パット(Dan Patt)氏は「小型機の機動性を高めたい」と述べ、有力な案として「既存の大型航空機を最小限の改造で空中空母にする」方法を挙げた。

米軍が飛行空母の開発を試みたのは今回が初めてではない。1920年代後半には、海軍が複葉戦闘機「スパローホーク(Sparrowhawk)」の収容と発着が可能な飛行船を開発。2機が建造されたがいずれも墜落事故を起こし、多数の死者も出たため計画は中止となった。

また60年代には米中央情報局(CIA)が偵察用無人機の草分けとなる「D-21」を米航空防衛機器大手ロッキード・マーチン(Lockheed Martin)(当時はロッキード社)に秘密裏に開発させたが、このD-21は別の機体から発進するように設計されていた。中国上空を偵察したD-21にカメラを投下させて回収し、D-21は自爆させる構想だったが、4度の実験は自爆やカメラ回収の失敗に終わり、計画は1971年に廃止となった。(c)AFP/Dan De Luce
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Reaper
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Predator
DARPAが突如無人機用の「空中空母」のアイデア公募を始めた。
空中空母といえば、私の世代にとっては昔懐かしのTV番組キャプテンスカーレットに登場する飛行空母クラウドベースを思い出す。
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実はこのクラウドベースには元ネタがあり、「第二次大戦の英国本土防空戦で敵迎撃のため高空に上昇するのに20分要した。最初から高空に待機すれば数分で迎撃できる」というアイデアに基づいている。そしてその迎撃案の更に元ネタは左の写真にある1942年、対空防御として、テムズ川(ロンドン)やマージー川(リバプール)の河口に、築いた対空要塞(マンセル要塞)"Maunsell Forts"に行き着きます。
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今の若者達は右の写真、ハリウッド映画avengersに登場する空中空母を思い出すかもしれませんが、いずれにしてもSFファンタジーの領域に登場するシナモノだと思います。

しかし、ことアメリカにおいては,空中空母の実現をいつの時代も目指しているのです。これも一種のアメリカンドリーム精神かもしれません。

古くは1929年7月3日には米海軍が建造する新型硬式飛行船「アクロン」に防御用戦闘機を搭載する計画をたて、1929年10月27日には「ZRS4:アクロン」のフックに試作複葉戦闘機カーチスXF9C1を着船させる実験に成功しました。
正式採用となったF9C2スパローホークは6機製造され、「アクロン」に搭載されました。
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アクロン号
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大型飛行機に小型飛行機を搭載するアイディアはソビエトでもバクミストロフ空中空母計画が建てられ、ツポレフTB-3重爆撃機で実験している。主翼上にI-5戦闘機を2機、主翼下にI-16戦闘機を2機搭載し、胴体中央下部のアームでI-Z戦闘機を一機空中で回収した。
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第二次大戦中に開発がスタートしたB-36超大型戦略爆撃機は、ドイツに向けて渡洋爆撃を行う目的で開発されたたが第二次世界大戦が終わり、核兵器を搭載してソビエトまで爆撃飛行を行う爆撃機となりました。ここで問題となったのが、護衛戦闘機であった。当時のアメリカでは、この爆撃機に随伴できるほどの航続距離をもつ戦闘機は存在しない、そこで開発されたのが寄生戦闘機XF85ゴブリンである。
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 このXF85ゴブリンは、B-36の爆弾槽のなかに格納されて敵地上空まで運ばれ、いざ、敵機が現れたら発進し、これと空中戦を行うという、いかにもなアイディアです。


XF85ゴブリンはB-29で実験され、B-36はRepublic F-84 で実験が行われた。
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次に計画されたのが、飛行中に翼端をつなぎ合わせる「TomTom計画」である。 
B29とF84戦闘機が空中で合体し、合体した分だけ翼端が広がり、高高度での空力も稼げる利点があった。 
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航続距離が問題や母機を護衛するために開発されたものだが・・・、というより当然計画は成功しなかった。なによりも、回収ドッキングが昼間でも難しく、アイデアはまだ、リスクが高すぎると判断され計画は中止された。その後増槽(落下タンク)の登場や空中給油機の登場でこれら空中空母計画は姿を消した。

