習近平独裁体制で台湾侵攻を視野に入れた中国
台湾での日米台安全保障対話と第1列島線による包囲網づくり
【JBpress】2018.3.23(金)渡部 悦和
台湾・台北で、独立派によるイベントの様子(2017年10月10日撮影、資料写真)。(c)AFP/Sam YEH〔AFPBB News〕
■台湾での日米台安全保障対話
私は、3月7日から12日まで、台湾シンクタンク(TTT)が主催する「日米台安全保障対話」に招待され参加した。
テーマは、「自由で開かれたインド太平洋戦略」と「台湾の防衛」であったが、改めて認識したのは中華人民共和国(=中国)の脅威であり、台湾防衛の難しさであり、共産党一党独裁の中国の脅威に対し日米台などの民主主義国家が一致団結していかに対処するか、その具体策の必要性であった。
本稿においては、強大化する中国に対処し、民主主義などの基本的な価値観を擁護するための対中国包囲網の構築を提案する。
この対中包囲網は、対中封じ込めが目的ではない。中国の国力は封じ込めが可能なレベルをはるかに超えていて、封じ込めは現実的ではない。
しかし、民主主義国家の包囲網を構築することにより、何とか世界一の強国を目指す中国の覇権主義的な行動を抑止しようとするものだ。
■習近平主席の野望
●世界一の強国を目指す習近平氏
中国の憲法が改正され、国家主席の2期10年という制限が撤廃され、習近平氏は国家主席としての2期目が終了する2023年以降も国家の最高指導者として君臨することが可能になった。
この憲法改正の軍事的な意味について考えてみたい。
図1は、習近平氏が2017年の第19回党大会で宣言した内容を中心にして「中国の三段階発展戦略」を説明している。
まず、2020年までを第1段階として「軍の機械化と情報化を実現」し、2020年から2035年までを第2段階として「国防と人民解放軍(PLA)の現代化を実現」し、2035年から2050年までを第3段階として「総合国力と国際的影響力において世界の先頭に立つ社会主義現代化強国」を実現することが目標である。
なお、政治的には中国共産党の建党100周年の2021年及び中華人民共和国の建国100周年の2049年が節目の年となる。
図1「中国の三段階発展戦略」
出典:台湾の国防報告を基に筆者が作成
今回の憲法改正は、習近平の長期間の独裁体制を可能にし、自らが設定した三段階発展戦略を自らの手で実現する態勢が出来上がったことを意味する。
そして、習近平の統治が長くなればなるほど、彼が主導しているPLAの改革が進展し、PLAが強大化する可能性が高くなり、我が国にも大きな影響を与えることになる。
中国は習近平独裁体制のもと、自国への自信を深めつつあり、米政府に対してイデオロギー・外交・経済・軍事・科学技術の分野で挑戦する姿勢を強めている。
中国の当面の目標は、世界で最も重要な商業航路である西太平洋における米国の支配に終止符を打つことだ。
そして、中国当局は自国の新たな独裁主義を、中国に適した統治法というだけでなく、欧米の民主主義に代わる世界的な統治モデルとして提唱しようとしている。
●台湾統一は、野望実現のために優先順位の高い案件だ
台湾統一問題は、習近平氏の「中華民族の偉大なる復興」という目標実現のために、解決しなければいけない大きな懸案事項だ。
中国当局の台湾に対する介入は、本土の経済成長と連動していて、本土の経済力が大きくなると、台湾の統一はより差し迫ったものになる。
中国当局は、台湾統一の方策を追求しているが、最終的手段として「力による台湾統一」を採用する可能性はある。
しかし、「戦わずして台湾統一」が実現できれば理想的で、そのために習近平の台湾戦略は、様々な分野(経済、政治、軍事、文化、社会、司法)における細部の戦術に具体化されている。
中国当局は当面、台湾に対する「アメとムチ」政策を強化することになる。
