どうやら原因の一つが、イージス艦のステルス性能が仇となり、レーダーで発見しにくいという皮肉な話もあるらしい・・・・
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シンガポールのチャンギ海軍基地に到着した米イージス駆逐艦ジョン・S・マケイン=21日(ロイター)
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マラッカ海峡東方でタンカーと衝突した米イージス駆逐艦ジョン・S・マケイン=21日(ロイター)
シンガポール近くのマラッカ海峡東方で21日午前、タンカーと衝突した米イージス駆逐艦「ジョン・S・マケイン」は同日午後、シンガポールのチャンギ海軍基地に到着した。2隻の船に護衛されながら基地沖を自力で航行し、タグボートにけん引されて入港。左側の船尾付近に衝突した際に生じたとみられる直径3~5メートルほどの穴のような痕跡があった。

米海軍によると、負傷者5人のうち4人はシンガポール軍のヘリコプターで病院に搬送された。命に別条はないという。

過剰負担が背景か、事故相次ぐ米第7艦隊

米海軍横須賀基地を拠点にする第7艦隊の艦船が21日、6月に続き衝突事故を起こした。同艦隊は北朝鮮のミサイル発射実験への対応や、中国が軍事拠点化を進める
南シナ海での「航行の自由作戦」などで忙殺されている。相次ぐ事故の背景に、過剰な負担があるのではとの見方が出ている。          
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シンガポールのチャンギ海軍基地に到着した米イージス駆逐艦ジョン・S・マケイン=21日(ロイター)
「作戦の頻度が多すぎる」。米軍関係者はこう漏らす。第7艦隊は米海軍の艦隊の中で最大規模の戦力を擁するが、西太平洋からインド洋にかけての広範な海域を担当する。この関係者は「米本国の部隊に比べ負担が大きく、横須賀への異動は人気がない」と明かす。
7月下旬には横須賀基地で、第7艦隊の人員配備に関する会議が開かれた。海軍幹部は「前方展開する部隊は、やりの先端だ。すぐにでも戦えるように人員が適正に配置されていなければいけない」と強調していた。

ある米駆逐艦の元艦長は21日の事故を受け、米紙に「信じられない事故だ。米艦船の即応性や混雑した海域で慎重に航行できるかどうかについて疑問を抱かせる」と述べた。(共同)

この切迫したアジア情勢のなか、米海軍は、軍規のゆるみと思われてもしかたがない醜態を曝してしまった。

8月21日午前シンガポール近くのマラッカ海峡東方で衝突した「ジョン・マケイン」、そして3ヶ月前6月26日伊豆下田沖で事故を起こした「フィッツジェラルド」両艦とも横須賀を母港とする、第7艦隊所属のイージス艦である。

北朝鮮の弾道ミサイルをめぐり、緊張するなか、北朝鮮から日本を守るイージス艦が2隻も衝突事故を起こし、合わせて不明者を含め17人の米海軍軍人が殉職している。

艦の名前の由来である御年80歳、傘寿の米共和党の重鎮、ジョン・マケイン上院議員は脳腫瘍と診断されて療養していたのだが、7月25日、上院に復帰し、医療保険制度改革(オバマケア)改廃法案の審議入りを決める投票に加わり賛成票を投じたばかりだ。

しかし、マケイン議員はアメリカ上院軍事委員会委員長として、2010年から2014年までの間に21%の国防予算を削減し、アメリカ軍の能力が低下させた張本人でもある。なんと皮肉なはなしだろうか!

米第七艦隊横須賀に配備している弾道ミサイル迎撃(BMD)能力を備えたイージス艦は7隻であったが、2隻が脱落し、日本のBMD能力があるイージス艦4隻(今年中にあたごが加わり5隻)、合計9隻である。突貫工事であたごが早期に復帰しても10隻では、乗組員の負担が増え、それによって士気が下がる可能性がある。

