米朝首脳会談が行われ、もしかしたら、平和裏に事が済むかもしれないと、一瞬だけでも期待した北朝鮮問題も、予想通り、トランプ大統領の術中に嵌ってきた。
トランプ大統領は、首脳会談で北朝鮮の金正恩に対し、朝鮮戦争の最終的な終結宣言に署名すると約束したようだが、北朝鮮が非核化の動きがみられず、非核化しないのなら攻撃するという、大義を得ようとしている。

そして、トランプ大統領の対中政策の基軸が、本気で中国潰しに変わってきた。


貿易戦争は序の□であって、次は金融戦争をしかけ、最終的には軍事衝突も辞さずという流れになる可能性が高くなってきた。

そして、それ以上に欧米諸国は、もはやトランプ大統領抜きにしても、米国議会は中国敵視政策を始めた。これは、世界の大きな潮流となりつつある。

習近平政権が独裁政権色を強めたことで、今まで、世界中で、中国がいずれは民主化するだろうという幻想を振り撒き、世界中に親中派を作ってきたが、その努力が崩壊し始めた。

米国の虎の尾を踏んだ習近平は党内でも四面楚歌状態のようである。


習近平王朝は、もはや既に終わっているかもしれない。
習近平の動向が今見えてこない、知識人、学生が不気味な沈黙するなか、共産党内部の宣伝部が、習近平に対して、人民日報に習近平を取り上げず、静かな抵抗を行っている。習近平より前に側近をスケープゴーツを探し、血祭りにあげたうえで、その日は突然やってくるかもしれない。世界中を敵に回してしまった習近平の失脚はもはや時間の問題である。むしろ、習近平政権が続くとはとても思えなくなってきた。
最近の米国では、行政府、議会、軍、研究者等、あらゆるレベルにおいて、中国政策は、従来の関与を軸とするものから、抑止を重視する強硬論へと潮流が向かっているように見える。昨年末の『国家安全保障戦略』、今年1月の『国防戦略』は、中国を修正主義勢力と呼び、戦略的競争相手と明言している。米軍は、南シナ海での航行の自由作戦の頻度を上げ、最近、インド太平洋を見据え、つまり中国への対応を強化することを明確にすべく、太平洋軍の名称をインド太平軍に改称した。

 今回は議会の動きとして、米国のインド太平洋地域へのコミットメントを強化・拡大することを求める「アジア再保証イニシアチヴ法案ARIA:Asia Reassurance Initiative Act)」を紹介する。同法案は、現在のところ上院で審議中である。

 ARIAは、序論的な部分と、次の3編からなる。

(1)インド太平洋における米国の安全保障上の利益促進
(2)インド太平洋における米国の経済的利益の促進
(3)インド太平洋における米国の価値の促進

 各部分はさらに全体で20項目に細分化されており分量が多いが、その中で繰り返し、南シナ海の係争地形への人工島建設とその軍事化をはじめとする、ルールに基づかない中国の行動への懸念が表明されている。執拗ともいえる取り上げ方は、歓迎とともにいささかの驚きすら覚える。米議会の対中強硬の雰囲気をよく表していると言える。

 ARIAの第1編は、日本、韓国、豪州をはじめとする条約上の同盟国との防衛協力強化を求めるとともに、インドとの戦略的パートナーシップの強化、台湾へのコミットメントを求めている。台湾については、台湾関係法と「6つの保証」に基づく米政府のコミットメント、武器売却を求めるとともに、この3月に成立した「台湾旅行法」に沿って米高官の訪台を大統領が許可すべきである、と言っている。米議会は伝統的に一貫して親台湾であるが、ARIAもその伝統に沿った内容になっている。

 第2編では、2国間・多国間の新たな貿易協定の交渉をやりやすくする権限を大統領に付与するとしている。さらに、インド太平洋地域へのLNGの輸出を呼びかけたり、米通商代表部(USTR)に対しASEANと交渉を行う権限を付与するなどしている。こうしたコミットメントは、トランプのTPP離脱という愚行の損失を、いささかなりとも補うものとなり得るかもしれない。