いままでも、台湾人や台湾企業を中国本土に誘い込むために、本土の巨大な市場へのアクセスを許容し、台湾人の給料を上げ、台湾人を中国本土の人達と同等に扱うなどの経済的なアメの政策を行ってきた。
しかし、アメの政策が失敗すると、力による台湾の占領に動く可能性がある。
■中国の軍事侵攻
私が懸念するのは、中国が世界一の強国を目指す過程において、手頃な相手に対して「短期限定作戦」を行う可能性である。
習近平氏は、2018年1月3日、中部戦区を訪問した際に、「国家防衛にあたっては、苦難も死も恐れてはならない。任務を遂行するために、常に戦備を整えて臨戦態勢を取り、必ず勝利できる強力な精鋭部隊を創設せよ」と過激な演説を実施した。
この演説は、起こり得る可能性のある短期限定作戦を念頭においた可能性がある。
●中国の短期限定作戦が起こり得る地域
今後、発生が予想される「短期限定作戦」の舞台は、台湾、インドとの国境付近、朝鮮半島、南シナ海、東シナ海だが、中国は台湾を一番重視している。
PLAの演習における紛争シナリオの80%は台湾紛争だと言われている。習近平主席は、中国共産党結党100周年にあたる2021年までに台湾を占領したいと願っているという噂がある。
また、米国のシンクタンク「Project 2049」の中国・台湾研究者のイアン・イーストン(Ian Easton)は、中国の極秘の作戦計画を基にして中国の台湾進攻をテーマとした「中国の侵略の脅威(The Chinse Invasion Threat)」を出版し話題になっている。
筆者は台湾訪問期間中に、同地のシンクタンクの台湾人研究者と意見交換したが、中国による台湾進攻に対する彼らの危機感は強かった。
次いで、衝突の可能性があるのは、インドとの国境周辺地域(例えばドクラム高地)であり、昨年には両国軍隊が対峙した事件があった。
また、朝鮮半島紛争シナリオもある。北朝鮮の金正恩が核・ミサイル開発を強引に推し進め、米国の脅威になったならば、米国は北朝鮮に対する攻撃を行う可能性がある。その際に米軍とPLAが激突することがあるかもしれない。
また、南シナ海においても「短期限定作戦」の可能性がある。
当然ながら、我が国の尖閣諸島を含む南西諸島でも紛争の可能性があり、現在自衛隊が推進している南西諸島防衛態勢の強化が急務となっている。
●日本と台湾は中国の脅威において運命共同体である
日本と台湾は共に、第1列島線の重要な部分を構成する国家であり、有事においてPLAが大西洋に進出する際には、両国が大きな障害となる。
最近、PLAの爆撃機、戦闘機、空母等の艦艇が第1列島線を越えて作戦することが多くなり、その動向は日台共通の関心事項だ。
また、図2を見てもらいたい。中国の弾道ミサイルは日本全域をカバーする能力を有しているが、台湾も同じように中国の弾道ミサイル(SRBMを中心とした1200発以上)によりその脅威下にあり、弾道ミサイル防衛は両国ともに喫緊の課題である。
PLAの台湾進攻は、在沖縄米軍基地などの存在を考慮すると、日本の防衛に直接影響を及ぼすことになる。その意味で、日本と台湾は運命共同体である。
図2「中国の弾道ミサイルの脅威」
出典:CSBA
■第1列島線による包囲網の構成
図3を見ていただきたい。第1列島線を日本、台湾、フィリピン、インドネシア、シンガポール、マレーシアまで延伸すると、地政学的に重要な海上交通路の要点(マラッカ海峡、ズンダ海峡など)を含むことになる。
図の赤い部分(チョーク・ポイント)を制するように地上戦力を配置すると、中国に対する包囲網を構成することができ、米軍の作戦は容易になる。
このチョーク・ポイントを利用することにより、米国単独でPLAのA2/AD(接近阻止/領域拒否)に対抗するのではなく、同盟国や友好国と協力することによりPLAのA2/ADに有効に対抗できるようになる。
