巡航ミサイル導入を本格検討
【ロイター】2017年 05月 6日 02:00 JST 

政府は北朝鮮による相次ぐ弾道ミサイル発射や核開発継続を受け、日米同盟の対処能力を強化するため、巡航ミサイルの将来的な導入に向けた本格検討に入った。北朝鮮の脅威は新たな段階になったとして、発射拠点を巡航ミサイルなどにより破壊する「敵基地攻撃能力」の保有を目指す。早ければ、来年度予算案に調査費などを計上したい意向だ。政府関係者が5日、明らかにした。

 敵基地攻撃を目的とした装備を持つことは、「専守防衛」という日本の防衛の基本方針から逸脱しかねないとの懸念が根強い。政府、与党内にも慎重論がある。安倍政権は「反撃能力」と位置付ける方針だが、野党からの反発は必至だ。
北朝鮮の核弾道弾による危機が普通の人々の頭の中で既視感(きしかん)化しはじめ、2020年憲法改正のカウントダウンが始まるとともに、自衛隊による策源地攻撃が遂に具体的に始動を始めた!

[東京 8日 ロイター] - 北朝鮮の弾道ミサイル開発の進展を受け、政府・与党内で敵基地攻撃能力の保有議論が再び活発化してきた。これまで幾度となく浮上したテーマだが、費用や技術的な難しさに加え、地域の軍拡競争につながることなどを懸念する米国の支持を得られず、実現してこなかった。

議論を主導する自民党は、抑止力が高まるとして今年夏前までに政府への提言を再びまとめる考えだ。

<在日米軍基地の攻撃を想定>

敵基地攻撃能力は、F35のようなステルス戦闘機による空爆や、巡航ミサイルといった打撃力を使い、敵国内のミサイル発射装置などを破壊する能力。専守防衛を掲げ、抑制的な防衛力の整備を基本としてきた日本は、たびたび保有論が頭をもたげつつも、この能力を米軍に依存してきた。

しかし、同盟国の自助努力を訴えるトランプ政権が米国で誕生したことで、能力保有の検討を進めるべきとの声が自民党を中心に再び浮上。さらに今年2月と3月に発射された北朝鮮の弾道ミサイルが、議論に拍車をかけている。

自民党の今津寛・安全保障調査会長は「巡航ミサイルなのか、F35なのかは分からないが、(能力を)持つこと自体が抑止になる。それすらないと、北朝鮮から日本は何もしてこないと見られる」と話す。

政府・与党関係者が特に衝撃を受けたのが、今月6日に4発のミサイルを日本海へ発射した後、北朝鮮が国営通信を通じ、在日米軍基地への攻撃を想定した訓練だったと明らかにしたこと。脅威のレベルが上がったと、関係者は口をそろえる。

自民党内の議論を主導する小野寺五典・元防衛相は「相手の領土からミサイルが飛んできて日本を攻撃するというのは、かつては想定していなかった」と指摘する。「しかし技術が進み、北朝鮮のような何をするか想定できない国が、その技術を持ったとすれば、1発撃たれた後に2発目、3発目を撃たせないための能力も必要だ」と話す。

<「基礎研究は終わっている」>


日本政府は改良した迎撃ミサイルの配備を急ぐとともに、陸上配備型イージスなど新型迎撃ミサイルの導入の検討を進めている。その一方で、敵基地攻撃能力の研究も水面下で続けてきた。政府関係者の1人は「基礎研究は終わっている」と話す。

比較的容易なのは、沖縄県与那国島に島しょ防衛用の地対地ミサイルを配備すること。北朝鮮も射程に入れることが可能という。

米ロッキード・マーチン(LMT.N)製の射程1000キロの空対地ステルスミサイルや、もう少し飛距離が短いノルウェーのコングスベルグ社が開発したジョイント・ストライク・ミサイルをF35に積めば、すぐに能力が整う。

自民党は今から4年前にも敵基地攻撃能力の保有を政府に提言しているが、今ほど北朝鮮の弾道ミサイルの能力が高まっておらず、政府が正式に採用することはなかった。アジアの軍事バランスが崩れることなどを懸念した米国が、難色を示したことも影響した。

自民党は今国会の会期末までに政府への提言をまとめる。2019年度からの次期中期防衛力整備計画に反映させたい考えだが「そこまで待って良いのか。可能なものは18年度予算から取り組むべき」(自民党関係者)との意見も出ている。

