2017年 世界は「地政学的 後退期」(アメリカ第一主義、利益第一主義)
17年の10大リスク、首位は米国の指導力低下 米調査会社
1. Independent America (わが道をゆくアメリカ)1. Independent America (わが道をゆくアメリカ)
2. China overreact (中国の過剰反応)
3. A weaker Merkel (弱体化するメルケル独首相)
4. No reform (世界的な改革の停滞)
5. Technology and the Middle East (中東を脅かすテクノロジー)
6. Central banks get political (政治に侵食される中央銀行)
7. The White House versus Silicon Valley (ホワイトハウスvs.シリコンバレー)
8. Turkey (トルコ)
9. North Korea (北朝鮮)
10. South Africa (南アフリカ共和国)
Red herrings(番外=リスクもどき)
US domestic policy, India versus Pakistan, Brazil (アメリカ国内政治、インド・パキスタン対立、ブラジル政治)
○「今年の懸念材料はアメリカと中国と欧州がビッグスリーだ!」と言われてしまうと、「それって、ほとんど全部じゃん」、あるいは「そんなこと、知ってらあ」と減らず口を叩きたくなりますな。もっともユーラシアグループとしては、「地政学的リスクにご用心」とか、「もうすぐGゼロ時代がやってくる」なんてことを言っていたら、本当にその通りの時代が到来してしまって、悪い予言が当たってしまった魔女の如き心境なのかもしれません。
○その一方で、例年通りイアン・ブレマーらしい「冴え」が垣間見えるのが、6番や7番でありますな。全世界の中央銀行が政治に侵食されているのも、ワシントン政治(東部)がシリコンバレー(西部)に喧嘩を売っているのも、きわめて今日的な事態だと思います。それからここ数年、ランキングから遠ざかっていた「北朝鮮」が戻ってきたことも、新しい事態を感じさせます。
○それにしても、1位から10位まで日本はまったくお咎めなし。いやー、こんなにリスクフリーでいいんですかねえ。そういえば今日も株価は盛大にあげていましたね。昨年末に出た11月の鉱工業生産がとってもいい感じなので、実は日本経済、生産や輸出も回復しているらしくって、実体経済もそこそこよろしいみたいなんですよ。えっ?ジョージ・ソロスが日本に来てるんですって? 「押し目待ちに押し目なし」と言いますけど、これは意外な大相場になるのかもね。
この記事を書き始めた現時点では、トランプ大統領会見が始まっていないのですが、イアンブレマー氏曰く今年最大の厄介な事地政学的後退の始まりということでしょうか・・・
トランプの大統領は「アメリカ・ファースト(米国第一)!」と「米国をもう一度偉大な国に」です。これをもって、リベラル派は世界警察の職務放棄=米国の覇権の終了だと言っているが、はたしてそうだろうか?米国の国益を最大化することなのだから・・・ まもなくその厄介な男の政権が始まる。
イアンブレマー氏の分析によると、トランプ政権の「アメリカ・ファースト」の主張は、孤立主義の表明ではなく、国連や国際世論からのインデペンド、独立主義もしくは単独主義の表明であるという。
孤立主義は第二次世界大戦前のモンロー主義のように、極端に軍備を縮小するのではなく、世界で唯一の最も力のあるスーパーパワーを持つ米国の建設ではないか?国益を第一とする為、軍事力、経済力を躊躇なく使用することだという。
米国の中核的な国益を擁護するために、ドラえもんのジャイヤンのごとく、米国単独でも軍事力の使用を厭わない。
ヤバいぞ中国!習近平!トランプ政権は中国を悪の帝国と認識 2016/12/21(水) 午後 11:57
トランプ政権はオバマによって失われた8年を埋めるべく大軍拡計画をおこない「力による平和(Peace through Strength)」を実行するだろう。
陸軍の現役兵員数約49万人から54万人への増加、海軍の主要艦艇276隻を350隻に増加、海兵隊の23個大隊を36個大隊に増強、空軍の戦闘機数1113機を1200機に増強するという提案である。
増強した軍事力を使い、世界の諸問題の解決ではなく、米国の利益のためにのみ使用するというのが国家通商会議代表に指名されたピーター・ナヴァロ氏などのトランプ氏側近の考えである。
2002年にエマニュエル・ドットが著した帝国以後において、米国の衰退、「世界の警察官」役から下りることを米国の国民が望んでいることを予言されており、トランプは世界の知識人には、まさに帝国以後というイメージが強い。
トランプは米国が行ったアフガニスタン、イラク戦争、リビア、シリアへの軍事介入は米国を大きく疲弊させ、中国が台頭を招いたと考えており、ロシアのプーチンと中国封じ込めを行うのではないか・・・
ロシアと米国が手を結ぶと北大西条約機構(NATO)への米国の関与が弱くなり、プーチンの野望は燃え上がるかも・・・・。
イアンブレマーは利益第一主義の米国が今年悪くなるとは言ってはいないが、目先よりも長期的視野で米国の利益が損なわれると主張しているのだ。それはそれで説得力があるが、2017年のリスクの1位に置くのはいかがなものだろうか?
