2020年東京五輪・パラリンピックのメーン会場となる新国立競技場の総工費が2520億円に膨らんだ問題で、安倍晋三首相は17日、建設計画を「白紙に戻し、ゼロベースで見直す」と明らかにした。見直しの理由については「コストが当初の予定よりも大幅に膨らみ、国民やアスリートから批判があった」などと述べた。

また、首相は「オリンピック・パラリンピックまでに間違いなく完成させることができる」と説明した一方で、「残念ながら19年のラグビーワールドカップ日本大会には間に合わせることができない」との見通しを明らかにした。

官邸での「白紙」表明に先立ち、首相は東京五輪・パラリンピック組織委員会会長の森喜朗元首相と会談。了承を得た。

新国立競技場をめぐっては、イラク出身の女性建築家、ザハ・ハディド氏がデザインした「キールアーチ」が最大の問題だった。長さ400メートルにも及ぶ巨大な構造で工法も特殊なため、アーチを含む屋根部分の工費だけで950億円にのぼり、総工費を押し上げていた。

政府関係者によると、見直し案としては、キールアーチ建設を中止する案や、最大観客数を現行計画の8万人から6万人程度にすることも検討。建設計画をゼロから見直し、民主党政権時代の2012年に行った国際デザインコンクールで最終選考に残った案から採用することも考える。総工費を2000億円以下に圧縮したい考えだ。

6月末に総工費が2520億円まで膨らむと判明した際、政府内でも「高過ぎる」「国民的理解が得られるのか」という意見が噴出した。

だが、20年の東京五輪開催には、19年にプレ大会を実施せねばならず、メーン会場も19年夏までに完成させねばならない。同年9月にはラグビーワールドカップ(W杯)日本大会もある。

間に合わなければ「国際公約違反」となりかねないため、安倍首相は10日の衆院平和安全法制特別委員会で「これからコンペをし、新たにデザインを決めると五輪に間に合わない可能性が高い」と答弁。菅義偉官房長官も同日の記者会見で「東京(五輪)開催を勝ち取る大きな原動力になった」と強調していた。

森氏も、産経新聞のインタビュー(15日掲載)で、「五輪に間に合わせないと世界の笑いものとなる。高額になり批判を受けるのは残念だが、スポーツ、文化、経済などすべてを集積する場として50年以上先にレガシー(遺産)を残したい」と語っていた。

ところが、報道各社の世論調査で8割以上が、現行計画での建設に「反対」と答える現状に、政府内では以下のような不安が広まっていた。

「安全保障関連法案は、日本の平和と安全を維持するために何としても成立させなければならない。野党や一部メデイアの批判はあるが、中国や北朝鮮の軍事的脅威を理解する国民は最終的には理解してくれるはずだ。ただ、新国立競技場の総工費高騰と、『明治日本の産業革命遺産』の世界文化遺産登録をめぐる外務省の不手際への批判は痛い。安倍政権を支えるコアな保守層まで反発している。これは放置できない」(官邸筋)

総工費への高まる批判を受け、自民党の谷垣禎一幹事長ら党幹部は15日、丹羽秀樹文部科学副大臣らを国会内に呼び、総工費を圧縮できるかどうかなどについて聴取した。同席した二階俊博総務会長はBS日テレ番組収録で「予算を縮小することになれば若干の見直しは当然だ」と述べた。

ところで、現実に建設工事は間に合うのか。

建築家の大野秀敏東大名誉教授は「日本の建築界の優れた人的資源をうまく利用すれば、デザインを変更しても間に合う」と語った。

そのためには、いくつかの条件が必要といい、その1つが「キールアーチの中止」だという。

「現行計画には、キールアーチや曲面の壁の外装など、工期と工費がかかり過ぎる要素がある。キールアーチにしても(3次元形状で)本当に工事ができるかどうか十分検証されないまま突き進んでいる。過去のオリンピックのメーン会場と同等程度に見直せば、そういう要素は減る」(大野氏)

工期を間に合わせるには、現状維持が必要なところもある。

「新たに(国際コンペをしたり)国際設計協議をする時間は残されていない。ザハ氏と組んできた日本側の設計チームが引き続き請け負うことは、時間短縮の前提だ。スタジアムという施設の性格上、外観は異なっても、座席の構造や傾斜など、世界中それほど大きく違うことはない。慣れた人がやれば、早くやることはできる」(大野氏)

建設計画が混迷を極めているのは、責任者の所在がはっきりしないことも大きい。

「行政機関の意思決定に時間がかかりすぎては、見直しができなくなる。強力な政治的リーダーシップのもと、新計画を進めないと、短時間で、無駄遣いを減らすことができない」(同)

大会組織委員会は31日からクアラルンプールで開かれる国際オリンピック委員会(IOC)総会で、新国立競技場の建設計画を報告する予定だ。事業主体の日本スポーツ振興センター(JSC)は計画を見直す場合、31日までに変更方針を発表し、新たなデザインの選定作業などに着手する。
安倍総理が2020年のオリンピック・パラリンピック東京大会の会場となる「新国立競技場」の現在の計画を白紙に戻し、ゼロベースで新しい計画を作り直すことを決断した。キールアーチと呼ばれる独特の構造のために、当初の見積もり額を大きく超える2520億円ものコストに、国民やアスリートから大きな批判が寄せられていた。
新国立競技場の建設費用の高騰と屋根が間に合わない問題はゴールデンウィークの頃からマスコミで取り上げられるようになり、7月に入り国民が広く知ることとなった。この問題に対し電光石火の決断で、計画を白紙に戻した安倍総理の決断力と行動力に対して素直に評価すべきだ!冬期オリンピックで未だに開催が危ぶまれる平昌とは対照的な決断力だ!
野党や反安保法制の左翼は支持率維持の為のパフォーマンスだと揶揄するが、官僚に良いようにされた民主党政権であったらとても英断を下すことができなかったろう!新国立競技場は、民主党政権時代に国際コンペが行われ、2012年11月にザハ氏のデザインに決定されたものだ、取り消す決断を民主党は感謝すべきだ。
コンペで示された工費の条件は1300億円であったが、実際に試算したところ3000億円にも達するのであれば、デザイン能力はあっても設計・マネージメント能力がなかったザハ事務所に高額の違約金を払うべきではない。
何よりも優先すべきは、世界の祭典であるオリンピック・パラリンピックが恙無(つつがな)く、開催されることだ。またすべての日本国民から祝福されることも必要であり、ここで白紙に戻す決断をした安倍総理に私は素直に喝采を送りたい。
今後、新国立競技場が、極力コストを抑え、世界の人々に夢と感動を与える素晴らしい施設が建設されることを期待したいと思います。

デザイン応募46作品をデザイン性だけでみたらザハ案は確かに素晴らしかった!

ただ、改めて他の作品を見ると、皆素晴らしい作 品だ。その中でも実現可能で景観に合いそうな作品を選んでみた。以下である。

新国立競技場応募作品紹介46作品
作品番号 23
黒川・DNA・オリエンタルコンサルタンツ・ナインステップス設計共同企業体案
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作品番号 29
坂茂建築設計/Atelier Frei Otto + Partne/松田平田設計案
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作品番号 37
株式会社環境デザイン研究所案
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作品番号 33 
:伊東豊雄建築設計事務所 案
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