イメージ 27
イメージ 28
【追記】防衛装備庁2017/8/9 新艦艇に係る調達の相手方の決定について


海自の新型護衛艦、4年間で8隻建造へ=防衛省関係者
【ロイター】2017年 02月 17日 16:37 JST

[東京 17日 ロイター] - 防衛省は島しょ防衛強化のため計画している海上自衛隊の新型護衛艦について、2018年度から4年間で8隻建造する方針を固めた。主契約者に選ばれた1社が8隻すべての元請けに、受注を逃したメーカーも下請けとして参画する。設計を統一してコストを抑制する一方、仕事を振り分けて国内における護衛艦の造船基盤が弱体化するのを防ぐ。

防衛装備庁が15日に建造者の募集を開始した。同庁は新型艦の建造数や価格、性能を公表していないが、複数の防衛省関係者によると、まず18年度からの4年間で8隻を造る。数に優る中国軍が東シナ海で動きを活発化させる中、日本も建造ペースを年2隻に倍増する。

1隻ごとに建造者を選定してきた従来の護衛艦と異なり、設計を共通化してコスト低減を図る今回は、8隻分の発注先をまとめて決定する。装備庁が公募で選んだメーカーが元請けとなるが、1社に建造が集中すると他社の造船所の稼働率が低下する恐れがあるとして、2番手のメーカーにも2隻目と8隻目の最低2隻を造らせる。

「護衛艦の国内生産基盤を維持する必要がある」と、装備庁関係者は話す。実際は、毎年予算を確保する必要があるため、年間2隻ずつの発注になる。

海自の護衛艦は三菱重工業 (7011.T)、IHI (7013.T)の造船部門などが統合してできたジャパンマリンユナイテッド(JMU)、三井造船 (7003.T)の3社が建造を手掛けている。15年度、16年度のイージス艦の受注競争で三菱重が立て続けにJMUに敗れたことから、防衛省内では建造基盤の弱体化を懸念する声が出ていた。

建造者の選考方法も、価格だけで決める競争入札はやめ、設計能力や建造能力、維持管理能力も含めて総合的に評価する方式に切り替える。

新型護衛艦は「コンパクト艦」とも呼ばれ、排水量5000トン級の従来艦よりも小型で高速のうえ、機雷掃海などの多機能性を持たせるのが特徴。南西諸島の小さな港にも出入りが可能となる。搭載するレーダーや火器も含め、これまで1隻約700億円だった建造費は400─500億円程度になるとみられる。

(久保信博 編集:田巻一彦)
防衛装備庁 「新艦艇に係る企画提案」の参加希望者募集要領 
平 成 2 9 年 2 月 1 5 日 
平成26年度以降に係る防衛計画の大綱を踏まえ,護衛 艦と掃海艦艇の機能を有するものとして建造される艦艇であり,平成30年度以降に 建造契約を締結することを想定した艦艇(以下、「新艦艇」という。)について、防衛 省が示す要求事項(高度な艦艇設計・建造、搭載装備品などに係る関連企業の管理能 力、設計から維持整備までの一元管理能力、建造経費)を満足する最適な艦とするた めの企画提案を作成し提出を求めるものである。 
当初「多機能護衛艦DEX」と呼ばれていたが(そう思っていた)、いまだコンパクト護衛艦DEX」「DX」「30DX」「30DD30MSX」「30艦「3000DEX」3000トン型将来護衛艦多機能護衛艦」「新たな護衛艦」呼び方が定まっていない。防衛装備庁の2017.2.15の報道資料では「新艦艇」と呼称しており、wikiでは困り「新たな護衛艦」3月号の世界の艦船「海上自衛隊vs中国海軍」元海将・香田洋二氏は「30艦」と呼称されていて統一の呼称がない。

本記事では新艦種なのでDE/DDと従来艦種で呼称するのは不適当なので、正式予算化されるまでは「X」がついて然るべきなのでDEXかDXであるが、主にDEの後継なのでDEXを採用し、平成30年度計画艦なので「30DEX」それに防衛装備庁で直近で(新艦艇)と呼称しているので、30DEX(新艦艇)と呼ぶことにします。

平成26中期防では圧倒的な速度で増強する中国海軍に対し、南西諸島の防衛をにらみ、海上優勢の維持の為、護衛艦を2013年度(平成25年度)の47隻から約10年後2023年(新元号5年)に7隻増強し54隻体制にすると計画されている。

