新たに、以下の研究が開始される。

○ 高出力レーザシステムの研究(87億円) 
低高度を飛しょうする大量の小型無人機や迫撃砲弾といった 脅威に、低コストかつ短リアクションタイムで対処する高出力 レーザシステムに関する研究を実施

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新たな研究は、実用的兵器開発になるのか不明であるが、防衛装備庁の研究成果が、川崎重工など協力会社と表裏一体となって実用的兵器開発に直結すると思われます。

新研究は、瞬間対処性が高く、精密誘導弾等のみならず、近距離から発射されるロケット弾等への対処が可能な艦船搭載型及び車両移動型の近接防空システムの実現を目指すと思われます。 

 高出力レーザシステムは、対処時間が限られる近接した脅威に対しての瞬間対処性及び複数の脅威に対しての多目標対処性を有することから、近接防空用として少なくとも100~150kw級になると思われます。

新たな研究は、化学レーザーではなく、公募で固体レーザー方式のひとつである「ゼノフォノンライン励起新型高出力Yb:YAGセラミックレーザー」が選定された。

 防衛装備庁で進められてきた「高出力レーザーシステム構成要素の研究試作」では、化学(ヨウ素)レーザーを使用したシステムの研究が進められてきたが、米国等では固体レーザーが主流になっている。防衛装備庁も2018年以降の研究開発においては固体レーザーを基本としたシステムを計画しているようだ。

固体レーザー気体レーザーと比べて活性中心の濃度がはるかに高いため、比較的小型ながら高い増幅利得が得られ、また発振出力も大きいという特徴を持つ。

ところが、読売新聞に驚きのスクープが掲載されたのである。
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 北朝鮮による核・ミサイル開発の進展を受け、政府が弾道ミサイル迎撃のための新システムの開発を検討していることがわかった。高出力レーザーを発射直後の弾道ミサイルに照射し、無力化・破壊する。北朝鮮が現在の装備では迎撃が難しい「ロフテッド軌道」での発射を繰り返しているため、新技術で対応する方針だ。

「ロフテッド軌道」にも対応 政府検討


開発を目指すのは、弾道ミサイルが発射された直後の「ブースト段階」と呼ばれる時点で、航空機や艦船などから高出力レーザーを照射し、熱によってミサイルを変形させる技術。迎撃ミサイルに比べて安価で、実現すればロフテッド軌道だけでなく、多数の弾道ミサイル発射にも対処が可能になる。

防衛省は2018年度概算要求に、迫撃砲弾や小型無人機などを迎撃対象とする、高出力レーザーシステムの研究費として、87億円を計上した。高出力レーザーの基礎研究は、すでに10年度から実施するなどしており、18年度からの5年間で装備化に向けた研究に人る。迎撃ミサイルに比べて安価という利点もあり、同省では最終的にミサイル防衛態勢に組み込みたい考えだ。

弾道ミサイルは、発射直一後にロケットエンジンの燃焼で加速する「ブースト段階」、燃焼後に慣性で大気圏外を飛行する「ミッドコース段階」、弾頭が大気圏に再突入してから地上に向かう「ターミナル段階」を経て着弾する。現在のミサイル防衛態勢は、イージス艦搭載の迎撃ミサイル「SM3」がミッドコース段階、地対空誘導弾「PAC3」がターミナル段階での迎撃を想定している。

だが、北朝鮮は最近、通常より高角度の「ロフテッド軌道」での発射を繰り返している。ロフテッド軌道では「ミッドコース」の高度が高く、「ターミナル」は落下速度が速い。迎撃は容易ではないことから、ブースト段階で弾道ミサイルにレーザーを照射し、ミサイルが空気の摩擦抵抗を受ける大気圏内への再突入などの際に、無力化・破壊する方法を検討することになった。

高出力レーザーは距離が遠くなるほど熱量が減るため、射程が短く、発射地点に航空機や艦船が近接する必要があるとの欠点がある。高速飛行する弾道ミサイルにレーザーを照射し続ける正確性の確保も技術面での課題だ。