 北朝鮮問題で緊張が高まる中、その他の艦隊からBMD能力を持つイージス艦が回航されてくると考えられる。しかし、単に数を合わせればいいというものでもない。新しいイージス艦の乗組員が西太平洋での作戦に慣れるには、時間がかかるであろう。二隻のイージス艦の脱落は北朝鮮問題に少なからず影響を与える可能性が高い。
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6月26日、伊豆半島沖で米海軍のイージス駆逐艦と衝突したコンテナ船の船長が、船主に提出した報告書の内容が明らかになった。写真はイージス艦「フィッツジェラルド」。横須賀で6月撮影(2017年 ロイター/Toru Hanai)
伊豆半島沖で米海軍のイージス駆逐艦と衝突したコンテナ船の船長が、船主に提出した報告書の内容が明らかになった。コンテナ船は左舷にイージス艦を見つけ、ライトを点滅して注意喚起したものの、米艦は針路を維持。コンテナ船は右に回避しようとしたが、間に合わなかった。

報告書によると、フィリピン船籍のコンテナ船「ACXクリスタル」は時速18ノット(約33キロ)で東京湾へ向けて航行。17日午前1時15分、見張り2人が左舷40度の3カイリ(約5.6キロ)離れたところにイージス艦「フィッツジェラルド」がいるのを発見した。

その5分後、イージス艦が「突然」動き、そのままの針路では衝突しそうに見えたことから、コンテナ船は手動で操舵しながら、注意を引くためライトを点滅させた。米艦は針路を維持したままのように見えたという。コンテナ船は右へ一気に舵を切ったが、午前1時30分、両船は衝突した。

今回の衝突事故ではイージス艦の乗員7人が死亡。米海軍にとって、2000年にイエメンで起きたイージス艦爆破事件以来の惨劇となった。フィッツジェラルドの艦長は自室で負傷しており、衝突前に警報が鳴っていなかった可能性を示唆している。

ACXクリスタルの船主、大日インベスト(兵庫県神戸市)はロイターの取材に対し、「捜査状況にかかわることは回答できない」とした。事故原因を調査している米海軍、米沿岸警備隊、海上保安庁もコメントを控えた。

(ティム・ケリー 取材協力:久保信博※)


[東京 26日 ロイター]
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https://twitter.com/GregAtkinson_jp/status/875940020514734081?ref_src=twsrc%5Etfw&ref_url=http%3A%2F%2Fwired.jp%2F2017%2F06%2F21%2Finternet-of-ships%2F

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300トン数以上の国際航海する船舶には自動船舶識別装置(AIS)を搭載する義務があり、その情報はインターネットで公開されている。今回の事故についても、コンテナ船のAISデータから事故発生時のコンテナ船の動きがわかっている。緑色の矢印がコンテナ船の動きだ。

ACXクリスタルが異常なルートでフィッツジェラルドを横切り後ろから衝突しています。

私にはどう見てもコンテナ船側に過失があるように思えてならないが、素人判断らしく、それでもフィッツジェラルド側に責任があると言う。

後ろから追突されたのだが、本来はそれでも逃げなくてはいけない。追い越し船の商船の方に回避義務があるのだが、船の世界は、『何があっても衝突をするな。衝突を避けるための最善の協力動作を取らなくてはならない』という一条がある。よって、イージス艦も危ないと思ったら逃げる義務があるらしい。

イージス艦フィッツジェラルドにもAISを搭載しているが、軍艦はその位置を知られるのを避けるため、AISを切って航行することが多い。今回フィッツジェラルドのAISは切られいたという

2000年にイエメンで小型ボートによるテロ攻撃を受けた米イージス艦「コール」は、重量物運搬船に乗せられ、米本土で修理を受け、復帰には3年かかった。今回はそんな悠長なことは言ってはいられない。


【追記】2017.8.27
この記事は追記せざるを得ない

米海軍で相次ぐ衝突事故は某国ハッカーによるものなのか
【航空宇宙ビジネス短信・T2:】2017/8/25

これが本当なら軍艦の保安体制をいかに強固にしても民間商船を乗っ取れば海軍力を脅かすことができるはずです。商船の数は膨大でかつセキュリティ対策もばらばらなため狙われやすくなってしまいます。米海軍が世界の笑いものだとまで公言してはばからない国があり、まっさきに関与を疑われるでしょう。しかし日本近海でも発生した事案までハッカー集団のしわざとすれば、日本国内に実施能力を有する協力者がいることになります。思い当たる筋はありますが、口だけの反体制派であり、批判がすきなだけの人たちなのでこの説は怪しくなっていますね。

