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米首都ワシントンで中国製品への制裁措置を指示する大統領令に署名後、掲げるトランプ米大統領=22日(UPI=共同)
【ワシントン=塩原永久】トランプ米大統領は22日、中国の不公正な貿易慣行によって米国の知的財産が侵害されたとして、中国の対米輸出品に25%の追加関税を課す制裁措置を決定した。最大で年500億~600億ドル(約5兆3千億~6兆3千億円)の中国製品が関税の対象となる見込み。中国による対米投資規制を強化し、中国を世界貿易機関(WTO)に提訴する方針も決めた。

 駐米中国大使館は「(米国との)貿易戦争を恐れない」との声明を発表。中国は報復措置も辞さない構えで、米中の2大経済大国の対立激化は必至だ。

 トランプ氏はホワイトハウスで指示文書に署名し、「膨大な額に相当する知的財産が(中国に)盗まれている」と述べた。

 制裁措置は不公正な取引慣行に対する制裁を認めた米通商法301条に基づくもの。中国に進出した米企業が中国側に技術移転を強要されているなどとして、昨年夏から通商代表部(USTR)が調査していた。

 大統領指示を受け、USTRが制裁対象の製品リストを15日以内に公表する。政権高官によると、ハイテク製品を中心に1300点に及ぶ。投資規制は財務省が60日以内に具体案を作成。WTOへの提訴は、中国が自国企業をライセンスの扱いで優遇しているためだとしている。

 同高官は中国が先端分野で国家指導のもと優位に立つ戦略を進めているとし、「中国による経済侵略から米国を守る」と述べた。
トランプ大統領は確かに聖人ではなく、俗物であるが、トランプ大統領が行っていることは、どんなに非難されようと、信念を曲げず、アメリカ・ファーストの選挙公約を堅守するある意味で、民主主義の鏡のような大統領である。

日本で延々不毛な森加計問題を国会でやっているように、米国ではやはり不毛なロシア疑惑を民主党リベラルマスコミ中心に延々とやっている。

これは、民主主義者を自認する民主党支持のリベラル派の人々にとって、民主主義に則って選挙で選ばれた大統領が自分達と意見が異なるトランプ大統領であることが、許せないので、ロシアによる介入があり、不公正な選挙であったという架空のお花畑ストリーを妄想し、不正があったと言い続けるしか、自分達のアイデンティティの崩壊を防ぐ手段が無い現れである。

日本の森加計問題も、民意で選ばれた安倍首相を貶めたい自称リベラル勢力がが反民主主義的暴挙=森加計テロを日本でも行っているのに似ている。

元々腕力があって腹黒い米国ではあるが、その頭の中は民主主義というお花畑が咲きやすい空っからの空洞がある。また、米国の基本アイデンティティには西部開拓というフロンティア幻想があり、元々黒船来航も、その後のハワイ併合もその延長線上にあり、第二次世界大戦前、中国への米国の肩入れ、そしてクリントン政権の異常な中国への肩入れと幻想も、フロンティアという甘い幻想の残り香であった。

民主主義というドグマを信奉する米国にとって、1989年民主主義を求める学生を大量虐殺した天安門事件は許されない行為であった。天安門事件の後、中国は世界中から人権問題を批判されて国際社会の中で孤立した。国内経済面では保守化回帰への揺り戻しの中で、経済発展が停滞した。本来米国はそこで中国への投資を止めていれば、今日世界中が迷惑している中華共産党帝国は出現しなかったはずであった。

このブログで、中国といえば日本の脅威であり、仮想敵国と見做し批判していますが、はわたくしは大学で中国語を第二外国語として選択して、はじめて訪問した国も香港~中国南西部、大学時代中国をバックパックで巡る程の親中派でした。子供の頃(1960年代後半)の中国と言えば、日中国交回復が待たれ、国交回復後は日中友好熱烈歓迎の時代を経験したから、必然的に中国に愛着があったからでした。

