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2014年6月の迎撃実験で発射された地上配備型迎撃ミサイル(GBI)=米国防総省ミサイル防衛局提供・共同
【ワシントン=黒瀬悦成】米国防総省のミサイル防衛局は26日、今月30日に太平洋上空で初の大陸間弾道ミサイル(ICBM)迎撃実験を実施すると発表した。北朝鮮は米本土に到達可能なICBMの開発を加速化させているとされ、迎撃実験は北朝鮮の脅威をにらんでミサイル防衛技術の信頼性の確立を急ぐ狙いがある。

ミサイル防衛局によると、実験では太平洋のマーシャル諸島クエゼリン環礁にある「レーガン実験場」からICBMに模した標的を発射し、米西海岸カリフォルニア州バンデンバーグ空軍基地から地上配備型迎撃ミサイル(GBI)を発射して迎撃する。

GBIを使ったミサイル迎撃実験は1999年以来計17回行われているが、最近の成功例である2014年6月の実験を含め9回しか成功していない。

GBIはアラスカのフォート・グリーリー基地に32基、バンデンバーグに4基が配備されている。国防総省によれば今年末までに8基を増強する予定。
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                   Exoatmospheric Kill Vehicle

2017年5月15日の『朝鮮中央通信』は、前日14日に新型の地対地中長距離弾道ミサイルKN-008(火星12)中長距離弾道ミサイルの発射実験が実施され、高度2111.5キロまで上昇し、飛距離787キロを飛んで目標とする水域に着水し、「成功した」と報じている。

到達高度2000Kmは日本を狙ったミサイルではなく、米本土を射程に収めるべく開発中の大陸間弾道ミサイル(ICBM)の前段階のミサイルである。

この5月14日のミサイル発射はロフテッド軌道で行われた。真上に近く打ち上げて高度を上げると、大気圏再突入時の速度を加速させることができる。そのことから、北朝鮮が主張するように、大気圏再突入時に核弾頭が衝撃、熱などに耐えて機能を発揮するかテストしたとの見方もできる。

米国は北朝鮮のミサイルに対して、GDI(Ground Based Interceptor)対ICBM迎撃ミサイルで迎撃する予定だ。あらゆる弾道ミサイルを迎撃できるポテンシャルを持っているが、迎撃ミサイルが巨大なうえ、「迎撃ミサイル発射施設」「追跡用レーダー」「管制システム」などを別々に運用する必要が出てくるため、非常に扱いにくいとの情報も拾いました。

少数の大陸間弾道ミサイル (ICBM) によるアメリカ合衆国本土への攻撃を想定してその迎撃能力の保有を目指す本土ミサイル防衛計画 (NMD) の一環として構想され、クリントン政権下の1996年より開発が始められた。続くブッシュ政権によって本土/戦域の区別を一本化されたミサイル防衛 (MD) へ引き継がれる。

ICBMのミッドコース段階はその飛翔経路の大部分を占めるため、迎撃側の対応時間が比較的長く得られるが、迎撃用のミサイルには長射程かつ大気圏外での迎撃能力が要求される。また、迎撃対象の探知と迎撃ミサイルの誘導管制についてもカバーすべき領域が広大なため、複数の長距離レーダーと宇宙配備センサーをネットワークで結び連携させる必要がある。

実際の迎撃手順は、早期警戒衛星(DSP衛星またはその後継となるSBIRS-High衛星)で敵対国からのICBM発射を探知した後、大遠距離の探知が可能な海上配備Xバンドレーダー(SBX)や機能向上型早期警戒レーダー (UEWR) で標的ICBMのコースを追尾し、得られた弾道情報を総合して戦闘管理および指揮・統制・通信センター (BM/C3) が迎撃を判断し、GBIを発射。宇宙追尾・監視システム (STSS) と称される低軌道の赤外線センサー衛星やXバンドレーダーからの情報を元に、GBIへ最新の目標指示データを渡しつつ迎撃コースに乗せる。