一方で、「こちらが攻撃をした後に、相手がどういう反応をしてくるのか。基地を1つたたいたら、どんどん撃ち返される恐れもある。リスクについても検討する必要がある」(別の自民党関係者)と、慎重な議論を求める声もある。

(久保信博、ティム・ケリー 編集:田巻一彦)
2003年3月、当時の防衛庁長官石破茂氏が衆議院安全保障委員会で日本の策源地攻撃に巡航ミサイル保有の可能性についての質問に対し「検討に値することだと思う。少なくとも思考停止に陥っては国の平和と独立に責任を持つことにはならない」と、政府の要職にある人物で最初に策源地攻撃論を主張した。このときは隠れ反日の当時の首相小泉純一郎が「政府としてそういう考えはない。専守防衛に徹する」と石破氏の発言をばっさりと否定して終わっってしまった。

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翌2004年、16防衛大綱、17中業(中期防衛力整備計画:平成17年度-平成21年度)の原案に陸自用のATACMSHIMARSの導入と島嶼防衛に使用する長距離支援火力として射程300キロの巡航ミサイルの研究開発、海自には海上発射トマホークの導入を要求を、盛り込まれていたが、いずれも連立与党の公明党の反対により実現できなかった。

2007年11月7日に行われた第10回日米安全保障戦略会議にて玉澤徳一郎元防衛庁長官が「わが国も巡行ミサイルを保有したい」と述べ。同会議に於いてレイセオン社は日本に対してトマホークの導入を提案している。

次に2009年産経新聞報道では、自民党の国防部会が防衛大綱に巡航ミサイル保有を盛り込もうとした。
年末の防衛計画大綱改定に向け、自民党国防部会がまとめた素案概要が25日分かった。4月の北朝鮮弾道ミサイル発射を受け、海上発射型の巡航ミサイル導入など敵基地攻撃能力の保有を提言。米国を狙った弾道ミサイルの迎撃など4類型について政府解釈を変更し、集団的自衛権の行使を認める方向性も示した。

 政府は敵基地攻撃は、敵のミサイル攻撃が確実な場合は憲法上許されるとするが、北朝鮮まで往復可能な戦闘機や長射程巡航ミサイルがない。素案は弾道ミサイル対処で、ミサイル防衛(MD)システムに加え「策源地攻撃が必要」と明記。保有していない海上発射型巡航ミサイル導入を整備すべき防衛力とした。

 MDでは、自前の早期警戒衛星開発やPAC3より広い空域での迎撃が可能な「THAAD」(高高度地域防衛)システムの導入検討を提言。公海上に展開するイージス艦防護を念頭に、公海上の自衛隊艦船・航空機への不法行動にも武器を使用して対処できるよう検討することなどを打ち出した。

 素案は日米協力や国際貢献のため、(1)公海上での米軍艦艇防護(2)米国を狙った弾道ミサイルの迎撃(3)駆けつけ警護(4)他国部隊の後方支援-の4類型について、集団的自衛権行使に向けた国民理解を深める必要性を強調。複数国による戦闘機などの共同開発を視野に武器輸出3原則を見直し、米国以外の企業とも共同研究・開発、生産を解禁する考えを示した。

http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090526/stt0905260130001-n1.htm
ご存じのとおり、2009年第45回衆議院議員総選挙によって自民党から民主党へ政権交代したことにより、上記の要求は2010年12月17日に決定された民主党政権初の23年防衛大綱23中業(中期防衛力整備計画)には盛り込まれなかった。

自民党が政権奪回後2013年再び策源地攻撃能力賦与について期待が高まった。


政府、弾道ミサイル対処研究明記へ「敵基地攻撃能力」視野、年末の新防衛大綱 【Yahooニュース】2013.11.9 11:34 

政府は8日、年末に策定する新たな防衛力整備の基本方針「防衛計画の大綱」に、弾道ミサイル攻撃への対処能力向上を盛り込む方針を固めた。7日に官邸で開いた安倍晋三首相と菅義偉官房長官、岸田文雄外相、小野寺五典防衛相らの会合で確認した。従来の「弾道ミサイルへの対応」との表現を一歩進め、弾道ミサイル攻撃の研究に踏み出すことで、将来の敵基地攻撃能力保有に向けた布石を打つ狙いがある。

自衛隊は現在、弾道ミサイル攻撃には地対空誘導弾パトリオット(PAC3)などのミサイル防衛(MD)で対処する態勢をとっている。ただ、周辺国からの一斉発射や連続した攻撃には対応仕切れない問題点がある。

