イメージ 2
朝鮮半島での武力衝突危機が高まっているが、その裏の水面下で米国と中国が手を結ぶのか、はたまた衝突するのか、日本は米中が手を結ぶのではないかと常に懐疑心をもって米中をウォッチしていかなければならない。

対中強硬論者のナバロ氏の本書は世界情勢に興味ある者はやはり読んでおくべき一冊である。

作品紹介 文芸春秋
◆トランプ政策顧問が執筆!◆

・経済成長のために必要な原油の中東からの輸送ルートは、太平洋地域の制海権をもつアメリカによって抑えられている。
・空母と同盟国の基地を主体にした米軍に対抗するため、安価な移動式のミサイルで叩くという「非対称兵器」の開発を中国は進めてきた。
・南シナ海や尖閣諸島の海底に巨大な油田が発見された。
・南シナ海や尖閣諸島を囲む第一列島線。その内側の制海権を中国は握りつつある。
・歴史上、既存の大国と台頭する新興国が対峙したとき、戦争に至る確率は70%を超える。

経済、政治、軍の内情……。
最前線の情報をもとに、米中戦争の地政学を鮮やかに読み解く。
トランプの政策顧問による分析で、日本の未来が見えてくる!


解説:飯田将史(防衛省防衛研究所 地域研究部 中国研究室 主任研究官)

【目次】

■第一部 中国は何を狙っているのか?

第1章 米中戦争が起きる確率
第2章 屈辱の一〇〇年間
第3章 なぜマラッカ海峡にこだわるのか?
第4章 禁輸措置大国アメリカ
第5章 中国共産党の武力侵略

■第二部 どれだけの軍事力を持っているのか?

第6章 軍事費の真実
第7章 第一列島線と第二列島線
第8章 「空母キラー」の衝撃
第9章 地下の万里の長城
第10章 マッハ10の新型ミサイル
第11章 機雷による海上封鎖
第12章 深海に潜む核兵器
第13章 ヨーロッパの最新軍事技術を手に入れる
第14章 小型艦が空母戦闘群を襲う
第15章 第五世代戦闘機の実力
第16章 宇宙戦争
第17章 サイバー戦争
第18章 国際世論の操作
第19章 「非対称兵器」が勝負を分ける

■第三部 引き金となるのはどこか?

第20章 台湾という不沈空母
第21章 問題児・北朝鮮
第22章 尖閣諸島の危機
第23章 ベトナムの西沙諸島
第24章 南シナ海の「九段線」
第25章 排他的経済水域の領海化
第26章 水不足のインド
第27章 火の付いたナショナリズム
第28章 地方官僚の暴走
第29章 中露軍事同盟の成立

■第四部 戦場では何が起きるのか?

第30章 質の米軍vs. 量の中国軍
第31章 米軍基地は機能するのか?
第32章 中国本土への攻撃
第33章 海上封鎖の実行
第34章 どんな「勝利」が待っているのか?

■第五部 交渉の余地はあるのか?

第35章 米軍はアジアから撤退すべきか?
第36章 中国の経済成長は何をもたらすのか?
第37章 貿易の拡大で戦争は防げるのか?
第38章 核抑止力は本当に働くのか?
第39章 中国との対話は可能か?
第40章 「大取引」で平和は訪れるのか?

■第六部 力による平和への道

第41章 「戦わずして勝つ」唯一の方法
第42章 経済力による平和
第43章 軍事力による平和
第44章 同盟国を守り抜く
第45章 中国の脅威を直視する

■解説 飯田将史(防衛省防衛研究所 主任研究官)
「日本の安全をどう守るのか」

担当編集者より
これまでの世界史を振り返ってみると、中国のような新興勢力がアメリカのような既存の大国に対峙した場合、70%以上の確率で戦争が起きている――。本書は、そんな衝撃的な事実を前提に、米中戦争の可能性とシナリオを分析していきます。中国が手にした最先端の軍事技術は、東アジアのパワーバランスをどう変えるのか。中国が狙いを定める米軍基地の意外な弱点とは。アメリカ、中国、そして日本の未来を地政学で読み解きます

トランプの懐刀が描く「米中戦争」の可能性
沖縄の米軍基地は「非対称兵器」の標的に
【東洋経済】2016年11月28日飯田 将史 : 防衛研究所中国研究室 主任研究官 