大気圏外に運ばれた重量70kgの迎撃体EKVはブースターから切り離され、冷却された赤外望遠イメージセンサーで標的であるICBMの再突入体を捉えて実弾頭と囮の識別を行い、4つのスラスターで自身の軌道を修正しつつ直撃する。迎撃体は炸薬を積まない運動エネルギー兵器であり、秒速7km以上の高速で衝突する際に生じる衝撃と熱で大量破壊兵器と目されるICBMの弾頭を無力化する。

諸元・性能 

全長: 16.8 m
直径: 1.27 m
推進装置: 3段式固体ロケット
発射重量: 12,700 kg
速度: 未詳
迎撃高度: 未詳 (2000km?)
迎撃半径: 未詳
弾頭: 大気圏外迎撃体 EKV (Exoatmospheric Kill Vehicle) - 液体推進薬スラスター
2013年3月、オバマ政権は、北朝鮮の脅威に対応して、フォート・グリーリーで二基目のTPY-2レーダーの日本への配備し、GBIを26基からさらに14基の迎撃ミサイルを追加する計画を発表したが、現在のところ36基である。欧州にGBI配備の計画をオバマは潰しており、オバマ政権の8年間で米軍は大きく弱体化した。弱体化させた罪は重い。
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TPY-2レーダー

ICBM攻撃に対する国の唯一の地上発射方式のミサイル防衛であるが2014年4月30日、政府会計検査院は、GBIシステムがすぐに機能しない可能性がある旨の報告書が提出された。
今まで、北朝鮮から弾道弾など飛んでくるものかと高を括っていたから、米国は慌てている。私の印象からすると、GDIの迎撃システムはSM-3ブロック2より劣るのではないか?
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GBIはこれまで迎撃試験が失敗続きで、
2014年6月までに、18回の実験のうち9回(50%)しか成功していない。
※Englshのwikiから左の表を作成、新聞記事は誤りだと思う

2010年から2013年の飛行迎撃試験は3回連続成功しなかったが、そこで2014年の試験では「EKV-CE2」弾頭の設計をやり直して成功し、予算がついた。

5月30日に予定されているのは、弾頭がはじめてCE-II Block-Iバージョンを使用する。

SM-3やPAC-3に比べ高高度の飛翔体を迎撃するので成功率が悪いのか?
イージスシステム・SM-3より明らかに迎撃成功率が劣る。イージスシステム・SM-3をより高高度の飛翔体を迎撃できるよう改良した方が良いのではないだろうか?

北朝鮮が米本土を狙うICBM完成が目前である。GBIの改良と増強は焦眉の急である。

【6/1追記】
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5月30日、米軍は、大陸間弾道弾(ICBM)による模擬攻撃をミサイル防衛システムで迎撃する実験が初めて成功したと発表した。米カリフォルニア州のバンデンバーグ空軍基地で撮影(2017年 ロイター/Lucy Nicholson)

米軍は30日、大陸間弾道弾(ICBM)による模擬攻撃をミサイル防衛システムで迎撃する実験が初めて成功したと発表した。北朝鮮からのミサイルに対する防衛態勢強化の取り組みが大きく前進した形だ。

実験はマーシャル諸島のクェゼリン環礁からアラスカ南部の海上に向けて発射したICBM型ミサイルに向け、カリフォルニア州バンデンバーグ空軍基地から迎撃ミサイルを打ち出した。

国防総省ミサイル防衛局(MDA)によると、ボーイングが運用する地上配備型ミッドコース防衛と呼ばれるミサイル防衛システムにとっては、模擬ICBMに対する初めての実射実験が「信じられない成果」を挙げたという。

MDAは「このシステムは米本土防衛にとって極めて重要で、非常に現実味のある脅威に対して有能で信頼できる抑止力をわれわれが持っていることが、実験で示された」と述べた。

北朝鮮は米本土を攻撃できるICBM開発を急ピッチで進めている。米本土と北朝鮮の距離は約9000キロメートルで、ICBMの射程距離は最長1万キロメートルを超えるものもある。

[ワシントン/バンデンバーグ空軍基地(米カリフォルニア州) 30日 ロイター]

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