北朝鮮のミサイル性能が向上し、大規模被害が予想される中、対処能力の向上は避けて通れないと判断した。一方で、最終的な対処には、戦闘機や海上から巡航ミサイルで相手国のミサイル基地を攻撃することも選択肢となるため、研究が進めば日本の被害を防ぐ敵基地攻撃能力の保有の検討へとつながっていくことになる。

日米両国は来年末までに自衛隊と米軍の防衛協力指針(ガイドライン)を改定する方針。両国の役割分担を見直す一環として自衛隊の対処能力の研究を進め、実際の有事に備えた防衛体制の整備を進める狙いがある。

ただ、大綱そのものに「敵基地攻撃能力の保有」は盛り込まない方針だ。専守防衛からの方向転換という誤解や、連立与党の公明党の反発が予想されるためだ。具体的には、直接的な表現に代わり「対処能力を高めるため装備や運用構想の研究を進める」などの文言とする方向で調整を進めている。          
http://rdsig.yahoo.co.jp/blog/ ... DA3k8rKRH91QiopKZ7yf07yd6sqLg-      
しかしながら、2013年自民党が政権奪還後策定された防衛大綱や中業には、連立与党公明党への配慮から、またもや「敵基地攻撃能力」は見送られた。

2003年の石破発言から14年、未だ策源地攻撃攻撃兵器として日本は巡行ミサイルを保有していない。

しかし、2009年の素案のうち海上発射型巡航ミサイル導入と米国を狙った弾道ミサイルの迎撃を除き、安倍内閣において逐次実現してきている。26大綱で公明党に
配慮し表向き盛り込んではいないが、自民党素案に有った射程500km級の短距離弾道弾の開発を水面下で行っていると、上掲のロイター記事で政府関係者が話しており、
【トトメス5世】 2015年06月07日20:40

そして北朝鮮の弾道ミサイルについて、一般市民レベルでも脅威を感じ始めた今日、2020年の憲法改正にあわせいよいよ「策源地攻撃」日本も巡行ミサイル保有の実現性を帯びてきた。

「策源地」とは本来、前線に物資を送り込む後方の補給拠点のことだが、近年「策源地」は広い意味で、「ミサイル基地攻撃」の事を意味するようになった。

1956年に鳩山一郎内閣で
「わが国に対し急迫不正の侵害が行われ、侵害の手段として誘導弾等による攻撃が行われた場合、座して自滅を待つべしというのが、憲法の趣旨とするところだというふうには、どうしても考えられない。攻撃を防御するのに、他に手段がないと認められる限り、誘導弾等の基地をたたくことは自衛の範囲内に含まれ、可能であるというべき」
(第二十四回国会衆議院内閣委員会会議録第十五号)

「他に手段がない場合、誘導弾の基地をたたくことは自衛の範囲内」と国会で答弁した。しかし専守防衛の理念とぶつかる考え方の為、自衛隊はこれまで本格的な敵基地攻撃能力の獲得は行ってこなかった。

実は日本は2015年限定的ながら対基地攻撃が可能な準巡航ミサイルUGM-84L Harpoon Block II を保有している。射程280kmで中間誘導にGPSを併用、艦艇だけでなく地上目標の攻撃も可能となっている。

2015/6/16(火) 午後 11:55

野党は残念がら私のブログを見逃してしまったようで、準巡航ミサイルのUGM-84L Harpoon Block II 導入が国会で全然問題視されなかった。(笑)

今後国会でトマホーク導入の際にはハプーンブロックⅡは既に対地攻撃能力を持っている既成事実は、トマホーク導入の際、導入口実になる可能性もあるが、改憲前でも1956年より策源地攻撃は自衛の範囲内であるから、2020年導入で準備することは可能だ。

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巡航ミサイルは精密なGPSシステムによってコントロールされているため、日本が巡航ミサイルを導入し独自に運用するためには、日本独自のGPS衛星を多数導入する必要があります。このことを見込んでかは不明だが、準天頂衛星システム( Quasi-Zenith Satellite System:QZSS)を構築中である。

QZSSは主に日本地域向けに利用可能とする地域航法衛星システムで、JAXAが主体だ。2010年9月11日に技術実証のための準天頂衛星初号機みちびき (QZS-1)が打ち上げた。2016年4月の宇宙基本計画で、2017年に衛星3機が追加で打ち上げられ、2018年に4機体制でシステムを運用開始し、さらに2020年に初号機の後継1機と2023年に衛星3機を追加して7機体制で運用することが閣議決定されている。
                                                                          日本上空を通る準天頂軌道(非対称8の字軌道)