イメージ 1
在日米軍の撤退はあるのか? 日本の防衛に穴は?(写真:c Sipa USA/amanaimages)
「日本は米軍の駐留経費を全額負担せよ。さもなければ、米軍の撤退もいとわない」との発言を繰り返してきたドナルド・トランプ氏。そんなトランプ氏の政策顧問(Policy Advisor)であるカルフォルニア大学教授の書いた『米中もし戦わば』(原書名:Crouching Tiger)が日本の防衛省、自衛隊幹部の間で話題になっている。

著者であるピーター・ナヴァロ氏は、トランプ次期大統領の政権移行チームでも引き続き政策顧問を務め、経済、貿易、そしてアジア政策を担当している。元々の専門は経済学で、「中国の不公平貿易が、アメリカ経済とその製造業にどんなダメージを与えているか」を研究していた。その過程で、そうして得た経済力をもとに、中国が軍事力を増強し、南シナ海や東シナ海で様々な軍事行動を起こしていることに着目。それがこの本の出発点となった。

今年3月、日本の防衛省防衛研究所も中国の海洋進出を分析した「中国安全保障レポート」を出している。その執筆責任者である主任研究官の飯田将史氏が執筆した解説全文を掲載する。


かつて北海道を中心に展開していた自衛隊

日本の自衛隊がソ連軍による着上陸を念頭に置いて、北海道を中心にして展開していたのは、今は昔の話である。

現在、陸・海・空の各自衛隊は、東アジアの海洋でプレゼンスを強化している中国軍をにらみつつ、南西地域に重点を置いた展開を推進している。

本書は、近年の中国の海洋進出にともなって、変化する太平洋地域の戦力バランスを分析しながら、「米中戦争はあるか」「あるとすれば、どのように防ぐことができるのか」を、一般読者に向けてわかりやすく論じた優れた地政学の本である。

本書ではもちろん尖閣諸島をめぐる日中のつばぜり合いや日本に展開する米軍の基地(佐世保、横須賀、横田、嘉手納など)の脆弱性などが、米国の立場から書かれているが、日本の自衛隊がどのような戦略のもとに、中国の海洋膨張政策に対峙しているかにはあまり紙幅が割かれていない。本稿では、「解説」の形をとりながら、日本から見た防衛戦略について記したいと思う。

尖閣諸島周辺の日本の領海に、中国の政府公船が初めて姿を現したのは、2008年12月のことである。ほぼ同じころに、中国が島嶼(とうしょ)の領有権や海洋権益をめぐってフィリピンやベトナムなどと争っている南シナ海でも中国公船の活動が活発化していることから、この時期から中国の海洋膨張政策が、さまざまな衝突をうみながら、国際社会に立ちあらわれたということがいえるだろう。

尖閣諸島周辺に莫大な石油が埋蔵されている可能性を指摘する調査結果が、1968年に発表された。急速な成長の結果として、中国経済は、中東やアフリカから輸入される石油への依存を強めており、その輸送には、米国の制海権下にあるマラッカ海峡をとおらねばならない。この「マラッカ・ジレンマ」を緩和することも、中国が尖閣と東シナ海にまたがる海底に存在している石油の確保を目指す、理由の一つになっている。

尖閣の領有を実現するために

イメージ 3その尖閣の領有を実現するために、本書にもあるようにまずは地図を書き換え、漁船を送り込み、サラミをスライスするように徐々に支配を拡大していくというのが中国の戦略である。

中国は、1996年の台湾における総統選挙に際して、中国が独立派と見なしている李登輝に投票しないようメッセージを送るために、台湾の近海に弾道ミサイルを撃ち込む演習を行った。これに対して、米国は空母インディペンデンスと空母ニミッツを中心とするふたつの艦隊を派遣し、中国は矛を収めざるをえなかった。

この時の蹉跌が、中国に、アメリカの空母打撃群に対抗する対艦弾道ミサイルなどの「非対称兵器」の開発を促したという本書の見方は的を射たものである。
                                                                         ピーター・ナヴァロ/ カリフォルニア大学アー                                      ヴィン校経済学教授 『米中もし戦わば戦争の                                      地政学』(文藝春秋)著者
ハッキングによって先進諸国から軍事技術の主要部分を盗み、そのコピーによって高性能な国産兵器をつくりあげる。黄海、東シナ海、尖閣諸島、南シナ海を内側に含む第一列島線への進出を、本書に書かれてあるように、移動式で精密攻撃が可能な弾道・巡航ミサイル、潜水艦などの強化によってなしとげつつある中国に対して、自衛隊はどのような対応をとってきているのだろうか?