 第3編では、人権の促進、民主的価値の尊重、法の支配や市民的自由への対応が謳われている。そのために、2019年から2023年の5年間で、1億5千万ドルを拠出するとしている。トランプ政権は、米国が支持してきた価値観を無視したり軽視したりしているきらいがあるが、ARIAの内容を見ると、議会は必ずしもそうではない。これは心強い点である。

 そして、最も重要なことは、この法案の提出者が、共和党のコリー・ガードナー、マルコ・ルビオ、民主党のベン・カーディン、エド・マーキーと、超党派である点である。つまりARIAの内容は、米国のコンセンサスと言ってよい。米国のインド太平洋重視、対中強硬姿勢は揺るがないであろう。米中は対決の要素が多い関係になると思われる。

 なお、米国の政策決定においては、議会が大きな役割を果たしている。この点に鑑み、日本としては米議会の動向をよく観察し、積極的に働きかけていく必要がある。それは、ここで取り上げたような安全保障政策だけに限ったことではない。
強引すぎた習近平の中華圏拡大路線が、さすがに手を広げ過ぎ、軋みだした。
あれだけ大騒ぎし、IMFのSDR となり、世界のハードカレンシーとなったはずの
中国人民元の信用度は、まったくなく、国連でも孤立、欧州独英仏でも中国批判が、噴出している。

EU27カ国の駐北京大使が連名で、「一帯一路は自由貿易を阻害し中国の利益を優先している」と報告書を作成した。
EU(欧州連合)の27カ国の大使が、中国のシルクロード・プロジェクト、すなわち一帯一路政策を厳しく批判する報告書をまとめた。「自由貿易を妨げ、中国企業に利するように設計されている」と糾弾している。

ドイツのハンデルスブラット紙(Handelsblatt:ドイツの日本経済新聞に当たる)電子版が4月に伝えた。

以下は、重要な部分を翻訳・構成したものである(見出しは筆者)

中国は自国の利益しか考えていない

ハンデルスブラット紙が見た報告書では、2013年に発表されたこの一帯一路計画は、「自由貿易を推進するEUのアジェンダに反するもので、補助金を受けた中国企業に有利に働くようなパワーバランスを推進するものである」と述べた。

この普通ではないレベルで噛みついた報告書は、7月のEUと中国のサミットに向けての準備の一環である。

EU28カ国の中で、ハンガリー大使だけが署名しなかった。

欧州委員会は、中国が威信をかけたこのプロジェクトに対して、EUの一つの共通の立場を築くための戦略文書の作成に取り組んでいる。

報告書において、27人のEU大使達は、中国は自国の利益に合うようにグローバリゼーションを形作ろうと望んでいると書いている。

同時に、この中国のイニシアチブは、過剰生産能力の削減、新たな輸出市場の創出、原材料へのアクセスのセーフガードのような、中国国内の政治目的を追求するものであるとも述べた。

もし中国が、公的調達の透明性に関する欧州の原則や、環境や社会に対する欧州の原則を遵守しないのなら、欧州企業は良好な契約を締結できない可能性があると、彼らは警告している。

知的財産権の侵害と投資条件の不確かさ

あるEU外交官は、中国はWTOが定める知的財産権の保護に関するグレイなエリアにつけこむことがとても上手であり、ルールを破ることにためらいを感じていないと述べた。

「中国の交渉相手にこの点を指摘すると、彼らは常に多くの理解を示すが、現実にはほとんど変わらない」という。

中国は、中国の開発プログラムから直接的に利益を得ている外国企業の正確な情報を、今までのところまだ提供していない。

2014年に400億ドル(約4,5兆円)のシルクロード基金が設立され、ロード沿いの国々に投資することになったが、誰が投資に適格で、そしてどのような条件で資格があるのかは不明である。

ドイツ政府機関が告発

2月にドイツの調査が発表された。これはGTAI(German Trade and Invest)、つまりドイツの政府機関である対外貿易投資のマーケティング機関と、ドイツ商工会議所協会によるものである。

