ATLA防衛装備庁 航空装備研究所のページが、いつのまにか更新されていた。


高高度迎撃用飛しょう体技術の研究

高高度領域における弾道ミサイルへの迎撃機会を拡大するとともに低軌道弾道ミサイルや高速CMの対処を可能とするため、推力制御、サイドスラスタ等を含む誘導制御技術の研究を行っています。

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弾道ミサイル等を迎撃するためには、迎撃する側のミサイルを高い精度で目標に誘導する必要がありますが、高高度領域では空気が薄く空力操舵による機体制御ができないため、空力操舵に依らないミサイルの機体制御技術が必要です。

「高高度迎撃用飛しょう体技術の研究」においては、ミサイルの機軸と直交方向にガスを放出することにより操舵力を発生させるサイドスラスタに加え、推進装置であるロケットモータの推力の発生方向をジェットタブと言われる小さな弁体を用いて偏向する推力制御を組み合わせた機体制御技術の実現を目指しています。




低RCS対処ミサイル誘導制御技術の研究

ステルス能力や高機動能力を持つ目標への対処性能を向上させるため、最適制御理論を応用し最も効率的に目標へ接近可能とする誘導制御に関する技術の研究を行っています。
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「低RCS対処ミサイル誘導制御技術の研究」

近年、戦闘機や攻撃機は敵のレーダに発見されないようステルス性を向上させています。このようなステルス機にミサイルを誘導する際には、ミサイルがステルス機を捕捉し追尾する距離が従来より短くなってしまい、ステルス機がミサイル回避のため旋回してしまうとステルス機を迎撃することが難しくなります。
 「低RCS対処ミサイル誘導制御技術の研究」では、ステルス機の位置や速度等の観測情報を基に未来の運動を予測するとともに、モデル予測制御を応用して、ステルス機へのミサイル会合シミュレーションを行い、最適制御による制御量の導出を反復して効率的な接近経路を計算することにより、ミサイルでステルス機を迎撃することを可能にする技術の獲得に取り組んでいます。


単なるミサイルの基礎研究かと思いきや、よく見ると、最近中国が開発を行っているという極超音速飛翔体(滑空弾)を迎撃するための対滑空弾ミサイルと対ステルス無人機用ミサイルを迎撃するミサイルの基礎をさりげなく開発していますという情報だ。





不思議なことに、こんなに画期的情報なのに、取り上げているネット情報はまだなく、残念ながらまだ十分な情報が出回っていない。

現在手がかりとなるのは、ATLAの前身TRDIが開発を行った   
のみである。

平成4年度から研究が開始され平成13年度にかけ研究された技術である。
従来の飛しょう体(ミサイル)の操舵方式として空力操舵のみであったのに対し、推力偏向操舵(TVC: Thrust Vector Control)と空力操舵による複合操舵方式及びサイドスラスタと空力操舵を用いた複合操舵方式を用いることで、高速性及び運動性等に優れた飛しょう体(ミサイル)の操舵方式が研究された。

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研究成果は新短距離空対空誘導弾(XAAM-5)、12式地対艦誘導弾システムに生かされたとのことですが、この技術を中国の高速滑空弾を撃墜するミサイルに応用しようというものらしい。
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また、SM-3 Block IIAで用いられたケネティック弾頭も応用される可能性もある。いずれにしても兵器とは、人間が戦争を始めて以来盾と矛の関係がずっと続いている。実用化すれば迎撃不可能と言われていた極超音速滑空弾も、日本の技術をもって対極超音速滑空弾ミサイルを開発にあたれば迎撃は可能、超音速滑空弾対策の目処が見えてきた。
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【北京=西見由章】中国が次世代の戦略兵器として開発を進めている「極超音速飛翔(ひしょう)体」や、最新鋭ステルス戦略爆撃機をめぐり、官製メディアなどが積極的に情報を発信している。通商政策に加えて安全保障面でも中国への圧力を強める米国に対して高度な軍事技術を誇示、牽制(けんせい)する意図がありそうだ。

中国国営中央テレビ(CCTV、電子版)は12日、上空を彗星(すいせい)のように輝きながら飛行する物体の映像を投稿。内モンゴル自治区や北京で前日夜に目撃され、UFOと疑う声もあるとしながら「おそらく極超音速飛翔体の実験だ」と明かした。