冒頭で書いたように、もともと自衛隊はソ連による侵攻を念頭に置いていた。しかし、冷戦の崩壊と、経済成長にともなう中国の海洋進出が顕著になった2000年代以降、自衛隊の態勢は北から南へと重点をシフトしてきている。

福岡の築城基地に所属していた主力戦闘機F-15、約20機からなる飛行隊を沖縄に移転したのはそのひとつである。これは、東シナ海上空における中国軍機の活動が活発化していることに伴って、南西空域におけるスクランブル(緊急発進)の回数増大に対応するためである。また、陸上自衛隊は与那国島に沿岸監視部隊を設立しており、今後は南西諸島への地対艦ミサイル部隊の配置が検討されている。佐世保の西方普通科連隊を中心とした水陸両用部隊の整備も進んでおり、陸自は離島奪回能力を向上させつつある。

海上自衛隊は、保有する潜水艦を16隻から22隻へと増加させつつある。より多くの潜水艦を南西海域で運用することにより、中国の潜水艦や水上艦艇などに関する情報収集や偵察監視能力が向上することが期待される。また有事においては、南西海域での海上優勢を確保するうえで、これらの潜水艦が重要な役割を担うことになろう。海上自衛隊は、高性能のレーダーを装備し、多数の敵戦闘機や対艦ミサイルなどに同時に対応できる高い防空能力を有しているイージス艦の改修も進めている。特に弾道ミサイル防衛能力の強化が図られており、日本本土に対する弾道ミサイル攻撃への対処能力の向上につながるだろう。

拡張する中国に対して、米国は、アジア太平洋地域における同盟国との防衛協力を強化している。その結果、日米の防衛協力はこの数年で顕著に進展している。たとえば、東京都の府中にあった航空自衛隊の航空総隊司令部を、在日米空軍の司令部がある横田に、2012年に移転したのもそのひとつだ。陸上自衛隊で有事における初動対処を担うことになる中央即応集団も、その司令部を、在日米陸軍司令部がある座間キャンプへ移転した。米軍と自衛隊が、主要な部隊の司令部を同じ場所に置くことで、作戦時における相互の連携強化が目指されている。

本書は、米軍が日本や韓国などアジア地域で運用する基地が固定されているために、中国のミサイル攻撃に脆弱である旨を指摘している。これは鋭い指摘で、PAC3などの地対空ミサイルを配備し、迎撃しても、異なる方向から多数のミサイルが飛来した場合、そのすべてを打ち落とすことは難しい。したがって、そうしたミサイルが着弾しても基地が稼働できるよう、主要な施設や装備を非常に厚いコンクリートで保護することや、破壊された滑走路などの施設を早急に復旧させる能力の向上といった、「抗たん化」の推進が必要になっている。

日本にとっては死活問題のオフショア・コントロール

本書の中ではもうひとつの戦略思想の転換が提示されている。すなわち空母主体の現在の米海軍の態勢を改め、潜水艦を主体にし、第一列島線の海峡(チョークポイント)で中国を封鎖するという「オフショア・コントロール」の考えである。

この潜水艦への戦略移行は、たしかにアメリカにとっては安上がりな解決かもしれないが、第一列島線上に位置する日本にとっては死活問題になる。これは第一列島線で、石油などの輸入を阻止することで、中国を干上がらせるという発想だが、そうした事態まで中国を追い込むには相当の時間がかかる。その間に中国は、封鎖の突破を目指して、本土で無傷のまま温存されているミサイルなどの兵器を用いて、第一列島線に存在する敵の軍事基地や政経中枢への攻撃を行うことが想定される。

また、中国領内に進入できる長距離爆撃機を米側が持つことが、事態の安定につながるという本書の主張の妥当性はどうだろうか?

中国の内陸部にある軍事的なアセットを着実に破壊できる能力を持つことによって、中国による挑発的な行動、挑戦的な行動を抑え込む。それが「エアシーバトル」の抑止の考え方だ。そのためには長距離を高速で飛行し、敵のレーダーから探知されにくいステルス性能を備え、中国の内陸部も攻撃できる爆撃機を持つというのは合理的な結論である。実際、ステルス性の高い長距離爆撃機をアメリカは保有しており、それが中国本土をたたくことができるという事実が、抑止力の一部となっているのである。

それでは日本も持てばいいではないか、と読者は思うかもしれない。しかし、日本がこうした長距離爆撃機を持つことは想定できない。なぜならば、憲法9条の下で、性能上もっぱら他国の国土を壊滅的に破壊するような攻撃的兵器を日本は持てないからだ。自衛隊は「専守防衛」の思想のもと、攻撃されないための防衛的な兵器のみを所有しているということになる。