図3「海上交通路のチョーク・ポイント」
出典:RAND
陸上戦力を配置する最も適した場所が日本の南西諸島である。
陸上自衛隊が与那国島、石垣島、宮古島、沖縄本島、奄美大島にA2/AD部隊(陸自の地対艦誘導弾や地対空ミサイルなどの部隊)を配置することにより、PLAの水上艦艇、潜水艦、航空機のチョーク・ポイント通過を阻止することができる。
自衛隊が南西諸島においてPLAに対するA2/ADを実施することを推奨する。
政治的には難しい点はあるが、PLAに対するA2/ADを実施する場所として南西諸島を核心として、韓国、台湾、フィリピン、インドネシア、マレーシアに拡大できれば、PLAは第1列島線に封じ込められたかたちになる。
第1列島線にA2/AD能力のある陸上戦力を展開することにより、PLAに犠牲を強要し、PLAの戦力の分散を図り、米海軍及び空軍の作戦を容易にし、最終的にはPLAの侵攻を断念させる。
この態勢をPLAに示すことにより抑止を達成するという作戦だ。
これらの作戦は、陸・海・空の統合作戦であり、「Air Land Sea Operation(陸海空作戦)」と表現することもできる。
米海軍と空軍が2010年代に主導したASB(Air Sea Battle)が企図した中国本土の目標に対する打撃ではなく、同盟国の配置部隊(allied disposal forces)は、その致命的な打撃を公海などの公共空間(in the commons)で作戦するPLA部隊に限定して与えることになる。
米国とその同盟国や友好国が適切に部隊を配置し、適切に兵器を装備することは、地図上にラインを引くことになる。
PLAのA2/AD部隊がそのラインを越えたならば、堅固で致命的な抵抗に遭うことになる。接近阻止と領域拒否はPLAの専売特許ではなくて日本をはじめとする米国の同盟国も採用することができるのだ。
■「自由で開かれたインド・太平洋戦略」
安倍晋三首相は、2016年8月、「自由で開かれたインド・太平洋戦略(略してインド太平洋戦略)」を発表した。
トランプ大統領も2017年11月のアジア歴訪の際に、安倍首相の戦略を受け入れ、米国としても同戦略を追求していくことを明らかにし、昨年12月に発表された国家安全保障戦略でも同戦略は記述されていて、喜ばしい限りだ。
インド・太平洋戦略は、ルールを基礎とする秩序を維持すること、民主主義などの基本的な価値観を擁護すること、市場経済を基礎とする自由貿易体制を維持すること、質の高いインフラを提供することなどを目指していると私は考えている。
そして、インド・太平洋戦略は、明らかに台頭する覇権主義的な中国を抑止する戦略であるし、細かく言えば中国が主導する一帯一路構想に対抗する戦略でもある。
このインド・太平洋戦略こそ、私が推薦する対中国包囲網である。
日本、米国、オーストラリア、インドを中心とし、他の民主主義国家も含めて中国を包囲する態勢を構築し、同地域における平和と安定を達成しようとするものだ。
台湾は、日米が主導するインド・太平洋戦略に大きな関心を寄せている。台湾に対する中国の脅威を考えれば、彼らの関心の強さは理解できるし、何とかインド・太平洋戦略に台湾を組み込む方策を追求することが必要であろう。
台湾での会議では、災害派遣や人道支援などの分野で台湾などを含めた多国間の枠組み・訓練、沿岸警備隊などの法執行機関による多国間交流・訓練、海・空・サイバー空間・宇宙のドメインの状況に関する情報交換などが提案されていた。
できる分野から逐次協力関係を構築する努力が求められている。
■結言
冷戦終結後、多くの民主主義諸国の指導者や学者は、中国とロシアを国際秩序に取り込み責任あるステークホルダーにすることを期待した。しかし、その期待は甘かった。
中国は、民主主義を拒否し、専制的な中国モデルを最上として、他国にも中国モデルを推薦している。