Could hackers be behind the US Navy collisions?
米海軍海上衝突事故の背後にハッカーがいるのか


イメージ 7USSフィッツジェラルドは2017年6月17日に民間商船と衝突事故に巻き込まれた。横須賀海軍基地へ帰港した事故翌日の姿TYLER HLAVAC/STARS AND STRIPES

イメージ 8By ELIZABETH WEISE | USA Today | Published: August 24, 2017
https://www.stripes.com/news/navy/could-hackers-be-behind-the-us-navy-collisions-1.484351#.WZ_bnChJbcs


SAN FRANCISCO (Tribune News Service) — 米海軍艦船で相次いで発生した民間商船との海上衝突事故の裏にハッカーがいるのか。専門家の意見では可能性は限りなく低いながら不可能ではないとし、米海軍が調査を開始した。

ツイッターの噂では、衝突事件二件はサイバー攻撃あるいはジャミングが原因だ。

今年に入り米海軍関連の事故が連続4件発生しており、うち二件が死亡事故になったが高度なコンピュータ装備を備えた軍艦で航法上の過ちが起こったことから世界規模の米政府へのサイバー攻撃へ懸念が生まれている。

海軍作戦部長ジョン・リチャードソン大将もツイッターで今週月曜日にサイバー侵入や妨害活動の証拠はないが、「想定できる可能性すべてを検討する」と述べた。

技術に詳しい専門家の言ではGPSがハッキングされ艦の航法装備が悪影響を受けるシナリオは可能としながら今回の海軍事例で攻撃の証拠はないと強調する。

「証拠が見つからないため今のところは乗員の不注意が理由と見ていますが、海軍艦艇が警戒していなかったとは思いたくありません」とテキサス大オースティン校のトッド・ハンフリーズ教授が述べている。教授はGPSのセキュリティが専門だ。

米海軍が調査に乗り出す

今週月曜日にUSSジョン・S・マケインがマレーシア沖合で民間タンカーと衝突し、乗員10名が行方不明、5名が重軽傷となった。6月17日にはUSSフィッツジェラルドが民間貨物船の衝突を受け7名が死亡している。

海軍は大混乱だ。水曜日にはジョセフ・オーコイン中将が第七艦隊司令長官を解任されて、月曜日に世界規模で艦艇運用を停止し安全点検させ根本原因を探ろうとした。

航法ソフトウェアの妨害あるいは誤作動を招く技術はすでに存在するが米海軍は強固な暗号化でGPSを使い、妨害は極めて困難なはずとハンフリーズ教授は述べる。

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マラッカ海峡の衝突事故でUSSジョン・S・マケインの左舷に生じた損傷。同艦はチャンギ海軍基地(シンガポール)に到達した。 JOSHUA FULTON/U.S. NAVY

装備を出し抜くには「記録およびリプレイ攻撃」と呼ばれる技術を使うしかないと教授は述べる。つまり衛星経由で海軍艦船に送付される暗号化位置データを記録し少し遅れて記録内容を再生し艦船に指示するのだ。「これで艦船に実際の場所ではない情報を送ることになります」(ハンフリーズ)

これはきわめて高度かつ実施困難なハッキング技術で航法関連のデータストリームを各方面で記録してから二か所以上から信号を送信する。近隣を航行中の艦船が誤った情報を受けとらないように送信は対象艦船のごく近い場所で送信する必要があり、無人機複数を投入することになるはずだ。

GPSハッキングは可能

非実現性な話に聞こえるが決して不可能ではないとハンフリーズ教授は述べる。2013年に教授は時価80百万ドルするヨットのGPS装備を欺瞞し数百ヤードも航路から外れた場所に移動させ危険性を立証している

リチャードソン作戦部長も二か月未満で二回も「きわめて深刻な事件」が発生したことで「今のままでいいのかと重大な懸念が生まれた」と述べている。海軍はフィッツジェラルド事件の原因は当直乗組員の状況認識の欠如だとする。