こう考えていくと、米軍のアジア太平洋地域におけるプレゼンスは、日本にとっては是が非でも必要な傘ということになる。

戦後初めての試練のなかにある

第二次世界大戦では、アジアの覇権国になろうとした日本を、アメリカは石油の禁輸などの手段をつかって抑止しようとしたが、結局は失敗し、戦争になった。その後のアジアで、強力な海軍力をもった国は、中国が2000年代に南シナ海や東シナ海に進出するようになるまでは、出現しなかった。

その意味で、現在アジア地域は、戦後初めてアメリカ以外の国が覇権国たるべく拡張してきたその試練をうけている。

本書が記す、フィリピンが領有権を主張しているスカボロー礁を失った経緯に愕然としたかたもいるのではないか。2012年4月に「中国漁船団」の侵入によって始まったこの奪取劇。中国は、フィリピン製品の輸入制限や、フィリピンへの事実上の渡航制限によって中国経済に依存していたフィリピンを追い込む。アメリカの仲介で、2012年6月に両国は当該地域から撤退することが決まったにもかかわらず、中国はそのまま居座り続け、礁のコントロールを握ることになった。

本書『米中もし戦わば』は、米国、中国のみならず、ベトナム、フィリピン、台湾、韓国、北朝鮮、そして日本といった国々のパワーバランスのなか、中国が何を狙い、何が同盟国の側に足りないのかを、わかりやすく書いている。

沖縄の基地問題や集団的自衛権の問題も、こうした大きなコンテクストのなかで考えていくと、その糸口が見つかるかもしれない。

アジア地域へのアメリカ軍のプレゼンスを軽視する候補が大統領になった今こそ、日本人に読まれる書というべきだろう。
米国では、ピーター ナヴァロ自身も未だに中国を過大視しているように思える。

歴史上の事例に鑑みて、新興勢力=中国と既成の超大国=アメリカとの間に戦争が起きる可能性は非常に高い。歴史上の大国の過ちから米中戦争は70%以上で不可避だ、と推定するのは大きな間違いであるとピーター ナヴァロ氏は言う。

これだけでも、われわれの推理作業をここで終わらせてはならない充分な理由となる。そこで、大国政治の俯瞰的な視点から下り、これからは中国の意図を「地上軍的な」やり方で検証していくことにしよう。「中国の軍事力増強に悪意はない」とはっきり断定できれば(そんなことは不可能だとミアシャイマーは言うが)、「戦争の危険はない」という結論でわれわれの推理作業を締めくくることができるだろう。

中国の軍事力増強のおもな理由は、200年間屈辱的な当界を受け、二度と植民地主義の犠牲になりたくないこと、米国に石油を止められないことであるが、米国が世界を仕切るパックスアメリカーナの現状を変更しようという意図は明確であり、歴史を振り返って分かることは、中国共産党が政権獲得以来60年以上にわたって武力
侵略と暴力行為を繰り返してきたという事実をナバロ氏は、トランプ政権内にいてはっき理解している。

一九四九年の中華人民共和国建国以来、アメリカも朝鮮戦争、ベトナム戦争、アフガニスタン戦争という大戦争を戦い、アメリカが武力介し続けている。
中国とアメリカという、どちらも非常に暴力的な、核武装した軍事超大国が、両国の経済交流は拡大し続けているにもかかわらず睨み合っている現実をナバロ氏は理解し、中国をもはや野放しにさせないと、ナバロ氏は理解している。

本書第六章、ナバロ氏は第二次世界大戦時米国が日独に完勝できたのは、日独を圧倒する工業生産力があったことを引き合いに出している。それは、自国ですべて100%兵器を生産できる古き良き時代の話であって、サプライチェーンが世界中に依存している現代では、おとぎ話かもしれない。兵器が高価で複雑になった現代においては、米中の兵器の中枢には日本製の部品が欠かせなかったり、米軍の兵器には中国製の偽部品が紛れ込んでいる。



第8章で面白いことが書いてある。
p61-64
 米軍のアジア駐留コストは激増する

 だが、ここではっきり言っておかなければならないのは、一連の非対称兵器の開発において中国が必ずしもアメリカ艦船の撃沈を目標としているわけではないということである。中国はむしろ、「戦わずして勝つ」ことを最上の目標とする孫子の兵法に則り、中国がその気になりさえすればアメリカの空母を撃沈できるのだとアメリカに思わせようとしているのである。

