
南京、慰安婦、強制労働-バトルの舞台は国際社会へ
新たな段階に入った論争にどう向き合うべきか
深田政彦(本誌編集部) 【NEWSWEEK】2015年10月27日号
戦争は人の心の中で生まれるから、人の心に平和のとりでを築かなければならない―。ユネスコ(国連教育科学文化機関)の崇高な平和理念だ。しかしそのユネスコを舞台に今年、「戦争」が2度も勃発した。
最初は世界文化遺産をめぐる争いだ。「明治日本の産業革命遺産」登録を申請した日本に対し、申請施設で中国や朝鮮出身者が第二次大戦中に「強制労働」させられたと中国と韓国が抗議。2ヵ月の攻防の末、「労働を強いられた」ことを日本が認め登録が実現した。
今月には世界記憶遺産でも火の手が上がった。中国が申請した旧日本軍による「南京大虐殺」の文書が登録されたことに日本が反発。ユネスコヘの分担金拠出の見直しを示唆し、登録撤回を求める構えを見せたのだ。世界記憶遺産をめぐっては、申請・登録された日本人のシベリア抑留等の記録「舞鶴への生還」も登録後にロシアの高官から批判された。
東アジアにくすぶってきた歴史問題は、戦後70年目にして収束するどころか地域の枠を超え、世界を舞台にした「歴史戦争」に突入したようだ。
歴史教科書や靖国神社参拝、慰安婦や南京といった問題はこれまで日中韓の間の歴史認識論争にとどまってきた。
中心は日韓関係で、両国にとって互いは主張すべき「対象」であり、厄介な「敵」だった。中国の最高指導者だった鄧小平が80年代初めに経済優先の政策を打ち出して以来、友好と反日を戦略的に使い分ける中国はどちらかと言えば脇役だった。
だが、「歴史戦争」はその様相を一変させた。日中韓はもはや互いに向き合って主張をぶつけるだけではない。新たな舞台はユネスコなどの国際機関やアメリカを中心とする国際社会。ロビー活動で駆使されるのは主に英語だ。日本の正当性を訴えた新聞連載をまとめた『歴史戦』(産経新聞出版)は中国語でも韓国語でもなくまず英語に翻訳され、帯には「真実を世界に広めるための書」とうたわれている。
また同書が「主戦場はアメリカ、主敵は中国」と唱えるように、対立軸も日韓から日中へと変化した。鄧の唱えた「絹光養晦(実力を隠して力を蓄える)」路線をかなぐり捨て、習近平政権は拡張路線を続けている。これまでは主に韓国が訴えてきた慰安婦問題も、近年は中国に主導権が移っている。今回ユネスコで「慰安婦に関する資料」の記憶遺産登録が却下されたが、申請したのは韓国ではなく中国だった。
「韓国にはパッチワーク的に対応すればよかったが、中国の脅威を見るとそれでは済まない」と、自民党の原田義昭衆議院議員は危機感を募らせる。
党国際情報検討委員会の委員長である原田は先週、ユネスコ’の分担金拠出停止を求める党決議文を安倍晋三首相に手渡した。「安倍さんや菅(義偉)官房長官に申し入れるたびに、『いつも(委員会の提案が)遅いじゃないか』という雰囲気がある。政府の立場では言いにくいだろうが、僕らはまったく(方向性が)一致している」と、原田は言う。日本政府もまた、歴史戦争に前のめりのようだ。
東アジアの歴史論争が国際社会に持ち込まれたのは、今回が初めてではない。96年に国連人権委員会で慰安婦を性奴隷と記す「クマラスワミ報告」が採択され、07年にはマイクーホンダ下院議員の提案で、米下院議会が慰安婦問題の対日非難決議を可決。13年5月には韓国の朴槿恵大統領が米議会で日本の歴史認識を批判する演説を行った。
そして同じ年の7月、カリフォルニア州グレンデールで慰安婦像が完成したのを皮切りに、ミシガン州やサンフランシスコなどへ慰安婦の像や碑の設置が「飛び火」。サンフランシスコの中華街ではごく小規模ながらも、抗日戦争記念館も開館した。
こういった動きは中国系・韓国系市民の草の根運動に加え、中韓のロビー団体の働き掛けが背景にあるとされる。ただ、こうした動きを知るアメリカ人はごく一部でしかなく、むしろ国内外の日本の保守系団体やネットの過剰反応が騒ぎを増幅させた側面がある。
きつかけはアメリカの「失望」
このように国際社会でくすぶっていた歴史戦争が本格化したのは13年末。きっかけは、安倍首相の靖国神社参拝とアメリカの「失望」声明だった。安倍の参拝直後、駐日アメリカ大使館と国務省が相次いで「日本の指導者が近隣諸国との緊張を悪化」させたことへの失望を表明。アメリカはそれまで靖国参拝に対してあからさまな批判を避けており、その衝撃は大きかった。
中韓の批判には慣れていても、アメリカは何も言ってこないと高をくくっていた保守派はオバマ政権の反応に驚いた。そして、アメリカの声明は事態の沈静化に向かわなかった。