米沿岸警備隊で海上運航装備を統括していたデイナ・ガワードもハッキングが米海軍の海上衝突事故の原因とは見ていない。

沿岸警備隊で艦長も務めた本人によれば長年の海上航法の経験からとくに交通量が多い地区では衝突につながる単純な過誤が容易に生まれるのだという。「人的エラーが発生しやすい困難な場所」だという。

ロシアのハッキング事例

サイバー攻撃で衝突したと信じる向きは軍組織に能力があると知っているからだ。例としてガワードは悪意ある勢力が商船の非暗号化航法データに目を付け短時間のジャミングで海軍艦艇に向かわせる可能性があるという。あるいはハッカー集団が貨物船のGPSを乗っ取り航路を外すよう指示するという。

「一方にだけ責任があるはずがない」と英国王立航海大学の学長を務めたデイヴィッド・ラスト教授が述べる。「脆弱な方を攻撃すればいいのです。この場合は民間商船です。実際にそうだったと言うつもりはありませんが、もし自分が実行犯ならそうしますね」

北朝鮮、中国、ロシアの軍部にGPSジャミング能力があることは知られているとガワードは述べ、GPSのジャミング、欺瞞工作は以前からあり、実際に発生している。

6月に黒海を航行中の20隻以上の艦船からGPS装備が誤作動し航路より19マイルも外れたロシアのゲレンジック空港を表示したとの報告がある。「あたかも艦船が空港上に駐機している」ようだったとラスト教授がコメントしている。ハンフリーズ教授はこの事件はほぼ全なGPS攻撃事例であり、「今後も発生する」という。■

©2017 USA Today
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逆にもしこれが北朝鮮や中国によるハッキング攻撃であれば、米軍や自衛隊は、かなり深刻な事態かもしれない。この2ヵ月で第七艦隊はBMD能力を約30%も失ったことになる。30%の損失は撤退を決意するに等しい損失率でもあるのだ。

正直なところ、この2隻のイージス艦の脱落は、9月9日開戦説を打ち消してもおかしくない損失でもある。もし、北朝鮮による仕業であれば、トランプ政権が、北朝鮮相手に安易に戦端を開けばトンデモナイしっぺ返しを喰らう恐れすらある。

以下のワイアードの記事を読むと、相次ぐイージス艦の衝突原因は、北朝鮮によるハッキングが原因であるという説の信憑性が高感じてしまいます。
米大手映画会社へのハッキング、バングラデシュ中央銀行へのサイバー強盗、世界を騒がせたランサムウェア「WannaCry」──。北朝鮮によるとみられている一連のハッカー攻撃は、なぜ無秩序で一貫性がないように見えるのか。それには実は「合理性」があるのだという。その実体に迫った。

TEXT BY ANDY GREENBERG
TRANSLATION BY YASUKO ENDO/GALILEO

WIRED(US)


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PHOTO: Bill Hinton/GETTY IMAGES

北朝鮮が、この地球上で最も謎に満ちた国であることはほぼ間違いない。同国政府が主導するハッカー集団も謎だらけだ。

彼らが世界的に展開するサイバー攻撃は、北朝鮮政府と同じくらい一貫性がなく不可解なものである。彼らは奇妙な偽装団体や架空の恐喝組織の陰に隠れている。そして、デジタル上で不当な行為を行い、莫大な金額を盗み出している。そういった手口は、政府所属のサイバースパイというよりは、組織犯罪集団が常習的につかうものだ。

2017年5月に全世界を騒がせたランサムウェア「WannaCry(ワナクライ)」で攻撃をしかけたのは北朝鮮のハッカーだと考えられている。WannaCryの無差別攻撃で世界中が危機に見舞われたが、北朝鮮がそれによって明確なメリットを得たというわけではない。

米朝間の緊張が高まりを見せるなか、北朝鮮のハッカーを監視するサイバーセキュリティの専門家や外交問題のアナリストたちは、こう考えている。北朝鮮の最高指導者である金正恩の配下にあるデジタル軍隊を、矛盾だらけの不合理な集団として切り捨てるのは賢明ではないと──と。