一方、掃海艦艇定数を25隻から7隻減の18隻に削減する方針である。要は掃海艦艇定数を7隻減らした分、護衛艦を7隻振り替え増強する苦しい選択なのだ。


このため30DEX(新艦艇)はASW重視の護衛艦でありながら掃海艦艇が有する対機雷戦能力の保有という多機能な任務が求められている。機雷戦の際に水中情報を効率的に取得するためのUSV(無人水上艇)やUUV(無人潜水艇)を搭載する。

小型化に伴い、従来の護衛艦では入れなかった港への入港が可能になり、大規模災害時に緊急物資を高速で輸送することや、離島奪還作戦もにらみ、小規模な陸上戦力の輸送や揚陸作業、揚陸要員の輸送など両用戦への参加も期待される。また、海外での海賊対処への投入なども視野に入れており、多様な任務に活用する計画だ。

30DEX(新艦艇)の基準排水量は約3千トン級で従来型の護衛艦DDより小型にはなるが、「はやぶさ型」ミサイル艇の最大速力44ノットに肉薄する、最大速力は約40ノットと、第二次世界大戦中の昭和18年に就役した40.9ノットを記録した伝説の高速駆逐艦「島風」と肩を並べる。
イメージ 6
公試排水量 3,048トン 満載排水量 3,323.9トン

30DEX(新艦艇)は40ノットの高速で移動できるため、漁船を装った不審船など小回りの利く船舶への対処で威力を発揮できると判断している。水中を自在に動き回る潜没潜水艦に対しても、速力を生かしてより機動的な追跡が可能になるという。

価格は従来の護衛艦の半額程度を見込んでおり、今年(平成29年)8月に公募を締切、設計を始めて平成30年度から建造に着手する予定だ。

30DEX(新艦艇)は、アメリカ海軍のLCS(沿海域戦闘艦)もどきの計画であった。LCSは、中東や南シナ海で活動する目的でOHペリー級の後継として、中小規模海軍制圧には有効で、戦争以外の軍事作戦(MOOTW)を主眼として、空母打撃群の勢力圏内で活動するための軽装備で高速・機動性に優れた小型軽便艦として設計されていた海軍艦艇である。

多機能護衛艦DEXが最初に紹介された世界の艦船2014年4月号ではフリーダム級LCS(沿海域戦闘艦)もどきのSSMもVLSの装備もない軽兵装の艦であった。



ところが、2015年5月11日南シナ海の南沙諸島公海上をパトロール中の米第七艦隊所属沿岸戦闘艦フォート・ワース(LCS‐3)が中共海軍の江凱II型(054A型)フリゲート艦「塩城」(FFG-546)の追尾を受け、「海上衝突回避規範」に沿って海上での偶発的な衝突を回避するための行動基準を取るような緊迫した状況に何度も陥ったという事件が起きた。

フォート・ワースは3000トン級の最新鋭艦であるにもかかわらず、追尾する中国のフリゲートを撃沈できる対艦ミサイルを搭載していない。敵艦を攻撃できるLCSの武器は、射程6.5kmの57mm単装砲が1門にすぎず、あまりの非力さにLCSでは、南シナ海などでの接近阻止・領域拒否(A2/AD)戦略のような高脅威環境下での活動には能力不足であることが露呈してしまった。

南シナ海などで中国海軍がそのプレゼンスを台頭させ、日米海軍に公然と敵対する環境変化に対して、軽兵装のLCSではとても対抗困難であると判断され、LCSの設計思想は残念ながら破綻してしまった。

2015年10月から始まった「航行の自由作戦」においては、LCSでは対抗できない為にその任にはアーレーズ・バーグ級イージス艦ラッセンが務めることとなりLSCはクビとなった。

また、各種新装備のために、軽便艦の特長であるはずの低価格も損なわれていたので、米海軍はLCSの建造を32隻で打ち切り、武装や防御を強化した小型水上戦闘艦(SSC)の建造に移行するこになった。

2014年(平成26年)防衛白書うに登場したイラストも非力すぎたが、艦橋前方にVLSが装備されるかもしれない場所があるイラストが発表となった。

これは上記のように参考にした米海軍のLCS設計思想の破綻したため、重武装型の小型水上戦闘艦(SSC)へ転換したことに影響を受けたものである。30DEX(新艦艇)海外派遣や行動環境の外洋化に対応するため、汎用性や他艦種の代行という多用途性を重視すると必然的に従来の2000トンクラスのDEでは外洋での長期行動を伴う任務に応えられない。