この調査によると、一帯一路政策は、法的枠組みが不確実である政治的に不安定な国々に集中していることが多い。GTAIのマネージング・ディレクターは、過去に中国の国営銀行に資金を供給されたプロジェクトの約80%は、中国の企業に行ってしまっていると述べた。

ハンデルスブラット紙が見たドイツの報告書は、中国は調達に関して透明性に興味がないと記している。

EUが署名を拒否

昨年の5月、ドイツのブリギッテ・ツィプリース経済・エネルギー大臣(当時)がシルクロード・イニシアティブの壮大な始動のために北京に赴いた。彼女とEU高官たちは、中国政府との共同宣言に署名するつもりだった。 しかし現実のものとはならなかった(訳注:ドイツ、フランス、英国、ギリシャ、エストニア、ハンガリー等が拒否し、EUとして署名に至らなかった)。

EU側は「交通インフラにおけるすべての投資家の平等な機会」を保証するべきである、また同様に、国際基準にあった透明性を保証するべきである、のように合意の文言の多くを変更したかった。しかし、中国は改正案を取り入れることを拒否したのだった。

中国はEUの分裂を画策している

EUの当局者は、「中国は個々のEU加盟国との関係を強化して、欧州を分裂させようとしている」と述べた。 中国の投資に依存しているハンガリーやギリシャなどの国々は、過去に、中国からの圧力を受けやすかったことを見せてきたのだ。

今日ではヨーロッパの政治家が中国に行くたびに、シルクロード計画を合同で拡大させようという合意文書に署名するよう、主催者からの圧力を受けている。 「(EUとではなくて)2カ国関係を構築しようとすることは、中国が不当に利用する力の不平等な分配につながる」と、大使たちによる報告書は伝えている。

(以上、記事翻訳はここまで)以下略

反中国はWTO(世界貿易機関)においても、広がっている。3月 米通商代表部(USTR)は中国が米国の知的財産権を侵害しているのは明らかだとしてWTOに提訴。

デュアルユース(軍民両用)につながる知的財産(ハイスペックな技術等)が中国に盗まれ、それを身勝手に使用されるのを是が非でも阻止する動きが出始めた。

6月 欧州連合(EU)は、中国の法制(技術輸出入理条例(TIER)・中外合資経営企業法施条例)などが欧州企業の知的財産権を害しているとしてWTO上の紛争解決手続を開始

「科学技術イノベーション・ノウハウは、知識機機縁済(knowledge-based economy)の根幹である。これにより、欧州企業がグローバル市場において競令力を維持するとともに、欧州における数十万もの雇用を支えている。いかなる国も、欧州企業が苦労して得たこの知識を国境で強嘲的に引き渡させてはならない。これはWTOにおいて皆が合意した国際ルールである。主要国がルールを守らないと、システム全体が崩壊するかもしれない」マルムストローム欧州委員(貿易担当)の弁。

欧州・米国だけではない

93歳になるマレーシアのマハティール首相は中国の鉄道輸出による中国の新植民地政策を見抜き、マレーシアを中国から守る為、命を賭けた愛国心から首相返り咲いたのである。しかも、中国に仮を作らない為、筋を通し、違約金は払うというのだ。どっかの国と違って、前政権の尻を拭くのだから、尊敬されるわけである。