だが、米国は1970年代にはいっても、依然諦めずB-747にマイクロ戦闘機(小型戦闘機)を搭載するアイディアを実現しようと空中空母計画が立てられた。
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ヨーロッパ、アフリカ、アジアに航空基地を構築するより、グローバルな範囲と超音速性能を備えた汎用性の高いシステムの方がコストが安く有効ではないかと研究された。空中空母(AAC)や航空燃料タンカーの違いは、AACが航空機をリアームだけでなく、それらに燃料を補給、乗組員が互いに外切り替えることができ、それは戦闘機の修理やメンテナンスを行うことも可能。
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ボーイング社は747-400の2つのデッキを残し、内部をくりぬき約10機を搭載し2ヶ所の出入り口がある。マイクロ戦闘機は、幅のわずか17フィート(5.1816m)内に収まるよう設計された。5種類が計画された。
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これらマイクロ戦闘機の開発はやがて先進技術の実証機として軽量戦闘機(LWF:Light Weight Fighter)F-XXの開発計画に引き継がれF-16,YF-17(F18)の軽量戦闘機として開花します。
一方巡航ミサイルが開発されると Boeing 747はMissile Carrier Airplane一種の空中空母の案がカーター政権下で提示され、あやうくB-1計画がとん挫するところでした。
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ちなみに、この巡航ミサイル母機案は現在も X51極超音速巡航ミサイルを搭載する母機として検討されている。


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そして、突如DARPAが無人機空中空母のアイデア募集をしたのだが、けして突拍子の無い計画ではなく、米国の長年の計画を実現させようとしている。

無人機用の「空中空母」のアイデア公募 米国防機関
【CNN】2014.11.13 Thu posted at 16:36 JST


(CNN) 米国防総省の国防高等研究計画局(DARPA)は13日までに、無人機用の「空中空母」となる航空機開発のアイデアを公募すると発表した。締め切り日は今年の11月26日。
この航空機の開発で、航続距離の不足で無人機が現在遂行出来ない任務の開拓を狙っている。母機から発進した無人機が爆弾投下、ミサイル攻撃や偵察などの任務をこなした後に帰還し、母機と共に所属基地へ戻る作戦をにらんでいる。
母機の大きさについては、爆撃機のB1、B52や輸送機のC130型機などのサイズを想定しているとみられる。
DARPAはアイデア募集に際し、安い製造費などが好ましいと指摘。今後4年間内に開発の具体化が可能な案を求めている。
寄せられた全ての提案は米国防総省内で管理されるため、アイデア漏えいの懸念は不要ともしている。
さて、母機としては安い製造費・・・今後4年間となれば、既存の大型中古旅客機改造が好ましい。だがReaperもPredatorもプロペラ機であるため、低速性能も考慮すると母機はドローン母機DC-130の実績があるC-130が適当であろう。

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DC-130

発進はDC-130のようにつりさげたパイロンからの発進が合理的だ。
問題は如何に改修するかだが・・・・
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空中でネットに絡ませ改修する方式が有力だろう。
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Ddog案
ネットを貼ったフレームを伸ばし、網の中心に突っ込ませフレームを伸縮して回収するのが妥当ではなかろうか?網は一機一網で、発進後は回収のみで再発進はできない。


第六世代戦闘機になると何度も等ブログでは掲載していますが、有人戦闘機と無人戦闘機がチームとなって戦うクラウドシューティングが主流となることが予測されています。
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日本は今のところ有人戦闘機が無人戦闘機を携行していく考え方だが、日本も中国に対する数的劣勢を克服する為飛行無人機空母の開発を検討すべきかもしれない。
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<参考>
昔懐かしのTV番組キャプテンスカーレットに登場する飛行空母クラウドベース
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Captain Scarlet クラウドベース(スペクトラム基地) 
高度4万フィート(12,192メートル)に浮遊する空中基地。広い甲板面は2分割され、一段高い方がエンゼルインターセプター用、低い方がその他の航空機用に使い分けられている。4隅に浮上・推進用のエンジンユニットがあり、その位置を自在に変更できる。劇中に描写された区画としては、司令室、医療室(単なる医務室レベルではなく、脳外科の手術も可能な施設)、会議室、レーダー室、休憩室、パーティールーム、アンバールーム(エンゼルの待機場所)、動力室などがある。なおアンダーソン作品の影響を受けた日本のTV作品「ゼロテスター」「ウルトラマンガイア」の基地は、デザインがクラウドベースに大変よく似ている。
全長210m、全幅186.2m、大型ホバーエンジン4機、本体前後に推進用エンジン多数装備。太陽電池発電、エレクトロン・レイ追尾アンチ・エアクラフト・ミサイル砲、空対空ミサイル・超音速パラライザー・キャノン砲装備。乗員600名。高空に浮遊するのは、ジェリーによると
「第二次大戦の英国本土防空戦で敵迎撃のため高空に上昇するのに20分要した。最初から高空に待機すれば数分で迎撃できる」というアイデアに基づく。
Captain Scarlet and the Mysterons Episode 09 Seek and Destroy 5th January 1968

Captain Scarlet - Attack on Cloudbase: Main Attack Sequence (HD)