小型水上戦闘艦(SSC)はアメリカ海軍が2015年1月に発表した「HUK(Hunter killer:ハンターキラー)/SAG(Surface Action Group:水上攻撃部隊)」を編成して各種長射程ミサイルを装備し、広域分散配置することで、空母機動部隊より低コスト且つ広域の制海権確保を企図する「Distributed Lethality(分散武器)戦術」の構想によるものだが、30DEX(新艦艇)はそれに倣ったものになることが期待される。

しかし、30DEX(新艦艇)の予算規模は、いまのところ400億円前後である。これでは将来運用構想すべてを満たす艦艇を1番艦から建造することは不可能である。

30DEX(新艦艇)はこれまでの艦艇と大きく装備体系が異なるため、多くの装備品が新規開発となり、そのための初度費だけでもさらに建造経費は膨らむことになる。

30DEX(新艦艇)は米海軍がイージス艦で採用しているベースライン管理を導入し、確実に全艦艇が足並みを揃えて単価を抑えた全艦艇統一のソフトウェアとハードウェアにより能力を向上させる手法をとる可能性も否定できません。

30年度予算の新型艦艇は当初必要最小限の武器のみを装備する、いわゆるベースライン0の艦艇とし、そして、コスト低下のために船体の設計を全艦艇で同一とした上で、ベースライン1、ベースライン2へと、徐々に新たなソフトウェアおよび武器等を追加、もしくは搭載替えすることにより能力を向上させていくことになる可能性が高いのだが、ご存じのように尖閣や南シナ海、北朝鮮問題で危機が差し迫っているため、悠長にベースライン0からしている余裕はない。

機関

機関型式は低速域はディーゼルエンジン、高速域はガスタービンエンジンによるCODOG方式が妥当ではある。費用対効果を考えると40ノットがオーバースペックであり30ノット台を主張される方がいるが、将来的に高出力レーザー兵器やレールガンを搭載することを考慮すれば、あさひ型護衛艦で採用された電動機とガスタービンエンジンを併用して推進器を駆動するCODLAG方式の方が発展性がある。
イメージ 20
上のイラストは30DEXのモデルかもしれません。

艦対艦誘導弾

沖縄沿海では地対艦誘導弾がハリネズミのように配備されれば新艦艇にはSSMを搭載しないという当初予定であったが、今後10年20年後の海上自衛隊の主力艦となる為、12式地対艦誘導弾の艦載型である「新艦対艦誘導弾」90式艦対艦誘導弾射程150km~200kmの後継で、射程距離300Km超(推定)の新型艦対艦ミサイルを搭載すると思われる。この新艦対艦誘導弾が平成29年度までに開発が完了する子定であることから、これを搭載することになるであろう。


XSSM-3/23式地対艦誘導弾(仮)開発へ  2016/8/15(月) 午前 1:14 


■個艦防空
個艦防空用に、CIWSとしてSeaRAMブロックⅡ(射程400 m〜15 km1基を搭載するが当初ESSMは搭載されないとされてきた。だが、中国海軍が大挙尖閣や先島諸島に殺到し、中国航空兵力によるミサイル飽和攻撃など熾烈かつ集中的な対艦攻撃を受けた場合、確実に排除するには最低でも海自のDD級の対空能力が必要であるSeaRAMブロックⅡ(射程400 m〜15 kmだけではとても防御しきれない。

島嶼防衛作戦において沿岸からの対空、対艦ミサイルの支援も期待できるが、南シナ海南部~東シナ海尖閣諸島においては必ずしも期待できない。30DEX(新艦艇)は南西列島周辺海域における各種任務においても総合戦闘力に優れる海自DD並の作戦遂行能力が求められるのである。沿岸作戦という比較的低い脅威を想定して各種戦能力を限定した従来のLCSもどきでは、航空攻撃を排除しながらの島嶼防衛作戦とその環境下での潜水艦脅威排除が極めて困難であることは明白であろう。

その為30DEX(新艦艇)には、03式中距離地対空誘導弾(改)をベースとした「新艦対空誘導弾」(2017年度から開発が始まり2022年度(新元号4年度)に搭載する可能性が高まった。性能は推測だがESSMの性能を大幅に上回る、打ちっ放しアクティブ・レーダー誘導で射程100~160kmが予想される。
 Mk 41 垂直発射システムVLSについては当初、初期型は装備しない可能性もあるが、私は8セル程度は装備すると考えています。因みにESSM同様1セルに4発の「新艦対空誘導弾」が格納される。