役立たずの外交専門家たちはすでに一度、北朝鮮の初期の軍事的挑発を無視する過ちを犯している。北朝鮮は、核の脅威をちらつかせてきたのと同じようにサイバー攻撃を利用している、とアナリストたちは警鐘を鳴らす。北朝鮮のハッカー集団は、金正恩政権全体と同様に、死に物狂いで、厚かましく、無能でありながらも、目的の追求においては抜け目なく論理的だというのだ。

ハッカー集団「Lazarus」との関係

アメリカの国土安全保障省(DHA)ならびに連邦捜査局(FBI)は2017年6月13日(米国時間)、北朝鮮の「Hidden Cobra(ヒドゥン・コブラ)」と呼ばれるサイバー集団が、米国の金融、航空宇宙、メディア業界の組織や重要なインフラをターゲットにしていたとする「テクニカルアラート」を発表した。

Hidden Cobraは多様なツールをもっている。例えば、ターゲットのウェブサイトに大量のジャンクトラフィックを送りつけるボットネットベースのサーヴィス妨害攻撃(DoS攻撃)や、リモートアクセスツール、キーロガー、データ破壊を行うマルウェアなども、そこには含まれている。

さらに重要なのは、DHAとFBIが発表したレポートで、Hidden Cobraが「Lazarus(ラザラス)」と同一集団であると考えられていることが明らかになった点だ。Lazarusは、サイバーセキュリティ業界が長年にわたって徹底追跡してきたハッカー集団で、北朝鮮とつながりがある疑いが強い。

レポート公表のちょうど24時間後には、「2017年5月に膨大な数のコンピューターが感染したランサムウェアWannaCryのワームは北朝鮮によるものであることを米国家安全保障局(NSA)が突き止めた」とワシントン・ポスト紙が報じた。セキュリティ企業のシマンテックやカスペルスキー、セキュアワークスは、すでにLazarusによる攻撃であるとしていた

北朝鮮がLazarusの活動を指図していることは明らかなように見える一方で、彼らのやり方は従来の国家主導型のハッカー集団とはまったく異なり、過去の盗みや無益な妨害には一貫性がない。しかし、彼らの動きは気まぐれに見えるかもしれないが、北朝鮮にとってはそうしたデジタル攻撃は理にかなったものだ。少なくとも、自衛のための選択肢をあまりもたず、制裁を受け、孤立する独裁国家にとっては合理的だ。

「(北朝鮮のハッカーは)合理的な集団です。北朝鮮は経済制裁を受ける“世界ののけ者”という立場にあり、デジタルツールを使ったところで失うものはほとんどありません」と話すのは、サイバーセキュリティ企業FireEyeで研究チームを率いるジョン・ハルトクイストだ。同氏は以前、米国務省のアナリストでもあった。「苦境に立たされた国がやりかねないことの一例として、北朝鮮のハッキング活動をとらえるべきです」

北朝鮮が「サイバー強盗」を繰り返す理由


北朝鮮のハッカー集団は、あからさまな窃盗行為を好んでおり、その傾向は国家主導型のサイバー集団の標準から大きく逸脱している。サイバーセキュリティ研究者たちはこの1年で、北朝鮮が自国の口座に何千万ドルものドル建て資金を送金するために、国際決済ネットワーク「SWIFT」プロトコルを使って一連の攻撃を仕掛けている証拠を積み重ねてきた。シマンテックやカスペルスキーといったセキュリティ企業のアナリストたちは、ポーランドやヴェトナムなど数十カ国における銀行への攻撃を、Lazarusと結びつけてきた

そうした攻撃のひとつには、2016年にハッカーがバングラデシュ中央銀行に侵入し、ニューヨーク連邦準備銀行の口座に不正アクセスして8,100万ドルを盗み出した事件もあった(もともとは8億5,000万ドルから8億7,000ドルを送金しようとしていたが、リクエストにタイプミスが含まれていたため発覚し[日本語版記事]、1割の被害に留まった)。

その動機ははっきりしている。北朝鮮は金を必要としているのだ。人権侵害を犯し、核開発をちらつかせる瀬戸際政策を行い、周辺国に対して社会病質的な攻撃姿勢を見せてきた結果、北朝鮮は致命的な貿易制裁を他国から科されている。北朝鮮は、ハッキング攻撃を始める前からすでに、ほかの無法国家への武器輸出に頼っていた。