だから、中国は、アメリカ海車第学校教授ジェームズ・ホームズの言う「ハード・シールド(「アメリカ海軍を完全にアジア海域から駆逐するための」防御壁)を構築しようとしているわけではない。中国は単に、アジア海域で作戦行動をおこなうアメリカ艦船のコストとリスクの負担感を上げようとしているに過ぎない。そして、そうすれば、すでに戦争に疲れているアメリカが戦わずして逃げ出すだろうと踏んでいるのである。

 中国が反干渉作戦のお手本にしているのは孫子だけではない。この戦略は、カール・フォン・クラウゼヴィッツの「代数による戦争」という西洋的な考え方の典型例でもある。この名高いプロイセンの軍事理論家の精神に則り、中国はアメリカに費用対効果という問題を提起している。

アメリカの政治家や軍司令官は、「アジアに駐留することで得られる経済的・国家安全保障上のメリットは、著しく増大しつつあるリスク及び海軍やアジアの基地の付随コストに見合っているだろうか」という不愉快な問題に直面せざるを得ない。中国の力が増大するにつれて、費用対効果を厳密に考えれば、この重大な問題にアメリカはいずれ「ノー」と答えざるを得なくなる、と中国は考えているのである。

いつかアジア・太平洋地域の海と空で東(孫子)と西(クラウゼヅイッツ)がどのように出会うことになるかを、アメリカ海軍大学校教授トシ・ヨシハラは次のように説明している。

(中国の)目標は、アメリカ海軍を軍事的に打ち負かすことではない。中国の目標は、ホワイトハウスの戦略的・政治的計算法を変化させ、コストとリスクの負担感からアメリカの政策決定者がアジアヘの介入を躊躇するように仕向けることである。ホワイトハウスが躊躇し、決定を遅らせれば、それだけ中国は紛争を自分に都合よく解決する時間を稼げるようになる。これによって現地の状況は不可逆的に変化するだろう。そして、それによって中国の望みが実現するだろう。

中国の望みとは、戦わずして勝つこと。つまるところそれは、そもそも紛争が起きないように「立入禁止区域」を設けることである。

 このような恐ろしい結果を防ぐため、さらに、中国の最新式対艦弾道ミサイルの脅威に対抗するため、アメリカは日本やオーストラリアといった同盟国の協力を得て最新鋭のミサイル防衛システムをアジア地域に導入しようとしている。

 もちろん、こうしたミサイル防衛システムを当該地域へ持ち込むことそれ自体も、事態のエスカレーションを招く行動である。というのも、中国側は防衛システムを数で圧倒しようとしてさらに多くのミサイルを配備するだろうからである。典型的な、「安全保障のジレンマ」の軍拡競争が起さようとしている。

 アメリカのミサイル防術システムは、中国の通常型ミサイルを無害化するに留まらず、必然的に、そしておそらくは非意図的に、中国の「報復核攻撃」能力をも脅かす。すると、この行動は状況の不安定化も招くことになる。というのも、このような核報復能力こそが「核抑止力」(「こちらに核ミサイルでやり返す力があれば、先制攻撃を仕掛けられる心配はない」ということ)の基礎だからである。
なぜ、日本が防御的盾であるイージスアショアを導入したり、韓国が防御的盾THAADを導入すると中国が激高するのか理由が見えてきた。中国はもっと過大に軍備を増強しなければならなくなるのだ!

中国の東風21は対空母弾道ミサイルであると自称しているが、ほぼ間違いなく空母には当たらないだろう。単なるこけおどし兵器である。このことは軍事専門家であれば、ほぼ誰でも知っている既成事実であろう。DF-21は内陸部の止まっている目標にしか発射実験を行っておらず、海上で常に移動している空母をマッハ10以上で大気圏外から突入する弾道弾の最終誘導方式が確立したとは誰も思っていない。

もし、日本や米国が対艦弾道弾を開発したならば、最終的に洋上で廃棄タンカー相手に発射実験を行うだろう。中国も本気で空母に着弾させようと言うなら、実験はするだろう、だが、実験は行っていない。

おそらく、実験は失敗するはずで、下手に実験をするとガラクタであることが露見するので、実験をせず、こけおどしで十分だと中国は考えているのだろう。素人の議員やマスコミに対して、米空母が攻撃されると思わせるだけで十分なのである。

ナバロ氏はこのことを見抜いているのだろう。




執筆中