中国の鉄道輸出 各国から拒否される理由
【世界のニューストトメス5世】2018年08月28日12:00

中国の高速鉄道は黒字路線が一路線もなくすべて赤字です

中国の鉄道輸出への抵抗

マレーシアのマハティール首相は前政権が約束した中国の巨大プロジェクトを白紙に戻すと発表しました。

総額2.2兆円の鉄道建設が目玉で、マレー半島を横断する東海岸鉄道を中国が建設することになっていた。

マハティールは反中国の立場を取っているので知られていて、そのやり方を新植民地主義と批判していた。

 
表向きの理由は財政悪化により建設する余裕がなくなったとし、鉄道計画で直接中国を非難してはいない。

中国はミャンマー、タイ、マレーシア、インドネシアなどアセアン各国に鉄道を押し売りしている。

インドネシアの高速鉄道計画では、無料で鉄道建設してインドネシアにプレゼントする条件で契約して驚かせた。


だがその計画の中身を知ると、なるほど新植民地主義なのかも知れないと思うところがある。

たしかに中国はインドネシアに高速鉄道(実際には在来規格の高速化になった)を建設するが、建設したら中国のものになる。

どういう事かというと鉄道沿線の都市開発権利を中国は丸ごと獲得し、土地の売却益などで建設費を得る。


何もない土地に駅を建設すれば地価は10倍、100倍にもなるのでそれが鉄道建設資金になる。

加えて完成した鉄道を運営するのは中国企業で、鉄道建設費の元を取ったらインドネシアに譲渡する。

無料とは言いながらこれではインドネシアは中国の「新植民地」と言われても仕方がない。

なぜ各国は中国鉄道を建設したくないのか

中国はミャンマーにも似たような手口で鉄道を建設するが、老獪なタイはさすがにこの手には騙されなかった。

中国は恫喝と賄賂、アメとムチで揺さぶって強引に鉄道計画を押し売りしたが、タイ側は難癖をつけて遅らせて反故にしようとしている。

中国はインドにも鉄道を押し売りしようとしているが、インドは中国と紛争中なので受注できる可能性は低い。


どうして中国はそんなに鉄道を輸出したいのか、また各国はどうして中国の鉄道を輸入したくないのかには驚くような秘密がある。

中国は日本の新幹線技術を盗んで2万キロ以上建設し、毎年日本の新幹線総距離に等しい新線建設をしている。

中国の高速鉄道は2万5千キロで日本は約3000キロ、中国は今後も毎年3000キロ以上を建設する。


在来線の総距離も10万キロに達しようとしていて、日本の約2万キロとは比較にならない。

中国の高速鉄道のうち黒字なのは北京・上海線だけで、しかもこれには鉄道建設費が含まれていない。

中国の鉄道建設費はいったいどこから出てくるのか年間30兆円以上も使われていて、しかも鉄道公司は支払っていない。

中国鉄道は数百兆円の赤字を抱えている

つまり中国の高速鉄道は建設費を含めると全路線が赤字で100%赤字、という恐るべき状況になっている。

在来線も半分が赤字で中国鉄路総公司の負債は約83兆円に達している。

しかもさっき書いたように中国鉄路総公司は鉄道建設費を払っていないので、本当の鉄道累積債務はこの何倍もある。

中国では鉄道省が鉄道工事と運営をしていたが、建設費に年50兆円も使うので批判が高まり、民営化されて中国鉄路総公司になった。

それは良いのだが新線建設のペースは民営化後に下がるどころかペースアップし、したがって建設費も年50兆円より増加しているはずです。

だが民営化で建設費はどこか別の場所から出ることになり、鉄道省時代のように建設費が公開されなくなった。

年間最低でも30兆円ペースで建設して運営費も赤字なので、10年間で300兆円の累積赤字になる。

この赤字を外国に押し付けようというのが中国の鉄道輸出で、当然インドネシアやタイで建設した中国鉄道も赤字になります。

だから各国は中国の鉄道を受け入れたくないし、なんとかして拒否できないかと考えている。

中国は経済援助(実際には融資なので援助はしていない)と軍事・外交の両面で圧力をかけている。
最大の親中国であるパキスタンでも、中国離れを始めている、最終的にIMFに借りず、中国から20億ドル借りたが、IMFから資金を借りようとした。

AIIB、BRI(一帯一路)が、世界各国で蹉跌しはじめ、「一帯一路」は、「一帯泥路」と化している。

米国議会も、パックスアメリカーナをパックスシノワにする気はさらさらなく、米国はトランプ大統領も、議会も米国の覇権を守るべく動き始めた。

この10年崩壊すると言われ続けてきた中国の経済的矛盾は、中国は共産主義であるから、資本主義や民主主義のルール上で起るようなの崩壊は、確かにそう簡単には迎えない。だが、いかに共産主義でももはや抑えきれなくなってきており、その暴発は必ず来る。、中国の社会的難題は深化しており、富と貧困の拡大している。