将来的に32セルまで増設可能な余裕を持つと言われていますが、8隻同時に設計されるのであれば当初から32セル設置しても、追加するよりもり予算の節約となるのだはないだろうか?
SAM(Surface to Air Missile)については、予算的に1番艦からのESSMの装備が困難であり、かつ新型艦艇による対空戦が個艦防空であること、および予備品や教育を考慮すると、導入実績のあるシステムが適当と考えられることから、“いずも”型が採用したシーRAMを装備することになるであろう。装備位置としては、備砲と反対の後部が考えられる。                         
VLS(Vertical Launching System)では、トルコ、シンガポールや南アフリカ等の同規模の艦艇が1基8セルのものを4基32セル装備していることから新型艦艇においても、当面の予算の状況から1基8セル程度の導入になるであろうが、将来の発展性に鑑み,少なくとも4基32セルを搭載できるスペースを確保することが適当である。

これによりVLA(Vertical Launching Anti submarine rocket)や、ESSM、トマホークなど多くのミサイルを発射可能とする発展性を担保することが可能になる。


イメージ 12
    新艦対空誘導弾(イメージ)  
■艦載砲
主砲はMk 45 5インチ砲1門と不審船用にRWSが2挺が搭載されるとされる。将来的にはレイルガンもしくは高出力レーザー照射機に置き換えられる可能性もあるだろう。私は、5インチ砲では3000tの船にはオーバースペックであるから、3インチ砲+艦載砲用長射程弾でもいいような気がします。

艦載砲用長射程弾について 2017/6/14(水) 午後 11:58

捜索用レーダー、電子戦およびセンサー
レーダー等は2015年(平成27年)年度概算要求のイラストに描かれているように、
捜索用レーダーおよび電子戦は、RCS低減の観点から複合アンテナに集約されるであろう。レーダーについては、廉価でかつ近距離に強いXバンドを採用した対空、対水上、対潜望鏡捜索、射撃およびESM(Electronic Support Measures)への対応が可能な多機能レーダーが装備されるであろう。この多機能レーダーは、ビームをコントロールすることにより数十浬の探知距離を確保できる、対空対水上レーダー電子戦用の共用マストになる。数段階に分かれて装備の増備や載せ替えが検討されている。

イメージ 8
対空レーダー・対水上レーダー・砲管制・電子戦のアンテナを共用化することで、小型化・低コストを目指す。搭載される多機能レーダーは、Xバンドのみで電子戦用アンテナはESM(電子戦支援)のみでECM(電子対抗手段)は搭載せず、対艦ミサイル対処のため、長射程チャフであるMk36Modl8 SRBOCによる赤外線ホーミング対応のフレア・投棄式の電波妨害であるEJ(Expendable Jammer)弾で補うとしている。
なお、航海用レーダーは敵からの識別を困難とするため、商用ベースのレーダーを併設する可能性が高い。

統合指揮所/省人化
 30DEX(新艦艇)の乗員については、従来の汎用護衛艦よりも少人数、省コストで済むことを鑑みれば、あぶくま型の乗員120名に対し30DEX(新艦艇)では60~100名に抑える必要がある。
省力化の観点から、新型艦艇では特定の電信室や操縦室兼応急指揮所およびUB(Underwater Battery)を持たず、また機器室も必要最小限とし、多くを統合指揮所1ヵ所に集中して艦を指揮・運営することになる。
集中した統合指揮所により、艦長を中心として戦闘、艦の運航、機関の制御、ダメージ・コントロールおよび艦内外通信等をすべて遠隔、省入化のうえ、効率的に遂行されることになるであろう。これにより、複数の武器やセンサーの情報を少ない乗員で確認することができるため、乗員数を大幅に削減することが可能になる。
イメージ 22
艦橋では、省人化の為、航海指揮官1名に見張り員が左右に1名ずつの、計3名の配員になると考えられるため、航海安全については、統合指揮所(従来のCIC )における操艦をより安全に実施できるよう、戦闘機に搭載しているような全周監視用赤外線捜索追尾システムIRST(infra-red search and track) systemを装備し、統合指揮所においても艦外の状況を昼夜および視界の良否に係らずモニター可能なシステムを構築することが考えられている。

