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オランダハーグにある常設仲裁裁判所は中国に南シナ海支配「歴史的権利なし」と判断。当然の結果であるし、当の中国ですら最初から認められないと解っていた。

中国は国際的孤立を恐れ、事前に小国に援助をばら撒き中国の立場に賛同したのは「約60カ国に上る」(国営メディア)と主張支持集めに奔走し必死に準備をしていた。(笑)

ちなみにその60ヵ国とは下の図上半分の赤色の国
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上は中国のリストによる分類で下は公式声明による分類(赤:中国を支持する国、緑:仲裁裁定を支持する国、オレンジ:中国への支持を否定している国、グレー:支持を言明していない国) 

 ところが、仲裁裁判の裁定に応じる義務はないとする中国の姿勢に公に支持を表明したのは、 ウォール・ストリート・ジャーナルと米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)が調査したところ、わずか8カ国でした。上の図の下半部の赤色の国アフガニスタン、ガンビア、ケニア、ニジェール、スーダン、トーゴ、バヌアツ、レソトのみ。国際世論は圧倒的に中国の主張を認めていない。


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たとえ今回の日本人の所長が指命した裁判官ではなくとも、誰がどう見ても、九断線による南シナ海の中国領有は強弁であり、国際秩序を乱している。仮に中国を支持する裁判官がいたら、中国から賄賂を貰っていると判断されただろう。

判決文は九段線の海域内で中国が主張する主権や管轄権、歴史的権利に関して根拠がない。中国も1996年に批准した国連海洋法条約を超えて主権などを主張することはできない。当然、中国が造成した人工島は「島」とは認めなかった。ミスチーフ礁などは満潮時に水没する暗礁であり、領海と設定できない。

スカボロー礁やジョンソン礁などは「岩」であると認定し、排他的経済水域(EEZ)は設けられないと判断した。スカボロー礁周辺の海域は中国、フィリピン、ベトナムの伝統的な漁場であり、フィリピン漁船が中国からたびたび妨害を受けていたことについても国際法違反だとした。
【ベルリン=宮下日出男】南シナ海をめぐる中国の主張や行動は国連海洋法条約違反などとしてフィリピンが申し立てた仲裁手続きで、オランダ・ハーグの仲裁裁判所は12日、中国が「歴史的権利」として主張する「九段線」について国際法上の根拠は認められないとの裁定を公表した。南シナ海のほぼ全域の主権を主張して強引に進出する中国に対し、初めて国際法に基づく判断が下された。

裁定は、南シナ海で実効支配の拡大を目指す中国側の主張を退ける内容。中国は一貫して裁定を無視する姿勢だ。罰則など強制的に裁定に従わせる手段はないが、国際社会が司法判断の尊重を求める圧力を高めるのは必至。中国の立場は苦しくなる一方、南シナ海情勢は一段と緊迫化する可能性がある。

中国が「歴史的権利」として南シナ海のほぼ全域を取り囲む形で主張する「九段線」については、仲裁裁判所は管轄権を留保していたが、今回の裁定で中国の主張を退けた。

今回の仲裁は2013年1月、フィリピンの申し立てを受けて開始。中国は参加を拒否したが、仲裁裁判所は昨年10月、15項目の訴えのうち7項目で管轄を認め、同11月に中国抜きで口頭弁論を開いていた。

仲裁は海洋法条約で海洋紛争を解決する手段の一つとして指定されており、全当事者が受け入れなくても手続きを進めることができる。裁定は最終的な判断のため、上訴はできない。

この判断に従わないと公言する中国は今後国際的な孤立は避けられず、今後中国は国際的な条約を守らない国であるとレッテルが張られる。

リットン調査団の満州国建国の判断に反発し不用意に国際連盟を脱退したかつての大日本帝国と同じ道を辿る可能性もある。

アングル:南シナ海仲裁判断、なぜ重要か
【ロイター】 2016年 07月 12日 18:18 JST

[香港/アムステルダム 11日 ロイター] - オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所は、南シナ海の約90%に主権が及ぶとする中国の主張に反発してフィリピンが提訴した仲裁手続きについて、12日に判断を下す。