「中韓による情報の刷り込みがオバマにまで届いた」-欧米に対する中韓の情報戦に日本も応戦しなければ、という思いが広がり、原田が働き掛けて翌14年3月に自民党に国際情報検討委員会が設けられた。「砲弾ではなく情報と言葉を駆使して戦う」と、産経新聞が連載『歴史戦』を始めたのは4月のことだ。
その後、6月に原田らが安倍に中間報告書を手渡したが、そこからは「主戦場は米国」という歴史戦争の新たな認識が浮かび上がる。中韓の反日宣伝によって2国間の案件がアメリカなどの第三国や国際社会に持ち出されたとした上で、「主として英語」による情報発信や「米国をはじめとする」議員との交流の強化を提案している。
さらに9月、朝日新聞が慰安婦問題での誤報を正式に謝罪したことで、歴史戦争はさらに加速。自民党国際情報検討委員会の決議文も「虚偽の記事が国際的な情報メディアの根拠となり、国際社会がわが国歴史の認識を歪曲」したと、もっぱら国際社会への影響を懸念している。
クマラスワミ報告などで日本が手をこまねいたツケがアメリカの靖国参拝批判であらわになった、今度こそ日本は「自衛」しなければIそんな保守派の思いが、今回のユネスコをめぐる歴史戦争の伏線だ。
ただ国際社会を巻き込んだこの戦争は不毛な戦いにならざるを得ない、と情報戦に詳しい近現代史研究者の辻田真佐憲は分析する。情報戦は本来、国家が人員と予算をかけて行う外交の一手段で、最終的にどこかで和解するまでのプロセスにすぎない。南京や慰安婦など数々の問題についても、国家として交渉の余地を残す必要がある。
しかし現在の歴史戦争は「正義」「誇り」といった価値観が出発点になっているため、容易に妥協点を設定することができない。日本の場合、交渉をめぐる意思統一もできていない。これまでのように政府内で南京や慰安婦の存在そのものを否定する不規則発言が飛び出せば、中韓がそこを追及して簡単に泥沼に陥ってしまう。
さらなる懸念が「歴史修正主義」への国際社会の警戒感だ。戦後問題を突き詰めれば、戦後レジームに行き着く。実際、記憶遺産となった「南京大虐殺の文書」の申請書には東京裁判の記述が多く登場し、犠牲者数の根拠の1つとして同裁判が示した「20万人以上」という数字を挙げている。東京裁判はアメリカなど連合国による勝者の裁きであり、連合国を主体に設立されたのが国連だ。いくら英語で発信しても、国際社会から「歴史修正主義者」と認識されれば敗北は避けられない。
歴史にこだわり過ぎる不毛
逆にこうした懸念を克服すれば、歴史戦争の不毛さから抜け出せるかもしれない。そのために必要なのは、日本政府が目指す目標を明確にすることだろう。これまで日本では歴史家や記者が論争の中心で、歴史的事実の追及に焦点が置かれがちだった。だが歴史家や記者は外交戦の主役にはなれない。
最終的には政府が何をもって勝利とするのかをはっきり示すべきだ。 史実にこだわり過ぎる姿勢も不毛だ。慰安婦の強制性を問うのも大事だが、声高に主張するほど歴史修正主義の誤解を招く。戦後の日本が積み重ねてきた人権尊重や民主主義、国際貢献を実績として冷静に訴えるほうが、国際社会の共感を呼ぶ。そうすることで、特に現在も人権弾圧を続ける独裁国家・中国と日本のどちらに説得力があるか、各国は次第に理解するはずだ。
来年には中国が慰安婦資料を記憶遺産に再申請するという。ユネスコが本当に「平和の舞台」となるのはいつのことだろうか。
そもそも歴史戦などという言葉を使われること自体不愉快だ。捏造した歴史を使い自国民を統治し、外交を有利に展開しようと言う悪意に対する正当防衛である。
公平な歴史を記録し、言われない祖先、先達たちへの侮辱を糺すのは今を生きる日本人の義務である。
中共指導部は自らの統治を正当化する神話(=正確な歴史ではなく「権力を正当化する修正版」)を何より必要とする。共産主義のイデオロギーが崩壊した現在、民主主義や人権など欧米の価値観に対抗できる他のイデオロギーや文化を反日とナショナリズム以外持ち合わせていないからだ。毛沢東時代に封建主義の権化として排斥した孔子を、今になって再評価するのもその表れだ。
支那の歴史は次の王朝が前の王朝の歴史を編纂している。前の王朝がいかに腐敗し、堕落したので、現王朝が天の命令で成立したかという正当性を確立する易姓革命の理論から歴史を編纂するのである。易姓革命とは天は己に成り代わって王朝に地上を治めさせるが、徳を失った現在の王朝に天が見切りをつけたとき、革命(天命を革める)が起きるとされた。そもそも支那においては歴史とは現王朝を正当化する道具なのだ。
欧米や中国人の中には公正な歴史をジャッジできる人達が存在する。その知的な人達に向かって日本は中共のプロパガンダまみれの歴史を論破する事実を提示する義務があると思う。支那の歴史を振り返れば納得のいく理論だ、中国共産党の前王朝は台湾の中華民国ではなく大日本帝国と欧米による植民地支配なのだ!