情報処理装置
新型艦艇の搭載するシステムはすべて、すなわち戦闘指揮システム、機関制御、ダメージ・コントロール、艦内外通信、C41、レーダーおよび武器システム等の艦上システムが共通サーバー上で動くことになるであろう。当然、個別の機能ごとのサブシステムのプログラムは存在するが、それらがすべてインターネット・プロトコルにより連接されるとともに、システムごと容易に接続、変更することが可能になるであろう。また、ハードウェアも民生品(COTS : CommerCial onlthe-Shelf)を使用することにより、より高い柔軟性と最新の能力を付与することが可能になる。
■戦術データ・リンク

新型艦艇は1艦では十分な力を発揮することは困難である。30DEX(新艦艇)はネットワークが鍵になる。よって,戦域系としてはMARS洋上端末の最新版や米軍のCENTRIXS、戦術系としては、LINK-16とのデータリンク、武器管制の可能なネットワークが最低限必要であろう。

自艦レーダー探知距離以遠の情報については、汎用護衛艦や搭敵機等、艦外のセンサーから受け取るかたちになる。水平線以遠における情報交換のためには,UAV等による中継織も考えなければならない。

戦術データ・リンクは初期型はJ-CECと呼称される国産のCEC(共同交戦能力)が備えられ、長射程ミサイルの運用等に活用される。

イメージ 11

■ASW(対潜作戦)
イメージ 23
 新型艦艇では浅い吃水が求められていることから、固定のバウ・ソナーの装備は困難である。対潜センサーとして、ソナーは掃海艇のようにハル・ソナー、船体ソナーにサイドスキャンによる高周波・低周波合成開口ソナー機雷探知機であるZQS-4と予想されるが、現在のZQS-4は機雷探知機であり、短い探知距離のため当然、対潜戦で活用することは困難である。そこでVDS(可変深度ソナー;VDS:Variable Depth Sonar System)とTASS(戦術曳航ソナーTowed Array Sonar)を組み合わせた「可変深度ソーナーシステム(バイ/マルチスタティック用)」が搭載されると予想される。もちろん40ノットの高速力で航行する場合に備えて、昇降式で船体に格納が可能な装備になるはずである。
対潜攻撃装備は、当初のLSTもどきの計画では、対潜ロケットはおろか、三連装短魚雷発射器すら搭載されていなかった。これは論外であり、三連装単魚雷発射器は最低でも必要である。VLSが搭載されるのであれば、07式垂直発射魚雷投射ロケット、もしくはその射程延長型が搭載される可能性が高い。

あきづき型以降の護衛艦から装備されたTCM(対魚雷防禦システム)FAJ 投射型静止式 魚雷ジャマ―MOD 4連装自走式デコイランチャー、3000t級であるからコンパクト化する為 MK36 SRBOCから投射すると推測される、この場合はSRBOCを回転式とするとの情報だ。
積極平和外交を先進国の責任として我が国が進めるとなると、低強度紛争への対処や人道援助は将来的に増加する。30DEX(新艦艇)は、領域警備や海賊対処、災害派遣など非戦闘的任務の増加と、補助艦艇(掃海艇、訓練支援艦、練習艦)等の減少対応するため、当然、30DEX(新艦艇)はその種任務への対応が求められる。

だが、今後、防衛予算は増えない。当然、そのしわ寄せは正面戦力以外に向く。特に補助艦艇については、将来的には質だけでなく、数も減る。このため、30DEX(新艦艇)にはその任務分担あるいは代行が求められる。

必要に応じ掃海、人員輸送など専用の舟艇運用設備や各種の荷役補助器機を搭載するので、甲板作業やヘリ運用、舟艇運用の作業性を重視し、後甲板面積や船内容積での余裕確保が必要であろう。レイアウトの工夫し、増員スタッフが乗船出来る船室の確保も必要だろう。

機雷戦 
イメージ 24

新型艦艇は、コンパクトであることから掃海母艦のような大規模な装備ではなく、簡単なものになるであろう。

新型艦艇において機雷戦を主体となって実施するのは、無人水上艇(USV : Unmanned Surface Vehiclee)、無人潜水艇(UUV : Unmanned Underwater Vehicles)および自走式機雷処分用弾薬(EMD: Expendable Mine Disposal System)の無人システムである。