さらには、独自の人身売買ビジネスや、覚せい剤の一種であるメタンフェタミンの製造にも手を染めている(国民の4割から5割がメタンフェタミン中毒だという推定もある)。サイバー犯罪は、貧窮した北朝鮮政府にとって、実入りのいい収入源なのだ。

「金を強奪することを任務の一環としている国家主導のハッカー集団が存在することを理解しなければなりません」と話すのは、カスペルスキーのセキュリティ研究者ファン・アンドレス・ゲレーロ=サーデだ。「困ったことですが、(彼らのそうしたサイバー攻撃は)単発的なものではありません」

ランサムウェアが新手の金儲け手段であるという認識が広まっているとはいえ、WannaCryの背後にある論理的根拠を推察するのは容易ではない。たとえWannaCryが制御不能に陥った未熟なランサムウェアだったとしてもだ。

世界中の膨大な数のコンピューターを麻痺させたコードの作成者たちは、結局14万ドル相当のビットコインを報酬として手にしただけで終わった。独裁国家にとっては、はした金だ。そればかりかWannaCryには、ファイルの暗号解読のためにお金を払った被害者が誰なのかを追跡する方法が欠けていた。彼らよりも熟練したランサムウェア集団が、多額の報酬を少数の被害者から集めるという信用モデルを打ち壊したわけだ。

そういったミスは、WannaCryの生みの親である北朝鮮の開発者たちが、早い段階でWannaCryのリークを許してしまったことが原因だ。コンピューターからコンピューターへと自動的に広がっていくワームは、封じ込めるのが難しいことで知られている(米国とイスラエルは、両国が独自に開発した「Stuxnet(スタックスネット)」というワームでそのことを発見した。Stuxnetは、もともと標的にしていた[日本語版記事]イラン核濃縮施設内にとどまらず、世界に広く拡散してしまった)。

セキュアワークスによると、LazarusのハッカーたちはWannaCryを世界に拡散させる前に、小規模な攻撃を実施してWannaCryをばらまいている。彼らは自ら開発したワームと、NSAから流出した強力な攻撃エクスプロイト「EternalBlue(エターナルブルー)」を組み合わせた

EternalBlueはNSAから流出後、2017年4月に「Shadow Brokers」(シャドー・ブローカーズ)というハッカー集団によってGitHubで公開されたものだ。EternalBlueを利用したことで、WannaCryの感染は、開発者の期待や制御を上回る勢いで急激に拡散するに至った可能性がある。「彼らはWannaCryを開発し、それを使ってお金を稼いでいましたが、手がつけられなくなったのです」と、カスペルスキーのゲレーロ=サーデは言う。

散見される「抜け目のなさ」

北朝鮮のハッカー集団の悪だくみは金稼ぎだけではない。彼らは2009年以降、米国と韓国を標的に、分散されたDoS攻撃もしかけてきている。2014年に起きたソニー・ピクチャーズへの攻撃[日本語版記事]と、韓国にある原子力発電所への攻撃[日本語版記事]という2つのケースは、サイバーセキュリティの専門家たちを当惑させてきた。

それらは敵に恐怖心を植えつけるための、ある種のサイバーテロのように思える。例えば、ソニー・ピクチャーズが制作した金正恩の暗殺パロディ映画『ザ・インタビュー』が公開延期され、その後も公開場所が限定されたのは、まさにこの手法による“成果”だろう。

しかし、一般的なテロ活動とは異なり、北朝鮮はそうした行為が自分たちの仕業だと認めたことは一度もない。北朝鮮のハッカー集団は、「Guardians of Peace(平和の守護者たち)」や「反核」のハッカーグループといった架空集団の陰に隠れている[日本語版記事]。さらに、被害者のコンピューターを破壊してデータを流出させると脅してお金を取ろうとさえしている。