債務3800兆円は時限爆弾となって、ネット金融やシャドーバンク破綻による金融難民だけではなく、真面目に働く一般庶民のなけなしの金を吹き飛ばしかねない。

もうすでに人民解放軍や、公安OBの抗議行動は、隠しきれなくなり、暴動ではなく革命が起きる可能性が高くなってきた。

中国民衆の怨念や鬱積、貧窮化する「下層階級」の悲哀は、やがて中国3千年の歴史で幾度となく繰り返されてきたが、必ず民衆の怒りは爆発するだろう。

共産党幹部が海外に不正資産蓄をしている、そんな国が世界を支配するパックスシノワなどありえない。

中国の行き着く先は、内乱・革命、はたまた対外戦争を仕掛け自滅するか?そのどちらかだろう。

米国は今本気で、サイバー攻撃の一撃で世界が麻痺し米軍の初動か致命的に遅れ、その隙に乗じて台湾、尖閣攻撃の危惧が高まっているとし、危惧している。

ダン・コーツNSA(国家安全情報局)長官は、サイバー・パールハーバー」を警戒し「赤信号が灯った」と発言している。

 「サイバー『パールハーバー』の危機が近い」とNSA長官
【宮崎正弘の国際ニュース・早読み 】2018/08/20  

 『フォーリン・アフェアーズ』と言えば世界の外交関係者、国際政治学者が必ず目を通す老舗雑誌。そのリベラルな世界観は横に置くとして、最近号(電子版、8月14日)には、耳なれない語彙が登場した。
「サイバー『パールハーバー』の危機」が近いというのだ。

たった一撃のデジタル攻撃で、自由世界全体の市場と通信インフラが襲撃され、インターネット空間が真っ暗になってしまうと、金融市場も、報道機関も、なによりも軍の指揮系統が痲痺してしまう。

この攻撃の研究と実践に余念がないのは中国、ロシア、イラン、そして北朝鮮である。かれらは既にハッカーの実戦経験を積み上げ、また先進各国の政府機関、大学、シンクタンク、民間のハイテク大手企業から夥しい機密を盗み出してしまった。

デジタル社会のアキレス腱、もっとも脆弱な部分を衝く「サイバー『パールハーバー』の危機」がいよいよ近未来に迫った。これを防御する対策が遅れているという強い警告であり、もともとこのような危機意識はレーガン政権の打ち上げたスターウォーズ計画の時代から、米国では討議されてきた。

ダン・コーツNSA(国家安全情報局)長官は「信号は赤に変わった」と発言した。コーツはインディアナ州選出の上院議員からトランプ政権で閣僚入りした情報通であり、CIA、FBIなど情報機関を統轄する部署のボスである。
げんに8月19日に判明したのは、中国のMIT(マサチューセッツ工科大学)とまで言われる精華大学の本丸から中国のハッカーが、米アラスカ州政府、ならびに同州エネルギー・通信関連企業のコンピューターに侵入を図っていた「事件」だ。

中国はアラスカ州の石油・ガス産業動向をデータ分析などから探索していたらしく、資源局のシステムも標的になっていた。精華大は習近平の母校である。


米中貿易戦争でアメリカとつばぜり合いを続ける中国。アメリカに対して強気姿勢を見せているウラで、じつは中国国内では新しい問題が次々に勃発している。日本のメディアが報じないそのヤバイ現実を、『未来の中国年表』著者の近藤大介氏が明かす。

アメリカが最も恐れていること
米トランプ政権が、中国製品に関税をかけたり、中国からの投資に規制をかけようとしたりと、「なりふり構わぬ」格好で、中国を潰しにかかっています。

なぜトランプ政権が、このような行為に及ぶのかと言えば、それは「未来の中国年表」を見ると一目瞭然です。「未来の中国年表」とは、「人口はウソをつかない」をモットーに、人口動態から中国の行く末を予測したものです。

現在の米中両大国の人口を比較すると、中国は、アメリカの約4.2倍の人口を擁しています。

経済規模(GDP)については、2017年の時点で、63.2%まで追い上げています。このペースで行くと、2023年から2027年の間に、中国はアメリカを抜いて、世界ナンバー1の経済大国となるのです。