毛沢東も周恩来も、鄧小平も日本びいきだったり、日本は元々「孔・孟・老・荘・孫」の教五子を尊敬していたDNAもあり、1989年の天安門事件後、世界から孤立した中国に世界に先駆けて中国への経済協力を復活させたのは日本政府だった。

それは中国を再び世界の中で孤立させるのではなく、改革開放政策の継続によって世界の政治経済の重要なプレイヤーの一員として加わらせるために自ら率先して動いたものである。それが日本の国益にとって重要であるという判断に基づく当時の外交戦略だった。

日本が国際社会の対中包囲網に穴をあけると、欧米も立場を変え、中国に対する投資を競うようになった。欧米諸国の建前は、いわゆる中産階級理論、つまり中国が豊かになれば中産階級が生まれ、彼らは自然と民主、自由を求めるようになり、中国の民主化が進むであろう、という主張だった。

その中国をいち早く見限ったのも、我々日本人であった。2000年以上シナをウォッチしてきた日本人にとって、江沢民らが行った反日を共産党政権の正統性の神話構築を行う中国の将来の危険性にいち早く気が付いたからである。

だが、2000年以上シナを観察してきた日本と違い、米国はクリントン・ブッシュ・オバマ政権の24年間、中国を甘やかし続けた。鄧小平以降の改革・開放路線をとった中国は、グローバリズムの恩恵を享受をしつつ、巧く経済を回転させてきた。中国は、欧米の技術と資本を利用して、ひたすら巨大化してきたが、欧米は見て見ぬふりをしてきなのか、本当に盲目であったかは別として、人類の生存を危うくするモンスターを育成してしまったのである。

その中国幻想であるが、南沙諸島での暴挙で、さすがにオバマ政権末期頃から米国で解け始まった。そして、習近平が皇帝に即位するに至り、中国経済発展で中国が民主化するであろうという楽観的希望が潰えてしまったのだ。

毛沢東の農民社会主義実験は無残な失敗に終わったし、鄧小平以来の資本主義実験は富を生み出すことはできたものの、それを国民に分配するメカニズムを作れなかった。鄧小平以降の改革・開放路線がうまく回転してきたのは、日本欧米から技術と資本と市場の提供があったからこそ成し得た成果であった。

日米欧と言った民主主義国家にとって、民主化しない中央集権の独裁国家にこれ以上餌を与えることを止めたのである。

貿易戦争の宣戦布告はトランプの気まぐれなどではなく、時代の流れの行き着いた当然の帰結なのである。

中国との対決に舵を切ったアメリカ
新「国防戦略」で示されたトランプ政権の現状認識と最大の脅威
【JBpress】2018.3.1(木) 北村 淳


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ベルギー・ブリュッセルの北大西洋条約機構(NATO)本部で記者会見するジェームズ・マティス米国防長官(2018年2月15日撮影、資料写真)。(c)AFP/JOHN THYS〔AFPBB News〕

 トランプ政権は、2018年の1月下旬に公表した「国防戦略 2018(NDS-2018)」において、「大国間角逐(かくちく:互いに争うこと)」こそがアメリカ国防にとって最大の脅威であるという、国際軍事環境に対する現状認識を示した。

「大国間角逐」という現状認識

 マティス国防長官は「NDS-2018」に関連して、「アメリカ軍は世界規模での対テロ戦争に打ち勝つための努力を継続していくものの、アメリカの国防が最も重視しなければならないのは『対テロ戦争』ではなく『大国間角逐』である」と明言している。

 すなわち、トランプ政権下におけるアメリカ国防戦略の基本方針は、大国間角逐、つまり「軍事大国の間における強度な競合」という軍事環境に突入したという現状認識を大前提にして、そのような大国間角逐に打ち勝つことによってアメリカの国益を維持する、というのである。米国にとっての大国間角逐とは、具体的には「中国の軍事力、そしてやがてはロシアの軍事力、との熾烈な競合」を指す。

 米国の安全保障関係者たちの間では、このように大転換した国防戦略の基本方針を実施するためには具体的にどうすれば良いのか? といった議論が活発になってきている。とりえわけ、これまで対テロ戦争にプライオリティーが与えられていたため、力を押さえつけられてきた「中国封じ込め派」の人々の多くは、NDS-2018で表明された軍事環境認識に賛同するとともに、国防戦略の基本方針を実施していくための戦略案や具体的方策案などを提示し始めている。