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公開された準天頂衛星「みちびき」2号機=2017年4月5日、茨城県つくば市の宇宙機構筑波宇宙センター


一定の抑止力は期待できる為、トマホーク巡行ミサイルについては信頼性も高く、即時導入すべき兵器である。現在最新型がタクティカル・トマホークである。

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タクティカル・トマホーク

タクティカル・トマホークは、トマホークの最新発展型である。これは、ブロック IV中止後の1998年に同計画のより廉価な代替案として提案され、当初はブロック Vと呼ばれていたが、ブロック IVの名称が復活した。                                                                     この計画では、生産段階におけるコストの削減が目指され、現行のTLAM-C/D(ブロック III)の半分の価格で、性能を損ねることなく調達することとされた。そのために軽量化とより安価なエンジンへの換装が行われる。                                     
また、軽量化に伴う構造強度の低下により、潜水艦発射型は魚雷発射管からの発射ができなくなったため、もっぱらVLSから発射されることになったが、魚雷発射管より発射できるタイプも2007年にはテストされ、イギリス海軍はこれをトマホークBlock IVとして導入し、トラファルガー級原子力潜水艦やアスチュート級原子力潜水艦で運用されている。                                       
また、能力向上として、以下のような機軸が盛り込まれた。               
・UHF周波帯の衛星リンクによる飛行中の再プログラム。これにより、事前に登録された15個までの代替目標のひとつ、または、GPSで指示される任意の座標に指向させることができるようになった。                                  
・また、同じ衛星リンクを利用する、前方監視カメラ画像の発射母体への送信。損害評価または照準に利用することができる。                            
・(従来では不可能だった)搭載艦艇での飛行計画立案、具体的にはGPSを用いた目標座標指示による柔軟性の向上。                                 
タクティカル・トマホークの試射は潜水艦発射型・水上発射型とも2002年に成功し、レイセオンと生産契約が結ばれた。2004年には、作戦可能状態に達し、実戦配備が開始された。                                       
タクティカル・トマホークには2つのバリエーションが含まれる。RGM/UGM-109Eは、ブロック IIIと同じ軽量単弾頭を搭載し、RGM/UGM-109H TTPV(Tactical Tomahawk Penetrator Variant)は、防護強化もしくは地下の目標を攻撃する強化型徹甲弾頭を搭載する。どちらも軽量化に伴って燃料搭載量が増し、射程が延伸した。                                                          
本体
全長(ブースター除く):5.56m
翼幅:2.67m
直径:0.52m
速度:880km/h
エンジン:F415-WR-400/402(タクティカル・トマホーク)
ブースター部分
型式:アトランティック・リサーチ Mk106 固体推進ロケット
全長:0.69m
直径:0.52m
重量:270kg       
                                     
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しかしながら、発射に1日がかりの液体燃料ミサイル「ノドン」や「テポドン」であればトマホークでも攻撃可能であるが、固体燃料ロケットのスカッドER・北極星2号・4.15軍事パレードで登場した新型ICBMといったミサイルに対しては、30分~1時間で設置から発射可能となってしまうため、時速880kmのトマホークを1000km彼方から発射しても、策源地に到着するころには、TEL(輸送起立発射機)から発射され、TEL自体移動してしまっている可能性が高く、ムスダンSLBMやスカッド系の固体燃料ミサイルには効果が期待できない。

トマホーク後継ミサイルとしてとしてラムジェットエンジンを使った極超音速(M4)の
Fasthawk Low Cost Missile System (LCMS)  が検討されていた。
  • 飛行速度:M4
  • 射程:700海里(約1300km)以上
  • ペイロード:700ポンド(約320kg)
だが、1999年開発が中止となり。
DARPAが、スクラムジェットでM6~8の極超音速ミサイルとして計画されその後X-51計画に引き継がれ2,013年M-5での飛行が確認され試験終了となっている。