ロシアも米国を中心とする民主主義諸国に敵対意識をあらわにし、米国の民主主義に打撃を与える目的で2016年の米国大統領選挙に大規模に介入し、ロシアが望む結果を得た。
民主主義の盟主である米国は、ドナルド・トランプ大統領のアメリカ・ファーストなどの主張のために、中国やロシアに対して断固として民主主義や自由貿易体制を擁護するという主張を展開し切れていない。
いまや民主主義の危機が世界中で叫ばれ、インド太平洋地域においても、中国やロシアの非民主主義的な振る舞いに対して、民主主義、自由、平等、基本的人権の尊重などの価値観を擁護すべきだという声が上がっている。
その意味で、インド・太平洋戦略は意味があるし、それを軍事的にもアレンジした中国包囲網の構築が重要である。この分野における米国のイニシアティブが特に求められる。
台湾に関連して、トランプ大統領は、米国と台湾の高官の相互訪問と交流を促す「台湾旅行法」に署名し、同法は3月16日に成立した。
この台湾旅行法によると、米国の当局者がいかなる地位にあろうと台湾に渡航し、台湾側の当局者と会談し、その逆も容認する内容だという。
台湾旅行法は、中国の一つの中国政策に挑戦するもので、早速、在米中国大使館は、「強烈な不満と断固たる不満」を表明しているが、米国と台湾にとっては画期的な意義を有する法が成立したことになる。
米中対立が激化する危険性もあるものの、盟主米国が今後とも真面目に中国に対峙することを期待してやまない。
台湾侵攻の準備?中国軍機が台湾で執拗な周回飛行
China Gearing Up to Strike Taiwan, Experts Say
【Newsweek】クリスティーナ・チャオ2017年12月20日(水)18時30分
中国の空母「遼寧」から飛び立つJ-15戦闘機(南シナ海) Mo Xiaoliang-REUTERS
<朝鮮半島の緊張を後目に、中国軍機が頻繁に台湾上空を飛ぶようになった。以前のような単なる威嚇ではなく、まるで最新の軍事情報を集めるような飛び方だ>
軍事専門家によれば、中国が最近、台湾の周囲を回る「周回飛行」を増やしているのは台湾侵攻の準備かもしれない。
10月には、新たに公開された軍事関連の内部文書により、中国軍が2020年までに台湾に侵攻する極秘計画を練っていることが明らかになったと、ニュースサイトの「ワシントン・フリー・ビーコン」が報じている。
その計画はすでに動き出しているようだ。1週間ほど前、中国空軍は戦闘機、爆撃機、偵察機を台湾領空へ送り出し、周回飛行を行った。さらに12月17日には、H-6K爆撃機がSu-30戦闘機2機を伴い、台湾周辺を飛行する様子を収めた動画を人民解放軍が公開した。
「最近の周回飛行はきわめて異例だ」。マカオの軍事専門家アントニー・ウォン・ドンは12月19日、サウスチャイナ・モーニングポストに語った。「中国空軍はきわめて実践的かつ綿密に計画された周回飛行を実施し、最新の軍事情報を収集している」
従来の海軍や空軍のパトロールは型どおりのシンボリックなものが主だったが、いまや中国は「新旧の偵察機や戦闘機も配備している......これは、人民解放軍が台湾との戦争の備えを強化していることを示唆している」と、ウォンは指摘する。
アメリカとも戦う覚悟
台湾国防部(国防省)も18日、長距離を飛行する人民解放軍のYun-8輸送機2機を確認したと述べている。Yun-8は公式には輸送機とされているが、中国の所有する機のなかには、情報収集のための機器を備えているものもある。人民解放軍は11月にも、中国空軍最大の偵察機であるTu-154を台湾周辺で飛行させた。
中国は、台湾を中国の一部とする見方を変えておらず、武力制圧の正当性を疑ったこともない。台湾は、米国の武器を中心に充分な軍備を整えているが、対中防衛策として、より高度な武器を米国から購入することを検討している。