30DEX(新艦艇)では、任務に応じ、無人機を搭載し使い分けると思う。基本装備は、あわじ型掃海艦と同じEMD(自走式機雷処分用弾薬)を搭載すると思われる。
将来的にはUSVからEMDを投入し、管制できる機能を持つ。
イメージ 14
 UUVについては、海上自衛隊でもリーマス100や600を運用しており、実績を積み上げている。また、技術研究本部で実施しているUUVとUSVの連携技術については、合成開口ソナーにより能力を向上させたUUVとUSVが協調しながら上下に並列航走し、UUVが取得した水中情報を音響通信によってリアルタイムにUSVに伝送し、USVを中継して母船等に伝送することが可能であることを実証している。そのためこれを用いれば、新型艦艇であっても遠隔からの機雷探知は可能になる。

USV(無人水上艇)や作業艇、艦載ヘリによるサイド・スキャン・ソーナーによる海中透視や、簡易な掃海具曳航その他に無人ロボットとしてUUV/AUV(自律型無人潜水機)を搭載する。
イメージ 15
イメージ 16

以上述べたとおり、対機雷戦については出来ても掃討までであり、掃海の能力を持つことは当面困難であろう。

 これら無人のシステムは載せ替えが比較的容易であることからすべてユニット化し、必要時に搭載できる形とすることが適当である。機雷探知機と機雷戦用戦闘指揮システムについては、載せ替えが困難と考えられることから常備することになるであろう。

 機雷敷設については、現在掃海母艦、P-3Cおよび潜水艦により実施されているが、新型艦艇についても対応する作戦様相に鑑みると、機雷敷設能力が求められる。
イメージ 17
イメージ 18
将来的に対潜バリアーを構築するLDUUV(大型水中無人ヴィークル)を搭載する可能性がある

■航空機
 航空機については、対潜戦や対水上戦など多様な場面で必要になることから、SH-60Kまたはその能力向上型を搭載することが考えられる。 

しかしながら、ベース0においては専用機は搭載せず、必要に応じDDHや汎用護衛艦等から借用すると考えられる。なぜなら、一番予算を削っても、容易に補完できるからだ。将来的には無人機(UAV : Unmanned Aerial vehicle)を搭載し、有人機を補完するかたちでの活用が考えられる。

■練習艦機能/揚陸作戦/訓練支援

練習艦の任務時は、実習員用の居住区と講堂が必要となる。陸自の「水陸機動団」輸送も鑑み、予備の兵員居住区や士官室を設計に盛り込むべきだが、格納庫にコンテナハウスの仮設もありかもしれない。

訓練支援任務を行う場合は、必要に応じ、標的機や射出カタパルト、支援機器を搭載すればよい。

 
最終的な建造数は掃海艇うわじま級とすがしま級退役の代替え増備分7隻に加え、あぶくま型護衛艦(6隻)はつゆき型護衛艦(同型艦12隻うち現役艦艇5隻)あさぎり型護衛艦(同型艦艇8隻うち地方隊5隻)の代艦として、また訓練支援艦「くろべ」代替として2030年までに計22~24隻が建造され、地方隊の中核となる可能性がある。

30DEX(新艦艇)が最終的にどのような艦になるかは、これから公募される設計次第となると思う。 船体規模は5,000トン以下としかロイター記事に書かれていないが、ウォータジェット推進で40ノット以上とされるので「コンパクト化」とあることから、基準排水量3000トン満水排水量3500トン程度の大きさで、単価は500~600億円以内に抑えたいと防衛装備庁は期待していると思う。

しかし、この記事で期待を膨らませて書いた能力すべてを実現させるのに500億~600億円で建造することができるかは正直わからない。(かなり厳しい) 価格を抑えるために、最低限必要な装備が削られるのではないかと、些か懸念してしまう。


これとは別に輸出用に三菱重工が発表した次世代3000トン型護衛艦FFX(30FF)があるが、現在発表されたスペックでは失敗したLSCもどきであり、重武装化しなくては国際マーケットではとても太刀打ちできないであろう。




イメージ 25
イメージ 26
MASTASIAに出品されたこのトリマランのコンセプトモデルは哨戒・掃海活動に重きを置いたもので、水船長80m準排水量1160tという船体であり、基準排水量3,000トン~3,500トン、満水排水量3,500~4,000トン弱を想定している為、新型多機能護衛艦「30DEX(新艦艇)」として、小型過ぎる。SSMとVLSを装備余裕がなく、大型化してVLSとSSMを搭載するだろう。新型多機能護衛艦「30DEX(新艦艇)」はへたをすると、そのまま自衛艦隊の主力艦艇となる為、安易な小型量産型海防艦では役立たずのLSCの二の舞になる恐れがある。