同飛翔体は弾道ミサイルで打ち上げられた後、近宇宙空間で切り離されて大気圏に再突入する戦略兵器だ。大陸間弾道ミサイル(ICBM)とは異なり、マッハ5以上の極超音速で自由に運動しながら滑空し、現在の米国のミサイル防衛(MD)では撃墜不可能とされる。短時間で精密かつ長距離の打撃能力があり、米露や欧州、インドなども競って開発しているが、先行しているのは米中両国だ。

笹川平和財団の小原凡司上席研究員は「核弾頭を乗せなければ使用のハードルがそれほど高くない戦略兵器にもなりうる。(国際秩序を変える)ゲームチェンジャーの兵器となるかもしれない」と指摘する。

中国の研究機関は8月、中国北西部で実施された飛翔体の実験について初めて詳細に公表した。高度30キロを最高速度マッハ6で飛行し、飛行時間は6分間に上ったという。一方、9月にはCCTVが、内モンゴル自治区の酒泉衛星発射センターで行われた実験を報道。3種類の飛翔体の模型を上空で気球から切り離し、正確に目標を攻撃するための減速・姿勢調整機能などをテストしたもようだ。


中国の飛翔体実験をめぐっては2014年1月、マッハ10での高速飛行を米軍が確認したとして米メディアが報道したが、中国側は沈黙を守ってきた。こうした従来の慎重な姿勢とは対照的だ。

一方、中国の最新鋭ステルス戦略爆撃機「H20」に関する報道も目立ち始めた。H20は核ミサイルを搭載可能で、その外観は尾翼のない全翼機の米爆撃機B2に似ているとされる。中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報(英語版)は今月、「間もなく初の試験飛行が行われる」との専門家のコメントを掲載した。
日本が、この高速滑空弾の迎撃ミサイルを早々に開発し、日本も極超音速滑空弾を開発すれば、畏れ入るだろう。

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防衛省「高速滑空弾」26年度装備化へ 離島防衛用
【毎日新聞】2018年10月15日 10時58分

 防衛省は羽根付きの弾頭を滑空させて目標を狙う新型ミサイル「高速滑空弾」を装備化する方針を固めた。開発を2段階に分けて進め、2026年度の装備化を目指す。同省関係者によると、陸上自衛隊による運用を想定。「離島防衛用」と位置づけて射程を300~500キロ程度にする見込みだが、自衛隊の装備の長射程化が進むことになり、専守防衛との整合性を問う声が上がる可能性もある。
 
高速滑空弾はロケットで地上から打ち上げた後、分離した弾頭が大気圏の上層をグライダーのように超音速で滑空し、全地球測位システム(GPS)などで目標を狙う誘導弾だ。高速による複雑な軌道の飛行が可能で、迎撃が困難とされる。米国やロシア、中国なども、滑空性能がある高速ミサイルの開発を進めている。

防衛省は今年度予算で、滑空弾の技術研究として46億円を計上し、早期装備化に向け来年度予算の概算要求で138億円を追加した。開発を2段階に分け、まずは円筒形で周囲に複数の羽根が付いた滑空性の低い弾頭の試験を25年度までに終え、翌年度にも装備化する。さらに、滑空性の高い爪のような平らな形状の弾頭開発も進め、実用化に成功すれば28年度以降の装備化を目指すという。

高速滑空弾の使用は、南西諸島に侵攻があった場合の使用を想定している。離島奪回に向けた上陸作戦の前に、遠距離から敵の拠点などを攻撃しておく必要があるが、陸自のミサイルの射程は最新の12式地対艦誘導弾でも百数十キロ程度。沖縄本島と尖閣諸島の間は約420キロ、宮古島との間でも約290キロあり、戦闘機や護衛艦からの支援が十分受けられない場合に備えた長射程の地対地ミサイルの開発が課題だった。

自衛隊では戦闘機に搭載する長距離巡航ミサイルの取得など、装備の長射程化が進む。滑空弾についても、防衛省幹部は「ロケット部分の能力を上げれば射程を長くすることが可能」と話しており、「敵基地攻撃能力」への転用を懸念する声も出そうだ。【前谷宏】