レーザー兵器は米国や中国などでも開発が進められ、米軍は実戦配備を始めている。米国はミサイル防衛への活用も検討しており、防衛省は米国の研究成果について情報提供を受けている。

に掲載されている研究は150kw級の研究であるのに対し、読売新聞の高出力レーザーは、いきなりかつて米国が実用化しようとしたYAL-1に搭載し実用化しようと試みたMW級なのだ。昨年度まで研究していたのが、以下の高出力レーザーシステムだ。


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高出力レーザシステムは、高出力で集光性に優れたレーザ発生装置、移動目標にビーム照射可能な追尾照準装置及びビーム指向装置等で構成されます。迎撃フローに示す様に、赤外線カメラで高速目標を追尾し、高出力レーザ光を集光させ、撃破するまで追尾・照準・照射します。
現在上掲の防衛装備庁のHPに掲載されている、平成22年度より研究が開始された高出力レーザ技術の研究の研究は平成29年2月15日をもって研究が終了した。

旧研究は、、高出力化と小型化を両立可能な化学励起ヨウ素レーザ、高出力レーザの大気伝搬特性等の把握、移動目標上にレーザ光を指向・照射する技術等が 研究された。

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実験的高出力レーザー兵器の試作であり、照射エネルギーは一次試作品はレーザー出力15kw級であった。UAV撃墜実験に使用された二次試作品は出力は上記図にあるようにレーザー出力50kw級の沃素レーザーであったと思われます。
50kw級とは1km以内のUAVやドローン、航空機を撃墜可能な能力である。

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      画像出所

正直なところ読売新聞の記事は「本当かなぁ❗」と、にわかには信じがたいスクープであり、防衛装備庁の過去の研究経緯からすると、一気に段を二段階抜いてしまうような話である。


※日本語字幕は設定より出ます。

しかしながら、ロッキード・マーチン社で、技術的なブレイクスルーがあったとのニュースもあり、続報および防衛装備庁、防衛省のHPの情報開示を注視していきたい。

北朝鮮がロフテッド軌道でミサイルを打ち上げると、従来のBMDでは迎撃が困難である。上昇段階の(ブースト・フェイズ)と突入段階(ターミナル・フェイズ)での対応の難易を比べると、技術的にはブースト・フェイズの方が容易です。ブースト・フェイズは赤外線による探知が容易で、また弾道ミサイルの速度が遅いことから追尾照準が容易である。

わが国の弾道ミサイル防衛システムにレーザー兵器を組み込む場合、現時点ではブースト・フェイズでの対応を考える方が技術的には実現可能性が高い。

ロフテッド軌道で打ち上げたミサイルは上ブースト・フェイズでの迎撃を真剣に検討しなくてはならない。読売新聞の日本版YAL-1は荒唐無稽な話ではない、数メガワット級のレーザー実現は国家的急務である。

日本版YAL-1どうしても発射基地の近くを飛行するため、ミサイルのみならず、迎撃戦闘機や対空ミサイルに対して対処が必要となる。考え方によれば、巨大なアウトレンジ迎撃戦闘機と考えることもできる。

日本版YAL-1では、ミサイルを焼き切ったり、崩壊させたりするわけではなく、ミサイル表面に熱を加えることで表面を弱らせ、飛翔中の圧力で機能不全を引き起こさせることを期待した兵器であると思われます。


軍事研究 2017年9月号が、偶然にも高出力レーザー兵器であったので、この記事をベースに、高出力レーザー兵器を紹介しますので、読売新聞の日本版YAL-1が実現可能か考えてみてください。

北朝鮮ミサイルを秒速30万kmで破壊
ミサイル防衛は「高出力レーザー兵器」
航空機や弾道ミサイルが撃破可能なメガワット級レーザー兵器の早期実用化が待たれる
元航空自衛隊飛行開発実験団司令の宮脇俊幸・元空将補宮脇俊幸

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レーザーの出力と撃破可能な目標について、米議会調査局の報告書では以下の通り分類されている。

