ようやく、安倍晋三首相が消費税10%への増税を再延期すると表明した。

判断が遅すぎた。デフレ脱却を実現するうえで、景気回復が遅れる中での増税実施は困難なのは当たり前すぎて、その判断自体は現実的かつ妥当なものといえよう。

 社会保障財源に充てる消費税の増税延期はこれで2度目である。最初の延期に際し、首相は再延期はないと断言してしまっているのがもんだいだった。重大な政策変更について、国民に丁寧な説明を尽くすことが欠かせない。以下が会見内容である。

安倍首相、消費増税の再延期表明 記者会見要旨
【ロイター】2016年 06月 1日 19:57 JST

[東京 1日 ロイター] - 安倍晋三首相は1日夕の記者会見で、2017年4月に予定していた消費税率10%への引き上げを2年半延期することを正式に表明した。首相の冒頭発言の要旨は以下の通り。

<冒頭発言>

足元では新興国や途上国の経済が落ち込んでおり、世界経済が大きなリスクに直面している。こうした認識を、先般、伊勢志摩サミットに集まった世界のリーダーたちと共有した。

先般の熊本地震では、熊本や大分の観光業や農業、製造業など、九州の広い範囲にわたって経済や暮らしが打撃を受けている。これらが日本経済にとって新たな下振れリスクとなっている。最悪の場合、再びデフレの長いトンネルへと逆戻りするリスクがある。今こそアベノミクスのエンジンを最大に吹かし、こうしたリスクを振り払い、一気呵成に抜け出すためには、脱出速度を最大限まで上げなければならない。

アベノミクスをもっと加速するのか、それとも後戻りするのか。これが来る参院選の最大の争点だ。伊勢志摩で取りまとめた合意を議長国として率先して実行に移す決意である。アベノミクス3本の矢をもう一度力いっぱい放つため、総合的かつ大胆な経済対策をこの秋、講じる考えだ。

G7で協力し、世界的な需要を強化するため、将来の成長に資する分野で大胆に投資を進める。人工知能、ロボット、世界に先駆けた技術革新を日本から起こす。しっかりと内需を支える経済対策を行う考えだ。

そのうえで、来年4月に予定される消費税率の10%への引き上げについて、お話しする。1年半前の総選挙で、私は来年4月からの消費税率引き上げに向けて、必要な経済状況を作り上げると約束した。そしてアベノミクスを強力に推し進めてきた。現在、有効求人倍率は、24年ぶりの高い水準となっている。

リーマン・ショック以来、減少の一途をたどっていた正規雇用は昨年、8年ぶりに増加に転じ、26万人増えた。この春の高校生の就職率は24年ぶりの高さである。大学生の就職率は過去最高となった。

雇用を作り、そして所得を増やす。まだまだ道半ばではあるが、アベノミクスは順調にその結果を出している。

しかし世界経済は、この1年余りの間に想像を超えるスピードで変化し、不透明感を増している。最大の懸念は、中国など新興国経済に陰りが見えること。リーマン・ショックの時に匹敵するレベルで、原油などの商品価格が下落し、さらに投資が落ち込んだことで、新興国や途上国の経済が大きく傷ついている。これは世界経済が成長のエンジンを失いかねないということであり、世界的な需要の低迷、成長の減速が懸念される。世界の経済の専門家が今、警鐘を鳴らしているのはまさにこの点である。

これまで7回にわたって「国際金融経済分析会合」を開催し、ノーベル経済学賞を受賞したスティグリッツ教授やクルーグマン教授をはじめ、米国や欧州、アジアの経済の専門家から直接意見をうかがってきた。その専門家の多くが、世界的な需要低迷によって今年そして来年、さらなる景気悪化を見込んでいる。

こうした世界経済が直面するリスクについて、G7のリーダーたちと伊勢志摩サミットで率直に話し合った。その結果、新たに危機に陥ることを回避するため、適宜にすべての政策対応を行うことで合意し、首脳宣言に明記された。

私たちが現在直面しているリスクは、リーマン・ショックのような金融不安とは全く異なる。しかし、私たちはあの経験から学ばなければならない。2009年、日本経済はマイナス成長となったが、その前年の08年時点ではIMFも4%近いプラス成長を予測するなど、リスクは十分に認識されていなかった。

プラス4%の成長予測が一気にマイナス成長になってしまう。これが、リスクが現実のものとなった時の危機の恐ろしさだ。私は世界経済の将来を決して悲観しているわけではない。しかし、リスクには備えなければならない。今そこにあるリスクを正しく認識し、危機に陥ることを回避するため、しっかり手を打つべきだと考える。

そうした中で、内需を腰折れさせかねない消費税率の引き上げは延期すべきであると、そう判断した。

いつまで延期するかについてお話しする。中国などにおいては、過剰設備や不良債権の問題など、構造的課題への対応の遅れが指摘されており、新興国経済の回復には時間がかかる可能性がある。そうした中で、世界的な需要の低迷が長期化することも懸念されることから、できるかぎり長く延期すべきとも考えた。

しかし私は財政再建の旗を降ろさない。我が国への国際的な信認を確保しなければならない。そして、社会保障を次世代に引き渡していく責任を果たす。安倍内閣のこうした立場は揺るぎないものである。20年度の財政健全化目標はしっかり堅持する。そのため、ぎりぎりのタイミングである19年10月には消費税率を10%へ引き上げることとし、30カ月延期することとする。その際に軽減税率を導入する。

3年間のアベノミクスによって、国・地方合わせて税収は21兆円増えた。その2年半の延期によって、その間にアベノミクスをもう一段加速する。そのことで、更なる税収アップを確保し、20年度のプライマリーバランスの黒字化を目指す考えである。