■繰り返されてきた「集団安全保障的心情」

 なかでも、陸軍将校退役後はCSBAという国防に関するシンクタンクを主催するなど安全保障戦略家として高名なアンドリュー・クレパインビック博士はNDS-2018を次のように高く評価している。

「マティス長官が率いるトランプ政権国防当局が、NDS-2018において『大国間角逐に打ち勝つこと』をアメリカ国防戦略の基本方針に据えたことは、第1次世界大戦以降長きにわたってアメリカの国防政策担当者たちが依拠し続けてきた『集団安全保障的心情』から目を覚まさせようとする画期的な第1歩である」

 クレパインビック博士たちによると、「集団安全保障(collective security)」とは、大国(軍事大国)が既存の国際社会というシステムに組み込まれ、もしもそのシステムをひっくり返そうとする動きを見せた構成国が現れた場合は、大国が主導する国際社会が集団で“跳ねっ返り”から既存のシステムを防衛する、ということが大前提となっていた。

 しかしながら、第1次世界大戦後の集団安全保障システムはドイツ、日本、イタリアによる挑戦を受け、第2次世界大戦後の集団安全保障システムはソビエト連邦が率いる共産主義勢力による挑戦を受け、冷戦後の集団安全保障システムは中国およびロシアによる挑戦を受けつつある。

 クレパインビック博士によると、集団安全保障システムがそのように危険にさらされる状況が繰り返されてきたのは、「集団安全保障的心情」に突き動かされていたアメリカの指導者たちが常に誤って国際情勢を認識していたからである。マティス国防長官が率いるアメリカ国防当局は、これまで幾度となく繰り返されてきた集団安全保障的心情から脱却して、国際軍事環境を大国間角逐という視点から認識するという正しい(クレパインビック博士たちにとっては)立場にスタンスを移し替えたというわけである。

 その際、トランプ政権が想定している「大国間」とは、現時点においては「アメリカ対中国」である。近い将来にはそれに「アメリカ対ロシア」も加わるが、現在のアメリカ国防当局にとって喫緊の課題は、「米中間角逐」に打ち勝ってアメリカの国益を維持しなければならない、ということになる。

 しかしながらクレパインビック博士は、「米中間角逐(そして米ロ間角逐)に打ち勝つ」という基本戦略には深刻な問題が横たわっていると警鐘を鳴らす。すなわち、基本戦略を着実に実施するための具体的戦略あるいは作戦概念を、個々の米軍(海軍、陸軍、空軍、海兵隊)も米軍全体(統合軍)も持ち合わせていないということである。

 本コラム「中国の海洋侵出を食い止めるために日米がすべきこと」(2018年1月5日)でも指摘したように、中国は「積極防衛戦略」という確固たる具体的な国防戦略を着々と推進している。それに対してアメリカは何ら具体的な対中国軍事戦略を策定していないのが現状である。

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クレパインビック博士たちCSBAが警鐘を鳴らす日本周辺での中国の軍事的優勢

■日本に必要な独自の「列島防衛戦略」

 そこで具体的な対中国軍事戦略としてクレパインビック博士たちが提唱するのが、かねてよりCSBAによって機会あるごとに主張し続けてきた「列島防衛戦略(作戦概念)」である。

 この戦略は、日本列島から台湾、フィリピン、インドネシアを経てマレーシアに至る、中国側のいうところの「第1列島線」と、伊豆諸島、小笠原諸島からグアム島やサイパン島などマリアナ諸島を繋ぐ「第2列島線」に、米軍(海軍、空軍、海兵隊そして陸軍)前方展開部隊を展開させ(あるいは急展開できる態勢を維持し)、中国人民解放軍海洋戦力(海上戦力、海中戦力、航空戦力、長射程ミサイル戦力、それにサイバー戦力)が、それらの列島線に接近できなくしてしまおう、というものである。