以下にいくつか重要ポイントを挙げた。

1.なぜ仲裁裁判所の裁定は重要なのか。


フィリピンによる提訴は、南シナ海の領有権をめぐる争いで、初めて法的に異議申し立てられたケースだ。重要な国際海上交通路にまたがる南沙(英語名スプラトリー)諸島を中心に、南シナ海は長い間、緊張状態にあり、近年はその度合いが一段と高まっている。

中国、台湾、ベトナム、マレーシア、ブルネイが、スプラトリー諸島とその周辺海域、あるいは周辺海域の領有権を主張している。中国、台湾、ベトナムは、南シナ海北方の西沙(同パラセル)諸島を自国の領土だと主張している。

南シナ海の領有権問題によって、台頭する中国と長年支配者として振るまってきた米国は、同海域で政治的・軍事的に激しい争いを続けている。中国が拡張する自国海軍の活動領域を見据える一方、米国は日本やフィリピンといった従来の安全保障上の同盟国だけでなく、ベトナムやミャンマーのような新たな友好国との関係を強化している。

中国専門家らは、海南島を拠点とする潜水艦が同国の核抑止力にとって今後決定的に重要となることを考えれば、南シナ海の重要性は増すばかりだと指摘する。

2.裁判に何が関係するか。

フィリピンは2013年、中国の主張が国連海洋法条約(UNCLOS)に違反し、同条約で認められた200カイリの排他的経済水域(EEZ)に含まれる南シナ海で開発を行う自国の権利が制限されているとして、仲裁裁判所に提訴した。

中国は、フィリピンの提訴によって審理を進められることに対して繰り返し警告し、聴聞会への参加も拒否してきた。裁判官を任命する権利も無視している。仲裁裁判所には権限がなく、南シナ海における中国の歴史的権利と主権は、UNCLOSが定められるより以前から存在していると同国は主張。

UNCLOSは主権に関する問題は扱わないが、海上における行動のみならず、さまざまな地理的特徴から国が主張できることを規定している。同条約は島嶼(しょ)や岩礁から12カイリを領海とし、ヒトが持続して居住可能な島から200カイリをEEZと定めている。EEZは主権のある領海ではないが、同水域内において漁業や、石油、ガスなどの海底資源を採取する権利は与えられる。

中国とフィリピンを含む167カ国がUNCLOSに署名している。米国はそのなかに含まれていないが、南シナ海における海上パトロールなどにおいて、同条約を国際的な慣例法として認識している。

3.カギを握るのは何か

フィリピンによる提訴は、自国がEEZを利用する権利を明らかにしようとする約15の項目から成る。中国によるスプラトリー諸島の7つの岩礁における埋め立てや人工島の造成だけでなく、漁業や浚渫(しゅんせつ)、当局による監視などの活動に対しても異議を申し立てている。

また、黄岩島(同スカボロー礁)を中国が実効支配していることに対しても異議申し立てを行っており、スカボロー礁が完全にフィリピンのEEZ内であるとする判断を求めている。

南シナ海の大半に主権が及ぶとの主張において、中国が基準としている「九段線」の合法性をめぐる裁定は、どのような内容であれ、注視されるだろう。九段線は他の国々のEEZに交わっており、東南アジア海域の中心部にまで深く入り込んでいる。

フィリピン側の弁護団はまた、スプラトリー諸島における島嶼や岩礁などのどれもEEZを主張するほど十分ではないと主張している。

4.次に何が起きるか。


裁定結果には法的拘束力があるものの、UNCLOSは執行機関を持たず、専門家らによると、中国が判断を無視した場合、どうなるかはまだ分からないという。実際の主権をめぐる裁定に関わるケースは、該当国間の合意が必要であり、国際司法裁判所(ICJ)によって審問される。ICJによる判断は、中国が常任理事国である国連安全保障理事会が強制執行できる。

中国当局者らは、自分たちの主張を実行するため、将来的な軍事活動を排除していない。それにはスカボロー礁での人工島建設や防空識別圏の設定なども含まれる。中国は、南シナ海における米軍のさらなるプレゼンス拡大には警告を発してきた。

こうした中国の動きに対しては、米国はいわゆる「航行の自由」作戦や上空飛行を増やしたり、東南アジア諸国への防衛支援を強化したりすることで対応可能だ。米当局者が匿名を条件に語った。

領有権を主張する他国、とりわけベトナムが、中国に対して独自に提訴するかも非常に注目されている。ベトナム政府は法的選択肢を模索しており、同国の当局者らはそのような行動に出ることを排除していない。