台湾との戦いは、アメリカとの戦いでもある。北京の海軍専門家リー・ジエはサウスチャイナ・モーニングポストにこう語った。「人民解放軍の最終的な敵はアメリカと日本だ。アメリカは、中台問題の背後で重要な役割を演じている」
台湾は、中国が太平洋に出るルートの真ん中に位置しており、その獲得は中国にとって戦略的にも大きな意味を持つ。
(翻訳:ガリレオ)
最近のトランプ政権の人事(ティラーソン国務長官/ マクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当)/ゲーリー・コーン米国家経済会議(NEC)長官)もこのスーパー301条発動もすべて納得できる。対中国宥和派をすべて解任している。
後任のポンぺオ新国務長官(元CIA長官)ボルトン大統領補佐官(元国連大使)/ラリー・クドロー新NEC長官(CNBCの経済コメンテーター)、共通項は、反自由貿易、反ウォール街、反中国主義者である。
一時解任も噂されたピーターナバロ通商製造業政策局長官の主張がトランプ政権内で鮮明となってきた。気が付けばトランプ政権は、対北朝鮮強硬派・反中国のタカ派で占められてきている。
そして、トランプ政権は貿易戦争なんて甘いものではなく、北朝鮮問題すら越え、対中国軍事シフトだ。その中で最も危惧される台湾進攻を予防すべく、手を打ち始めた。
【トランプ政権】 米で「台湾旅行法」成立、政府高官らの相互訪問に道 中国の反発必至 【産経ニュース】2018.3.17 10:00
【ワシントン=黒瀬悦成】米ホワイトハウスによるとトランプ大統領は16日、米国と台湾の閣僚や政府高官の相互訪問の活発化を目的とした超党派の「台湾旅行法案」に署名し、同法は成立した。
同法は、閣僚級の安全保障関連の高官や将官、行政機関職員など全ての地位の米政府当局者が台湾に渡航し、台湾側の同等の役職の者と会談することや、台湾高官が米国に入国し、国防総省や国務省を含む当局者と会談することを認めることを定めている。
また、台湾の実質的な在米大使館である台北経済文化代表処などの台湾の組織や団体に米国内での経済活動を奨励する条項も盛り込まれている。
米国は1979年の米台断交と台湾関係法の成立後、米台高官の相互訪問を自主的に制限してきた。台湾旅行法の成立で、トランプ大統領の訪台や蔡英文総統のワシントン訪問が理屈の上では可能になる。
法案は1月9日に下院を通過し、2月28日に上院で全会一致で可決された。今月16日がトランプ氏が法案に署名するかどうかを決める期限となっていた。
米国務省は、台湾旅行法が米台関係の変化を意味するものではないと説明しているが、台湾を不可分の領土とみなす中国が米台の接近に危機感を抱き、「一つの中国」原則に反するとの理由で猛反発してくるのは確実だ。
中国を叩かなくては理由は、中国が台湾進攻を行い、それを許せば、米国は覇権を失い、2流国へ転落してしまう。それだけ、米国が中国による台湾侵攻の可能性に危機感を感じている証拠だと思う。
中国の台湾侵攻が2020年までに現実のものになる可能性
【航空宇宙ビジネス短信・T2】2017年10月05日
米国にとって北朝鮮などは実はとるに足らぬ脅威であり本質的かつ本腰を入れるべき相手が中国であることは明らかです。
その中で北京政府の目の上のたん瘤とでもいうべき台湾にいよいよ手を出すかがこの数年間に警戒すべき課題ということでしょうか。
北京からすれば内戦であり外国の干渉を受け入れない、その背後には「一つの中国」という大原則があるのでしょうが、台湾が台湾となり中国のアイデンティティを捨てれば大原則そのものが崩壊してしまい、だからこそ北京は台湾独立を忌み嫌うのでしょう。
日本としては米国と連携した海洋勢力として台湾が中国に飲み込まれる事態は回避しなければなりません。
