「異常事態」の中国株市場、商品や株式にグローバル投資家の売り
【ロイター】2015年 07月 8日 18:56 JST


[東京 8日 ロイター] - 中国リスクへの警戒感が市場に広がっている。上場銘柄の約半数が売買停止となる「異常事態」にグローバル投資家は、株式や商品などのポジションを手仕舞い始めた。実体経済への影響も懸念され、金利は低下、リスクオフの円買いも出ている。
ギリシャの財政問題も混迷を極めており、市場の楽観ムードは大きく後退している。

<アジアに広がるリスクオフ>

約半数の銘柄が売買停止となる異常事態となった。8日の中国株式市場の上海、深セン取引所では約1300社の企業が売買停止。全上場企業2808社のうち約45%が売買できない状況となっている。

事前には「売ることができなければ、株価が下がることもない」(外資系証券)との楽観論もあったが、株安は止まらなかった。上海総合指数.SSECと滬深300指数.CSI300はともに一時8%下落。取引可能な株に売りが集中しただけで、抑止効果はほとんどなかった。

予想に反し中国株が大きく下落して始まると、日本を含むアジアの市場は動揺。日経平均.N225は3%を超える下落となり、2万円大台を大きく割り込んだ。香港ハンセン指数.HSIは6%、台湾加権指数.TWIIも3%を超える下落となっている。株式などリスク資産のポジションを落とす動きが加速している。

中国株式市場への外国人の直接の投資は制限されており、マネーフローでの連関性が高いわけではない。しかし、名目GDP(国内総生産)で世界2位(1000兆円超)に巨大化した経済国における株式市場の「異変」に投資家も警戒感を強めている。

「中国株の下落はリスク量を増大させ、他市場でのグローバル投資家の利益確定売りにつながる。さらに株安が中国の実体経済に影響を与えれば、世界経済もただではすまない。影響は限定的と楽観視はできない」と、アムンディ・ジャパン投資情報部長の濱崎優氏は話す。

<CTAやHFからの売り>

実際、金属など商品市場では中国の景気減速に警戒感が強まり、価格が大きく下落。汎用性が高い金属で景気や需要に左右されやすい銅CMCU3は8日の市場でやや反発したが、前日に6年ぶり安値を付けた。原油など19商品の先物相場で構成されるトムソン・ロイター/コアコモディティーCRB指数.TRJCRBは7日の市場で3カ月ぶりの安値に下落している。

「コモディティ商品の最大の買い手は中国。株安による実体経済への影響が明確に見えたわけではないが、リスク回避の動きが世界の投資家に広がっている」(ばんせい投信投資顧問・商品運用部ファンドマネージャーの山岡浩孝氏)という。

前日7日の米ダウ.DJIが場中に切り返しプラス圏で引けたことで、安心感が広がりかけたが、止まらない中国株の下落に投資家心理も消沈したようだ。市場では「株式や商品にはCTA(商品投資顧問業者)や、マクロ系ヘッジファンドなどからの手仕舞い売りが目立っているようだ」(大手証券トレーダー)との声が出ていた。

ギリシャ問題の行方も不透明感が一層濃くなっており、マーケットにはリスクオフムードも広がってきた。円買いが強まり、ドル/円は一時122円割れ。金利も低下し、日本の10年債利回りは0.415%と2週間半ぶりの低水準をつけた。

<矢継ぎ早の対策が「火に油」>

中国株が下落したこと自体を、市場関係者が驚いているわけではない。上海総合指数は年初から60%、昨年7月からは2.5倍という急上昇をみせてきた。その間、中国経済は減速感を強め、今年の成長率目標は7.0%と11年ぶりの低水準。景気に逆行して株価だけが上昇してきた一種の「バブル」であり、株価下落自体は健全な「調整」ともいえる。

市場の警戒感を強めているのは、中国政府のあわてぶりだ。学習院大学・経済学部教授の渡邉真理子氏は「ファンダメンタルズからかい離したような株価の調整はある程度、想定されていたと思うが、矢継ぎ早に出てきた対策は、場当たり的な対策が中心だった。その裏には何があるのかと、逆にマーケットの不安をあおっている」と話す。

約半数の銘柄が売買停止となっただけではなく、口座や空売りの監視や、自己勘定での株買い支援や投資上限の引き上げなど、株安対策が連日発表されているが、株価は下落。むしろ油を注いでいるようだ。PER(株価収益率)などバリュエーション面では割高感も解消されつつあるが、実体経済に株安の影響が出てくれば、水準は切り下がらざるを得ないだろう。

日経平均は年初から6月24日の高値まで20%上昇。それまで、ほとんど調整らしい調整はなく、今回の下落も「絶好の押し目買いのチャンス」(国内証券ストラテジスト)と強気な声も残っている。だが、日本にとって最大の輸出先であり、インバウンド消費を支える中国経済だけに、単なる「調整」とはかたづけられない不気味さもある。

(伊賀大記 編集:田巻一彦)
習近平をあざ笑うかのように下げ止まらない上海株、シャドウバンク騒動の時もなんとかしてきた中国当局だがもはや国民や投資家からのなんとかしてくれるという絶大な信頼は失われた。

これは、日本が1989年に株価が暴落しても土地は値上がり続け、土地は下がらないという地価神話だったが、誰もが疑わなかった土地神話が崩壊した時に似ている。

ある日突然1万円札が福沢諭吉が刷ってあるただの紙であることに気がつくのと同じ衝撃だろう。

中国当局がどう叫ぼうが、売りの勢いがなくなるまで止まることは無い。しかも市場を止めてしまったら、悪抜けすることが出来ず、かえって底値は遠くなる。上海市場は、世界全体の文脈から言えば小さい市場(=MSCIワールド・インデックスの3%以下)なので、それ自体は痛くも痒くもない。外国人の参加者は少なく欧米の金融機関の参加者の大半は売り抜けているだろうからダメージも無いに等しい。


株高政策は輸出主導型経済から消費主導型経済への転換を株価上昇を通じて促したいという意向もあったのだが、足元の株価急落は、こうした経済モデルの転換を台無しにし、それによって中国を八方塞がりにするだろう。

現在の中国の中国が行っている株価対策は、1929年のNY市場の暴落対策はと同じだ。当局が取り組んだ株価暴落阻止策は失敗に終わった。

日本のバブル崩壊の1992年に日本政府が取った株価維持策(プライス・キーピング・オペレーション=PKO)も同じだ。日本政府は総合経済対策の1つとして、郵便貯金や簡易保険の資金運用について株式組み入れ制限を撤廃した。

当時の日本政府の考えは、おそらく現在の中国政府も同様だが、当局が株価を押し上げることさえできれば、景気回復に伴って民間投資家も後に続くというものだ。日本株は公的資金の投入でいくらか回復したものの、ほどなくして下げに転じた。その後の日本と日本株が厳しい道をたどったのは周知の通りだ。要するに過去株価対策で下げ止まったことはない。

今回の暴落は中国の資本市場のゆがみを一段と強めることとなる。共産党政府そのものが崩壊するなど、ほぼ間違いなく、最終的な代償はかなり高く付くことになる。

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短期的には19312円高値0.612押し~1/2押しの18832円

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中期的には回帰トレンドの-2σの支持線までの調整までありか?!

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日本経済の復興を支えている中国人による爆買いにも影響がでるであろうし、中国国内市場が冷えきると中国市場で儲けているような会社は減益。世界的にも景気が悪化する可能性も高く、世界的にリスクオフとなれば。円高になる。

日本も中国の株価暴落の影響を受けないわけがない。

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