 ただし、この「列島防衛戦略」の提唱に対しては慎重論も少なくない。なぜなら、現状においては、南シナ海周辺諸国や米国の同盟国、友好諸国の多くは中国との経済的結びつきが、もはや捨てがたい状況となっているからだ。「中国との経済的結びつきが強い国は、『列島防衛戦略』などアメリカ側が提唱する対中国戦略はアメリカの国益維持のための戦略だと考えている。そうした対中対抗策をアメリカが持ち込もうことに対しては、さすがに面と向かって口に出してはいないものの、“ありがた迷惑”だとして心中困っているはずだ」といった声も聞かれる。

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第一列島線と第二列島線 (星印は米軍拠点)

 とはいうものの、東シナ海・南西諸島の島嶼防衛の必要がある日本にとっては、「列島防衛戦略」は「アメリカの国益維持のため」というよりは「日本の国益維持のため」の国防戦略そのものである。(本コラム「効果は絶大、与那国島に配備される海洋防衛部隊」2014年5月8日、「島嶼防衛の戦略は人民解放軍に学べ」2015年7月16日など参照)

 したがって日本は、アメリカの対中封じ込め派の外圧要求を待つまでもなく、自主的に日本独自の「列島防衛戦略」、すなわち中国が与那国島から利尻島に至る長大な日本列島線に接近できないようにするための具体的国防戦略を打ち立て、推進する策を講じねばならない。

 もちろん、日本がこのような戦略を実施するに当たっては、「列島防衛戦略」を推し進めるアメリカとの協働が有用である。ただし、その際に日本側が心せねばならないのは、アメリカによる「列島防衛戦略」は「大国間角逐」に打ち勝つための具体的戦略であり、日本政府が拘泥している国連中心主義、すなわち集団安全保障的心情から離脱した世界観に立脚しているということである。 

中国は好き放題に国際貿易のルールを無視し、一方的に自国の国益を追求し続けてきた。ある時は発展途上国であったり、ある時は米国と太平洋を二分する超大国であるかの如く米国と交渉をする。

遠からず、米国の軍隊の実力を上回る時が来ると、自ら公言するようになれば、トランプ大統領だけではなく、米国の総意としてもはや中国を米国の安全保障上放置しないというレッドラインを越えてしまったのである。もはや、これ以上中国の我儘を看過することを許せない状態となった。

そこで、実際に戦うのではなく、崩壊寸前の中国経済の絆創膏を思いっきり剥いで、経済を崩壊させ出血死させる方法を米国は選択した。貿易WAR!戦わずして勝つ。いわば孫子の兵法の実践である。

↓中国は明らかに狼狽している。
【北京=西見由章】中国の劉鶴副首相は24日、ムニューシン米財務長官と電話会談し、中国の知的財産権の侵害を理由にした米側の制裁措置に対して「すでに中国側は準備ができており国家の利益を守る実力がある」と述べ、報復する考えを伝えた。ただ「強国路線」を旗印に集権化を進める習近平指導部は外交問題で弱腰を見せられない半面、貿易戦争が激化して経済が失速すれば共産党支配の根幹が揺るぎかねないジレンマを抱えている。

 国営新華社通信によると、劉氏はトランプ米大統領が通商法301条に基づく制裁措置を決めたことについて「国際貿易のルールに背くもので中国や米国、世界にとっていいことはない」と主張。一方で「双方が理性を保ち、経済関係の安定を維持するよう希望する」とも強調した。

 習指導部は20日閉幕した全国人民代表大会(全人代=国会)で、国家主席の任期制限を撤廃する憲法改正を行うなど長期政権化を見据えて2期目を本格スタートさせたばかり。憲法には習氏が唱える「人類運命共同体の建設」なども盛り込まれ、「世界を指導する大国」として中国の姿が描かれている。米中関係の不安定化は習指導部の求心力低下を招きかねない。