5.常設仲裁裁判所とは何か。


1899年に設立された常設仲裁裁判所(PCA)は、最も歴史ある国際司法機関。

PCAは、中国とフィリピンが署名するUNCLOSのような国際条約の下で紛争を解決することがしばしば求められる。

南シナ海問題における手続きをボイコットしている中国は、裁判官の任命を拒否。フィリピンはドイツ国籍の裁判官1人を任命している。残りの裁判官は国際海洋法裁判所の所長が任命した。

中国は、裁判長がガーナ人、他の4人の裁判官が欧州人であることは、世界の法制度の多様性を適切に反映していないとし、自国に対して偏見を持たれる恐れがあることを示唆している。

PCAは執行力を持たず、同裁判所の裁定で勝利した該当国は通常、自国の裁判所で主張を追求するが、成果が得られないことが多い。
この中国の国際条約を無視する態度は、米中武力衝突のリスクをさらに高めることになる。裁定後も、中国が軍事及び民生用目的で同海域の島々と岩礁を開発し、地域の安定を脅かしていると考える米政府がどう対処するかによって、事態は動いてくると思う。
 南シナ海をめぐる仲裁裁判所の裁定について、中国外務省は12日、「この裁定は無効で、拘束力がない。中国は受け入れないし、承認しない」とする声明を発表した。

声明は、「中国は南シナ海の領土主権と海洋権益はいかなる状況においても仲裁裁の裁定の影響を受けない」と強調。「中国は、この裁定に基づくいかなる主張や行動にも反対し、受け入れない」と裁定を無視する姿勢を示した。
中国人に教えたい論語の続きでいえば・・・
子曰、君子之於天下也、無適也、無莫也、義之與比。

子曰わく、君子の天下に於(お)けるや、適(てき)も無く、莫(ばく)も無し。義にこれ与(とも)に比(した)しむ。
里仁第四の十
孔子のこの言葉は「立派な人は、自分の意見にこだわって無理強いしたり、禁止したりはしない。道に外れていないかを、判断のよりどころにして決める」というものです。論語の『義』が「道に外れていない」を意味しています。また『義』には「犠牲的精神」「他者のために尽くす」の意味も含まれます。中国の主張はこの「君子の天下に於(お)けるや、適も無く、莫(ばく)も無し」に照らし合わせれば「人としての道を外れない、正しいことか」、「他者のために尽くせることか」を判断基準とした場合、中国に義がないことだけは確かです。
中国は南シナ海問題への国際司法の介入を一貫して拒み、「古来中国に属する」と宣言した「九段線」内の南シナ海を“中華の領域”と定めて、実効支配を進めてきた。一切の干渉や批判を排してまで絶海の岩礁にしがみつく姿は、伝統思想の強い呪縛を抱えているように映る。

中国軍のタカ派論客、羅援(らえん)少将は、南シナ海問題に関するこれまでの発言で、「主権問題を論じることは認めない」としたトウ小平の指示を挙げ、国家統一の基礎として「大一統(だいいっとう)」という思想を強調した。

羅氏は「大一統」の思想を「われわれの領土と主権を分割することを許さない」との意味だと説明。「九段線」の法制化や南シナ海の武装強化を訴えた。

この「大一統」とは、紀元前に成立した儒教の経典「春秋公羊伝」の言葉で、「一統をたっとぶ」とも読まれる。天子を頂点としたピラミッド型の支配構造を形作るとともに、支配対象である王朝の領土・領海で完全な支配と継承をめざす2千年の統治思想だ。

南シナ海の存在は前漢の漢籍にも記録されている。その意味では「古来」だが、スプラトリー(中国名・南沙)諸島の領有が、国民党政権下の中国政府で明確な政策課題となったのは1930年代だ。

さらに、九段線の原型(十一段線)が、南京で制定されたのは戦後の47年にすぎない。

スプラトリー諸島まで含む南シナ海統治が中国、台湾の「領土主権」に現実にかかわったのは戦後だ。しかも、50年代にはフィリピン、南北ベトナムも、それぞれ領有権を訴え始めていた。

しかし、中国の視点では、かつて国民党政権が定めた境界を完全に引き継ぎ、実効支配しないことには、共産党政権の正統性が揺らぎかねない。この国家統一の情念が、現代に息づく「大一統」の思想だ。