支那における歴史とは現王朝の権力維持装置であって、政治的なものでアカデミックな歴史ではない。21世紀の今も現王朝である中国共産党が歴史自分に都合が良く書き換えているということを世界中の人達が知るべきである。
『一九八四年』においてジョージーオーウェルは、「現在を支配する者は過去を支配し、過去を支配する者は未来を支配する」と書いている。欧米人の多くも歴史とは勝者歴史であって勝者が書く歴史とはいかがわしいものであることは理解しているはずだ。だが、独逸を含む欧米にとって、己の悪の歴史である植民地支配の終焉の切っ掛けとなった戦前の日本を悪者とする中共(朝鮮も含む)のプロパガンダは実に都合が良い。中共指導層は、オーウェルの洞察を裏付けるようなことを実践してきた。権力を維持するために不都合な過去を検閲し、改竄している。
中国共産党は都合のいい歴史とは、先日の習近平が英国でぶった傲慢で失礼な演説からもうかがうことができる。
(略)中国は「過去に、立憲君主制や議会、大統領制などを導入しようと試み、失敗し、それに学び、最後に社会主義の道を選んだ。社会主義は人民が求めた結果だ」と説明した。
演説は約27分間。中国語の演説を、通訳を介して聞いていたことや、一日の疲れもあったのだろう。演説する習氏の隣で、英王室のエスコート役、アンドルー王子らが疲れたような表情で下を向いて話を聞く様子がカメラに収められた。
習近平主席のあいさつ中、下を向く出席者(AP)
一方、20日の議会演説については、英紙フィナンシャル・タイムズが「議会制が誕生した揺りかごでみせた習氏のぶざまな瞬間」と紹介した。
習氏は演説で「英国は最も古い議会制国家だが、中国は2000年も前から法治の重要性を語ってきた」と述べ、民主主義に関係した中国批判は受け付けないとの姿勢を暗に示した。
同紙はこれに対し、「法の支配」の理念を生み、近代民主憲法の礎石となったマグナカルタ(大憲章)制定800年を迎え、中国で巡回展示を行う予定が急きょ、当局に中止させられたことを紹介。「中国に法治と民主主義を強調する資格があるのか」「自分たちに有利な歴史だけ言及した」などと批判する議員たちの声を報じた。(略)
1989年の天安門事件以降鄧小平がはじめ、江沢民が加速させた、ナショナリズムを吹き込み、日米欧諸国へ憎悪を掻き立てる教育をもう四半世紀以上続けている。
中国共産党は、自国民にも巧妙なプロパガンダを吹き込む。シナは古来より文化や技術における偉大な業績や近隣諸国への博愛心で知られる比類なき文明国である、漢字を発明し、儒教や道教は世界の思想に影響を与え、紙・印刷・火薬・羅針盤を世界に教えてやった、世界は中国に感謝し、何でも言うことを聞くべきだと・・・
欧米と日本は過去に中国を蹂躙しただけでなく、今もTPPなどで中国の封じ込めをたくらみ、中国の台頭を阻む敵なのだとも洗脳し、共産党が無ければ再び植民地になるという巧妙なプロパガンダを行う。特に安倍首相は戦前の極右であるという自分のことを棚に上げた恥ずべきプロパガンダを続行中である。
毛沢東の大躍進政策(3600万人以上が餓死)や文化大革命、天安門事件などの不都合な事実は隠蔽し、共産党は貧しい非力な国を世界から一目置かれる近代国家に変貌させた力強くて慈愛に満ちた党といのが、中共が描く自画像だと言うから噴飯ものだ。
現在のシナは強大なので、国民の外国嫌いをあおっても経済的、地政学的な悪影響はないと中共は考えている。シナは強くなったが、日米欧に比較するとまだ弱くて貧しい。日米欧は中国の最大の輸出先であり、シナは日米欧のテクノロジーに頼っている。経済が減速中の中国は今後、日米欧をさらに必要とするだろう。 シナの熱狂的なナショナリズムは日本、ベトナム、フィリピン、インドな
どをアメリカに接近させている。いずれはこれらの国々が同盟を組み、中国を封じ込めようとするだろう。オーウェルの歴史観も、こう修正すべきではないか。過去を支配する者は、必ずしも未来を支配しないと
シナにはまともな人民が少しばかりは存在する。やがて中共が歴史を権力維持の道具に使うことには致命的な欠点が露呈するだろう。経済が崩壊すれば、怒りによる反欧米主義的なナショナリズムは、すべて共産党への憎悪へと変化するだろう。やがて共産党政権は崩壊し、シナは四分五裂するだろう。
シナの本当の歴史や諸外国との関係を知る我々は、こうした歴史の歪曲や改ざんを決して許すべきではない。中共のプロパガンダに対してはシナの本当の歴史をその都度声を上げていくべきである。世界に対し本当の歴史を発信し続けるとともに、日本人全てがシナのプロパガンダに抵抗力を持ってほしいと思うのであります。
執筆中





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