 「中国は合法的利益を守るため、あらゆる必要な手段を講じて最後まで戦う」(在米中国大使館)。中国側のこうした勇ましい反応とは裏腹に、中国商務省が23日発表した米国への報復措置は関税上乗せ対象品目が30億ドル(約3150億円)分にとどまり、米側の301条に基づく措置の対象となる600億ドルを大きく下回った。全面戦争を回避し、交渉の余地を残しておきたい中国当局の本音がのぞく。

 中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報(電子版)は24日付の社説で、301条に基づく措置への報復により「米国は必ず同じ代償を払う」と牽制(けんせい)した。だが貿易戦争の激化で経済の急減速や失業率の上昇などを招けば国内の社会矛盾が一気に噴き出しかねない。同紙は「中国の社会的な団結は米国よりもはるかに強く、中国政府がとる報復行動を人民は揺るぎなく支持する」と強がった。
米国はこれままで中国を放置してきたのは、面倒くさい北朝鮮を抑えてもらう役割を果してもらう期待もあった。だが、中国資本による米基幹企業の買収は安全保証上もはや許せないところまっできてしまい。自国における企業買収については他国から干渉させない中国を放置できなくなったのだ。もはや自由貿易というきれいごとを言えないのだ。

基礎科学や、国家としての資本蓄積が無い中国が西側企業を買収しようと言うのは、やむを得ない選択でもある。今の中国は地方政府や国有企業が抱える債務問題、製造業の過剰設備、住宅バブル、不良債権である。「儲からない投資」と「償還不能な債務」が、バランスシートの両側に圧し掛かっている状態だ。

これらを処理するためには、いずれ中央政府の財政を使わざるを得ない。その場合、財政の持続性が問題になってくる。まして今後に迎える高齢化社会において、ほとんど積み立てが出来ていない年金債務を、どうやって賄っていくことができるのか。

習近平体制としては、どこかで債務問題にメスを入れなければならなくなるだろう。それまでは中国経済を、一定以上の速度に維持しなければならない。そのためには、米国との貿易戦争などは何としても避けたいところであろう。

例えばブロードコム社によるクアルコム社買収不可の決定は中国に対する保護主義発動そのものだ。トランプ大統領のやり方には問題がある。だが、もはや中国を放置することは国益を害するのであるから、独立国家として当然の決定かもしれない。だが、単純な保護主義に陥れば、米国の国力は衰えて行くばかりである。

米国は産業競争力を根本的に回復させることが急務だ。

米国は保護貿易より日本企業誘致で競争力拡大を
日本企業の対米投資拡大による米国の貿易赤字削減と雇用創出
【JBpress】2018.3.22(木) 瀬口 清之


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トランプ氏、FBI元副長官の解雇を称賛 危険な策略との批判も
ドナルド・トランプ米大統領。首都ワシントンの連邦議会議事堂で(2018年3月15日撮影)。(c)AFP PHOTO / Mandel NGAN〔AFPBB News〕

1.トランプ政権の政策運営に対する米国有識者の評価

 日本にとって最も重要な同盟国である米国がドナルド・トランプ政権の下で迷走している。

 トランプ政権の政策運営はこの1年間に、減税政策や一部の安全保障政策では一定の評価を得た政策もあった。

 しかし、減税改革を主導したゲーリー・コーン国家経済会議(NEC)委員長は3月6日に辞任を表明した。

 そのコーン氏が最後まで強く反対したと言われるのが通商拡大法232条により鉄鋼とアルミニウムにそれぞれ25%、10%の輸入関税を課す措置である。

 コーン氏らの反対にもかかわらずトランプ大統領が実施を決定し、コーン氏は政権を去った。その1週間後の13日にはレックス・ティラーソン国務長官の解任も発表された。

 この法案はそもそも国家安全保障上の脅威を理由として制裁措置を発動することを定めたものであるが、今回の決定に際して、トランプ政権は何を国家安全保障上の脅威と判断したのかという重要なポイントについて十分な説明を行っていない。

 今回の措置の本当の目的は、3月13日に実施されたペンシルバニア州における下院補欠選挙において共和党議員を支援するために、同選挙区の鉄鋼・アルミ関係労働者の雇用確保を意識した選挙対策だったと見られている。