それだけに台湾との関係は熟考を覚まられるパワーゲームと言えるでしょう。
China’s Secret Military Plan: Invade Taiwan by 2020
中国の極秘戦争計画は2020年までの台湾侵攻だ
Book based on internal documents says Beijing's invasion plan would trigger U.S.-China conflict
中国国内文書を多数引用した新著では米中開戦の危険性まで発展する危険性を
BY: Bill Gertz
October 3, 2017 5:00 am
http://freebeacon.com/national-security/chinas-secret-military-plan-invade-taiwan-2020/
中国が2020年までに軍事作戦で台湾併合をめざし米中間で通常戦あるいは核戦争の危険が生まれる可能性があることが中国軍の内部文書から明らかになった。
人民解放軍(PLA)の秘密作戦案では大規模ミサイル攻撃のあと海軍と空軍が封鎖作戦を展開し最終的に40万名で台湾上陸作戦を行うとしている。
この内容を紹介した書籍が今週刊行される。書名はThe Chinese Invasion Threat で著者イアン・イーストンIan Eastonはシンクタンク、プロジェクト2049研究所Project 2049 Instituteの中国専門家だ。
台湾紛争の危機はこの数年で拡大し、ワシントンと北京は南シナ海での中国の動きを軸に対立を深めさらに北朝鮮の核・ミサイル開発にも中国が裏で支援しているとの懸念もある。
「台湾を巡る武力衝突の可能性でも危険度も最大だ」と同書は指摘し、ペンタゴンもこの問題を避けて通れないとする。「中国は明確に圧倒的戦力を台湾にふり向け、必要なら米主導の各国戦力を打倒するつもりだ」
中国指導者へは民主政体の台湾は脅威と映る。台湾は中国沿岸から90マイル地点で「中国全土に自由の灯を照らしているからだ」と指摘。「このためPLAは台湾侵攻を最大任務ととらえ、戦いに備え軍拡を進めている」
台湾国防省が2013年にPLAの侵攻作戦案を初めて明らかにし2020年までに軍事作戦を展開するとしていた。
習近平主席も5年前の中国共産党会合で台湾侵攻案を自ら認め、「2020年案を進め、その年までに台湾に力の行使を展開する」と述べていた。
PLA内の著作物を見ると中国は非軍事手段では効果がないと判断した場合に軍事力行使に踏み切るようだ。また前提として米国を蚊帳の外に追いやることが必要としている。米国では現行の台湾関係法(1979年)により米国は台湾に防衛装備を提供し、台湾への力の行使を防ぐとしている。
中国は今のところ非致死手段として心理戦、外交、宣伝、情報戦を台湾に展開している。打つ手がなくなれば、大規模揚陸強襲作戦実施に踏み切るだろう。
ただし台湾侵攻は決して容易ではなく犠牲も発生すると同書は指摘。台湾は険しい地形、山地が多く、海峡ではトンネル効果が生まれ兵員装備の搬送は空海共に難しい。
台湾島は南北230マイル、東西90マイルで台湾軍は内戦に敗れ台湾に逃げ込んだ1949年以来侵攻に備えた体制を維持してきた。
1980年代以降、中国が急速に軍事力を整備し台湾を力づくで併合しようとしている。弾道ミサイル・巡航ミサイル1,000発以上が台湾をはさむ沿岸に配備されている。
同書によると中国では侵攻作戦を統合島しょ攻撃作戦Joint Island Attack Campaignと呼んでいるようだ。
「台湾を軍事占領してこそ『分離独立派』部隊の本拠地をせん滅し長きにわたる海峡を挟んだ軍事対立にも幕を下ろせる」とPLA教本は述べている。
作戦案ではまず首都台北を短期間に占拠し、政府機能を抹殺した後、その他主要都市に進軍し、残存台湾軍を一掃して全土を占領するとしている。