「北朝鮮はそうした撹乱行為を行うことで、公式の外交交渉では否認しながら、彼らのターゲットは意図されたメッセージを受け取るという手段を手にしているのです」と、セキュアワークスの北朝鮮専門研究者であるジョシュア・チャンは指摘する。「IS(イスラム国)やアルカイダとは違い、北朝鮮は旗を振りかざして意思表示したりしません。しかし、科学的捜査で事態が解明されることを知っています。そのようにして取り沙汰されるたび、彼らは大きなメリットを手にするのです」

北朝鮮のサイバー攻撃はまた、同国の一般的な軍事戦略の延長線上としても合理的だ。北朝鮮の軍事戦略は、核ミサイルをはじめとした軍事増強が中心であり、それによって、より大きく資金も豊富な敵国を抑止することができる。「北朝鮮は、軍事的にも経済的にも敵国に劣っているため、相手の攻撃を食い止め、他を圧倒しつつ、軍事的反応を招くことなく力を誇示できるやり方をつかう必要があります」と話すのは、国防総省でかつて北朝鮮関連アドヴァイザーを務め、現在はジョン・ホプキンス大学高等国際関係大学院の客員研究員であるフランク・オムだ。

オムの主張によれば、北朝鮮にとってハッキングとは結局のところ、密かに実行することが可能で、公的には否認できるツールであるだけでなく、“戦場”では標的の反撃をほとんど心配しなくていいものである。「北朝鮮政権はサイバー攻撃を、報復される可能性が低いものとみているのではないでしょうか。というのも、サイバー攻撃は素早く確実に犯人が突き止められるものではないうえ、北朝鮮のネットワークの大半はインターネットから分離されている[日本語版記事]からです」とオムは述べる(北朝鮮のハッカーグループは1万人規模で、中国・瀋陽などを拠点にしていると報道されている[日本語版記事])。

これらを総合すると、北朝鮮による無秩序で一貫性のないハッカー攻撃は、今後も続くだろうことが予想される。なぜなら、攻撃が“成果”をあげているからだ。「彼らが極めて攻撃的なのは、犯人特定が難しく、彼らが窮地に陥っており、規範やタブーにとらわれていないからです」とFireEyeのハルトクイストは言う。「こうした状況では、彼らは必ずしも非合理というわけではありません。しかしいずれにしろ、極めて危険な存在なのです」



★★米駆逐艦事故は中国の電子攻撃が原因との見方広がる
【航空宇宙ビジネス短信・T2:】8/30/2017

 ついに中国の名前が出てきました。ハッキング説はトンデモ理論として日本では黙殺されていますが、米軍を「危険」としておく方が都合がよい勢力にとって良い状況です。米軍艦をハッキングしなくても防御の緩い民間船を乗っ取れば旅客機や大型トラック同様に恐ろしい攻撃が可能となるのですが。

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 事故直後のUSSジョン・S・マケイン。August 21, 2017. Photo: Reuters / Ahmad Masood
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衝突事件に中国電子戦の関与の疑い


By BILL GERTZ AUGUST 29, 2017 12:39 PM (UTC+8)
http://www.atimes.com/ship-collisions-raise-specter-chinese-electronic-warfare/

中国は艦船、航空機、ミサイルの機能を電子的に妨害する高度能力を整備し、人民解放軍(PLA)が将来の対米戦でこれを利用するのは確実だ。

立て続けに発生した米海軍艦船と民間商船の衝突事故で背後に中国がいるとの観測が生まれており、電子手段でレーダー・航法装置を妨害し衝突させたと主張する軍事専門家がいる。

ジャマー、妨害装置、サイバー手段で中国は世界最先端の装置を開発しており、電子装置で原因不明の誤作動や自損事故を起こさせられる。

今年7月30日、最新鋭電子戦装備が内蒙古でのPLA軍事パレードに参加した。中には敵防空網のレーダー、通信の妨害、地上通信かく乱用の装備があった。

「電子戦は今や戦闘の中核手段だ」と新華社で中国電子戦の中核主導者Wu Yafeiが語っている。「新型電子戦装備導入でPLAの作戦能力は大幅に引き上げられた」
2015年にはPLAは電子戦部隊、サイバー戦部隊を統合し戦略支援軍を編成した。