 しかし、結果は僅差で民主党候補が勝利し、トランプ大統領の目論見は失敗に終わった。

 1選挙区の選挙対策という内政上の目先の目的に基づいて、国際的に大きな波紋を呼ぶことが明らかな輸入関税引き上げ措置が発表された。

 昨年12月にエルサレムをイスラエルの首都と認定した問題もやはり国内の選挙対策だったと見られている。こうした政策運営は過去の政権では考えられないことだが、トランプ政権ではごく当たり前のこととして実施されている。

 このように近視眼的な内政上の理由で世界に大きな影響を与える米国の外交通商政策が運営されているのがトランプ政権の政策運営の実態であるとの見方が支配的である。

 ある政策通の米国議会関係者は、コーン氏辞任の直後に政権運営の現状について次のように語った。

 「トランプ政権内部はいくつもの異なる考え方のグループが存在しており、それぞれが相互に調和することなく、相矛盾する内容を含む政策がバラバラに実施されている」

 「そこには戦略もなく、一貫したロジックもなく、政策運営全体が支離滅裂である。このため、外交政策、経済政策、予算、人事など、すべての面において予測不可能の状態にある」

2.同盟国のパートナーとして日本のあるべき姿勢

 米国がこのような状況にある時、同盟国の日本として何をすべきかということは日本にとって非常に重い課題である。

 従来日本政府は、米国が大きな問題に直面した際に、それに対する解決策を日本側から積極的に提案し実践行動に移すことはほとんどなく、米国からの協力要請を待って受け身で対応することが常だった。

 米国の有識者からも日本はそういう受け身の姿勢の国として見られている。今回も鉄とアルミの輸入関税引き上げ措置を容認するのであれば、従来と変わらない受け身の対応である。

 しかし、米国現地に来てみて、目の前で繰り広げられるトランプ政権下における米国政府の迷走ぶりを理解すればするほど、同盟国である日本として受け身の姿勢のままではあってはならないと強く感じる。

 戦後から最近に至るまで、日本は米国追従のジュニアパートナーとしての立ち位置をあえて自ら変えようとする努力を実践したことがほとんどなかった。

 しかし、昨年、トランプ政権がTPP(環太平洋パートナーシップ協定)11交渉からの離脱を表明すると、日本はその後を引き取って、米国抜きのまま日本政府主導で米国以外の全加盟国による協定合意の署名式(3月8日、チリ)にまで漕ぎ着けた。

 これは日本が米国から自立して国際協定をまとめ上げた最初の成功例である。

 これによってわずかながらようやくジュニアパートナーの地位を抜け出し、本来あるべき対等なパートナーの同盟国としての実践行動が始まったと評価することができる。

 こうして同盟国のパートナーとしての新たな一歩を踏み出した日本だからこそ、トランプ政権下で迷走している米国に対して、さらに一歩前に出て支援する姿勢を示すべきである。

3.日本が実施できる対米支援策は何か

 今回、トランプ政権は安全保障上の脅威を理由に鉄とアルミの輸入関税引き上げを発表した。

 もし米国が鉄とアルミの供給力に不安を覚えるのであれば、まずは同盟国日本対して供給を依頼すれば、日本としてその要請を断ることはあり得ない。

 輸入関税を引き上げなくても、日本の強力な生産力を支えとする供給支援によって米国の安全保障上の脅威は大幅に緩和されるはずである。

 米国は戦後一貫して自由貿易のリーダーとしてグローバル経済の発展に大きく貢献した。日本は米国から自由貿易の重要性を学び、自由貿易体制の構築に協力し、それを経済発展の土台に据えて歩んできた。

 中国も2001年にWTO(世界貿易機関)に加盟し、自由貿易体制の恩恵をフルに享受しながら驚異的な経済発展を遂げ、今やグローバル経済を牽引する存在となった。

 その意味で中国は日米とともに自由貿易体制堅持の重要性を深く理解し、その継続を強く支持している国である。

 そうした歴史的事実に立脚すれば、日米中3か国は世界経済をリードする3大経済大国として今後も自由貿易体制を堅持し、グローバル社会の健全な発展を促進する責務がある。

 ただし、現在の米国社会が苦しんでいることからも明らかなように、自由貿易体制の徹底は安価な輸入品を流入させ、競争力の弱い自国産業の業績を悪化させ、国内の貧富の格差を拡大させる副作用を伴う。