軍事作戦ではスピードと奇襲効果で沿岸防衛を圧倒し、初期段階で破壊を展開して米軍部隊の到着前に台湾を降伏させるとしている。
作戦内容は中国が固く守る秘密の一つだが軍内部の教本などで詳しく分析されており、技術文献がPLA内部でも漏れ伝わるようになっている。
「非常に詳しく検討されており、中国のこの作戦に対する対応がなみなみならぬものであるとわかる」と同書は述べている。
段階別に展開する侵攻案は三段階に分かれる。封鎖と爆撃、揚陸作戦、さらに台湾島内の戦闘だ。
第一段階は海空の封鎖と千地点へのミサイル攻撃だ。その後中国海軍が揚陸地点14か所へ大部隊を派遣する。
「侵攻軍が台湾沿岸部に上陸する前にPLAは数波にわたりミサイル、ロケット、爆弾、砲弾を沿岸防衛体制に加え、電子妨害で通信を遮断する」
中国から見る台湾は「反乱地方」であり再統一は中国が目指すグローバル規模の戦略目標達成の一部にすぎない。
「同島を占拠し統制することで初めて国家再統一が完成する。『分離主義者』部隊勢力の残り火が再び発火しないとも限らない」とPLA文書の一つが表現している。
PLA野戦マニュアルでは台湾の地形と防衛体制のため大規模かつ巧妙な軍事作戦の展開が必要とされ難易度は高く犠牲者も相当覚悟せねばならないとしている。
PLAマニュアルの中でも入手しがたい「台湾海峡の軍事地形学習教材」では外国軍事勢力が中国の貿易通商路を遮断するのに台湾を利用し、さらに米軍が台湾を中国封鎖の基地として利用する恐れを指摘する。
中国の原油輸入が依存する海上交通が台湾海峡を通過しているので軍事封鎖にはぜい弱だ。「そこで戦略的に重要な海上通行路確保が軍事対応のみならず国家戦略の課題だ」とマニュアルは指摘している。
また台湾は日本封鎖にも活用できると中国は見ている。
情報戦では中国は法律闘争とインターネット他を使い、心理戦で台湾の抵抗を弱体化させてから本格的軍事作戦を展開する構想だ。心理戦にメディア利用の他政治手段を組み合わせる。中国軍の内部資料では情報戦の活用をこうまとめている。
法律闘争と世論操作に心理戦の組み合わせで台湾国内の意思を分断弱体化させ戦闘力を低下させる。法律闘争は台湾内の政治集団が対象で心理攻撃を加えるのが目的だ。台湾への統合軍事行動は法律面で正当化され解放闘争の延長とする。
世論を活用し、敵の軍事勢力へ心理戦で攻撃を加える。「独立」をこれ以上支持しても効果がないと達観させ...インターネットを利用して国内の非政府組織や国民に心理攻撃を加える。統一効果を前広に宣伝し『分離独立派』の社会基盤そのものを弱体化させる。
台湾指導部も攻撃対象であり、台北の総統府他主要官庁を標的とする。
PLA文書は台湾統治機構と防御体制への関心を喚呼している。
「ハイテク兵器を使い台湾領空に侵入し精密かつ強力な破壊力で容赦ない攻撃を台湾の首脳部に加える」と文書は説明している。「確実に敵を倒ささねばならない」 中国は特殊部隊で台湾の政治上層部の誘拐または殺害を狙い、秘密作戦と強硬策も選択する。
ペンタゴンでは中国の台湾占拠案は空軍で特に懸念を生んでいる。中国ミサイル他の攻撃が米軍基地特に嘉手納空軍基地を巻き込む可能性があるためで、嘉手納は太平洋地区の軍事的中心だ。
米海軍は中国潜水艦が米空母あるいは太平洋で唯一の指揮統制艦USSブルーリッジの撃沈を目指すことを恐れている。
「実際にどうなるかは誰にもわからないが、将来に中国が奇襲攻撃を実施すれば真珠湾攻撃と9/11を合わせた規模に発展するのは確実と全員が覚悟している」
さらに台湾を巡る対決が米中核戦争に発展すると危惧する向きもある。
「引き金となるのは単なる事故や悪意のない事件かもしれないが敵意の表れと誤解されるかもしれない」と同書は述べている。「歴史には悪名高い出来事もあり、真相が理解されないままの出来事もある。第一次大戦の真因を巡る論争が一世紀にわたり続くがいまだに結論が出ていない」