1年半前、衆院を解散するに当たって、まさにこの場所で私は消費税率の10%への引き上げについて、再び延期することはないとはっきりと断言した。リーマン・ショック級や大震災のような事態が発生しない限り、予定通り来年4月から10%に引き上げると繰り返し約束してきた。

世界経済は、今、大きなリスクに直面している。しかし、率直に申し上げて、現時点でリーマン・ショック級の事態は発生していない。それが事実である。熊本地震を大震災級だとして再延期の理由にするつもりももちろんない。

今回再延期するという私の判断は、これまでの約束とは異なる新しい判断である。公約違反ではないか、との批判があることも真摯に受け止めている。国民生活に大きな影響を与える税制において、これまで約束してきたことと異なる判断を行うのであれば、まさに税制こそ民主主義であり、そうであるからこそ、まず国民の皆様の審判を仰いでから実行すべきである。信なくば立たず。国民の信頼と協力なくして政治は成り立たない。新しい判断について、国政選挙であるこの参院選を通して国民の信を問いたいと思う。国民の信を問う以上、目指すのは連立与党で改選議席の過半数の獲得である。

世界経済がリスクに直面する今、ロケットが大気圏から脱出する時のように、アベノミクスのエンジンを最大限に吹かさなければならない。デフレからの脱出速度をさらに上げていかなければならない。そのためには、もう一度、国民の皆様の力が必要だ。国民の皆様のご理解とご支持をお願いする。
景気が低迷しているのは安倍政権の失政といえば失政だ、消費税を5%から8%上げたことだ、それを10%にすべきではない、どうせ上げないのならあと半年前、できたら2014年末の衆議院選挙の時に期限を決めるべきではなかった、そのことに尽きる。いやあの時に、延期ではなく、再検討とするべきだった。
 安倍晋三首相が消費税増税再延期の方針を固めたことで、低迷する個人消費がさらに冷え込み、景気が腰折れする不安は当面回避された。ただ、中国経済の失速を背景に金融市場が混乱するなど、日本経済を取り巻く環境は予断を許さない。政府は次の増税時期となる平成31年10月に向け、デフレ脱却の道筋を確実にし、不透明な環境下でも増税に耐えうる経済の体力作りを進めることが求められる。

 民間シンクタンクは、29年4月に予定されていた増税の延期により、28年度の実質国内総生産(GDP)成長率が従来予想より下方修正される一方、29年度は上方修正されるとみる。増税前の駆け込み需要が消えるが、増税後の反動減がなくなるからだ。

 大和総研は28年度は0・3ポイント押し下げられ、29年度は0・7ポイント押し上げられると試算。増税延期は「短期的には景気にプラス」(熊谷亮丸チーフエコノミスト)とする。

 足元では個人消費の低迷が予想以上に長引く。26年4月の消費税増税後、節約志向が強まった上、海外経済の減速で株安が進み「消費意欲が一段と冷えた」(内閣府幹部)からだ。

 海外などの動向が31年10月にどの程度好転しているか予測するのは難しい。市場では内需を強化し、外部環境に左右されない強固な経済を作って、増税に備えるべきだとの声が上がる。

 SMBC日興証券の牧野潤一チーフエコノミストは「企業の賃上げ」などにより、消費意欲の向上につなげるべきだと主張する。市場ではこのほか、成長戦略を進めて企業投資を拡大するほか、社会保障制度改革を通じて若者の将来不安をなくし、消費につなげるべきだなどの意見もある。

 国内経済に関しては、東京五輪前の特需への期待もある。ただ、プラス効果は現時点で正確に見通しにくい。経済の強化に失敗し再び増税延期に追い込まれる事態になれば、日本財政への信認も失われかねない。
マスコミや野党がアベノミクス失敗と大合唱して増税延期は当たり前すぎる政策であるのに、今度は財政をどうするんだと言って増税しなければ首相に不信任案を突き付ける・・・マスコミや野党のどうしようもない馬鹿さ加減に呆れかえってしまう。

仮に安倍首相が消費税増税に積極的で、消費税増税を推し進めたならば、マスコミや野党は消費税増税大反対の論陣を張ったに違いない。野党やマスコミはその程度の脳味噌しか持っていない。

過去の消費増税を主張していた財務省や日本の経済学者やエコノミストは、「消費増税しても景気は悪くならない」と言ってきた。だが、実際彼らの予想は大外れではないか!そういうエコノミストの話を私は信用しない。日本の増税派の経済学者やエコノミストは信用されていない。だが、不思議なのは、予測を外し信頼を失った人たちをマスコミが使い続けている。

需要が伸びず景気が低迷しているのは就労人口の減少が響いている。消費税は総需要を増加させるものではないので、引き上げるのは今のタイミングは適切ではない。

先進国の経済がいずれも弱い内需などの問題に直面して日本化(デフレ化)している。 英国のEU離脱は無いと思うが、ユーロ圏は不況と物価上昇が同時に起こるスタグフレーションが続いている。中国は政策が安定せず高成長を支えられない。
資本流出による人民元安も深刻化している。中国経済はある日突然崩壊しかねない、消費税増税で日本経済が失速すれば、中国経済崩壊も誘発しかねない。日本のデフレ脱却が、伝統的な政策手法では難しくなっているが、日銀のマイナス金利政策は私は反対だ!効果が限られ万能薬でない。、積極的な財政出動をして、今後2~3年は財政収支を気にしないで景気の回復に努めるべきだ。

長期戦略を進めて企業投資を拡大するほか、社会保障制度改革を通じて若者の将来不安をなくし、消費につなげるべきだ。東京五輪前の特需への期待はもはや萎み始めている。金融緩和をしてるときに増税という金融引き締め的なことをすると、経済がおかしくなる。財政再建派が財政出動を邪魔している間は・・・・ため息がでてしまう。


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