先端技術分野に関しては、アメリカにとってさらに深刻です。

国連の世界知的所有権機関(WIPO)によれば、各国の先端技術の指標となる国際特許出願件数(2017年)は、1位がアメリカで5万6624件ですが、2位は中国で4万8882件と肉薄しています。

しかも企業別に見ると、1位が中国のファーウェイ(華為)で4024件、2位も中国のZTE(中興通訊)で2965件。

3位にようやくアメリカのインテルが来て2637件となっています。トランプ政権がファーウェイとZTEの2社を目の敵にしているのも、アメリカの焦燥感の表れなのです。

これに加えて、消費に関しては、14億中国人の「爆消費」が世界経済を牽引していくことは、「未来の中国年表」から見て、間違いありません。5年後には、中間所得者層が4億人を突破し、彼らの「爆消費パワー」は、計り知れないのです。

例えば、世界最大の電子商取引企業アリババ(阿里巴巴集団)は、毎年11月11日を「消費者デー」に指定して、24時間の特売を行っています。

昨年のこの日の売り上げは、1682億元(約2兆8000億円)に達し、これは2016年の楽天の年間取扱額に、ほぼ匹敵する額です。

中国でアリババのライバルである京東も、6月1日から18日までを「消費者デー」に定めて、同様の特売を行っています。今年のこの期間の京東の売り上げは、1592億元(約2兆7000億円)に達しました。

このように、近未来の世界のマーケットは、まるで中国という巨大な掃除機に吸引されていくかのように動いていくことになります。それは、日本企業もアメリカ企業も同様です。

急増する「空巣青年」問題
それでは、近未来の世界は中国の天下になるのかと言えば、必ずしもそうではありません。EU28ヵ国、ASEAN10ヵ国のそれぞれ2倍以上の人口を擁する中国は、悩みもまた2倍以上(?)と言えるのです。

たとえば中国は、1978年に始まった改革開放政策に伴って、「一人っ子政策」を、2015年まで続けました。憲法25条に「国家は一人っ子政策を推進実行する」と明記し、違反者には厳しい罰則を定めました。

21世紀に入って、「一人っ子政策」の弊害が多方面に表れてきましたが、その最たるものが、いびつな男女差です。

特に農村部では、どうせ一人しか産めないなら男児を産もうということで、さまざまな方法を使って男児を産んだため、子供の男女比が120対100くらいまで開いてしまったのです。

国連では107までを「正常国家」と定めているので、中国は明らかに「異常国家」です。

その結果、2年後の2020年には、結婚適齢期の男性が、女性より3000万人も多い社会になります。中国では「3000万人独身男の憂鬱」と題した記事も出ています。

彼らは「剰男」(余った男)と呼ばれていますが、嫁を探しにアフリカまで出かける「剰男」も出ているほどです。

さらに、結婚を半ば諦めた「空巣青年」も急増中です。親元を離れて都会で一人暮らしをし、スマホばかり見て引きこもっている若者を「空巣青年」と呼ぶのです。

若者に関して言えば、2022年に大学の卒業生が900万人を超えます。中国の大学生は昨年9月現在、3699万人もいて、世界の大学生の2割を占めます。日本の約13倍の学生数で、経済規模は日本の2.5倍もないので、就職先がまったく足りません。

若年失業者が増すと、反政府運動などを起こすリスクも増すので、中国政府は必死に起業を勧めています。昨年は、年間600万社以上が創業し、1351万人の新規雇用を確保したと誇りました。

2人で起業した企業が600万社できれば、それだけで1200万人の雇用を確保したというわけです。

ところが、600万社がその後、どうなったかについては、発表がありません。おそらく、死屍累々の状況が生まれているはずです。それでも、「その日の就業」を最優先するという究極の自転車操業社会です。

「マンション離婚」がとまらない理由
2024年になると、年間600万組が離婚する時代になります。つまり1200万人で、これは東京都の人口に近い数です。ちなみに日本の離婚件数は21万7000組(2016年)なので、中国では日本の27.6倍も離婚していくことになります。