2016/11/6(日) 午後 11:51
2016/11/9(水) 午後 5:12
2016/11/10(木) 午後 11:53
2016/11/11(金) 午後 11:41
2016/11/12(土) 午前 11:44
トランプ大統領誕生に思う その5 米国は解体するか?トランプはクリントン財団の巨悪を暴くだろう 2016/11/9(水) 午後 5:12
トランプ次期大統領F-35にクビ宣告? 2016/12/14(水) 午後 11:56
2. China overreact (中国の過剰反応)
ことし10月~11月に開かれる第19 回共産党大会を控えて、習近平が権力基盤を強化したい年になる。だが、経済や外交政策が失敗、習近平は何としても再任されなくてはならず、中国経済のインチキを持続させ取り返しがつかないところまできてはいるが・・・・なんとか絆創膏を貼ってごまかしている。
トランプ大統領の台湾政策や北朝鮮をめぐる動きを見る限り、今年中国はとんでもないチョンボをしでかすおそれがあると私は思っています。
ブレマー氏も去年までは国際的武力衝突が起きることは無いと思っていたが、今年は無いとは言い切れないと言っている。トランプ政権の対中国強硬路線の閣僚人事を見れば明らかかだ。トランプがどうとかではなく、一般米国国民は中国がアメリカの富を吸い尽くしていると信じているのだ。
時間の問題とは思っているが・・・民主主義でも資本主義ではない中国経済の崩壊は迫っている。イアンブレマーは中国経済や将来に対して甘すぎる見方をここ数年続けてきたが、米中衝突の可能性を示唆している。
3. A weaker Merkel (弱体化するメルケル独首相)
Ddogの個人的見解においてはメルケルのドイツは唾棄したくなるほど愚かで、ドイツの理想と国益の為にEUを破壊しているようにしか見えない。だが、ブレマーはメルケルは孤軍奮闘相当頑張ったと評価しており、今年予想されているドイツ総選挙でメルケルが4選を果たすのは間違いないとの見方だ。しかし国内の政治基盤が弱くなり、ドイツがEUの指導的立場ではなくなるということになる。
難民問題、テロ対策、ギリシャ債務問題に加え、フォルクスワーゲンやドイツ銀行といったドイツ主要企業の壊滅が相次いでいるのに、メルケルの政権基盤が弱まるのは避けられない。
これで、フランスで国民戦線のマリーヌ・ルペン党首が大統領にでもなれば英国も離脱したEUは崩壊するのではないだろうか?さよならドイツ、さよならメルケル・・・・安らかにお休み!
4. No reform (改革の欠如)
ブレマー氏は長期的視野、長期的戦略を持つ政府が優れているというのが持論で、昨年までは中国共産党政権を絶賛していたが、今年の口調では長期的有効な経済政策を推し進める政府がないと嘆いている。
アルゼンチン、ブラジル、フランス、ドイツ、インド、メキシコ、ナイジェリアで改革が停滞し、イタリア、ロシア、サウジアラビア、南アフリカ、トルコ、英国では改革が交代していると警告を発している。おお日本が入っていない。10大リスクに日本が無縁であるということは、日本の安倍政権を密かに評価しているのかもしれない。
世界中見渡しても日本が一番政治経済がいい意味で安定している。
5. Technology and the Middle East (中東を脅かすテクノロジー)
中東の前近代的権威主義体制に対し抵抗するのに一般市民が連帯し、愚民化政策に抗することにテクノロジーが貢献していることは確かだが、そのことが中東の混乱を助長しているとブレマー氏は言いたいのであろう・・・
テクノロジーの進化の結果、アメリカでシェールオイルの採取ができるようになり、今や生産量と原油価格を決めるのはサウジアラビアではなく、アメリカになりつつある。奇跡的にオペックが減産に合意したが、原油価格とテクノロジーが今後中東情勢に大きく影響するだろう。
6. Central banks get political (中央銀行の政治化)
トランプ大統領はインフラ投資を中心に財政出動し、インフレ政策をするだろう。
そうなるとFRBは今年何回も利上げをすることになる。利上げはドル高となり輸出が伸び悩みはマイナス、トランプのミクスにとって追い風ではなくマイナスとなってしまうので、イエレンFRB議長に圧力が掛かり、新しいイエスマンのFRB議長が選出される。FRBの独立性に悪影響となり、金融政策が危うくなる可能性があると、ブレマー氏は言うが、米国が輸出するのは航空機と武器ぐらいで・・・はてなにかちょっとズレている?