ハーグの仲裁裁判に関する中国国内の議論でも、「大一統」の思想に基づく中国の領土主張は、主権国家の平等な権利を認めた国際法とは「符合しない」とされていた。

習近平国家主席にすれば、いかに「独善的」とみられても、「大一統」の実現こそが正義であり、放棄や失敗は許されない。この思想的な葛藤が、仲裁の拒否など「法の支配」との対立の背後に存在している。(山本秀也)
主要20カ国・地域(G20)首脳会議が9月に迫っており、中国に不利な判断を下したが、その直後は軍事的には積極的行動をしなかったとしても、しばらくすれば再び、南シナ海における拡張主義的な侵略行為を開始するだろう。

中国はオバマ大統領が在任中の米国はオバマはチキンなので「何もしてこない」と舐められており、今は南シナ海は中国の領土だという主張を既成事実化させる好機とみている。尖閣諸島も“風前のともしび”で、日本は中国軍機が防空識別圏内に入ってきても追い出せなかった。参院選ではこの問題が大きく取り上げられることはなく、状況は今後さらに悪化していく可能性が高い。
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11日、南シナ海の領有権をめぐる国際仲裁裁判の判決を12日に控え、南シナ海の係争海域で軍事演習を行っている中国海軍がこのほど、「国防法」の規定に基づき一部の退役軍人を部隊に呼び戻していると伝えられている。写真は中国海軍。
2016年7月11日、米華字メディアの多維新聞によると、南シナ海の領有権をめぐる国際仲裁裁判の判決を12日に控え、南シナ海の係争海域で軍事演習を行っている中国海軍がこのほど、「国防法」の規定に基づき一部の退役軍人を部隊に呼び戻していると伝えられている。 

中国海軍の退役軍人に宛てられた通知書の画像がインターネット上で拡散している。それによると、招集期間は今月月10日から22日までとされており、「法に従い国防義務を履行することは国家法律が与える神聖な職責だ。いかなる組織や個人もこれを妨げてはならない」と強調されている。 

こうした報道を受け、中国軍の機関紙、解放軍報は11日夜、公式微博(ウェイボー)を通じ、「民兵予備役人員は毎年、正常な訓練を行うことが国の法律で定められている。海軍の演習にはこれまでにも、退役した兵士や士官が参加している。『戦があれば戻る』これは復員老兵共通の心の声だ」と回答した。 

多維新聞は「仲裁裁判の判決を控えた時期の増軍だけに深長な意味がある」「戦争準備を示すものだ」などと伝えている。(翻訳・編集/柳川)
中国の教科書では、南シナ海の南沙諸島は「中国の最南端」と表記され、「九段線」が教えられている。その為判決後の中国の世論は愛国的書込みに溢れている。
 習近平は政治スローガン「中国の夢」を掲げ、近代以降、欧米列強や日本の進出で失った大国の威信を取り戻すことで政治的求心力を認めさせようとしている。

南シナ海の権益確保も中国の屁理屈から言わせれば不当に奪われた領土の「回復」と正当化している。それだけに今回の判決は、習近平の政治生命を終わらせると言えるほど重みを増しており、習近平は決して譲れない「核心的利益」と位置づけていただけに、また外交で敗北を重ねた今回の判決に習近平政権が動揺するのは必至だ。

 中国共産党は2017年、5年に1度の党大会を控えており、今夏から習氏の後継者選びも見据えた党内の主導権争いが激化するとみられている。外交やインフラ輸出で失点を重ねる習近平が、自政権を維持するために戦争という選択肢を選ぶ可能性を否定してはいけない。