リック・フィッシャーRick Fisherは国際評価戦略センターInternational Assessment and Strategy Centerの上席研究員で同書から戦争抑止に必要な政策上の観点がうかがえると述べている。外部非公開の中国語軍事文献を引用することで中国の意図を理解する新しい材料となり、台湾を巡る作戦構想やねらいがわかるという。
「イーストンの業績により米国及び同盟国に重要な警告が伝わる。中国が2020年代前半に台湾侵攻を行う可能性だ。現在はすでに台湾海峡が危機状況にあり、危機へ対応するか、1950年代以来戦争を回避してきたが実際に開戦になるリスクを冒すかの選択を迫られていると言えよう」
2017年10月5年に1度の中国共産党大会で2020年の中国の台湾侵攻について習近平は3時間を超える長演説で、「祖国統一」を何度も言及した。
習近平は独裁者にはなったが、毛沢東と違って、北朝鮮のように政敵を次々虐殺できるほどの肝っ玉がないうえに、カリスマ性が無い。
習近平独裁政権になったとはいえ、汚職裁判で政敵を失脚させることしかできない史上最弱の独裁者かもしれない。
とりあえず、2期5年の枠を取り払ったと言え、習近平に3期目を共産党の総意として許したわけではない。習近平の足元はけっして強固ではない。
AIIBや一帯一路が立ち行かない経済崩壊すれば、簡単に倒れるかもしれないが、3期目を正当化する為には、台湾進攻祖国統一戦争を仕掛けることによって、正当性を勝ち取るしか道がないようにも見える。
習近平を神格化するための手段のひとつとして、2020年までの台湾統一が囁かれてるわけです。
転載した上記の記事などを読むと、2020年は、台湾の次期総統選挙があるが、台湾独立派の頼清徳行政院長が総統となれば、侵攻をするのではないかという観測です。2020年と言えば対中強硬派であるトランプ大統領の二期目の選挙の年、2020年に台湾を襲えばトランプ大統領に塩を送るようなもの、2020年以降2021年か22年の可能性が強いと思う。
頼清徳行政院長は「台湾は独立国家である」と発言しているが、台湾への武力行使を行うのに、国内への言い訳として充分使えるので、台湾統一は習近平にとって自分の3期目を正当化するチケットにすると思う。
台湾の防衛白書では、2020年には台湾侵攻する能力を持つと予測しているが、中国の人民解放軍所属の研究者が2020年以後に予想される「中国近未来の6つの戦争」を発表した。今後、台湾、南シナ海、尖閣諸島、南チベット(インドとの国境紛争地域)、モンゴル、ロシアとの国境や領有権をめぐる戦争が起こる可能性が高いとしたうえで、台湾統一の時期は2020~25年だと期限を明確に打ち出している。
欧米の研究者も、2020年は、中国が台湾への武力侵攻の準備が整う年だとして、中国の台湾侵攻を危惧しています。
マックスウェーバーは「中華思想」を、「家産性国家」と呼び、思想史、精神史からも隣国の存在を許さない「唯我独尊」思想だと捉えていました。それが、チベット、ウイグル、南モンゴルを呑み込みチャイナドリームの名のもとに台湾や沖縄も呑み込もうとしています。
習近平が、毛沢東やスターリン主義への回帰をチャイナドリームとしていますが、それは習近平だけの夢ではなく多くの中国人も同じ中華思想を持つようなってくれば、
台湾進攻も支持されることになる。
仮に習近平が失脚しても、次の指導も、おそらく中華至上主義を声高に叫ぶ人物が必ず登場かもしれない。今後の中国と台湾の情勢は、非常に緊迫したものになると思われます。



出典:RAND


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