北京や上海などの大都市では、離婚率はすでに4割に達しています。離婚率が5割を超えるのもまもなくです。

逆に結婚件数は5年で3割減っているので、中国は近未来に、年間の離婚件数が結婚件数を上回る最初の国になるのではという懸念も出ているほどなのです。

Photo by iStock
なぜこれほど離婚が多いのかと言えば、その大きな理由として、やはり「一人っ子政策」の弊害が挙げられると思います。

彼らは幼い頃から、「6人の親」に育てられると言います。両親と、両親のそれぞれの両親です。

祖父母が4人、親が2人、子供が1人であることから、「421家庭」という言葉もあります。そのため、男児なら「小皇帝」、女児なら「小公主」と呼ばれ、贅沢かつワガママに育つのです。

そんな彼らが結婚しても、我慢することが苦手で、かつ便利な両親の実家が近くにあるため、容易に人生をやり直してしまうのです。

さらに、中国特有の離婚も急増中です。それは「マンション離婚」と呼ばれるものです。

マンション投資が過熱すると、価格が急騰して庶民が買えなくなるため、政府は2011年以降、「ひと家庭に1軒のみ」といったマンション購入制限令を出してきました。

それならば「離婚してふた家庭になれば2軒買える」というわけで、「マンション離婚」が急増したのです。そのため、例えば北京市役所は「1日の離婚届受け付けを1000件までとする」という対策を取っているほどです。

2025年になると、中国は深刻な労働力不足に見舞われます。15歳から64歳までの生産年齢人口に関して言えば、すでに2015年頃から減少しています。

労働力の絶対数が減り続ける上に、一人っ子世代は単純労働を嫌うので、大卒者の給料よりも単純労働者の給料のほうが高いという現象が起こってしまうのです。

中国政府は、労働力不足の問題を、AI(人工知能)技術を発展させることでカバーしようとしています。世界最先端のAI大国になれば、十分カバーできるという論理です。

超高齢化社会・中国の末路
しかし、労働力不足はある程度、AI技術の発展によって補えたとしても、来る高齢社会への対処は、困難を極めるはずです。

国連の『世界人口予測2015年版』によれば、2050年の中国の60歳以上人口は、4億9802万人、80歳以上の人口は1億2143万人に上ります。

「私は還暦を超えました」という人が約5億人、「傘寿を超えました」という人が、現在の日本人の総人口とほぼ同数。まさに人類未体験の恐るべき高齢社会が、中国に到来するのです。

しかし現時点において、中国には介護保険もないし、国民健康保険すら、十分に整備されているとは言えません。そのため中国では、「未富先老」(未だ富まないのに先に老いていく)という嘆き節が流行語になっているほどです。

実はこの未曾有の高齢社会の到来こそが、未来の中国にとって、最大の問題となることは間違いありません。日本に遅れること約30年で、日本の10倍以上の規模で、少子高齢化の大波が襲ってくるのです。

そうした「老いてゆく中国」を横目に見ながら、虎視眈々とアジアの覇権を狙ってくるのが、インドです。インドは早くも6年後の2024年に、中国を抜いて世界一の人口大国になります。

しかも、2050年には中国より約3億人(2億9452万人)も人口が多くなるのです。15歳から59歳までの「労働人口」は、中国より3億3804万人も多い計算になります。

Photo by iStock
2050年のインドは、中国と違って相変わらず若々しいままです。

つまり中国にしてみれば、21世紀に入ってようやく、長年目標にしてきた日本を抜き去ったと思いきや、すぐにインドという巨大な強敵を目の当たりにするのです。

中国は2049年に、建国100周年を迎えます。その時、「5億人の老人」が、しわくちゃの笑顔を見せているとは限らないのです。


近藤大介(こんどう・だいすけ)
中国の内政問題の矛盾
AI全体主義の弱点は国際非難
ウィグルの民族浄化、       ムスリム弾圧強化

香港独立と台湾、チベット、蒙の連帯 上海独立上海民主党
イメージ 1


執筆中