大紀元 
米軍事評論家のロバート・ハディック(Robert Haddick)氏は、軍事専門紙「ディフェンス・ニュース(Defence News)」電子版(7日付)に対し、判決が中国に不利であった場合、中国側の反応は11のパターンがあるとの見方を示した。
1.何もしない。
2.中国外交部は強い非難声明を出す。中国側の意見を米ウォールストリート・ジャーナル紙などに掲載する。
3.中国海軍と中国国内の民兵組織と共同で南シナ海地域で軍事演習を行う。
4.同地域で大規模な海上軍事演習を行う。
5.J-11戦闘機を南シナ海軍事基地に常駐させる。
6.航空軍団を派遣し、同地域の空域でH-6爆撃機とJ-11戦闘機の共同演習を行う。
7.西沙諸島において、HQ-9長距離地対空ミサイルと対艦巡航ミサイルを永久的に設置する。
8.南シナ海で防空識別圏の設定を宣言する。
9.黄岩島(スカボロー礁)を埋め立てて軍事拠点を作る。
10.HQ-9長距離地対空ミサイルと対艦巡航ミサイルを永久的に南シナ海に設置する。
11.大規模な海上実弾軍事演習を行う。海南省の軍事基地からミサイルを発射する。
ハディック氏は、中国が8項目から11項目の反応をすれば国際社会に対して軍事的な行動の用意ができたことを示したに等しい、との見解を示した。米国政府もこれまで以上に軍事的な措置を取るだろうとみている。
まさに、中国がしていることは、戦前のナチスドイツであり、孤立していった大日本帝国だ!私の言いたいことをを代弁している記事があった。
 中国は事あるごとに日本に対して「歴史に学べ」と言う。しかし、今、その言葉はそっくり中国に返してやりたい。昨今の情勢を見ていると、歴史に学ばなければならないのは中国の方だからだ。

“負け組”が推し進めた戦争

 中国が言う「学ぶべき歴史」とは、日中戦争である。日本が中国を侵略し多大な迷惑をかけた。この事実を否定するつもりはない。そして日本はこれまで何度も謝ってきた。

 歴史に学んだからこそ、戦後は1度も海外に派兵していない。平和憲法を順守し、あまりに順守し過ぎて同盟国である米国の戦争も手伝わない。このような事実を見る時、日本は歴史によく学んだと言ってよい。

 戦前、日本がアジアに居丈高な態度に出た背景には、黒船が来航して以来、西欧に対して抱いてきた劣等感があった。その劣等感は日清日露の戦役に勝利し、かつ第1次世界大戦の戦勝国になったことで大いに払拭された。

「一等国日本」、これは1920年代に日本においてよく使われた言葉だそうだ。一等国になると、西欧への劣等感がアジアへの優越感へと変わった。その自信がアジアへの侵略につながった。

 政治が軍部をコントロールできなかったために戦争になったとも言われるが、そもそも戦前の政治は、“国際協調派”とアジアへの“膨張主義派”に二分されていた。

 国際協調派は昭和天皇や西園寺公望を中心とした宮中、外務省を中心とした高級官僚、高橋是清に代表される経済界、そして条約派と言われた海軍の軍人。一方、膨張主義派は陸軍、民間の右翼、その背後には大勢の貧しい庶民や農民がいた。

 国際協調派は戦前における“勝ち組”。エリートだから体制が維持されれば、自然に恩恵を受けることができる。洋行経験者も多く、欧米の実力を知っていた

一方、膨張主義派の多くは“負け組”。昭和恐慌に苦しんでいた庶民は、戦争でもなんでもよいから現状が変更されることを望んでいた。そして農地を持たない農民(小作人)は満州に入植し自作農になることを夢見ていた。

 5.15事件、2.26事件などのクーデターが頻発し、気がつけば軍部が実権を握り、そして戦争に突入してしまった。

 その戦争責任を軍部だけに押し付けるのは正しくない。それは庶民が戦争を望んでいたからだ。民衆の気持ちに沿う記事を掲載すると売れるから、朝日新聞や毎日新聞の前身は戦争を煽る記事を掲載し続けた。時流に悪乗りした新聞も悪いが、その背後には戦争による現状打開を求めた戦前の”負け組”がいたことを忘れてはならない。

まるで戦前の日本

 戦前の日本について長々書いたが、それは、その状況があまりに現在の中国に似ているからだ。

 アヘン戦争以来、中国は西欧に対して強い劣等感を抱き続けてきた。だが、その劣等感をここ30年ほどの経済成長によって払拭することに成功した。中国のGDPは世界第2位。“一等国”である。周辺の国を見下している。現在の中国人の意識は1920年代の日本人によく似ている。

 格差社会であるところもそっくりだ。奇跡の成長は、その波にうまく乗った人々と乗り損ねた人々の間に大きな溝を作り出した。共産党幹部や彼らに有力なコネを持つ人々は豊かになったが、一般大衆はいまだに貧しい。特に農民戸籍の9億人は社会の底辺に押し込められて、豊かになる道を閉ざされてしまった。