 ①数十kW出力:航空無人機と一部の小型舟艇。
 ②約100kW出力:航空無人機、小型舟艇、一部のロケット弾・砲弾・迫撃砲弾(RAM)。
 ③約数百kW出力:②の能力向上に加え、有人機、一部のミサイル。
 ④メガワット出力:③の能力向上に加え、超音速空対艦ミサイル、弾道ミサイル。
 弾道ミサイルの破壊にはメガワット級の高出力レーザー兵器が必要なことが分かる。

 現在では、数十kW~約100kW出力のレーザー兵器の開発が主流となっており、米国では固体レーザーを使用した高出力レーザー兵器の実現に向けて、数多くのプロジェクトが進められている。

○数kw級 
運用:陸軍
MEHEL2.0  ファイバーレーザー方式 
出力2kw ~5kw 小型UAV(民間用のドローンタイプ)を迎撃可能 
ストライカー装甲車に搭載し試験中 
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米陸軍は、高出力レーザーの機動車両への搭載を進めている。2017年4月3〜13日に、「MEHEL2.0(機動遠征高出力レーザー2.0)」をストライカー装甲車に搭載して、小型無人機に対する有効性の実証実験を行なった

MEHEL2.0は出力5kWの固体(ファイバー)レーザーを使用している。2017年の実証実験では、無人機区分グループⅠ(質量9kg以下)の固定翼無人機やクワッドコプターを物理的に破壊した。2020年までには実用化される可能性がある。

・HELMTT(高出力レーザー機動試験トラック) 運用:陸軍
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ファイバーレーザー方式 
出力10kw 
陸軍の車載レーザー兵器 
2018年よりロケット弾、野戦砲弾、迫撃砲弾の迎撃試験を実施予定 

●演習でHELMTTは、移動目標と制止目標を攻撃し、小型無人機や迫撃砲弾を破壊した


○数十kw級…対UAV、対小型舟艇 
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運用 海軍
ファイバーレーザー方式 
出力32.4kw 
海軍の輸送艦「ポンセ」で試験中 
LaWSは、Office of Naval Research (ONR) の主導によって研究開発が進められてきたもので、指向性エネルギー兵器を採用することにより、安価にそして二次的被害を与えることなしに脅威を無力化することができるという特徴を有している。

USNでは今後もこのLaWSを使った洋上試験を行うことで、改良を進めた上で、2020年代をメドにこの新兵器を保有するミサイル駆逐艦(Guided missile destroyer)や沿海域戦闘艦(Littoral combat ship)などに搭載することを予定している。

Lockheed Martinは16日、世界最大となる出力58 kWのシングルビームのレーザー兵器を US Army Space and Missile Defense Command/Army Forces Strategic Commandに納入したことを発表した。

Lockheed Martinが開発したレーザーは、ファイバーレーザー(fiber laser)を束ねることで、スケーラブルにレーザーの出力を増大させることを可能にしたものとなる。

このレーザーはまた、目標におけるレーザーの収束率を物理上の限界にまで高めたものともなっており、出力規模もさることながらエネルギー効率の観点からも高エネルギー兵器としての限界を目指したものとなる。
以下略



Lockheed: モジュール型レーザー兵器「ATHENA」の量産を開始
【businessnewsline】Posted 10 days ago, by Gerald Byrd

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Advanced Test High Energy Asset (ATHENA) mounted US Army vehicle

Lockheed Martinは60kWの出力を持つモジュラー型レーザー兵器「Advanced Test High Energy Asset (ATHENA)」の生産をワシントン州にあるBothellファクトリーで開始したことを発表した。

ATHENAは、高出力のファイバーレーザー(fiber laser)を使用したもので、独自のモジュラーデザインを採用することで、ミッションに合わせて構成を自由に変更することができるところに特徴を持つものとなる。レーザーの出力も構成によって変更することが可能で、規定出力は60~120kWとなっている。

US Armyでは、ATHENAを小型の車両や無人偵察機など比較的小規模な脅威の無力化のために使用することを予定している。

ource: Lockheed Martin

○100kw級…対UAV、対小型舟艇、対ロケット弾、対砲迫弾 

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ファイバーレーザー方式 
出力150kw
「SSL‐TM(固体レーザー技術円熟)計画」、固体(ファイバー)レーザーを使用したシステムによって出力100~150kWを実現できることを実証する。2018年には試験艦に搭載して海上試験を経て、2019年輸送艦と駆逐艦に配備開始予定。