 米国の製造業も以前は十分な競争力を保持していたが、1980年代以降、米国政府が金融、ITなどを重視し、鉄鋼、機械、石油化学などの伝統型製造業の発展を促進しなかったことから、米国の製造業の競争力は日本やドイツに比べて大幅に低下した。

 このため、自由貿易体制を維持しながら米国企業の自力で産業競争力を回復することはほとんど不可能な状況にある。

 そこで、1つの新しいアイデアとして、日本企業が積極的に米国に進出し、米国企業との技術提携、共同出資(日本側のマイナー出資も含む)、日本企業単独資本での進出など様々な形式で、米国での事業展開を拡大・加速する。

 こうして全米各地において日本企業と米国企業の協力体制を構築し、米国の産業競争力を高め、特に低所得白人層の雇用を確保することを提案したい。

 昨年2月の日米首脳会談の際に提案した「日米成長雇用イニシアチブ」はインフラ整備への協力を通じた米国内雇用創出への協力方式であるが、上記提案はその延長線上に位置付けることが可能である。

4.中国の成功モデルを応用する

 自由貿易と市場メカニズムの促進によって失われた米国の国内雇用を日本企業が創出する。そのための参考モデルは中国の経済発展における外資企業の活用方式である。

 中国の地方政府がこれまで実施してきたように、米国でも各州・市政府が相互に競い合う形で日本企業誘致のための法人税優遇措置、高速道路や鉄道等利便性の高い輸送手段の提供、工場用地の整備など日本企業を積極的に誘致するための施策を実施することが有効である。

 例えば、中国各地で広く導入されてきた法人税優遇措置「2免3減」とは、進出した優良外資企業に対して、利益が出始めてから2年間は法人税を全額免除、3年目から3年間は法人税率の半分を免除する外資企業優遇政策である。

 どのような企業を優遇措置の対象とするかは各地方政府の裁量に委ねられる。

 こうした形で日本企業が米国各地の地域社会に進出して行くと、日本企業の経営理念も米国社会に浸透していくことが期待できる。

 一般的に米国企業は短期利益の増大・株価の上昇・経営上層部の高報酬を経営の目標としている。

 これに対して多くの日本企業は社会への貢献、長期の信用、従業員一人ひとりの安心・安全・幸福・自己実現等を目標とするため、地域社会と共生する経済活動を重視する。

 これはトランプ政権の支持者である低所得労働者階層の利益に一致する。地方政府の的確なサポートがあれば、ラストベルトと呼ばれるかつての重工業集積地の復興にも貢献することが可能となる。

 トランプ政権は輸入関税引き上げによって輸入を抑制しようとしているが、減税政策や予算増額により内需が拡大すれば、輸入増を抑えることは難しく、貿易赤字は拡大すると予想される。

 これに対して、日米両国企業が協力して米国製造業の競争力が回復すれば、構造的に貿易赤字の抑制が可能となる。これもトランプ政権の方針に合致する。

 トランプ政権は日本に対して防衛負担の増額を求めていたが、日本の国民感情を考慮すれば、防衛予算の大幅拡充は事実上困難である。

 そこで日本の軍備拡大ではなく米国に対する経済協力に用いるというコンセプトで、上記の日本企業の米国進出を促進する政策を実施し、安全保障上の新たな日米同盟の協力方式とすることを提案したい。

 日本側としては、そうした形で米国に協力する見返りとして、米国側の努力によって沖縄の基地負担軽減を実施してもらえれば、日本国内の政治的な支持も得やすくなる。

5.上記提案が日本に与えるメリット

 今年は日中平和友好条約40周年に当たり、日中関係の改善が期待されている。中国各地の地方政府はこの良好な日中関係を利用して、日本企業の誘致姿勢を強めている。

 もし米国において上記の方式が成功すれば、中国のみならず、米国各地からも日本企業に対する誘致が強まるはずである。さらには他の地域でも同様の動きが広がっていく可能性がある。