中国の軍事文献では電子戦関連が多数あり、2012年の論文ではPLAの「海上狼群」整備を分散型電子戦体制として敵の戦闘群攻撃に使うとしている。

2011年の中国航空宇宙科学工業公司の論文では「イージス艦対抗装備」を取り上げている。フィッツジェラルド、マケインはともにイージス艦であり、日本、韓国もイージス戦闘艦を運用している。同論文では大量の極超音速ミサイルと電子装備の併用でイージス艦を攻撃すると述べている。

「イージスへの攻撃は極めて困難だが、精密誘導技術の急速な進展とミサイル技術によりイージス防衛システムも万能とは言えなくなっている」とあり、最後には「イージスシステムが高性能装備であっても無敵の防御手段はありえない」としていた。

中国は近年では自国周辺の海域すべてでの覇権確立を目指し南シナ海、東シナ海他の周辺海域は中国の海洋主権の適用範囲だと主張し米海軍をアジアから追い出したいのだ。

連続発生した艦船衝突事故で米海軍関係者から両駆逐艦の電子機器がハッカーで妨害されたのではとの疑いが表明されていたが、実際に妨害があったのか判明していない。調査部門の主流の見方は機械的な故障あるいは乗員の人的ミスだしている。

ただし米海軍作戦部長ジョン・リチャードソン大将は電子防御装備が妨害または欺瞞されていたかも調査するとしている。

両艦はともに側部を衝突されている。USSジョン・S・マケインは8月21日に石油タンカーとマラッカ海峡で衝突している。USSフィッツジェラルドは日本近海で6月21日にコンテナ船に衝突された。二件で17名の乗員が死亡し、第七艦隊司令長官が罷免された。

まずフィッツジェラルドで疑問が呈された。海軍の中間報告では事故原因の言及がない。フィッツジェラルドは照明を落とした状態で航行していたが最小限の艦内照明はつけていた。当時は「月が比較的明るく」「視認距離は制限なかった」とある。

レーダーも見張り員も衝突前に貨物船を確認できなかったことから電子妨害説が出てきた。そのひとつが貨物船の自動操艦の乗っ取りで衝突コースにさせられたとする。

マケインも同様に衝突時点でレーダー数種類を使っており、当直将校が艦橋にいた。

さらに疑義が出ているのはマケインが数日前に航行の自由作戦でスプラトリー諸島ミスチーフ礁の12カイリ地点を航行し中国の主張に立ち向かっていたことだ。

マケイン事件後に中国外務省報道官Hua Chunyingは米海軍の操艦が危険だと批判していた。「たびたび米軍が発生させている事故で懸念が広がっている。米国は事故を深刻にとらえて適正な措置を取るべきだ」

米海軍が中国の電子妨害をマケイン衝突事故で疑う背景に事故直前に中国籍船がそばにいたことがある。民間商船の航路追跡データでみると同中国船はマケインに衝突した貨物船に追尾しており衝突寸前に離れている。

空軍大学で戦略安全保障論の教授デイビッド・ベンソンは中国が軍艦を電子攻撃するリスクを冒すか疑問と述べている。「中国にせよ他国にせよ海軍艦艇をハッキングする明白な動機がない」とWar on the Rocksのブログで述べている。「サイバー攻撃技術は極めて不安定であり、仮に実行犯が駆逐艦を邪魔したとしても平時に実施すれば代償は大きい」

国際評価戦略センターの上級研究員リック・フィッシャーは中国の動向を研究しておりベンソンに同意しない。                                
「中国に米軍をアジアでハッキングしたり事故を起こさせる同機が一切ないとは笑止千万だ。一連の事故で中国が裏で手を引いていたのかいなかったのかと関係なく中国国営メディアは事故を利用し米海軍に『無能』とか『危険』のレッテルを貼り、米海軍への敵意をあおりアジアからの米軍一掃をねらってくるでしょう」

調査の進展次第で海軍の業務執行状態の改善や訓練増強が必要となるだろうが、軍の立案部は引き続きサイバーや内部反逆者含む中国の各種脅威に備える努力を怠ってはならない。そのほか、新型潜水艦、対艦弾道ミサイルさらに原子力空母戦闘群の出現に備えるべきだ。■