・HEL-TVD(高出力レーザー・戦術車両実証) 
ファイバーレーザー方式 
出力100kw(予定) 
2017年に米陸軍は「HEL・TVD(高出力レーザー・戦術車両実証)計画」を開始した。計画の目的は陸軍の要求(寸法・質量・性能)を満たすことができる機動式の固体レーザーシステムを実現すること。攻撃の目標は、ロケット弾・砲弾・迫撃砲弾と無人機で、出力は100kWを目指している。2022年までに実証実験が行なわれる予定。

・HELLADS(高エネルギー液体冷却固体レーザー地域防空システム) 
ダイオード励起型液体冷却固体レーザー方式 
出力150kw(予定) 
地上試験実施中 

USAF: 2020年までに空対地レーザー砲「HELLADS」を実用化へ
【businessnewsline】Posted 26 days ago, by Gerald Byrd

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U. S. Air Forceが2020年までに空対地レーザー砲を実用化し、General Atomics MQ-9 Reaperなどのドローンを始めとする無人偵察機や有人戦闘機への搭載を計画していることが19日、メリーランド州で開催された2015 Air & Space ConferenceでのGen. Herbert J. Carlisleの発言で明らかとなった。

Gen. Carlisleによると、USAFは現在、リチウムイオンバッテリーで動作する150kwのレーザー砲ポッド「HELLADS (High Energy Liquid Laser Area Defense System)」の開発をDARPAの資金提供の元で、General Atomicsで進めており、今後、システムの小型化を進めることにより、2020年までの実用化を図るとしている。

UASFが運用しているMQ-9などのドローンは、攻撃用兵器は搭載されているものの、防御用兵器は搭載されておらず、一般の有人戦闘攻撃機に比べると機体の喪失率が高いのが難点となっていた。

Gen. Carlisleは、今後、HELLADSの小型化を進めることで、最終的に、1.3x0.4x0.5mのポッドとして実装化することで、2018年中に、General Atomicsが現在開発を進めている無人戦闘攻撃機「Avenger」に搭載して、実用試験段階に移行を予定しているとしている。

HELLADSはバッテリーパックを再充電しさえすれば、何度でもレーザービームを発射することができるため、戦闘攻撃機運用に関わる防御手段のコストの大幅な削減を図ることが見込まれている。

○数百kw級…対有人戦闘機、対ミサイル 
「shield laser weapon」の画像検索結果

・SHiELD(自己防御用高出力レーザー実証システム) 
ファイバー型又はセラミック型固体レーザー方式 
100kw~300kw(予定) 
研究開発中、増槽タイプの試作品を2022年頃納入予定 
将来的にF-35に内装、又は増槽サイズの機外搭載予定 


○MW級…対超音速対艦ミサイル、対弾道弾 
・名称不明 
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Artist´s impression of the KC-Z. Credit: Aviation Week
ファイバー結合型レーザー又はダイオード励起型アルカリレーザー 
メガワット級予定 

大型無人機への搭載を予定 
2025年頃実証試験予定 KC-Zは高エネルギー兵器の搭載も計画されており、現行の旅客機のような形をした空中給油機とは全く異なるものとなることが見込まれている。米国で進むメガワット級のYAL-1後継機と日本が共同開発をする可能性もある。

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YAL-1
YAL-1は7機製造する予定でしたが2011年中止となり、モスボールにされましたが、2016年廃棄処分となっています。当初高度12,000mで液体燃料ミサイルを最大600km 固体燃料ロケットを300kmを有効射程としたが、それでも短いとされたが、その目標射程に届かなかった。また、化学レーザーは約40発の照射分しか無いと言う点も中止となった理由である。
Airborne Laser ABL Executive Update 2008 Boeing 747 YAL-1

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C-2機首に高出力レーザーを積んでみました(合成写真byDdog)

読売新聞に載った日本版YAL-1構想だが、現状の技術水準では、そう簡単に実現できなそうにも思えるが、是非ゲームチェンジャー、日本の守護神として実現してもらいたい。