装輪装甲車(改)の試作品の納入について 防衛装備庁が(株)小松製作所と契約して試作を実施してきた装輪装甲車(改)に つきまして、平成29年1月10日に試作品が納入されましたので、お知らせいたしま す。

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概要
装輪装甲車(改)は、陸上自衛隊の現有96式装輪装甲車の後継として、国際平和協力活動、島しょ部侵攻対処等に伴う各種脅威に対応するため、防護力の向上を図った装輪装甲車(改)を開発しました。

主要諸元
全長×全幅×全高 約8.4m×約2.5m×約2.9m
乗員定数 11人
重量 約20t
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装輪装甲車(改)          96式
全長:約8.4メートル       6.84メートル
全幅:約2.5メートル      2.48メートル
全高:約2.9メートル       1.85メートル
乗員定数:11名         10名
重量:約20トン         14.5トン


96式装輪装甲車WAPCクーガーは車高が低く、日本の山野で敵に対峙する場合車高が低いと有利であるが、96式は車体底部がW字型で地雷やIED即席爆発装置( Improvised Explosive Device)に対し脆弱であった。これでは、道路脇などに仕掛けられたIED路肩爆弾道路脇爆弾路上爆弾)に対し隊員の生命を守ることが危うい為、装輪装甲車(改)は96式の底部をV字に改良した新型車両だ。海外の紛争地域に派遣された自衛隊員の生命を守る為、車高が高くなり、地面との距離が置かれるようになったのが最大の特徴である。

96式には89式装甲戦闘車のような銃眼は無いものの、防弾ガラス張りの覗き窓がある。これがかなり脆弱であると問題になっていた。96式はスタックしやすく故障も多いという問題があった為 装輪装甲車(改)開発となったと言う。改とはいえ全く別な車体である。

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武装に関しては今のところ言及されていないが、一番最初に出回った左側のイラストの装輪装甲車(改)にはRWS:遠隔操作型火器架台(Remote Weapon Station)らしきものが描かれていた。

しかし、2014年のTRDIパンフレットに載っていた右側のイラストにはRWSが描かれておらず、試作車両にもRWSどころか機銃架すら見当たらない。後日装備となると思うが、海外派遣には是非RWSを装備してほしいものです。

ライバルの三菱重工が8輪装甲車「MAV」(Mitsubishi Armored Vehicle)は輸出用と考えているとは思うが、RWSはもちろんのこと、反応装甲、スラット装甲の装着可能である。
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三菱MAVの車体表面には不細工なボルトが多数取り付けられており、装輪装甲車(改)にも同じくボルトが目立ちます。これはスラット装甲等の取り付け用であり、装輪装甲車(改)もスラット装甲や反応装甲を装備されると思われます。

陸上自衛隊の装輪車両には小松製の装輪装甲車(改)系統と三菱系の16式機動戦闘車系統のMAVが存在することになり、加えて、防衛装備庁の陸上装備研究所の6輪の軽量戦闘車両システム、さらにハイブリット車両の4種類がファミリー化を構想しており、陸上自衛隊としてはどれを本命にするのか誰に聞いても明確な答えが出ていないが、順当に考えれば小松の装輪装甲車(改)系統がファミリー化すると思う。だが、三菱MAVも計画が有耶無耶になっている将来戦闘車両の接近支援車の40mmCTA機関砲塔を搭載し、89式装甲戦闘車の後継を狙っている可能性がある。

陸上装備研究所の場合は実用化をめざすのではなく研究用だと所員の方は説明する。

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2016/10/15(土) 午後 4:27 

ボツになった将来戦闘車両ファミリー
防衛省・自衛隊は、将来装輪戦闘車輌の研究を行った。
 「2003年より研究試作、そして2005年から2007年にかけて試験が実施された。試作された将来装輪戦闘車輌の砲塔には、新型の40mmテレスコープ弾機関砲が搭載されたことが知られる。この機関砲は、近接戦闘車は採用されるものと見込まていたが結局ボツになった。

将来装輪戦闘車輌は、エンジン、トランスミッション、走行装置など、できるだけ多くの部分を共通化した人員輸送車、指揮通信車、補給支援車、対戦車砲塔車、迫撃砲搭載車、対地機関砲搭載車(Ⅰ型)(人員輸送型)及び対地機関砲搭載車(Ⅱ型)(偵察型)とキャビンタイプの榴弾砲搭載車、多連装ロケット弾発射機、地雷原処理車の二種類が用意されるとされていた。

ところが、10式戦車配備数が大幅カットになったことにより、補完する為16式機動戦闘車が誕生し、将来戦闘車両が有耶無耶となり、基礎研究という形で、陸上装備研究所の6輪の軽量戦闘車両システムが研究され、その上ハイブリット研究車輛までファミリー化構想を打ち上げて・・・自衛隊の装輪装甲車輌のファミリー化はなぜに上手くいかないのだろう!予算不足もさることながら、防衛省、旧TRDIの防衛装備庁、小松・三菱重工のセクト争い、連携の欠如であろう。まあ、輸出前提の自由競争であるならば切磋琢磨したMade in Japanなのだが、輸出を本気で考えなければまったく無駄な争いにしか見えない。