 これは今後日本が各国の国内経済社会の安定に貢献しながら自由貿易を守るリーダーとしてグローバル市場において積極的な役割を担う方式になり得る。

 それとともに米国各地、ひいてはグローバル社会において、日本企業の具体的な経営行動を通じて、社会への貢献、長期の信用、全従業員の安心・安全・幸福を目指す日本企業の経営理念の本質が理解されるようになる。

 これは日米同盟の深化のみならず、日本企業のグローバル化、日本のソフトパワーの強化、日本の若い世代の内向き傾向の是正、日本のグローバル社会への貢献方式の明確化による日本人の意識の覚醒といった付随効果も期待できる。

 世界秩序形成の中心的存在である米国が混沌としている状況下、同盟国としての日本がTPP11に次いで、さらにもう一歩グローバル社会への自立的な貢献を示す機会がここにある。
トランプ大統領が「国家安全保障戦略」を2017年12月18日に発表した。トランプ大統領はそのなかで「中国とロシアが軍事力や経済力政治力を拡大して、アメリカ主導のいまの国際秩序を壊し、米側の利益や価値観に反する新たな世界を作ろうとしている」と断じたのだ。そしてその中ロ両国の膨張の防止が不可欠だと強調していた。

その文脈で考えれば、最近の更迭人事(ティラーソン国務長官/ マクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当)/ゲーリー・コーン米国家経済会議(NEC)長官)もこのスーパー301条発動もすべて納得できる。対中国宥和派をすべて解任している。
後任のポンぺオ新国務長官(元CIA長官)ボルトン大統領補佐官(元国連大使)/リー・クドロー新NEC長官(CNBCの経済コメンテーター)、共通項は、反自由貿易、反ウォール街、反中国主義者である。

一時解任も噂されたピーターナバロ通商製造業政策局長官の主張がトランプ政権内で鮮明となってきた。気が付けばトランプ政権は、対北朝鮮強硬派・反中国のタカ派で占められてきている。 中国でビジネス展開するイバンカ・クシュナー夫妻も・・・トランプ政権内で力を失いつつある。

そして、トランプ政権は貿易戦争なんて甘いものではなく、米中関係も中国を恫喝にはいった。
【ワシントン=黒瀬悦成】米ホワイトハウスによるとトランプ大統領は16日、米国と台湾の閣僚や政府高官の相互訪問の活発化を目的とした超党派の「台湾旅行法案」に署名し、同法は成立した。

 同法は、閣僚級の安全保障関連の高官や将官、行政機関職員など全ての地位の米政府当局者が台湾に渡航し、台湾側の同等の役職の者と会談することや、台湾高官が米国に入国し、国防総省や国務省を含む当局者と会談することを認めることを定めている。

 また、台湾の実質的な在米大使館である台北経済文化代表処などの台湾の組織や団体に米国内での経済活動を奨励する条項も盛り込まれている。

 米国は1979年の米台断交と台湾関係法の成立後、米台高官の相互訪問を自主的に制限してきた。台湾旅行法の成立で、トランプ大統領の訪台や蔡英文総統のワシントン訪問が理屈の上では可能になる。

 法案は1月9日に下院を通過し、2月28日に上院で全会一致で可決された。今月16日がトランプ氏が法案に署名するかどうかを決める期限となっていた。

 米国務省は、台湾旅行法が米台関係の変化を意味するものではないと説明しているが、台湾を不可分の領土とみなす中国が米台の接近に危機感を抱き、「一つの中国」原則に反するとの理由で猛反発してくるのは確実だ。

トランプ大統領は「一つの中国」と言う、中国の主張も跳ね除けた。台湾はれっきとした民主主義国家なのに、民主主義がドグマの米国が、いつまでも、台湾よりも独裁政権の中国に同調するというのはあきらかに不自然である。

ここで中国経済を破綻させ、安全保障も解決する方向で考えているのだろう。



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