7. The White House versus Silicon Valley (ホワイトハウスvs.シリコンバレー)
シリコンバレーは民主党やリベラルの巣窟カリフォルニア州の中心地である。
当然トランプを支持する中西部のアメリカ人は彼らのこと死ぬほど嫌いであり、トランプはIT業界に対して優遇しなくなるだろう。
米シリコンバレーのテクノロジー企業は米大統領選で反トランプの立場を鮮明であり、テクノロジー企業は無人化を進め、トランプが求めているのは雇用の創出とあい対峙する。この対立がどうなるかについては、シリコンバレーで電気自動車産業を興したイーロンマスク率いるテスラモーター次第のような気がする。
8. Turkey (トルコ)
NATO加盟国のトルコがロシアに急接近していおり、これがどうなることやら・・・
9. North Korea (北朝鮮)
これまで北朝鮮を10大リスクに入れたことはなかったが、今回、初めて挙げた。
北朝鮮がアメリカに対し核で脅すことが有ればアメリカは許容しない。北朝鮮の核・ミサイル開発は進み、すでに約20発の核兵器を製造できる核物質を保有しているとみられています。弾道ミサイルに搭載できる核弾頭の小型化や米国の西海岸を攻撃できる大陸間弾道ミサイル技術の取得にも近づいているが、依然完成はしていない。
もし、核爆弾搭載可能なICBMを北朝鮮が完成させれば、トランプ大統領が、北朝鮮に対する圧力を強め、最悪軍事的実力行使に出かねない。だが、韓国の政治情勢も脆弱で、朴槿恵に代わって北朝鮮に融和的な左翼政権が誕生する可能性もあるし、韓国の経済もリスクである。
どっちの髪型がかつのでしょうね?
10. South Africa (南アフリカ共和国)
やっぱアフリカの発展とやらは空想なのかもしれない。
17年の10大リスク、首位は米国の指導力低下 米調査会社
【日経新聞】2017/1/4 8:13
【ニューヨーク=平野麻理子】政治リスクの調査会社ユーラシア・グループは3日、2017年の世界の「十大リスク」を発表した。首位は「独立した米国」で、トランプ次期米大統領のもと、米国が世界の諸問題の解決などでリーダーシップをとらなくなる可能性を指摘した。2位には秋に共産党執行部の人事が控える中国、3位にはメルケル独首相が力を失った欧州を挙げた。
国際政治学者のイアン・ブレマー氏が率いる同社が毎年発表する予想は、市場関係者の注目度が高いことで知られる。16年は「(欧米)同盟の空洞化」や「閉ざされた欧州」などを上位のリスクに予想。実際、16年には英国が国民投票で欧州連合(EU)離脱を決め、米国では北大西洋条約機構(NATO)を批判しているトランプ氏が次期大統領に選ばれた。
17年も引き続き米国が同盟国や国際機関、通商条約から距離を置くリスクがくすぶる。ブレマー氏は大統領選以前から米国の指導力低下でリーダー不在となる世界を「Gゼロ」と名付け、危険性を指摘してきた。17年のリポートでは「トランプ氏が米国の(次期)大統領に選ばれたことで、Gゼロの世界がすぐそこまできている」と改めて警鐘を鳴らした。
2位の中国では、秋の党大会を経て習近平政権が2期目に入る。最高指導部が大幅に入れ替わる予定で、「(1978年の)改革開放以降で最も複雑なイベントになるだろう」と予想。習氏の指導力に改めて注目が集まる中で、「習氏は中国の利益に対する外からの挑戦に対し敏感になり、これまで以上に外交問題について強硬に対応するだろう」とみる。
欧州では、17年もドイツやフランスといった大国で選挙が予定される。これまでドイツのメルケル首相が欧州の安定を率いてきたが「欧州は強いメルケルをもう必要としなくなっている」と指摘した。
このほか中央銀行への政治の干渉が増える可能性や、ホワイトハウスとIT(情報技術)企業が集まるシリコンバレーのあつれきなども17年のリスクに予想した。
ユーラシア・グループが発表した2015年版世界の10大リスクは以下だった。
(1)欧州政治の弱体化リスク
(2)プーチン大統領が主導するロシアリスク
(3)中国経済の減速リスク
(4)アメリカが金融制裁を兵器化するリスク
(5)イスラム国の拡大リスク
(6)ブラジル、南アフリカ、ナイジェリア、トルコ、コロンビア……新興国の指導者の求心力が低下するリスク
(7)経済活動への戦略的な国家関与が強まって、経済の自由が制約されるリスク
(8)中東におけるイスラム教スンニ派とシーア派の対立の深化とサウジアラビアとイランの緊張リスク
(9)台湾の最大野党、民進党の台頭による中国と台湾の関係悪化リスク
(10)トルコ・エルドアン大統領の強権的な政治手法がもたらすリスク
2015年は良く当たったが、
ユーラシア・グループが発表した2016年版世界の10大リスクは以下だった。
(1)The Hollow Alliance 同盟の空洞化う~ん・・・当たっているようなさほどでもないような・・・・
(2)Closed Europe 閉ざされる欧州
(3)The China Footprint 中国の足跡
(4)ISIS and "Friends" ISISと仲間たち
(5)Saudi Arabia サウジアラビア
(6)The Rise of Technologists 先進技術の台頭
(7)Unpredictable Leaders 予測不可能な政治家たち
(8)Brazil ブラジル
(9)Not Enough Elections 選挙が足りない
(10)Turkey トルコ
(2)のClosed Europe 閉ざされる欧州では英国のEU離脱リスクを過小評価するなかれ。と警告していたのは秀逸だったが、(7)Unpredictable Leaders 予測不可能な政治家たちでは、トランプ当選とまでは言及していなかったが・・・
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