 そんな状況の中で、バブル崩壊の臭いが漂い始めた。黙って共産党の言うことを聞いていれば生活が向上する時代は終わった。大学を出ても、これまでのように高い地位につくことは難しい。中国の大卒の初任給は約4000元(約6万円)。それでも定職につければまだまし。まごまごしていると職にあぶれる。

 そんな状況を反映して政治が二分し始めた。中国にも国際協調派がいる。耳を澄まして聞いていると、日本や米国と仲良くした方がよいと言っている中国人は意外に多い。米国のGDPは世界第1位、日本は3位。日本は近い。米国は太平洋を挟んで対岸。両国とは船舶を使って容易に交易することができる。

 そんな両国と対立してAIIB(アジアインフラ投資銀行)を作り、「一帯一路」などと称して中央アジアの国々とだけ交易してもよいことはない。くたびれるだけ。だが、そう冷静に分析するのは、戦前の日本と同様に一部のエリートだけである。

 多くの庶民は冷静な分析よりも直観を好む。GDPで世界第2位になった中国が外国に頭を下げる必要があるのか。中国には中国のやり方がある。中国の皇帝(習近平)に土下座(三跪九叩頭の礼)をしないような国とお付き合いする必要はない──。中国のネット上にそのような意見が満ち溢れている。

“中国版ネトウヨ”は、政府が強硬な対外姿勢を取ることを好む。その一方で弱腰と思うと叩く。その姿は戦前の日本を彷彿とさせる。

“中国版ネトウヨ”の脅威

 最近、中国で面白い話を聞いた。

 日本では王毅外相の評判が極めて悪い。日本の外務大臣や政治家と会談する際に居丈高な態度をとり、写真を撮る際もいかにも不機嫌そうな顔をするからだ。まるで喧嘩を売っているようである。それは日本に対してだけではない。カナダでの記者会見においても、マスコミに対して居丈高な態度をとって顰蹙を買った。

 王毅外相の振る舞いは中国の国益を損ねている。外相として失格。だが、そう思うのは外国人だけのようだ。中国のネット世論は違う。強硬な態度を取ればとるほど王毅外相の人気が上昇する。だから、あのような態度を取る。習近平も昨年オバマと会った時に、南シナ海の問題で一歩も譲らなかったが、その態度はネット上で高く評価されたそうだ。

 中国外交は“中国版ネトウヨ”の意見に従って動き始めた。それは、次のようなエピソードを思い起こさせる。

 1933年に日本は国際連盟を脱退したが、その時の日本代表は松岡洋介。ジュネーブの会議場で啖呵を切って脱退を宣言して退場したが、帰りの船では国際協調派の昭和天皇に怒られると思って沈んでいたそうだ。しかし、横浜に着くと、民衆は歓呼の声を持って彼を迎えた。彼は英雄になった。その後、民衆受けを狙ってより危険な外交を押し進めた。その結果について今さらここに書く必要はないだろう。

 現在の中国は日本の戦前にそっくりである。強硬な意見を述べた者がネット上で喝采を受ける。その一方で国際協調派は叩かれる。だから時間が経つに連れて強硬派が強くなる。このような雰囲気の下で、南シナ海や東シナ海での軍事行動も過激な方向に向かう可能性が高い。

 それは決して中国の国益にはならない。だが、“中国版ネトウヨ”は思いのほか強く、共産党は彼らを恐れている。それは、共産党が若者を中心に多くの人々が現状に不満を持っていることを知っているからだ。

 こと外交関係に関する限り、敗戦に学び、日本の世論はかなり成熟した。だが、中国の世論は21世になっても幼稚な段階に留まる。このような状況を見る時、中国こそ歴史に学ぶべきである。幼稚な世論とどう向き合うべきか、中国の政治家は戦前の日本の歴史を勉強する必要がある。

日米は周辺諸国と一致協力して、経済制裁ではなく南沙/西沙諸島の海上封鎖を含む中国に対し何かしらの武力的圧力をかけなくてはならない。

国際条約を無視する中国に対し日米が何の武力的圧力をもしかけなかった場合、
次に中国が尖閣諸島を不法占拠するのも時間の問題となるであろう。