固体燃料ロケット弾道弾に対し非力であることには間違いなく、超音速巡行ミサイルと、対艦/対TEL(輸送起立発射機)用の弾道ミサイルの開発をすべきである。

2016年読売新聞のスクープで「尖閣防衛ミサイル」なる記事が出た。

尖閣防衛ミサイル開発
23年度目標宮古島などに配備

【読売新聞】2016年08月14日 07時21分

イメージ 1 政府は、沖縄県・尖閣諸島などの離島防衛を強化するため、新型の地対艦ミサイルを開発する方針を固めた。飛距離300Kmを想定している。宮古島など先島諸島の主要な島に配備する方針で、尖閣諸島の領海までを射程に入れる。2017年度予算の防衛省の概算要求に開発費を盛り込み、23年度頃の配備を目指す。

中国は尖閣周辺での挑発行動を繰り返しており、長距離攻撃能力の強化で抑止力を高める狙いがある。

開発するのは、輸送や移動が容易な車両搭載型ミサイル。GPS(全地球測位システム)などを利用した誘導装置を搭載し、離島周辺に展開する他国軍艦などを近隣の島から攻撃する能力を持たせる。13年に閣議決定した防衛計画の大綱 (防衛大綱)では、離島防衛強化が打ち出されており、開発はこの一環だ。

尖閣諸島は、陸上自衛隊部隊が配備される予定の石垣島と宮古島から約170Km、16年に沿岸監視部隊を配備した与那国島から約150Kmある。陸自が保有している地対艦ミサイル「12式地対艦誘導弾」の飛距離は百数十Kmしかなく、これらの島に配備しても尖閣諸島周辺の領海(12海里=約22Km)や接続水域(領海から12海里)までを射程に収めるには十分とは言えない。

新型地対艦ミサイルの開発で射程が300Kmまで伸びれば、他国軍艦による尖閣周辺の領海への接近を阻止する十分な能力を備え、抑止力は飛躍的に向上する。

離島が占拠された場合でも、新型地対艦ミサイルは威力を発揮する。陸自部隊が上陸作戦を展開する際、現状では護衛艦による短射程の艦砲射撃や戦闘機の爆弾投下といった反撃の危険性が高い手段が作戦の柱だ。新型地対艦ミサイルを配備すれば、近隣の島からの支援が可能となる。

開発は日本単独で実施する予定だ。高い技術が必要な固体燃料を用いる。燃料の漏れや揮発がないため、長期保存が可能で、注入に『時間のかかる液体燃料と比べて発射の兆候をつかまれにくい。防衛省は開発を通じて、国内防衛産業の技術水準向上にもつなげたい意向だ。  

抑止効果丁寧に説明を

新型ミサイル

政府が射程300kmの新型地対艦ミサイルの開発を目指すのは、東シナ海での挑発行動をエスカレートさせている中国への対応に迫られているためだ。中国軍は6月、尖閣諸島周辺の接続水域に初めて軍艦を進入させた。離島防衛の強化は喫緊の課題と言える。

自衛隊は専守防衛を原則としており、他国攻撃用と誤解されかねない長距離攻撃能力は不足しているのが現状だ。しかし、抑止力を強化しない限り、尖閣周辺での中国軍による活動は常態化しかねない。

新型ミサイルを宮古島など先島諸島に配備すれば、尖閣北方までを射程に収め、中国軍艦の接近を阻止する事実上の防護壁を築く形になる。紛争の未然防止につながるのは間違いない。

ただ、長距離攻撃能力の獲得につながる開発には、近隣諸国の反発に加え、与野党双方から疑問の声が上がる可能性もある。政府には新型ミサイルによる抑止効果を丁寧に説明する努力が求められる。   
(政治部 石田浩之)
結局は、12式地対艦ミサイルの射程延長型の開発であったが、私はこれまでの経緯から、以下の記事を書いた。


本記事冒頭にて16防衛大綱、17中業(中期防衛力整備計画:平成17年度-平成21年度)の原案に陸自用のATACMSHIMARSの導入予定であったと記載したが、
ATACMSHIMARSパーシングⅡを応用した画期的な対艦弾道ミサイル(ASBM)のアイディアが出されている!
 ストラテジーペイジの2017-3-7記事。
   米陸軍のMGM140=「ATACMS」は、径610ミリの長射程ロケット弾を、MLRSの6発入りコンテナーから1発だけ発射するものである(外見で衛星から識別されぬよう、普通の6本入りMLRSでしかないように蓋のデザインは偽装されている)。
 米陸軍は、このATACMSに1970年代の「パーシング2」の終末誘導技術を組み合わせれば、短距離の「地対艦弾道弾」ができることに気が付いた。

 「パーシングII」は固定目標(ソ連の地下司令部)を攻撃するものだったが、その後のテクノロジーの進歩により、運動中の艦艇にも高速弾頭(ATACMSの落速は1000m+/秒)を命中させることは可能になっている。

 300km以内ならばこれを発射した後に敵艦は数分間しか機動移動の余地はないので、弾頭センサーが目標を失探してしまうおそれはすくない。※逆に言うと、射程2000km以上では大気圏に再突入した弾頭のセンサーが眼下に米空母を捕捉できるわけがない。30ノットでどこまで移動しているか、とうてい絞り込み得ない。

 ATACMSには普通は500ポンドのHE弾頭がついている。射程は300kmである〔弾道ミサイルの射程が1000kmを超えるとINF条約に抵触するので米軍は保有ができない。中共はINFには縛られないので1700km以上飛ぶ「東風21」を対艦弾道弾にしたと嘘宣伝することもこれまで自由自在だった〕。

 ATACMSはGPS誘導で誤差10mくらいで指定座標に落ちてくれる。いってみれば、「500ポンド爆弾のJDAM」を、最前線の陸軍部隊が空軍をたのまずに独自に運用できるに等しい。

 米軍はイラクとアフガンで700発のATACMSを発射してその性能を確かめている。
 ATACMSは80年代のなかばからこれまで4000発近くが製造され、そのうち7割がまだ使われずに残っている。これを対艦弾道弾に改造してしまおうというのだ。

 値段だが、500ポンドのJDAMが1個4万ドルであるのに対し、ATACMSは120万ドルなので、それを対艦用途に改造すればさらに高額になるのはまぬがれない。ただし、ジェット戦闘攻撃機を1回出撃させる経費は数千ドルだし、被撃墜のリスクは数十億円だし、パイロットの命はプライスレスである。

 MLRSはATACMSを最大で2発搭載できるが、総搭載量を半分に減らして、台車も装輪トラックに簡易化した「HIMARS」なら、C-130輸送機で離島の小規模飛行場にも送り込むことができる。その場合、ATACMSは1両から1発だけ発射できる。

 米陸軍は、ATACMSの射程を延伸しながら逆に寸法をコンパクト化して、コンテナ1個に2発詰め込めるような新型ロケットも、2020年代なかばまでに完成させるつもりである。
2004時点でまだATACMSHIMARS対艦弾道ミサイル(ASBM)化のアイディアは日本に伝わってきてはいなかったろうが、パーシングⅡの終末誘導装置を応用し対艦弾道ミサイル(ASBM)化できるとすれば、パーシングⅡの終末誘導装置を米国より導入できれば、日本が持つ固体ロケット技術とも結合することができる。

現在日本でも水面下でATLA(防衛装備庁)においてJAXAを巻き込み北朝鮮を射程とする短距離弾道弾の開発を行っている可能性は捨てきれない。

予算が計上されていないATLAにおいて以上本格的な対地/対艦弾道ミサイル(ASBM)研究はできないが、JAXSAにおいて、観測ロケットのS520系統のSS520が観測ロケットとしては大きな能力を活かし、SS520-4号機(SS520改)が失敗はしたが3段目を追加して到達高度1000kmの衛星投射ロケットに改造されたことだ。

また、空中発射型と称して、C-130 ハーキュリーズ輸送機を用いて空中から発射するという計画であり、17kgの人工衛星を打ち上げることが可能であるとしている。
この計画はAL-520と呼ばれる。この構想は1991年の第35回宇宙科学技術連合講演会において発表された。

空中発射ロケットについては経済産業省が中心となって空中発射システムが研究され既に完了している。
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これは、どう見ても米軍が研究している空中発射弾道ミサイル(ALBM)である。


空中発射ロケットは実は潜水艦からガス圧で水上~空中に打ち出し、そこから点火発射するSLBMのコールドランチに通じる技術であって、原子力発電のように平和目的の裏で密かに宇宙ロケット技術も超長期的な国家戦略が継承されていると考えていいのではないかと思う。

平和憲法下あからさまな弾道ミサイル研究は行われていないが、永年水面下で高度なロケット技術を研究しており、イプシロンロケットやS520系統の固体燃料ロケット技術を応用すれば、短期間に短/中距離弾道ミサイルを開発可能である。


政府巡航ミサイル導入を本格検討・・・始動する自衛隊による策源地攻撃 
2017/5/6(土) 午後 6:19 


XSSM-3/23式地対艦誘導弾(仮)開発へ  2016/8/15(月) 午前 1:14